説明

カラーフィルタの製造方法、及びそれにより製造されるカラーフィルタ

【課題】フォトレジストマスクのパターン幅に対するドライエッチング後の有機膜層のパターン幅の差が低減できるカラーフィルタの製造方法。
【解決手段】基板上の有機膜層、及び前記有機膜層上にパターン形成されてなるフォトレジストマスクを有する被処理体に対して、下記第1及び第2のドライエッチング工程を行うカラーフィルタの製造方法。(1)酸素とハロゲン化合物ガスとを含有する第1の混合ガスによる第1のドライエッチング工程(2)前記第1のエッチング工程後、酸素と、前記酸素に対するガス流量比を前記第1のエッチング工程における前記ガス流量比よりも減少させたハロゲン化合物ガスと、H、N、CH及びCOよりなる群から選択される少なくとも1種の第3のガスとを含有する第2の混合ガスにより8.0Pa以下の圧力下で、有機膜層下層の基板を露出させるまでドライエッチングする第2のドライエッチング工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライエッチングを用いたパターンを形成する工程を有するカラーフィルタの製造方法及びそれにより製造されるカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば固体撮像素子には、半導体基板等の基板上に赤色画素、緑色画素、青色画素などの複数色の有機画素が2次元配列されたカラーフィルタが設けられている。この固体撮像装置においては、近年、画素サイズが縮小するにつれて、色分離の性能要求は厳しくなり、色シェーディング特性、混色防止などのデバイス特性維持のため、カラーフィルタに求められる性能に薄膜化、矩形化、及び各有機画素間に色同士が重なり合うオーバーラップ領域をなくす等の性能が要求されている。
【0003】
ところが、固体撮像装置の画素の微細化にともない、従来のフォトリソ法によるパターン形成では、カラーフィルタの微細化及び薄膜化の要求に対して、カラーフィルタの分光特性とパターン形成性の両立が困難になってきている。具体的には、固体撮像素子用のカラーフィルタにおいて、有機パターンの薄層化については例えば厚みが1μm以下、画素パターンサイズについては2μm以下(例えば0.5〜2.0μm)となるような微小サイズ化が図られる傾向にある。
【0004】
特に薄膜化が進むにつれ、顔料等の有機剤の膜中の相対量が増える反面、有機剤以外のフォトリソ性に寄与する成分の膜中の量が相対的に減少しており、この減少によるパターン形成性は、2.0μmを下回るパターン形成の要求に対し、パターンエッジが丸く矩形性に乏しい等の問題が存在する。これは、顔料分散液を使用したカラーフィルタ(顔料を種々の組成物に分散させた有機感放射線性組成物を用いてフォトリソ法によって作製したカラーフィルタ)では、露光重合による硬化・溶解のデイスクリ不足などの影響により、パターンエッジの丸まりが顕著になることが知られている。
【0005】
特に最近では、固体撮像素子用カラーフィルタの更なる高精細化の要求から例えば1.0μmパターン以下の形成能が問われるようになってきており、従来のフォトリソ法では、カラーフィルタの薄膜と解像力のトレードオフを回避するのは困難であると考えられる。
【0006】
それに対し、有機パターンをドライエッチングで加工することが提案されている(特許文献1、2参照。)。
特許文献1では、有機膜層をドライエッチング加工することで高画素化を可能にするパターン形成をすることができ、エッチングによるフォトレジストの表面変質層をアッシングにより除去することにより、フォトレジストの剥離を容易にする手法が提案されている。このとき、酸素とハロゲン化ガスの流量をコントロールし、フォトレジストの難溶層除去を行うこととしているが、全ガス流量のハロゲンガス比率が大きいことで、一般にオーバーエッチング処理による基板ダメージ(削れ)の問題が発生する傾向がある。例えば、基板上の有機膜層をドライエッチングにより除去してパターンを形成する場合、有機膜層を除去した領域の基板の一部までもが削られ、段差が発生してしまう場合がある。また、エッチング終点検出後に、基板上から残渣を除去するためにオーバーエッチング処理を行う場合があるが、その際、基板上に有機膜が存在する場合や、フッ素系ガスを含むエッチングガスを使用してオーバーエッチング処理を行う場合に、基板ダメージの発生を回避することは困難である。
【0007】
また特許文献2においては、基板のダメージを回避する目的でドライエッチングを多段で実施し、基板の露出するエッチングについてはフルオロカーボンガスを含まないエッチングで実施し、基板のダメージ抑止を実現するとしている。ただし、側壁堆積物の抑制には、圧力コントロールが重要であるとしている。しかしながら、圧力のコントロール性が側壁堆積物の抑制に寄与するということから、圧力パラメータの尤度を狭めてしまうという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−332310号公報
【特許文献2】特開2008−216970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、ドライエッチング時の基板ダメージ(削れ)を抑制しつつ、圧力パラーメータの広い範囲で側壁堆積物の抑制でき、フォトレジストマスクのパターン幅に対するドライエッチング後の有機膜層のパターン幅の差(パターン幅変換差)を低減できるカラーフィルタの製造方法、及びそれにより製造されるカラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
〔1〕
基板上の有機膜層、及び前記有機膜層上にパターン形成されてなるフォトレジストマスクを有する被処理体に対して、下記第1及び第2のドライエッチング工程を行うことにより前記有機膜層にパターンを形成する工程を有するカラーフィルタの製造方法。
(1)酸素とハロゲン化合物ガスとを含有する第1の混合ガスによりドライエッチングすることにより8.0Pa以下の圧力下で、前記基板の表面が露出しない範囲で前記有機膜層の一部を除去し、前記フォトレジストマスクのパターン様に前記有機膜層の除去部を形成する第1のドライエッチング工程、及び
(2)前記第1のエッチング工程後、酸素と、前記酸素に対するガス流量比を前記第1のエッチング工程における前記ガス流量比よりも減少させたハロゲン化合物ガスと、H、N、CH及びCOよりなる群から選択される少なくとも1種の第3のガスとを含有する第2の混合ガスにより、有機膜層下層の基板を露出させるまでドライエッチングする第2のドライエッチング工程であって、前記ハロゲン化合物ガスの流量が前記第2の混合ガスの全ガス流量の1.0%未満である第2のドライエッチング工程。
〔2〕
前記第2のエッチング工程のハロゲン化合物ガスの流量が、前記第2の混合ガスの全ガス流量の0.15%以上である、〔1〕に記載のカラーフィルタの製造方法。
【0011】
〔3〕
前記第2のエッチング工程が0.8〜8.0Paの圧力下で行われる、〔1〕又は〔2〕に記載のカラーフィルタの製造方法。
〔4〕
前記第2のエッチング工程の後、更にオーバーエッチング工程を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のカラーフィルタの製造方法。
〔5〕
前記フォトレジストマスクにおけるパターン幅と、前記第1及び第2のドライエッチング工程後の有機膜層のパターン幅との差が0.2μm未満である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
〔6〕
前記基板の表面からドライエッチングされる量が、基板の厚み方向に対し0.05μm以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
〔7〕
残存する前記フォトレジストマスクを溶解除去により剥離する工程を更に有する〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
〔8〕
前記第1及び第2のドライエッチング工程を行うことにより前記有機膜層にパターンを形成する工程により形成されたパターンが第1の着色パターンであり、前記第1の着色パターンを形成した後、
(イ)前記基板の第1の着色パターン形成面側に、第n(n≧2)の着色層を形成することによって第nの着色パターンを形成する工程
(ロ)形成された前記第nの着色層及び前記第1の着色パターンをドライエッチング処理して、第n+1(n≧2)の着色パターンを形成するための凹凸パターンを形成する第n+1のパターン形成工程、及び
(ハ)前記基板の前記凹凸パターン形成面側に、第n+1の着色層を形成することによって第n+1の着色パターンを形成する工程
前記(イ)、(ロ)及び(ハ)工程のそれぞれ少なくとも1工程と、
前記基板の前記第1の着色パターン形成面側に形成されたn層(n≧2)の着色層の着色パターン形成に寄与しない部分をフォトリソグラフィー又は平坦化処理により除去する工程と
を更に有し、n+1色の着色パターンからなるカラーフィルタを形成する、〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
〔9〕
〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタ。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカラーフィルタの製造方法によれば、ドライエッチング時の基板ダメージ(削れ)を抑制しつつ、圧力パラーメータの広い範囲で側壁堆積物の抑制でき、フォトレジストマスクのパターン幅に対するドライエッチング後の有機膜層のパターン幅の差(パターン幅変換差)が低減できる。
本発明のカラーフィルタは、前記製造方法により得られるので、画素のパターン寸法の精度が高く、基板ダメージが小さい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】基板上の有機膜層、及び前記有機膜層上にパターン形成されてなるフォトレジストマスクを有する被処理体を示す概略断面図である。
【図2】第1のエッチング工程後の層構造を示す概略断面図である。
【図3】第2のエッチング工程後の層構造を示す概略断面図である。
【図4】フォトレジストマスク除去後の層構造を示す概略断面図である。
【図5】GREENパターン及びREDパターン形成後の概略上面図である。
【図6】GREENパターン、REDパターン及びBLUEパターン形成後のBayer配列を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタアクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリル及びメタアクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、質量平均分子量が2,000未満の化合物をいう。本明細書中において、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性基とは、重合反応に関与する基を言う。
【0015】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上の有機膜層、及び前記有機膜層上にパターン形成されてなるフォトレジストマスクを有する被処理体に対して、下記第1及び第2のドライエッチング工程を行うことにより前記有機膜層にパターンを形成する工程を有する。
(1)酸素とハロゲン化合物ガスとを含有する第1の混合ガスによりドライエッチングすることにより、前記基板の表面が露出しない範囲で前記有機膜層の一部を除去し、前記フォトレジストマスクのパターン様に前記有機膜層の除去部を形成する第1のドライエッチング工程、及び
(2)前記第1のエッチング工程後、酸素と、前記酸素に対するガス流量比を前記第1のエッチング工程における前記ガス流量比よりも減少させたハロゲン化合物ガスと、H、N、CH及びCOよりなる群から選択される少なくとも1種の第3のガスとを含有する第2の混合ガスにより8.0Pa以下の圧力下で、有機膜層下層の基板を露出させるまでドライエッチングする第2のドライエッチング工程であって、前記ハロゲン化合物ガスの流量が前記第2の混合ガスの全ガス流量の1.0%未満である第2のドライエッチング工程。
【0016】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、所望のパターン厚み、色相及び色濃度を確保することができ、特に、例えば厚みが1μm以下及び/又は画素パターンサイズが2μm以下(例えば0.5〜2.0μm)となるような微小サイズが求められる固体撮像素子用のカラーフィルタを製造するのに有効である。
【0017】
−有機膜層の形成−
本発明における有機膜層は、例えば、後述する硬化性組成物を後述する基板に塗布し、乾燥して形成することができる。具体的には、例えば、硬化性組成物を、基板上に回転塗布等の塗布方法により塗布して形成することができる。有機膜層の具体的な厚さとしては、0.005μm〜0.9μmが好ましく、0.05μm〜0.8μmが好ましく、0.1μm〜0.7μmで作製されることが更に好ましい。
【0018】
本発明における有機膜層の形成は、加熱工程(ポストベーク工程であってもよい)を更に含むことが好ましい。具体的に前記有機膜層は、硬化性組成物を基板に塗布して塗布膜を形成した後、加熱工程により、該塗布膜を熱硬化させて形成することができる。前記加熱工程は塗布後の乾燥と同時であってもよく、また塗布乾燥後に別途熱硬化の工程を設けてもよい。前記加熱工程は、オーブン、ホットプレートなど公知の加熱手段を用い、好ましくは130℃〜300℃、更に好ましくは150℃〜280℃、特に好ましくは170℃〜260℃の条件下で、好ましくは10秒〜3時間、更に好ましくは30秒〜2時間、特に好ましくは60秒〜60分の範囲で行なうことができる。但し、製造を考慮すると硬化に要する時間は短時間であるほど好ましい。
【0019】
更に本発明の有機膜層としては着色剤を含有しない、いわゆる透明着色層でもよい。具体的には硬化性組成物の着色剤を含有しない組成で構成することができる。
【0020】
−フォトレジストマスク形成−
フォトレジストマスクの形成としては、図1に示すように、基板1上の有機膜層2の上にフォトレジストマスク3を形成する。具体的には、有機膜層2上にポジ又はネガ型の感光性樹脂組成物を塗布し、これを乾燥させることによりフォトレジスト層(図示せず)を形成する。次いで、このフォトレジスト層を露光、現像することによりパターン形成を行い、フォトレジストマスク3を形成する。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。また、露光後の加熱処理(PEB)、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が好ましい。
【0021】
フォトレジスト層としては、例えば、ポジ型の感光性樹脂組成物が用いられる。このポジ型の感光性樹脂組成物としては、紫外線(g線、h線、i線)、エキシマー・レーザー等を含む遠紫外線、電子線、イオンビームおよびX線等の放射線に感応するポジ型フォトレジスト用に好適なポジ型レジスト組成物が使用できる。放射線のうち、g線、h線、i線が好ましく、中でもi線が好ましい。
具体的には、ポジ型の感光性樹脂組成物として、キノンジアジド化合物及びアルカリ可溶性樹脂を含有する組成物が好ましい。キノンジアジド化合物及びアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型の感光性樹脂組成物は、500nm以下の波長の光照射によりキノンジアジド基が分解してカルボキシル基を生じ、結果としてアルカリ不溶状態からアルカリ可溶性になることを利用するものである。このポジ型フォトレジストマスクは解像力が著しく優れているので、ICやLSI等の集積回路の作製に用いられている。キノンジアジド化合物としては、ナフトキノンジアジド化合物が挙げられる。
【0022】
フォトレジストマスクの厚みとしては、0.1〜3μmが好ましく、0.2〜2.5μmが好ましく、0.3〜2μmが更に好ましい。ドライエッチン時のマスク性を損なうことのない膜厚で、極力薄膜化することで、パターニング時の解像力を向上させることができる。
上記フォトレジストマスク3の形成により有機膜層露出部5が形成される。
【0023】
−ドライエッチング工程−
ドライエッチングとしては、フォトレジストマスクのパターン幅に対するドライエッチング後の有機膜層のパターン幅変換差を抑える観点、パターン断面をより矩形に近く形成する観点や基板へのダメージをより低減する観点から、図2に示すように、ハロゲン化合物ガスと酸素ガス(O)とを含有する第1の混合ガスを用い有機膜層露出部5に対し、基板の表面が露出しない領域(深さ)までエッチングを行ない、前記有機膜層2の一部を除去し、前記フォトレジストマスク3のパターン様に前記有機膜層2の除去部6を形成する第1のエッチング工程、及び
この第1のエッチング工程の後に、図3に示すように酸素と、ハロゲン化合物ガスと、第3のガスとしてH、N、CH及びCOからなる群より選択される少なくとも1種のガスとを含有する第2の混合ガスを用いて8.0Pa以下の圧力下で、基板が露出する領域7(深さ)付近までエッチングを行なう第2のエッチング工程を有する。
第2のエッチング工程において、ハロゲン化合物ガスの前記酸素に対するガス流量比は、第1のエッチング工程における前記ガス流量比よりも減少させてなり、かつ
第2のエッチング工程において、前記ハロゲン化合物ガスの流量が前記第2の混合ガスの全ガス流量の1.0%未満である。
第2のエッチング工程のハロゲン化合物ガスの流量の下限値として、前記第2の混合ガスの全ガス流量の0.15%以上であることが好ましい。
さらに、基板が露出した後にオーバーエッチング工程を含むことが好ましい。
【0024】
前記第1のエッチング工程で用いる第1の混合ガスとしては、被エッチング膜である有機膜層を矩形に加工する観点から、ハロゲン化合物ガス及び酸素ガス(O)を含有する。
ここで、ハロゲン化合物ガスとしては、ハロゲン原子を有する化合物の少なくとも1種からなるガスであることが好ましく、フッ素原子を有する化合物の少なくとも1種からなるガスであることがより好ましく、CF、C、C、CHF、SF、Cなどが挙げられる。
第1のエッチング工程で用いる第1の混合ガスにおけるハロゲン化合物ガスと酸素ガスとのガス流量比は2/1〜8/1とすることが好ましく、2/1〜6/1であることがより好ましく、3/1〜5/1であることが特に好ましい。
また、第1のエッチング工程は、基板が露出しない領域までエッチングする形態にすることで、基板のダメージを回避することができる。
また、前記第2のエッチング工程及び前記オーバーエッチング工程は、第1のエッチング工程でハロゲン化合物ガス及び酸素ガスを含有する第1の混合ガスにより基板が露出しない領域までエッチングを実施した後、基板のダメージ回避の観点から、第3のガスと酸素ガスの混合ガスに更にハロゲン化合物ガスが全ガス流量の1.0%未満含有するガスを用いてエッチング処理を行なう。
第2のエッチング工程において、ハロゲン化合物ガスの前記酸素に対するガス流量比を、第1のエッチング工程における前記ガス流量比よりも減少させることにより、基板がダメージを受けることなく有機膜層を効果的にエッチングすることができる。
具体的には、第2のエッチング工程におけるハロゲン化合物ガスと酸素ガスとのガス流量比は1/30〜1/1.5とすることが好ましく、1/20〜1/2であることがより好ましく、1/15〜1/2.5であることが特に好ましい。
前記第2のエッチング工程における第2の混合ガスに前記特定の第3のガスを含有させることにより、理由は定かではないが、側壁堆積物(デポ物)を側壁に適度に付着して残存させることができ、これにより有機膜層の横方向のエッチングを抑制することができ、パターンの矩形性(垂直性)を向上させることができる。
ここで、側壁堆積物とは、エッチング処理によって生成した窒化物もしくは酸窒化物のエッチング生成物で、基板露出部の周囲に形成された有機膜層の側壁に付着し堆積したものを意味する。
以上から、本発明における第1及び2のドライエッチング工程により、理由は定かではないが、基板ダメージを抑制しつつ、パターン幅変換差を減少させることができる。
【0025】
上述の第1のエッチング工程は4.0Pa以下の圧力下で実施することが好ましく、2.0Pa以下で実施することがより好ましい。4.0Pa以下で実施することで、第1のエッチング工程でのパターンの矩形化をより確実に維持することができる。
ここで、圧力はチャンバーの内部圧力をいう。
第2のエッチング工程は、8.0Pa以下で実施する。8.0Pa以下の圧力下で実施することでフォトレジストマスク、有機膜層の横方向のエッチングを抑制することができ、結果としてフォトレジストマスクと有機膜層のパターン幅変換差を最小限に抑制、且つ側壁堆積物生成のコントロールをすることができる。
第2のエッチング工程における圧力の下限値としては0.8Pa以上であることが好ましい。
本発明において、第2のエッチング工程が0.8〜6.0Paの圧力下で行われることが更に好ましい。
【0026】
第1のエッチング工程でのエッチング量と、第2のエッチング工程でのエッチング量との比率は、第1のエッチング工程でのエッチング処理による矩形性を損なわないように決定することが好ましい。なお、全エッチング量(第1のエッチング工程でのエッチング量と第2のエッチング工程でのエッチング量との総和)中における後者の比率は、0%より大きく50%以下である範囲が好ましく、10〜20%がより好ましい。エッチング量とは、被エッチング膜のエッチングにより消失した分の膜厚のことをいう。
【0027】
ドライエッチングは、下記手法により事前にエッチング条件を求めて行なうことが好ましい。
(a)第1のドライエッチング工程におけるエッチングレート(nm/min)と、第2のドライエッチング工程におけるエッチングレート(nm/min)とをそれぞれ算出する。
(b)第1のドライエッチング工程で所望の厚さをエッチングする時間と、第2のドライエッチング工程で所望の厚さをエッチングする時間とをそれぞれ算出する。
(c)前記(b)で算出したエッチング時間に従って第1のドライエッチング工程を実施する。(d)前記(b)で算出したエッチング時間に従って第2のドライエッチング工程を実施する。あるいはエンドポイント検出でエッチング時間を決定し、決定したエッチング時間に従って第2のドライエッチング工程を実施してもよい。
(e)前記(c)、(d)の合計時間に対してオーバーエッチング時間を算出し、オーバーエッチングを実施する。
【0028】
また、前記第2のエッチング工程の後、オーバーエッチング工程を含むことが好ましい。オーバーエッチング工程は、オーバーエッチング比率を設定して行なうことが好ましい。ただし基板露出を検出することができるエンドポイントディテクターにて基板露出を検出したのち、オーバーエッチングを実施することも可能である。オーバーエッチング比率は任意に設定できるが、フォトレジストマスクのエッチング耐性と被エッチングパターンの矩形性維持の観点から、エッチング工程におけるエッチング処理時間の30%以下であることが好ましく、5〜25%であることがより好ましく、10〜15%であることが特に好ましい。
【0029】
また、オーバーエッチングは基板露出を検出することができるEPD(エンドポイントディテクター)を用いて実施してもよい。第2のエッチング中にEPDで基板露出を検出した後、更にエッチングを進行させて、予め設定したオーバーエッチング比率でエッチングを実施することでオーバーエッチングとすることができる。
【0030】
本発明によれば、具体的には、フォトレジストマスクにおけるパターン幅と、前記第1及び第2のドライエッチング工程後の有機膜層のパターン幅との差(パターン幅変換差)を0.2μm未満とすることができる。
また、基板ダメージ(基板の表面からドライエッチングされる量)を基板の厚み方向に対し0.05μm以下とすることができる。
【0031】
−フォトレジストマスク除去工程−
本発明のカラーフィルタの製造方法は、残存する前記フォトレジストマスクを溶解除去により剥離する工程を更に有することが好ましい。
図4に示すように、フォトレジストマスク除去工程では、エッチング後に残存するフォトレジストマスク(すなわちエッチングマスク)を除去する。フォトレジストマスクの除去は、フォトレジストマスク上に剥離液又は溶剤を付与して、フォトレジストマスクを除去可能な状態にする工程と、フォトレジストマスクを洗浄水を用いて除去する工程とを含むことが好ましい。
【0032】
フォトレジストマスク上に剥離液又は溶剤を付与し、フォトレジストマスクを除去可能な状態にする工程としては、例えば、剥離液又は溶剤を少なくともフォトレジストマスク上に付与し、所定の時間停滞させてパドル現像する工程を挙げることができる。剥離液又は溶剤を停滞させる時間としては、特に制限はないが、数十秒から数分であることが好ましい。
【0033】
有機溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル(EEP)、酢酸ブチル、イソプロパノール(IPA)、アセトンなどから選ばれる1種もしくは、1種以上の混合液を使用することができる。有機溶媒はこれらに限定されるものではなく、半導体製造工場で運用されている公知の有機溶媒を使用することも可能である。
【0034】
剥離液として、一般には有機溶剤を含有するが、無機溶媒を更に含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、1)炭化水素系化合物、2)ハロゲン化炭化水素系化合物、3)アルコール系化合物、4)エーテル又はアセタール系化合物、5)ケトン又はアルデヒド系化合物、6)エステル系化合物、7)多価アルコール系化合物、8)カルボン酸又はその酸無水物系化合物、9)フェノール系化合物、10)含窒素化合物、11)含硫黄化合物、12)含フッ素化合物が挙げられる。剥離液としては、含窒素化合物を含有することが好ましく、非環状含窒素化合物と環状含窒素化合物とを含むことがより好ましい。
【0035】
非環状含窒素化合物としては、水酸基を有する非環状含窒素化合物であることが好ましい。具体的には、例えば、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられ、好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンであり、より好ましくはモノエタノールアミン(HNCHCHOH)である。また、環状含窒素化合物としては、イソキノリン、イミダゾール、N−エチルモルホリン、ε−カプロラクタム、キノリン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラジン、ピリジン、ピロリジン、N−メチル−2−ピロリドン、N−フェニルモルホリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジンなどが挙げられる。
【0036】
更に本発明では、フォトレジストマスク剥離工程の後、有機膜層に吸収もしくは吸着された剥離液、有機溶媒を揮発させる工程を含むことが好ましい。揮発させる工程としては熱処理や脱揮処理を適用することができるが、好ましくはホットプレートやオーブン等での熱処理による脱水ベークを運用することが好ましい。
【0037】
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、前記第1の有機層形成工程及び第1のパターン形成工程の後に、さらに、第2層目以降の着色層を形成してカラーフィルタアレイを構成することができる。
そのような1つの態様として、本発明のカラーフィルタの製造方法は、
前記第1及び第2のドライエッチング工程を行うことにより前記有機膜層にパターンを形成する工程により形成されたパターンが第1の着色パターンであり、前記第1の着色パターンを形成した後、
(イ)前記基板の第1の着色パターン形成面側の凹部を埋めるように第n(n≧2)の着色層を形成することによって前記凹部を埋めた部分に第nの着色パターンを形成する工程
(ロ)形成された前記第nの着色層及び前記第1の着色パターンをドライエッチング処理して、第n+1(n≧2)の着色パターンを形成するための凹凸パターンを形成する第n+1のパターン形成工程、及び
(ハ)前記基板の前記凹凸パターン形成面側の凹部を埋めるように第n+1の着色層を形成することによって前記凹部を埋めた部分に第n+1の着色パターンを形成する工程
前記(イ)、(ロ)及び(ハ)工程のそれぞれ少なくとも1工程と、
前記基板の前記第1の着色パターン形成面側に形成されたn層(n≧2)の着色層の着色パターン形成に寄与しない部分(前記各凹部を埋めた部分は各着色パターンを形成し着色パターン形成に寄与する部分ということができる。)をフォトリソグラフィー又は平坦化処理により除去する工程と
を更に有し、n+1色の着色パターンからなるカラーフィルタを形成することが好ましい。
ここで、平坦化処理としては、製造工程の簡略化や製造コストの観点から、全面をドライエッチングするエッチバック処理、又は全面を化学的・機械的に研磨する化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)処理等の研磨処理などが挙げられる。
前記第n+1(n≧2)の着色パターンを形成するための凹凸パターンを形成する第n+1のパターン形成工程(ロ)のドライエッチング処理についても、本発明に係る前記第1及び第2のドライエッチング工程により行われることが好ましい。
前記(イ)、(ロ)及び(ハ)工程がそれぞれ1工程〜3工程行われること(すなわち、nが2〜4であること)が好ましく、前記(イ)、(ロ)及び(ハ)工程がそれぞれ1又は2工程行われること(すなわち、nが2又は3であること)がより好ましく、前記(イ)、(ロ)及び(ハ)工程がそれぞれ1工程行われること(すなわち、nが2であること)が更に好ましい。
【0038】
<基板>
本発明における基板としては、特に制限はないが、例えば液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板、酸化膜、窒化シリコン等が挙げられる。また、これら基板と有機膜層の間には本発明の効果を損なわない限り中間層など他の層を設けても良い。
【0039】
<有機膜層>
本発明における有機膜層は、本発明におけるカラーフィルタの画素の少なくとも1種を構成することができる。本発明における有機膜層は、着色剤を含有する硬化性組成物によって形成されることが好ましい。前記硬化性組成物としては、光硬化性組成物及び非感光性の熱硬化性組成物を挙げることができる。本発明における有機膜層は、分光特性の観点から、非感光性の熱硬化性組成物を用いて形成されることが好ましい。
【0040】
<硬化性組成物>
(着色剤含有熱硬化性組成物)
本発明においては、非感光性の熱硬化性組成物を用いて着色層を形成することができる。本発明における非感光性の着色剤含有熱硬化性組成物は、着色剤と、熱硬化性化合物とを含有することが好ましく、全固形分中の前記着色剤の含有量が50質量%以上100質量%未満であることが好ましい。
【0041】
−着色剤−
本発明に用いることができる着色剤は、特に限定されず、従来公知の種々の染料や顔料を1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0042】
本発明に用いることができる顔料としては、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を挙げることができる。また、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、平均粒子径がなるべく小さい顔料の使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、上記顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。
【0043】
本願発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
【0044】
C.I.ピグメント・イエロー11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185;
C.I.ピグメント・オレンジ36,71;
C.I.ピグメント・レッド122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264;
C.I.ピグメント・バイオレット19,23,32;
C.I.ピグメント・ブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメント・グリーン36,7,58;
【0045】
本発明において、着色剤が染料である場合には、組成物中に均一に溶解して非感光性の熱硬化性組成物を得ることができる。
【0046】
本発明における組成物を構成する着色剤として使用できる染料は、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。
【0047】
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。
【0048】
本発明における硬化性組成物の全固形分中の着色剤含有率は特に限定されるものではないが、好ましくは50質量%以上100質量%未満であり、55質量%以上90質量%以下がより好ましい。50質量%以上とすることでカラーフィルタとして適度な色度を得ることができる。また、100質量%未満とすることで硬化を充分に進めることができ、膜としての強度低下を抑制することができる。
【0049】
−熱硬化性化合物−
本発明に使用可能な熱硬化性化合物としては、加熱により膜硬化を行えるものであれば特に限定はなく、例えば、熱硬化性官能基を有する化合物を用いることができる。前記熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ基、メチロール基、アルコキシメチル基およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基を有するものが好ましい。
【0050】
更に好ましい熱硬化性化合物としては、(a)エポキシ化合物、(b)メチロール基、アルコキシメチル基およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物またはウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物またはヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、前記熱硬化性化合物としては、多官能エポキシ化合物が特に好ましい。
【0051】
硬化性組成物中における前記熱硬化性化合物の総含有量としては、素材により異なるが、該硬化性組成物の全固形分(質量)に対して、0.1〜50質量%が好ましく、0.2〜40質量%がより好ましく、1〜35質量%が特に好ましい。
【0052】
−各種添加物−
本発明における硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加物、例えば、バインダー、硬化剤、硬化触媒、溶剤、充填剤、前記以外の高分子化合物、重合性化合物、重合開始剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、分散剤、等を配合することができる。
【0053】
〜バインダー〜
前記バインダーは、顔料分散液調製時に添加する場合が多く、アルカリ可溶性を必要とせず、有機溶剤に可溶で分散安定性と硬化性を保つ性能あればよい。
【0054】
前記バインダーとしては、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶であるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、また同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
【0055】
これら各種バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0056】
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体、例えばベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸、ベンジルメタアクリレート/ベンジルメタアクリルアミドのような各共重合体、KSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
これらのバインダー中に前記着色剤を高濃度に分散させることで、下層等との密着性を付与でき、これらはスピンコート塗布面状にも寄与している。
【0057】
〜硬化剤〜
本発明において、熱硬化性化合物として、エポキシ樹脂を使用する場合、硬化剤を添加することが好ましい。エポキシ樹脂の硬化剤は種類が非常に多く、性質、樹脂と硬化剤の混合物との可使時間、粘度、硬化温度、硬化時間、発熱などが使用する硬化剤の種類によって非常に異なるため、硬化剤の使用目的、使用条件、作業条件などによって適当な硬化剤を選ばねばならない。前記硬化剤に関しては垣内弘編「エポキシ樹脂(昇晃堂)」第5章に詳しく解説されている。前記硬化剤の例を挙げると以下のようになる。
触媒的に作用するものとしては、第三アミン類、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、エポキシ樹脂の官能基と化学量論的に反応するものとして、ポリアミン、酸無水物等;また、常温硬化のものとして、ジエチレントリアミン、ポリアミド樹脂、中温硬化のものの例としてジエチルアミノプロピルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;高温硬化の例として、無水フタル酸、メタフェニレンジアミン等がある。また化学構造別に見るとアミン類では、脂肪族ポリアミンとしてはジエチレントリアミン;芳香族ポリアミンとしてはメタフェニレンジアミン;第三アミンとしてはトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;酸無水物としては無水フタル酸、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、三フッ化ホウ素−モノエチルアミンコンプレックス;合成樹脂初期縮合物としてはフェノール樹脂、その他ジシアンジアミド等が挙げられる。
【0058】
これら硬化剤は、加熱によりエポキシ基と反応し、重合することによって架橋密度が上がり硬化するものである。薄膜化のためには、バインダー、硬化剤とも極力少量の方が好ましく、特に硬化剤に関しては熱硬化性化合物に対して35質量%以下、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下とすることが好ましい。
【0059】
〜硬化触媒〜
本発明において高い有機剤濃度を実現するためには、前記硬化剤との反応による硬化の他、主としてエポキシ基同士の反応による硬化が有効である。このため、硬化剤は用いず、硬化触媒を使用することもできる。前記硬化触媒の添加量としてはエポキシ当量が150〜200程度のエポキシ樹脂に対して、質量基準で1/10〜1/1000程度、好ましくは1/20〜1/500程度さらに好ましくは1/30〜1/250程度のわずかな量で硬化させることが可能である。
〜溶剤〜
本発明における硬化性組成物は各種溶剤に溶解された溶液として用いることができる。本発明における硬化性組成物に用いられるそれぞれの溶剤は、各成分の溶解性や硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特に限定されない。
【0060】
〜分散剤〜
また、前記分散剤は顔料の分散性を向上させるために添加することができる。前記分散剤としては、公知のものを適宜選定して用いることができ、例えば、カチオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、高分子分散剤等が挙げられる。
これらの分散剤としては、多くの種類の化合物が用いられるが、例えば、フタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(エフカ社製))、ソルスパース5000(日本ルーブリゾール社製);オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、パイオニンD−6315(竹本油脂(株)等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)製)等のアニオン系界面活性剤;メガファックF781(DIC社製)等のフッ素系界面活性剤;BYK−2001(BYK社製)、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上森下産業(株)製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(旭電化(株)製)およびイソネットS−20(三洋化成(株)製)が挙げられる。
【0061】
前記分散剤は、単独で用いてもよくまた2種以上組み合わせて用いてもよい。前記分散剤の本発明における着色熱硬化性組成物中の添加量は、通常顔料100質量部に対して0.1〜50質量部程度が好ましい。
【0062】
〜重合性化合物〜
本発明の硬化性組成物は、重合性化合物の少なくとも一種を含有することによって好適に構成することができる。重合性化合物は、硬化性組成物をネガ型に構成する場合に主として含まれる。
【0063】
上記重合性化合物として、具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明における重合性化合物は一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0064】
より具体的には、モノマー及びそのプレポリマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0065】
また、前記重合性化合物としては、重合性モノマーとして、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性化合物として、特開2010−160418号公報、特開2010−129825号公報、特許第4364216号公報等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性重合性基を2官能以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
【0066】
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]に記載の化合物も好適である。
【0067】
上記のほか、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
【0068】
【化1】

【0069】
【化2】

【0070】
前記一般式において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーの各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH、又は、−OC(=O)C(CH)=CHで表される基を表す。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0071】
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
【0072】
中でも、重合性化合物としては、RP1040(日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA ;日本化薬株式会社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
重合性化合物としては、多官能モノマーであって、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していても良い。従って、エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入しても良い。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
【0073】
本発明において、酸価を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M−510、M−520などが挙げられる。
【0074】
これらのモノマーは1種を単独で用いても良いが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用しても良い。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが必須である。
また、重合性モノマーとして、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体を含有することが好ましい。
カプロラクトン構造を有する多官能性単量体としては、その分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記式(1)で表されるカプロラクトン構造を有する多官能性単量体が好ましい。
【0075】
【化3】

【0076】
(式中、6個のRは全てが下記式(2)で表される基であるか、または6個のRのうち1〜5個が下記式(2)で表される基であり、残余が下記式(3)で表される基である。)
【0077】
【化4】

【0078】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、mは1または2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。)
【0079】
【化5】

【0080】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
このようなカプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(1)〜(3)においてm=1、式(2)で表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(2)で表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。
本発明において、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0081】
また、本発明における多官能モノマーとしては、下記一般式(i)又は(ii)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
【0082】
【化6】

【0083】
前記一般式(i)及び(ii)中、Eは、各々独立に、−((CHCHO)−、又は−((CHCH(CH)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
前記一般式(i)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
【0084】
前記一般式(i)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
前記一般式(ii)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、一般式(i)又は一般式(ii)中の−((CHCHO)−又は−((CHCH(CH)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
【0085】
前記一般式(i)又は(ii)で表される化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、一般式(ii)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態が好ましい。
【0086】
また、一般式(i)又は(ii)で表される化合物の特定モノマー中における全含有量としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
【0087】
前記一般式(i)又は(ii)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ル又はジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端水酸基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程は良く知られた工程であり、当業者は容易に一般式(i)又は(ii)で表される化合物を合成することができる。
【0088】
前記一般式(i)、(ii)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体及び/又はジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう。)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
【0089】
【化7】

【0090】
【化8】

【0091】
一般式(i)、(ii)で表される特定モノマーの市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
【0092】
また、重合性化合物としては、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、重合性化合物として、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた硬化性組成物を得ることができる。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
また、重合性化合物としては、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適である。酸基を有するエチレン性不飽和化合物類は、前記多官能アルコールの一部のヒドロキシ基を(メタ)アクリレート化し、残ったヒドロキシ基に酸無水物を付加反応させてカルボキシ基とするなどの方法で得られる。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M−510、M−520などが挙げられる。
重合性化合物としては、同一分子内に2個以上のメルカプト(SH)基を有する多官能チオール化合物も好適である。特に、下記一般式(I)で表すものが好ましい。
【0093】
【化9】

【0094】
(式中、Rはアルキル基、Rは炭素以外の原子を含んでもよいn価の脂肪族基、RはHではないアルキル基、nは2〜4を表す。)
【0095】
上記一般式(I)で表される多官能チオール化合物を具体的に例示するならば、下記の構造式を有する1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン〔式(II)〕、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジアン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン〔式(III)〕、及びペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)〔式(IV)〕等が挙げられる。これらの多官能チオールは1種または複数組み合わせて使用することが可能である。
【0096】
【化10】


【0097】
硬化性組成物中の多官能チオールの配合量については、溶剤を除いた全固形分に対して0.3〜8.9重量%、より好ましくは0.8〜6.4重量%の範囲で添加するのが望ましい。多官能チオールの添加によって、硬化性組成物の安定性、臭気、感度、解像性、現像性、密着性等を良化させることが出来る。
【0098】
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、着色硬化性組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、着色硬化膜の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。さらに、3官能以上のものでエチレンオキサイド鎖長の異なる重合性化合物を併用することが、着色硬化組成物の現像性を調節することができ、優れたパターン形成能が得られるという点で好ましい。また、着色硬化性組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、着色剤(顔料)、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
【0099】
本発明の硬化性組成物中における重合性化合物の含有量は、該硬化性組成物中の固形分に対して0.1質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜80質量%がさらに好ましく、2.0質量%〜70質量%が特に好ましい。
【0100】
本発明の硬化性組成物中、特定着色剤と重合性モノマーとの含有質量比(一般式(1)で表される化合物:重合性モノマー)は、薄層化観点から、1:2〜20:1であることが好ましく、1:1〜10:1であることがより好ましい。
【0101】
〜ラジカル重合開始剤〜
本発明の硬化性組成物は、さらにラジカル重合開始剤を含有することが、さらなる感度向上の観点で好ましい。
前記ラジカル光重合開始剤は、重合性組成物に感光性を付与し、感光性組成物とすることができ、カラーレジスト等に好適に用いることができるようになるので、含有することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、以下に述べる光重合開始剤として知られているものを用いることができる。
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができ、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、約300〜800nm(330〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
【0102】
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。
【0103】
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
【0104】
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。
【0105】
また、上記以外の光重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
【0106】
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
【0107】
光重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、 IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤として、365nmまたは405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。また アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
【0108】
光重合開始剤として、より好ましくはオキシム系化合物が挙げられる。オキシム系開始剤の具体例としては、特開2001−233842号記載の化合物、特開2000−80068号記載の化合物、特開2006−342166号記載の化合物を用いることができる。
【0109】
本発明で光重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0110】
オキシムエステル化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)も好適に用いられる。
【0111】
また上記記載以外のオキシムエステル化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025公報および米国特許公開2009−292039記載の化合物、国際公開特許2009−131189公報に記載のケトオキシム系化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114公報記載の化合物、などを用いてもよい。
【0112】
好ましくはさらに、特開2007−231000公報、及び、特開2007−322744公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。環状オキシム化合物の中でも、特に特開2010−32985公報、特開2010−185072公報に記載されるカルバゾール色素に縮環した環状オキシム化合物は、高い光吸収性を有し高感度化の観点から好ましい。
また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する特開2009−242469公報に記載の化合物も、重合不活性ラジカルから活性ラジカルを再生することで高感度化を達成でき好適に使用することができる。
【0113】
最も好ましくは、特開2007−269779公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、オキシム系光重合開始剤としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
【0114】
【化11】

【0115】
(式(1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。)
前記Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0116】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
【0117】
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
【0118】
置換基を有していてもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
【0119】
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
【0120】
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
【0121】
置換基を有していてもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
【0122】
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
【0123】
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
【0124】
前記Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0125】
なかでも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(2)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
【0126】
【化12】

【0127】
前記Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロヘキシレン基、アルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0128】
前記Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0129】
式(1)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0130】
【化13】

【0131】
オキシム化合物は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0132】
【化14】

【0133】
(式(2)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(2)におけるR、A、及びArは、前記式(1)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
【0134】
前記Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0135】
これらの中でも、Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
【0136】
前記Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「」は、前記式(2)において、Yと隣接する炭素原子との結合
位置を示す。
【0137】
【化15】

【0138】
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
【0139】
【化16】

【0140】
さらにオキシム化合物は、下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
【0141】
【化17】

【0142】
(式(3)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(3)におけるR、X、A、Ar、及び、nは、前記式(2)におけるR、X、A、Ar、及び、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
【0143】
以下好適に用いられるオキシム化合物の具体例(C−4)〜(C−13)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0144】
【化18】

【0145】
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nm及び405nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
【0146】
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0147】
本発明に用いられる光ラジカル重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用しても良い。
光ラジカル重合開始剤の硬化性組成物中における含有量(2種以上の場合は総含有量)としては、硬化性組成物の全固形分に対して、0.1〜20質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲、特に好ましくは1〜8質量%の範囲である。この範囲内であると、良好な感度とパターン形成性が得られる。
【0148】
重合性組成物は、ラジカル開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。本発明に用いることができる増感剤としては、前記した(C)光ラジカル重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
【0149】
硬化性組成物に用いられる増感剤としては、例えば、特開2008−32803号公報の段落番号〔0101〕〜〔0154〕に記載される化合物が挙げられる。
重合性組成物中における増感剤の含有量は、深部への光吸収効率と開始分解効率の観点から、固形分換算で、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましい。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0150】
〜有機溶剤〜
本発明の硬化性組成物は、一般には、有機溶剤を用いて構成することができる。有機溶剤は、各成分の溶解性や硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はないが、特にバインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。また、本発明における硬化性組成物を調製する際には、少なくとも2種類の有機溶剤を含むことが好ましい。
【0151】
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0152】
これらの有機溶剤は、モノマーや樹脂の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0153】
有機溶剤の着色硬化性組成物中における含有量は、塗布性の観点から、組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量とすることが好ましく、5〜60質量%が更に好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
【0154】
〜その他の添加剤〜
本発明における非感光性の硬化性組成物には、必要に応じて各種添加剤を更に添加することができる。各種添加物の具体例としては、例えば、上記特開2005−326453号公報に記載の各種添加剤を挙げることができる。
【0155】
[固体撮像素子用カラーフィルタ及びその製造方法]
本発明のカラーフィルタの製造方法は、固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法にも適用することができる。
本発明のカラーフィルタの製造方法を適用した本発明の固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法は、支持体上に、既述の着色剤含有硬化性組成物を付与して着色硬化性組成物層を形成する工程(以下、「着色硬化性組成物層形成工程」ともいう)と、前記着色硬化性組成物層をマスクを介して露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、露光後の着色硬化性組成物層を現像して着色パターン(以下、「着色画素」ともいう)を形成する工程(以下、「現像工程」ともいう)とを更に含んでいてもよい。
また、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法によって製造されたものである。
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタの具体的形態としては、例えば、前記赤色パターンと他の着色パターンとを組み合わせた多色のカラーフィルタの形態(例えば、前記赤色パターン、青色パターン、及び緑色パターンを少なくとも有する3色以上のカラーフィルタ)が好適である。
以下、固体撮像素子用カラーフィルタを単に「カラーフィルタ」ということもある。
【0156】
<着色硬化性組成物層形成工程>
着色硬化性組成物層形成工程では、支持体上に、着色剤含有硬化性組成物を付与して着色硬化性組成物層を形成する。
本工程に用いうる支持体としては、例えば、基板(例えば、シリコン基板)上にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等の撮像素子(受光素子)が設けられた固体撮像素子用基板を用いることができる。
本発明における着色パターンは、固体撮像素子用基板の撮像素子形成面側(おもて面)に形成されてもよいし、撮像素子非形成面側(裏面)に形成されてもよい。
固体撮像素子用基板における各撮像素子間や、固体撮像素子用基板の裏面には、遮光膜が設けられていてもよい。
また、支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0157】
支持体上への着色剤含有硬化性組成物の付与方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
【0158】
着色硬化性組成物層の膜厚としては、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmがさらに好ましい。
【0159】
支持体上に塗布された着色硬化性組成物層の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
【0160】
<露光工程>
露光工程では、着色硬化性組成物層形成工程において形成された着色硬化性組成物層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、所定のマスクパターンを有するマスクを介してパターン露光する。
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は30〜1500mJ/cmが好ましく50〜1000mJ/cmがより好ましく、80〜500mJ/cmが最も好ましい。
【0161】
<現像工程>
次いでアルカリ現像処理を行うことにより、露光工程における光未照射部分の着色硬化性組成物層がアルカリ水溶液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、下地の撮像素子や回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は従来は20秒〜90秒であった。より残渣を除去するため、近年では120秒〜180秒実施する場合もある。さらには、より残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返す場合もある。
【0162】
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
なお、現像液には無機アルカリを用いてもよく、無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウムなどが好ましい。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
【0163】
次いで、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。多色の着色パターンを形成するのであれば、各色ごとに前記工程を順次繰り返して硬化皮膜を製造することができる。これによりカラーフィルタが得られる。
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜240℃、好ましくは200℃〜240℃の熱硬化処理を行う。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
【0164】
なお、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法は、必要に応じ、上記以外の工程として、固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法として公知の工程を有していてもよい。例えば、上述した、着色硬化性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0165】
また、本発明に係る着色硬化性組成物を用いる場合、例えば、塗布装置吐出部のノズルや配管部の目詰まりや塗布機内への着色硬化性組成物や顔料の付着・沈降・乾燥による汚染等が生じる場合がある。そこで、本発明の着色硬化性組成物によってもたらされた汚染を効率よく洗浄するためには、前掲の本組成物に関する溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も本発明に係る着色硬化性組成物の洗浄除去として好適に用いることができる。
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
これら溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。なお、汚染物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には前掲の本組成物に関する界面活性剤を添加してもよい。
【0166】
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、本発明のカラーフィルタの製造方法を適用した前記固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法によって製造されるため、画素のパターン寸法の精度が高く、基板ダメージが小さい。
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、CCD、CMOS等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCDやCMOS等に好適である。本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、例えば、CCD又はCMOSを構成する各画素の受光部と、集光するためのマイクロレンズと、の間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
【0167】
固体撮像素子用カラーフィルタにおける着色パターン(着色画素)の膜厚としては、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましい。
また、着色パターン(着色画素)のサイズ(パターン幅)としては、2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.7μm以下が特に好ましい。
【0168】
[固体撮像素子]
本発明の固体撮像素子は、既述の本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを備える。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0169】
支持体上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
【実施例】
【0170】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、各工程において、市販の処理液を用いた処理を行なう場合、特記しない限りメーカー指定の方法に従って各処理を行なった。
【0171】
(実施例1)
−硬化性組成物の調製−
<熱硬化性組成物GREENの組成>
・顔料分散液・・・52.9g
下記組成の混合液を、0.3mm径のジルコニアビーズを使用して、ビーズミル(減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製))で、3時間、混合、分散して、顔料分散液を調製した。
GREEN顔料(PG36/PG7/PY139=80/20/30(質量比))/分散剤/分散樹脂〔BYK社製 BYK−2001/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(70/30モル比、Mw:30000)〕 分散剤/分散樹脂比率(質量比)=4/21
固形分:25.5質量%、顔料分の質量:15.3質量%
・熱硬化性樹脂 ・・・1.2g
(ダイセル化学工業社製、ラクトン変性エポキシ樹脂 EHPE3150)
・メチルフタル酸無水物 ・・・0.3g
・界面活性剤(フッ素系界面活性剤 DIC社製 メガファックF781)・・・0.003g
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・45.6g
(PGMEA、添加溶剤)
【0172】
−第1の工程−
上記で得られた熱硬化性組成物GREENをSi基板上に塗布した。Si基板は支持体としてのCMOSセンサー等を想定している。GREEN膜層は乾燥及びポストベーク後の厚みが0.50μmになるように塗布し、乾燥させて、220℃で5minのポストベークを行ない形成した。
【0173】
−第2の工程−
続いて、ポジ型のフォトレジスト「FHi622BC」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)をスピンコーターにて塗布し、90℃で1分間のプリベーク処理を行ない、膜厚が0.8μmになるようにフォトレジスト層を形成した。Bayer配列となるように、一辺の寸法が1.0μmの市松模様のパターン配列とした。
【0174】
次いで、形成したフォトレジスト層を、i線ステッパー(FPA3000i5、キャノン(株)製)を用いて300mJ/cmの露光量でパターン露光し、フォトレジスト層の温度又は雰囲気温度が110℃で1分間、加熱処理(PEB処理)を行なった。その後、現像液FHD−5(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH):2.38質量%、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)で1分間、パドル現像を行なった後、純水でリンスした。さらに、110℃で1分間、ポストベーク処理を実施して、フォトレジストマスクを形成した。レジストマスクはレジストパターン幅(正方パターンの一辺の長さ)が1.03μmとなるように市松模様のパターンを形成した。
【0175】
−第3の工程−
下記条件にてドライエッチング処理を実施し、GREEN膜層を加工し、BAYERパターンを形成した。
<エッチング条件>
第1のエッチング条件
・エッチング装置:U−621(日立ハイテクノロジーズ社製)
・ガス流量 :Ar/CF/O=800/200/50ml/min
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :2.0Pa
ここで、圧力はチャンバーの内部圧力をいう。以下同様である。
・エッチング時間:60sec(GREEN膜層のエッチング量:0.450μm)
【0176】
第2のエッチング条件
・ガス流量 :Ar/N/CF/O=500/500/5/25ml/min
(ハロゲン化合物ガス比率0.48%)
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :4.0Pa
・エッチング時間:15sec(GREEN膜層のエッチング量:0.050μm+オーバーエッチング量10%)
【0177】
−第4の工程−
下記条件で、エッチングマスクとして用いたフォトレジストマスクの剥離処理を行なった。
<剥離条件>
・基板温度 :50℃
・剥離液 :MS230C(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)
・剥離時間 :120sec(パドル処理)
・リンス :純水で60秒間、スプレーノズルにて噴射(0.2Pa)
・スピン乾燥:2000rpm、30秒間
【0178】
次いで、ホットプレートを用いて120℃で2分間、脱水処理を行なって、第1のパターンの形成を終了した。その結果、熱硬化性組成物GREENによる市松模様のパターン(第1の有機パターン)が形成された。このときの着色層のパターン寸法(市松模様のパターンの一辺の長さ)は0.99μmであった。また、パターンの荒れ、エッチングによるノッチ等なく、フォトレジスト剥離後の形状は良好であった。このときの下層のSi基板のダメージ(削れ量)は0.010μmであった。
実施例1の各エッチング工程の条件、フォトレジスト剥離後の評価結果を他の実施例及び比較例とともに後記の表1にまとめる。
【0179】
(実施例2)
第2のドライエッチングの条件を変更し、実施例1と同様の形態でパターニング性能を評価した。
第2のエッチング条件
・ガス流量 :Ar/N/CF/O=500/500/2/25ml/min
(ハロゲン化合物ガス比率0.19%)
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :4.0Pa
・エッチング時間:17sec(GREEN膜層のエッチング量:0.050μm+オーバエッチング量10%)
【0180】
(実施例3)
第2のドライエッチングの条件を変更し、実施例1と同様の形態でパターニング性を確認した。
第2のエッチング条件
・ガス流量 :Ar/N/CF/O=500/500/10/25ml/min
(ハロゲン化合物ガス比率0.966%)
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :4.0Pa
・エッチング時間:15sec(GREEN膜層のエッチング量:0.050μm+オーバーエッチング量10%)
【0181】
(実施例4)
第2のドライエッチングの条件を変更し、実施例1と同様の形態でパターニング性能を評価した。
第2のエッチング条件
・ガス流量 :Ar/N/CF/O=500/500/5/25ml/min
(ハロゲン化合物ガス比率0.48%)
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :8.0Pa
・エッチング時間:15sec(GREEN膜層のエッチング量:0.050μm+オーバーエッチング量10%)
【0182】
(実施例5)
第2のドライエッチングの条件を変更し、実施例1と同様の形態でパターニング性能を評価した。
第2のエッチング条件
・ガス流量 :Ar/N/CF/O=500/500/5/25ml/min
(ハロゲン化合物ガス比率0.48%)
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :6.0Pa
・エッチング時間:15sec(GREEN膜層のエッチング量:0.050μm+オーバーエッチング量10%)
【0183】
(実施例6)
第2のドライエッチングの条件を変更し、実施例1と同様の形態でパターニング性能を評価した。
第2のエッチング条件
・ガス流量 :Ar/N/CF/O=500/500/5/25ml/min
(ハロゲン化合物ガス比率0.48%)
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :1.0Pa
・エッチング時間:15sec(GREEN膜層のエッチング量:0.050μm+オーバーエッチング量10%)
【0184】
(実施例7)
第2のドライエッチングの条件を変更し、実施例1と同様の形態でパターニング性能を評価した。
第2のエッチング条件
・ガス流量 :Ar/N/CF/O=500/500/5/25ml/min
(ハロゲン化合物ガス比率0.48%)
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :0.5Pa
・エッチング時間:15sec(GREEN膜層のエッチング量:0.050μm+オーバーエッチング量10%)
【0185】
(実施例8)
第2のドライエッチングの条件を変更し、実施例1と同様の形態でパターニング性能を評価した。
第2のエッチング条件
・ガス流量 :Ar/N/C/O=500/500/5/25ml/min
(ハロゲン化合物ガス比率0.48%)
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :4.0Pa
・エッチング時間:15sec(GREEN膜層のエッチング量:0.050μm+オーバーエッチング量10%)
【0186】
(比較例1)
第2のドライエッチングの条件を変更し、実施例1と同様の形態でパターニング性能を評価した。
第2のエッチング条件
・ガス流量 :Ar/N/CF/O=500/500/5/25ml/min
(ハロゲン化合物ガス比率0.48%)
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :10.0Pa
・エッチング時間:16sec(GREEN膜層のエッチング量:0.050μm+オーバーエッチング量10%)
【0187】
フォトレジスト剥離後、パターン形状評価を行った。その結果、GREENの硬化性組成物による市松模様のパターン(第1の有機パターン)が形成された。このときの着色層のパターン線幅変換差は0.20μm以上であった。このときの下層のSi基板のダメージ(削れ量)は0.017μmであった。
【0188】
(比較例2)
第2のドライエッチングの条件を変更し、実施例1と同様の形態でパターニング性能を評価した。
第2のエッチング条件
・ガス流量 :Ar/N/CF/O=500/500/15/25ml/min
(ハロゲン化合物ガス比率1.44%)
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :4.0Pa
・エッチング時間:16sec(GREEN膜層のエッチング量:0.050μm+オーバーエッチング量10%)
(比較例3)
第2のドライエッチングの条件を変更し、実施例1と同様の形態でパターニング性能を評価した。
第2のエッチング条件
・ガス流量 :Ar/CF/O=500/5/25ml/min
(ハロゲン化合物ガス比率0.94%)
・Bias :RFパワー:800W、
アンテナバイアス:100W、
ウエハバイアス:600W
・電極高さ :68mm
・圧力 :4.0Pa
・エッチング時間:18sec(GREEN膜層のエッチング量:0.050μm+オーバーエッチング量10%)
【0189】
下記表1に、各実施例及び比較例の各ドライエッチング工程の条件及び各評価結果をまとめる。
なお、各評価は走査型電子顕微鏡S4800(日立ハイテクノロジーズ社製、SEM)で断面を観察することにより行った。下記表1におけるエッチングによる下層ダメージ及びパターン幅変換差についての数値の評価基準は以下の通りである。
エッチングによる下層ダメージ:0.050μm以上・・・悪い(×)
〃 :0.050μm未満〜0.030μm・・・実用的に許容できる程度(△)
〃 :0.030μm未満〜0.010μm・・・良い(○)
〃 :0.010μm未満・・・特に良い(◎)
パターン幅変換差:0.20μm以上・・・悪い(×)
〃 :0.20μm未満〜0.15μm・・・実用的に許容できる程度(△)
〃 :0.15μm未満〜0.05μm・・・良い(○)
〃 :0.05μm未満・・・特に良い(◎)
なお、上記下層ダメージ及びパターン幅変換差は8inchウエハの中心、上下端(Edgeから15mm)のポイントの3点の平均値である。
【0190】
【表1】

【0191】
表1に示した結果から明らかなように、第2のドライエッチング工程において圧力が8.0Paを超える比較例1は、パターン幅変換差が大きいことが分かる。第2のドライエッチング工程においてハロゲン化合物ガスの流量が全ガス流量の1.0%以上の比較例2は下層のSi基板のダメージが大きいことが分かる。第2のドライエッチング工程において第3のガスを使用しない比較例3は、パターン幅変換差が大きいことが分かる。
一方、第2のドライエッチング工程において、酸素に対するガス流量比を第1のエッチング工程における前記ガス流量比よりも減少させ、かつハロゲン化合物ガスの流量が全ガス流量の1.0%未満の実施例1〜8は、基板ダメージ及びパターン幅変換差のいずれも小さいことが分かる。
【0192】
〔カラーフィルタアレイの製造〕
以下、本実施例を参考にカラーフィルタアレイを製造する実施例を示す。
上記実施例1を加工後、それにつづき第2層以降の形成を実施した。
(第2層以降の形成)
上記のようにBayerパターンが形成されたSi基板に、第2のカラーフィルタ層と第3のカラーフィルタ層をフォトリソ法にて形成した。
【0193】
−第2層用、第3層用感光性組成物の調製−
(第2層用RED組成物)
・顔料分散液(東洋インキ製 顔料分散液)・・・59.9g
RED顔料(PR254/PY139=100/35(質量比))/分散剤/分散樹脂〔BYK社製 BYK−2001/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(70/30モル比、Mw:30000)〕分散剤/分散樹脂比率(質量比)=4/21
固形分:19.6質量%、顔料分の質量:12.0質量%
・光感光性開始剤(BASF製 イルガキュアOXE01)・・・0.49g
・モノマー1(日本化薬製 DPHA)・・・2.74g
・モノマー2(日本化薬製 RP1040)・・・0.68g
・現像樹脂含有溶液(ダイセル化学製 サイクロマーP 50質量%)・・・3.42g
・界面活性剤(ノニオン系界面活性剤 パイオニンD−6315(竹本油脂(株))・・・・・・・・0.18g
・溶媒・・・PGMEA/EEP・・・12.1g/16.5g
【0194】
(第3層用BLUE組成物)
・顔料分散液(山陽色素製、顔料分散液)・・・51.2g
BLUE顔料(PB15:6/PV23=100/25(質量比))/分散剤/分散樹脂〔BYK社製 BYK−2001/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(70/30モル比、Mw:30000)〕分散剤/分散樹脂比率(質量比)=4/21
固形分:19.5質量%、顔料分の質量:14.1質量%
・光感光性開始剤(BASF製 イルガキュアOXE01)・・・1.12g
・モノマー1(東亜合成製 アロニックスM−305)・・・3.51g
・モノマー2(日本化薬製 RP1040)・・・1.17g
・現像樹脂含有溶液1(ダイセル化学製 サイクロマーP 50質量%)・・・1.14g
・現像樹脂含有溶液2(メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、40質量%、溶媒:PGMEA)・・・6.16g
・界面活性剤(ノニオン系界面活性剤 パイオニンD−6315(竹本油脂(株))・・・・・・・・0.19g
・溶媒・・・PGMEA/EEP・・・14.29g/17.0g
【0195】
−第2層(RED膜層)形成−
図5に示すように、GREENパターン11が形成された基板上に、第2の着色層となるRED組成物を回転塗布にて塗布した。膜厚はGREENパターンを有するSi基板上、REDパターン12を形成する領域での膜厚でプリベーク後0.6μmとした。詳細は下記に示す条件にて行った。
−RED膜層形成−
・塗布、現像、ポストベーク装置:クリーントラックACT8(東京エレクトロン社製)
・露光装置:FPA3000i5+(キヤノン社製)
・膜厚・・・0.6μm(プリベーク後)
・露光・・・300mJ パターンサイズ1.0μm
・現像・・・CD−2060(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製) 60秒パドル
・現像・・・純水リンス 30秒 及び スピンドライ 20秒/1000rpm
・ポストベーク・・・220℃×5分
パターニング後を観察したところ、REDパターン12を形成すべき領域に1.0μmのREDパターン12が形成でき、剥がれは確認されなかった。また、膜厚はGREENパターン11と同じ0.5μmで形成できていた。
【0196】
−第3層(BLUE膜層)形成−
図6に示すように、GREENパターン11が形成された基板上に、第3の着色層となるBLUE組成物を回転塗布にて塗布した。膜厚はGREEN11パターンを有するSi基板上、BLUEパターン13を形成する領域での膜厚でプリベーク後0.6μmとした。詳細は下記に示す条件にて行った。
−BLUE膜層形成−
・塗布、現像、ポストベーク装置:クリーントラックACT8(東京エレクトロン社製)
・露光装置:FPA3000i5+(キャノン社製)
・膜厚・・・0.6μm(プリベーク後)
・露光・・・450mJ パターンサイズ1.0μm
・現像・・・CD−2060(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製) 60秒パドル
・現像・・・純水リンス 30秒 及び スピンドライ 20秒/1000rpm
・ポストベーク・・・220℃×5分
パターニング後を観察したところ、BLUEパターン13を形成すべき領域に1.0μmのBLUEパターン13が形成でき、剥がれは確認されなかった。また、膜厚はGREENパターン11と同じ0.5μmで形成できていた。
本実施の形態では、RGB3色のBAYER配列のカラーフィルタアレイに限定されるものではなく、例えばRGB+新規GREENなど、4色以上のカラーフィルタにも適用することができる。
また本発明におけるドライエッチング条件は、第1のカラーフィルタの加工の範囲にとらわれるものではなく、例えば特開2009−31723号公報に於いての第3の着色パターンを形成する場合のエッチング加工にも適用することができる。
【0197】
本発明のカラーフィルタの製造方法及びそれにより得られるカラーフィルタは、液晶表示素子や固体撮像素子に適用することが可能であり、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等に好適である。本発明のカラーフィルタの製造方法により得られるカラーフィルタは、例えば、CMOSを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることが可能となる。
また、上記実施例は、GREEN×2、RED×1、BLUE×1のBayer配列のカラーフィルタアレイについて詳細に説明したが、これらに限定されるものではなく、CYAN、MAGENTA、YELLOW、GREENの4色フィルタ、また透明ピクセルや半透過ピクセルを活用した新しい配列のカラーフィルタにも活用することができ、本発明の効果を同様に得ることができる。
【符号の説明】
【0198】
1 基板
2 有機膜層
3 フォトレジストマスク
5 有機膜層露出部
6 有機膜層除去部
7 基板露出領域
11 GREENパターン
12 REDパターン
13 BLUEパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の有機膜層、及び前記有機膜層上にパターン形成されてなるフォトレジストマスクを有する被処理体に対して、下記第1及び第2のドライエッチング工程を行うことにより前記有機膜層にパターンを形成する工程を有するカラーフィルタの製造方法。
(1)酸素とハロゲン化合物ガスとを含有する第1の混合ガスによりドライエッチングすることにより、前記基板の表面が露出しない範囲で前記有機膜層の一部を除去し、前記フォトレジストマスクのパターン様に前記有機膜層の除去部を形成する第1のドライエッチング工程、及び
(2)前記第1のエッチング工程後、酸素と、前記酸素に対するガス流量比を前記第1のエッチング工程における前記ガス流量比よりも減少させたハロゲン化合物ガスと、H、N、CH及びCOよりなる群から選択される少なくとも1種の第3のガスとを含有する第2の混合ガスにより8.0Pa以下の圧力下で、有機膜層下層の基板を露出させるまでドライエッチングする第2のドライエッチング工程であって、前記ハロゲン化合物ガスの流量が前記第2の混合ガスの全ガス流量の1.0%未満である第2のドライエッチング工程。
【請求項2】
前記第2のエッチング工程のハロゲン化合物ガスの流量が、前記第2の混合ガスの全ガス流量の0.15%以上である、請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記第2のエッチング工程が0.8〜8.0Paの圧力下で行われる、請求項1又は2に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記第2のエッチング工程の後、更にオーバーエッチング工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】
前記フォトレジストマスクにおけるパターン幅と、前記第1及び第2のドライエッチング工程後の有機膜層のパターン幅との差が0.2μm未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項6】
前記基板の表面からドライエッチングされる量が、基板の厚み方向に対し0.05μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
残存する前記フォトレジストマスクを溶解除去により剥離する工程を更に有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
前記第1及び第2のドライエッチング工程を行うことにより前記有機膜層にパターンを形成する工程により形成されたパターンが第1の着色パターンであり、前記第1の着色パターンを形成した後、
(イ)前記基板の第1の着色パターン形成面側に、第n(n≧2)の着色層を形成することによって第nの着色パターンを形成する工程
(ロ)形成された前記第nの着色層及び前記第1の着色パターンをドライエッチング処理して、第n+1(n≧2)の着色パターンを形成するための凹凸パターンを形成する第n+1のパターン形成工程、及び
(ハ)前記基板の前記凹凸パターン形成面側に、第n+1の着色層を形成することによって第n+1の着色パターンを形成する工程
前記(イ)、(ロ)及び(ハ)工程のそれぞれ少なくとも1工程と、
前記基板の前記第1の着色パターン形成面側に形成されたn層(n≧2)の着色層の着色パターン形成に寄与しない部分をフォトリソグラフィー又は平坦化処理により除去する工程と
を更に有し、n+1色の着色パターンからなるカラーフィルタを形成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−76782(P2013−76782A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215626(P2011−215626)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】