説明

カラーフィルタ基板、並びにその製造に用いる感光性着色組成物

【課題】所望の色相を得るために着色画素の膜厚を優先した際に、画素部分とBM上に乗り上げる部分の膜厚の差を調整でき、積層フォトスペーサーを所望の高さに制御できるカラーフィルタ基板と、その製造に用いることが出来る感光性着色組成物とを提供する。
【解決手段】基板上に少なくとも、ブラックマトリックス、複数色の着色画素及び積層フォトスペーサを有するカラーフィルタ基板であって、前記積層フォトスペーサが前記ブラックマトリックス上に前記着色画素を構成する感光性着色組成物の1色以上を積層して形成され、且つ、前記積層フォトスペーサに用いられる前記感光性着色組成物が少なくとも透明樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤、チキソ性付与剤を含有し、且つ、チキソ性付与剤がその前記感光性着色組成物の全固形分中に対して0.3〜5.0質量%であることを特徴とするカラーフィルタ基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置やカラー撮像管素子に用いられるカラーフィルタ基板、並びにその製造に用いられる感光性着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリックス方式の液晶表示装置では、一般に、ガラス基板上に各画素ごとにアクティブ素子(薄膜トランジスタ、TFT)を形成した基板と、ガラス基板上にカラーフィルタと一様な透明電極を形成したカラーフィルタ基板とが、間に液晶を挟んで対向して配置されている。そして、TFT基板(以下、アクティブ素子を形成した基板をTFT基板と略称する)の各TFT素子のスイッチング作用によって各画素の液晶のシャッター作用を制御している。
【0003】
TFTを用いた液晶表示装置は、TFT基板とカラーフィルタ基板を所定の間隔を設けて対向させて配置し、エポキシ樹脂等に補強用の繊維を混合したシール剤によってこれら基板を液晶を挟持するように貼り合わせて構成される。カラーフィルタ基板とTFT基板との間には液晶が封入されているが、カラーフィルタ基板とTFT基板との間隔を正確に保持しないと、液晶層の厚みに差異が出て、液晶の旋光特性差による着色を生じたり、あるいは部分的な色むらが生じて、正しく表示されなくなるという現象が発生する。従来、液晶表示装置においては、TFT基板とカラーフィルタ基板との間に均一なセルギャップを確保するために、スペーサと呼ぶガラス、又は、樹脂の透明球状体粒子(ビーズ)をこれら基板間に介在させていたが、均一にスペーサが分散せずに、スペーサが一部に偏るという現象が生じることがある。このような現象が生じると、スペーサが集まった部分の表示品質が悪化し、また間隔の正確な保持の面でも問題があった。
【0004】
そこで、液晶にスペーサと称する直径10μmないし50μmの柱状突起を形成する方法が提案されている。特許文献1〜4には、液晶表示装置用スペーサを、カラーフィルタ基板の上にフォトリソグラフィーの手法で形成する技術が開示されている。また、特許文献5〜7には、工程数を増やすことなく液晶表示装置用スペーサを着色層の重ね合わせにより形成する積層PS(Photo Spacer)の技術が開示されている。
【0005】
積層PSはカラーフィルタの開口率を低下させないように通常ブラックマトリックス(BM)の上に感光性着色組成物を複数色乗り上げ重ねることで形成される。しかしながら、各着色組成物の硬膜物への濡れ性が悪くはじき現象が起こることや、ポストベーキング工程で着色組成物が画素領域に流れ込むために、幅が狭いBM部分に乗り上げ・形成される着色組成物の膜厚は、画素平坦部の膜厚に較べ薄くなる。そのため、着色組成物を2色、3色と重ねて必要なPS積層高さを得ることになるが、所望の色相を得るために着色画素の膜厚を優先した際には、積層PSを所望の高さに制御することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−258192号公報
【特許文献2】特開平11−248921号公報
【特許文献3】特開2001−201750号公報
【特許文献4】特開2001−108813号公報
【特許文献5】特開平4−93924号公報
【特許文献6】特開平4−184423号公報
【特許文献7】特開2007−212826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みなされたもので、所望の色相を得るために着色画素の膜厚を優先した際に、画素部分とBM上に乗り上げる部分の膜厚の差を調整でき、積層フォトスペーサーを所望の高さに制御できるカラーフィルタ基板と、その製造に用いることが出来る感光性着色組成物とを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る発明は、基板上に少なくとも、ブラックマトリックス、複数色の着色画素及び積層フォトスペーサを有するカラーフィルタ基板であって、前記積層フォトスペーサが前記ブラックマトリックス上に前記着色画素を構成する感光性着色組成物の1色以上を積層して形成され、且つ、前記積層フォトスペーサに用いられる前記感光性着色組成物が少なくとも透明樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤、チキソ性付与剤を含有することを特徴とするカラーフィルタ基板である。
【0009】
次に、本発明の請求項2に係る発明は、前記積層フォトスペーサに用いられる前記感光性着色組成物が、その全固形分中に0.3〜5.0質量%の前記チキソ性付与剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物である。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記チキソ性付与剤がポリカルボン酸アミド、ウレア変性ポリアミド、ウレアウレタンの群れから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性着色組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカラーフィルタ基板および感光性着色組成物によれば、積層PSを形成している感光性着色組成物がその全固形分中に0.3〜5.0質量%のチキソ性付与剤を含有していることで、感光性着色組成物の流動性を低く制御できる。BM上に積重した状態で、ポストベーキング工程でも着色組成物が画素領域に流れ込むことが少なくなる。そのため、BM部分に乗り上げ・形成される着色組成物の膜厚の画素平坦部の膜厚に比較した乗り上げ率が大きくなり、従来より薄い膜厚の着色画素とすることや、着色組成物の上に少ない色数の感光性着色組成物を積重することで必要なPS積層高さを得ることが可能になる。即ち、安定した積層PS高さを得ることでの性能面の向上に加えて、フォトリソ工程で適用する感光性着色組成物の量(膜厚)が削減できる、あるいは、積層の色数を削減できることで歩留まりが向上し使用するレジスト量が減るなど大きなコストダウン効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の積層PSを形成した一例のカラーフィルタ基板を部分断面で示す模式図。
【図2】RGBの画素を有するカラーフィルタ基板の平面拡大模式図。
【図3】本発明に係るカラーフィルタ基板の着色画素とBM上に乗り上げた着色組成物の膜厚の関係を断面で示す説明図。
【図4】本発明に係る着色感光性着色組成物中のチキソ性付与剤割合と乗り上げ率の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のカラーフィルタ基板及びこれに用いる感光性着色組成物について、一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明のカラーフィルタ基板は、基板(1)上にブラックマトリックス(2)、複数色の着色画素(3)及び、ブラックマトリックス上に着色画素を構成する感光性着色組成物を構成する感光性着色組成物の1色以上を積層して形成された積層フォトスペーサ(4)を有している。そして、前記積層フォトスペーサ(4)を構成する感光性着色組成物は、少なくとも、透明樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤、チキソ性付与剤からなる感光性着色組成物であり、且つ、全固形文中に0.3〜5.0質量%のチキソ性付与剤を含有していることを特徴とする感光性着色組成物である。
【0015】
本発明に係る前記チキソ性付与剤とは、添加することにより当該組成物にチキソトロピー性を付与する物質である。すなわち、前記チキソ性付与剤を添加することにより、静置した状態では粘度が高く、応力を与えた状態(流動状態)では粘度が下がる性質を意味するものである。したがって、本発明ではブラックマトリックス上に積層スペーサを形成する際に、用いる感光性着色組成物が前記チキソ性付与剤を含有することにより、流動性を低く制御してBM上に塗布でき、さらに、ポストベーキング工程でも着色組成物が画素領域に流れ込むことが少なくなる効果が得られる。その結果、BM部分に形成される着色組成物の膜厚が、画素平坦部の膜厚に比較した乗り上げ率が大きくなり、従来より薄い膜厚の着色画素とすることや、着色組成物の上に少ない色数の感光性着色組成物を積重することで必要なPS積層高さを得ることが可能になる。
【0016】
本発明に係る着色画素やブラックマトリックスを形成する方法としては顔料分散法が主流となっている。顔料分散法は、有機顔料などの色材を分散した感光性着色組成物の塗布層を公知のフォトリソグラフィー法によってパターニングすることにより、カラーフィルタを複数の着色層(赤色、緑色、青色など)の画素に形成する方法である。本発明の着色感光性組成物も同様に、フォトリソグラフィー法によってパターニングする。複数の着色層の入色順を限定するものでないが、アライメントの都合及び積層PSの形成性から、ブラックマトリクス層のパターン形成後に、はじめに本発明の着色感光性組成物を用いて透明な着色画素を形成し、その後着色層の塗布、露光、現像等により赤色画素、緑色画素、青色画素などを順次形成し、画素形成と同時に所望の高さの積層PSを形成する。
【0017】
スペーサとして、着色(透明)層及び着色層を積層して使用する場合、積層部は、ブラックマトリクス層上にまず着色(透明)層を積重し、その上に1色以上の着色層を積層する。重ねる色の数は、液晶表示装置として必要なセルギャップで規定されるものであるが、2色ないし3色が望ましい。2色の積層の場合、赤色と青色の着色層を積層すると黒色に近くなり、色ズレ発生時の画素部分への混色防止となる。あるいは、2色と3色の2種類の積層部とすることにより、低い方の積層部をサブスペーサとして用いることができる。サブスペーサは、表示装置として使用している時に、液晶パネルに大きな圧力が加わったときに、セルの破壊を防ぐスペーサとなる。スペーサとサブスペーサの形成比率は限定するものでないが、1:2程度(後者がサブスペーサ)が実用的である。あるいは、例えば、2色での積層部として形成し、当該積層部上にさらに突起形成の有無にてスペーサ、サブスペーサとして用いることも可能である。
【0018】
通常のカラーフィルタ基板において、ブラックマトリックス層の厚さは0.5〜3μm、幅は3〜30μmの範囲である。また、着色画素、赤色画素、緑色画素、青色画素のそれぞれの膜厚(厚さ)は0.5〜3μmである。この膜厚は、感光性着色組成物あるいは感光性着色組成物の組成や塗布方法で大きく左右されるが、ブラックマトリックス上に乗り上げ・形成する着色層(透明層)、赤色層、緑色層、青色層の厚さは、平坦部の画素膜厚に対して薄く形成される傾向にある。そこで、画素平坦部に流れ込む樹脂組成物によって画素部分や積層PS付近の膜厚が増加し、結果として積層PSが低くなり、セルギャップが制御しにくい問題がある。
【0019】
積層PSのいわば土台となるブラックマトリックス層は、黒色樹脂を用いて形成された液晶表示装置のコントラストアップのために各画素間に形成する細い遮光パターンである。ブラックマトリックス層を形成する方法としては、黒色非感光性樹脂を用いフォトリソグラフィー法によって保護レジストを形成し、エッチングによってマトリックス状あるいはストライプ状に形成する方法、或いは黒色感光性樹脂を用いフォトリソグラフィー法によってマトリックス状あるいはストライプ状に形成する方法がある。黒色の色材としては、カーボンブラックや酸化チタン、あるいは複数の有機顔料を用いることができる。
【0020】
本発明に係る感光性着色組成物は、前述したように、少なくとも、透明樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤、チキソ性付与剤からなる。感光性着色組成物にはチキソ性付与剤を全固形文中に0.3〜5.0質量%添加して調整される。ブラックマトリックス及び着色画素の形成に用いる黒色感光性樹脂及び感光性着色組成物は、例えば、透明樹脂バインダに顔料成分を、分散剤を用いて分散させ、この分散液に光重合性モノマー、光重合開始剤、増感剤、溶剤などを添加して調製される。
【0021】
ブラックマトリックスの形成に用いる黒色感光性樹脂、着色画素の形成に用いる感光性着色組成物及び本発明の感光性着色組成物は、樹脂バインダと光重合開始剤と光重合性モノマーを主成分として、樹脂バインダが光重合、又は熱重合、或いは光重合及び熱重合を経て、三次元架橋される。ブラックマトリックス、着色組成物及び着色組成物の樹脂バインダを三次元架橋させることによって、パネル組み立て工程における荷重によりブラックマトリックス、着色画素及び着色画素並びに積層PSの厚みが減じるのを抑制することができる。
【0022】
光重合に適合する樹脂バインダとしては、例えば、アクリレート樹脂、熱重合に適合する樹脂バインダとしては、例えば、エポキシ樹脂、光重合及び熱重合に適合する樹脂バインダとしては、例えば、エポキシアクリレート樹脂があげられる。
【0023】
本発明の感光性着色組成物に含有されるチキソ性付与剤は、ポリカルボン酸アミド、ウレア変性ポリアミド、ウレアウレタンの群れから選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。特にこれらのチキソ性付与剤は、前記感光性着色組成物のインキ化に用いられる溶剤への溶解性や経時安定性に優れており好ましい。
【0024】
本発明の感光性着色組成物においては、感光性着色組成物の全固形分に対して0.3〜5.0質量%のチキソ性付与剤を含有する。感光性着色組成物の全固形分中に含まれるチキソ性付与剤量が0.3質量%未満では増粘によるPS乗り上げ効果が不十分であり、5.0質量%を超えると、色特性が大きく低下し画素あるいは析出して異物になる不具合が生じる。
【0025】
前述したように、感光性着色組成物中にチキソ性付与剤を含有することにより、感光性着色組成物の流動性を低く制御でき、BM硬膜物へのはじき現象が起きにくく、ポストベーキング工程でも着色組成物が画素領域に流れ込むことが少なくなる。そのため、BM部分に乗り上げ・形成される着色組成物の膜厚の画素平坦部の膜厚に比較した乗り上げ率が大きくなる。すなわち、着色組成物で主たるPS高さを確保できるため、従来より薄い膜厚の着色画素とした場合や、少ない色数の感光性着色組成物で必要なPS積層高さを得ることが可能になる。後述するように、チキソ性付与剤の含有量と乗り上げ率にはある程度の直線関係が得られることから、色相を優先して着色顔料の含有量と着色画素の膜厚を優先した場合でも、感光性着色組成物のチキソ性付与剤の含有量を変化させることで積層PSの高さを制御することが可能となる。また、微量の添加であっても乗り上げ率の向上に効果が見られることから、光硬化性などの諸特性に大きな影響を与えることなく、積層高さを制御することが可能となる。
【0026】
また、透明樹脂は、黒色顔料や着色顔料あるいはチキソ性付与剤を分散させる樹脂であって、画素パターン露光後の現像において、未露光部がアルカリ現像液により溶解除去できる樹脂を言う。具体的には、アルキルアクリレート、環状アクリレート、環状メタクリレート、ヒドロキシエチルエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル系モノマートエチレン性の不飽和基を有するラジカル重合性のモノマーからなるアクリル系透明樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート透明樹脂、多官能エポキシ樹脂にエチレン性の不飽和基を有するラジカル重合性のモノマーを付加させたタイプの樹脂を使用することが出来る。ただし、上記樹脂に限定されるものではない。
【0027】
光重合性モノマーとしては、例えば、以下に示すようなモノマーを混合して、又は単独で使用することができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、あるいは、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどがあげられる。前記重合性モノマーの一部が、カルボキシル基含有多官能性単量体を含む重合性モノマーであることは、好ましい。例えば、ペンタエリスリトール又はその誘導体であっても良い。
【0028】
ラジカル重合性モノマーの重合反応を開始させる活性種を発生する光重合開始剤としては、tert−ブチルペルオキシ−iso−ブタレ−ト、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4−ビス[α−(tert−ブチルジオキシ)−iso−プロポキシ]ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α−(iso−プロピルフェニル)−iso−プロピルヒドロペルオキシド、2,5−ビス(ヒドロペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ブチル−4,4−ビス(t−ブチルジオキシ)バレレ−ト、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2´,5,5´−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´−ビス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−4,4´−ジカルボキシベンゾフェノン、tert−ブチルペルオキシベンゾエ−ト、t−ブチルジペルオキシイソフタレ−トなどの有機過酸化物や、9,10−アンスラキノン、1−クロロアンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、オクタメチルアンスラキノン、1,2−ベンズアンスラキノンなどのキノン類や、ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾインなどのベンゾイン誘導体などを挙げることができる。さらに、本発明で使用することのできる光重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のIrgacure651、184、1173、907、369、379、819、CGI 124やBASF社製のTPO、日本化薬社製のKayacure DTEX、あるいは4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4´−ジメチルアミノベンゾフェノンのようなベンゾフェノン類の他に、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物などを挙げることができる。
【0029】
また、感光性着色組成物には、顔料を充分に組成物中に分散させ、基板上の塗布を容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0030】
本発明のカラーフィルタ基板に係る感光性着色組成物に含有される着色顔料としては、一般に市販されている有機顔料を用いることができる。また、形成するフィルタセグメントの色相に応じて、染料、天然色素、無機顔料を併用することができる。有機顔料としては、発色性が高く、且つ耐熱性、特に耐熱分解性の高いものが好適に用いられる。有機顔料は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また、有機顔料は、ソルトミリング、アシッドペースティング等により微細化したものであってもよい。
【0031】
以下に、本発明のカラーフィルタ基板に係る感光性着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス(C.I.)番号で示す。赤色画素には、例えば、色材として、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料を用いることができ、黄色顔料や橙色顔料を併用することもできる。
【0032】
黄色顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、199、198、213、214等が挙げられる。橙色顔料としては、C.I.Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0033】
赤色画素が、これら顔料のなかでジケトピロロピロール系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料のうち1種類以上を含む場合には、任意のRth(リタデーションの値)を得ることが容易になるため、好ましい。なぜなら、ジケトピロロピロール系赤色顔料は、その微細化処理を工夫することにより、Rthを正負のどちらにすることも可能であり、その絶対値もある程度制御可能である。また、アントラキノン系赤色顔料は、微細化処理に関わらず0に近いRthを得やすい。
【0034】
その使用量は、顔料の合計質量を基準として、ジケトピロロピロール系赤色顔料を10〜90質量%、アントラキノン系赤色顔料を5〜70質量%とすることが、画素の色相や
明度、膜厚、コントラスト等の点から好ましい。特に、コントラストに着目した場合、ジケトピロロピロール系赤色顔料を25〜75質量%、アントラキノン系赤色顔料を30〜60質量%とすることがより好ましい。
【0035】
緑色画素には、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができ、黄色顔料を併用することもできる。黄色顔料としては、赤色画素に用いる顔料として挙げたものと同様のものが使用可能である。
【0036】
青色画素には、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができ、紫色顔料を併用することもできる。紫色顔料としては、C.I.PigmentViolet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が挙げられる。
【0037】
青色画素が、これら顔料のなかで金属フタロシアニン系青色顔料と、ジオキサジン系紫色顔料のうち1種類以上を含む場合には、0に近い位相差を得ることが容易になる。その使用量は、顔料の合計質量を基準として、金属フタロシアニン系青色顔料を40〜100質量%、ジオキサジン系紫色顔料を1〜50質量%とすることが、画素の色相や明度、膜厚等の点から好ましい。さらに、金属フタロシアニン系青色顔料を50〜98質量%、ジオキサジン系紫色顔料を2〜25質量%とすることがより好ましい。上記において金属フタロシアニン系青色顔料としてはC.I.Pigment Blue 15:6、ジオキサジン系紫色顔料としてはC.I.Pigment Violet 23が、優れた耐光性、耐熱性、透明性、および着色力等の点から好適である。
【0038】
樹脂に顔料を分散する際には、適宜、界面活性剤、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体等の分散剤が使用できる。また、塗布性向上、感度の向上、密着性の向上などを目的として、連鎖移動剤、界面活性剤、シランカップリング剤等の添加剤を添加しても良い。
【0039】
感光性着色組成物は、各成分を混合し、シェーカー、デスパー、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散することにより製造することが出来る。また、感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0040】
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板を用いる。この透明基板に、前記したようにまずブラックマトリックスの遮光パターンを予め形成する。アルカリ現像型着色レジスト材として調整した上記組成の感光性着色組成物及び感光性着色組成物を用いて、それぞれ1色ずつ、BM形成済みの透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.5〜3μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウム等の水性アルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成して着色画素を含む各色のフィルタセグメントおよび積層PSを形成する。さらに、感光性着色組成物及び感光性着色組成物の重合を促進して硬膜するため、それぞれ必要に応じて加熱(ポストベーキング)を施す。
【0041】
本発明のカラーフィルタ基板では画素及び積層PS部の上に、さらに透明保護層を形成しても良い。垂直配向の液晶やOCB(Optically Compensated
Birefringence)と呼ばれる液晶、強誘電性液晶、ECB(Electrical Controlled Birefringence)と呼ばれる液晶など、透明電極による液晶セルギャップの厚み方向の電界駆動が必要な液晶では、画素および積層PSを形成する工程と透明保護層を形成する工程の後に、透明導電膜を形成する工程を入れる事もできる。この場合には積層上の透明電極の上か対向基板のスペーサが接触する部位に絶縁層を形成する。この絶縁層は、視野角や応答性改善などの液晶配向規制(配向制御)を目的とした配向規制突起と同時に形成しても良い。絶縁層は、カラーフィルタ基板として透明導電膜形成が不必要な、たとえばIPS(横電界)方式の液晶表示装置の場合はこれを省く事ができる。
【0042】
液晶が垂直に配向する、たとば、VA方式の液晶表示装置では、あらかじめブラックマトリクス、着色画素、着色画素層および積層PS上に透明電極を形成し、この透明電極上に、さらに透明樹脂を用いたスペーサや配向制御用の突起を形成しても良い。
【0043】
透明導電膜を形成する方法は、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングと呼ばれる真空成膜の手法が一般的である。透明導電膜には、インジウム、スズ、ガリウム、亜鉛などの金属酸化物の複合酸化物を用いることができる。
【実施例】
【0044】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」および「%」とは「質量部」および「質量%」をそれぞれ意味する。
【0045】
本発明の効果を明確にするために、市販の黒色感光性組成物を用いて膜厚(高さ)2μmのブラックマトリックスが形成された0.7mm厚のガラス基板上に、チキソ性付与剤の含有量の異なる着色着色組成物のみを積層した積層部を有する擬似的なカラーフィルタを作製した。
【0046】
まず、実施例および比較例で用いたアクリル樹脂溶液の調製について説明する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量である。
【0047】
[アクリル樹脂溶液の調製]
反応容器にシクロヘキサノン370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して、重合反応を行った。
・メタクリル酸 20.0部
・メチルメタクリレート 10.0部
・n−ブチルメタクリレート 55.0部
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0部
・2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続行して、アクリル樹脂の溶液を得た。このアクリル樹脂の質量平均分子量Mwは、約40000であった。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃で20分間加熱乾燥し、不揮発分を測定し、測定結果に基き、先に合成したアクリル樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにシクロヘキサノンを添加して、アクリル樹脂溶液を調製した。
【0048】
[顔料分散体の調製]
・赤色顔料分散体PR
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料分散体PRを作製した。
赤色顔料:C.I.Pigment Red 254 9部
(チバ・ジャパン社製「イルガーフォーレッド B−CF」)
赤色顔料:C.I.Pigment Red 177 1部
(チバ・ジャパン社製「クロモフタールレッド A2B」)
分散剤(日本ルーブリゾール社製「ソルスパース20000」) 2部
アクリル樹脂溶液(固形分20%) 40部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 48部
【0049】
・緑色顔料分散体PG
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して緑色顔料分散体PGを作製した。
緑色顔料:C.I.PigmentGreen 36 14部
(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン6Y501」)
分散剤(ビックケミー社製「Disperbyk−163」) 2部
アクリル樹脂溶液(固形分20%) 20部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 64部
【0050】
・黄色顔料分散体PY
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して黄色顔料分散体PYを作製した。
黄色顔料:C.I.PigmentYellow 150 10部
(ランクセス社製「E4GN」)
分散剤(ビックケミー社製「Disperbyk−163」) 2部
アクリル樹脂溶液(固形分20%) 40部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 48部
【0051】
・青色顔料分散体PB
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して青色顔料分散体PBを作製した。
青色顔料:C.I.PigmentBlue 15:6 9.6部
(東洋インキ製造社製「リオノールブルーES」)
紫色顔料:C.I.PigmentViolet 23 0.4部
(BASF社製「パリオゲンバイオレット5890」)
分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」) 2部
アクリル樹脂溶液(固形分20%) 40部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 48部
【0052】
[感光性着色組成物の製造]
・赤色感光性着色組成物
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して赤色感光性着色組成物を得た。
赤色分散体PR 57.0部
アクリル樹脂溶液(固形分20%) 18.3部
光重合性モノマー(東亜合成社製「アロニックスM402」) 2.8部
光開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー379」) 0.8部
増感剤(保土ヶ谷化学工業社製「EAB−F」 0.3部
シクロヘキサノン 20.7部
【0053】
・緑色感光性着色組成物
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して緑色感光性着色組成物を得た。
緑色顔料分散体PG 43.4部
黄色顔料分散体PY 15.2部
アクリル樹脂溶液(固形分2 20.4部
光重合性モノマー(東亜合成社製「アロニックスM402」) 2.5部
光開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー 379」) 0.6部
光開始剤 0.15部
(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー OXE−02」)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20.25部
【0054】
・青色感光性着色組成物
表1に示す組成(質量比)の混合物を、均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、実施例1〜5、比較例1〜3の青色感光性着色組成物をそれぞれ調整した。
【0055】
【表1】

【0056】
表1の組成の具体的内容を以下に示す。
・着色顔料分散体 : 先に調整した青色顔料分散体PB
・チキソ性付与剤 : ビックケミー社製「BYK405」(固形分51%)
・チキソ性付与剤 : ビックケミー社製「BYK410」(固形分50%)
・チキソ性付与剤 : ビックケミー社製「BYK430」(固形分30%)
・後添加樹脂 : 先に調整したアクリル樹脂溶液(固形分20%)
・光重合性モノマー : 東亜合成社製「アロニックスM402」
・光開始剤 : チバ・ジャパン社製「イルガキュアー379」
・増感剤 : 保土ヶ谷化学社製「EAB−F」
・増感剤 : チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」
・界面活性剤 : ビックケミー社製「BYK330」2%シクロヘキサノン溶液
・有機溶剤 : プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(PGMAc)
・有機溶剤 : エチル―3―エトキシプロピオネート(EEP)
・有機溶剤 : シクロヘキサノン
【0057】
[着色画素、スペーサ形成]
得られた感光性着色組成物を用いて着色画素層を形成した。予め2μm膜厚で積層部のみ部分的に幅広としたストライプ状の樹脂ブラックマトリックスが形成してあるガラス基板に、感光性着色組成物をスピンレスコートにより仕上り膜厚が2.0μmとなるように塗布した。90℃5分間乾燥の後、着色画素及び積層部形成用のストライプ状フォトマスクを介して、高圧水銀灯の光を300mJ/cm照射し、アルカリ現像液にて60秒間現像して、ストライプ形状の着色画素と、着色画素に隣接した位置のブラックマトリックス上に直径60μmのドット状積層部を得た。その後、230℃30分で硬膜した。これで、図3に示すように、透明基板上にストライプ状の着色画素とブラックマトリックス上に着色組成物からなる積層PSパターンを有する積層部を有する擬似的なカラーフィルタ
が得られた。
【0058】
なお、アルカリ現像液は以下の組成からなる。
【0059】
炭酸ナトリウム 1.5質量%
炭酸水素ナトリウム 0.5質量%
陰イオン系界面活性剤(花王・ペリレックスNBL) 8.0質量%
水 90.0質量%
【0060】
<評価及びその方法>
実施例1〜5および比較例1〜3の感光性着色組成物を用いて作製した擬似的なカラーフィルタについて、乗り上げ率(b/a)、異物および光学特性の評価を行った。その結果を、表2に示した。なお、乗り上げ率(b/a)は、図3に示すように、着色画素の膜厚(a)と、BM上のドット状積層部の膜厚(b)とを接触式膜厚計で測定して算出した。
【0061】
【表2】

【0062】
<評価結果>
表2に示した結果より、チキソ性付与剤含有率と乗り上げ率との関係グラフを図4に示した。実施例1〜5と比較例1との組成の主な違いはチキソ性付与剤の含有量であり、チキソ性付与剤の量が増える程乗り上げ率が大きくなる傾向が見られ、図4に示すようにチキソ性付与剤の含有量と乗り上げ率には略直線関係があることがわかった。また、チキソ性付与剤の添加量が5質量%を超えると異物が発生し、光学特性に悪影響を及ぼすことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の感光性着色組成物を用いた少なくともRGBの画素を有するカラーフィルタ基板では、光学特性や異物を発生することなく、BM部分に乗り上げ・形成される着色組成物の膜厚の画素平坦部の膜厚に比較した乗り上げ率を大きくし、制御することが出来、従来より薄い膜厚の着色画素とした場合や、少ない色数の感光性着色組成物で必要なPS積層高さを得ることが可能になる。
【符号の説明】
【0064】
1・・・ガラス基板
2・・・ブラックマトリックス
3R・・赤色画素
3G・・緑色画素
3B・・青色画素
4、4R、4G、4B・・・積層PS
5・・・透明電極(ITO膜)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に少なくとも、ブラックマトリックス、複数色の着色画素及び積層フォトスペーサを有するカラーフィルタ基板であって、前記積層フォトスペーサが前記ブラックマトリックス上に前記着色画素を構成する感光性着色組成物の1色以上を積層して形成され、且つ、前記積層フォトスペーサに用いられる前記感光性着色組成物が少なくとも透明樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤、チキソ性付与剤を含有することを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項2】
前記積層フォトスペーサに用いられる前記感光性着色組成物が、その全固形分中に0.3〜5.0質量%の前記チキソ性付与剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項3】
前記チキソ性付与剤が、ポリカルボン酸アミド、ウレア変性ポリアミド、ウレアウレタンの群れから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性着色組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−101234(P2013−101234A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245212(P2011−245212)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】