説明

カラオケ装置

【課題】カラオケ楽曲の演奏音程及びカラオケ歌唱により入力された入力音程を表示可能であって、演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程、入力音程の表示処理負担の増大を防止し得るカラオケ装置を提供する。
【解決手段】カラオケ装置1は、キー設定ボタン35の操作に基づいて、カラオケ楽曲の演奏音程を変更する。又、カラオケ装置1は、演奏音程グラフM、入力音程グラフVを含む歌唱ガイドグラフGをディスプレイ40に表示する。演奏音程グラフMは、再生出力されるカラオケ楽曲の演奏音程を示し、歌唱ガイドグラフG上に表示される。入力音程グラフVは、マイク50により入力された歌唱音声の音程を示し、歌唱音声の入力がある毎に描画される。歌唱ガイドグラフGが表示されている場合に、キー設定ボタン35で演奏音程の変更が行われると、カラオケ装置1は、演奏音程グラフMの表示位置を変更することなく、入力音程グラフVの描画位置を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ楽曲の演奏音程及びカラオケ歌唱により入力された入力音程を表示可能なカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ装置においては、カラオケ楽曲の演奏音程と、歌唱音声の入力に基づく入力音程をディスプレイ上に表示する歌唱ガイド機能を有するものが知られている。この歌唱ガイド機能を有するカラオケ装置は、先ず、一定期間分のお手本となる音程(即ち、演奏音程)の変化をディスプレイ上にグラフ表示し、歌唱音声が入力される毎に、入力された歌唱音声の音程を当該ディスプレイに描画する。
【0003】
例えば、当該歌唱ガイド機能を有するカラオケ装置に関する発明として、特許文献1記載の発明が知られている。当該特許文献1記載のカラオケ装置は、お手本となる音声の音程の時間的な変化を示すグラフと、歌唱者の音声の音程の時間的な変化を示すグラフを表示部に表示するように構成されている。従って、当該特許文献1記載のカラオケ装置によれば、歌唱者は、表示部を視認することで、お手本の音程と、自己の歌唱音程との差を把握することができ、お手本に合わせた歌唱を試みることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2008−020798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、カラオケ装置においては、歌唱者がカラオケ楽曲の演奏音程を自らの歌唱し易い音程とするために、キー変更ボタン等の操作により、カラオケ楽曲の演奏音程を任意に変更し得るように構成されている。又、当該カラオケ装置では、キー変更ボタン等による演奏音程の変更は、任意のタイミングで、自由に行うことができるように構成されている。
【0006】
そして、特許文献1記載のカラオケ装置のような歌唱ガイド機能においては、カラオケ楽曲の演奏音程と、入力された歌唱音程の差を正確に表示することが重要である。従って、変更ボタン等による演奏音程の変更が行われた場合、ディスプレイ上のグラフ表示は、変更後の音程を反映している必要がある。
【0007】
この点に対する対応策の一つとしては、変更ボタン等による演奏音程の変更が行われた時点で、現在表示されている変更前の演奏音程に係るグラフ表示を消去し、変更後の演奏音程に係るグラフ表示を再描画するという対応がある。上述したように、演奏音程の変更は任意のタイミングで自由に行い得るため、演奏音程を変更する度に、演奏音程に係るグラフの消去・再描画を行うこととなり、画像処理に関する処理負担が増大してしまう。
【0008】
又、別の対応策としては、変更ボタン等による演奏音程の変更が行われた時点で、変更後の演奏音程に係るグラフを、変更前の演奏音程に係るグラフと異なる表示態様(例えば、異なる表示色)で描画するという対応がある。この場合においても、演奏音程を変更する度に、新たな表示態様で演奏音程に係るグラフを描画するため、画像処理に関する処理負担が増大してしまう。又、何度も演奏音程を変更した場合、ディスプレイ上に過去の演奏音程に関するグラフが何本も残存した状態となったり、変更後のグラフの表示態様を確保する必要も生じたりしてしまうことからも、画像処理に関する処理負担を増大させてしまうこととなる。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、カラオケ楽曲の演奏音程及びカラオケ歌唱により入力された入力音程を表示可能なカラオケ装置であって、演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程、入力音程の表示処理負担の増大を防止し得るカラオケ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面に係る請求項1記載のカラオケ装置は、楽曲再生手段と、音声入力手段と、表示手段と、演奏音程変更手段と、表示制御手段と、を有するカラオケ装置であって、前記楽曲再生手段は、カラオケデータに基づいて、カラオケ楽曲を再生出力し、前記音声入力手段は、カラオケ楽曲に係る歌唱音声の入力に用いられ、前記演奏音程変更手段は、前記楽曲再生手段により再生出力されるカラオケ楽曲の演奏音程を、ユーザの操作に基づいて変更し、前記表示手段は、前記楽曲再生手段により再生出力されるカラオケ楽曲の演奏音程を示す演奏音程グラフと、前記音声入力手段による歌唱音声の入力に伴って描画され、当該歌唱音声の音程を示す入力音程グラフと、を有し、前記カラオケ楽曲の演奏音程と、前記歌唱音声の音程との差分を示す歌唱ガイドグラフを表示し、前記表示制御手段は、前記演奏音程変更手段により、カラオケ楽曲の演奏音程が変更された場合に、前記歌唱ガイドグラフに表示されている前記演奏音程グラフの表示位置を変更することなく、当該演奏音程グラフを基準として、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と歌唱音声の音程の差分により決定される位置に、前記入力音程グラフを描画することを特徴とする。
【0011】
当該カラオケ装置は、楽曲再生手段と、音声入力手段と、表示手段と、演奏音程変更手段と、表示制御手段と、を有する。演奏音程変更手段は、楽曲再生手段により再生出力されるカラオケ楽曲の演奏音程を、ユーザの操作に基づいて変更する。表示手段は、演奏音程グラフと、入力音程グラフを有し、前記カラオケ楽曲の演奏音程と、前記歌唱音声の音程との差分を示す歌唱ガイドグラフを表示する。演奏音程グラフは、楽曲再生手段により再生出力されるカラオケ楽曲の演奏音程を示す。入力音程グラフは、音声入力手段による歌唱音声の入力に伴って描画され、当該歌唱音声の音程を示す。当該カラオケ装置は、カラオケ楽曲の演奏音程が変更された場合に、前記歌唱ガイドグラフに表示されている前記演奏音程グラフの表示位置を変更することなく、当該演奏音程グラフを基準として、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と歌唱音声の音程の差分により決定される位置に、前記入力音程グラフを描画する。即ち、当該カラオケ装置は、演奏音程が変更された場合であっても、歌唱ガイドグラフに表示されている前記演奏音程グラフの表示位置を変更することはない。従って、当該カラオケ装置によれば、変更前の演奏音程グラフの消去等に基づく処理負担が生じることはない。更に、当該カラオケ装置では、入力音程グラフは歌唱音声の入力に伴って描画されるので、入力音程グラフの描画位置を、当該演奏音程グラフを基準として、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と歌唱音声の音程の差分により決定される位置としても、入力音程グラフの描画処理に関する処理負担が増大することはない。即ち、当該カラオケ装置は、演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程グラフ、入力音程グラフを有する歌唱ガイドグラフの表示に関する処理負担の増大を防止し得る。
【0012】
本発明の一側面に係る請求項2記載のカラオケ装置は、請求項1記載のカラオケ装置であって、前記演奏音程変更手段によるカラオケ楽曲の演奏音程の変更時点で、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されているか否かを判断する判断手段と、を有し、前記表示制御手段は、前記判断手段により、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されていると判断された場合、前記演奏音程グラフの表示位置を変更することなく、当該演奏音程グラフを基準として、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と歌唱音声の音程の差分により決定される位置に、前記入力音程グラフを描画し、前記判断手段により、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されていないと判断された場合、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程に基づく位置に、前記演奏音程グラフを表示し、前記音声入力手段による歌唱音声に基づく位置に、前記入力音程グラフを描画することを特徴とする。
【0013】
当該カラオケ装置は、判断手段により、歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されていると判断された場合、前記演奏音程グラフの表示位置を変更することなく、当該演奏音程グラフを基準として、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と歌唱音声の音程の差分により決定される位置に、前記入力音程グラフを描画する。従って、当該カラオケ装置は、この場合には、上述した請求項1に係るカラオケ装置と同様に、演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程グラフ、入力音程グラフを有する歌唱ガイドグラフの表示に関する処理負担の増大を防止し得る。更に、当該カラオケ装置は、前記判断手段により、歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されていないと判断された場合、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程に基づく位置に、前記演奏音程グラフを表示し、前記音声入力手段による歌唱音声に基づく位置に、前記入力音程グラフを描画する。この場合、歌唱ガイドグラフに演奏音程グラフが表示されていないため、当該カラオケ装置は、演奏音程の変更がない場合と同様に、演奏音程グラフの表示及び入力音程グラフの描画を行う。この時、演奏音程グラフの表示位置を変更後の演奏音程に基づく位置とし、入力音程グラフの描画位置を歌唱音声に基づく位置としても、特段、処理負担が増大することはない。従って、当該カラオケ装置は、歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されていない状態で演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程グラフ、入力音程グラフを有する歌唱ガイドグラフの表示に関する処理負担の増大を防止し得る。
【0014】
本発明の一側面に係る請求項3記載のカラオケ装置は、請求項2記載のカラオケ装置であって、前記歌唱ガイドグラフは、カラオケ楽曲の演奏期間における一定の対象期間について、前記カラオケ楽曲の演奏音程と、前記歌唱音声の音程との差分を示し、前記表示制御手段は、カラオケ楽曲の演奏の進行に伴って、前記歌唱ガイドグラフが示す対象期間を変更することで、前記歌唱ガイドグラフの表示内容を更新し、前記判断手段は、前記演奏音程変更手段によるカラオケ楽曲の演奏音程の変更時点が、前記歌唱ガイドグラフの対象期間を次の対象期間に変更するための更新期間内である場合に、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されていないものと判断し、前記演奏音程変更手段によるカラオケ楽曲の演奏音程の変更時点が、前記歌唱ガイドグラフの対象期間を次の対象期間に変更するための更新期間外である場合に、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されているものと判断することを特徴とする。
【0015】
当該カラオケ装置において、前記歌唱ガイドグラフは、カラオケ楽曲の演奏期間における一定の対象期間について、前記カラオケ楽曲の演奏音程と、前記歌唱音声の音程との差分を示す。当該カラオケ装置は、カラオケ楽曲の演奏の進行に伴って、前記歌唱ガイドグラフが示す対象期間を変更することで、前記歌唱ガイドグラフの表示内容を更新する。そして、当該カラオケ装置は、演奏音程の変更時点が、前記歌唱ガイドグラフの対象期間を次の対象期間に変更するための更新期間内である場合に、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されていないものと判断する。この場合、当該カラオケ装置は、次の対象期間に係る歌唱ガイドグラフの表示に際し、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程に基づく位置に、前記演奏音程グラフを表示し、前記音声入力手段による歌唱音声に基づく位置に、前記入力音程グラフを描画する。従って、当該カラオケ装置は、更新期間内に演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程グラフ、入力音程グラフを有する歌唱ガイドグラフの表示に関する処理負担の増大を防止し得る。更に、当該カラオケ装置は、演奏音程の変更時点が更新期間外である場合に、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されているものと判断する。この場合、当該カラオケ装置は、前記演奏音程グラフの表示位置を変更することなく、当該演奏音程グラフを基準として、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と歌唱音声の音程の差分により決定される位置に、前記入力音程グラフを描画する。従って、当該カラオケ装置は、更新期間外に演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程グラフ、入力音程グラフを有する歌唱ガイドグラフの表示に関する処理負担の増大を防止し得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、演奏音程グラフと入力音程グラフを有する歌唱ガイドグラフを表示している場合に、どのようなタイミングで演奏音程変更手段により、演奏音程の変更が行われたとしても、演奏音程の変更に伴う歌唱ガイドグラフの表示処理に関する処理負担の増大を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カラオケ装置の構成の一例を示す説明図である。
【図2】ガイドグラフ表示処理プログラムのフローチャートである。
【図3】一の対象期間における歌唱ガイドグラフの描画例の説明図である。
【図4】キー変更監視処理プログラムのフローチャートである。
【図5】キー変更がない場合における歌唱ガイドグラフの表示例を示す説明図である。
【図6】更新期間外でキー変更がされた場合における歌唱ガイドグラフの表示例を示す説明図である。
【図7】更新期間内でキー変更がされた場合における歌唱ガイドグラフの表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0019】
(カラオケ装置の構成)
先ず、本実施形態に係るカラオケ装置の構成について、図1を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施形態に係るカラオケ装置1は、制御部10と、記憶部20と、操作パネル30と、ディスプレイ40と、マイク50と、スピーカ60と、音声処理部70とを有している。
【0020】
制御部10は、CPU、ROM、RAM等を備え、ROMや記憶部20に格納されているプログラムを実行することにより、カラオケ装置1の各部を制御する。当該制御部10は、後述するガイドグラフ表示処理プログラム(図2参照)や、キー変更監視処理プログラム(図4参照)を実行することにより、ディスプレイ40に歌唱ガイドグラフGを表示する。
【0021】
記憶部20は、例えば、ハードディスク装置により構成され、制御部10により実行される制御プログラムや、その実行時に用いられるデータを記憶している。そして、当該記憶部20は、カラオケデータベース25を有している。カラオケデータベース25は、カラオケ楽曲毎のカラオケデータを複数格納したデータベースであり、当該カラオケ装置1におけるカラオケ歌唱を行う際に参照される。カラオケデータは、伴奏データ、歌詞データ、背景映像データ、基準演奏音程データを有して構成されている。伴奏データは、当該カラオケ楽曲の伴奏楽音を示し、MIDI(Musical Instruments Digital Interface)形式等の形式で構成されている。歌詞データは、当該カラオケ楽曲の歌詞を示し、カラオケ歌唱の際に歌詞テロップとしてディスプレイ40に表示される。背景映像データは、前記伴奏データに対応する背景映像を示し、カラオケ歌唱の際に背景映像としてディスプレイ40に表示される。標準演奏音程データは、伴奏データに基づくカラオケ楽曲の再生に際し、後述するキー設定ボタン35による演奏音程の変更がない場合(即ち、通常時)における演奏音程を示す。当該標準演奏音程データは、後述する演奏音程グラフMを歌唱ガイドグラフG上に表示する際に参照される。
【0022】
尚、カラオケデータを構成する伴奏データ、歌詞データ、背景映像データ、標準演奏音程データは、所定の対象期間毎に区分されて、カラオケデータベース25に記憶されている。本実施形態においては、対象期間は、カラオケ歌唱を行い易い程度の時間区分(例えば、フレーズ単位)であるものとする。
【0023】
操作パネル30は、テンキー、演奏開始キー、楽曲予約キー、採点キー等の種々の入力ボタンを備え、入力操作に応じた操作信号を制御部10に出力する。又、当該操作パネル30は、キー設定ボタン35を有している。キー設定ボタン35は、「#」キーと、「♭」キーを有しており、カラオケデータに基づいて、カラオケ楽曲の演奏を行う際の音程(キー)の高低を変更する際に操作される。「♯」キーは、カラオケ楽曲の演奏音程を一段階上げる際に操作される。「♭」キーは、カラオケ楽曲の演奏音程を一段階下げる際に操作される。尚、当該カラオケ装置1は、操作パネル30に加え、リモコンによるキー入力操作を受け付けるように構成することも可能である。
【0024】
ディスプレイ40は、液晶ディスプレイ等により構成され、制御部10による制御に基づいて、種々の情報(例えば、カラオケ楽曲に係る歌詞や背景映像等)を表示する。又、ディスプレイ40は、ガイドグラフ表示処理プログラム(図2参照)や、キー変更監視処理プログラム(図4参照)の実行に伴い、歌唱ガイドグラフG(図3、図5〜図7参照)を表示する。
【0025】
マイク50は、歌唱者の歌唱音声等を集音して、集音した歌唱音声を示す音声信号(アナログデータ)を、音声処理部70を介して、制御部10へ入力する。当該マイク50は、本発明に係る音声入力手段を構成する。
【0026】
スピーカ60は、カラオケデータベース25に係るカラオケデータに基づいて、音声処理部70の制御に従って、カラオケ楽曲の伴奏音楽を出力する。又、当該スピーカ60は、音声処理部70の制御に従って、マイク50により入力された歌唱者の歌唱音声を出力する。当該スピーカ60は、本発明に係る楽曲再生手段を構成する。
【0027】
音声処理部70は、上述したマイク50、スピーカ60に接続されており、マイク50から出力された音声信号(アナログデータ)をデジタルデータに変換して、制御部10に出力する。そして、音声処理部70は、所望のカラオケ楽曲に係る伴奏データを、アナログ信号に変換し、スピーカ60へ出力する。
【0028】
(ガイドグラフ表示処理プログラム)
次に、ガイドグラフ表示処理プログラムについて、図2等を参照しつつ詳細に説明する。ガイドグラフ表示処理プログラムは、カラオケ歌唱を行う際に、ディスプレイ40上に歌唱ガイドグラフGを表示するためのプログラムである。従って、当該ガイドグラフ表示処理プログラムの実行を開始する場合、既に歌唱者により所望のカラオケ楽曲が指定されていることとなる。
【0029】
ここで、ガイドグラフ表示処理プログラムに基づいて、ディスプレイ40に表示される歌唱ガイドグラフGについて、図3等を参照しつつ説明する。歌唱ガイドグラフGは、縦軸に音程の高低、横軸に経過時間を割り当てたグラフ領域に対して、演奏音程グラフMと、入力音程グラフVを表示して構成される。演奏音程グラフMは、当該カラオケ楽曲に係る伴奏データに基づいて再生されるカラオケ楽曲の演奏音程に関し、一の対象期間内における時系列変化を示す。入力音程グラフVは、マイク50から入力された歌唱者のカラオケ歌唱に係る音程(以下、入力音程)に関し、一の対象期間内における時系列変化を示す。従って、ディスプレイ40上の歌唱ガイドグラフGを視認し、演奏音程グラフMと入力音程グラフVを比較することにより、歌唱者は、自己の歌唱に係る音程と、カラオケ楽曲の演奏音程との差を把握することができる。
【0030】
カラオケ楽曲の演奏開始に伴い、ガイドグラフ表示処理プログラムの実行を開始すると、制御部10は、先ず、演奏音程グラフ表示処理を実行する(S1)。演奏音程グラフ表示処理(S1)では、制御部10は、標準演奏音程データの一の対象期間(現時点で演奏対象となる対象期間)に係る部分を取得し、ディスプレイ40上の歌唱ガイドグラフGに演奏音程グラフMを表示する。演奏音程グラフ表示処理を終了すると、制御部10は、S2に処理を移行する。
【0031】
S2においては、制御部10は、マイク50による音声入力があったか否かを判断する。マイク50による音声入力があった場合(S2:YES)、制御部10は、S3に処理を移行する。従って、ユーザの歌唱音声等がマイク50によって入力された場合、制御部10は、S2に処理を移行する。マイク50による音声入力がない場合(S2:NO)、制御部10は、S4に処理を移行する。
【0032】
S3では、制御部10は、入力音程グラフ描画処理を実行する。入力音程グラフ描画処理(S3)においては、制御部10は、マイク50により入力された歌唱音声の音程(即ち、入力音程)を特定し、特定した入力音程に基づいて、ディスプレイ40上に入力音程グラフVを描画する(図3(A)参照)。入力音程の特定方法については、既に公知であるため、その説明は省略する。入力音程グラフ描画処理(S3)を終了すると、制御部10は、S4に処理を移行する。
【0033】
S4に移行すると、制御部10は、対象期間を経過したか否かを判断する。上述したように、対象期間とは、カラオケ歌唱を行い易い程度の時間区分(例えば、フレーズ単位)であり、歌唱ガイドグラフGにより演奏音程及び歌唱音程の時系列変化を示す単位期間である。従って、制御部10は、カラオケ楽曲の演奏開始からの経過時間に基づいて、対象期間を経過したか否かを判断し得る。対象期間を経過している場合(S4:YES)、制御部10は、S5に処理を移行する。対象期間を経過していない場合(S4:NO)、制御部10は、S2に処理を戻す。
【0034】
対象期間を経過していない場合(S4:NO)に、S2へ処理を戻すことで、制御部10は、当該対象期間における歌唱音声の入力に基づく入力音程グラフVの描画を行い得る(S3)。従って、ディスプレイ40における歌唱ガイドグラフGには、図3(A)の状態でS2へ処理を戻すことにより、図3(B)に示すように、その後に入力された歌唱音声に基づいて、入力音程グラフVが描画される。
【0035】
S5においては、制御部10は、対象期間更新処理を実行する。対象期間更新処理(S5)では、制御部10は、現在の対象期間を、当該カラオケ楽曲に係る次の対象期間に変更する。従って、後にS1に処理を戻した場合、制御部10は、対象期間更新処理(S5)で新たに設定された対象期間について、歌唱ガイドグラフG及び演奏音程グラフMを表示する。対象期間更新処理(S5)を終了すると、制御部10は、S6に処理を移行する。
【0036】
S6では、制御部10は、当該カラオケ楽曲の演奏終了時期となったか否かを判断する。具体的には、制御部10は、カラオケデータ(例えば、伴奏データ)の演奏時間と、カラオケ楽曲の演奏開始からの経過時間に基づいて、当該S6の判断を行う。演奏終了時期となっている場合(S6:YES)、制御部10は、ガイドグラフ表示処理プログラムを終了する。未だ演奏終了時期になっていない場合(S6:NO)、制御部10は、S1に処理を戻す。
【0037】
(キー変更監視処理プログラム)
次に、キー変更監視処理プログラムについて、図4を参照しつつ説明する。当該キー変更監視処理プログラムは、上述したガイドグラフ表示処理プログラムを実行している間、当該ガイドグラフ表示処理プログラムと並行して実行される。
【0038】
先ず、制御部10は、キー設定ボタン35の入力があったか否かを判断する(S11)。キー設定ボタン35(「♯」キー、「♭」キー)の入力があった場合、制御部10は、S12に処理を移行する。キー設定ボタン35の入力がなかった場合、制御部10は、S16に処理を移行する。
【0039】
尚、制御部10は、キー設定ボタン35の「♯」キーの入力があった場合、当該カラオケ楽曲に係る伴奏データに基づく演奏音程を一段階上げて、カラオケ楽曲の伴奏楽音を出力する。又、キー設定ボタン35の「♭」キーの入力があった場合、当該カラオケ楽曲に係る伴奏データに基づく演奏音程を一段階下げて、カラオケ楽曲の伴奏楽音を出力する。
【0040】
S12においては、制御部10は、キー変更時点特定処理を実行する。キー変更時点特定処理(S12)では、制御部10は、キー設定ボタン35からの入力信号に基づいて、カラオケ楽曲の演奏時間内において、キー設定ボタン35が入力された時点(即ち、キー変更時点)を特定し、当該キー変更時点を示す情報をRAMに格納する。キー変更時点特定処理(S12)を終了すると、制御部10は、S13に処理を移行する。
【0041】
S13では、制御部10は、キー変更時点特定処理(S12)で特定されたキー変更時点が更新期間内であるか否かを判断する。ここで、更新期間とは、一の対象期間の終了前の一定期間を意味し、次の対象期間に係る歌唱ガイドグラフGの表示に関する準備処理が行われる期間である(図5〜図7参照)。制御部10は、RAMに格納されているキー変更時点を示す情報に基づいて、S13の判断を行う。キー変更時点が更新期間内である場合(S13:YES)、制御部10は、S15に処理を移行する。キー変更時点が更新期間外である場合(S13:NO)、制御部10は、S14に処理を移行する。
【0042】
S14に移行すると、制御部10は、キー設定ボタン35の入力による演奏音程の変更が更新期間外で行われたことに基づいて、第1グラフ表示位置設定処理を実行する。第1グラフ表示位置設定処理(S14)では、制御部10は、キー設定ボタン35の入力による演奏音程の変化量に基づいて、歌唱ガイドグラフGにおける今後の入力音程グラフVの描画位置を設定する。具体的には、更新期間外で「♯」キーが入力された場合、制御部10は、今後の入力音程グラフVの描画位置を、現在の入力音程グラフVの描画位置から一段階分下げた位置に設定する。一方、更新期間外で「♭」キーが入力された場合、制御部10は、今後の入力音程グラフVの描画位置を、現在の入力音程グラフVの描画位置から一段階分上げた位置に設定する。この時、制御部10は、歌唱ガイドグラフGにおける演奏音程グラフMの表示位置を変更することはない。従って、第1グラフ表示位置設定処理(S14)終了後の入力音程グラフVの描画位置は、当該演奏音程グラフMを基準として、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と歌唱音声の音程の差分により決定される位置となる。第1グラフ表示位置設定処理(S14)を終了すると、制御部10は、S16に処理を移行する。
【0043】
上述したように、ガイドグラフ表示処理プログラム(図2参照)は、当該キー変更監視処理プログラム(図3参照)と並行して実行される。従って、第1グラフ表示位置設定処理(S14)により、入力音程グラフVの描画位置が変更設定された後においては、制御部10は、入力音程グラフ描画処理(S3)に移行すると、変更後の描画位置を基準として、入力音程グラフVの描画を行う。
【0044】
S15においては、制御部10は、キー設定ボタン35の入力による演奏音程の変更が更新期間内で行われたことに基づいて、第2グラフ表示位置設定処理を実行する。第2グラフ表示位置設定処理(S15)では、制御部10は、キー設定ボタン35の入力による演奏音程の変化量に基づいて、次の対象期間に係る歌唱ガイドグラフGの演奏音程グラフMの表示位置を設定する。具体的には、更新期間外で「♯」キーが入力された場合、制御部10は、次の対象期間における演奏音程グラフMの表示位置を、現在の演奏音程グラフMの表示位置から一段階分上げた位置に設定する。一方、更新期間外で「♭」キーが入力された場合、制御部10は、次の対象期間における演奏音程グラフMの表示位置を、現在の演奏音程グラフMの表示位置から一段階分下げた位置に設定する。この時、制御部10は、歌唱ガイドグラフGにおける入力音程グラフVの描画位置を変更することはない。従って、第2グラフ表示位置設定処理(S15)終了後の演奏音程グラフMの表示位置は、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程に基づく位置にとなり、前記入力音程グラフVの描画位置は、前記マイク50による歌唱音声に基づく位置となる。第2グラフ表示位置設定処理(S15)を終了すると、制御部10は、S16に処理を移行する。
【0045】
ガイドグラフ表示処理プログラム(図2参照)は、当該キー変更監視処理プログラム(図3参照)と並行して実行されるため、第2グラフ表示位置設定処理(S15)により、演奏音程グラフMの表示位置が変更設定された後においては、制御部10は、演奏音程グラフ表示処理(S1)に移行すると、変更後の表示位置を基準として、演奏音程グラフMを表示する。
【0046】
S16では、制御部10は、当該カラオケ楽曲の演奏終了時期となったか否かを判断する。具体的には、制御部10は、カラオケデータ(例えば、伴奏データ)の演奏時間と、カラオケ楽曲の演奏開始からの経過時間に基づいて、当該S16の判断を行う。演奏終了時期となっている場合(S16:YES)、制御部10は、キー変更監視処理プログラムを終了する。未だ演奏終了時期になっていない場合(S16:NO)、制御部10は、S11に処理を戻す。
【0047】
(演奏音程の変更がない場合の歌唱ガイドグラフGの表示例)
次に、本実施形態に係るカラオケ装置1において、キー設定ボタン35による演奏音程の変更がない場合の歌唱ガイドグラフGの表示について、図5を参照しつつ説明する。尚、図5は、或るカラオケ楽曲に係る歌唱ガイドグラフGの表示例を示し、対象期間(2)は、対象期間(1)の次の対象期間である。
【0048】
上述したように、当該カラオケ装置1においては、ディスプレイ40上に歌唱ガイドグラフGを表示する場合、制御部10は、ガイドグラフ表示処理プログラム(図2参照)、キー変更監視処理プログラム(図4参照)を並行して実行する。
【0049】
カラオケ楽曲の演奏の進行に伴い、対象期間(1)に係る歌唱ガイドグラフGがディスプレイ40に表示されると、制御部10は、当該カラオケ楽曲に係る標準演奏音程データの対象期間(1)に相当する部分を読み出し、歌唱ガイドグラフG上に演奏音程グラフMを表示する(S1)。そして、カラオケ楽曲の演奏の進行に伴い、マイク50から歌唱者の歌唱音声が入力されると(S2:YES)、制御部10は、入力された歌唱音声の入力音程を特定し、入力音程グラフVを描画する(S3)。対象期間(1)を経過するまで(S4:YES)、制御部10は、歌唱者の歌唱音声が入力される毎に、随時、入力音程を特定して、歌唱ガイドグラフG上に入力音程グラフVを描画していく(図3参照)。そして、対象期間(1)に係る更新期間となった時点で、制御部10は、対象期間(2)に係る歌唱ガイドグラフGの表示に関する準備処理(例えば、標準演奏音程データの対象期間(2)に相当する部分の読み出し等)を行う。
【0050】
対象期間(1)を経過すると(S4:YES)、制御部10は、対象期間(2)に係る歌唱ガイドグラフGを表示すべく、標準演奏音程データの対象期間(2)に相当する部分に基づいて、演奏音程グラフMを表示する(S1)。そして、上述した対象期間(1)と同様に、制御部10は、対象期間(2)を経過するまで(S4:YES)、歌唱者の歌唱音声が入力される毎に、随時、入力音程を特定して、歌唱ガイドグラフG上に入力音程グラフVを描画していく(図3参照)。対象期間(2)に係る更新期間となった時点で、制御部10は、次の対象期間に係る歌唱ガイドグラフGの表示に関する準備処理を行う。
【0051】
尚、図5に示す場合、キー設定ボタン35による演奏音程の変更が行われない為(S1:NO)、制御部10は、第1グラフ表示位置設定処理(S14)及び第2グラフ表示位置設定処理(S15)を実行することなく、当該カラオケ楽曲の演奏終了時点まで、キー変更監視処理プログラムを繰り返して実行する。
【0052】
(更新期間外で演奏音程が変更された場合の歌唱ガイドグラフGの表示例)
続いて、本実施形態に係るカラオケ装置1において、キー設定ボタン35による演奏音程の変更が対象期間(1)に係る更新期間外で行われた場合の歌唱ガイドグラフGの表示について、図6を参照しつつ説明する。
【0053】
尚、図6は、図5に示す歌唱ガイドグラフGの表示例と同一のカラオケ楽曲であり、同一のカラオケ歌唱が行われた場合を示す。又、図6においては、仮定入力音程グラフVaが歌唱ガイドグラフG上に存在するが、実際にディスプレイ40に表示されるものではない。当該仮定入力音程グラフVaは、説明の便宜上、演奏音程の変更がない場合(即ち、図5の場合)における入力音程グラフVを示す。
【0054】
カラオケ楽曲の演奏の進行に伴い、対象期間(1)に係る歌唱ガイドグラフGがディスプレイ40に表示されると、制御部10は、当該カラオケ楽曲に係る標準演奏音程データの対象期間(1)に相当する部分を読み出し、歌唱ガイドグラフG上に演奏音程グラフMを表示する(S1)。そして、カラオケ楽曲の演奏の進行に伴い、マイク50から歌唱者の歌唱音声が入力されると(S2:YES)、制御部10は、入力された歌唱音声の入力音程を特定し、入力音程グラフVを描画する(S3)。対象期間(1)を経過するまで(S4:YES)、制御部10は、歌唱者の歌唱音声が入力される毎に、随時、入力音程を特定して、歌唱ガイドグラフG上に入力音程グラフVを描画していく(図3参照)。
【0055】
ここで、図6に示す場合においては、対象期間(1)に係る更新期間前の所定の時点において、キー設定ボタン35による演奏音程の変更操作(即ち、「♯」キーの入力操作)が行われている。従って、演奏音程の変更操作が行われた時点(即ち、キー変更時点)で、制御部10は、第1グラフ表示位置設定処理(S14)を実行する。従って、キー変更時点以後の入力音程グラフVの描画位置は、キー変更時点前の入力音程グラフVの描画位置から一段階下がった位置に設定される。尚、演奏音程グラフMの表示位置は、キー変更時点の前後で変更されることはない。
【0056】
第1グラフ表示位置設定処理(S14)終了後においても、制御部10は、歌唱者の歌唱音声が入力される毎に、随時、入力音程を特定して、歌唱ガイドグラフG上に入力音程グラフVを描画していく(図3参照)。この時、制御部10は、第1グラフ表示位置設定処理(S14)で設定された描画位置(キー変更時点から一段階下がった位置)を基準に、入力音程グラフVを描画していく(S3)。そして、対象期間(1)に係る更新期間となった時点で、制御部10は、対象期間(2)に係る歌唱ガイドグラフGの表示に関する準備処理(例えば、標準演奏音程データの対象期間(2)に相当する部分の読み出し等)を行う。
【0057】
対象期間(1)を経過すると(S4:YES)、制御部10は、対象期間(2)に係る歌唱ガイドグラフGを表示すべく、標準演奏音程データの対象期間(2)に相当する部分に基づいて、演奏音程グラフMを表示する(S1)。この時、当該演奏音程グラフMは、キー変更時点の前後で変わらぬ表示位置で、歌唱ガイドグラフG上に表示される。そして、上述した対象期間(1)と同様に、制御部10は、対象期間(2)を経過するまで(S4:YES)、歌唱者の歌唱音声が入力される毎に、随時、入力音程を特定して、歌唱ガイドグラフG上に入力音程グラフVを描画していく(図3参照)。この時、第1グラフ表示位置設定処理(S14)により、既に入力音程グラフVの描画位置が設定されている為、制御部10は、対象期間(2)においても、第1グラフ表示位置設定処理(S14)により設定された描画位置で入力音程グラフVを描画していく(図6参照)。そして、対象期間(2)に係る更新期間となった時点で、制御部10は、次の対象期間に係る歌唱ガイドグラフGの表示に関する準備処理を行う。
【0058】
このように、当該カラオケ装置1は、キー設定ボタン35による演奏音程の変更が更新期間外で行われた場合、第1グラフ表示位置設定処理(S14)により、演奏音程の変更前後で演奏音程グラフMの表示位置を変更することなく、演奏音程の変更後の入力音程グラフVの描画位置を変更する。従って、この場合の歌唱ガイドグラフGにおいては、入力音程グラフVの描画位置は、当該演奏音程グラフMを基準として、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と歌唱音声の音程の差分により決定される位置となる。つまり、当該カラオケ装置1は、この場合であっても、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と、歌唱音声の入力音程の関係を維持した態様で、歌唱ガイドグラフGをディスプレイ40に表示するため(図6参照)、カラオケ楽曲の演奏音程と、入力された歌唱音程の差を正確に表示するという歌唱ガイドグラフGの機能を損なうことはない。更に、当該カラオケ装置1によれば、この場合においても、入力音程グラフVの描画は、カラオケ楽曲の演奏の進行中に演奏音程を変更する、変更しないに関わらず、カラオケ楽曲の演奏の進行に応じた時間軸の表示位置に常に描画されるので、描画に基づく処理負担は変らない。つまり、変更前の演奏音程グラフMの消去や、変更後の演奏音程グラフMの再描画に基づく処理(新たな表示位置での再描画)が、演奏音程の変更前後で、新たに生じることはないので、新たな描画処理の負担は生じない。即ち、当該カラオケ装置1は、演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程グラフM、入力音程グラフVを有する歌唱ガイドグラフGの表示に関する処理負担の増大を防止し得る。
【0059】
(更新期間内で演奏音程が変更された場合の歌唱ガイドグラフGの表示例)
次に、本実施形態に係るカラオケ装置1において、キー設定ボタン35による演奏音程の変更が対象期間(1)に係る更新期間内で行われた場合の歌唱ガイドグラフGの表示について、図7を参照しつつ説明する。
【0060】
尚、図7は、図5に示す歌唱ガイドグラフGの表示例と同一のカラオケ楽曲であり、同一のカラオケ歌唱が行われた場合を示す。又、図7においては、仮定演奏音程グラフMaが歌唱ガイドグラフG上に存在するが、実際にディスプレイ40に表示されるものではない。当該仮定演奏音程グラフMaは、説明の便宜上、演奏音程の変更がない場合(即ち、図5の場合)における演奏音程グラフMを示す。
【0061】
カラオケ楽曲の演奏の進行に伴い、対象期間(1)に係る歌唱ガイドグラフGがディスプレイ40に表示されると、制御部10は、当該カラオケ楽曲に係る標準演奏音程データの対象期間(1)に相当する部分を読み出し、歌唱ガイドグラフG上に演奏音程グラフMを表示する(S1)。そして、カラオケ楽曲の演奏の進行に伴い、マイク50から歌唱者の歌唱音声が入力されると(S2:YES)、制御部10は、入力された歌唱音声の入力音程を特定し、入力音程グラフVを描画する(S3)。対象期間(1)を経過するまで(S4:YES)、制御部10は、歌唱者の歌唱音声が入力される毎に、随時、入力音程を特定して、歌唱ガイドグラフG上に入力音程グラフVを描画していく(図3参照)。そして、対象期間(1)に係る更新期間となった時点で、制御部10は、対象期間(2)に係る歌唱ガイドグラフGの表示に関する準備処理(例えば、標準演奏音程データの対象期間(2)に相当する部分の読み出し等)を行う。
【0062】
ここで、図7に示す場合においては、対象期間(1)に係る更新期間内の所定の時点において、キー設定ボタン35による演奏音程の変更操作(即ち、「♯」キーの入力操作)が行われている。従って、演奏音程の変更操作が行われた時点(即ち、キー変更時点)で、制御部10は、第2グラフ表示位置設定処理(S15)を実行する。従って、対象期間(2)における演奏音程グラフMの表示位置は、キー変更時点前から一段階上がった位置に設定される。尚、入力音程グラフVの描画位置は、キー変更時点の前後で変更されることはない。
【0063】
対象期間(1)を経過すると(S4:YES)、制御部10は、対象期間(2)に係る歌唱ガイドグラフGを表示すべく、標準演奏音程データの対象期間(2)に相当する部分に基づいて、演奏音程グラフMを表示する(S1)。この時、当該演奏音程グラフMは、キー変更操作に基づく演奏音程(即ち、標準演奏音程データを基準に一段階上がった演奏音程)に基づく表示位置で、歌唱ガイドグラフG上に表示される(図7参照)。そして、上述した対象期間(1)と同様に、制御部10は、対象期間(2)を経過するまで(S4:YES)、歌唱者の歌唱音声が入力される毎に、随時、入力音程を特定して、歌唱ガイドグラフG上に入力音程グラフVを描画していく(図3参照)。この時、入力音程グラフVは、キー変更時点よりも前と変わらず、入力された入力音程に基づく描画位置に描画される。そして、対象期間(2)に係る更新期間となった時点で、制御部10は、次の対象期間に係る歌唱ガイドグラフGの表示に関する準備処理を行う。
【0064】
このように、当該カラオケ装置1は、キー設定ボタン35による演奏音程の変更が更新期間内で行われた場合、第2グラフ表示位置設定処理(S15)により、演奏音程の変更前後で入力音程グラフVの描画位置を変更することなく、次の対象期間に係る演奏音程グラフMの表示位置を、演奏音程の変更後に係るカラオケ楽曲の演奏音程に基づく表示位置に設定する。つまり、当該カラオケ装置1は、この場合であっても、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と、歌唱音声の入力音程の関係を維持した態様で、歌唱ガイドグラフGをディスプレイ40に表示するため(図7参照)、カラオケ楽曲の演奏音程と、入力された歌唱音程の差を正確に表示するという歌唱ガイドグラフGの機能を損なうことはない。又、更新期間は、次の対象期間に係る歌唱ガイドグラフGの準備処理に要する期間であるため、次の対象期間に係る歌唱ガイドグラフGは、未だディスプレイ40に表示されていない。従って、当該カラオケ装置1は、更新期間内で演奏音程の変更された場合であっても、変更前の演奏音程グラフMの消去や、変更後の演奏音程グラフMの再描画に基づく処理を行うことなく、演奏音程の変更後の演奏音程グラフMの表示、入力音程グラフVの描画を行い得る。即ち、当該カラオケ装置1は、演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程グラフM、入力音程グラフVを有する歌唱ガイドグラフGの表示に関する処理負担の増大を防止し得る。
【0065】
以上、説明したように、本実施形態に係るカラオケ装置1は、キー設定ボタン35の操作に基づいて、カラオケ楽曲の演奏音程を変更し得る。又、当該カラオケ装置1は、演奏音程グラフMと入力音程グラフVを有する歌唱ガイドグラフGを、ディスプレイ40に表示し得る。
【0066】
当該カラオケ装置1は、キー設定ボタン35の操作によって、カラオケ楽曲の演奏音程が更新期間外で変更された場合に、前記歌唱ガイドグラフG上の前記演奏音程グラフMの表示位置を変更することなく、当該演奏音程グラフMを基準として、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と歌唱音声の音程の差分により決定される位置に、前記入力音程グラフVを描画する(図6参照)。従って、当該カラオケ装置1によれば、変更前の演奏音程グラフMの消去等に基づく処理負担が生じることはなく、入力音程グラフVの描画処理に関する処理負担が増大することもない。即ち、当該カラオケ装置1は、演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程グラフM、入力音程グラフVを有する歌唱ガイドグラフGの表示に関する処理負担の増大を防止し得る。
【0067】
当該カラオケ装置1は、キー設定ボタン35の操作によって、カラオケ楽曲の演奏音程が更新期間内で変更された場合に、次の対象期間に係る歌唱ガイドグラフGの表示に際し、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程に基づく位置に、前記演奏音程グラフMを表示し、前記マイク50により入力された歌唱音声に基づく位置に、前記入力音程グラフVを描画する(図7参照)。従って、当該カラオケ装置1は、更新期間内に演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程グラフM、入力音程グラフVを有する歌唱ガイドグラフGの表示に関する処理負担の増大を防止し得る。
【0068】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、本実施形態においては、キー設定ボタン35を「♯」キー、「♭」キーにより構成し、演奏音程を一段階毎に変更し得る構成としていたが、この態様に限定するものではない。例えば、任意の演奏音程を選択し得る態様であっても良いし、一の操作で演奏音程を複数段階分、高く又は低くできる構成であっても良い。そして、何れの場合であっても、当該カラオケ装置1においては、演奏音程の変更量を特定すれば、第1グラフ表示位置設定処理(S14)及び第2グラフ表示位置設定処理(S15)を実行することができ、演奏音程の変更があった場合でも、演奏音程グラフM、入力音程グラフVを有する歌唱ガイドグラフGの表示に関する処理負担の増大を防止し得る。
【符号の説明】
【0069】
1 カラオケ装置
10 制御部
20 記憶部
25 カラオケデータベース
30 操作パネル
35 キー設定ボタン
40 ディスプレイ
50 マイク
60 スピーカ
70 音声処理部
G 歌唱ガイドグラフ
M 演奏音程グラフ
V 入力音程グラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲再生手段と、音声入力手段と、表示手段と、演奏音程変更手段と、表示制御手段と、を有するカラオケ装置であって、
前記楽曲再生手段は、カラオケデータに基づいて、カラオケ楽曲を再生出力し、
前記音声入力手段は、カラオケ楽曲に係る歌唱音声の入力に用いられ、
前記演奏音程変更手段は、前記楽曲再生手段により再生出力されるカラオケ楽曲の演奏音程を、ユーザの操作に基づいて変更し、
前記表示手段は、
前記楽曲再生手段により再生出力されるカラオケ楽曲の演奏音程を示す演奏音程グラフと、前記音声入力手段による歌唱音声の入力に伴って描画され、当該歌唱音声の音程を示す入力音程グラフと、を有し、前記カラオケ楽曲の演奏音程と、前記歌唱音声の音程との差分を示す歌唱ガイドグラフを表示し、
前記表示制御手段は、
前記演奏音程変更手段により、カラオケ楽曲の演奏音程が変更された場合に、前記歌唱ガイドグラフに表示されている前記演奏音程グラフの表示位置を変更することなく、当該演奏音程グラフを基準として、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と歌唱音声の音程の差分により決定される位置に、前記入力音程グラフを描画する
ことを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
請求項1記載のカラオケ装置であって、
前記演奏音程変更手段によるカラオケ楽曲の演奏音程の変更時点で、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されているか否かを判断する判断手段と、を有し、
前記表示制御手段は、
前記判断手段により、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されていると判断された場合、前記演奏音程グラフの表示位置を変更することなく、当該演奏音程グラフを基準として、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程と歌唱音声の音程の差分により決定される位置に、前記入力音程グラフを描画し、
前記判断手段により、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されていないと判断された場合、変更後のカラオケ楽曲の演奏音程に基づく位置に、前記演奏音程グラフを表示し、前記音声入力手段による歌唱音声に基づく位置に、前記入力音程グラフを描画する
ことを特徴とするカラオケ装置。
【請求項3】
請求項2記載のカラオケ装置であって、
前記歌唱ガイドグラフは、
カラオケ楽曲の演奏期間における一定の対象期間について、前記カラオケ楽曲の演奏音程と、前記歌唱音声の音程との差分を示し、
前記表示制御手段は、
カラオケ楽曲の演奏の進行に伴って、前記歌唱ガイドグラフが示す対象期間を変更することで、前記歌唱ガイドグラフの表示内容を更新し、
前記判断手段は、
前記演奏音程変更手段によるカラオケ楽曲の演奏音程の変更時点が、前記歌唱ガイドグラフの対象期間を次の対象期間に変更するための更新期間内である場合に、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されていないものと判断し、
前記演奏音程変更手段によるカラオケ楽曲の演奏音程の変更時点が、前記歌唱ガイドグラフの対象期間を次の対象期間に変更するための更新期間外である場合に、前記歌唱ガイドグラフに前記演奏音程グラフが表示されているものと判断する
ことを特徴とするカラオケ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−48003(P2012−48003A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190526(P2010−190526)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】