説明

カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及びカラー液晶表示素子

【課題】アルカリ現像性及び硬化性に優れたカラーフィルタ用着色組成物を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)〜(B);
(A)着色剤、
(B)(b1)下記式(1)で表される繰り返し単位、及び
(b2)酸性基を有するエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位
を有する重合体
を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。


(式(1)において、R1及びR3は相互に独立に水素原子又はメチル基を示し、R2は置換又は非置換の2価の炭化水素基を示し、nは正の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及びカラー液晶表示素子に関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等に用いられるカラーフィルタに有用な着色層の形成に用いられるカラーフィルタ用着色組成物、当該着色組成物を用いて形成された着色層を備えるカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光硬化性着色組成物を用いてカラーフィルタを製造するに当たっては、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、光硬化性着色組成物を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、各色の画素を得る方法(特許文献1及び2)が知られている。また、黒色材料を含有する光重合性組成物を利用してブラックマトリックスを形成する方法(特許文献3)、カラーフィルタ用樹脂組成物を用いてインクジェット方式により各色の画素を得る方法(特許文献4)も知られている。
【0003】
一方、特許文献5には、硬化後の塗膜硬度の高い硬化物を与える硬化性樹脂組成物を提供するために、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル由来の繰り返し単位を有するビニル系重合体を用いることが提案されている。しかしながら、特許文献5には上記繰り返し単位を有する共重合体は具体的に記載されておらず、しかも上記ビニル系重合体を含有する硬化性樹脂組成物を用いてカラーフィルタを構成する画素を形成することは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開平6−35188号公報
【特許文献4】特開2000−310706号公報
【特許文献5】特開2008−63400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、アルカリ現像性及び硬化性に優れたカラーフィルタ用着色組成物を提供することにある。
さらに本発明の課題は、上記カラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色層を有するカラーフィルタ、及び当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意研究を行ったところ、(メタ)アクリロイル基を有するビニルエーテル系単量体と、該単量体とカチオン重合可能な酸性基を有するエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位を有する共重合体を含有せしめることで上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、次の成分(A)〜(B);
(A)着色剤、
(B)(b1)下記式(1)で表される繰り返し単位、及び
(b2)酸性基を有するエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位
を有する重合体(以下、「重合体(B)」とも称する)
を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物を提供するものである。
【0008】
【化1】

【0009】
(式(1)において、R1及びR3は相互に独立に水素原子又はメチル基を示し、R2は置換又は非置換の2価の炭化水素基を示し、nは正の整数である。)
【0010】
また、本発明は、該カラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色層を有するカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子を提供するものである。ここで、本発明において「着色層」とは、カラーフィルタに用いられる各色の画素、ブラックマトリックス等を意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、アルカリ現像性及び硬化性に優れる。したがって、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、カラー液晶表示素子用カラーフィルタ、固体撮像素子の色分解用カラーフィルタ、有機EL表示素子用カラーフィルタ、電子ペーパー用カラーフィルタを始めとする各種のカラーフィルタの作製に極めて好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】基板上に形成された画素パターンにおけるテーパー角の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
カラーフィルタ用着色組成物
以下、本発明のカラーフィルタ用着色組成物(以下、単に「着色組成物」とも称する)の構成成分について説明する。
【0014】
−(A)着色剤−
本発明における(A)着色剤としては着色性を有すれば特に限定されるものではなく、カラーフィルタ等の用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。具体的には、着色剤として、顔料、染料及び天然色素の何れをも使用することができるが、カラーフィルタには耐熱性が求められることから、有機顔料、無機顔料が好ましい。
【0015】
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物が挙げられる。具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0016】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211;
【0017】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74;
【0018】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272;
【0019】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー80;
【0020】
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0021】
本発明においては、有機顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。
【0022】
また、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等が挙げられる。
【0023】
これらの着色剤は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。
本発明においては、(A)着色剤を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
本発明の着色組成物を画素の形成に用いる場合、画素には高精細な発色が求められることから、(A)着色剤としては発色性の高い着色剤が好ましく、具体的には有機顔料が好ましく用いられる。
一方、本発明の着色組成物をブラックマトリックスの形成に用いる場合、ブラックマトリックスには遮光性が要求されることから、(A)着色剤として有機顔料又はカーボンブラックが好ましく用いられる。
【0025】
(A)着色剤の含有量は、透明性及び色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、本発明の着色組成物の全固形分中5〜70質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることが更に好ましい。ここでいう「固形分」とは、後述する溶媒以外の成分である。本発明の着色組成物は、着色剤の含有量が、当該着色組成物の全固形分中、30質量%以上となる場合であっても、アルカリ現像性に優れる。
【0026】
本発明における着色剤は、所望により、分散剤、分散助剤と共に使用することができる。上記分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の適宜の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等を挙げることができる。
【0027】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系共重合体として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ポリウレタンとして、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエチレンイミンとして、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエステルとして、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880(味の素ファインテクノ株式会社製)等を挙げることができる。
【0028】
これらの分散剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。分散剤の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、100質量部以下、好ましくは1〜70質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。分散剤の含有量が多すぎると、現像性等が損なわれるおそれがある。
【0029】
上記分散助剤としては、例えば、顔料誘導体を挙げることができ、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0030】
−(B)重合体−
本発明の着色組成物は、重合体(B)、即ち(b1)上記式(1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(b1)」とも称する)、及び(b2)酸性基を有するエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(b2)」とも称する)を有する重合体を含有することを特徴とする。かかる重合体(B)を含有することにより、本発明の着色組成物は、優れたアルカリ現像性と硬化性を有するものとなる。
【0031】
上記式(1)において、R2としては、例えば、炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜6)の鎖状又は環状のアルキレン基、フェニレン基、1,4−フェニレンビス(メチレン)基等を挙げることができる。これらの基は、炭素数1〜6の鎖状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6の鎖状又は環状のアルコキシ基、ハロゲン等の置換基を有していてもよい。
また、上記式(1)において、nは好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3である。
【0032】
繰り返し単位(b1)を与える単量体としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。
(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、
(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、
(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルフェニルメチル、
【0033】
(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、
(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エトキシ)エチル(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル。
【0034】
これら単量体のうち、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルが好ましい。
繰り返し単位(b1)を与える単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0035】
また、繰り返し単位(b2)を与える単量体としては、繰り返し単位(b1)を与える単量体のビニロキシ基と共重合可能であり、且つ酸性基を有するエチレン性不飽和単量体である限り特に限定されるものではないが、カチオン重合可能であり且つ酸性基を有するエチレン性不飽和単量体であることが好ましい。酸性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基が挙げられ、中でもアルカリ現像性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
【0036】
繰り返し単位(b2)を与える単量体としては、例えば、カルボキシル基を有するビニルエーテル、カルボキシル基を有する芳香族ビニル化合物、フェノール性水酸基を有する芳香族ビニル化合物、スルホン酸基を有するビニル化合物、スルホン酸基を有する芳香族ビニル化合物等を挙げることができる。
【0037】
カルボキシル基を有するビニルエーテルとしては、例えば、水酸基を有するビニルエーテルと酸無水物を反応させて得られる化合物を挙げることができる。水酸基を有するビニルエーテルの具体例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等を挙げることができ、これらの化合物は、丸善石油化学株式会社やBASF社より市販されている。また、酸無水物の具体例としては、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の二塩基酸の無水物を挙げることができる。
カルボキシル基を有する芳香族ビニル化合物の具体例としては、p−ビニル安息香酸、p−イソプロペニル安息香酸等を挙げることができる。
フェノール性水酸基を有する芳香族ビニル化合物の具体例としては、o−ビニルフェノール、m−ビニルフェノール、p−ビニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール等を挙げることができる。
スルホン酸基を有するビニル化合物の具体例としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アリルオキシプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸−2−スルホプロピル、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等を挙げることができる。
スルホン酸基を有する芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレンスルホン酸等を挙げることができる。
【0038】
これらの単量体のうち、カルボキシル基を有するビニルエーテル、カルボキシル基を有する芳香族ビニル化合物が好ましく、特にカルボキシル基を有するビニルエーテルが好ましい。
繰り返し単位(b2)を与える単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0039】
重合体(B)は、繰り返し単位(b1)及び繰り返し単位(b2)と共に、他の繰り返し単位を有することができる。他の繰り返し単位を与える単量体としては、カチオン重合可能な単量体が好ましく、例えば、鎖状又は環状のアルキル基を有するビニルエーテル、エポキシ基を有するビニルエーテル、水酸基を有するビニルエーテル、芳香族ビニル化合物(但し、上記繰り返し単位(b2)を与える単量体を除く)、N−ビニル化合物、脂肪族共役ジエン、カルボン酸ビニルエステル等を挙げることができる。
【0040】
上記鎖状又は環状のアルキル基を有するビニルエーテルの具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル等を挙げることができる。
上記エポキシ基を有するビニルエーテルの具体例としては、3−(ビニルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタン等を挙げることができる。
【0041】
上記水酸基を有するビニルエーテルの具体例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等を挙げることができる。
上記芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレン、アセナフチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
上記N−ビニル化合物の具体例としては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。
【0042】
上記脂肪族共役ジエンの具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を挙げることができる。
上記カルボン酸ビニルエステルの具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等を挙げることができる。
他の繰り返し単位を与える単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0043】
重合体(B)において、繰り返し単位(b1)の含有割合は、好ましくは10〜99質量%、更に好ましくは30〜95質量%である。また、繰り返し単位(b2)の含有割合は、好ましくは1〜80質量%、更に好ましくは5〜70質量%である。このような範囲で、繰り返し単位(b1)及び繰り返し単位(b2)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び硬化性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0044】
重合体(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」とも称する)は、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000、更に好ましくは5,000〜30,000である。Mwが小さすぎると、硬化性が損なわれるおそれがあり、一方大きすぎると、解像度が低下したり、アルカリ現像性やパターン形状が損なわれたりするおそれがある。
また、重合体(B)のMwと、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」とも称する)の比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0、特に好ましくは1.0〜1.9である。
【0045】
重合体(B)は、例えば、上記単量体をカチオン重合することにより製造することができる。カチオン重合法としては、リビングカチオン重合法が好ましく、マクロモレキュールズ,17巻,265−268(1984)、ポリマーブレタン,15巻,417(1986)、マクロモレキュール,26巻,744(1993)、Macromol.Symp.,85,33−43(1994)、マクロモレキュール,25巻,2587(1992)、J.Polym.Sci.Part A Polym,Chem.,46,1913−1918(2008)、特開2006−241189号公報等に記載されている公知の方法を採用することができる。
【0046】
本発明において、重合体(B)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、重合体(B)の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、0.5〜1,000質量部、好ましくは1.5〜500質量部、更に好ましくは3〜300質量部である。重合体(B)の含有量が少なすぎると、所望の効果が得られないおそれがあり、一方多すぎると、相対的に顔料濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0047】
−(C)多官能性単量体−
本発明においては、更に(C)多官能性単量体を含有せしめることにより、着色組成物の硬化性を高めることができる。本発明における(C)多官能性単量体は、2個以上の重合可能な基を有する単量体であれば特に限定されるものではない。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、(C)多官能性単量体としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0048】
上記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0049】
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0050】
また、上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0051】
また、上記2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0052】
これらの多官能性単量体のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
【0053】
本発明において、(C)多官能性単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明における(C)多官能性単量体の含有量は、重合体(B)100質量部に対して、好ましくは10〜700質量部、より好ましくは20〜500質量部である。かかる割合で(C)多官能性単量体を含有せしめることにより、更に硬化性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0054】
−(D)バインダー樹脂−
本発明においては、更に(D)バインダー樹脂(但し、上記(B)成分を除く)を含有せしめることにより、得られる着色組成物のアルカリ現像性や保存安定性を高めることができる。本発明における(D)バインダー樹脂としては特に限定されるものではないが、1個以上のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体(以下、「不飽和単量体(d1)」という。)と、該単量体とラジカル共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(d2)」という。)との共重合体が好ましい。
【0055】
上記不飽和単量体(d1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの不飽和単量体(c1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0056】
また、上記不飽和単量体(d2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンの如き芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの如き不飽和カルボン酸エステル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(d2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0057】
不飽和単量体(d1)と不飽和単量体(d2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(d1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(d1)を共重合させることにより、保存安定性、アルカリ現像性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0058】
不飽和単量体(d1)と不飽和単量体(d2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0059】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0060】
本発明におけるバインダー樹脂のMwは、通常、1,000〜300,000、好ましくは3,000〜100,000である。Mwが小さすぎると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方大きすぎると、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
また、バインダー樹脂のMw/Mnは、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
本発明において、バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0061】
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、好ましくは10〜1,000質量部、より好ましくは15〜500質量部、更に好ましくは20〜300質量部である。かかる割合でバインダー樹脂を含有せしめることにより、更にアルカリ現像性や保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0062】
−(E)光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることもできる。
本発明に用いる(E)光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記重合体(B)及び(C)多官能性単量体の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
【0063】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0064】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0065】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0066】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0067】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0068】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0069】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0070】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0071】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、重合体(B)100質量部に対して、0.01〜500質量部が好ましく、特に1〜300質量部が好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0072】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0073】
−溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(B)成分、及び任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。
上記溶媒としては、本発明の着色組成物を構成する(A)〜(B)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0074】
このような溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0075】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0076】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0077】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
上記溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0078】
さらに、上記溶媒と共に、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶媒を併用することもできる。
上記高沸点溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0079】
溶媒の含有量は特に限定されるものではないが、得られる着色組成物の塗布性、安定性等の観点から、当該着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、通常、5〜50質量%となる量が好ましく、特に10〜40質量%となる量が望ましい。
【0080】
本発明において、着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、例えば、(A)〜(B)成分を、溶媒や任意的に加えられる他の成分と共に、混合することにより調製することができる。好ましい着色組成物の調製方法としては、(A)着色剤を溶媒中、分散剤の存在下で、場合により(B)及び/又は(D)成分の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して着色剤分散液とし、次いで、この着色剤分散液に、(B)成分と、必要に応じてさらに追加の溶媒や他の成分を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
【0081】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物から形成された着色層を備えるものである。
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、赤色の着色剤が分散された本発明の着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
次いで、緑色又は青色の着色剤が分散された各着色組成物の液状組成物を用い、上記と同様にして、各液状組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0082】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
【0083】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
本発明の着色組成物の液状組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜8.0μm、特に好ましくは0.2〜6.0μmである。
【0084】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
上記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜3.0μmである。
【0085】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、赤色の着色剤が分散された本発明の着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、赤色の画素パターンを形成する。
次いで、緑色又は青色の着色剤が分散された各着色組成物の液状組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び青色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
なお、上記隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色着色組成物を用いて形成される。
【0086】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、ブラックマトリックスの厚さと同程度である。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、諸特性に優れるため、カラー液晶表素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0087】
カラー液晶表示素子
本発明のカラー液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。
本発明のカラー液晶表示素子は、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【実施例】
【0088】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0089】
着色剤分散液の調製
調製例1
(A)着色剤としてカーボンブラックを20質量部、分散剤としてDisperbyk−167(ビックケミー(BYK)社製)を8質量部(固形分濃度52質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを72質量部用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−1)を調製した。
【0090】
調製例2
(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)=80/20(質量比)の混合物を15質量部、分散剤としてアジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)を4質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを81質量部用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−2)を調製した。
【0091】
調製例3
(A)着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)/C.I.ピグメントイエロー150=60/40(質量比)の混合物を15質量部、分散剤としてBYK−LPN6919(ビックケミー(BYK)社製、以下同じ)を6.5質量部(固形分濃度60質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=90/10(質量比)混合物を78.5質量部用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−3)を調製した。
【0092】
調製例4
(A)着色剤としてC.I.ピグメントグリーン36/C.I.ピグメントイエロー150=60/40(質量比)の混合物を15質量部、分散剤としてBYK−LPN6919を6.5質量部(固形分濃度60質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=90/10(質量比)の混合物を78.5質量部用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−4)を調製した。
【0093】
重合体(B)の合成
合成例1
乾燥機で十分に乾燥した3つ口フラスコに、乾燥窒素雰囲気下、こはく酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル1.0g、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル10.2g及びジエチルエーテル100mLを仕込み、氷水浴で内温を0℃に冷却した。次いで、1M−HClのジエチルエーテル溶液4.5mLを添加し、この温度を3時間保持してカチオン重合した後、2M−NH3のジエチルエーテル溶液2.3mLを添加した。この反応液につき、1回あたり50gのイオン交換水で2回水洗した後、減圧濃縮を行うことにより、溶媒をプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートに置換し、重合体〔B−1〕を40質量%含有する溶液を得た。重合体〔B−1〕は、Mw=8,000、Mw/Mn=1.5であった。
【0094】
合成例2〜4
単量体、重合開始剤等の種類及び使用量を表1に記載の通りとしたほかは、上記合成例1と同様にして実施し、重合体〔B−2〕、〔B−3〕及び〔b−1〕をそれぞれ40質量%含む溶液を得た。各重合体の分析結果を表1に示す。
【0095】
合成例5
乾燥機で十分に乾燥した3つ口フラスコに、乾燥窒素雰囲気下、ジエチレングリコールジメチルエーテル750gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
他方、モノマー滴下槽として、メタクリル酸ベンジル250g、メタクリル酸メチル65g、メタクリル酸185g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(PBO;日本油脂製、商品名「パーブチルO」)10gを入れ、よく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−ドデカンチオール22.5gを入れたものを準備した。
反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽及び連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始し、重合を開始させた。温度を90℃に保ちながら滴下をそれぞれ180分かけて行い、滴下が終了して30分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。90分110℃を維持した後、室温まで冷却した。禁止剤として2,2'−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール)1.2gを入れ、フラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。反応槽を水浴で冷却しながら、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル267gを3時間かけて滴下した。水浴をはずし、オイルバスで反応槽の温度を40℃まで昇温し、40℃で3時間攪拌を続けた後、室温まで冷却してからジエチレングリコールジメチルエーテル400gで希釈し、重合体〔b−2〕を40質量%含有する溶液を得た。重合体〔b−2〕は、Mw=12,000、Mw/Mn=1.2であった。
【0096】
【表1】

【0097】
(D)バインダー樹脂の合成
合成例5
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル44.0g、N−フェニルマレイミド40.0g、ベンジルメタクリレート16.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300gに溶解し、さらに2,2'−アゾビスイソブチロニトリル8.0g及びα−メチルスチレンダイマー8.0gを投入し、その後15分間窒素パージした。窒素パージの後、反応溶液を攪拌及び窒素バブリングしながら80℃に加熱し5時間重合した。
次いで、この反応溶液にメタクリル酸17.0g、p−メトキシフェノール0.5g及びテトラブチルアンモニウムブロマイド4.4gを添加し、120℃の温度で9時間反応させた。さらに、無水こはく酸18.5gを添加し、100℃の温度で6時間反応させた後、液温度を85℃に保持したまま2回水洗し、減圧濃縮を行うことにより、バインダー樹脂〔D−1〕を33重量%含む溶液を得た。このバインダー樹脂〔D−1〕は、Mw=7,800、Mw/Mn=2.8であった。
【0098】
合成例6
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、ベンジルメタクリレート30.0g、ブチルメタクリレート20.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート15.0g、スチレン20.0g及びメタクリル酸15.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gに溶解し、さらに2,2'−アゾビスイソブチロニトリル3.0g及びα−メチルスチレンダイマー5.0gを投入し、その後15分間窒素パージした。窒素パージの後、反応液を攪拌及び窒素バブリングしながら80℃に加熱し、5時間重合することにより、バインダー樹脂〔D−2〕を33重量%含む溶液を得た。このバインダー樹脂〔D−2〕は、Mw=10,000、Mw/Mn=2.5であった。
【0099】
実施例1
カラーフィルタ用着色組成物の調製
着色剤分散液(A−1)100質量部、重合体(B)として重合体〔B−1〕溶液20.6質量部、(C)多官能性単量体として東亞合成株式会社製M−402(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが主成分)3.0質量部及び東亞合成株式会社製M−450(ペンタエリスリトールテトラアクリレートが主成分)1.9質量部、(E)光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)2.6質量部、並びに溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル71.2質量部を混合して、液状のカラーフィルタ用着色組成物を調製した。
得られたカラーフィルタ用着色組成物について、下記の手順にしたがって、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0100】
現像耐性の評価
得られたカラーフィルタ用着色組成物を、ガラス基板の表面上に、スピンコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレート上で2分間プレベークを行って、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。次いで、基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用い、幅5〜50μmの範囲でサイズの相異なる複数のスリットを有するフォトマスクを介して、400J/m2の露光量で露光した。その後、基板上の塗膜に、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液を1.5kgf/cm2の現像圧(ノズル径1mm)で60秒間吐出することによりシャワー現像を行なった。その後、超純水で洗浄して風乾した。更に、220℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行なって、基板上に赤色のストライプ状画素パターンが配列された画素アレイを形成した。このとき、基板上を光学顕微鏡にて観察し、画素パターンのエッジに欠けが認められるか否かにつき、下記の3段階で評価した。
【0101】
評価基準
○:欠けが認められない。
△:欠けが少し認められる。
×:欠けが多数認められる。
【0102】
また、このときパターン全体が剥離することなく残存していた画素パターンの幅の最小値を、形成可能な最小パターンの幅(μm)として評価した。
【0103】
パターン形状の評価
得られたカラーフィルタ用着色組成物を、ガラス基板の表面上に、スピンコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで4分間プレベークを行なって、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、400J/m2の露光量で露光した。その後、基板上の塗膜に、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液を1.5kgf/cm2の現像圧(ノズル径1mm)で60秒間吐出することによりシャワー現像を行なった。その後、超純水で洗浄して風乾した。更に、220℃で30分間ポストベークを行って、基板上に90μmのストライプ状画素パターンを形成した。次いで、得られた画素パターンの断面形状を走査型電子顕微鏡により観察し、図1に示すテーパー角1を測定した。このテーパー角が80度以上であると、透明電極膜が断線してしまうおそれがある。理想的なテーパー角は30〜70度である。
【0104】
実施例2〜6及び比較例1〜3
着色剤分散液、(B)重合体、(C)多官能性単量体、(D)バインダー樹脂、(E)光重合開始剤及び溶媒の種類並びに使用量を表2に記載の通りとしたほかは、実施例1と同様の操作によりカラーフィルタ用着色組成物を調製し、現像耐性及びパターン形状を評価した。評価結果を表2に示す。
【0105】
【表2】

【0106】
表2に記載の各成分は下記のとおりである。
C−1:東亞合成株式会社製M−402(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが主成分)
C−2:東亞合成株式会社製M−450(ペンタエリスリトールテトラアクリレートが主成分)
E−1:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
E−2:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(商品名IRGACURE OX02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
MBA:3−メトキシブチルアセテート
【符号の説明】
【0107】
1 テーパー角
2 画素パターン
3 基板
10 画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(B);
(A)着色剤、
(B)(b1)下記式(1)で表される繰り返し単位、及び
(b2)酸性基を有するエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位
を有する重合体
を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
【化1】

(式(1)において、R1及びR3は相互に独立に水素原子又はメチル基を示し、R2は置換又は非置換の2価の炭化水素基を示し、nは正の整数である。)
【請求項2】
前記(b2)がカルボキシル基を有するビニルエーテル及びカルボキシル基を有する芳香族ビニル化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項3】
更に(C)多官能性単量体を含有する請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項4】
更に(D)バインダー樹脂(但し、前記成分(B)を除く。)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項5】
更に(E)光重合開始剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色層を有するカラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子。

【図1】
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【公開番号】特開2011−141473(P2011−141473A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2743(P2010−2743)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】