説明

カラーバリエーション作成装置、及びカラーバリエーション作成方法

【課題】限られた色数のカラーパレットを用いて効率的な各部位のカラーバリエーションを作成するカラーバリエーション作成装置、及びカラーバリエーション作成方法を提供する。
【解決手段】カラーバリエーション作成装置1は、3次元モデルの複数の部位ごとのテクスチャをそれぞれフルカラーの範囲内から選択させるテクスチャ選択部2と、選択された各部位のテクスチャの合計がカラーパレット10の所定の色数以内になるように減色するテクスチャ減色部3と、減色されたテクスチャを合成し、カラーパレット10内において各部位に共有されるインデックスカラーを生成するインデックスカラー生成部4と、カラーパレット10のインデックスカラーからカラーバリエーションを作成するカラーバリエーション作成部5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーバリエーション作成装置、及びカラーバリエーション作成方法に係り、特に、所定の色数のインデックスカラーを生成するカラーパレット内において、描画する3次元モデルに含まれる複数の部位のテクスチャについて、部位ごとのインデックスカラー生成領域をカラーパレット内に設定し、個別にインデックスカラーを生成してカラーバリエーションを作成するカラーバリエーション作成装置、及びカラーバリエーション作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム機やパーソナルコンピュータなどに搭載されるアプリケーションでは、登場するキャラクタの服装などにバリエーションを設定する場合がある。このキャラクタのバリエーションを作成する際には、まず、描画するキャラクタなどの3次元モデルに含まれる複数の部位のテクスチャを選択する。次に、所定の色数のインデックスカラーを生成するカラーパレット内において、そのカラーパレット内に各部位のインデックスカラー生成領域を設定する。そして、部位ごとに個別にインデックスカラーを生成してカラーバリエーションを作成するのが一般的である。
【0003】
図5に、従来のカラーバリエーション作成装置100の構成を示す。また、図6に、具体的なカラーパレット内におけるインデックスカラーの生成方法を示す。これらの図では、キャラクタの服装のカラーバリエーションを作成する場合について説明する。図6(a)には、あるキャラクタの服装について、個々にカラーを変えたい部位P1〜P6で示す。図6(b)は、カラーパレット110内に設定された各部位P1〜P6のインデックスカラー生成領域111a〜111fを示す。図5に示すように、キャラクタなどの3次元モデル情報は、3次元モデル情報記憶部101に記憶されている。その3次元モデル情報記憶部101からカラーバリエーションを作成する個別のキャラクタのモデルが、3次元モデル読取部102により読取られる。テクスチャ部位抽出部103は、3次元モデル読取部102により読取られたキャラクタの情報から、カラーバリエーションが作成される部位を抽出する。キャラクタの服装には、例えば図6(a)に示すように、P1(下地)、P2(首元ライン)、P3(袖)、P4(下部),P5(胸模様),及びP6(腰模様)の各部位にカラーバリエーションが作成されるものとする。ここで、インデックスカラー生成部104は、カラーパレット110内に所定の色数、例えば256色以内のインデックスカラーを生成する。
【0004】
インデックスカラー生成部104は、描画する3次元モデルに含まれる複数の部位のテクスチャを、カラーパレット110内に各部位(P1〜P6)についてそれぞれインデックスカラー生成領域111a〜111fに生成する。すなわち、各部位(P1〜P6)のインデックスカラーには、それぞれ限定された生成領域が与えられる。インデックスカラー生成部104は、カラーパレット110のHSV(色相(Hue),彩度(Saturation),及び明度(Value))を変化させることによりインデックスカラーを生成し、テクスチャのバリエーションを揃える。図6では、P1(下地)のテクスチャは、インデックスカラー生成領域111aに生成される。同様に、P2(首元ライン)のテクスチャはインデックスカラー生成領域111bに、P3(袖)のテクスチャはインデックスカラー生成領域111cに、P4(下部)のテクスチャは、インデックスカラー生成領域111dに、P5(胸模様)のテクスチャは、インデックスカラー生成領域111eに、及びP6(腰模様)のテクスチャは、インデックスカラー生成領域111fに生成される。この生成されたパレット110のインデックスカラーは、カラーパレット情報記憶部105に記憶される。
【0005】
カラーバリエーション作成部106は、カラーパレット情報記憶部105に記憶されたインデックスカラーを用いて各部位(P1〜P6)に関するカラーバリエーションを作成し、各部位(P1〜P6)のテクスチャを組合せることで、キャラクタの服装のカラーバリエーションを作成する。そして、そのカラーバリエーションをレンダリング部107に送る。レンダリング部107は、3次元モデル情報記憶部101に記憶されたキャラクタなどの3次元モデル情報と、カラーバリエーション作成部106により作成されたキャラクタの服装のカラーバリエーションを結合させる。そして、この結合された3次元モデル情報は、TV画面出力部108により出力される。
【0006】
特許文献1には、描画対象オブジェクトのバリエーションを効率良く描画する情報処理装置および描画処理方法が開示されている。ここでは、描画処理装置は、描画対象物の3次元の基本形態を定義する基本モデルを記述した基本モデルファイルと、描画対象物の基本形態の同一性を保持したバリエーションの形態を生成するために基本モデルに対して与える作用を記述した作用モデルファイルとを記憶する記憶部と、作用モデルファイルに記述された作用を基本モデルに適用することにより、基本モデルを変化させる作用処理部と、変化後の基本モデルに基づいて描画対象物のバリエーションを画面に表示するための描画処理を行う描画処理部とを含むことが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2007−52508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
カラーパレットは、所定の色数のインデックスカラー、例えば、256色に限られているため、3次元モデル内でカラーバリエーションを変化させる部位が多くなると各部位のインデックスカラー生成領域が狭まり、キャラクタに要求されるカラーバリエーションが作成できなくなる虞がある。また、描画するキャラクタのカラーバリエーションが多くなるとそれに対応できなくなる虞がある。
【0009】
本願の目的は、かかる課題を解決し、限られた色数のカラーパレットを用いて効率的な各部位のカラーバリエーションを作成するカラーバリエーション作成装置、及びカラーバリエーション作成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るカラーバリエーション作成装置は、所定の色数のインデックスカラーを生成するカラーパレット内において、描画する3次元モデルに含まれる複数の部位のテクスチャについて、部位ごとのインデックスカラー生成領域をカラーパレット内に設定し、個別にインデックスカラーを生成してカラーバリエーションを作成するカラーバリエーション作成装置において、3次元モデルの複数の部位ごとのテクスチャをそれぞれフルカラーの範囲内から選択させるテクスチャ選択部と、選択された各部位のテクスチャの合計がカラーパレットの所定の色数以内になるように減色するテクスチャ減色部と、減色されたテクスチャを合成し、カラーパレット内において各部位に共有されるインデックスカラーを生成するインデックスカラー生成部と、カラーパレットのインデックスカラーからカラーバリエーションを作成するカラーバリエーション作成部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るカラーバリエーション作成方法は、所定の色数のインデックスカラーを作成するカラーパレット内において、描画する3次元モデルに含まれる複数の部位のテクスチャについて、部位ごとのインデックスカラー生成領域をカラーパレット内に設定し、個別にインデックスカラーを生成してカラーバリエーションを作成するカラーバリエーション作成方法において、3次元モデルの複数の部位ごとのテクスチャをそれぞれフルカラーの範囲内から選択するステップと、選択された各部位のテクスチャの合計がカラーパレットの所定の色数以内になるように減色するステップと、減色されたテクスチャを合成し、カラーパレット内において各部位に共有されるインデックスカラーを生成するステップと、カラーパレットのインデックスカラーからカラーバリエーションを作成するステップと、を備えることを特徴とする。
【0012】
これらの構成により、限られたカラーパレット内に部位ごとの領域を設定せずに、各部位に要求されるテクスチャをそれぞれフルカラーの範囲内から選択し、それらのテクスチャの合計がカラーパレットの所定の色数以内になるように減色することで、効率的な各部位のカラーバリエーションを作成することができる。これは、減色する際に、複数の部位において共通するテクスチャについては、共有することで色数を減らせることによる。また、減色する際に、複数の部位において近似した色については、統合することで減色できることによる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明に係るカラーバリエーション作成装置、及びカラーバリエーション作成方法によれば、限られた色数のカラーパレットを用いて効率的な各部位のカラーバリエーションを作成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を用いて本発明に係るカラーバリエーション作成装置の実施の形態につき、詳細に説明する。
【0015】
(カラーバリエーション作成装置)
図1に、カラーバリエーション作成装置の1つの実施形態の概略構成を示す。カラーバリエーション作成装置1は、3次元モデル情報記憶部11、3次元モデル読取部12、テクスチャ部位抽出部13、テクスチャ選択部2、テクスチャ減色部3、インデックスカラー生成部4、カラーバリエーション作成部6、カラーパレット情報記憶部15、レンダリング部17、及びTV画面出力部18、から構成される。ここで、従来のカラーバリエーション作成装置100に対し、図1中の破線で囲まれた、テクスチャ選択部2、テクスチャ減色部3、インデックスカラー生成部4、及びカラーバリエーション作成部6が本カラーバリエーション作成装置1の特徴となる。
【0016】
キャラクタなどの3次元モデル情報は、3次元モデル情報記憶部11に記憶されている。この3次元モデル情報には、各キャラクタの情報、例えば、頂点情報、法線情報、ポリゴン情報、マテリアル情報、UV情報などの形状に関する情報が記憶されている。その3次元モデル情報記憶部11からカラーバリエーションを作成する個別のキャラクタのモデルが、3次元モデル読取部12により読取られる。テクスチャ部位抽出部13は、3次元モデル読取部12により読取られたキャラクタの形状情報などから、カラーバリエーションが作成される部位を抽出する。
【0017】
図2に、カラーパレット10内におけるインデックスカラーの生成方法を示す。図2(a)には、あるキャラクタの服装について、個々にカラーを変えたい部位をP1〜P6で示す。テクスチャ選択部2は、3次元モデルの複数の部位P1〜P6ごとのテクスチャをそれぞれフルカラーの範囲内から選択させる。図2(b)には、テクスチャ選択部2により選択された部位P1〜P6ごとの選択テクスチャ20を表にして示す。各部位P1〜P6において選択されたテクスチャをa,b,c,d,e,及びfに数字を連番で付した記号(例えば、a1,a2,a3・・・)で示す。ここで、図2(b)に示すように、例えば、d2はa4と同一の色とする。また、f3はb7と近似する色とする。
【0018】
テクスチャ減色部3は、選択された各部位のテクスチャの合計がカラーパレット10の所定の色数以内になるように減色する。すなわち、図2(c)に示すように、カラーパレット10のインデックスカラー生成領域19に、選択された各部位P1〜P6のテクスチャを割り当てる。このとき、例えば、d2はa4と同一色であるためa4に集約される。このようにして、テクスチャ減色部3は、例えば、256色以内のインデックスカラーをカラーパレット10内に生成する。ここで、テクスチャ減色部3は、合計した色の数が256色を超える場合には、256色以内になるように減色する。例えば、f3はb7と近似する色であり、統一できる場合にはf3をb7に集約することもできる。
【0019】
インデックスカラー生成部4は、カラーパレット10内に減色されたテクスチャを合成し、カラーパレット6内において各部位に共有されるインデックスカラーを生成する。すなわち、カラーパレット10のHSV(色相(Hue),彩度(Saturation),及び明度(Value))を変化させることによりインデックスカラーを生成し、テクスチャのバリエーションを揃える。この生成されたパレット10のインデックスカラーは、カラーパレット情報記憶部15に記憶される。
【0020】
図3に、カラーバリエーションの作成方法を示す。カラーバリエーション作成部6は、部位P1〜P6ごとに、カラーパレット情報記憶部15に記憶されたカラーパレット10からテクスチャを選択して組合せ、キャラクタのカラーバリエーションVを作成する。図3では、例えばV1〜V3の3つのカラーバリエーションVを示す。このとき、カラーバリエーション作成部6は、例えば、d2については同一色であるa4を選択することになる。また、f3については近似する色であるb7を選択しても良い。
【0021】
そして、カラーバリエーション作成部6は、そのバリエーション情報をレンダリング部17に送る。レンダリング部17は、3次元モデル情報記憶部11に記憶されたキャラクタなどの3次元モデル情報と、カラーバリエーション作成部6により作成されたキャラクタの服装のカラーバリエーションを結合させる。そして、この結合された3次元モデル情報は、TV画面出力部18により出力される。
【0022】
(カラーバリエーション作成方法)
図4に、本発明に係るカラーバリエーション作成方法の1つの実施形態の概略構成をフロー図で示す。各ステップは、S1〜S10と表示する。まず、記憶されたデータから、あるキャラクタの3次元モデル情報を読取る(S1)。そして、この3次元モデル情報から、個々にカラーを変えたい部位を抽出する(S2)。
【0023】
次に、部位ごとのテクスチャをそれぞれフルカラーの範囲内から選択する(S3)。そして、全ての部位P1〜P6について選択したか否かを判断する(S4)。選択していない場合にはステップ3に戻る。選択している場合には、選択された各部位のテクスチャの色数を合計する(S5)。次に、色の合計がカラーパレット10の所定の色数、例えば、256色以内であるか否かを判断する(S6)。所定の色数を越える場合には、テクスチャの色数を調整して減色する(S7)。所定の色数に納まる場合には、テクスチャの色を合成してカラーパレット10内にインデックスカラーを生成する(S7)。そして、カラーパレット10のインデックスカラーからカラーバリエーションVを作成する(S8)。
【0024】
さらに、そのバリエーションVとキャラクタの3次元モデル情報とを結合する(S9)。この結合された3次元モデル情報を出力する(S10)。
【0025】
このようにして、限られたカラーパレット10内に部位ごとの領域を設定せずに、各部位に要求されるテクスチャをそれぞれフルカラーの範囲内から選択し、それらのテクスチャの合計がカラーパレット10の所定の色数以内になるように減色することで、効率的な各部位のカラーバリエーションVを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るカラーバリエーション作成装置の1つの実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】カラーパレット内におけるインデックスカラーの生成方法を示す説明図である。
【図3】カラーバリエーションの作成方法を示す説明図である。
【図4】本発明に係るカラーバリエーション作成方法の1つの実施形態の概略構成を示すフロー図である。
【図5】従来のカラーバリエーション作成装置の1つの実施例を示すブロック図である。
【図6】従来のカラーパレット内におけるインデックスカラーの生成方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1,100 カラーバリエーション作成装置、2 テクスチャ選択部、3 テクスチャ減色部、4,104 インデックスカラー生成部、6,106 カラーバリエーション作成部、10,110 カラーパレット、11,101 3次元モデル情報記憶部、12,102 3次元モデル読取部、13,103 テクスチャ部位抽出部、15,105 カラーパレット情報記憶部、17,107 レンダリング部、18,108 TV画面出力部、19,111a〜111f インデックスカラー生成領域、20 選択テクスチャ、P1〜P6 部位、V1〜V3 カラーバリエーション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の色数のインデックスカラーを生成するカラーパレット内において、描画する3次元モデルに含まれる複数の部位のテクスチャについて、部位ごとのインデックスカラー生成領域をカラーパレット内に設定し、個別にインデックスカラーを生成してカラーバリエーションを作成するカラーバリエーション作成装置において、
3次元モデルの複数の部位ごとのテクスチャをそれぞれフルカラーの範囲内から選択させるテクスチャ選択部と、
選択された各部位のテクスチャの合計がカラーパレットの所定の色数以内になるように減色するテクスチャ減色部と、
減色されたテクスチャを合成し、カラーパレット内において各部位に共有されるインデックスカラーを生成するインデックスカラー生成部と、
カラーパレットのインデックスカラーからカラーバリエーションを作成するカラーバリエーション作成部と、
を備えることを特徴とするカラーバリエーション作成装置。
【請求項2】
所定の色数のインデックスカラーを作成するカラーパレット内において、描画する3次元モデルに含まれる複数の部位のテクスチャについて、部位ごとのインデックスカラー生成領域をカラーパレット内に設定し、個別にインデックスカラーを生成してカラーバリエーションを作成するカラーバリエーション作成方法において、
3次元モデルの複数の部位ごとのテクスチャをそれぞれフルカラーの範囲内から選択するステップと、
選択された各部位のテクスチャの合計がカラーパレットの所定の色数以内になるように減色するステップと、
減色されたテクスチャを合成し、カラーパレット内において各部位に共有されるインデックスカラーを生成するステップと、
カラーパレットのインデックスカラーからカラーバリエーションを作成するステップと、
を備えることを特徴とするカラーバリエーション作成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−102493(P2010−102493A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273058(P2008−273058)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(500165153)株式会社シンソフィア (5)
【Fターム(参考)】