説明

カラーフィルタの製造方法

【課題】 色画素層の平坦性に優れるとともに、隣接する色画素層間における異色インクの混入により発生する混色を防止することができ、局部的な白抜けなどの画素欠陥が発生するのを防止することができるカラーフィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】 ブラックマトリクス基板製造工程では、感光性黒色樹脂組成物層を基板上にパターニングする。ブラックマトリクス基板製造工程にて基板上に形成されたブラックマトリクスの開口部に非架橋性着色インク充填して乾燥固化させて着色層を形成し、降伏値が0.01mPa以下であり、ブラックマトリクスに対する接触角が25度以下となる透明架橋性インクを、ブラックマトリクスおよび着色層が形成された開口部の全体を覆うように供給する。供給された透明架橋性インクを硬化させて透明保護層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイなどに用いるカラーフィルタの製造法に関し、特にはインクジェットプリント法を用いて色画素層を形成するカラーフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、液晶表示装置に組み込まれて表示画像をカラー化するために用いられたり、固体撮像素子に組み込まれてカラー画像を得るために用いられたりする光学素子である。このようなカラーフィルタは、基板上の同一平面上に互いに隣接して形成された複数の色画素層からなる着色パターンを有するものが知られている。ここで、着色パターンは、たとえば、赤色の色画素層、緑色の色画素層および青色の色画素層の3原色の色画素層から構成されており、隣接する色画素層間には遮光層となるブラックマトリクスが形成されている。各色の色画素層は各色に着色された透明な層であり、ブラックマトリックスは黒色で可視光を実質的に透過しない遮光性隔壁である。
【0003】
カラーフィルタの一般的な製造方法としては、各色の着色剤を含有する着色感光性樹脂組成物の固形分からなる着色感光性樹脂組成物層を基板上に形成し、フォトマスクを介して光線を照射することによって現像液に対する溶解性が変化する着色感光性樹脂組成物層の性質を利用して、基板上に着色パターンを形成するフォトリソグラフィー方式の製造方法が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、フォトリソグラフィー方式のカラーフィルタ製造方法では、着色感光性樹脂組成物を基板表面に塗布したのち、フォトマスクを介して露光して不要部分を現像除去する工程を繰り返し行う必要があり、製造工程が複雑である。さらに、高価なフォトマスクの費用負担、塗布設備、露光設備および現像設備などの設備償却コストが必要である。そこで、製造工程の簡素化および製造コスト削減の目的で、フォトリソグラフィー法の代わりに、インクジェットプリント法による色画素層の形成が提案されている。
【0005】
インクジェットプリント法では、一般的に遮光性を有するブラックマトリクスを隔壁として、該ブラックマトリクスの開口部にインクジェットプリント用インクを印写することにより色画素層を形成するが、印写を行うにあたり、インクジェットプリント用インクの固形分濃度に制約があるため、所望の層厚および着色濃度を得るには、ブラックマトリクスの開口部の容積(開口面積×隔壁高さ)に対して、数倍以上の体積のインクジェットプリント用インクを印写する必要がある。これにより、印写されたインクジェットプリント用インクが、開口部から溢れ、隔壁となるブラックマトリクスを超えて隣接する開口部に他色のインクジェットプリント用インクが侵入して「混色」が発生する。
【0006】
この「混色」の問題に対しては、たとえば、4フッ化メタンなどのフッ素化合物の雰囲気中でプラズマ処理することで、隔壁表面のみをフッ素化し、インクジェットプリント用インクに対する撥液性を増大させる方法(たとえば、特許文献2)が、また、有機ケイ素化合物または有機フッ素化合物が添加されて、インクジェットプリント用インクに対する撥液性が付与された隔壁を形成する方法(たとえば、特許文献3,4)が、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−271020号公報
【特許文献2】特許第3328297号公報
【特許文献3】特開平7−35915号公報
【特許文献4】特開2006−163233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に開示される方法では、プラズマ処理によって隔壁表面をフッ素化するので、隔壁表面におけるインクジェットプリント用インクに対する撥液性が均一なものとなるが、プラズマ処理工程が必要となり簡素化された方法であるとは言えない。
【0009】
また、特許文献3,4に開示される方法では、有機ケイ素化合物または有機フッ素化合物を含有する組成物を用いて隔壁を形成するので、インクジェットプリント用インクに対する撥液性が付与された隔壁を形成することができ、隣接する色画素層間における異色インクの混入により発生する混色を防止することができるが、隔壁表面全体における均一な撥液性を確保するという点においては不十分である。隔壁表面における撥液性が均一ではない場合、隔壁で囲まれた画素領域であるブラックマトリクスの開口部にインクジェットプリント用インクを印写したとき、局部的にインクの充填不良が発生する障害である「白抜け」などの画素欠陥の問題が発生する。このように、局部的に白抜けが発生した状態で作製されたカラーフィルタでは、白抜け部分において光漏れが発生して問題となる。
【0010】
また、インクジェット法でカラーフィルタを生産する場合、色画素層の平坦性が問題とされる。これは、所定の色濃度を実現するために大量のインクを開口部に充填する必要があり、インクの乾燥工程での体積減少が大きいこと、大量の顔料や樹脂を含んでいるためにレベリングが困難であることが原因となっている。
【0011】
本発明の目的は、色画素層の平坦性に優れるとともに、隣接する色画素層間における異色インクの混入により発生する混色を防止することができ、局部的な画素欠陥が発生するのを防止することができるカラーフィルタの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記隔壁で囲まれた開口部に非架橋性着色インクを充填し、乾燥固化させて着色層を形成する着色層形成工程と、
降伏値が0.01mPa以下であり、前記隔壁に対する接触角が25度以下である透明架橋性インクを、前記隔壁および前記着色層が形成された前記開口部の全体を覆うように供給する供給工程と、
供給された前記透明架橋性インクを硬化させて透明保護層を形成する透明保護層形成工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0013】
また本発明は、前記透明架橋性インクを供給する前に、前記隔壁の表面に紫外線を照射して、前記透明架橋性インクの前記遮光性隔壁に対する接触角を調整することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記供給工程では、インクジェット法によって前記透明架橋性インクを供給することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記供給工程では、インクジェット法によって前記透明架橋性インクを前記着色層が形成された前記開口部に供給し、前記着色層が形成された前記開口部から前記透明架橋性インクを溢れさせて前記遮光性隔壁および前記着色層が形成された前記開口部の全体を覆うように供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、着色層形成工程で、隔壁で囲まれた開口部に非架橋性着色インクを充填し、乾燥固化させて着色層を形成すると、供給工程で、降伏値が0.01mPa以下であり、前記隔壁に対する接触角が25度以下である透明架橋性インクを、前記隔壁および前記着色層が形成された前記開口部の全体を覆うように供給する。透明保護層形成工程では、供給された前記透明架橋性インクを硬化させて透明保護層を形成する。
【0017】
着色層と透明保護層とで色画素層を形成し、形成された色画素層は優れた平坦性を有する。また、隣接する色画素層間における混色を防止することができ、局部的な画素欠陥の発生も防止することができる。
【0018】
また本発明によれば、前記透明架橋性インクを充填する前に、前記遮光性隔壁の表面に紫外線を照射して、前記架橋性インクの前記遮光性隔壁に対する接触角を調整する。これにより、透明架橋性インクの組成を変更せずに、容易に接触角を所望の値に調整することができる。
【0019】
また本発明によれば、前記供給工程では、インクジェット法によって容易に必要な量の透明架橋性インクを供給することができる。
【0020】
また本発明によれば、インクジェット法によって前記透明架橋性インクの供給量を精度よく制御することができるので、前記隔壁および前記着色層が形成された前記開口部の全体を覆うように供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ブラックマトリクス基板製造工程の手順を示す図である。
【図2A】色画素層形成工程の手順を示す図である。
【図2B】色画素層形成工程の手順を示す図である。
【図3】カラーフィルタの構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、カラーフィルタの製造方法であって、隔壁で囲まれた開口部に非架橋性着色インクを充填して乾燥固化させて着色層を形成する着色層形成工程と、降伏値が0.01mPa以下であり、前記遮光性隔壁に対する接触角が25度以下となる透明架橋性インクを、前記遮光性隔壁および前記着色層が形成された前記開口部の全体を覆うように供給する供給工程と、供給された前記透明架橋性インクを硬化させて透明保護層を形成する透明保護層形成工程とを有することを特徴とする。
【0023】
なお以下では、遮光性隔壁としてブラックマトリックスを用いる方法を例に本発明を説明するが、たとえば金属薄膜パターンをブラックマトリックスとして採用する場合には、別途樹脂製の隔壁パターンを形成することができる。
【0024】
遮光性隔壁を作成するための感光性黒色樹脂組成物は、ネガ型であっても、ポジ型であってもよいが、光学濃度を高く設定できるネガ型であることがより好ましい。
【0025】
カラーフィルタの製造方法は、大きくは、基板上に感光性黒色樹脂組成物を用いてブラックマトリクスを形成するブラックマトリクス基板製造工程と、ブラックマトリクスの開口部に色画素層を形成する色画素層形成工程の2つの工程を有する。
【0026】
(ブラックマトリクス基板製造工程)
ブラックマトリクス基板は、たとえば以下のような手順で製造することができる。
【0027】
図1は、ブラックマトリクス基板製造工程の手順を示す図である。ブラックマトリクス基板7の製造は、ブラックマトリクスを形成する基材となる基板2を準備して開始される。
【0028】
基板2としては、たとえば、ガラス基板、シリコン基板などのほか、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、芳香族ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板、ポリ環状オレフィン基板、エポキシ基板、アクリル基板、各種共重合体基板や複合材料基板などの樹脂基板が挙げられる。また、基板2は、シランカップリング剤などの薬品による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング処理、スパッタリング処理、気相反応処理、真空蒸着処理などの前処理が施されていてもよい。
【0029】
次に、基板2の厚み方向一表面に、感光性黒色樹脂組成物を塗布する。塗布方法としては、たとえば、回転塗布法(スピンコート法)、流延塗布法、ロール塗布法、スリットコート法、スリットアンドスピン法、スピンレスコート法などの公知の塗布方法を用いることができる。感光性黒色樹脂組成物を基板2の表面上に塗布後、乾燥して溶剤を揮発させることで、図1(a)に示すように、基板2上に所定の膜厚を有する感光性黒色樹脂組成物層1を形成する。
【0030】
次に、図1(b)に示すように、感光性黒色樹脂組成物層1にフォトマスク3を介して光線4を照射する。ここで、図1(b)では、感光性黒色樹脂組成物層1は、ネガ型の感光性黒色樹脂組成物を用いて形成されたものとして説明する。
【0031】
フォトマスク3は、たとえば、ガラス板31などの表面に遮光層32が設けられたものである。遮光層32によって光線4は遮蔽される。ガラス板31のうちの遮光層32が設けられていない部分は透光部33であって、光線4は透光部33を透過して感光性黒色樹脂組成物層1に照射され、感光性黒色樹脂組成物層1は、透光部33のパターンが転写されて露光される。また、露光感度を高めるため、PVAなどの酸素遮断膜を感光性黒色樹脂組成物層1表面に塗布してもよい。
【0032】
光線4としては通常、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの紫外線が用いられる。光線4は平行光となって感光性黒色樹脂組成物層1に照射されることが好ましく、通常はマスクアライナー(不図示)などを介して照射される。感光性黒色樹脂組成物層1に対する露光は、公知の投影式の露光装置やプロキシ方式の露光装置を用いフォトマスク3を介して行ってもよく、またレーザーを光源とするマスクレス描画装置を用いて行なってもよい。光線4の照射量は、感光性黒色組成物中における遮光剤の含有量、バインダー樹脂の種類や含有量、エチレン性不飽和結合を有し付加重合可能な化合物の種類や含有量、光重合開始剤の種類や含有量、さらには露光装置で用いる光源波長、取り出し波長、パワーに応じて適宜選択される。
【0033】
感光性黒色樹脂組成物層1に対する露光が終了すると、露光済みの感光性黒色樹脂組成物層1に対して現像を行う。現像するには、露光後の感光性黒色樹脂組成物層1を現像液に接触させればよい。
【0034】
現像液としては、たとえば、アルカリ性水溶液を用いることができる。アルカリ性水溶液としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5,4,0〕−7−ウンデセンなどの水溶性アルカリ化合物の水溶液が用いられ、その濃度はアルカリ性水溶液に対して質量分率で、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%程度である。前記のアルカリ性水溶液は、メタノール、エタノールなどの水溶性の有機溶剤、界面活性剤などを含有していてもよい。現像液として有機溶剤を用いることもでき、たとえば、感光性黒色樹脂組成物に含有される溶剤を適宜、組合せて用いてもよい。
【0035】
現像方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、ディップ現像法(浸漬現像法)、シャワー現像法、スプレー現像法、パドル現像法(液盛り現像法)などの方法で現像することができる。現像温度は通常10〜40℃の範囲であり、現像時間は通常10〜300秒間である。
【0036】
現像によって、感光性黒色樹脂組成物層1のうちの光線4が照射されなかった光線未照射領域が現像液に溶解して除去される。その一方で、光線4が照射された感光性黒色樹脂組成物層1の光線照射領域は基板2上に残り、図1(c)に示すように、基板2の表面上にブラックマトリクス(隔壁パターン)5BMが形成されたブラックマトリクス基板7が作製できる。なお、現像処理によって感光性黒色樹脂組成物層1が溶解除去された部分が、ブラックマトリクス5BMの開口部となる。
【0037】
本実施の形態では、ブラックマトリクス基板7においては、ブラックマトリクス5BMの隔壁高さ(ブラックマトリクス5BMの膜厚)Aは、0.1μm〜10μmであり、好ましくは0.2μm〜5.0μm、特に好ましくは0.2μm〜3.0μmである。ブラックマトリクス5BMの隔壁高さAが0.1μm未満では、色再現に必要な色濃度を達成するのに十分な量のインクジェットプリント用インクをブラックマトリクス5BMの開口部に充填することができず、好ましくない。隔壁高さAが10μmを超えると、高精度の隔壁パターンが形成されたブラックマトリクス基板7を作製するのが困難となるばかりでなく、該ブラックマトリクス基板7を用いてカラーフィルタを製造した場合、色画素層と隔壁との段差が大きくなるため液晶セルの設計が困難となり、好ましくない。
【0038】
また、本実施の形態では、ブラックマトリクス基板7のブラックマトリクス5BMにおける隔壁の幅Bは、通常50μm以下、好ましくは10〜20μm程度に設定されている。また、隔壁に囲まれた領域であるブラックマトリクス5BMの開口部は、一般的には矩形状であり、そのコーナー部は、インクの充填性への配慮から半径数μm程度のアール形状であってもよい。ブラックマトリクス5BMの開口部が正方形状である場合、その開口部の一辺の長さCは通常20〜150μm程度に設定されている。また、ブラックマトリクス5BMの開口部が長方形状である場合、その開口部の寸法は、たてが70〜500μmであり、よこが20〜150μm程度に設定されている。
【0039】
現像処理して作製したブラックマトリクス基板7は、現像液としてアルカリ性水溶液を用いた場合には、現像処理後に水洗し、加熱処理される。加熱処理は、ブラックマトリクス5BMがインクジェットプリント用インクに対して溶解や膨潤といった変形をおこさない十分な安定性を発現するように、150〜250℃で5〜30分間行う。
【0040】
・感光性黒色樹脂組成物
上記のように、ブラックマトリクス基板製造工程では、感光性黒色樹脂組成物を用いて、基板上に遮光性隔壁であるブラックマトリクスを形成する。
【0041】
感光性黒色樹脂組成物がネガ型の場合、感光性黒色樹脂組成物は、遮光剤(A)、バインダー樹脂(B)、エチレン性不飽和結合を有し付加重合可能な化合物(C)および光重合開始剤(D)、光重合開始助剤(E)、界面活性剤(F)、溶剤などを含むことができる。
【0042】
また、感光性黒色樹脂組成物がポジ型の場合、感光性黒色樹脂組成物は、遮光剤(A)、バインダー樹脂(B)、感光剤(G)などを含むことができる。また所望により、架橋剤をさらに含むことができる。
【0043】
遮光剤(A)は染料であってもよいし有機顔料、無機顔料であってもよい。また染料と顔料が混合された状態で用いられても良い。
【0044】
無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモンなどの金属の酸化物または複合金属酸化物、窒化物、酸窒化物が挙げられる。また、有機顔料として具体的には、カラーインデックス(ColourIndex(TheSocietyofDyersandColourists出版))で、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。
【0045】
特に、ブラックマトリックスを形成するには、着色剤(A)として黒色顔料を含有する感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。
【0046】
バインダー樹脂(B)は、ネガ型の感光性黒色樹脂組成物では、該感光性黒色樹脂組成物を用いて形成された樹脂組成物層に、その光線未照射領域が現像液に溶解する性質を付与する成分である。また、バインダー樹脂は、感光性黒色樹脂組成物を用いて形成される樹脂組成物層において、遮光剤を分散させる分散媒としての機能も有する。
【0047】
ネガ型の感光性黒色樹脂組成物に用いるバインダー樹脂(B)としては、アクリル系共重合体、分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とカルボン酸との反応物に、さらに多塩基性カルボン酸の無水物とを反応させて得られるポリカルボン酸樹脂等が挙げられる。
【0048】
また、ポジ型の感光性黒色樹脂組成物に用いるバインダー樹脂(B)としては、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂などのフェノール性水酸基含有高分子化合物、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体などのカルボキシル基含有高分子化合物などフェノール性水酸基やカルボキシル基を含有する樹脂が挙げられる。また、アルカリ可溶性樹脂としては硬化性を有するものが好ましい。硬化性を有する高分子化合物としては、たとえば、ビニル基、エポキシ基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、ブチロラクトン骨格などを有するものが挙げられる。
【0049】
(色画素層形成工程)
色画素層形成工程は、ブラックマトリクス基板製造工程にて基板上に形成されたブラックマトリクスの開口部に非架橋性着色インクを充填して乾燥固化させて着色層を形成する着色層形成工程と、降伏値が0.01mPa以下であり、ブラックマトリクスに対する接触角が25度以下となる透明架橋性インクを、ブラックマトリクスおよび着色層が形成された開口部の全体を覆うように供給する供給工程と、供給された透明架橋性インクを硬化させて透明保護層を形成する透明保護層形成工程とを含む。
【0050】
<着色層形成工程>
着色層形成工程では、ブラックマトリクス基板7に形成されたブラックマトリクス5BMの開口部に非架橋性着色インクを充填する。
【0051】
非架橋性着色インクは、色画素層の一部(以下では「着色層」という)を形成する。着色層は、赤色の着色層、緑色の着色層および青色の着色層の3原色の着色層から構成されている。
【0052】
図2Aおよび図2Bは、色画素層形成工程の手順を示す図である。
着色層工程では、図2A(a)に示すように、形成する着色層の各色に対応して、インクジェットプリント用ヘッド10R,10G,10Bを用いて、各色の非架橋性着色インクであるインクジェットプリント用インク11R,11G,11Bをブラックマトリクス5BMの所定の開口部に印写する。インクジェットプリント用ヘッドとしては、特に限定されないが、ピエゾ方式、バブルジェット(登録商標)方式、静電方式などの公知のヘッドが用いられ、特にピエゾ方式が好ましい。
【0053】
各色のインクジェットプリント用インク11R,11G,11Bをブラックマトリクス5BMの所定の開口部に印写するにあたり、各色インクの固形分濃度に制約があるため、形成する色画素層において所望の層厚および着色濃度を得るには、ブラックマトリクス5BMの開口部の容積(開口面積×隔壁高さ)に対して、数倍以上の体積のインクジェットプリント用インク11R,11G,11Bを印写する必要がある。
【0054】
ブラックマトリクス5BMの所定の開口部に、各色のインクジェットプリント用インク11R,11G,11Bが印写され、熱や光に暴露されると、図2A(b)に示すように、各色インクが印写されたブラックマトリクス5BMの開口部に対応して、赤色の着色層5R、緑色の着色層5Gおよび青色の着色層5Bが形成される。
【0055】
非架橋性着色インクのブラックマトリクス5BMに対する接触角は、50度以下であることが好ましく、より好ましくは20度以上50度以下である。ブラックマトリクス5BMへのインクの充填性の点では、接触角は高いことが好ましいが、ブラックマトリクス5BMの撥インク性が高い場合、開口部のコーナー部等へのインクの充填性が阻害されるため好ましくない。
【0056】
ブラックマトリクス5BMの開口部底部に対するインクの接触角は5度以下であることが好ましい。接触角が5度を超える場合、開口部に対するインクの拡張性が低下し、特に開口部のコーナー部、特に開口部周辺の曲率半径が小さい部分へのインク充填性が低下するので好ましくない。
【0057】
ブラックマトリクス5BMに対する非架橋性着色インクの接触角の調整は、インク組成を調整することにより行ってもよいし、後述のブラックマトリクス5BMに対する架橋性インクの接触角の調整と同様に、ブラックマトリクス5BMに紫外線を照射することにより行ってもよい。
【0058】
着色インクの充填量は、カラーフィルタの目標とする色濃度に応じて調整すればよい。着色インクが溶剤を含有する場合、後工程として透明架橋性インクを供給したときに着色インクが混色してしまうおそれがある。このような混色を生じさせないためには、着色インクに含有される溶剤の沸点以上の温度で十分に乾燥固化させる必要がある。使用する溶剤にもよるが、乾燥固化温度としては、たとえば230〜250℃であり、乾燥固化時間としては、たとえば20〜40分間である。
【0059】
・非架橋性着色インク
本発明に用いることができる非架橋性着色インクは、着色剤を含有し、さらに分散剤と溶媒を含有するのがよい。バインダー、モノマーなどの樹脂成分を含有することも可能であるが、高い色濃度のカラーフィルタを製造するためのインクを得るためには高粘度成分であるバインダーや多官能モノマーは必須ではない。
【0060】
非架橋性着色インクに用いる着色剤は、染料であってもよいし、顔料であってもよい。着色剤が顔料の場合、無機顔料であってもよいし、有機顔料であってもよい。着色顔料として、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料、シアン色顔料、マゼンタ色顔料などを含有していてもよく、1種の顔料を含有していてもよいし、2種以上の顔料を含有していてもよい。
【0061】
顔料としては、たとえばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175などの黄色顔料;C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73などのオレンジ色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38などの紫色顔料;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265などの赤色顔料;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー76などの青色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36などの緑色顔料;C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25などの茶色顔料等が挙げられる。
【0062】
これら顔料の中でも、好ましい顔料としては、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7などが挙げられ、特に好ましくはC.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントレッド254が挙げられる。
【0063】
顔料の粒径としては、平均粒径で0.005μm〜0.2μmであることが好ましく、より好ましくは0.01μm〜0.1μmである。このような粒径範囲を有する顔料は、たとえば、ニーダー法、硫酸法、アルカリ還元溶解法などの公知の方法により製造することができる。顔料は、その表面がポリマーなどで改質されていてもよい。ポリマーとしては、たとえば、特開平8−259876号公報に記載されたポリマーや、市販の各種の顔料分散用ポリマーなどを挙げることができる。具体的にはアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、マレイン酸樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂などを挙げることができる。樹脂で処理された加工顔料の形態としては、樹脂と顔料が均一に分散している粉末、ペースト状、ペレット状が好ましい。
【0064】
分散剤としては、たとえば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系などの界面活性剤などが挙げられ、単独でも2種以上を組合せて用いてもよい。
【0065】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類等のほか、商品名でKP(信越化学工業株式会社製)、ポリフロー(共栄化学株式会社製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業株式会社製)、フロラード(住友スリーエム株式会社製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子株式会社製)、ソルスパース(ゼネカ株式会社製)、EFKA(EFKACHEMICALS社製)、PB821(味の素株式会社製)などが挙げられる。
【0066】
分散剤を用いる場合、その使用量は顔料100質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部であり、より好ましくは5〜50質量部である。分散剤の使用量がこのような範囲にあると、均一な分散液が得られるため好ましい。
【0067】
溶媒としては、たとえば、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類などが挙げられる。エステル類としては、たとえば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのアルキルエステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどのオキシプロピオン酸アルキルエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチルなどが挙げられる。エーテル類としては、たとえば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどが挙げられる。ケトン類としては、たとえば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノンなどが挙げられる。芳香族炭化水素類としては、たとえば、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
【0068】
これらの溶剤の中でも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどを用いることが好ましい。
【0069】
バインダー樹脂を用いる場合、カラーフィルタとして使用し得る透明性、耐久性、密着性を備えたものであれば特に制約はなく、なかでもアクリル系共重合体が好適に用いられ、たとえば、不飽和カルボン酸エステル系モノマーおよびこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0070】
たとえば、不飽和モノカルボン酸エステルとしては、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの不飽和多価カルボン酸などのエステル基を有する不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。ここで、不飽和モノカルボン酸としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸などが挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、たとえばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は、その酸無水物、具体的には無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などであってもよい。また、不飽和多価カルボン酸エステルは、モノ(2−メタクリロイロキシアルキル)エステルであってもよく、ジ(2−メタクリロイロキシアルキル)エステルと混合して用いてもよい。
【0071】
これらの不飽和カルボン酸エステル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルアクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングルコールアクリレート、メトキシジエチレングルコールメタクリレート、メトキシトリエチレングルコールアクリレート、メトキシトリエチレングルコールメタクリレート、メトキシプロピレングルコールアクリレート、メトキシプロピレングルコールメタクリレート、メトキシジプロピレングルコールアクリレート、メトキシジプロピレングルコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類;2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリレート、3−ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルアクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類などを挙げることができる。これらのモノマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0072】
<供給工程>
供給工程では、降伏値が0.01mPa以下であり、前記遮光性隔壁に対する接触角が25度以下となる透明架橋性インクを、ブラックマトリクスおよび着色層が形成された開口部の全体を覆うように供給する。
【0073】
なお、透明架橋性インクの供給方法については、着色層形成工程と同様のインクジェットプリント法またはスピンコート法を用いることができる。
【0074】
透明架橋性インクは、色画素層の一部(以下では「透明保護層」という)を形成し、着色層と透明保護層とで色画素層が構成される。
【0075】
透明架橋性インクは、降伏値を0.01mPa以下とする。降伏値が0.01mPaを超えると、レベリング性が不十分となり、色画素層の平坦性が損なわれる。
【0076】
また、透明架橋性インクのブラックマトリクス5BMに対する接触角は25度以下となる状態で供給することが重要である。接触角が25度を超える場合、インク滴が球面(楕円面)になる結果、開口部の中心から遠い部分でのインクの充填性が悪く陥没形状が形成され平坦性が損なわれる。
【0077】
接触角の調整は、インク組成によっても調整可能であるが、ブラックマトリクス5BMに紫外線を照射することによりブラックマトリクス5BMの表面状態を変化させて調整するのが、インク組成の自由度を高めることができて好ましい。
【0078】
照射する紫外線の波長としては300nm以下の短波長成分を含有するものであることが好ましい。300nm以下の紫外線を含まない紫外線では親液性の改善効果が小さいため好ましくない。
【0079】
紫外線の照射量としては300mJ/cm以下が好適である。紫外線の照射量はインクと遮光性隔壁の接触角に応じて決定すればよいが、300mJ/cmを超えると照射効果が小さいため好ましくない。
【0080】
このような紫外線処理は可能であれば、透明架橋性インク供給前の1時間以内に実施することが好ましい。紫外線照射後1時間が経過すると紫外線の照射効果が漸減するので、遮光性隔壁に対する透明架橋性インクの接触角を制御するためには、透明架橋性インクの供給直前に紫外線照射することが品質管理の観点から好ましい。
【0081】
なお、先のブラックマトリクス5BMに対する非架橋性着色インクの接触角の調整を紫外線の照射により行う場合は、上記と同様の条件を採用できる。
【0082】
透明架橋性インクは、ブラックマトリクスおよび着色層が形成された開口部の全体を覆うように供給する。インクジェットプリント法によって供給する場合は、着色層が形成された開口部の容積よりも過剰量の透明架橋性インクを、着色層が形成された開口部に充填する。過剰量の充填により供給された透明架橋性インクは、開口部から溢れ出すことになる。溢れ出した透明架橋性インクは、ブラックマトリクスの上面を覆うように広がるので、供給量を適宜調整することにより、透明架橋性インクでブラックマトリクスおよび着色層が形成された開口部の全体を覆うことができる。全体を覆った状態で透明架橋性インクを硬化させることで、ブラックマトリクスおよび着色層が形成された開口部の全体を被覆する透明保護層が形成される。
【0083】
透明架橋性インクの供給方法としては、上記のようにコート法も用いることができる。コート法としては、回転塗布法(スピンコート法)、流延塗布法、ロール塗布法、スリットコート法、スリットアンドスピン法およびスピンレスコート法などの既存のコート法を用いることができる。また、透明保護層の平坦性を向上させるために塗布を複数回繰り返すこともできる。
【0084】
透明保護層の厚みは、ブラックマトリクスの上面を基準としたときに1μm程度とすればよい。
【0085】
・透明架橋性インク
本発明で用いられる透明架橋性インクは、架橋性のモノマーと光重合開始剤または熱重合開始剤とを含み、好ましくは架橋性の多官能モノマーと光重合開始剤とを含み、固形分の残余として70重量%以下の溶媒を含んでもよい。
【0086】
なお、必要に応じて着色剤および分散剤、バインダーを含むことも可能である。架橋性の多官能モノマーとしては、少なくとも3官能の多官能(メタ)アクリレートが好ましく、たとえば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、カルボキシル基を有するジペンタエリスリトールペンタアクリレート誘導体などが挙げられる。
【0087】
光重合開始剤としては、エチレン性不飽和結合を有し付加重合可能な化合物の重合を開始させうる化合物であれば、特に限定されるものではなく、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、オキサジアゾール系光重合開始剤などを用いることができる。
【0088】
アセトフェノン系光重合開始剤としては、たとえば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0089】
ベンゾイン系光重合開始剤としては、たとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0090】
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、たとえば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0091】
チオキサントン系光重合開始剤としては、たとえば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0092】
トリアジン系光重合開始剤としては、たとえば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−s−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−メトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−ブトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(2−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−5−メチル−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(5−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−エトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,5−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(フェニル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルカルボニルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N−(p−メトキシフェニル)カルボニルアミノフェニル〕2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0093】
オキサジアゾール系光重合開始剤としては、たとえば、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−ヒドロキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−クロロスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−ブトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(β−(2−ベンゾフリル)ビニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(β−(6−メトキシ−2−ベンゾフリル)ビニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
【0094】
また、光重合開始剤として、たとえば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などを用いることもできる。
【0095】
これらの光重合開始剤の中でも、トリクロロメチル基が導入されているトリアジン系光重合開始剤、トリクロロメチル基が導入されているオキサジアゾール系光重合開始剤が好ましく用いられる。
【0096】
トリクロロメチル基が導入されているトリアジン系光重合開始剤としては、たとえば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0097】
トリクロロメチル基が導入されているオキサジアゾール系光重合開始剤としては、たとえば、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(β−(2−ベンゾフリル)ビニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
【0098】
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0099】
透明架橋性インクは、さらに光重合開始助剤を含有していてもよい。光重合開始助剤としては、たとえば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。これら光重合開始助剤はそれぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0100】
このような光重合開始助剤を用いる場合、その使用量は光重合開始剤1モルに対して10モル以下である。
【0101】
またさらに、透明架橋性インクは、熱重合防止剤、充填剤、バインダー樹脂以外の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0102】
熱重合防止剤は、透明架橋性インクの保存中に、エチレン性不飽和結合を有し付加重合可能な化合物が熱重合を開始してしまうことを防止するために含有される。熱重合防止剤としては、たとえば、ハロイドキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤を含有する場合、その含有量は、架橋性インクの全量に対して質量分率で通常0.01%以上5%以下程度である。
【0103】
バインダー樹脂以外の高分子化合物としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレートなどが挙げられる。
【0104】
密着促進剤としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0105】
酸化防止剤としては、たとえば、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノールなどが挙げられる。紫外線吸収剤としては、たとえば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。凝集防止剤としては、たとえば、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0106】
<透明保護層形成工程>
透明架橋性インクを充填した後、透明架橋性インクが溶媒を含有する場合は非架橋性着色インクと同様の方法で乾燥し、次いで透明架橋性インクを架橋させることで硬化させる。透明架橋性インクを硬化させることで、図2B(c)に示すように、着色層5R,5G,5Bおよびブラックマトリクス5BMを全面的に被覆する透明保護層8が形成される。硬化処理は、紫外線照射により行ってもよいし、加熱により行ってもよい。透明保護層の厚さを安定させ、かつ十分な硬化を行うためには、紫外線照射により透明架橋性インクを架橋させた後、加熱により硬化を完了させるのが好ましい。紫外線照射は、300nm以下の短波長成分を含有する紫外線により、300mJ/cm以下の照射量で行うのがよい。加熱は、180〜240℃で、10〜40分間程度行うのがよい。
【0107】
硬化工程の後、必要に応じて透明電極などを形成し、さらに必要に応じてスペーサ構造を形成したのちカラーフィルタとして完成する。
【0108】
図3は、カラーフィルタの構成を概略的に示す図である。上記のようにして、図3(a)に示すような、3原色の着色層5R,5G,5Bから構成される着色パターン5と、透明保護増8と、隣接する着色層間に位置する隔壁となるブラックマトリクス5BMとが、基板2上に形成されたカラーフィルタ6を製造することができる。なお、図3(a)に示すカラーフィルタ6は、正方形状に形成されたブラックマトリクス5BMの開口部に対応して各色の着色層5R,5G,5Bが形成されたものであり、長方形状に形成されたブラックマトリクス5BMの開口部に対応して各色の着色層5R,5G,5Bを形成することによって、図3(b)に示すようなカラーフィルタ60を製造することができる。
【0109】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0110】
(実施例)
〔感光性黒色樹脂組成物の調製〕
遮光剤〔黒色顔料(C.I.ピグメントブラック7)40質量部と分散剤12質量部との混合物〕52質量部、バインダー樹脂〔下記式(1)で示される化合物300質量部とビフェニルテトラカルボン酸二無水物50質量部、テトラヒドロフタル酸無水物50質量部との反応生成物〕33質量部、エチレン性不飽和結合を有し付加重合可能な化合物〔ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〕11質量部、光重合開始剤〔2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン〕5.0質量部ジメドン3.0質量部、フッ素系界面活性剤130ppm、および溶剤〔プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート〕358質量部を混合して感光性黒色樹脂組成物を得た。
【0111】
【化1】

【0112】
上記で得た感光性黒色樹脂組成物を無アルカリガラス基板〔「#1737」コーニング社製〕にスピンコート法で塗布し、真空乾燥後に100℃で90秒間加熱することで、感光性黒色樹脂組成物層を基板上に形成した。感光性黒色樹脂組成物層を230℃で20分間熱処理した後の膜厚をスピンコーターの塗布条件に反映することで感光性黒色樹脂組成物層の厚みを所定の厚みに調整した。また膜厚は膜厚計(Dektak(株式会社ULVAC社製))を用いて測定した。
【0113】
〔遮光性隔壁パターンの形成〕
上記で感光性黒色樹脂組成物層を形成した基板に所定の隔壁パターンを有するフォトマスクを介し、プロキシミティーギャップ150μmで紫外線を照射して(照射量は100mJ/cm:I線換算)露光した。隔壁パターンとしてCD19μm、隔壁高さ2.3μm、長方形の開口部(よこ66μm、たて226μmの繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いた。
【0114】
露光後の感光性黒色樹脂組成物層に対して、現像液(CD液:富士フィルムエレクトロニクマテリアル社製)を用い26℃で80秒間シャワー現像、続いて純水洗浄することで作成した。現像後の基板をクリーンオーブン中で230℃で20分間焼成することで遮光性隔壁パターン(ブラックマトリックス)を得た。
【0115】
〔非架橋性着色インク〕
青色非架橋性着色インク(IB)として、C.I.PigmentBlue15:6[15質量部]、C.I.PigmentViolet23[2質量部]、ポリエステル系分散剤[7質量部]、溶媒(ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)[77質量部]からなる青色顔料分散液(MB)[61質量部]に、アクリル樹脂[4質量部]、溶媒(ジプロピレングリコールブチルエーテル)[35質量部]を添加し青色非架橋性着色インクを作製した。
【0116】
同様にして表1に示すような組成で、緑色顔料分散液(MG)、緑色非架橋性着色インク(IG)、赤色顔料分散液(MR)、赤色非架橋性着色インク(IR)をそれぞれ作製した。なお、表1に示す値は、全て質量部である。
【0117】
【表1】

【0118】
表1において、PR242は、C.I.Pigment Red242を示し、PR177は、C.I.Pigment Red177を示し、PG36は、C.I.Pigment Green36を示し、PY150は、C.I.Pigment Yellow150を示し、PB15:6は、C.I.Pigment Blue15:6を示し、PV23は、C.I.Pigment Violet23を示し、EDGACは、エチルジグリコールアセテートを示し、DPMAは、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを示し、BDGは、ジプロピレングリコールブチルエーテルを示す。
【0119】
〔接触角測定〕
非架橋性着色インクのブラックマトリクスに対する接触角は、5pLのインクをブラックマトリクス上に滴下し、1分後のインク滴径を顕微鏡測定することで求めた。青色非架橋性着色インク(IB)、緑色非架橋性着色インク(IG)、赤色非架橋性着色インク(IR)の接触角は、すべて37度であった。また、非架橋性着色インクのブラックマトリクス開口部の底部に対する接触角を、5pLのインクを開口部底部に滴下し、1分後のインク滴径を顕微鏡測定することで求めたところ、青色非架橋性着色インク(IB)、緑色非架橋性着色インク(IG)、赤色非架橋性着色インク(IR)すべて、1度であった。
【0120】
〔透明架橋性インク〕
表2に示す組成で透明架橋性インクC01〜C03を作製した。
【0121】
【表2】

【0122】
表2において、DPHAは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを示し、DPPAは、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを示し、TMPTAは、トリメチロールプロパントリアクリレートを示し、EGDMAは、エチレングリコールジメタクリレートを示し、DPMAは、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを示し、PGMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを示す。
【0123】
〔接触角測定〕
透明架橋性インクのブラックマトリクスに対する接触角は、5pLのインクをブラックマトリクス上に滴下し、1分後のインク滴径を顕微鏡測定することで求めた。
【0124】
〔降伏値測定〕
E型粘度計を用い、ずり速度を変えながら粘度を測定した結果をCasson式に従って整理し降伏値を求めた。
【0125】
・実施例1
〔カラーフィルタの作成〕
作製したブラックマトリクス基板の開口部にインクジェット試験機を用いて、赤色非架橋性着色インク450pL(リットル)、緑色非架橋性着色インク450pL、青色非架橋性着色インク450pLを隣接する画素に同時に充填し、40℃で2分間の予備乾燥を行ったのち240℃で20分間乾燥して固化させ、着色層が形成されたブラックマトリクス基板を得た。
【0126】
着色層が形成されたブラックマトリクス基板について、外観不良を目視ならびに顕微鏡観察したところ、白抜け、混色がないことが確認できた。
【0127】
上記のようにして作製した着色層が形成されたブラックマトリクス基板に対して、低圧水銀ランプでUV(紫外線)照射処理(露光量300mJ/cm)したのち、表1に示した組成の透明架橋性インクC01を、着色層が形成された開口部に450pL供給したところ開口部から透明架橋性インクC01が溢れ出し、ブラックマトリクスおよび着色層が形成された開口部の全体覆う状態となった。
【0128】
さらに40℃で2分間予備乾燥したのち低圧水銀ランプを用いて300mJ/cmの露光量でUV照射したのち230℃で20分間熱処理して硬化させ、透明保護層を形成してカラーフィルタを得た。
【0129】
・実施例2
透明架橋性インクを表1に示したC02に変更し、スピンコート法を用いて供給したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
【0130】
・比較例1
透明架橋性インクC01を供給する前に、UV照射処理を行なわなかったこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
【0131】
・比較例2
全面を被覆するには不十分な透明架橋性インクの充填量として250pLを充填したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
【0132】
・比較例3
透明架橋性インクを表2に示したC03に変更し、透明架橋性インクの充填量を550pLとしたこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
【0133】
・比較例4
非架橋性着色インクを乾燥固化するには不十分な乾燥温度として80℃で乾燥したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
【0134】
実施例1,2および比較例1〜4で作製したカラーフィルタについて、被覆性、混色および平坦性を評価した。結果を表3に示す。
【0135】
〔保護膜被覆性、混色〕
作製されたカラーフィルタに対して目視観察と顕微鏡観察を行ない、透明保護膜の被覆性および隣接色画素間の混色の有無を評価した。カラーフィルタの全面に対して透明保護層が形成されている場合を良品「○」とし、透明保護層が形成されていない箇所がある場合を不良「×」とした。隣接画素層間の混色としては、混色の発生がない場合を良品「○」とし、混色の発生がある場合を不良「×」とした。
【0136】
〔平坦性〕
平坦性は、白色干渉型三次元顕微鏡(NewView5000;Zygo社製)、接触式段差計(DEKTAK:ULVAC社製)を用いて色画素層の表面状態を計測し、カラーフィルタ上面からみたときの色画素層の高低差(μm)として評価した。
平坦性は、0.5μm未満であれば良品とし、0.5μm以上であれば不良とした。
【0137】
【表3】

【0138】
実施例1,2は、被覆性が良く、混色もなく、平坦性も十分に小さな値を示しており、高品質のカラーフィルタが得られた。
【0139】
比較例1は、UV照射を行わなかったために、供給された透明架橋性インクが開口部に充填されなかった。したがって、被覆性は不良であり平坦性は評価不能であった。
【0140】
比較例2は、透明架橋性インクの供給量が不十分であり、透明保護層が前面を被覆することができなかった。
【0141】
したがって、被覆性は不良であり平坦性は評価不能であった。なお、開口部から透明架橋性インクから溢れ出るための理論値は、着色層が形成された開口部の空間体積から算出が可能で、本例では170pLであった。充填量は250pLで理論値より多かったが、全面を被覆するには不足であった。
【0142】
比較例3は、被覆性が良好で混色もなかったが、降伏値が大きかったために平坦性が大きくなった。比較例4は、着色層の乾燥温度が低すぎたために十分に乾燥固化せず、混色が発生した。
【符号の説明】
【0143】
1 感光性樹脂組成物層
2 基板
3 フォトマスク
4 光線
5 着色パターン
6 カラーフィルタ
8 透明保護層
11 光線未照射領域
12 光線照射領域
31 ガラス板
32 遮光層
33 透光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記隔壁で囲まれた開口部に非架橋性着色インクを充填し、乾燥固化させて着色層を形成する着色層形成工程と、
降伏値が0.01mPa以下であり、前記隔壁に対する接触角が25度以下である透明架橋性インクを、前記隔壁および前記着色層が形成された前記開口部の全体を覆うように供給する供給工程と、
供給された前記透明架橋性インクを硬化させて透明保護層を形成する透明保護層形成工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記透明架橋性インクを供給する前に、前記隔壁の表面に紫外線を照射して、前記透明架橋性インクの前記遮光性隔壁に対する接触角を調整することを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記供給工程では、インクジェット法によって前記透明架橋性インクを供給することを特徴とする請求項1または2記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記供給工程では、インクジェット法によって前記透明架橋性インクを前記着色層が形成された前記開口部に供給し、前記着色層が形成された前記開口部から前記透明架橋性インクを溢れさせて前記遮光性隔壁および前記着色層が形成された前記開口部の全体を覆うように供給することを特徴とする請求項1または2記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−180531(P2011−180531A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47051(P2010−47051)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】