説明

カラオケ装置及びカラオケプログラム

【課題】ネットワークで接続されたカラオケ装置において、演奏中、採点情報に対する順位を表示する。
【解決手段】本発明に係るカラオケ装置は、指定された楽曲に対応するとともに、順位と採点情報が対応づけられたランキング情報をホスト装置から受信する通信処理と、指定された楽曲に対応する演奏情報を演奏手段に演奏させるとともに、マイクロホンから入力される歌唱音声信号を採点して採点情報を出力する採点処理と、指定された楽曲に対応する演奏情報の演奏中、通信処理で受信したランキング情報と、採点処理にて得られた採点情報に基づいて順位を推定し、推定した順位を表示手段に表示させる中間告知処理と、を実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏される楽曲にあわせて歌唱を楽しむカラオケ装置、及びカラオケ装置にて利用されるカラオケプログラムに関するもsのであって、特に、楽曲を演奏するに際し、歌唱の採点を行うことで順位を競うカラオケ装置及び、それに利用されるカラオケプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、演奏に合わせて歌唱を楽しむカラオケ装置が知られている。このカラオケ装置では、歌唱の優劣の参照を図るため採点機能を設けられたものがある。また、最近ではカラオケ装置のネットワーク機能を利用して、ユーザー間で採点情報を競うことが行われている。
【0003】
このような順位を競うことを目的としたカラオケ装置について、特許文献1には、採点手段が出力した得点をホスト装置に送信し、ホスト装置にて作成された採点ランキング情報を受信して表示することで、他の人の歌唱採点結果と比較することのできる通信カラオケシステムが開示されている。また、特許文献2には、採点結果が全体の中でどの程度のレベルであるかを知ることを目的として、正規化された仮の順位を算出して表示するカラオケ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4137752号公報
【特許文献2】特許第3902736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような採点結果に対応する順位を競う場合には、その正確さが求められることはいうまでもない。特許文献1に開示される通信カラオケシステムでは、採点手段が出力した得点をホスト装置に送信する毎に、対応する採点ランキング情報が受信されることとなる。このようなシステムでは、採点ランキング情報の正確さは確保されるものの、全国各地に設置されたカラオケ装置からホスト装置に問い合わせが殺到することとなり、ホスト装置に対する負荷は大きくなる。
【0006】
一方、特許文献2に開示されるカラオケ装置では、単にカラオケ曲の歌唱の平均点および標準偏差に基づいて正規化された仮の順位を算出するため、正確な順位を競うものとしてはほど遠いものである。
【0007】
本発明は、このような状況を鑑み、より正確な順位を競うことができるカラオケ装置及びカラオケプログラムを提供するものであって、さらには、ホスト装置に対する負荷の抑制を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本発明に係るカラオケ装置は、
演奏情報を再生する演奏手段と、
通信処理と、採点処理と、中間告知処理と、を実行する制御手段と、を備え
通信処理は、指定された楽曲に対応するとともに、順位と採点情報が対応づけられたランキング情報をホスト装置から受信し、
採点処理は、指定された楽曲に対応する演奏情報を演奏手段に演奏させるとともに、マイクロホンから入力される歌唱音声信号を採点して採点情報を出力し、
中間告知処理は、指定された楽曲に対応する演奏情報の演奏中、通信処理で受信したランキング情報と、採点処理にて得られた採点情報に基づいて順位を推定し、推定した順位を表示手段に表示させることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の実施形態に係るカラオケ装置において、
ランキング情報は、所定の順位に対応づけられた採点情報にて構成されると共に、少なくとも一部の順位間において間隔が設けられていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の実施形態に係るカラオケ装置において、
ランキング情報における順位間の間隔は、下位の順位ほど大きく設定されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の実施形態に係るカラオケ装置において、
ランキング情報は、所定の採点情報に対応づけられた順位にて構成されることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の実施形態に係るカラオケ装置において、
制御手段は、歌唱終了後、指定された楽曲について、採点処理で得られた採点情報に対応する順位をホスト装置に問い合わせ、得られた順位を表示手段に表示させる最終告知処理を実行することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の実施形態に係るカラオケ装置において、
通信処理は、指定された楽曲に対応する演奏情報の演奏中、当該楽曲に対応するランキング情報を受信し、
中間告知処理は、直近の通信処理で受信したランキング情報に基づいて順位を推定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の実施形態に係るカラオケプログラムは、
指定された楽曲に対応するランキング情報をホスト装置から受信する通信処理と、
指定された楽曲に対応する演奏情報を演奏手段に演奏させるとともに、マイクロホンから入力される歌唱音声信号を採点して採点情報を出力する採点処理と、
指定された楽曲に対応する演奏情報の演奏中、通信処理で受信したランキング情報と、採点処理にて得られた採点情報に基づいて順位を推定し、推定した順位を表示手段に表示させる中間告知処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、受信したランキング情報に基づいて歌唱得点の順位を推定することとしており、特に、間引きされた順位に対応づけられた得点で構成されたランキング情報を用いて順位の推定を行うため、ランキング情報のデータ量を抑えるとともに、カラオケ用ホストに対する負荷を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図
【図2】本発明の実施形態に係るトップ画面を示す図
【図3】本発明の実施形態に係るユーザー情報を示す図
【図4】本発明の実施形態に係るユーザーに対するサービス処理を示す図
【図5】本発明の実施形態に係るアクティブユーザートップ画面を示す図
【図6】本発明の実施形態に係る楽曲予約処理を示すフロー図
【図7】本発明の実施形態に係る楽曲確認画面を示す図
【図8】本発明の実施形態に係る予約情報のデータ構成を示す図
【図9】本発明の実施形態に係る楽曲演奏処理を示すフロー図
【図10】本発明の実施形態に係るランキング情報の取得、並びに、中間順位表示のタイミングを示す模式図
【図11】本発明の実施形態に係るランキング情報のデータ構成を示す図
【図12】本発明の実施形態に係る順位推定を説明するための図
【図13】本発明の実施形態に係る楽曲開始時の画面を示す図
【図14】本発明の実施形態に係るランキング表示画面(初回)を示す図
【図15】本発明の実施形態に係るランキング表示画面(ランキングアップ時)を示す図
【図16】本発明の実施形態に係るランキング表示画面(ランキングダウン時)を示す図
【図17】本発明の実施形態に係るランキング表示画面(最終)を示す図
【図18】本発明の他の実施形態に係るランキング情報のデータ構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、コマンダ2(カラオケ装置)と、リモコン装置1にて構成されており、これらは、LAN100にて、無線、有線で互いに接続されている。
【0018】
店舗に設置されるコマンダ2は、リモコン装置1(例えば、1a、1b)によりユーザーからの各種指示を受け付けることが可能となっている。また、リモコン装置1は表示部11と操作部17が共有されたタッチパネル表示画面を備え、ユーザーに対して各種情報の提供や、操作入力することが可能とされている。リモコン装置1は、LAN100上に設置されたアクセスポイント110aを介してコマンダ2と無線接続される。図中に破線で示されるように、例えばコマンダ2aにはリモコン装置1aと1bが対応付けられ、LAN100aを介して情報を送受信することが可能となっている。また、リモコン装置1とコマンダ2とは赤外線などを利用した近距離通信を行うことも可能である。
【0019】
さらに、本実施形態のカラオケシステムでは、ユーザーに各種サービスを提供するためインターネットを介したホスト5(ホスト装置)が設けられ、楽曲情報やユーザー情報など、各種サービスに必要な情報を記憶している。そして、ルータ120aを通じて、コマンダ2、又はリモコン装置1aと、前述した情報の送受信が行うことが可能とされている。
【0020】
コマンダ2は、全体を統括制御する制御部30を中心として機能し、主な機能として、楽曲演奏処理、映像表示処理、楽曲予約処理などを実行可能としている。楽曲演奏処理は、入力部21やリモコン装置1にて、ユーザーにより指定された楽曲に対応する演奏情報をMIDI音源を含んで構成される音響制御部70にて演奏させ、スピーカー42から放音させる処理である。このとき、スピーカー42からは歌唱用マイク44a、44bから入力される音声も合わせて放音される。映像再生処理は、映像再生部29にて各種映像情報、歌詞情報などを再生させ、モニタ41を介した視覚情報をユーザーに提供する処理である。
【0021】
楽曲予約処理は、ユーザーからの指定に基づいて楽曲を選択、予約するための処理である。本実施形態ではリモコン装置1と連携して実行することとなる。リモコン装置1の操作部17から入力されたユーザーの指令は、赤外線通信部19、23、あるいは、LAN100を介してコマンダ2に伝達される。コマンダ2での処理結果は、リモコン装置1側の表示部11に表示され、ユーザーは選曲のための各種情報を視認することが可能である
。コマンダ2とリモコン装置1は、この楽曲指定処理に限らず、ユーザー個別のサービスを提供するためのログイン処理など各種処理を実行することが可能である。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係るトップ画面、すなわち、リモコン装置1を起動した直後の画面を示す図である。本実施形態では、リモコン装置1の表示部11に表示を行うことで、リモコン装置1を操作するユーザーに対して各種情報を提供する。なお、リモコン装置1の操作部17としては、カーソルキーなどの各種機械的なスイッチの他、表示部11に表示されたボタン、アイコンなどを直接タッチして操作を行うタッチパネルを採用することができる。
【0023】
本実施形態のカラオケシステムは、複数のユーザーが各リモコン装置1のタッチパネル表示画面から必要な情報(後述するユーザIDやパスワード)を入力し、ログインすることが可能となっている。ユーザーのログインに関する情報は画面上方に常時表示される。ログインしたユーザーの分身像(アバター)を表示するためのログインユーザー欄103が設けられている。なお、分身像としては、人、キャラクターを模した像の他、図形や記号など各種形態を採用することができる。
【0024】
また、アカウントを有していないユーザーのためのゲストアイコン102、ユーザーを切り替えるためのユーザー切替スイッチ101が表示されている。ログインしたユーザーは、ログインユーザー欄103に表示される分身像を選択、あるいは、ユーザー切替スイッチ101を操作することで、自分のユーザー情報を利用した各種サービスを受けることが可能となる。また、アカウントを有していないユーザーは、ゲストアイコン102を操作することで、選曲など一般的なサービスを受けることが可能となっている。なお、ユーザーの切替の際には、パスワードなど認証を行うこととしてもよいが、認証を行うことなく簡易に切り替えることとしてもよい。
【0025】
図3は、各ユーザー毎に記憶されたユーザー情報を説明するための図である。本実施形態では、ユーザー情報として、個人情報、マイうたテーブル、マイアーティストテーブル、履歴テーブルなど、ユーザーに関する各種情報を含んで構成される。
【0026】
ユーザー情報には、ユーザーがログインしてこれら情報を利用するためのユーザーID、パスワードが対応付けられている。個人情報には、ユーザー名(実際の名前に限ったものでなく、ニックネームであってもよい)、性別、年齢等を含んで構成されている。これら各種情報は、リモコン装置1、あるいは、ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ、携帯情報端末などにてログインして設定することができる。
【0027】
マイうたテーブルは、ユーザーによって事前に登録された楽曲を示すテーブルであって、少なくとも楽曲を識別するための楽曲識別子を含んで構成されている。この他、歌唱した際に採点された最高点(採点情報)、そして、本実施形態における全国ランキング機能を利用したときの順位や、自分の歌唱音域に合わせるためのキー調整値などを登録しておいてもよい。ユーザーは、このマイうたテーブルを読み出すことで、事前に登録した楽曲を容易に選曲することが可能となる。
【0028】
マイアーティストテーブルは、ユーザーによって事前に登録されたアーティスト(歌手)を示すテーブルであって、歌手識別子を含んで構成されている。ユーザーは、このマイアーティストテーブルを呼び出すことで、事前に登録したアーティストを読み出し、さらにデータベースを参照することで当該アーティストに関連する楽曲を読み出して選曲することが可能となる。
【0029】
履歴テーブルは、ユーザーがこれまでに選曲した履歴が記載されたテーブルであって、
楽曲識別子、歌唱日時、歌唱店舗(歌唱位置)、採点情報、全国ランキング機能を利用したときの順位などを含んで構成されている
【0030】
本実施形態では、この履歴テーブルに記録された楽曲を選曲することも可能となっている。ユーザーは履歴テーブルを用いた選曲を行うことで、過去に指定した楽曲を再度演奏させることが可能となっている。
【0031】
本実施形態では、このような各種情報を含んだユーザー情報を利用することで、各ユーザーに対し様々なサービスを提供することができる。
【0032】
図4は、このユーザー情報の送受信の様子を示した図である。カラオケ店舗に来店したユーザーは、自己のユーザーIDとパスワードで構成された識別情報を入力、あるいは、リモコン装置1などに設けられたICカードリーダーでICカードに記憶されている識別情報を読み取らせることで認証処理S101を実行する。ユーザーの識別情報を読み取った、コマンダ2あるいはリモコン装置1は、識別情報をカラオケ用ホスト5に送信し(S102)、識別情報を受信したカラオケ用ホスト5は記憶部1に記憶されたデータベースから、該当するユーザーのユーザー情報を抽出し(S121)、問い合わせのあったコマンダ2あるいはリモコン装置1に対して送信する(S122)。
【0033】
ユーザー情報を受信したコマンダ2側では(S103)、受信したユーザー情報に基づいて、選曲処理、演奏処理など各種サービス処理が提供される(S104)。ユーザーによりログアウトが要求される(S105)とサービス処理を中断し、サービス処理中における各種履歴(ログ)、あるいは、ユーザーによる設定変更を反映したユーザー情報をカラオケ用ホスト5に送信する(S106)。ここで、ユーザー情報は、全ての情報を送信することの他、更新された差分だけを送信してもよい。カラオケ用ホスト5では、受信したユーザー情報に基づいて記憶部1に記憶されたデータベースの更新を実行する(S124)。
【0034】
以上、1ユーザーが認証処理(ログイン)してから、ログアウトするまでの流れを説明したが、本実施形態のコマンダ2、リモコン装置1は、認証された複数人(認証ユーザー)が同時にログインした状態で使用することが可能となっており、図2で説明したユーザーインターフェイスを用いることで、サービスを提供するユーザー(以下、「アクティブユーザー」という)を切り替えて使用することが可能となっている。
【0035】
図5は、本発明の実施形態に係るアクティブユーザートップ画面を示す図である。この図に示されるように、複数人がログインした状態ではログインユーザー欄103にログインしたユーザーの分身像103a〜103e(本実施形態では顔部分)が表示される。またログインユーザー欄103中、右端に背景がハイライトで示されるユーザーは、アクティブユーザー103eであって、図に示す状態では、このアクティブユーザー103eに対するサービス、すなわち、アクティブユーザー103eのユーザー情報を利用したサービスが実行されている状態となっている。
【0036】
このアクティブユーザートップ画面では、「曲を探す」を選択することで、従来の歌本と同様、歌手名、楽曲名に基づく検索を行うことができる。また、「マイルーム」を選択した場合には、ユーザー情報中のマイうたテーブルなどを利用した、アクティブユーザーに特化した楽曲検索を行うことができる。
【0037】
図6は、本発明の実施形態に係る楽曲予約処理を示すフロー図であって、リモコン装置1などの入力手段にて実行される処理である。図5で説明したログインしたユーザーの場合にはアクティブユーザートップ画面の各種メニューから、ゲストユーザーの場合には図
2で説明した「曲を探す」メニューから、歌唱したい楽曲を選択し、コマンダ2に対して予約することが可能とされている。楽曲予約処理が開始されると、ユーザーが選択した適宜検索方法(楽曲名指定、歌手名指定など)によって、楽曲の検索が実行される(S201)。ユーザーは複数の検索結果の中から自分の所望の楽曲を指定する(S202)。S203では、指定した楽曲に間違いないかを確認させると共に、演奏時のキー(音程)調整などを行うために楽曲確認画面が表示される(S203)。
【0038】
図7は、本発明の実施形態に係る楽曲確認画面を示す図であって、楽曲名、歌手名のみならず、歌い出しなどを表示させることでユーザーに楽曲を確認させる画面である。この楽曲確認画面では、選択した楽曲について自分の歌唱できる音程が予め分かっている場合には、「キー設定」を変更することで演奏する際のキー調整値を設定することが可能となっている。キー設定右下の「変更」ボタンを操作することで、キー設定用のサブウィンドウが表示され(S205)、キー調整値を設定する(S206)ことができる。
【0039】
選択した楽曲が歌唱したい楽曲であることを確認したユーザーにより「予約」ボタンが操作される(S207:Yes)ことで楽曲の演奏予約が実行され、一連の楽曲予約処理が終了する。具体的には、リモコン装置1からコマンダ2に対して予約情報が送信される(S208)。予約情報を受信したコマンダ2は、予約テーブル上で予約情報を管理し、予約された楽曲を順次、演奏手段としての音響制御部70にて演奏させる。
【0040】
図8には、本発明の実施形態に係る予約情報のデータ構成が示されている。本実施形態では、演奏する楽曲を識別するための楽曲IDの他、キー設定が行われた場合にはキー調整値が、また、ログインしたユーザーによる予約の場合には、ユーザーIDが含まれて構成されることとなる。
【0041】
本実施形態では、このような楽曲予約処理にて予約された楽曲の演奏時に、採点処理を行うとともに、採点処理で得られた採点情報を、採点情報と順位を対応づけたランキング情報とつきあわせることで順位をユーザーに告知することとしている。順位の告知は最終的な順位のみならず、演奏中、適宜タイミングで告知することとしており、ユーザーは歌唱中、どの順位にあるかを知ることが可能となっている。
【0042】
では、この楽曲演奏処理について図を参照しつつ説明する。図9は、本発明の実施形態に係る楽曲演奏処理を示すフロー図であり、図10は、本発明の実施形態に係るランキング情報の取得、並びに、中間順位表示のタイミングを示す模式図であり、図11は、本発明の実施形態に係るランキング情報のデータ構成を示す図となっている。コマンダ2が起動されると、この楽曲演奏処理が開始され、S301にてコマンダ2に記憶する予約テーブルが参照され、予約テーブル上の予約情報が順次読み出される。
【0043】
S302では、コマンダ2がカラオケ用ホスト5に対して通信処理を実行することで、これから演奏する楽曲のランキング情報を取得する。本実施形態では、楽曲の演奏開始直前にランキング情報を取得することとしているが、楽曲の予約後であって、最初の順位算出前の期間、すなわち、図10に示される1−1の期間であれば、適宜タイミングで取得することが可能である。ランキング情報は、カラオケ用ホスト5において更新されるため、できるだけ、遅いタイミングで取得することが、正確な順位算出の面で好ましい。
【0044】
図11には、本発明の実施形態に係るランキング情報のデータ構成を示す図が示されている。本実施形態のランキング情報は、楽曲IDに対応づけられたものとなっており、順位に対応づけられた得点(採点情報)にて構成されている。また、順位1位〜100位までは、全ての順位について掲載されたものとなっているが、順位150位から順位1000位については50位毎に、さらに、1000位以下については100位毎に掲載された
ものとなっている。このように、本実施形態のランキング情報は、カラオケ用ホスト5にてデータの一部が間引かれた構成で作成されている。演奏中の順位算出では、この間引かれたランキング情報を使用して、順位の推定が実行される。下位の順位程、間引き間隔が大きくなっているため、データ容量を抑えると共に、上位の順位推定を正確に行うことが可能となっている。
【0045】
ランキング情報のデータ構成としては、各種形態を採用することができる。例えば、最低順位とその得点を必ず含めるようにしておくことで、利用しているユーザーが下位に位置しているときにも順位の推定精度の向上が図られる。例えば、155人の参加人数がいた場合、本実施形態では、1位〜10位の100個のデータ、150位のデータの101個のデータとなるが、これでは、151位から155位の間に大幅な得点変化があった場合など、150位以下の順位推定を精度よく実行することができないことも考えられる。そのため、最低順位(=参加人数)とその得点(この場合、155位における得点)をランキング情報に含めておくことで、順位推定の精度向上を図ることが可能となる。
【0046】
このほか、参加人数の母数によって、取得するデータ数を変更することとしてもよい。本実施形態のランキング情報には、100位以下では、50位毎のデータが、また、1000位以下では100位毎のデータが含まれて構成されているが、母数が少ない場合には、間引き間隔を狭くする(例えば、100位以下では、10位毎にするなど)ことで、順位推定の精度向上を図ることが可能となる。また、ランキング情報のデータ容量も大きく増加させることもない。このように母数に基づいて、間引き間隔が変更される境目の順位を変更することとしてもよい。例えば、母数(参加人数)が250人の場合、101位〜150位は5位毎、151位〜200位は10位毎、201位〜は20位毎とすることが考えられる。
【0047】
S303では、予約情報内の楽曲IDを参照し、対応する演奏情報を音響制御部70にて演奏開始させる。このとき、コマンダ2は、モニタ41に対してランキングに関する情報を表示してもよい。図13には、本発明の実施形態に係る楽曲開始時の画面を示す図が示されている。この画面には、演奏する楽曲名の他、この楽曲について順位算出に参加した参加人数、上位順位ユーザー(第1位〜第3位)のユーザー名と得点が表示されている。これらの情報は、S302で取得するランキング情報に含めておくこととする。
【0048】
歌唱採点処理は楽曲演奏開始から適宜タイミングにて開始される(S304)。なお、歌唱採点処理は演奏期間中、歌唱期間においてのみ実行することとしてもよい。この歌唱期間は、演奏情報に歌唱期間を示す情報を付帯させておくことのほか、楽曲演奏時に同期して実行される歌詞の表示または色替えタイミングで判別することが可能である。
【0049】
歌唱採点が開始されると、S305では順位推定タイミングの到来が判定される。本実施形態の順位推定処理は、歌唱期間の開始から所定時間経過後に、10秒間隔で行うこととしている。順位推定タイミングについては、このように所定時間間隔で行う以外に、下記のような形態を採用することとしてもよい。
・時間が経過するほど、順位推移タイミングの間隔を短くする。時間の経過は、演奏時間あるいは歌唱時間の絶対時間で判断することとしてもよいし、全体の演奏時間あるいは歌唱時間全体に対する相対時間で判断するものであってもよい。
・サビなどの歌唱中の盛り上がる部分では、順位推定タイミングの間隔を見短くする。この場合、盛り上がる部分は、演奏情報にサビ判定用のフラグを設けておくことで判定することが可能である。
・間奏中においては、順位推定処理を実行しない、あるいは、順位推定処理で推定された順位を表示しない。
また、本実施形態では、歌唱期間が所定割合(80%)終了した時点で終えることとし
ており、演奏終了時に行われる最終順位の表示までの期間は、順位を表示することなく遊興性の向上が図られている。なお、このタイミングは、歌唱期間が終了する期間から所定時間前(例えば、15秒前)とすることとしてもよい。
【0050】
順位推定タイミングの到来が判定(S305:Yes)されると、まず、現在の演奏時間、あるいは、演奏割合が取得され(S306)、得点算出レートが算出される。これはユーザーの不正を防ぐとともに遊興性の向上を図るために設けられているものであって、得点算出レートは、演奏の経過にしたがって高くなり、最大値(例えば1(100%)となる)をとるように設定されている。S308で算出された歌唱得点に対して、この得点算出レートを乗算する(S309)ことで、順位推定に使用される歌唱得点が算出される。演奏の経過に従ってこの得点算出レートを変更することで、ユーザーが途中で演奏停止した場合に高得点が算出されることを防ぐとともに、演奏の経過に従って歌唱得点が高得点化され、推定される順位についても演奏経過と共に上昇させることが可能となる。具体的には、順位推定に用いる得点の算出式として、
得点=最低点+(歌唱技術点×得点算出レート)
を用い、演奏時間あるいは歌唱時間の経過にともなって得点算出レートを増加させていく。得点算出レートの増加方法は、線形的に、所定時間毎(例えば15秒ごと)に所定値増加させてもよいし、非線形的に増加させることとしてもよい。算出式中、歌唱技術点は、マイクロホンから入力される歌唱音声信号と演奏情報の主旋律(メロディ)を比較することなどによって算出される得点であり、最低点は予め定められた所定の得点である。
【0051】
ところで、この算出式を利用した場合、演奏時間が短い楽曲について満点をとることができない、すなわち、得点算出レートが最大値に達する前に楽曲が終了してしまうことがある。そのため、演奏時間あるいは歌唱時間が、所定時間より短い楽曲の場合、得点算出レートを読み飛ばす(0.1(10%)ずつ増加させることに代えて、0.2(20%)ずつ増加させるなど)ことや、得点算出レートを最初から最大値にしておくなど、最終的には得点算出レートが最大値に達するようにして、満点を取得可能な構成とすることとしている。
【0052】
また、全演奏時間に対する演奏経過時間の割合あるいは、全歌唱時間に対する歌唱経過時間の割合で得点算出レートを増加させた場合には、楽曲の長さが短い場合であっても、得点算出レートが最大値に達することが可能であるため、このような対処は必要としない。なお、この得点算出レートを使用せずに得点を算出することも、本発明の範疇に入るものである。
【0053】
S308で実行される歌唱得点の算出は、歌唱用マイク44から入力される歌唱音声信号と、演奏される演奏情報の主旋律とを比較することで実行される。歌唱得点の算出は、適宜区間毎の得点を積算することで行うこととしてもよいし、適宜区間毎の得点を平均することで行うものであってもよい。
【0054】
S310では、S309において、得点算出レートにて補正された歌唱得点と、受信したランキング情報に基づいて順位の推定が実行される。図12は、本発明の実施形態に係る順位推定を説明するための図であって、歌唱得点と順位の関係が示されている。図中、丸印で示す箇所が、ランキング情報中に存在するデータを示している。このようなランキング情報において、例えば、歌唱得点としてX点が算出された場合には、各ランキング情報中のデータ間を補完することで、順位Yを推定することが可能となる。本実施形態では直線補完としているが、直線補完に限ることなく、例えば、高い順位間ほど得点差を少なくするような補完方法を採用することもできる。なお、本実施形態において、100位以内の得点の場合には、補完することなく実際のデータに基づく順位算出が行われることとなる。
【0055】
S311では、S310にて推定された順位に基づいて中間順位の告知(本実施形態においてはモニタ41への表示)が実行される。図14は、本発明の実施形態に係るランキング表示画面(初回)を示す図であって、ちょうど図10に示される丸1のタイミングでの表示に相当している。なお、S310における順位推定と、S311における推定した順位の表示からなる処理をあわせて中間告知処理ということとする。
【0056】
モニタ41には、歌唱すべき歌詞表示が行われる中、画面中央にはS310にて推定された順位413が表示されている。また、右上には現在の歌唱得点412が、左上には、歌唱中のユーザーのアバター411が表示される。このアバター411表示は、ログインして予約したユーザーに対して行うことができるが、ゲストユーザーとして歌唱する場合には、任意のアバターを表示させることとしてもよい。
【0057】
以上(S305〜S311)の処理を繰り返し実行することで、ユーザーは演奏中、自分がどの順位にいるかをモニター41にて確認することができる。また、2回目以降については前回の順位からどのように変化したかを告知することとしてもよい。図15、図16は、本発明の実施形態に係るランキング表示画面を示す図であって、図15は、前回と比較して順位が上昇したときの画面が、また、図16は、前回と比較して順位が下降したときの画面が示されている。
【0058】
本実施形態では、初回に示した推定された順位413、現在の歌唱得点412、アバター411の他、前回との順位の差414、1位上昇させるための得点値415が表示されている。このとき、アバター411は、前回との順位比較に基づいて、上昇した場合(図15)には笑顔に、下降した場合(図16)には困った顔に表情を変更することで、現在の状況が表現されることとしている。歌唱中のユーザーは、時々刻々と変化するこのような情報を視覚的に確認することで、順位を上げるために歌唱に熱を上げることとなる。
【0059】
さらに本実施形態では、演奏途中に使用するランキング情報を更新することで、ランキング精度の向上が図られている。ランキングの対象を日本全国とした場合、人気楽曲ともなると同時に数名がランキングに参加する状況もみられる。このような場合を鑑み、本実施形態では、演奏中においてもランキング情報を取得することで、正確な順位推定を可能としている。図9のフロー図において、ランキング取得タイミングであると判定された場合(S312:Yes)には、通信処理、すなわち、カラオケ用ホスト5に対し、演奏中の楽曲のランキング情報送信が要求され、カラオケ用ホスト5から送信されたランキング情報を受信(S313)する。、受信したランキング情報は、以降の順位推定に用いられる。ランキング取得タイミングは、任意のタイミングとすることができるが、本実施形態では図10に示す1−2のタイミング(歌唱期間が50%時点)、1−3のタイミング(歌唱期間が80%時点)で行うこととしている。
【0060】
以上の処理で、演奏中の順位推定が行われ、ユーザーに対しては適宜タイミングで、推定された順位が告知されることとなる。楽曲演奏の終了が判定される(S314:Yes)と、コマンダ2は、最終的な歌唱得点をカラオケ用ホスト5に送信し(S316)、カラオケ用ホスト5で算出されたその時点の順位を受信する(S316)。カラオケ用ホスト5は、全ての順位に対する得点を記憶しているため、この順位はその時点における正確な順位を算出することができる。また、カラオケ用ホスト5は、受信した歌唱得点に基づいて当該楽曲のランキング情報の更新を実行する。S317では、受信した順位を表示して一連の楽曲演奏処理が終了する。
【0061】
図17には、本発明の実施形態に係るランキング表示画面(最終)が示されている。この形態では、最終的な順位の他、歌唱得点が表示されている。歌唱得点、順位は、図3で
説明したユーザー情報中に記憶されることとなる。
【0062】
以上、本実施形態では、受信したランキング情報に基づいて歌唱得点の順位を推定するものであって、特に、間引きされた順位に対応づけられた得点で構成されたランキング情報を用いて順位の推定を行うため、ランキング情報のデータ量を抑え、カラオケ用ホスト5に対する負荷を削減することが可能となる。
【0063】
前述の実施形態で使用したランキング情報は、図11で説明したように所定の順位に得点が対応づけられたデータ構成としているが、このデータ構成に代え、所定の得点に順位を対応づけることとしてもよい。図18は、本発明の他の実施形態に係るランキング情報のデータ構成を示す図である。この実施形態のランキング情報は、予め定められた所定の得点に順位が対応づけられた構成となっている。
【0064】
得点100点〜98点までは0.1点毎(刻み)で順位が対応づけられており、得点98.0〜80点までは0.5点毎に順位が対応づけられている。さらに、80点以下については2点毎に順位が対応づけられている。このように上位得点ほど、得点間隔を小さくしたことで、上位得点になるにしたがって多くなりがちなユーザー数に対応するとともに、順位推定をより正確なものとすることが可能となる。このような実施形態を使用する場合、カラオケ用ホスト5は、受信した歌唱得点をデータベース化しておき、新たな歌唱得点が加わる毎にこのランキング情報を作成することとなる。
【0065】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0066】
1…リモコン装置、11…表示部、12…ビデオRAM、13…映像制御部、14…メモリ、15…制御部、16…無線LAN通信部、17…操作部、18…操作処理部、19…赤外線通信部、2…コマンダ(カラオケ装置)、21…操作部、22…操作処理部、23…赤外線通信部、24…インターフェイス部、27…メモリ、28…ビデオRAM、29…映像再生部、30…制御部、31…映像制御部、32…ハードディスク、41…モニタ、42…スピーカー、44a、44b…歌唱用マイク、100…LAN、110…アクセスポイント、120…ルータ、5…カラオケ用ホスト、51…記憶部、70…音響制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏情報を再生する演奏手段と、
通信処理と、採点処理と、中間告知処理と、を実行する制御手段と、を備え
通信処理は、指定された楽曲に対応するとともに、順位と採点情報が対応づけられたランキング情報をホスト装置から受信し、
採点処理は、指定された楽曲に対応する演奏情報を演奏手段に演奏させるとともに、マイクロホンから入力される歌唱音声信号を採点して採点情報を出力し、
中間告知処理は、指定された楽曲に対応する演奏情報の演奏中、通信処理で受信したランキング情報と、採点処理にて得られた採点情報に基づいて順位を推定し、推定した順位を表示手段に表示させることを特徴とする
カラオケ装置。
【請求項2】
ランキング情報は、所定の順位に対応づけられた採点情報にて構成されると共に、少なくとも一部の順位間において間隔が設けられていることを特徴とする
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
ランキング情報における順位間の間隔は、下位の順位ほど大きく設定されていることを特徴とする
請求項2に記載のカラオケ装置。
【請求項4】
ランキング情報は、所定の採点情報に対応づけられた順位にて構成されることを特徴とする
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項5】
制御手段は、歌唱終了後、指定された楽曲について、採点処理で得られた採点情報に対応する順位をホスト装置に問い合わせ、得られた順位を表示手段に表示させる最終告知処理を実行することを特徴とする
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のカラオケ装置。
【請求項6】
通信処理は、指定された楽曲に対応する演奏情報の演奏中、当該楽曲に対応するランキング情報を受信し、
中間告知処理は、直近の通信処理で受信したランキング情報に基づいて順位を推定することを特徴とする
請求項1から請求項5の何れか1項に記載のカラオケ装置。
【請求項7】
採点処理で出力される採点情報は、演奏情報の演奏経過にしたがって高くなる得点算出レートを乗算することで算出されることを特徴とする
請求項1から請求項6の何れか1項に記載のカラオケ装置。
【請求項8】
指定された楽曲に対応するランキング情報をホスト装置から受信する通信処理と、
指定された楽曲に対応する演奏情報を演奏手段に演奏させるとともに、マイクロホンから入力される歌唱音声信号を採点して採点情報を出力する採点処理と、
指定された楽曲に対応する演奏情報の演奏中、通信処理で受信したランキング情報と、採点処理にて得られた採点情報に基づいて順位を推定し、推定した順位を表示手段に表示させる中間告知処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする
カラオケプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−20195(P2013−20195A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155389(P2011−155389)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【Fターム(参考)】