説明

カラーフィルタ画素形成用組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機ELディスプレイ

【課題】 白欠陥、黒欠陥、残渣の発生に関する特性を変更する(低下させる)ことなく水しみの発生を抑制し、ラインの生産効率の低下を防ぎことが可能な、カラーフィルタ画素形成用組成物を提供する。
【解決手段】 (a)顔料、(b)界面活性剤、(c)バインダ樹脂、及び/又は(d)重合性モノマーを含有し、(b)界面活性剤が、エチレン性不飽和基を有する側鎖と、フッ素化アルキル基又はその一部に酸素原子を含む基を有する側鎖とを有する重合体であることを特徴とするカラーフィルタ画素形成用組成物、及びその用途。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ画素形成用組成物(以降、「レジスト」と称することがある。)、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機ELディスプレイに関する。更に詳しくは、高度に微粒化された顔料が、効率よく安定的に分散され、色特性が非常に優れ、製版プロセスに適した現像性を有するカラーフィルタ画素形成用組成物、当該画素形成用組成物を用いて形成された画素を有するカラーフィルタ、及び当該カラーフィルタを備えた液晶表示装置及び有機ELディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法が知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
近年、技術革新の流れは急速であり、カラーフィルタに対しては、より高透過率・高コントラスト、且つ高色濃度が要求されるようになってきた。カラーフィルタの色を決める色材としては、耐熱性、耐光性等の観点から一般には顔料が用いられる。又、カラーフィルタに使用する顔料としては、可視光波長領域における固有の透過吸収スペクトルが、バックライトの蛍光体発光スペクトルと合致するものが好適に使用されている。
【0003】
顔料分散法は基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る工程を3回繰り返すことでR、G、Bのカラーフィルタ用画素を形成する。
顔料分散法におけるR、G、Bの三色画素を形成するための上記繰り返し工程は、工程全体が長く、且つ複雑であり、作製されたフィルタ部に欠陥を有することが多々ある。このため欠陥部分の検出を行い、必要に応じて欠陥部を修正する修正工程が必要に応じて行われている。ここでいう欠陥部分としては、例えば画素の一部が欠けた白欠陥や、異物による黒欠陥、水しみ(白しみ、現像しみ)等が挙げられる。
【0004】
カラーフィルタ画素形成用組成物に要求される特性は、色やコントラストだけでなく、製造ラインで効率よく生産するための高光反応性、高溶解性なども求められている。又、これらの特性は、白欠陥、黒欠陥、残渣、水しみの発生にも関係するものである。
しかし、より高品質のカラーフィルタを製造するのに上記諸特性を同時に満足することは、必須ではあるが、それぞれの特性が相反することが常であるため、非常に難しい技術である。
【0005】
例えば、溶解性を向上させる方向の組成変更は、白欠陥の発生を増加させる方向に働く。一方、水しみを改善するための組成変更は、逆に溶解性を低下させ、残渣の発生を促進する方向に働く。従って、水しみを解決しても他の特性が悪化してしまい、結果として、製造ラインの生産性を低下させてしまうことが推測できる。
しかし、カラーフィルタ製造ラインの生産性を維持し、更に向上させるためには、カラーフィルタの他の特性を満足させたまま、水しみを改善することも必須ではあるが、非常に難しい問題であるため、今日まで有効な解決手段は見出されていなかった。
【0006】
一方、インクジェット法によりカラーフィルタを製造する際に、その画素形成用インクの隔壁に撥液性を持たせるため、特定の重合性フッ素系界面活性剤を添加することが知られている(特許文献1及び2参照)。又、光ファイバクラッド材や光学レンズ、各種保護
膜等に使用されるコーティング用硬化性組成物に対し、塗布性の向上や、塗布の表面塗れ性の向上等を目的として、同様の重合性フッ素系界面活性剤を添加することが提案されている(特許文献3)。
【0007】
しかし、カラーフィルタの製造工程において、白欠陥、黒欠陥、残渣の発生に関する諸特性を変更することなく、水しみの発生を抑制し、製造ラインの生産効率を低下させないカラーフィルタ画素形成用組成物を提供するには、どのような成分、とりわけどのような界面活性剤を使用すればいいか、公知技術には、具体的な提案がなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−315984号公報
【特許文献2】国際公開パンフレットWO2004/042474
【特許文献3】特開2007−246696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的は下記の通りである。
(1)水しみの発生を抑制し、製造ラインの生産効率を低下させないカラーフィルタ画素形成用組成物を提供すること。
(2)白欠陥、黒欠陥、残渣の発生に関する特性を変更することなく、水しみの発生を抑制し、製造ラインの生産効率を低下させないカラーフィルタ画素形成用組成物を提供すること。
【0010】
(3)上記カラーフィルタ画素形成用組成物を用いて、高品質のカラーフィルタを提供すること。
(4)上記カラーフィルタを使用した、高品質の液晶表示装置及び有機ELディスプレイを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定構造を有する界面活性剤を用いることにより、カラーフィルタの品質や性能に著しい影響を及ぼす白欠陥等に関する特性を変更することなく、水しみの発生を抑制し、且つ製造ラインの生産効率を低下させない方法を見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明の要旨は以下に存する。
(1)(a)顔料、(b)界面活性剤、(c)バインダ樹脂、及び/又は(d)重合性モノマーを含有し、(b)界面活性剤が、エチレン性不飽和基を有する側鎖と、フッ素化アルキル基又はその一部に酸素原子を含む基を有する側鎖とを有する重合体であることを特徴とするカラーフィルタ画素形成用組成物。
(2)エチレン性不飽和基が(メタ)アクリロイル基の一部であることを特徴とする前記(1)に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
(3)フッ素化アルキル基又はその一部に酸素原子を含む基におけるフッ素原子で置換された炭素の数が1〜20であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
(4)フッ素化アルキル基が、フルオロアルコキシ基又はフルオロアルキルチオ基の一部であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
(5)(b)界面活性剤中のフッ素含有率が、5〜60重量%であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
(6)(b)界面活性剤の二重結合当量が0.3〜0.6kg/molであることを特徴
とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
(7)(b)界面活性剤の主鎖がノボラック系樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
(8)(b)界面活性剤が、下記一般式(0)で表される繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする前記(7)に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【0012】
【化1】

【0013】
(上記一般式(0)において、R
【0014】
【化2】

【0015】
を示し、Rは(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、R
【0016】
【化3】

【0017】
を表し、R
【0018】
【化4】

【0019】
(但し、pは1〜3、qは4〜12のいずれかの整数を表し、Rは水素原子又はフッ素原子を表す。)を表す。尚、n及びmは各繰り返し単位の数を表し、n/m=0.1〜10である。)
(9)(b)界面活性剤の主鎖がアクリル系樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
(10)(b)界面活性剤が、下記構造式(I)で表される繰り返し単位Aを有することを特徴とする前記(9)に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【0020】
【化5】

【0021】
(11)(b)界面活性剤が、下記一般式(II)で表される繰り返し単位B、及び/又は下記一般式(III)で表される繰り返し単位Cを有することを特徴とする前記(9)又は(10)に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【0022】
【化6】

【0023】
(尚、上記一般式(II)において、R71は下記構造式(71a)〜(71e)で表される繰り返し単位a〜eの1つ以上を有する部分構造を表す。
X及びYは、各々独立に下記構造式(K1)〜(K3)の何れかを表す。尚、wは1〜20いずれかの整数を表す。
【0024】
【化7】

【0025】
又、上記一般式(III)において、yは4〜12のいずれかの整数を表す。)
【0026】
【化8】

【0027】
(12)(b)界面活性剤1分子中に含まれる繰り返し単位Aと、B及びCの合計とのモル比が5:1〜30:1であることを特徴とする前記(9)〜(11)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
(13)(b)界面活性剤の分子量が、標準ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定した重量平均分子量で5,000〜60,000であることを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
(14)更に(e)分散剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
(15)更に(f)光重合開始剤類を含有することを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
(16)前記(1)〜(15)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物を用いて作製された画素を有することを特徴とするカラーフィルタ。
(17)前記(16)に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。
(18)前記(16)に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機ELディスプレイ。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、以下に挙げる効果を奏する。
(1)水しみの発生を抑制し、製造ラインの生産効率を低下させないカラーフィルタ画素形成用組成物を提供することができる。
(2)白欠陥、黒欠陥、残渣の発生に関する特性を変更することなく、水しみの発生を抑制し、製造ラインの生産効率を低下させないカラーフィルタ画素形成用組成物を提供することができる。
【0029】
(3)上記カラーフィルタ画素形成用組成物を用いて、高品質のカラーフィルタを提供し得る。
(4)上記カラーフィルタを使用した、高品質の液晶表示装置及び有機ELディスプレイを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のカラーフィルタを備えた有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の構成要件及び実施の形態等について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
尚、「(メタ)アクリル」等は「アクリル及びメタクリルのうち少なくとも一つ」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及びメタクリレートのうち少なくとも一つ」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一つ」を意味するものとする。
【0032】
又、「全固形分」とは、顔料分散液又はカラーフィルタ画素形成用組成物に含まれる、後記する溶媒成分以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、特に断りの無い限り、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を指す。「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0033】
更に、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。尚、測定方法については後述する。一方、「酸価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算の酸価を表し、中和滴定することで算出する。
以下に本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物について説明する。
【0034】
<カラーフィルタ画素形成用組成物>
本発明に係るカラーフィルタ画素形成用組成物は、(a)顔料、(b)界面活性剤、(c)バインダ樹脂、及び/又は(d)重合性モノマーを必須成分とし、更に要すれば上記以外の成分を含有していてもよい。
<(a)顔料>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、カラーフィルタ画素形成用であるため(a)顔料を必須成分とし、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種の色の顔料を使用することができる。
【0035】
又、その化学構造としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。これらの他に種々の無機顔料等も利用可能である。
これら顔料を混合し、通常、赤色、緑色及び青色3色のいずれかの画素形成用組成物を調製するが、黒色以外であれば、これら3色以外の顔料であってもよく、所望のカラーフィルタに必要な色の画素形成用組成物を適宜調製すればよい。
【0036】
尚、使用できる顔料は、以下にその具体例をピグメントナンバーで示すが、これら例示によって限定されるものではない。
先ず赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、1 01、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、254等である。
【0037】
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6等である。
【0038】
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58等である。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、並びに特開2005−325350号公報及び特開2007−25687号公報に記載の顔料等を挙げること
ができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、及び前記2公報記載の顔料等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180、及び前記2公報記載の顔料等である。
【0039】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23等である。
【0040】
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38、71等である。
【0041】
又、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に用いる(a)顔料は、フタロシアニン骨格を有するものを含有することが好ましい。中でも、特に臭素化亜鉛フタロシアニンを使用することが好ましい。
通常の亜鉛フタロシアニンは1分子中に16個の水素原子を有しており、これらの水素原子を臭素原子乃至塩素原子で置換したものが、本発明で特に好ましく使用される臭素化亜鉛フタロシアニン顔料である。中でも、1分子中に臭素原子を平均13個以上含有する臭素化亜鉛フタロシアニンが、極めて高い透過率を示し、カラーフィルタの画素を形成するのに適している点から特に好ましい。更には、1分子中に臭素原子を13〜16個有し、且つ1分子中に塩素を含まないか又は平均3個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましく、特に1分子中に臭素原子を平均14〜16個有し、且つ1分子中に塩素原子を含まないか、又は平均2個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましい。
【0042】
係る臭素化亜鉛フタロシアニン顔料としては、例えば、特開2004−70342号公報、及び特開2004−70343号公報等に記載されているような特定の色相を有するフタロシアニン緑色顔料等が挙げられる。中でも、特にC.I.ピグメントグリーン58が好ましい。又、このような臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は、特開昭50−130816号公報等に開示されている公知の製造方法で製造できる。
【0043】
尚、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に用いる(a)顔料として臭素化亜鉛フタロシアニンを使用した場合、単独で使用してもよいが、臭素化率乃至は塩素化率の異なる臭素化亜鉛フタロシアニンや、本発明の効果を損なわない範囲で、中心金属が他の金属に置換された臭素化フタロシアニンなどと混合して用いることができる。塩素化率及び臭素化率を変えることや、中心金属を変えることにより顔料としての色調が変わり、再現できる色相のバリエーションが増えることが期待できる。
【0044】
一方、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用できる無機顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等が挙げられる。
上記各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、(a)顔料として、緑色顔料と黄色顔料とを併用したり、青色顔料と紫色顔料とを併用したりすることができる。
【0045】
又、本発明に係る(a)顔料は、その平均一次粒径が、通常100nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下である。本発明は、高度に微
粒化された顔料を含む組成物の場合に特に有効であるため、平均一次粒径10nm以上30nm以下である顔料を含む場合が特に好ましい。
使用する(a)顔料の平均一次粒径を上記範囲とすることにより、消偏特性を良好に保ち、高いコントラストや透過率などを実現し、又、分散安定性が良好で、耐熱性や耐光性にも優れたカラーフィルタ画素形成用組成物を得ることができる。
【0046】
尚、顔料の一次粒径は次の方法で求めることができる。
先ず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。但し、有機顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
【0047】
【数1】

【0048】
こうして得られた(a)顔料は、単独で使用してもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で1種又は2種以上の種類を混合して用いることができる。
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物における(a)顔料の含有量は、固形分全量に対し、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下であり、又、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
【0049】
(a)顔料の含有量を上記範囲とすることにより、色濃度に対する膜厚が大きくなり過ぎず、液晶セル化の際のギャップ制御等に悪影響を及ぼすことなく、且つ十分な画像形成性が得られるうえ、顔料の分散状態も維持され、凝集や沈降が生じにくく、結果として、増粘や輝度・コントラストの低下などといった問題を解消することができる。
尚、後述するカラーフィルタ各色の画素毎に、これを形成するカラーフィルタ画素形成用組成物中の顔料含有量を最適な範囲に調整することも好ましい。
【0050】
<(b)界面活性剤>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物における(b)界面活性剤は、エチレン性不飽和基を有する側鎖(以降、「不飽和基含有側鎖」)と、フッ素化アルキル基又はその一部に酸素原子を含む基を有する側鎖(以降、「フッ素含有側鎖」と称することがある。)とを有する重合体である。
【0051】
又、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、上記特定構造を有する(b)界面活性剤を使用することにより、組成物自身のレベリング性及び塗布性を維持しながら、カラーフィルターの製造過程における水しみの発生を防止することに対して非常に効果的である。
具体的には、(b)界面活性剤におけるフッ素含有側鎖は、組成物の気液界面に偏在する働きがあり、組成物のレベリング性に寄与すると共に、撥水性の効果があり水の浸入を防ぐことで水シミを抑制する効果がある。又、(b)界面活性剤は、不飽和基含有側鎖を有することにより、(c)バインダ樹脂及び/又は(d)重合性モノマーと結合し、現像等により膜の表面洗浄を行っても(b)界面活性剤の脱落が起こらず、更に膜表面の架橋
密度を増加させるため、水の浸入を抑制し、結果として現像由来の水しみ発生を効果的に防止することができる。
【0052】
尚、係る不飽和基含有側鎖とフッ素含有側鎖は、フッ素含有基と不飽和基との間で相互作用を起こさないということであれば、同一側鎖中に不飽和基含有側鎖(不飽和基)とフッ素含有側鎖(フッ素含有基)とを同時に含有していてもよい。
換言すると、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用する(b)界面活性剤は、フッ素含有側鎖と不飽和基含有側鎖を導入したものを使用することにより、界面活性剤が膜表面に偏在化し、光照射により疎水性のフッ素含有基を固定化し、更に膜表面に偏在化した不飽和基と(c)バインダ樹脂及び/又は(d)重合性モノマーによる化学結合を形成し、膜表面の架橋密度を高め、極めて効果的に水しみ発生を抑制することが可能になったと考える。
【0053】
尚、ここでいう「その(即ち、フッ素化アルキル基)一部に酸素原子を含む基」とは、フッ素化アルキル基のアルキル鎖の途中に、酸素原子が挿入されてなる「少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルコキシアルキル基又はポリエーテル基」を意味し、具体的にはパーフルオロポリエーテル基等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用する(b)界面活性剤は、塗布性及びレベリング性の点から、そのフッ素含有側鎖に、パーフルオロアルキル基及び/又はパーフルオロポリエーテル基を有するものが特に好ましい。
【0054】
又、前記「フッ素化アルキル基又はその一部に酸素原子を含む基」中の炭素数は、表面機能発現の観点からは大きい(長鎖である)ことが好ましい。よって、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物の塗布性・レベリング性を効果的に発現させるためには、「フッ素化アルキル基又はその一部に酸素原子を含む基」におけるフッ素原子で置換された炭素の数は、通常1〜50の範囲であり、好ましくは4〜30の範囲、特に好ましくは6〜25の範囲である。
【0055】
更に、係る(b)界面活性剤中のフッ素含有率は、浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性効果と、水しみ抑制効果を高レベルで兼備できる点から、通常1〜60重量%であり、好ましくは5〜60重量%であり、更に好ましくは5〜40重量%であり、最も好ましくは10〜30重量%である。
フッ素含有率が少なすぎると、本発明の目的とする水しみ抑制の効果が十分に得られなくなる場合がある。また逆にフッ素含有率が多すぎると、カラーフィルタ画素形成用組成物の基板上への均一な塗布が困難になる場合がある。
【0056】
尚、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物には、係る(b)界面活性剤の1種類を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。係る(b)界面活性剤を、2種以上併用する場合、上述のフッ素含有率は、(b)界面活性剤全量に対する重量分率を意味することになる。
ここでいうフッ素含有率は、酸素燃焼管吸収−IC法にて測定・算出する。具体的には、酸素ガスを流した900〜1000℃の電気管状炉中で試料を燃焼させ、生成した燃焼ガスをアルカリ水の吸収液にバブリングさせる事で、フッ素イオンとして捕捉した後、イオンクロマトグラフ分析によりフッ素イオンを定量し、界面活性剤中のフッ素含有率を求める。
【0057】
又、係る(b)界面活性剤は、画素形成時に、後述する(c)バインダ樹脂及び/又は(d)重合性モノマーと化学結合して固定化され、表面洗浄による脱落及び熱硬化時の空気界面への偏析を抑制するのに、その二重結合当量が、通常、0.2〜0.6kg/molの範囲にあるが、好ましくは0.3〜0.6kg/molの範囲にあり、より好ましく
は0.3〜0.5kg/molの範囲にある。
【0058】
係る(b)界面活性剤の二重結合当量が上記範囲よりも小さくなると、共重合反応を行うのに、相対的にフッ素含有側鎖の量を減らすこととなり、界面活性効果及び膜表面における撥水効果が弱まることで現像による水しみの発生につながり、一方、上記範囲よりも大きくなると不飽和含有基の量が少なくなるので、界面活性剤が現像により膜面から脱落し水しみの悪化につながる可能性がある。
【0059】
尚、二重結合当量は、内部標準法によるH−NMR測定法にて求める。
具体的には、試料と内部標準物質を秤量後、重クロロホルムを加え溶解し、NMR装置にてH−NMR測定を行う。測定は積算繰り返し時間10秒以上で行う。得られたH−NMRスペクトルの内部標準物質とエチレン性不飽和基のシグナル面積から二重結合当量を求める。
【0060】
一方、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用する(b)界面活性剤における不飽和含有側鎖は、後述する主鎖となる重合体に結合し得る基と、エチレン性不飽和基とを併せ持つ化合物を、主鎖に反応させ、付加させることにより形成することができる。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が有するエチレン性不飽和基が好ましく、このような基を有する化合物としては、例えばイソシアネート基含有(メタ)アクリル酸エステルや、(メタ)アクリル酸等の不飽和一塩基酸等を挙げることができる。
【0061】
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用する(b)界面活性剤としては、前述のフッ素含有側鎖と、活性水素を有する基(以降、「活性水素基」と称することがある。)とを併せ持つ主鎖となる重合体に、イソシアネート基含有(メタ)アクリル酸エステル(b2)又は(メタ)アクリル酸(b3)を反応させて得られるものが好ましい。
又、主鎖が有する活性水素基は、前述のイソシアネート基含有(メタ)アクリル単量体(b2)中のイソシアネート基、又は(メタ)アクリル酸(b3)中のカルボキシル基と反応することができる基であればよく、それ以外に何ら制限されるものではない。が、主鎖となる重合体への活性水素基の導入の容易さ、イソシアネート基又はカルボキシル基との反応性に優れる点から、ヒドロキシル基であることが好ましい。
【0062】
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用する(b)界面活性剤の主鎖は、組成物中の他の成分との相溶性及び耐熱性に寄与していることから、当該主鎖はアクリル系樹脂又はノボラック系樹脂であることが好ましい。
係る(b)界面活性剤は、主鎖がアクリル系樹脂である場合については、例えばPCT公開パンフレットWO2004/042474記載の方法に準じて合成できる。
【0063】
一方、主鎖がノボラック系樹脂である場合、先ずフェノール類をアルデヒド類と重縮合させる方法で主鎖となる重合体が合成される。
フェノール類の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ピロガロール、フロログリシノール等が挙げられる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒドが好ましい。
【0064】
このようなノボラック樹脂としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共重合樹脂等が挙げられる。
上述した主鎖となる重合体に、エチレン性二重結合を有する側鎖を導入する方法として
は、例えば、フェノール性水酸基の一部に、エポキシ基を有する単量体を反応させる方法が挙げられる。又、フェノール性水酸基の一部又は全てをエピクロロヒドリンと反応させて、ノボラック樹脂にエポキシ基を導入した後、当該エポキシ基に、エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する単量体を反応させる方法が挙げられる。
【0065】
更に、この反応で生成した水酸基と酸無水物とを反応させ、分子内にカルボキシル基を導入してもよい。
上記の酸性基及びエチレン性二重結合を含有するノボラック樹脂の市販品としては、KAYARAD PCR−1069、K−48C、CCR−1105、CCR−1115、TCR−1025、TCR−1064、TCR−1286、ZFR−1122、ZFR−1124、ZFR−1185(以上、日本化薬社製)等が挙げられる。
【0066】
ノボラック系樹脂を主鎖に持つ(b)界面活性剤の中でも、特に好ましいものとして、下記一般式(0)で表される繰り返し単位を有する重合体が挙げられる。
【0067】
【化9】

【0068】
(上記一般式(0)において、Rは、
【0069】
【化10】

【0070】
を示し、Rは(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、R
【0071】
【化11】

【0072】
を表し、R
【0073】
【化12】

【0074】
(但し、pは1〜3、q=4〜12のいずれかの整数を表し、Rは水素原子又はフッ素原子を表す。)を表す。尚、n及びmは各繰り返し単位の数を表し、n/m=0.1〜10である。)
上記一般式(0)において、pは好ましくは1〜2、qは好ましくは6〜8である。又、通常n/m=0.1〜10であるが、例えば(b)界面活性剤の表面偏析をより高度にコントロールできる点からは、不飽和基含有側鎖(即ち、上記一般式(0)における−O−R−R)を多く含む化合物が好ましいため、好ましくはn/m=3〜4である。
【0075】
又、上記一般式(0)で表される繰り返し単位を有する重合体は、例えば常法に従って、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂が有するフェノール性水酸基に、エピクロルヒドリンを反応させてエポキシ基を導入し、当該エポキシ基の一部にイソシアネート基含有(メタ)アクリル酸エステル(b2)又は(メタ)アクリル酸(b3)を反応させることによりエチレン性不飽和基を導入し、又、当該エポキシ基の他の一部(或いは残部)に下記一般式
【0076】
【化13】

【0077】
(上記一般式において、X、R、p及びqは、前記一般式(0)におけると同義である。)で表されるアルコール又はチオールを反応させることにより得ることができる。
本発明のカラーフィルタ画素形成用樹脂組成物に使用する(b)界面活性剤は、また主鎖がアクリル系樹脂であるものも好ましい。
係る主鎖がアクリル系樹脂である(b)界面活性剤は、水しみの発生の防止及び塗布用組成物自身のレベリング性・塗布性等の点から、前述の如く、フッ素含有側鎖及び不飽和基含有側鎖を有することが必須であるが、これらの側鎖とアクリル系樹脂主鎖との結合方法及び結合の形等は、特に限定されるものではない。
【0078】
又、係る不飽和基含有側鎖を持つ繰り返し単位は、例えば『フォトポリマーの基礎と応用』(山岡亜夫他、シーエムシー出版、1997)、及び『感光性樹脂の基礎と実用』(赤松清他、シーエムシー出版、1987)等に記載の構造が挙げられる。特に光反応性の点から、不飽和基含有側鎖を持つ繰り返し単位は、下記構造式で表される繰り返し単位A〜A3であることが好ましい。
【0079】
尚、係る主鎖がアクリル系樹脂である(b)界面活性剤1分子中の、不飽和基含有側鎖を有する繰り返し単位は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0080】
【化14】

【0081】
一方、係るフッ素含有側鎖は、パーフルオロアルキル基及び/又はパーフルオロポリエーテル基を有することが好ましい。又、係るフッ素含有側鎖を有する繰り返し単位は、例えば『トライボロジーの最新技術と応用』(森誠之、CMC Publishing
Co.,Ltd.,2007 ISBN4882316811、9784882316817)等に記載の構造が挙げられる。
【0082】
本発明において、フッ素含有側鎖を有する繰り返し単位は、下記一般式(II)で表される繰り返し単位B及び下記一般式(III)で表される繰り返し単位Cであることが好ましい。より好ましくは繰り返し単位Bである。
尚、係る主鎖がアクリル系樹脂である(b)界面活性剤1分子中の、フッ素含有側鎖を有する繰り返し単位は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0083】
【化15】

【0084】
(尚、上記一般式(II)において、R71は下記構造式(71a)〜(71e)で表される繰り返し単位a〜eの1つ以上を有する部分構造を表すが、R71は下記構造式(71a)及び/又は(71b)を含有することが好ましい。より好ましくは、繰り返し単位(71a)4〜30個に繰り返し単位(72a)2〜20個を結合した構造である。特に好ましくは、繰り返し単位(71a)に対する繰り返し単位(71b)のモル比が0.5〜2.0であり、又、当該部分構造の数平均分子量が1000〜2000の構造である。)
X及びYは、各々独立に下記構造式(K1)〜(K3)の何れかであるが、構造式(K1)が好ましい。尚、X及びYは下記構造式(K2)を含む場合、構造式(K2)中の繰り返し単位の数wは通常1〜20であるが、1〜5であることが好ましい。
【0085】
【化16】

【0086】
又、上記一般式(III)において、yは4〜12のいずれかの整数を表すが、表面移行性と相溶性の点から、6〜8の範囲にあるのが好ましい。
【0087】
【化17】

【0088】
又、(b)界面活性剤1分子中に含まれる繰り返し単位Aと、B及びCの合計とのモル比が、通常、5:1〜30:1であるが、好ましくは10:1〜25:1である。(b)界面活性剤1分子中に含まれる繰り返し単位Aと、B及びCの合計とのモル比をこれら数値範囲に制御することにより、本発明の効果は、より顕著に現れる。
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用する(b)界面活性剤の、標準ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定した重量平均分子量は、通常4,000〜100,000であり、好ましくは5,000〜60,000である。重量平均分子量が著しく大きいと、表面に偏析しにくくなる傾向があり、逆に著しく小さいと現像工程にて溶出する可能性がある。
【0089】
(b)界面活性剤としては、上述した構造を有する市販品を使用してもよく、例えばDIC社製メガファックRS102、同RS101、同RS105、同RS107、同RS401、同RS402、同RS501、同RS502、同RS585、同RS601、同RS701、同RS702、同RS713、同RS717K、同RS718K、同RS830Kなどの商品名で市販されているフッ素含有化合物を使用することができる。
【0090】
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用する(b)界面活性剤の含有量は、組成物全固形分中、通常、0.01〜1重量%であるが、好ましくは0.05〜0.5重量%であり、より好ましくは0.1〜0.3重量%である。(b)界面活性剤の含有量が著しく多いと、カラーフィルタ画素形成用組成物の表面張力が下がりすぎるという問題が生じる可能性があり、逆に著しく少ないと画素表面の撥液性が低下する可能性があり、水しみ防止効果が十分に発揮されない可能性がある。
【0091】
<(c)バインダ樹脂>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用する(c)バインダ樹脂としては、カラーフィルタの画素形成に使用可能なものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、特開昭60−184202号公報等に記載された所謂リフトオフ方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱硬化性樹脂組成物や、特開2004−220036号公報等に記載されたインクジェット方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱硬化性樹脂組成物
などに含まれる樹脂、或いは後述する光重合性樹脂等が挙げられる。
【0092】
ただカラーフィルタの製造工程において生じる水しみを防止・解消するという本発明の効果に照らせば、本発明に係る(c)バインダ樹脂は、フォトリソグラフィ法によるカラーフィルタの画素形成に使用されるバインダ樹脂の中から選択することが好ましい。
このようなバインダ樹脂としては、例えば、特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号、特開2007−270147号などの各公報等に記載された様々な高分子化合物を使用することができるが、好ましくは、
(c−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂、
(c−2):主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂、
(c−3):前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂、
(c−4):(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0093】
中でも、上記(c−1)記載の樹脂もしくは(c−4)記載の樹脂が好ましい。
以下、これら各樹脂について説明する。
<(c−1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に用いる(c)バインダ樹脂の中でも、特に好ましい(c)バインダ樹脂の一つとして、「エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」(以下、(c−1)樹脂と称することがある。」が挙げられる。
【0094】
より具体的には、「エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に、更に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」が挙げられる。
【0095】
(c−1)樹脂を構成する「エポキシ基含有(メタ)アクリレート」としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0096】
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、下記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0097】
【化18】

【0098】
上記一般式(1)において、R81〜R88は各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示すが、R87及びR88は互いに連結して環を形成していてもよい。
一般式(1)において、R87とR88が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、又、炭素数が5〜6であるのが好ましい。
【0099】
中でも、一般式(1)で表される構造としては、下記構造式(1a)、(1b)、又は(1c)で表される構造が好ましい。
(c)バインダ樹脂にこれらの構造を導入することによって、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物をカラーフィルタや液晶表示素子に使用する場合に、当該画素形成用組成物の耐熱性を向上させたり、当該画素形成用組成物を用いて形成された画素の強度を増すことが可能である。
【0100】
尚、一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0101】
【化19】

【0102】
前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、当該構造を有する限り様々なものが使用できるが、特に下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
【0103】
【化20】

【0104】
上記一般式(2)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は前記一般式(1)で表される構造を示す。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体において、前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
【0105】
尚、前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、特に限定されるものではない。
具体的には、例えば、スチレン、スチレンのα−、o−、m−、又はp−位がアルキル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、エステル基などで置換された誘導体等のビニル芳香族類;ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類;
N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。
【0106】
これら「他のラジカル重合性単量体」の中で、カラーフィルタ画素形成用組成物に優れた耐熱性及び強度を付与させるためには、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種を使用することが有効である。特に「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、これらスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種に由来する繰返し単位の含有割合が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
【0107】
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、様々な溶液重合法が適用される。使用する溶媒はラジカル重合に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機溶媒を使用することができる。
又、共重合反応に使用されるラジカル重合開始剤は、ラジカル重合を開始できるものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機過酸化物触媒やアゾ化合物触媒を使用することができる。
【0108】
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に(c−1)樹脂を含有する場合、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
【0109】
エポキシ基含有(メタ)アクリレートが少なすぎると、後述する重合性成分及び多塩基酸無水物の付加量が不十分となる場合があり、一方、エポキシ基含有(メタ)アクリレートが多すぎて、他のラジカル重合性単量体が少なすぎると、耐熱性や強度が不十分となる可能性がある。
続いて、エポキシ樹脂含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、多塩基酸無水物とを反応させる。
【0110】
エポキシ基に付加させる「不飽和一塩基酸」としては、様々なものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、又はp−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0111】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いる(c)バインダ樹脂に重合性を付与することができる。
これら不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。不飽和一塩基酸の付加割合が少なすぎると、カラーフィルタ画素形成用組成物の経時安定性等に関して、残存エポキシ基による悪影響が懸念される。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
【0112】
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる「多塩基酸無水物」としては、様々なものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸及び無水コハク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0113】
このような成分を付加させることにより、(c)バインダ樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これら多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。この範囲での付加割合の調整が、組成物の濡れ拡がり性の制御に有効であると考えられる。又、この付加割合が多すぎると、現像時の残膜率が低下する場合があり、少なすぎると溶解性が不十分となる可能性がある。尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
【0114】
更に、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物を光重合性の組成物とする場合には、光に対する感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。又、現像性を向上させるために、生成したカルボキシル基の一部に、重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。又、この両方を付加させてもよい。
【0115】
重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物の具体例としては、フェニル基やアルキル基を有するグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。市販品として、例えば、ナガセ化成工業社製の商品名「デナコールEX−111」、「デナコールEX−121」、「デナコールEX−141」、「デナコールEX−145」、「デナコールEX−146」、「デナコールEX−171」、「デナコールEX−192」等がある。
【0116】
尚、このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や、特開2001−89533号公報に記載されている。
上述した樹脂の、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。又、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
【0117】
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用する(c−1)樹脂の酸価は、通常0〜200mgKOH/g、好ましくは0〜150mgKOH/g、更に好ましくは0〜100mgKOH/gである。酸価をこれらの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
【0118】
<(c−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂(以降、(c−2)樹脂と称することがある。)>
(c−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性モノマーを重合して得られる。
【0119】
カルボキシル基含有重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフタル酸等のビニル系モノマー;アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものであるモノマー;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにコハク酸、マレイン酸、フタル酸、或いはそれらの無水物等の酸或いは無水物を付加させたモノマー等が挙げられる。これらは複数種使用してもよい。
【0120】
中でも好ましいのは、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸であり、更に好ましいのは、(メタ)アクリル酸である。
又、(c−2)樹脂は、上記のカルボキシル基含有重合性モノマーに、カルボキシル基を有さない他の重合性モノマーを共重合させてもよい。
他の重合性モノマーとしては、特に限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン及びその誘導体等のビニル芳香族類;N−ビニルピロリドン等のビニル化合物類;N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールマクロモノマー、ポリプロピレングリコールマクロモノマー、ポリカプロラクトンマクロモノマー等のマクロモノマー類等が挙げられる。これらは複数種併用してもよい。
【0121】
特に好ましいのは、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドである。
【0122】
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に用いる(c−2)樹脂は、更に水酸基を有していてもよい。水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらを上述の各種モノマーと共重合させることにより
、カルボキシル基及び水酸基を有する樹脂を得ることができる。
【0123】
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用できる(c−2)樹脂として、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルマレイミド等の水酸基を含まない重合性モノマーと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマーとの共重合体;(メタ)アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体;(メタ)アクリル酸とスチレンとの共重合体;(メタ)アクリル酸とスチレンとα−メチルスチレンとの共重合体;(メタ)アクリル酸とシクロヘキシルマレイミドとの共重合体等が挙げられる。顔料分散性に優れる点からは、特にベンジル(メタ)アクリレートを含む共重合体樹脂が好ましい。
【0124】
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に用いる(c−2)樹脂の酸価は、通常30〜500mgKOH/g、好ましくは40〜350mgKOH/g、更に好ましくは50〜300mgKOH/gである。酸価をこれらの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
又、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2000〜80000、好ましくは3000〜50000、更に好ましくは4000〜30000である。重量平均分子量が小さすぎると、カラーフィルタ画素形成用組成物の安定性に劣る場合がある。又、逆に大きすぎると、現像液に対する溶解性が悪化する可能性がある。
【0125】
<(c−3)(c−2)の樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以降、(c−3)樹脂と称することがある。)>
前記(c−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂の、カルボキシル基部分にエポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂も特に好ましい。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有するものであれば、特に限定されるものではない。
【0126】
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル−α−エチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の非環式エポキシ基含有不飽和化合物も挙げることができるが、耐熱性や、顔料の分散性の観点から、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
【0127】
ここで、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、その脂環式エポキシ基として、例えば、2,3−エポキシシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕基等が挙げられる。又、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基に由来するものであるのが好ましく、好適な脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、下記一般式(3a)〜(3m)で表される化合物が挙げられる。
【0128】
【化21】

【0129】
上記一般式(3a)〜(3m)、R11は水素原子又はメチル基を、R12はアルキレン基を、R13は2価の炭化水素基をそれぞれ示し、nは1〜10の整数である。
一般式(3a)〜(3m)における、R12のアルキレン基は、炭素数1〜10であるものが好ましい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示できるが、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基である。
【0130】
又、R13の炭化水素基としては、炭素数が1〜10であるものが好ましく、アルキレン基、フェニレン基等が挙げられる。これら脂環式エポキシ基含有不飽和化合物は、1種類を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、一般式(3c)で表される化合物が好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0131】
前記(c−2)の樹脂のカルボキシル基部分に、前記エポキシ基含有不飽和化合物を付加させるには、様々な手法を用いることができる。例えば、カルボキシル基含有樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物とを、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン;ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;ピリジン、トリフェニル
ホスフィン等の触媒の存在下、有機溶媒中、反応温度50〜150℃で数時間〜数十時間反応させることにより、樹脂のカルボキシル基にエポキシ基含有不飽和化合物を導入することができる。
【0132】
エポキシ基含有不飽和化合物を導入したカルボキシル基含有樹脂の酸価は、通常10〜200mgKOH/g、好ましくは20〜150mgKOH/g、更に好ましくは30〜150mgKOH/gである。酸価をこれらの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
又、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2000〜100000、好ましくは4000〜50000、更に好ましくは5000〜30000である。重量平均分子量が小さすぎると、カラーフィルタ画素形成用組成物の安定性に劣る場合がある。又、逆に大きすぎると、現像液に対する溶解性が悪化する恐れがある。
【0133】
<(c−4)(メタ)アクリル系樹脂(以降、(c−4)樹脂と称することがある。)>
(メタ)アクリル系樹脂としては、下記一般式(4)及びで表される化合物を必須とするモノマー成分を重合してなる(c−4)樹脂を挙げることができる。
【0134】
【化22】

【0135】
上記一般式(4)中、R1a及びR2aは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有
していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す。
以下、一般式(4)の化合物について詳述する。
一般式(4)で表されるエーテルダイマーにおいて、R1a及びR2aで表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級又は2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。尚、R1a及びR2aは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
【0136】
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メ
チレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。
【0137】
これらの中でも特に、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。
これらエーテルダイマーは、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0138】
前記(c−4)樹脂を得る際の、モノマー成分中における前記エーテルダイマーの割合は、特に制限されないが、全モノマー成分中、通常2〜60重量%、好ましくは5〜55重量%、更に好ましくは5〜50重量%である。エーテルダイマーの量が多すぎると、重合の際、低分子量のものを得ることが困難になったり、あるいはゲル化し易くなったりする場合があり、一方、少なすぎると、透明性や耐熱性等の塗膜性能が不充分となる場合がある。
【0139】
(c−4)樹脂は、酸基を有することが好ましい。酸基を有することにより、得られるカラーフィルタ画素形成用組成物が、酸基とエポキシ基が反応してエステル結合を形成する架橋反応(以降、「酸−エポキシ硬化」と称することがある。)により硬化が可能なカラーフィルタ画素形成用組成物、あるいは未硬化部をアルカリ現像液で顕像可能な組成物、とすることができる。前記酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。樹脂1分子中に含まれるこれらの酸基は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
【0140】
(c−4)樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマー、及び/又は「重合後に酸基を付与しうるモノマー」(以降、「酸基を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として使用すればよい。尚、「重合後に酸基を付与しうるモノマー」をモノマー成分として使用する場合には、重合後に、後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
【0141】
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有す
るモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
これら酸基を導入するためのモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0142】
(c−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記酸基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。酸基を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、良好な電気特性や現像性を得ることができる。
【0143】
又、(c−4)樹脂は、ラジカル重合性二重結合を有するものであってもよい。
前記(c−4)樹脂にラジカル重合性二重結合を導入するには、例えば「重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマー」(以降、「ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマー」と称することがある。)を、モノマー成分として重合した後に、後述するようなラジカル重合性二重結合を付与するための処理を行えばよい。
【0144】
重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(又はm−、又はp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー等が挙げられる。これらラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーは、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
【0145】
(c−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、良好な製版特性が得られ、欠けが少なく、所望のテーパー角を有する画素を得ることができる。
【0146】
(c−4)樹脂は、またエポキシ基を有することが好ましい。エポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以降、「エポキシ基を導入するためのモノマー」と称することがある。)を、モノマー成分として重合すればよい。
前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(又はm−、又はp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するためのモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0147】
(c−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記エポキシ基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%であるのがよい。エポキシ基を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、露光感度や色特性の低下を招くことなく、耐熱性等を向上させることができる。
【0148】
(c−4)樹脂を得る際のモノマー成分は、上記必須のモノマー成分のほかに、必要に応じて、他の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ブタジエン、イソプレン等のブタジエン又は置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレン又は置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。
【0149】
これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンが、透明性が良好で、耐熱性を損ないにくい点で好ましい。これら共重合可能な他のモノマーは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
前記(c−4)(メタ)アクリル系樹脂を得る際のモノマー成分が、前記共重合可能な他のモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、95重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましい。含有割合が多すぎると、現像性が悪化する可能性がある。
【0150】
(c−4)樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくはGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2000〜200000、より好ましくは4000〜100000である。重量平均分子量が200000を超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる場合があり、一方2000未満であると、十分な耐熱性を発現しにくくなる傾向がある。
【0151】
(c−4)樹脂が酸基を有する場合、好ましい酸価は5〜500mgKOH/g、より好ましくは10〜400mgKOH/gである。酸価が5mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像に適用することが難しくなる場合がある。又、500mgKOH/gを超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる傾向がある。
尚、酸価が比較的高い場合、これを含むカラーフィルタ画素形成用組成物の、粘度の経時変化(増粘)が生じにくくなるため好ましく、酸価が比較的低い場合、これを含むカラーフィルタ画素形成用組成物の、コントラストの経時変化(低下)が生じにくくなるため、好ましい。
【0152】
又、(c−4)樹脂、即ち、一般式(4)で示される化合物を必須の単量体成分とする共重合体は、例えば、特開2004−300203号公報及び特開2004−300204号公報に記載の化合物を挙げることができる。
更に本発明に係る(c)バインダ樹脂としては、例えば特開2005−154708号公報等に記載のアクリル系の樹脂を用いることもできる。
【0153】
尚、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、上述の(c−1)〜(c−4)樹脂以外のバインダ樹脂を含有してもよい。
又、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に用いる(c)バインダ樹脂としては、前述の各種樹脂のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、(c)バインダ樹脂全量の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であり、又、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。(B)バインダ樹脂の含有量が少なすぎると、膜が脆くなり、基板への密着性が低下する場合がある。逆に、多すぎた場合、露光部への現像液の浸透性が高くなり、画素の表面平滑性や感度が悪化することがある。
【0154】
<(d)重合性モノマー>
(d)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以降、「エチレン性化合物」と称することがある。)が好ましい。エチレン性化合物とは、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物が活性光線の照射を受けた場合に、後述の光重合開始剤類の作用で付加重合して硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。尚、本発明におけるモノマーは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも含有する概念を意味する。
【0155】
エチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、それとモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる。
【0156】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0157】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であっても良い。代表例としては、例えば、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0158】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
【0159】
その他、エチレン性化合物としては、例えば、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基
含有化合物等も有用である。
又、エチレン性化合物は酸基を有するモノマーであってもよい。酸基を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールのうち少なくとも一つであるものである。
【0160】
これらのモノマーは1種を単独で用いても良いが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mgKOH/gであり、特に好ましくは5〜30mgKOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣る傾向がある。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
【0161】
又、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、東亞合成社製TO1382として市販されているジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーの他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
【0162】
(d)重合性モノマーの配合率は、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物の全固形分中、通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。また、色材に対する比率は、通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
(d)重合性モノマーが多すぎると、カラーフィルタ画素形成用組成物にした際のアルカリ現像液に対する溶解性が著しく低下する場合がある。又、逆に少なすぎると、架橋密度が減少し、硬化性が低下する可能性がある。
【0163】
<(e)分散剤>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分と併用して、(e)分散剤を更に含有していてもよい。
(e)分散剤の種類は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限されないが、分散安定性の点から、
(e−1)窒素原子を含有するグラフト共重合体(以降、(e−1)分散剤と称することがある。)、及び/又は(e−2)窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体(以降、(e−2)分散剤と称することがある。)を含有することが好ましい。より好ましくは(e−2)分散剤である。
【0164】
これら(e−1)、及び(e−2)分散剤はいずれも、分散剤の構造に含まれる窒素原子が顔料表面に対して親和性をもち、窒素原子以外の部分が媒質に対する親和性を高めることにより、全体として分散安定性の向上に寄与するものと推定される。又、(e)分散剤の性能は、その固体表面に対する吸着挙動により大きく左右される。分子のアーキテクチャーと吸着挙動の関係については、同じユニットを用いた場合、ランダム共重合<グラ
フト共重合体<ブロック共重合体の順で吸着挙動が優れていることが知られている(例えば、Jones and Richards,“Polymers at Surfaces and Interfaces”p.281)。
【0165】
<(e−1)窒素原子を含有するグラフト共重合体>
(e−1)窒素原子を含有するグラフト共重合体は、(a)顔料を極めて効率よく分散しうる点で好ましい。その理由は、明らかではないが、顔料と分散剤との吸着の障害となる部分(分子)が、顔料への吸着部周辺に配置することを、積極的に排斥し得る構造を有しているためと推察される。窒素原子を含有するグラフト共重合体としては、主鎖に窒素原子を含有する繰り返し単位を有するものが好ましい。中でも、下記一般式(e1)で表される繰り返し単位、及び/又は下記一般式(e2)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0166】
【化23】

【0167】
(一般式(e1)中、R51は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Aは水素原子又は下記一般式(e3)〜(e5)のいずれかを表す。)
一般式(e1)中、R51は、メチレン、エチレン、プロピレン等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜3であり、更に好ましくはエチレン基である。Aは水素原子又は下記一般式(e3)〜(e5)のいずれかを表すが、好ましくは下記一般式(e3)である。
【0168】
【化24】

【0169】
(一般式(e2)中、R51、Aは、それぞれ一般式(e1)のR51、Aと同義である。)
【0170】
【化25】

【0171】
(一般式(e3)中、Wは炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、中でもブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の炭素数4〜7のアルキレン基が好ましい。cは1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。)
【0172】
【化26】

【0173】
(一般式(e4)中、Yは2価の連結基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数1〜4のアルキレン基、又はエチレンオキシ、プロピレンオキシ等の炭素数1〜4のアルキレンオキシ基が好ましい。Wはエチレン、プロピレン、ブチレン等の直鎖状又は分岐状の炭素数2〜10のアルキレン基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。Yは水素原子又は−CO−R52(R52はエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜10のアルキル基を表し、中でもエチル、プロピル、ブチル、ペンチル等の炭素数2〜5のアルキル基が好ましい。)を表す。qは、1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。)
【0174】
【化27】

【0175】
(上記一般式(e5)中、Wは炭素数1〜50のアルキル基又は水酸基を1〜5個有する炭素数1〜50のヒドロキシアルキル基を表し、中でもステアリル等の炭素数10〜20のアルキル基、モノヒドロキシステアリル等の水酸基を1〜2個有する炭素数10〜20のヒドロキシアルキル基が好ましい。)
(e−1)分散剤における一般式(e1)又は(II)で表される繰り返し単位の含有率は、高い方が好ましく、合計で通常50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上である。一般式(e1)で表される繰り返し単位と、一般式(e2)で表される繰り返し単位の、両方を併有してもよく、その含有比率に特に制限は無いが、一般式(e1)の繰り返し単位を多く含有していた方が好ましい。一般式(e1)又は(II)で表される繰り返し単位の合計数は、1分子中に通常1〜100、好ましくは10〜70、更に好ましくは20〜50である。
【0176】
又、(e−1)分散剤は一般式(e1)及び(II)以外の繰り返し単位を含んでいてもよく、他の繰り返し単位としては、例えばアルキレン基、アルキレンオキシ基などが例示できる。又、グラフト共重合体は、その末端が−NH及び−R51−NH(R51は、一般式(e1)のR51と同義である)のものが好ましい。
尚、(e−1)分散剤はグラフト共重合体であれば、主鎖が直鎖状であっても分岐していてもよい。
【0177】
(e−1)分散剤のアミン価は、通常5〜100mgKOH/gであり、好ましくは10〜70mgKOH/gであり、更に好ましくは15〜70mgKOH/g以下である。
アミン価が低すぎると、分散安定性が低下し、粘度が不安定になる可能性があり、また逆に高すぎると、残渣が増加したり、液晶パネルを形成した後の電気特性が低下したりする可能性がある。
【0178】
尚、分散剤のアミン価(有効固形分換算)は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表し、次の方法により測定する。
100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/L HClO酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
【0179】
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)
(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。)
又、(e−1)分散剤の酸価は、当該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般的に低い方が好ましい。
【0180】
(e−1)分散剤のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。重量平均分子量(Mw)が3000未満であると、顔料の凝集を防ぐことができず、高粘度化ないしはゲル化してしまう可能性があり、また逆に、100000を超えるとそれ自体が高粘度となり、有機溶媒への溶解性が不足する場合がある。更に、現像性、解像性が低下する恐れがある。
【0181】
尚、(e−1)分散剤の合成方法は、例えば特公昭63−30057号公報記載の方法等を用いることができる。
更に(e−1)分散剤としては、上述のものと同様の構造を有する市販のグラフト共重合体を適用することもできる。
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、更に(e−1)分散剤を含有する場合、当該(e−1)分散剤の含有量が、カラーフィルタ画素形成用組成物中の顔料成分に対して、通常10〜300重量%である。好ましくは20〜100重量%であり、特に好ましくは30〜80重量%である。
【0182】
<(e−2)アクリル系ブロック共重合体>
(e−2)アクリル系ブロック共重合体は、(a)顔料を極めて効率よく分散しうる点で好ましい。その理由は明らかではないが、分子配列が制御されていることにより、分散剤が顔料に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
又、アクリル系ブロック共重合体として、特に親溶媒性基を有するAブロック、及び窒素原子含有官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体が好ましい。
【0183】
具体的には、窒素原子含有官能基を有するBブロックとして、側鎖に4級アンモニウム塩基、及び/又はアミノ基を有する単位構造が挙げられ、一方、親溶媒性のAロックとして、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さない単位構造が挙げられる。
係るアクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、4級アンモニウム塩基、及び/又はアミノ基を有する単位構造を有し、顔料吸着機能を持つ部位である。
【0184】
又、係るBブロックとして、4級アンモニウム塩基を有する場合、当該4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。又、このような4級アンモニウム塩基としては、特に下記一般式(VI)で表される部分構造を含有するものが好ましい。
【0185】
【化28】

【0186】
上記一般式(VI)中、R34は、水素原子又はメチル基を表す。
は、2価の連結基を表す。
又、R31、R32、R33は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、置換されていてもよい炭素数7〜20のアラルキル基等が好ましい。
【0187】
具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基等を挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基等が好ましい。
又、上記一般式(VI)において、2価の連結基Xとしては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R35−、−COO−R36−(但し、R35及びR36は、それぞれ独立に、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R37−O−R38−:R37及びR38は、各々独立にアルキレン基を表す。)等が挙げられ、好ましくは−COO−R36−である。
【0188】
尚、対アニオンのZとしては、Cl、Br、I、ClO、BF、CHCOO、PF等が挙げられる。
又、上記特定の4級アンモニウム塩基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上の4級アンモニウム塩基含有部分構造は、当該Bブロック中において、ランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。更に、当該4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造が、Bブロック中に含まれていてもよく、又、当該部分構造の例としては、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。4級アンモニウム塩基を含まない部分構造のBブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、4級アンモニウム塩基非含有部分構造はBブロック中に含まれないことが最も好ましい。
【0189】
尚、上述するアクリル系ブロック共重合体のBブロック中において、3級アミノ基を若干有していてもよい。これは、3級アミノ基の4級化反応が完全に完了していない場合に残るものであり、そのアミン価は、通常10mgKOH/g以下程度である。
一方、係るアクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックとして、1〜3級アミノ基を含む場合、当該1〜3級アミノ基を有する単量体の含有割合は、当該共重合体を構成する単量体組成において、20モル%以上であることが好適であり、より好ましくは50モル%以上である。
【0190】
又、上記1〜3級アミノ基としては、好ましくは−NR4142(但し、R41及びR42は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換
基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を示す。)で表され、又、これを含む部分構造(繰返し単位)として好ましいものは、例えば下記一般式で表されるような構造が挙げられる。
【0191】
【化29】

【0192】
(但し、R41及びR42は、上記のR41及びR42と同義であり、R43は炭素数1以上のアルキレン基、R44は水素原子又はメチル基を示す。)
中でも、R41及びR42はメチル基が好ましく、R43はメチレン基、エチレン基が好ましく、R44は水素原子もしくはメチル基であるのが好ましい。このような部分構造としては下記一般式で表されるジメチルアミノエチルアクリレートやジメチルアミノエチルメタアクリレート由来の構造等が、特に好適に用いられる。
【0193】
【化30】

【0194】
(上記一般式中、R44は前述と同義である。)
更に、上記アミノ基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。又、アミノ基を含有しない部分構造が、Bブロック中に一部含まれていてもよく、そのような部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。係るアミノ基を含まない部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、係るアミノ基非含有部分構造はBブロック中に含まれないことが最も好ましい。
【0195】
又、係る(e−2)分散剤のブロック共重合体を構成する親溶媒性のAブロックは、上述したアミノ基等の窒素原子含有官能基を有さず、上述したBブロックを構成するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。Aブロックは、顔料吸着基となる窒素原子含有官能基を有さない親溶媒性の部位であり、溶媒に親和性がある
ため、分散剤に吸着した顔料を溶媒中に安定化させる働きがある。
【0196】
親溶媒性のAブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール;(メタ)アクリル酸クロライド等の(メタ)アクリル酸塩系モノマー;酢酸ビニル系モノマー;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル等のグリシジルエーテル系モノマー等のコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
【0197】
中でも、Aブロックとしては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを共重合成分として含むものが好ましい。又、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを共重合成分として含む(即ち、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート由来の部分構造を含む)ものも好ましい。更に、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に用いられる分散剤が(メタ)アクリル系共重合体である場合、下記一般式(VIII)で表される部分構造を有するAブロックが特に好ましい。
【0198】
【化31】

【0199】
(上記一般式(VIII)中、nは1〜5の整数を示すが、1分子中に上記ユニット、即ち一般式(VIII)が複数ある場合、nは同一でも異なっていてもよい。
又、R1は水素原子又はメチル基を示し、
Vは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。又、Vとして、エチル基であることが特に好ましい。)
上記一般式(VIII)で表される部分構造は、当該(メタ)アクリル系共重合体を構成する単量体換算で1分子中に3〜20モル%含まれていることが好ましく、3〜10モル%含まれていることが最も好ましい。
【0200】
詳細の作用機構は不明であるが、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート由来の部分構造、特に上記一般式にて表される部分構造を有することにより、水素結合性を高
めることが可能であり、分散溶媒との親和性が向上し、分散系の安定性が増すものと考えられる。
前記一般式(VIII)で表わされる部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。勿論、当該Aブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していてもよい。2種以上のモノマー由来の部分構造がAブロック中に存在する場合、各部分構造は該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。
【0201】
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に使用できる(e−2)分散剤は、上述するようなAブロックとBブロックとからなるABブロック又はABAブロック共重合型高分子化合物である。中でもABブロック共重合体が好ましい。このようなブロック共重合体は、例えばリビング重合法にて調製される。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。具体的には、例えば特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
【0202】
尚、上記(e−2)分散剤1gのアミン価は、有効固形分換算で通常1〜300mgKOH/g程度であるが、その好ましい範囲は、Bブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合とそうでない場合とで異なる。
即ち、(e−2)分散剤のABブロック共重合体及びABAブロック共重合体の、Bブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、当該共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の量は、0.1〜10mmolであることが好ましい。この範囲外では、良好な耐熱性と分散性を兼備することができない場合がある。このようなブロック共重合体中には、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があり、そのアミン価は、通常、共重合体1gあたり1〜100mgKOH/g程度、好ましくは1〜50mgKOH/g、より好ましくは1〜30mgKOH/gである。
【0203】
又、Bブロックに4級アンモニウム塩基を含まない場合、当該共重合体のアミン価は、通常、1gあたり50〜300mgKOH/g程度、好ましくは50〜200mgKOH/g、より好ましくは80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、更に好ましくは90〜150mgKOH/gであり、最も好ましくは100〜140mgKOH/gである。
【0204】
窒素原子含有官能基が少なすぎると、分散剤分子の顔料表面への吸着力が不十分となり、十分な分散安定性を得ることが困難となる場合がある。一方、アミン価が高すぎると、相対的にAブロックの分子量が小さくなり、分散安定性が不十分となる場合がある。
又、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常100mgKOH/g以下であり、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下、最も好ましくは30mgKOH/g以下である。又、その分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で通常1000以上、100,000以下の範囲である。
又、本発明において、上述のものと同様の構造を有する市販の(メタ)アクリル系ブロック共重合体も使用することができる。
【0205】
<その他の分散剤>
(e)分散剤としては、上記各種(e−1)、及び(e−2)分散剤以外の分散剤(以降、(e−3)分散剤と称することがある。)を含有していてもよい。
(e−3)分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散
剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
【0206】
このような分散剤の具体例としては、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成社製)、SOLSPERSE(ルーブリゾール社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社化学社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ社製)等のシリーズ名で市販のものを挙げることができる。
【0207】
尚、上述した(e−1)分散剤〜(e−3)分散剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
本発明において、カラーフィルタ画素形成用組成物に更に(e)分散剤を含有する場合、その(e)分散剤の含有割合が、(a)顔料に対して0〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。(e)分散剤の含有割合をこの範囲に制御することにより、必要且つ十分な量の分散剤が顔料表面に付着するため、カラーフィルタ画素形成用組成物の着色力を低下させずに、凝集を効果的に防ぐことが可能となり、また高粘度化ないしゲル化を避けることができるため、高い分散安定性を確保することができる。
【0208】
<分散助剤>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物には、更に分散助剤を含有していてもよい。分散助剤(顔料誘導体)としては、例えば特開2007−113000号公報記載の各種化合物を使用することができる。
尚、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に、更に分散助剤を含有する場合、その添加量が、(a)顔料に対して通常0.1重量%以上、又、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。添加量を上記の範囲に制御することにより、分散助剤としての効果が発揮され、又、分散性、分散安定性が悪くなるのを防ぐこともできる。
【0209】
<分散樹脂>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物には、前述した(c)バインダ樹脂もしくはその他のバインダ樹脂から選ばれた樹脂の一部又は全部を下記の分散樹脂として含有していてもよい。
具体的には、後述する分散処理工程において、前述の(e)分散剤等の成分とともに、(c)バインダ樹脂を含有させることにより、当該(c)バインダ樹脂が、(e)分散剤との相乗効果で(a)顔料の分散安定性に寄与する。結果として(e)分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。又、現像性が向上し、基板の非画素部に未溶解物が残存せず、画素の基板への密着性が向上する、といった効果も奏するため好ましい。
【0210】
このように、分散処理工程に使用される(c)バインダ樹脂を、分散樹脂と称することがある。分散樹脂は、顔料分散液中の顔料全量に対して0〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
分散樹脂としては、前述した各種(c)バインダ樹脂を使用することができる。
分散樹脂の酸価は0mgKOH/g以上が好ましく、1mgKOH/g以上がより好ましく、5mgKOH/g以上が最も好ましく、また300mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下が最も好ましい。酸価を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、合成上等においても、取り扱いやすくなる。
【0211】
又、分散樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000以
上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上が最も好ましく、また200000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下が最も好ましい。分子量を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、又、分散安定性が低下するのを防ぐこともできる。
【0212】
<(f)光重合開始剤類>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(f)光重合開始剤類を更に含有することが好ましい。但し、硬化の方法はこれら開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物が、(c)バインダ樹脂成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、前述する(d)重合性モノマー成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応あるいは水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始剤類を含有することが好ましい。
【0213】
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に含有されていてもよい(f)光重合開始剤類は、通常、光重合開始剤(以降、(f−1)成分と称することがある。)と、必要に応じて添加される増感色素(以降、(f−3)成分と称することがある。)、重合加速剤(以降、(f−2)成分と称することがある。)等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
【0214】
(f)光重合開始剤類を構成する(f−1)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
【0215】
具体的には、例えば、チタノセン誘導体類としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウム〔2,6−ジ−フルオロ−3−(ピロ−1−イル)−フェニ−1−イル〕等が挙げられる。
【0216】
ビイミダゾール誘導体類としては、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
【0217】
ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6’’‐ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
【0218】
ハロメチル−s−トリアジン誘導体類としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0219】
又、α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチ
ルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノ
ン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
【0220】
又、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕、2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕、1−(o−アセチルオキシム)等が挙げられる。
その他に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体類;
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体類;
チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類;
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体類;
9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体類;
9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体類;
ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる。
【0221】
これら(f−1)光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
又、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、特に(f)光重合開始剤類を含む場合、必要に応じて更に(f−2)重合加速剤を配合することができる。(f−2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
【0222】
これら(f−1)成分及び(f−2)成分は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物において、更に(E)光重合開始剤類に、感応感度を高める目的で(f−3)増感色素が用いられることがある。(f−3)成分は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
【0223】
これら(f−3)成分のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基およびフェニル基を同一分子内に有する化合物である。(f−3)増感色素として特に好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔4,5〕ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔6,7〕ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
【0224】
(f−3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物において、これら(f)光重合開始剤類((f−1)成分、(f−2)成分及び(f−3)成分)の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、又、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。この含有割合が著しく低いと露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起したり、又、開始剤そのものの影響で、即ち、開始剤自身の吸光特性により
、画素の透過率が下がるところで輝度が低下したりすることがある。
【0225】
<溶媒>
溶媒は、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物において、(a)顔料、(b)界面活性剤、(c)バインダ樹脂、及び/又は(d)重合性モノマーのほか、場合により配合したこれら以外の成分等を溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
溶媒としては、特に制限がなく、各成分を溶解又は分散させることができるものであればよい。
【0226】
このような溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等が挙げられる。
【0227】
上記に該当する市販の溶媒としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0228】
フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶媒としては沸点が100〜200℃(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。沸点を上記の範囲に制御することにより、気泡の跡が残り、欠陥となってしまったり、又、所定の時間に乾燥が終了せず、画素中に色ムラ等の問題が発生したりするのを防ぐことができる。
【0229】
上記溶媒中、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
又、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の溶媒を併用してもよい。併用する溶媒として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られるカラーフィルタ画素形成用組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶媒中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は溶媒全体の中で5重量%〜30重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。
【0230】
又、150℃以上の沸点をもつ溶媒を併用することも好ましい。このような高沸点の溶媒を併用することにより、カラーフィルタ画素形成用組成物は乾きにくくなるが、急激に乾燥することによる顔料分散液の相互関係の破壊を起こし難くする効果がある。高沸点溶媒の含有量は、溶媒全体に対して3重量%〜50重量%が好ましく、5重量%〜40重量%がより好ましく、5重量%〜30重量%が特に好ましい。高沸点溶媒の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で色材成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥速度が遅くなり、後述するカラーフィルタ製造
工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
【0231】
尚、沸点150℃以上の溶媒が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶媒を別途含有させなくてもかまわない。
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物全体に占める溶媒の含有量は、特に制限はないが、その上限は通常99重量%以下とする。溶媒が99重量%を超える場合は、カラーフィルタ画素形成用組成物に含まれる固形分が少なくなり過ぎて塗布膜を形成することが困難になる可能性がある。一方、溶媒含有量の下限は、塗布に適した粘性などを考慮して、通常75重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは82重量%以上である。
【0232】
<任意成分について>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、少なくとも、前述した(a)顔料、(b)界面活性剤、(c)バインダ樹脂及び/又は(d)重合性モノマーを含有し、更に前述した溶媒、(e)分散剤、(f)光重合開始剤類、及びカラーフィルタ画素形成用組成物に通常用いられる各種任意成分などを含有することが好ましい。
【0233】
これら任意成分としては、本願明細書に記載された各種成分以外にも、カラーフィルタ画素形成材料として使用できるものであれば、特に制限無く使用でき、例えば、(b)以外の界面活性剤、各種熱重合開始剤、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤、染料等が挙げられる。
<(b)以外の界面活性剤>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、発明の効果を損なわない限り、前述した(b)界面活性剤以外の界面活性剤(以降、「その他の界面活性剤」と称することがある。)を含有していてもよい。
【0234】
その他の界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性界面活性剤等、各種のものを用いることができるが、電圧保持率や有機溶媒に対する相溶性等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、花王社製の「エマール10」等のアルキル硫酸エステル塩系界面活性剤、花王社製の「ペレックスNB−L」等のアルキルナフタレンスルフォン酸塩系界面活性剤、花王社製の「ホモゲノールL−18」、「ホモゲノールL−100」等の特殊高分子系界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、特殊高分子系界面活性剤が好ましく、特殊ポリカルボン酸型高分子系界面活性剤が更に好ましい。
【0235】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、花王社製の「アセタミン24」等のアルキルアミン塩系界面活性剤、花王社製の「コータミン24P」、「コータミン86W」等の第4級アンモニウム塩系界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、第4級アンモニウム塩系界面活性剤が好ましく、ステアリルトリメチルアンモニウム塩系界面活性剤が更に好ましい。
【0236】
非イオン系性面活性剤としては、例えば、トーレシリコーン社製の「SH8400」;シリコーン社製の「KP341」等のシリコーン系界面活性剤;住友3M社製の「FC430」;大日本インキ化学工業社製の「F470」;ネオス社製の「DFX−18」等の弗素系界面活性剤;花王社製の「エマルゲン104P」、「エマルゲンA60」等のポリオキシエチレン系界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、シリコーン系界面活性剤が好ましく、ポリジメチルシロキサンにポリエーテル基又はアラルキル基の側鎖が付加された構造を有する、いわゆるポリエーテル変性又はアラルキル変性シリコーン系界面活性剤
が更に好ましい。
【0237】
その他の界面活性剤は2種類以上を併用してもよく、例えばシリコーン系界面活性剤/弗素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤、弗素系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤の組み合わせ等が挙げられる。中でも、シリコーン系界面活性剤/弗素系界面活性剤の組み合わせが好ましい。
このシリコーン系界面活性剤/弗素系界面活性剤の組み合わせとしては、例えばポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤/オリゴマー型弗素系界面活性剤の組み合わせ等が挙げられる。具体的には、例えば、ジーイー東芝シリコーン社製「TSF4460」/ネオス社製「DFX−18」、ビックケミー社製「BYK−300」/セイミケミカル社製「S−393」、信越シリコーン社製「KP340」/大日本インキ化学工業社製「F−478」、トーレシリコーン社製「SH7PA」/ダイキン社製「DS−401」、日本ユニカー社製「L−77」/住友3M社製「FC4430」等の組み合わせが挙げられる。
【0238】
その他の界面活性剤の含有割合は、全固形分中、通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上である。又、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下の範囲で用いられる。界面活性剤の含有量をこの範囲に制御することによって、実際のラインにおいてオーバーコートを塗布した際に、オーバーコートが弾かれてしまう可能性がなくなり、又、キュア後に塗布膜がひび割れたりして、膜しわになることも少なくなる。
【0239】
<熱重合防止剤>
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等が用いられる。熱重合防止剤の配合量は、カラーフィルタ画素形成用組成物の全固形分に対し0重量%以上、3重量%以下の範囲であることが好ましい。
【0240】
<可塑剤>
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が用いられる。これら可塑剤の配合量は、カラーフィルタ画素形成用組成物の全固形分に対し、通常10重量%以下の範囲であることが好ましい。
【0241】
<カラーフィルタ画素形成用組成物の調製方法>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、当該画素形成用組成物を構成する成分を一度に、又は順次混合して調製してもよいが、以下に述べるように、予め顔料分散体(以降、「顔料分散液」と称することもある。)を調製し、これに他の成分を混合することが好ましい。
【0242】
以下、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物を調製する方法の一例を説明するが、調製方法に特に制限はなく、以下に述べる方法に限定されるわけではない。
尚、(b)界面活性剤は、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物調製の過程において、どの段階で添加してもよいが、以下に述べる通り、予め顔料分散体を調製する場合には、得られた顔料分散体に、他の成分とともに添加することにより、顔料の分散状態を損なう可能性が回避され、且つ所望の効果が得られる点から好ましい。
【0243】
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、先ず、少なくとも(a)顔料を含有し、必要に応じ前記(e)分散剤、及び任意に分散樹脂、溶媒等を含有してなる顔料分散体を調製し、これと(c)バインダ樹脂及び/又は(d)重合性モノマー、(b)界面活性剤
、及び必要に応じ(f)光重合開始剤類等、他の成分を混合して調製することが好ましい。
【0244】
先ず、(a)顔料と、必要に応じて(e)分散剤や分散樹脂、溶媒等を各所定量秤量し、分散処理により(a)顔料を分散させて、インキ状液体(顔料分散体)とする。この分散処理工程では、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を使用することができる。この分散処理を行なうことによって顔料が微粒子化されるため、カラーフィルタ画素形成用組成物の塗布特性が向上し、製品のカラーフィルタ基板等の透過率が向上する。尚、(a)顔料を分散処理する際には、上述の通り、分散助剤などを適宜併用するのが好ましい。
【0245】
サンドグラインダーを用いて分散処理を行なう場合は、0.1〜数mm径のガラスビーズ、又はジルコニアビーズを用いるのが好ましい。分散処理する際の温度は、通常0℃以上、好ましくは室温以上、又、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に設定する。尚、分散時間は、インキ状液体の組成、及びサンドグラインダーの装置の大きさ等により適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
【0246】
上記分散処理によって得られたインキ状液体に、(c)バインダ樹脂及び/又は(d)重合性モノマー、(b)界面活性剤、及び必要に応じて(f)光重合開始剤類、その他の任意成分等、他の成分を混合し、均一な分散溶液とすることによりカラーフィルタ画素形成用組成物を得る。尚、分散処理工程及び混合処理の各工程において、微細なゴミが混入することがあるため、得られたインキ状液体をフィルタ等によって濾過処理することが好ましい。
【0247】
<カラーフィルタ画素形成用組成物の応用>
本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、通常、全ての構成成分が溶媒中に溶解或いは分散された状態である。これが基板上へ供給され、カラーフィルタや、表示装置の構成部材が形成される。
以下、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物の応用例として、カラーフィルタの画素としての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)並びに有機ELディスプレイについて説明する。
【0248】
<カラーフィルタ基板の製造>
次に、本発明のカラーフィルタ(以下、「カラーフィルタ基板」と称することがある。)について説明する。
本発明のカラーフィルタは、基板上に上述のカラーフィルタ画素形成用組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする。
【0249】
<透明基板(支持体)>
カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラス等が挙げられる。これらの中で、耐熱性の観点からガラス又は耐熱性樹脂が好ましい。
【0250】
透明基板及びブラックマトリックス形成基板には、接着性等の表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤や、ウレタン系樹脂等の各種樹脂の薄膜形成処理等を行なってもよい。透明基板の厚さは、通常0.05mm以
上、好ましくは0.1mm以上、また、通常10mm以下、好ましくは7mm以下の範囲とされる。また、各種樹脂の薄膜形成処理を行なう場合、その膜厚は、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の範囲である。
【0251】
<ブラックマトリックス>
上述の透明基板上にブラックマトリックスを設け、更に通常は赤色、緑色、青色の画素画像を形成することにより、本発明に係るカラーフィルタを製造することができる。本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物は、通常赤色、緑色および青色である画素の形成用塗布液として使用される。
【0252】
ブラックマトリックスは、遮光金属薄膜又はブラックマトリックス形成用塗布液を利用して、透明基板上に形成される。遮光金属材料としては、金属クロム、酸化クロム、窒化クロム等のクロム化合物、ニッケルとタングステン合金等が用いられ、これらを複数層状に積層させたものであってもよい。
これらの金属遮光膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成した後、クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸、及び/又は硝酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリックスを形成することができる。
【0253】
この場合、先ず、蒸着又はスパッタリング法等により、透明基板上にこれら金属又は金属・金属酸化物の薄膜を形成する。次いで、この薄膜上に組成物の塗布膜を形成した後、ストライプ、モザイク、トライアングル等の繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、塗布膜を露光・現像し、レジスト画像を形成する。その後、この塗布膜にエッチング処理を施してブラックマトリックスを形成することができる。
【0254】
ブラックマトリックス形成用塗布液を利用する場合は、黒色顔料を含有する組成物を使用して、ブラックマトリックスを形成する。例えば、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック等の黒色顔料単独又は複数、もしくは、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択される赤色、緑色、青色等の混合による黒色顔料を含有する組成物を使用し、以下の赤色、緑色、青色の画素画像を形成する方法と同様にして、ブラックマトリックスを形成することができる。
【0255】
<画素の形成>
本発明のカラーフィルタ画素は、フォトリソグラフィ法にて形成される。
ブラックマトリックスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色のうち一色のカラーフィルタ画素形成用組成物を塗布し、乾燥した後、塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色のカラーフィルタ画素形成用組成物について各々行なうことによって、カラーフィルタ画像を形成することができる。
【0256】
カラーフィルタ画素形成用組成物の塗布は、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等によって行なうことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、且つスピンコート法によった際に付着するミスト等の影響が全くなく、更には異物発生が抑制される等、総合的な観点から好ましい。
【0257】
塗布膜の厚さは、大き過ぎるとパターン現像が困難となるとともに、液晶セル化工程でのギャップ調整が困難となることがある一方で、小さ過ぎると顔料濃度を高めることが困難となり、所望の色発現が不可能となることがある。塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下の範囲である。
【0258】
<塗布膜の乾燥>
基板にカラーフィルタ画素形成用組成物を塗布してなる塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。
予備乾燥の条件は、前記溶媒成分の種類、使用する乾燥機の性能等に応じて適宜選択することができる。乾燥温度及び乾燥時間は、溶媒成分の種類、使用する乾燥機の性能等に応じて選択されるが、具体的には、乾燥温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常80℃以下、好ましくは70℃以下の範囲であり、乾燥時間は通常15秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常5分間以下、好ましくは3分間以下の範囲である。再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥温度より高い温度が好ましく、具体的には、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは160℃以下、特に好ましくは130℃以下の範囲である。また、乾燥時間は、加熱温度にもよるが、通常10秒以上、中でも15秒以上、また、通常10分以下、中でも5分の範囲とするのが好ましい。乾燥温度は、高いほど透明基板に対する接着性が向上するが、高過ぎるとポリマーが分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。なお、この塗布膜の乾燥工程としては、温度を高めず減圧チャンバー内で乾燥を行なう減圧乾燥法を用いてもよい。好ましい乾燥条件は、0.1〜1Torr、乾燥時間は10秒〜60分の範囲である。
【0259】
<露光工程>
画像露光は、カラーフィルタ画素形成用組成物の塗布膜上に、ネガのマトリクスパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行なう。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール層等の酸素遮断層を形成した後に露光を行なってもよい。
【0260】
上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
【0261】
<現像工程>
本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物を用いた塗布膜に対し、上記の光源によって画像露光を行なった後、有機溶媒、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いて現像を行なうことによって、基板上に画像を形成して製造することができる。この水溶液には、更に有機溶媒、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
【0262】
アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物や、モノ−・ジ−又はトリエ
タノールアミン、モノ−・ジ−又はトリメチルアミン、モノ−・ジ−又はトリエチルアミン、モノ−又はジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物が挙げられる。
【0263】
これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0264】
有機溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。有機溶媒は、単独でも水溶液と併用して使用できる。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
【0265】
<熱硬化(焼成)処理>
現像の後のカラーフィルタには、熱硬化処理を施すことが好ましい。この際の熱硬化処理条件は、温度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは250℃以下の範囲で選ばれ、時間は5分間以上、60分間以下の範囲で選ばれる。これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、ブラック、赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。なお、4色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
【0266】
<透明電極の形成>
本発明のカラーフィルタは、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。
【0267】
<液晶表示装置(パネル)>
次に、本発明の液晶表示装置(パネル)の製造法について説明する。本発明の液晶表示装置は、通常、上記本発明のカラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行なった後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
【0268】
スペーサは、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2〜8μmのものが好適である。カラーフィルタ基板上に、フォトリソグラフィ法によって透明樹脂膜のフォトスペーサ(PS)を形成し、これをスペーサの代わりに活用することもできる。対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジ
スタ)基板が好適である。
【0269】
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2μm以上、8μm以下の範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10-2Pa以上、好ましく
は1×10-3以上、また、通常1×10-7Pa以下、好ましくは1×10-6Pa以下の範囲である。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲である。
【0270】
減圧時の加温保持は、通常10分間以上、60分間以下の範囲とされ、その後、液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口を、UV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等の何れでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、何れであってもよい。
【0271】
<有機ELディスプレイ>
本発明のカラーフィルタを用いて有機ELディスプレイを作成する場合、例えば図1に示すように、まず透明支持基板10上に、カラーフィルタ画素形成用組成物により形成されたパターン(画素20、又は隣接する画素20の間に設けられた樹脂ブラックマトリックス(図示せず))が形成されてなるカラーフィルタを作製し、該カラーフィルタ上に有機保護層30および無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって、有機EL素子を作製することができる。なお、画素20の内、少なくとも一つは本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物を用いて作製されたものである。
【0272】
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、および陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100を用い、例えば「有機ELディスプレイ」(オーム社、2004年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載された方法等にて、有機ELディスプレイを作製することができる。尚、本発明のカラーフィルタは、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
【実施例】
【0273】
以下に、実施例、比較例及び参考例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
<合成例1:分散剤Aの合成>
分子量約5000を有するポリエチレンイミン50重量部、及びn(繰り返し単位)=5のポリカプロラクトン40重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300重量部と混合し、150℃で3時間、窒素雰囲気下にて攪拌し、(e−1)分散剤に相当する分散剤Aを得た。尚、得られた分散剤1gあたりの4級アンモニウム塩基の量は0.71mmol、アミン価は40mgKOH/g、酸価は10mgKOH/g(いずれも有効固形分換算)であった。
【0274】
<合成例2:バインダ樹脂B((c−4)樹脂に相当する)の合成>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400重量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
一方、モノマー槽中にジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート10重量部、メタクリル酸15重量部、メタクリル酸メチル20重量部、メタクリル酸ベンジル55重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2.6重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40重量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn−ドデシルメルカプタン5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27重量部を仕込み、反応槽の温度が90℃に安定してからモノマー槽及び連鎖移動剤槽から滴下を開始し、重合を開始させた。温度を90℃に保ちながら滴下をそれぞれ135分かけて行い、滴下が終了して60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間、110℃を維持した後、室温まで冷却し、重量平均分子量9200、酸価107mgKOH/gの30重量%重合体溶液を得た。
【0275】
<合成例3:バインダ樹脂C((c−3)樹脂に相当する)の合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート114.0重量部を4つ口フラスコに入れ、窒素バブリングを行いながら85℃まで昇温した。これにベンジルメタクリレート114.4重量部、メタクリル酸25.9重量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)4.93重量部をプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート96.45重量部に溶解し、4時間かけて滴下した。滴下後反応液を85℃に保ったままさらに2時間攪拌し、その後窒素バブリングを止めて100℃に昇温し1時間攪拌した。これにテトラエチルアンモニウムクロライドを0.66重量部を加え、80℃で攪拌、溶解させ、さらに3,4−エポキシシクロヘキシル−1−メチルアクリレート15.93重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23.90重量部を混合した溶液を1時間かけて滴下した。反応溶液を80℃に保ったまま30時間攪拌し、重量平均分子量20000、酸価90m重量部KOH/gの樹脂を得た。
【0276】
<合成例4:バインダ樹脂D((c−4)樹脂に相当する)の合成>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400重量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
一方、モノマー槽中にジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート30重量部、メタクリル酸60重量部、メタクリル酸ベンジル110重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40重量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn−ドデシルメルカプタン5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27重量部を仕込み、反応槽の温度が90℃に安定してからモノマー槽および連鎖移動剤槽から滴下を開始し、重合を開始させた。温度を90℃に保ちながら滴下をそれぞれ135分かけて行い、滴下が終了して60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。
【0277】
3時間、110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル39.6重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部を仕込み、そのまま110℃で9時間反応させた。
【0278】
室温まで冷却し、重量平均分子量8000,酸価70mgKOH/gの重合体溶液を得た。
<合成例5:バインダ樹脂E((c−1)樹脂に相当する)の合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)66重量部を滴下し、および2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られたバインダ樹脂E重量平均分子量Mwは約8400、酸価80mgKOH/gであった。
【0279】
<実施例1〜12及び比較例1〜4>
[1]顔料分散体の調製
[1−1]緑色顔料分散体(実施例1及び比較例1、並びに実施例11及び比較例3使用)
顔料としてC.I.ピグメントグリーンG36を9.27重量部、ランクセス社製アゾニッケル錯体顔料「E4GN−GT」(黄色顔料)を3.97重量部,分散樹脂としてバインダ樹脂Bを固形分換算で4.41重量部、更に分散剤Aを固形分換算で2.21重量部、加えて分散助剤としてルーブリゾール社製「SOLSPERSE12000」を固形分換算で0.44重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)79.70重量部を添加し、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部とともにステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑顔料分散体を調製した。
【0280】
[1−2]緑色顔料分散体(実施例10及び比較例2使用)
緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン58を7.24重量部及びC.I.ピグメントイエロー150を2.54重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60.00重量部、下記ビックケミー社製分散剤「BYK−LPN6919」(分散剤(e−2)相等する)を固形分換算で1.96重量部、及びバインダ樹脂Dを固形分換算で3.26重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑色顔料分散液を調製した。
【0281】
<ビックケミー社製分散剤「BYK−LPN6919」>
メタクリル酸系ABブッロク共重合体であり、アミン価は、121mgKOH/g、酸価は1mgKOH/g以下である。
Bブロックに含まれる窒素原子含有官能基を有する繰り返し単位のうち、約100モル%が下記式(i)で表わされる構造であり、又、下記式(ii)で表わされる繰り返し単位は、当該メタクリル酸系ブッロク共重合体を構成する単量体換算で1分子中における割合は7.5モル%であった。
【0282】
【化32】

【0283】
[1−3]赤色顔料分散体(実施例2〜9使用)
顔料としてC.I.ピグメントレッド254を12.59重量部、分散樹脂としてバインダ樹脂Cを固形分換算で4.20重量部、更にビックケミー社製高分子分散剤「Disperbyk2000」((e−2)分散剤に相当するアクリル系ブロック共重合体。4級アンモニウム塩基(ジメチルベンジルアンモニウム塩基)を有するBブロックと、有さないAブロックからなるA−Bブロック共重合体であり、アミン価は10mgKOH/g(有効固形分換算)、酸価は0mgKOH/g。)を固形分換算で3.15重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80.06重量部を添加し、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部とともにステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて赤顔料分散体を調製した。
【0284】
[1−4]青色顔料分散体(実施例12及び比較例4使用)
青色顔料としてC.I.ピグメントブルー15:6を12.35重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80.00重量部、前記ビックケミー社製分散剤「BYK−LPN6919」(分散剤(e−2)相等する)を固形分換算で3.53重量部、バインダ樹脂Dを固形分換算で4.12重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて青色顔料分散液を調製した。
【0285】
[2]カラーフィルタ画素形成用組成物の調製
[1]で得られた各顔料分散体に、表−1に記載された組成となるように他の成分を混合して、カラーフィルタ画素形成用組成物を調製した。
【0286】
【表1】

【0287】
尚、表1中の数値は、いずれも添加する各成分の重量部を表す。
又、表1中の各化合物は、各々以下の通りである。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
光重合開始剤F:以下の構造式で表される、オキシムエステル系化合物。
【0288】
【化33】

【0289】
Irgacure 907:2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン
メガファックRS101:下記繰り返し単位を有する重合体であり、重量平均分子量14000、フッ素含有率19重量%、二重結合当量0.52kg/mol、n/m=3〜4である。
【0290】
【化34】

【0291】
メガファックRS102:下記繰り返し単位を有する重合体であり、重量平均分子量8830、フッ素含有率19重量%、二重結合当量0.35kg/mol、n/m=3〜4である。
【0292】
【化35】

【0293】
メガファックF475:エチレン性不飽和基を有さないフッ素系界面活性剤。
メガファックRS718K:下記繰り返し単位を有する重合体であり、パーフルオロポリエーテル部分の重量平均分子量1000〜1500、フッ素含有率10重量%、二重結合当量0.34kg/mol、g/h=20〜30、j=7〜8、k=4〜5である。
尚、フッ素含有率は、酸素燃焼管吸収−IC法にて測定・算出した。具体的には、酸素ガスを流した900〜1000℃の電気管状炉中で試料を燃焼させ、生成した燃焼ガスをアルカリ水の吸収液にバブリングさせることで、フッ素イオンとして捕捉した後、イオンクロマトグラフ分析によりフッ素イオンを定量し、界面活性剤中のフッ素含有率を求めた。
【0294】
又、二重結合当量は、内部標準法によるH−NMR測定法にて求めた。具体的には、試料と内部標準物質を秤量後、重クロロホルムを加え溶解し、NMR装置にてH−NMR測定を行った。測定は積算繰り返し時間10秒以上で行った。得られたH−NMRスペクトルの内部標準物質とエチレン性不飽和基のシグナル面積から二重結合当量を求めた。
【0295】
【化36】

【0296】
[3]着色樹脂膜の製造
(条件1)
12cm角の液晶パネル用ガラス基板(旭硝子社製「AN100」)に、[2]で得られたカラーフィルタ画素形成用組成物をそれぞれスピンコート塗布し、80℃のホットプレートにて3分間プリベークを行い乾燥塗布膜を作製した。塗布に際しては乾燥後、色座標y=0.595(実施例1及び比較例1、並びに実施例10〜11及び比較例2〜3)、x=0.650(実施例2〜9)、又はy=0.145(実施例12及び比較例4)となる膜厚となるように回転数を調整した。
【0297】
得られた乾燥塗布膜に対し高圧水銀灯により照度20mW,露光量30mJ/cmで露光した後、0.04重量%水酸化カリウム水溶液(現像液温度23℃)を使用して0.25MPaのスプレー現像を行った。十分な水でリンスした後、クリーンエアで乾燥し、着色樹脂膜を形成した。
(条件2)
露光量を15mJ/cmとした以外は、上記(条件1)と同様に、着色樹脂膜を形成した。
【0298】
(条件3)
露光量を60mJ/cmとした以外は、上記(条件1)と同様に、着色樹脂膜を形成した。
[4]着色樹脂膜の接触角測定
<接触角の測定>
市販の液滴法による接触角測定装置(協和界面科学社製「LCD400S」)を使用して、上記[3]の(条件1)及び(条件2)で得られた着色樹脂膜に対する水1μLの接触角を、それぞれ23℃において測定した。尚、接触角は、着色樹脂膜表面に水を滴下後
、90秒後に測定した。結果を表−2に示す。
[5]水しみ評価
実施例1〜12並びに比較例1〜4について、上記[3]の(条件3)にて得られた着色樹脂膜の表面を目視にて観察し、白く変色している部分がある場合を×、無い場合を○とした。結果を表−2に示す。
【0299】
【表2】

【符号の説明】
【0300】
10 透明支持基板
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極
51 正孔注入層
52 正孔輸送層
53 発光層
54 電子注入層
55 陰極
100 有機EL素子
500 有機発光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)顔料、(b)界面活性剤、(c)バインダ樹脂、及び/又は(d)重合性モノマーを含有し、(b)界面活性剤が、エチレン性不飽和基を有する側鎖と、フッ素化アルキル基又はその一部に酸素原子を含む基を有する側鎖とを有する重合体であることを特徴とするカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項2】
エチレン性不飽和基が(メタ)アクリロイル基の一部であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項3】
フッ素化アルキル基又はその一部に酸素原子を含む基におけるフッ素原子で置換された炭素の数が1〜20であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項4】
フッ素化アルキル基が、フルオロアルコキシ基又はフルオロアルキルチオ基の一部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項5】
(b)界面活性剤中のフッ素含有率が、5〜60重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項6】
(b)界面活性剤の二重結合当量が0.3〜0.6kg/molであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項7】
(b)界面活性剤の主鎖がノボラック系樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項8】
(b)界面活性剤が、下記一般式(0)で表される繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項7に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【化1】

(上記一般式(0)において、R
【化2】

を示し、Rは(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、R
【化3】

を表し、R
【化4】

(但し、pは1〜3、qは4〜12のいずれかの整数を表し、Rは水素原子又はフッ素原子を表す。)を表す。尚、n及びmは各繰り返し単位の数を表し、n/m=0.1〜10である。)
【請求項9】
(b)界面活性剤の主鎖がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項10】
(b)界面活性剤が、下記構造式(I)で表される繰り返し単位Aを有することを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【化5】

【請求項11】
(b)界面活性剤が、下記一般式(II)で表される繰り返し単位B、及び/又は下記一般式(III)で表される繰り返し単位Cを有することを特徴とする請求項9又は10に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【化6】

(尚、上記一般式(II)において、R71は下記構造式(71a)〜(71e)で表される繰り返し単位a〜eの1つ以上を有する部分構造を表す。
X及びYは、各々独立に、下記構造式(K1)〜(K3)の何れかを表す。尚、wは1〜20いずれかの整数を示す。
【化7】

又、上記一般式(III)において、yは4〜12のいずれかの整数を表す。)
【化8】

【請求項12】
(b)界面活性剤1分子中に含まれる繰り返し単位Aと、B及びCの合計とのモル比が5:1〜30:1であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項13】
(b)界面活性剤の分子量が、標準ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定した重量平均分子量で5,000〜60,000であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項14】
更に(e)分散剤を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項15】
更に(f)光重合開始剤類を含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のカラーフィルタ画素形成用組成物を用いて作製された画素を有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項17】
請求項16に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項18】
請求項16に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機ELディスプレイ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−164965(P2010−164965A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288105(P2009−288105)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】