説明

カラオケ演奏出力システム

【課題】 利用者毎に嗜好が異なる歌唱音声及び演奏音楽の出力条件について、その設定変更の手間を省くことにより、カラオケ楽曲の歌唱に専念することができるようにする。
【解決手段】 カラオケ演奏端末を利用する利用者を特定して、利用者管理テーブルにて管理する利用者管理手段37と、特定された任意の利用者が任意に設定した出力条件を利用者別出力条件設定データベース54にて管理する利用者別出力条件管理手段38と、利用者別出力条件について、有効化するか否かを利用者毎に設定する利用者別出力条件有効化設定手段39と、利用者別出力条件が有効化されている場合には、設定された利用者別出力条件を選択し、有効化されていない場合には、デフォルトの出力条件を選択する出力条件選択手段40と、選択された出力条件に従って、歌唱音声及び演奏音楽を出力させる出力制御手段43と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め利用者の嗜好に応じて設定された歌唱音声及び演奏音楽の出力条件に従って、カラオケ演奏を行うことが可能なカラオケ演奏出力システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在普及しているカラオケ演奏装置は、マイクボリューム、エコーレベル、ミュージックボリューム、テンポ等の種々の出力条件を、利用者の好みに合わせて設定することができるようになっている。出力条件の設定は、選曲予約時あるいは楽曲の演奏が開始された後に行われる。例えば、デフォルト値に対する音程(キー)を設定して選曲予約を行うことができ、演奏開始後には、各種のボリュームやテンポを設定することができる。
【0003】
このようにして設定された出力条件は、各利用者の好みに合わせたものであり、必ずしも他の利用者の好みにあったものとは言えない場合がある。そこで、従来のカラオケ演奏装置では、各利用者が自らの好みに応じて設定した出力条件をデフォルトの状態に戻すための技術が開発されている。なお、一般的なカラオケ装置において、音程(キー)の設定は楽曲毎に予めデフォルト値が決まっており、利用者が何ら操作を行わない状態では、デフォルト設定の音程(キー)が使用されるようになっている。
【0004】
利用者により設定変更された演奏条件(出力条件)をデフォルト設定に戻す技術として、例えば、特許文献1には、利用者毎に所望が異なる演奏条件については楽曲の演奏開始時あるいは終了時に初期化し、頻繁に変更することがない演奏条件については初期化しないようにすることが可能なカラオケ演奏装置に関する技術が開示されている。この特許文献1に記載された技術は、種々の演奏条件を設定するための演奏条件設定手段と、種々の演奏条件に従って楽曲の再生を行う再生手段と、種々の演奏条件を初期化するか否かを、それぞれの演奏条件に関して設定する初期化設定手段と、初期化設定手段の設定に基づいて、一曲の楽曲の再生開始時あるいは終了時に演奏条件の初期化を行う初期化手段と、を備えることにより、演奏条件に関する設定の手間を省くことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3092354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したように、出力条件に関する設定は、利用者毎に異なることが一般的であり、そのために、マイクボリューム、エコーレベル、ミュージックボリューム、テンポ等の種々の出力条件を、利用者の好みに合わせて設定することができるようになっている。そこで、利用者が歌唱を行う都度、複数ある出力条件をいちいち設定するのは面倒であり、設定の手間を省こうとしたのが、特許文献1に記載された技術である。
【0007】
しかし、利用者の好みは多種多様であり、出力条件に関する設定は利用者毎に異なるのが当然とも言える。したがって、特許文献1に記載された技術のように、出力条件について頻繁に変更されるか否かを判断して初期化設定を行ったとしても、すべての利用者の好みを満足させることはできないのが現状である。
【0008】
このような利用者毎の出力条件に関する好みは、すべての楽曲について共通の場合もあるが、特定の楽曲や特定のジャンルについては、通常の設定とは異なるものとしたい場合もある。この点についても、従来の技術では解決することができなかった。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、利用者毎に嗜好が異なる出力条件について、その設定変更の手間を省くことにより、カラオケ楽曲の歌唱に専念することができるカラオケ演奏出力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカラオケ演奏出力システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明のカラオケ演奏出力システムは、予め利用者の嗜好に応じて設定された歌唱音声及び演奏音楽の出力条件に従ってカラオケ演奏を行うことが可能なカラオケ演奏出力システムであって、利用者管理手段と、利用者別出力条件管理手段と、利用者別出力条件有効化設定手段と、出力条件選択手段と、出力制御手段と、を備たことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、利用者管理手段は、カラオケ演奏端末を利用する利用者を特定して、利用者管理テーブルにて管理するための手段である。利用者別出力条件管理手段は、特定された任意の利用者が任意に設定した出力条件を利用者別出力条件設定データベースにて管理するための手段である。利用者別出力条件有効化設定手段は、利用者別出力条件設定データベースにて管理されている任意の利用者の利用者別出力条件を有効化するか否かを利用者毎に設定するための手段である。出力条件選択手段は、任意の利用者が選曲した楽曲が演奏される際に、利用者別出力条件を有効化する設定がなされている場合には、設定された利用者別出力条件を選択し、利用者別出力条件を有効化する設定がなされていない場合には、デフォルトの出力条件を選択するための手段である。出力制御手段は、選択された出力条件に従って、歌唱音声及び演奏音楽を出力させるための手段である。
【0012】
このような構成からなるカラオケ演奏出力システムでは、利用者管理手段により、ID媒体等から取得された利用者IDに基づき利用者を特定して管理する。また、利用者別出力条件管理手段により、各利用者が所望する出力条件を利用者別に管理する。さらに、利用者別出力条件有効化設定手段により、各利用者に対応して管理されている出力条件を有効化するか否かを利用者毎に設定する。そして、出力条件選択手段により、利用者別の出力条件あるいはデフォルトの出力条件が選択され、出力制御手段により、選択された出力条件に従って、歌唱音声及び演奏音楽を出力させる。なお、出力条件とは、例えば、マイクボリューム、エコーレベル、ミュージックボリューム、テンポ、音程(キー)、高音及び低音のバランス等のことである。
【0013】
また、上述した構成に加えて、利用者別出力条件は、楽曲毎、あるいは所定のカテゴリに応じて分類された楽曲のジャンル毎に個別に設定可能であり、利用者別出力条件有効化設定手段は、楽曲毎あるいはジャンル毎の個別設定を有効化するか否かを楽曲毎あるいはジャンル毎に設定可能とすることが好ましい。
【0014】
このような構成からなるカラオケ演奏出力システムでは、楽曲毎あるいはジャンル毎に設定された出力条件を用いて楽曲の演奏が行われる。例えば、自らが得意とする楽曲については、マイクボリュームを大きく設定する一方、得意ではない楽曲についてはミュージックボリュームを大きく設定する。また、演歌についてはエコーレベルを大きく設定し、J−POPについては、低音及び高音を強調するように設定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のカラオケ演奏出力システムでは、各利用者の嗜好に応じた出力条件の設定を利用者別に管理するとともに、利用者毎に出力条件の設定を有効化するか否かを設定することができる。したがって、利用者毎に設定された出力条件を有効化した場合には、カラオケ楽曲の歌唱に際して、いちいち、各利用者の嗜好を反映した出力条件の設定を行う必要がないため、利用者は歌唱に専念することができ、さらに、演奏は利用者の嗜好に応じたものであるため、カラオケ演奏装置を用いた歌唱の楽しさを十分に味わうことができる。
【0016】
また、マイクボリューム、エコーレベル、ミュージックボリューム、テンポ、音程(キー)、高音及び低音のバランス等に関する嗜好は、楽曲毎、あるいはジャンル毎に異なるのが一般的である。そこで、楽曲毎、あるいはジャンル毎に出力条件を設定変更可能とした場合には、歌唱を行う利用者の嗜好に対して、さらに好適に対応したカラオケ演奏を行うことが可能となる。一方、デフォルトの設定でかまわない楽曲あるいはジャンルの場合には、楽曲毎、あるいはジャンル毎に設定された出力条件を有効化させなければよく、利用者の所望をより一層適切に反映したカラオケ演奏を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケ演奏出力システムを含むカラオケシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係るカラオケ演奏出力システムを適用するカラオケ演奏端末の概略構成を示すブロック図。
【図3】利用者別出力条件設定データベースの構成を示す説明図。
【図4】利用者別有効化フラグ設定テーブルの構成を示す説明図。
【図5】本発明の実施形態に係るカラオケ演奏出力システムにおける出力条件の選択を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施形態に係るカラオケ演奏端末における選曲画面の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<基本構成>
以下、図面を参照して、本発明のカラオケ演奏出力システムの実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係るカラオケ演奏出力システムを含むカラオケシステムの概略構成を示すブロック図、図2は本発明の実施形態に係るカラオケ演奏出力システムを適用するカラオケ演奏端末の概略構成を示すブロック図である。また、図3は利用者別出力条件設定データベースの構成を示す説明図、図4は利用者別有効化フラグ設定テーブルの構成を示す説明図である。
【0019】
本発明の実施形態に係るカラオケ演奏出力システムを含むカラオケシステムは、図1に示すように、通信ネットワーク12を介して相互に接続されたホスト装置11と複数のカラオケ演奏端末10と、を備えている。通信ネットワーク12は、公衆電話回線、専用電話回線、光通信回線、LAN等を用いることができるが、ネットワークに対する第三者の侵入やデータの傍聴及び改竄が困難であるとともに、帯域を独占せずに安価な通信網であるという点で、インターネットにより構成されるVPNを利用することが好ましい。
【0020】
<ホスト装置>
ホスト装置11は、図1に示すように、制御手段51、データ処理手段52、顧客データベース53、利用者別出力条件設定データベース54、送受信部55を備えている。
【0021】
<制御手段/送受信部>
制御手段51は、ホスト装置11を統括的に制御するための手段であり、CPU及びその周辺機器を含んで構成され、CPU等がROM等に格納されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより制御機能を発揮するようになっている。送受信部55は、各カラオケ演奏端末10との間でデータの送受信を行うための手段であり、通信ネットワーク12における通信方式の整合性を保つための通信回路やソフトウェアにより構成される。
【0022】
<データ処理手段/顧客データベース>
データ処理手段52は、顧客データベース53及び利用者別出力条件設定データベース54にアクセスして、データの抽出、変更、追加を処理するためのプログラムからなる。顧客データベース53は、利用者毎に利用者情報が登録されたデータベースである。この顧客データベース53は、図示しないが、利用者毎に、利用者ID、氏名、セカンドネーム(例えば愛称)、住所、生年月日、性別、職業等が関連付けて構成されている。
【0023】
<利用者別出力条件設定データベース>
利用者別出力条件設定データベース54は、利用者別出力条件管理手段38により管理されるデータベースであり、図3に示すように、利用者IDと、各利用者が個別に設定した出力条件とを紐付けして構成されている。図3に示す例では、マイクボリューム、エコーレベル、ミュージックボリューム、テンポ、音程(キー)、高音及び低音のバランス、コーラスパターンが出力条件となっているが、出力条件は、これらに限られず、どのような条件を設定対象としてもよい。また、出力条件の設定として、共通設定、ジャンル毎設定、楽曲毎設定を行うことができるようになっているが、いずれか1つ以上の出力条件を設定できればよい。
<カラオケ演奏端末>
本発明の実施形態に係るカラオケ演奏端末10は、図2に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、スピーカ23、マイクロホン24、ディスプレイ装置25、ミキシングアンプ26、エフェクタ27を備えている。
【0024】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、中央制御手段31、ROM32、RAM33、HDD34、ネットワーク送受信手段35、ローカル送受信手段36、利用者管理手段37、利用者別出力条件管理手段38、利用者別出力条件有効化設定手段39、出力条件選択手段40、予約管理手段41、音楽再生制御手段42、出力制御手段43、映像再生制御手段44を備えている。
【0025】
<中央制御手段>
中央制御手段31は、カラオケ本体21を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM32等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0026】
<ROM/RAM>
ROM32は、カラオケ本体21を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM33は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM33を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM33を構成してもよい。本実施形態では、RAM33に、予約待ち行列33a、利用者管理テーブル33b、利用者別出力条件設定データ33c、利用者別有効化フラグ設定テーブル33dが記憶されるようになっている。
【0027】
予約待ち行列33aは、予約管理手段41により管理されるデータである。利用者管理テーブル33bは、利用者管理手段37により管理されるデータテーブルである。利用者別出力条件設定データ33cは、カラオケ演奏端末10がホスト装置11との間で通信を行い、利用者別出力条件設定データベース54から受信したデータである。利用者別有効化フラグ設定テーブル33dは、利用者別出力条件有効化設定手段39により作成されるデータテーブルである。
【0028】
<HDD>
HDD34は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース34a及び映像データベース34bが格納されている。なお、HDD34に替えて、あるいはHDD34とともに、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0029】
楽曲データベース34aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。映像データベース34bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0030】
<送受信手段>
ネットワーク送受信手段35は、ホスト装置11とカラオケ本体21との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。また、ローカル送受信手段36は、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間でデータの送受信が行われる。
【0031】
<利用者管理手段>
利用者管理手段37は、カラオケ演奏端末10を利用する利用者を特定して、利用者管理テーブル33bにて管理するためのプログラムからなる。すなわち、利用者管理手段37では、カードリーダ22cにより利用者IDが取得された場合に、この利用者IDに基づいて利用者を特定し、利用者管理テーブル33bを作成して管理する。この際、顧客データベース53から当該利用者の属性情報等を取得し、利用者管理テーブル33bの構成データとしてもよい。取得した利用者IDは、選曲予約や利用者別出力条件を設定する際に利用される。
【0032】
なお、ホスト装置11において、顧客データベース53に登録されていない利用者については、仮の利用者IDを発行するとともに、この利用者IDに紐付けして、利用者属性情報を入力するような構成としてもよい。利用者属性情報の入力は、例えばカラオケリモコン装置22の入力機能を用いて行われる。
【0033】
<利用者管理テーブル>
利用者管理テーブル33bは、利用者管理手段37により管理されるデータテーブルであり、図示しないが、例えば、カードリーダ22cで取得した利用者IDと、顧客データベース53から取得した当該利用者の属性情報とを紐付けしたデータ構造を有している。
【0034】
<利用者別出力条件管理手段>
利用者別出力条件管理手段38は、利用者IDにより特定された任意の利用者が任意に設定した出力条件を利用者別出力条件設定データベース54にて管理するためのプログラムからなる。例えば、任意の利用者が、カラオケリモコン装置22の入出力インターフェースを用いて、出力条件であるマイクボリューム、エコーレベル、ミュージックボリューム、テンポ、音程(キー)、高音及び低音のバランス、コーラスパターンについて、自らの嗜好に応じた設定を行うと、利用者別出力条件管理手段38の機能により、当該設定された出力条件に基づいて利用者別出力条件設定データベース54を作成する。この際、各項目の出力条件として、デフォルト値を選択することができる。デフォルト値とは、例えば、各項目について中間値(図3に示す例では、プラスマイナス「0」)を採用した出力条件のことである。
【0035】
なお、利用者別に設定可能な出力条件は、上述したものに限られず、他の出力条件についても設定可能としてもよい。また、本実施形態では、ホスト装置11に利用者別出力条件設定データベース54が格納されているため、各利用者は、ホスト装置11にネットワーク接続されたカラオケ演奏端末10であれば、どのカラオケ演奏端末10においても、自らの利用者別出力条件データを変更し、あるいは読み出すことができる。
【0036】
また、利用者別出力条件は、すべての楽曲に対して共通に設定することができるが、この共通設定に加えて、楽曲毎あるいは所定のカテゴリに応じて分類された楽曲のジャンル毎に個別に設定可能としてもよい。図3に示す例では、利用者aについて、J−POPと、楽曲ID「****25」の楽曲について、共通設定とは別に個別設定がなされている。なお、楽曲のジャンルとは、演歌、J−POP、アニメソング、応援歌、韓国曲、中国曲、フォークソング等のように、楽曲を特徴付けるカテゴリのことである。
【0037】
<利用者別出力条件有効化設定手段>
利用者別出力条件有効化設定手段39は、利用者別出力条件設定データベース54にて管理されている任意の利用者の利用者別出力条件を有効化するか否かを利用者毎に設定するためのプログラムからなる。例えば、任意の利用者が、カラオケリモコン装置22の入出力インターフェースを用いて、利用者別出力条件設定データベース54にて管理されている自らの利用者別出力条件について、これを有効化するか否かの設定を行うと、利用者別出力条件有効化設定手段39の機能により、当該設定に基づき、利用者別有効化フラグ設定テーブル33dを作成する。なお、利用者別有効化フラグ設定テーブル33dは、利用者が当該カラオケ演奏端末10にログインする毎に作成してもよいし、予めホスト装置11の記憶領域に格納しておき、これを読み出して使用してもよい。さらに、利用者別出力条件を有効化する否かの初期設定は、予めいずれか一方に設定しておいてもよいし、利用者が最後に設定したものを使用してもよい。
【0038】
また、利用者別出力条件を有効化するか否かは、共通設定についてだけではなく、楽曲毎及びジャンル毎に設定可能とすることができる。図4に示す例では、利用者aについて、共通設定及び楽曲ID「****25」の楽曲について有効化フラグがセットされており、J−POPについて有効化フラグがセットされていないため、共通設定及び楽曲ID「****25」の楽曲に関する利用者別出力条件が有効化され、J−POPに関する利用者別出力条件が無効化される。なお、出力条件の設定は、楽曲毎設定、ジャンル毎設定、共通設定の順に優先される。図4に示す例では、利用者aについて、J−POPに関する利用者別出力条件は無効であるが、共通設定は有効であるため、J−POPについては、共通設定が用いられる。
【0039】
<出力条件選択手段>
出力条件選択手段40は、任意の利用者が選曲した楽曲が演奏される際に、利用者別出力条件を有効化する設定がなされている場合には、設定された利用者別出力条件を選択し、利用者別出力条件を有効化する設定がなされていない場合には、デフォルトの出力条件を選択するためのプログラムからなる。例えば、図4に示すような利用者別有効化フラグ設定テーブル33dが作成されている場合には、利用者ID「****a」の利用者aについて、楽曲ID「****25」の楽曲では当該楽曲について設定された利用者別出力条件を選択し、他の楽曲については共通設定された利用者別出力条件を選択する。なお、J−POPの利用者別出力条件が無効化されているが共通設定は有効化されているため、J−POPについては共通設定が選択される。
【0040】
<出力制御手段>
出力制御手段43は、出力条件選択手段40により選択された出力条件に従って、歌唱音声及び演奏音楽を出力させるためのプログラムからなる。すなわち、出力制御手段43は、バスラインを通して音楽再生制御手段42に対する出力条件設定信号を送出するとともに、エフェクタ27に対して直接、出力条件設定信号を送出することにより、当該出力条件に従った歌唱音声及び演奏音楽を出力させる。
【0041】
<予約管理手段>
予約管理手段41は、利用者により楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲され、ローカル送受信手段36を介して受信した楽曲IDを、選曲順に演奏予約待ち行列33aとしてRAM33に格納し、管理するためのプログラムからなる。
【0042】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段42は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース34aから抽出された演奏データをデジタル再生するとともにアナログ変換してミキシングアンプ26に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ26は、マイクロホン24からエフェクタ27を介して入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段42から送出される演奏音声信号とをミキシングするとともに、アンプ機能により増幅してスピーカ23より出力させるための装置である。
【0043】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段44は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース34bから抽出した映像データ及び楽曲データベース34aから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させてディスプレイ装置25に出力するための電子回路である。
【0044】
<ディスプレイ装置>
ディスプレイ装置25は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0045】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21のローカル送受信手段36に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置22は、楽曲検索手段22aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース22b、カードリーダ22cとして機能するプログラム及び機器、データの送受信を行うための電子回路及びプログラム、フラッシュメモリ等からなる記憶手段(図示せず)を備えている。
【0046】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段22aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース22bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース22bは、カラオケ演奏端末10で演奏に供されるカラオケ楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【0047】
<カードリーダ>
カードリーダ22cは、任意の利用者がカラオケ演奏端末10を利用する際に、当該利用者の利用者IDを取得するための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、利用者がカラオケ演奏端末10を利用する際に、利用者が所持するID媒体28から利用者IDを取得するようになっている。カードリーダ22cで取得した利用者IDは、RAM33において利用者管理テーブル33bとして記憶され、利用者管理手段37にて管理される。ID媒体28は、例えば非接触型の、IDカード、携帯電話、携帯情報端末等からなり、利用者IDを記憶して、カードリーダ22cとの間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
【0048】
<利用者別の出力条件の選択>
図5は、本発明の実施形態に係るカラオケ演奏出力システムにおける出力条件の選択を示すフローチャートである。また、図6は、選曲画面の模式図である。
本発明の実施形態に係るカラオケ演奏出力システムにおいて出力条件を選択するには、図5に示すように、まず初めに、利用者IDを取得して利用者を特定し(S1)、取得した利用者IDに基づいて、利用者別出力条件設定データベース54から当該利用者の出力条件設定データを取得する(S2)。なお、本実施形態では、利用者別出力条件設定データベース54から取得した利用者別出力条件設定データ33cは、RAM33に記憶される。
【0049】
続いて、利用者別出力条件設定データ33cについて、設定を有効化するか否かを表す利用者別有効化フラグ設定テーブル33dを作成する(S3)。本実施形態では、利用者別有効化フラグ設定テーブル33dは、RAM33に記憶される。なお、利用者別有効化フラグ設定テーブル33dを予めホスト装置11の記憶領域に格納しておき、これを読み出して使用してもよい。
【0050】
そして、利用者別出力条件設定データ33cを取得した利用者の予約楽曲の演奏か否かを判断する(S4)。ここで、利用者別出力条件設定データ33cを取得した利用者の予約楽曲の演奏である場合には、利用者別有効化フラグ設定テーブル33dにおいて有効化フラグがセットされているか否かを判断する(S5)。そして、有効化フラグがセットされている場合には、当該利用者の利用者別出力条件を採用する(S6)。一方、有効化フラグがセットされていない場合には、デフォルトの出力条件を採用する(S7)。続いて、採用された出力条件に従い楽曲の演奏を行う(S8)。
【0051】
また、楽曲毎及びジャンル毎に出力条件が設定されるとともに、出力条件を有効化するか否かが設定されている場合には、利用者が歌唱する楽曲について、楽曲毎あるいはジャンル毎に出力条件の有効化フラグの判断を行い、当該利用者の利用者別出力条件を採用するか、あるいはデフォルトの出力条件を採用するかを選択する。
【0052】
例えば、図4に示すような利用者別有効化フラグ設定テーブル33dが設定されており、利用者ID「****a」の利用者aが歌唱を行う場合には、楽曲ID「****25」の楽曲では当該楽曲について設定された利用者別出力条件が選択される。そして、他の楽曲については共通設定された利用者別出力条件が選択される。なお、上述したように、J−POPについて利用者別出力条件が無効化されているが共通設定は有効化されているため、J−POPについては共通設定が選択される。利用者aが選曲を行う場合には、例えば、カラオケリモコン装置22において、図6に示すような選曲画面が表示される。
【0053】
また、利用者ID「****b」の利用者bが歌唱を行う場合には、すべての利用者別出力条件が無効化されているため、デフォルトの出力条件が採用される。また、利用者別出力条件設定データベース54に設定がない利用者については、デフォルトの出力条件が採用される。デフォルトの出力条件とは、例えば、すべての項目について中間値を採用した出力条件である。
【0054】
<他の実施形態>
本発明のカラオケ演奏出力システム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【0055】
また、各カラオケ演奏端末10の構成要素としているが、ホスト装置11において一括管理することができる手段等(例えば、利用者別出力条件管理手段38、利用者別出力条件有効化設定手段39)については、ホスト装置11の構成要素としてもよい。さらに、ホスト装置11と複数のカラオケ演奏端末10とをネットワーク接続し、ホスト装置11において顧客情報を管理する構成となっているが、カラオケ演奏装置をスタンドアロンで運用し、顧客情報の管理及び利用者別出力条件の設定管理は、各カラオケ演奏装置で行うような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 カラオケ演奏端末
11 ホスト装置
12 通信ネットワーク
21 カラオケ本体
22 カラオケリモコン装置
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
22c カードリーダ
23 スピーカ
24 マイクロホン
25 ディスプレイ装置
26 ミキシングアンプ
27 エフェクタ
28 ID媒体
31 中央制御手段
32 ROM
33 RAM
33a 予約待ち行列
33b 利用者管理テーブル
33c 利用者別出力条件設定データ
33d 利用者別有効化フラグ設定テーブル
34 HDD
34a 楽曲データベース
34b 映像データベース
35 ネットワーク送受信手段
36 ローカル送受信手段
37 利用者管理手段
38 利用者別出力条件管理手段
39 利用者別出力条件有効化設定手段
40 出力条件選択手段
41 予約管理手段
42 音楽再生制御手段
43 出力制御手段
44 映像再生制御手段
51 制御手段
52 データ処理手段
53 顧客データベース
54 利用者別出力条件設定データベース
55 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ演奏端末において、予め利用者の嗜好に応じて設定された歌唱音声及び演奏音楽の出力条件に従ってカラオケ演奏を行うことが可能なカラオケ演奏出力システムであって、
利用者管理手段と、利用者別出力条件管理手段と、利用者別出力条件有効化設定手段と、出力条件選択手段と、出力制御手段と、を備え、
前記利用者管理手段は、前記カラオケ演奏端末を利用する利用者を特定して、利用者管理テーブルにて管理し、
前記利用者別出力条件管理手段は、前記特定された任意の利用者が任意に設定した出力条件を利用者別出力条件設定データベースにて管理し、
前記利用者別出力条件有効化設定手段は、前記利用者別出力条件設定データベースにて管理されている任意の利用者の利用者別出力条件を有効化するか否かを利用者毎に設定し、
前記出力条件選択手段は、任意の利用者が選曲した楽曲が演奏される際に、前記利用者別出力条件を有効化する設定がなされている場合には、設定された利用者別出力条件を選択し、前記利用者別出力条件を有効化する設定がなされていない場合には、デフォルトの出力条件を選択し、
前記出力制御手段は、前記選択された出力条件に従って、歌唱音声及び演奏音楽を出力させる、
ことを特徴とするカラオケ演奏出力システム。
【請求項2】
前記利用者別出力条件は、楽曲毎に個別に設定可能であり、
前記利用者別出力条件有効化設定手段は、前記楽曲毎の個別設定を有効化するか否かを楽曲毎に設定可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のカラオケ演奏出力システム。
【請求項3】
前記利用者別出力条件は、所定のカテゴリに応じて分類された楽曲のジャンル毎に個別に設定可能であり、
前記利用者別出力条件有効化設定手段は、前記ジャンル毎の個別設定を有効化するか否かをジャンル毎に設定可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のカラオケ演奏出力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−95584(P2011−95584A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250546(P2009−250546)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】