説明

カラオケ実演収録データからのダイジェストデータ抽出システム

【課題】 実演収録データからダイジェストデータを抽出する際に、人為的な判断を必要とせず、自動的にダイジェストとして最適なデータを抽出する。
【解決手段】 ダイジェストデータ抽出手段46により、実演データ収録部48に収録された実演データについて、当該楽曲の歌唱区間と非歌唱区間とを時系列に対応付けると共に、握力検出値記憶部47に記憶された握力検出値を参照し、握力検出値が上位である所定数の歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出する。また、任意の歌唱区間における握力検出値と、前後の歌唱区間における握力検出値の平均値とを比較し、握力検出値の増加分が相対的に高い歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ演奏端末を利用する利用者の実演データを収録し、収録した実演データからダイジェストデータを抽出するためのダイジェストデータ抽出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラオケ演奏端末における歌唱状況を撮影して、その実演収録データをカラオケ演奏端末にネットワーク接続されたサーバで管理すると共に、インターネット等を利用して利用者の自宅等に設置されたパーソナルコンピュータを当該サーバに接続し、当該サーバで管理されている実演収録データを視聴できるようにしたサービスが提供されている(特許文献1参照)。
【0003】
このように、カラオケ演奏端末の実演収録データを視聴する視聴者の嗜好は様々であり、サーバで管理された複数の実演収録データが何ら整理されていない場合には、所望の実演収録データを探し出すことが容易ではない。そこで、複数の実演収録データの内容を容易に把握することができる仕組みが必要である。例えば、複数の画像の中から所望の画像を選択させる場合には、各画像を縮小して一覧表示(サムネイル表示)することが一般的である。また複数の映像の中から所望の映像を選択させる場合には、各映像のダイジェストを表示することが一般的である。
【0004】
【特許文献1】特開2003−15657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カラオケ演奏端末を利用した実演収録データからダイジェストを作成する場合に、利用者が歌唱していない部分(例えば、前奏、間奏、後奏)を切り出したのでは、利用者の歌唱状況を示していないので、ダイジェストとして不適である。また、歌唱採点が高得点となっている部分を切り出すことも考えられるが、歌唱得点が高得点となっている部分が必ずしも当該楽曲の代表的な歌唱部分であるとは言えない場合がある。
【0006】
そこで、各楽曲の歌唱状況を端的に示している部分として、歌唱の最中に特に盛り上がっている部分をダイジェストとして切り出すことが好ましい。すなわち、歌唱者が熱の入った歌唱を行っている部分が、ダイジェストとして最適な部分であると考えられる。しかしながら、多数の実演収録データの中から、歌唱者が熱の入った歌唱を行っている部分を人為的に切り出すことは極めて困難である。
【0007】
ところで、一般的に、歌唱者が熱の入った歌唱を行う場合に、マイクロホンを強く握る傾向があることが知られている。例えば、特許第3564775号公報には、特に演歌に見られるビブラートは歌唱者が力を入れる場面で多いことに鑑み、マイクロホンを握る握力を検知し、握力が予め定めた閾値を超えると、自動的に歌声をビブラート変換する技術が開示されている。本発明は、この点に着目して、実演収録データからダイジェストデータを抽出する際に、人為的な判断を必要とせず、自動的にダイジェストとして最適なデータを抽出することが可能なダイジェストデータ抽出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカラオケ実演収録データからのダイジェストデータ抽出システムは、上述した目的を達成するために、握力検出手段と、握力検出値記憶手段と、実演データ取得手段と、実演データ収録手段と、ダイジェストデータ抽出手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
握力検出手段は、マイクロホンのグリップ部に設けられた圧力検出部からの測定値に基づき、当該マイクロホンを使用する利用者の握力を検出するための手段である。握力検出値記憶手段は、任意の楽曲が演奏された際に、握力検出手段における握力検出値を、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、握力検出値記憶部に記憶させるための手段である。実演データ取得手段は、少なくとも利用者の歌唱音声を実演データとして取得するための手段である。実演データ収録手段は、任意の楽曲が演奏された際に、実演データ取得手段により取得した実演データを、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、実演データ収録部に収録させるための手段である。ダイジェストデータ抽出手段は、実演データ収録部に収録された任意の楽曲の実演データについて、当該楽曲の歌唱区間と非歌唱区間とを時系列に対応付けると共に、握力検出値記憶部に記憶された握力検出値を参照し、握力検出値が上位である所定数の歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出するための手段である。
【0010】
また、ダイジェストデータ抽出手段は、実演データ収録部に収録された任意の楽曲の実演データについて、当該楽曲の歌唱区間と非歌唱区間とを時系列に対応付けると共に、握力検出値記憶部に記憶された握力検出値を参照し、任意の歌唱区間における握力検出値と、前後の歌唱区間における握力検出値の平均値とを比較し、握力検出値の増加分が相対的に高い歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出するための手段としても機能する。
【0011】
ここで、握力を測定するための圧力検出部は、例えばマイクロホンに取り付けた圧力センサにより構成される。また、実演データとは、ビデオカメラにより撮影された歌唱映像データや、マイクロホンにより録音された歌唱音声データのことである。したがって、実演データ取得手段は、例えばビデオカメラやマイクロホンをその構成要素とする。なお、実演データは、歌唱映像データを含まずに歌唱音声データのみとすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカラオケ実演収録データからのダイジェストデータ抽出システムでは、実演収録データを歌唱区間と非歌唱区間とに分けると共に、各歌唱区間における握力検出値に基づく判別を行い、予め定めた条件に合致する歌唱区間に時系列的に対応した実演データをダイジェストデータとして抽出する。
したがって、人為的な判断を必要とせず、歌唱者が熱の入った歌唱を行う可能性が高い歌唱区間における実演データをダイジェストデータとして自動的に抽出することが可能となる。また、歌唱区間における実演データを抽出し、非歌唱区間における実演データは抽出しないので、適切なダイジェストを作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<ダイジェストデータ抽出システムの概要>
以下、図面を参照して本発明のカラオケ実演収録データからのダイジェストデータ抽出システム(以下、ダイジェストデータ抽出システムと略記する)の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るダイジェストデータ抽出システムを組み込んだカラオケシステムの概略構成を示すブロック図である。
【0014】
本発明の実施形態に係るダイジェストデータ抽出システムは、図1に示すように、通信ネットワークを利用したカラオケシステムと共に構築されるシステムであり、複数のカラオケ演奏端末11が通信ネットワーク12aを介してホスト装置13と相互に接続されると共に、他の通信ネットワーク12bを介して実演収録サーバ14に接続されている。また、実演収録サーバ14は、さらに他の通信ネットワーク12cを介して各利用者の自宅等に設置されたパーソナルコンピュータ(PC)15に接続されている。
【0015】
通信ネットワーク12a、12b、12cは、公衆電話回線、専用電話回線、光通信回線、LAN、インターネット回線等を用いることができる。この場合、通信ネットワーク12aと通信ネットワーク12bとを共通のネットワークとして構築してもよい。また、実演収録サーバ14とパーソナルコンピュータ15とを接続する通信ネットワーク12cは、汎用性が高いという点でインターネット回線を利用することが好ましい。
【0016】
本発明の実施形態に係るダイジェストデータ抽出システムは、握力検出手段31と、握力検出値記憶手段44と、実演データ取得手段32と、実演データ取得手段32の構成要素として機能するマイクロホン32a及びビデオカメラ32bと、実演データ収録手段45と、ダイジェストデータ抽出手段46と、を備えている。握力検出手段31、実演データ取得手段32、マイクロホン32a、ビデオカメラ32bは、カラオケ演奏端末11と共に構成される手段であり、握力検出値記憶手段44、実演データ収録手段45、ダイジェストデータ抽出手段46は、実演収録サーバ14の構成要素となる手段である。各手段については、後に詳述する。
【0017】
<実演収録サーバ>
実演収録サーバ14は、送受信部41、制御手段42、データ処理手段43、握力検出値記憶手段44、実演データ収録手段45、ダイジェストデータ抽出手段46、握力検出値記憶部47、実演データ収録部48を備えている。これらの手段のうち、握力検出値記憶手段44、実演データ収録手段45、ダイジェストデータ抽出手段46、握力検出値記憶部47、実演データ収録部48が、ダイジェストデータ抽出システムの構成要素として機能する。
【0018】
<送受信部/制御手段/データ処理手段>
送受信部41は、各カラオケ演奏端末11との間でデータの送受信を行うための手段であり、通信ネットワーク12bにおける通信方式の整合性を保つための通信回路やソフトウェアにより構成される。制御手段42は、実演収録サーバ14を統括的に制御するための手段であり、CPU及びその周辺機器を含んで構成され、CPU等がROM等に格納されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより制御機能を発揮するようになっている。データ処理手段43は、握力検出値記憶手段44、実演データ収録手段45、ダイジェストデータ抽出手段46、握力検出値記憶部47、実演データ収録部48にアクセスして、データの抽出、変更、追加、演算を行うためのプログラムからなる。
【0019】
<握力検出値記憶手段>
握力検出値記憶手段44は、任意の楽曲が演奏された際に、握力検出手段31における握力検出値を、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、握力検出値記憶部47に記憶させるためのプログラムからなる。また、握力検出値記憶部47は、HDD等の大容量記憶装置からなる。
【0020】
<実演データ収録手段>
実演データ収録手段45は、任意の楽曲が演奏された際に、実演データ取得手段32により取得した実演データを、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、実演データ収録部48に収録させるためのプログラムからなる。また、実演データ収録部48は、HDD等の大容量記憶装置からなる。
【0021】
<ダイジェストデータ抽出手段>
ダイジェストデータ抽出手段46は、以下に説明する2つの実施形態として機能させることができる。
第1の実施形態に係るダイジェストデータ抽出手段46は、実演データ収録部48に収録された任意の楽曲の実演データについて、当該楽曲の歌唱区間と非歌唱区間とを時系列に対応付けると共に、握力検出値記憶部47に記憶された握力検出値を参照し、握力検出値が上位である所定数の歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出するためのプログラムからなる。
【0022】
第2の実施形態に係るダイジェストデータ抽出手段46は、実演データ収録部48に収録された任意の楽曲の実演データについて、当該楽曲の歌唱区間と非歌唱区間とを時系列に対応付けると共に、握力検出値記憶部47に記憶された握力検出値を参照し、任意の歌唱区間における握力検出値と、前後の歌唱区間における握力検出値の平均値とを比較し、握力検出値の増加分が相対的に高い歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出するためのプログラムからなる。
【0023】
なお、握力検出値記憶部47に記憶された握力検出値は、圧力センサ等からなる圧力検出部31aにより測定された値であるため、時系列で変動している。そこで、任意の歌唱区間において、実測握力値を平均して区間平均圧力値を求め、この区間平均圧力値に基づく判別を行うことにより、ダイジェストデータとして相応しい歌唱区間を特定することができる。
【0024】
<ホスト装置>
ホスト装置13は、複数のカラオケ演奏端末11を総合的に管理するための装置で、各カラオケ演奏端末11へのカラオケデータの提供、顧客管理、演奏頻度の統計等、ネットワークカラオケを構築する上で必要な機能を備えている。
【0025】
<パーソナルコンピュータ>
パーソナルコンピュータ15は、利用者の自宅等に設置されており、インターネット等の通信ネットワーク12cを介して実演収録サーバ14に接続し、所望の実演データを閲覧したり、取得したりすることができる。また、本実施形態では、所望の実演データを閲覧する際に、各実演データのダイジェストを閲覧可能として、所望の実演データを効率よく探し出すことができるようになっている。
【0026】
<カラオケ演奏端末>
図2は、本発明の実施形態に係るダイジェストデータ抽出システムを適用するカラオケ演奏端末11の構成を示すブロック図である。本実施形態では、握力検出手段31、圧力検出部31a、実演データ取得手段32、マイクロホン32a、ビデオカメラ32bがカラオケ演奏端末11と共に設置されている。
【0027】
カラオケ演奏端末11は、図2に示すように、カラオケ本体21、遠隔入出力端末22、ミキシングアンプ23、スピーカ24、マイクロホン32a、ビデオカメラ32b、表示手段25を備えている。カラオケ本体21と表示手段25とは、有線方式又は無線方式により接続されている。
【0028】
本実施形態では、マイクロホン32aのグリップ部に取り付けた圧力センサが圧力検出部31aとして機能し、マイクロホン32a及びビデオカメラ32bが実演データ取得手段32の構成要素として機能する。そして、実演収録サーバ14に設けた実演データ収録手段45により、任意の楽曲が演奏された際に、実演データ取得手段32により取得した実演データを、実演収録サーバ14に送信し、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、実演データ収録部48に収録させる。なお、後に詳述するが、実演データ取得手段32により取得した実演データは、実演データ一時収録部57dに一時的に収録され、適宜なタイミングで実演収録サーバ14に送信される。
【0029】
<遠隔入出力端末>
遠隔入出力端末22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21のローカル送受信手段58に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっており、データの送受信を行うための回路基板及びプログラムと、楽曲検索手段22aとして機能させるためのプログラムと、楽曲索引データベース22bと、一時記憶領域であるフラッシュメモリ(図示せず)とを備えている。ここで利用される無線方式としては、例えば近接無線通信技術であるirDAやbluetooth(登録商標)等を挙げることができる。また、ユーザインタフェース機能として、例えば液晶ディスプレイとタッチセンサとを積層した入出力用表示部(図示せず)を備えており、入出力用表示部に表示されるアイコンや文字列にタッチすることにより、楽曲の選択やデータの入力を行うようになっている。
【0030】
<楽曲索引データベース>
楽曲索引データベース22bは、カラオケ演奏端末11で演奏に供される楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。なお、カラオケ演奏端末11がホスト装置13と通信を行う際に、適宜なタイミングで楽曲索引データベース22bの内容が最新のものに更新される。
【0031】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、バス51、2つのネットワーク送受信手段52、53、中央制御手段54、ROM55、RAM56、HDD57、ローカル送受信手段58、予約管理手段59、音楽曲出力手段60、A/Dコンバータ61、外部入力インターフェース(外部入力IF)62、ビデオ入力インターフェース(ビデオ入力IF)63、再生制御手段64、握力検出手段31、実演データ取得手段32を備えている。HDD57には、楽曲データベース57a、映像データベース57bが格納されている。さらに、HDD57は、握力検出値一時記憶部57c、実演データ一時収録部57dとして機能する。
【0032】
<中央制御手段>
中央制御手段54は、カラオケ演奏端末11を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM55等に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0033】
<ROM/RAM>
ROM55は、カラオケ演奏端末11を構成する各機器を制御するためのアプリケーションプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM56は、アプリケーションプログラムや種々のデータを一時的に読み込む一時記憶領域として機能するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM56を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM56を構成してもよい。本実施形態では、RAM56に、予約待ち行列56aが格納されている。
【0034】
<HDD/楽曲データベース/映像データベース>
楽曲データベース57a及び映像データベース57bは、大容量記憶装置であるHDD57に格納されている。また、HDD57は、握力検出値一時記憶部57c、実演データ一時収録部57dとしても機能する。大容量記憶装置としては、HDD57の他に、データを書き替え可能なDVD等を用いることができる。
楽曲データベース57aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞テロップデータが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞テロップデータは演奏データに同期された楽曲の歌詞文字データである。
映像データベース57bは、演奏される楽曲に対応した背景映像を、当該楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0035】
<握力検出値一時記憶部/実演データ一時収録部>
握力検出値一時記憶部57cは、握力検出手段31で検出した握力検出値を一時的に記憶するための記憶部である。握力検出値一時記憶部57cに一時的に記憶された握力検出値は、カラオケ本体21と実演収録サーバ14とがデータ通信を行う際に、実演収録サーバ14に送信されて、握力検出値記憶部47に記憶される。
実演データ一時収録部57dは、実演データ取得手段32により取得した実演データを一時的に記憶するための記憶部である。実演データ一時記憶部57dに一時的に記憶された実演データは、カラオケ本体21と実演収録サーバ14とがデータ通信を行う際に、実演収録サーバ14に送信されて、実演データ収録部48に収録される。
【0036】
<音楽曲出力手段>
音楽曲出力手段60は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース57aから抽出された演奏データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ23に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ23は、マイクロホン32aから入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽曲出力手段60から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ24より出力させるための装置である。
【0037】
<マイクロホン>
マイクロホン32aのグリップ部には握力検出部31aとして機能する圧力センサが設けられており、この圧力センサにより、利用者の握力値を検出する。圧力センサ31aは、外部入力インターフェース62を介してバス51に接続されている。
実演収録サーバ14に設けられた握力検出値記憶手段44では、任意の楽曲が演奏された際に、握力検出手段31における握力検出値を、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、握力検出値記憶部47に記憶させる。この際、握力検出手段31で検出した握力検出値は、握力検出値一時記憶部57cに一時的に記憶された後、実演収録サーバ14に送信される。
【0038】
また、マイクロホン32aは、利用者の歌唱音声を実演データとして取得するための実演データ取得手段32の構成要素として機能する。マイクロホン32aは、A/Dコンバータ61を介してバス51に接続されており、カラオケ本体21で歌唱音声データを取り込めるようになっている。なお、マイクロホン32aの数は1本に限られず、2本以上であってもよい。
【0039】
<ビデオカメラ>
ビデオカメラ32bは、利用者の歌唱映像を実演データとして取得するための実演データ取得手段32の構成要素として機能する。ビデオカメラ32bは、ビデオ入力インターフェース63を介してバス51に接続されている。このビデオカメラ32bは、ステージに向けて固定されたものであってもよいが、パン・チルト機構、ズーム機構、フォーカス機構を備え、歌唱者に向けて自動的にパン・チルト、ズーム、フォーカス等を行うことが可能なビデオカメラ32bを用いることにより、適切な実演データを収録することができる。
【0040】
実演収録サーバ14に設けられた実演データ収録手段45では、任意の楽曲が演奏された際に、実演データ取得手段32により取得した実演データを、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、実演データ収録部48に収録させる。この際、実演データ取得手段32で取得した実演データは、実演データ一時収録部57dに一時的に収録された後、実演収録サーバ14に送信される。
【0041】
<再生制御手段>
再生制御手段64は、カラオケ演奏中に、映像データベース57bから抽出した映像データ、及び楽曲データベース57aから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を当該楽曲の演奏データに同期させて表示手段25に出力するための電子回路である。さらに、再生制御手段64は、遠隔入出力端末22を介した利用者からの操作指示による予約楽曲リストの表示等を表示手段25に表示させる機能も有している。
【0042】
<表示手段>
表示手段25は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等により構成される。
【0043】
<予約管理手段>
予約管理手段59は、利用者により遠隔入出力端末22における楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲され、ローカル送受信手段58を介して送信された当該選曲者を識別するための利用者ID、及び選曲された楽曲IDを対応付けて予約待ち行列56aとしてRAM56に格納し、管理するためのプログラムである。なお、楽曲選択の表示や予約待ち行列56aの表示は、遠隔入出力端末22の入出力用表示部及び表示手段25のいずれか一方、あるいは双方で行うことができる。
【0044】
<送受信手段>
ローカル送受信手段58は、遠隔入出力端末22との間でデータの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。ネットワーク送受信手段52は、通信ネットワーク12aを介してホスト装置13との間でデータの送受信を行う際に、通信ネットワーク12aにおける通信方式の整合性を保つための電子回路及びプログラムからなる。また、ネットワーク送受信手段53は、通信ネットワーク12bを介して実演収録サーバ14との間でデータの送受信を行う際に、通信ネットワーク12bにおける通信方式の整合性を保つための電子回路及びプログラムからなる。なお、ネットワーク送受信手段52及びネットワーク送受信手段53は、共通の送受信手段として構成してもよい。
【0045】
<ダイジェストデータの抽出/第1の実施形態>
次に、図3を参照して、本発明の実施形態に係るダイジェストデータ抽出システムを用いて実演収録データからダイジェストデータを抽出する手順の第1の実施形態を説明する。図3は、第1の実施形態に係るダイジェストデータの抽出手順の概要を示す説明図である。
第1の実施形態に係るダイジェストデータの抽出手順は、握力検出値が上位である所定数の歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出するようにしたものである。
【0046】
本発明のダイジェストデータ抽出システムでは、実演データ取得手段32の構成要素として機能するマイクロホン32a及びビデオカメラ32bを用いて実演データを取得する。取得した実演データは、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、実演データ収録部48に収録させる。
【0047】
また、握力検出値記憶手段44では、任意の楽曲が演奏された際に、握力検出手段31における握力検出値を、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、握力検出値記憶部47に記憶させる。本実施形態では、握力検出値記憶部47に記憶する握力検出値は、実測握力値に基づいて演算した区間平均握力値となっている。
【0048】
ダイジェストデータ抽出手段46では、実演データ収録部48に収録された任意の楽曲の実演データについて、当該楽曲の歌唱区間と非歌唱区間とを時系列に対応付ける。歌唱区間と非歌唱区間とは、タイミングデータを有する歌詞データや、テロップの色変わりデータ等に基づいて区別することができる。図3に示す例では、区間(1)〜(9)が歌唱区間として実演データに対応付けられ、前奏区間、間奏区間、後奏区間が非歌唱区間として実演データに対応付けられる。
【0049】
そして、握力検出値が上位である所定数の歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出する。図3に示す例では、圧力検出値の順位は、第1位が歌唱区間(5)、第2位が歌唱区間(9)、第3位が歌唱区間(3)、第4位が歌唱区間(4)及び歌唱区間(7)、第5位が歌唱区間(1)、歌唱区間(6)及び歌唱区間(8)、第6位が歌唱区間(2)となっている。したがって、握力検出値が第1位の歌唱区間(5)に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出する。
【0050】
なお、握力検出値が上位である歌唱区間を複数特定し(例えば第1位〜第3位)、これらの歌唱区間に時系列に対応する実演データを、ダイジェストデータとして抽出してもよい。また、握力検出値の順位が同一の歌唱区間が複数存在する場合には、これらの歌唱区間に時系列に対応するすべての実演データをダイジェストデータとして抽出してもよいし、時系列的に後の歌唱区間を選択する等、予め定めた基準に従って実演データをダイジェストデータとして抽出してもよい。複数の歌唱区間に時系列的に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出する場合には、各実演データを繋げる際に、フェードイン、フェードアウト等の処理を施すことが好ましい。
【0051】
<ダイジェストデータの抽出/第2の実施形態>
次に、図4を参照して、本発明の実施形態に係るダイジェストデータ抽出システムを用いて実演収録データからダイジェストデータを抽出する手順の第2の実施形態を説明する。図4は、第2の実施形態に係るダイジェストデータの抽出手順の概要を示す説明図である。
第2の実施形態に係るダイジェストデータの抽出手順は、任意の歌唱区間における握力検出値と、前後の歌唱区間における握力検出値の平均値とを比較し、握力検出値の増加分が相対的に高い歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出するようにしたものである。
【0052】
第2の実施形態において、実演データの取得及び収録の手順、握力検出値の取得及び記憶の手順、握力検出値として区間平均握力値を用いる事、歌唱区間と非歌唱区間との区別の方法は、上述した第1の実施形態と同様である。図4に示す例では、区間(1)〜(9)が歌唱区間として実演データに対応付けられ、前奏区間、間奏区間、後奏区間が非歌唱区間として実演データに対応付けられる。
【0053】
そして、任意の歌唱区間における握力検出値と、前後の歌唱区間における握力検出値の平均値とを比較し、握力検出値の増加分が相対的に高い歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出する。図4に示す例では、前後の歌唱区間における握力検出値の平均値が、歌唱区間(1)では「+2」、歌唱区間(2)では「−3」、歌唱区間(3)では「+4」、歌唱区間(4)では「−5」、歌唱区間(5)では「+5.5」、歌唱区間(6)では「−6」、歌唱区間(7)では「+1」、歌唱区間(8)では「−2.5」、歌唱区間(9)では「+4」となっている。したがって、握力検出値の増加分が相対的に高いのは歌唱区間(5)となり、歌唱区間(5)に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出する。
【0054】
なお、握力検出値の増加分が相対的に高い歌唱区間を上位から順に複数特定し、これらの歌唱区間に時系列に対応する実演データを、それぞれダイジェストデータとして抽出してもよい。また、握力検出値の増加分が同一の歌唱区間が複数存在する場合には、これらの歌唱区間に時系列に対応するすべての実演データを、ダイジェストデータとして抽出してもよいし、時系列的に後の歌唱区間を選択する等、予め定めた基準に従って実演データをダイジェストデータとして抽出してもよい。複数の歌唱区間に時系列的に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出する場合には、各実演データを繋げる際に、フェードイン、フェードアウト等の処理を施すことが好ましい。
【0055】
実演データを閲覧することができる利用者は、インターネット等の通信ネットワーク12cを介して、パーソナルコンピュータ15を実演収録サーバ14に接続し、各実演データのダイジェストを閲覧することにより、所望の実演データを効率よく探し出すことができる。
【0056】
<他の実施形態>
本発明のダイジェストデータ抽出システム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、ダイジェストデータ抽出システム及びカラオケシステムの利用目的等に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
また、カラオケ演奏端末11とホスト装置13とを接続してネットワークカラオケシステムを構築するのではなく、ホスト装置13を有しないローカルなシステムとしてもよい。さらに、ホスト装置13と実演収録サーバ14とを統合して一つのサーバとして構築することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係るダイジェストデータ抽出システムを組み込んだカラオケシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係るダイジェストデータ抽出システムを適用するカラオケ演奏端末の構成を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態に係るダイジェストデータの抽出手順の概要を示す説明図。
【図4】第2の実施形態に係るダイジェストデータの抽出手順の概要を示す説明図。
【符号の説明】
【0058】
11 カラオケ演奏端末
12a、12b、12c 通信ネットワーク
13 ホスト装置
14 実演収録サーバ
15 パーソナルコンピュータ
21 カラオケ本体
22 遠隔入出力端末
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
23 ミキシングアンプ
24 スピーカ
25 表示手段
31 握力検出手段
31a 圧力検出部
32 実演データ取得手段
32a マイクロホン
32b ビデオカメラ
41 送受信部
42 制御手段
43 データ処理手段
44 握力検出値記憶手段
45 実演データ収録手段
46 ダイジェストデータ抽出手段
47 握力検出値記憶部
48 実演データ収録部
51 バス
52、53 ネットワーク送受信手段
54 中央制御手段
55 ROM
56 RAM
56a 予約待ち行列
57 HDD
57a 楽曲データベース
57b 映像データベース
57c 握力検出値一時記憶部
57d 実演データ一時収録部
58 ローカル送受信手段
59 予約管理手段
60 音楽曲出力手段
61 A/Dコンバータ
62 外部入力インターフェース
63 ビデオ入力インターフェース
64 再生制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ実演収録データからダイジェストデータを抽出するためのシステムであって、
握力検出手段と、握力検出値記憶手段と、実演データ取得手段と、実演データ収録手段と、ダイジェストデータ抽出手段と、を備え、
前記握力検出手段は、マイクロホンのグリップ部に設けられた圧力検出部からの測定値に基づき、当該マイクロホンを使用する利用者の握力を検出し、
前記握力検出値記憶手段は、任意の楽曲が演奏された際に、前記握力検出手段における握力検出値を、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、握力検出値記憶部に記憶させ、
前記実演データ取得手段は、少なくとも利用者の歌唱音声を実演データとして取得し、
前記実演データ収録手段は、任意の楽曲が演奏された際に、前記実演データ取得手段により取得した実演データを、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、実演データ収録部に収録させ、
前記ダイジェストデータ抽出手段は、前記実演データ収録部に収録された任意の楽曲の実演データについて、当該楽曲の歌唱区間と非歌唱区間とを時系列に対応付けると共に、前記握力検出値記憶部に記憶された握力検出値を参照し、握力検出値が上位である所定数の歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出する、
ことを特徴とするカラオケ実演収録データからのダイジェストデータ抽出システム。
【請求項2】
カラオケ実演収録データからダイジェストデータを抽出するためのシステムであって、
握力検出手段と、握力検出値記憶手段と、実演データ取得手段と、実演データ収録手段と、ダイジェストデータ抽出手段と、を備え、
前記握力検出手段は、マイクロホンのグリップ部に設けられた圧力検出部からの測定値に基づき、当該マイクロホンを使用する利用者の握力を検出し、
前記握力検出値記憶手段は、任意の楽曲が演奏された際に、前記握力検出手段における握力検出値を、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、握力検出値記憶部に記憶させ、
前記実演データ取得手段は、少なくとも利用者の歌唱音声を実演データとして取得し、
前記実演データ収録手段は、任意の楽曲が演奏された際に、前記実演データ取得手段により取得した実演データを、当該楽曲の演奏開始からの時系列に対応付けて、実演データ収録部に収録させ、
前記ダイジェストデータ抽出手段は、前記実演データ収録部に収録された任意の楽曲の実演データについて、当該楽曲の歌唱区間と非歌唱区間とを時系列に対応付けると共に、前記握力検出値記憶部に記憶された握力検出値を参照し、任意の歌唱区間における握力検出値と、前後の歌唱区間における握力検出値の平均値とを比較し、握力検出値の増加分が相対的に高い歌唱区間を判別し、当該歌唱区間に時系列に対応する実演データをダイジェストデータとして抽出する、
ことを特徴とするカラオケ実演収録データからのダイジェストデータ抽出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−244764(P2009−244764A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93665(P2008−93665)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】