説明

カラオケ装置及びカラオケ伴奏音楽の再生処理方法及びプログラム

【課題】カラオケ伴奏音楽のピッチと歌唱者の歌声のピッチとが合っていない場合に、カラオケ伴奏音楽のピッチと歌唱者の歌声のピッチとが合うように、カラオケ伴奏音楽のピッチを自動的に補正するカラオケ装置及びカラオケ伴奏音楽の再生処理方法及びプログラムにおいて、歌唱者と歌唱者の歌を聴く人に与える興趣性を向上させる。
【解決手段】カラオケ伴奏音楽が再生されているときに、歌唱者の動作状態を検出して、その検出した歌唱者の動作状態が所定の動作状態であるときに、カラオケ伴奏音楽を補正するカラオケ装置及びカラオケ伴奏音楽の再生処理方法及びプログラムとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ装置及びカラオケ伴奏音楽の再生処理方法及びプログラムに関するものであり、特に、カラオケ伴奏音楽を補正する補正部を備えたカラオケ装置及び同装置におけるカラオケ伴奏音楽の再生処理方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、カラオケ装置には、歌唱者が所望のキーで歌を歌えるように、カラオケ伴奏音楽(以下、「曲」という。)の音程(以下「、「ピッチ」という。)を変更可能としたピッチコントロール機能が設けられていた。
【0003】
このピッチコントロール機能を備えたカラオケ装置では、一般に、曲の再生開始前や再生中に、リモコンや当該カラオケ装置本体に配設されたスイッチを操作することによって、曲のピッチを変更するように構成されていた。
【0004】
かかるカラオケ装置を利用する歌唱者は、歌い始めてから自身の声のキーと曲のピッチとが合わないことに気付くことが多いため、歌の途中でリモコン等を操作して曲のピッチを変更しなければならず、その操作が面倒であった。
【0005】
また、このように歌の途中で曲のピッチを変更した場合、歌唱者は、リモコン等のスイッチを操作している間、曲が進行しているにもかかわらず、歌うことができないので、歌を聴いている人が興醒めしてしまうという問題があった。
【0006】
歌唱者が曲の再生開始前に、曲のピッチを所望のピッチに変更していれば、かかる問題を解消することができるが、そのためには、歌唱者は自身が歌う全ての曲毎に、曲のピッチの変更度合いを覚えておかなければならず、それも面倒であった。
【0007】
これらの問題を解消するカラオケ装置として、歌唱者の声のキーに応じて、自動的に曲のピッチを変更可能としたものが考案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0008】
このカラオケ装置は、カラオケメディア再生装置が出力する歌唱信号を入力し、その信号のピッチを検出する第1のピッチ検出手段と、マイクロホンの出力信号を入力し、その信号のピッチを検出する第2のピッチ検出手段と、第1ピッチ検出手段の出力信号と第2ピッチ検出手段の出力信号とに基づいて、曲と歌唱者の声とのピッチのずれを演算する演算手段とを備え、この演算手段の演算結果に基づいて、歌唱者の声のキーと曲のピッチとが合うように、自動的に調整するように構成されていた。
【特許文献1】特開平6−130890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記従来のカラオケ装置では、全ての歌唱者の声に対して、自動的に曲のピッチを合わせるように構成されていたため、興趣性に欠けるという問題があった。
【0010】
すなわち、カラオケ装置を利用する歌唱者にとっては、いかに上手く歌うかが大きな目的の一つではあるが、曲に合わせた振り付けで踊りながら歌うことや、感情を込めて身振り手振りを交えて歌うことも、興趣性の観点においては大きな目的の一つである。
【0011】
また、歌唱者の歌を聴く人にとっては、上手い歌を聴くことが大きな目的の一つではあるが、歌唱者が歌う際の踊りや身振り手振りを見ることも、興趣性の観点においては大きな目的の一つである。
【0012】
上記従来のカラオケ装置では、歌を上手く歌うこと、及び、上手い歌を聴くことといった利用者の目的については対応できているが、上記した興趣性の観点における目的については対応していなかったため、興趣性に欠けるという問題が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、請求項1に係る本発明では、カラオケ伴奏音楽を再生する再生部と、前記カラオケ伴奏音楽が再生されているときに、歌唱者の動作状態を検出する動作状態検出部と、前記動作状態検出部により検出した前記歌唱者の動作状態が所定の動作状態であるとき、前記カラオケ伴奏音楽を補正する補正部とを備えたカラオケ装置を提供することとした。
【0014】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載のカラオケ装置において、前記補正部は、前記カラオケ伴奏音楽の種別毎に前記歌唱者の動作種別を対応させて記憶した記憶手段と、前記再生部により再生される前記カラオケ伴奏音楽の種別を検出する音楽種別検出手段と、前記音楽種別検出手段により検出したカラオケ伴奏音楽の種別に応じた前記動作種別を前記記憶手段に基づいて判定する動作種別判定手段とを備え、前記歌唱者の動作状態が前記動作種別判定手段で判定した動作種別であるときに、前記所定の動作状態であると判定して、前記カラオケ伴奏音楽を補正することを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に係る本発明では、請求項2に記載のカラオケ装置において、前記補正部は、前記動作状態検出部により検出した前記歌唱者の動作状態と前記カラオケ伴奏音楽との一致度に応じて、前記カラオケ伴奏音楽の補正量を変更することを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に係る本発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラオケ装置において、前記補正部は、前記動作状態検出部により検出した前記歌唱者の動作量に応じて、前記カラオケ伴奏音楽の補正量を変更することを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に係る本発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラオケ装置において、前記補正部は、前記カラオケ伴奏音楽の補正として、前記カラオケ伴奏音楽のピッチを補正することを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に係る本発明では、請求項5に記載のカラオケ装置において、前記補正部は、マイクロホンからの歌声信号に基づいて前記歌唱者の歌声のピッチを検出する歌声ピッチ検出手段と、前記再生部により再生される前記カラオケ伴奏音楽のピッチを検出する伴奏ピッチ検出手段と、前記歌唱者の歌声のピッチと前記カラオケ伴奏音楽のピッチとの差分を検出する差分検出手段とを備え、前記カラオケ伴奏音楽の補正として、前記カラオケ伴奏音楽のピッチを補正し、前記歌声のピッチと前記カラオケ伴奏音楽のピッチとの差を低減することを特徴とする。
【0019】
また、請求項7に係る本発明では、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカラオケ装置において、前記歌唱者が歌声を入力するマイクロホンと前記動作状態検出部とを含むマイクユニットとを備えたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項8に係る本発明では、コンピュータを、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカラオケ装置の前記補正部として機能させるプログラムを提供することとした。
【0021】
また、請求項9に係る本発明では、カラオケ伴奏音楽の再生処理方法であって、カラオケ伴奏音楽を再生するステップと、前記カラオケ伴奏音楽が再生されているときに、歌唱者の動作状態を検出するステップと、前記検出される歌唱者の動作状態が所定の動作状態であるとき、前記カラオケ伴奏音楽を補正するステップとを有するカラオケ伴奏音楽の再生処理方法を提供することとした。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、カラオケ伴奏音楽が再生されているときに、歌唱者の動作状態を検出し、その検出した歌唱者の動作状態に応じて、カラオケ伴奏音楽を補正するため、自身の声のキーと合わないピッチの曲で歌っている歌唱者に対して、体を動かしながら熱唱するように促すことができるので、歌唱者にとっても、歌唱者の歌を聴いている人にとっても、興趣性を向上させたカラオケ装置及びカラオケ伴奏音楽の再生処理方法及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔1.カラオケ装置の概略等について〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本実施形態に係るカラオケ装置の概観を示す説明図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係るカラオケ装置1は、防音壁等により構成された個室(以下、「カラオケボックスH」という。)等に配設され、利用者から選択された楽曲のカラオケ伴奏音楽(以下、「曲」という。)を再生する装置であり、カラオケ装置本体10と、表示部11と、スピーカ12と、マイクユニット13と、リモコン(図示略)とを備えている。
【0025】
カラオケ装置本体10は、複数の楽曲に対応した音データ(以下、「曲データ」という。)と、各楽曲の歌詞の画像や演出映像等を含む画像データとを記憶している。
【0026】
そして、このカラオケ装置本体10は、利用者がリモコン等を操作して所望の楽曲を選択することにより、その選択された楽曲の曲データを再生してスピーカ12から出音させると共に、再生する曲データに対応する歌詞の画像や演出映像を表示部11に表示させ、その利用者が歌を歌い始めると、その利用者(以下、「歌唱者」という。)の歌声もスピーカ12から出音させる装置である。なお、このカラオケ装置本体10の具体的構成等については、後に詳述する。
【0027】
表示部11は、カラオケ装置本体10から入力される画像信号に応じた歌詞の画像や演出映像を表示する装置であり、大型の液晶表示装置により構成している。なお、表示部11は、液晶表示装置に限定するものではなく、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやプラズマディスプレイ等、外部から入力される画像信号に応じた画像を表示可能な装置であれば、任意の表示装置を用いることができる。
【0028】
スピーカ12は、カラオケ装置本体10から入力される音声信号を音に変換して出力する装置である。
【0029】
マイクユニット13は、歌唱者Pの歌声を電気信号である音声信号に変換してカラオケ装置本体10へ出力する装置である。本実施形態では、マイクユニット13内に図示しない無線送信部を設けており、この無線送信部により、音声信号をカラオケ装置本体10へ送信するように構成している。
【0030】
リモコン(図示略。)は、利用者が所望する楽曲を選択する際に操作する選択ボタンや、次に再生する曲を予約するために操作する予約ボタン、曲の再生を中止させるために操作する中止ボタン等、当該カラオケ装置1が備える各種機能を実行させるために操作する複数の操作ボタンと、各操作ボタンが操作されたときに、そのボタン操作に対応した制御信号をカラオケ装置本体10へ送信する無線通信部とを備えている。
【0031】
特に、本実施形態に係るカラオケ装置1は、曲を再生する再生部に加え、曲が再生されているときに、歌唱者Pの動作状態を検出する動作状態検出部と、この動作状態検出部により検出した歌唱者Pの動作状態が所定の動作状態であるときに、歌唱者Pの歌声に合うように曲を補正する補正部とを備えている。
【0032】
本実施形態では、マイクユニット13の内部に、加速度センサにより構成した動作状態検出部を設けることによって、歌を歌っているときの歌唱者Pの動作状態を検出するように構成している。
【0033】
なお、動作状態検出部は、マイクユニット13に配設する加速度センサに限定するものではなく、歌を歌っているときの歌唱者Pの動作状態を検出可能なものであれば任意の構成とすることができる。
【0034】
たとえば、カラオケボックスH内に、歌唱者Pが歌う際に立つステージ等の所定のスペースを設け、このステージの床面に複数の圧力センサを配置しておき、この圧力センサにより、歌唱者Pの動作状態を検出する構成や、ステージを撮影する撮像装置を設けておき、この撮像装置により歌唱者Pの動作態様を撮像してキャプチャリングすることによって、歌唱者Pの動作状態を検出する構成、マイクユニット13内に歌唱者Pがマイクユニット13を握る強さを検出する圧力センサを設け、この圧力センサにより歌唱者Pの動作態様(熱唱度合い)を検出する構成等、任意の構成とすることができる。
【0035】
また、補正部は、曲の補正として、歌唱者Pの歌声のキー(以下、「歌声ピッチ」という。)と曲のピッチ(以下、「伴奏ピッチ」という。)とが合うように、伴奏ピッチを変更して補正するように構成している。
【0036】
本実施形態の補正部が行う補正は、伴奏ピッチを変更する補正に限定するものではなく、歌唱者Pの歌が上手く聴こえるようにする補正であれば、任意の補正を行う構成にしてもよい。
【0037】
たとえば、歌を歌っているときの歌唱者Pの動作状態が所定の動作状態になると、歌唱者Pの歌声にエコーをかける度合いを変更する補正や、曲の再生中に所定のタイミングで歌唱者Pの歌声に、歌唱者Pの歌声よりも5度高いキーの歌声を重畳させる(ハモリを入れる)補正、歌唱者Pの歌のスピードと曲のスピードとを合わせる補正、曲と歌声の音量のバランスを調整する補正等、任意の補正を行う構成にしてもよい。
【0038】
かかる構成にする場合には、後述の音程変更部118(図2参照)に、エコー付加手段や、ハモリ付加手段、再生速度調整手段、音量調整手段等を設ける。
【0039】
このように、本実施形態のカラオケ装置1では、曲の再生中に、歌唱者Pの動作状態が所定の動作状態になると、歌唱者Pの歌が上手に聴こえるように曲を補正するように構成しているため、歌唱者Pに対して、身振り手振りや踊り等といった所定の動作をさせながら歌わせるように促すことができる。
【0040】
その結果、歌唱者Pは、体を動かしながら歌を歌うようになり、当該カラオケ装置1を利用して歌を歌うことに更なる興趣性を感じることができるようになる一方、歌唱者Pの歌を聴いている人にとっても、歌唱者Pの動作によるパフォーマンスを見ながら歌を聴くことができるので、歌を聴くことに更なる興趣性を感じることができるようになる。

〔2.カラオケ装置の電気的構成等について〕
次に、本実施形態に係るカラオケ装置1の電気的構成について説明する。図2は、本実施形態に係るカラオケ装置1の電気的構成を示す説明図である。この図2では、カラオケ装置1の中で、歌唱者Pの動作状態に応じて曲を補正する機能を備えた部分を示しており、その他の部分については省略している。
【0041】
図2に示すように、本実施形態のカラオケ装置1は、利用者により選択された楽曲に対応する画像信号を表示部11へ出力すると共に、利用者により選択された楽曲に対応する音声信号とマイクユニット13から入力される音声信号とを合成(加算処理)してスピーカ12へ出力するカラオケ装置本体10と、このカラオケ装置本体10から入力される画像信号に基づいて画像を表示する表示部11と、カラオケ装置本体10から入力される合成された音声信号を音声として出力するスピーカ12と、歌唱者Pの歌声を検出して音声信号に変換すると共に、歌唱者Pの動作状態を検出して動作信号に変換し、これら音声信号及び動作信号をカラオケ装置本体10へ出力するマイクユニット13とを備えている。
【0042】
また、カラオケ装置本体10は、カラオケデータ記憶部102と、カラオケデータ再生部101と、補正ユニット103と、加算部104と、アンプ105とを備えている。
【0043】
カラオケデータ記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)により構成しており、このHDD内に、各楽曲の曲データと画像データとをそれぞれ対応させて記憶している。
【0044】
本実施形態では、曲データとして、MIDI規格のデータ(以下、「MIDIデータ」という。)を用いるようにしている。
【0045】
1曲分のMIDIデータは、その曲を構成する各パート(楽器)や主旋律(メロディ)部毎のノートデータ(音符のデータ)がそれぞれ記憶された複数のトラックから構成されている。
【0046】
各ノードデータには、各音の出音開始・終了のタイミングを示すデータ、各音のピッチ(高さ)を示すデータ、各音の発音・消音時のベロシティ(強度等)を示すデータ等が含まれている。このように構成された各曲データ及び画像データは、エンコードされた状態でHDDに記憶されている。
【0047】
カラオケデータ再生部101は、デコーダにより構成しており、利用者により再生する楽曲が選択されると、その楽曲に対応する曲データと画像データとをカラオケデータ記憶部102から読み出してデコードし、曲データを補正ユニット103へ出力すると共に、画像データを表示部11へ出力する。
【0048】
また、このカラオケデータ再生部101は、後述のメロディ部データ取得部110及び音程変更部118へ再生する曲データを出力する。
【0049】
マイクユニット13は、歌唱者Pが入力する歌声を電気信号であるデジタルの音声信号に変換するマイクロホン131と、歌唱者Pが歌っているときの動作に伴って移動するマイクユニット13の加速度を検出し、その検出結果を示す動作信号を生成する加速度センサ132とを備えている。
【0050】
本実施形態における加速度センサ132は、圧電効果を利用して物体にかかる加速度を電気信号に変換するピエゾ素子により構成しており、ここでは、マイクユニット13の上下左右前後への移動時における加速度を検出可能な3次元加速度センサを用いている。

つまり、本実施形態では、この加速度センサ132が歌唱者Pの動作状態を検出する動作状態検出部として機能する。
【0051】
また、ここでは図示を省略しているが、このマイクユニット13は、無線送信部を備えており、この無線送信部により音声信号及び動作信号をカラオケ装置本体10へ無線通信により送信するように構成している。
【0052】
加算部104は、マイクユニット13から入力されるデジタルの音声信号(歌声の信号)と、補正ユニット103から入力されるデジタルの音声信号(曲の信号)とを合成してアナログの音声信号を生成するD/Aコンバータにより構成しており、生成した音声信号をアンプ105へ出力する。
【0053】
アンプ105は、加算部104から入力される歌声音声信号を、利用者により設定された音量となるように増幅してスピーカ12へ出力する。
【0054】
また、補正ユニット103は、カラオケ装置本体10内部において、マイクユニット13から入力される動作信号に応じて、歌唱者Pの歌声ピッチに合うように、伴奏ピッチを変更する補正を行う補正部として機能する装置である。
【0055】
この補正ユニット103は、メロディ部データ取得部110と、伴奏ピッチ検出部111と、歌声ピッチ検出部112と、差分検出部113と、音楽種別取得部114と、動作判定部115と、第1テーブル記憶部116と、第2テーブル記憶部117と、音程変更部118と、補正量設定部119と、図示しない無線受信部とを備えている。
【0056】
本実施形態において、メロディ部データ取得部110、伴奏ピッチ検出部111、歌声ピッチ検出部112、差分検出部113、音楽種別取得部114、動作判定部115、音程変更部118、補正量設定部119、無線受信部は、それぞれ所定の情報処理を実行するIC(Integrated Circuit)チップにより構成している。
【0057】
メロディ部データ取得部110を構成するICチップは、所定の情報処理として、カラオケデータ再生部101から入力される曲データの中から、主旋律(メロディ)部を示すノートデータを選択的に取得して、伴奏ピッチ検出部111と補正量設定部119とへ出力する処理を行う。
【0058】
伴奏ピッチ検出部111を構成するICチップは、所定の処理として、メロディ部データ取得部110から入力されるメロディ部のノートデータから、再生中の曲の伴奏ピッチを検出して、検出した伴奏ピッチを示すデータを差分検出部113へ出力する処理を行う。
【0059】
つまり、本実施形態では、このICチップがカラオケデータ再生部101により再生される曲のピッチを検出する伴奏ピッチ検出手段として機能する。
【0060】
歌声ピッチ検出部112を構成するICチップは、所定の処理として、マイクロホン131から出力され、無線送信部と無線受信部とを介して入力される音声信号から、歌唱者Pの歌声ピッチを検出し、その検出した歌声ピッチを示すデータを差分検出部113へ出力する処理を行う。
【0061】
つまり、本実施形態では、このICチップがマイクロホン131からの歌声信号に基づいて、歌唱者Pの歌声のピッチを検出する歌声ピッチ検出手段として機能する。
【0062】
差分検出部113を構成するICチップは、所定の処理として、伴奏ピッチ検出部111から入力される曲の伴奏ピッチを示すデータと、歌声ピッチ検出部112から入力される歌声ピッチを示すデータとから、伴奏ピッチと歌声ピッチとの差分を算出して、その差分を示すデータを補正量設定部119へ出力する処理を行う。
【0063】
つまり、本実施形態では、このICチップが歌唱者Pの歌声のピッチと曲のピッチとの差分を検出する差分検出手段として機能する。
【0064】
音楽種別取得部114を構成するICチップは、所定の処理として、カラオケデータ再生部101から入力される曲データの中から、その曲のテンポを示すノートデータを検出して、再生中の曲の種別(以下、「音楽種別」という。)を検出して取得し、その取得した音楽種別を示すデータを動作判定部115へ出力する。
【0065】
つまり、本実施形態では、この音楽種別取得部114が再生部により再生される曲の種別を検出する音楽種別検出手段として機能する。
【0066】
ここでの音楽種別を示すデータは、曲データ中におけるベース又はドラムのトラックに記録されているノートデータに基づいて生成するようにしており、具体的には、再生中の曲のテンポを、その曲を1分間再生する間にメトロノームが打つ回数に換算したデータと、再生中の曲の1小節内の拍数を示すデータとを含んでいる。
【0067】
動作判定部115を構成するICチップは、所定の処理として、音楽種別取得部114から入力される音楽種別を示すデータと、第1テーブル記憶部116内に記憶している後述の音楽種別―動作種別対応テーブル(図3(a)参照。)とを参照して、音楽種別取得部114により判定された音楽種別に対応して、歌唱者Pが動作するであろう所定の動作種別を判定する処理を行う。
【0068】
つまり、本実施形態では、この動作判定部115を構成するICチップが、音楽種別検出手段により検出した曲の音楽種別に応じた歌唱者Pの動作種別を、第1テーブル記憶部116に記憶している音楽種別―動作種別対応テーブルに基づいて判定する動作種別判定手段として機能する。
【0069】
また、このICチップは、加速度センサ132から入力される動作信号に基づいて、マイクユニット13の移動方向、及び、マイクユニット13の振り幅(マイクユニット13の移動開始から次に移動を停止するまでの移動距離)を算出し、その算出結果に基づいて、歌唱者Pが実際に動作している動作状態を判断すると共に、この判断した歌唱者Pの動作状態と、再生中の曲のテンポから判定した動作種別とが合っているか否かの判断を行う処理を行う。
【0070】
この処理において、このICチップは、歌唱者Pの動作態様と動作種別とが合っていた場合に、歌唱者Pの動作態様と曲とが合っていると判断して、伴奏ピッチの補正を要求する補正量設定部119へ出力する。
【0071】
このように、本実施形態の補正ユニット103では、歌唱者Pの動作状態が動作種別判定手段で判定した動作種別であるときに、歌唱者Pの動作状態が所定の動作状態であると判断して、伴奏ピッチを補正するようにしているため、歌唱者Pは、曲のテンポに合った動作を行うように努めるようになり、その結果、自然と体を動かしながら熱唱するようになるので、歌唱者Pと歌唱者Pの歌を聴いている人にとっての興趣性を向上させることができる。
【0072】
また、このICチップは、音楽種別取得部114から入力される音楽種別を示すデータから、再生中の曲が2拍子、3拍子、4拍子のうちのいずれかを判定すると共に、加速度センサ132から入力される動作信号と、第1テーブル記憶部116に記憶している動作量判定テーブル(図3(b)参照。)とを参照して、何拍子の曲のときに歌唱者Pが何回マイクユニット13を動かしたかを判定し、その判定結果に応じた歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータを補正量設定部119へ出力する。
【0073】
後に詳述するが、このとき、このICチップは、歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータとして、c1、c2、c3のうち、いずれか一つのデータを補正量設定部119へ出力する。
【0074】
また、このICチップは、加速度センサ132から入力される動作信号に基づいて、マイクユニット13の動作開始タイミングを示すデータを補正量設定部119へ出力する処理を行う。
【0075】
補正量設定部119を構成するICチップは、所定の処理として、メロディ部データ取得部110から入力される曲のメロディ部を示すノートデータ、差分検出部113から入力される差分を示すデータ、動作判定部115から入力される伴奏ピッチの補正を要求するデータ、歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータ、マイクユニット13の動作開始タイミングを示すデータ、第2テーブル記憶部117に記憶している後述のタイミング一致度判定テーブル(図3(c)参照。)、補正レベル判定テーブル(図3(d)参照。)、補正量決定テーブル(図3(e)参照。)を逐次参照して、歌唱者Pの動作状態に応じて、伴奏ピッチを変更して補正するか否かを判断すると共に、伴奏ピッチを補正する際には、その補正量を設定し、その設定値を示すデータを音程変更部118へ出力する。
【0076】
音程変更部118を構成するICチップは、補正量設定部119から入力される設定値に基づいて、カラオケデータ再生部101から入力される曲データに対して、伴奏ピッチを変更して補正することにより、歌唱者Pの歌声ピッチと伴奏ピッチとの差を低減する処理を行い、伴奏ピッチを変更した曲データをデジタルの音声信号として加算部104へ出力する処理を行う。
【0077】
また、本実施形態における第1テーブル記憶部116及び第2テーブル記憶部117は、いずれもフラッシュメモリ等の不揮発性メモリにより構成している。
【0078】
第1テーブル記憶部116には、図3(a)に示す音楽種別―動作種別対応テーブルと、図3(b)に示す動作量判定テーブルとを記憶しており、第2テーブル記憶部117には、図3(c)に示すタイミング一致度判定テーブルと、図3(d)に示す補正レベル判定テーブルと、図3(e)に示す補正量決定テーブルとを記憶している。
【0079】
〔3.カラオケ装置内に記憶している各種テーブル等について〕
ここで、本実施形態に係るカラオケ装置1のカラオケ装置本体10内に記憶している各種テーブルについて、具体的に説明する。図3は、本実施形態のカラオケ装置に記憶されている各種テーブルを示す説明図である。
【0080】
音楽種別―動作種別対応テーブルは、図3(a)に示すように、曲を1分間再生する間にメトロノームが打つ回数(以下、「曲のテンポ」という。)と、その曲を歌唱者Pが歌う際に動作するであろう所定の動作種別とを対応させたテーブルである。
【0081】
つまり、本実施形態では、この音楽種別―動作種別対応テーブルを記憶している第1テーブル記憶部116が、曲の種別毎に歌唱者Pの動作種別を対応させて記憶した記憶手段として機能する。
【0082】
本実施形態では、曲のテンポが90以下の音楽種別に対応する所定の動作種別をマイクユニット13を回す動作とし、曲のテンポが91〜100の音楽種別に対応する所定の動作種別を歌唱者Pが左右に揺れる動作とし、曲のテンポが101〜120の音楽種別に対応する所定の動作種別を歌唱者Pがマイクユニット13を前後に振る動作とし、曲のテンポが141以上の音楽種別に対応する所定の動作を歌唱者Pが飛び跳ねる動作としている。
【0083】
そして、動作判定部115は、この音楽種別―動作種別対応テーブルを参照して、再生中の曲のテンポに対応する動作種別を判定する。
【0084】
そして、動作判定部115は、この判定した動作種別と、実際の歌唱者Pの動作態様とを比較して、これら2つの動作が合っているか否かを判断し、合っているときに、補正量設定部119へ伴奏ピッチの補正を要求するデータを出力する。
【0085】
動作量判定テーブルは、図3(b)に示すように、曲の拍数と、その曲が1小節再生されている間に歌唱者Pがマイクユニット13を動かした回数と、これらにそれぞれ対応した歌唱者Pの頑張り度合とを対応させたテーブルである。
【0086】
本実施形態では、2拍の曲において、歌唱者Pがマイクユニット13を動かした回数が1回又は、3拍の曲において、歌唱者Pがマイクユニット13を1回、又は、4拍の曲において歌唱者Pがマイクユニット13を2回動かした場合の頑張り度合いをc1(小)としている。
【0087】
また、2拍の曲において、歌唱者Pがマイクユニット13を動かした回数が2回又は、3拍の曲において、歌唱者Pがマイクユニット13を3回、又は、4拍の曲において歌唱者Pがマイクユニット13を4回動かした場合の頑張り度合いをc2(中)としている。
【0088】
また、2拍の曲において、歌唱者Pがマイクユニット13を動かした回数が4回又は、3拍の曲において、歌唱者Pがマイクユニット13を6回、又は、4拍の曲において歌唱者Pがマイクユニット13を8回動かした場合の頑張り度合いをc3(大)としている。
【0089】
そして、動作判定部115では、この動作量判定テーブルを参照して、曲の再生中における歌唱者Pの頑張り度合いを判定し、その判定結果である頑張り度合いを示すデータを補正量設定部119へ出力する。
【0090】
タイミング一致度判定テーブルは、図3(c)に示すように、曲の再生が開始されてから所定の時間が経過した時点(例えば、正しい歌い始めのタイミング)と歌唱者Pの動作開始タイミング(マイクユニット13の移動開始タイミングを含む)とのずれ(以下、「時間ずれ」という。)と、その時間ずれの度合を示す時間ずれレベルとを対応させたテーブルである。
【0091】
本実施形態では、時間ずれが0拍以上1/4拍以下までを時間ずれレベルA(小)とし、時間ずれが1/4拍より長く1/2拍以下までを時間ずれレベルB(中)とし、時間ずれが1/2拍以上1拍以下を時間ずれレベルC(大)としている。
【0092】
そして、補正量設定部119は、このタイミング一致度判定テーブルと、動作判定部115から入力される動作開始タイミングを示すデータとを参照して、マイクユニット13を持つ歌唱者Pの動作状態と再生中の曲との一致度を判定して、時間ずれレベルを決定する。
【0093】
補正レベル判定テーブルは、図3(d)に示すように、時間ずれレベルと、歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータと、これら2種類の情報から決定される伴奏ピッチの補正レベルとを対応させたテーブルである。
【0094】
本実施形態では、時間ずれレベルがC(大)のときに、歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータがc1(小)又はc2(中)であれば、補正レベルをLv1(小)とし、歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータがc3(大)であれば、補正レベルをLv2(中)としている。
【0095】
また、時間ずれレベルがB(中)のときに、歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータがc1(小)又はc2(中)であれば、補正レベルをLv2(中)とし、歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータがc3(大)であれば、補正レベルをLv3(大)としている。
【0096】
また、時間ずれレベルがA(小)のときに、歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータがc1(小)であれば、補正レベルをLv2(中)とし、歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータがc2(中)又はc3(大)であれば、補正レベルをLv3(大)としている。
【0097】
そして、補正量設定部119は、この補正レベル判定テーブルと、歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータと、時間ずれレベルとを参照して、再生中の曲に対して行う伴奏ピッチの補正レベルを決定する。
【0098】
このように、本実施形態の補正ユニット103では、動作状態検出部により検出した歌唱者Pの動作状態と曲との一致度(時間ズレの少なさ)と、動作状態検出部により検出した歌唱者Pの動作量(歌唱者Pの頑張り度合い)とに応じて、伴奏ピッチの補正量を変更するように構成しているため、歌唱者Pは、できるだけ曲のリズムに合わせながら、より頑張って体を動かすようになるので、歌唱者Pと歌唱者Pの歌を聴いている人にとっての興趣性が寄り一層向上させることができる。
【0099】
なお、本実施形態では、曲の表拍子と歌唱者Pの動作開始タイミングとが一致している場合に、曲のテンポと歌唱者Pの動作とが一致していると判断する場合を例に挙げて説明しているため、タイミング一致度判定テーブルを図3(c)に示すように設定しているが、曲の裏拍子と歌唱者Pの動作開始タイミングとが一致している場合に、曲のテンポと歌唱者Pの動作とが一致していると判断するように構成してもよい。
【0100】
このように構成する場合には、図3(c)に示すタイミング一致度判定テーブルにおける時間ずれの欄内の各拍数に、それぞれ1/2拍を加算したタイミング一致度判定テーブルを設ける。
【0101】
補正量決定テーブルは、図3(e)に示すように、補正レベルと実際の補正量を示す補正値とを対応させたテーブルである。
【0102】
本実施形態では、差分検出部113により検出した伴奏ピッチと歌声ピッチとの差分の平均値をpdとした場合に、補正レベルLv1(小)のときの補正値をpd×1/4(小)とし、補正レベルLv2(中)のときの補正値をpd×1/2(中)とし、補正レベルLv3(大)のときの補正値をpd(大)としている。
【0103】
補正量設定部119は、この補正量決定テーブルを参照して再生中の曲の伴奏ピッチの補正量を決定し、その設定値を示すデータを音程変更部118へ出力する。
【0104】
そして、音程変更部118は、補正量設定部119から入力される設定値に基づいて、歌声ピッチと伴奏ピッチとの差を低減するように、伴奏ピッチを変更する補正を行う。
【0105】
〔4.カラオケ装置の動作等について〕
ここで、上記のように構成した本実施形態に係るカラオケ装置1の動作等について説明する。ここでは、カラオケ装置本体10が曲のピッチを補正する際の動作を中心に説明することとし、その他の動作については、その詳細な説明を省略する。
【0106】
図4及び図5は、本実施形態のカラオケ装置1で実行される処理を示すフローチャートである。
【0107】
〔4.1.メイン処理〕
本実施形態のカラオケ装置1では、カラオケ装置本体10、表示部11、マイクユニット13のそれぞれの電源がONされてからOFFされるまでの間、カラオケ装置本体10が図4に示すメイン処理を実行する。以下、このメイン処理について具体的に説明する。
【0108】
図4に示すように、このメイン処理において、カラオケ装置本体10では、まず、歌唱者Pにより再生曲が決定されたか否かの判断を行う(ステップS10)。
【0109】
ここで、カラオケ装置本体10では、カラオケデータ再生部101が、リモコンから無線受信部(図示略。)を介して、再生曲が決定されたことを示す信号を受信した場合に、再生曲が決定されたと判断して(ステップS10:Yes)、処理をステップS11へ移し、再生曲が決定されたことを示す信号を受信しなかった場合に、再生曲が決定されていないと判断して(ステップS10:No)、再度ステップS10の処理を行う。
【0110】
次に、ステップS11において、カラオケ装置本体10では、メロディ部データ取得部110が曲データを取得する処理を行い、その後、ステップS12において、取得した曲データからメロディ部のノートデータを取得して、伴奏ピッチ検出部111へ出力する処理を行う。
【0111】
また、このステップS12においては、音楽種別取得部114が曲のテンポを取得して、動作判定部115へ出力する処理を行い、その後、処理をステップS13へ移す。
【0112】
さらに、このステップ12において、カラオケ装置本体10では、動作判定部115が音楽種別―動作種別対応テーブル(図3(a)を参照。)を参照して、音楽種別取得部114が取得した曲のテンポに対応する動作種別を判定する。
【0113】
次に、ステップS13において、カラオケ装置本体10では、伴奏ピッチ検出部111が曲データから1小節の長さ(時間)を測定する処理を行い、その後、処理をステップS14へ移す。
【0114】
次に、ステップS14において、カラオケ装置本体10では、伴奏ピッチ検出部111がメロディスタート小節から4小節間の伴奏ピッチを取得して、差分検出部113へ出力する処理を行い、その後、処理をステップS15へ移す。
【0115】
次に、ステップS15において、カラオケ装置本体10では、カラオケデータ再生部101が曲の再生をスタートする処理を行う。
【0116】
その後、カラオケ装置本体10では、ステップS16〜ステップS17の処理と、ステップS18の処理とが並行して実行される。
【0117】
ステップS16において、カラオケ装置本体10では、歌声ピッチ検出部112がメロディスタート小節から4小節間の歌声ピッチを取得して、差分検出部113へ出力する処理を行い、その後、処理をステップS17へ移す。
【0118】
次に、ステップS17において、カラオケ装置本体10では、差分検出部113が伴奏ピッチと歌声ピッチとの差分の平均値pdを算出し、その算出結果を示すデータを補正量設定部119へ出力する処理を行い、その後、処理をステップS19へ移す。
【0119】
また、ステップS18において、カラオケ装置本体10では、動作判定部115が、加速度センサ132から入力される動作信号に基づいて、メロディスタート小節から4小節間のマイクユニット13(歌唱者P)の動作量を取得する処理を行い、その後、処理をステップS19へ移す。
【0120】
また、このステップS18において、動作判定部115は、動作量判定テーブル(図3(b)参照。)を参照して、歌唱者Pの頑張り度合いを判定し、その判定結果である歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータを補正量設定部119へ出力する処理を行う。
【0121】
次に、ステップS19において、カラオケ装置本体10では、動作判定部115が、動作量を取得した小節間内に加速度センサ132で一定以上の動作量を検出したか否かの判断を行う。
【0122】
ここで、動作判定部115は、加速度センサ132により検出した動作量(マイクユニット13の移動量)が5cm以上であった場合に、一定以上の動作量を検出したと判断して(ステップS19:Yes)、処理をステップS21へ移し、5cm未満であった場合に、一定以上の動作量を検出しなかったと判断して(ステップS19:No)、処理をステップS20へ移す。
【0123】
次に、ステップS21において、カラオケ装置本体10では、補正ユニット103が伴奏ピッチを補正する後述の補正処理(図5参照。)を行い、その後、処理をステップS22へ移す。
【0124】
また、ステップS20において、カラオケ装置本体10では、動作判定部115が、ステップS18で動作量を取得した小節の次の4小節から、再度マイクユニット13(歌唱者P)の動作量を取得する処理を行い、その後、処理をステップS22へ移す。
【0125】
次に、ステップS22において、カラオケ装置本体10では、カラオケデータ再生部101が曲の再生がストップしたか否かの判断を行い、ストップしたと判断した場合に(ステップS22:Yes)、処理をステップS10へ移し、ストップしていないと判断した場合に(ステップS22:No)、処理をステップS19へ移す。
【0126】
〔4.2.補正処理〕
次に、メイン処理のステップS21において実行される補正処理について、図5を参照して説明する。
【0127】
図5に示すように、この補正処理において、カラオケ装置本体10では、まず、動作判定部115がステップS31〜S37の処理を実行することにより、マイクユニット13(歌唱者P)の動作態様を判定する処理を行う。
【0128】
すなわち、ステップS31において、動作判定部115は、加速度センサ132から入力される動作信号に基づいて、マイクユニット13が左右に移動しているか否かの判断を行う。
【0129】
ここで、動作判定部115は、マイクユニット13が左右に移動していると判断した場合に(ステップS31:Yes)、処理をステップS34へ移し、左右に移動していないと判断した場合に(ステップS31:No)、処理をステップS32へ移す。
【0130】
また、ステップS32において、動作判定部115は、加速度センサ132から入力される動作信号に基づいて、マイクユニット13の振り幅が20cm以下であるか否かの判断を行う。
【0131】
ここで、動作判定部115は、マイクユニット13の振り幅が20cm以下であると判断した場合に(ステップS32:Yes)、処理をステップS33へ移して、歌唱者Pがマイクユニット13を前後に振っていると判断し、その後、処理をステップS38へ移す。
【0132】
一方、動作判定部115は、マイクユニット13の振り幅が20cmより大きいと判断した場合に(ステップS32:No)、処理をステップS36へ移して、歌唱者Pが飛び跳ねていると判断し、その後、処理をステップS38へ移す。
【0133】
また、ステップS34において、動作判定部115は、マイクユニット13の振り幅が20cm以下であるか否かの判断を行う。
【0134】
ここで、動作判定部115は、マイクユニット13の振り幅が20cm以下であると判断した場合に(ステップS34:Yes)、処理をステップS35へ移して、歌唱者Pがマイクユニット13を回していると判断し、その後、処理をステップS38へ移す。
【0135】
一方、動作判定部115は、マイクユニット13の振り幅が20cmよりも大きいと判断した場合に(ステップS34:No)、処理をステップS37へ移して、歌唱者Pが左右に揺れていると判断し、その後、処理をステップS38へ移す。
【0136】
そして、ステップS38において、カラオケ装置本体10では、動作判定部115が音楽種別―動作種別対応テーブル(図3(a)参照。)を参照する処理を行い、その後、処理をステップS39へ移す。
【0137】
次に、ステップS39において、カラオケ装置本体10では、動作判定部115が歌唱者Pの動作と曲とが合っているか否かの判断を行う。
【0138】
ここで、動作判定部115は、ステップS31〜ステップS37で判断した歌唱者Pの動作態様と、ステップS12で判定した動作種別(図3(a)参照。)とが同一であった場合に、歌唱者Pの動作と曲とが合っていると判断して(ステップS39:Yes)、伴奏ピッチの補正を要求するデータを補正量設定部119へ出力する処理を行い、その後、処理をステップS40へ移す。
【0139】
一方、動作判定部115は、ステップS31〜ステップS37で判断した歌唱者Pの動作態様と、ステップS12で判定した動作種別とが同一でなかった場合に、歌唱者Pの動作と曲とが合っていないと判断して(ステップS39:No)、処理をステップS47へ移す。
【0140】
ステップS40において、カラオケ装置本体10では、補正量設定部119が動作判定部115から入力されるマイクユニット13の動作開始タイミングを示すデータに基づいて、歌唱者Pの動作スタート時刻を取得する処理を行い、その後、処理をステップS41へ移す。
【0141】
次に、ステップS41において、カラオケ装置本体10では、補正量設定部119が1小節目頭の時刻と、ステップS41で取得した歌唱者Pの動作スタートの時刻とのずれが1拍分以内か否かを判断し、1拍よりも長いと判断した場合に(ステップS41:No)、処理をステップS47へ移す。
【0142】
一方、このステップS41において、補正量設定部119は、1小節目頭の時刻と歌唱者Pの動作スタートの時刻とのずれが1拍分以内であると判断した場合に(ステップS41:Yes)、タイミング一致度判定テーブル(図3(c)参照。)を参照して、時間ずれレベルを判定し、その後、処理をステップS42へ移す。
【0143】
ステップS47において、カラオケ装置本体10では、動作判定部115が次の4小節から再度マイクユニット13(歌唱者P)の動作量を取得する処理を行い、その後、この補正処理を終了する。
【0144】
ステップS42において、カラオケ装置本体10では、補正量設定部119が補正レベル判定テーブル(図3(d)参照。)を参照して、補正レベルを取得する処理を行い、その後、処理をステップS43へ移す。
【0145】
ここで、補正量設定部119は、動作判定部115から入力される歌唱者Pの頑張り度合いを示すデータと、ステップS41で判定した時間ずれレベルと、補正レベル判定テーブル(図3(d)参照。)とに基づいて、補正レベルを判定して取得する。
【0146】
そして、補正量設定部119は、補正量決定テーブル(図3(e)参照。)を参照して、取得した補正レベルに対応する補正値を決定して設定する。
【0147】
次に、ステップS43において、カラオケ装置本体10では、音程変更部118がステップS42で設定された補正値の分だけ曲のピッチを変更して補正する処理を行い、その後、処理をステップS44へ移す。
【0148】
次に、ステップS44において、カラオケ装置本体10では、音程変更部118がステップS42で設定された補正レベルがLv1であるか否かの判断を行い、Lv1であると判断した場合に(ステップS44:Yes)、処理をステップS48へ移す。
【0149】
一方、音程変更部118は、補正レベルがLv1でないと判断した場合に(ステップS44:No)、処理をステップS45へ移す。
【0150】
ステップS48において、カラオケ装置本体10では、動作判定部115が、次の4小節から再度マイクユニット13(歌唱者P)の動作量を取得する処理を行い、その後、この補正処理を終了する。
【0151】
そして、ステップS45において、音程変更部118は、ステップS42で設定された補正レベルがLv2であるか否かの判断を行い、Lv2であると判断した場合に(ステップS45:Yes)、処理をステップS49へ移し、補正レベルがLv2でないと判断した場合に(ステップS45:No)、処理をステップS46へ移す。
【0152】
ステップS49において、カラオケ装置本体10では、動作判定部115が次の8小節から再度マイクユニット13(歌唱者P)の動作量を取得する処理を行い、その後、この補正処理を終了する。
【0153】
ステップS46において、このカラオケ装置本体10では、音程変更部118が曲のピッチを変更して補正する処理を終了し、その後、この補正処理を終了する。
【0154】
このように、本実施形態のカラオケ装置1では、カラオケデータ再生部101が曲を再生しているときに、補正ユニット103がマイクユニット13から入力される動作信号に基づいて、歌唱者Pの動作状態を検出すると共に、その検出結果と、カラオケデータ再生部101から入力される曲データとに基づいて、歌唱者Pが再生中の曲のテンポに合った所定の動作態様で動作していると判断した場合に、その動作のタイミングと曲との一致度と、その動作量に応じた歌唱者Pの頑張り度合いとに応じた補正量で、歌声ピッチと伴奏ピッチとの差分を低減するように伴奏ピッチを補正するように構成している。
【0155】
かかる構成とすることにより、歌唱者Pは、自身の歌声ピッチと曲の伴奏ピッチとを一致させようと、曲のテンポに合わせて積極的に体を動かすようになるので、自然と身振り手振りを交えて熱唱するようになり、歌うことへの興趣性が向上する。
【0156】
しかも、歌唱者Pは、体を動かしながら歌うことで、その歌を聴いている人の注目を集めることができるので、これによっても、歌うことへの興趣性が向上する。
【0157】
また、その歌唱者Pの歌を聴いている人も、伴奏ピッチと歌声ピッチとがあった上手い歌を聴くことができるだけでなく、歌唱者Pの動作によるパフォーマンスも見ることができるので、当該カラオケ装置1を利用することへの興趣性が向上する。
【0158】
また、上記のように、本実施形態では、カラオケ装置本体10内に設けた補正ユニット103を構成する各ICチップが、それぞれ所定の情報処理を実行することによって、伴奏ピッチを補正するようにカラオケ装置1を構成したが、補正ユニット103の構成は、これに限定するものではなく、例えば、図4及び図5のフローチャートに示す情報処理を実行するためのプログラムを記憶した不揮発性メモリと、この不揮発性メモリからプログラムを読み出して所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、このCPUが演算処理を実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)とを備えたコンピュータにより、補正ユニット103を構成してもよい。
【0159】
かかる構成とすることにより、補正ユニット103の回路規模をコンパクトにすることができると共に、不揮発性メモリに記憶するプログラムを書き換えるだけで、曲の補正内容や、補正を行う条件などを容易に変更することができ、カラオケ装置1の興趣性をより一層向上させることができる。
【0160】
また、本実施形態では、歌唱者Pが再生中の曲のテンポに合った所定の動作態様で動作していることと、その動作のタイミングと曲との一致度と、その動作量に応じた歌唱者Pの頑張り度合いという3つの条件を複合して、伴奏ピッチを補正するか否か、及び、補正する場合の伴奏ピッチの補正量を決定しているが、これら3つの条件のうち、少なくとも1つの条件に基づいて、伴奏ピッチを補正するか否か、及び、補正する場合の伴奏ピッチの補正量を決定してもよい。
【0161】
また、本実施形態では、歌唱者Pの動作量が大きいほど、伴奏ピッチの補正量を大きくしているが、再生する曲のジャンルに応じて、歌唱者Pの動作量が小さいほど、伴奏ピッチの補正量を大きくするように構成してもよい。
【0162】
かかる構成とする場合には、図3(b)に示す動作量判定テーブルにおける頑張り度合いを示すデータの配列(c1、c2、c3)を逆にc3、c2、c1となるように配列する。
【0163】
こうすることにより、たとえば、再生する楽曲がバラード調の楽曲である場合に、歌唱者Pが激しく動作して、歌を聴いている人が興醒めしてしまうことを防止することができる。
【0164】
また、本実施形態では、1台のカラオケ装置1に1つのマイクユニット13を設けるように構成しているが、1台のカラオケ装置1に複数のマイクユニット13を設けるように構成してもよい。
【0165】
そして、マイクユニット13を複数設ける場合には、動作判定部115により、複数のマイクユニット13同士の一致度を判定し、その一致度に応じて、伴奏ピッチの補正量を決定するように構成する。
【0166】
かかる構成とすることにより、たとえば、デュエット曲等、複数の歌唱者Pが同時に歌う楽曲を再生する場合に、各歌唱者Pは、積極的にお互いの動作を合わせようとするようになるため、これによっても、当該カラオケ装置1を利用することへの興趣性が向上する。
【0167】
また、本実施形態では、補正ユニット103が曲の再生中に所定期間(ここでは、4小節間)歌唱者Pの動作量を検出し、検出した動作量が所定の値を超えたときに、補正ユニット103により伴奏ピッチを補正するように構成しているが、歌唱者Pの動作量を検出する期間や伴奏ピッチに補正を行う期間を予め設定しておき、その設置した期間にのみ、歌唱者Pの動作量の検出や、伴奏ピッチの補正を行うように構成してもよい。
【0168】
そして、歌唱者Pの動作量を検出する期間や、伴奏ピッチに補正を行う期間を予め設定する場合には、たとえば、曲のサビの部分に対応する4小節間にのみ、歌唱者Pの動作状態を検出するか、若しくは、曲のサビの部分に対応する4小節間にのみ、伴奏ピッチの補正を行うように構成する。
【0169】
曲のサビの部分に対応する4小節間にのみ、歌唱者Pの動作状態を検出するように構成した場合、歌唱者Pは、歌を聴いている人が最も注目する曲のサビの部分において、積極的に体を動かしながら歌うようになる。
【0170】
また、曲のサビの部分に対応する4小節間にのみ、伴奏ピッチの補正を行うように構成した場合、歌を聴く人は、少なくとも最も聞きたい歌のサビの部分に関しては、伴奏ピッチと歌声ピッチとが合った上手い歌を聴くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】本実施形態のカラオケ装置の概観を示す説明図である。
【図2】本実施形態のカラオケ装置の電気的構成を示す説明図である。
【図3】本実施形態のカラオケ装置に記憶されている各種テーブルを示す説明図である。
【図4】本実施形態のカラオケ装置で実行される処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態のカラオケ装置で実行される処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0172】
P 歌唱者
H カラオケボックス
1 カラオケ装置
10 カラオケ装置本体
11 表示部
12 スピーカ
13 マイクユニット
101 カラオケデータ再生部
102 カラオケデータ記憶部
103 補正ユニット
104 加算部
105 アンプ
110 メロディ部データ取得部
111 伴奏ピッチ検出部
112 歌声ピッチ検出部
113 差分検出部
114 音楽種別取得部
115 動作判定部
116 第1テーブル記憶部
117 第2テーブル記憶部
118 音程変更部
119 補正量設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ伴奏音楽を再生する再生部と、
前記カラオケ伴奏音楽が再生されているときに、歌唱者の動作状態を検出する動作状態検出部と、
前記動作状態検出部により検出した前記歌唱者の動作状態が所定の動作状態であるとき、前記カラオケ伴奏音楽を補正する補正部と、を備えた
ことを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
前記補正部は、
前記カラオケ伴奏音楽の種別毎に前記歌唱者の動作種別を対応させて記憶した記憶手段と、
前記再生部により再生される前記カラオケ伴奏音楽の種別を検出する音楽種別検出手段と、
前記音楽種別検出手段により検出したカラオケ伴奏音楽の種別に応じた前記動作種別を前記記憶手段に基づいて判定する動作種別判定手段と、を備え、
前記歌唱者の動作状態が前記動作種別判定手段で判定した動作種別であるときに、前記所定の動作状態であると判定して、前記カラオケ伴奏音楽を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記補正部は、
前記動作状態検出部により検出した前記歌唱者の動作状態と前記カラオケ伴奏音楽との一致度に応じて、前記カラオケ伴奏音楽の補正量を変更する
ことを特徴とする請求項2に記載のカラオケ装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記動作状態検出部により検出した前記歌唱者の動作量に応じて、前記カラオケ伴奏音楽の補正量を変更する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラオケ装置。
【請求項5】
前記補正部は、前記カラオケ伴奏音楽の補正として、前記カラオケ伴奏音楽のピッチを補正する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラオケ装置。
【請求項6】
前記補正部は、
マイクロホンからの歌声信号に基づいて前記歌唱者の歌声のピッチを検出する歌声ピッチ検出手段と、
前記再生部により再生される前記カラオケ伴奏音楽のピッチを検出する伴奏ピッチ検出手段と、
前記歌唱者の歌声のピッチと前記カラオケ伴奏音楽のピッチとの差分を検出する差分検出手段と、を備え、
前記カラオケ伴奏音楽の補正として、前記カラオケ伴奏音楽のピッチを補正し、前記歌声のピッチと前記カラオケ伴奏音楽のピッチとの差を低減する
ことを特徴とする請求項5に記載のカラオケ装置。
【請求項7】
前記歌唱者が歌声を入力するマイクロホンと前記動作状態検出部とを含むマイクユニットとを備えた
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のカラオケ装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカラオケ装置の前記補正部として機能させるプログラム。
【請求項9】
カラオケ伴奏音楽の再生処理方法であって、
カラオケ伴奏音楽を再生するステップと、
前記カラオケ伴奏音楽が再生されているときに、歌唱者の動作状態を検出するステップと、
前記検出される歌唱者の動作状態が所定の動作状態であるとき、前記カラオケ伴奏音楽を補正するステップと、を有する
ことを特徴とするカラオケ伴奏音楽の再生処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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