説明

カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及び表示素子

【課題】色度特性に優れ、コントラストが高く、しかも耐熱性、耐溶剤性の良好なカラーフィルタを製造することができる着色組成物を提供すること。
【解決手段】(A)顔料を含む着色剤、(B)下記式(1)で表される繰り返し単位(1)と、下記式(2)で表される繰り返し単位(2)と、架橋性官能基を有する繰り返し単位(3)を含み、前記繰り返し単位(2)の共重合割合が、前記繰り返し単位(1)及び前記繰り返し単位(3)を除く全繰り返し単位中90質量%以上である共重合体、(C)架橋剤、を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及び表示素子に関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示素子、固体撮像素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等に用いられるカラーフィルタに有用な着色層の形成に用いられる着色組成物、当該着色組成物を用いて形成された着色層を備えるカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを具備する表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
着色感放射線性組成物を用いてカラーフィルタを製造するに当たっては、基板上に、顔料分散型の着色感放射線性組成物を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、各色の画素を得る方法(特許文献1〜2)が知られている。また、カーボンブラックを分散させた光重合性組成物を利用してブラックマトリックスを形成する方法(特許文献3)も知られている。さらに、顔料分散型の着色熱硬化性樹脂組成物を用いてインクジェット方式により各色の画素を得る方法(特許文献4)も知られている。
【0003】
ところで、液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタの分野においては、高輝度化や高コントラスト化の要求に伴い、使用される顔料はますます微粒化される傾向にある。このような微粒化された顔料の安定かつ良好な分散性を実現するには、分散剤を用いることが有効であることが知られている。かかる分散剤を用いて顔料の分散性を改善し、コントラストや分散安定性だけでなく現像性等をも向上させる様々な方法(特許文献5〜6)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開平6−35188号公報
【特許文献4】特開2000−310706号公報
【特許文献5】特開2009−25813号公報
【特許文献6】特開2010−134419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら特許文献5〜6の記載の方法によっても、近年のカラー液晶表示素子の高コントラスト化、高色純度化及び高輝度化の要求を実現することは困難であり、しかもカラーフィルタを量産する中での耐熱性、耐溶剤性等の諸問題も解決できているとは言い難い。そのため、近年の高コントラスト化、高色純度化及び高輝度化の要求を実現し、かつ耐熱性、耐溶剤性等に優れるカラーフィルタを製造することができる着色組成物の開発が強く求められている。
したがって、本発明の課題は、色度特性に優れ、コントラストが高く、しかも耐熱性、耐溶剤性の良好なカラーフィルタを製造することができる着色組成物を提供することにある。さらに本発明の課題は、上記着色組成物から形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ、及び当該カラーフィルタを具備する表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、特定の繰り返し単位を有する共重合体を用いることで上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)顔料を含む着色剤、
(B)下記式(1)で表される繰り返し単位(1)と、下記式(2)で表される繰り返し単位(2)と、架橋性官能基を有する繰り返し単位(3)を含み、前記繰り返し単位(2)の共重合割合が、前記繰り返し単位(1)及び前記繰り返し単位(3)を除く全繰り返し単位中90質量%以上である共重合体(以下、「(B)共重合体」とも称する。)、
(C)架橋剤
を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物を提供するものである。
【0008】
【化1】

【0009】
〔式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を示し、Zは−N+234-(但し、R2〜R4は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Y-は対アニオンを示す。)、−NR56(但し、R5及びR6は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、又は置換基を有していてもよい含窒素複素環基を示し、X1は2価の連結基を示す。〕
【0010】
【化2】

【0011】
〔式(2)において、R7は水素原子又はメチル基を示し、R8は飽和脂肪族炭化水素基又は飽和脂環式炭化水素基を示す。〕
【0012】
また、本発明は、該着色組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを具備する表示素子を提供するものである。更に、本発明は、上記(A)顔料を含む着色剤、上記(B)共重合体及び(F)溶媒を含有することを特徴とするカラーフィルタ用顔料分散液を提供するものである。ここで、「着色層」とは、カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等を意味する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の着色組成物を用いれば、色度特性に優れ、コントラストが高く、しかも耐熱性と耐溶剤性の良好な各色画素を有するカラーフィルタを得ることができる。
しがたって、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、カラー液晶表示素子用カラーフィルタ、固体撮像素子の色分解用カラーフィルタ、有機EL表示素子用カラーフィルタ、電子ペーパー用カラーフィルタを始めとする各種のカラーフィルタの作製に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
カラーフィルタ用着色組成物
以下、本発明のカラーフィルタ用着色組成物(以下、単に「着色組成物」という。)の構成成分について説明する。
【0015】
−(A)着色剤−
本発明の着色組成物は、(A)着色剤として顔料を含有する。顔料としては特に限定されるものではなく、有機顔料、無機顔料のいずれでもよい。本発明において顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。もちろん、有機顔料と無機顔料を混合して使用することもできる。
【0016】
上記有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物が挙げられる。具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0017】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211;
【0018】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74;
【0019】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272;
【0020】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー80;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0021】
また、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等が挙げられる。
【0022】
本発明においては、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用することが好ましい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0023】
ところで、カラーフィルタ用着色組成物においては、着色剤として染料を使用することにより、顔料単独では達成することができない高輝度化や高コントラスト化が可能となる。しかしながら、着色剤として染料を使用すると、着色層の耐熱性や耐溶剤性が著しく悪化する場合がある(比較例6参照)。これに対し、本発明の着色組成物においては、顔料分散剤として(B)共重合体を使用することにより、着色剤として顔料と染料を組み合わせて使用した場合であっても、耐熱性や耐溶剤性が良好な着色層を形成することができる着色組成物を得ることができる(実施例10及び11参照)。
【0024】
染料としては、例えば、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されている化合物を挙げることができる。
【0025】
C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等のアゾ系染料;
C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等のアントラキノン系染料;
C.I.パッドブルー5等のフタロシアニン系染料;
C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等のキノンイミン系染料;
C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等のキノリン系染料;
C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等のニトロ系染料;
C.I.ディスパースイエロー201、C.I.ソルベントイエロー179等のメチン系染料。
【0026】
本発明において着色剤として染料を使用する場合、染料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
(A)着色剤の含有割合は、輝度が高く色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0028】
−(B)共重合体−
本発明における(B)共重合体は、繰り返し単位(1)、繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(3)を有し、かつ繰り返し単位(2)の共重合割合が、繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(3)を除く全繰り返し単位中90質量%以上である共重合体であるが、顔料分散剤として機能する。
【0029】
繰り返し単位(1)は、上記式(1)で表わされるものである。
上記式(1)において、R1としては、水素原子及びメチル基のうち、メチル基が好ましい。
また、Zは−N+234-、−NR56又は置換基を有していてもよい含窒素複素環基を示し、R2〜R6は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示すが、本発明において「炭化水素基」とは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含する概念であり、直鎖状、分岐状及び環状のいずれの形態であってもよく、また飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよく、不飽和結合を分子内及び末端のいずれに有していてもよい。
上記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20(好ましくは1〜12)のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。また、上記脂環式炭化水素としては、炭素数3〜20(好ましくは3〜12)の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3〜20(好ましくは3〜12)のシクロアルキル基がより好ましい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。更に、上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリール基、炭素数7〜20(好ましくは炭素数7〜16)のアラルキル基がより好ましい。ここで、本発明において「アリール基」とは、単環〜3環式芳香族炭化水素基をいい、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラニル基等が挙げられる。アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、2−フェニルプロパン−2−イル基等が挙げられる。
中でも、R2〜R6における炭化水素基としては、炭素数1〜12(更に好ましくは1〜6)のアルキル基、炭素数7〜16(更に好ましくは7〜12)のアラルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基が特に好ましい。
なお、R2〜R6における置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、置換又は非置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を挙げることができる。
【0030】
-としては、Cl-、Br-、I-等のハロゲンイオン、ClO4-、BF4-、CH3COO-、PF6-等の酸の対アニオンが挙げられる。
【0031】
また、本発明において「含窒素複素環基」とは、環の構成要素として少なくとも1個の窒素原子を有する複素環基をいい、複素単環基、又はこれらが2個縮合してなる縮合複素環基であることが好ましい。これら複素環基は、不飽和環でも飽和環でもよく、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子)を環内に有していてもよい。
不飽和複素環としては、例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、イミダゾリン環、テトラヒドロピリミジン環等が挙げられる。また、飽和複素環としては、例えば、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等が挙げられる。なお、含窒素複素環基における置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、水酸基、アミノ基、アミド基、チオール基、チオエーテル基等が挙げられる。
【0032】
上記複素単環基としては、5〜7員環が好ましく、具体的には、下記式(1−1)又は(1−2)で表わされる基本骨格を有する基が挙げられ、これら複素単環基は置換基を有していてもよい。
【0033】
【化3】

【0034】
式(1−1)において、Rは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、「*」は結合手であることを示すが、Rにおける炭化水素基としては上記R2と同様のものが挙げられる。
【0035】
【化4】

【0036】
式(1−2)において、「*」は結合手であることを示す。
【0037】
また、上記縮合複素環基としては、具体的には、下記式(1−3)〜(1−5)で表わされる基本骨格を有する基が挙げられ、これら縮合複素環基は置換基を有していてもよい。
【0038】
【化5】

【0039】
【化6】

【0040】
【化7】

【0041】
式(1−3)〜(1−5)において、「*」は結合手であることを示す。
【0042】
上記式(1)において、2価の連結基(X1)としては、例えば、メチレン基、炭素数2〜10(好ましくは2〜6)のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R11−基、−COO−R12−基等が挙げられる。ここで、R11及びR12は、相互に独立に、単結合、メチレン基、炭素数2〜10(好ましくは2〜6)のアルキレン基、又は炭素数2〜10のエーテル基(アルキレンオキシアルキレン基)である。中でも、X1としては、−COO−R12−基が好ましく、R12としては、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましい。
【0043】
繰り返し単位(2)は、上記式(2)で表わされるものである。
上記式(2)において、R7としては水素原子及びメチル基のうち、メチル基が好ましい。
8における飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜15(好ましくは1〜12)のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソデシル基、ドデシル基が特に好ましい。
また、R8における飽和脂環式炭化水素基としては、例えばシクロアルキル基、飽和縮合多環炭化水素基、飽和橋かけ環炭化水素基、飽和スピロ炭化水素基、飽和環状テルペン炭化水素基等が挙げられる。中でも、R8としては、炭素数3〜20(好ましくは4〜15)の飽和脂環式炭化水素基が好ましく、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、デカヒドロ−2−ナフチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、アダマンチル基、ペンタシクロペンタデカニル基、トリシクロペンテニル基、イソボルニル基が特に好ましい。
【0044】
繰り返し単位(3)は架橋性官能基を有するが、かかる架橋性官能基としては特に限定されるものではなく、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、エピチオ基、(ジチオ)カーボナート基等を挙げることができる。これらの架橋性官能基のうち、耐熱性、耐溶剤性の点から、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基が好ましい。また、コントラストの点から、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基が好ましい。
上記エチレン性不飽和基の具体例としては、アリル基、ビニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ、ビニルベンジルオキシ基等を挙げることができる。また、上記オキシラニル基の具体例としては、グリシジル基、2−メチルグリシジル基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基等を挙げることができ、上記オキセタニル基の具体例としては、3−メチルオキセタン−3−イル基、3−エチルオキセタン−3−イル基、3−メチルオキセタン−3−イルメトキシ基、3−エチルオキセタン−3−イルメトキシ基等を挙げることができる。また、上記テトラヒドロフラニル基の具体例としては、テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロフラン−3−イル基等を挙げることができる。
【0045】
繰り返し単位(3)としては、例えば、下記式(3)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0046】
【化8】

【0047】
式(3)において、R10は水素原子又はメチル基を示し、Aは架橋性官能基を示し、X2は単結合又は2価の連結基を示す。
【0048】
上記式(3)において、R10としては水素原子及びメチル基のうち、メチル基が好ましい。
2価の連結基(X2)としては、例えば、−CONH−R13−(*)基、−COO−R14−(*)基、−COO−R15−OOCNH−R16−(*)基、−C64CH2−(*)基、−C64CH2OR17−(*)基等が挙げられる。ここで、R13及びR14は、相互に独立に、単結合、メチレン基、水酸基を有していてもよい炭素数2〜10の炭化水素基又は炭素数2〜10のエーテル基(アルキレンオキシアルキレン基)を示し、R15及びR16は、相互に独立に、メチレン基又は炭素数2〜10(好ましくは2〜6)のアルキレン基を示し、R17は、水酸基を有していてもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示し、(*)がAと結合する結合手であることを示す。なお、R13及びR14における炭化水素基としては上記R2と同様のものが挙げられる。
中でも、X2としては、−COO−R14−基、−COO−R15−OOCNH−R16−基が好ましい。
【0049】
(B)共重合体は、上記以外の繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4)」という)を有していてもよい。このような繰り返し単位(4)の例としては、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンなどの酸性基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸アリール系単量体;(メタ)アクリル酸クロライドなどの(メタ)アクリル酸ハライド系単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系単量体; 酢酸ビニル;アクリロニトリル;N−メタクリロイルモルホリン等の単量体に由来する繰り返し単位、下記式(4)で表わされる繰り返し単位が挙げられる。ここで、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味するものとする。
【0050】
【化9】

【0051】
式(4)において、R20は水素原子又はメチル基を示し、R21は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、R22は炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0052】
(B)共重合体において、繰り返し単位(1)の共重合割合は、全繰り返し単位中、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは15〜40質量%である。繰り返し単位(2)の共重合割合は、繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(3)を除く全繰り返し単位中、90質量%以上であるが、好ましくは95質量%以上、より好ましくは100質量%である。繰り返し単位(3)の共重合割合は、全繰り返し単位中、好ましくは3〜80質量%、より好ましくは5〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%である。各繰り返し単位をこのような割合で共重合することにより、所望の効果をより高めることができる。
【0053】
また、(B)共重合体における繰り返し単位(1)としては、Zが−N+234-である繰り返し単位と、Zが−NR56である繰り返し単位の両方を含むことが、コントラストをより高めることができる点で好ましい。この場合、Zが−N+234-である繰り返し単位と、Zが−NR56である繰り返し単位の共重合比(モル比)は、20/80〜99/1が好ましく、30/70〜98/2がより好ましく、40/60〜97/3が特に好ましい。
【0054】
(B)共重合体は、繰り返し単位(1)、繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(3)を有する限り、特に限定されるものではないが、分散性をより高める点から、繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(3)を有さず、繰り返し単位(1)を有するAブロックと、繰り返し単位(1)を有さず、繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(3)を有するBブロックとを含む、ブロック共重合体であることが好ましい。該ブロック共重合体は、A−Bブロック共重合体又はB−A−Bブロック共重合体であることが好ましい。この場合、Aブロック/Bブロックの共重合比(質量比)は、5/95〜70/30が好ましく、10/90〜60/40がより好ましく、15/85〜40/60が特に好ましい。
【0055】
Aブロック中において、繰り返し単位(1)は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよく、その場合、各々の繰り返し単位は、該Aブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。本発明において、Aブロックには、Zが−N+234-である繰り返し単位(1)と、Zが−NR56である繰り返し単位(1)の両方が含有されていることが好ましい。
【0056】
一方、Bブロック中において、繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(3)は、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。(B)共重合体がB−A−Bブロック共重合体である場合、繰り返し単位(2)を有しかつ繰り返し単位(3)を有さないB1ブロックと、繰り返し単位(3)を有しかつ繰り返し単位(2)を有さないB2ブロックとを有するB1−A−B2ブロック共重合体であってもよい。また、繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(3)は、1つのBブロック中に各々2種以上含有されていてもよく、その場合、各々の繰り返し単位は、該Bブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。
【0057】
繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(3)以外の繰り返し単位がBブロック中に含有されていてもよく、そのような繰り返し単位の例としては、上記繰り返し単位(4)が挙げられる。
【0058】
(B)ブロック共重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:DMF)で測定したポリメタクリル酸メチル換算の重量平均分子量(以下、「Mw」とも称する)で好ましくは1,000〜30,000、特に好ましくは5,000〜15,000である。また、(B)ブロック共重合体のMwと、GPC(溶出溶媒:DMF)で測定したポリメタクリル酸メチル換算の数平均分子量(以下、「Mn」という)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜1.8、より好ましくは1.0〜1.7、更に好ましくは1.0〜1.6、特に好ましくは1.0〜1.5である。(B)共重合体をこのような態様にすることにより、分散性及びアルカリ現像性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0059】
(B)共重合体は、公知の方法により製造することができるが、(B)共重合体がブロック共重合体である場合、例えば、上記各繰り返し単位を与える単量体を、リビング重合することにより製造することができる。リビング重合法としては、特開平9−62002号公報;特開2002−31713号公報;P.Lutz,P.Masson et al,Polym.Bull.12,79 (1984);B.C.Anderson,G.D.Andrews et al,Macromolecules,14,1601(1981);K.Hatada,K.Ute,et al,Polym.J.17,977(1985);K.Hatada,K.Ute,et al,Polym.J.18,1037(1986);右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36,366(1987);東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46,189(1989);M.Kuroki,T.Aida,J.Am.Chem.Soc,109,4737(1987);相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43,300(1985);D.Y.Sogoh,W.R.Hertler et al,Macromolecules,20,1473(1987);J.Polym.Sci.Part A Polym.Chem.,47,3773−3794(2009);J.Polym.Sci.Part A Polym.Chem.,47,3544−3557(2009)等に記載されている公知の方法を採用することができる。
【0060】
繰り返し単位(1)を与える単量体であって、式(1)におけるZが−N+234-又は−NR56である単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチル(4−ベンゾイルベンジル)ジメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、Zが−N+234-である繰り返し単位(1)は、例えば、Zが−NR56である単量体(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート)を共重合した後、該共重合体に塩化ベンジル等のハロゲン化炭化水素化合物を反応させ、アミノ基を4級化させても得ることが可能である。
【0061】
また、繰り返し単位(1)を与える単量体であって、式(1)におけるZが含窒素複素環基である単量体としては、例えば、下記式の化合物群α(モノマー1〜18)、下記式(5)で表わされる化合物等が挙げられる。なお、繰り返し単位(1)を与える単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0062】
【化10】

【0063】
【化11】

【0064】
また、繰り返し単位(2)を与える単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、デカヒドロ−2−ナフチル(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0065】
繰り返し単位(3)を与える単量体としては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(テトラヒドロフルフリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0066】
なお、架橋性官能基がエチレン性不飽和結合である繰り返し単位(3)は、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等を共重合する以外にも、様々な方法により導入することができる。かかる方法としては、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(例えば、(メタ)アクリル酸)を共重合した後、該共重合体にオキシラニル基を有するエチレン性不飽和化合物(例えば、グリシジル(メタ)アクリレート)を反応させる方法、オキシラニル基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合した後、該共重合体にカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる方法、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)を共重合した後、該共重合体にイソシアナト基を有するエチレン性不飽和化合物(例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート)を反応させる方法等を挙げることができる。
【0067】
また、繰り返し単位(4)を与える単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングルコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
(B)共重合体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。(B)共重合体の含有量は、顔料100質量部に対して、通常、1〜100質量部、好ましくは5〜70質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。(B)共重合体の含有量が多すぎると、現像性が損なわれるおそれがある。
【0069】
本発明においては、分散性を高めるために、更に公知の分散剤を含有せしめることもできる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、脂肪酸変性ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤、顔料誘導体等を挙げることができる。
このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー(BYK)社製)、ディスパロン(楠本化成(株)製)、Solsperse(ルーブリゾール社製)、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)等を挙げることができる。また、顔料誘導体の具体例としては、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0070】
−(C)架橋剤−
本発明において(C)架橋剤とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、(C)架橋剤としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0071】
上記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0072】
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0073】
また、上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0074】
また、上記2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0075】
これらの(C)架橋剤のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、(C)架橋剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0076】
本発明における(C)架橋剤の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、特に20〜500質量部が好ましい。この場合、(C)架橋剤の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、(C)架橋剤の含有量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が低下し、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0077】
−(D)バインダー樹脂−
本発明の着色組成物には、(D)バインダー樹脂を含有せしめることができる。これにより、着色組成物にアルカリ現像性や基板への結着性を高めることができる。このようなバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(d1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(d2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
【0078】
上記不飽和単量体(d1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(d1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0079】
また、上記不飽和単量体(d2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0080】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0081】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(d2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0082】
不飽和単量体(d1)と不飽和単量体(d2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(d1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(d1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0083】
不飽和単量体(d1)と不飽和単量体(d2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2002−296778号公報、特開2004−101728公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0084】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平09−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0085】
本発明におけるバインダー樹脂は、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。重量平均分子量が小さすぎると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方大きすぎると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
【0086】
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量と、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量との比は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
【0087】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0088】
本発明において、バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0089】
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。バインダー樹脂の含有量が少なすぎると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、得られる着色組成物の保存安定性が低下したりするおそれがあり、一方多すぎると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0090】
−(E)光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、(E)光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる(E)光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記(C)架橋剤の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0091】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
【0092】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0093】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0094】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0095】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0096】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0097】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0098】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0099】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0100】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(C)架橋剤100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0101】
−(F)溶媒−
本発明の着色組成物は、通常、(A)顔料を含む着色剤を(F)溶剤中、(B)共重合体及び必要に応じて他の分散剤や(D)バインダー樹脂の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液とし、次いで、この顔料分散液に、(C)架橋剤と、必要に応じて(D)バインダー樹脂、(E)光重合開始剤、更に追加の(F)溶媒等を添加し、混合する方法により調製される。(F)溶媒としては、着色組成物を構成する成分(A)〜(C)や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。但し、上記顔料分散液を調製する際には、分散性及び安定性の点から、(f1)水酸基を有する溶媒(以下、「溶媒(f1)」とも称する。)と、(f2)水酸基を有しない溶媒(以下、「溶媒(f2)」とも称する。)を併用することが好ましい。
【0102】
このような溶媒のうち、溶媒(f1)としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0103】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類
等を挙げることができる。
【0104】
これらの溶媒(f1)のうち、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類が好ましく、特にプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。溶媒(f1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0105】
また、溶媒(f2)としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0106】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0107】
これらの溶媒(f2)のうち、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エーテル類、ケトン類、ジアセテート類、アルコキシカルボン酸エステル類が好ましく、特にエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルが好ましい。溶媒(f2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0108】
本発明において、顔料分散液における溶媒(f1)と溶媒(f2)の含有比率(質量比)は、好ましくは1/99〜30/70、より好ましくは5/95〜25/75である。
【0109】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、顔料分散液であるか着色組成物であるかに関わらず、当該顔料散液又は着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、特に10〜40質量%となる量が好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性、安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0110】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0111】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。
【0112】
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、赤色の着色剤が分散された本発明の感放射線性組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0113】
次いで、緑色又は青色の各着色感放射線性組成物を用い、上記と同様にして、各着色感放射線性組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0114】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された着色感放射線性組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
【0115】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0116】
着色感放射線性組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0117】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0118】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8.0μm、好ましくは1.2〜5.0μmである。
【0119】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0120】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0121】
上記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0122】
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜3.0μmである。
【0123】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、赤色の着色剤が分散された本発明の着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、赤色の画素パターンを形成する。
【0124】
次いで、緑色又は青色の各着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び青色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない
【0125】
なお、上記隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0126】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された着色感放射線性組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0127】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【0128】
本発明のカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0129】
本発明のカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0130】
また、本発明のカラーフィルタを具備する有機EL表示素子は、適宜の構造を採ることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【0131】
また、本発明のカラーフィルタを具備する電子ペーパーは、適宜の構造を採ることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【実施例】
【0132】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0133】
以下で使用する原料の略称は、次のとおりである。
THF :テトラヒドロフラン
EEMA:メタクリル酸1−エトキシエチル
MA :メタクリル酸
nBMA:ノルマルブチルメタクリレート
MMA :メタクリル酸メチル
OXMA:3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン
AMA :アリルメタクリレート
THFMA:テトラヒドロフルフリルメタクリレート
AIBN:2,2'−アゾビスイソブチロニトリル
DAMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
PME−200:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
BzCl:塩化ベンジル
【0134】
<(B)共重合体の合成>
合成例1
1000mLフラスコにTHF518.26g、塩化リチウム(4.05質量%THF溶液)42.09g、ジイソプロピルアミン2.06gを加え、−60℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム8.50g(15.36質量%ヘキサン溶液)を加え、15分間熟成した。
次に、DAMA44.71gを滴下し、滴下後20分反応継続した。そして、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと略す)を測定し、モノマーの消失を確認した。
次いで、MMA28.05g、nBMA39.24g、OXMA28.03gの混合液を60分かけて滴下し、滴下後30分反応を継続した。GCを測定し、モノマーの消失を確認した後、メタノール3.22gを加えて反応を停止した。
反応液を酢酸エチルで希釈し、三回水洗後、溶媒を留去した。PGMEAに溶媒置換後、PGMEを加え、PGMEA/PGME=7/3(質量比)の35質量%溶液になるように調整した。DAMAに対して、0.8当量のBzClを加え、70℃で7時間反応させることにより、4級アンモニウム化を行った。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位の約80モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、nBMA、MMA及びOXMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体を「共重合体(B−1)」とする。
【0135】
合成例2
1000mLフラスコにTHF535.69g、塩化リチウム(4.05質量%THF溶液)44.41g、ジイソプロピルアミン2.10gを加え、−60℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム8.53g(15.36質量%ヘキサン溶液)を加え、15分間熟成した。
次に、DAMA45.57gを滴下し、滴下後20分反応継続した。そして、GCを測定し、モノマーの消失を確認した。
次いで、MMA23.83g、nBMA39.32g、OXMA25.24g、EEMA12.74gの混合液を60分かけて滴下し、滴下後30分反応を継続した。GCを測定し、モノマーの消失を確認した後、メタノール3.28gを加えて反応を停止した。
反応液を酢酸エチルで希釈し、三回水洗後、溶媒を留去した。PGMEAに溶媒置換後、ポリマーと同量の水を加え、115℃で7時間熟成させた。
次にPGMEを加え、PGMEA/PGME=7/3(質量比)の35質量%溶液になるように調整した。DAMAに対して、0.8当量のBzClを加え、70℃で7時間反応させることにより、4級アンモニウム化を行った。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位の約80モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、nBMA、MMA、MA及びOXMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体を「共重合体(B−2)」とする。
【0136】
合成例3
1000mLフラスコにTHF521.71g、塩化リチウム(4.05質量%THF溶液)46.79g、ジイソプロピルアミン2.14gを加え、−60℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム8.20g(15.36質量%ヘキサン溶液)を加え、15分間熟成した。
次に、DAMA44.82gを滴下し、滴下後20分反応継続した。そして、GCを測定し、モノマーの消失を確認した。
次いで、MMA28.50g、nBMA39.60g、AMA28.48gの混合液を60分かけて滴下し、滴下後30分反応を継続した。GCを測定し、モノマーの消失を確認した後、メタノール3.38gを加えて反応を停止した。
反応液を酢酸エチルで希釈し、三回水洗後、溶媒を留去した。PGMEAに溶媒置換後、PGMEを加え、PGMEA/PGME=7/3(質量比)の35質量%溶液になるように調整した。DAMAに対して、0.8当量のBzClを加え、70℃で7時間反応させることにより、4級アンモニウム化を行った。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位の約80モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、nBMA、MMA及びAMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体を「共重合体(B−3)」とする。
【0137】
合成例4
1000mLフラスコにTHF519.56g、塩化リチウム(4.05質量%THF溶液)48.46g、ジイソプロピルアミン2.11gを加え、−60℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム8.47g(15.36質量%ヘキサン溶液)を加え、15分間熟成した。
次に、DAMA45.12gを滴下し、滴下後20分反応継続した。そして、GCを測定し、モノマーの消失を確認した。
次いで、MMA23.86g、nBMA39.95g、AMA25.57g、EEMA12.78gの混合液を60分かけて滴下し、滴下後30分反応を継続した。GCを測定し、モノマーの消失を確認した後、メタノール3.22gを加えて反応を停止した。
反応液を酢酸エチルで希釈し、三回水洗後、溶媒を留去した。PGMEAに溶媒置換後、ポリマーと同量の水を加え、115℃で7時間熟成させた。
次にPGMEを加え、PGMEA/PGME=7/3(質量比)の35質量%溶液になるように調整した。DAMAに対して、0.8当量のBzClを加え、70℃で7時間反応させることにより、4級アンモニウム化を行った。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位の約80モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、nBMA、MMA、MA及びAMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体を「共重合体(B−4)」とする。
【0138】
合成例5
1000mLフラスコにTHF521.03g、塩化リチウム(3.59質量%THF溶液)48.20g、ジイソプロピルアミン2.11gを加え、−60℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム8.67g(15.36質量%ヘキサン溶液)を加え、15分間熟成した。
次に、DAMA44.75gを滴下し、滴下後20分反応継続した。そして、GCを測定し、モノマーの消失を確認した。
次いで、MMA27.80g、nBMA39.31g、THFMA28.15gの混合液を60分かけて滴下し、滴下後30分反応を継続した。GCを測定し、モノマーの消失を確認した後、メタノール3.29gを加えて反応を停止した。
反応液を酢酸エチルで希釈し、三回水洗後、溶媒を留去した。PGMEAに溶媒置換後、PGMEを加え、PGMEA/PGME=7/3(質量比)の35質量%溶液になるように調整した。DAMAに対して、0.8当量のBzClを加え、70℃で7時間反応させることにより、4級アンモニウム化を行った。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位の約80モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、nBMA、MMA及びTHFMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体を「共重合体(B−5)」とする。
【0139】
合成例6
攪拌子を備えたフラスコ内で、nBMA7.8g、MMA5.6g、OXMA5.6g、AIBN228mg及びピラゾール−1−ジチオカルボン酸シアノ(ジメチル)メチルエステル588mgを、トルエン30mLに溶解し、30分間窒素バブリングを行った。その後ゆるやかに攪拌して、反応溶液の温度を60℃に上昇させ、この温度を24時間保持してリビングラジカル重合を行った。
次いで、AIBN466mgとDAMA9.0gをトルエン20mLに溶解し30分間窒素置換を行った溶液を上記反応溶液に添加し、60℃で24時間リビングラジカル重合を行った。その後、減圧濃縮により、PGMEの26.7質量%溶液に調整した。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、nBMA、MMA及びOXMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。
次いで、得られたブロック共重合体溶液に、DAMAに対して、0.8当量のBzClを添加し、その後ゆるやかに攪拌して、ブロック共重合体溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を15時間保持して、4級アンモニウム化を行った。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位の約80モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、nBMA、MMA及びOXMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体を「共重合体(B−6)」とする。
【0140】
合成例7
攪拌子を備えたフラスコ内で、nBMA7.8g、MMA5.6g、AMA5.6g、AIBN254mg及びピラゾール−1−ジチオカルボン酸シアノ(ジメチル)メチルエステル656mgを、トルエン30mLに溶解し、30分間窒素バブリングを行った。その後ゆるやかに攪拌して、反応溶液の温度を60℃に上昇させ、この温度を24時間保持してリビングラジカル重合を行った。
次いで、AIBN466mgとDAMA9.0gをトルエン20mLに溶解し30分間窒素置換を行った溶液を上記反応溶液に添加し、60℃で24時間リビングラジカル重合を行った。その後、減圧濃縮により、PGMEの26.7質量%溶液に調整した。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、nBMA、MMA及びAMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。
次いで、得られたブロック共重合体溶液に、DAMAに対して、0.4当量のBzClを添加し、その後ゆるやかに攪拌して、反応溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を24時間保持して、4級アンモニウム化を行った。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位の約40モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、nBMA、MMA及びAMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体を「共重合体(B−7)」とする。
【0141】
合成例8
攪拌子を備えたフラスコ内で、nBMA7.8g、MMA5.6g、THFMA5.6g、AIBN254mg及びピラゾール−1−ジチオカルボン酸シアノ(ジメチル)メチルエステル626mgを、トルエン30mLに溶解し、30分間窒素バブリングを行った。その後ゆるやかに攪拌して、反応溶液の温度を60℃に上昇させ、この温度を24時間保持してリビングラジカル重合を行った。
次いで、AIBN513mgとDAMA9.0gをトルエン20mLに溶解し30分間窒素置換を行った溶液を上記反応溶液に添加し、60℃で24時間リビングラジカル重合を行った。その後、減圧濃縮により、PGMEの26.7質量%溶液に調整した。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、nBMA、MMA及びTHFMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。
次いで、得られたブロック共重合体溶液に、DAMAに対して、0.8当量のBzClを添加し、その後ゆるやかに攪拌して、反応溶液の温度を90℃に上昇させ、この温度を8時間保持して、4級アンモニウム化を行った。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位の約80モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、nBMA、MMA及びTHFMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体を「共重合体(B−8)」とする
【0142】
比較合成例1
1000mLフラスコにTHF617.82g、塩化リチウム(3.63質量%THF溶液)12.44g、ジフェニルエチレン3.39gを加え、−60℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム7.82g(15.36質量%ヘキサン溶液)を加え、15分間熟成した。
次に、MMA40.24g、nBMA18.70g、PME−200を10.17g、OXMA27.30gの混合液を60分かけて滴下し、滴下後20分反応継続した。そして、GCを測定し、モノマーの消失を確認した。
次いで、DAMA47.38gを滴下し、滴下後30分反応継続した。そして、GCを測定し、モノマーの消失を確認した後、メタノール3.86gを加えて反応を停止した。
反応液を酢酸エチルで希釈し、三回水洗後、溶媒を留去した。PGMEAに溶媒置換後、PGMEを加え、PGMEA/PGME=7/3(質量比)の35質量%溶液になるように調整した。DAMAに対して、0.8当量のBzClを加え、70℃で7時間反応させることにより、4級アンモニウム化を行った。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位の約80モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、nBMA、MMA、PME−200及びOXMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体を「共重合体(b−1)」とする。
【0143】
比較合成例2
1000mLフラスコにTHF560.41g、塩化リチウム(3.63質量%THF溶液)11.32g、ジフェニルエチレン3.27gを加え、−60℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム7.28g(15.36質量%ヘキサン溶液)を加え、15分間熟成した。
次に、MMA33.69g、nBMA15.80g、PME−200を8.66g、AMA23.15gの混合液を60分かけて滴下し、滴下後20分反応継続した。そして、GCを測定し、モノマーの消失を確認した。
次いで、DAMA40.30gを滴下し、滴下後30分反応継続した。そして、GCを測定し、モノマーの消失を確認した後、メタノール3.65gを加えて反応を停止した。
反応液を酢酸エチルで希釈し、三回水洗後、溶媒を留去した。PGMEAに溶媒置換後、PGMEを加え、PGMEA/PGME=7/3(質量比)の35質量%溶液になるように調整した。DAMAに対して、0.8当量のBzClを加え、70℃で7時間反応させることにより、4級アンモニウム化を行った。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位の約80モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、nBMA、MMA、PME−200及びAMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体を「共重合体(b−2)」とする。
【0144】
比較合成例3
1000mLフラスコにTHF626.56g、塩化リチウム(3.63質量%THF溶液)10.26g、ジフェニルエチレン3.23gを加え、−60℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム6.95g(15.36質量%ヘキサン溶液)を加え、10分間熟成した。
次に、MMA26.52g、nBMA62.13gの混合液を30分かけて滴下し、滴下後15分反応を継続した。そしてGCを測定し、モノマーの消失を確認した。
次に、DAMA42.19部を滴下し、滴下後30分反応継続した。そして、GCを測定し、モノマーの消失を確認した後、メタノール3.79部を加えて反応を停止した。
反応液を酢酸エチルで希釈し、三回水洗後、溶媒を留去した。PGMEAに溶媒置換後、PGMEを加え、PGMEA/PGME=7/3(質量比)の35質量%溶液になるように調整した。DAMAに対して、0.8当量のBzClを加え、70℃で7時間反応させることにより、4級アンモニウム化を行った。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位の約80モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、nBMA及びMMA由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体を「共重合体(b−3)」とする。
【0145】
上記合成例において、4級アンモニウム化前の共重合体のMw、Mn及び各単量体の共重合割合(質量%)を表1に示す。
【0146】
<酸価の測定>
上記各合成例で得た(B)共重合体の酸価を下記の要領で測定した。表1に測定結果を示す。
ブロック共重合体溶液0.5gを1mgの単位まで精密に秤量し、硝子容器に取り分けた。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートにより50mLに希釈した後、フェノールフタレインを添加し、0.1Nエタノール性水酸化カリウム水溶液で滴定を行い、ピンク色に着色した点を終点とした。同様に空試験を行なった。(B)共重合体と空試験の0.1Nエタノール性水酸化カリウム水溶液滴下量から酸価(単位:mgKOH/g)を算出した。
【0147】
<アミン価の測定>
上記各合成例で得た(B)共重合体のアミン価を下記の要領で測定した。表1に測定結果を示す。
共重合体溶液0.5gを1mgの単位まで精密に秤量し、硝子容器に取り分けた。無水酢酸/酢酸=9/1(体積比)20mLを添加し溶解し、室温で3時間放置した。その後、さらに酢酸30mLを加えた後、電位差測定装置AT−510(京都電子工業株式会社製)を用いて、0.1mol/L過塩素酸・酢酸溶液で滴定を行った。同様に空試験を行なった。(B)ブロック共重合体と空試験の0.1mol/L過塩素酸・酢酸溶液滴下量からアミン価(単位:mgKOH/g)を算出した。
【0148】
【表1】

【0149】
<顔料分散液の調製>
調製例1
着色剤としてC.I.ピグメントレッド177を9質量部とC.I.ピグメントレッド254を6質量部、共重合体(B−1)溶液17.0質量部(不揮発成分=35質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60.0質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル8質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(A−1)を調製した。
【0150】
調製例2〜14及び比較調製例1〜6
調製例1において、着色剤、(B)共重合体及び溶媒の種類及び量を表2に示すように変更した以外は調製例1と同様にして、顔料分散液(A−2)〜(A−20)を調製した。
【0151】
<着色剤分散液の評価>
得られた顔料分散液の粘度を、E型粘度計(東京計器製)を用いて測定した。また、得られた顔料分散液を遮光ガラス容器に充填し、密閉状態で23℃にて14日間静置した後、E型粘度計(東京計器製)を用いて再度粘度を測定した。そして、調製直後の粘度に対する14日間保存後の粘度の増加率を算出し、増加率が5%未満の場合を「A」、5%以上10%未満の場合を「B」、10%以上の場合を「C」として評価した。評価結果を表2に示す。
【0152】
表2中、「R177」とはC.I.ピグメントレッド177を、「R254」とはC.I.ピグメント254を、「G58」とはC.I.ピグメントグリーン58を、「Y150」とはC.I.ピグメントイエロー150を、「B15:6」とはC.I.ピグメントブルー15:6、「V23」とはC.I.ピグメントバイオレット23を、「Y179」とは有機染料であるC.I.ソルベントイエロー179を、「PGMEA」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、「PGME」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルを、それぞれ意味する。
【0153】
【表2】

【0154】
<バインダー樹脂の合成>
合成例9
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル44.0g、N−フェニルマレイミド40.0g、BzMA16.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300gに溶解し、さらにAIBN8.0g及びα−メチルスチレンダイマー8.0gを投入し、その後15分間窒素パージした。窒素パージの後、反応溶液を攪拌及び窒素バブリングしながら80℃に加熱し5時間重合した。
次いで、この反応溶液にMA17.0g、p−メトキシフェノール0.5g及びテトラブチルアンモニウムブロマイド4.4gを添加し、120℃で9時間反応させた。さらに、無水こはく酸18.5gを添加し、100℃で6時間反応させた後、液温を85℃に保持したまま2回水洗し、減圧濃縮を行うことにより、バインダー樹脂(D−1)を33質量%含む溶液を得た。このバインダー樹脂(D−1)は、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量=7,800、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量との比=2.8であった。
【0155】
合成例10
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、BzMA30.0g、nBMA20.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート15.0g、スチレン20.0g及びMA15.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gに溶解し、さらにAIBN3.0g及びα−メチルスチレンダイマー5.0gを投入し、その後15分間窒素パージした。窒素パージの後、反応液を攪拌及び窒素バブリングしながら80℃に加熱し、5時間重合することにより、バインダー樹脂(D−2)を33質量%含む溶液を得た。このバインダー樹脂(D−2)は、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量=10,000、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量との比=2.5であった。
【0156】
合成例11
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、OXMA25.0g、MA18.0g、こはく酸モノ2−アクリロキシエチル9.0g、N−フェニルマレイミド10.0g、BzMA24.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート14.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300gに溶解し、さらにAIBN6.0g及びα−メチルスチレンダイマー6.0gを投入し、その後15分間窒素パージした。窒素パージの後、反応液を攪拌及び窒素バブリングしながら80℃に加熱し、5時間重合することにより、前駆体共重合体溶液を得た。
得られた前駆体共重合体溶液200gに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート13.4g、重合禁止剤として4−メトキシフェノール0.2gを添加し、90℃で2時間反応させた。この反応液につき、1回当たり75gのイオン交換水で2回水洗し、減圧濃縮を行うことにより、バインダー樹脂(D−3)を33質量%含む溶液を得た。バインダー樹脂(D−3)は、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量=11,000、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量との比=1.9であった。
【0157】
<着色組成物の調製及び評価>
着色組成物の調製
実施例1
顔料分散液(A−1)100質量部、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(D−2)溶液34.1質量部、架橋剤として東亞合成株式会社製M−402(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが主成分)11.3質量部、光重合開始剤として2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア379、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)4.2質量部、フッ素系界面活性剤としてDIC株式会社製メガファックF−554を0.05質量部及び溶剤として3−エトキシプロピオン酸エチル162質量部を混合して、液状の着色組成物を調製した。
【0158】
色度特性の評価
得られた着色組成物を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、100℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用い、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を、フォトマスクを介さずに、1,000J/m2の露光量で露光した。その後、220℃で20分間ポストベークを行い、基板上に硬化膜を形成した。得られた3枚の硬化膜について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。測定結果より、色度座標値x=0.640のときの色度座標値y及び刺激値(Y)を求めた。評価結果を表3に示す。
【0159】
コントラストの評価
上記「色度特性の評価」で得られた3枚の硬化膜について、コントラスト計(壷坂電機製コントラスト測定器CT−1)を用い、コントラストを測定した。測定結果より、色度座標値x=0.640のときのコントラストを求めた。評価結果を表3に示す。
【0160】
耐溶剤性の評価
上記「色度特性の評価」において得られた基板のうち1枚を、60℃のN−メチルピロリドンに30分間浸漬した。そして、侵漬前後の色変化ΔEab*を求めた。ΔEab*が3未満である場合をA、3以上5未満である場合をB、5以上である場合をCとして評価した。
【0161】
耐熱性の評価
上記「色度特性の評価」において得られた基板のうち1枚を、更に250℃で30分間追加加熱した。そして、接眼レンズ倍率が10倍、対物レンズ倍率が10倍の光学顕微鏡にて基板表面の観察を行った。1視野中に確認される異物が3個以下である場合をA、1視野中に確認される異物が4個以上9個以下である場合をB、1視野中に確認される異物が10個以上である場合をCとして評価した。
【0162】
実施例2〜14及び比較例1〜6
実施例1において、顔料分散液、バインダー樹脂、架橋剤、光重合開始剤及び溶媒の種類及び量を表3に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、着色組成物の調製及び評価を行った。評価結果を表3に示す。なお、緑色の着色組成物(実施例2、実施例10〜12及び比較例4〜6)に関しては、色度座標値y=0.590での色度座標値x、刺激値(Y)及びコントラストを求めた。青色の着色組成物(実施例4)に関しては、色度座標値y=0.090での色度座標値x、刺激値(Y)及びコントラストを求めた。評価結果を表3に示す。
【0163】
【表3】

【0164】
表3において各成分は以下の通りである。
C−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(商品名M−402、東亞合成株式会社製)
C−2:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート並びにジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(商品名TO−1382、東亞合成株式会社製)
E−1:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(商品名IRGACURE OX02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
E−2:2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア379、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
MBA:3−メトキシブチルアセテート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)顔料を含む着色剤、
(B)下記式(1)で表される繰り返し単位(1)と、下記式(2)で表される繰り返し単位(2)と、架橋性官能基を有する繰り返し単位(3)を含み、前記繰り返し単位(2)の共重合割合が、前記繰り返し単位(1)及び前記繰り返し単位(3)を除く全繰り返し単位中90質量%以上である共重合体、
(C)架橋剤
を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
【化1】

〔式(1)において、
1は、水素原子又はメチル基を示し、
Zは、−N+234-(但し、R2〜R4は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Y-は対アニオンを示す。)、−NR56(但し、R5及びR6は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、又は置換基を有していてもよい含窒素複素環基を示し、
1は、2価の連結基を示す。〕
【化2】

〔式(2)において、
7は水素原子又はメチル基を示し、
8は飽和脂肪族炭化水素基又は飽和脂環式炭化水素基を示す。〕
【請求項2】
前記(B)共重合体の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.0〜1.8である、請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項3】
前記(B)共重合体が前記繰り返し単位(1)を有するAブロックと、前記繰り返し単位(2)及び前記繰り返し単位(3)を有するBブロックとを含むブロック共重合体である、請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項4】
更に(D)バインダー樹脂(但し、前記(B)成分を除く。)を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルタを具備する表示素子。
【請求項7】
次の成分(A)、(B)及び(F);
(A)顔料を含む着色剤、
(B)下記式(1)で表される繰り返し単位(1)と、下記式(2)で表される繰り返し単位(2)と、架橋性官能基を有する繰り返し単位(3)を含み、前記繰り返し単位(2)の共重合割合が、前記繰り返し単位(1)及び前記繰り返し単位(3)を除く全繰り返し単位中90質量%以上である共重合体、
(F)溶媒
を含有することを特徴とするカラーフィルタ用顔料分散液。
【化3】

〔式(1)において、
1は、水素原子又はメチル基を示し、
Zは、−N+234-(但し、R2〜R4は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Y-は対アニオンを示す。)、−NR56(但し、R5及びR6は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、又は置換基を有していてもよい含窒素複素環基を示し、
1は、2価の連結基を示す。〕
【化4】

〔式(2)において、
7は水素原子又はメチル基を示し、
8は飽和脂肪族炭化水素基又は飽和脂環式炭化水素基を示す。〕

【公開番号】特開2012−118505(P2012−118505A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210498(P2011−210498)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】