説明

カラオケ装置および認証システム

【課題】ある登録済ユーザに対応する楽曲のパラメータが変更されている場合であっても、その楽曲に基づくユーザの認証を正しく行えるようにする。
【解決手段】あるユーザに対応づけられた楽曲データで示される楽曲のパラメータが変更されていたとしても、端末装置2から再生出力された楽曲に基づくユーザの認証に先立って、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲それぞれのパラメータが元に戻される(s530)。その結果、端末装置2からユーザに対応する楽曲を再生出力させた場合に、この楽曲が、パラメータの変更されていない状態の同一楽曲と比較されることとなるため、ユーザの認証を正しく行えるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲再生装置から再生出力される楽曲に基づくユーザの認証機能を有するカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、楽曲再生装置(携帯端末)から再生出力される楽曲を入力し、この楽曲が登録済ユーザ(チケット情報に対応する楽曲)のものであるかを判定することにより、この楽曲再生装置のユーザを認証する認証装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4501953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、認証装置としては、カラオケ装置などのように、再生出力する楽曲毎にパラメータ(例えば、音程を設定する音高キー値(以下、キー)や、再生速度を設定するテンポ値(以下、テンポ)など)を設定変更する機能が備えられた装置への実装が考えられるところ、この機能に基づいて、ある登録済ユーザに対応づけられた楽曲のパラメータが変更されていると、楽曲再生装置から登録済ユーザに対応する楽曲を再生出力させたにも拘わらず、この楽曲が、パラメータの変更された状態の同一楽曲と比較される結果、登録済ユーザに対応する楽曲ではないと判定してしまい、ユーザを正しく認証できなくなる恐れがある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ある登録済ユーザに対応する楽曲のパラメータが変更されている場合であっても、その楽曲に基づくユーザの認証を正しく行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため第1の構成(請求項1)は、外部からの指令を受けて、記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲それぞれに対し、該楽曲を再生出力させる際のパラメータを変更可能なパラメータ変更手段と、前記記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲を、該楽曲について前記パラメータ変更手段により変更されたパラメータに従ってスピーカから再生出力させる楽曲再生手段と、所定の楽曲再生装置から再生出力された楽曲を入力する楽曲入力手段と、前記楽曲入力手段により入力された楽曲を、前記記憶部に記憶された楽曲データのうち、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲それぞれと比較し、所定のしきい値以上の類似度となった楽曲を示す楽曲データに対応づけられたユーザが、前記入力された楽曲を再生出力した前記楽曲再生装置のユーザであるとして認証を行う楽曲認証手段と、前記楽曲認証手段による比較に先立ち、前記記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲のうち、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲それぞれについて、前記パラメータ変更手段により変更されているパラメータを元に戻すことにより、該楽曲それぞれのパラメータを前記楽曲入力手段により入力された楽曲と整合させるパラメータ整合手段と、を備えている。
【0007】
そして、前記楽曲認証手段は、前記楽曲入力手段により入力された楽曲を、前記パラメータ整合手段によりパラメータが整合させられた楽曲と比較することにより、ユーザの認証を行う。
【0008】
この構成に係るカラオケ装置であれば、あるユーザに対応づけられた楽曲データで示される楽曲のパラメータが変更されていたとしても、楽曲再生装置から再生出力された楽曲に基づくユーザの認証に先立って、上記楽曲データで示される楽曲それぞれのパラメータが元に戻される。その結果、楽曲再生装置からユーザに対応する楽曲を再生出力させた場合に、この楽曲が、パラメータの変更されていない状態の同一楽曲と比較されることとなるため、ユーザの認証を正しく行えるようになる。
【0009】
この構成において、楽曲再生装置側で変更される「楽曲を再生出力させる際のパラメータ」とは、例えば、再生出力する楽曲のキー(変更前の楽曲を基準とした音程の高低度合い)、テンポ(時間方向の長さ)、音声レベル、帯域などのパラメータのことである。
【0010】
また、上記構成において、ユーザの認証は、楽曲再生装置から再生出力された楽曲における周波数やレベルなどの成分波形を、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲における成分波形それぞれと比較することで行うこととすればよい。
【0011】
具体的には、前者の楽曲を楽曲データとして記憶したうえで、この楽曲における成分波形を、後者の楽曲における成分波形それぞれと比較することとしてもよいし、前者の楽曲が入力されるタイミングに合わせ、この楽曲における成分波形を、後者の楽曲における成分波形それぞれとリアルタイムに比較することとしてもよい。
【0012】
ここで、前者の楽曲が入力されるタイミングに合わせて、この楽曲における成分波形を、後者の楽曲における成分波形それぞれとリアルタイムに比較する場合には、カラオケ装置側で後者の楽曲それぞれを再生出力することが考えられるが、この場合、後者の楽曲それぞれが楽曲再生装置による楽曲と同時に出力されることになるため、このことが楽曲再生装置のユーザに違和感を与えてしまう恐れがある。
【0013】
そのため、このような場合には、カラオケ装置側で後者の楽曲それぞれが出力されないようにすることが望ましく、そのための構成としては、上記構成を以下に示す第2の構成(請求項2)のようにするとよい。
【0014】
第2の構成において、前記楽曲再生手段は、前記楽曲入力手段により楽曲が入力された場合、前記パラメータ整合手段によりパラメータが整合させられた楽曲それぞれをスピーカから出力させることなく再生させて、前記楽曲認証手段は、前記楽曲入力手段により入力された楽曲を、前記楽曲再生手段によりパラメータが整合させられた状態で再生される楽曲それぞれと比較し、所定のしきい値以上の類似度となった楽曲を示す楽曲データに対応づけられたユーザが、前記入力された楽曲を再生出力した前記楽曲再生装置のユーザであるとして認証を行う。
【0015】
この構成であれば、楽曲再生装置から再生出力された楽曲を、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲それぞれと比較するに際し、後者の楽曲それぞれが楽曲再生装置による楽曲と同時に出力されることがなくなるため、楽曲再生装置のユーザに違和感を与えてしまうことを防止できる。
【0016】
なお、上記課題を解決するためには、上記各構成要素における各手段と同様の手順を各構成要素に実施させるプログラムとすることも考えられ、このプログラムを実行する構成要素それぞれは、上記各構成と同様の作用、効果を得ることができる。
【0017】
このプログラムは、コンピュータシステムによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものであって、各種記録媒体や通信回線を介してカラオケ装置や、これを利用するユーザ等に提供されるものとすればよい。
【0018】
また、上記課題を解決するため第3の構成(請求項3)は、楽曲を再生可能な楽曲再生装置と、該楽曲再生装置のユーザ認証機能を有するカラオケ装置と、からなる認証システムである。
【0019】
前記楽曲再生装置は、当該楽曲再生装置の備える記憶部に記憶された楽曲データに基づき、該楽曲データで示される楽曲をスピーカから再生出力させる楽曲出力手段、を備えている。
【0020】
一方、前記カラオケ装置は、外部からの指令を受けて、記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲それぞれに対し、該楽曲を再生出力させる際のパラメータを変更可能なパラメータ変更手段と、前記記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲を、該楽曲について前記パラメータ変更手段により変更されたパラメータに従ってスピーカから再生出力させる楽曲再生手段と、所定の楽曲再生装置から再生出力された楽曲を入力する楽曲入力手段と、前記楽曲入力手段により入力された楽曲を、前記記憶部に記憶された楽曲データのうち、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲それぞれと比較し、所定のしきい値以上の類似度となった楽曲を示す楽曲データに対応づけられたユーザが、前記入力された楽曲を再生出力した前記楽曲再生装置のユーザであるとして認証を行う楽曲認証手段と、前記楽曲認証手段による比較に先立ち、前記記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲のうち、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲それぞれについて、前記パラメータ変更手段により変更されているパラメータを元に戻すことにより、該楽曲それぞれのパラメータを前記楽曲入力手段により入力された楽曲と整合させるパラメータ整合手段と、を備えている。そして、前記楽曲入力手段により入力された楽曲と、前記パラメータ整合手段によりパラメータが整合させられた楽曲との比較により、前記楽曲認証手段によるユーザの認証が行われる。
【0021】
この構成に係る認証システムによれば、上記各構成に係るカラオケ装置と同様の作用、効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】認証システムの全体構成を示すブロック図
【図2】認証システムによる処理手順を示す図
【図3】ユーザ認証の準備までの手順を示すフローチャート
【図4】ユーザ認証の準備までの手順を示すフローチャート(1/2)
【図5】ユーザの認証を行う手順を示すフローチャート(2/2)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
認証システム1は、ユーザを認証するためのシステムであり、図1に示すように、ユーザの所有する端末装置2と、端末装置2によるユーザ認証機能が実装されたカラオケ装置4と、端末装置2およびカラオケ装置4それぞれと通信可能な管理装置6と、からなる。
【0024】
端末装置2は、CPU、ROM、RAM、EEPROMなどを内蔵した制御部21、制御部21による処理結果などを記憶する記憶部23、モニタや操作パネルなどからなるユーザインタフェース(U/I)25、ネットワーク100を介した通信(無線通信)を制御する通信部27、マイク31からの音声の入力およびスピーカ33からの音声の出力を制御する音声処理部29、などを備えた携帯電話端末である。
【0025】
なお、端末装置2は、記憶部23に記憶された楽曲データで示される楽曲を、音声処理部29を介してスピーカ33から再生出力させる楽曲再生機能を有している。
カラオケ装置4は、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部41、制御部41による処理結果などを記憶する記憶部43、キーボードなどからなるユーザインタフェース(U/I)45、ネットワーク100を介した通信を制御する通信部47、マイク51からの音声の入力およびスピーカ53からの音声の出力を制御する音声処理部49などを備えている。
【0026】
なお、カラオケ装置4は、上述したユーザ認証機能の他、記憶部43に格納された楽曲データで示される楽曲をスピーカ53から再生出力させる楽曲再生機能や、この機能で再生出力する楽曲のパラメータを設定変更するパラメータ変更機能、なども有している。
【0027】
管理装置6は、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部61、制御部61による処理結果などを記憶する記憶部63、キーボードなどからなるユーザインタフェース(U/I)65、ネットワーク100を介した通信を制御する通信部67などを備えたサーバーである。
【0028】
このような構成の認証システム1の動作を図2に基づいて説明する。
この認証システム1では、まず、端末装置2が管理装置6へと登録要求を行うと(a)、管理装置6が、登録要求に伴う識別情報に応じた楽曲データを選択、登録した後(b)、この楽曲データを端末装置2へと送信すると共に(c)、この楽曲データと識別情報とをカラオケ装置4へと送信する(d)。端末装置2は、この楽曲データを記憶部23に記憶させ(e)、また、カラオケ装置4は、この楽曲データと識別情報とを対応づけて記憶部43に記憶させる(f)。こうしてカラオケ装置4に対するユーザ登録が行われ、ユーザ認証の準備が整う。
【0029】
カラオケ装置4は、上記のように、パラメータ変更機能を有しており、楽曲の指定およびパラメータの変更を行うための操作(変更するパラメータ、および、その変更量の指令を伴う操作)を受けることで、パラメータ変更機能に基づいて指定楽曲の該当パラメータが設定変更される(g)。
【0030】
本実施形態では、記憶部43に記憶された楽曲データそれぞれに、その楽曲データで示される楽曲のパラメータ変更値を示す変更情報(初期値:変更量0)が対応づけられており、この変更情報が、操作にて指令された変更内容に応じた変更量に更新される。なお、パラメータは、キー(周波数分布)、テンポ(時間方向の長さ)、音声レベル、帯域などのうちの1以上が選択的に使用される。
【0031】
その後、カラオケ装置4にてユーザを認証(本実施形態では、特定の楽曲を再生出力するための認証)するに際しては、ユーザが所有する端末装置2の楽曲再生機能により、先に記憶部23に記憶された楽曲データで示される楽曲(認証楽曲)を再生出力させ、これをカラオケ装置4に入力させる(h)。
【0032】
こうして、端末装置2が再生出力した認証楽曲を入力したカラオケ装置4は、記憶部43に記憶されている楽曲データで示される楽曲(対象楽曲)のうち、上述のようにパラメータが設定変更されている楽曲のパラメータにつき、そのパラメータの変更量を初期値0に戻して認証楽曲と整合させたうえで、各対象楽曲を再生させる(i)。
【0033】
そして、カラオケ装置4は、認証楽曲と対象楽曲それぞれとの対比を行い、その結果、認証楽曲と一致する(所定割合以上の近似を含む)対象楽曲を示す楽曲データにつき、これに対応するユーザが端末装置2のユーザであるとして認証する(j)。
【0034】
こうして、ユーザの認証を行った後、カラオケ装置4は、上述のようにパラメータが初期値に戻された楽曲それぞれについて、再度、そのパラメータを先に変更されていたのと同じ設定に変更し直す(k)。
【0035】
この後、カラオケ装置4は、ユーザの認証が正しく行われた場合、あらかじめ定められた楽曲の再生出力を行う(l)。
(2)ユーザ認証の準備までの手順
以下に、端末装置2とカラオケ装置4との間でユーザ認証の準備が整えられるまでの手順を、図3に示す各装置の処理に基づいて説明する。
(2−1)端末装置2による操作受付処理
はじめに、端末装置2の制御部21により実行される操作受付処理の処理手順を説明する。この操作受付処理は、ユーザインタフェース25の操作パネルを介して操作が受け付けられる毎に行われる。
【0036】
この操作受付処理が開始されると、まず、受け付けられた操作が「ユーザ登録操作」であるか否かがチェックされる(s110)。「ユーザ登録操作」は、ユーザ登録を管理装置6に要求するための操作であり、あらかじめ所定の操作内容が割り当てられている。
【0037】
このs110で「ユーザ登録操作」が受け付けられたと判定された場合(s110:YES)、端末装置2のユーザに割り当てられた識別情報を伴う登録要求が管理装置6へと送信される(s120)。本実施形態において、識別情報は、あらかじめ制御部23のEEPROMや記憶部23に記憶されたものであるが、都度ユーザに入力させてもよい。
【0038】
この登録要求を受信した管理装置6からは、管理装置6側で識別情報に対応づけられた楽曲データが送信されてくる。
こうして、登録要求が送信された後、管理装置6から楽曲データが受信されたら、この楽曲データが認証用の認証楽曲を示すものとして記憶部23に記憶され(s130)、その旨のメッセージがユーザインタフェース25のモニタに表示された後(s140)、本操作受付処理が終了する。
【0039】
また、受け付けられた操作が「ユーザ登録操作」でないと判定された場合(s110:NO)、その操作に対応する処理(その他の処理)が行われた後(s170)、本操作受付処理が終了する。なお、ここで行われる処理の一部が、後述する被認証処理である。
(2−2)管理装置6によるユーザ登録処理
続いて、管理装置6の制御部61により実行されるユーザ登録処理の処理手順を説明する。このユーザ登録処理は、端末装置2から登録要求を受ける毎に行われる。
【0040】
このユーザ登録処理が開始されると、まず、登録要求に伴う識別情報に応じた楽曲データが、あらかじめ用意された複数の楽曲データの中から選択される(s210)。
ここでは、識別情報に応じて、あらかじめ記憶部63に記憶された複数の楽曲データの中からランダムに選択するように構成されているが、識別情報からユーザの属性(例えば、性別、年齢、所属など)なども識別できるように構成した場合であれば、その属性に合わせた楽曲を示す楽曲データを選択することとしてもよい。
【0041】
次に、登録要件に伴う識別情報と、上記s210にて選択された楽曲データとが対応づけられた状態で、記憶部63に記憶されているデータベースに登録される(s220)。ここでは、楽曲データ(のアドレス)、識別情報の他、この楽曲データで示される楽曲の楽曲番号や、この楽曲におけるパラメータの初期値などがセットされたレコードがデータベースに登録される。
【0042】
次に、上記s210にて選択された楽曲データが、登録要求の送信元である端末装置2へと送信される(s230)。この楽曲データは、端末装置2が操作受付処理のs130にて受信するものである。
【0043】
次に、上記s210にて選択された楽曲データ、および、登録要求に伴う識別情報が、カラオケ装置4へと送信される(s240)。この楽曲データおよび識別情報を受信したカラオケ装置4では、これらの受信を契機に開始される楽曲登録処理において、識別情報と楽曲データとが対応づけられた状態で記憶部43に記憶される(s310)。
(2−3)カラオケ装置4による設定変更処理
続いて、カラオケ装置4の制御部43により実行される設定変更処理の処理手順を図4に基づいて説明する。この設定変更処理は、設定変更操作が行われることで開始される。この「設定変更操作」とは、記憶部43に記憶されているいずれかの楽曲データで示される楽曲につき、そのパラメータを変更する楽曲として指定すると共に、パラメータの変更量を指定する操作であり、あらかじめ所定の操作内容が割り当てられている。
【0044】
この設定変更処理が起動されると、まず、設定変更操作により指定された楽曲を示す楽曲データが記憶部43から読み出される(s320)。
そして、上記s320にて読み出された楽曲データで示される楽曲のパラメータが設定変更された後(s330)、本設定変更処理が終了する。このs330では、楽曲データに対応する変更情報が、設定変更操作にて指定された変更内容に応じた変更量に更新される。
(3)ユーザの認証を行う手順
以下に、端末装置2とカラオケ装置4との間でユーザの認証を行う手順を、図5に示す各装置の処理に基づいて説明する。
(3−1)端末装置2による被認証処理
はじめに、端末装置2の制御部21により実行される被認証処理の処理手順を説明する。この被認証処理は、ユーザインタフェース25の操作パネルを介して、ユーザ認証を開始する旨の操作が受け付けられる毎に行われる。
【0045】
この被認証処理が開始されると、まず、操作受付処理(s130)において認証楽曲を示すものとして記憶部23に記憶された楽曲データが読み出される(s450)。
次に、上記s450にて読み出された楽曲データで示される認証楽曲がスピーカ33から再生出力される(s460)。(図5、s460記載抜け、あり)
こうして再生出力された認証楽曲は、カラオケ装置4のマイク51から入力され、カラオケ装置4からは、この認証楽曲に基づく認証が行われた後、その認証結果が送信されてくる。
【0046】
上記s460にて認証楽曲が再生出力された後、カラオケ装置4からの認証結果が受信されるまで待機状態となり(s470:NO)、認証結果が受信されたら(s470:YES)、その認証結果がユーザインタフェース25のモニタに表示されて(s480)、被認証処理が終了する。
(3−2)カラオケ装置4のユーザ認証処理
続いて、カラオケ装置4の制御部41により実行されるユーザ認証処理の処理手順を説明する。このユーザ認証処理は、ユーザインタフェース45の操作パネルを介してユーザ認証を開始するための操作が行われた以降、繰り返し実行される。
【0047】
このユーザ認証処理が開始されると、まず、マイク51から所定以上のレベルでの音声入力が開始されるまで待機状態となり(s510:NO)、その後、音声の入力が開始されたら(s510:YES)、スピーカ53を介した音声出力が中断される(s520)。ここでは、音声処理部49を介したスピーカ53からの出力を行わないようにすることで、音声出力が中断される。
【0048】
次に、楽曲登録処理にて記憶部43に記憶された楽曲データで示される対象楽曲におけるパラメータの変更量を初期値0に戻すことにより、これら対象楽曲におけるパラメータを認証楽曲に整合させる(s530)。ここでは、記憶部43に記憶された楽曲データのうち、初期値0以外を示す変更情報が対応づけられている楽曲データに対してのみ、その変更情報が初期値0に戻され、これにより、認証楽曲と全ての対象楽曲とのパラメータを整合(変更量「0」で整合)させている。
【0049】
次に、記憶部43に記憶された楽曲データで示される対象楽曲それぞれが再生され、こうして再生される対象楽曲それぞれと、入力されている認証楽曲との比較が行われる(s540)。ここでは、全ての対象楽曲の再生が開始され、以降、各対象楽曲における周波数やレベルなどの波形成分が認証楽曲における成分波形と比較される。
【0050】
なお、ここでの比較は、認証楽曲および対象楽曲の全期間にわたって行われることとしてもよいが、それぞれの一部期間のみにわたって行われることとしてもよい。また、ここまでのタイムラグを考慮した時間位置から対象楽曲を再生させて比較したり、ズラした時間位置を基準として認証楽曲と比較することが望ましい。
【0051】
こうして、上記s540での比較の結果、対象楽曲の中に認証楽曲と一致(所定割合以上の近似を含む)する対象楽曲が存在しているか否かがチェックされる(s550)。
このs550にて一致する対象楽曲が存在していると判定された場合(s550:YES)、端末装置2のユーザが、この対象楽曲を示す楽曲データに対応する識別情報のユーザとして正しく認識できた旨の認証結果が、端末装置2へと送信される(s560)。
【0052】
こうして認証結果が送信されたら、上記s530にて認証楽曲に整合させられた対象楽曲のパラメータが、先に変更されていたのと同じ設定に変更し直された後(s562)、上記s520にて中断された音声出力が再開される(s570)。
【0053】
一方、上記s550にて一致する対象楽曲が存在していないと判定された場合(s550:NO)、ユーザを正しく認証できない旨の認証結果が、端末装置2へと送信される(s580)。
【0054】
こうして認証結果が送信されたら、上記s530にて認証楽曲に整合させられた対象楽曲のパラメータが、先に変更されていたのと同じ設定に変更し直された後(s582)、上記s520にて中断された音声出力が再開される(s590)。
【0055】
なお、これら認証結果は、端末装置2が被認証処理のs470にて受信するものであり、これを受信した端末装置2では、その結果がモニタに表示される。
こうして、認証結果が送信され、音声出力が再開された後は、上記s560にて正しく認証できた場合に限り、該当する楽曲の再生出力が開始されてから(s600)、プロセスがs510へと戻る。一方、上記s580にて正しく認証できない場合は、楽曲の再生出力が行われることなく、プロセスがs510へと戻る。
【0056】
本実施形態において、上記s600にて再生出力される楽曲は、上記s550にて認証楽曲と一致すると判定された対象楽曲であるが、認証されたユーザやカラオケ装置4に対応づけられた特定の楽曲であってもよいし、時刻や場所などの環境に応じた特定の楽曲であってもよい。ここで再生出力される楽曲は、パラメータが設定変更されていれば、その変更されたパラメータに基づいて再生出力され、パラメータが設定変更されていなければ、初期値のパラメータに基づいて再生出力される。
(4)作用,効果
上記認証システム1におけるカラオケ装置4であれば、あるユーザに対応づけられた楽曲データで示される楽曲のパラメータが変更されていたとしても(図4のs330)、端末装置2から再生出力された楽曲に基づくユーザの認証に先立って、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲それぞれのパラメータが変更量「0」に戻される(図5のs530)。その結果、端末装置2からユーザに対応する楽曲を再生出力させた場合に、この楽曲が、パラメータの変更されていない状態の同一楽曲と比較されることとなるため、ユーザの認証を正しく行えるようになる。
【0057】
また、上記実施形態においては、端末装置2から再生出力された楽曲を対象楽曲それぞれと比較するに際し、音声出力を中断することによって(図5のs520)、対象楽曲それぞれが端末装置2による認証楽曲と同時に出力されないようにしている。これにより、対象楽曲と認証楽曲とが同時に再生出力されることによる違和感を端末装置2のユーザに与えてしまわないようにすることができる。
(5)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0058】
例えば、上記実施形態では、カラオケ装置4と管理装置6とがそれぞれ通信可能な別体の装置として構成されている場合を例示したが、これら装置は、一体の装置として構成されていてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、認証楽曲の入力されるタイミングに合わせ、この楽曲における成分波形を、対象楽曲における波形それぞれとリアルタイムに比較することによりユーザの認証が行われている。しかし、ユーザの認証に際しては、認証楽曲を楽曲データとして記憶したうえで、この楽曲における成分波形を、対象楽曲における成分波形それぞれと事後的に比較することとしてもよい。
(6)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、端末装置2が本発明における楽曲再生装置であり、図5のs460が本発明における楽曲出力手段である。
【0060】
また、図4のs330が本発明におけるパラメータ変更手段であり、図5のs540が本発明における楽曲再生手段であり、同図s510が本発明における楽曲入力手段であり、同図s540,s550が本発明における楽曲認証手段であり、同図s530が本発明におけるパラメータ整合手段である。
【符号の説明】
【0061】
1…認証システム、2…端末装置、21…制御部、23…記憶部、25…ユーザインタフェース、27…通信部、29…音声処理部、31…マイク、33…スピーカ、4…カラオケ装置、41…制御部、43…記憶部、45…ユーザインタフェース、47…通信部、49…音声処理部、51…マイク、53…スピーカ、6…管理装置、61…制御部、63…記憶部、65…ユーザインタフェース、67…通信部、100…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの指令を受けて、記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲それぞれに対し、該楽曲を再生出力させる際のパラメータを変更可能なパラメータ変更手段と、
前記記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲を、該楽曲について前記パラメータ変更手段により変更されたパラメータに従ってスピーカから再生出力させる楽曲再生手段と、
所定の楽曲再生装置から再生出力された楽曲を入力する楽曲入力手段と、
前記楽曲入力手段により入力された楽曲を、前記記憶部に記憶された楽曲データのうち、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲それぞれと比較し、所定のしきい値以上の類似度となった楽曲を示す楽曲データに対応づけられたユーザが、前記入力された楽曲を再生出力した前記楽曲再生装置のユーザであるとして認証を行う楽曲認証手段と、
前記楽曲認証手段による比較に先立ち、前記記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲のうち、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲それぞれについて、前記パラメータ変更手段により変更されているパラメータを元に戻すことにより、該楽曲それぞれのパラメータを前記楽曲入力手段により入力された楽曲と整合させるパラメータ整合手段と、を備えており、
前記楽曲認証手段は、前記楽曲入力手段により入力された楽曲を、前記パラメータ整合手段によりパラメータが整合させられた楽曲と比較することにより、ユーザの認証を行う
ことを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
前記楽曲再生手段は、前記楽曲入力手段により楽曲が入力された場合、前記パラメータ整合手段によりパラメータが整合させられた楽曲それぞれをスピーカから出力させることなく再生させて、
前記楽曲認証手段は、前記楽曲入力手段により入力された楽曲を、前記楽曲再生手段によりパラメータが整合させられた状態で再生される楽曲それぞれと比較し、所定のしきい値以上の類似度となった楽曲を示す楽曲データに対応づけられたユーザが、前記入力された楽曲を再生出力した前記楽曲再生装置のユーザであるとして認証を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
楽曲を再生可能な楽曲再生装置と、該楽曲再生装置のユーザ認証機能を有するカラオケ装置と、からなる認証システムであって、
前記楽曲再生装置は、
当該楽曲再生装置の備える記憶部に記憶された楽曲データに基づき、該楽曲データで示される楽曲をスピーカから再生出力させる楽曲出力手段、
を備えており、
前記カラオケ装置は、
外部からの指令を受けて、記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲それぞれに対し、該楽曲を再生出力させる際のパラメータを変更可能なパラメータ変更手段と、
前記記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲を、該楽曲について前記パラメータ変更手段により変更されたパラメータに従ってスピーカから再生出力させる楽曲再生手段と、
所定の楽曲再生装置から再生出力された楽曲を入力する楽曲入力手段と、
前記楽曲入力手段により入力された楽曲を、前記記憶部に記憶された楽曲データのうち、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲それぞれと比較し、所定のしきい値以上の類似度となった楽曲を示す楽曲データに対応づけられたユーザが、前記入力された楽曲を再生出力した前記楽曲再生装置のユーザであるとして認証を行う楽曲認証手段と、
前記楽曲認証手段による比較に先立ち、前記記憶部に記憶された楽曲データで示される楽曲のうち、ユーザと対応づけられた楽曲データで示される楽曲それぞれについて、前記パラメータ変更手段により変更されているパラメータを元に戻すことにより、該楽曲それぞれのパラメータを前記楽曲入力手段により入力された楽曲と整合させるパラメータ整合手段と、を備えており、
前記楽曲入力手段により入力された楽曲と、前記パラメータ整合手段によりパラメータが整合させられた楽曲との比較により、前記楽曲認証手段によるユーザの認証が行われる
ことを特徴とする認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−78377(P2012−78377A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220500(P2010−220500)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】