説明

カラオケ選曲装置及びカラオケ選曲プログラム

【課題】
カラオケにてデュエットを行う際、自分の持ち歌について、その場にいるメンバーの中から最適な歌唱者を選択する。
【解決手段】
本発明のカラオケ選曲装置は、入力手段にて指定されたユーザーのユーザー情報を読み出し、ユーザーを第1群に属するユーザー、または、第2群に属するユーザーとしてログインさせるログイン処理と、ログインしているユーザー中、入力手段にて指定されたユーザーを、操作ユーザーとして選択する操作ユーザー選択処理と、操作ユーザーのユーザー情報に含まれる楽曲リストと、ログインしているユーザーであって、操作ユーザーとは異なる群に属するユーザーの楽曲リストとを比較し、共通する楽曲識別子を抽出する楽曲抽出処理と、楽曲抽出処理にて抽出した楽曲識別子の中から選曲することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケシステムにおいて楽曲の選択を行うカラオケ選曲装置、カラオケ選曲プログラムに関するものであり、特に、簡易に楽曲の選択を行うことができるカラオケ選曲装置、カラオケ選曲プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動伴奏に合わせて歌唱を楽しむカラオケでは、曲番号を記載した早見本を検索して、リモコン装置に曲番号を入力し、希望する楽曲をカラオケ装置に再生させることが行われている。近年の記憶容量の増大に伴い、1台のカラオケ装置で数万曲の楽曲を演奏させることが可能となっている。そのため、選曲のための手段は、早見本から検索可能な多機能型のリモコン装置へと移行しつある。
【0003】
このようなリモコン装置では、ユーザーへのサービスも充実しつつあり、個人毎にお気に入りの楽曲(十八番)や、自己の歌唱履歴、あるいは、採点結果などを登録し、各種サービスを提供することが可能となっている。
【0004】
一方、カラオケでは1人で歌唱するのみならず、2人で一緒に歌唱を楽しむデュエットが行われる。このようなデュエットを支援するシステムとして、特許文献1には、リモコン装置にて選択した楽曲について、一緒に合唱を行うメンバーを募集する演奏予約システムが開示されている。また、特許文献2には、デュエット相手抽出システムが開示されている。このデュエット相手抽出システムは、利用者がデュエット曲を抽出した際、現にカラオケ演奏端末にログインしている利用者の選曲履歴データに基づき、デュエット曲に関する利用者別の設定キーデータを取得し、選曲者の設定キーデータと重複する設定キーデータを有する他の利用をデュエット相手として選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−17736号公報
【特許文献2】特開2010−78926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、特許文献2に開示される各種システムによれば、選曲する楽曲を決めた上で、一緒に合唱するメンバーを募ったり、設定キーデータに基づいて適切な相手を選択することが可能である。
【0007】
しかしながら、これら文献に開示されるシステムでは、ユーザーが自分で楽曲を決める必要があり、一緒に歌唱する相手が決めた曲を知っているか、また、一緒に歌唱できるか否かが分からない状況で楽曲を決めなければならない。特許文献1のシステムでは、募集したにもかかわらずメンバーを募ることができず、いつまでも演奏が開始されなかったり、特許文献2のシステムでは、デュエット相手が歌唱できない状況も考えられる。
【0008】
本発明は、従来のこのような状況を鑑み、一緒に合唱、デュエットができる楽曲を抽出できるカラオケ選曲装置、カラオケ選曲プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、本発明に係るカラオケ選曲装置は、楽曲識別子を含む楽曲リストを含んだユーザー情報を、ユーザー毎に記憶する記憶手段と、ユーザーからの各種指定を受け付ける入力手段と、前記入力手段にて指定されたユーザーのユーザー情報を読み出し、ユーザーを第1群に属するユーザー、または、第2群に属するユーザーとしてログインさせるログイン処理と、ログインしているユーザー中、前記入力手段にて指定されたユーザーを、操作ユーザーとして選択する操作ユーザー選択処理と、操作ユーザーのユーザー情報に含まれる楽曲リストと、ログインしているユーザーであって、操作ユーザーとは異なる群に属するユーザーの楽曲リストとを比較し、共通する楽曲識別子を抽出する楽曲抽出処理と、前記楽曲抽出処理にて抽出した楽曲識別子の中から選曲し、選曲した楽曲識別子に対応する楽曲を楽曲演奏手段に演奏させる決定処理と、を実行する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明に係るカラオケ選曲装置において、前記楽曲抽出処理は、楽曲リスト中、デュエット曲について共通する楽曲識別子を抽出することを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明に係るカラオケ選曲装置において、前記楽曲リストは、楽曲識別子に対応付けられた採点情報、音程情報などの再生関連情報を有し、前記決定処理は、前記楽曲抽出処理において共通する楽曲識別子が1つ抽出された場合には、当該楽曲識別子に対応する楽曲を前記楽曲演奏手段に演奏させ、前記楽曲抽出処理において共通する楽曲識別子が複数抽出された場合には、前記楽曲抽出処理で比較した楽曲リストにおいて、抽出された複数の楽曲識別子に対応する再生関連情報に基づいて1つの楽曲識別子を選択し、選択した楽曲識別子に対応する楽曲を前記楽曲演奏手段に演奏させることを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明に係るカラオケ選曲装置において、前記決定処理は、前記楽曲抽出処理にて抽出した楽曲識別子に対応する情報をユーザーに提示する提示処理と、前記入力手段にて指定された楽曲を前記楽曲演奏手段に演奏させるユーザー指定処理とを含むことを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明に係るカラオケ選曲装置において、前記楽曲リストは、ユーザーによる指定によって作成された十八番リストであることを特徴としている。
【0014】
さらに、本発明に係るカラオケ選曲装置において、前記楽曲リストは、前記楽曲演奏手段にて演奏された演奏履歴リストであることを特徴としている。
【0015】
また、本発明に係るカラオケ選曲プログラムは、入力手段にて指定されたユーザーのユーザー情報を読み出し、ユーザーを第1群に属するユーザー、または、第2群に属するユーザーとしてログインさせるログイン処理と、ログインしているユーザー中、前記入力手段にて指定されたユーザーを、操作ユーザーとして選択する操作ユーザー選択処理と、操作ユーザーのユーザー情報に含まれる楽曲リストと、ログインしているユーザーであって、操作ユーザーとは異なる群に属するユーザーの楽曲リストとを比較し、共通する楽曲識別子を抽出する楽曲抽出処理と、前記楽曲抽出処理にて抽出した楽曲識別子の中から選曲し、選曲した楽曲識別子に対応する楽曲を楽曲演奏手段に演奏させる決定処理と、をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザーを第1群、第2群に分けてログインさせるとともに、操作ユーザーのユーザー情報に含まれる楽曲リストと、ログインしているユーザーであって、操作ユーザーとは異なる群に属するユーザーの楽曲リストとを比較して、共通する楽曲を選曲することで、一緒に合唱、デュエットする楽曲、そして、ユーザーを適切に選択することが可能となる。特に、ユーザーを第1群、第2群に分けて管理するため、例えば、スナ
ックなどのナイト店においては、第1群としてお客様を、第2群として接客を行う従業員とすることで、お客様と従業員との間において適切にマッチングを行うことができる。この他にも性別にて群分けすることで、男女との間においてデュエットのマッチングを迅速、適切に行うことなどが可能となる。
【0017】
さらに、本発明によれば、楽曲リスト中、デュエット曲に限定して、楽曲リストから共通する楽曲を選択することで、居合わせたユーザーの中から適切なデュエット曲を選択することが可能となる。
【0018】
さらに、本発明によれば、楽曲リストに採点情報や、音程情報などの再生関連情報を記録しておき、この再生関連情報に基づいて、楽曲リストにおいて共通する楽曲の絞り込みを行うことで、より適切な楽曲、ユーザーの選択を行うことが可能となる。
【0019】
さらに、本発明によれば、楽曲リストにおいて共通する楽曲を、ユーザーに提示させ、入力手段にてユーザーに楽曲を指定させることで、ユーザーの嗜好を反映させた楽曲の選択を行うことが可能となる。
【0020】
さらに、本発明では、楽曲リストとしてユーザーによって作成された十八番リストを利用することとしている。十八番リストを利用することで、ユーザーの好きな曲、得意とする楽曲の中から選択することが可能となる。
【0021】
さらに、本発明では、楽曲リストとして楽曲演奏手段にて演奏された演奏履歴リストを利用することとしている。演奏履歴リストを利用することで、ユーザーがこれまでに選曲した楽曲の中から選択することが可能となり、ユーザーが知っている楽曲を選択することが可能となる。
【0022】
さらに、本発明のカラオケ選曲プログラムは、ユーザーを第1群、第2群に分けてログインさせるとともに、操作ユーザーのユーザー情報に含まれる楽曲リストと、ログインしているユーザーであって、操作ユーザーとは異なる群に属するユーザーの楽曲リストとを比較して、共通する楽曲を選曲することで、一緒に合唱、デュエットする楽曲、そして、ユーザーを適切に選択することが可能となる。また、プログラムで提供することで、コンピュータ装置や、既存の音響機器に対してもこの機能を付加することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係るトップメニューを示す図。
【図3】本発明の実施形態に係るユーザー情報を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係る楽曲関連情報を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係るカラオケシステムのメイン処理を示すフロー図。
【図6】本発明の実施形態に係る楽曲選択操作の処理を示すフロー図。
【図7】本発明の実施形態に係る通常検索処理を示すフロー図。
【図8】本発明の実施形態に係る楽曲関連情報表示の様子を示す図。
【図9】本発明の実施形態に係るデュエットモードの楽曲抽出処理を説明する図。
【図10】本発明の実施形態に係るデュエットモードの楽曲抽出処理を説明する図。
【図11】本発明の実施形態に係る演奏処理を示すフロー図。
【図12】本発明の実施形態に係るデュエットモードでの決定処理を説明するフロー図。
【図13】本発明の実施形態に係るデュエットモードでの選曲結果を示す図。
【図14】本発明の実施形態に係るデュエットモードでの決定処理を説明するフロー図。
【図15】本発明の実施形態に係るデュエットモードでの選曲結果を示す図。
【図16】本発明の他の実施形態に係るデュエットモードの楽曲抽出処理を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、コマンダ2(カラオケ装置)と、リモコン装置1にて構成されており、これらは、LAN100にて、無線、有線で互いに接続されている。
【0025】
コマンダ2は、全体を統括制御する制御部30を中心として機能し、主な機能として、演奏処理、映像再生処理、選曲処理などを実行可能としている。演奏処理は、入力部21やリモコン装置1にてユーザーにより、指定されれた楽曲に対応する楽曲情報をMIDI音源26などの音源部にて演奏させ、スピーカー42から放音させる処理である。このとき、スピーカー42からはマイクロホン43から入力される音声も合わせて放音される。映像再生処理は、映像再生部29にて背景映像や歌詞情報などを再生させ、モニタ41を介して視覚情報をユーザーに提供する処理である。
【0026】
選曲処理は、ユーザーからの指定に基づいて楽曲を選択するための処理である。本実施形態では、リモコン装置1と連携して実行することとなる。リモコン装置1の操作部17から入力されたユーザーの指令は、赤外線通信部19、23、あるいは、LAN100を介してコマンダ2に伝達される。コマンダ2での処理結果は、リモコン装置1側の表示部11に表示され、ユーザーは選曲のための各種情報を視認することが可能である。コマンダ2とリモコン装置1は、この選曲処理に限らず、ユーザーから各種入力を受付けて、ログイン処理など各種処理を実行することが可能である。
【0027】
本実施形態に係るカラオケ選曲装置は、このコマンダ2とリモコン装置1との組み合わせで実現しているが、この形態に限らず、リモコン装置1のみ、あるいは、コマンダ2のみにてカラオケ選曲装置を実現することとしてもよい。さらには、リモコン装置1、コマンダ2に対しインストール可能なプログラムとして提供することとしてもよい。
【0028】
図2は、本発明の実施形態に係るトップメニューを示す図である。本実施形態では、リモコン装置1の表示部11に表示させ、リモコン装置1を操作するユーザーに対して各種情報を提供する。なお、リモコン装置1の操作部17としては、カーソルキーなどの各種スイッチの他、表示部11に表示されたアイコンを直接タッチして操作を行うタッチパネル等を採用することができる。
【0029】
トップメニューには、楽曲選択のための各種方法を指定可能の他、ユーザーのログインに関する情報が表示されている。本実施形態では、楽曲選択として、歌手名、曲名を指定して検索を行うことができると共に、本発明の特徴となるデュエットモードにて楽曲、並びに、一緒に歌唱するユーザーを検索することが可能となっている。
【0030】
ユーザーのログインに関する情報は、画面上方に常時表示されたものとなっており、ログイン中のユーザーを示すアバターが表示される。図ではAさん、Eさん、Cさん、3人のアバターが表示されているが、更なる人数をログインさせることが可能であり、アバター右側に示される三角形のスイッチを操作することで、アバターをシフト表示させ、更なるメンバーの表示を行うことができる。表示されている3人のアバター中、背景が褐色であるものは、当該アバターに対応するユーザーが操作ユーザーであることを示している。本実施形態では、操作ユーザーのユーザー名、並びに、ユーザーに対して操作を促す各種メッセージも表示されている。
【0031】
操作ユーザーに対しては、記憶されているユーザー情報に基づいて各種サービスを行うことが可能となっており、操作ユーザーの個人情報や操作履歴などを参照することで、それに基づくサービスを行うことが可能である。
【0032】
操作ユーザーは、画面上方左側に表示されているユーザー切替を操作することで切り換えることができる。また、画面上方右側には、新たにユーザーをログインさせる新規ログイン、操作ユーザーをログアウトさせるログアウトが表示されており、これらを操作することで、ユーザーの追加、ログアウトを行うことができる。
【0033】
図3は、各ユーザー毎に記憶されたユーザー情報を説明するための図である。本実施形態では、ユーザー情報として、個人情報、十八番テーブル、履歴テーブルなどを含んで構成される。個人情報には、ユーザーを認識するためのユーザーID、パスワード、そして、ユーザー名、性別、年齢等を含んで構成されている。特に、本実施形態では、ナイト店における従業員であることを示す従業員フラグを有しており、この従業員フラグがオンとなっているときには、従業員としてログインさせる、すなわち、お客様と従業員とを群分けしてログインさせることが可能となっている。
【0034】
十八番テーブルは、ユーザーによって事前に登録された楽曲を示すテーブルであって、少なくとも楽曲を識別するための楽曲識別子を含んで構成されている。この他にも各楽曲識別子に、歌唱した際に採点された最高点(採点情報)や、自分の歌唱音域に合わせるための音程情報を合わせて登録しておいてもよい。ユーザーは、この十八番テーブルを呼び出すことで、事前に登録した楽曲を容易に呼び出して選曲を行うことが可能となる。なお、採点情報には、最高点に限らず平均点や最低点であってもよく、点数に限らずランクにて構成してもよい。
【0035】
履歴テーブルは、ユーザーがこれまでに選曲した履歴が記載されたテーブルであって、楽曲識別子、歌唱日時、歌唱店舗、採点情報、音程情報などを含んで構成されている。採点情報は、歌唱したときの採点手段による結果を示す情報であり、音程情報は歌唱したときのピッチ変更を示す情報である。
【0036】
本実施形態では、このようなユーザー情報を利用して、デュエットモードにおける選曲が実行される。本実施形態では、楽曲リストとして、十八番テーブルを採用しているが、十八番テーブルに代え履歴テーブルを利用することとしても構わない。
【0037】
図4は、本発明の実施形態に係る楽曲関連情報を示す図である。コマンダ2には、楽曲を演奏するためMIDI情報などで構成された楽曲情報が記憶されているが、この楽曲情報には、曲名など楽曲を識別するための楽曲関連情報が対応付けて記憶されている。この楽曲関連情報を利用することで、ユーザーに楽曲に関する各種情報を提示し、選曲を行わせることが可能となっている。本実施形態では、曲番号など楽曲を識別するための楽曲識別子の他、曲名、歌手名、ジャンル、歌い出しなどを含んで構成されている。特にジャンルには、ロック、ポップスなどの他、デュエット曲であることを示す情報も含まれており、デュエットモードでは、この識別子を参照することでデュエット曲のみを選曲対象とすることも可能となっている。
【0038】
図5は、本発明の実施形態に係るカラオケシステムにおいてユーザーとのやりとりを行うメイン処理を示すフロー図である。本実施形態では、リモコン装置1の操作部17、表示部11をインターフェイスとして実現している。
【0039】
処理がスタートすると、S102では、新たにログインするか否か、すなわち、図2での新規ログインが操作されたか否かが判断される。ユーザーにログインすることが指定さ
れたと判断された場合にはS103にてユーザーの認証が行われる。ここでは、ユーザーID及びパスワードをユーザーが入力することで認証が行われるが、認証の方法としては、カードなどの記憶媒体を利用したり、指紋などの生体認証を行うこととしてもよい。
【0040】
認証に成功したユーザーは、ユーザー情報が読み出されて、ログインユーザーに加入される(S105)。本実施形態では、このとき、ユーザー情報の個人情報に含まれる従業員フラグを参照し、従業員、お客様、2つの群に分けてログインさせることとしている。このようにログイン時に群分けすることで、本実施形態の選曲機能の他、各種サービスを提供することが可能となる。なお、本実施形態では、予め設定された従業員フラグを利用し、どちらの群に属するかを判別しているが、群分けについてはこのようにユーザー情報を利用するものの他、ログイン時にどちらの群に属するかを指定することとしてもよい。所定の操作方法で従業員であることの指定をさせることで、お客様に群分けについて意識させることがなく都合がよい。
【0041】
本実施形態では、新たにログインしたユーザーは、操作ユーザーとして扱われ、ログインした後、選曲など自分のユーザー情報を利用したサービスを受けることが可能となっている。表示部11上には、図2に示されるように背景が褐色のアバター(Aさん)として表示される。
【0042】
操作ユーザーは、図2に示されるトップメニューから楽曲選択操作S200を行うことで、楽曲を選択し、コマンダ2に楽曲情報を再生させることが可能である他、操作ユーザーの切替操作、ログアウト操作を行い、操作ユーザーの変更、そして、ログインユーザーから抜けることが可能である。
【0043】
このように、本実施形態では複数のユーザーをログインさせ、選択された操作ユーザーの切替、操作ユーザーに対する楽曲選択操作など各種のサービスを提供することが可能となっている。特に、操作ユーザーのユーザー情報を利用することで、ユーザーに適したサービスを提供することができる。
【0044】
図6は、図5の楽曲選択操作S200を説明するためのフロー図である。楽曲選択操作が開始されると、通常検索指定であるか否かの判定が行われる。ここで、通常検索指定とは、図2のトップメニューに表示されているよう、歌手名、曲名で探すといったように操作ユーザーが自分で楽曲を指定するモードのことをいう。このモードが指定された場合には、通常検索処理S300にて1つの楽曲を特定し、当該楽曲の楽曲識別子をコマンダ2へ送信し(S203)、楽曲情報を演奏させて処理を終了する。
【0045】
一方、本発明の特徴となるデュエットモードが指定された場合には、楽曲リストの間でマッチングを行う楽曲抽出処理S205と、マッチングの結果に基づいて1つの楽曲を決定する決定処理S400が実行され、当該楽曲に対応する楽曲識別子がコマンダ2へ送信され(S203)、処理を終了する。これら、楽曲抽出処理S205、決定処理S400の詳細については後で説明を行う。なお、楽曲抽出処理S205にて楽曲が抽出できなかった場合は、S207へ進み、ユーザーに選曲できなかった旨などのメッセージを表示してトップメニューへ戻る。
【0046】
図7は、通常検索処理S300の詳細を示すフロー図であり、図8は、楽曲関連情報表示の様子を示す図である。S302では、まずユーザーによる検索条件の指定を受け付ける。図2のトップメニューに表示されるように本実施形態では、歌手名、曲名での検索を行うことが可能となっている。ユーザーにより各種検索条件が指定されると、検索結果として候補となる複数の楽曲の曲名などがリスト表示される(S304)。表示された中からユーザーが1つの楽曲を指定すると、当該楽曲に関する楽曲関連情報が図8に示された
形態で表示される。ここでは、楽曲関連情報として曲名、歌手名、歌い出しが表示されている。なお、何れの画面においても「戻る」スイッチを操作することで、トップメニューへ戻る(S311)ことが可能となっている。
【0047】
この画面では、ユーザーは、当該楽曲について予約を行うか否か、すなわち、コマンダ2に楽曲を演奏させるか否かを選択できると共に、当該楽曲を十八番リストへ追加するか否かを選択することが可能となっている。図に示す状態ではAさんが操作ユーザーであるため、十八番登録が実行されたときには、Aさんのユーザー情報内の十八番リストに楽曲が登録されることとなる。
【0048】
さらには、図に示されるキー設定スイッチを操作して、音程変更を行うことも可能となっており、予約する楽曲、あるいは、十八番リストへ追加する楽曲の音程情報を設定することができる。十八番リスト登録前に設定された音程情報は、図2に示されるように十八番テーブルに併せて記録され、十八番テーブルを利用した楽曲の選択時に利用される。
【0049】
ユーザーにより予約が指定された場合には、当該楽曲の楽曲識別子をコマンダ2に送信すべき識別子として決定し、通常検索処理を終了する。このように本実施形態では、通常検索処理にて楽曲検索を行うことと共に、十八番リストを作成することも可能となっている。十八番リストの作成は、この実施形態に限ることなく、カラオケシステムの適宜モードにて作成可能としてもよいし、ユーザー情報をインターネット上に配置したサーバーにて管理し、自宅のPCあるいは携帯電話などから登録できるようにしてもよい。
【0050】
図6のフロー図に示されているように、本発明の実施形態に係る楽曲選択方法となるデュエットモードは、楽曲抽出処理S205と、決定処理S400を含んで構成されている。図9は、楽曲抽出処理の概要を説明するための模式図である。図に示されるように登録ユーザーの内、A〜Hさんがログインした状態となっている。このログインユーザーの内、A〜Dさんはお客様(第1群)としてログインしており、E〜Hさんは従業員(第2群)としてログインしている。
【0051】
楽曲抽出処理では、ログインユーザー中、操作ユーザーの楽曲リストと、操作ユーザーと異なる群に属するユーザーの楽曲リストとを比較して、共通する楽曲識別子を抽出することとしている。本実施形態では、楽曲リストとして図3で説明した十八番テーブルを採用しており、図9に示す例では、操作ユーザーであるAさんの十八番テーブルと、ログインしている従業員(第2群)の十八番テーブルとを比較することとしている。比較対象となる楽曲リストについては、十八番テーブルに限らず履歴テーブルを利用することとしてもよい。さらには、操作ユーザーについては十八番テーブル、比較対象となる群については履歴テーブルを利用し、抽出の対象を大きくしてもよいし、その逆を行うこととしてもよい。
【0052】
本実施形態における楽曲抽出処理は、デュエット曲について抽出しデュエット曲についてのみに限定して楽曲識別子の抽出を行うこととしている。この抽出は、楽曲関連情報中のジャンルを参照することで容易に実現できる。また、デュエット曲に限定することなく、全曲を対象としてもよいし、合唱可能な所定のジャンルについて抽出を行うこととしてもよい。
【0053】
図9は、操作ユーザーがお客様(第1群)である場合を示しているが、操作ユーザーは、従業員(第2群)の場合も考えられる。図10は、操作ユーザーが従業員である場合の楽曲抽出処理を示す模式図であり、この場合、楽曲抽出処理は、操作ユーザーであるFさんの十八番テーブルと、お客様(第2群)の十八番テーブルを比較して、共通する楽曲識別子が抽出される。
【0054】
楽曲抽出処理で抽出された1つ、もしくは、複数の楽曲識別子は、決定処理にてユーザーによる楽曲の決定、確認が実行され、決定された1つの楽曲識別子は、S203にてコマンダ2へと送信される。図11は、楽曲識別子を受信したコマンダ2での演奏処理を示す図である。まず、受信した楽曲識別子は、予約リストに順次登録されることとなるが、S502ではこの予約リストを参照し、次に演奏する楽曲があるか否かを判定する。次に演奏する楽曲がある場合は、S503にて当該楽曲に対応する楽曲情報を演奏する。このとき、音程情報が併せて指定されているときには、当該音程情報に基づいた音程にて演奏が実行される。
【0055】
S504では、楽曲情報の演奏が終了するのを待つ。楽曲演奏中には、マイクロホン43から入力される歌唱者の音声信号に対して採点が実行される。演奏が終了すると、当該楽曲を予約指定したユーザーのユーザー情報が更新される(S505)。本実施形態では、ユーザー情報中、履歴テーブル中、当該楽曲について楽曲識別子、歌唱日時、歌唱店舗、採点情報、音程情報が追加登録される他、最高点を記録した場合には十八番テーブル中の採点情報が更新される。S506では、再び、S501に戻って予約リストの確認が実行される。
【0056】
では、次にデュエットモードでの決定処理(S400)における2つの実施形態について詳しく説明する。楽曲抽出処理では、操作ユーザーと異なる群から複数の楽曲識別子が抽出される場合がある。ここでは、決定処理として、演奏させる楽曲を自動で決定する方法と、ユーザーに選択させる方法、2つの方法について説明する。なお、楽曲識別子は、比較対象となる群においてユーザー毎に抽出されることとしており、同じ楽曲識別子であってもユーザーが異なる場合には複数の楽曲識別子として扱うこととしている。
【0057】
図12は、自動で決定する場合の決定処理を示すフロー図である。S402aでは楽曲抽出処理にて、対象となる異なる群から楽曲識別子が複数抽出されたか否かが判定される。複数でない、すなわち、1つであった場合にはS405aに進み、該当する楽曲の楽曲関連情報を表示させ、操作ユーザーに当該楽曲を演奏させるか否かの確認を図る。図13は、この確認画面を示す図であって、楽曲関連情報として、曲名、歌手名が表示されている。楽曲関連情報の他、十八番テーブル上にて一致した楽曲識別子をもつユーザーのユーザー名をデュエット相手として表示している。さらには、操作ユーザーの十八番テーブル上でのキーも表示し、このキーで音程が設定されることをユーザーに確認させている。
【0058】
楽曲、デュエット相手を確認し、この楽曲でデュエットすることを決めた操作ユーザーは、画面上の予約ボタンを操作して当該楽曲の演奏予約を行う(S407a)。一方、この楽曲、デュエット相手が気に入らない場合には、戻るボタンを操作してトップメニューへと戻る(S409a)。
【0059】
一方、S402aにおいて、抽出した楽曲識別子が複数である場合には、当該楽曲識別子の中から1つを選ぶこととなる。本実施形態では、比較対象となる他群に属する十八番テーブルにおいて、操作ユーザーの十八番テーブルの楽曲の採点情報と比較を行い(S403a)、最も採点情報の差分が少ないものを演奏候補として決めることとしている。決定した楽曲は、S405aにて1つが抽出された場合と同様、操作ユーザーによる確認が実行される。
【0060】
本実施形態では、1つの楽曲を決定する条件として、採点情報を利用することとしているが、条件にはこれ以外に、音程情報を用い、操作ユーザーの音程と同じ、あるいは、近いものを選ぶこととしてもよい。
【0061】
一般的なカラオケの採点値は歌唱音声の音量情報(音量レベル大小)、音程情報(歌唱キーの高低)などに基づいて決定されている。デュエットの場合、お互いの歌唱するキーが大きく異なった場合に、一方のキーに楽曲のキーを一致させて再生してしまうと、一緒に歌唱する他方の歌唱者が違和感を感じることとなる。
【0062】
そのため、音程情報と採点情報の両方を用いる場合には、採点情報を優先させる、すなわち、音程情報が同じ(同じキー)群で抽出し、その次に採点情報の差が小さい人という順でデュエット相手を抽出することが好ましい。
【0063】
次に、図14、図15を用い、手動で決定する場合の決定処理について説明する。図14は、この実施形態における決定処理を示すフロー図であり、図15は、ユーザーに候補を提示する際の画面を示す図である。S402bでは、抽出した楽曲識別子が複数であるか否かが判定される。1つである場合には、前実施形態と同様、図13に示されるように楽曲関連情報などを表示してユーザーに予約の確認が図られる。
【0064】
一方、複数の楽曲識別子が抽出されている場合には、抽出した複数の楽曲関連情報などを表示してユーザーに楽曲を選択させる。図15は、この選択画面を示した図であって、曲名、歌手名、デュエット相手、キーが表示される(S403b)。ここでは5曲だけ表示されているが、この他にも候補がある場合には、図中右に示されるページ送りボタンを操作することで候補を閲覧することができる。
【0065】
候補に表示する順番は、任意としてもよいし、採点情報や音程情報を利用し、より操作ユーザーにマッチしたものが先頭となるように表示してもよい。さらには、曲名、歌手名、デュエット相手など何れかの項目でソートできるようにしてもよい。ユーザーが表示された候補から1つの楽曲を選択する(S404b)と、図13に示される確認画面で楽曲が予約されるのを待ち(S406b)、予約楽曲を決定する(S407b)。
【0066】
以上、本発明では、操作ユーザーの楽曲リストと、操作ユーザーと異なる群に属するユーザーの楽曲リストとを比較し、共通する楽曲を抽出することで、一緒に合唱、デュエットする楽曲、並びに、相手ユーザーを容易に選択することが可能となる。本明細書では、第1群、第2群の群分けとして、お客様、従業員を採用した実施形態について説明したが、このような実施形態では、ナイト向けのカラオケ装置に適したものとなる。この他にも第1群、第2群の群分けとしては、図16に示されるような男と女による群分けを採用することとしてもよい。ユーザー情報中の個人情報を参照することでログイン時に簡単に群分けを行い、男女間での合唱、デュエットのマッチングを図ることが可能となる。
【0067】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0068】
1…リモコン装置、11…表示部、12…ビデオRAM、13…映像制御部、14…メモリ、15…制御部、16…無線LAN通信部、17…操作部、18…操作処理部、19…赤外線通信部、2…コマンダ(カラオケ装置)、21…操作部、22…操作処理部、23…赤外線通信部、24…インターフェイス部、25…音声制御部、26…MIDI音源、27…メモリ、28…ビデオRAM、29…映像再生部、30…制御部、31…映像制御部、32…ハードディスク、41…モニタ、42…スピーカー、43…マイクロホン、100…LAN、110…アクセスポイント、120…ルータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲識別子を含む楽曲リストを含んだユーザー情報を、ユーザー毎に記憶する記憶手段と、
ユーザーからの各種指定を受け付ける入力手段と、
前記入力手段にて指定されたユーザーのユーザー情報を読み出し、ユーザーを第1群に属するユーザー、または、第2群に属するユーザーとしてログインさせるログイン処理と、
ログインしているユーザー中、前記入力手段にて指定されたユーザーを、操作ユーザーとして選択する操作ユーザー選択処理と、
操作ユーザーのユーザー情報に含まれる楽曲リストと、ログインしているユーザーであって、操作ユーザーとは異なる群に属するユーザーの楽曲リストとを比較し、共通する楽曲識別子を抽出する楽曲抽出処理と、
前記楽曲抽出処理にて抽出した楽曲識別子の中から選曲し、選曲した楽曲識別子に対応する楽曲を楽曲演奏手段に演奏させる決定処理と、を実行する制御手段とを備えることを特徴とする
カラオケ選曲装置。
【請求項2】
前記楽曲抽出処理は、楽曲リスト中、デュエット曲について共通する楽曲識別子を抽出することを特徴とする
請求項1に記載のカラオケ選曲装置。
【請求項3】
前記楽曲リストは、楽曲識別子に対応付けられた採点情報、音程情報などの再生関連情報を有し、
前記決定処理は、
前記楽曲抽出処理において共通する楽曲識別子が1つ抽出された場合には、当該楽曲識別子に対応する楽曲を前記楽曲演奏手段に演奏させ、
前記楽曲抽出処理において共通する楽曲識別子が複数抽出された場合には、前記楽曲抽出処理で比較した楽曲リストにおいて、抽出された複数の楽曲識別子に対応する再生関連情報に基づいて1つの楽曲識別子を選択し、選択した楽曲識別子に対応する楽曲を前記楽曲演奏手段に演奏させることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載のカラオケ選曲装置。
【請求項4】
前記決定処理は、前記楽曲抽出処理にて抽出した楽曲識別子に対応する情報をユーザーに提示する提示処理と、前記入力手段にて指定された楽曲を前記楽曲演奏手段に演奏させるユーザー指定処理とを含むことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載のカラオケ選曲装置。
【請求項5】
前記楽曲リストは、ユーザーによる指定によって作成された十八番リストであることを特徴とする
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のカラオケ選曲装置。
【請求項6】
前記楽曲リストは、前記楽曲演奏手段にて演奏された演奏履歴リストであることを特徴とする
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のカラオケ選曲装置。
【請求項7】
入力手段にて指定されたユーザーのユーザー情報を読み出し、ユーザーを第1群に属するユーザー、または、第2群に属するユーザーとしてログインさせるログイン処理と、
ログインしているユーザー中、前記入力手段にて指定されたユーザーを、操作ユーザーとして選択する操作ユーザー選択処理と、
操作ユーザーのユーザー情報に含まれる楽曲リストと、ログインしているユーザーであって、操作ユーザーとは異なる群に属するユーザーの楽曲リストとを比較し、共通する楽曲識別子を抽出する楽曲抽出処理と、
前記楽曲抽出処理にて抽出した楽曲識別子の中から選曲し、選曲した楽曲識別子に対応する楽曲を楽曲演奏手段に演奏させる決定処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする
カラオケ選曲プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−18333(P2012−18333A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156391(P2010−156391)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】