説明

カラーコードを用いた無線通信システム

【課題】 従来の無線通信は、指向性がなく、対象の位置の検出が困難、また、人の目には通信状態も把握しづらいという問題があった。
【解決手段】 表示部に表示されたマトリックスコードを撮像部で撮影し、色パターンを画像解析することでデジタルデータを読み取る。撮像範囲のマトリックスコードの情報を読み取るため、画像から情報を読み取るため情報を発信している位置を特定するのも容易である。さらに、視認可能な色パターンで通信を行うため、通信を行っているかどうかをユーザが判断可能である。また、マトリックスコード中の特定の単位コードの示す色が特定の情報と関連付けられていれば、ユーザは発信あるいは受信している情報が、具体的に何に関係する情報であるかを視覚的に確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線でデータ通信する方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IDデータなどの少ないデータ量を通信し、人やモノの認識・識別を行う手段としてRFID(Radio Frequency Identification)が注目されており、近〜中距離での無線通信が発達している。
【特許文献1】特開2001−233410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしRFIDでは電波や電磁波を用いて読み取り機と通信するので、複数を同時に認識することはできてもそれぞれの位置を検出することは困難である。この様子を図14に示す。501がRFIDタグで500がタグリーダーである。図に示すように、一般的には電波あるいは電磁波はタグリーダー500を中心として放射されるので、各RFIDタグ501との相対的な距離はわかっても、それぞれの位置を検知することはできない。位置を検知するためにはリーダーを3つ以上備え、3点計測などを行う必要があり装置が煩雑になる。
【0004】
また、電波や電磁波で通信を行うと、その通信状態は人間には確認することができない。近年、さまざまな技術によりセキュリティーが向上したとはいえ、自分が持つタグ(ICカード)の情報を知らない間に読み取られていたり、無駄な情報を読み取っていたりする可能性は捨てきれないわけである。これは、電波・電磁波が届く範囲内にリーダーとタグが存在すれば、所有者の意思に関わらず通信が行われる可能性があることに起因するものである。また同時に、意識的に情報通信を行う場合でも、タグ内に複数の情報を持っているような場合には、何の情報を発信しているか、あるいは受信しているかを判別するのは通常不可能である。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、具体的には電波あるいは電磁波での通信が人には直感的にわかりにくかった点を解決するため視覚的に通信状態を把握でき、また、情報とその情報が発信されている位置情報を関連付けることが容易で、また、物理的に通信を制御可能な情報通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線通信システムは最小の構成単位が、可視光範囲の複数色を表示し、時間軸に沿って表示色を変化させるコードから構成される2次元マトリックスコードと、デジタルデータをマトリックスコードの一定時間の色パターンデータに変換する変換コードとを用いる。
【0007】
本発明の無線通信システムは前記2次元マトリックスコードを表示する情報表示部と、デジタルデータを前記変換コードに従って、一定時間間隔の色パターンデータに変換し情報表示部に表示命令を送る表示制御部から構成される発信データを表示する情報発信手段と、前記情報表示部を撮像する撮像部と、撮像した画像情報を画像処理することによりマトリックスコードの色パターンを検出し、変換コードに従って再変換する事により、前記情報発信手段からデジタルデータを読み取る画像情報解析部から構成される前記発信データを受信する情報取得手段から構成される。
【0008】
本発明の無線通信システムの一つの形態では、前記情報表示部に表示されたマトリックスコード中の特定位置での特定の色パターンが、特定の発信情報と関連付けられている。
【0009】
本発明の情報発信手段の一つの形態では、前記情報表示部のマトリックスコードは単色LED、あるいは複数のLEDの組み合わせにより変色可能なLED群、を最小単位として二次元マトリックス状に配置する。
【0010】
本発明の情報発信手段の一つの形態では、前記情報表示部のマトリックスコードは、カラーディスプレイシステム上に表示される。
【0011】
本発明の情報発信手段の一つの形態では、前記情報表示部で表示される色パターンの周期は、前記撮像部の1フレームの時間と同じである。
【0012】
本発明の情報表示部の一つの形態では、前記情報取得手段により前記情報表示部を検出することにおいて、前記マトリックスコードの一部を位置検出手段として用いる。
【0013】
本発明の情報表示部の一つの形態では、前記情報取得手段により前記情報表示部を検出することにおいて、前記マトリックスコードの近辺に赤外線LEDを設置し、位置検出手段として用いる。
【0014】
本発明の画像解析部の一つの形態では、前記撮像部から得られた画像の中から、前記位置検出手段により情報表示部を検出し、情報表示部が示す色パターンを1フレーム毎に画像処理する。
【0015】
本発明の画像解析部の一つの形態では、前記画像処理方法は、1フレームごとの画像の色をしきい値によって分別し、それを1フレームのコードデータとしてデータを蓄積し、それを繰り返す。
【0016】
本発明の画像解析部の一つの形態では、前記画像処理方法は、マトリックスコードからデータ表示開始情報を検出してからデータ蓄積を開始し、データ表示終了情報を検出するとデータ蓄積を停止し、蓄積したデータを変換コードに従ってデジタルデータに変換する。
【0017】
本発明の無線通信システムの一つの形態では、前記情報表示部と、前記撮像部に物理的なシャッターを設け、ユーザが通信を行いたくない場合に不意の通信を行わないように受信及び発信を物理的に遮断する事を可能にした構造を有する。
【0018】
本発明の無線通信システムの一つの形態では、前記撮像部から得られた画像と、前記画像中のマトリックスコードから変換したデジタルデータとを関連付け、前記画像中のマトリックスコードの位置に前記データの内容を重ね合わせて外部ディスプレイ装置に表示するように、画像の合成を行う画像合成部を含む。
【0019】
本発明の無線通信システムの一つの形態では、変換して取得したデータが、IDコードであった場合、外部あるいは内部のデータベースを参照してIDが有する情報を画像に重ね合わせる、データ参照機能を有する画像合成部を含む。
【0020】
本発明の無線通信システムの一つの形態では、前記情報発信手段と前記情報取得手段が同一機器に取り付けられ、同様の機器と双方向通信を行う。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、撮像範囲内に存在する2次元カラーマトリックスコードを読み取ることにより、一定範囲内のデータを読む、すなわち指向性のある無線通信を行うことができる。
【0022】
また、マトリックスコードはLEDもしくは各種ディスプレイ上に表示されるため、表示情報を変更することができる。
【0023】
また、マトリックスコードは人間の目で見える色表示によって構成されているので、データの発信状態をユーザは視覚的に確認することができる。
【0024】
また、マトリックスコードが示す色と、そのとき発信している情報に関連付けを行うことで、どのような種類のデータが発信されているのかをユーザが視覚的に確認することができる。
【0025】
また、撮像画像と読み取った情報を重ね合わせてディスプレイに表示することにより、ユーザは情報を発信しているマトリックスコードの位置が情報と関連付けられて視覚的に理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて示す。
【0027】
図1は本発明の基本構成を示す。まず、情報発信手段100に送られてきたデジタル情報は、表示制御部101において、一定の変換コードに基づき、色パターンデータに変換される。次に、変換された色パターンデータに従って、情報表示部102にマトリックスコードとしてデータを表示させる。情報取得手段200では、撮像部201でマトリックスコードを含む範囲を撮像し、得られた画像を情報解析部202で解析する。情報解析部202では、まず、位置検出手段によりマトリックスコードを検出し、次に、その範囲に表示されている色パターンを検出する。検出した色パターンを変換コードに基づき、再変換することでデジタルデータを得る。
【0028】
図2に、情報表示部の実施の形態の一つとして、単色LED21により構成された情報表示部20を示す。発明の好ましい形態としては、各LED21は正方形状の2次元マトリックスを形成する。図2では3×3の正方形マトリックスを形成しているが、5×5、9×9などでも良く、特に数を制限するものではない。マトリックスを構成するLED21は例えばRGBなどの数色で構成される。
【0029】
図3に、情報表示部の実施の形態の一つとして、変色可能なLED群31を最小単位として構成された情報表示部30を示す。LED群31はRGBのLEDから構成され、可視光範囲の複数の色を表示可能である。発明の好ましい形態としては、各LED群31は正方形状の2次元マトリックスを形成する。図3では3×3の正方形マトリックスを形成しているが、5×5、9×9などでも良く、特に数を制限するものではない。
【0030】
図4に、情報表示部の実施の形態の一つとして、カラーディスプレイ装置41に出力されたマトリックスコード40を示す。ディスプレイ装置41の表示方法はCRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、EL(Electroluminescent)ディスプレイ、FED(Field Emission Display)などであり、その形態はTVモニター、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話、PHS(Personal Handy Phone)、街頭のディスプレイなど一般に表示装置が存在する場所ならば特にその形態を問うことはない。図4では5×5の正方形マトリックスを形成しているが、3×3、9×9などでも良く、特に数を制限するものではない。
【0031】
図5に、情報表示部で発信される情報の形態の一例を示す。50は情報表示部が示すマトリックスコードの1フレームを示し、時間軸に沿って5a、5b・・・のように変化していく。発信情報はデータ表示開始情報を示すフレーム51とデータ表示終了情報を示すフレーム52と発信するデータ部56から構成され、その3つを合わせた55が一連の発信データとなる。さらに情報表示部は発信データ55の発信を繰り返し、発信データの間には一定のアイドルタイム53が含まれている。情報取得部はデータが繰り返し表示されている間は、どのタイミングでデータを読み取っても良い。また、読み取りに失敗した場合でも、繰り返し表示されている間に、再び読み取りを開始しても良い。また、情報表示部の1フレーム50の時間は撮像部の1フレーム時間と同じにする。このことにより、情報表示部と撮像部の同期にずれがあっても、適当な回数のアイドルタイムを超えることで、おおよその同期をとることができる。
【0032】
撮像部で撮影した画像中から、マトリックスコード部分を精度良く読み取るために、図6または図7に示す位置検出手段を用いる。図6ではマトリックスコード1を構成するカラーコードの一部60を位置検出手段として用いる形態を示す。より具体的には例えば図6では、3×3のマトリックスコード中の頂点にある3つのカラーコード60が、所定の色の点灯(所定の色及び所定の点滅パターン)を行うことでカラーコードの存在を示す。情報解析部はこの所定の色パターンを検出することにより、より容易にマトリックスコードを検出することが可能である。一方、図7では位置検出手段として、マトリックスコードの近辺に赤外線LED70を設置した実施例である。赤外線LEDはマトリックスコードの位置が正確に検出できるのなら、その設置場所は特に限定するものではない。赤外線LEDを用いることにより、正方形マトリックスコードの一部を位置検出手段として用いる必要がなくなり、マトリックスコードの均質性を壊さずに位置検出を行うことが可能になる。
【0033】
また、図8に情報解析部で行う処理のフローチャートを示す。フローチャートでのそれぞれの処理は、撮像部から送られてくる1フレーム毎の画像ごとに行う。情報解析部は撮像部から送られてきた画像から位置検出手段を用いてマトリックスコードを検出する(S1)。マトリックスコードを検出した後には、データ表示開始情報フレームを検出するか否かを判定する(S2)。データ表示開始情報フレームの検出方法は、マトリックスコードの範囲の色情報を抽出し、その色配置パターンが、所定のデータ表示開始情報と該当しているかどうかを判定して行う。データ表示開始情報フレームを検出すると、次に続いて表示されるデータフレームの画像を画像処理し、色情報及びその配置情報を検出する(S3)。検出した情報を蓄積し(S4)、これをデータ終了情報フレームを検出する(S5)まで繰り返す。データ終了情報フレームを検出すると、検出情報の蓄積を終了する。蓄積された情報は、各フレームでのコードの色情報と配置情報、そして連続的な色・配置の変化パターンとなるので、これを変換コードに従って、デジタルデータに変換する。変換に失敗すると、また初めからマトリックスコードを読み取り始める(S6)。
【0034】
また、本発明によると、撮像部で撮影した範囲の中に存在するマトリックスコードを読み取るので、任意の方向からのみの情報を取得することができる。同様の方法で情報を読み取る手段には2次元バーコードなども考えられるが、本発明ではマトリックスコードが示す情報が可変であるため、より複雑なデータ転送を行うことが可能であり、また、マトリックスコード自体が発光しているので2次元バーコードよりも遠い距離で読み取ることが可能である。
【0035】
また、本発明のカラーマトリックスコードは、マトリックスコード中の特定の単位コードの示す色が特定の情報と関連付けられていることを特徴とする。例えば、図9において、中央に存在するコード90が赤い色を示していた場合には、情報発信手段が発信しているデータは個人情報(個別ID、名前、電話番号、など)であることを示す。また、他の例としては、コード90が青い色を示していた場合には、情報発信手段が発信しているデータはURLデータである。このように特定の情報を発信する場合に、特定の色表示をするように、データ変換コードを体系付けておけば、ユーザは発信あるいは受信している情報が、具体的に何に関係する情報であるかを視覚的に確認することができる。前記目的を達成するためには、人の目で認識できるように、特定の単位コードで表示される色はフレームごとに異なってはならない。また、特定の情報発信と特定の色の関連付けは、ユーザが把握しておく必要があるため、あまり複雑な体系になるのは好ましくない。
【0036】
また、本発明では撮像した画像中から、マトリックスコードを読み取り、そこから発信する情報を受信するため、受信情報を撮像した画像中の位置と重ね合わせて表示することができる。さらに、画像中に複数のマトリックスコードが存在してもそれぞれの画像中の位置を判定し表示することは容易である。図10に受信情報と画像を重ね合わせて表示する例を示す。物体91、92には情報表示部により表示されるマトリックスコード1が付いている。この物体を含む範囲を、撮像部、情報解析部からなる情報取得部と画像合成部及びディスプレイ装置93を含む端末90で撮像すると、情報取得部は物体91、92に設置されたマトリックスコードからデータを読み取る。ここでのデータをそれぞれの物体の名前とすると、画像合成部は撮像画像にそれぞれの名前、「Object001」、「Object010」を重ね合わせて、ディスプレイ装置93に表示する。
【0037】
また、マトリックスコードから読み取ったデータが、IDデータである場合、データベースを参照して、IDに関連したより詳しい情報を重ね合わせて表示する構成にしても良い。例えば、図11にデータベースを参照する構成の図を示す。図11では人94が有する情報発信手段から、その人固有のIDを読み取る。画像合成部はネットワーク95上のデータベース96から、そのIDに関連する情報を取得し、撮像画像に情報940を重ね合わせて表示する。この例ではデータベースはネットワーク上のデータベースサーバにあるものとしたが、情報取得部と隣接して設置し、同一の機器内に持っても良い。
【0038】
また、ユーザが任意のタイミングでデータ通信を行えるように、情報表示部または撮像部、あるいはその両方に遮光シャッターを設置するのも好適な実施例である。すなわち、ユーザは通信を行う必要のない場合、あるいは通信を行いたくない場合にシャッターを閉じておけば、決して不意の通信を行うことがない。
【0039】
また、本発明での通信速度は、カラーコードの配置数、表示部の表示可能色調、撮像部のフレームレート、情報解析部での色検出能に依存する。例えば、図3のような3×3のマトリックスコードで、一つのカラーコードはRGBのLEDから構成されるとする。また、一つのカラーコードはRGBのLEDのOn、Offの組み合わせにより8色の表示が可能であったとし、情報解析部はこの8色をそれぞれ検出できたとする。その他の条件として、すべて(9個)のカラーコードはデータ通信のために使用され、位置検出情報は別の手段で行っているとする。さらに、撮像部のフレームレートは15フレーム/秒であるとすると、通信速度は以下のように算出できる。
【0040】
まず、1つ当たりのカラーコードが一度に8色の内のいずれかを表示するので、8通りの情報を発信できる。すなわち3ビットの情報の発信である。このカラーコードが9個あるので、3×9=27ビットが一度の表示で発信される情報量である。撮像部のフレームレートが15フレーム/秒であるので、1秒間に27×15=405ビットが発信できる。すなわち405bpsであり、1秒間に約50バイトの情報を発信可能である。これから、容量の大きなデータの通信は現実的に不可能であるが、ID情報、URLデータ、ごく短いテキストデータなどの発信には十分であると考えられる。また、この値は、本発明を用いた構成の中でも最低レベルの値であるので、カラーコードの数を増やす、カラーコードの表示色を増やす、色検出能で検出できる色数を増やす、撮像部のフレームレートを向上させるなどの方法によりさらに高い通信速度で通信することも可能である。例えば、9×9マトリックスコードを用いて他は前記の条件であるとすると、通信速度は約4kbpsとなり、2秒程度の通信で1kバイトのデータ通信を行うことができる。
【0041】
以下では、より具体的に本発明のアプリケーション例を示す。
【0042】
図12では携帯端末に本発明の無線通信システムを搭載した例を示す。図12中では携帯電話111の形状をしているが、その他、PDAやカード型など携帯可能な形状であるならば、特にその形を問うものではない。これは携帯端末の場合に限るものではないが、一つの端末に情報発信手段と情報取得手段を搭載する事により、近距離での相互無線通信を行うことができる。また、携帯端末に搭載することで、データ交換の他に個人認証や電子マネーなどのアプリケーションに適用できる。これらのような重要なデータを発信、あるいは受信する場合にも本発明の通信システムであると、マトリックスコードが表示している色からユーザが通信内容をある程度把握できるため、安心感を得られる。
【0043】
図13では、画像と情報の重ね合わせにより、現実空間中のオブジェクトの情報を収集し選択する例を示す。現在、あらゆるモノがネットワーク上につながるようになって来ているが、ネットワーク上の特定のモノを指定し通信を行おうとするときには、ネットワーク上でそのモノを検索しなくてはならず、そのモノの名前やIDを知る必要があるなど不便である。特に、物理的に目の前にあるモノとネットワーク接続したいときなどにも、同様の操作を行わなければならず、直感的なユーザインターフェースが必要であるといえる。
【0044】
図13では無線LAN基地局310に接続したノート型PC301A、301B、TV302がある。それぞれの機器は本発明の情報発信手段と情報取得手段を備えているとする。今、ノートPC301AからTV302にアクセスしたいとする。この場合、ノートPC301AがTV302のIDを取得する必要がある。そこで、TV302の情報表示部でID情報を表示し、ノートPC301Aの撮像部で読み取り撮像画像と合わせてディスプレイ303に表示する。ここで、近傍にノートPC301Bも存在するので、ディスプレイ上には同様にその情報も表示されている。しかし、IDは画像情報と合わせて表示されているのでユーザは容易にTV302のIDを指定できる。さらに良い実施形態では、画像上のIDをクリックすればそのままTV302との無線LAN通信が開始される。このような操作は従来のRFIDのような認証方法では、タグの位置情報を取得するのが困難であるため実現しにくい。
【0045】
以上のように、上記実施例によれば、撮像範囲内に存在する2次元カラーマトリックスコードを読み取ることにより、一定範囲内のデータを読む、すなわち指向性のある無線通信を行うことができる。
【0046】
また、マトリックスコードはLEDもしくは各種ディスプレイ上に表示されるため、表示情報を変更することができる。
【0047】
また、マトリックスコードは人間の目で見える色表示によって構成されているので、データの発信状態をユーザは視覚的に確認することができる。
【0048】
また、マトリックスコードが示す色と、そのとき発信している情報に関連付けを行うことで、どのような種類のデータが発信されているのかをユーザが視覚的に確認することができる。
【0049】
また、撮像画像と読み取った情報を重ね合わせてディスプレイに表示することにより、ユーザは情報を発信しているマトリックスコードの位置が情報と関連付けられて視覚的に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の基本的な構成を示す概略図である。
【図2】単色LEDを用いた3×3マトリックスコードの構成例の図である。
【図3】RGBのLEDを組み合わせたLED群を最小単位として構成された3×3マトリックスコードの例の図である。
【図4】ディスプレイ装置上にマトリックスコードを表示する例である。
【図5】表示される情報の時間軸変化を示した概略図である。
【図6】コードの一部を位置検出手段として用いる概略図である。
【図7】赤外線LEDを位置検出手段として用いる場合の概略図である。
【図8】情報解析部が行う処理のフローチャートである。
【図9】コードの色と発信情報との関連付けの概略図である。
【図10】画像と読み取り情報の重ね合わせの概略図である。
【図11】画像と読み取り情報の重ね合わせ及びデータベース使用の概略図である。
【図12】本発明の無線通信システムを携帯端末に備えた例。
【図13】画像と読み取り情報の重ね合わせの使用例。
【図14】従来の無線通信の説明図である。
【符号の説明】
【0051】
100 情報発信手段
101 表示制御部
102 情報表示部
200 情報取得手段
201 撮像部
202 情報解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最小の構成単位が、可視光範囲の複数色を表示し、時間軸に沿って表示色を変化させるコードから構成される2次元マトリックスコードと、
デジタルデータをマトリックスコードの一定時間の色パターンデータに変換する変換コードとを用いる無線通信システム。
【請求項2】
前記2次元マトリックスコードを表示する情報表示部と、デジタルデータを前記変換コードに従って、一定時間間隔の色パターンデータに変換し情報表示部に表示命令を送る表示制御部から構成される発信データを表示する情報発信手段と、
前記情報表示部を撮像する撮像部と、撮像した画像情報を画像処理することによりマトリックスコードの色パターンを検出し、変換コードに従って再変換する事により、前記情報発信手段からデジタルデータを読み取る画像情報解析部から構成される前記発信データを受信する情報取得手段からなることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記情報表示部に表示されたマトリックスコード中の特定位置での特定の色パターンが、特定の発信情報と関連付けられている事を特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記情報表示部のマトリックスコードは単色LED、あるいは複数のLEDの組み合わせにより変色可能なLED群、を最小単位として二次元マトリックス状に配置したことを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記情報表示部のマトリックスコードは、カラーディスプレイシステム上に表示されることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記画像表示部で表示される色パターンの周期は、前記撮像部の1フレームの時間と同じであることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記情報取得手段により前記情報表示部を検出することにおいて、前記マトリックスコードの一部を位置検出手段として用いることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記情報取得手段により前記情報表示部を検出することにおいて、前記マトリックスコードの近辺に赤外線LEDを設置し、位置検出手段として用いる事を特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記撮像部から得られた画像の中から、前記位置検出手段により情報表示部を検出し、情報表示部が示す色パターンを1フレーム毎に画像処理することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記画像処理方法は、1フレームごとの画像の色をしきい値によって分別し、それを1フレームのコードデータとしてデータを蓄積し、それを繰り返すことを特徴とする請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記画像処理方法は、マトリックスコードからデータ表示開始情報を検出してからデータ蓄積を開始し、データ表示終了情報を検出するとデータ蓄積を停止し、蓄積したデータを変換コードに従ってデジタルデータに変換することを特徴とする請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記情報表示部と、前記撮像部に物理的なシャッターを設け、ユーザが通信を行いたくない場合に不意の通信を行わないように受信及び発信を物理的に遮断する事を可能にした構造を有する事を特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記撮像部から得られた画像と、前記画像中のマトリックスコードから変換したデジタルデータとを関連付け、前記画像中のマトリックスコードの位置に前記データの内容を重ね合わせて外部ディスプレイ装置に表示するように、画像の合成を行う画像合成部を有する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項14】
変換して取得したデータが、IDコードであった場合、外部あるいは内部のデータベースを参照してIDが有する情報を画像に重ね合わせる、データ参照機能を有する請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項15】
前記情報発信手段と前記情報取得手段が同一機器に取り付けられ、同様の機器と双方向通信を行う請求項2に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−92107(P2006−92107A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274960(P2004−274960)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)