説明

カラーフィルタ及びそれを備える表示装置

【課題】 明るいカラー表示ならびに、きれいな白及び黒の表示を可能とする3色表示の表示装置に用いられるカラーフィルタ及びそれを備える表示装置を提供すること。
【解決手段】 白及び黒を表示する表示層と組み合わされて構成された表示素子に用いられるカラーフィルタであって、着色画素として第1の色の第1のサブ画素と、前記第1の色の補色である第2の色の第2のサブ画素のみを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ及びそれを備える表示装置に係り、特に、電気泳動式表示装置用カラーフィルタ及びそれを備える電気泳動式表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示パネルとしてバックライトを使用した液晶表示パネルが主流であるが、目にかかる負担が大きく、長時間見続ける用途には適していない。
【0003】
目の負担が小さい表示装置として、一対の電極間に電気泳動表示層を備える反射型表示パネルが提案されている。この電気泳動式表示パネルは、印刷された紙面と同様に、反射光によって文字や画像を表示するものであるため、目に対する負担が小さく、画面を長時間見続ける作業に適している。
【0004】
現在、電気泳動式表示パネルは、構造上、白黒表示を主とする二色表示が主流であるが、電気泳動表示層上に、赤、緑、青の3原色の画素からなるカラーフィルタを設けて多色表示する表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、多色表示と言っても、フルカラーではなく、白、黒のほかに1色の合計3色の表示があれば十分な用途が存在する。このような用途に、上記フルカラーのカラー表示装置を用いると、カラー表示が暗く、また明るい白の表示が困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−161964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、明るいカラー表示ならびにきれいな白及び黒の表示を可能とする表示装置に用いられるカラーフィルタ及びそれを備える表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、白及び黒を表示する表示層と組み合わされて構成された表示素子に用いられるカラーフィルタであって、着色画素として第1の色の第1のサブ画素と、前記第1の色の補色である第2の色の第2のサブ画素のみを含むことを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0009】
カラーフィルタは、透明な第3のサブ画素を更に含むことができる。また、1画素が、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、及び第3のサブ画素からなるものとすることができる。
【0010】
この場合、前記第1のサブ画素の面積1に対し、前記第2のサブ画素の面積を0.5〜2とし、前記第3のサブ画素の面積を0〜7.5とすることができる。また、前記第1のサブ画素を赤色着色層とし、前記第2のサブ画素をシアン色着色層とし、前記第3のサブ画素を、透明樹脂層又は空隙とすることができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、白及び黒を表示する表示層と、該表示層上に形成された、請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタとを具備することを特徴とする表示装置を提供する。
【0012】
この表示装置は、反射型表示装置とすることができ、また、前記表示層を電気泳動表示層とすることができる。また、前記電気泳動表示層を、白色粒子と黒色粒子を含むマイクロカプセルを樹脂中に分散したマイクロカプセル層とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、明るいカラー表示ならびにきれいな白及び黒の表示を可能とする3色表示の表示装置に用いられるカラーフィルタ及びそれを備える表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラーフィルタを備える電気泳動式表示装置を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電気泳動式表示パネルの色表示を説明するための図である。
【図3】従来のフルカラー方式の電気泳動式表示パネルの色表示を説明するための図である。
【図4】従来のモノカラー方式の電気泳動式表示パネルの色表示を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
また、表示可能色数について下記実施の形態は一例であり下記記載事項に限定されない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るカラーフィルタを備える電気泳動式表示装置を示す断面図である。
【0018】
図1に示す電気泳動式表示装置では、表面に所定のパターンの画素電極11を備える基板10上に、接着層12を介して電気泳動表示層13が形成されている。画素電極11は、それぞれのスイッチング素子に接続されていて、透明電極層14との間に正負の電圧が印加可能とされている。電気泳動表示層13は、分散液中に電気泳動素子を分散した分散媒を封入したマイクロカプセルをバインダー樹脂で固定したものである。
【0019】
電気泳動表示層13上には、透明電極層14、カラーフィルタ15、及び保護フィルム16が順次積層されている。カラーフィルタ15は、補色関係にある2色のサブ画素を含み、例えば、赤色サブ画素R、シアン色サブ画素C、及び透明サブ画素Tを1画素として構成されている。この場合、各サブ画素は、画素電極11のパターンと対応して設けられている。
【0020】
電気泳動表示層13は、マイクロカプセル殻内に電気極性の異なる2種類の粒子を透明な分散媒中に分散させてなるマイクロカプセルを、バインダー樹脂により固定することにより構成される。
【0021】
電気極性の異なる2種類の粒子としては、例えば、黒色粒子と白色粒子の組合せがある。黒色粒子には、無機炭素等の無機顔料のほか、ガラスあるいは樹脂等の微粉末、さらにはこれらの複合体などを使用することかできる、一方、白色粒子としては、公知の酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛等の白色無機顔料、酢酸ビニルエマルジョンなどの有機化合物、さらにはこれらの複合体などを使用することができる。
【0022】
カラーフィルタ15は、液晶表示装置用のカラーフィルタにおいて行われているように、着色レジスト膜のフォトリソグラフィーにより形成することが出来るが、本実施形態におけるような電気泳動式表示装置に用いるカラーフィルタの場合には、受容層を形成し、該受容層に複数のインキを塗布することにより形成することができる。受容層は、樹脂を含む受容層形成用塗液を塗布することにより形成される。
【0023】
受容層としては、ウレタン樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂等を用いることが出来る。また、受容層には、インキの溶媒の吸収性を高めるため、合成シリカやアルミナなどの多孔質物質を含ませることもできる。受容層の形成は、枚葉処理をおこなうのであれば、スクリーン印刷法やオフセフト印刷法やスピンコート法、ダイによる間歇塗工により形成することができる。また、ロールtoロールによる連続処理を行なうのであれば、ダイコーテイング、コンマコート、カーテンコート、グラビアコートなどの汎用の塗布技術による受容層形成が可能である。また、塗工された後の受容層形成用塗液は、乾燥される。乾燥方法としては、加熱、送風等を用いることができる。
【0024】
本実施形態に係るカラーフィルタの受容層へのインキの塗布方法としては、1画素を区切るためのブラックマトリックスは形成されないので色による塗り分けが必要であるため、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。中でも位置合せが容易であり、生産性も高いことから、インクジェット印刷法を用いて受容層にインキを吐出し、カラーフィルタを形成することが好ましい。
【0025】
カラーフィルター15を形成するためのインキとしては、公知の着色顔料もしくは着色染料を含むインキを用いることができる。カラーフィルター15は、上述したように、着色画素として補色関係にある2色のサブ画素のみを含むものである。補色関係にある2色は、赤色とシアン色に限らず、マゼンタと緑、黄色と青の組み合わせがある。混色により白色となる補色関係にあるならば、どのような色の組合せをも用いることができる。
【0026】
補色関係にある2色のサブ画素のそれぞれは、必ずしも1色の着色層からなるものである必要はなく、色の異なる複数の着色層であって、混色により所定の色を示すものであってもよい。たとえば、シアン色サブ画素Cは、混色によりシアン色を示す緑色着色層と青色着色層からなるものであってもよい。
【0027】
図1に示す例では、カラーフィルター15は、補色関係にある2色(赤色サブ画素R、シアン色サブ画素C)と、透明サブ画素Tから構成されているが、透明サブ画素Tを含まず、補色関係にある2色のみであってもよい。透明サブ画素Tは、透明樹脂からなるものであっても、空隙であってもよい。
【0028】
補色関係にある2色のサブ画素においては、そのサブ画素内の着色面積率は100%である必要は無いが20%以上である必要がある。前記サブ画素内の着色面積率が20%よりも低い場合には色が出ないためである。また、きれいな色を出すとの観点からは前記サブ画素内の着色面積率が30%以上であることが好ましい。ここで、着色面積率とは、補色関係にある2色のサブ画素において、前記サブ画素の面積に対する前記サブ画素内の着色された部分の面積の割合をいう。
【0029】
ここで、赤色とは、約622〜770nmの波長の可視光をいい、その補色とは、その波長範囲の光を吸収し、それ以外の波長の光を透過する光、即ち、シアン色である。
【0030】
カラーフィルタの1画素内のサブ画素の配置は、下記の図2〜4に示すように対角状の配置、あるいはストライプ状の配置とすることが出来る。この場合、混色を防止するために、着色したサブ画素同士は対角状の配置であることが望ましい。
【0031】
1画素内に含まれるサブ画素の数については特に限定は無く、各色に着色されたサブ画素の合計の面積(以下、サブ画素の面積とする。)は、同一であっても異なっていてもよい。サブ画素が赤色、シアン色、透明の3つである場合、赤色サブ画素の面積1に対し、シアン色サブ画素の面積は0.5〜2が好ましい。赤色サブ画素の面積1に対するシアン色サブ画素の面積が0.5未満では、白色表示の際に赤みが強くなる傾向となり、2を超えると、白色表示の際の明るさが低下する傾向となる。また、透明サブ画素の面積は、赤色サブ画素の面積1に対し、0〜7.5が好ましく、1〜2がより好ましい。赤色サブ画素の面積1に対する透明サブ画素の面積が7.5を超えると、色味が薄くなる
傾向となる。
【0032】
各サブ画素のサイズは、矩形の場合、通常、一辺が50〜200μmである。
【0033】
次に、図1に示す電気泳動式表示装置の動作原理について説明する。
【0034】
画素電極11に電圧を印加すると、マイクロカプセルにかかる電界が移動する。画素電極11が正極のときは、マイクロカプセル内の負に帯電している粒子が画素電極11側に移動し、正に帯電している粒子が透明電極層14側に移動する。同様に、画素電極11が負極のときは、マイクロカプセル内の正に帯電している粒子が画素電極11側に移動し、負に帯電している粒子が透明電極層14側に移動する。
【0035】
例えば、黒色粒子が正に帯電し、白色粒子が負に帯電するようにして、画素電極11を負極とすると、図1に示すように、黒色粒子が画素電極11側に移動し、白色粒子が透明電極層14側に移動する。この場合、すべての光は、表面に白色粒子が存在するマイクロカプセル層で反射し、カラーフィルタ15を透過する。赤色サブ画素Rとシアン色サブ画素Cとは補色関係にあるため、それらを透過した光は混ざり合うことにより白色光となり、透明サブ画素Tを透過した光とともに、明るく、きれいな白色画像が得られる。
【0036】
図2は、以上の動作原理に基づく、本発明の一実施形態に係る電気泳動式表示パネルの色表示を説明するための図である。電気泳動式表示パネル21は、白黒表示の電気泳動表示層22上に、補色関係にある2色、例えば赤色サブ画素Rとシアン色サブ画素Cとを含むカラーフィルタ23を配置した構成を有する。カラーフィルタ23は、4つのサブ画素で1画素を構成し、残りの2つは透明サブ画素T、例えば透明樹脂からなる。
【0037】
図2のうち、(a)は、電気泳動表示層22の1画素に対応する部分すべてを白表示とした場合、(b)は、電気泳動表示層22の1画素に対応する部分のうち、シアン色サブ画素に対応する部分を黒に、残りの部分を白に表示している場合を示す。
【0038】
即ち、図2(a)に示す場合では、電気泳動表示層22は1画素に対応する部分すべてが白表示であるため、カラーフィルタ23を透過する光のすべてが電気泳動表示層22で反射され、反射された光のうち赤色サブ画素Rを透過する光とシアン色サブ画素Cを透過する光の混色により、白が表示される。図2(b)に示す場合では、電気泳動表示層22のシアン色サブ画素Cに対応する部分のみが黒表示であるため、カラーフィルタ23を透過する光は、電気泳動表示層22のシアン色サブ画素Cに対応する部分では反射せず、残りのサブ画素に対応する部分では反射され、反射された光のうち赤色サブ画素Rを透過する光により赤が表示される。電気泳動表示層2の1画素に対応する部分すべてを黒表示とすると、カラーフィルタ23を透過して観察される光は存在せず、黒表示となることはいうまでもない。
【0039】
図2に示す電気泳動式表示パネル21の構成によると、2色の補色関係のサブ画素で1色を表示し、のこりのサブ画素は透明樹脂により構成されるため、明るい色(例えば赤)、及びきれいな白ならびに黒の3色を表示することが可能である。
【0040】
図3は、従来のフルカラーの電気泳動式表示パネル31を示し、白黒表示の電気泳動表示層32上に、3原色、例えば赤色サブ画素R、緑サブ画素G、及び青サブ画素Bを含むカラーフィルタ33を配置した構成を示す。カラーフィルタ33は、4つのサブ画素で1画素を構成し、残りの1つのサブ画素は、透明樹脂または空隙からなる透明サブ画素Tである。
【0041】
図3のうち、(a)は、電気泳動表示層32の1画素に対応する部分すべてを白表示とした場合、(b)は、電気泳動表示層32の1画素に対応する部分のうち、赤色サブ画素Rに対応する部分を白に、残りのサブ画素に対応する部分を黒に表示している場合を示す。
【0042】
即ち、図3(a)に示す場合では、電気泳動表示層32は1画素に対応する部分すべてが白表示であるため、カラーフィルタ33を透過する光のすべてが電気泳動表示層32で反射され、反射された光のうち赤色サブ画素Rを透過する光、緑サブ画素Gを透過する光、及び青サブ画素Bを透過する光の混色により、白が表示される。図3(b)に示す場合では、電気泳動表示層32の赤色サブ画素Rに対応する部分のみが白表示であるため、カラーフィルタ33を透過する光は、電気泳動表示層32の赤色サブ画素Rに対応する部分で反射して、赤色サブ画素Rを透過し、残りのサブ画素に対応する部分では反射されず、赤が表示される。
【0043】
図3に示す電気泳動式表示パネル31と図2に示す電気泳動式表示パネル21とを比較すると、電気泳動表示層32は電気泳動表示層22とは同一の構成であるが、カラーフィルタ33は、3つの着色サブ画素を含んでいるため、カラーフィルタ23に比べ、補色効果を得るためのサブ画素数が多く、白のサブ画素(透明樹脂層)の数が少ないため、着色画像が暗く、また明るい白の画像を得ることができない。
【0044】
図4は、比較のため、本発明と同様に、白、黒、及び1色の着色の3色表示の電気泳動式表示パネル41を示し、白黒表示の電気泳動表示層42上に、1色、例えばサブ画素として赤色サブ画素Rを含むカラーフィルタ43を配置した構成を示す。カラーフィルタ43は、4つのサブ画素で1画素を構成し、残りの3つのサブ画素は、透明樹脂または空隙からなる透明サブ画素Tである。
【0045】
図4のうち、(a)は、電気泳動表示層42の1画素に対応する部分すべてを白表示とした場合、(b)は、電気泳動表示層42の1画素に対応する部分のうち、赤色サブ画素Rに対応する部分を黒に、残りの3つの透明サブ画素Tに対応する部分を白に表示している場合を示す。
【0046】
即ち、図4(a)に示す場合では、電気泳動表示層43は1画素に対応する部分すべてが白表示であるため、カラーフィルタ43を透過する光のすべてが電気泳動表示層42で反射され、反射された光のうち赤色サブ画素Rを透過する光により、赤が表示される。図4(b)に示す場合では、電気泳動表示層42の赤色サブ画素Rに対応する部分のみが黒表示であるため、カラーフィルタ43を透過する光は、電気泳動表示層42の赤色サブ画素Rに対応する部分では反射せず、残りのサブ画素に対応する部分では反射され、そのまま透明樹脂または空隙からなる透明サブ画素Tを透過して、白が表示される。
【0047】
図4に示す電気泳動式表示パネル41の構成によると、図4(b)において白を表示させる場合、3つの透明サブ画素Tのみを透過する光により白を表示させるため、明るいが、赤色サブ画素Rの表面での反射により、桃色が表示されてしまう。また、白表示の際には、赤色サブ画素Rに対応する電気泳動表示層の部分を黒表示とせざるを得ず、赤色サブ画素Rが黒い斑点として表示されることにより表示面がざらついてしまう。
【0048】
以下に本発明の実施例と比較例を示し、本発明の効果を具体的に示す。
【0049】
実施例1
図1に示す構造の電気泳動式表示装置を作成した。
【0050】
ポリエチレン樹脂で表面を被覆した平均粒径3μmの酸化チタン粉末(白色粒子)と、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドで表面処理した平均粒径4μmのカーボンブラック粉末(黒色粒子)をテトラクロロエチレンに分散し、分散液を得た。この場合、白色粒子が負に帯電し、黒色粒子が正に帯電する。
【0051】
この分散液をO/Wエマルジョン化し、ゼラチン−アラビアゴムによるコンプレックス・コアセルベ一ション法によりマイクロカプセルを形成することで、前記分散液をマイクロカプセル中に封入した。このようにして得られたマイクロカプセルを篩い分けして、平均粒径が60μm、50〜70μmの粒径のマイクロカプセルの割合が50%以上になるように、粒径をそろえた。
【0052】
次に、固形分40質量%のマイクロカプセルの水分散液を調製した。この水分散液と、固形分25質量%のウレタン系バインダー(CP−7050、大日本インキ株式会社製)と、界面活性剤と、増粘剤と、純水を混合し、電気泳動層形成用塗液を作製した。この塗液を、表面にITOからなる画素電極11が形成された、例えばガラスからなる基板10上に塗布し、電気泳動表示層13を形成した。
【0053】
この電気泳動表示層13上にITOからなる透明導電層14を形成し、この上に、ポリエステル樹脂系の受容液NS−141LX(高松油脂株式会社)をコンマコーターを用いて連続塗工を行い、平均膜厚10μmの受容層を形成した。
【0054】
この受容層に対し、インクジェット法により、サブ画素ごとに色分け印刷を行い、カラーフィルタ15を形成した。このとき、位置合せを行い、画素電極11に対応する位置にサブ画素を形成した。カラーフィルタ15は、図2に示すように、1画素が、いずれも矩形の赤色サブ画素Rとシアン色サブ画素C、及び2つの透明サブ画素Tを対角状に配置したものとした。
【0055】
最後に、カラーフィルタ15上に保護フィルム16を形成して、電気泳動式表示装置を完成した。
【0056】
以上のようにして作成した電気泳動式表示装置の表示面の反射率と、a*及びb*を測定した。反射率の測定は、測定装置として分光色差計を用い、条件としてD65光源、2度視差の下で行った。また、a*及びb*の測定は、測定装置として分光色差計を用い、条件としてD65光源、2度視差の下で行った。
【0057】
その結果、白表示における反射率が30.3%、シアン色サブ画素に対応する電気泳動表示層の部分のみを黒にした赤表示における反射率が17.2%であり、いずれも高い値が得られた。
【0058】
また、白表示におけるa*は−4.1、b*は−1.1であり、きれいな白表示であった。
【0059】
実施例2
実施例1における1画素を、いずれも矩形の青色サブ画素とイエロー色サブ画素、及び2つの透明サブ画素を対角状に配置したものとした以外を実施例1と同様にし、電気泳動式表示装置を完成した。
【0060】
以上のようにして作成した電気泳動式表示装置の表示面の反射率と、a*及びb*の測定を実施例1と同様に行った。
【0061】
その結果、白表示における反射率が30.1%、イエロー色サブ画素に対応する電気泳動表示層の部分のみを黒にした青表示における反射率が16.1%であり、いずれも高い値が得られた。
【0062】
また、白表示におけるa*は−4.3、b*は−1.2であり、きれいな白表示であった。
【0063】
実施例3
実施例1における1画素を、いずれも矩形の緑色サブ画素とマゼンダ色サブ画素、及び2つの透明サブ画素を対角状に配置したものとした以外を実施例1と同様にし、電気泳動式表示装置を完成した。
【0064】
以上のようにして作成した電気泳動式表示装置の表示面の反射率と、a*及びb*の測定を実施例1と同様に行った。
【0065】
その結果、白表示における反射率が31.5%、マゼンダ色サブ画素に対応する電気泳動表示層の部分のみを黒にした緑表示における反射率が18.2%であり、いずれも高い値が得られた。
【0066】
また、白表示におけるa*は−4.4、b*は−1.0であり、きれいな白表示であった。
【0067】
比較例1
カラーフィルタとして、図3に示す、赤色サブ画素R、緑色サブ画素G、青色サブ画素B、透明サブ画素Tからフルカラーの表示装置用のものを用いたことを除いて、実施例と同様に電気泳動式表示装置を作成した。
【0068】
この電気泳動式表示装置について、実施例と同様に反射率、a*及びb*を測定した。その結果、白表示における反射率が15.4%、赤表示における反射率が4.7%、青表示における反射率が4.6%、緑表示における反射率が5.8%であり、実施例1〜3に比べ、いずれも低い値であった。
【0069】
また、白表示におけるa*は−4.2、b*は−1.1であった。
【0070】
比較例2
カラーフィルタとして、図4に示す、赤色サブ画素R、3つの透明サブ画素Tからモノカラーの表示装置用のものを用いたことを除いて、実施例と同様に電気泳動式表示装置を作成した。
【0071】
この電気泳動式表示装置について、実施例と同様に反射率、a*及びb*を測定した。その結果、白表示における反射率が25.5%と高かったが、a*は1.5、b*は1.9と両方の値ともに実施例1と比較し高くなり白表示の際に赤みを帯びた白色となった。また、赤色サブ画素Rに対応する電気泳動表示層の部分が黒表示となることによる表示面のざらつきが見られた。
【0072】
以上のように、実施例1〜3に係る電気泳動式表示装置の反射率は、白表示、赤表示、青表示、緑表示のいずれの場合においても比較例1に係るフルカラーの電気泳動式表示装置の反射率に比べ高く、白表示におけるa*及びb*の値から、比較例2に係るモノカラーの電気泳動式表示装置に比べ、きれいな白表示を示した。また、比較例2に係るモノカラーの電気泳動式表示装置において白表示の際に見られる表示面のざらつきも実施例1〜3に係る電気泳動式表示装置においては見られなかった。
【0073】
以上、表示装置として電気泳動式表示装置について説明したが、本発明はこれに限らず、様々な表示装置に適用可能である。即ち、反射型表示装置に限らず、透過型表示装置にも適用可能である。透過型表示装置としては液晶表示装置が挙げられ、反射型表示装置としては液晶表示装置、電子ペーパーが挙げられる。電子ペーパーには、電気泳動式表示装置、ツイストボル式表示装置、粉体移動式表示装置がある。また、電気泳動式表示装置には、マイクロカプセル型表示装置、マイクロカップ型表示装置がある。
【0074】
これらの中では、マイクロカプセル型表示装置に適用した場合に、特に明るい白色表示が得られ、消費電力が小さいという利点を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
10・・・基板
11・・・画素電極
12・・・接着層
13,22,32,42・・・電気泳動表示層
14・・・透明電極層
15,23,33,43・・・カラーフィルタ
16・・・保護フィルム
21,31,41・・・電気泳動式表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白及び黒を表示する表示層と組み合わされて構成された表示素子に用いられるカラーフィルタであって、
着色画素として第1の色を示す第1のサブ画素と、前記第1の色の補色である第2の色を示す第2のサブ画素のみを含むことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
透明な第3のサブ画素を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
1画素が、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、及び第3のサブ画素からなることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記第1のサブ画素の面積1に対し、前記第2のサブ画素の面積は0.5〜2であり、前記第3のサブ画素の面積は0〜7.5であることを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記第1のサブ画素は赤色着色層であり、前記第2のサブ画素はシアン色着色層であり、前記第3のサブ画素は、透明樹脂層又は空隙であることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
白及び黒を表示する表示層と、該表示層上に形成された、請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタとを具備することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
反射型表示装置であることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示層は電気泳動表示層であることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記電気泳動表示層は、白色粒子と黒色粒子を含むマイクロカプセルを樹脂中に分散したマイクロカプセル層であることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−76843(P2013−76843A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216675(P2011−216675)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】