説明

カラーフィルタの修正方法及びカラーフィルタ

【課題】露光工程でのフォトマスクに起因した欠陥が発生しても、連続して作業を行うことを可能とする、カラーフィルタの露光による欠陥修正方法を提供する。
【解決手段】フォトレジスト層へのフォトマスクを介したパターン露光Pe、続く現像によりブラックマトリックス41又は着色画素42を形成する際に、フォトマスクに起因した共通欠陥K1を修正するために、現像後の検査にて予め検出された共通欠陥の位置、形状をもとにした第2露光2eを現像前に与えておくこと。第2露光にレーザー光を用いること。第2露光の形状を共通欠陥の形状より大きな形状とし、現像後に余分な領域を除去して所望の形状とすること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタの欠陥修正方法に関するものであり、特に、フォトマスクに起因した欠陥が発生しても、フォトマスクに洗浄を施して異物の除去や、傷の修正を行うことなく、連続して作業を行うことを可能とする、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの製造方法としては、先ず、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成し、次に、ブラックマトリックスが形成されたガラス基板上のブラックマトリックスの開口部に位置合わせして着色画素を形成し、更に透明導電膜を形成するといった方法が広く用いられている。
【0003】
ブラックマトリックスは遮光性を有し、ブラックマトリックスの開口部でカラーフィルタの着色画素の位置を定め、大きさを均一なものとしている。また、ブラックマトリックスは表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させた画像にする機能を有している。このブラックマトリックスの形成は、例えば、黒色フォトレジストを用いて形成するといったフォトリソグラフィ法がとられている。
【0004】
また、着色画素は、例えば、赤色、緑色、青色の色再現フィルタ機能を有するものであり、このブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、顔料などの色素を分散させた着色フォトレジストの塗布膜を設け、この塗布膜へのパターン露光、現像によって着色画素を形成するといった方法がとられている。
【0005】
また、透明導電膜の形成は、ブラックマトリックス及び着色画素が形成されたガラス基板上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いスパッタ法によって透明導電膜を形成するといった方法がとられている。
【0006】
上記方法により製造されたカラーフィルタは、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタとして基本的な機能を備えたものである。多様な液晶表示装置の実用に伴い、例えば、1)スペーサー機能を有するフォトスペーサー(突起部)、2)液晶の配向を制御する配向制御用突起、3)光路差調整層、4)光散乱層、などの種々な機能がカラーフィルタの用途、仕様にもとづき付加されるようになった。
【0007】
図1は、ガラス基板(40)上にブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、透明導電膜(43)が順次に形成され、該透明導電膜(43)上にフォトスペーサー及び配向制御用突起が形成されたカラーフィルタの一例の画素を拡大し模式的に示した平面図である。また、図2は、図1におけるA−A線での断面を更に拡大して示した断面図である。
【0008】
図1及び図2に示すように、この一例に示すカラーフィルタは、図1中、X軸及びY軸方向に設けられたブラックマトリックス(41)の交点の上方に平面視で円形のフォトスペーサー(Ps)が設けられている。また、配向制御用突起(Mv)として、平面視で円形の配向制御用突起が着色画素(42)の上方に設けられている例である。
フォトスペーサー(Ps)、配向制御用突起(Mv)の形成にあたっても、透明フォトレジストの塗布、パターン露光、現像というフォトリソグラフィ法を用いることが広く行われている。
【0009】
このような構成のカラーフィルタを製造する際の中間工程、例えば、着色画素を形成する工程で欠陥が生じることがある。欠陥は、主として画素の一部が欠損した白欠陥と異物の付着などによる黒欠陥に分類される。
ネガ型の着色フォトレジストを用いた場合、白欠陥は、例えば、ガラス基板表面のフォトレジストの弾き、フォトレジスト中の気泡、画素上の異物の脱落に伴う膜剥がれ、フォトマスク上への異物の付着などにより生じる画素の欠落部、或いは、画素の厚みが薄くなっている部分、すなわち、ピンホールである。ピンホールのあるカラーフィルタが液晶表示装置に組み込まれると、白欠陥部が白点として光って観視されるので表示品質を損ねることになる。
【0010】
また、黒欠陥は、工程中で発生するパーティクル、浮遊する塵埃などの異物が付着したものであり画素上の異物は暗く観視される。この黒欠陥は、画素上で突起となることが多く、例えば、この突起の高さが液晶表示装置を構成するカラーフィルタ基板と対向する対向基板に接触するような高さであると、黒欠陥部で電気的な短絡を起こし表示品質を損ねる。従って、白欠陥や黒欠陥などに対しては修正が施される。
【0011】
黒欠陥を修正する方法は、例えば、レーザー光の照射により当該部分を蒸発揮散させ、黒欠陥及びその下方と周辺の着色画素を除去し、ガラス基板の表面を露出させた修正口を設ける。この修正口に修正液を塗布し、硬化を行うといった修正方法である。この修正方法は着色画素が形成された後に行われる方法であり広く行なわれている。
【0012】
例えば、特許文献1に提案されている方法は、レーザー照射器から照射されるレーザー光は可変スリットによって所定の形状に整形された後に欠陥に照射され、不定型な形状の欠陥を所定の形状にトリミングする。このトリミングにより欠陥が黒欠陥の場合は、黒欠陥を含む所定の範囲をレーザー光で除去して、所定形状の白欠陥状態に変え、また、欠陥が白欠陥の場合は、その形状を所定形状に整形する。
【0013】
次に、ディスペンサーを作動させてディスペンサーのノズルの先端をトリミングされた欠陥の上方に移動させた後、ノズルの先端から修正液を吐出する。ディスペンサーのノズルには、予め修正液、例えば、顔料と分散剤と紫外線開始剤と紫外線硬化性樹脂からなる修正液が充填されている。
次に、ディスペンサーのノズルを修正面から所定の距離を離間させた後、紫外線を照射して修正液を硬化させ修正を完了するといった方法である。
【0014】
また、例えば、特許文献2に提案されている方法は、先ず、着色層に生じた白欠陥領域を全て除去するようにYAGレーザーを照射して欠陥部とその周辺を除去する。この除去する領域は、ブラックマトリックスの辺縁と平行な辺を有する四角形形状であり、この容積はインクジェットにより吐出される液滴などにより適宜に決定する。
次に、YAGレーザー照射により除去した領域に欠陥部位周辺と同色の着色材料をインクジェットにより吐出し、吐出された着色材料の乾燥を赤外線ランプにより行うといった方法である。
【0015】
また、例えば、特許文献3に提案されている方法は、針部材の先端部に微細な欠陥の修正に適した極微量の修正液を付着させ、修正液の付着した針部材の先端部と欠陥の位置とを精度良く位置決めし、欠陥に針部材の先端部を接触させ、極微量の修正液を塗布して欠陥を修正するといった方法である。
【0016】
また、他の修正方法としては、例えば、最上層まで形成した後に、多層構成の最上層から最下層までをレーザー光の照射により一括除去し、修正液で各層の修正を行うといった
修正方法が挙げられる。
【0017】
例えば、特許文献4に提案されている方法は、多層構造の膜のいずれかの層の各種欠陥部を含む領域にレーザー光を照射し、この領域の多層構造の膜の最上層から最下層までを除去して、全層に跨がる白欠陥部を形成する。
次に、形成された白欠陥部に、最下層から順に最上層まで、各々、各層の白欠陥部を修正するための修正用液を塗布し、膜形成した後に、修正用液塗布領域に平坦面を押しつけて平坦化するといった方法である。
【0018】
上記、カラーフィルタを製造する際の中間工程、例えば、着色画素を形成する工程で発生した欠陥を着色画素が形成された後に行う修正方法、及び多層構成の最上層まで形成した後に、当該部分の全層を除去しての修正方法は、a)層上の欠陥及び周辺部を除去し、b)その部分に修正液を塗布し、b)この修正液を硬化して補修する、といった相応の作業量となる。また、正常な画素部分の膜質と、修正液により補修した部分の膜質に差異が生じるといった問題がある。
【0019】
一方、図1、2に示すフォトスペーサー(Ps)や配向制御用突起(Mv)のような突起物を形成する際に発生した欠陥、例えば、透明導電膜(43)上の黒欠陥の修正にはレーザー光の照射により除去する技法が提案されている。
また、特許文献5に提案されている方法は、レーザー光として所定の波長のレーザー光、例えば、波長308nm以下のレーザー光を用い、透明導電膜上の突起状の黒欠陥に照射して黒欠陥を除去するといった方法である。
【0020】
さて、上記フォトマスクを用いたパターン露光、現像というフォトリソグラフィ法においては、例えば、ネガ型の着色フォトレジストを用いた場合、フォトマスクに異物付着などがあると、その部位に対応した着色フォトレジスト層の部位はパターン露光によって露光されず、白欠陥となる。
この種の、露光工程でのフォトマスクへの異物付着に起因した欠陥は、同一の白欠陥が複数のカラーフィルタに連続して発生する、所謂、共通欠陥となることが多い。
【0021】
従って、フォトマスクに異物付着が生じた場合には、フォトマスクを露光装置より取り外し、フォトマスクに洗浄を施して異物の除去を行うといった相応の時間を費やすことになる。或いは、フォトマスクに傷が発生した場合にはフォトマスクを作製し直すことになるといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2006−145786号公報
【特許文献2】特開2006−030283号公報
【特許文献3】特許第3381911号
【特許文献4】特開2008−151872号公報
【特許文献5】特開2007−333972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、ガラス基板上にブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、フォトスペーサー、配向制御用突起を順次に形成するカラーフィルタの製造において、フォトマスクを用いたパターン露光、現像というフォトリソグラフィ法を用いた際に、露光工程でのフォトマスクに起因した欠陥が発生しても、フォトマスクに洗浄を施して異物の除去や、傷の発生によるフォトマスクの再作成を行うことなく、連続して作業を行うことを可能とする、カラーフィルタの露光による欠陥修正方法を提供することを課題とするものである。
また、本発明は、上記カラーフィルタの露光による欠陥修正方法を用い修正されたカラーフィルタを提供することを課題とする。
これにより、現像後に、従来の修正を施すことなく、フォトマスクに起因した共通欠陥のないカラーフィルタを製造する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素が順次に形成されたカラーフィルタの欠陥修正方法において、
フォトレジスト層へのフォトマスクを介したパターン露光、続く現像により前記ブラックマトリックス又は着色画素を形成する際に、前記フォトマスクに起因した共通欠陥を修正するために、前記現像後の検査にて予め検出された共通欠陥の位置、形状をもとにした第2露光を現像前に与えておくことを特徴とするカラーフィルタの修正方法である。
【0025】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタの修正方法において、前記第2露光にレーザー光を用いることを特徴とするカラーフィルタの修正方法である。
【0026】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタの修正方法において、前記第2露光の形状を共通欠陥の形状より大きな形状とし、現像後に余分な領域を除去して所望の形状とすることを特徴とするカラーフィルタの修正方法である。
【0027】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタの修正方法において、前記余分な領域は、レーザー光の照射による蒸発揮散で除去することを特徴とするカラーフィルタの修正方法である。
【0028】
また、本発明は、請求項1〜請求項4にいずれか1項に記載するカラーフィルタの修正方法を用い修正したことを特徴とするカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、フォトマスクを介したパターン露光、続く現像によりブラックマトリックス又は着色画素を形成する際に、フォトマスクに起因した共通欠陥を修正するために、現像後の検査にて予め検出された共通欠陥の位置、形状をもとにした第2露光を現像前に与えておくので、フォトマスクに洗浄を施して異物の除去や、傷の修正を行うことなく、連続して作業を行うことを可能とする、露光による欠陥を修正するカラーフィルタの修正方法となる。
【0030】
また、本発明は、第2露光の形状を共通欠陥の形状より大きな形状とし、現像後に余分な領域を除去して所望の形状とするので、共通欠陥が複雑な形状、例えば、白欠陥と黒欠陥が混在するような複雑な形状で、この複雑な形状、或いは本来の形状と同一に露光することが困難な際に好適な、露光による欠陥を修正する液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの修正方法となる。
【0031】
また、本発明は、上記カラーフィルタの修正方法を用い修正されるので、露光工程でのフォトマスクに起因した欠陥が発生しても、連続して作業が行われ廉価なカラーフィルタ
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】透明導電膜上にフォトスペーサー及び配向制御用突起が形成されたカラーフィルタの一例の画素を拡大し模式的に示した平面図である。
【図2】図1におけるA−A線での断面を更に拡大して示した断面図である。
【図3】第1例でのガラス基板上に着色画素が形成された現像後の平面図である。
【図4】第1例での条件設定後の、着色フォトレジストへの露光を説明する平面図である。
【図5】第1例での第2露光を与えた段階を表した平面図である。
【図6】第1例での現像が施され赤色着色画素が形成された段階の平面図である。
【図7】第2例でのガラス基板上に着色画素が形成された現像後の平面図である。
【図8】第2例での条件設定後の、着色フォトレジストへの露光を説明する平面図である。
【図9】第2例での第2露光を与えた段階を表した平面図である。
【図10】第2例での現像が施され赤色着色画素が形成された段階の平面図である。
【図11】第3例でのガラス基板上にブラックマトリックスが形成され共通欠陥が発生した現像後の平面図である。
【図12】第3例での条件設定後の、ネガ型の黒色フォトレジストへの露光を説明する平面図である。
【図13】第3例での修正用領域に第2露光を与えた段階を表した平面図である。
【図14】第3例での第2露光が与えられた後に、現像が施されブラックマトリックス及び修正用ブラックマトリックスが形成された段階の平面図である。
【図15】第3例での余分な領域を除去して所望の形状に整形した段階の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の形態を詳細に説明する。
図3〜図6は、本発明によるカラーフィルタの修正方法の第1例を説明する平面図である。第1例は、ネガ型の着色フォトレジストを用い、第1色目の着色画素の形成時に共通欠陥が発生した例である。
【0034】
図3は、ガラス基板上にブラックマトリックス、着色画素が形成されたカラーフィルタの修正方法における、ガラス基板上に着色画素が形成された現像後の平面図である。図3に示すカラーフィルタは、ブラックマトリックス(41)が良好に形成されたガラス基板(40)上に、第1色目の赤色着色画素(42R)が形成された段階のカラーフィルタである。
【0035】
図3に示すように、この段階のカラーフィルタの赤色着色画素(42R)に、フォトマスク上に付着した異物や、傷などに起因した白欠陥(K1)が発生している例である。この白欠陥は、このカラーフィルタの現像後の検査にて検出されたものであり、複数枚のカラーフィルタに連続して同一の白欠陥が発生していることから共通欠陥と判断されたものである。
【0036】
本発明では、このような、フォトマスクに起因した共通欠陥を修正するために、この現像後の検査にて検出された共通欠陥の位置、形状をもとにした第2露光を、フォトマスクを介したパターン露光前、或いはフォトマスクを介したパターン露光後であって、現像前の段階でガラス基板上に設けられた着色フォトレジストの塗布膜に与えておくことを特徴としている。
【0037】
本発明における第2露光では、レーザー光を用いることが好ましい。第2露光は現像後の検査にて検出された共通欠陥の所定の位置に、所定の形状にレーザー光を照射するように、例えば、レーザー強度、レーザー径、露光時間などの露光条件の設定と、走査する形状、走査方式などの描画条件の設定をした上で照射を行う。
【0038】
図4は、上記フォトマスクに起因した共通欠陥が検出され、検出された共通欠陥に所定の形状にレーザー光を照射するための、上記条件の設定がなされた後に、露光装置に搬入されるガラス基板上の着色フォトレジストへの露光を説明する平面図である。
図4に示すガラス基板(40)上にはブラックマトリックス(41)が良好に形成されており、ブラックマトリックス(41)が形成さたガラス基板(40)上の全面に第1色目の着色画素を形成するための赤色着色フォトレジストの塗布膜(60R)が設けられている。
【0039】
図4は、フォトマスクを介したパターン露光(Pe)が赤色着色フォトレジストの塗布膜(60R)に施された段階のものである。
塗布膜(60R)に施されたパターン露光(Pe)の領域は、右上がり点斜線で表わされている。図4中、符号(K1)で示す部分は、フォトマスク上に付着した異物や、傷などにより露光されておらず、この状態で現像を行うと現像後には図3に示すような白欠陥となる。
【0040】
次に、図5は、塗布膜(60R)上の第1色目の着色画素内で露光されていない部分(K1)の位置に、白欠陥(共通欠陥)(K1)の形状をもとにした第2露光(2e)を与えた段階を表した平面図である。この第2露光(2e)は、上記により設定された露光・描画条件で行われる。
図5に示すように、第2露光(2e)の領域は、右下がり点斜線で表わされており、パターン露光(Pe)による領域と、第2露光(2e)による領域とは重なることなく補完し、着色画素として一様に露光されたものとなる。
【0041】
図6は、パターン露光(Pe)に続き第2露光(2e)が与えられた後に、現像が施され赤色着色画素(42R’)が形成された段階の平面図である。形成された赤色着色画素(42R’)は実線で表わされている。
図3と対比して明らかなように、図3に示す白欠陥(共通欠陥)(K1)は、第2露光(2e)により修正され一様な赤色着色画素(42R’)が得られている。
【0042】
このように、本発明は、露光工程でのフォトマスクに起因した欠陥が発生しても、第2露光により欠陥の修正を行うので、フォトマスクに洗浄を施しての異物の除去や、傷の修正を行うことなく、作業を連続して行うことを可能とする。また、従来行われていた現像後の修正は不要となる。
【0043】
次に、図7〜図10は、露光により欠陥を修正する、本発明によるカラーフィルタの修正方法の第2例を説明する平面図である。第2例は、ポジ型の着色フォトレジストを用い、第1色目の着色画素の形成時に共通欠陥が発生した例である。
【0044】
図7は、ガラス基板上にブラックマトリックス、着色画素が形成されたカラーフィルタの露光による欠陥修正方法における、ガラス基板上に着色画素が形成された現像後の平面図である。図7に示すカラーフィルタは、ブラックマトリックス(41)が良好に形成されたガラス基板(40)上に、第1色目の赤色着色画素(52R)が形成された段階のカラーフィルタである。
【0045】
図7に示すように、この段階のカラーフィルタの、赤色着色画素(52R)を形成しない隣接する画素領域内に、フォトマスク上に付着した異物や、傷などに起因した黒欠陥(K2)が発生している例である。この黒欠陥は、このカラーフィルタの現像後の検査にて検出されたものであり、複数枚のカラーフィルタに連続して同一の黒欠陥が発生していることから共通欠陥と判断されたものである。
【0046】
第2例にても、このような、フォトマスクに起因した共通欠陥を修正するために、第1例と同様に、この現像後の検査にて検出された共通欠陥の位置、形状をもとにした第2露光を、フォトマスクを介したパターン露光後の、現像前の段階でガラス基板上に設けられた着色フォトレジストの塗布膜に与えておく。
【0047】
第2露光ではレーザー光を用いることが好ましく、第2例にても、第2露光は現像後の検査にて検出された共通欠陥の所定の位置に、所定の形状にレーザー光を照射するように、露光条件の設定と、描画条件の設定をした上で照射を行う。
【0048】
図8は、上記フォトマスクに起因した共通欠陥が検出され、検出された共通欠陥に所定の形状にレーザー光を照射するための、上記条件の設定がなされた後に、露光装置に搬入されるガラス基板上の着色フォトレジストへの露光を説明する平面図である。
図8に示すガラス基板(40)上にはブラックマトリックス(41)が良好に形成されており、ブラックマトリックス(41)が形成さたガラス基板(40)上の全面に第1色目の着色画素を形成するための、ポジ型の赤色着色フォトレジストの塗布膜(70R)が設けられている。
【0049】
図8は、フォトマスクを介したパターン露光(Pe)がポジ型の赤色着色フォトレジストの塗布膜(70R)に施された段階のものである。
塗布膜(70R)に施されたパターン露光(Pe)の領域は、右上がり点斜線で表わされている。図8中、符号(K2)で示す部分は、フォトマスク上に付着した異物や、傷などにより露光されておらず、この状態で現像を行うと現像後には図7に示すような黒欠陥となる。
【0050】
次に、図9は、塗布膜(70R)上の露光されていない部分(K2)の位置に、黒欠陥(共通欠陥)(K2)の形状をもとにした第2露光(2e)を与えた段階を表した平面図である。この第2露光(2e)は、上記により設定された露光・描画条件で行われる。
図9に示すように、第2露光(2e)の領域は、右下がり点斜線で表わされており、パターン露光(Pe)による領域と、第2露光(2e)による領域とは重なることなく補完し、ガラス基板(40)上で一様に露光されたものとなる。
【0051】
図10は、パターン露光(Pe)に続き第2露光(2e)が与えられた後に、現像が施され赤色着色画素(52R)が形成された段階の平面図である。形成された赤色着色画素
(52R)は実線で表わされている。
図7と対比して明らかなように、図7に示す赤色着色画素(52R)と図10に示す赤色着色画素(52R)は同一の着色画素が形成されている。
また、図7に示す黒欠陥(共通欠陥)(K2)は、第2露光(2e)により修正されガラス基板(40)上で一様に除去されている。
【0052】
このように、本発明は、露光工程でのフォトマスクに起因した欠陥が発生しても、第2露光により欠陥の修正を行うので、フォトマスクに洗浄を施しての異物の除去や、傷の修正を行うことなく、作業を連続して行うことを可能とする。また、従来行われていた現像後の修正は不要となる。
【0053】
次に、図11〜図15は、本発明の請求項3に係わる第3例を説明するための平面図である。
請求項3に係わる発明は、第2露光の形状を共通欠陥の形状より大きな形状とし、共通欠陥の形状より大きな修正用領域を設ける露光を与え、現像後に余分な領域を除去して所望の形状とすることを特徴としている。
請求項3に係わる発明は、共通欠陥が複雑な形状、例えば、白欠陥と黒欠陥が混在するような複雑な形状で、この複雑な形状、或いは本来の形状と同一に露光することが困難な際に好適な方法である。
【0054】
第3例は、ネガ型の黒色フォトレジストを用い、ブラックマトリックスの形成時に共通欠陥が発生した例である。図11は、ガラス基板(40)上にブラックマトリックス(41)が形成された現像後の平面図である。
【0055】
図11に示すように、ガラス基板(40)上に形成されたブラックマトリックス(41)に、フォトマスク上に付着した異物や、傷などに起因した欠陥(K3)が発生している例である。この欠陥は、このカラーフィルタの現像後の検査にて検出されたものであり、複数枚のカラーフィルタに連続して同一の欠陥が発生していることから共通欠陥と判断されたものである。この欠陥(K3)は、白欠陥(K3a)と黒欠陥(K3b)が混在したものであり、複雑な形状をしている。
【0056】
第3例にても、このような、フォトマスクに起因した共通欠陥を修正するために、第1例と同様に、この現像後の検査にて検出された共通欠陥の位置、形状をもとにした第2露光を、フォトマスクを介したパターン露光後の、現像前の段階でガラス基板上に設けられた黒色フォトレジストの塗布膜に与えておくのであるが、白欠陥(K3a)と黒欠陥(K3b)が混在する欠陥(K3)の全領域を包含する部分を修正用領域(C)として設定し、この修正用領域(C)に第2露光を与える。
【0057】
第2露光ではレーザー光を用いることが好ましい。第3例にても、第2露光は現像後の検査にて検出された共通欠陥の所定の位置に、所定の形状にレーザー光を照射するように、露光条件の設定と描画条件の設定をした上で照射を行うのであるが、この所定の形状として、上記修正用領域(C)を適用する。
【0058】
図12は、上記フォトマスクに起因した複雑な形状の共通欠陥が検出され、検出された共通欠陥に修正用領域(C)の形状にレーザー光を照射するための、上記条件の設定がなされた後に、露光装置に搬入されるガラス基板上のネガ型の黒色フォトレジストへの露光を説明する平面図である。
図12に示すガラス基板(40)上の全面にブラックマトリックスを形成するための黒色着色フォトレジストの塗布膜(80)が設けられている。
【0059】
図12は、フォトマスクを介したパターン露光(Pe)が黒色フォトレジストの塗布膜(80)に施された段階のものである。
塗布膜(80)に施されたパターン露光(Pe)の領域は、右上がり点斜線で表わされている。図12中、符号(K3)で示す部分は、フォトマスク上に付着した異物や、傷などにより露光されておらず、或いは露光されており、この状態で現像を行うと現像後には図11に示す欠陥(K3)となる。
【0060】
次に、図13は、塗布膜(80)上の欠陥(K3)の位置に、欠陥(共通欠陥)(K3)の形状をもとに、上記により設定した修正用領域(C)に第2露光(2e)を与えた段階を表した平面図である。
図13に示すように、第2露光(2e)の領域は、右下がり点斜線で表わされており、白欠陥(K3a)と黒欠陥(K3b)が混在する欠陥(K3)の全領域を包含して露光されたものとなる。
【0061】
図14は、パターン露光(Pe)に続き第2露光(2e)が与えられた後に、現像が施されブラックマトリックス(41)及び修正用ブラックマトリックス(41’)が形成された段階の平面図である。ブラックマトリックス(41)、及び修正用領域(C)に形成された修正用ブラックマトリックス(41’)は実線で表わされている。
【0062】
図15は、図14に示す形成された修正用ブラックマトリックス(41’)の余分な領域を除去して所望の形状(S)、つまり、本来のブラックマトリックスの形状に整形した段階の平面図である。この余分な領域の除去には、レーザー光の照射による蒸発揮散で除去することが好ましい。
【0063】
図11と対比して明らかなように、図11に示す欠陥(共通欠陥)(K3)は、第2露光(2e)、及び現像後のレーザー光の照射により修正され一様なブラックマトリックス(41)が得られている。
【0064】
このように、請求項3に係わる発明は、露光工程でのフォトマスクに起因した複雑な欠陥が発生しても、第2露光とレーザー光の照射により欠陥の修正が可能である。この方法は、現像後に余分な領域を除去する修正を伴うが、従来の修正に比較すると、その作業量は低減したものとなる。
【0065】
また、本発明のカラーフィルタは、上記カラーフィルタの露光による欠陥修正方法を用い修正されるので、露光工程でのフォトマスクに起因した欠陥が発生しても、連続して作業が行われ廉価なカラーフィルタが得られる。
【符号の説明】
【0066】
2e・・・第2露光
40・・・ガラス基板
41・・・ブラックマトリックス
41’・・・修正用ブラックマトリックス
42・・・着色画素
42R・・・第1例の第1色目の赤色着色画素
42R’・・・現像が施され赤色着色画素
43・・・透明導電膜
52R・・・第2例の第1色目の赤色着色画素
60R・・・ネガ型の赤色着色フォトレジストの塗布膜
70R・・・ポジ型の赤色着色フォトレジストの塗布膜
80・・・黒色フォトレジストの塗布膜
A−A・・・断面線
C・・・修正用領域
K1・・・第1例のフォトマスクに起因した白欠陥
K2・・・第2例のフォトマスクに起因した黒欠陥
K3・・・第3例のフォトマスクに起因した欠陥
K3a・・・第3例の白欠陥
K3b・・・第3例の黒欠陥
Mv・・・配向制御用突起
Pe・・・パターン露光
Ps・・・フォトスペーサー
S・・・所望の形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素が順次に形成されたカラーフィルタの欠陥修正方法において、
フォトレジスト層へのフォトマスクを介したパターン露光、続く現像により前記ブラックマトリックス又は着色画素を形成する際に、前記フォトマスクに起因した共通欠陥を修正するために、前記現像後の検査にて予め検出された共通欠陥の位置、形状をもとにした第2露光を現像前に与えておくことを特徴とするカラーフィルタの修正方法。
【請求項2】
前記第2露光にレーザー光を用いることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタの修正方法。
【請求項3】
前記第2露光の形状を共通欠陥の形状より大きな形状とし、現像後に余分な領域を除去して所望の形状とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカラーフィルタの修正方法。
【請求項4】
前記余分な領域は、レーザー光の照射による蒸発揮散で除去することを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタの修正方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4にいずれか1項に記載するカラーフィルタの修正方法を用い修正したことを特徴とするカラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−232492(P2011−232492A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101887(P2010−101887)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】