説明

カラーフィルタ用色材分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置

【課題】高輝度且つ高コントラストで、耐熱性に優れた塗膜を形成可能な色材分散液、高輝度且つ高コントラストで、耐熱性に優れた着色層を形成可能なカラーフィルタ用着色樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)分散剤と、(B)色材と、(C)溶媒とを含有するカラーフィルタ用色材分散液であって、前記(A)分散剤が、窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であり、前記(B)色材が、2価以上の対アニオンと共にカチオン性の発色部位が連結基による連結を介して2個以上結合した色材であり、且つ、(C)溶媒が、23℃における前記(B)色材の溶解度が0.1(mg/10g溶媒)以下の溶媒である、カラーフィルタ用色材分散液である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ用色材分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルの価格下落や地上デジタル放送開始の影響などに伴い、フラットパネルディスプレイの普及が急速に進んでいる。現在、実用化されているフラットパネルディスプレイの中でも、液晶ディスプレイは、テレビやパソコン用モニターの他、携帯電話、携帯ゲーム機、タブレットPC等の携帯端末にも広く利用されており、液晶ディスプレイの市場は益々拡大する状況にある。
このような状況において、液晶ディスプレイをカラー表示化させる機能を有するカラーフィルタにおいても、高輝度化や高コントラスト化、色再現性の向上といった要望が高まっている。特に最近は、バックライトの消費電力低減やLEDバックライトの特性に起因して、カラーフィルタの高輝度化の要望が高まっている。
また上述した課題は、今後普及されていくことが予想される有機ELディスプレイにおいても同様であり、高輝度化や色再現性の向上については当該ディスプレイにおいても解決すべき問題であった。
【0003】
カラーフィルタの着色層を形成する場合、その色材として、顔料や染料を有する着色層形成用樹脂組成物が用いられる。顔料は染料と比較して、一般に、耐熱性等、諸耐性に優れているが、製造されたカラーフィルタの輝度が不十分となる場合があった。
一方、色材として染料を用いる場合には、輝度の高いカラーフィルタを製造し得るが、各種耐性やコントラストが不十分となる問題があった。
【0004】
染料の各種耐性を向上する手法としては、造塩化合物を形成する手法が知られている(例えば、特許文献1〜3)。
特許文献1では、トリアリールメタン系染料の熱への耐久性を向上させるためにトリアリールメタン染料の対アニオンに塩化物イオン又はアリール硫酸イオンを用いた例が開示されている。
【0005】
また、特許文献2では、耐光性に優れ、耐熱性をも満たす着色樹脂組成物を得る手段として、フタロシアニンやアントラキノンなどの色素骨格のスルホン化物を対アニオンとし、カチオンであるトリアリールメタン骨格と塩形成する手法が報告されている。
【0006】
特許文献3では、色特性及び耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れる安定なカラーフィルタ用着色組成物を得る手段として、トリアリールメタン系塩基性染料と少なくとも2つのスルホン基を有する有機スルホン化物とからなる造塩化合物が記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の染料と対アニオンとの造塩化合物を用いて得られた着色層はいずれも耐熱性及びコントラストが不十分であった。
【0008】
一方、顔料分散剤として、グラフト共重合体を用いた例としては、例えば、特許文献4が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−304766号公報
【特許文献2】WO2009/107734号公報
【特許文献3】特開2011−7847号公報
【特許文献4】特開2010−85647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり染料と同様の高輝度を達成しながら、高コントラストで、耐熱性に優れた塗膜を形成可能なカラーフィルタ用色材分散液、染料と同様の高輝度を達成しながら、高コントラストで、耐熱性に優れた着色層を形成可能なカラーフィルタ用着色樹脂組成物、当該カラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、当該カラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機発光表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の色材が実質的に溶解しない溶媒又は難溶性の溶媒に、前記特定の色材を、特定の分散剤により分散させて用いることにより、染料と同様の高輝度を達成しながら、高コントラストで、耐熱性に優れた塗膜を形成可能なカラーフィルタ用色材分散液が得られるとの知見を得た。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0012】
本発明に係るカラーフィルタ用色材分散液は、(A)分散剤と、(B)色材と、(C)溶媒とを含有するカラーフィルタ用色材分散液であって、前記(A)分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であり、前記(B)色材が、下記一般式(II)で表される色材であり、且つ、(C)溶媒が、23℃における前記(B)色材の溶解度が0.1(mg/10g溶媒)以下の溶媒であることを特徴とする。
【0013】
【化1】

(式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Lは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。上記アルキル基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0014】
【化2】

(一般式(II)中、AはNと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基を表し、Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RiiとRiii、RivとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
【0015】
本発明に係る色材分散液においては、前記グラフト共重合体において、前記前記窒素含有モノマーが有するアミノ基と、下記一般式(III)及び/又は下記一般式(IV)で表される有機酸化合物とが塩を形成したものであることが、色材の分散性を向上し、且つ耐熱性に優れる点から好ましい。
【0016】
【化3】

(式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【0017】
本発明に係る色材分散液においては、前記グラフト共重合体において、前記マクロモノマーの前記ポリマー鎖が、下記一般式(V)又は一般式(VI)で表される構成単位を少なくとも1種有するものであることが、色材の分散性を向上し、且つ耐熱性に優れる点から好ましい。
【0018】
【化4】

(式(V)及び、式(VI)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0019】
本発明に係る色材分散液においては、前記一般式(II)におけるアニオン(Bc−)が、スルホナト基(−SO基)を有する有機アニオンであることが、耐熱性を向上する点から好ましい。
【0020】
本発明に係る色材分散液においては、前記有機アニオンが、下記一般式(VII)、下記一般式(VIII)、及び下記一般式(IX)で表されるアニオンよりなる群から選択される1種以上であることが、耐熱性を向上する点から好ましい。
【0021】
【化5】

(一般式(VII)中、Arは置換基を有していてもよいc価の芳香族基である。cは2以上の整数を表す。)
【0022】
【化6】

(一般式(VIII)中、Rviは水素原子、又はメチル基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香族基である。Qは直接結合又は2価の連結基を表す。fは1以上の整数、gは2以上の整数を表す。)
【0023】
【化7】

(一般式(IX)中、Mは2個の水素原子、若しくは、Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、又はZnを表す。スルホナト基(−SO基)は、芳香環に置換しており、cは2〜4の整数を表す。)
【0024】
また、本発明に係る色材分散液においては、前記一般式(II)におけるアニオン(Bc−)が、モリブデン及び/又はタングステンを含む無機酸のアニオンであることが、耐熱性を向上する点から好ましい。
【0025】
本発明に係る色材分散液においては、前記一般式(II)におけるaが4以下であることが、製造が容易である点から好ましい。
【0026】
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、少なくとも前記本発明に係る色材分散液と、(D)バインダー成分と溶媒とを含むことを特徴とする。前記本発明に係るカラーフィルタ用色材分散液を含むことにより、本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、耐熱性に優れた着色層を形成できる。
【0027】
本発明は、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層であることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
また、本発明は、上記カラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
更に、本発明は、上記カラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする有機発光表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、染料と同様の高輝度を達成しながら、高コントラストで、耐熱性に優れた塗膜を形成可能なカラーフィルタ用色材分散液、染料と同様の高輝度を達成しながら、高コントラストで、耐熱性に優れた着色層を形成可能なカラーフィルタ用着色樹脂組成物、当該カラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、当該カラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機発光表示装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。
【図4】本発明において用いられる色材の分子会合状態を示す模式図である。
【図5】従来の染料造塩化合物のイオン結合を示す模式図である。
【図6】本発明に用いられるグラフト共重合体の好ましい構造の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るカラーフィルタ用色材分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機発光表示装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
【0031】
[カラーフィルタ用色材分散液]
本発明に係るカラーフィルタ用色材分散液は、(A)分散剤と、(B)色材と、(C)溶媒とを含有するカラーフィルタ用色材分散液であって、前記(A)分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であり、前記(B)色材が、下記一般式(II)で表される色材であり、且つ、(C)溶媒が、23℃における前記(B)色材の溶解度が0.1(mg/10g溶媒)以下の溶媒であることを特徴とする。
【0032】
【化8】

(式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Lは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。上記アルキル基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0033】
【化9】

(一般式(II)中、AはNと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基を表し、Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RiiとRiii、RivとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
【0034】
本発明に係る色材分散液は、前記特定の色材が実質的に溶解しない溶媒又は難溶性の溶媒に、前記特定の色材を、前記特定の分散剤により分散させて用いることにより、染料と同様の高輝度を達成しながら、高コントラストで、耐熱性に優れた塗膜を形成可能な色材分散液が得られる。
【0035】
上記特定の組み合わせにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明であるが以下のように推定される。
従来、一般に、染料は溶剤に溶解しやすい。溶解性を低下する手段として、造塩化合物とする手法が用いられてきた。例えば、トリアリールメタン染料を造塩する手法として、対アニオンとして2価のアニオンを用いる手法がある(例えば、特許文献3)。この手法によれば、図5のように、2価の対アニオン202が、2つの染料カチオン205とイオン結合204を形成することができるため、染料のみと比べて、耐熱性が向上する。しかしながら、このような手法によって得られた造塩化合物を用いた着色層であっても、カラーフィルタ製造工程における高温加熱時に色変化やコントラストの低下が起こり、耐熱性は十分なものではなかった。
本発明において用いられる前記一般式(II)で表される色材は、図4のように、2価以上の対アニオン202と共に、カチオン性の発色部位がAによる連結203を介して2個以上結合した、2価以上の対カチオン201を有している。例えば、アニオンとカチオンが共に2価のイオンである場合、色材の凝集体において、アニオンとカチオンが単に1分子対1分子でイオン結合しているのではなく、図4のように複数の分子が連続したイオン結合を介して会合する、分子会合体210を形成するものと推定される。当該分子会合体210は、色材の凝集体中で1つの分子のように振る舞うため、見かけの分子量は、従来の造塩化合物の分子量に比べて格段に増大する。また、分子会合体210の形成により、固体状態での凝集力がより高まり、熱による運動を低下させ、更に電気的にも安定するため、イオン対の解離やカチオン部の分解を抑制できると推定される。その結果、一般式(II)で表される色材の耐熱性が向上し、当該色材を用いた着色層の耐熱性が向上するものと推定される。また、複数の分子がイオン結合を介して会合した分子会合体からなる微粒子はイオン対の運動性が低下しているため、微粒子間での再凝集によるコントラストの低下を抑制することができる。
更に、上記特定のグラフト共重合体は、上記一般式(I)で表される窒素含有モノマーのアミノ基が、色材の分子会合体210に対して高い吸着性を有する。一方でグラフトされているポリマー鎖が溶媒に対して溶解性を有する。本発明においては、上記一般式(II)で表される色材を実質的に溶解しない溶媒又は難溶性の溶媒を選択し、さらにこのようなグラフト共重合体を用いることにより、耐熱性の高い色材の分子会合体210はその状態を保ったまま、グラフト共重合体が吸着し色材表面を覆うため、溶媒中での安定化を図ることができ、耐熱性に優れるものと推定される。
なお、前記一般式(II)で表される色材は、カチオン性の発色部位に直接結合する連結基Aの炭化水素がπ結合を有していないため、カチオン性の発色部位が有する色調や透過率等の色特性は、連結基Aの導入前後でほとんど変化しない。
【0036】
本発明に係るカラーフィルタ用色材分散液は、少なくとも(A)分散剤と、(B)色材と、(C)溶媒とを含有するものであり、必要に応じて他の成分を含有してもよいものである。
以下、このような本発明の色材分散液の各成分について順に詳細に説明する。
【0037】
(A)分散剤
本発明に係るカラーフィルタ用色材分散液において用いられる(A)分散剤は、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体である。
【0038】
【化10】

(式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Lは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。上記アルキル基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0039】
本発明に係るカラーフィルタ用色材分散液は、(A)分散剤として上記のようなグラフト共重合体を用いることにより、色材の分散性を向上し、且つ耐熱性に優れたものとすることができる。
【0040】
及びRにおける、炭素数1〜8のアルキル基としては、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。これらの中で、メチル基及びエチル基が好ましい。
及びRは、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0041】
Lは、炭素数1〜8のアルキレン基、*−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−**、又は、*−[(CH−O]−(CH−**で示される2価の基である。ここで、*は、エステル結合側の連結部位を表し、**は、アミノ基側の連結部位を表す。また、Lにおける炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種オクチレン基などである。アリーレン基としては、フェニレン基等が挙げられる。Lとしては、色材の分散性を良好に保つ点から、中でも、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。
【0042】
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。本発明においては、x、y及びzが、上記の範囲にあれば、本発明の色材分散液及び着色樹脂組成物は、色材の分散性、及び耐熱性に優れたものになる。
【0043】
本発明に用いられるマクロモノマーは、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるものである。このエチレン性不飽和二重結合を有する基は、ポリマー鎖の一方の末端(以下、「片末端」と称することがある。)のみに有することが好ましい。また、マクロモノマーは、グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、置換基で置換されていてもよく、置換基としては、例えばハロゲン原子などが挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などが好ましく挙げられ、なかでも(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0044】
前記マクロモノマーのポリマー鎖は、下記一般式(V)又は一般式(VI)で表される構成単位を少なくとも1種有するものであることが好ましい。
【0045】
【化11】

(式(V)及び、式(VI)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0046】
における、炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などが挙げられる。
【0047】
における、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
における、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
が芳香環を有する場合は、当該芳香環上に、更に置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状、分枝状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
【0048】
は、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のRで示したとおりである。
【0049】
は、水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基である。R11は水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、R10は、炭素数1〜18のアルキル基である。
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記R10及びRのうちの炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のRで示したとおりである。
上記R及びRおいて、x、y及びzは、前記Aで説明したとおりである。
【0050】
本発明において、上記R及びRとしては、中でも、後述する(C)溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記グラフト共重合体を構成する構成単位等によっても異なるが、上記溶媒が、カラーフィルタ用の溶媒として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系などの溶媒を用いる場合には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が好ましい。
ここで、上記R及びRをこのように設定する理由は、上記R及びRを含む構成単位が、上記溶媒に対する可溶性を有し、上記モノマーのアミノ基が色材に対して高い吸着性を有するものであることにより、色材の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
【0051】
さらに、上記R及びRは、上記グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよい。また、これらの置換基を有するグラフト共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基と重合性基とを有する化合物を反応させて、重合性基を付加したものとしてもよい。例えば、カルボキシル基を有するグラフト共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有するグラフト共重合体にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたりして、重合性基を付加することができる。
【0052】
また、本発明の色材分散液及び着色樹脂組成物において用いられるマクロモノマーのポリマー鎖は、ガラス転移温度が30℃以上であることが好ましく、更に、50℃以上であることがより好ましい。本発明で用いられるマクロモノマーのポリマー鎖のガラス転移温度が30℃以上である場合には、本発明の色材分散液又は着色樹脂組成物を用いて形成された着色層の耐熱性や耐溶剤性が向上する。耐熱性が向上すると、カラーフィルタの製造工程における例えば200℃で30分加熱するようなポストベーク工程後に、着色層が変色したり、輝度やコントラストが低下することを抑制することが可能になる。また、耐溶剤性が向上すると、カラーフィルタの製造工程において、例えば液晶配向膜としてポリイミド膜を形成する際に使用されるN−メチルピロリドンによって、着色層表面が荒れるといった不具合を抑制することが可能になる。
【0053】
本発明におけるマクロモノマーのポリマー鎖のガラス転移温度(Tg)は下記式で計算することができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここで、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用することができる。
【0054】
以上のような点を考慮すると、本発明で用いられるマクロモノマーのポリマー鎖は、上記した構成単位のなかでもメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、及びビニルシクロヘキサンよりなる群から選択される1種以上のモノマー由来の構成単位の総量がマクロモノマーのポリマー鎖全体の30質量%以上で含まれるものが好ましく、更に50質量%以上で含まれるものが好ましく、また、メチルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び/又はイソボルニル(メタ)アクリレート由来の構成単位が含まれるものがより好ましい。しかしながら、これらに限定されるものではない。
【0055】
マクロモノマーのポリマー鎖は、単独重合体でもよく、共重合体であってもよい。
例えば、単独重合体ではガラス転移温度が30℃未満となるような構成単位であっても、ポリマー鎖の共重合成分として含まれ、上記計算式で表されるポリマー鎖全体の計算Tgが30℃以上となる場合には、本発明のレジスト組成物のマクロモノマーとして、好適に用いることができる。
【0056】
更に、グラフト共重合体に用いられるマクロモノマーは、1種単独で用いられても良いが、2種以上混合して用いても良い。
マクロモノマーを2種以上混合して用いる場合には、ガラス転移温度が30℃以上であるポリマー鎖を有するマクロモノマーが、マクロモノマー全体の50質量%以上、更に70質量%以上となるように用いることが好ましい。
【0057】
mは1〜5の整数、好ましくは2〜5の整数、より好ましくは4又は5の整数である。また、マクロモノマーの構成単位のユニット数n及びn’は、5〜200の整数であればよく、特に限定されないが、5〜100の範囲内であることが好ましい。
【0058】
マクロモノマーの質量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜10000の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であることにより、分散剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、立体効果による(B)色材への吸着時間の増大を抑制することもできる。
【0059】
このようなマクロモノマーは、適宜合成したものでもよいし、市販品であってもよく、市販品としては、例えば片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AA−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AB−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AS−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート(「プラクセルFM5(商品名)」:ダイセル化学(株)製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセルFA10L(商品名)」:ダイセル化学(株)製)などが挙げられる。
【0060】
このようなマクロモノマーを合成するには、リビング重合法や、連鎖移動剤を用いるラジカル重合法がよく知られている。ラジカル重合法の方が、モノマーの選択の自由度が大きい点で利用しやすい。例えば、メルカプトプロピオン酸のような、カルボキシル基を有する連鎖移動剤の存在下でモノマーをラジカル重合することにより、片末端にカルボキシル基を有するオリゴマーが得られる。このオリゴマーにグリシジルメタクリレートを付加すると、片末端にメタクリロイル基を有するオリゴマー、すなわちマクロモノマーが得られる。
【0061】
本発明に用いられるグラフト共重合体において、前記窒素含有モノマーに由来する繰り返し単位は、3〜80質量%の割合で含まれていることが好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。グラフト共重合体中の窒素含有モノマーに由来する繰り返し単位の含有量が上記範囲内にあれば、グラフト共重合体中のアミノ基が形成する塩形成部位の割合が適切となり、かつマクロモノマー側鎖によって溶媒に対する溶解性の低下を抑制できるので、色材に対する吸着性が良好となり、色材の分散性、及び安定性が得られる。
【0062】
また、上記グラフト共重合体の質量平均分子量Mwは、1000〜100000の範囲内であることが好ましく、3000〜50000の範囲内であることがより好ましく、5000〜30000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、色材を均一に分散させることができる。
【0063】
なお、上記質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
【0064】
本発明のカラーフィルタ用色材分散剤及び着色樹脂組成物において、(A)分散剤として用いられる前記グラフト共重合体においては、前記窒素含有モノマーが有するアミノ基と、下記一般式(III)及び/又は下記一般式(IV)で表される有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体(以下、塩型グラフト共重合体と称することがある)であることが、色材の分散性を向上し、且つ得られた着色層のコントラストが高く、且つ、耐熱性に優れる点から好ましい。
【0065】
【化12】

(式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【0066】
上記一般式(III)において、R及びRa’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R又は−O−Ra”を示し、R及びRa’のうちいずれかは炭素原子を含む。尚、R及びRa’が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記Rで示したとおりである。
【0067】
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
【0068】
及び/又はRa’が、−O−Ra”の場合、酸性リン酸エステルとなる。上記Ra”は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のRで示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。尚、Ra”が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
【0069】
上記R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。Rは水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基である。
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基は前記のRで示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。
、Ra’及びRa”において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。sは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、tは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。uは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
【0070】
上記一般式(IV)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R又は−O−Rb’を示す。尚、Rが芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のRで示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。
が、−O−Rb’の場合、酸性硫酸エステルとなる。上記Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のRで示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。尚、R’が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記R、R及びRは、前記と同じである。
上記R及びRb’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。好ましいs、t、uは、上記R、Ra’及びRa”と同様である。
【0071】
上記一般式(III)で表される有機酸化合物としては、前記一般式(III)におけるR及びRa’が、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含み、且つ、Ra’’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが色材の分散性を向上し、且つ得られた着色層のコントラストが高く、且つ、耐熱性に優れる点から好ましい。
【0072】
また、一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、一般式(IV)におけるRが、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Rb’で示される1価の基であり、Rb’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが色材の分散性を向上し、且つ得られた着色層のコントラストが高く、且つ、耐熱性に優れる点から好ましい。
【0073】
中でも、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’として、芳香環を有することが色材の分散性を向上し、且つ得られた着色層のコントラストが高く、且つ、耐熱性に優れる点から好ましい。R、Ra’及びRa’’の少なくとも1つ、或いは、R又はRb’が、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、より具体的には、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基であることが、色材分散性の点から好ましい。前記一般式(III)においては、R及びRa’の一方が芳香環を有する場合には、R及びRa’の他方は、水素原子や水酸基であるものも好適に用いられる。
【0074】
また、耐熱性や耐薬品性、特に耐アルカリ性の点からは、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、リン(P)や硫黄(S)に炭素原子が直接結合した化合物であることが好ましく、R及びRa’が、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含むことが好ましい。また、Rが、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であることが好ましい。
【0075】
また、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’としては、重合性基を有するもの、すなわち、ビニル基、アリル基あるいは−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、且つ、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが好ましく、特に、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’が、ビニル基、アリル基、2−メタクリロイルオキシエチル基、2−アクリロイルオキシエチル基であるものが好ましい。
このような場合には、後述する感光性バインダーを用いた、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて着色層を形成する際の露光時に、上記重合性基同士及び/又は上記重合性基と、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等とを容易に重合することができ、カラーフィルタの着色層中において、上記分散剤が、安定に存在することを可能とする。このようなカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造した際には、液晶層等へ上記分散剤がブリードアウトすることを防止することができる。
【0076】
また、当該有機酸化合物が、重合性基を含むことにより、着色層形成に用いる前に、当該有機酸化合物が有する重合性基同士を重合させることができ、その結果、分散剤が高分子量化されるため、着色層形成の現像時において、未露光箇所のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、アルカリ現像性に特に優れるものとすることができる。
【0077】
本発明で用いられる塩型グラフト共重合体における該有機酸化合物の含有量は、良好な分散安定性が発揮されるのであればよく、特に制限はないが、一般に窒素含有モノマー由来の構成単位に含まれるアミノ基に対して、0.1〜5.0モル当量程度であり、好ましくは0.2〜4.0モル当量、より好ましくは0.3〜3.5モル当量である。このような場合、色材の分散性を向上し、且つ得られた着色層のコントラストが高く、且つ、耐熱性に優れる。尚、上記有機酸化合物を2種以上併用する場合、これらを合計した含有量が上記範囲内にあればよい。
【0078】
本発明のカラーフィルタ用色材分散液、及びカラーフィルタ用着色樹脂組成物においては、(A)分散剤として、前述したように、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であり、また、さらに前記窒素含有モノマーが有するアミノ基と、有機酸化合物とが塩を形成してなる塩型グラフト共重合体が好ましく用いられる。
このような塩型グラフト共重合体を(A)分散剤として用いることにより、本発明のカラーフィルタ用色材分散液、及びカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、色材の分散性を向上し、且つ得られた着色層のコントラストが高く、且つ、耐熱性に優れたものとすることができる。
【0079】
上記したアミノ基を有するモノマーとマクロモノマーとを共重合体成分として有し、さらに前記モノマーが有するアミノ基と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体の構造は、例えば図6のように表される。図6において、グラフト共重合体は、アミノ基を有するモノマー単位51が重合反応により主鎖を形成し、該重合反応においてマクロモノマーの重合性基部位(エチレン性不飽和二重結合を有する基部位)52が同時に窒素含有モノマーと重合し、マクロモノマーは当該エチレン性不飽和二重結合を有する基部位に接続しつつポリマー鎖53として側鎖を形成している。有機酸化合物54は、アミノ基を有するモノマー単位51のアミノ基と塩を形成したものである。
【0080】
<塩型グラフト共重合体の製造>
本発明において、(A)分散剤として、好ましく用いることができる塩型グラフト共重合体の製造方法としては、前記のアミノ基を有するモノマーと、ポリマー鎖とその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基とからなるマクロモノマーとを共重合体成分として含有し、かつ窒素含有モノマーが有するアミノ基と、有機酸化合物とが塩を形成したものを製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、前記モノマーと前記マクロモノマーと、必要に応じてその他のモノマーとを公知の重合手段を用いてグラフト重合させることが可能である。次いで、該溶媒中に上記有機酸化合物を添加し、攪拌することにより塩型グラフト共重合体を製造することができる。なお、上記重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、分散安定剤、連鎖移動剤などを用いてもよい。
【0081】
本発明のカラーフィルタ用色材分散液、及びカラーフィルタ用着色樹脂組成物において、(A)分散剤としては、上記グラフト共重合体及び/又は塩型グラフト共重合体を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよく、その含有量は、用いる色材の種類、更に着色樹脂組成物の固形分濃度等に応じて適宜選定される。本発明のカラーフィルタ用色材分散液、及びカラーフィルタ用着色樹脂組成物において、(A)分散剤としては、色材100質量部に対して、通常、5〜200質量部の範囲であり、10〜100質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましい。含有量が上記範囲内にあれば、色材を均一に分散させることができる。また、着色樹脂組成物において、相対的にアルカリ可溶性樹脂、多官能性モノマーの配合比率が低下することがなく、十分な硬度を持った着色層が形成できる。
【0082】
(B)色材
本発明において用いられる色材は、下記一般式(II)で表される化合物である。
【0083】
【化13】

(一般式(II)中、AはNと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基を表し、Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RiiとRiii、RivとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
【0084】
上記一般式(II)の色材を用いることにより、本発明に係るカラーフィルタ用色材分散液及び着色樹脂組成物により得られた着色層を高輝度、且つ、高コントラストで、耐熱性に優れたものとすることができる。
【0085】
本発明において用いられる色材のカチオン部は、下記一般式(X)で表される構造を有する2価以上のカチオンである。一般式(X)で表されるカチオン部は、従来のトリアリールメタン系塩基性染料やキサンテン系塩基性染料と異なり、その塩化物であっても水に実質的に溶解しない。
一般式(X)で表される構造は従来のトリアリールメタン骨格一つのみからなるカチオンがa価の共有結合を介して連結された2価以上のカチオンである。
従来のトリアリールメタン骨格一つのみからなるモノカチオンとアニオンを構成する結合種がイオン結合のみであると考えた場合、本発明の2価以上のカチオンからなる塩形成物を構成する結合種はイオン結合に加え、モノカチオン同士を連結する共有結合を含む構造であると考えることができる。そのため、下記一般式(X)で表される構造を有する2価以上のカチオンからなる塩形成物は、従来のトリアリールメタン骨格一つからなる塩形成物よりも構成要素全体により強い結合種が増えた結果、安定性が高くなり、水和しにくくなると推定される。更に、一般式(X)で表される構造は、連結基Aの影響で分子量が大きくなり、且つ、疎水性がより高くなるため、結合の安定性と相俟って水に実質的に溶解しなくなると推定される。
【0086】
【化14】

(式(X)中、A、R〜R、Ar、a及びeは、式(II)と同様である。)
【0087】
前記一般式(II)におけるeは、0又は1の整数である。eが0の場合、下記式(XI)で表されるトリアリールメタン骨格を有する。
【0088】
【化15】

(式(XI)中、R〜R及びArは、式(II)と同様である。)
【0089】
また、eが1の場合、下記式(XII)で表されるキサンテン骨格を有する。
【0090】
【化16】

(式(XII)中、R〜R及びArは、式(II)と同様である。)
【0091】
複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。すなわち、例えば、トリアリールメタン骨格のみ、又は、キサンテン骨格のみを複数有するカチオン部であってもよく、1分子内に、トリアリールメタン骨格とキサンテン骨格の両方を含むカチオン部であってもよい。色純度の点からは、同一骨格のみを有するアニオン部であることが好ましい。一方、トリアリールメタン骨格とキサンテン骨格の両方を含むカチオン部とすることにより、また、後述する置換基の組み合わせにより、一般式(II)の色材は、所望の色に調整することができる。
【0092】
上記一般式(II)におけるAは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基である。Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないため、カチオン性の発色部位は、Aや他の発色部位の影響を受けず、単量体と同様の色を保持することができる。
Aにおける有機基としては、例えば、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する有機基が挙げられる。当該有機基としては、置換基を有していてもよい、直鎖、分岐、又は環状の飽和脂肪族炭化水素基、又は、Nと直接結合する末端に、上記飽和脂肪族炭化水素基を有する、直鎖、分岐、又は環状の不飽和脂肪族炭化水素基、或いは単環又は多環芳香族基が挙げられ、これらは炭素鎖中に、O、S、N等の異種原子が含まれていてもよく、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基が含まれていてもよく、水素原子が置換されていてもよい。有機基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。中でも、骨格の堅牢性の点から、Aにおける有機基としては、環状の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を含むことが好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、中でも、有橋脂環式炭化水素基が、骨格の堅牢性の点から好ましい。有橋脂環式炭化水素基とは、脂肪族環内に橋かけ構造を有し、多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいい、例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、アダマンタン等が挙げられる。有橋脂環式炭化水素基の中でも、ノルボルナンが好ましい。また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基が挙げられ、中でも、ベンゼン環を含む基が好ましい。
原料入手の容易さの観点からAは2価が好ましい。例えば、Aが2価の有機基の場合、炭素数1〜20の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基や、キシリレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基を2個置換した芳香族基等が挙げられる。
【0093】
〜Rにおけるアルキル基は、特に限定されない。例えば、炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることが、製造及び原料調達の容易さの点から、より好ましい。中でも、R〜Rにおけるアルキル基がエチル基又はメチル基であることが特に好ましい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられ、置換されたアルキル基としては、ベンジル基等が挙げられる。
〜Rにおけるアリール基は、特に限定されない。例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0094】
iiとRiii、RivとRが結合して環構造を形成しているとは、RiiとRiii、RivとRが窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。環構造は特に限定されないが、例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
【0095】
中でも化学的安定性の点からR〜Rとしては、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は、RiiとRiii、RivとRが結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成していることが好ましい。
【0096】
〜Rはそれぞれ独立に上記構造をとることができるが、中でも、色純度の点からRが水素原子であることが好ましく、さらに製造および原料調達の容易さの点からR〜Rがすべて同一であることがより好ましい。
【0097】
Arにおける2価の芳香族基は特に限定されない。芳香族基は、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環基であってもよい。芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S等のヘテロ原子を有していてもよい。一方、複素環基における複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していてもよい。
【0098】
芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0099】
Arは炭素数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点からフェニレン基やナフチレン基であることがより好ましい。
【0100】
1分子内に複数あるR〜R及びArは、同一であっても異なっていてもよい。複数あるR〜R及びArがそれぞれ同一である場合には、発色部位が同一の発色を示すため、発色部位の単体と同様の色が再現でき、色純度の点から好ましい。一方、R〜R及びArのうち少なくとも1つを異なる置換基とした場合には、複数種の単量体を混合した色を再現することができ、所望の色に調整することができる。
【0101】
本発明の色材分散液及び着色樹脂組成物に用いられる色材は、アニオン部は、(Bc−)で表される構造を有する、2価以上のアニオンである。Bc−は2価以上のアニオンであれば、特に限定されず、有機アニオンであっても無機アニオンであってもよい。ここで有機アニオンとは、炭素原子を少なくとも1つ含有するアニオンを表す。また、無機アニオンとは、炭素原子を含有しないアニオンを表す。
【0102】
c−が有機アニオンである場合、その構造は特に限定されない。中でも、アニオン性置換基を有する有機基であることが好ましい。
アニオン性置換基としては、例えば、−SOSOCH、−SOCOCH、−SOSOCF、−SOCOCF、−CFSOSOCH、−CFSOCOCH、−CFSOSOCF、−CFSOCOCF等のイミド酸基や、−SO、−CFSO、−PO2−、−COO、−CFPO2−、−CFCOO等の置換基が挙げられる。
中でも、カチオンを安定化し、色材の発色を安定させる点から、1価のアニオン性置換基を2つ以上用いることが好ましい。また、原材料入手の容易さや製造コスト、高い酸性度によりカチオンを安定化し発色状態を維持する効果が高い点から、イミド酸基や、−SO、−CFSOが好ましく、更に、−SO(スルホナト基)であることがより好ましい。
アニオン性置換基を複数置換する場合は、同一の置換基であってもよく、異なる置換基を用いてもよい。
【0103】
アニオン性置換基が置換される有機基としては、特に限定されない。当該有機基としては、直鎖、分岐、又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基、単環又は多環芳香族基及びこれらが組み合わされた基が挙げられ、これらは炭素鎖中に、O、S、N等の異種原子が含まれていてもよく、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基が含まれていてもよく、水素原子が置換されていてもよい。有機基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記アニオン性置換基が置換される有機基としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、[2,2,2]ビシクロヘキサン、[3,2,3]ビシクロオクタン、アダマンタン等の炭化水素;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン、フルオレン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キサンテン、カルバゾール等の芳香族化合物が挙げられ、更にハロゲン原子、アルキル基等の置換基を有していてもよい。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、中でも、アニオン性置換基の導入が容易な点から、単環又は多環芳香族炭化水素基及びこれらが組み合わされた基であることが好ましい。
アニオンにより色変化しないことを目的とする場合には、400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基を用いることが好ましい。400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基としては、例えば、ナフタレン、テトラリン、インデン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン等の縮合多環式炭素環からなる有機基;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素からななる有機基;フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環からなる有機基、ピラン、ピロン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環からなる芳香族化合物;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環からなる有機基等が挙げられる。
【0104】
また、アニオン性置換基が置換される有機基としては、有機化合物又は有機金属化合物である、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、インジゴ染料等に由来する骨格を用いてもよい。或いは、従来公知の酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いてもよい。
染料由来の骨格や酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いた場合には、得られる色材の色調が変化し、前記化学式(II)で表される色材の色調を所望のものに調整することができる。
【0105】
酸性染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251、C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、66、73、80、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、182、183、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、195、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、394、401、412、417、418、422、426、C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、18、23、25、27、29、40、42、45、51、62、70、74、80、83、86、87、90、92、96、103、112、113、120、129、138、147、150、158、171、182、192、210、242、243、256、259、267、278、280、285、290、296、315、324:1、335、340、C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、17、19、C.I.アシッドグリーン1、3、5、9、16、25、27、50、58、63、65、80、104、105、106、109等が挙げられる。
直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141、C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250、C.I.ダイレクトオレンジ34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107、C.I.ダイレクトブルー57、77、80、81、84、85、86、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、166、167、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、196、198、199、200、207、209、210、212、213、214、222、228、229、237、238、242、243、244、245、247、248、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293、C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104、C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82等が挙げられる。
酸性媒染染料としては、例えば、C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65、C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、30、32、33、36、37、38、39、41、43、45、46、48、53、56、63、71、74、85、86、88、90、94、95、C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48、C.I.モーダントブルー1、2、3、7、8、9、12、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84、C.I.モーダントバイオレット1、2、4、5、7、14、22、24、30、31、32、37、40、41、44、45、47、48、53、58、C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、15、19、26、29、33、34、35、41、43、53等が挙げられる。
【0106】
上記染料のうち、染料自体が2価以上のアニオンである場合には、当該染料をそのまま、本発明の色材におけるアニオン部として使用することができる。染料自体が2価以上のアニオンでない場合には、適宜2価以上のアニオンとなるように、アニオン性置換基を導入する。
【0107】
前記有機アニオンは、中でも、下記一般式(VII)、下記一般式(VIII)、及び下記一般式(IX)で表されるアニオンよりなる群から選択される1種以上であることが、耐熱性を向上する点から好ましい。
【0108】
【化17】

(一般式(VII)中、Arは置換基を有していてもよいc価の芳香族基である。cは2以上の整数を表す。)
【0109】
【化18】

(一般式(VIII)中、Rviは水素原子、又はメチル基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香族基である。Qは直接結合又は2価の連結基を表す。fは1以上の整数、gは2以上の整数を表す。)
【0110】
【化19】

(一般式(IX)中、Mは2個の水素原子、若しくは、Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、又はZnを表す。スルホナト基(−SO基)は、芳香環に置換しており、cは2〜4の整数を表す。)
【0111】
色材のアニオン部として、上記一般式(VII)のアニオンを用いた場合には、アニオンが無色ないし薄い黄色であるため、(B)色材が上記一般式(X)で表されるカチオンがもつ固有の色を保持しやすいという特徴を有する。
色材のアニオン部として、上記一般式(VIII)のアニオンを用いた場合には、アニオン価数が多くなるため、より多くの一般式(X)で示されるカチオンと相互作用し得る。その結果、より凝集性が高く溶剤への不溶性が高まるという特徴を有する。
色材のアニオン部として、上記一般式(IX)のアニオンを用いた場合には、前記カチオン部との組み合わせにより、色材を所望の色に調整することができる。
【0112】
Ar及びArにおける芳香族基は特に限定されない。芳香族基には、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環であってもよい。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素基;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素基が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素基においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S等のヘテロ原子を有していてもよい。一方、複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していてもよい。
【0113】
芳香族基が有する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0114】
Ar及びArは炭素数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点からフェニレン基やナフタレン基であることがより好ましい。
【0115】
一般式(VIII)において、Qは直接結合、又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素数1〜10のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。中でも、Qは直接結合、又は−COO−基であることが好ましい。
【0116】
一般式(VIII)において、fは1以上の整数であれば、特に限定されない。原料入手の容易さの点からは、fが1であることがより好ましい。
また、gは2以上の整数である。中でも、耐熱性の点から、gは50以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましい。一方、溶解性の点から、gが3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましい。一般式(VIII)の重量平均分子量としては10000〜100000であることが好ましい。ここで、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される標準ポリスチレン換算で求めたものである。
【0117】
一般式(VIII)において、複数ある構成単位は、全て同一のものであってもよく、2種以上のものが含まれていてもよい。なお、一般式(VIII)において、複数あるfの総和が一般式(II)におけるcに相当する。
【0118】
一方、Bc−が無機アニオンである場合、無機のオキソ酸およびその脱水縮合物である限り、その構造や組成は特に限定されない。無機アニオンとしては、例えば、2価以上のオキソ酸のアニオン(リン酸イオン、硫酸イオン、クロム酸イオン、タングステン酸イオン(WO2−)、モリブデン酸イオン(MoO2−)等)や、複数のオキソ酸が縮合したポリ酸イオン等の無機アニオンやその混合物を挙げることができる。
上記ポリ酸としては、イソポリ酸イオン(Mc−であってもヘテロポリ酸イオン(Xc−であってもよい。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。
中でも、耐熱性の点から、モリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)を含む無機酸のアニオンであることが好ましい。
【0119】
モリブデン及び/又はタングステンを含む無機酸のアニオンとしては、例えば、イソポリ酸である、タングステン酸イオン[W10324−、モリブデン酸イオン[Mo192−や、ヘテロポリ酸である、リンタングステン酸イオン[PW12403−、ケイタングステン酸イオン[SiW12404−、リンモリブデン酸イオン[PMo12403−、リンタングストモリブデン酸イオン[PW12−xMo403−、H[PW2−xMo4−等が挙げられる。モリブデン及び/又はタングステンを含む無機酸のアニオンとしては、耐熱性の点、及び原料入手の容易さの点から、上記の中でもヘテロポリ酸であることが好ましく、更にP(リン)を含むヘテロポリ酸であることがより好ましい。
【0120】
前記一般式(II)におけるaは、カチオンを構成する発色性カチオン部位の数である。aは2以上の整数である。すなわち、本発明において用いられる色材は、カチオンの価数が2以上であり、且つアニオンの価数も2以上であるため、上述した分子会合体が形成され、耐熱性が向上する。一方、aの上限は特に限定されないが、製造の容易性の点からは、aが4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
【0121】
前記一般式(II)におけるbは分子会合体中のカチオンの分子数を、dは分子会合体中のアニオンの分子数を示し、b及びdは1以上の整数を表す。本発明の色材はその結晶乃至凝集体において、b及びdがそれぞれ1の場合に限られず、それぞれ2、3、4…と2以上のいかなる自然数をもとり得る。本発明の色材は、耐熱性の点から、少なくとも一部がb≧2の分子会合体を形成していることが好ましい。また、本発明の色材は、耐熱性の点から、少なくとも一部がd≧2の分子会合体を形成していることが好ましい。
bが2以上の場合、分子会合体中に複数あるカチオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよい。また、dが2以上の場合、分子会合体中に複数あるアニオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよく、有機アニオンと無機アニオンを組み合わせて用いることもできる。
また、本発明に用いられる色材が正塩であることが、酸性塩を用いた場合のように、分散が好適に進行しない場合や、分散液が保存時にゲル化するといった問題が生じず、分散性及び分散安定性が高い点から好ましい。
【0122】
本発明に用いられる色材の色材分散液中の平均分散粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、コントラストを向上し、耐溶剤性及び電気信頼性に優れる点から、30〜600nmの範囲内であることが好ましく、50〜500nmの範囲内であることがより好ましい。色材の平均分散粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置、有機発光表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
色材分散液中の色材の平均分散粒径は、少なくとも溶媒を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、色材分散液に用いられている溶媒で、色材分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製なのトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
【0123】
本発明の色材分散液において、色材の含有量は、特に限定されない。色材の含有量は、分散性及び分散安定性の点から、色材分散液全量に対して5〜40質量%、更に10〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
【0124】
<一般式(II)で表わされる色材の製造方法>
一般式(II)で表される色材の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法でカチオン部を製造した後、対アニオンを導入することにより得ることができる。
【0125】
(下記化学式(A)で表される中間体の合成)
まず、カチオン部の前駆化合物である、下記化学式(A)で表される中間体を合成する。
【0126】
【化20】

(式(A)中の、A、R及びaは、一般式(II)と同様である。Ar1’は、一般式(II)のArに水素が結合した構造である。)
【0127】
化学式(A)の合成方法は特に限定されないが、例えば、所望の置換基Ar1’が導入されたハロゲン化芳香族化合物と、所望の置換基Aが導入されたa価のアミン化合物を、塩基存在下、酢酸パラジウム等を触媒として、溶媒中で反応させることにより得ることができる。
【0128】
上記反応において用いられるハロゲン化芳香族化合物の使用量は、所望の価数(a)によって異なるが、例えばa=2とする場合には、アミン化合物に対して、1.5〜10モル当量であることが好ましく、1.5〜3.0モル当量であることがより好ましく、更に1.8〜2.2モル当量であることが、副生成物の生成を抑制し、反応収率を向上させる点から好ましい。
上記反応における反応温度は、特に制限はないが、通常100〜150℃程度であり、副反応を抑制する点から130〜145℃であることが好ましい。また、上記反応の反応圧力に特に制限はないが、常圧〜0.1MPaが望ましく、常圧がさらに望ましい。また上記反応における反応時間は、合成量や反応温度等により変動する場合があるので一概には言えないが、通常6〜72時間、好ましくは6〜48時間の範囲に設定される。
【0129】
当該反応に用いられる塩基としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムの他、金属アルコキシド、金属アミド等が挙げられる。中でも、求核性の低い強塩基を用いることが、副反応を抑え、塩基発生剤の収率を向上させる観点から好ましく、例えば、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、リチウム−t−ブトキシド、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムテトラメチルピペリジド等が好適に用いられる。求核性の低い強塩基の中でも、カリウム−t−ブトキシドを用いることがより好ましい。
【0130】
前記塩基の添加量は、特に限定されないが、通常、アミン化合物に対して2.0〜4.0モル当量であり、2.5〜3.5モル当量であることが反応収率を向上する点から好ましい。
【0131】
(カチオン部の合成)
前記一般式(II)で表される色材のカチオン部は、前記化学式(A)で表される中間体と、下記化学式(B)で表される化合物を、オキシ塩化リン等の塩素化剤を用いて溶媒中で反応させることにより、カチオン部の塩化物として得ることができる。
【0132】
【化21】

(式(B)中の、Rii〜R及びeは、一般式(II)と同様である。)
【0133】
上記反応において用いられる化学式(B)で表される化合物の使用量は、所望の価数(a)によって異なるが、例えばa=2とする場合には、前記化合物(A)に対して、1.5〜4.0モル当量であることが好ましく、1.5〜3.0モル当量であることがより好ましく、更に1.8〜2.2モル当量であることが、副生成物の生成を抑制し、反応収率を向上させる点から好ましい。
上記反応における反応温度は、特に制限はないが、通常110〜150℃程度であり、副反応を抑制する点から110〜120℃であることが好ましい。また、上記反応の反応圧力に特に制限はないが、常圧〜0.1MPaが望ましく、常圧がさらに望ましい。また上記反応における反応時間は、合成量や反応温度等により変動する場合があるので一概には言えないが、通常1〜10時間、好ましくは1〜5時間の範囲に設定される。
【0134】
前記オキシ塩化リンの添加量は、特に限定されないが、通常、前記化合物(A)に対して1.5〜3.0モル当量であり、1.8〜3.0モル当量であることが反応収率を向上する点から好ましい。
【0135】
一般式(II)で表される色材は、前記反応により得られたカチオン部の塩化物と、所望のアニオン部を、溶媒中で混合することにより得られる。
【0136】
(C)溶媒
本発明に用いられる溶媒は、前記(B)色材を実質的に溶解しない溶媒又は難溶性の溶媒であり、23℃における前記(B)色材の溶解度が、0.1(mg/10g溶媒)以下の溶媒である。このような溶媒を用いることにより、本発明に係る色材分散液は前記色材を溶媒中で粒子(凝集体)として分散させて用いることができる。本発明に用いられる前記一般式(II)で表される(B)色材は、その凝集状態を保持したまま溶媒中に分散させて用いることにより、耐熱性に優れる。中でも、23℃における前記色材の溶解度が、0.01(mg/10g溶媒)以下である溶媒が好ましく、更に、前記色材を実質的に溶解しない溶媒がより好ましい。
【0137】
なお、本発明において、一般式(II)で表される(B)色材の23℃における溶解度が、0.1(mg/10g溶媒)以下の溶媒は、以下の評価方法により簡易的に判定することができる。
20mLサンプル管瓶に評価する溶媒を10g投入し、更に前記色材0.1gを投入し、ふたをして20秒間よく振った後、23℃のウォーターバス内で10分間静置する。この上澄み液5gをろ過し不溶物を除く。得られたろ液を更に1000倍に希釈した溶液の吸光スペクトルを紫外可視分光光度計(例えば、島津製作所社製 UV−2500PC)で1cmセルを用いて測定し、最大吸収波長における吸光度を求める。このとき、最大吸収波長における吸光度が2未満であれば当該溶媒は、一般式(II)で表される色材の23℃における溶解度が、0.1(mg/10g溶媒)以下の溶媒(難溶性の溶媒)であると評価できる。
【0138】
また、上記の評価方法において、得られたろ液を希釈せずに、上記と同様に吸光スペクトルを測定し、最大吸光波長における吸光度を求める。このとき、最大吸収波長における吸光度が2未満であれば、当該溶媒は、一般式(II)で表される色材を実質的に溶解しない溶媒であると評価できる。
【0139】
23℃における前記色材の溶解度が、0.1(mg/10g溶媒)以下の溶媒としては、一般式(II)で表される色材を実質的に溶解しない溶媒又は難溶性の溶媒であれば特に限定されず、色材分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解若しくは分散可能な溶媒から適宜選択して用いればよい。
【0140】
本発明の色材分散液においては、中でも、エステル系溶媒を用いることが分散安定性の点から好ましい。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート等が挙げられる。
【0141】
これらの溶媒は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の色材分散液は、以上のような溶媒を、当該溶媒を含む色材分散液の全量に対して、通常は60〜85質量%の割合で用いて調製する。溶媒が少なすぎると、粘度が上昇し、分散性が低下しやすい。また、溶媒が多すぎると、色材濃度が低下し、着色樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
【0142】
(その他の成分)
本発明の色材分散液には、更に必要に応じて、顔料、染料、分散補助樹脂、その他の成分を配合してもよい。
顔料及び染料は、色調の制御を目的として必要に応じて配合される。顔料及び染料は従来公知のものを目的に応じて選択することができ、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。顔料及び染料の配合量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に限定されず、後述するカラーフィルタ用着色樹脂組成物で用いる場合と同様とすることができる。
分散補助樹脂としては、例えば後述するカラーフィルタ用着色樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって色材粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0143】
<色材分散液の製造方法>
本発明の色材分散液は、前記分散剤を溶媒に混合、撹拌し、分散剤溶液を調製した後、当該分散剤溶液に、色材と必要に応じてその他の化合物を混合し、分散機を用いて分散させることによって調製することができる。また、本発明の色材分散液は、色材と分散剤を溶媒に混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって調製してもよい。
【0144】
分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.0mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0mmである。
【0145】
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.1〜5.0μmのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
【0146】
本発明においては、公知の分散機を用いて分散させる分散時間は、適宜調整され特に限定されないが、前記一般式(II)で表される色材を微細化して高い透過率を実現する点から、5〜40時間に設定されることが好ましい。
このようにして、色材粒子の分散性に優れた色材分散液が得られる。該色材分散液は、分散性に優れたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を調製するための予備調製物として用いられる。
【0147】
[カラーフィルタ用着色樹脂組成物]
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、前記色材分散液と(D)バインダー成分とを含有することを特徴とする。
【0148】
本発明によれば、前記本発明に係る色材分散液を含むことにより、染料と同様の高輝度化を達成しながら、高コントラスト化を達成でき、かつ均一性の高いカラーフィルタ用着色樹脂組成物を提供することができ、耐熱性に優れた着色層を形成することができる。
また、本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物を後述する感光性樹脂組成物とした場合には現像性が良好である。通常、カチオン染料は後述するアルカリ可溶性樹脂中のアクリル酸基と染料のもつカチオンとの静電相互作用によって現像時のアルカリ水溶液への溶解性が低下してしまう。特に着色樹脂組成物中に均一に溶解している場合にはその影響は大きいため、現像溶解性が乏しい。一方、本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物においては、一般式(II)で表される色材は分散剤によって分散されるため、色材微粒子の周りを分散剤が覆い、その立体障害によって上記のアルカリ可溶性のアクリル酸基との静電相互作用がなくなるため、十分な現像溶解性を有すると推測される。
【0149】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、少なくとも前記色材分散液、(D)バインダー成分を含むものであり、必要に応じて他の化合物を有してもよいものである。
以下、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
なお、上記本発明に係る色材分散液に含まれ得る成分については、上記色材分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
【0150】
(D)バインダー成分
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与し、塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルタの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダー成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
【0151】
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、例えばインクジェット方式で用いる場合など、基板上にパターン状に選択的に付着させて着色層を形成可能な場合には、硬化性バインダー成分に現像性は必要がない。この場合、インクジェット方式等でカラーフィルタ着色層を形成する場合に用いられる、公知の熱硬化性バインダー成分や、光硬化性バインダー成分等を適宜用いることができる。
一方、着色層を形成する際にフォトリソグラフィー工程を用いる場合には、アルカリ現像性を有する感光性バインダー成分が好適に用いられる。
以下、感光性バインダー成分と、インクジェット方式に用いるのに適した熱硬化性バインダー成分について具体的に説明するが、硬化性バインダー成分はこれらに限定されるものではない。
【0152】
(1)感光性バインダー成分
感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂及び感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物を含んだ系が挙げられ、アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリイミド前駆体等が挙げられる。
【0153】
ネガ型感光性バインダー成分としては、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤を少なくとも含有する系が好適に用いられる。以後、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
【0154】
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明において感光性バインダー成分として用いられるアルカリ可溶性樹脂は側鎖にカルボキシル基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
【0155】
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環はカラーフィルタ用着色樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
【0156】
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス−2−プロペノエート、スチレン、γ−メチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
【0157】
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5質量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50質量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
【0158】
カルボキシル基含有共重合体の好ましい分子量は、好ましくは1,000〜500,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下し、500,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。
【0159】
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0160】
不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられる。これら不飽和基含有モノカルボン酸は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0161】
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
【0162】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、カラーフィルタ用着色樹脂組成物に含まれる色材100質量部に対して、通常、10〜1000質量部の範囲内、好ましくは20〜500質量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると色材の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
【0163】
<多官能性モノマー>
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる多官能性モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0164】
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0165】
また、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0166】
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能性モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる上記多官能性モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能性モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能性モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
【0167】
<光開始剤>
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、適宜選択して用いることができる。例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。これらの光開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0168】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能性モノマー100質量部に対して、通常0.01〜100質量部程度、好ましくは5〜60質量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分中の色材等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
【0169】
(2)熱硬化性バインダー成分
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
【0170】
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が好適に用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
【0171】
i)1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物
通常硬化性バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(XIII)で表される構成単位及び下記式(XIV)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
【0172】
【化22】

(R21は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R22は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
【0173】
【化23】

(R23は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
【0174】
式(XIII)で表される構成単位をバインダー性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明の着色樹脂組成物から形成される硬化塗膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(XIII)において、R21として好ましいのは水素またはメチル基である。R22は、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
【0175】
上記式(XIII)で表される構成単位を誘導するモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
【0176】
式(XIV)で表される構成単位は、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有する着色樹脂組成物は保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(XIV)のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。
式(XIV)において、R23として好ましいのは水素またはメチル基である。式(XIV)で表される構成単位を誘導するモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
【0177】
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルタの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(XIII)あるいは式(XIV)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
【0178】
上記バインダー性エポキシ化合物中の式(XIII)の構成単位と式(XIV)の構成単位の含有量は、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。式(XIII)の構成単位の量が上記の比90:10よりも過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(XIV)の構成単位の量が上記の比10:90よりも過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
【0179】
また、上記バインダー性エポキシ化合物の質量平均分子量は、ポリスチレン換算質量平均分子量で表した時に3,000以上、特に4,000以上であることが好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が3,000よりも小さすぎるとカラーフィルタの細部としての硬化層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易いからである。一方、上記バインダー性エポキシ化合物の質量平均分子量は、ポリスチレン換算質量平均分子量で表した時に20,000以下であることが好ましく、更に15,000以下であることが特に好ましい。当該分子量が20,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、インクジェット方式で吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。なお上記バインダー性エポキシ化合物は、例えば特開2006−106503号公報の段落番号0148に記載されているような方法で合成することができる。
【0180】
熱硬化性バインダーとしては、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)であって、上記バインダー性エポキシ化合物よりも分子量が小さいものを用いても良い。中でも、上述のように上記バインダー性エポキシ化合物と当該多官能エポキシ化合物を併用することが好ましい。この場合、多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の質量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。着色樹脂組成物に比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、着色樹脂組成物中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
【0181】
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の質量平均分子量を10,000以下とした場合には、硬化層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物を着色樹脂組成物に配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
【0182】
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
【0183】
より具体的には、商品名エピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名エピコートYX4000H(ジャパンエポキシレジン社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名エピコート157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名エピコート154(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名エピコート1032H60(ジャパンエポキシレジン社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名エピコート1031S(ジャパンエポキシレジン社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート190P(ジャパンエポキシレジン社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)、商品名EHPE3150(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
【0184】
上記バインダー性エポキシ化合物と、必要に応じて配合される多官能エポキシ化合物の配合割合は、質量比ではバインダー性エポキシ化合物を10〜80質量部と多官能エポキシ化合物を10〜60質量部の割合で配合するのが好ましく、バインダー性エポキシ化合物を20〜60質量部と多官能エポキシ化合物を20〜50質量部の割合で配合するのが更に好ましく、バインダー性エポキシ化合物を30〜40質量部と多官能エポキシ化合物を25〜35質量部の割合で配合するのが特に好ましい。
【0185】
ii)硬化剤
本発明に用いられるバインダー成分には、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
【0186】
これら硬化剤は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(バインダー性エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物の合計量)100質量部当たり、通常は1〜100質量部の範囲であり、好ましくは5〜50質量部である。硬化剤の配合量が1質量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができないおそれがある。また、硬化剤の配合量が100質量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るおそれがある。
【0187】
iii)触媒
本発明に用いられるバインダー成分には、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100質量部に対して、通常は0.01〜10.0質量部程度の割合で配合する。
【0188】
<任意添加成分>
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ顔料や各種添加剤を含むものであってもよい。
【0189】
(顔料)
顔料は、色調の制御を目的として必要に応じて配合される。顔料は従来公知のものを目的に応じて選択することができ、1種又は2種以上用いることができる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60等が挙げられる。
【0190】
顔料の配合量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に限定されない。顔料の配合量としては、例えば、前記一般式(II)で表される色材と顔料の質量比が、9:1〜4:6であることが好ましく、8:2〜5:5であることが更に好ましく、7:3〜5:5であることが特に好ましい。この範囲内であれば、一般式(II)で表される色材の有する高透過率の特性を損なうことなく、色調の制御が可能となるからである。
【0191】
(添加剤)
添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
【0192】
<カラーフィルタ用着色樹脂組成物における各成分の配合割合>
一般式(I)で表される色材及び必要に応じて配合される顔料の合計の含有量は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、5〜65質量%、より好ましくは8〜55質量%の割合で配合することが好ましい。色材が少なすぎると、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また色材等が多すぎると、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またそのカラーフィルタ用着色樹脂組成物中の色材の分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために耐溶媒性等の特性が不十分になる恐れがある。尚、本発明において固形分は、上述した溶媒以外のもの全てであり、溶媒中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
また、分散剤の合計の含有量としては、色材(必要に応じて配合される染料、顔料を含む)を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、色材100質量部に対して10〜150質量部用いることができる。更に、色材100質量部に対して15〜45質量部の割合で配合するのが好ましく、特に15〜40質量部の割合で配合するのが好ましい。分散剤の合計の含有量は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、1〜60質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも5〜50質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、1質量%未満の場合には、色材を均一に分散することが困難になる恐れがあり、60質量%を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
バインダー成分は、これらの合計量が、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して24〜94質量%、好ましくは40〜90質量%の割合で配合するのが好ましい。
また、溶媒の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶媒を含む上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88質量%の範囲内であることが好ましい。上記溶媒の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
【0193】
<カラーフィルタ用着色樹脂組成物の製造方法>
カラーフィルタ用着色樹脂組成物の製造方法としては、例えば(1)溶媒中に、上記本発明に係る色材分散液と、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法、及び(2)溶媒中に、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、これに上記本発明に係る色材分散液を加えて混合する方法などを挙げることができる。
【0194】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
[カラーフィルタ]
本発明のカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが前記本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層であることを特徴とする。
このような本発明のカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
【0195】
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、前述した本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて硬化させて形成されたものであればよく、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0196】
当該着色層は、例えば感光性樹脂組成物である場合、下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等を光重合反応させて、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
【0197】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
【0198】
また、当該着色層は、例えばインクジェット方式で形成する場合、下記の方法により形成することができる。
まず、前記本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を含み、青(B)用、緑(G)用及び赤(R)用等の色材がそれぞれ配合されたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用意する。そして、透明基板1の表面に、遮光部2のパターンにより画成された各色(R、G、B)の着色層形成領域に、対応する色のカラーフィルタ用着色樹脂組成物をインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、カラーフィルタ用着色樹脂組成物は、インクジェットヘッドの先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続ける必要がある。各色のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、印刷等の方法で各色ごとに着色層を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
次に、各色のインク層を乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜加熱乃至露光することにより硬化させる。インク層を適宜加熱乃至露光すると、カラーフィルタ用着色樹脂組成物中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化して着色層3R,3G,3Bが形成される。
【0199】
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO膜(xは任意の数)、CrN膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用カラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0200】
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダー樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0201】
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダー樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、黒色着色剤及び感光性樹脂を含有する遮光部用カラーフィルタ用着色樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0202】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
【0203】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
【0204】
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0205】
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0206】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0207】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【0208】
次に、本発明の有機発光表示装置について説明する。
[有機発光表示装置]
本発明の有機発光表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。
カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
【0209】
有機発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
【実施例】
【0210】
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
【0211】
(合成例1 マクロモノマーAの合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(略称PGMEA)80.0重量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸メチル50.0重量部、メタクリル酸−n−ブチル30.0重量部、メタクリル酸ベンジル20.0重量部、メルカプトエタノール4.0重量部、PGMEA30重量部、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)1.0重量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、カレンズMOI(昭和電工(株)社製)8.74重量部、ジラウリン酸ジブチルすず0.125g、p−メトキシフェノール0.125重量部、及びPGMEA10重量部、を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーAの49.5%溶液を得た。得られたマクロモノマーAを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01mol/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、重量平均分子量(Mw)4010、数平均分子量(Mn)1910、分子量分布(Mw/Mn)は2.10であった。マクロモノマーAの計算により算出されるTgは、64℃である。
【0212】
(合成例2 グラフト共重合体Aの合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA80.0重量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例1のマクロモノマーA溶液75.76重量部(有効固形分37.5重量部)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(略称DMA)12.5重量部、N−ドデシルメルカプタン1.24重量部、PGMEA20.0重量部、AIBN0.5重量部の混合溶液混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10重量部 、PGMEA10.0重量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体Aの25.4%溶液を得た。得られたグラフト共重合体Aは、GPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)11480、数平均分子量(Mn)4650、分子量分布(Mw/Mn)は2.47であった。なおアミン価は89mgKOH/gであった。
【0213】
(製造例1 分散剤溶液Aの調製)
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA13.5重量部、合成例2のグラフト共重合体A溶液50.0重量部をそれぞれ溶解させ、室温で30分攪拌することで分散剤溶液A(固形分20%)を調製した。
【0214】
(製造例2 分散剤溶液Bの調製)
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA12.7重量部、合成例2のグラフト共重合体A溶液30.0重量部をそれぞれ溶解させ、フェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学社製)1.1重量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.6モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤溶液B(固形分20%)を調製した。
このとき、グラフト共重合体Aのアミノ基は、PPAのリン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
【0215】
(製造例3 分散剤溶液Cの調製)
製造例2においてフェニルホスホン酸のかわりに2−ナフタレンスルホン酸1.5重量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.6モル当量)を用い、PGMEAを14.2重量部使用した以外は製造例2と同様にして分散剤溶液C(固形分20%)を調製した。
このとき、グラフト共重合体Aのアミノ基は、2−ナフタレンスルホン酸のスルホン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
【0216】
(比較製造例1 分散剤溶液Dの調整)
製造例1においてPGMEAを30.0重量部、グラフト共重合体A溶液のかわりに市販のブロック型分散樹脂としてLPN6919(有効固形分60重量部、ビックケミー社製)を15.0重量部用いた以外は製造例1と同様にして分散剤溶液Dを得た。
【0217】
(比較製造例2 分散剤溶液Eの調整)
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA32.3重量部、市販のブロック型分散樹脂としてLPN6919(有効固形分60重量部)を13.0重量部(ブロック型分散樹脂の3級アミノ基に対して0.6モル当量)をそれぞれ溶解させ、フェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学社製)1.6重量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.6モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤溶液E(固形分20%)を調製した。
【0218】
(比較製造例3 分散剤溶液Fの調整)
比較製造例2においてフェニルホスホン酸のかわりに2−ナフタレンスルホン酸2.1重量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.6モル当量)を用いた以外は比較製造例2と同様にして分散剤溶液F(固形分20%)を調製した。
【0219】
(合成例3:中間体1の合成)
和光純薬(株)製 1−ヨードナフタレン15.2g(60mmol)、三井化学(株)製 ノルボルナンジアミン(NBDA)(CAS No.56602−77−8)4.63g(30mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 8.07g(84mmol)、アルドリッチ製 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’,−ジメトキシビフェニル 0.09g(0.2mmol)、和光純薬(株)製 酢酸パラジウム 0.021g(0.1mmol)、キシレン 30mLに分散し130−135℃で48時間反応させた。反応終了後、室温に冷却し水を加え抽出した。次いで硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮することにより下記化学式(1)で示される中間体1 8.5g(収率70%)を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):407(M+H)、
・元素分析値:CHN実測値 (85.47%、8.02%、6.72%);理論値(85.26%、8.11%、6.63%)
【0220】
【化24】

【0221】
(合成例4:中間体2の合成)
中間体1 8.46g(20.8mmol)、東京化成工業製 4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン13.5g(41.6mmol)トルエン60mLを入れ45−50℃で攪拌した。和光純薬工業製オキシ塩化リン 6.38g(51.5mmol)を滴下し、2時間還流し冷却した。反応終了後、トルエンをデカントした。樹脂状析出物をクロロホルム40mL、水40mL、濃塩酸を加えて溶解しクロロホルム層を分液した。クロロホルム層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。濃縮物に酢酸エチル65mLを加え還流した。冷却の後に析出物を濾過し下記化学式(2)で示される中間体2を15.9g(収率70%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):511(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (78.13%、7.48%、7.78%);理論値(78.06%、7.75%、7.69%)
【0222】
【化25】

【0223】
(製造例4:色材Aの合成)
東京化成工業製1,3,6−ナフタレントリスルホネート3ナトリウム1.27g(2.93mmol)、メタノール40mL、水48mLを入れ50−55℃で攪拌した。中間体2 3.44g(3.20mmol)を添加し、50−55℃で1時間攪拌をおこなった。エバポレータで溶液中のメタノールを濃縮し、水を100mL加え沈殿物を濾取し、水で洗浄した。該ケーキを乾燥して下記化学式(3)で表される色材Aを4.9g(収率89%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):511(+)、2価、121(−)3価
・元素分析値:CHN実測値 (74.01%、6.99%、6.47%);理論値(73.74%、6.96%、6.54%)
【0224】
【化26】

【0225】
(比較製造例4:色材Bの合成)
東京化成工業(株)製 ナフタレン−2,6−スルホネート2ナトリウム1.62g(50.2mmol)をメタノール50mL、水50mLの混合液に50−55℃で加熱溶解させ、東京化成工業(株)製 Basic Blue 7(CI−42595)5g(97.3mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。エバポレータで溶液中のメタノールを濃縮し、水を100mL加え沈殿物を濾取し、水で洗浄した。該ケーキを減圧乾燥して下記化学式(4)で表される色材B5.2g(収率86%)を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):478(+)、143(2−)(2価)
・元素分析値:CHN実測値 (73.12%、6.77%、6.86%);理論値(73.40%、6.97%、6.76%)
【0226】
【化27】

【0227】
(比較製造例5:色材Cの合成)
東京化成工業製Direct Blue 86 1.48g(1.9mmol)をメタノール40mL、水20mLの混合液に50−55℃で加熱溶解させ、東京化成工業(株)製 Basic Blue 7(CI−42595)1.95g(3.8mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。エバポレータで溶液中のメタノールを濃縮し、水を30mL加え沈殿物を濾取し、水で洗浄した。該ケーキを減圧乾燥して下記化学式(5)で表される色材C 2.9g(収率90%)を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):478(+)、369(−)(2価)
元素分析値:CHN実測値 (64.02%、4.73%、12.89%);理論値(64.16%、4.80%、12.66%)
【0228】
【化28】

【0229】
製造例4、及び比較製造例4及び5で得られた色材A、B、Cをそれぞれ0.1gをPGMEA10gに投入しふたをして20秒間よく振った後、10分間静置した。この上澄み液5gをろ過し不溶物を除いた。得られたろ液の吸光スペクトルを紫外可視分光光度計(島津製作所社製 UV−2500PC)で1cmセルを用いて測定し、波長595nmにおける吸光度(595nm)を求めたところ、吸光度(525nm)は2以下であった。よって、PGMEAは色材A〜Cに対して、実質的に溶解しない溶媒であることがいえる。また、色材A〜CはPGMEA中で分散可能であった。
【0230】
(実施例1:色材分散液Aの調製)
30mlマヨネーズ瓶に製造例4の色材A 1.0質量部、製造例1の分散剤溶液A3.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEA、ダイセル化学製)6.0質量部、径2mmのジルコニアビーズ2.0質量部を入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼製)にて1時間予備解砕した後、溶液を別の30mlマヨネーズ瓶に移し変え、径0.1mmのジルコニアビーズ2.0質量部を加えてペイントシェーカーにて20時間振とうし、実施例1の色材分散液Aを得た。
【0231】
(実施例2:色材分散液Bの調製)
実施例1において、分散剤溶液Aの代わりに、製造例2で得られた分散剤溶液Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の色材分散液Bを得た。
【0232】
(実施例3:色材分散液Cの調製)
実施例1において、分散剤溶液Aの代わりに、それぞれ製造例3で得られた分散剤溶液Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の色材分散液Cを得た。
【0233】
(比較例1:色材分散液Dの調製)
実施例1において、分散剤溶液Aの代わりに、比較製造例1で得られた分散剤溶液Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、色材分散液Dを得た。
【0234】
(比較例2:色材分散液Eの調製)
実施例1において、分散剤溶液Aの代わりに、比較製造例2で得られた分散剤溶液Eを用いた以外は、実施例1と同様にして、色材分散液Eを得た。
【0235】
(比較例3:色材分散液Fの調製)
実施例1において、分散剤溶液Aの代わりに、比較製造例3で得られた分散剤溶液Fを用いた以外は、実施例1と同様にして、色材分散液Fを得た。
【0236】
(比較例4:色材分散液Gの調製)
実施例1において、色材Aのかわりに、比較製造例4で得られた色材Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4の色材分散液Gを得た。
【0237】
(比較例5:色材分散液Hの調製)
実施例2において、色材Aのかわりに、比較製造例4で得られた色材Bを用いた以外は、実施例2と同様にして、比較例5の色材分散液Hを得た。
【0238】
(比較例6:色材分散液Iの調製)
実施例3において、色材Aのかわりに、比較製造例4で得られた色材Bを用いた以外は、実施例3と同様にして、比較例6の色材分散液Iを得た。
【0239】
(比較例7:色材分散液Jの調製)
実施例1において、色材Aのかわりに、比較製造例5で得られた色材Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例7の色材分散液Jを得た。
【0240】
(比較例8:色材分散液Kの調製)
実施例2において、色材Aのかわりに、比較製造例5で得られた色材Cを用いた以外は、実施例2と同様にして、比較例8の色材分散液Kを得た。
【0241】
(比較例9:色材分散液Lの調製)
実施例3において、色材Aのかわりに、比較製造例5で得られた色材Cを用いた以外は、実施例3と同様にして、比較例9の色材分散液Lを得た。
【0242】
実施例1〜3で得られた色材分散液A〜C、及び比較例1〜9で得られた色材分散液D〜Lについてそれぞれ、0.1質量部をPGMEA9.9質量部で希釈し、マイクロトラックUPA粒度分布計(日機装社製)を用いて、粒度分布を測定した。評価は50%平均粒子径で行い、体積換算(MV)した結果を表1に示す。
【0243】
(カラーフィルタ用着色樹脂組成物の調製)
実施例1の色材分散液Aを3.31質量部、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ベンジル共重合体(モル比:10/30/50、質量平均分子量:9000、酸価:70mgKOH/g、有効成分含量40質量%)2.07質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートモノマー(東亜合成製『アロニックスM−403』)0.59質量部、IRGACURE 907(チバ・スペシャルティケミカルズ製)0.38質量部、KAYACURE DETX−S(日本化薬製)0.08質量部、KBM503(信越化学製)0.03質量部、メガファックR08MH(DIC製)0.0003質量部、PGMEA9.09質量部を加えて攪拌し、0.25μmメッシュでろ過してカラーフィルタ用着色樹脂組成物Aを得た。
実施例1の色材分散液Aの代わりに実施例2〜3の色材分散液B〜Cをそれぞれ用いて同様の方法でカラーフィルタ用着色樹脂組成物B〜Cを得た。
また、実施例1の色材分散液Aの代わりに比較例1〜9の色材分散液D〜Lをそれぞれ用いて同様の方法でカラーフィルタ用着色樹脂組成物D〜Lを得た。
【0244】
<評価:コントラスト>
実施例1〜3及び比較例1〜9の色材分散液A〜Lから得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物A〜Lをそれぞれガラス基板上に700rpmで5秒間スピンコートし、80℃のホットプレート上で3分間乾燥した。
この基板をウシオ(株)製UI−501C超高圧水銀灯で、空気中、ギャップ150μmで露光した。露光量はウシオ(株)製積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定して100mJ/cmとした。得られた塗膜を200℃で30分間放置し、作製したガラス基板のコントラスト値を壺坂電気(株)社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用いて測定した。コントラスト値が大きいほど光の散乱度合いが少なく、液晶表示装置のカラーフィルタとして使用した場合の漏れ光が少なくなり、液晶パネルの明暗をはっきりさせることができる。コントラストを大きくするためには、塗膜が均一であることが求められる。結晶の析出や相分離などが生じた不均一な塗膜ではコントラスト値が小さくなる。測定結果を表1に示した。
【0245】
<耐熱性評価>
コントラストの評価に用いたものと同様に、実施例1〜3及び比較例1〜9の色材分散液A〜Lから得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物A〜Lをそれぞれガラス基板上に700rpmで5秒間スピンコートし、80℃のホットプレート上で3分間乾燥した。得られたガラス基板を、高圧水銀灯にてマスクを介さず全面露光した。紫外線照射後(ベイク前)の色度および輝度について測定した後、この着色層が形成されたガラス基板を200℃で30分間加熱した。加熱後、再度レジスト基板の色度xyおよび輝度Yを測定し、加熱前後の色差を求めた。結果を表1に示す。
ΔEabは以下の式で表される色変化の度合いであり、値が小さいほど優れていることを示す。
ΔEab=√{(L−L+(a−a+(b−b
、b、L…紫外線照射後(ベイク前)の分光
、b、L…200℃30分ベイク後の分光
【0246】
【表1】

【0247】
(結果のまとめ)
分散剤として、一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体と、上記色材Aを含有する実施例1〜3の着色樹脂組成物を用いて作製された着色層は、200℃30分加熱後のコントラストが高く、色変化が小さく、耐熱性に優れていた。
上記グラフト共重合体に代えてブロック共重合体を用いた比較例3〜6や、上記色材Aに代えて、図4に示すような連続した会合状態をとることができない1価のカチオンを有する色材Bを用いた比較例4〜6の着色樹脂組成物を用いて作製された着色層は、コントラストが低く、耐熱性が悪かった。また、比較例4〜6の色材Bに代えて、1価のカチオンを有する別の色材Cを用いた比較例7〜9は、比較例4〜6に比べるとコントラストがやや改善するものの、色変化が更に悪化した。
上記のことから、実施例1〜3のように、上記グラフト共重合体と、一般式(II)で表される色材を組み合わせることにより、高コントラストで、耐熱性に優れた着色層が得られることが明らかとなった。
また、実施例1と、実施例2及び3との比較から、グラフト共重合体中の窒素含有モノマーが有するアミノ基と、有機酸化合物とが塩を形成することにより、更に耐熱性が向上することがわかった。
【符号の説明】
【0248】
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
51 アミノ基を有するモノマー単位
52 マクロモノマーの重合性部位
53 マクロモノマーによるポリマー鎖
54 有機酸化合物
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置
201 2価以上の対カチオン
202 2価以上の対アニオン
203 Aによる連結
204 イオン結合
205 カチオン
206 従来の染料造塩化合物
210 色材の分子会合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分散剤と、(B)色材と、(C)溶媒とを含有するカラーフィルタ用色材分散液であって、前記(A)分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であり、前記(B)色材が、下記一般式(II)で表される色材であり、且つ、(C)溶媒が、23℃における前記(B)色材の溶解度が0.1(mg/10g溶媒)以下の溶媒である、カラーフィルタ用色材分散液。
【化1】

(式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Lは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。上記アルキル基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【化2】

(一般式(II)中、AはNと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基を表し、Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RiiとRiii、RivとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記グラフト共重合体において、前記窒素含有モノマーが有するアミノ基と、下記一般式(III)及び/又は下記一般式(IV)で表される有機酸化合物とが塩を形成した、請求項1に記載のカラーフィルタ用色材分散液。
【化3】

(式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【請求項3】
前記グラフト共重合体において、前記マクロモノマーの前記ポリマー鎖が、下記一般式(V)又は一般式(VI)で表される構成単位を少なくとも1種有するものである、請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用色材分散液。
【化4】

(式(V)及び、式(VI)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【請求項4】
前記一般式(II)におけるアニオン(Bc−)が、スルホナト基(−SO基)を有する有機アニオンである、請求項4に記載のカラーフィルタ用色材分散液。
【請求項5】
前記有機アニオンが、下記一般式(VII)、下記一般式(VIII)、及び下記一般式(IX)で表されるアニオンよりなる群から選択される1種以上である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用色材分散液。
【化5】

(一般式(VII)中、Arは置換基を有していてもよいc価の芳香族基である。cは2以上の整数を表す。)
【化6】

(一般式(VIII)中、Rviは水素原子、又はメチル基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香族基である。Qは直接結合又は2価の連結基を表す。fは1以上の整数、gは2以上の整数を表す。)
【化7】

(一般式(IX)中、Mは2個の水素原子、若しくは、Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、又はZnを表す。スルホナト基(−SO基)は、芳香環に置換しており、cは2〜4の整数を表す。)
【請求項6】
前記一般式(II)におけるアニオン(Bc−)が、モリブデン及び/又はタングステンを含む無機酸のアニオンである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用色材分散液。
【請求項7】
前記一般式(II)におけるaが4以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用色材分散液。
【請求項8】
前記請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用色材分散液と、(D)バインダー成分とを含有する、カラーフィルタ用着色樹脂組成物。
【請求項9】
透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが前記請求項8に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項10】
前記請求項9に記載のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
前記請求項9に記載のカラーフィルタと、有機発光体を有することを特徴とする有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−76760(P2013−76760A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215389(P2011−215389)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】