説明

カラーフィルター用インク、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器

【課題】平坦な着色部を形成することができ、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターを製造することのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供すること、着色部が平坦であり明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルター、および該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式の液滴吐出装置により基板上に着色部を形成するカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、着色剤と、当該着色剤を溶解または分散する液性媒体と、樹脂材料とを含み、前記樹脂材料は、重量平均分子量が2000〜5000であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター用インク、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
【0003】
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色層(着色部)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法は、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の液滴の吐出位置等の制御が容易で、着色層形成用組成物の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
【0004】
ところで、上述したような製造方法は、一般に、基板上に形成されたセルにインクを付与し、付与されたインクに対し加熱等の処理を行うことにより、インクを乾燥、固化させて着色部を得るものである。しかしながら、インクを加熱または真空乾燥によって乾燥する際には、セル中において、インクの外表面から液体成分が揮発することによりインクが熱対流する現象(べナードセル現象)が起こる。また、セル中のインク内で熱分布が生じることにより、インク中の液体成分の揮発は、セルの特定の部分から起こりやすい。以上のような要因により、従来のインクを用いた場合には、形成される着色部の表面は、凹凸が多いものとなっていた。このように、形成される着色部が平坦にならない場合、カラーフィルターを用いた画像表示装置の輝度やコントラスト比が高いものとならない問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−372613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、平坦な着色部を形成することができ、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターを製造することのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供すること、着色部が平坦であり明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式の液滴吐出装置により基板上に着色部を形成するカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
着色剤と、当該着色剤を溶解または分散する液性媒体と、硬化性樹脂材料とを含み、
前記硬化性樹脂材料は、重量平均分子量が2000〜5000であることを特徴とする。
これにより、平坦な着色部を形成することができ、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターを製造することのできるインクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供することができる。
【0008】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記硬化性樹脂材料は、重量平均分子量が6000〜10000の重合体と、重量平均分子量が4500以下の重合体とを含むものであることが好ましい。
これにより、より平坦性の高い着色部を形成することができる。その結果、カラーフィルターの明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができる。
【0009】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記硬化性樹脂材料は、分子量が1500以下の成分を5〜45wt%含むものであることが好ましい。
これにより、より平坦性の高い着色部を形成することができる。その結果、カラーフィルターの明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記カラーフィルター用インクは、多価アルコールを含むものであることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、厚さが均一なものとなり、製造されるカラーフィルターは、着色部における不本意な光の散乱が抑制され、明度およびコントラスト比が特に高いものとなる。
【0010】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記多価アルコールは、グリコール類のオリゴマーであることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、厚さが均一なものとなり、製造されるカラーフィルターは、着色部における不本意な光の散乱が抑制され、明度およびコントラスト比が特に高いものとなる。
【0011】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記硬化性樹脂材料は、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有してなる重合体Aを含むものであることが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させつつ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
【0012】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記重合体Aは、単量体成分として、前記エポキシ基含有ビニル単量体a1に加え、イソシアネート基またはそれが保護基で保護されたブロックイソシアネート基を備えたビニル単量体a2を含有してなる共重合体であることが好ましい。
これにより、着色部形成時におけるカラーフィルター用インク中の気泡の破裂等を防止でき、製造されるカラーフィルターは、着色部が特に平坦なものなり、明度およびコントラスト比が特に高いものとなる。
【0013】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記硬化性樹脂材料は、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体を単量体成分として含有してなる重合体Bを含むものであることが好ましい。
【化1】

これにより、より平坦性の高い着色部を形成することができる。その結果、カラーフィルターの明度およびコントラスト比を特に優れたものとすることができる。
【0014】
本発明のカラーフィルター用インクは、ピグメントグリーン58を含むものであることが好ましい。
一般に、緑色の着色部を形成するカラーフィルター用インクは、着色剤が多くなりやすく、液滴の吐出安定性が劣るものとなりやすく、平坦な着色部を形成することが困難で、形成される着色部の明度、コントラスト比が優れたものとはなりにくいものであった。しかしながら、緑色のカラーフィルター用インクがこのようなピグメントグリーン58とともに上記のような樹脂材料を含むことにより、インクの液滴の吐出安定性を優れたものとすることができるとともに、平坦性の高い着色部を形成することができる。その結果、明度、コントラスト比に優れた着色部を形成することができる。
【0015】
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、各部位での濃度むら、色むらが抑制され、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、表示部に、各部位での濃度むら、色むらが抑制され、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターを備えた画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、表示部に、各部位での濃度むら、色むらが抑制され、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターを備えた電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
《カラーフィルター用インク》
本発明のカラーフィルター用インクは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの着色部の形成)に用いられるインクであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。
また、本発明のカラーフィルター用インク(以下、単にインクとも言う。)は、着色剤と、着色剤を分散または溶解させる液性媒体と、樹脂材料とを含むものである。
【0017】
<樹脂材料>
まず、樹脂材料について説明する。
カラーフィルター用インクは、形成される着色部の基板に対する密着性を向上させる等の目的で、バインダー樹脂(樹脂材料)を含んでいる。
また、インクジェット法によるインク付与工程の後工程での、薬品塗布や洗浄による悪影響を防止するため、バインダー樹脂には、耐溶剤性が要求される。本発明のカラーフィルター用インクは、バインダー樹脂として硬化性樹脂材料を用いるものである。
【0018】
[硬化性樹脂材料]
以下、硬化性樹脂材料について詳細に説明する。
硬化性樹脂材料は、一般に、硬化後の、基板に対する密着性に優れている。したがって、バインダー樹脂として硬化性樹脂材料を用いることにより、カラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。
【0019】
本発明において、インク中に含まれる硬化性樹脂材料は、その重量平均分子量が2000〜5000のものである。
ところで、一般に、着色部の形成は、セル中に付与したカラーフィルター用インクから液性媒体を除去し、カラーフィルター用インクを固化させることによって行われる。このような場合、セル中のカラーフィルター用インク中における着色剤や硬化性樹脂材料等の固形分濃度が上昇し、液性媒体の除去に伴ってカラーフィルター用インクの流動性が低下する。
【0020】
また、インクを加熱または真空乾燥によって乾燥する際には、セル中において、インクの外表面から液性媒体が揮発することによりインクが熱対流する現象(ベナードセル現象)が起こる。また、セル中のインク内で熱分布が生じることにより、インク中の液性媒体の揮発は、セルの特定の部分から起こりやすい。このため、セル中のカラーフィルター用インクは、均一な厚さとならず、凹凸ができやすい。
【0021】
このように、カラーフィルター用インクの流動性が低下しつつ、セル内におけるインクの対流、特定の部分からの液性媒体の揮発が起こると、カラーフィルター用インクは、液性媒体の除去が進む比較的早い段階で、凹凸を有した形状で流動性を失い、固化してしまう。この結果、従来のインクを用いた場合には、形成される着色部の表面は、凹凸が多いものとなっていた。このように、形成される着色部が平坦にならない場合、カラーフィルターの明度やコントラスト比が高いものとならない問題があった。
【0022】
これに対して、本発明のカラーフィルター用インクは、重量平均分子量が2000〜5000の硬化性樹脂材料を含むものである。このように重量平均分子量が比較的低い硬化性樹脂材料を含むことにより、カラーフィルター用インクから液性媒体が一定量揮発した場合であっても、カラーフィルター用インクは、比較的長い時間、流動性を維持することができる。また、カラーフィルター用インクは、液性媒体が一定量除去された時点では、粘度が比較的高くなっており、対流が抑制されたものとなっている。このように、着色部形成時において、比較的長い間、カラーフィルター用インクの対流が抑制されつつ、カラーフィルター用インクが流動性を有することにより、セル中のカラーフィルター用インクは、その表面が平坦な状態で流動性を失い、固化することができる。
【0023】
その結果、平坦な着色部を形成することができ、明度およびコントラスト比に優れたカラーフィルターとすることができる。
また、このような硬化性樹脂材料を用いることにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を向上させることができる。その結果、形成される着色部は、厚さのばらつきが小さいものとなる。
【0024】
本発明において、インクを構成する硬化性樹脂材料の重量平均分子量は、2000〜5000であるが、2500〜4000であるのがより好ましい。これにより、上述したような本発明の効果がより顕著に発揮される。これに対して、硬化性樹脂材料の重量平均分子量が前記下限値未満であると、液性媒体の除去の際に、硬化性樹脂材料の一部(低分子量の成分)が除去されてしまい、所望の厚さの着色部を形成することができない。一方、硬化性樹脂材料の重量平均分子量が前記上限値を超えると、液性媒体を除去する際に、比較的早い段階で流動性を失い、平坦性の高い着色部を形成することができない。
【0025】
また、インク中に含まれる硬化性樹脂材料は、分子量が1500以下の成分を5〜45wt%含むものであるのが好ましい。
ところで、カラーフィルター用インクから液性媒体を除去する過程において、上述したように、液性媒体の除去に伴ってカラーフィルター用インクの流動性が低下する。そして、この流動性の低下とともに、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇が生じる場合がある。特に、着色剤として顔料を用いた場合、このようなチキソトロピック性の上昇は顕著なものとなる。このように、チキソトロピック性が高いものとなると、カラーフィルター用インクは、比較的粘度が低い場合であっても、流動性の低下が顕著なものとなってしまう。これに対して、上記のように硬化性樹脂材料中における低分子量の成分の含有量を所定の範囲の値とすることにより、カラーフィルター用インクから液性媒体が一定量揮発した場合であっても、カラーフィルター用インクはチキソトロピック性の上昇を抑えることができ、より長い時間、流動性を維持することができる。その結果、より平坦性の高い着色部を形成することができる。
【0026】
なお、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性の指標としては、例えば、回転式のE型粘度計を用いて2つの異なる回転数での粘度を測定した場合の、得られた粘度の比(チキソ指数)で表わすことができる。具体的には、25℃のカラーフィルター用インクを回転数6rpmの条件で測定した粘度をη[mPa・s]、25℃のカラーフィルター用インクを回転数60rpmの条件で測定した粘度をη60[mPa・s]としたとき、カラーフィルター用インクのチキソ指数TAは、η/η60とすることができる。なお、η/η60が大きいほど、チキソトロピック性が高いものである。
【0027】
また、カラーフィルター用インクのチキソ指数TA(η/η60)は、具体的には、1.06以下であることが好ましく、1.05以下であることがより好ましく、1.03以下であることがさらに好ましく上述したような効果をより顕著に得ることができる。
また、インク中に含まれる硬化性樹脂材料は、重量平均分子量が6000〜10000の重合体(高分子量重合体)と、重量平均分子量が4500以下の重合体(低分子量重合体)とを含むものであるのが好ましい。このように硬化性樹脂材料として、比較的重量平均分子量の高い重合体と、比較的重量平均分子量の低い重合体とを含むものを用いることにより、カラーフィルター用インクから液性媒体が一定量揮発した場合であっても、カラーフィルター用インクはチキソトロピック性の上昇を抑えることができ、より長い時間、流動性を維持することができる。その結果、より平坦性の高い着色部を形成することができる。
【0028】
上記高分子量重合体の重量平均分子量をMw、上記低分子量重合体の重量平均分子量をMwとしたとき、Mw−Mw≧2000の関係を満足するのが好ましく、2000≦Mw−Mw≦8000の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、上述したような効果をより顕著なものとすることができる。なお、複数種の高分子量重合体が存在する場合は、Mwとは、それら重合体の混合物の重量平均分子量のことを指す。また、複数種の低分子量重合体が存在する場合は、Mwとは、それら重合体の混合物の重量平均分子量のことを指す。
【0029】
硬化性樹脂としては、上記条件を満足するものであれば特に限定されず、例えば、各種熱化成樹脂や、光硬化性樹脂等のエネルギー線硬化性樹脂等を用いることができるが、以下のような硬化性樹脂材料を含むことが好ましい。硬化性樹脂材料として下記のような硬化性樹脂材料を用いた場合、インクは、比較的多量に硬化性樹脂材料を含ませても粘度が高くなることが防止され、インクの吐出安定性を向上させることができる。また、着色部形成時においては、カラーフィルター用インクの流動性の低下を防止することができる。また、得られるカラーフィルターは、耐久性に特に優れたものとなる。
【0030】
以下、カラーフィルター用インクに好適に用いることのできる硬化性樹脂材料(硬化性樹脂組成物)について詳細に説明する。
〔重合体A〕
重合体Aは、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有してなるものである。重合体Aは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Aが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有するものである。
【0031】
(エポキシ基含有ビニル単量体a1)
重合体Aは、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有してなるものである。このようなエポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有することにより、重合体A中にエポキシ基を容易かつ確実に導入することができる。また、このようなポキシ基含有ビニル単量体a1を含む硬化性樹脂を用いることにより、着色部形成時において、インクのチキソトロピック性が上昇することをより容易に抑制することができる。特に、後述するような多価アルコールと共に用いた場合、その効果とより顕著なものとすることができる。また、エポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有することにより、重合体Aは、カラーフィルター用インク保存時、セルへのインク付与時において、不本意に硬化することが防止される。また、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、エポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部を、耐溶剤性に特に優れたものとすることができる。また、エポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクを用いて着色部を形成する際に、比較的温和な条件で硬化性樹脂材料を硬化させることができるとともに、形成される着色部の硬度等を優れたものとする上で有用である。また、重合体Aが、後述するようなビニル単量体a2、ビニル単量体a3等を含むものである場合、重合体の合成を好適に行うことができ、所望の特性を有する重合体Aを容易かつ確実に得ることができる。
【0032】
エポキシ基含有ビニル単量体a1としては、例えば、下記式(2)で表される構造を有するものを用いることができる。エポキシ基含有ビニル単量体a1がこのような構造を有するものであると、上述したような効果をより顕著に得ることができるとともに、重合体Aと後述する重合体Bとの相溶性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を特に高いものとすることができる。
【0033】
【化2】

【0034】
式(2)において、Rによって示される炭素数1〜7のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基等のアルキル基が挙げられるが、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。これにより、重合体Aは、カラーフィルター用インク保存時、セルへのインク付与時において、不本意に硬化することがより確実に防止される。また、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。また、重合体Aと後述する重合体Bとの相溶性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を非常に高いものとすることができる。
【0035】
式(2)中、Gによって示される2価のヘテロ原子を含んでいてもよい。炭化水素基の代表的な例としては、直鎖または分枝状のアルキレン基、より具体的には、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オキシメチレン、オキシエチレン、オキシプロピレン等が挙げられる。
エポキシ基含有ビニル単量体a1の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸エチルグリシジル、グリシジルビニルベンジルエーテル(セイミケミカル株式会社製、商品名VBGE)、下記式(6−1)〜式(6−31)で表される脂環式エポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、エポキシ基含有ビニル単量体a1としては、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これにより、重合体Aは、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
【0036】
【化3】

【0037】
【化4】

【0038】
【化5】

【0039】
【化6】

【0040】
【化7】

【0041】
なお、式(2−1)〜(2−31)において、Rは、水素原子またはメチル基を示し、Rは、炭素数1〜8の2価の炭化水素基を示し、Rは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示す。また、R、RおよびRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、wは、0〜10を示す。
【0042】
重合体A中におけるエポキシ基含有ビニル単量体a1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、50〜99wt%であるのが好ましく、70〜94wt%であるのがより好ましい。重合体A中におけるエポキシ基含有ビニル単量体a1の含有率が前記範囲内の値であると、インクのチキソトロピック性が上昇することをより容易に抑制することができる。特に、後述するような多価アルコールと共に用いた場合、その効果とより顕著なものとすることができる。また、重合体Aは、カラーフィルター用インク保存時、セルへのインク付与時において、不本意に硬化することがより確実に防止される。また、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体A中におけるエポキシ基含有ビニル単量体a1の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを用いて着色部を形成する際に、比較的温和な条件で硬化性樹脂材料を硬化させることができるとともに、形成される着色部の硬度、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。
【0043】
なお、重合体Aが、複数種の化合物の混合物である場合、エポキシ基含有ビニル単量体a1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Aが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率でエポキシ基含有ビニル単量体a1を含有しているのが好ましい。
【0044】
(ビニル単量体a2)
重合体Aは、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有してなるものであればよいが、エポキシ基含有ビニル単量体a1に加え、さらに、イソシアネート基またはそれが保護基で保護されたブロックイソシアネート基を備えたビニル単量体a2を単量体成分として含有してなるもの(共重合体)であるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における気体の含有率(溶存気体、マイクロバブル等として存在する気泡等)をより効果的に低くすることができ、インクジェット法による液滴吐出の安定性が特に優れたものとなる。また、カラーフィルター用インク中に含まれる気泡が少ないことから、着色部形成時におけるカラーフィルター用インク中の気泡の破裂等を防止でき、着色部を特に平坦なものとすることができる。その結果、製造されるカラーフィルターにおいて、各部位での色むら、濃度むらや、個体間での特性のばらつきが発生するのをより効果的に防止することができる。
【0045】
重合性ビニル単量体a2としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製、商品名「カレンズMOI」)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基と結合した(メタ)アクリロイルイソシアネート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイルイソシアネートのイソシアネート基は、ブロックイソシアネート基であることが好ましい。ここで言うブロックイソシアネート基とは、末端をブロック剤でマスキングしたイソシアネート基を指す。ブロックイソシアネート基を持つ単量体としては、例えば、メタクリル酸2−(0−[1’メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられ、また、昭和電工株式会社製「カレンズMOI−BM」の商品名で市販されている。これら重合性ビニル単量体は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
重合体Aにおけるビニル単量体a2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、100重量部のエポキシ基含有ビニル単量体a1に対し、2〜20重量部であるのが好ましく、3〜15重量部であるのがより好ましい。重合体Aにおけるビニル単量体a2の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクの長期保存性等を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インク中における気体の含有率(溶存気体、マイクロバブル等として存在する気泡等)を十分に低くすることができ、インクジェット法による液滴吐出の安定性が特に優れたものとなる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を十分に高いものとすることができる。
【0047】
なお、重合体Aが、複数種の化合物の混合物である場合、ビニル単量体a2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Aが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率でビニル単量体a2を含有しているのが好ましい。
【0048】
(ビニル単量体a3)
重合体Aは、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有してなるものであればよいが、エポキシ基含有ビニル単量体a1に加え、さらに、水酸基を備えたビニル単量体a3を単量体成分として含有してなるもの(共重合体)であるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性、特に、画像表示に伴う急激な温度変化に、繰り返しさらされた場合における密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、例えば、カラーフィルターを長期間使用した場合においても、光漏れ(白抜け、輝点)等の問題が発生するのをより確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Aが、ビニル単量体a3を単量体成分として含有してなるものであると、重合体Aと後述する重合体Bとの相溶性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を非常に高いものとすることができる。
【0049】
ビニル単量体a3としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物(ダイセル化学工業株式会社製プラクセルFAシリーズ、プラクセルFMシリーズ等)やエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを開環重合した化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
重合体Aにおけるビニル単量体a3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、100重量部のエポキシ基含有ビニル単量体a1に対し、2〜20重量部であるのが好ましく、3〜15重量部であるのがより好ましい。重合体Aにおけるビニル単量体a3の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクの長期保存性等を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を高いものとすることができる。また、インクの液滴の吐出安定性が特に優れたものとなる。
【0051】
なお、重合体Aが、複数種の化合物の混合物である場合、ビニル単量体a3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Aが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率でビニル単量体a3を含有しているのが好ましい。
【0052】
(その他の重合性ビニル単量体a4)
重合体Aは、上述したようなエポキシ基含有ビニル単量体a1、ビニル単量体a2、および、ビニル単量体a3以外の重合性ビニル単量体a4を単量体成分として含有していてもよい。このような重合性ビニル単量体a4としては、エポキシ基含有ビニル単量体a1と共重合可能なビニル単量体を用いることができ、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜12のアルキル、アラルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物;CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、FCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHCHOCOCH=CH、H(CFCHCHOCOC(CH)=CH、F(CFCHCHOCOCH=CH、F(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOCH=CH等のフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、重合体Aは、単量体成分として、後述するようなアルコキシシリル基含有ビニル単量体b1を含有するものではない。
【0053】
重合体Aにおける重合性ビニル単量体a4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、100重量部のエポキシ基含有ビニル単量体a1に対し、20重量部以下であるのが好ましく、10重量部以下であるのがより好ましい。なお、重合体Aが、複数種の化合物の混合物である場合、重合性ビニル単量体a4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Aが、複数種の化合物の混合物である場合、各化合物について、重合性ビニル単量体a4の含有率が上記のような条件を満足するのが好ましい。
【0054】
上記のように、重合体Aは、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有してなるものであればよいが、エポキシ基含有ビニル単量体a1に加え、ビニル単量体a2およびビニル単量体a3を含有するものであるのが好ましい。これにより、上述したようなビニル単量体a2を含むことによる効果と、上述したようなビニル単量体a3を含むことによる効果とを、両立することができる。
【0055】
上述したように硬化性樹脂材料として高分子量重合体と低分子量重合体とを含むものを用いる場合、このような重合体Aは、低分子量重合体として含まれているのが好ましい。これにより、樹脂材料が硬化する前においては、インクの流動性を保持することができ、硬化した際には、エポキシ基の架橋反応により高分子化し、着色部の耐久性をより高いものとすることができる。
【0056】
重合体Aの重量平均分子量は、4500以下であるのが好ましく、1000〜3000であるのがより好ましい。重合体Aの重量平均分子量がこのように、比較的低い範囲にあることにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇がより効果的に抑制される。
硬化性樹脂材料中に占める重合体Aの割合(含有率)は、特に限定されないが、25〜80wt%であるのが好ましく、33〜70wt%であるのがより好ましい。なお、重合体Aが複数種の化合物の混合物である場合、重合体Aの含有率としては、これらの化合物の含有率の総和を採用する。
【0057】
〔重合体B〕
また、カラーフィルター用インクにおいて、硬化性樹脂材料は、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体b1を単量体成分として含有してなる重合体Bを含むことが好ましい。
【0058】
【化8】

【0059】
また、このような重合体Bは、前述した重合体Aとともに用いるのが好ましい。これにより、着色インク中における気体の含有率を低くすることができるとともに、着色インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、このような重合体Bは、アルコキシシリル基を含むためカラーフィルターの着色部を支持する基板(特に、ガラス基板)との親和性が高いものである。このため、インクが重合体Bを硬化性樹脂材料として含む場合、基板上に吐出されたインクは、好適に基板上に濡れ広がることができ、結果として得られる着色部の厚みを特に均一なものとすることができる。すなわち、着色部をより平坦にすることができる。このため、得られるカラーフィルターは、明度、コントラスト比に特に優れたものとなる。また、重合体Bは、基板に対する親和性が高いため、得られるカラーフィルターの着色部は、基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、このような重合体Bを有することにより、重合体Aの硬化を補うことができ、比較的温和な条件で着色部を形成することができるとともに、形成される着色部の硬度、耐光性、耐熱性等を、いずれも、十分に優れたものとすることができる。また、未硬化の樹脂材料が、重合体Aとともに重合体Bを含むものであることにより、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、未硬化の樹脂材料と着色剤との混合安定性を長期間にわたって優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に、コントラストに優れたカラーフィルターを製造することができる。また、未硬化の樹脂材料が、重合体Aとともに重合体Bを含むものであることにより、形成される着色部の耐光性を優れたものとすることができる。一般に、染料は、顔料に比べて耐光性に劣るものであるが、着色インクが着色剤として染料を含むものであっても、形成される着色部の耐光性を十分に優れたものとすることができる。また、一旦調製した着色インクを長期間にわたって好適に使用することができるため、着色インクの交換、液滴吐出装置内における着色インクの置換の頻度を少なくすることができるため、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの品質の安定性も向上する。
重合体Bは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Bが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、少なくともアルコキシシリル基含有ビニル単量体b1を単量体成分として含有するものである。
【0060】
(アルコキシシリル基含有ビニル単量体b1)
重合体Bは、少なくとも式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体b1を単量体成分として含有してなるものである。このようなアルコキシシリル基含有ビニル単量体b1を単量体成分として含有することにより、重合体B中にアルコキシシリル基を容易かつ確実に導入することができる。また、アルコキシシリル基含有ビニル単量体b1を単量体成分として含有することにより、硬化性樹脂材料(硬化性樹脂組成物)を硬化させて着色部を形成する際に、重合体Aの硬化を補うことができ、比較的温和な条件で着色部を形成することができるとともに、形成される着色部の硬度、基板に対する密着性、耐光性、耐熱性等を、いずれも、十分に優れたものとすることができる。また、重合体Bが、後述するようなビニル単量体b2等を含むものである場合、重合体の合成を好適に行うことができ、所望の特性を有する重合体Bを容易かつ確実に得ることができる。
【0061】
式(1)において、Rによって示される炭素数1〜7のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基等のアルキル基が挙げられるが、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。これにより、インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部の硬度、基板に対する密着性、耐光性、耐熱性等を特に優れたものとすることができる。また、重合体Aと重合体Bとの相溶性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を特に高いものとすることができる。
【0062】
式(1)中、Eによって示される2価の炭化水素基の代表的な例として、直鎖または分枝状のアルキレン基、より具体的には、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等が挙げられる。これらのうちでも、炭素数1〜3の直鎖アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン基)が特に好ましい。
【0063】
式(1)中、R、RおよびRによって示される炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖または分枝状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等が挙げられる。RおよびRによって示される炭素数1〜6のアルコキシル基としては、直鎖または分枝状のアルコキシル基、例えば、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、イソプロポキシル基、ブトキシル基、イソブトキシル基、s−ブトキシル基、t−ブトキシル基、ペントキシル基、ヘキシルオキシル基等が挙げられる。
【0064】
式(1)で表される単量体の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシブチルフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有重合性不飽和化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
重合体B中におけるアルコキシシリル基含有ビニル単量体b1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、70〜100wt%であるのが好ましく、80〜100wt%であるのがより好ましい。重合体B中におけるアルコキシシリル基含有ビニル単量体b1の含有率が前記範囲内の値であると、硬化性樹脂材料(硬化性樹脂組成物)を硬化させて着色部を形成する際に、重合体Aの硬化を効果的に補うことができ、より温和な条件で着色部を形成することができる。また、形成される着色部の形状の均一性、硬度、基板に対する密着性、耐光性、耐熱性等を、特に優れたものとすることができる。なお、重合体Bが、複数種の化合物の混合物である場合、アルコキシシリル基含有ビニル単量体b1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Bが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率でアルコキシシリル基含有ビニル単量体b1を含有しているのが好ましい。
【0066】
(その他の重合性ビニル単量体b2)
重合体Bは、少なくともアルコキシシリル基含有ビニル単量体b1を単量体成分として含有してなるものであればよいが、アルコキシシリル基含有ビニル単量体b1に加え、さらに、アルコキシシリル基含有ビニル単量体b1以外の重合性ビニル単量体b2を単量体成分として含有していてもよい。このような重合性ビニル単量体b2としては、アルコキシシリル基含有ビニル単量体b1と共重合可能なビニル単量体を用いることができ、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物(ダイセル化学工業株式会社製プラクセルFAシリーズ、プラクセルFMシリーズ等)やエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを開環重合した化合物等の水酸基を備えた重合性ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜12のアルキル、アラルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物;CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、FCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHCHOCOCH=CH、H(CFCHCHOCOC(CH)=CH、F(CFCHCHOCOCH=CH、F(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOCH=CH等のフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、重合体Bは、単量体成分として、前述したようなエポキシ基含有ビニル単量体a1を含有するものではない。また、重合体Bは、単量体成分として、上記のようなフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体を含まないものであるのが好ましい。
【0067】
重合体Bにおける重合性ビニル単量体b2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30wt%以下であるのが好ましく、20wt%以下であるのがより好ましい。なお、重合体Bが、複数種の化合物の混合物である場合、重合性ビニル単量体b2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Bが、複数種の化合物の混合物である場合、各化合物について、重合性ビニル単量体b2の含有率が上記のような条件を満足するのが好ましい。
【0068】
上記のように、重合体Bは、少なくともアルコキシシリル基含有ビニル単量体b1を単量体成分として含有してなるものであればよく、アルコキシシリル基含有ビニル単量体b1以外の単量体成分を含有していてもよいが、アルコキシシリル基含有ビニル単量体b1の単独重合体であるのが好ましい。すなわち、重合体Bは、単量体成分として、アルコキシシリル基含有ビニル単量体b1以外の成分を含まないものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性、および、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性を、特に優れたものとすることができる。
【0069】
硬化性樹脂材料中に占める重合体Bの割合(含有率)は、特に限定されないが、20〜60wt%であるのが好ましく、25〜55wt%であるのがより好ましい。なお、重合体Bが複数種の化合物の混合物である場合、重合体Bの含有率としては、これらの化合物の含有率の総和を採用する。
重合体Bの重量平均分子量は、1000〜50000 であるのが好ましく、1200〜10000であるのがより好ましく、1500〜8000であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中は、基板に対する親和性が特に優れたものとなり、インクが素早く基板に濡れ広がることができる。
【0070】
また、硬化性樹脂材料として、重合体Aおよび重合体Bが含まれる場合、重合体Aの含有率と重合体Bの含有率との比率は、重量比で、25:75〜75:25であるのが好ましく、45:55〜55:45であるのがより好ましい。このような条件を満足することにより、セルへのインク付与時においては、ガラス基板にカラーフィルター用インクが好適に濡れ広がることができ、着色部形成時においては、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇がより効果的に抑制される。また、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターにおいて、各部位での色むら、濃度むらをより確実に防止することができ、また、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0071】
〔重合体C〕
硬化性樹脂材料(硬化性樹脂組成物)は、さらに、下記式(3)で表されるフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1を単量体成分として含有してなる重合体Cを含むものであってもよい。
【0072】
【化9】

【0073】
このような重合体Cを含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。特に、液滴吐出ヘッドのノズルからの液切れが良好になる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の耐熱性を特に優れたものとすることができる。
重合体Cは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Cが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、少なくともフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1を単量体成分として含有するものである。
【0074】
(フルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1)
重合体Cは、少なくとも式(3)で表されるフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1を単量体成分として含有してなるものである。このようなフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1を単量体成分として含有することにより、重合体C中にフルオロアルキル基またはフルオロアリール基を容易かつ確実に導入することができる。また、フルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。特に、ノズルからのインクの液切れを特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の耐熱性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Cが、後述するようなビニル単量体c2等を含むものである場合、重合体の合成を好適に行うことができ、所望の特性を有する重合体Cを容易かつ確実に得ることができる。
【0075】
式(3)において、Rによって示される炭素数1〜7のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基等のアルキル基が挙げられるが、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の耐熱性を特に優れたものとすることができる。
【0076】
式(3)中、Dによって示される2価の炭化水素基(ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基)の代表的な例として、直鎖または分枝状のアルキレン基、より具体的には、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オキシメチレン、オキシエチレン、オキシプロピレン等が挙げられる。
【0077】
式(3)で表される単量体の具体例としては、例えば、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCH=CH、CF(CFCHCH=CH、CF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、(CFCF(CFCHCH=CH、(CFCF(CFCH=CH、FCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHOCHCH=CH、CF(CFCHCHCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、H(CFCHOCHCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHCHOCOCH=CH、H(CFCHCHOCOC(CH)=CH、F(CFCHCHOCOCH=CH、F(CFCHCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOCH=CH等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
重合体C中におけるフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、15〜100wt%であるのが好ましく、18〜100wt%であるのがより好ましい。重合体C中におけるフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1の含有率が前記範囲内の値であるとカラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。特に、ノズルからのインクの液切れを特に優れたものとすることができる。カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の耐熱性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Cの、重合体Aや重合体Bに対する相溶性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を特に高いものとすることができる。
【0079】
なお、重合体Cが、複数種の化合物の混合物である場合、フルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Cが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率でフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1を含有しているのが好ましい。
【0080】
(その他の重合性ビニル単量体c2)
重合体Cは、上述したようなフルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1以外の重合性ビニル単量体c2を単量体成分として含有していてもよい。このような重合性ビニル単量体c2としては、フルオロアルキル基またはフルオロアリール基含有ビニル単量体c1と共重合可能なビニル単量体を用いることができ、具体的には、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製、商品名「カレンズMOI」)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基と結合した(メタ)アクリロイルイソシアネート、メタクリル酸2−(0−[1’メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(昭和電工株式会社製、商品名「カレンズMOI−BM」)等の、イソシアネートまたはそれが保護基で保護されたブロックイソシアネート基を備えた重合性ビニル単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物(ダイセル化学工業株式会社製プラクセルFAシリーズ、プラクセルFMシリーズ等)やエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを開環重合した化合物等の水酸基を備えた重合性ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜12のアルキル、アラルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、重合体Cは、単量体成分として、前述したようなエポキシ基含有ビニル単量体a1、アルコキシシリル基含有ビニル単量体b1を含有するものではない。
【0081】
重合体C中における重合性ビニル単量体c2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、85wt%以下であるのが好ましく、82wt%以下であるのがより好ましい。なお、重合体Cが、複数種の化合物の混合物である場合、重合性ビニル単量体c2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Cが、複数種の化合物の混合物である場合、各化合物について、重合性ビニル単量体c2の含有率が上記のような条件を満足するのが好ましい。
【0082】
硬化性樹脂材料が重合体Cを含むものである場合、硬化性樹脂材料中に占める重合体Cの割合(含有率)は、特に限定されないが、1〜20wt%であるのが好ましく、2〜15wt%であるのがより好ましい。なお、重合体Cが複数種の化合物の混合物である場合、重合体Cの含有率としては、これらの化合物の含有率の総和を採用する。
重合体Cの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜10000であるのがより好ましく、1500〜8000であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中において、重合体Cは、比較的流動しやすいものとなり、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができる。
【0083】
また、硬化性樹脂材料が重合体Cを含むものである場合、重合体Aの含有率と重合体Cの含有率との比率は、重量比で、50:50〜99:1であるのが好ましく、60:40〜98:2であるのがより好ましい。このような条件を満足することにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとし、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むらをより効果的に防止し、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0084】
カラーフィルター用インク中における硬化性樹脂材料の含有率は、0.5〜10wt%であるのが好ましく、1〜5wt%であるのがより好ましい。硬化性樹脂材料の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な着色濃度を確保することができる。
【0085】
顔料:100重量部に対する、硬化性樹脂材料の含有率は、15〜50重量部であるのが好ましく、19〜42重量部であるのがより好ましい。このような条件を満足することにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとし、カラーフィルター用インクを用いて形成されるカラーフィルターの着色部の発色性、コントラストを特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部の平坦性をより効果的に高いものとすることができる。また、着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。
なお、カラーフィルター用インクを構成する硬化性樹脂材料は、上述した重合体A、重合体B、重合体C以外の重合体を含むものであってもよい。
【0086】
<熱可塑性樹脂>
カラーフィルター用インクは、熱可塑性樹脂を含むものであってもよい。これにより、例えば、カラーフィルター用インクが顔料を含む場合、カラーフィルターインク中における顔料粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸半エステル樹脂、メタクリル酸−メタクリル酸エステル樹脂、アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、イソブチレン−マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチ、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カラーフィルター用インク中における熱可塑性樹脂の含有率は、特に限定されないが、1.5〜7.7wt%であるのが好ましく、2.1〜7.2wt%であるのがより好ましい。
【0087】
<着色剤>
カラーフィルターは、通常、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の着色)を有している。着色剤は、通常、形成すべき着色部の色調に応じて選択される。カラーフィルター用インクを構成する着色剤としては、例えば、各種顔料、各種染料を用いることができる。
【0088】
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,180,185,187,188,190,193,194,202,206,207,208,209,215,216,220,224,226,242,243,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50,58;C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,60,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブラウン7,11,23,25,33;C.I.ピグメントブラック1,7や、これらの誘導体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0089】
カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)である場合、着色剤として染料を含むもの(染料インク)に比べて、製造されるカラーフィルターの耐光性等を優れたものとすることができる。
特に、カラーフィルター用インクが、顔料(赤色顔料)として、C.I.ピグメントレッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメントレッド254とその誘導体を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(赤色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、後に詳述するような分散剤、硬化性樹脂材料(硬化性樹脂組成物)と併用することによる効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。この結果、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができるとともに、セルへのインク付与時においては、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体として、下記式(4)または下記式(5)で示される化合物(誘導体)を含有するものである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
【0090】
【化10】

【0091】
【化11】

【0092】
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(緑色顔料)として、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(緑色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、C.I.ピグメントグリーン58は、明度に優れるという特徴を有しているものの、従来においては、安定的に分散させるのが極めて困難な材料であった。しかしながら、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合であっても、スルホン化された顔料誘導体を副顔料として同時に含むことにより、カラーフィルター用インク中における分散安定性を優れたものとすることができることを見出した。これにより、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の長期保存性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
【0093】
顔料として、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(6)で示される化合物(誘導体)を含有するのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターにおいて、より優れたコントラストの画像を表示することができる。
【0094】
【化12】

【0095】
このように、特定の化学構造を有する顔料誘導体(副顔料)を、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料)とともに用いることにより、上記のような優れた効果が得られることは、本発明者が鋭意研究を行った結果、見出したことであり、そのメカニズムの詳細は不明であるが、以下のような理由によるものであると考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58を構成する臭素化フタロシアニンは、分子全体として、高度な共役系が形成されており、平面的な構造となるのが、エネルギー的に安定している。そして、臭素化フタロシアニンは、平面状の各分子が積層されるように(平行に)配置することにより、各分子間が有する共役系のπ電子が重なり合った、安定した状態になる。このため、C.I.ピグメントグリーン58は、本来、凝集し易く、液性媒体中に安定的に分散させるのが困難である。
【0096】
一方、上記のような顔料誘導体では、式(5)中において窒素原子に結合している水素原子は、フタルイミド構造を構成する酸素原子との間で、水素結合を形成する。このようなことから、式(5)中において窒素原子に結合している水素原子は、実体的には、キノリン構造を構成する窒素原子とともに、フタルイミド構造を構成する酸素原子とも強固に結合しており、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)では、式(5)中において1〜7の番号を付した7原子による安定的な環構造(7員環構造)が形成されている。このような7員環構造を形成することにより、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とは、非平行状態をとることになる。
【0097】
このように、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とが、非平行となることにより、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化フタロシアニン)に対して適度な親和性を有する顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)が、C.I.ピグメントグリーン58の分子間に入り込み、上記のように、本来、凝集し易いC.I.ピグメントグリーン58を凝集しにくいものとすることができる。さらに、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)は、分子内にスルホ基を有しているため、後述する液性媒体に対する分散性に優れている。以上のようなことが、相乗的に作用し合い、上記のような非常に優れた効果が得られるものと考えられる。
【0098】
C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)とを含む場合、カラーフィルター用インク中における顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):100重量部に対して、2〜32重量部であるのが好ましく、7〜28重量部であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができる。
【0099】
ところで、一般に、緑色の着色部を形成するカラーフィルター用インクは、着色剤が多くなりやすく、インク粘度の経時安定性が劣るものである。その結果、液滴の吐出安定性が劣るものとなりやすく、平坦な着色部を形成することが困難で、形成される着色部の明度、コントラスト比が優れたものとはなりにくいものであった。しかしながら、緑色のカラーフィルター用インクがこのようなピグメントグリーン58とともに上述したような樹脂材料を含むことにより、インクの液滴の吐出安定性を優れたものとすることができるとともに、平坦性の高い緑色の着色部を形成することができる。その結果、明度、コントラスト比に優れた着色部を形成することができる。
【0100】
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(青色顔料)として、C.I.ピグメントブルー15:6、または、C.I.ピグメントブルー15の誘導体を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(青色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
【0101】
カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)である場合、顔料の平均粒径は、10〜200nmであるのが好ましく、20〜180nmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性や、カラーフィルターインクの吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性等)を十分に優れたものとし、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとすることができる。
【0102】
また、染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247;C.I.アシッドレッド35,42,51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,145,151,154,157,158,211,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,319,336,337,361,396,397;C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55;C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46;C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101;C.I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103,126;C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34;C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48;C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163;C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227;C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42;C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40;C.I.アシッドグリーン16;C.I.アシッドブルー9,45,80,83,90,185;C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0103】
カラーフィルター用インク中における着色剤の含有率は、2〜25wt%であるのが好ましく、3〜20wt%であるのがより好ましい。着色剤の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの吐出性(吐出安定性)を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。
【0104】
<液性媒体>
液性媒体(液状媒質)は、カラーフィルター用インクにおいて、上述したような樹脂材料および着色剤を分散または溶解する機能を有するものである。そして、通常、カラーフィルター用インクを構成する液性媒体は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
【0105】
液性媒体としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)のアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。液性媒体として用いることのできる化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0106】
液性媒体としては、これらの中でも、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができるとともに、個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、着色剤、樹脂材料等を比較的多量にインク中に含ませた場合であっても、インクの物性の変化が比較的少ないものとなる。また、カラーフィルター用インク中に顔料が含まれる場合、顔料の含有率を高くした場合であっても、顔料の長期分散安定性を十分に優れたものとすることができ、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇が抑制される。また、液性媒体が上記のような化合物で構成されたものであると、後述するようなカラーフィルターの製造方法において、セル内全体に、カラーフィルター用インクを確実に濡れ広がるようにすることができる。
【0107】
また、上述した中でも、液性媒体が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、インクの粘度を特に低いものとすることができ、インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、インクが基板上ですばやく隅々まで濡れ広がるため、得られるカラーフィルター(着色部)の厚みが均一化することで、色再現性および消偏性(コントラスト比)を特に優れたものとすることができる。また、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは、後述するような硬化性樹脂や分散剤と溶解度パラメータ(SP値)が近いためインクの分散安定性が高く長期に渡って粘度変化が少ないものとなる。また、好適に着色剤、樹脂等の成分の劣化、凝集を防止することができる。さらに、液性媒体が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、水の液性媒体への溶解度を適度なものとすることができる。このため、インクの液性媒体は、外部からの吸湿を確実に防止することができる。また、液滴吐出装置のインクの流路等の内部に水が混入した場合であっても、水を好適に溶解し、除去することができる。この結果、インク中における水の含有量を特に少ないものとすることができ、液滴吐出ヘッドからのインクの液滴の吐出安定性(例えば、液滴の吐出量の均一性)をより長期にわたって、特に優れたものとすることができる。
【0108】
また、上述した中でも、液性媒体がビス(2−ブトキシエチル)エーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合、インクがノズルの近傍で非常に乾燥しにくくなり、インクジェット工程における飛行曲がりの発生がより効果的に抑制される。また、ノズルの詰まりを防ぐために定期的にインクを少量排出するために行うフラッシング工程において、長距離のヘッド移動中におけるノズル近傍のインク乾燥を防ぐことができ、基板中に設けられたダミー画素などの捨て打ちエリアが不必要となる。また、インクが乾燥しにくくなることで、着色剤、樹脂等の成分の劣化、凝集、偏析をより確実に防止することができる。
【0109】
また、特に、液性媒体が1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合、後述するような硬化性樹脂や分散剤と溶解度パラメータ(SP値)が近いためインクの分散安定性が高く長期に渡って粘度変化が少ないものとなる。また、液性媒体への水の溶解度を適度なものとすることができる。このため、インクの液性媒体は、外部からの過剰な水分の吸収を確実に防止しつつ、液滴吐出装置のインクの流路等の内部に多少の水分が混入した場合であっても、水を好適に溶解することで、分散の安定性・流動性を保持したまま流路内を移動することができる。
【0110】
また、上述したような化合物を複数種用いて液性媒体としてもよい。
例えば、液性媒体は、主成分としての液性媒体としての第1の液性媒体と、副成分としての第2の液性媒体とを含んでいてもよい。
このような場合、第2の液性媒体は、平均重合度が4〜10のグリコール縮合物モノアルキルエーテルであることが好ましい。グリコール縮合物モノアルキルエーテルは、グリコールの縮合物の末端の水酸基がアルキル基で置換された化合物である。
【0111】
上述したような平均重合度を有するグリコール縮合物モノアルキルエーテルは、沸点が比較的高く、また、インクのチキソトロピック性を低下させることのできる化合物である。グリコール縮合物モノアルキルエーテルを含むことにより、カラーフィルター用インクから液性媒体が一定量揮発した場合であっても、インク中に残存するグリコール縮合物モノアルキルエーテルによってカラーフィルター用インクはチキソトロピック性の上昇を上昇が抑制され、比較的長い時間高い流動性を維持することができる。このため、着色部形成時において、特定の部分から液性媒体が揮発した場合であっても、カラーフィルター用インクは、より均一に混合されることができ、該部分にインクの固形分が集中することが防止される。この結果、セル中のカラーフィルター用インクは、各部分において固形分濃度が均一となり、その表面が平坦な状態で流動性を失い、固化することができる。この結果、製造されるカラーフィルターの明度、コントラスト比は特に優れたものとなる。また、以上のようなグリコール縮合物モノアルキルエーテルの効果は、特に、液性媒体の除去を行う際の初期において顕著に発揮させるものである。
【0112】
グリコール縮合物モノアルキルエーテルを構成するグリコール類は、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール等のプロパンジオール、各種ブタンジオール、各種ペンタンジオール、各種ヘキサンジオール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールを用いることが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができる。
【0113】
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの平均重合度は、上述した範囲内であればよいが、4〜8であることが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができ、インクは高い流動性を維持することができる。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの重量平均分子量は、210〜500であるのが好ましく、210〜400であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができる。
【0114】
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの末端のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有するものであってもよい。
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルの末端のアルキル基の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インク粘度を十分に低いものしつつ、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を十分に抑制することができる。
【0115】
また、グリコール縮合物モノアルキルエーテルが異なる重合度、分子量の成分の混合物(例えば、重合度が4〜8のグリコール縮合物モノアルキルエーテルの混合物)である場合、これらの複数の成分が段階的に揮発する。このため、着色部形成時において、より長期間にわたって、インクは流動性を高いものとすることができる。
また、例えば、第1の液性媒体を比較的沸点の低いものとし、第2の液性媒体を第1の液性媒体よりも沸点の高いものとすることができる。これにより、後述するような液性媒体の除去時においては、第1の液性媒体が最初に優先的に揮発する。第2の液性媒体は、比較的長期間カラーフィルター用インクに保持される。このため、セル中のカラーフィルター用インクは、比較的長い間、流動性を保持することができる。
【0116】
このような場合、第2の液性媒体の沸点は、第1の液性媒体の沸点よりも5〜80℃高いことが好ましく、10〜70℃高いことがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクは、着色部形成時において、より長期間流動性を保持することができる。
また、カラーフィルター用インクが液性媒体として第1の液性媒体と第2の液性媒体とを含む場合、カラーフィルター用インク中における第1の液性媒体の含有量は、第2の液性媒体の含有量を100重量部としたとき、100〜2000重量部であることが好ましく、150〜1000重量部であることがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクは、着色部形成時においてより長期間流動性を保持することができる。また、カラーフィルターを製造する際の生産性が向上する。
【0117】
また、液性媒体の25℃での粘度は、0.5〜20mPa・sであることが好ましく、1〜18mPa・sであることがより好ましい。このように、液性媒体が十分に低い粘度であることにより、カラーフィルター用インクの粘度を十分に低いものとすることができ、カラーフィルター用インクの液滴の均一性、吐出量の安定性を特に優れたものとすることができる。なお、液性媒体の粘度の測定は、例えば、E型粘度計(例えば、東機産業社製RE-01)を用いて行うことができ、特に、JIS Z8803に準拠して行うことができる。
【0118】
液性媒体の大気圧(1気圧)下における沸点は、160〜330℃であるのが好ましく、180〜320℃であるのがより好ましく、200〜310℃であるのがさらに好ましい。液性媒体の大気圧下における沸点が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
【0119】
また、液性媒体の25℃における蒸気圧は、0.7mmHg以下であるのが好ましく、0.1mmHg以下であるのがより好ましい。液性媒体の蒸気圧が前記範囲内と値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
【0120】
カラーフィルター用インク中における液性媒体の含有率は、50〜98wt%であるのが好ましく、55〜95wt%であるのがより好ましく、65〜93wt%であるのがさらに好ましい。液性媒体の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な着色濃度を確保することができる。
【0121】
<多価アルコール>
カラーフィルター用インクは、多価アルコールを含んでいてもよい。多価アルコールは、置換されていない水酸基を複数個含む化合物である。
多価アルコールは、着色部の形成時において、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を低下させる機能を有するものである。
【0122】
このように、カラーフィルター用インクが多価アルコールを含むことにより、上述したような樹脂材料との相乗効果により、本発明の効果をより顕著なものとすることができる。
すなわち、カラーフィルター用インクが多価アルコールと、上述したような樹脂材料とを含むことにより、カラーフィルター用インクから液性媒体が一定量揮発した場合であっても、カラーフィルター用インクはチキソトロピック性の上昇をより確実に抑えることができ、より長い時間、流動性を維持することができる。また、着色部形成時において、比較的長い間、カラーフィルター用インクはその対流が抑制されつつ、流動性がより効果的に保持されているため、セル中のカラーフィルター用インクは、その表面が平坦な状態で流動性を失い、固化することができる。このため、このようなカラーフィルター用インクを用いた場合、形成される着色部は、厚さがより均一なものとなる。この結果、製造されるカラーフィルターは、着色部における不本意な光の散乱が抑制され、明度およびコントラスト比が特に高いものとなる。
【0123】
カラーフィルター用インクに用いることのできる多価アルコールとしては、上述したようにカラーフィルター用インクのチキソトロピック性を低下させるものであればよいが、例えば、ジオール化合物のオリゴマーが使用でき、具体的には、グリコール類のオリゴマー等を用いることができる。このような化合物は、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を容易に下げることができるとともに、着色部形成時においては、カラーフィルター用インクのセル内での対流を抑制することができる。特に、多価アルコールがグリコール類のオリゴマーである場合、上述したような効果はより顕著なものとなる。
【0124】
グリコール類のオリゴマーを構成するグリコール類としては、例えば、上述したようなグリコール類が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組みあわせて用いることができる。これらのうち、エチレングリコールまたは、1,3−プロパンジオールをグリコール類として用いることが好ましい。
また、多価アルコールとしては、エチレングリコールと1,2−プロピレングリコールとが混合して縮合したグリコール類のオリゴマーを用いてもよいし、エチレングリコールのオリゴマーと1,2−プロピレングリコールのオリゴマーとを混合して用いてもよい。
【0125】
また、多価アルコールとして、グリコール類のオリゴマーを用いる場合、末端の水酸基は、置換されていないことが好ましい。このように、多価アルコールが水酸基を有することで、多価アルコールの極性が比較的高いものとなり、多価アルコールの粘度は、容易に後述するような範囲となる。また、カラーフィルター用インクの後述するような基板(特にガラス基板)への親和性が優れたものとなり、カラーフィルター用インクは、セル中により好適に濡れ広がることができる。
【0126】
多価アルコールがオリゴマーである場合、多価アルコールの重合度は、3〜40であることが好ましく、3〜20であることがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させることができると共に、着色部形成時においては、セル中でのカラーフィルター用インクの対流を抑制することができる。
また、多価アルコールの分子量は150〜2000であることが好ましく、180〜1000であることがより好ましく、180〜500であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させることができると共に、着色部形成時においては、セル中でのカラーフィルター用インクの対流を抑制することができる。なお、多価アルコールがオリゴマーである場合、分子量は、重量平均分子量とすることができる。
【0127】
また、多価アルコールは、25℃、1atmの雰囲気下において、液体であることが好ましい。このように、多価アルコールが液体であることにより、カラーフィルター用インク中に均一に混合することができるとともに、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの固形分を相対的に少ないものとすることができる。このため、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇をより確実に抑制することができる。
【0128】
また、多価アルコールは、上述したような雰囲気下で液体である場合、回転式粘度計を用いて25℃、60rpmの条件で測定した粘度η60[mPa・s]は、40〜400mPa・sであることが好ましく、50〜300mPa・sであることがより好ましい。このように比較的粘度の高い液体を用いることにより、着色部の形成時において、セル中のカラーフィルター用インクは、粘度が比較的高いものとなり、セル内での対流が抑制される。
【0129】
また、カラーフィルター用インク中における多価アルコールの含有量は、0.3〜15.0wt%であることが好ましく、0.4〜13.0wt%であることがより好ましく、0.5〜6.0wt%であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下させつつ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。カラーフィルター用インクを構成する上記以外の成分としては、例えば、分散剤等が挙げられる。
【0130】
<分散剤>
カラーフィルター用インクには、分散剤が含まれていてもよい。これにより、例えば、インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中に顔料が含まれる場合、分散剤は、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散性を向上させるのに寄与することができる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子系分散剤を用いることができる。高分子系分散剤としては、例えば、塩基性高分子系分散剤、中性高分子系分散剤、酸性高分子系分散剤等が挙げられる。このような高分子系分散剤としては、例えば、アクリル系、変性アクリル系共重合体からなる分散剤、ウレタン系分散剤、ポリアミノアマイド塩、ポリエーテルエステル、燐酸エステル系、脂肪族多価カルボン酸等からなる分散剤等が挙げられる。
【0131】
分散剤のより具体的な例としては、例えば、ディスパービック101、ディスパービック102、ディスパービック103、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック106、ディスパービック108、ディスパービック109、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック112、ディスパービック116、ディスパービック140、ディスパービック142、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2095、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4015、EFKA 4800、EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース38500、ソルスパース41000、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリゾール社製);アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン7004、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);および、フローレン DOPA−14、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOPA−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−90(以上、共栄化学社製)、Anti−Terra−205(ビックケミー社製)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0132】
特に、カラーフィルターインクは、分散剤として、所定の酸価を有する分散剤(以下、酸価分散剤とも言う)と、所定の価を有する分散剤(以下、アミン価分散剤とも言う)とを同時に含むことが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの粘度を低下させる粘度低減効果を発揮する酸価分散剤による効果と、カラーフィルター用インクの粘度を安定化させるアミン価分散剤による効果とが両立される。この結果、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。特に、カラーフィルター用インク中に顔料が含まれる場合、顔料を微粒の状態で安定して分散させることができ、上述したような樹脂材料との併用による相乗効果により、着色部形成時におけるチキソトロピック性の上昇をさらに抑制することができる。
【0133】
酸価分散剤の具体例としては、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック2095(以上、ビックケミー社製);EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
【0134】
また、アミン価分散剤の具体例としては、ディスパービック102、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チバスペシャリティ−社製);アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製);Anti−Terra−205(ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0135】
酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、酸価分散剤の酸価(固形分換算したときの酸価)は、特に限定されないが、5〜370KOHmg/gであるのが好ましく、20〜270KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜135KOHmg/gであるのがさらに好ましい。酸価分散剤の酸価が前記範囲内の値であると、上述したようなアミン価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、安定化効果をより顕著に得ることができる。また、カラーフィルター用インクの中に顔料が含まれる場合、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤についての酸価は、例えば、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めることができる。
【0136】
また、酸価分散剤は、所定のアミン価を有していないもの、すなわち、アミン価が零であるのが好ましい。
アミン価分散剤と酸価分散剤とを併用する場合、アミン価分散剤のアミン価(固形分換算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5〜200KOHmg/gであるのが好ましく、25〜170KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜130KOHmg/gであるのがさらに好ましい。アミン価分散剤のアミン価が前記範囲内の値であると、上述したようなアミン価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、安定化効果をより顕著に得ることができる。また、カラーフィルター用インクの中に顔料が含まれる場合、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。なお、分散剤についてのアミン価は、例えば、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
【0137】
また、アミン価分散剤は、所定の酸価を有していないもの、すなわち、酸価が零であるのが好ましい。
また、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、カラーフィルター用インク中における酸価分散剤の含有率をX[wt%]、カラーフィルター用インク中におけるアミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.1≦X/X≦1の関係を満足するのが好ましく、0.15≦X/X≦0.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
【0138】
また、酸価分散剤の酸価をAV[KOHmg/g]、アミン価分散剤のアミン価をBV[KOHmg/g]、前記酸価分散剤の含有率をX[wt%]、前記アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.01≦(AV×X)/(BV×X)≦1.9の関係を満足するのが好ましく、0.10≦(AV×X)/(BV×X)≦1.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、特に限定されないが、2.5〜10.2wt%であるのが好ましく、3.2〜9.2wt%であるのがより好ましい。
【0139】
<その他の成分>
本発明のカラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種架橋剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩等のオニウム塩等の熱酸発生剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等の光酸発生剤;各種重合開始剤;酸架橋剤;界面活性剤;増感剤;光安定剤;接着性改良剤;各種重合促進剤;各種光安定化剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤等が挙げられる。
【0140】
架橋剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸、多官能エポキシモノマー、多官能アクリルモノマー、多官能ビニルエーテルモノマー、多官能オキセタンモノマー等を用いることができる。多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無水物が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸無水物が好ましい。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。また、多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸が好ましい。また、多官能エポキシモノマーの具体例としては、ダイセル化学工業株式会社製、商品名セロキサイド2021、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードGT401、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードPB3600、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、イソシアヌル酸トリグリシジル等が挙げられる。また、多官能アクリルモノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートトリメタリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。また、多官能ビニルエーテルモノマーの具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シキロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等が挙げられる。また、多官能オキセタンモノマーの具体例としては、キシリレンジオキセタン、ビフェニル型オキセタン、ノボラック型オキセタン等が挙げられる。
【0141】
界面活性剤は、インクの表面張力を低下させる機能を有している。インクが界面活性剤を含むことにより、着色部をより効果的に平坦化させることができる。このような界面活性剤としては、例えば、アクリル系界面活性剤、ビニルエーテル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を用いることができ、この中でも、アクリル系界面活性剤を用いることが好ましい。アクリル系界面活性剤は、着色部の平坦化に寄与できるとともに、上述したような重合体Aとの親和性に優れており、形成される着色部の明度を高いものとすることができる。また、アクリル系界面活性剤は、着色部と基板との密着性を阻害しないため、好適に用いることができる。
【0142】
アクリル系界面活性剤としては、例えば、L−1983−50、230、L−1982−50、L−1984−50、LHP−95(以上、楠本化成社製)等が挙げられる。
ビニルエーテル系界面活性剤としては、例えば、L−1983−50、230、L−1982−50、L−1984−50、LHP−95(以上、楠本化成社製)等が挙げられる。
【0143】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックR−08MH、メガファックF482、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF472SF、HAS−36(以上、大日本インキ社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、BYK−307、BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−330、BYK−331、BYK−344、BYK−silclean3700(以上、ビックケミー社製)、KP−321、KP−324(以上、信越シリコーン社製)等が挙げられる。
【0144】
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生する成分であり、前記の中でも、特に、スルホニウム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。熱酸発生剤のより具体的な例としては、商品名として、サンエイドSI−45、同左SI−47、同左SI−60、同左SI−60L、同左SI−80、同左SI−80L、同左SI−100、同左SI−100L、同左SI−145、同左SI−150、同左SI−160、同左SI−110L、同左SI−180L(以上、三新化学工業社製品、商品名)、CI−2921、CI−2920、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)社製品、商品名)、CP−66、CP−77(旭電化工業社製品、商品名)、FC−520(3M社製品、商品名)等が挙げられる。
【0145】
光酸発生剤は、光により酸を発生する成分であり、より具体的な例としては、商品名として、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル・ユーシービー(株)社製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)等が挙げられる。
【0146】
また、カラーフィルター用インクの25℃での表面張力は、25〜38dyn/cmであるのが好ましく、25〜35dyn/cmであるのがより好ましく、25〜32dyn/cmであるのがさらに好ましい。これにより、液滴の吐出性を特に安定したものとできる。このため、製造されるカラーフィルターの個体間での特性差を特に少ないものとすることができる。なお、表面張力は、JIS K 3362によって測定される値を採用することができる。
【0147】
また、カラーフィルター用インクセットを構成する各カラーフィルター用インクの25℃における、カラーフィルター用の基板(ワーク)表面に対する接触角は、3〜15゜であることが好ましく、5〜10゜であることがより好ましい。これにより、吐出されて基板に着弾したカラーフィルター用インクが、好適に濡れ広がることができ、製造されるカラーフィルターは、セル内での着色濃度のむらの特に少ないものとなる。なお、カラーフィルター用インクのカラーフィルター用の基板表面に対する接触角は、JIS R 3257に準拠して測定される値を採用することができる。
【0148】
カラーフィルター用インクの25℃におけるE型粘度計を用いて60rpmの条件で測定される粘度は、13mPa・s以下であるのが好ましく、12mPa・s以下であるのがより好ましく、5〜11mPa・sであるのがさらに好ましい。このように、カラーフィルター用インクの粘度が十分に低いものであると、例えば、カラーフィルターの生産効率(着色部の形成効率)を特に優れたものとすることができるとともに、着色部の厚さの不本意なばらつき等を効果的に防止することができる。
【0149】
《インクセット》
上述したようなカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。カラーフィルターは、通常、フルカラー表示に対応するため、複数色の着色部(通常は、光の三原色に対応するRGBの3色)を有している。そして、これら複数色の着色部の形成には、それぞれに対応する色の複数種のカラーフィルター用インクが用いられる。すなわち、カラーフィルターの製造には、複数色のカラーフィルター用インクを備えるインクセットが用いられる。本発明においては、カラーフィルターの製造において、上述したようなカラーフィルター用インクが、少なくとも1種の着色部の形成に用いられるものであればよいが、全色の着色部の形成に用いられるのが好ましい。
【0150】
特に、カラーフィルターが緑色の着色部を有する場合、緑色のカラーフィルター用インクに、上記のような本発明のカラーフィルター用インクを適用することが好ましい。一般に、緑色の着色部は、着色剤の量が多くなりやすいため、インク中の液性媒体に対する着色剤の含有量が多くなりやすい。このため、着色部形成時においてインクのチキソトロピック性が上昇しやすいものであった。しかしながら、緑色のカラーフィルター用インクに条規のような本発明のカラーフィルター用インクを適用することにより、着色部形成時におけるインクのチキソトロピック性の上昇を抑制でき、形成される緑色の着色部を平坦なものとすることができる。
【0151】
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されるカラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用インクを用いて成形された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異なる色の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。
【0152】
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
【0153】
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
【0154】
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて形成されたものである。
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インクを用いて形成されたものであるため、その表面が平坦なものとなっている。このため、カラーフィルター1は、明度、コントラスト比に優れた、信頼性が高いものとなっている。また、カラーフィルター1は、着色部12の発色性に優れたものとなっている。
【0155】
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B)とすることができる。そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
【0156】
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
【0157】
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚よりも大きいものであるのが好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができる。隔壁13の具体的な厚さは、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3.5μmであるのがより好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができるとともに、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
【0158】
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として硬化性樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
【0159】
《カラーフィルターの製造方法》
次に、上述したようなカラーフィルター1の製造方法について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図、図4は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図、図5は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図、図6は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
【0160】
図2に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式によりカラーフィルター用インク2を隔壁13で囲まれた領域に付与するインク付与工程(1d)と、カラーフィルター用インク2から溶剤(液性媒体)を除去し、硬化性樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする着色部形成工程(1e)とを有している。
【0161】
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
【0162】
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒という条件で行うことができる。
【0163】
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁13が形成される(1c)。PEBは、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒、放射線照射強度:1〜500mJ/cmという条件で行うことができる。また、現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うことができ、現像処理時間は、例えば、10〜300秒とすることができる。また、現像処理の後、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理は、例えば、加熱温度:150〜280℃、加熱時間:3〜120分という条件で行うことができる。
【0164】
<インク付与工程>
次に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2を、隔壁13で囲まれたセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種のカラーフィルター用インク2を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上のカラーフィルター用インク2が混ざり合うことが確実に防止される。
【0165】
カラーフィルター用インク2の吐出は、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて行う。
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114をキャリッジ105に搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれにカラーフィルター用インク2が圧縮空気によって供給される。
【0166】
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
【0167】
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッド114の相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
【0168】
図4に示すように、液滴吐出手段103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴吐出ヘッド114と、これらの液滴吐出ヘッド114を保持するキャリッジ105とを有している。本実施形態では、液滴吐出手段103に保持される液滴吐出ヘッド114の数は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッド114は、後述する複数のノズル118が設けられた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッド114のこの底面の形状は、2つの長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段103に保持された液滴吐出ヘッド114の底面はステージ106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッド114の長辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
【0169】
図5に示すように、液滴吐出ヘッド114は、X軸方向に並んだ複数のノズル118を有する。これら複数のノズル118は、液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXPが所定の値となるように配置されている。ノズルピッチHXPの具体的な値は、特に限定されないが、例えば、50〜90μmとすることができる。ここで、「液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXP」は、液滴吐出ヘッド114におけるノズル118のすべてをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像間のピッチに相当する。
【0170】
本実施形態では、液滴吐出ヘッド114における複数のノズル118は、ともにX軸方向に延びるノズル列116Aと、ノズル列116Bとをなす。ノズル列116Aと、ノズル列116Bとは、間隔を空けて並行に配置されている。そして、本実施形態においては、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれにおいて、90個のノズル118が一定間隔LNPでX軸方向に一列に並んでいる。LNPの具体的な値は、特に限定されないが、100〜180μmとすることができる。
【0171】
ノズル列116Bの位置は、ノズル列116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの半分の長さだけX軸方向の正の方向(図5の右方向)にずれている。このため、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズルピッチLNPの半分の長さである。
したがって、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズル線密度は、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズル線密度の2倍である。なお、本明細書において「X軸方向のノズル線密度」とは、複数のノズルをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像の単位長さ当たりの数に相当する。もちろん、液滴吐出ヘッド114が含むノズル列の数は、2つだけに限定されない。液滴吐出ヘッド114はM個のノズル列を含んでもよい。ここで、Mは1以上の自然数である。この場合には、M個のノズル列のそれぞれにおいて複数のノズル118は、ノズルピッチHXPのM倍の長さのピッチで並ぶ。さらに、Mが2以上の自然数の場合には、M個のノズル列のうちの一つに対して、他の(M−1)個のノズル列は、ノズルピッチHXPのi倍の長さだけ重複無くX軸方向にずれている。ここで、iは1から(M−1)までの自然数である。
【0172】
さて、本実施形態では、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれが90個のノズル118からなるため、1つの液滴吐出ヘッド114は180個のノズル118を有する。ただし、ノズル列116Aの両端のそれぞれ5ノズルは「休止ノズル」として設定されている。同様に、ノズル列116Bの両端のそれぞれ5ノズルも「休止ノズル」として設定されている。そして、これら20個の「休止ノズル」からはカラーフィルター用インク2が吐出されない。このため、液滴吐出ヘッド114における180個のノズル118のうち、160個のノズル118がカラーフィルター用インク2を吐出するノズルとして機能する。
【0173】
図4に示すように、液滴吐出手段103においては、複数個の上記液滴吐出ヘッド114がX軸方向に沿って2列に配置されている。一方の列の液滴吐出ヘッド114と他方の列の液滴吐出ヘッド114とは、休止ノズル分を考慮して、Y軸方向から見て一部重なるように配置されている。これにより、液滴吐出手段103においては、基板11のX軸方向の寸法分の長さに渡り、カラーフィルター用インク2を吐出するノズル118が前記ノズルピッチHXPでX軸方向に連続するように構成されている。
【0174】
本実施形態の液滴吐出手段103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
図に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128とを備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク101から孔131を介して供給されるカラーフィルター用インク2が常に充填される液たまり129が位置している。
【0175】
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129からカラーフィルター用インク2が供給される。
【0176】
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bとを含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118からカラーフィルター用インク2が吐出される。なお、ノズル118からZ軸方向にカラーフィルター用インク2が吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
【0177】
また、ノズルプレート128は、ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにして設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とによって構成されている。
また、シリカ膜は、撥液膜とステンレスの基材とを密着させる機能を有するとともに、ステンレスの基材を保護する機能を有する。
【0178】
制御手段112(図3参照)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル118から吐出されるカラーフィルター用インク2の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル118毎に制御されてもよい。また、制御手段112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐出動作を行わないノズル118とを設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124とを含んだ部分を「吐出部127」と表記することもある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。
【0179】
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応するカラーフィルター用インク2を、セル14内に付与する。上記のような装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的にカラーフィルター用インク2を付与することができる。また、上述したように、カラーフィルター用インク2は、優れた吐出安定性を有しており、長期間、液滴吐出を行った場合であっても、飛行曲がりや、液滴の吐出量が不安定化する等の問題が極めて発生しにくいものである。したがって、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生する等の問題を確実に防止することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
【0180】
<着色部形成工程(硬化工程)>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、硬化性樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする(1e)。これにより、カラーフィルター1が得られる。
本工程は、通常、加熱により行う。
また、本実施形態において、本工程は、温度の異なる複数の加熱処理を行うものである。具体的には、本工程は、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを有する。
【0181】
このような場合、第1の加熱処理にて比較的低温で基板11を加熱することにより、カラーフィルター用インク2の対流を防止しつつ、穏やかに液性媒体を除去し、カラーフィルター用インク2の表面を平坦なものとした状態で固化することができる。すなわち、第1の加熱処理では、カラーフィルター用インク2のチキソトロピック性の上昇を抑制しつつ液性媒体を除去することにより、形成される着色部の形状を表面が平坦なものとして固定することができる。特に、インク2に多価アルコールが含まれる場合、このような効果は顕著なものとなる。また、このとき、カラーフィルター用インク2に硬化性樹脂が含まれていた場合であっても、比較的低温で加熱することにより、不本意な硬化性樹脂の反応を防止することができる。
【0182】
また、第2の加熱処理では、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができる。また、インク2に多価アルコールが含まれる場合、多価アルコールを効率よく揮発または分解させて除去することができる。また、本工程で、硬化性樹脂を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の処理において固化した表面が平坦なカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
【0183】
また、上述したような第1の処理において、加熱された基板11の温度は、特に限定されないが、30〜100℃であるのが好ましく、40〜80℃であるのがより好ましい。これにより、基板11やカラーフィルター用インク2の対流、平坦化剤の揮発、分解を確実に防止しつつ、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3〜50分であることが好ましく、5〜40分であることがより好ましい。
【0184】
また、上述したような第2の処理において、加熱された基板11の温度は、特に限定されないが、120〜280℃であるのが好ましく、150〜250℃であるのがより好ましい。これにより、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができるとともに、平坦化剤を効率よく揮発または分解させて除去することができる。また、本工程で、硬化性樹脂を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の処理において固化した表面が平坦なカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
【0185】
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25〜150分であることが好ましく、30〜100分であることがより好ましい。
また、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。活性エネルギー線を照射することにより、硬化性樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、硬化性樹脂材料の硬化反応を確実に進行させることができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。活性エネルギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレーザー等を使用することができる。また、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置くことにより、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、液性媒体を確実に除去することができ、基板11、形成される着色部12等への悪影響の発生がより確実に防止される。
【0186】
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図7は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図7中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図7中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
【0187】
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
【0188】
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(図7中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図7中下側)から出射する。
【0189】
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図8は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【0190】
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
【0191】
図9は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
【0192】
図10は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0193】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
【0194】
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
【0195】
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
【0196】
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、従来のカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターを適用した場合、色むら、濃度むら等の問題を特に生じ易かったが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
【0197】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応するカラーフィルター用インクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の各色のカラーフィルター用インクから液性媒体を除去し、硬化性樹脂材料を硬化させるもの、すなわち、着色部形成工程を1回のみ行うものとして説明したが、インク付与工程および着色部形成工程は、各色に対応して、繰り返し行うものであってもよい。
【0198】
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発明のカラーフィルターにおいては、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効果的に防止することができる。
【0199】
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用のインクセットが、光の三原色に対応する3種(3色)のカラーフィルター用インクを備える場合について中心的に説明したが、カラーフィルター用インクセットを構成するカラーフィルター用インクの数、種類(色)は、上述したものに限定されない。例えば、カラーフィルター用インクセットは、4種以上のカラーフィルター用インクを備えるものであってもよい。
【0200】
また、前述した実施形態では、着色部形成工程では、2段階の加熱処理を行うものとして説明したが、一度の加熱処理によって着色部を形成するものであってもよいし、一度の加熱処理において、加熱温度を変化させるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、樹脂材料として高分子量重合体と低分子量重合体とを含むものを用いる場合、重合体Aを低分子量重合体として用いるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、重合体Bや重合体Cが低分子量重合体として含まれていてもよい。
【実施例】
【0201】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]重合体の合成(重合体溶液の調製)
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた1Lの反応容器に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:37.6重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):2重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):3重量部を加えた後、該フラスコ内に、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名サイクロマーM100):27重量部、メタクリル酸2−(0−[1’メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(昭和電工株式会社製、商品名MOI−BM):1.5重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA):1.5重量部を混合させた溶液を滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。一方、重合開始剤としての2,2′−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬工業株式会社製、商品名V−601):5重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):20重量部に溶解した溶液(重合開始剤溶液)を別の滴下ポンプを用いて1.2時間かけて滴下した。重合開始剤溶液の滴下が終了した後、AIBN:0.2重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):1重量部を添加し36分間同温程度に保持した後、AIBN:0.2重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):1重量部を添加し36分間同温程度に保持し、その後、室温程度まで冷却して、重合体Aを含む、固形分30wt%の重合体溶液A1を得た。
【0202】
(合成例2〜9)
重合体の合成(重合体溶液の調製)に用いる単量体成分の種類、使用量、溶媒(溶剤)の種類を表1に示すように変更し、また、重量平均分子量が表1に示すようになるように反応時間等を調整した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、重合体Aを含む、固形分30wt%の8種の重合体溶液(重合体溶液A2〜A8)が得られた。
【0203】
(合成例10)
(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名サイクロマーM100)、メタクリル酸2−(0−[1’メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(昭和電工株式会社製、商品名MOI−BM)、および、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の代わりにγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名SZ6030):30重量部を使用し、また、重量平均分子量が表1に示すようになるように反応時間等を調整した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、重合体Bを含む、固形分30wt%の重合体溶液B1(単独重合体溶液)が得られた。
【0204】
(合成例11〜16)
重合体の合成(重合体溶液の調製)に用いる単量体成分の種類、使用量、溶媒(溶剤)の種類を表1に示すように変更し、また、重量平均分子量が表1に示すようになるように反応時間等を調整した以外は、前記合成例10と同様の操作を行った。その結果、重合体Bを含む、固形分30wt%の6種の重合体溶液(重合体溶液B2〜B6)が得られた。
【0205】
(合成例17)
(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名サイクロマーM100)、メタクリル酸2−(0−[1’メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(昭和電工株式会社製、商品名MOI−BM)、および、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の代わりに1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名ビスコート8FM):30重量部を使用し、また、重量平均分子量が表1に示すようになるように反応時間等を調整した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、重合体Cを含む、固形分30wt%の重合体溶液C1(単独重合体溶液)が得られた。
【0206】
(合成例18〜21)
重合体の合成(重合体溶液の調製)に用いる単量体成分の種類、使用量、溶媒(溶剤)の種類を表1に示すように変更し、また、重量平均分子量が表1に示すようになるように反応時間等を調整した以外は、前記合成例17と同様の操作を行った。その結果、重合体Cを含む、固形分30wt%の4種の重合体溶液(重合体溶液C2〜C5)が得られた。
【0207】
合成例1〜21での重合体の合成(重合体溶液の調製)に用いた材料の種類、使用量(合成例1〜21で合成した重合体の組成)を表1にまとめて示した。なお、表中、「S」は溶媒(溶剤)のことを意味し、特に、「S1」はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートのことを示し、「S2」は1,3−ブチレングリコールジアセテートのことを示し、「S3」は2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートのことを示し、「S4」はビス(2−ブトキシエチル)エーテルのことを示し、「S5」は3−エトキシプロピオン酸エチルのことを示す。また、「V−601」は2,2′−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルのことを示し、「AIBN」は2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)のことを示し、「a1−1」は(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタアクリレート(サイクロマーM100)のことを示し、「a1−2」は(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレートのことを示し、「a2−1」はメタクリル酸2−(0−[1’メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(MOI−BM)のことを示し、「a2−2」は2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製、商品名「カレンズMOI」)のことを示し、「a3−1」は2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のことを示し、「a3−2」は4−ヒドロキシブチルアクリレートのことを示し、「a4−1」は1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート(ビスコート8FM)のことを示し、「a4−2」は2−エチルヘキシルメタクリレートのことを示し、「b1−1」はγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(SZ6030)のことを示し、「b1−2」はγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランのことを示し、「b2−1」はエチルメタクリレートのことを示し、「c1−1」は1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート(ビスコート8FM)のことを示し、「c1−2」は2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート(ビスコート4F)のことを示し、「c2−1」は2,3−ジヒドロキシブチルメタクリレートのことを示し、「c2−2」はシクロヘキシルメタクリレートのことを示す。また、表中には、重合体溶液を構成する重合体の重量平均分子量Mwをあわせて示した。
【0208】
【表1】

【0209】
[2]カラーフィルター用インク(インクセット)の調製
(実施例1)
分散剤としてのディスパービック111:5.04g(14重量部)と、分散剤としてのディスパービック166:28.07g(78重量部)と、熱可塑性樹脂としてのSPCN−17X(昭和高分子社製):19.43g(54重量部)と、液性媒体としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:91.05g(253重量部)とを、内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌して予備分散を行うことにより、分散剤分散液を得た(予備分散工程)。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
【0210】
次に、以下に述べるようにして、予備分散工程で得られた分散剤分散液に、顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う微分散工程を施した。
まず、得られた分散剤分散液に、顔料:35.99g(100重量部)を添加し、10分間攪拌を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては、C.I.ピグメントレッド254と式(5)で表される顔料誘導体との混合物:25.85gと、C.I.ピグメントレッド177と式(4)で表される顔料誘導体との混合物:7.60gと、式(6)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末:3.55gとを用いた。また、このとき、分散剤分散液と顔料との混合物中における顔料の含有率が16wt%となるように、液性媒体としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
【0211】
【化13】

【0212】
【化14】

【0213】
【化15】

【0214】
次に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(第1の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加して、室温下、30分間攪拌し1段目の分散処理(第1の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、このとき、得られる顔料分散体中における顔料の含有率が13wt%となるように、液性媒体としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
【0215】
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去し、顔料分散体を得た。
次に、上記のようにして得られた顔料分散体と、重合体溶液A1と、重合体溶液B1と重合体溶液C1とを混合した。本工程は、上記顔料分散体と、重合体溶液A1と、重合体溶液B1と、重合体溶液C1と、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートおよびポリエチレングリコールモノメチルエーテル(東邦化学工業社製、商品名:「ハイモールPM」、重量平均分子量:220、平均重合度:4、沸点:290〜310)と、多価アルコールとしてのポリエチレングリコール#300(重量平均分子量:300)と、アクリル系界面活性剤としてのLHP−95(楠本化成(株)製)とを、内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。これにより、目的とする赤色のカラーフィルター用インク(Rインク)を得た。また、このときのRインクの顔料の含有率は、7.3wt%であった。
【0216】
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記赤色のカラーフィルター用インクと同様にして、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)、青色のカラーフィルター用インク(Bインク)を調製した。これにより、R、G、Bの3色のインクからなるインクセットが得られた。Rインクを構成する顔料の平均粒径、Gインクを構成する顔料の平均粒径、Bインクを構成する顔料の平均粒径は、それぞれ、70nm、70nm、70nmであった。また、Gインクの顔料としては、C.I.ピグメントグリーン58、前記式(4)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末を用い、最終的なGインク中の顔料の含有率を10.1wt%とした。また、Bインクの顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:6を用い、最終的なBインク中の顔料の含有率を4.9wt%とした。
【0217】
(実施例2〜9)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表2、表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
(比較例1、2)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
【0218】
前記各実施例および各比較例でのカラーフィルター用インクの構成成分の種類、含有量を表2、表3にまとめて示した。なお、表中、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメントレッド254と式(5)で表される顔料誘導体との混合物「PR254D」、C.I.ピグメントレッド177と式(4)で表される顔料誘導体との混合物「PR177D」、式(6)で表される顔料誘導体で構成された粉末を「SPD」、C.I.ピグメントグリーン58を「PG58」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY150」、ディスパービック111(酸価:50KOHmg/g)を「DA1」、ディスパービック2095(酸価:13KOHmg/g)を「DA2」、ディスパービックP104(酸価:360KOHmg/g)を「DA3」、ディスパービック166(アミン価:115KOHmg/g)を「DA4」、ディスパービック9075(アミン価:12KOHmg/g)を「DA5」、SPCN−17Xを「DR1」、ポリエチレングリコール#300(平均重量分子量:300、粘度:70mPa・s)を「PEG1」、ポリエチレングリコール#200(平均重量分子量:200、粘度:50mPa・s)を「PEG2」、ポリエチレングリコール#400(平均重量分子量:400、粘度:90mPa・s)を「PEG3」、ポリエチレングリコール#600(平均重量分子量:600、粘度:135mPa・s)を「PEG4」、ポリプロピレングリコール#400(分子量:400、粘度:70mPa・s、単量体成分:1,2−プロピレングリコール)を「PPG1」、ポリプロピレングリコール#1000(平均重量分子量:1000、粘度:150mPa・s、単量体成分:1,2−プロピレングリコール)を「PPG2」、ポリプロピレングリコール#2000(平均重量分子量:2000、粘度:310mPa・s、単量体成分:1,2−プロピレングリコール)を「PPG3」、アクリル系界面活性剤(LHP−95、楠本化成(株)製)を「LHP95」、ビニル系界面活性剤(LHP−90、楠本化成(株)製)を「LHP90」、フッ素系界面活性剤(メガファックF482、大日本インキ化学工業(株)製)を「MF482」、シリコン系界面活性剤(BYK−307、ビッグケミー(株)製)を「BYK307」、シリコン系界面活性剤(KP−321、信越化学工業(株)製)を「KP321」で示した。なお、分散剤の酸価は、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求め、アミン価は、DIN 16945に準拠する方法により求めた。また、表中、溶剤(液性媒体)の種類については、表1と同様にして各種溶剤(液性媒体)を示し、さらに、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(東邦化学工業社製、商品名:「ハイモールPM」、重量平均分子量:220、平均重合度:4、沸点:290〜310)を「S6」で示した。また、表中、硬化性樹脂材料の欄には、重合体溶液A1に含まれる重合体をA1で示した。同様に、重合体溶液A2〜A9、B1〜B6、C1〜C5に含まれる重合体を、それぞれ、A2〜A9、B1〜B6、C1〜C5で示した。なお、各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(4)で表される顔料誘導体との混合物中における式(4)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10wt%であった。また、前記実施例および比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド254と式(5)で表される顔料誘導体との混合物中における式(5)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10wt%であった。また、表4に、各実施例において用いた樹脂材料の重量平均分子量、高分子量重合体の重量平均分子量、低分子量重合体の重量平均分子量、分子量が1500以下の成分の含有量等を示した。各重量平均分子量および分子量が1500以下の成分の含有量は、装置:東ソー社製高速GPCシステム(HLC−8220GPC 内臓RI/UV−8220)、カラム:TSKgel SuperHZM−M(4.6mmI.D×15mmL)×4、カラム温度:40℃、溶解液:テトラヒドロフラン 特級(関東化学社製)、流速:0.35ml/min、試料濃度:1mg/ml、注入量:20μl、標準物質:標準ポリスチレン(東ソー社製)の条件で試料をカラムに入れ、分子量測定を行うことにより求めた。
【0219】
【表2】

【0220】
【表3】

【0221】
【表4】

【0222】
[3]カラーフィルター用インクの評価
[3.1]カラーフィルター用インクの液滴吐出の安定性評価(安定吐出性評価)
前記各実施例および各比較例で得られたカラーフィルター用インクセットを用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のインクを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、100000発(100000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。
【0223】
A:ΔW/Wの値が、0.020未満。
B:ΔW/Wの値が、0.020以上0.200未満。
C:ΔW/Wの値が、0.200以上0.500未満。
D:ΔW/Wの値が、0.500以上0.750未満。
E:ΔW/Wの値が、0.750以上。
【0224】
[3.2]チキソ指数の測定
前記各実施例および各比較例で得られたカラーフィルター用インクセットの各インクについて、インクを25℃とした後、E型粘度計を用い、回転数:6rpm、60rpmの条件でのE型粘度(η[mPa・s]、η60[mPa・s])を測定した。また、得られたE型粘度からカラーフィルター用インクのチキソ指数(η/η60)を求めた。
【0225】
[4]カラーフィルターの製造
前記各実施例および各比較例で得られたカラーフィルター用インクセットを用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した。
【0226】
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、引き続き、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度:150℃、加熱時間:5分という条件で行った。形成された隔壁の厚さは、2.1μmであった。
【0227】
次に、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、カラーフィルター用インクを吐出した。この際、3色のカラーフィルター用インクを用い、各色のカラーフィルター用インクが混色しないようにした。各セル内には、形成される着色部の平均厚さが2.0μmとなるような量のカラーフィルター用インクを付与した。
【0228】
その後、ホットプレート上にて80℃で20分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で1時間加熱処理を施すことにより、3色の着色部が形成された。これにより、図1に示すようなカラーフィルターが得られた。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて、それぞれ、5000枚のカラーフィルターを製造した。
【0229】
[5]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[5.1]着色部の平坦性評価
各実施例および各比較例のカラーフィルターについて、表面粗さ測定機(KLA−Tencor社製、商品名:P−15)を用いて各着色部の最大の高さTmax[μm]と最小の高さTmin[μm]とを測定し、Tmin/Tmaxについて、下記の5段階の基準に従い、評価した。なお、Tmin/Tmaxは、各カラーフィルターの色ごとに求めたものであり、各色について無作為に100個の着色部を選んで測定した最大の高さと最小の高さとの比を平均して求めた。
【0230】
A:0.80≦Tmin/Tmax≦1.00
B:0.75≦Tmin/Tmax<0.80
C:0.70≦Tmin/Tmax<0.75
D:0.65≦Tmin/Tmax<0.70
E:Tmin/Tmax<0.65
【0231】
[5.2]色むら、濃度むら
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、5000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら、濃度むらの発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0232】
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
【0233】
[5.3]コントラスト比の評価
[5.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、下記に示すような評価を行った。液晶表示装置を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1、光源として付属のハロゲンランプ使用)を用いて、淡色表示を行っていない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
【0234】
赤色の単色表示の場合、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3500以上。
B:CRが2800以上3500未満。
C:CRが2800未満。
【0235】
緑色の単色表示の場合、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3800以上。
B:CRが3300以上3800未満。
C:CRが3300未満。
【0236】
青色の単色表示の場合、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3500以上。
B:CRが3300以上3500未満。
C:CRが3300未満。
【0237】
[5.4]明度の評価
[5.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、下記に示すような評価を行った。液晶表示装置について、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、色度計(ミノルタ社製、CM−3700d、光源としてC光源使用)を用いて、xyY表色法による三刺激値を求め、赤色光、緑色光、青色光の3色のY値の平均を白色光の明度Yとして、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0238】
A:明度Yが29.0以上。
B:明度Yが28.3以上29.0未満。
C:明度Yが27.7以上28.3未満。
D:明度Yが27.0以上27.7未満。
E:明度Yが27.0未満。
なお、上記の各評価においては、各カラーフィルターについて、同様の条件で観察、測定を行った。
これらの結果を、表5、表6に示す。
【0239】
【表5】

【0240】
【表6】

【0241】
表5、表6から明らかなように、本発明では、製造されるカラーフィルターの着色部が平坦なものであり、明度、コントラスト比に優れていた。また、製造されたカラーフィルターは、色むら、濃度むら、光漏れの発生が抑制されていた。これに対し、各比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1】本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
【図2】カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。
【図3】カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
【図4】図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図である。
【図5】図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図である。
【図6】図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
【図7】液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0243】
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁 14…セル 2…カラーフィルター用インク 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置 105…キャリッジ 106…ステージ 108…第2位置制御装置 110…チューブ 112…制御手段 114…液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド) 116A、116B…ノズル列 118…ノズル 120…キャビティ 122…隔壁 124…振動子 124A、124B…電極 124C…ピエゾ素子 126…振動板 127…吐出部 128…ノズルプレート 129…液たまり 130…供給口 131…孔 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピュータ 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッタボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニタ 1440…パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式の液滴吐出装置により基板上に着色部を形成するカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
着色剤と、当該着色剤を溶解または分散する液性媒体と、硬化性樹脂材料とを含み、
前記硬化性樹脂材料は、重量平均分子量が2000〜5000であることを特徴とするカラーフィルター用インク。
【請求項2】
前記硬化性樹脂材料は、重量平均分子量が6000〜10000の重合体と、重量平均分子量が4500以下の重合体とを含むものである請求項1に記載のカラーフィルター用インク。
【請求項3】
前記硬化性樹脂材料は、分子量が1500以下の成分を5〜45wt%含むものである請求項1または2にカラーフィルター用インク。
【請求項4】
前記カラーフィルター用インクは、多価アルコールを含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
【請求項5】
前記多価アルコールは、グリコール類のオリゴマーである請求項4に記載のカラーフィルター用インク。
【請求項6】
前記硬化性樹脂材料は、少なくともエポキシ基含有ビニル単量体a1を単量体成分として含有してなる重合体Aを含むものである請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
【請求項7】
前記重合体Aは、単量体成分として、前記エポキシ基含有ビニル単量体a1に加え、イソシアネート基またはそれが保護基で保護されたブロックイソシアネート基を備えたビニル単量体a2を含有してなる共重合体である請求項6に記載のカラーフィルター用インク。
【請求項8】
前記硬化性樹脂材料は、少なくとも下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有ビニル単量体を単量体成分として含有してなる重合体Bを含むものである請求項1ないし7のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
【化1】

【請求項9】
カラーフィルター用インクは、ピグメントグリーン58を含むものである請求項1ないし8のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
【請求項11】
請求項10に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−271335(P2009−271335A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121934(P2008−121934)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】