説明

カラーフィルタ形成基板および有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置

【課題】 WHITE画素を備えたカラーフィルタ形成基板が用いられている白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置で、WHITE画素に対して外光反射を抑えることができて、発光効率の良い有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の作製を可能とすることができるカラーフィルタ形成基板を提供する。
【解決手段】 白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置に用いられるカラーフィルタ形成基板であって、透明基材の一面に、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素となる各色の着色樹脂層の他に、高い光透過性のWHITE画素となる樹脂層を配設するもので、前記WHITE画素となる樹脂層領域において、前記透明基材側からの光に対する低反射性を有し、且つ、前記透明基材側とは反対側からの光に対して光透過性を有する光制御部を、前記WHITE画素となる樹脂層に積層して備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置用のカラーフィルタ形成基板と、該基板を用いた有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置に関し、特に、白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置に用いられるカラーフィルタ形成基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下有機ELディスプレイとも言う)は、自己発光性であるために視認性が優れ、バックライトが不要なため、薄く、軽くでき、構造が簡単で低コスト化が期待でき、動画表示にも適していることから、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイに続くフラットパネルディスプレイとして、研究開発、商品化が進められている。
このような中、従来より、白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置(以下有機ELディスプレイ装置とも言う)には、図5(a)に示すように、表示の高色純度と高輝度を両立するために、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素のほかに、高い光透過性の高光透過画素(WHITE画素とも言う)を備えたカラーフィルタ形成基板10aが用いられている。
尚、前述の高光透過画素としては、着色していないものや、R、G、Bの各色を併せた色に合わせて若干着色してあるものが用いられるが、ここでは、このような高光透過画素をWHITE画素とも言う。
カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素およびWHITE画素は、通常、樹脂層からなる。
このようなWHITE画素を備えたカラーフィルタ形成基板を用いた白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置においては、外部から入射される光はWHITE画素を透過し、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子あるいは有機EL発光素子とも言う)が有する電極及び金属配線で反射され、コントラストが低下するという問題がある。
この問題を解決するために、図5(b)に示すように、上記白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の前面(観察者側)に円偏光板30を設け、外部入射光の反射を低減する方法も採られているが、この方法の場合、円偏光板は透過率を大きく低下させるため、結果として有機EL素子の発光効率が著しく低下するという問題がある。
【0003】
一方、白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置(以下有機ELディスプレイ装置とも言う)の表示の高色純度と高輝度を両立するために、マイクロキャビティ構造の技術とカラーフィルタとを使用する方法も採られている。
マイクロキャビティ構造という技術は、光の波長に合わせてR、G、Bの各色用の有機層で最も強い光の波長に合わせて有機層の膜厚を設計し、発生した光が電極間で反射を繰り返すうちに、不要な波長の光を弱め純度が高く、強い光を取り出せるというもので、有機EL素子の発光効率を上げることができる。
マイクロキャビティ構造は、微小共振器構造とも呼ばれる。
一方、カラーフィルタはフィルタと同じ色の純度を高め、異なる色の光をさえぎる性質を有するものです。
外光反射の低減に使われてる円偏光板に比べ、カラーフィルタは透過率が高く内部からの光が効率よく取り出せる。
上記のマイクロキャビティ構造と、カラーフィルタの性質とを組み合わせることにより、様々な波長を持つ外光の反射を低減することができ、有機EL素子の表示パネルは明るい環境下でも高いコントラストを発揮できる。
しかし、このようなマイクロキャビティ構造の技術は、あくまで着色層のみに有効な技術であり、WHITE画素を備えたカラーフィルタ形成基板を用いた白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置において、このようなマイクロキャビティ構造の技術を適用しても、WHITE画素に対しても外光反射を抑え、かつ発光効率を下げないというものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−47340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置(以下有機ELディスプレイ装置とも言う)においては、表示の高色純度と高輝度を両立するために、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素のほかに高い光透過性の高光透過画素であるWHITE画素を備えたカラーフィルタ形成基板が用いられているが、WHITE画素に対して外光反射を抑え、かつ発光効率を下げない新たな技術が求められていた。
本発明は、これに対応するもので、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素のほかに着色していないWHITE画素を備えたカラーフィルタ形成基板が用いられている白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置で、WHITE画素に対して外光反射を抑えることができて、発光効率の良い有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の作製を可能とすることができるカラーフィルタ形成基板を提供しようとするものである。
同時に、表示の高色純度と高輝度を両立するために、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素のほかに着色していないWHITE画素を備えたカラーフィルタ形成基板が用いられている白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置であって、WHITE画素に対して外光反射を抑えることができ、且つ、発光効率の良い有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を提供しようとするものです。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明のカラーフィルタ形成基板は、白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置に用いられるカラーフィルタ形成基板であって、透明基材の一面に、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素となる各色の着色樹脂層の他に、高い光透過性のWHITE画素となる樹脂層を配設するもので、前記WHITE画素となる樹脂層領域において、前記透明基材側からの光に対する低反射性を有し、且つ、前記透明基材側とは反対側からの光に対して光透過性を有する光制御部を、前記WHITE画素となる樹脂層に積層して備えていることを特徴とするものである。
そして、第2の発明のカラーフィルタ形成基板は、第1の発明のカラーフィルタ形成基板であって、前記光制御部は、非光透過性の基材層を配した領域である非光透過部と、前記非光透過性の基材層を配していない領域である光透過部とからなり、且つ、前記非光透過性の基材層の前記透明基材側の表面を低反射性としていることを特徴とするものである。
そしてまた、第3の発明のカラーフィルタ形成基板は、第2の発明のカラーフィルタ形成基板であって、前記光制御部は、前記WHITE画素となる樹脂層の前記透明基材側とは反対側の面に、前記非光透過性の基材層を配して設けられ、且つ、前記非光透過性の基材層は、前記WHITE画素となる樹脂層側の表面を低反射性層とし、反対側の表面を反射性層としていることを特徴とするものである。
また、第4の発明のカラーフィルタ形成基板は、第3の発明のカラーフィルタ形成基板であって、前記低反射層は酸化クロムないし酸化窒化クロム層からなり、前記反射性層はクロム層からなることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置は、透明基材の一面に、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素となる各色の着色樹脂層の他に、高い光透過性のWHITE画素となる樹脂層を配設する、カラーフィルタ形成基板を備えた、白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置であって、前記カラーフィルタ形成基板として、第1の発明1ないし第4の発明のいずれかのカラーフィルタ形成基板を用いていることを特徴とするものである。
【0008】
(作用)
本発明のカラーフィルタ形成基板は、このような構成にすることにより、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素のほかに着色していないWHITE画素を備えたカラーフィルタ形成基板が用いられている白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置で、WHITE画素に対して外光反射を抑えることができて、発光効率の良い有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の作製を可能とすることができるカラーフィルタ形成基板の提供を可能としている。
具体的には、白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置に用いられるカラーフィルタ形成基板であって、透明基材の一面に、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素となる各色の着色樹脂層の他に、高い光透過性のWHITE画素となる樹脂層を配設するもので、前記WHITE画素となる樹脂層領域において、前記透明基材側からの光に対する低反射性を有し、且つ、前記透明基材側とは反対側からの光に対して光透過性を有する光制御部を、前記WHITE画素となる樹脂層に積層して備えていることにより、これを達成している。
詳しくは、本発明のカラーフィルタ形成基板が白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置に用いられた際、光制御部は、前記WHITE画素となる樹脂層領域において、透明基材側からの光に対する低反射性を有することにより、WHITE画素領域における外光の反射を抑制できるものとし、前記透明基材側とは反対側からの光に対して光透過性を有することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光光の外部(観察者側)への透過性を確保できるものとしている。
更に具体的には、光制御部は、非光透過性の基材層を配した領域である非光透過部と、前記非光透過性の基材層を配していない領域である光透過部とからなり、且つ、前記非光透過性の基材層の前記透明基材側の表面を低反射性としている第2の発明の形態を挙げることができる。
更にまた、第2の発明のカラーフィルタ形成基板であって、前記光制御部は、前記WHITE画素となる樹脂層の前記透明基材側とは反対側の面に、前記非光透過性の基材層を配して設けられ、且つ、前記非光透過性の基材層は、前記WHITE画素となる樹脂層側の表面を低反射性層とし、反対側の表面を反射性層としている第3の発明の形態を挙げることができる。
この形態の場合、白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置に用いられた場合、発光電極に近い位置に光制御部が位置され、且つ、光制御部の発光電極側の表面に反射層を配しているため、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層からの発光を、光制御部の光透過部を通して直接的に、あるいは、反射層と発光電極との間で反射を繰り返して光制御部の光透過部を通して通過させるため、発光の光透過部を通過する量を多くできるものとし、また、光制御部の発光電極側とは反対側の表面に反射層を配しているため、外光の反射を抑制できるものとしている。
これにより、WHITE画素領域において、外光反射を制御し、且つ、発光効率を下げない白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の作製が可能となる。
また、第3の発明のカラーフィルタ形成基板であって、前記低反射層は酸化クロムないし酸化窒化クロム層からなり、前記反射性層はクロム層からなる第4の発明の形態を挙げることができる。
この形態の場合、低反射層の形成、反射層の形成、パターニングを容易にできるものとしている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、このように、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素のほかに着色していないWHITE画素を備えたカラーフィルタ形成基板が用いられている白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置で、WHITE画素に対して外光反射を抑えることができて、発光効率の良い有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の作製ができるカラーフィルタ形成基板の提供を可能とした。
そして、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素のほかに着色していないWHITE画素を備えたカラーフィルタ形成基板が用いられている白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置で、WHITE画素に対して外光反射を抑えることができて、発光効率の良い有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の提供を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(a)は本発明のカラーフィルタ形成基板の実施形態の1例の一部断面図で、図1(b)は図1(a)のA1方向から光制御部を見た図で、図1(c)は図1(b)のA2ーA3における断面を示した図で、図1(d)は図1(a)に示すカラーフィルタ形成基板を用いた有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の一部断面を示した図である。
【図2】図2(a)、図2(b)は、それぞれ、図1(b)に示す光制御部とは異なる形状の光制御部を示した図である。
【図3】白色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子の材料構成を示した断面図である。
【図4】図4(a)〜図4(d)は、図1に示すカラーフィルタ形成基板を作製する製造工程を示した断面図である。
【図5】図5(a)、図5(b)は、それぞれ、従来の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の一部断面図を示した図である。
【図6】外光反射の評価の測定方法を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
先ず、本発明のカラーフィルタ形成基板の実施形態の第1の例を、図1に基づいて説明する。
第1の例のカラーフィルタ形成基板10は、白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置に用いられるカラーフィルタ形成基板であって、図1(a)に示すように、透明基材11の一面に、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素となる各色の着色樹脂層(13R,13G、13B)の他に、高い光透過性のWHITE画素となる樹脂層14を配設するもので、WHITE画素となる樹脂層14の領域において、透明基材11側からの光に対する低反射性を有し、且つ、透明基材11側とは反対側からの光に対して光透過性を有する光制御部15(図1(a)のA0部参照)を、WHITE画素となる樹脂層14に積層して備えているものです。
ここでは、光制御部15は、WHITE画素となる樹脂層14の透明基材11側とは反対側の面に、非光透過性の基材層16を配して設けられ、非光透過性の基材層16は、図1(c)に示すように、WHITE画素となる樹脂層14側の表面を低反射性層16aとし、反対側の表面を反射性層16bとしている。
光制御部15は、図1(b)に示すように、非光透過性の基材層16を配した領域である非光透過部15Bと、非光透過性の基材層16を配していない領域である光透過部とからなる。
ここでは、円形状にした光透過性の基材層16を多数配列させた形状にしている。
尚、低反射層16aとしては酸化クロムないし酸化窒化クロム層が用いられ、また、反射性層16bとしてはクロム層が用いられる。
【0012】
第1の例のカラーフィルタ形成基板10と、有機エレクトロルミネッセンス素子を配設置した有機エレクトロルミネッセンス素子形成基板20とを接着層にて貼り合わせて、図1(d)に示すような白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置を形成するが、このような有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置においては、カラーフィルタ形成基板10に光制御部15が設けられているため、WHITE画素となる樹脂層14の領域において、有機エレクトロルミネッセンス素子から発光された白色光のうち、直接光透過部15aから外側通過せずに基材層16の反射層16bに当たる光も、反射層16bと有機エレクトロルミネッセンス素子の電極(図示していない)との間で反射を繰り返して、基材層16を配していない光透過部15aから外側(観察者側)に通過することができ、これにより、有機エレクトロルミネッセンス素子から発光された白色光の通過する光量を大きくできるものとしている。
また、WHITE画素となる樹脂層14の領域において、外側(観察者側)からの光(外光)に対しては、基材層16の低反射層16aにて、反射を抑制できる。
第1の例のカラーフィルタ形成基板10においては、光制御部15の光透過部の領域を狭くしても、直接光透過部15aを通過しない有機エレクトロルミネッセンス素子の発光光は、上記の反射層16bと有機エレクトロルミネッセンス素子22の電極(図3の25、28に相当)との間で、反射を繰り返し、光透過部15aから通過することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子から発光された白色光を効率的に利用できる。
このため、第1に例のカラーフィルタ形成基板10を用いた有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置においては、光制御部15の光透過部の領域を狭くした分だけ、外光の反射を抑制する低反射層16aの領域を大きくでき、反射の抑制効果を大きくすることができる。
【0013】
第1の例のカラーフィルタ形成基板10の各部の材質について、以下簡単に説明する。 <透明基板11>
透明基板11としては、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。
中でもコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため特に適している。
【0014】
<ブラックマトリクス12>
ブラックマトリクス12の材質としては、遮光性の金属膜や遮光剤を分散した樹脂が用いられる。
前記遮光性の金属膜としては、通常、クロム系の金属膜を単層あるいは多層にして用いられる。
遮光性の金属膜を用いたブラックマトリクスとしては、通常、スパッタ、蒸着等によりクロム系の金属膜を単層あるいは多層にして透明基材11の一面に形成し、その上にフォトレジストを塗布して、フォトマスク等を用いて選択露光して、現像後、フォトレジストの開口から露出した金属膜をエッチングして所定の形状に形成したものを用いる。
また、前記遮光剤を分散した樹脂を用いたブラックマトリクスとしては、カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を形成し、この樹脂層を直接パターニングして形成したもの、および、カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層をフォトリソ法によりパターニングして形成したもの等、遮光性を有するものを用いることができる。
フォトリソ法の場合、樹脂ブラックマトリクス用材料の遮光剤を分散した組成物を透明基板に塗布した後、選択的にパターン露光し、現像して、形成する。
尚、これ以外に、ブラックマトリクス層を、カラーフィルタ形成の各色の着色層を重ねて形成する形態も挙げられる。
【0015】
<着色樹脂層13R、13G、13B>
各色の着色樹脂層13R、13G、13Bとしては、ここでは、樹脂中に顔料や染料等の着色剤を分散または溶解させた層が用いられる。
各色の着色層の形成方法としては、インクジェット法、印刷法、フォトリソ法等のいずれの方法で形成しても構わないが、高精細さや分光特性の面からは、透明な樹脂中に、光開始剤、重合性モノマー、溶剤等とともに各色形成のための顔料を分散させた着色組成物(感光性樹脂とも言う)を透明基板に塗布した後、選択的にパターン露光し、現像して、形成するフォトリソ法が好ましい。
フォトリソ法に用いる感光性の着色組成物(感光性樹脂とも言う)としては、ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれも用いることができるが、通常はネガ型感光性樹脂が用いられる。
このネガ型感光性樹脂としては、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有するもの等が挙げられる。
尚、赤色の着色樹脂層13Rに用いられる着色剤としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられるが、これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑色の着色樹脂層13Gに用いられる着色剤としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられるが、これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青色の着色樹脂層13Bに用いられる着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられるが、これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
赤色の着色樹脂層13R、緑色の着色樹脂層13Gおよび青色の着色樹脂層13Bの厚さは、通常は1〜5μmの範囲で設定される。
【0016】
<WHITE画素となる樹脂層14>
WHITE画素となる樹脂層14としては、高い光透過性の樹脂層であることが必要であり、上記各色の着色樹脂層に用いられる感光性の樹脂層で、着色剤を含まないものやR、G、Bの各色を併せた色に合わせて若干着色剤を含むものが用いられる。
【0017】
<光制御部の基材層16>
光制御部の基材層16としては、クロム系の金属層で低反射層16a、反射層16bを備えたものが、作製する上で好ましいが、これに限定はされない。
低反射層16aとしては、汎用の酸化クロム層や酸化窒化クロム層があり、また反射層16bとしては、汎用のクロム層(金属クロム層とも言う)が挙げられるがこれに限定はされない。
尚、第1の例では、基材層は、酸化クロム層とクロム層の2層からなるが、基材層のWHITE画素となる樹脂層14側の表面部に低反射層16aを配し、反対側の表面部に反射層16bを配していれば、2層には限定されない。
【0018】
次いで、図1(d)に示す有機エレクトロルミネッセンス素子形成基板20の各部について、簡単に説明する。
<基板21>
基板21には、ガラス等の無機材料や、透明樹脂などを用いることができ、透明性を有していても有さなくてもよい。
上記透明樹脂としては、フィルム状に成形可能であれば特に限定されるものではないが、透明性が高く、耐溶媒性、耐熱性の比較的高いことが好ましい。
このような透明樹脂としては、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフッ化ビニル(PFV)、ポリアクリレート(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、非晶質ポリオレフィン、またはフッ素系樹脂等が挙げられる。
尚、基板21には有機EL素子の発光駆動に用いるTFTなどが形成されていても良い。
【0019】
<有機エレクトロルミネッセンス素子22>
(有機EL層26)
有機エレクトロルミネッセンス素子22を形成する有機EL層26は、少なくとも発光層27を含む1層もしくは複数層の有機層から構成されるものである。
発光層以外の有機EL層26を構成する有機層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等を挙げることができる。
この正孔輸送層は、正孔注入層に正孔輸送の機能を付与することにより、正孔注入層と一体化される場合が多い。
また、有機EL層を構成する有機層としては、正孔ブロック層や電子ブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
有機EL層の構成としては、一般的な構成であればよく、発光層のみ、正孔注入層/発光層、正孔注入層/発光層/電子注入層、正孔注入層/正孔ブロック層/発光層/電子注入層、正孔注入層/発光層/電子輸送層などを例示することができる。
白色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子22における、発光材料は、単一の化合物で構成されることはほとんどなく、一般的には、2つないし3つの色の異なる発光材料を用いている。
図1(d)に示す白色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子22については、図1(d)では明示していないが、例えば、図3に示すような材料構成とする。
図3に示す有機エレクトロルミネッセンス素子は、赤、緑、青に発光する3つの材料を用いて、併せて白色発光とするものです。
発光スペクトルは、各色の発光材料のスペクトルを併せた形となる。
【0020】
(陽極25、陰極28)
陽極25、陰極28の電極層を形成する導電性材料としては、一般に金属材料が用いられるが、有機物や無機化合物を用いてもよく、複数の材料を混合して用いてもよい。
また、陽極、陰極の電極層は、光の取り出し面に応じて、透明性を有するか否かを適宜選択される。
陽極25には、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料が好ましく用いられ、陰極28には、電子が注入し易いように仕事関数の小さな導電性材料が好ましく用いられる。
前記導電性材料としては、透明性を要求される場合には、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、Zn−O−Al、Zn−Sn−O等が挙げられ、透明性が要求されない場合には、金属を用いることができ、具体的にはAu、Ta、W、Pt、Ni、Al、Pd、Cr、あるいは、Al合金、Ni合金、Cr合金等を挙げることができる。
陽極25および陰極28のいずれも電極層も、抵抗が比較的小さいことが好ましい。
電極層の成膜方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、CVD法、印刷法等を挙げることができる。
また、電極層のパターニング方法としては、フォトリソグラフィー法を挙げることができる。
【0021】
カラーフィルタ形成基板10と有機エレクトロルミネッセンス素子形成基板20とを貼り合わせる接着剤24としては、透明性、上下隣接層との密着性、耐光性、耐熱性、耐薬品性等の幅広い特性が要求され、従来高電気抵抗の光又は熱硬化アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリグリシジルメタクリレート系樹脂、エポキシ樹脂等が用いられている。
【0022】
次に、図1に記載の第1の例において、反射層を設けない形態を、本発明のカラーフィルタ形成基板の実施の形態の第2の例として挙げる。
例えば、基材層16が低反射層16aからのみから形成したものが挙げられる。
この形態の場合は、white画素の領域における同じ大きさの光透過領域であったとしても発光効率の面で第1の例に劣り、第1の例よりも大きい光透過領域が必要となるが、その場合、低反射層領域の面積が小さくするため外光の反射抑制の面から第1の例に劣ることとなる。
【0023】
更に、第1の例において、光制御部15を、図2(a)に示すように、四角状の基材層16を格子に配置した形態や、図2(b)に示すように、帯状の基材層16を所定のピッチで並列に配置した形態も、本発明のカラーフィルタ形成基板の形態例として挙げられことができる。
光制御部15の基材層16の形状はこれらに限定はされない。
【0024】
次に、第1の例のカラーフィルタ形成基板10の作製方法を図4に基づいて簡単に説明する。
先ず、板状の透明基材11の一面にブラックマトリクス12を形成する。(図4(a)〜図4(b))
遮光性の金属膜を用いたブラックマトリクスを形成する場合は、通常、スパッタ、蒸着等によりクロム系の金属膜を単層あるいは多層にして透明基材11の一面に形成し、その上にフォトレジストを塗布して、フォトマスク等を用いて選択露光して、現像後、フォトレジストの開口から露出した金属膜をエッチングして所定の形状にし、残存するフォトレジストの剥離、洗浄を行う。
また、遮光剤を分散した樹脂を用いてブラックマトリクスを形成する場合は、透明基材11の一面に、カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を直接パターニングして形成する。
あるいは、カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を、透明基材11の一面に全面に形成し、形成された感光性樹脂層をフォトリソ法によりパターニングして形成する。
次いで、ここでは、感光性の樹脂組成物を用いて、カラーフィルタ用の各色の画素となる各色の着色樹脂層(13R、13G、13B)、WHITE画素用の樹脂層14を、それぞれ、順次フォトリソ法により形成する。(図4(c))
次いで、WHITE画素用の樹脂層14上全面に、酸化クロム層、クロム層を順に積層した基材層16をパターン形成して、光制御部を形成する。(図4d))
基材層16のパターン形成は、マスキング治具を用いたスパッタリングあるいは蒸着にて行う。
あるいは、スパッタリングあるいは蒸着により、WHITE画素用の樹脂層14上全面に、酸化クロム層、クロム層を順に形成し、これを、フォトレジストを塗布し、フォトマスク等を用いて選択露光して、現像後、フォトレジストの開口から露出した金属膜をエッチングして所定の形状にし、更に、残存するフォトレジストを剥離、洗浄して、形成する。
このようにして、第1の例のカラーフィルタ形成基板10は作製される。
【0025】
[実施例]
更に、実施例を挙げます。
(実施例1)
実施例1は、図1に示す第1の実施形態例を作製したもので、透明基材11の一面に遮光性の金属膜からなるブラックマトリクス12を形成した(図4b参照)後、以下のように、光硬化性の硬化性樹脂組成物Aを調製して作製し、作製された硬化性樹脂組成物Aを用いて、カラーフィルタ形成用の赤色硬化性樹脂組成物、緑色硬化性樹脂組成物、青色硬化性樹脂組成物およびWHITE画素形成用の硬化性樹脂組成物を作製し、これらを用いて、各硬化性樹脂組成物毎にフォトリソ法を行い、カラーフィルタ用の各着色層(13R、13G、13B)、およびWHITE画素形成用の樹脂層14を、順次、形成し(図4(c参照)、更に、光制御部15を形成したものです。(図4d参照)
ブラックマトリクス12は、スパッタリングにより透明基材11側から順に、酸化クロム層、クロム層を、それぞれ、200nm、800nmの厚さで透明基材11の一面に形成して、周知のフォトレジストを用いたエッチング加工により形成した。
ここでは、酸化クロム層、クロム層の形成は、それぞれ、所定の組成材質のターゲットを用いてスパッタリングにて行ったが、金属クロムをターゲットとして、酸素分圧を調整して形成しても良い。
【0026】
(硬化性樹脂組成物Aの調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63重量部、アクリル酸(AA)を12重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88重量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2、2’ーアゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7重量部添加し、均一に溶解させた。
その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。
得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7重量部、トリエチルアミンを0.4重量部、及びハイドロキノンを0.2重量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
次に下記の材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物とした。
・ 上記共重合樹脂溶液(固形分50%) :16重量部
・ ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399)
:24重量部
・ オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70) :4重量部
・ 2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン :4重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :52重量部
【0027】
(赤色の着色樹脂層13Rの形成)
ガラス基板(旭硝子社製、AN材)上に、下記組成の赤色硬化性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥した。
次いで、赤色硬化性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kwの超高圧水銀ランプを用いて着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。
次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。
その後、基板を230℃の雰囲気下に15分間放置することにより、加熱処理を施して赤色の着色樹脂層13Rからなるレリーフパターンを形成した。
形成膜厚は2.0μmとなった。
<赤色硬化性樹脂組成物の組成>
・ C.I.ピグメントレッド177 :3重量部
・ C.I.ピグメントレッド254 :4重量部
・ ポリスルホン酸型高分子分散剤 :3重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :23重量部
・ 酢酸−3−メトキシブチル :67重量部
【0028】
(緑色の着色樹脂層13Gの形成)
次に、下記組成の緑色硬化性樹脂組成物を用いて、赤色の着色樹脂層13Rからなるレリーフパターン形成と同様の工程で、塗布膜厚を変えて、形成膜厚が2.0μmとなるようにして、緑色の着色樹脂層13Gからなるレリーフパターンを形成した。
<緑色硬化性樹脂組成物の組成>
・ C.I.ピグメントグリーン58 :7重量部
・ C.I.ピグメントイエロー138 :1重量部
・ ポリスルホン酸型高分子分散剤 :3重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :22重量部
・ 酢酸ー3−メトキシブチル :67重量部
【0029】
(青色の着色樹脂層13Bの形成)
更に、下記組成の青色硬化性樹脂組成物を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、塗布膜厚を変えて、形成膜厚が2.0μmとなるようにして、青色の着色樹脂層13Bからなるレリーフパターンを形成した。
<青色硬化性樹脂組成物の組成>
・ C.I.ピグメントブルー15:6 :5重量部
・ ポリスルホン酸型高分子分散剤 :3 重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :25重量部
・ 酢酸−3−メトキシブチル :67重量部
【0030】
(WHITE画素形成用の樹脂層14)
ここでは、カラーフィルタ用の各色の着色樹脂層が形成された上に、所望の膜厚になるように硬化性樹脂組成物Aを調製し、コーティング法により塗布、乾燥し、乾燥塗膜4μmの塗布膜を形成した。
各色の着色樹脂層形成と同様の工程にて、WHITE画素形成用の樹脂層14をレリーフパターンとして形成した。
【0031】
次に、所定の組成材質のターゲットを用いてスパッタリングを行い、透明基材11側から順に、それぞれ、酸化クロム層、クロム層を、200nm、800nmの厚さでWHITE画素形成用の樹脂層14上に一面に形成して、周知のフォトレジストを用いたエッチング加工により形成し、形成されたクロム層、酸化クロム層を、周知のフォトレジストを用いたエッチング加工して、光制御部15を形成した。
ここでは、光制御部は、直径10μmの円形状の基材層16を、x方向、y方向に20μmピッチで配列し、且つ、前記直径10μmの円形状の基材層16を、該配列のx方向、y方向の間に、x方向、y方向に半ピッチ10μm分だけずらしてx方向、y方向に20μmピッチで配列させた形状のものとした。
このようにして、第1の例のカラーフィルタ形成基板10を作製した。
【0032】
更に、作製されたカラーフィルタ形成基板10と有機エレクトロルミネッセンス素子形成基板20とを接着剤24にて貼り合わせて、図1(d)に示す白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置は作製される。
接着剤24としては、所望の膜厚になるように前述の硬化性樹脂組成物Aを調製したものを用い、通常は、作製されたカラーフィルタ形成基板10上にコーティング法により塗布形成して用いる。
このようにして、カラーフィルタ形成基板10を用いた白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置は作製される。
【0033】
次に、実施例1のWHITE画素領域に相当するサンプルとして、上記実施例1にて作製したカラーフィルタ形成基板10と同じ構造、材質のWHITE画素領域を、同様の方法により形成し、WHITE画素領域における外光反射性と透過光の明るさを評価してみたが、表1に示すように良好であった。
比較サンプル1として、図4(a)に示す白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置におけるWHITE画素領域に相当するサンプルを、実施例1と同様の方法により形成し、また、比較サンプル2として、図4(b)に示す白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置におけるWHITE画素領域に相当するサンプルを、比較サンプル1の形態に円偏向板を貼り合わせて作製し、これらについて、実施例1のWHITE画素領域に相当するサンプルと同様、外光反射性と透過光の明るさを評価した。
尚、比較サンプル1、比較サンプル2においては、WHITE画素となる樹脂層の形成に用いる硬化性樹脂組成物を調製して、WHITE画素形成用の樹脂層の厚さが2μmとなるようにした。
反射率の測定は、顕微分光装置OSP−SP2000(OLYMPUS社製)を用いて、図6に示すようにして行うが、ここでは、図6のようにサンプルをセットして、目視にて反射光を観察した。
表1では、相対的に外光反射が目立つものを×、目立たないものを○とした。
また、透過率の測定は、サンプルの有機エレクトロルミネッセンス素子からの発光の透過光の明るさを目視にて評価した。
表1では、相対的に明るいものを○、明るくないものを×とした。

【表1】

【符号の説明】
【0034】
10、10a カラーフィルタ形成基板
11 透明基材
12 ブラックマトリクス(BMとも言う)
13R (赤色カラーフィルタ用の)赤色の着色樹脂層
13G (緑色カラーフィルタ用の)緑色の着色樹脂層
13B (青色カラーフィルタ用の)青色の着色樹脂層
13RL 赤色光
13GL 緑色光
13BL 青色光
14、14W (WHITE画素の)樹脂層
14L、14WL WHITE画素からの光(白色光とも言う)
15、15A、15B 光制御部
15a 光透過部
15b 非光透過部
16 基材層
16a 低反射層
16b 反射層
20 有機エレクトロルミネッセンス素子形成基板
21 基材
22 有機エレクトロルミネッセンス素子
22 白色光
24 接着層
25 陽極
26 有機EL層(有機エレクトロルミネッセンス層とも言う)
27 発光層
28 陰極
30 円偏向板
40 検出器
41 検査光
42 透明基材
43 (測定用の)サンプル
44 屈折率調整用オイル
45 黒色の板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置に用いられるカラーフィルタ形成基板であって、透明基材の一面に、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素となる各色の着色樹脂層の他に、高い光透過性のWHITE画素となる樹脂層を配設するもので、前記WHITE画素となる樹脂層領域において、前記透明基材側からの光に対する低反射性を有し、且つ、前記透明基材側とは反対側からの光に対して光透過性を有する光制御部を、前記WHITE画素となる樹脂層に積層して備えていることを特徴とするカラーフィルタ形成基板。
【請求項2】
請求項1に記載のカラーフィルタ形成基板であって、前記光制御部は、非光透過性の基材層を配した領域である非光透過部と、前記非光透過性の基材層を配していない領域である光透過部とからなり、且つ、前記非光透過性の基材層の前記透明基材側の表面を低反射性としていることを特徴とするカラーフィルタ形成基板。
【請求項3】
請求項2に記載のカラーフィルタ形成基板であって、前記光制御部は、前記WHITE画素となる樹脂層の前記透明基材側とは反対側の面に、前記非光透過性の基材層を配して設けられ、且つ、前記非光透過性の基材層は、前記WHITE画素となる樹脂層側の表面を低反射性層とし、反対側の表面を反射性層としていることを特徴とするカラーフィルタ形成基板。
【請求項4】
請求項3に記載のカラーフィルタ形成基板であって、前記低反射層は酸化クロムないし酸化窒化クロム層からなり、前記反射性層はクロム層からなることを特徴とするカラーフィルタ形成基板。
【請求項5】
透明基材の一面に、カラーフィルタ用のR、G、Bの各色の着色画素となる各色の着色樹脂層の他に、高い光透過性のWHITE画素となる樹脂層を配設する、カラーフィルタ形成基板を備えた、白色発光タイプの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置であって、前記カラーフィルタ形成基板として、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ形成基板を用いていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−61500(P2013−61500A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200130(P2011−200130)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】