説明

カラーフィルタ用赤色顔料分散液、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置

【課題】赤色着色層の斜め方向の視認性の改善が可能でありながら、高輝度及び高コントラスト化の要求も達成し、且つ、アルカリ現像性に優れるようにする、カラーフィルタ用赤色顔料分散液、及びカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】顔料と、顔料分散剤と、溶媒とを含有する、顔料分散液であって、前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209を含み、且つ、前記顔料分散剤が、アミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成した特定の構造を有するブロック共重合体である、カラーフィルタ用赤色顔料分散液、及び上記顔料分散液の構成要素に更にバインダー成分を含む、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散液、当該顔料分散液を用いたカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、並びにこのカラーフィルタを有する液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、液晶ディスプレイの需要が増加している。また、最近においては家庭用の液晶テレビの普及率も高まっており、益々液晶ディスプレイの市場は拡大する状況にある。さらに液晶ディスプレイの性能においても、コントラストや色再現性の向上といったさらなる高画質化や消費電力の低減が強く望まれている。
このような状況において、液晶ディスプレイをカラー表示化させる機能を有するカラーフィルタにおいても、高輝度化や高コントラスト化、色再現性の向上といった要望が高まっている。
【0003】
ここで、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部とを有している。
このような着色層の形成方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法などが知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
【0004】
一般に顔料を分散したカラーフィルタは、顔料による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうという問題がある。すなわち、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ON状態とOFF状態における表示装置上の輝度の比(コントラスト比)が低いという問題がある。
【0005】
また、最近、テレビ用途に対しても、バックライトの消費電力低減やLEDバックライトの特性に起因して、カラーフィルタの高輝度化の要望が高くなっている。
現在、バックライト用のLEDとしては、3色LEDではコストメリットが小さいため、青色LEDの表面に蛍光体を塗布することによって形成される擬似白色LED(青色LEDと黄色蛍光体の組み合わせ(B−YAG)や青色LEDと赤色蛍光体と緑色蛍光体とを組み合わせ(B−RG))が主流となっている。このような白色LEDバックライトを使用した場合、青色発光強度と比較して赤色発光強度が微弱であることから、赤色着色層の透過率が落ちてしまうため、赤色着色層の高輝度化が求められている。
【0006】
一方、液晶表示装置はその特有の問題点として、液晶セルや偏光板の屈折率異方性に起因する視野角依存性の問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角特性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその問題の重大性を増している。
このような視野角依存性の問題を改善するため、従来、位相差フィルムを液晶表示装置に組み込む方法が広く用いられてきた。しかしながら、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、着色層の各色の着色パターンによって異なる位相差を有するため、上記の位相差フィルムを用いた場合、各色の着色パターンが有する位相差の差異は補償することができないという問題があり、視野角依存性の問題点を完全に解決することは困難であった。
【0007】
各色の着色パターンが有する位相差の差異を補償するため、特許文献1では、カラーフィルタの着色層の各色の着色パターンによって、それぞれ最適な位相差を有する位相差層をインクジェット法により形成する方法が開示されている。また、特許文献2では、着色層を覆うように形成されたオーバーコート層を、厚み方向のリタデーションを有する材料からなり、且つ、着色層の各色の着色パターン及びオーバーコート層の積層部分が有する厚み方向のリタデーションが均一になるように各オーバーコート層の膜厚を異なるものとする技術が開示されている。しかしながら、これらの方法では、各色の着色パターン上に位相差層乃至膜厚の異なるオーバーコート層を形成する必要があるため、工程が煩雑になるという問題があった。
そこで最近、液晶ディスプレイの視野角依存性の問題を改善するために、カラーフィルタにおいても、各着色層自体の位相差の値をゼロに近づけることが求められている。
【0008】
特許文献3には、斜め方向の視認性の改善を可能としたカラーフィルタ用着色組成物が開示されている。特許文献3では、リタデーション調整剤として、一つ以上の架橋性基を有する平面構造基を有する有機化合物、メラミン化合物、ポリフィリン化合物、および重合性液晶化合物から選択される1種以上を選択した有機化合物を用いることにより、色毎のリタデーション差を小さくしている。しかしながら、特許文献3では、上記リタデーション調整剤によってリタデーションをプラス方向に制御可能だが、マイナス方向には制御できないとう問題があった。
また、特許文献4には、カラーフィルタの着色層について、特定範囲の平均屈折率を有し、且つ、複屈折率の絶対値が0.01以下であるようにすることにより、表示特性の優れた液晶表示装置が得られる旨が記載されている。特許文献4では、着色層の膜形成成分となる高分子に着目し、側鎖にフルオレン基のような平面構造基を有する高分子を含有させることや、当該高分子と正負逆の複屈折率を持つ複屈折率低減粒子を含有させることにより、低複屈折率としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−279448号公報
【特許文献2】特開2010−160345号公報
【特許文献3】特開2008−185984号公報
【特許文献4】特開2000−136253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような状況下になされたものであり、赤色着色層の斜め方向の視認性の改善が可能でありながら、高輝度及び高コントラスト化の要求も達成するカラーフィルタ用赤色顔料分散液、赤色着色層の斜め方向の視認性の改善が可能でありながら、高輝度及び高コントラスト化の要求も達成し、且つ、アルカリ現像性に優れるカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ及びこのカラーフィルタを有する液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、赤色顔料として、C.I.ピグメントレッド254にC.I.ピグメントレッド209の赤色顔料を組み合わせ、更に、顔料分散剤として、特定の構造を有するブロック共重合体の有機酸塩を組み合わせると、輝度及びコントラストを向上させながら、アルカリ現像性に優れ、且つ、着色層の斜め方向の視認性の改善が可能な顔料分散液、感光性樹脂組成物が得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0012】
本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液は、顔料と、顔料分散剤と、溶媒とを含有する、顔料分散液であって、前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209を含み、且つ、前記顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物は、顔料と、顔料分散剤と、感光性バインダー成分と、溶媒とを含有する感光性樹脂組成物であって、前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209を含み、且つ、前記顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体であることを特徴とする。
【0014】
【化1】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【0015】
本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液、及び、本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物においては、更に、黄色顔料のスルホン酸誘導体を含むことが、特に、顔料分散性及び分散安定性が向上し、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成可能な点から好ましい。前記黄色顔料のスルホン酸誘導体としては、中でもC.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体であることが好ましい。
【0016】
本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液、及び、本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物においては、更に、C.I.ピグメントレッド254のフタルイミドアルキル化誘導体及び/又はC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドアルキル化誘導体を含むことが、カラーフィルタ工程における高温加熱工程後においても顔料の凝集が抑制され、特に高輝度で且つ高コントラスト化を達成可能になる点から好ましい。
【0017】
本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液、及び、本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物においては、更に、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド242、並びに、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150及びその誘導体顔料よりなる群から選択される1種以上の顔料を含むことが、位相差値(Rth)をゼロに近づけることができ、現像性も良好でありながら、更に高コントラスト化を実現できる点から好ましい。
【0018】
本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液、及び、本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物においては、前記顔料分散剤における前記有機酸化合物が、下記一般式(III)及び下記一般式(IV)で表される有機酸よりなる群から選択される少なくとも1種であることが、顔料分散性及び分散安定性が向上し、高輝度で且つ高コントラスト化を達成可能で、且つ、優れたアルカリ現像性にすることができる点から好ましい。
【0019】
【化2】

[式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。]
【0020】
本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液、及び、本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物においては、アルカリ可溶性樹脂を含むことが、顔料分散性及び分散安定性が向上し、高輝度で且つ高コントラスト化を達成可能で、且つ、優れたアルカリ現像性にすることができる点から好ましい。
【0021】
また本発明は、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが上記本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルタを提供する。
更に、本発明は、上記カラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、赤色着色層の斜め方向の視認性の改善が可能でありながら、高輝度及び高コントラスト化の要求も達成するカラーフィルタ用赤色顔料分散液を提供することができる。
本発明によれば、赤色着色層の斜め方向の視認性の改善が可能でありながら、高輝度及び高コントラスト化の要求も達成し、且つ、アルカリ現像性に優れるカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を提供することができる。
本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、斜め方向の視認性が改善された、高輝度且つ高コントラストで、未露光箇所における感光性樹脂組成物の残渣が少ない高品質で生産性の高い赤色着色層を備えたカラーフィルタを提供することができる。
更に、本発明によれば、上記赤色着色層を備えたカラーフィルタを用いることで、斜め方向の視認性が改善された液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のカラーフィルタ用赤色顔料分散液、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
本発明において、着色層の位相差としては、以下の式で計算される厚み方向のリタデーション(Rth)を指標とした。
Rth=((Nx+Ny)/2−Nz)d
nx:面内遅相軸方向の屈折率
ny:面内進相軸方向の屈折率
nz:厚み方向の屈折率
d:膜厚(nm)
また、C.I.ピグメントレッドを「PR」と、C.I.ピグメントイエローを「PY」と略することがある。
【0025】
1.カラーフィルタ用赤色顔料分散液
本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液は、顔料と、顔料分散剤と、溶媒とを含有する、顔料分散液であって、前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209を含み、且つ、前記顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体であることを特徴とする。
【0026】
【化3】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【0027】
本発明において、上記特定の組み合わせを採用することにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明であるが以下のように推測される。
PR254は、高透過率の赤色顔料であり、PR177に比べて高輝度を実現可能である。しかしながら、PR254は、コントラストが低くなる傾向が高く、且つ、着色層にした時にRthの値がプラス側に大きくシフトするという問題があった。
本発明者らは、着色層にした時のRthの値が、色度を実現する主たる顔料と正負逆になり、且つ、主たる顔料の透過波長領域において吸収を持たない顔料を、副顔料として組み合わせることにより、色度及び輝度を大きく変化させずに、着色層にした時のRthを相殺することによって、着色層の絶対値をゼロに近づけることを想到した。
本発明によれば、PR254に、透過率が高く、PR254の透過波長領域において吸収を持たない赤色顔料で、且つ、着色層にした時にRthの値がマイナス側にシフトするPR209を選択して組み合わせることにより、PR254が達成する色度及び輝度を大きく変化させずに、PR209の含有量を調整することにより着色層にした時のRthをゼロに近づけることができる。しかしながら、PR254及びPR209はいずれも着色力が低いために、所定の色度を実現するためには、着色層中の顔料濃度を高くする必要がある。更に、高顔料濃度に伴い、顔料分散剤含有量も高くする必要があり、相対的にアルカリ現像性を付与するバインダー成分の含有量が低くなるため、アルカリ現像性が極めて悪化するという問題が生じる。
その点、本発明では、PR254及びPR209に、更に、有機酸化合物と塩形成をした特定のブロック共重合体を顔料分散剤として組み合わせて用いることにより、分散し難いPR254及びPR209の分散性及び分散安定性を向上し、且つ、高顔料濃度の場合であっても優れたアルカリ現像性を達成することができる。
本発明によれば、特別な置換基を有するバインダー成分を用いることなく、着色層の斜め方向の視認性の改善が可能である。
【0028】
本発明のカラーフィルタ用赤色顔料分散液は、少なくともC.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209を含む顔料と、上記特定の顔料分散剤と、溶媒とを必須成分として含有するものであり、必要に応じて他の成分を含有しても良いものである。
以下、このような本発明の赤色顔料分散液の各成分について順に詳細に説明する。
【0029】
(顔料)
本発明で用いられるC.I.ピグメントレッド254は、下記化学式で示される構造を有する。
【0030】
【化4】

【0031】
また、本発明で用いられるC.I.ピグメントレッド209は、下記化学式で示される構造を有する。
【0032】
【化5】

【0033】
本発明に用いられるC.I.ピグメントレッド254等の顔料の平均一次粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜70nmの範囲内であることが好ましく、10〜50nmの範囲内であることがより好ましい。顔料の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルタ用赤色顔料分散液、感光性樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。また従来の顔料分散剤であれば、顔料の粒径の微小化に伴い、顔料分散剤が多量に必要になり、アルカリ現像性の低下や残渣の増加といった問題が生じるおそれがあるが、本発明のカラーフィルタ用赤色顔料分散液及び感光性樹脂組成物に用いられる顔料分散剤は、アルカリ現像性に優れるため、そのような問題を生じるおそれが少ない。したがって、該顔料の平均粒径が上記範囲に示すように、従来に比べ微小であるほど、本発明のカラーフィルタ用感光性樹脂組成物が有する特徴を発揮することができる。
なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
【0034】
顔料分散液中の顔料の平均分散粒径は、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜70nmの範囲内であることが好ましく、10〜50nmの範囲内であることがより好ましい。
顔料分散液中の顔料の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している顔料粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、顔料分散液に用いられている溶剤で、顔料分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
【0035】
本発明に用いられるC.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209は、再結晶法、ソルベントソルトミリング法等の公知の方法にて製造することができる。また、市販のC.I.ピグメントレッド254(例えば、チバスペシャルティケミカルズ製イルガフォアレッドB−CF等)や、市販のC.I.ピグメントレッド209(例えば、クラリアント製Hostaperm Red EG transp等)をミリングして用いても良い。
【0036】
本発明のカラーフィルタ用赤色顔料分散液においては、仕様に必要とされる色度を達成でき、本発明の効果を損なわない限り、他の顔料を用いても良い。他の顔料としては、例えば、他の赤色顔料や、カラーフィルタの赤色着色層に必要な特定の色味を達成する点から黄色顔料が挙げられる。更に橙色等の他の顔料を含有していても良い。
他の顔料を更に組み合わせて用いる場合には、組み合わせることにより、所望の色度を実現しつつ、着色層にした時のRthを互いに相殺することができるように、適宜組み合わせて用いるようにする。
【0037】
その他の赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265等が挙げられる。
【0038】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー150及びその誘導体顔料、C.I.ピグメントイエロー138、並びに、C.I.ピグメントイエロー139からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
ここで、C.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料としては、具体的には、少なくとも1種のゲスト化合物のホストとして働く下記化学式またはそれの互変異性構造の1つに従うアゾ化合物のモノ、ジ、トリおよびテトラアニオンと金属Li,Cs,Mg,Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb、特に好適にはNa,K,Ca,Sr,Ba,Zn,Fe,Ni,Cu,MnおよびLaに相当する金属錯体を挙げることができる。
【0039】
【化6】

[上記化学式中、RおよびR’は、独立して、OH、NH、NH−CN、アシルアミノまたはアリールアミノであり、そしてRおよびR’は、独立して、−OHまたは−NHである]
【0040】
これらの誘導体顔料は、特開2001−354869号公報、特開2005−325350号公報、特開2007−25687号公報、特開2007−23287号公報、特開2007−23288号公報、及び特開2008−24927号公報を参照することにより入手可能である。
【0041】
中でも、他の顔料として、更に、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド242、並びに、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150及びその誘導体顔料よりなる群から選択される1種以上の顔料を含むことが、カラーフィルタの赤色着色層に必要な特定の色味を達成しながら、コントラストを向上する点から好ましい。
【0042】
本発明のカラーフィルタ用赤色顔料分散液において、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209の含有量は、適宜調整されれば良く、特に限定されない。通常、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209を含む顔料の含有量は、カラーフィルタ用赤色顔料分散液の全量に対して5〜40重量%、更に10〜20重量%の範囲内であることが好ましい。
【0043】
(顔料分散剤)
本発明に用いられる顔料分散剤は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体である。
【0044】
【化7】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【0045】
本発明に用いられる顔料分散剤は、アミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成した塩型ブロック共重合体であることにより、塩形成部位を形成する上記構成単位(1)は、塩形成によって溶媒に対する溶解性が低下することで、溶媒に不溶な成分である顔料に対して高い吸着性を有することとなり、一方で構成単位(2)は溶媒に対して溶解性を有することにより、溶媒中での顔料の安定化を図ることができ、その結果、顔料の分散性及び安定性に優れたものとすることができる。
また、有機酸化合物と形成する塩形成部位が、アルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れたものとすることができる。したがって、本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を用いて、カラーフィルタを製造した場合には、アルカリ現像時間を短縮することができ、生産性に優れたものとすることができる。また、アルカリ現像性に優れることにより、未露光箇所におけるカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物の残渣が少ない高品質なカラーフィルタを得ることができる。
【0046】
<ブロック共重合体>
上記ブロック共重合体は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有するものである。
上記一般式(I)において、Rは、水素原子又はメチル基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。これらの中で、メチル基及びエチル基が好ましい。
本発明においては、上記R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0047】
Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、*−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−**、又は、*−[(CH−O]−(CH−**で示される2価の基である。ここで、*は、エステル結合側の連結部位を表し、**は、アミノ基側の連結部位を表す。また、上記炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種へキシレン基、各種オクチレン基などである。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。本発明においては、x、y、及びzが、上記の範囲内にあれば、本発明のカラーフィルタ用赤色顔料分散液は、顔料の分散性に優れたものになる。
上記Aとしては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。炭素数が1〜8の範囲内であれば、顔料の分散性を良好に保つことができる。
【0048】
上記一般式(II)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rを示す。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
【0049】
置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
置換基を有していてもよいアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0050】
上記R及びRは、前記と同じであり、Rは水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基、及び炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記Rで示したとおりである。
上記Rにおいて、x、y及びzは、前記Aで説明したとおりである。
また、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)中のRは、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0051】
本発明において、上記Rとしては、なかでも、後述する溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記ブロック共重合体を構成する繰り返し単位等によっても異なるが、上記溶媒が、カラーフィルタ用の溶媒として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系などの溶媒を用いる場合には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が好ましい。
ここで、上記Rをこのように設定する理由は、上記Rを含む繰り返し単位(2)が、上記溶媒に対して高い溶解性を有し、上記繰り返し単位(1)のアミノ基と、後述する有機酸化合物とが形成する塩形成部位が顔料に対して高い吸着性を有するものであることにより、顔料の分散性及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
【0052】
さらに、上記Rは、上記ブロック共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよく、また、上記ブロック共重合体の合成後に、上記置換基を有する化合物と反応させて、上記置換基を付加させてもよい。また、これらの置換基を有するブロック共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基と重合性基とを有する化合物を反応させて、重合性基を付加したものとしてもよい。例えば、カルボキシル基を有するブロック共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有するブロック共重合体にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたりして、重合性基を付加することができる。
【0053】
本発明に用いられる構成単位(1)のユニット数m及び構成単位(2)のユニット数nの比率m/nとしては、0.01〜1の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.5の範囲内であることがより好ましい。比率m/nが上記範囲内にあれば、顔料に対する吸着性が良好となり、上記構成単位(2)による上記溶媒との溶解性が低くなることがなく、顔料の分散性、及び安定性が低下することがない。
【0054】
本発明に用いられる上記ブロック共重合体の分子サイズに関しては、上記繰り返し単位(1)の数mは、3〜200の整数、好ましくは3〜50の整数である。上記繰り返し単位(2)の数nは、10〜200の整数、好ましくは20〜100の整数、より好ましくは20〜70の整数である。本発明においては、m及びnが、それぞれ上記の範囲内にあることにより、溶媒可溶性部位と溶媒不溶性部位が効果的に作用し、本発明のカラーフィルタ用赤色顔料分散液を顔料の分散性に優れたものとすることができる。
さらに、上記ブロック共重合体の重量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜15000の範囲内であることがより好ましく、3000〜12000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲内であることにより、顔料を均一に分散させる分散初期の顔料に対する濡れ性と分散安定性を両立することが可能となる。
【0055】
なお、上記重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
【0056】
本発明に用いられるブロック共重合体の結合順としては、上記繰り返し単位(1)及び上記繰り返し単位(2)を有し、顔料を安定に分散することができるものであればよく、特に限定されないが、上記繰り返し単位(1)が上記ブロック共重合体の一端のみに結合したものであることが好ましい。すなわち、上記繰り返し単位(1)と、上記繰り返し単位(2)とが、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)の順で結合したものであってもよく、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)−繰り返し単位(1)の順で結合したものであってもよく、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)が繰り返し結合したものであってもよいが、本発明においては、なかでも繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)の順で結合したものが好ましい。その理由は、顔料に対する吸着性に優れ、さらにこのようなブロック共重合体を用いた顔料分散剤同士の凝集を効果的に抑えることができるからである。
【0057】
構成単位(1)や構成単位(2)が2種以上含まれる場合において、構成単位(1)−構成単位(2’)−構成単位(2”)の順で結合したブロック共重合体や、構成単位(1’)−構成単位(1”)−構成単位(2)の順で結合したブロック共重合体や、構成単位(1’)−構成単位(1”)−構成単位(2’)−構成単位(2”)の順で結合したブロック共重合体などであっても良い。
【0058】
<有機酸化合物>
前述した一般式(I)で表される構成単位(1)と、一般式(II)で表される構成単位(2)とを有するブロック共重合体の構成単位(1)が有するアミノ基と、塩を形成する有機酸化合物としては、下記一般式(III)で表される構造を有する有機リン酸化合物及び/又は上記一般式(IV)で表される構造を有する有機スルホン酸化合物が挙げられる。
【0059】
【化8】

[式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。]
【0060】
本発明においては、上記有機酸化合物を用いることにより、当該顔料分散剤を、顔料の分散性及び安定性に優れたものとすることができる。さらに、有機酸化合物が用いられる場合には、塩形成部位が、アルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れた感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0061】
上記一般式(III)において、R及びRa’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’を示し、R及びRa’のうちいずれかは炭素原子を含む。
【0062】
上記炭素数1〜18のアルキル基、上記炭素数2〜18のアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基は、前記Rで示したとおりである。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
上記アルキル基やアルケニル基は置換基を有していても良く、当該置換基としては、F、Cl、Brなどのハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。
また、上記アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
【0063】
上記R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基である。
【0064】
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基は前記のRで示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。
【0065】
及び/又はRa’が、−O−Ra’’の場合、酸性リン酸エステルとなる。上記R’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。尚、Ra’’が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
【0066】
、Ra’及びRa’’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。sは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、tは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。uは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
【0067】
上記一般式(IV)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’を示す。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。
【0068】
が、−O−R’の場合、酸性硫酸エステルとなる。上記R’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
、R’において、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していても良い。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rは、前記R、R及びRa’’で示したとおりである。
また上記R、R及びRは、前記R、Ra’及びRa’’で示したとおりである。
上記R及びR’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。好ましいs、t、uは、上記R、Ra’及びRa’’と同様である。
【0069】
上記一般式(III)で表される有機酸化合物としては、前記一般式(III)におけるR及びRa’が、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含み、且つ、Ra’’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
【0070】
また、一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、一般式(IV)におけるRが、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Rb’で示される1価の基であり、Rb’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
【0071】
中でも、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’として、芳香環を有することが顔料分散性の点から好ましい。R、Ra’及びRa’’の少なくとも1つ、或いは、R又はRb’が、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、より具体的には、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基であることが、顔料分散性の点から好ましい。前記一般式(III)においては、R及びRa’の一方が芳香環を有する場合には、R及びRa’の他方は、水素原子や水酸基であるものも好適に用いられる。
【0072】
また、耐熱性や耐薬品性の点からは、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、リン(P)や硫黄(S)に炭素原子が直接結合した化合物であることが好ましく、R及びRa’が、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含むことが好ましい。また、Rが、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であることが好ましい。
【0073】
また、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’としては、重合性基を有するもの、すなわち、ビニル基、アリル基あるいは−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、且つ、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが好ましく、特に、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’が、ビニル基、アリル基、2−メタクリロイルオキシエチル基、2−アクリロイルオキシエチル基であるものが好ましい。
このような場合には、本発明のカラーフィルタ用感光性樹脂組成物を用いて着色層を形成する際の露光時に、上記重合性基同士及び/又は上記重合性基と、本発明のカラーフィルタ用感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等とを容易に重合することができ、カラーフィルタの着色層中において、上記顔料分散剤が、安定に存在することを可能とする。このようなカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造した際には、液晶層等へ上記顔料分散剤がブリードアウトすることを防止することができる。
【0074】
また、当該有機酸化合物が、重合性基を含むことにより、着色層形成に用いる前に、当該有機酸化合物が有する重合性基同士を重合させることができ、その結果顔料分散剤が高分子量化されるため、着色層形成の現像時において、未露光箇所のカラーフィルタ用感光性樹脂組成物を、アルカリ現像性に特に優れるものとすることができる。
【0075】
尚、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0076】
本発明で用いられるブロック共重合体における該有機酸化合物の含有量は、良好な分散安定性が発揮されるのであればよく、特に制限はないが、一般に前記一般式(I)で表される3級アミノ基に対して、0.05〜1.0モル当量が好ましい。更に、顔料の吸着力や溶剤への溶解性、顔料分散性及び顔料分散安定性が優れる点から、該有機酸化合物の含有量は3級アミノ基に対して、0.2〜0.8モル当量であることが好ましい。尚、上記該有機酸化合物を2種以上併用する場合、これらを合計した含有量が上記範囲内にあればよい。
【0077】
<顔料分散剤の製造>
本発明において、顔料分散剤として用いるブロック共重合体の製造方法としては、上記の繰り返し単位(1)と、繰り返し単位(2)とを有し、かつ上記繰り返し単位(1)が有するアミノ基と、上記の有機酸化合物とが塩を形成したものを製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、上記の繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(2)を公知の重合手段を用いて重合した後、後述する溶媒中に溶解又は分散し、次いで該溶媒中に上記有機酸化合物を添加し、室温もしくは加熱条件下で攪拌することにより顔料分散剤を製造することができる。
【0078】
上記重合手段としては、上記の繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(2)を所望の数で重合し、所望の分子量とすることができる手段であればよく、特に限定されず、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えばアニオン重合やリビングラジカル重合等を用いることができる。本発明においては、なかでも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布等を所望の範囲とすることが容易であるので、該顔料分散剤の分散性を均一にすることができる。
【0079】
本発明のカラーフィルタ用赤色顔料分散液において、顔料分散剤としては、上記ブロック共重合体を1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量としては、顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、顔料100重量部に対して10〜150重量部用いることができる。更に、顔料100重量部に対して15〜80重量部の割合で配合するのが好ましく、特に15〜50重量部の割合で配合するのが好ましい。上記ブロック共重合体の含有量が上記範囲内にあれば、顔料を均一に分散させることができる。なお本発明において、後述する顔料誘導体以外の含有量を規定する際の、顔料には、顔料の他、含有していても良い顔料誘導体が含まれる。
【0080】
(溶媒)
本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液には、顔料を分散させるために溶媒が含まれる。顔料分散液に用いる溶媒としては、該顔料分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶媒であればよく、特に限定されない。
本発明の顔料分散液に用いる溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶媒;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶媒;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶媒;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶媒などの有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒の中では、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒が好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(CHOCHCH(CH)OCOCH)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0081】
これらの溶媒は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の顔料分散液は、以上のような溶媒を、当該溶媒を含む顔料分散液の全量に対して、通常は60〜85重量%の割合で用いて調製する。溶媒が少なすぎると、粘度が上昇し、顔料分散性が低下しやすい。また、溶媒が多すぎると、顔料濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
【0082】
(顔料誘導体)
本発明の効果が損なわれない限り、顔料誘導体を含んでいても良い。このような顔料誘導体は、顔料骨格に官能基を付与し、様々な機能を顔料に付加する役割を持つ化合物である。顔料分散時に顔料誘導体を顔料に添加すると、顔料誘導体の顔料類似骨格が顔料表面に吸着もしくは結合し、それにより顔料の表面が極性を有するようになることによって、分散剤と顔料間の親和性が向上し、分散性、分散安定性を確保できると考えられる。顔料誘導体を更に組み合わせて用いる場合には、組み合わせることにより、所望の色度を実現しつつ、着色層にした時のRthを互いに相殺することができるように、適宜組み合わせて用いるようにする。
【0083】
(黄色顔料のスルホン酸誘導体)
顔料誘導体としては、中でも、黄色顔料のスルホン酸誘導体が用いられることが、特に、顔料分散性及び分散安定性が向上し、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成可能な点から好ましい。
黄色顔料のスルホン酸誘導体は、本発明で用いられるC.I.ピグメントレッド254と親和性が高く、赤色顔料の表面に吸着することにより、赤色顔料の表面を酸性にし、C.I.ピグメントレッド254顔料そのものよりも、顔料分散剤との親和性を高める、顔料分散剤との仲介役を果たすと考えられる。また、黄色顔料のスルホン酸誘導体は、赤色顔料のスルホン酸誘導体と異なり、C.I.ピグメントレッド254の透過波長よりもより短波長側まで透過することにより、赤色顔料の透過領域(550〜700nm) で吸収することがなく、赤色顔料分散液の輝度を低下させることがない。
また本発明によれば、顔料分散剤が3級アミンの塩を含む塩型ブロック共重合体であることにより、塩型ブロック共重合体において、塩形成部位を有する構成単位のブロックが、顔料、及び、特に顔料表面に吸着された黄色顔料のスルホン酸誘導体に対する吸着性が強く、一方で塩形成部位を有しない構成単位を含むブロックは溶媒に対して溶解性を有する。このような顔料分散剤と黄色顔料のスルホン酸誘導体とを組み合わせて用いると、C.I.ピグメントレッド254を微細化しつつ、微細化されて露出された顔料表面に黄色顔料のスルホン酸誘導体と顔料分散剤が適切に吸着して溶媒中での顔料の安定化を図ることができ、C.I.ピグメントレッド254をより均一に微細化することができると推定される。その結果、コントラストが向上した塗膜を得ることができる。
【0084】
黄色顔料のスルホン酸誘導体は、上記のように、高輝度で且つ高コントラスト化の点から有効であるが、着色層にした時に、C.I.ピグメントレッド254単独で得られるRthの値を更にプラス側に大きくする場合がある。しかしながら、本発明によれば、PR254とはRthの値が逆側にシフトするPR209を選択して組み合わせているので、PR209の含有量を調整することにより着色層にした時のRthをゼロに近づけることができる。また、顔料誘導体を含むことにより、着色層中の顔料濃度が更に高くなっても、有機酸化合物と塩形成をした特定のブロック共重合体を顔料分散剤として組み合わせて用いるので、優れたアルカリ現像性を達成することができる。
【0085】
本発明の顔料分散液において用いられる、黄色顔料のスルホン酸誘導体を誘導する黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、12、13、14、15、16、17、24、49、55、60、63、65、73、74、75、77、81、83、87、93、94、95、97、98、101、105、106、108、109、110、111、113、114、115、116、117、120、123、125、126、127、128、129、130、137、138、139、151、152、153、154、155、167、170、171、172、173、174、175、176、179、180、181、182、185、193、194、199、213、214、215、219等が挙げられる。
【0086】
上記の中でも、黄色顔料のスルホン酸誘導体を誘導する黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー138、139が、赤色顔料の透過領域(550〜700nm)での透過率が高く、C.I.ピグメントレッド254との親和性が高い点から好ましく、中でも特に、C.I.ピグメントイエロー138を用いることが、特に赤色顔料の透過領域での透過率が高く、C.I.ピグメントレッド254との親和性が高く、かつ、輝度を低下させることなく高コントラスト化を実現しやすい点から好ましい。
【0087】
黄色顔料のスルホン酸誘導体は、少なくとも1つのスルホン酸基(−SOH)、又はスルホン酸塩が、黄色顔料に結合した構造を有するものである。スルホン酸塩としては、スルホン酸基の一部もしくは全部が、アミン、アンモニウムヒドロキシド、クロリド、ブロミド等や、金属等によって塩形成されたものが挙げられる。
【0088】
塩形成していないスルホン酸基が存在している場合の方が、本発明に用いられるブロック共重合体型顔料分散剤の三級アミン部位と塩形成することにより、分散剤の顔料吸着力を向上させることができるため好ましい。
また、黄色顔料のスルホン酸誘導体には、スルホン酸基、スルホン酸塩以外に、更にフタルイミドメチル基等の他の官能基が置換されていても良い。
【0089】
スルホン酸基(−SOH)、又はスルホン酸塩の黄色顔料1分子中の置換数は、1〜3であることが好ましく、中でも1〜2であることが、更に、1であることが立体障害や分散剤との親和性の点から好ましい。
【0090】
本発明において用いられる好適に用いられる黄色顔料のスルホン酸誘導体としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー138に、少なくともスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩が結合した、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体が挙げられる。
【0091】
黄色顔料のスルホン酸誘導体は、例えば、黄色顔料を、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸又はこれらの混合液などに投入してスルホン化反応を行うことにより製造することができる。スルホン化反応後、反応液を大量の水で希釈するか、あるいはアミン塩を製造する際にはアミン水溶液で中和することが好ましく、得られた懸濁液を濾過した後に水系の洗浄液で洗浄し、乾燥する。
【0092】
上記の方法でスルホン化を行う場合、反応液濃度、反応温度、反応時間などを調整することにより1分子当たりのスルホン酸基の導入量を制御することができる。
【0093】
黄色顔料のスルホン酸誘導体としては、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。例えば、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩の種類、置換位置又は置換数、その他置換基の種類が異なるスルホン酸誘導体を2種以上混合して用いても良い。
【0094】
本発明において、黄色顔料のスルホン酸誘導体は、赤色顔料全体の100重量部に対して、1〜25重量部含有されることが好ましい。中でも、黄色顔料のスルホン酸誘導体は、前記赤色顔料全体の100重量部に対して、1〜15重量部、更に3〜10重量部含有されることが好ましい。このような含有量で用いられることにより、色相を大きく変えることなく高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成する塗膜を作製可能になる。
【0095】
<赤色又は黄色顔料のフタルイミドアルキル化誘導体>
本発明の顔料分散液においては、更に、C.I.ピグメントレッド254のフタルイミドアルキル化誘導体及び/又はC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドアルキル化誘導体を用いることが、カラーフィルタ工程における高温加熱工程後においても顔料の凝集が抑制され、特に高輝度で且つ高コントラスト化を達成可能になる。その他、黄色顔料のフタルイミドアルキル化誘導体を用いても良い。
【0096】
C.I.ピグメントレッド254のフタルイミドアルキル化誘導体及び/又はC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドアルキル化誘導体は、少なくとも1つのフタルイミドアルキル基が、C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントレッド255に結合した構造を有する。
【0097】
フタルイミドアルキル基のアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等が挙げられる。中でも、製造が容易な点から、フタルイミドアルキル基のアルキル基としては、メチル基であることが好ましい。
フタルイミドアルキル化誘導体は分子内、分子間で、PR254の水素結合部位と水素結合を形成することで、PR254の水素結合部位をブロックし、他のPR254が分子レベルで近づけないようにすることで結晶が成長しにくくなると推測される。
【0098】
また、フタルイミドアルキル基の置換数nは、1〜2であることが好ましく、中でも1であることが、顔料の吸着しやすさと耐熱性向上が両立できる点から好ましい。
【0099】
C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドアルキル化誘導体は、例えば、C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントレッド255を、硫酸中で、パラホルムとフタルイミドと反応させることにより製造することができる。この合成方法については、特許第2551565号に詳細に記載され、これを参照することができる。C.I.ピグメントレッド254又はC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドアルキル化誘導体としては、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。例えば、アルキル基の種類、フタルイミドアルキル基の置換位置又は置換数が異なるフタルイミドアルキル化誘導体を2種以上混合して用いても良い。
【0100】
本発明において、C.I.ピグメントレッド254のフタルイミドアルキル化誘導体及び/又はC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドアルキル化誘導体は、前記
C.I.ピグメントレッド254の100重量部に対して、0〜20重量部含有される。中でも、C.I.ピグメントレッド254のフタルイミドアルキル化誘導体及び/又はC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドアルキル化誘導体は、前記C.I.ピグメントレッド254の100重量部に対して、1〜15重量部、更に3〜10重量部含有されることが好ましい。このような含有量で用いられることにより、カラーフィルタ工程における高温加熱工程後においても顔料の凝集が抑制され、特に高輝度で且つ高コントラスト化を達成可能になる。
【0101】
(その他の成分)
本発明の顔料分散液には、さらに必要に応じて、顔料分散補助樹脂やその他の成分を配合しても良い。
顔料分散補助樹脂としては、例えば後述する感光性樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって顔料粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、本発明の効果が損なわれない限り、他の顔料分散剤を含んでいても良い。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0102】
<顔料分散液の製造方法>
本発明の顔料分散液は、上記溶媒中、上記塩形成型ブロック共重合体である顔料分散剤と、必要に応じて用いられる顔料誘導体との存在下で、上記C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209を含む顔料を分散させる工程を有することが好ましい。
分散工程において、分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0mmである。
【0103】
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.1〜5.0μmのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
【0104】
本発明においては、公知の分散機を用いて分散させる分散時間は、適宜調整され特に限定されないが、顔料の平均分散粒径が15〜50nm程度となるように、例えばペイントシェーカーを用いた場合には5〜50時間とすることが、顔料を微細化して高いコントラストを実現する点から好ましい。
このようにして、顔料粒子の分散性に優れた顔料分散液が得られる。該顔料分散液は、顔料分散性に優れたカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を調製するための予備調製物として用いられる。
【0105】
2.カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物
本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物は、顔料と、顔料分散剤と、感光性バインダー成分と、溶媒とを含有する感光性樹脂組成物であって、前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209を含み、且つ、前記顔料分散剤が、上記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体であることを特徴とする。
【0106】
本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物は、上記本発明に係る顔料分散液と同様に、前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209を含み、且つ、前記顔料分散剤が上記特定の有機酸化合物と塩形成をしたブロック共重合体であるため、赤色着色層の斜め方向の視認性の改善が可能でありながら、高輝度及び高コントラスト化の要求も達成し、且つ、アルカリ現像性に優れる。
以下、このような本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物に用いられる成分を説明する。
なお、上記本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液に含まれ得る成分については、上記顔料分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、他の顔料分散剤以外、ここでの説明は省略する。
上述した、黄色顔料のスルホン酸誘導体は、赤色感光性樹脂組成物において含まれ得る黄色顔料の顔料分散時に用いられることにより感光性樹脂組成物に含まれるものではなく、赤色顔料の顔料分散時に用いられることにより感光性樹脂組成物に含まれることが、本願の効果を得る点から好ましい。
【0107】
(感光性バインダー成分)
本発明においては、塗膜に充分な強度、耐久性、密着性を付与する点から、基板上に塗工又は転写などによりパターンを形成後、該塗膜を重合反応により硬化させることができる、バインダー成分を用いる。以下に説明する感光性バインダー成分の他に、エポキシ樹脂のような加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分を更に用いてもよい。優れた顔料分散性を有する上記本発明に係る顔料分散液を用いて本発明に係る樹脂組成物を調製するにあたり、その優れた顔料分散性を阻害しないように、適宜バインダー成分を選択する必要がある。
【0108】
感光性バインダー成分には、紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含み、露光部を硬化させて未露光部を溶解除去することにより露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるネガ型の感光性バインダー成分が挙げられる。
本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物においては、ネガ型感光性バインダー成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
【0109】
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むネガ型感光性バインダー成分は、(i)アルカリ可溶性樹脂、(ii)多官能性モノマー、(iii)光重合開始剤、及び増感剤等を配合して構成される。
【0110】
(i)アルカリ可溶性樹脂
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は側鎖にカルボキシル基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
【0111】
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環は感光性樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
【0112】
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス−2−プロペノエート、スチレン、γ−メチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
【0113】
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5重量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50重量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
【0114】
カルボキシル基含有共重合体の好ましい分子量は、好ましくは1,000〜500,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下し、500,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。
【0115】
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0116】
不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられる。これら不飽和基含有モノカルボン酸は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0117】
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
【0118】
(ii)多官能性モノマー
本発明における多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物;ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フォスフェート等を挙げることができる。
【0119】
これらの多官能性モノマーのうち、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。前記多官能性モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0120】
本発明における多官能性モノマーの使用量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、通常、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部である。多官能性モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能性モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下する可能性がある。
【0121】
(iii)光重合開始剤、及び増感剤
ネガ型感光性バインダー成分には、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、光重合成を有する重合体や光重合成モノマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合等)や、各材料の種類を考慮して適宜選択され、特に限定されない。
【0122】
光重合開始剤としては、紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ビイミダゾール系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、ケタール系化合物、アゾ系化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン系化合物、ジスルフィド系化合物、チウラム化合物類、フルオロアミン系化合物、オキシムエステル系化合物などが挙げられる。
例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0123】
本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能性モノマー100重量部に対して、通常0.01〜100重量部程度、好ましくは5〜60重量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物の固形分中の顔料等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
【0124】
また、本発明においては、必要に応じて、前記光重合開始剤と共に、増感剤および硬化促進剤の群から選ばれる1種以上をさらに併用することもできる。前記増感剤の具体例としては、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。また、前記硬化促進剤の具体例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−4,6−ジメチルアミノピリジン、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール等の連鎖移動剤を挙げることができる。
【0125】
(その他の顔料分散剤)
感光性樹脂組成物においては、着色層の色度調整の点から、顔料として、黄色顔料等他の顔料が更に用いられ得る。当該他の顔料を分散させるために、上記本発明に係る顔料分散液に用いられた顔料分散剤を用いても良いが、他の顔料分散剤を用いて分散させても良く、感光性樹脂組成物に他の顔料分散剤が含まれていても良い。
他の顔料分散剤としては、特に限定されず、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。また、溶媒に少量溶解するような顔料誘導体を顔料分散剤として用いてもよい。
【0126】
(任意添加成分)
本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ各種添加剤を含むものであってもよい。該添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
【0127】
<感光性樹脂組成物における各成分の配合割合>
顔料の合計の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して、10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%の割合で配合することが好ましい。顔料が少なすぎると、感光性樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜4.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また顔料が多すぎると、感光性樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またその感光性樹脂組成物中の顔料分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために現像性、耐熱性等の特性も不十分になるおそれがある。尚、本発明において固形分は、上述した溶媒以外のもの全てであり、溶媒中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
また、顔料分散剤の合計の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して、1〜50重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも5〜35重量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して、1重量%未満の場合には、顔料を均一に分散することが困難になる恐れがあり、50重量%を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
アルカリ可溶性樹脂、多官能モノマー、及び光開始剤は、これらの合計量が、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して15〜89重量%、好ましくは25〜80重量%の割合で配合するのが好ましい。
また、溶媒の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶媒を含む上記感光性樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88重量%の範囲内であることが好ましい。上記溶媒の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
【0128】
(カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物の製造)
本発明の感光性樹脂組成物の製造方法としては、本発明に係る顔料分散液と、他の顔料分散液と、感光性バインダー成分、必要に応じて更に、溶媒、各種添加成分とを添加し混合する方法を挙げることができる。
顔料分散液としては、PR254の顔料分散液と、PR209の顔料分散液と、必要に応じて更に別の色の顔料分散液を、それぞれ別の顔料分散液として調製し、感光性樹脂組成物の調製時に混合しても良い。
本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物は、予め顔料分散液を製造して用いるので、顔料の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。
【0129】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
[カラーフィルタ]
本発明のカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが前述した本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とする。本発明のカラーフィルタは、上記本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、斜め方向の視認性が改善された、高輝度且つ高コントラストで、未露光箇所における感光性樹脂組成物の残渣が少ない高品質で生産性の高い赤色着色層を備えることができる。
このような本発明のカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
【0130】
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、前述した本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を硬化させて形成されたものであればよく、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、該カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物に含まれる顔料の種類によって、3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0131】
当該着色層は、例えば下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等を光重合反応させて、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
【0132】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、感光性樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
【0133】
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO膜(xは任意の数)、CrN膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0134】
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0135】
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、顔料としてカーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料及び感光性樹脂を含有する遮光部用感光性樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0136】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
【0137】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
【0138】
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0139】
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0140】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0141】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【実施例】
【0142】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(製造例1 バインダー樹脂Aの合成)
重合槽に、溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EMDG)130重量部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃に昇温した後、メタクリル酸メチル(MMA)32重量部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)22重量部、メタクリル酸(MAA)24重量部、開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)2重量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5重量部を含む混合物を、それぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05重量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル(GMA)22重量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2重量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44重量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aの重量平均分子量は8500、酸価は85mgKOH/gであった。なお、重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて算出し、酸価はJIS−K0070に従い測定した。
【0143】
(製造例2 黄色顔料スルホン酸誘導体(PY138スルホン酸誘導体)の合成)
11重量%発煙硫酸374.76gを10℃に冷却しながら攪拌し、ピグメントイエロー138 74.96gを加えた。次いで、90℃で6時間攪拌した。
反応液を氷水1600gに加え、15分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを800mlの水で3回洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、粉砕することでピグメントイエロー138にスルホン酸基が1個置換した、黄色顔料スルホン酸誘導体を得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
【0144】
(製造例3 赤色顔料フタルイミドメチル誘導体(PR255フタルイミドメチル誘導体)の合成)
96%硫酸461.2gを撹拌しながらピグメントレッド255 23.08gを冷却しながら加える。ついで、冷却しながら1時間撹拌後、100%硫酸461.2gと、N−ヒドロキシメチルフタルイミド28.37gを加えた。室温で一晩攪拌した後、反応液を氷水3800gにあけ、沈殿をろ過して取り出した。
得られたウェットケーキを温水で3回洗浄し、真空乾燥、粉砕することでピグメントレッド255にフタルイミドメチル基が1個置換した、赤色顔料フタルイミド誘導体を得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
【0145】
(製造例4 分散剤溶液Aの調製)
100mL丸底フラスコ中で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)22.38重量部に、上記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有するブロック共重合体(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)(重量平均分子量7800、アミン価130、固形分60重量%)10.00重量部、フェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学社製)0.59重量部(アミノ基に対して0.3モル当量)を加え、超音波で15分処理することで固形分重量20%の部分塩形成されたブロック共重合体型分散剤である分散剤溶液Aとした。
このとき、ブロック共重合体(BYK−LPN6919)のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸・塩基反応により部分塩形成されている。得られた分散剤溶液Aの酸価は71mgKOH/gであった。
【0146】
(製造例5 分散剤溶液Bの調製)
100mL丸底フラスコ中で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)21.94重量部に、上記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有するブロック共重合体(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)10.00重量部、塩化ベンジル(関東化学社製)0.49重量部(アミノ基に対して0.3モル当量)を加え、110℃で3時間攪拌することで固形分重量20%の部分塩形成されたブロック共重合体型分散剤である分散剤溶液Bとした。
このとき、ブロック共重合体(BYK−LPN6919)のアミノ基は、塩化ベンジルとの四級化反応により部分塩形成されている。得られた分散剤溶液Bの酸価は0mgKOH/gであった。
【0147】
(製造例6 PR254顔料分散液Aの調製)
色材成分としてC.I.ピグメントレッド254の微細化顔料(PR254:平均一次粒径15〜50nm)3.90重量部、顔料分散剤として製造例4で調製した分散剤溶液A7.80重量部、製造例1で調製したバインダー樹脂A3.54重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート14.76重量部を混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで6時間分散し、顔料濃度13%のPR254顔料分散液Aを得た。なお、分散時のベッセル内のビーズ充填率は50%とした。
【0148】
(製造例7 PR254顔料分散液Bの調製)
製造例6において、分散剤溶液Aを製造例5で調製した分散剤溶液B7.80重量部とした以外は製造例6と同様に、顔料濃度13%のPR254顔料分散液Bを得た。
【0149】
(製造例8 PR254顔料分散液Cの調製)
製造例6において、分散剤溶液Aを、塩形成されていないブロック共重合体(BYK−LPN6919:固形分60重量%)2.60重量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート19.96重量部とした以外は製造例6と同様に、顔料濃度13%のPR254顔料分散液Cを得た。
【0150】
(製造例9 PR254顔料分散液Dの調製)
色材成分としてC.I.ピグメントレッド254の微細化顔料(PR254:平均一次粒径15〜50nm)2.70重量部、製造例2で調製した黄色顔料スルホン酸誘導体0.15重量部、製造例3で調製した赤色顔料フタルイミドメチル誘導体0.15重量部、顔料分散剤として製造例4で調製した分散剤溶液A7.50重量部、製造例1で調製したバインダー樹脂A2.05重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17.45重量部を混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで18時間分散し、顔料濃度10%のPR254顔料分散液Dを得た。なお、分散時のベッセル内のビーズ充填率は50%とした。
【0151】
(製造例10 PR209顔料分散液Aの調製)
色材成分としてC.I.ピグメントレッド209顔料(商品名:Hostaperm Red EG TRANSp、クラリアント社製)2.85重量部、製造例2で調製した黄色顔料スルホン酸誘導体0.15重量部、顔料分散剤として製造例4で調製した分散剤溶液A7.50重量部、製造例1で調製したバインダー樹脂A2.05重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17.45重量部を混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで18時間分散し、顔料濃度10%のPR209顔料分散液Aを得た。なお、分散時のベッセル内のビーズ充填率は50%とした。
【0152】
(製造例11 PR209顔料分散液Bの調製)
製造例10において、分散剤溶液Aを製造例5で調製した分散剤溶液B7.50重量部とした以外は製造例10と同様に、顔料濃度10%のPR209顔料分散液Bを得た。
【0153】
(製造例12 PR209顔料分散液Cの調製)
製造例10において、分散剤溶液Aを、塩形成されていないブロック共重合体(BYK−LPN6919:固形分60重量%)2.5重量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート22.45重量部とした以外は製造例10と同様に、顔料濃度10%のPR209顔料分散液Cを得た。
【0154】
(製造例13 PR177顔料分散液Aの調製)
製造例6において、色材成分をC.I.ピグメントレッド177の微細化顔料(PR177:平均一次粒径15〜50nm)とした以外は製造例6と同様に、顔料濃度13%のPR177顔料分散液Aを得た。
【0155】
(製造例14 PY150顔料分散液Aの調製)
製造例6において、色材成分をC.I.ピグメントイエロー150の微細化顔料(PY150:平均一次粒径15〜50nm)とした以外は製造例6と同様に、顔料濃度13%のPY150顔料分散液Aを得た。
【0156】
(製造例15 (PR254+PR209)顔料分散液Aの調製)
色材成分としてC.I.ピグメントレッド254の微細化顔料(PR254:平均一次粒径15〜50nm)2.16重量部、C.I.ピグメントレッド209顔料(商品名:Hostaperm Red EG TRANSp、クラリアント社製)0.57重量部、製造例2で調製した黄色顔料スルホン酸誘導体0.15重量部、製造例3で調製した赤色顔料フタルイミドメチル誘導体0.15重量部、顔料分散剤として製造例4で調製した分散剤溶液A7.50重量部、製造例1で調製したバインダー樹脂A2.05重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17.45重量部を混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで24時間分散し、顔料濃度10%の(PR254+PR209)顔料分散液Aを得た。なお、分散時のベッセル内のビーズ充填率は50%とした。
【0157】
(製造例16 (PR254+PR209)顔料分散液Bの調製)
製造例15において、C.I.ピグメントレッド254の微細化顔料1.89重量部、C.I.ピグメントレッド209顔料0.81重量部とした以外は製造例15と同様に、顔料濃度10%の(PR254+PR209)顔料分散液Bを得た。
【0158】
(製造例17 (PR254+PR209)顔料分散液Cの調製)
製造例15において、C.I.ピグメントレッド254の微細化顔料1.62重量部、C.I.ピグメントレッド209顔料1.08重量部とした以外は製造例15と同様に、顔料濃度10%の(PR254+PR209)顔料分散液Cを得た。
【0159】
(製造例18 透明感光性樹脂組成物の調製)
アルカリ可溶性樹脂として製造例1のバインダー樹脂A(固形分44重量%)56.8重量部、モノマー成分として3〜4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM305、東亞合成社製):60.0重量部、光重合開始剤として(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)10.0重量部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート118.2重量部を混合し、固形分40重量%の透明感光性樹脂組成物を得た。
【0160】
(実施例1 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−1の調製)
製造例6で調製したPR254顔料分散液A9.55重量部、製造例10で調製したPR209顔料分散液A3.10重量部、製造例18で調製した透明感光性樹脂組成物5.52重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.58重量部、添加剤としてシランカップリング剤(商品名:KBM−503、信越化学工業社製)0.05重量部、フッ素系レベリング剤(商品名:R08MH、DIC社製)0.05重量部、多官能チオール(商品名:カレンズMTPE1、昭和電工社製)0.05重量部を混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−1(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:31.0重量%、顔料組成:PR254/PR209=80/20)を得た。
【0161】
(実施例2 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−2の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液A8.97重量部、PR209顔料分散液A5.00重量部、透明感光性樹脂組成物5.00重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.78重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−2(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:33.3重量%、顔料組成:PR254/PR209=70/30)を得た。
【0162】
(実施例3 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−3の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液A8.19重量部、PR209顔料分散液A7.10重量部、透明感光性樹脂組成物4.52重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.95重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−3(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:35.5重量%、顔料組成:PR254/PR209=60/40)を得た。
【0163】
(比較例1 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−0の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液A10.99重量部、PR209顔料分散液Aを添加せず、透明感光性樹脂組成物6.07重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.69重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−0(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:28.6重量%、顔料組成:PR254のみ)を得た。
【0164】
(比較例2 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−4の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aを8.79重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例13で調製したPR177顔料分散液Aを2.20重量部、透明感光性樹脂組成物6.07重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.69重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−4(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:28.6重量%、顔料組成:PR254/PR177=80/20)を得た。
【0165】
(比較例3 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−5の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aを7.69重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例13で調製したPR177顔料分散液Aを3.30重量部、透明感光性樹脂組成物6.07重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.69重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−5(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:28.6重量%、顔料組成:PR254/PR177=70/30)を得た。
【0166】
(比較例4 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−6の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aを6.59重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例13で調製したPR177顔料分散液Aを4.40重量部、透明感光性樹脂組成物6.07重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.69重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−6(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:28.6重量%、顔料組成:PR254/PR177=60/40)を得た。
【0167】
(比較例5 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−7の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aを8.79重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例13で調製したPR177顔料分散液Aを1.23重量部、製造例14で調製したPY150顔料分散液Aを0.97重量部、透明感光性樹脂組成物6.07重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.69重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−7(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:28.6重量%、顔料組成:PR254/PR177/PY150=80/11/9)を得た。
【0168】
(比較例6 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−8の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aを7.69重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例13で調製したPR177顔料分散液Aを1.85重量部、製造例14で調製したPY150顔料分散液Aを1.45重量部、透明感光性樹脂組成物6.07重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.69重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−8(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:28.6重量%、顔料組成:PR254/PR177/PY150=70/17/13)を得た。
【0169】
(比較例7 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−9の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aを6.59重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例13で調製したPR177顔料分散液Aを2.46重量部、製造例14で調製したPY150顔料分散液Aを1.93重量部、透明感光性樹脂組成物6.07重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.69重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物A−9(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:28.6重量%、顔料組成:PR254/PR177/PY150=60/22/18)を得た。
【0170】
(比較例8 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物B−1の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例7で調製したPR254顔料分散液Bを9.55重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例11で調製したPR209顔料分散液Bを3.10重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物B−1(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:31.0重量%、顔料組成:PR254/PR209=80/20)を得た。
【0171】
(比較例9 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物B−2の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例7で調製したPR254顔料分散液Bを8.97重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例11で調製したPR209顔料分散液Bを5.00重量部、透明感光性樹脂組成物5.00重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.78重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物B−2(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:33.3重量%、顔料組成:PR254/PR209=70/30)を得た。
【0172】
(比較例10 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物B−3の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例7で調製したPR254顔料分散液Bを8.19重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例11で調製したPR209顔料分散液BをA7.10重量部、透明感光性樹脂組成物4.52重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.95重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物B−3(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:35.5重量%、顔料組成:PR254/PR209=60/40)を得た。
【0173】
(比較例11 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物B−0の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例7で調製したPR254顔料分散液Bを10.99重量部、PR209顔料分散液Aを添加せず、透明感光性樹脂組成物6.07重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.69重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物B−0(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:28.6重量%、顔料組成:PR254のみ)を得た。
【0174】
(比較例12 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物C−1の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例8で調製したPR254顔料分散液Cを9.55重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例12で調製したPR209顔料分散液Cを3.10重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物C−1(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:31.0重量%、顔料組成:PR254/PR209=80/20)を得た。
【0175】
(比較例13 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物C−2の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例8で調製したPR254顔料分散液Cを8.97重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例12で調製したPR209顔料分散液Cを5.00重量部、透明感光性樹脂組成物5.00重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.78重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物C−2(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:33.3重量%、顔料組成:PR254/PR209=70/30)を得た。
【0176】
(比較例14 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物C−3の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例8で調製したPR254顔料分散液Cを8.19重量部、PR209顔料分散液Aの代わりに製造例12で調製したPR209顔料分散液CをA7.10重量部、透明感光性樹脂組成物4.52重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.95重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物C−3(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:35.5重量%、顔料組成:PR254/PR209=60/40)を得た。
【0177】
(比較例15 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物C−0の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例8で調製したPR254顔料分散液Cを10.99重量部、PR209顔料分散液Aを添加せず、透明感光性樹脂組成物6.07重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.69重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物C−0(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:28.6重量%、顔料組成:PR254のみ)を得た。
【0178】
(実施例4 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物D−1の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例9で調製したPR254顔料分散液Dを13.33重量部、PR209顔料分散液Aを3.33重量部、透明感光性樹脂組成物5.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.08重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物D−1(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:33.3重量%、顔料組成:PR254/PR209=80/20)を得た。
【0179】
(実施例5 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物D−2の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例9で調製したPR254顔料分散液Dを12.42重量部、PR209顔料分散液Aを5.32重量部、透明感光性樹脂組成物4.52重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.49重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物D−2(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:35.5重量%、顔料組成:PR254/PR209=70/30)を得た。
【0180】
(実施例6 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物D−3の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例9で調製したPR254顔料分散液Dを11.25重量部、PR209顔料分散液AをA7.50重量部、透明感光性樹脂組成物4.06重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.94重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物D−3(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:37.5重量%、顔料組成:PR254/PR209=60/40)を得た。
【0181】
(比較例16 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物D−0の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例9で調製したPR254顔料分散液Dを15.52重量部を用い、PR209顔料分散液Aを添加せず、透明感光性樹脂組成物5.52重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.72重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物D−0(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:31.0重量%、顔料組成:PR254のみ)を得た。
【0182】
(実施例7 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物E−1の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液A及びPR209顔料分散液Aの代わりに、製造例15で得られた(PR254+PR209)顔料分散液Aを16.67重量部、透明感光性樹脂組成物5.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.08重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物E−1(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:33.3重量%、顔料組成:PR254/PR209=80/20)を得た。
【0183】
(実施例8 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物E−2の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液A及びPR209顔料分散液Aの代わりに、製造例16で得られた(PR254+PR209)顔料分散液Bを17.74重量部、透明感光性樹脂組成物4.52重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.49重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物E−2(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:35.5重量%、顔料組成:PR254/PR209=70/30)を得た。
【0184】
(実施例9 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物E−3の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液A及びPR209顔料分散液Aの代わりに、製造例17で得られた(PR254+PR209)顔料分散液Cを18.75重量部、透明感光性樹脂組成物4.06重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.94重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物E−3(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:37.5重量%、顔料組成:PR254/PR209=60/40)を得た。
【0185】
(実施例10 カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物F−1の調製)
実施例1において、PR254顔料分散液Aの代わりに製造例9で調製したPR254顔料分散液Dを6.00重量部、PR209顔料分散液Aを4.00重量部、さらに製造例13で調製したPR177顔料分散液Aを2.82重量部、製造例14で調製したPY150顔料分散液Aを2.31重量部、透明感光性樹脂組成物5.00重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.62重量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物F−1(固形分濃度:20重量%、固形分中の顔料濃度:33.3重量%、顔料組成:PR254/PR209/PR177/PY150=36/24/22/18)を得た。
【0186】
(評価)
<光学性能評価>
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線を照射し、230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークすることによって硬化膜(赤色着色層)を得た。硬化後の着色層の膜厚は目標色度x=0.650になるように調整した。
得られた赤色着色基板のコントラスト、色度(x、y)、輝度(Y)及びリタデーション(Rth)を測定した。コントラストは壺坂電気(株)社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用い、色度及び輝度はオリンパス(株)社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。
リタデーション(Rth)は、位相差層測定装置(AXOMETRICS社製AxoscanTM Mueller Matrix Polarimeter)を用い、赤色着色層の測定波長は620nmで測定し、リタデーション(Rth)は以下の式で計算した。結果を表1に示す。
Rth=((Nx+Ny)/2−Nz)d
nx:面内遅相軸方向の屈折率
ny:面内進相軸方向の屈折率
nz:厚み方向の屈折率
d:膜厚(nm)
【0187】
<アルカリ現像性>
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。この着色層にフォトマスクを介し、超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05重量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像し、上記着色層を形成した箇所のガラス面が現れるまでの時間を現像時間として測定した。結果を表1に示す。現像時間が3分を超えたものは「×」と表示した。
【0188】
【表1】

【0189】
表1の結果から、以下のことが明らかにされた。
実施例1〜3より、本発明の赤色感光性樹脂組成物は、PR209を含まないPR254のみの場合(比較例1)の色度と輝度値をほとんど変化させずに、PR209の含有量を増加させることにより位相差値(Rth)をゼロに近づけることができ、現像性も良好である。一方、比較例1のPR209を含まないPR254のみの場合には、位相差値が大きくなってしまう。
比較例2〜4より、PR209に代えて、PR177の含有量を増加させることで位相差値をゼロに近づけることは可能だが、位相差値の変化の値が小さく不十分である。更に、PR177を添加することにより色度が変化し、且つ輝度値も低下する。
比較例5〜7より、比較例2〜4に更にPY150を添加すると色度調整は可能だが、輝度値は小さく、位相差の値も大きいままである。
【0190】
比較例8〜11より、顔料分散剤の塩形成剤を、有機酸化合物から塩化ベンジルに変更すると、PR209の含有量を増加させることにより位相差値(Rth)をゼロに近づけることができるものの、顔料含有比率(P/V比)の増加に伴い、現像性が著しく悪化した。
比較例12〜15より、顔料分散剤として、有機酸化合物により塩形成を行わないブロック共重合体剤を用いると、PR209の含有量を増加させることにより位相差値(Rth)をゼロに近づけることができるものの、分散性の悪化によりコントラストが悪化し、顔料含有比率(P/V比)の増加に伴い、現像性も悪化する。
【0191】
実施例4〜6より、PR254の顔料分散時に、顔料誘導体を更に加えて分散時間を長くすることにより、高コントラスト化を実現できる。実施例1〜3と同様に、PR209を含まないPR254のみの場合(比較例16)の色度と輝度値をほとんど変化させずに、PR209の含有量を増加させることにより位相差値(Rth)をゼロに近づけることができ、現像性も良好である。一方、実施例4と同様に顔料誘導体を加えて分散時間を長くし、PR209を含まずPR254のみを含む比較例16は、位相差値が大幅に増加してしまう。
【0192】
実施例7〜9より、PR254とPR209を共分散することによっても、PR209を含まないPR254のみの場合(比較例16)の色度と輝度値をほとんど変化させずに、PR209の含有量を増加させることにより位相差値(Rth)をゼロに近づけることができ、現像性も良好である。
【0193】
実施例10より、PR254、PR209に加えて、PR177及びPY150を添加した系では、PR254にPR177及びPY150を添加した系(比較例5〜7)と比較して、同じ色度で輝度値とコントラストが高く、かつ位相差値(Rth)をゼロに近づけることができる。
【符号の説明】
【0194】
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料と、顔料分散剤と、溶媒とを含有する、顔料分散液であって、前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209を含み、且つ、前記顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体である、カラーフィルタ用赤色顔料分散液。
【化1】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【請求項2】
更に、黄色顔料のスルホン酸誘導体を含む、請求項1に記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
【請求項3】
前記黄色顔料のスルホン酸誘導体が、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体である、請求項2に記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
【請求項4】
更に、C.I.ピグメントレッド254のフタルイミドアルキル化誘導体及び/又はC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドアルキル化誘導体を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
【請求項5】
更に、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド242、並びに、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150及びその誘導体顔料よりなる群から選択される1種以上の顔料を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
【請求項6】
前記顔料分散剤における前記有機酸化合物が、下記一般式(III)及び下記一般式(IV)で表される有機酸よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1乃至5のいずれかに記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
【化2】

[式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。]
【請求項7】
更に、アルカリ可溶性樹脂を含む、請求項1乃至6のいずれかに記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
【請求項8】
顔料と、顔料分散剤と、感光性バインダー成分と、溶媒とを含有する感光性樹脂組成物であって、前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド209を含み、且つ、前記顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体である、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物。
【化3】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【請求項9】
更に、黄色顔料のスルホン酸誘導体を含む、請求項8に記載のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記黄色顔料のスルホン酸誘導体が、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体である、請求項9に記載のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物。
【請求項11】
更に、C.I.ピグメントレッド254のフタルイミドアルキル化誘導体及び/又はC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドアルキル化誘導体を含む、請求項8乃至10のいずれかに記載のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物。
【請求項12】
更に、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド242、並びに、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150及びその誘導体顔料よりなる群から選択される1種以上の顔料を含む、請求項8乃至11のいずれかに記載のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記顔料分散剤における前記有機酸化合物が、下記一般式(III)及び下記一般式(IV)で表される有機酸よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8乃至12のいずれかに記載のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物。
【化4】

[式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。]
【請求項14】
透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが請求項8乃至13のいずれかに記載のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項15】
前記請求項14に記載のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−73467(P2012−73467A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218783(P2010−218783)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】