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カラーブラインド蛍光のためのパルスマルチライン励起法
説明

カラーブラインド蛍光のためのパルスマルチライン励起法

【課題】パルスマルチライン励起またはPMEと呼ばれる技術を提供する。
【解決手段】1つまたは複数の蛍光種を含む試料を分析するパルスマルチライン励起装置であって、各励起線が異なる波長を有する2本以上の励起線を放出するように構成された1つまたは複数のレーザ;1つまたは複数のレーザに結合され、試料から時間相関された蛍光放出信号を発生させるようにタイミングプログラムに従って2本以上の励起線を順次発生するように構成されたタイミング回路;試料から放出された時間相関された蛍光放出信号を収集するように位置させられた非分散検出器;および検出器に結合され、時間相関された蛍光放出信号をタイミングプログラムに関連付けて試料の成分を同定するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
I.発明の分野
本発明は概して、ハイスループット遺伝分析用途および蛍光分光法の分野に関する。特に、本発明は、ハイスループットDNA配列同定に使用できる様々な組成および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
II.関連分野の説明
ヒトゲノム計画(HGP)は、これから数十年の間に多数の一般的な病気を発生させる分子メカニズムを発見するものとして多大な期待が寄せられている。現在実施されている初期HGP目標によって、ヒト、およびマウス、ラット、ショウジョウバエ、ネマトーダ、イースト、多数の細菌のような複数の十分に研究されている遺伝モデル有機体の完全で正確なゲノム配列が示されており、また今後も示されていくであろう。この基礎的な基準ゲノム配列から、完全なゲノムセットを解明すると共に、比較種間研究を行うことによって、特定のヒト遺伝子とタンパク質機能および病気との因果関係を突き止めるうえで大いに役立つと考えられている。生物学的機能と因果関係については、遺伝子およびタンパク質発現プロファイリング、マウス遺伝子ノックアウト、タンパク質同士の相互作用を測定する技術のような他の技術によって補われている。遺伝子構造とタンパク質との関係の解明は、個人間のゲノム配列の変異は、ある種の難病のリスクまたは素因を増大させる可能性があり、場合によっては、特定の病気を発生させる病因となる。しかし、臨床慣習において遺伝子の変異を利用することは始まったばかりであり、この利用を推進する技術が必須である。
【0003】
ヒト配列の変異の最も一般的に観測される形態は、一塩基遺伝子多型(SNP)であり、これは約300塩基対に1個から1000塩基対に1個の割合で発生する。一般に、10%から15%のSNPは、特定のアミノ酸残渣を変質させることによってタンパク質に影響を与えるか、またはスプライシングメカニズムを変化させることによって遺伝子の適切な処理に影響を与えるか、または規制メカニズムを変化させることによって遺伝子またはタンパク質の正常な発現レベルに影響を与える。いくつかの最近の例として、NOTCH4遺伝子と精神分裂病(Weiら、2000年(非特許文献1))、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PRARγ)遺伝子と極度のインシュリン抵抗性(Deebら、1998年(非特許文献2))、およびメラノコルチン-4受容体(MC4R)遺伝子と遺伝的な肥満(Yeoら、1998年(非特許文献3))を含む突然変異との関連性が挙げられる。
【0004】
有益な情報を与えるSNPを同定することによって、遺伝的な病気がより正確に診断され、リスク感受性の評価が向上し、特定の組織生検で散発性突然変異について検定することができる。個々のSNPプロファイルを用いて、予防薬物療法の選択を助けることによって病気の進行を相殺し著しく遅延させることができる。薬物代謝遺伝子のSNPプロファイルを用いて特定の薬物投与を処方し、より安全でより有効な結果をもたらすことができる。このような目標を達成するために、ゲノム配列決定は、少数の個人だけでなく、場合によっては人口の大部分の部分的な配列決定を行う再配列決定段階に移っている。再配列決定は、所与の難病のSNPプロファイルを得るための、ヒトのゲノム全体にわたって分散している互いに平行な特定の領域または一塩基遺伝子における配列決定を意味する。
【0005】
この技術が医学慣習で日常的に使用されるための適用可能性および実施可能性を得るには、しっかりした理論に裏打ちされ、使いやすく、感度が高く、融通性に富み、軽便な計器を利用した技術でなければならず、結果が正確であり、かつ迅速に得られる必要がある。大規模なゲノムセンターにおける現在の技術は、しっかりした理論に裏打ちされ、結果が正確であるが、日常的な臨床慣習において、数百万もの個人の再配列決定を行うのに十分なものではなく、かつそれほどの融通性に富んでいない。したがって、このようなニーズを満たすDNA配列決定機器を開発すると有利である。より小形の計器は、必要な試料および試薬が少なく、病院や医師の事務所などの領域により容易に輸送し配置することができるので、この技術を小形化することも有利である。
【0006】
理想的には、DNA配列決定技術は、DNA増幅なしに直接アッセイ法に対する感度を有し、基本実験室、応用実験室、および臨床試験室で日常的に使用できるほど単純であり、軽便な計器を利用している。現在、ハイスループット分析用のDNA配列決定技術は、専門化され、大規模なゲノムセンターに集中されており、DNA配列分析を行えるようにする調製に数日ないし数週間かかる多数の分子生物学操作を必要とする。従来の技術では、その後、4つの異なる蛍光色素またはフルオロフォアが、それぞれの発光波長によって識別できるDNAの4つの塩基(すなわち、A、C、G、およびT)に付着させられ、入れ子にされた1組の色素標識DNA断片が各塩基対に電気泳動分離され、単一のアルゴンイオンレーザ光源による照射の後、色素蛍光が検出される。電気泳動分離用に現在使用されている計器は、プリズム、回折格子、分光器、またはその他の分散要素を用いてそれぞれの異なる蛍光信号を分散させ、4つの色を電荷結合素子(CCD)カメラ上に撮像する96本キャピラリアレイを含んでいる。各96本キャピラリ装置のスループットは、1日当たりDNA試料約800個であり、大規模なゲノム配列決定におけるHGPの成功は、数百個のこのような機器を世界中で使用したことによる。現在使用されている技術の主要な欠点は、分析に十分なDNA材料を与えるのに面倒なクローニング段階または増幅段階が必要であり、計器のサイズが比較的大きく(概ね4フィートの冷蔵庫のサイズ)、検出感度が不十分である(すなわち、吸収極大がレーザ励起波長から離れているため蛍光色素の励起が不十分である)ことである。
【0007】
分光放射波長の分解能は、商業的なプロトタイプ計器および研究目的のプロトタイプ計器に使用されている技術の主流であるが、いくつかのグループは、DNA配列決定のためのマルチカラーシステムを識別する方法として蛍光の他の物理的特性を利用している。最近、Lieberwirthら(1998年)(非特許文献4)は、キャピラリ泳動によるDNA配列決定用のダイオードレーザベースの時間分解蛍光共焦点検出システムについて説明している。このシステムでは、半導体レーザ(630nm)が、繰返し速さが22MHz(454psecパルス)の調整可能なパルス発生装置を用いて変調され、顕微鏡対物レンズによって合焦させられた。蛍光は、同じ対物レンズによって集光され、シングルフォトンカウンティングモジュールAPD上に撮像された(Lieberwirthら、1998(非特許文献4))。
【0008】
SUNY Stony BrookのLuryiグループは、それぞれの異なる無線周波数(RF)変調および復調を用いて発蛍光段の混合物を識別する多重レーザ励起手法を提案している(米国特許第5,784,157号(特許文献1)および第6,038,023号(特許文献2))。米国特許第5,784,157号(特許文献1)は、最初は、非波長要素を有する4レーザベースの光ファイバキャピラリ監視装置を記載しているが、この発明は後半では、フルオロフォアを識別するために分光分解能を組み合わせることについて論じている。このシステムには、蛍光クロストークおよびレーザ散乱光が顕著であること、検出感度が低いこと、およびシステムが2本キャピラリシステム以上にスケーリングできるようには思えないことに関する3つの顕著な欠点がある。
【0009】
前述のように、標的キャピラリは、それぞれの異なるRF信号によって変調されるすべての4つのレーザによって同時に照射される。すべての色素に対するそれぞれの異なるRF信号が加算され、検出器フォトダイオードが追加的なヘテロダインRF信号によって復調される。興味深いことに、GorfinkelおよびLuryi(特許文献1)は、ブラッグ反射鏡を作製して所与の色素セットに対するクロストーク変調をなくすことについて説明している。しかし、この技術を用いても蛍光クロストークはなくならない。「誤った」色素からの信号は、特定のレーザによって共鳴なしにかすかに励起され、対応する「誤った」周波数で符号化され、復号され、標的色素の信号に付加される。さらに、散乱レーザ光も変調され、同様にヘテロダイン検出では受け入れられない。
【0010】
同時多変調方法も、本発明の特定の目的である低光レベルの検出に関して重大な欠点を有している。すべてのレーザが同時に動作し、その後、蛍光全体の実質的にすべてが検出され、集光された蛍光が電気信号に変換されることが提案されている。この構成は、それに対応して、すべての検出器に分散すべきである高い量子統計雑音レベルを発生させる可能性がある。RFの多重化解除プロセスでは、対応する信号が小さい場合でもこの過度の不規則雑音は除去されない(Meaburn、1976年(非特許文献5))。これに対して、本発明に記載されているパルスマルチライン励起(PME)システムは、適切な割合の雑音レベルを示し、したがって、特定のレーザパルスによって生じる弱い信号は、レーザのサブサイクル中に対応する低い検出雑音レベルを有する。所与の色素の有無による最適なコントラストを確立するには、低雑音レベルを発生する光学系を最適化することが必須である。
【0011】
最後に、米国特許第5,784,157号(特許文献1)は、単一のキャピラリチャネル用の関連する分光フィルタを有する、光ファイバ、コンバイナ、スプリッタ、および4ヘテロダイン検出器のかなり複雑なアレイを記載している。このシステムを2本キャピラリシステムにスケーリングするには、前述の検出器構成要素を2倍にする必要がある。残念なことに、CCDカメラは、「本来離散時間」装置であるので、高周波数RF変調向けにするのは容易ではない。より新しい文献の米国特許第6,038,023号(特許文献2)では、多数の分光フィルタが、シングルキャピラリチャネル装置と一緒に使用できる分散プリズム分光計および高速一次元アレイ検出器で置き換えられている。キャピラリアレイシステムへのスケーリング可能性は比較的高いことがLuryiグループによって論じられているが、それには多数のこのような分光計ユニットは必要である。
【0012】
本発明は、多色蛍光反応検出限界を著しく向上させることができ、生物学的ソースからのこのような反応の直接的な測定に適用することができる(すなわち、PCRやクローニング増幅が不要である)新規の蛍光装置を含んでいる。さらに、この技術は、パルスマルチライン励起または「PME」と呼ばれ、現在のDNA配列決定計器と比べて小さい作業面上にまたは小さい計器内に構成することができる。したがって、スーツケースのサイズ以下のDNAシーケンサについて説明する。
【0013】
改良されたDNA配列決定方法を開発すれば、並行して実行できる互いに独立したアッセイ法の数が増える可能性が高い。この技術は、一般的な配列決定用途と法医学用途の両方に広く提供することができる。
【特許文献1】米国特許第5,784,157号
【特許文献2】米国特許第6,038,023号
【非特許文献1】Wei J, and GP Hemmings GP (2000) The NOTCH4 locus is associated with susceptibility to schizophrenia. Nature Genet. 25: 376-377.
【非特許文献2】Deeb SS, L Fajas, M Nemoto, J Pihlajamaki, L Mykkanen, J Kuusisto, M Laakso, W Fujimoto, and J Auwerx (1998) A Pro12Ala substitution in PPARγ2 associated with decreased receptor activity, lower body mass index and improved insulin sensitivity. Nature Genet. 20: 284-287.
【非特許文献3】Yeo GS, IS Farooqi, S Aminian, DJ Halsall, RG Stanhope, and S O'Rahilly (1998) A frameshift mutation in MC4R associated with dominantly inherited human obesity. Nature Genet. 20: 111-112.
【非特許文献4】Lieberwirth U, J Arden-Jacob, KH Drexhage, DP Herten, R Muller, M Neumann, A Schulz, S Siebert, G Sagner, S Klingel, M Sauer, and J Wolfrum. (1998) Multiplex dye DNA sequencing in capillary gel electrophoresis by diode laser-based time-resolved fluorescence detection. Anal Chem. 70: 4771-4779.
【非特許文献5】Meaburn, J (1976)"Detection and Spectrometry of Faint Light", D. Reidel, Dordrecht, Holland.
【発明の開示】
【0014】
発明の概要
本発明では、ハイスループットDNA配列同定に使用できる装置および方法を検討する。本発明の一局面は、1つまたは複数の蛍光種を含む試料を分析するパルスマルチライン励起装置であって、各励起線が異なる波長を有する2本以上の励起線を放出するように構成された1つまたは複数のレーザと、1つまたは複数のレーザに結合され、試料から時間相関された蛍光放出信号を発生させるようにタイミングプログラムに従って2本以上の励起線を順次発生するように構成されたタイミング回路と、試料から放出された時間相関された蛍光放出信号を収集するように位置させられた非分散検出器と、検出器に結合され、時間相関された蛍光放出信号をタイミングプログラムに関連付けて試料の成分を同定するように構成された分析器とを含む装置である。
【0015】
検出器と分析器は一体であってよい。一態様では、2本以上の励起線が試料の所で交差するか、または2本以上の励起線を試料内で交差しないように構成してもよい。2本以上の励起線は同軸であってよい。
【0016】
本発明の一態様では、装置は、1つもしくは複数のレーザに対して動作可能関係を有し、2本以上の励起線の放射が実質的に共直線性を有し、かつ/または同軸になるように構成された1つまたは複数のプリズムを含んでよい。
【0017】
装置は、それぞれ1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個以上の励起波長を有する1本、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本、11本、12本、13本、14本、15本、16本以上の励起線を含んでよい。試料は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、20個まで、24個まで、28個まで、36個まで、48個まで、64個まで、96個まで、384個まで、またはそれ以上のキャピラリで構成することができる。シースフローキュベットを使用してよい。
【0018】
タイミングプログラムは、約10fsから約5sの間、約1msから約100msの間、または約50psから約500psの間の遅延を、各レーザの発射間に含んでよい。1本または複数の励起線がパルス出力される。パルス出力される励起線は、TTL論理あるいは機械的手段または電子手段によって制御することができる。一態様では、装置は、試料からの蛍光放出信号と時間相関された互いに離散した励起線のシーケンスを生成することができる。
【0019】
レーザは、ダイオードレーザ、半導体レーザ、アルゴンイオンレーザもしくはクリプトンレーザもしくはヘリウムネオンレーザなどのガスレーザ、ダイオードレーザ、YAGおよびイットリウムバナデート(YVO4)などのイオンゲイン媒体を含むネオジムレーザなどの固体レーザ、またはダイオードポンピング固体レーザを含んでよい。1つまたは複数の互いに離散した励起波長の光を発生させる他の装置をレーザの代わりに使用してもよい。レーザは、少なくとも1本のレーザ光線に対して動作可能関係を有するラマンシフタをさらに含んでよい。本発明の一態様では、各レーザから与えられる励起波長は、各フルオロフォアの吸収波長に光学的に一致させられる。
【0020】
検出器は、電荷結合素子、光増倍管、シリコンアバランシェフォトダイオード、またはシリコンPIN検出器を含んでよい。この装置のフットプリントは好ましくは、4ft × 4ft × 2ft未満、1ft × 1ft × 2ftのように小さく、1in × 3in × 6inほど小さくてよい。
【0021】
本発明の他の局面は、各試料成分を同定する方法であって、(a)各試料成分、第1の色素、および第2の色素を含む試料を調製する段階と、(b)試料を第1の励起線および第2の励起線の光線経路内に配置する段階と、(c)第1の励起線および第2の励起線を順次発射する段階と、(d)試料からの蛍光を時間の関数として集光する段階と、(e)各励起線のオンタイムウィンドウによって蛍光を分類する段階とを含み、各試料成分が同定される方法を含む。本発明の一局面は、励起線が試料に入射しない、2本の励起線の発射間に生じる互いに離散した期間から蛍光信号が収集されることである。この技術は、「ルッキング・イン・ザ・ダーク(looking in the dark)」と呼ばれている。本発明の他の態様は、第1の色素の吸収極大が実質的に第1の励起線の励起波長に相当することである。第2の色素の吸収極大も実質的に第2の励起線の励起波長に相当してよい。本発明の他の態様では、第3および第4の色素と第3および第4の励起線があり、第3および第4の励起線の吸収極大はそれぞれ、実質的に第3および第4の励起線の励起波長に相当する。同様に、色素の吸収極大がそれぞれ、実質的に5番目、6番目、7番目、8番目、9番目、10番目、11番目、12番目、13番目、14番目、15番目、16番目以上の励起線の励起波長に相当する、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個以上の色素があってよい。これらの色素は、ザンテン色素、フルオレセイン色素、ローダミン色素、BODIPY色素、シアニン色素、クマリン色素、ピレン色素、フタロシアニン色素、フィコビリプロテイン色素、アレクサ色素、スクアリアン色素、または他の何らかの適切な色素であってよい。
【0022】
本発明の一態様では、各試料成分はSNPの判定を可能にする。この方法は、有益な情報を与えるSNPのハイスループット同定を行うための方法であってよい。SNPは、ゲノムDNA材料、PCR増幅された材料、またはクローニングされたDNA材料から直接得ることができ、一塩基遺伝子プライマー伸長法を用いて検定することができる。一塩基遺伝子プライマー伸長法は、単一非標識dNTP、単一標識dNTP、単一3'-修飾dNTP、単一塩基修飾3'-dNTP、単一アルファ-チオ-dNTP、または単一標識2'3'-ジデオキシヌクレオチドを用いることを含んでよい。ミニ配列決定方法は、単一非標識dNTP、単一標識dNTP、単一3'-修飾dNTP、単一塩基修飾3'-dNTP、単一アルファ-チオ-dNTP、または単一標識2'3'-ジデオキシヌクレオチドを用いることを含んでよい。SNPは、ゲノムDNA材料、PCR増幅された材料、またはクローニングされたDNA材料から直接得ることができ、サンガー配列決定法を用いて検定することができる。
【0023】
本発明の他の態様では、信号の分析は、遺伝的な病気を正確に診断するか、リスク感受性をよりうまく予測するか、散発性変異を同定するか、または個々の患者用の独自の毎日の薬物投与を処方することができるようになっている。信号の分析は、臨床診断、法医学用途、または一般的な配列決定方法の決定において日常的に使用できるようにすることができる。
【0024】
本発明の他の態様は、各試料成分を同定する方法であって、(a)生物学的試料を得る段階と、(b)試料を1つまたは複数のフルオロフォアで標識する段階と、(c)試料の各成分を分離する段階と、(d)装置を用いて各試料成分を検出する段階とを含み、装置が、各励起線が異なる波長を有する2本以上の励起線を放出するように構成された1つまたは複数のレーザと、1つまたは複数のレーザに結合され、試料から時間相関された蛍光放出信号を発生させるようにタイミングプログラムに従って2本以上の励起線を順次発生するように構成されたタイミング回路と、試料から放出された時間相関された蛍光放出信号を収集するように位置させられた非分散検出器とを含み、検出器が、1本または複数の励起線による照射の結果としての試料の蛍光放射を含む試料から得た時間相関されたデータを収集する方法である。
【0025】
試料成分は、核酸、アミノ酸、またはタンパク質であってよい。分離は、電気泳動、クロマトグラフィ、MALDI-TOF、4極質量フィルタ、磁気セクタMSなどの質量分析法(MS)によって行うことができる。各試料成分は、高密度チップアレイ上にアドレス指定することができる。
【0026】
一態様では、この方法は、(e)既知の位置に固定化されたオリゴヌクレオチドを含む表面上に各試料成分を接触させる段階と、(f)一塩基遺伝子取込みアッセイ法またはミニ配列決定アッセイ法を行う段階とをさらに含んでよい。他の態様では、この方法は、励起線が表面の複数の位置に接触するように表面または励起線をラスタ処理する段階をさらに含んでよい。
【0027】
本発明の他の局面は、(a)1本または複数の励起線を有する1つまたは複数のレーザと、(b)励起線がそれぞれミラーに入射する1つまたは複数のビームステアリングミラーと、(c)2本以上の励起線が一方の表面に入射し、第2の表面から出射する第1のプリズムと、(d)第1のプリズムに対して傾いた第2のプリズムとを含み、2本以上の励起線が第1のプリズムから出射した後で第2のプリズムの一方の面に入射し、2本以上の励起線が第2のプリズムから出射した後で実質的に共直線性を有し、かつ/または実質的に同軸になる装置である。第1のプリズムに対する第2のプリズムの角度は、使用される光学材料に依存する。たとえば、高分散フリントガラスの場合、2つのプリズムは、第2のプリズムが第1のプリズムに対して450傾くように配置される。石英の場合、角度変位は300から500の範囲である。
【0028】
本発明の他の局面は、試料を照射する方法であって、(a)2本以上の励起線を第1のプリズムの第1の表面上に向ける段階と、(b)2本以上の励起線を第1のプリズムの第2の表面から、第1のプリズムに対して約450傾いた第2のプリズムの第1の表面に向ける段階と、(c)2本以上の励起線を、第2のプリズムの第2の表面から出射した後で試料上に向ける段階とを含み、2本以上の励起線が、第2のプリズムから出射した後で実質的に共直線性を有し、かつ/または実質的に同軸である方法を含む。
【0029】
本発明のさらに他の局面は、励起線のシーケンスを制御する方法であって、(a)電子ステッパを含み、2本以上の励起線を有する1つまたは複数のレーザに動作可能に接続されたTTL回路を得る段階と、(b)2本以上の励起線を有する1つまたは複数のレーザの順次発射を回路からのクロックパルスによって制御する段階とを含み、1つのレーザから励起線を発射させる頻度が、第2のレーザから励起線を発射させる頻度と同等であるが、2本以上の励起線を有する1つまたは複数のレーザを順次パルス出力させることができるように移相される方法を含む。1クロックパルスのサイクル時間は、1μ秒から5秒、または100μ秒から1秒の範囲であってよい。第1のレーザが励起線を発生させる時間の長さは、第2のレーザが励起線を発生させる時間の長さと同様であってよい。本明細書では、「同様な」は、時間の長さの20%以内、10%以内、またはより好ましくは5%以内を意味する。2本から16本または2本から8本の励起線が順次パルス出力される。
【0030】
本発明の他の方法は、励起線のシーケンスを制御する方法であって、(a)電子ステッパを含み、2本以上の励起線を有する1つまたは複数のレーザに動作可能に接続されたTTL回路を得る段階と、(b)2本以上の励起線を有する1つまたは複数のレーザの順次発射を回路からのクロックパルスによって制御する段階とを含み、第1のレーザを発射させる頻度が、第2のレーザを発射させる頻度と異なる方法を含む。この方法は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、または16個のレーザを制御するのに用いることができる。
【0031】
例示的な態様の説明
I. 本発明
本発明は、DNA配列決定技術および一塩基遺伝子多型(SNP)のハイスループット同定を特に強調した遺伝子分析方法に一般に適用できる、新規の蛍光検出装置および手法を記載する。このPME技術は、蛍光感度を著しく高める2つの主要な利点を有し、すなわち、ゲノムアッセイ法においてすべてのフルオロフォアが最適に励起され、従来の分散検出器よりもかなり多くの光を集光する「カラーブラインド」検出が行われる。蛍光検出器は、ゲノムDNA材料から蛍光DNAを直接検出できるようにする感度を持つDNA配列決定技術を小形化するように構成することができる。PMEは、臨床診断、法医学、および一般的な配列決定に有用である。
【0032】
II.パルスマルチライン励起(PME)検出
本発明では、検出される蛍光の量を多くする蛍光色素のスペクトル分散または波長識別が不要になる。所与の1組のフルオロフォアを効率的に励起するように一致させた、特定の波長の光を放出する複数のレーザを用いた順次パルスレーザ励起システムは、選択性および感度を求めることができる。PME技術は、各フルオロフォアの吸収極大を一致させることによって、各色素を最高の量子効率で励起し、したがって、必要な試料サイズ(すなわち、検出に必要な蛍光分子の数)をかなり小さくする。直感的には、1つのレーザを4つのレーザで置き換えることは小形化と矛盾するように思える。しかし、ダイオードポンピングNd:YAGソースやダイオードレーザのような新規の固体レーザは、標準的なアルゴンイオンレーザよりもずっと小形であり(たとえば、長さ2" )、ずっと効率的であり、動作に必要な電力がずっと少ない。たとえば、4つの固体レーザを合わせたフットプリントは、単一アルゴンイオンレーザシステムよりも約20倍小さい。DNAシーケンサの場合に488nmと514.5nmの2本の励起線に依存するアルゴンイオンレーザを、パワーの等しい532nm Nd:YAGで置き換えただけでは、レーザサイズを小さくすることはできるが、より短い波長の色素の励起/発光強度が弱くなり、しかも、レーザ波長から離れた吸収極大を有するより長い波長の色素が効率的に励起されなくなる。
【0033】
PME技術によって4つの蛍光色素を識別できるように、4本の励起線は、例示されているが、プリズムアセンブリや回折格子の使用に限らない逆分散によって組み合わされる。結果として得られる光線は、平均的に、「白色」光線のように見える。しかし、固体レーザは電子的に制御され、波長固有光の互いに離散したパッケージとして順次パルス出力または発射される。あるいは、同期させたシャッターシステムを用いてレーザ光源をパルス出力または発射することができる。各色素は、それに一致するレーザ光源がオンにされたときに明るい蛍光を発し、一方、他の3つのレーザパルスにはまったく反応しないわけではないが、ほんのかすかにしか反応しない。各励起事象からの蛍光は、非分散または「カラーブラインド」検出方法を用いて集光される。非分散検出器は、入射した放射が、それぞれの異なる蛍光色素の放出蛍光波長に基づいて分離されることのない検出器である。したがって、DNA配列は、発光波長のスペクトル分解能ではなく、励起光の特定の波長に対する検出器応答の時間相関に基づいて、PME技術によって決定される。ミリ秒タイムスケールで固体レーザを切り換えることは簡単であり、したがって、数千回の4レーザ励起サイクルを、キャピラリ電気泳動によってDNAの単一の塩基を溶出させるタイムスケールで完了することができる。
【0034】
さらに、非分散システムの利点は、蛍光が直接検出器に結合されるため、検出器(すなわち、CCD)が著しく多くの光を集光することである。通常、現在のDNAシーケンサの場合、分散要素が波長を効果的に分離するには、硬度にコリメートされた光が必要である。集光レンズを試料のより近くに移動させると、集光される蛍光が増えるが、コリメートが弱まり、スペクトル選択性が低下する。同様に、分散要素と検出器との間の距離を短くすると、スペクトル選択性が低下する。しかし、非分散システムの場合、集光レンズを試料または検出器のより近くに移動させると、4レーザサイクルによってもたらされる選択性を犠牲にせずに、距離の自乗に反比例して距離の集光される光が増える。したがって、この小形化プロセスは、検出器により多くの蛍光を供給する。
【0035】
通常、システムを小形化すると、必然的に感度および選択性が損なわれる。たとえば、レーザ光源のサイズおよびパワーが小さくなるにつれて蛍光信号が失われ、スペクトル分散要素が発光波長を分離するのに物理的な空間を必要とし、かつ検出の分光計部分を圧縮するとスペクトル分解能が犠牲になるため、選択性が損なわれる。したがって、これらの損失を相殺するために試料サイズが大きくされ、したがって、従来の分散光学系を縮小することによって得られる利益は無視される蛍光がある。本明細書で説明する構成は、小形化された計器の損失を最小限に抑えるが、小形化プロセスによって感度をかなり高める。本発明は、各光学構成要素が小形化されたときに協働するのを可能にする新規の検出システムを含む。
【0036】
非分散検出の他の利点は、現在の96本キャピラリDNAシーケンサと比べて信号対雑音比が向上することである。各DNA配列反応ごとの波長スペクトルを得るために、多数の画素が読み出され、この電子読出しプロセスはあらゆる画素読取りの雑音を付加する。非分散システムの場合、特定のキャピラリから光を受け取るすべての画素は「ビン詰めされ」、単一のユニットとして読み出され、関連する電子雑音をかなり低減させる。
【0037】
III.フルオロフォア
波長識別検出ではなくPMEまたは時間ベースの検出を使用することの利点は、使用できるフルオロフォアの数が増えることである。任意の所与の励起波長では、個々に同時に測定できる十分に分離された波長極大を持つ十分に狭い発光バンドを放出する市販の色素は約2つまたは3つしかないことが多い(米国特許第6,139,800号)。3つ以上のフルオロフォアが見つかる場合、スペクトルの実質的な重畳解除を必要とする発光スペクトルの実質的なクロストークまたは重複がやはり存在し、それに対応して、種を識別する際にエラーが起こる可能性が高くなる。
【0038】
この問題の解決策は、第2のレーザを追加して、最大で約6つの色素を同時にまたは順次検出できるようにすることである(米国特許第6,139,800号)。しかし、この解決策は依然として、スペクトルが実質的に重なり合い、信号のスペクトル分散後に検出するのに十分な信号強度が必要であるという問題を有する。
【0039】
最適には、最高の発光信号を得る方法は、励起源を、高いモル励起係数を有する色素の吸収極大に光学的に一致させることである。これは、あらゆるフルオロフォアに対して行われる。しかし、励起源は吸収極大に厳密に一致させる必要はなく、その代わり、各色素が、発光を伴う1つのソース波長に実質的に対応する吸収極大を有すると共に、アッセイ法に使用される一致しないレーザ光源からの吸収/発光(クロストーク)が最小限に抑えられる、レーザと色素の組合せを得ることが重要である。
【0040】
4つのフルオロフォアを有するシステムを用いて4つのDNA塩基を検出することが好ましい。しかし、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、または16個の異なるフルオロフォアをPMEシステムと一緒に使用することができる。
【0041】
本発明に使用できる色素の非制限的なリストには、BODIPY色素(BODIPY630/650、BODIPY650/665、BODIPY589/616またはBODIPY-TR、BODIPY581/591、BODIPY523/547またはBODIPY-R6G、5,7-ジメチル-BODIPY(503/512)またはBODIPY-FL、1,3,5,7-テトラメチル-BODIPY(495/503)、BODIPY-TMR-XまたはBODIPY(564/570)-X、BODIPY-TR-XまたはBODIPY(589/616)-X、BODIPY(530/550)、BODIPY(564/570)、およびBODIPY(558/568))、ザンテン色素、ローダミン色素(ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラチルローダミン、5-カルボキシローダミン6G(R6G)、6-カルボキシR6G、テトラメチルローダミン(TMR)、5-カルボキシTMRまたは5-TAMIRA、6-カルボキシTMRまたは6-TAMRA、ローダミンB、X-ローダミン(ROX)、5-カルボキシ ROX、6-カルボキシ ROX、リスアミンローダミンB(lissamine rhodamine B)、およびテキサスレッド)、フルオレセイン色素(FITC、5-カルボキシフルオレセイン、6-カルボキシフルオレセイン、フルオレセインジアセテート、ナフトフルオレセイン、HEX、TET、5-カルボキシJOE、6-カルボキシJOE、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、エリスロシン、エオシン)、クマリン色素(7-ヒドロシキクマリン、7-ジメチルアミノクマリン、7-メトキシクマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸または(AMCA)、およびパシフィックブルー)、シアイン(Cy)色素(Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7)、フタロシアニン色素、フィコビリプロテイン色素、(B-フィコエリスリン(B-PE)、R-フィコエリシン(R-PE)、およびアロフィコシアニン(APC))、ピレンおよびスルホン化ピレン、(カスケードブルー)、スクアライン色素、アレクサ色素(アレクサ350、アレクサ430、アレクサ488、アレクサ532、アレクサ546、アレクサ568、アレクサ594)、およびルシファーイエローが含まれる。
【0042】
IV.励起源
PME技術の原則は、それぞれの異なる励起レーザを順次パルス出力させることによってトリガされた「カラーブラインド」蛍光放出を時間相関することによってそれぞれの異なるフルオロフォアの混合物を識別することである。この手法は、単一の励起源、通常アルゴンイオンレーザ(488nmおよび514.5nm)が4つのスペクトル分解可能な蛍光色素を励起する、蛍光放出を波長識別する広く使用されている方法とは著しく異なる。このセットの色素は、最長発光波長で発光し、通常、励起源と色素の吸収極大とのスペクトル重複が不十分であるため、励起が最も不適切になる。この非効率的な励起は、蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)色素プライマー(Juら、1995年、Metzkerら、1996年)および色素ターミネータ(Rosenblumら、1997年)を用いて信号強度を高めることによって部分的に解消されている。自明であるが。最高の発光信号を得る最適な方法は、DNA配列決定アッセイ法におけるあらゆるフルオロフォアについて励起源を吸収極大に一致させることである。
【0043】
本発明は、少なくとも1つのレーザを使用することができ、できるだけ多くの異なるレーザに対処する融通性を有している。システムに応じて、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、または16個以上のレーザが存在してよい。
【0044】
単一のレーザは、それぞれの異なる吸収極大を有するフルオロフォアを励起する場合に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個以上の異なる波長を発生させることができる。これは、誘発ラマンシフティング(SRS)の技術を用いて行うことができる。この技術は、より短い波長またはより長い波長への変換に用いることができる。ラマン効果によって、レーザ周波数を互いに離散した増分ずつ修正することができる(ストークスアンチストークスシフト)。周波数変換は、レーザ光を適切な結晶または高圧(すなわち、7気圧)の気体を含有するステンレススチールセルを通過させることによって行われる。主要なストークスの、より長い波長への変換効率は、35%ほどの高い効率であってよい。結晶または気体の性質は、周波数出力を決定し、たとえば、N2、O2、D2、およびCH4はそれぞれ2330cm-1、1550cm-1、4155cm-1、2987cm-1、および2917cm-1のシフトを実現し、Ba(NO3)2は1047cm-1のシフトを実現する。本発明の好ましいラマン媒体は分子窒素である。というのは励起周波数同士の間の望ましい間隔は約2330cm-1であるからである。
【0045】
最近まで、DNA配列決定用途では、488nmから543nmの間の吸収極大範囲を有する「青色」フルオロフォアおよび「緑色」フルオロフォアの励起には気体レーザが広く用いられていた。一般に、このようなレーザには、アルゴンイオンレーザ、クリプトンイオンレーザ、およびヘイウムネオン(He-Ne)レーザが含まれる。これらのレーザはサイズが大きく、非常に非効率的であり、比較的高価な装置である。さらに、気体レーザの寿命は約1000時間から3000時間であり、これらの計器には高いメンテナンスコストがかかる。これらの欠点にもかかわらず、自動化DNA配列決定計器では、15年にわたってアルゴンイオンレーザが広く使用されており(Smithら、1986年;Probeら、1987年 )、多くのキャピラリ電極泳動システムにおける励起源として頻繁に文献に記載されている。
【0046】
一方、半導体レーザまたはレーザダイオードは他のどのレーザタイプよりも小形で軽量で頑丈であり、CDプレーヤ、レーザプリンタ、およびテレコミュニケーションシステムのような様々な用途に使用されている。これらの小形レーザは通常、630nmから1100nmの間の白黒光を発生させる。これらは極めて小形であるが、耐久性の高いレーザは10mWから100mWの範囲のパワーを発生させることができ、かつ最大で100,000時間の有用な寿命を有する。
【0047】
ネオジミウム:YAG(イットリウムアルミニウムガーネット)レーザは、現在使用されている最も一般的な固体レーザであり、重金属の産業溶接、外科手術装置、実験所分光機器、無人空間プローブのような様々な用途にこの計器が使用されている。固体レーザは、活性媒体が通常、ネオジミウム、クロム、コルミウムなどの遷移金属を含む(通常、1%以下)透明な結晶である。金属イオンの遷移によってレーザの作用が生じる。これらのレーザは、広バンドフラッシュランプ光源、または1つまたは複数のダイオードレーザ光源によって光学的にポンピングされる。青色励起および緑色励起の場合、固体レーザは、ホウ酸リチウムやカリウムリン酸チタニルのような周波数二倍結晶や調波生成(SHG)結晶を含む。たとえば、周波数二倍Nd:YAGレーザは、緑色532nm光を発生させるSHG結晶の2倍である1064nmの基本励起線を有する。
【0048】
最近まで、PME技術の用途は、400nmから630nmの間の波長で単色光を発生させる利用可能な信頼できる固体レーザがなかったため認識されていなかった。しかし、この新しい分野で最近、DNA配列決定用途に適した、約400nm、473nm、および488nmの波長の単色光を発生させる固体レーザが製造されている。したがって、PMEの開発は、この新しいレーザ開発分野と独特の方法で組み合わされ、レーザ技術の新たな進歩が利用可能になったときにそれを組み込むように適切に位置付けられている。
【0049】
V.逆分散
複数のレーザ光線を単一の試料に入射させる必要があるので、レーザ光線は、そのすべてが試料を通過するかまたは試料に接触するように操作しなければならない。これは、それぞれの異なるレーザ光線を空間的に、1つの重なり合った「白色」光線として組み合わせることによって行うことができる。
【0050】
他のグループは、2本以上のレーザ光線を組み合わせる装置を開発している。Conemac(米国特許第6,226,126号)は、透過部分と反射部分を持つ光線組合せ要素を有するレーザ光線ミキサについて説明している。しかし、この技術では、第2、第3などのレーザ光線の断面形状を歪ませる必要がある。他の制限は、各レーザ光線が追加されるごとに、組み合わされた光線がさらなる光学系を通過しなければならず、システムに損失が導入されることである。
【0051】
米国特許第5,991082号は、複数の焦線から幅の狭い重畳可能な焦線を形成するレンズシステムを開示している。このシステムは、互いに平行なリッジ線に囲まれた複数の長手方向に配置されたファセットを持つプリズムを使用するシステムであり、X線レーザをポンピングする際に使用できる高エネルギー放射光線を得るのに用いることができる。
【0052】
米国特許第6,215,598号は、レーザをレーザ光線シートに収束させるコリメート装置を含む、レーザ光線を集中させる装置を開示している。デジタル光学装置は、レーザ光線を成形し集中させて幅の狭い重なり合ったレーザ光線を得る。
【0053】
本発明では、逆分散システムを用いて複数のレーザからの光を単一の試料上に向けることができる。逆分散では、互いに離散した位置からの光がシステムから出射する際に実質的に共直線性を有し、かつ/または同軸になるように位置させられたプリズムアセンブリや回折格子などの光学分散要素が用いられる。「実質的な共直線性」という用語は、レーザ光線または励起線が互いに50未満の角度で発散することを意味する。「実質的に同軸」という用語は、レーザ光線または励起線が互いに50未満の角度で発散することを意味する。
【0054】
逆分散システムは、互いに離散した位置からの5本の励起線が単一の共直線性および/または同軸線として組み合わされている図3に示されているように構成することができる。
【0055】
本発明の好ましい態様では、ハイグレードガラス、石英、またはシリカから構成された高分散正三角柱プリズムが使用される。高分散フリントガラスプリズムを使用するときの、プリズムの互いに対する好ましい配向は400〜500であり、より好ましくは450である。石英プリズムを使用するときの、プリズムの互いに対する好ましい配向は250〜550であり、より好ましくは300〜500である。この角度は、逆分散によって複数の光線を効率的に単一の光線に重ね合わせる。2プリズムアセンブリが好ましいが、単一プリズムまたは3つ以上のプリズムを有するアセンブリも考えられる。同様に、刻線格子やホログラフィー格子などの回折格子を用いて複数の光線を組み合わせることができる。格子の回折によって光線が組み合わされるように複数の励起線を回折格子上に向けることができる。
【0056】
ビームは共直線性を有するだけでなく、同軸であってよく、すべてのレーザ光線が試料内の同じ柱状空間を通過する。レーザから光線が発射される際に各レーザ光線に順次同じ試料分子が露光される。
【0057】
逆分散手法では、アイザック・ニュートン卿によって初めて実証されたのと同じ原則が逆方向に使用される。ニュートンの実験では、太陽からのコリメートされた白色光が等三角柱プリズムを通過し、様々な波長が角度ごとに分離された。光線はプリズムに入り、入射表面の法線に対して非零角度を形成する。スネルの法則によれば、すべての光線は、光がより光学的に密な媒体に入るときに法線の方へ湾曲する。ガラスの分散のために、より短い波長はより顕著に偏る。光線がプリズムから出射する際、すべての光線が再び湾曲し、この場合もより短い波長はより顕著に湾曲する。この結果、より短い波長はより長い波長から角度的に分離される。青色光は緑色よりも顕著に偏り、緑色は黄色よりも顕著に偏り、黄色は赤色よりも顕著に偏る。
【0058】
このプロセスは逆転することができ、逆転したプロセスが、逆分散に利用される原則である。分離された光線が上記と全く逆の経路を辿らされた場合、様々な波長は単一の「白色」光線に組み合わされる。この逆分散法によって、たとえば、レーザ、発光ダイオード、アークランプ、白熱灯などからの光を(必要に応じてコリメートおよびスペクトルフィルタリングの後に)組み合わせることができる。より短い波長の光線は、より長い波長の光線よりも長い適切な非正常角度でプリズムに入射する。スネルの法則から正しい角度を求めると、各光線はすべて、単一の同軸光線に組み合わされる。必要に応じて、互いに平行である間、試料の互いにわずかに異なる位置を通過する共直線性光線が得られるように各光線を互いに空間的にずらすことができる。前者の場合、すべての光線からの蛍光が単一の検出器上に撮像される。後者の場合、各光線は、4つ以上の別々の検出器上に撮像することも、CCDカメラのような1つの検出器の別々の領域上に撮像することもできる。光源を高速に連続的にパルス出力させた場合、組み合わされた光線は、同じ空間位置から生じる変換する色パターンを示す。
【0059】
プリズムは通常、最小偏り角度で使用され、それによって所与の光線の入射角と出射角は等しくなるか、またはできるだけ等しくなる。エイペックスバイセクタも、入射光線および出射光線によって形成される角度を二等分する。プリズムを回転させた場合、この2つの角度はもはや等しくならない。このことは、それによって全体的な偏り角度と分散量の両方が増えるという点で有利である。しかし、この場合、光線直径がアナモルフィックに変化する。このようなアナモルフィックな拡張は、丸い光線断面を長楕円断面に変化させるかまたは長楕円光線形状を丸い形状に変化させることが望ましい場合に有用である。各光線の逆分散組合せを行う際に最初の光線形状の歪みを最小限に抑える必要がある場合、偏り角度を最小限に抑えることが好ましい。
【0060】
各光線の分離角は、光線が通過するプリズムの数に比例して大きくなる。たとえば、2つの同一のプリズムを用いると、分離角は2倍になる。アナモルフィックな光線変化は、一対のプリズムを非最小偏り角度で使用することによってほぼ打ち消すことができる。フリントガラスなどの高分散ガラスを使用した場合も、入射光線の分離角が大きくなる。この場合、入射角の空間分離を行うのに必要な距離が短くなり、光学装置をより小形にすることができる。一例として、本発明では2枚のF2フリントガラスプリズムを利用する。
【0061】
回折格子を適切な逆分散要素として使用することもできる。格子を白色光のコリメートされた光線に露光させた場合、光線は格子式に従って回折される。透過格子の場合、光線は零オーダーと呼ばれる直線経路から離れる方向に回折され、より長い波長は、より短い波長よりも大きな角度に偏る。分散される波長の順序は、プリズムの場合の逆である。反射格子を使用した場合、この場合も、より長い波長は、零オーダー反射に対して、より短い波長よりも遠くに偏らされる。上記のプリズムコンバイナの場合と同様に、格子に逆方向に入射したそれぞれの異なる波長の光線は、同じ種類の逆分散を行い、各光線は共直線性を有する。各光線が格子上の同じ領域に、各波長に適切な角度で入射した場合は、各光線を同軸にすることができる。従来、刻線格子がこの目的に適しているが、ホログラフィー格子は一般に、より散乱の少ない光を示す。プリズムよりもかなり高い分散度を有する格子を一般に得ることができ、したがって、分散角が大きくなり、光源同士の間の間隔を小さくすることができる。このような格子は一般に効率が低く、したがって、光損失がより多い。格子とプリズムはどちらも、偏光の影響を受けやすい。蛍光放出は偏光の方向の影響を受けやすいので、光の電気ベクトルの適切な配向を検討すべきである。透過効率を向上させるために偏光回転装置を付加することができる。
【0062】
VI.集光装置
蛍光検出の可能な選択肢のうちでどれが最適であるかは蛍光強度に依存する。本明細書で説明するすべての検出器について、検出器に入射した光子は電荷キャリアに変換され、このキャリアが電子的に検出される。しかし、電荷キャリアは、熱発生、宇宙線、自然放射能など、様々な光源からの蛍光信号に関係のない外因性プロセスによって生成される。蛍光と、蛍光信号とは無関係の光源の両方から生成されたすべてのキャリアが、十分に理解されている統計的現象である雑音の発生に寄与する。余分なキャリア雑音の外的要因のうちで、キャリアの熱生成は通常、雑音の支配的な外的要因であり、検出器を冷却することによって軽減することができる。基本的に、好適な検出を行うのに必要なのは、観測時間ウィンドウ中に蛍光によって生成される電荷キャリアの数が、同じ時間間隔中に生成されるすべてのキャリアの数の平方根よりもずっと大きいことだけである。しかし、キャリアが検出器を離れた後、増幅電子機器も雑音を導入し、この電子雑音が優勢になる可能性がある。この状況を回避するために、独自の超低雑音増幅器を組み込んだ装置が発明されている。2つのそのような装置、すなわち光増倍管(PMT)およびシリコンアバランシェフォトダイオード(APD)がある。増幅器の雑音を低減させる他の手法は、ある期間にわたってキャリアを収集し、次いで収集された電荷を高速に読み出すことである。この動作モードは、フォトダイオードアレイCCD検出器に使用されている。
【0063】
外部増幅器において発生した雑音が無視できるほど大きい信号を有する光レベルの場合、蛍光検出用の最も簡単な装置はシリコンPIN検出器である。この装置は、厚いキャリア欠乏領域(i)によって分離された薄い多穴領域(p)と多電子領域(n)とから成る。この装置は、p側に印加された負の電圧およびn側に印加された正の電圧によって逆バイアスをかけられる。この装置に入射した光はP領域を貫通し、i領域で吸収され、電子がn側に付着しホールがp側に付着した電子ホール対を生成し、装置を通る電流を生成する。このプロセスの量子効率は非常に高い(〜80%)。これは最も簡単で、最も小形で、最も安価な検出器であるので、シリコンPINは好ましい検出器である。マルチキャピラリ電気泳動システムおよび直接検出アッセイ法に関して低発光レベルを検出する場合に、他のより感度の高い検出器も使用することができる。
【0064】
シリコンPIN検出器は、キャリアゲインを導入することによって非常に低い光レベルを検出するのに適した検出器にすることができる。光子が検出器に入射し、電子ホール対を生成する。電子は電界によって加速され、イオン化によって追加のキャリアを生成する。追加の電子は加速され、さらにキャリアが生成され、アバランシェプロセスおよび電流ゲインが得られる。シリコンアバランシェ検出器は、PMTと同様に2つのモード、すなわち、アナログ電流測定モードおよびデジタルカウンティングモードで動作する。アナログモードで動作すると、電流ゲイン(〜300)はPMTの場合(〜105から106)よりも少なくなるが、光レベルが最低の場合を除いて、信号は外部増幅回路内の雑音よりもずっと大きい。さらに、シリコン検出器の波長応答範囲(300nmから1100nm)は個々のPMTフォトカソードよりもずっと広く、DNA配列決定計器に使用できるあらゆる色素の蛍光最大値をカバーする。
【0065】
あるいは、シリコンAPDは熱電気的に冷却し、個々の蛍光光子がカウントされるガイガーカウンティングモードで動作させることができる。この場合、高い量子効率(〜80%)が得られ、ダークカウントレベルは冷却されたPMT(量子効率は通常10%)に近づく。熱電気的に冷却されたシリコンAPDは、小形の形状と従来技術の感度との組合せを実現する。標準的な配列決定反応から蛍光信号を検出する場合高い感度は必要とされないが、カウンティングモードのシリコンAPDは、ゲノムDNAアッセイ法から直接(すなわち、増幅なしに)蛍光信号を検出する場合に理想的な検出器となる可能性がある。
【0066】
必要な特性を有する検出器が市販されており、これらには簡単なシリコンPIN検出器、シリコンAPD、またはフォトダイオードアレイ(CCD)が含まれる。簡単なシリコン検出器は最も安価であり、シリコンアバランシェは最も感度が高く、CCDは、多数の検出器を単一のユニットで実現するため、マルチキャピラリシステムに最も有用である。
【0067】
VII.結合システム
PME技術は、様々なフォーマットに結合するのに十分な融通性を有しており、たとえば、PMEシステムは、高密度アレイ/バイチップを用いて従来のキャピラリ電気泳動(CE)法あるいは分離および/または精製法に結合することができる。理想的には、ゲノムDNA用の蛍光アッセイ法の直接検出を行うことのできるDNA配列決定システムは、(i)すべての蛍光色素を最適に励起し、(ii)UVスペクトル、可視光線スペクトル、および赤外線スペクトルの大部分にわたって光子を効率的に収集することができ、(iii)ハイスループットアレイまたは高密度フォーマットにおける蛍光信号を連続的に監視することができ、(iv)検出できる蛍光放出信号を最大にし、(v)背景散乱光を最小限に抑えるように構成し、かつ置換可能なゲルマトリックスを用いて自動化すべきである。
【0068】
a.キャピラリ電気泳動
本発明のPME蛍光検出システムは、DNAフラグメントを分析する好ましい方法としての従来のキャピラリ電気泳動(CE)法に結合することができる。
【0069】
微細キャピラリアレイ電気泳動では一般に、特定の分離媒体を充填してもしなくてもよい細いキャピラリまたはチャネルが使用される。キャピラリを通じて試料を電気泳動させると、試料のサイズベースの分離プロファイルが得られる。核酸のサイズ分離において微細キャピラリ電気泳動を使用することが、たとえば、WoolleyおよびMathies(1994年)で報告されている。このようなキャピラリの表面対体積比が高いため、キャピラリを横切る実質的な熱変動なしにキャピラリを横切る比較的高い電界を印加することができ、したがって、比較的高速に分離を行うことができる。さらに、これらの方法を共焦点撮像法と組み合わせると、放射性配列決定法の感度と同等のアットモルの範囲の感度が得られる。微細キャピラリ電気泳動装置を含む微量流体装置の微細製造はすでに論じされている(たとえば、Jacobsonら、1994年;Effenhauserら、1994年;Harrisonら、1993年;Effechauserら、1993年;Manzら、1992年;および米国特許第5,904,824号)。通常、これらの方法は、シリカ、シリコン、または他の結晶基板またはチップ上にミクロンスケールの管路をフォトリソグラフィックエッチングすることを含み、本発明で使用できるように容易に適合させることができる。いくつかの態様では、本明細書で説明する射出成形技術を用いて、装置の本体の製造に関して説明したのと同じ重合材料からキャピラリアレイを製造することができる。
【0070】
Tsudaら(1990年)は、円筒形のキャピラリガラスチューブに代わる矩形のキャピラリについて説明している。このようなシステムの利点としては、高さ対幅比が大きいため熱放散が効率的であり、したがって、表面対体積比が高く、光学オンカラム検出モードに関する検出感度が高いことが挙げられる。このような平坦な分離管路は、二次元分離を行うのを可能にし、すなわち、分離管路を横切って1つの力が加えられ、多管路アレイ検出器を用いることによって試料ゾーンが検出される。
【0071】
多くのキャピラリ電気泳動法では、キャピラリ、たとえば、石英ガラスキャピラリや平面基板にエッチング、切削、または成形されたチャネルに適切な分離/ふるい分けマトリックスが充填される。通常、当技術分野では、微細キャピラリアレイに用いることのできる様々なふるい分けマトリックスが知られている。このようなマトリックスの例には、たとえばヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、アガロースなどが含まれる。一般に、特定のゲルマトリックス、使用緩衝液、および泳動条件としては、特定の用途の分離特性、例えば核酸断片のサイズ、必要な分解能、天然核酸分子または非変性核酸分子の存在を最大化するようなものが選択される。たとえば、使用緩衝液には、試料中の核酸を変性する変性剤、尿素などのカオロピック薬剤が含まれる。
【0072】
ポリジメチルアクリルアミドのような、電気浸透流とDNAキャピラリ壁の相互作用を抑制する置換可能なゲルマトリックス(Madabhushi、1998年)を、本発明の電気泳動分離に使用することができる。
【0073】
b.クロマトグラフィ技術
あるいは、クロマトグラフィ技術を本発明のPME蛍光検出システムと組み合わせることができる。液体クロマトグラフィ、HPLC、および逆位相HPLC、正常位相HPLC、アニオン交換、カチオン交換、変性HPLC、サイズ排除またはゲル浸透、疎水性相互作用のような多数の専門技術を含む、多種のクロマトグラフィがある。
【0074】
c.微量流体技術
微量流体技術は、PMEシステムと一緒に流体流に使用することができ、ACLARA BioScieneces Inc.によって構成されたミクロキャピラリやCaliper Technologies Inc.によって製造されたLabChip(商標)「液体集積回路」などのプラットフォームを使用することを含む。遺伝子分析に関与するプロセスのいくつかの小形化は、微量流体装置を用いて実現されている。たとえば、参照として本明細書に組み入れられる、NorthrupおよびWhiteのPCT出願国際公開広報第94/05414号は、標本から得た核酸を収集し増幅する集積マイクロPCR(商標)装置を報告している。Wildingらの米国特許第5,304,487号およびKrickaらの米国特許第5,296,375号は、試料を含む細胞を収集する装置について論じている。米国特許第5,856,174号は、核酸分析に伴う様々な処理および分析工程を組み合わせる装置を記載しており、参照として本明細書に組み入れられている。
【0075】
d.チップ技術
本発明者らがPMEシステムと組み合わせるものとして具体的に考えているのはチップベースのDNA技術である。このような技術には、多数の遺伝子を高速にかつ正確に分析する定量的方法が含まれる。
【0076】
本発明に使用できるチップベースの技術には、オリゴヌクレオチドが蛍光ジデオキシヌクレオチドと一緒に伸長され、自動化蛍光DNAシーケンサを用いて検出される、米国特許第6,153,379号およびShumakerら(1996年)に記載されている技術が含まれる。オリゴヌクレオチドの長さは、既知の突然変異部位を識別し、ddNTPの蛍光放出は突然変異を識別する。オリゴヌクレオチドを分析する他の方法には、オリゴヌクレオチドアレイにアニールされたテンプレートDNAを使用することが含まれる。この分析はPhosphor Imagerおよびα-32P標識を用いて行われる。Kurgら(2000年)は、DNAチップおよびテンプレートの作製、アレイ上での多重プライマーの伸長、蛍光撮像、およびデータ分析を含む集積システムについて説明している。この方法は、テンプレート依存DNAポリメラーゼ伸長反応用の部位を推進する固定化されたプライマーに、4つの独自の蛍光標識ジデオキシヌクレオチドを用いてDNAをアニールすることを含む。変異はプライマー部位のカラーコードの変化により検出される。
【0077】
Motorola BioChip Systemsは、融通性に富んだ含有物構造から成る三次元ゲルパッドフォーマットを中心とするアレイ技術を含むIベースのSNPシステムを有する。
【0078】
SEQUENOMによって開発されたMassARRAYシステム(米国特許第5,547,835号、第6,238,871号、および第6,235,478号)は、酵素学、生物情報学、および小形化されたチップベースの使い捨て計器を質量分析検出と一緒に用いてハイスループットSNP分析を行うことのできるプラットフォームを有している。MassARRAY技術を使用し、MALDITOF質量分析計を用いて遺伝子型を区別することができる。遺伝子変異体に関連する各DNA断片は、同時に分離され検出され、SNPおよび他の形態の遺伝子変異に直接関連する標的DNAが測定される。
【0079】
f.ビーズ技術
PMEシステムは、結合されたDNAセグメントまたはRNAセグメントを含むミクロビーズと組み合わせることができる。このようなビーズは、生体分子のビーズへの結合を容易にするビオチン、末端アミン、タンパク質などの物質で被覆することができる。ミクロビーズは、たとえば微量流体システムまたは電気泳動システムおよびPME検出と一緒に使用することができる。ビーズは多孔性または固体であってよく、ポリスチレンやアガロースなどのポリマーで作ることができ、Dynalから得られるような磁気分子を任意に含んでよく、したがって、磁気分離技術に使用することができる。ビーズは多孔性であってもよく、それによって結合のための表面積を大きくすることができる。磁気ビーズは、ポリマービーズと同様に使用される。しかし、このビーズは、高速にかつ簡単に分離を行うのに使用できるFe2O3やFe3O2などの磁気源を含む。
【0080】
VIII.連続蛍光監視
マルチキャピラリアレイまたは直接アッセイ法から導かれた他のフォーマット用の微小な蛍光信号を取り込むために、連続監視システムの高デューティサイクルは、走査システムに勝る顕著な利点を有している。さらに、連続システムは、磨耗、損傷、または位置ずれを起こす可動機械的段がないなど、システムの機械的動作を簡略化するという他の利点を有している。このようなシステムは、レーザ光パワーをより効率的に使用し、光退色条件の下でより優れた蛍光励起動作を可能にする。基本的に、蛍光信号を連続的に監視する2つの既知の方法、すなわち、オンカラム検出とポストカラム検出がある。どちらの方法も、キャピラリ電気泳動を用いたDNA配列決定用途に本発明のPME技術と一緒に使用することができる。
【0081】
a.オンカラム検出
最初のオンカラム検出方式としては、シングルキャピラリシステムを用いた方式が発表されている(Luckeyら、1990年;Swerdlowら、1990年;Drossmanら、1990年;Cohenら、1990年)。1990年に、Smithグループは、マルチラインアルゴンイオンレーザ(488nmおよび514.5nm)を用いて単一のキャピラリを照射する最初の4色オンカラムシステムについて説明した。FAM色素、JOE色素、TAMRA色素、およびROX色素標識配列決定反応から放出された蛍光が、励起源に直交するように1組のビームスプリッタを用いて集光され、放出された蛍光は、1組の4つのPMT検出器に向けられた(Luckeyら、1990年)。Kargerらは、CCDカメラ(Sweedlerら、1991年)を用いて、4色配列決定反応の蛍光から得られた約500nmから650nmの範囲の発光波長を検出する最初のオンカラムスペクトル分散システムについて説明した。Smithの構成と同様に、蛍光は励起経路に垂直に集光されたが、Kargerらは、FAM色素標識反応、JOE色素標識反応、TAMRA色素標識反応、およびROX色素標識反応の発光特性に対応する4標的領域の固有の特徴と、読出し速度を向上させ読出し雑音を低減させるための標的領域内の画素のビン詰めについて説明している(Kargerら、1991年)。
【0082】
最初のキャピラリアレイ装置は、修正されたDuPont GENESIS 2000 DNA配列決定計器(Probe ら、1987年)であり、スラブゲルが12キャピラリアレイで置換された(Zagurskyら、1990年)。アルゴンイオンレーザ光線(単一線488nm)がキャピラリを横切って走査され、蛍光が、510nmおよび540nm分解2PMT検出器方式を用いて検出された。Mathiesグループは、信号対雑音比を向上させることができ、モータによって駆動される並進段を用いて24本キャピラリアレイを横切って往復走査する共焦点蛍光システムについて説明している(Huangら、1992年)。蛍光は、アルゴンイオンレーザ(488nm)励起源に対して1800の形状を用いて共焦点検出によって集光された。最初、2PMT検出器システムと2色素バイナリ符号化法との組合せを、FAM色素反応とJOE色素反応のそれぞれの異なるモルフラクション組合せと一緒に使用して、4末端反応セットが識別された(Huangら、1992年)。最近、Mathiesグループは、蛍光放出をいくつかの異なるダイクロイックビームスプリッタを通して4つのPMT検出器に送る4色共焦点走査検出システムを開発した(Kheterpalら、1996年)。ここに記載された4色共焦点走査システムは、市販の96本キャピラリMegaBACE1000計器(Molecular Dynamics)のコア技術を表している。より最近では、Rikenグループが、アルゴンイオンレーザを走査モードで使用し、蛍光放出信号を、専用のPMT検出器に結合された4つの異なるバンド通過フィルタに分割する384本キャピラリDNAシーケンサについて説明している(Shibataら、2000年)。機械的走査システムは、アレイ内の各キャピラリを一様に照射するが、一般に、破損、位置ずれ、デューティサイクルが低いこと、場合によってはレーザパワーレベルを上げることによるデューティサイクル補償によって光退色が起こることなどによる問題がある。
【0083】
直接キャピラリアレイを通過するいくつかの側面入射照射方式は、主としてキャピラリ境界におけるレーザ光線の反射および屈折のために、シングルキャピラリからアレイシステムにスケーリングするうえで問題がある。Yeungグループは、アルゴンイオンレーザを介して結合された個々の光ファイバが直接キャピラリチューブの端部に挿入される、軸方向光線照射およびCCD検出を用いた10本キャピラリシステムについて説明した(Taylorら、1993年)。しかし、光ファイバが別々のキャピラリに進入すると、電気浸透流が影響を受け、汚染および詰まりの可能性が高くなった(Luら、1995年)。このグループは、アレイを全体にわたって合焦させられたレーザ光のラインによって平凸円筒状レンズを用いて100本キャピラリアレイを照射することについて説明している(Uenoら、1994年)が、この構成は、各キャピラリを照射するのにレーザパワーの5%未満しか使用せず非効率的であった。QuesadaおよびZhang(1996年)は、直交形状として構成され、CCDカメラを用いてスペクトルグラフを通して撮像される個々の光ファイバを用いることによってアルゴンイオン照射および蛍光検出が行われる8本キャピラリプロトタイプについて説明した。しかし、初期の個々の光ファイバ構成に対するスケーリングは、必要なレーザパワーが高く、光学接合コネクタが大形であり、光学接合コネクタと各キャピラリチューブが不規則に揃えられることによって問題があることが報告されている(Quesadaら、1998年)。
【0084】
屈折によるレーザ照射の損失に対処するために、2つの独立のグループが、キャピラリ表面における屈折されたレーザ光を最適化された光学条件の下で繰返し合焦させ、導波効果を生じさせることができることを実証した(Quesadaら、1998年、Anazawaら、1996年)。Quesadaら(1998年)は、アルゴンイオンレーザを用いた2方向に照射される導波管システムが、アレイ全体にわたる差が10%未満であり、ほぼ一様な照射が可能な96本キャピラリシステムにスケーリングすることのできる12本キャピラリアレイ全体にわたって良好な照射を示すことを実証した。また、キャピラリアレイの屈折率整合も、アレイ全体にわたるレーザ光屈折または散乱を低減させることが分かっている(Luら、1995年)が、波長照射よりも程度は低い(Quesadaら、1998年)。
【0085】
b.ポストカラム検出
最初のポストカラム検出方式でもシングルキャピラリシステムが記載されている(Swerdlowsら、1990年;Swerdlowsら、1991年)。Dovichiグループは、シースフローキュベットを用いた4色ポストカラム検出システムを初めて報告した(Swerdlowsら、1990年)。Dovichiグループは、Smithグループが説明した研究に基づく4スペクトルチャネルシステムを用いたシースフロー概念(Luckeyら、1990年)と、Proberらが説明した研究に基づく2スペクトルチャネルシステムを用いたシースフロー概念を実証している。ビームスプリッタ構成とは異なり、アルゴンイオンレーザ(488nm)と緑色He-Ne-レーザ(543.5nm)との間で励起源を交互に切り換えるセクタホィールに同期させられる4つの特定のバンド通過フィルタを含む回転ホィールを用いて4スペクトルチャネルが識別された。フィルタホィールを適切に配向させることによって、FAM色素、JOE色素、TAMRA色素、およびROX色素標識配列決定反応の特定の発光波長が単一のPMT検出器に向けられた。2スペクトルチャネル2強度システムは、限られた分光分解能を有する4つの異なるスクシヒンルフルオレセイン色素標識反応を、単一のアルゴンイオンレーザ(488nm)を用いて励起する。510nmおよび540nmを中心とする放出蛍光は、単一のダイクロイックミラーを用いて独特の方法で分割され、2つのPMT検出器によって検出された。ヌクレオチド配列の決定は、基準線補正ピーク強度の比を求めることによって行われた(Proberら、1987年)。
【0086】
ポストカラムシースフロー手法は、キャピラリ表面における励起光散乱がなくなり、すべてのキャピラリトラックが同時に照射されるという利点を有する。KambaraおよびTakahashiは、He-Neレーザ(594nm)と単一色テキサスレッド(ROX)標識DNA配列決定反応を用いた最初の多重シースフローキャピラリアレイシステムについて説明した(Kambaraら、1993年)。このシステムは後に、アルゴンイオンレーザ(488nm)とYAGレーザ(532nm)の両方からの組み合わされた励起線を用いてFAM色素標識反応、JOE色素標識反応、TAMRA色素標識反応、およびROX色素標識反応を同時に照射する4色システムにスケーリングされた。蛍光は、画像分割プリズムを用いて分散させられ、4つの異なる光フィルタを通過し、冷却されたCCDカメラを用いて二次元線画像として検出された(Takahashiら、1994年)。ここに記載されたHitachiの技術は、市販の96本キャピラリ3700DNAシーケンサ計器のコア技術を表している(Applied Biosystems)。
【0087】
ポストカラム検出に対するシースフロー手法の他の適用は、標識された粒子の蛍光検出がキャピラリ電気泳動に関して行われる米国特許第6,139,800号に記載されている。複数の波長源が標識された粒子を励起し、複数の波長識別検出器が試料の発光を検出する。
【0088】
キャピラリアレイシースフローキュベットでは、キュベットホルダ内のキャピラリ同士の間隔を一様に設定することによって実現することのできる流体力学的合焦に注意を払う必要がある。Dovichiグループは、2つのシースフローキュベット、すなわち、5本のキャピラリを互いに圧搾させるように先細りになっている矩形キュベット(Zhangら、1999年)と、16個の個々のキャピラリを揃えるように一様な間隔を置いてエッチングされた溝を有する微細機械加工されたキュベット(Crabtreeら、2000年)について説明した。2つの構成のうちで、後者の方がより確実に96本キャピラリアレイにスケーリングすることができる。
【0089】
IX.高感度および低背景散乱光の達成
1990年に、いくつかのグループが、CEシステムに関する10-19モルに対応する検出値の限界について報告した。これは、開放されたキャピラリ内を連続的に流れるフルオレセインの10-11M溶液を用いて行われた(Swerdlowら、1990年;Drossmanら、1990年)。しかし、これらのシステムは、10-20モルの検出限界が報告されているシースフロー検出器システムよりも概ね10倍感度が低かった(Swerdlowら、1900年;Kambaraら、1993年)。最近Dovichiグループが説明したこのシースフローシステムは、ガイガーカウンティングモードで動作するAPDと組み合わされ、130±30フルオレセイン分子の検出限界を示した(Zhangら、1999年)。
【0090】
生成される蛍光カウントの数は、2つの係数、すなわち(i)生成される蛍光光子の数と(ii)全体的なカウンティング効率との積である。生成される蛍光光子の数は次式によって与えられる。

上式で、Nは励起されている色素分子の数であり、Pはレーザパワー(J/s)であり、σは吸収断面積(cm2)である。Aはレーザ光線の面積であり、hνは励起光子(J)のエネルギーであり、QYは蛍光の量子収量であり、tは観測時間(s)である。全体的なカウンティング効率は次式によって与えられる。

上式で、SAは蛍光集光の立体角(ステラジアン単位)であり、QEは検出器の量子効率である。断面積が3.8×10-16cm2(ε=100,000リットル/(モル-cm))であり、励起の波長が600nmであり、QYは1であり、開口数は1であり、量子効率が0.8であると仮定すると、次式が成立する。

【0091】
本発明のPMEシステムは、クローニングやPCR増幅なしにゲノムDNAから直接SNPを分析するDNA配列決定装置として有用である。血液1cm3当たり106個の白血球があると仮定すると、レーザパワー1mWおよび面積1cm2による、溶液を濃縮しない、血液1mlの1回のSNP検査では、1秒で73,000カウントが予想される。溶液を濃縮すると、Nは小さくならずAが小さくなる。したがって、配列決定アッセイ法に取り込まれていない色素がないと仮定すると、電気泳動や大きな尺度なしに容易に検出可能な信号がある。レーザを合焦させるとNが小さくなるが、同時に、開口数を維持できる(焦点ずれ限界)か、または色素が2光子吸収効果によって破壊されない(厳密合焦限界)かぎり信号が合焦に依存しないように同じ係数だけAが小さくなること留意されたい。
【0092】
この状況は、いくつかのSNPを同時に判定する際にはいくらか異なる。様々な断片を分離するには電気泳動が必要になる。通常、サンガー配列決定法では、3700DNA配列決定計器に10μLから30μLの試料が導入されるが、キャピラリに実際に導入されるのは約10nLに過ぎない。このため、Nが約係数1000から3000失われ、〜100から300になる。しかし、シースフロー手法(Anazawaら、1996年、Zhangら、1999年)を用いた場合、50μm IDキャピラリから得られる色素でタグ付けされた断片は、シリンダを長さ約2mmおよび恐らく直径100μmにわたって占有する。この断面積Aは2×10-3cm2であり、1sカウンティング間隔のカウント数は次式で表される。

【0093】
この計算は、50μmキャピラリから得られた130個のフルオレセイン分子を0.2秒カウンティング時間で検出できたというZhangらの報告(1999年)に整合する。1μL試料を使用する低体積法を考案することによって上述の損耗係数3000を恐らく100に低減させることが可能である。
【0094】
したがって、連続照射機能およびシースフロー検出機能を使用する極めて効率的な検出装置に結合された複数の小形固体レーザおよびレーザダイオードを利用するキャピラリ電気泳動システムは本発明の好ましい態様である。このような集積技術は、PME技術の応用に適しており、直接検出アッセイ法に関する十分な実現可能性を有する。
【0095】
X.一塩基遺伝子多型(SNP)
有機体のゲノムの進化中に生じる散発的な突然変異は、種のすべての成員にわたってただちに伝達されるわけではなく、したがって、種と共存する多型性の対立遺伝子が発生することが多い。多型は遺伝子病の原因となることが多い。多型のいくつかの種類が識別されている。たとえば、可変ヌクレオチドタンデム反復(VNTR)は多型性であり、ヌクレオチドのジヌクレオチドまたはトリヌクレオチド反復モチーフの散発的なタンデム複製によって生じる。このような変異により、制限酵素切断によって生成されるDNA断片の長さが変わる場合、この変異は制限断片長多型(RFLP)と呼ばれる。RFLPは、ヒトおよび動物の遺伝子分析ならびに法医学および親子鑑定に広く使用されている。
【0096】
他の種類の多型は、単一ヌクレオチドを置き換えることによって発生する。このような一塩基遺伝子多型(SNP)によって制限酵素部位が変化することはほとんどない。SNPは、最も一般的な遺伝子変異であり300塩基〜1000塩基ごとに起こり、いくつかのSNP突然変異は、実際に遺伝子病を発生させるのに十分なようにタンパク質コード遺伝子内の単一ヌクレオチドに影響を与えることが判明している。SNP病の例には、血友病、鎌状赤血球貧血、遺伝性ヘモクロマトーシス、遅発型アルツハイマー病がある。
【0097】
SNPは、欠失、点突然変異、および挿入の結果である可能性があり、一般に、あらゆる単一塩基変化は、原因にかかわらず、SNPを生じさせる可能性がある。SNPの頻度が高いことは、、SNPが他の種類の多型よりも容易に識別できることを意味する。SNPの分布の一様性が高いほど、SNPを関心対象の特定の形質に対して「より厳密に」同定することができる。この2つの属性の組み合わされた効果のため、SNPは極めて重要である。たとえば、特定の形質が特定の遺伝子座における突然変異を反映する場合、特定の遺伝子座に結合された多型を用いて、個人がその形質を示す確率を予想することができる。
【0098】
多型性をスクリーニングするためにPME技術と組み合わせることのできるいくつかの方法が開発されており、いくつかの非制限的な例が以下に列挙されている。このような方法には、ある部位の直接的または間接的な配列決定、部位のそれぞれの対立遺伝子が制限部位を形成または破壊する制限酵素の使用、対立遺伝子に特有のハイブリダイゼーションプローブの使用、多型性のそれぞれの異なる対立遺伝子によってコードされたタンパク質に特有の抗体の使用、または他の生化学的解釈が含まれる。
【0099】
a.DNA配列決定
従来、DNA配列決定は、DNAポリメラーゼを用いた2',3'-ジデオキシヌクレオチド(ddNTP)の取り込みによるDNA合成の鎖終結を含む、「サンガー法」(Sanger, F.ら、1975年)とも呼ばれる「ジデオキシ媒介鎖終結法」によって行われている。この反応は、DNA合成によってDNA鎖を伸長させる天然2'-ジデオキシヌクレオチド(dNTP)も含んでいる。したがって、鎖伸長と鎖終結との適切に均衡のとれた競合によって、数千個の塩基にわたって一様に分散され、それぞれのサイズが塩基対分だけ異なる1組の入れ子にされたDNA断片が生成される。電気泳動を用いて、入れ子にされた1組のDNA断片がそのそれぞれのサイズによって分解される。次いで、各断片は、PME技術を用いてそれぞれの励起波長で励起された後にそれぞれの発光波長で蛍光を発する4つの異なるフルオロフォアがDNAの4つの塩基(すなわち、A、C、G、およびT)にすでに付着していることによって検出される。このDNAシーケンサは、シングルカラム4本キャピラリ、8本キャピラリ、16本キャピラリ、48本キャピラリ、96本キャピラリ、または384本キャピラリ装置のスループット能力を有する電気泳動システムに基づく装置であってよく、また高密度チップアレイを含む他の分離プラットフォームと一体化してもよい。
【0100】
PME技術と一緒に使用できる同様の方法には、「マクザム-ギルバート法」(Maxam, A.M.ら、1977年)とも呼ばれる「化学分解法」が含まれる。配列決定と、ポリメラーゼ連鎖反応のようなゲノム配列固有の増幅技術との組合せを用いて、所望の遺伝子の回復を容易にすることができる(Mullis, K.ら、1986年;欧州特許出願第50,424号、欧州特許出願第84,796号、欧州特許出願第258,017号、欧州特許出願第237,362号、欧州特許出願第201,184号、米国特許第4,683,202号、米国特許第4,582,788号、および米国特許第4,683,194号)。
【0101】
b.SNP検出のためのプライマー伸長法
複数のSNPを検出するための好ましいアッセイ法は、一塩基取込みアッセイ法およびプライマー誘導ヌクレオチド取込みアッセイ法とも呼ばれる一塩基プライマー伸長法である。これらの方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅されるかまたは標準的な分子生物学技術を用いてクローニングされた遺伝子領域または関心対象の標的に対して相補的な同一のオリゴヌクレオチド配列の特定のハイブリダイゼーションに依存する(Sambrookら、1989年)。しかし、サンガー反応とは異なり、プライマー伸長法は、すべて、単一ヌクレオチドが取り込まれた後で適切な条件下でDNA合成を鎖終結させることができる単一非標識dNTP、単一標識dNTP、単一3'-修飾dNTP、単一塩基修飾3'-dNTP、または単一アルファ-チオ-dNTP、あるいはddNTPの混合物を用いて検定される(参照として本明細書に組み込まれる米国特許第4,656,127号、第5,846,710号、第5,888,819号、第6,004,744号、第6,013,431号、第6,153,379号)。本明細書において、2'-三リン酸デオキシヌクレオシド、2'-三リン酸デオキシリボヌクレオシド、dNTP、2'-デオキシヌクレオチド、2'-デオキシリボヌクレオチド、ヌクレオチド、または天然ヌクレオチドという用語は、同義語として使用されており、本特許文書では交換可能に使用される。
【0102】
1.単一非標識dNTPの使用
ピロ配列決定と呼ばれる方法は、1つだけ追加された非標識dNTPを使用し、一塩基添加の開始-停止DNA合成の反復循環法に基づく方法である。ピロ配列決定は、ミニ配列決定技術であり、検出モードとして、ルシフェラーゼによって光を生成する多酵素カスケードに依存する(Nyrenら、1993年;Ronaghiら、1998年)。5'-ビオチン基を含むPCR増幅されたDNA断片は、ストレプトアビジンで被覆されたDNA断片上に固定化される。非標識ヌクレオチド取込み事象は、無機ピロリン酸を放出し、その後、プライマー伸長段階に続いて光を放出することによって監視される。配列決定は循環DNA配列決定方式であるので、5'-位置のすぐ隣にオリゴヌクレオチドを配置することは必ずしも必要ではなく、プライマーは、この方法の配列決定読取り長内、通常20塩基以内に配置することができる。配列決定技術に伴う主要な欠点は、この方法の感度が低く、試薬、特に酵素のコストが高く、ホモポリマー反復(すなわち、AAAAA)による配列が困難であり、「GC」を含有する領域が多いことである。
【0103】
2.単一標識dNTPの使用
プライマーを一塩基位置を越えた位置まで伸長させるピロ配列決定とは異なり、放射性タグ、非放射性タグ、または蛍光タグで標識された単一ヌクレオチドを用いた一塩基取込みアッセイ法を、他の調査者が報告している(Sokolov、1990年;Syvanenら、1990年;Kuppuswamyら、1991年;PrezantおよびGhodsian、1992年)。これらの方式では、オリゴヌクレオチドの位置は、調査中の一塩基突然変異部位の5'-位置のすぐ隣である。Sokolovは、α32P-dCTPおよびα32P-dGTPを用いた膵嚢胞性遺伝子における既知の配列の一塩基配列の特定の取込みおよび正しい同定を示した(Sokolov、1990年)。他の報告には、膵嚢胞性遺伝子のおけるΔ508突然変異および第IX因子遺伝子(血友病B)のエキソン8の点突然変異の検出に関する同様の手法が記載されている(Kuppuswamyら、1991年)。特定の標的領域がPCR増幅された後、調査中の突然変異の5'-位置のすぐ隣にハイブライダイズされている特定のオリゴヌクレオチドが、単一α32P-dNTPを用いて1ヌクレオチド分伸長された。さらに、3H-標識dTTP、α32P-標識dCTP、またはジゴキシゲニン-11-dUTPのそれぞれの異なる組合せを用いる、SNP検出のための二重標識方式が報告されている。アビジンで被覆されたポリスチレンビーズ上にPCR増幅された断片が固定化された後、一塩基伸長アッセイ法が実行され、3H放射線および32P放射線に対してそれぞれの異なるウィンドウ設定を有する液体シンチレーションカウンタを用いるか、またはアルカリ性ホスフォターゼアッセイ法を比色定量的に用いて、取り込まれたヌクレオチドが検出された(Syvanenら、1990年)。ストレプトアビジン磁気ビーズ上に固定化されたビオチン標識プライマーとα32P-標識dNTPとを用いた捕捉オリゴヌクレオチドヌクレオチド取込み(Trapped-Oligonucleotide Nucleotide Incorporation、TONI)と呼ばれる同様の方法は、ミトコンドリア多型およびそれぞれの異なるヘモグロビン遺伝子型の遺伝子スクリーニングに関して記載されている(PrezantおよびGhodsian、1992)。
【0104】
3.単一3'-修飾dNTPの使用
Metzkerらは、ミニ配列決定技術であり、3'-O-修飾ヌクレオチドを取り込み、取り込んだヌクレオチドを検出し、3'-O-修飾ヌクレオチドを脱保護して3'-OH基質を生成し、DNA合成の次のサイクルに備える反復的なサイクルによる段階的な一塩基配列決定を含む塩基付加配列決定方式(BASS)を提案した(Metzkerら、1994年)。8つの異なる3'-O-修飾dNTPが合成され、様々なDNAポリメラーゼによって取込み活性が試験された。3'-O-(2-ニトロベンジル)-dATPは、UV感受性ヌクレオチドであり、いくつかの熱安定なDNAポリメラーゼによって取り込まれることが分かっている。3'-保護基の塩基に特有の終結および効率的な光分解除去が実証された。脱保護の後、DNA合成は、DNAに天然ヌクレオチドを取り込むことによって再開された。この反応活性ターミネータの同定および1サイクル開始-停止DNA合成の実証によって、新規の配列決定方式の開発における初期段階が識別された。しかし、BASSを用いたSNP検出の主要な問題は、除去可能な保護基によって所望の終結特性を与える新規の3'-修飾ヌクレオチドの合成および同定が継続されることである。
【0105】
4.単一塩基-修飾3'-dNTPの使用
KormerおよびLivak(1989年)は、PCR増幅されたDNA試料に移動度シフト修飾-dNTPを取り込む(すなわち、ビオチン基またはフルオレセイン基を塩基に付着させる)ことによる他の方法について説明した。SNPは、DNA断片に取り込まれた修飾ヌクレオチドに相当する「比較的低速に」移動するバンドを観測することによってゲル電気泳動を変性させることによって同定される。
【0106】
5.単一アルファ-チオ-dNTPの使用
多型性部位に存在するヌクレオチドを同定するのに用いることのできる他の方法は、エキソヌクレアーゼ切断に抵抗する修飾アルファ-チオ-dNTPを利用する(米国特許第4,656,127号)。補標的領域と同一の配列を有するオリゴヌクレオチドは、調査中の一塩基突然変異部位の5'-位置のすぐ隣に位置する。DNA上の多型性部位が、存在する特定の耐エキソヌクレアーゼヌクレオチド誘導体と相補的なヌクレオチドを含む場合、その誘導体は、ポリメラーゼによって取り込まれ、オリゴヌクレオチドを塩基1つ分伸長させる。このような取込みによって、プライマーはエキソヌクレアーゼ切断に抵抗し、それによって、プライマーを検出することができる。耐エキソヌクリアーゼヌクレオチド誘導体が同定されると、DNAの多型性位置に存在する特定のヌクレオチドを判定することができる。
【0107】
6.単一標識2',3'-ジデオキシヌクレオチドの使用
いくつかのグループが、標識2',3'-ジデオキシヌクレオチドを用いて、オートラジオグラフィ、比色定量、または蛍光によって検出される関心対象の所与のSNPを特異的に検定する一塩基取込みアッセイ法の方法を報告している(LeeおよAnvret、1991年;LivakおよびHainer、1994年;Nikiforovら、1994年;Shumakerら、1996年)。すべてのこれらの方法は、患者材料から得たゲノムDNAを増幅するうえでPCRに依存し、それぞれの異なる遺伝子における特定の既知の突然変異に的を絞るうえでオリゴヌクレオチド配列の慎重な構成に依存する。ジデオキシヌクレオチドが取り込まれたDNA断片の分離は、電気泳動によって行う(LeeおよびAnvret、1991年;LivakおよびHainer、1994年;Nikiforovら、1994年;Shumakerら、1996年)ことも、高密度アレイチップフォーマットを用いることによって行う(Shumakerら、1996年)こともできる。
【0108】
7.ゲノムDNAからの直接検出
本発明の一局面は、クローニングやPCR増幅なしにゲノムDNAから直接SNPを分析するDNA配列決定装置を開発することである。本発明は、従来のPCRまたはクローニング段階に依存する、SNP検出に関するすでに発表されている方法に伴う問題を解消する。これらの段階は場合によっては、試料の取扱いにおいてエラーを生じさせ、外因性の汚染をもたらし、試薬コストおよび人件費を著しく増大させ、臨床または医療環境へのハイスループットSNP検出の導入を著しく抑制する。PME技術は、簡単であるため、既に発表されている他のシステムでは著しく制限されている多数のSNPの同時多重化を大幅に増大させることができる。たとえば、本明細書で識別されている4個、8個、12個、および16個の異なるフルオロフォアを適切なリボヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2',3'-ジデオキシ-ヌクレオチド、2',3'-不飽和-dNTP、および/または他の修飾されたヌクレオチドに結合することができる。
【0109】
さらに、このアッセイ法は、多重化し、ハイスループット電気泳動システムと組み合わせることができ、この構成では、このアッセイ法は、2,000〜4,000個の独立のSNPを約30〜60分で分析することができる。多重化は、特定のプライマーの長さを2塩基〜3塩基ずつ変え、SNPアッセイ法で検出されるフルオロフォアの数を増やすことによって行われる。すべて長さの異なる、20個から100個、より具体的には30個から50個のプライマーを、一塩基プライマー伸長アッセイ法で検定することができ、すなわち、電気泳動によって分解し、単一のキャピラリ内でPMEによって検出することができる。最も長いプライマー配列は一般に、長さが100塩基を超えるので、短い分離時間が期待される。SNP特有のプライマーを高密度チップフォーマットで配列することもでき、したがって電気泳動が不要になることに留意されたい。DNAシーケンサは96本キャピラリを増やすことにより拡張される。
【0110】
c.超並列的遺伝子ビーズクローン解析法(Massively Parallel Signature Sequencing;MPSS)方式
Brennerら(2000年)は最近、269,000個を超える長さが16〜20塩基のシグネチャの配列に対するタイプII制限消化/ライゲーション/ハイブリダイゼーションを伴うもう一つの循環プロセスである超並列的遺伝子ビーズクローン解析法(MPSS)方式におけるデータを発表した(Brennerら、2000年)。MPSSの主要な欠点は効率が低いことであり、ベースコーリングアルゴリズムを適用した後シグネチャ配列をもたらすのは開始DNAテンプレートの25%に過ぎない。
【0111】
d.リガーゼ連鎖反応(LCR)
LCRも、変性およびアニール/ライゲーション段階の反復サイクルによって関心対象の短いDNA領域を増幅する(Barany、1991年)。LCRは、標的DNAの1つの鎖に特異的にハイブリダイズする2つの互いに隣接するプライマーと、向かい合う鎖にハイブリダイズする1組の互いに隣接する補プライマーの、4つのプライマーを利用する。LCRプライマーは、熱安定リガーゼ(Barany、1991年)が上流側プライマーの3'末端ヒドロキシル基を下流側プライマーの5'末端リン酸基に接合できるように5'末端リン酸基を含まなければならない。互いに隣接するプライマーが首尾よく連結されると、それが次にLCRテンプレートとして働き、標的領域を指数関数的に増幅することができる。LCRは、上流側プライマーの3'末端において一塩基不一致が起こると、ライゲーションおよび増幅が行われず、したがって、このプライマーが正しい塩基と区別される。特定のLCRを明確に識別できるようにすべてのLCRプライマーをそれぞれの異なる蛍光色素で標識することができる。LCRは一般に定量的な方法ではないが、リガーゼ検出反応と呼ばれる、1組の互いに隣接するプライマーを用いた線形増幅は、定量的に行うことができる。線形ライゲーションとPCRの組合せを、野生型特有のプライマーと変異型特有のプライマーの両方を別々の反応に用いてSNPを識別する突然変異検出システムとして使用することもできる。
【0112】
e.オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ法(OLA)
オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ法は当初、上流側プライマーに付着させた5'末端ビオチン基と、下流側プライマーに付着させた標識とを用いて、クローニングされた材料と臨床材料の両方からSNPを検出するアッセイ法として報告された(Landegrenら、1988年)。対立遺伝子特有のハイブリダイゼーションとライゲーションを、ストレプトアビジンで被覆された固体支持体に固定化することによって分離し、ゲル電気泳動分析の必要なしに適切な条件で直接撮像することができる。その後、Nickersonらは、いくつかの一般的な遺伝子病を診断する自動化PCR/OLA法について説明している。PCR増幅に続いて、上流側5'末端ビオチン標識プライマーとジゴキシゲニン標識下流側プライマーが、適切な特定のアニール条件の下で連結され、ストレプトアビジンで被覆されたマイクロタイタープレート上に捕捉され、アルカリ性リン酸アッセイ法によって比色定量的に検出される(Nickersonら、1990年)。
【0113】
f.リガーゼ/ポリメラーゼ媒介遺伝子ビット分析
米国特許第5,952,174号は、標的分子の互いに隣接する配列にハイブリダイズすることのできる2つのプライマーも必要とする方法を記載している。ハイブリダイゼーション産物は、標的が固定化された固体支持体上に形成される。本明細書において、ハイブリダイゼーションは、プライマーが単一ヌクレオチドの空間によって互いに分離されるように行われる。このハイブリダイゼーション産物をポリメラーゼ、リガーゼ、少なくとも1つの三リン酸デオキシヌクレオシドを含む三リン酸ヌクレオシドの存在下で培養すると、任意の一対の互いに隣接するハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを連結することができる。リガーゼを付加すると、信号を生成するのに必要な2つの事象、すなわち生成物の伸長とライゲーションが起こる。これによって、伸長またはライゲーションを単独で使用する方法と比べて特異性が高くなり、かつ「雑音」が低減され、ポリメラーゼベースのアッセイ法と異なり、この方法は、信号を固体相に付着させられるようにする第2のハイブリダイゼーション段階およびライゲーション段階と組み合わされることによってポリメラーゼ段階の特異性を高める。
【0114】
XI.データ取得および分析
レーザの切換えおよびデータの収集を含むPMEシステムは、統合されたハードウェア/ソフトウェア構造内でコンピュータによって制御される。たとえば、PCIバスデータ取得およびコントローラカード、ならびにNational Instrumentsから市販されているLabView(商標)ソフトウェアを使用することによって、クロスプラットフォームバーサティリティが実現される。LabViewによって実現されるグラフィック指向取得分析環境によって、このシステムは実験所用途に広く採用することができる。(i)TTLクロックチップが各サイクルの基本的な4つのサブサイクル(レーザ1から4のシリアルパルス出力)を支配できるようにするトリガ信号を生成する動作と、(ii)散乱光の遮断を制御する動作と、(iii)光検出器から時間積分された信号を取得する動作と、(iv)自動化キャピラリ電気泳動法の様々な動作を制御する動作とを含む、PME配列決定プロトタイプ用のいくつかの動作を実行するソフトウェアプログラムが開発されている。散乱光は、電子コマンドによる液晶チューナブルフィルタ(たとえば、CRI, Inc.から市販されているVariSpec)を用いて4つのレーザのそれぞれに異なるエッジブロックを設けることによって制御される。PMTまたはアバランシェフォトダイオードを用いる際、時間積分のために試料は1サブサイクル当たり数回行うべきである。フルスケールマルチチャネルCCD動作の場合、1サブサイクル当たりの読取りは1回だけでよい。これらの異なる動作モードはソフトウェアで容易に処理される。上述のように、本発明の主要な目標は、PCR増幅を不要にする直接的な検出である。これには、読出し雑音が非常に少ない(たとえば、読出し1回当たりの蓄積光子が少ない)分光器グレードのCCDカメラによって得られるような直接的な感度である。
【0115】
さらに、スペクトルマトリックス補正、基準線補正、電気泳動移動度補正、単一ヌクレオチドのベースコーリング、ヘテロ接合体分析のためのピーク高さの定量、それぞれの異なる蛍光標識遺伝子標的プライマーの電気泳動位置および順序による対立遺伝子会合を含む、いくつかのデータ分析段階を実行するソフトウェアプログラムが開発されている。PMEによる励起によって、最もうまく一致するレーザ以外の一致しないレーザパルスにある程度のクロストークを発生させる。前述のように、一致しないレーザのクロストークを最低限に抑えるレーザと色素の組合せを容易に識別することができ、したがって、正しいフルオロフォアの時間相関した励起を識別し、高い信頼度で行うことができる。しかし、一般には、特に一度に複数のフルオロフォアが励起されるSNP分析の場合、ヘテロ接合体塩基対に対処する必要がある。非飽和条件の下では、この場合、レーザiによる照射のために検出される光子の数Niと色素jの分子の数njとの間に線形関係が生じ、

マトリックスαは、周波数iにおけるそれぞれの異なる色素のモル吸光係数、各色素の量子収量、レーザおよび検出システムの効率、ならびに減衰効果を含む因子を暗示的に含んでいる。実際的な観点から、要素αi,jの相対的な大きさが実験によって較正される。色素極大をレーザ色に一致させることによって、マトリックスは斜め方向に優勢になり、数値的な問題なしにマトリックスを反転することができる。αを反転させることによって各色素間のクロストークが除去される。したがって、4色実験による最大コントラストを有する色素分子の相対数を直接得ることが可能である必要がある。これに対する補正は散乱光から得ることができる。簡単な基準線補正は容易に対処されるが、光の変動によって実験にいくらかの雑音が付加される。4つのレーザのいくつかのフルサイクルは各溶出成分中に経過し、信号平均化によって雑音を低減させることができる。同時に、雑音の定量化によって、信号測定に関する信頼レベルを推定するためのリアルタイム診断が実現される。クロストークを厳密に取り扱うと通常、1つの色素の密度が他の色素よりもずっと高くなるので、ベースコールはいずれの場合も信頼度を高くすべきである。ヘテロ接合体が存在する場合、これらの混合された密度を区別するのは簡単である。なぜなら、ヘテロ接合体の場合、2つの色素がより高い(そして概ね等しい)密度を有するからである。
【0116】
本明細書で使用される「タイミングプログラム」という用語は、レーザ発射シーケンスを示すように構成されたソフトウェアまたはハードウェアを含むことを意味する。タイミングプログラムは、蛍光放出信号と相関することのできる、レーザ発射シーケンスから得た情報も含んでいる。
【0117】
本明細書で使用される「励起線」という用語は、一つのスペクトル波長もしくはそれに対応する周波数を有するレーザ光線または他の励起源からの出力を意味する。
【0118】
本明細書で使用される「実質的にすべて」という用語は少なくとも90%を意味する。たとえば、「蛍光信号の実質的にすべて」は、信号の少なくとも90%である。
【0119】
本明細書で使用される「実質的に対応する」という用語は、2つの間の差が5%未満であることを意味する。可視スペクトルにおける波長の差については、これは20〜33nm、より好ましくは10〜20nm、さらに好ましくは5〜10nmの差に相当し、最も好ましくは、色素の吸収極大が励起線の励起波長に「実質的に対応する」とき、2つの波長は5nm未満である。
【0120】
本明細書で使用される「光学的に一致する」という用語は、波長極大が互いに1nm以内であることを意味する。
【0121】
「実質的に共直線性を有する」という用語は、レーザ光線または励起線が互いに対して50未満の角度に発散することを意味する。
【0122】
「実質的に同軸」という用語は、レーザ光線または励起線が互いに対して50未満の角度に発散することを意味する。
【0123】
「移相する」という用語は、同じ周波数の2つの交互に変わる数量間の位相関係をが変化することを意味する。たとえば、(1)レーザ1をオンにした後オフに切り換える動作を3回にわたって繰り返すパルス列と、(2)レーザ2をオンにした後オフに切り換える動作を3回にわたって繰り返すパルス列のような、反復するパルスの2つの列を考える。レーザ1オン、レーザ1オフ、レーザ2オン、レーザ2オフの等しい期間のシーケンスは、パルス列(2)の位相が1800または2分の1サイクルの移相分遅れるパルス列(1)とパルス列(2)の和に相当すると言える。1800の場合、遅れ移相または進み移相は同等であることに留意されたい。
【0124】
本明細書で使用される「オンタイムウィンドウ」という用語は、励起線が試料に入射する時間に対応する時間の領域として定義され、励起線の発射が停止されてから第2の励起線が試料に入射するまでの時間に対応する時間の領域を含む。
【0125】
本明細書では、「a」または「an」は1つまたは複数を意味する場合がある。特許請求の範囲では、「a」または「an」という用語は、「を含む」という用語と一緒に使用されるとき、1つまたは複数を意味する場合がある。本明細書では、「他の」は、少なくとも2番目以上のものを意味する。
【0126】
XII.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために含まれている。当業者には、以下の実施例に開示される技術が、本発明を実施する際にうまく機能することが本発明者らによって発見された技術を表しており、したがって、本発明を実施する好ましい形態を構成するとみなせることを理解されたい。しかし、当業者には、本発明の開示を考慮して、開示された特定の態様に多数の変更を加えることができ、しかも本発明の要旨および範囲から逸脱せずに同じまたは同様な結果が得られることを理解されたい。
【0127】
実施例1
光学系
PMEシステムの概念を試験するために、簡単なブレッドボード装置を組み立て、2つのBODIPYフルオロフォアの混合物から得たそれぞれの異なる蛍光信号の識別の実施可能性を試験した(Metzkerら、1996年)。パルス532nm光線とパルス635nm光線を組み合わせる光路は、図1に実線として概略的に示されている。緑色532nm固体ダイオードポンピング周波数2倍Nd:YAGレーザ(Intelite、ニューヨーク州ミンデン)および外部電位差計を有する赤色635nm SPMTダイオードレーザモジュール(Blue Sky Research、カリフォルニア州サンホセ)から放出されたレーザ光をそれぞれ、2つの市販グレードのアルミニウムステアリングミラー(Edmund Industrial Optics、ニュージャージー州バーリントン)を用いてデュアルプリズムアセンブリに向けた。総透過率を高めることによってプリズム表面における偏光を低減させる単層HEBBAR反射防止材料でプリズムを被覆した。ファインアニールされたF2グレード「A」フリントガラスで高分散正三角柱プリズムを構成し、逆分散によって2本の光線を効率的に重ね合わせて図3の単一の同軸PME光線が得られるように互いに対して450に位置させた。この構成の融通性によって、互いに離散した点光源(図1には図示の都合上5つのレーザが示されている)から放出された8本もの励起線を逆分散方式によって効率的に組み合わせることができる。
【0128】
組み合わされたレーザ光線を、中空のアルミニウム耐光ボックスから成るキュベットアセンブリボックスに向けた。2つの「浮動」調整可能アイリス取付け具(Edmund Industrial Optics)を取り付けて、ボックスに入射する迷光の量を最小限に抑えることによって、このボックスを修正した。円筒形の光学的に正しいガラス(NSG Precision Cells, Inc.、ニューヨーク州ファーミングデール)で10mmキュベットを構成し、2つの黒色デルリンホルダーを取り付けた。280nmから850nmの範囲の良好な感度を有する500KマルチアルカリPMT検出器をキュベットアセンブリボックスに結合した。重畳された励起レーザ光線の伝搬方向に直交する形状の集光レンズを用いてキュベットから直接蛍光を検出した。
【0129】
実施例2
パルス生成システム
機械的チョッピングを含む、複数のパルスをシリアルにパルス出力するいくつかの方法がある。1つの方法は、74174-クロックチップを用いたTTLによって532nm固体レーザおよび635nmダイオードレーザをシリアルにパルス出力させることであった。クロックチップTTL回路の利点は、この回路が、最大で8つの互いに離散した光源をパルス出力させるように構成されているため、簡素で融通性に富んでいることである。これに代わる回路として、TTLバケットブリゲード回路を構築した。これは、この回路が、2つのデュアルJ/Kフリップ/フロップチップを用いて4つのレーザをパルス出力させるという簡単な構成であるからである。TTLクロックチップは基本的に、コンピュータ上のマスタクロックからのタイミングパルスを適切なレーザに分散させる手段を構成する。各クロックパルスを受け取るたびに、チップ出力はQ0からQ1...へと順次1刻みずつシフトし、最後に8番目のクロックパルスのときにQ7になる。各レーザは、1クロックパルスのみに対してオンにされる。総クロック時間は、単にマスタクロック周波数を変化させることによって数10秒からミリ秒まで数オーダー変化させることができる。このことは試験において首尾よく証明されている。各レーザパルスの時速時間は常に互いに同一であり、各パルス間のオフ時間は互いにまったく同じ割合のままであり、したがって、全体的なサイクル時間は単一のパラメータによって変化させることができる。
【0130】
実施例3
2色PME調査の結果および試験
PME手法の実施可能性を判定して各フルオロフォアを蛍光色素の混合物と区別する予備試験を行った。「カラーブラインド」検出の概念を試験するために、蛍光バンド通過フィルタ、レーザ線遮断フィルタ、格子、プリズム、または1つの色素の発光を他の色素の発光と区別するための他の分散要素なしにこの実験を行った。さらに、光増倍管からの生出力を信号平均化や他の種類の処理拡張なしにオシロスコープに直接送った。各レーザを交互に1.2msec間パルス出力させ、赤色レーザをQ0に接続し、緑色レーザをQ3に接続するように構成した(図5)。緑色レーザをQ2に変更すると正しい発射シーケンスが得られ、TTL回路の構成が適切であることが検証された(データは図示されていない)。残りのQ入力はアイドル状態であり、2.4msecのレーザパルス(赤色から緑色)と4.8msecのレーザパルス(緑色から赤色)との間に黒い間隔が生じた。赤色レーザおよび緑色レーザはそれぞれ、5.5mWおよび4mWのパワーを生成した。緑色蛍光の検出器感度の方が赤色蛍光の検出器感度よりも高いのでそれを部分的に相殺するように意図的に異なるパワーを設定した。デジタルカメラによってリアルタイムに写真を撮り、PMTによって電子が倍増するため、蛍光信号を下向き(負方向)に記録した。
【0131】
調べた2つの色素は、狭い吸収/放出バンド幅を有し(Metzkerら、1996年)、したがってカラーブラインドPME検出方式に理想的なBODIPY(523/547)およびBODIPY(630/650)であった。色素をエタノールに溶かして約10-6Mの濃度で分析した。この適度に高い濃度は、信号が、完全に色素溶液から得られ、迷光のような他の光源からは得られないようにし、したがって、コントラスト比の正確な尺度が与えられるように選択した。各色素からの発光は、カラーブラインド法の重要な要素である赤色感応光増倍管に全体的に入射した。
【0132】
図5Aでは、キュベット内のBODIPY色素の等量混合物からオシロスコープトレースを得た。オシロスコープ写真からの2つのチャネルを、赤色レーザをオンにするトリガ信号(上部トレース)と、PMT検出器からの蛍光信号(下部トレース)とを記録するように設定した。蛍光出力を「2本指」のように見えるようにし、平滑な赤色レーザ蛍光と容易に区別できるようにする部分変調を、緑色レーザパルスにかけた。赤色レーザのパルス間蛍光強度に観測された小さな変動は、AC電源の不十分な整流による120Hz漏れによるものであり、電源の実験部分にコンデンサπフィルタを挿入することによって補正することができる。図示のように、赤色レーザを発射させ、次いで緑色レーザを発射させるという順次発射のタイミングによって、溶液中に両方のBODIPY色素が存在するときに有意の蛍光信号が得られた。
【0133】
図5Bは、キュベット内にBODIPY630/650(赤色)のみが存在するときに緑色レーザと赤色レーザのシリアルパルス出力から得た総蛍光信号を示している。大きな蛍光信号は赤色レーザの発射と時間相関しているが、緑色レーザは赤色色素に小さな「クロストーク」信号を与えているに過ぎない。このクロストークの測定値は赤色レーザ信号約4%であり、これは、赤色色素吸収ピークに厳密に一致させたレーザと、BODIPY色素の狭吸収スペクトル特性とを極めて効率的に組み合わせたことによるものである。どちらの点も、共鳴なし緑色レーザの所望の低い励起効率をもたらしている。この結果は、PME手法を用いた同じ色素のレーザ励起間のコントラストが良好であることを明確に示している。赤色励起効率と緑色励起効率との比を求めることができるので、クロストークマトリックスを算出し数学的に適用してずっと高いコントラスト比を得ることができる。
【0134】
図5Cは、キュベット内にBODIPY523/547(緑色)のみが存在するときに赤色レーザと緑色レーザのシリアルパルス出力から得た総蛍光信号を示している。観測された蛍光信号のみが緑色レーザの発射と時間相関し、「2本指」シグナチャを示している。BODIPY630/650の場合と異なり、赤色レーザから観測されたクロストーク信号はこのスケールで無視できるものであり、さらなる信号増幅によって、これは緑色レーザからのクロストーク信号の1%よりもかなり小さいことが分かった。この観測が得られるのは、より長い波長の励起源では短い波長の色素が光子吸収を行わない(すなわち、赤色レーザが緑色色素を励起しない)からである。この特徴は、PME技術を用いることによってフルオロフォアのクロストークが低減されるという重要な利点を示している。青色色素、緑色色素、黄色色素、および赤色色素で構成された4色素システムを考える。青色色素は、緑色レーザ、黄色レーザ、および赤色レーザの順次発射によるクロストークを示してはならない。一方、緑色色素は、青色レーザのみからのクロストークを示し、黄色レーザからのクロストークも赤色レーザからのクロストークも示さない。黄色色素は、青色レーザおよび緑色レーザからのクロストークを示し、赤色レーザからのクロストークを示さない。他の場合も同様である。言い換えれば、所与の色素の吸収/励起極大に対するスペクトルの「青色」部分に対してクロストークは観測されず、このことは、単一励起源を用いて励起された緑色色素、黄色色素、および赤色色素の発光クロストークとは著しく異なる。励起レーザ同士の間の波長距離を長くすることによって、青色の、緑色に対する励起が最小限に抑えられることなどの点でクロストーク効果を著しく低減させることができる(実施例4参照)。
【0135】
すべての蛍光放出を真にカラーブラインド的に検出することによって、PME技術を用いて2つの異なるBODIPY色素を識別する場合、優れたコントラスト比が実証される。あらゆる種類のスペクトルフィルタリング要素を使用せずに実験を構成し、信号平均化やその他の処理なしに信号をリアルタイムにオシロスコープから直接得た。これらのデータは、実験条件を上記のように選択したことによって、散乱レーザ光信号が無視できる有意の蛍光信号が得られたことを示している。したがって、ミリ秒タイムスケールのレーザパルスによって得られたこの平均化されていない生信号について観測された25:1のコントラスト比は、時間相関蛍光検出技術の真の特徴を示している。
【0136】
実施例4
PME用の色素プライマー
DNA配列決定用途用の差異的な1組の4つの蛍光色素を識別するために、本発明者らは、R931汎用プライマー

に結合されたいくつかの市販の色素を標識し、HPLCによって精製し、分光特徴付けした。簡単に言えば、ABIモデル394DNAシンセサイザを用いて1μモルスケールの合成を行い、修正クロロホルム励起法を用いて精製し、干渉有機不純物を除去した。約0.5μモルのプライマーを200μlの0.25M NaHCO3、pH9.0緩衝液に再懸濁させ、一晩かけて約1mgの蛍光色素(カスケードブルーアセチルアジドを除くスクシンイミジルエステル形態)と結合させた。色素標識反応をエタノール沈殿させて余分な未反応蛍光色素を除去し、前述のようにHPLCによって精製した(Metzkerら、1996年)。Hitachiモデル4010蛍光分光計を用いて、精製された色素標識プライマーごとに蛍光励起スペクトルおよび蛍光放射スペクトルを求めた。これらのスペクトルは、R931汎用配列決定プライマーに結合された市販の蛍光色素の励起/発光データを示す表1に概略的に示されている。IPは「進行中」を意味する。PMEシステムの候補を決定する基準は、所与のレーザ励起波長についての励起スペクトルの重複が≧90%であることである。*483.2nmから492.2nmの間では>99.5%。
【0137】
【表1】

【0138】
すべての色素標識プライマーについて重なり合った励起スペクトルを比較した結果を、410nm、488nm、594nm、および670nmのレーザ励起波長と比較し(この比較の理由については以下を参照されたい)、各励起波長に最適に一致し、近傍の励起波長によるクロストークを最小限に抑える4つの蛍光色素に最適な1組の蛍光色素を識別した。本発明者らは、これらの分析から、パシフィックブルー、5-FAM、テキサスレッド、Cy5.5(図5A)を表す最適な組を含む数組の4つの色素の組合せを識別した。これらのデータから、バージョン3 BigDyeターミネータからABIモデル377 DNAシーケンサによって算出された発光クロストークマトリックスよりも著しく優れた(すなわち、各色素間のクロストークがより少ない)励起線クロストークマトリックスが作成された。この改善度を推定するために、各色素の正しい蛍光強度(図5B、各マトリックスの最後の行)を得るために総信号から除去しなければならない共鳴なし信号の割合を算出した。本発明者らは、4つの検出器ウィンドウ全体の平均を求め、PME色素の場合、クロストークはABI色素と比べて〜7倍低減すると推定した。さらに、本発明者らは、互いに近傍に位置する色素間の重なり合った発光信号におけるクロストークを低減させることによってヘテロ接合体検出の定量精度が顕著に改善されることを報告した。
【0139】
それぞれのλmaxExの≦10%のときに594nmレーザによって励起クロストークを示す追加的な赤色色素標識プライマーは、様々な色素の吸収波長および発光波長を観測することによって識別することができる。このような追加的な蛍光色素は、PMEフォーマットで評価できるようにするかまたはそのように構成すべきである。
【0140】
実施例5
PME用の発光検出ウィンドウ
PME用のカラーブラインド検出方式の1つの利点は、著しく多くの蛍光放出信号が収集されることである。本発明者らは、この利点を示すために、R931プライマーをFAM蛍光色素、JOE蛍光色素、TAMRA蛍光色素、およびROX蛍光色素で標識し、これらの色素標識プライマーを上述のように特徴付けた。ABIによる現在の蛍光色素セットがV3 BigDyeターミネータであることが理解されるが、FAM、JOE、TAMRA、およびROXの比較では依然として、集光ウィンドウサイズ、各色素間のクロストークの程度、蛍光信号強度測定値に関して、現在使用されているABIモデル3700DNAシーケンサ技術の代表である。FAM、JOE、TAMRA、およびROXを個々の試薬として得ることができるため、PME色素セットと直接比較することができた。ABI色素セットとPME色素セットについての重複発光スペクトルおよび集光ウィンドウはそれぞれ、図4Aおよび4Bに示されている。PME集光ウィンドウは、従来のABIセットよりも6.25倍大きい(250nm対40nm)。平均すると、PME検出方式は、パシフィックブルー、5-FAM、テキサスレッド、およびCy5.5色素-プライマーからの放出蛍光信号の約88%を収集し、これは、ABI検出器と比べて約4倍多い集光を表す。この推定は控えめなものであり、狭バンド通過フィルタを用いることによる透過損失(概ね係数3)を考慮していない。
【0141】
図4Aと図4Bを比べて顕著な点は、従来のシーケンサによってカバーされる波長領域がPME方式と比べてかなり短いことである。これは恐らく、エネルギー伝達色素を用いることによって行うことのエネルギーシフトに対する基本的な制限によるものである。図11はこのことを示している。ここに、5-FAM青色色素の発光スペクトルと6-ROXオレンジ色色素の励起スペクトルとの間の重複が示されている。恐らく、5-FAMを励起することによる6-ROXの励起は、斜線領域内で共鳴する双極結合によって起こる。より青いドナー色素の発光中心とより赤いアクセプター色素の励起中心が離れるにつれて、重複領域が小さくなり、したがって、これに対応してドナーとアクセプターとの間の有効な結合が低下する。発光中心と励起中心が離れるにつれて、ドナーとアクセプターとの間のエネルギー移動速度は遅くなり、ドナーからの蛍光がエネルギー移動よりも速い速度で徐々に発生する。また、エネルギー分離が進むと、アクセプターのより高い励起電子状態を存在させることができる。このようなより高い励起電子状態では、蛍光の代わりに、非放射プロセスによるシステム間交差および減衰が起こることがある。したがって、アクセプターの蛍光に関しては非効率的な状態で、ドナー蛍光の喪失によって測定されるようにエネルギー移動を効率的に行うことができる。PMEにおいて非常に広い波長領域を用いることによって、水OHラマンを遮断する問題を簡単に解決することができる(図11B)。水OHラマンの遮断は、波長が圧縮される従来のシステムではより困難である。
【0142】
予想実施例6
1本キャピラリ4色PMEプロトタイプの開発
a.4色の顕色:他の4レーザ-色素組合せの識別
大部分がDNA配列決定に使用されているいくつかの市販のフルオロフォアの吸収極大に一致する励起波長によって、6つの異なる固体レーザおよび/またはレーザダイオードモジュールが識別されている。フルオロフォアの励起極小をレーザの発光波長と比較し一致させることによって、他のレーザおよびフルオロフォアを識別することもできる。候補色素用に使用できるレーザには、青色399nm固体インジウム窒化ガリウムレーザ、青色473nmまたは488nm固体ダイオードポンピング周波数2倍Nd:YAGレーザ、緑色532nm固体ダイオードポンピング周波数2倍Nd:YAGレーザ、黄色594nmHe-Neレーザ、外部電位差計を有する赤色635nmSPMTダイオードレーザモジュール、外部電位差計を有する赤色670nmSPMTダイオードレーザモジュールが含まれる。候補色素は、良好な量子収量を示し、幅の狭い吸収スペクトルを有する必要がある。表1に列挙されている色素は最初、これらの要件を満たす。これらの要件を満たす他の色素には、7-ジメチルアミノクマリン(409/473)、5-カルボキシフルオレセイン(494/518)、1,3,5,7-テトラメチル-BODIPY(495/503)、オレゴングリーン488(496/524)、および5,7-ジメチル-BODIPY(503/512)、BODIPY(523/547)(プライマーに結合されたときは536/554)。他の市販のフルオロフォアおよびレーザを試験することもできる。
【0143】
本明細書に列挙されているいくつかの色素は励起源の青色側の列挙されている吸収極大を有するが、これらの色素をDNAに付着させると吸収/発光スペクトルが赤色側にシフトするので、これらの色素の使用について検討する。括弧内の色素の吸収/発光値は、汎用配列決定プライマーに結合されたときの吸収波長および発光波長に相当する。
【0144】
本発明で使用できる400nmよりも短く1100nmを超える独特の発光波長を有する、多数の新しい個体レーザおよびレーザダイオードならびに新しい蛍光色素が引き続き開発され市販されることを理解されたい。PMEシステムのモジュール構成のため、追加的なレーザ-色素対の試験は簡単である。
【0145】
b.1本キャピラリブレッドボードプロトタイプの構造
ブレッドボードプラットフォーム上に1本キャピラリ電気泳動ユニットをセットアップし、最初、30kV電源を用いて電気泳動を駆動する。安全インタロックを備えるPlexiglasボックスを、試料および使用緩衝液を密閉するように構築する。最初、プライマー伸長生成物が短いため、電気泳動は大気条件の下で実行するが、必要に応じて、電気泳動分解能を向上させる温度調整加熱ジャケットが構築される。分離フォーマットでは、シリカキャピラリ(内径150μM、外径50μM、および長さ50cm)、分離マトリックスとしてのPOP-6溶液、使用緩衝液としてのTBEが使用される。Zhangら(1999)が説明した矩形先細り構成を用いて1本キャピラリシースフローを構築し、毎時約0.3mLの流量のシリンジポンプによってシースフローを駆動する。
【0146】
c.直接検出の感度実験
2色PMEシステムから感度制限情報を得ることができる(図1)が、1本キャピラリ装置を用いて感度実験を直接行うことによってより多くのデータが得られる。4レーザ-色素セットを識別した後、1本キャピラリ装置の構造と重複するが、PMEレーザシステムを電気泳動装置に結合する。検出アッセイ法の限界について、広いフルオロフォア標識汎用プライマー濃度範囲にわたってPMTとシリコンAPD(電流モードおよびカウンティングモード)の両方を調査する。フリーゾーンおよびPOP-6-ベースのキャピラリ電気泳動を用いて感度アッセイ法を行う。PMEシステムの独特の特徴は、すでに識別されている4レーザ-色素セットに対して検出実験の限界値が実施されることである。検出実験の限界値が、試験色素が最適に励起され最大蛍光信号を生成しているときの感度に関する情報を与えるものに過ぎないことに留意されたい。感度実験は、すべての4つのフルオロフォアを標準的なスペクトル分解DNA配列決定システムに用いる場合は、不可能であるかまたは実際的でない。これは、より長い波長の色素の励起が非効率的になるからである。したがって、通常文献に発表されている検出実験の限界値は、(1組の4つのレーザ光源のうちの)レーザ光源に最も厳密に一致する色素、すなわち、通常フルオレセインおよびアルゴンイオンレーザを用いて実施される(Swerdlowら、1990年;Drossmanら、1990;Swerdlowら、1990年;Zhangら、1999年)。本明細書において、検出実験の限界値はすべての4つのPMEフルオロフォアを用いて実施される。なぜなら、各レーザが最適な励起を行うように厳密に一致させられ、したがって全体的な配列決定に対してより確実な感度が得られるからである。
【0147】
d.ゲノムDNAによる直接蛍光アッセイ法のための高速試料調製法の開発
PME計器は、104〜105個程度の少ない蛍光分子を検出できる必要がある。1mLの全血が約106個の白血球を含んでいる場合は、複数のSNPの(試料を増幅する必要のない)直接検出が可能である。最初、標準的なPCR技術を用いてSNPアッセイ法を行い、直接ゲノムDMAレベルを模倣するように適切に希釈する。この手法によって、最適化された試料調製法および直接ゲノムSNPアッセイ法の進歩に依存せず、またその進歩の遅れにかかわらず検出実験の限界値を実施することができる。
【0148】
試料調製法は、全血が高速で、簡単で、直接一塩基プライマー伸長アッセイ法に適合性となるように進行される。通常、大部分の方法では、全血が血清、赤血球、および白血球に分別され、白血球が分析に使用される。試料調製実験は、市販のキットならびに発表されている評価プロトコルおよび最適化プロトコルを基にする事ができる。
【0149】
上述のように、配列決定アッセイ法は通常μL単位で行われるが、市販のキャピラリ電気泳動計器上にはnL単位で装填される。直接アッセイ法試料の無駄を最小限に抑えるために、反応体積アッセイ法を標的体積1μLで最適化する。各プロトタイプごとの噴射方法として界面動電噴射が実施されるので、噴射バイアスは、試料の純度に応じて起こる可能性が最も高い(Huangら、1988年)。したがって、取り込まれなかった蛍光ターミネータ、塩、その他の電子競合高分子などの汚染物質のない高度に精製された蛍光標識SNPアッセイ法を作成するいくつかの固相精製方式および親和力ベースの精製方式を調査する。
【0150】
PME技術の感度限界が予想される限界よりも数オーダー高い(すなわち、蛍光分子106〜107個)場合、依然として全血からの直接検出を行うことができる。これは、分析される血液の量を1mLから10mLに増やし、かつ/または通常サンガー配列決定反応に用いられる温度サイクリングによってプライマー伸長アッセイ法の線形増幅を行うことによって行うことができる。
【0151】
実施例7
ラマン散乱
蛍光信号に対する水ラマン干渉の強度は結局、色素の濃度に依存する。この濃度は、蛍光が閉じ込められる体積に依存する。実施例6に示されているように、この試料の有効体積は推定するのが困難である。色素プルーム(plume)がプローブ領域を8秒で通過すると仮定すると、有効体積は次式で与えられる。

【0152】
したがって、体積8×10-6cm3の領域内の各種類(ヘテロ接合体)の500個の色素標識断片を調べると仮定することができる。この体積には3×1017個の水分子が存在する。すでに使用された4×10-16cm2の色素断面を仮定すると、この場合、OH伸張ラマン信号と色素蛍光の比は次式で与えられる。

上式で、4π係数は、ラマン断面がsr当たりの値であり、一方、色素断面が4πsrの蛍光を発する励起断面であったことを考慮した係数である。数を導入すると、数式は以下のようになる。

上式で、ラマン断面は励起波長500nmに適切な断面である。水湾曲に関する対応する数は係数0.008だけ少なくなり、次式が成立する。

【0153】
したがって、4つのレーザから3400cm-1バンドを実際上なくすことを優先しなければならない。うまい具合に、これはレーザおよび色素を適切に選択することによって行うことができる。レーザおよび水ラマンOH伸張源からの散乱光は、暗電流レベルに近づくように低減させることができる。1600cm-1ラマンバンドを遮断するのはより困難である。というのは、色素のストロークスシフトはこのストロークスシフトに似ているからである。しかし、ヘテロ接合体の場合でも塩基をコールするのは容易であるべきである。このことは、色素カウントが106であり、総カウントが2.5×106である場合、カウンティング標準偏差が約1600カウントである(σ=(総カウント)1/2)ことを認識することによって容易に理解することができる。
【0154】
a.ラマン散乱除去
レーザ波長の散乱を考慮した後、水からのラマン散乱は、488nm励起線および514.5nm励起線に関して図11に示されているように依然として有意の干渉源である。本発明者らは、1600cm-1バンド(H-O-H湾曲)および3400cm-1バンド(OH伸張)の相対寄与を特徴付けするために、水のラマンスペクトルを測定し、湾曲積分信号と伸張積分信号との比が約0.008であることを見出した。これらのバンドを絶対スケール上に配置するために、本発明者らは、670nmレーザの場合は1.7×10-30cm2/(分子-sr)で、410nmレーザの場合は2.0×10-29cm2/(分子-sr)の、3400cm-1バンドに関する微分断面積を与える最近のFarisおよびCopeland公式(41)を使用した。本発明者らは、これらの励起波長の平均を求め、3400cm-1バンドと1600cm-1バンドがそれぞれ、約4×107背景カウント/secおよび約3×105背景カウント/secに寄与すると算出した。したがって、計算によって、暗電流の場合、3400cm-1バンドおよび散乱レーザ光カウントを2×106に減らすことができ、したがって、1600cm-1ラマンバンドの存在下で500個の蛍光分子のうちの標準偏差が3つである信頼度を有する信頼できるコールベースシーケンスを使用することができる。
【0155】
すべての電流/電位レーザおよびそのそれぞれの1600cm-1バンドおよび3400cm-1バンドのリストを図11Aに示す。励起波長およびそれに対応するラマンバンドを慎重に選択することによって、本発明者らは、最低限の1組のホログラフィノッチフィルタを用いて近傍の青色レーザからの散乱レーザ光と3400cm-1バンドとの両方を遮断する本発明の一態様で使用すべき1組の4レーザ励起波長を識別した(図11B)。
【0156】
図11Bに示されているように、488.0nmノッチフィルタ(範囲470〜490nm)を配置すると、410nmレーザの3400cm-1ラマンバンド(471〜481nm)および488nmレーザの散乱光を遮断する。594.1nmノッチフィルタ(576〜596nm)を配置すると、488nmレーザの3400cm-1ラマン散乱(577〜592nm)および594nmHe-Neレーザの散乱光を遮断する。670.0nmノッチフィルタ(652〜672nm)は、594nmレーザの1600cm-1ラマン散乱(656nm)および670nmレーザの散乱光を遮断する。したがって、フィルタリングされないラマン散乱は、410nmレーザおよび488nmレーザからの2つの弱い1600cm-1バンドだけである。
【0157】
ホログラフィノッチフィルタは、その幅の狭いスペクトル干渉波長の外側では約85%の透過性を有する組立て済みの干渉フィルタである。410nmレーザ、488nmレーザ、594nmレーザ、および670nmレーザを488.0nm NotchPlusフィルタ(470nmから490nmを遮断するように変化する)、594.1nmノッチフィルタ(576nmから596nmを遮断するように変化する)、および670.0nmノッチフィルタ(652nmから672nmを遮断するように変化する)と組み合わせると事実上、410nmレーザおよび488nmレーザからの広い3400cm-1バンドならびに594nmレーザからの弱い1600cm-1バンドが除去される。長バンド通過420nmフィルタは410nm散乱光を除去するのに用いられ、短バンド通過730nmエッジフィルタは、594nmレーザおよび670nmレーザからの広い3400cm-1バンドならびに670nmレーザからの弱い1600cm-1バンドを除去するのに用いられる。したがって、すべての散乱レーザ光および3400cm-1バンドが除去され、410nmレーザおよび488nmレーザからのフィルタリングされない2つの弱い1600cm-1バンドのみが残る(図11B)。必要に応じて、さらにSuper NotchPlusフィルタを配置することによってこれらのバンドを除去することができ、それによって集光ウィンドウサイズを著しく小さくしてはならない。
【0158】
予想実施例8
8本キャピラリPME DNAシーケンサの構造
a.可搬システム用の8-APD検出器の構造
空間上の制限があるか、またはシーケンサを移動させられることが重要であるあらゆる用途に対して、搬送可能なPME DNAシーケンサが有用である。PME DNAシーケンサを搬送できるように修正する技術は現在利用可能である。可搬DNAシーケンサの場合、ブレッドボード用に開発される光学系は、より小形にかつ頑丈になるように構成される。最初、非常に効率的なデュアルプリズムコンバイナが可搬シーケンサに適応させられる。ミクロベンチ構成要素で構成された光学列が、レーザキャビティミラー支持体の厳密な要件向けに開発された4-レール構造に組み込まれる。市販の小形4-レールシステムは、シースフローキュベットおよび集光光学系を支持するのにも用いられる。前述のように、市販のダイオードレーザモジュールは、著しく小形で通常長さが1"から2"であり、一般に光ファイバ結合出力を備えている。ファイバスプリッタ/コンバイナがレーザベースの通信向けに開発されており、この急速に発展している技術を条件として、各光線を組み合わせ、4-レーザ光源を単一の光ファイバにおいてシーフフローキュベットに供給することが可能である。この構成では、コリメートされた交番マルチカラー光線をシースフローキュベットに投影するのに必要なのは従来の色消しレンズだけである。
【0159】
キャピラリプルームから蛍光を集光して8つのAPD上に投影するのに幅の広い視野f/1(NA〜0.5)レンズが用いられる。このために顕微鏡対物レンズが用いられることが多いが、最も外側のキャピラリプルームからの蛍光信号の口径食およびその結果としての損失が起こる可能性がある。レンズマウントは、最適化後にレンズを所定の位置にロックする互いに向かい合う調整ねじを備えている。光路は、検出器に到達する散乱レーザ光を低減させるようにバッフルによって遮蔽される。必要に応じて、散乱レーザ光を遮断する任意の液晶装置がエッジフィルタとして使用され、この装置は約4オーダーの除去率を有する。広く使用されている回転フィルタホィールとは異なり、液晶装置は、機械的可動部を有さない。液晶フィルタは、応答時間が数ミリ秒であり、したがって、コンピュータの制御下で4つのレーザと一緒に周期的に動作させられ、各レーザからの散乱光を遮断し、一方、ほぼすべての蛍光をカラーブラインドAPD検出器に透過させる。
【0160】
蛍光を直接APD上に撮像することが好ましいが、通常画像を20×に拡大する集光レンズは、8つの画像を検出のために分解するのに十分ではないことがある。1つの解決策は、各APDハウジングに取り付けられ、光線を直角に偏向させることができる小さなミラーまたはプリズムを使用することである。この構成は、千鳥状アレイとして取り付けることができ、それによってこの密度を低下させることができる。この可搬構成では個々の屈折率分布型(GRIN)レンズと各APDとの光ファイバカップリングも検討される。しかし、適切にコーティングされたビームステアリングプリズムの挿入損失は約2%であり、ファイバカップリングがうまく動作する可能性は低い。このファイバカップリング問題は、レーザ光線よりも、進展されたソースとして挙動する投影される蛍光画像の方が顕著である。最後に、上述と同じ剛性の4レール構造が検出システムを支持するのに用いられる。
【0161】
レーザおよびTTL回路の電源は通常、数平方インチのフットプリントを有し、APDおよび10kV電気泳動モジュール用の電源はこれよりもわずかに大きいが、それでも数インチ長いに過ぎない。これらの様々な電子構成要素はキャピラリの下方および周りに容易に位置させられ、システムの周囲に沿って延び、したがって、鋭い湾曲を回避する。
【0162】
b.残留信号のPME
残留蛍光は、非常に短い励起レーザパルスが試料を照射した直後に検出することができる。このような手法を用いた場合、レーザは、蛍光信号が収集される期間中にオフにされる。このことは、チップ上で配列決定を展開する場合に特に重要である場合がある。というのは、チップはほぼ必然的に大量の散乱光を発生させるからである。
【0163】
具体的には、蛍光標識されたDNA試料にピコ秒レーザパルスを順次発射し、次いで、レーザパルスが終了した直後にナノ秒タイムスケールの蛍光応答を「探せば」よい。この新規の手法は、コアPME技術に特有の主要な動作原則を論理的に拡張したものである。この斬新な実験方式を「ルッキング・イン・ザ・ダーク(Looking In The Dark)」または「PME-LITD」と呼ぶ。
【0164】
ルッキング・イン・ザ・ダーク方式の主要な利点は、蛍光のレベルが低いときにはPME計器における雑音の主要な原因になる可能性が高い散乱光が完全になくなることである。この技術は、成功した場合、信号対雑音比の改善に大いに寄与し、場合によっては計器の全体的な感度を向上させることができる。
【0165】
以下の実施例は、PME-LITD概念を例示する簡単な事象シーケンスを詳述するものである。
1.シーケンスにおける第1のレーザを50ピコ秒間パルス出力させる。
2.レーザをオフに切り換えた後500ピコ秒の時間遅延を加える。
3.高速光子カウンタを用いて、その後の50ナノ秒ゲートウィンドウの間、標識されたDNAからの蛍光応答を探す。
4.段階1から3をサブサイクル内に各レーザごとに順次繰り返す。
5.ピコ秒パルス励起およびナノ秒ゲート検出ウィンドウを周期的に連続的に繰り返す。
【0166】
4色システムの場合、上記の段階は202.2ナノ秒のサブサイクル時間を発生させる。このことは、8秒時間ウィンドウ(標識されたDNAバンドがABI3700キュベットを通過する近似的な時間)の間に、約4000万回の完全なサブサイクルが完了することを意味する。収集されたデータは次いで適切に平均化され、さらに高品質の分析データを生成するようにさらに処理される。
【0167】
このような種類の実験を行うには、サブナノ秒持続時間の非常に短いパルスを発生させることのできるレーザが必要である。Coherent Laser Group、Newport、およびPicoQuantを含むいくつかの会社からピコ秒レーザ光源が市販されている。たとえば、Coherent社は、2psもの短いパルスを発生させる1047nm、1053nm、または1064nmの基本波長を有する、ダイオードポンピングモードにロックされたレーザを有する。ピコ秒光源から第2の調波を容易に生成することができ、したがって、532nm、526.5nm、および523.5nmの各波長が利用可能である。Newport社も、平均パワーが6mWよりも高いサブナノ秒緑色(532nm)光を生成する「NanoLaser」を製造している。
【0168】
さらに、サブナノ秒タイムスケールの光子をカウントすることのできる計器も必要であり、このような装置は様々な製造業者から市販されている。たとえば、「FAST ComTec」は、500ピコ秒のタイムスケールの分解能を有するシングルフォトンカウンティング装置を生産している。Becker & Hickl GmbHも、813フェムト秒までの分解能を有する、4つのチャネルに相関付けされたシングルフォトンカウンティング装置を製造している。さらに、シリコンアバランシェフォトダイオード検出器が、適切に構成された電子回路に結合されると、(励起レーザパルスからの散乱光による照射の後の)検出器の回復時間が500ピコ秒程度になることを留意されたい。この高速回復時間によって、レーザ励起が全くない、すなわち、「暗がりで」数ナノ秒の蛍光寿命によって色素からの蛍光を効果的に観測することができる。
【0169】
4つのモードロック同期レーザを使用する場合とは異なり、単一のレーザから4つの波長を生成することができる。これは、誘発ラマンシフティング(SRS)を用いて行うことができる。
【0170】
PME-LITD方式を試験する実験は、簡単な2色システムを含む。具体的には、50ピコ秒パルスを生成するモードロックNd:YAGレーザは、分子窒素が充填されたラマンセルに結合される。ラマンセルからの重畳された多重波長出力は次に、分散され、最後に4プリズムアセンブリを用いて再結合される。4プリズムアセンブリの中央(すなわち、様々な励起線が互いに分離され、概ね互いに並行に進む場所)で、一対の電子光学変調器を用いて色付きパルスがチョップされ、各光線から交互にパルスが選択される。再結合された光線は次いで、図1で説明したプロトタイプと同様にキュベットアセンブリ内に向けられる。最後に、各レーザパルスが終了してから0.5ns〜50.5nsの範囲にわたる領域において光子を探す高速光子カウンタを用いて、時間分解された蛍光が検出される。
【0171】
c.96本キャピラリPMEスーツケースDNAシーケンサの構造
可搬96本キャピラリPME DNAシーケンサは本発明の一局面として考えられる。一態様では、8本キャピラリシースフローキュベットシステムで説明した4レーザ照射システムを96本キャピラリシステムに使用する。交互に照射されるすべての4本の励起線を同軸にし、96個の蛍光プルームの照射を容易にするように適切にコリメートする。小形マルチレーザ光源は変更せずにそのまま使用するが、検出システムを8つのAPDから96個の互いに離散した検出器にスケーリングするのは実際的ではない。しかし、この動作を実行するにはCCDカメラの方が適している。効率的な集光できるように、f/1などの高速レンズを設置する。第2のレンズを用いて光をCCD上に再撮像する。必要に応じて、コンピュータによって制御される液晶フィルタを2枚のレンズ間に挿入して散乱レーザ光を遮断することができる。バッフルを用いて迷光を最小限に抑えるが、大きなテーパ集光角度を小さくする制限開口も、さらに信号を減衰させる分散要素もない。
【0172】
1つのシースフロープルームからの蛍光のほぼすべてが特定の一群の画素に入射し、これらの画素は単一のユニットとして読み出されるように解像度を変更し、読出し雑音を低減させる。キャピラリからのすべての蛍光をほぼ1つの巨大画素に解像度を変更することにより、蛍光色素の量がかなり少ないときでも各キャピラリプルームから単一の十分な信号が得られる。
【0173】
CCDカメラはかなり小形であり、熱電冷却機能を付加して背景雑音を低減させるにもかかわらず、CCD検出器を小形の装置に取り付けても問題はない。ポータブルコンピュータは各レーザパルスの終了時にCCDの内容を読み出す。標準的なビデオ速度の30Hzの場合、4つのレーザの全体的なサイクル周波数は7.5Hzになり(液晶レーザブロッカーを組み込む場合は5Hz)、これによって、数10回の読出しサイクルから得たデータを1溶出事象ごとに信号平均化するのが可能になる。CCDスーツケースシステムを構築した後、検出実験の詳細な限界値を実施し、その限界を8本キャピラリAPDスーツケースプロトタイプの性能と比較する。
【0174】
本明細書に開示され請求されたすべての方法は、本開示を考慮して過度の実験なしに実施することができる。本発明の構成および方法を好ましい態様に関して説明したが、当業者には、本明細書に記載された方法および段階または方法の各段階のシーケンスに、本発明の概念、要旨、および範囲から逸脱せずに変形を加えられることが明らかであろう。特に、同じまたは同様の結果を実現しつつ、化学的にかつ生理学的に互いに関係するある種の薬剤で本明細書に記載された薬剤を置換できることが明らかになろう。当業者に明らかなすべてのこのような置換態様および修正態様は、特許請求の範囲によって定義された本発明の要旨、範囲、および概念内の態様とみなされる。
【0175】
参照
以下の参照は、これらが本明細書に記載されるものに対して例示的な手順または他の詳細を提供する限り、明確に参照として本明細書に組み入れられる。





【図面の簡単な説明】
【0176】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある局面をさらに示すために含まれている。本発明は、これらの図面のうちの1つまたは複数を、本明細書に示されている特定の態様の説明と組み合わせて参照することによってより良く理解することができる。
【図1】各レーザがそれ自体の電源(A)によって個々に調節されるPME装置の一例を示す図である。TTLステッパまたはクロックチップ回路(図3)は、5つのレーザ間を循環する際に特定の時間にどの電源をオンにするかを選択する。ビームステアリングモニタ(B)は、励起線がデュアルプリズムアセンブリ(図2)(C)を通過した後共直線性を有し、かつ/または同軸になるように励起線を揃える様々な程度の調整を可能にする。光線は、アイリスおよび長いセルを用いることによって散乱光が低減させられるダークボックス(D)に入射する。色素は、集光レンズを通して光増倍管(E)によって検出される。信号は、デジタル信号を分析できるオシロスコープ(F)によって記録される。
【図2】各レーザがそれ自体の電源(A)によって個々に調節されるPME装置の一例を示す図である。TTLステッパまたはクロックチップ回路(図4)は、5つのレーザ間を循環する際に特定の時間にどの電源をオンにするかを選択する。ビームステアリングモニタ(B)は、励起線がデュアルプリズムアセンブリ(図3)(C)を通過した後共直線性を有し、かつ/または同軸になるように励起線を揃える様々な程度の調整を可能にする。光線は、空間フィルタを通過して光線品質を改善し、次いで、アイリスダイアフラムおよび長いセルを用いることによって散乱光が低減させられる10cm試料キューネットを収納したダークボックス(D)に入射する。PME誘導蛍光が、集光レンズを用いてコリメートされる。散乱レーザ光は、特定波長ノッチフィルタ(1つしか示されていない)を介してさらに除外される。色素は、集光レンズを通して光増倍管(E)によって検出される。散乱光は、特定波長ノッチフィルタ(1つしか示されていない)を介してさらに除外される。パルス蛍光信号が、第2のレンズによって光増倍管上に撮像される。信号は、オシロスコープ(F)によって記録され、コンピュータワークステーションによって分析される。
【図3】デュアルプリズムアセンブリを用いて、互いに離散した位置からのパルスマルチライン励起レーザ光源を組み合わせる反転分散方式を示す図である。光線はすべて左側から、第1のプリズムの左側(左上)の様々な角度および位置に入射する。レーザ光線は、第1のプリズムに入射するとき、すべて約450の角度に湾曲する。この時点で、各光線はまだ共直線性を有さず、かつ/または同軸ではないが、前よりも空間的に近くなっている。光線は、第2のプリズムに入射するとき、この場合も様々な角度および位置で入射し、プリズムから出射する際に共直線性を有し、かつ/または同軸になる。
【図4】TTL回路クロックチップ(74174)を示す図である。MRはローのときに、チップをリセットし、すべての出力をローにセットする。CPはクロックパルス入力である。Q0からQ7は、最大で8つのレーザの各々に接続されて信号を供給し、順次励起線を発射させる出力である。
【図5】図5A、5B、および5Cは、オシロスコープ出力による写真データを示す図である。オシロスコープからの2つのチャネルを、赤色レーザから励起線を発射させるクロック信号(1番上の線)とPMT検出器出力(1番下の線)を記録するように設定した。矢印は、赤色レーザパルスおよび緑色レーザパルスに対応する。BODIPY523/547色素とBODIPY630/650色素の両方(図5A)、BODIPY630/650色素のみ(図5B)、またはBODIPY523/547色素のみ(図5C)を含む希釈水溶液に関するデータを収集した。
【図6】図6Aは、4つのPME色素、すなわちパシフィックブルー、5-FAM、テキサスレッド、およびCy5.5の互いに重なり合った励起スペクトルを示す図である。矢印は、一致させたレーザのスペクトル位置を表している。図6Bは、V3 BigDyeターミネータについてのPME励起クロストークマトリックスとABI放出クロストークマトリックスを比較した図である。Y軸にレーザが、X軸に色素が示されている。最後の行は、検出ウィンドウ当たりに収集された共鳴なし信号/総信号の割合を表している。たとえば、APIマトリックスの列1は0.933/1.933=48.3%である。すべての4つの検出ウィンドウの平均割合は1番右に示されている。
【図7】図7Aおよび7Bは、FAM、JOE、TAMRA、およびROXのABI空間フィルタリングとパシフィックブルー、FAM、ROX、およびCy5.5のPMEカラーブラインド検出との比較を示す図である。図7Aでは、白い箱型は、531nm、560nm、580nm、および610nmを中心とする4つの10nmバンド通過フィルタを表している。(図7B)斜線が引かれた中央の3つの箱型は、上流側青色レーザからの散乱レーザ光およびラマン散乱を遮断するように適切に配置された20nmノッチフィルタを表している。斜線が引かれた外側の2つの箱型は長波長通過エッジフィルタおおよび短波長通過エッジフィルタである。ノッチフィルタの配置についての詳細は図2の凡例を参照されたい。
【図8】5-FAM発光(青色)および6-ROX励起(赤色)のスペクトル重複(斜線領域)を示す図である。
【図9】ABIモデル3700DNAシーケンサから得たラマンスペクトルを示す図である。アルゴンイオンレーザは488nm励起線と514.5nm励起線の両方を発生させ、それぞれ、529nmおよび561nmのラマン散乱(OH湾曲)と577〜592nmおよび614〜631nmの範囲の広いバンド(OH伸展)を水中に発生させる。キャピラリの先端からの反射レーザ光は、ラマン線の上下に観測することができる。
【図10】図10Aおよび10Bは、PMEレーザからのラマン散乱を示す図である。3400cm-1バンドは広いため、このラマンバンドは、3150cm-1と3590cm-1との間の全幅半極大の範囲として列挙されている(図10A)。レーザ散乱光とラマン3400cm-1バンドを同時に遮断するPMEシステム(図10B)の検出ウィンドウ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の蛍光種を含む試料を分析するパルスマルチライン励起装置であって、
各励起線が異なる波長を有する2本以上の励起線を放出するように構成された1つまたは複数のレーザ;
1つまたは複数のレーザに結合され、試料から時間相関された蛍光放出信号を発生させるようにタイミングプログラムに従って2本以上の励起線を順次発生するように構成されたタイミング回路;
試料から放出された時間相関された蛍光放出信号を収集するように位置させられた非分散検出器;および
検出器に結合され、時間相関された蛍光放出信号をタイミングプログラムに関連付けて試料の成分を同定するように構成された分析器
を含む装置。
【請求項2】
検出器と分析器は一体である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
2本以上の励起線は試料の所で交差する、請求項1記載の装置。
【請求項4】
2本以上の励起線は、2本以上の励起線が試料内で交差しないように構成される、請求項1記載の装置。
【請求項5】
2本以上の励起線は、2本以上の励起線が同軸であるように構成される、請求項1記載の装置。
【請求項6】
装置は、1つまたは複数のレーザに対して動作可能関係を有し、2本以上の励起線の放射が実質的に共直線性を有するように構成された1つまたは複数のプリズム部品をさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項7】
4つの励起波長を有する少なくとも4本の励起線をさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項8】
4つの励起波長は410nm、488nm、594nm、および670nmである、請求項7記載の装置。
【請求項9】
1つまたは複数の蛍光種はパシフィックブルー、5-FAM、テキサスレッド、およびCy5.5を含む、請求項1記載の装置。
【請求項10】
1つまたは複数の蛍光種はFAM、JOE、TAMRA、およびROXを含む、請求項1記載の装置。
【請求項11】
8つの励起波長を有する少なくとも8本の励起線をさらに含む、請求項7記載の装置。
【請求項12】
16個の励起波長を有する少なくとも16本の励起線をさらに含む、請求項8記載の装置。
【請求項13】
試料は少なくとも1個のキャピラリで構成される、請求項1記載の装置。
【請求項14】
試料は少なくとも4本のキャピラリで構成される、請求項1記載の装置。
【請求項15】
試料は少なくとも8本のキャピラリで構成される、請求項14記載の装置。
【請求項16】
試料は少なくとも16本のキャピラリで構成される、請求項15記載の装置。
【請求項17】
試料は少なくとも48本のキャピラリで構成される、請求項13記載の装置。
【請求項18】
試料は少なくとも96本のキャピラリで構成される、請求項17記載の装置。
【請求項19】
試料は少なくとも384本のキャピラリで構成される、請求項18記載の装置。
【請求項20】
シースフローキュベットをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項21】
タイミングプログラムは、約10フェムト秒から約5秒の間の各レーザの発射間の遅延を含む、請求項1記載の装置。
【請求項22】
タイミングプログラムは、約1ミリ秒から約100ミリ秒の間の各レーザの発射間の遅延を含む、請求項21記載の装置。
【請求項23】
タイミングプログラムは、約50psから約500psの間の各レーザの発射間の遅延を含む、請求項21記載の装置。
【請求項24】
少なくとも1本または複数の励起線がパルス出力される、請求項1記載の装置。
【請求項25】
パルス出力される励起線はTTL論理によって制御される、請求項24記載の装置。
【請求項26】
パルス出力される励起線は機械的手段または電子的手段によって制御される、請求項24記載の装置。
【請求項27】
試料からの蛍光放出信号と時間相関された互いに離散した励起線のシーケンスを生成する、請求項25記載の装置。
【請求項28】
少なくとも1つのレーザはダイオードレーザを含む、請求項1記載の装置。
【請求項29】
少なくとも1つのレーザは半導体レーザを含む、請求項1記載の装置。
【請求項30】
少なくとも1つのレーザはガスレーザを含む、請求項1記載の装置。
【請求項31】
少なくとも1つのレーザはダイオードポンピング固体レーザを含む、請求項1記載の装置。
【請求項32】
少なくとも1つの固体レーザはネオジムレーザを含む、請求項31記載の装置。
【請求項33】
少なくとも1本のレーザ光線に対して動作可能関係を有するラマンシフタをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項34】
各レーザから与えられる励起波長は、各フルオロフォアの吸収波長に光学的に一致させられる、請求項1記載の装置。
【請求項35】
検出器は電荷結合素子を含む、請求項1記載の装置。
【請求項36】
検出器は光増倍管を含む、請求項1記載の装置。
【請求項37】
検出器はシリコンアバランシェフォトダイオードを含む、請求項1記載の装置。
【請求項38】
検出器はシリコンPIN検出器を含む、請求項1記載の装置。
【請求項39】
素子のフットプリントは、4ft'× 4ft' × 2ft未満である、請求項1記載の装置。
【請求項40】
素子のフットプリントは1ft × 1ft × 2ft未満である、請求項39記載の装置。
【請求項41】
素子のフットプリントは1-in × 3-in × 6-in未満である、請求項39記載の装置。
【請求項42】
試料成分を同定する方法であって、
(a)試料成分、第1の色素、および第2の色素を含む試料を調製する段階;
(b)試料を第1の励起線および第2の励起線の光線経路内に配置する段階;
(c)第1の励起線および第2の励起線を順次発射する段階;
(d)試料からの蛍光信号を時間の関数として収集する段階;および
(e)各励起線のオンタイムウィンドウによって蛍光を分類する段階
(ここで各試料成分が同定される)
を含む方法。
【請求項43】
蛍光信号は、励起線が試料に入射しない、2本の励起線の発射間に生じる互いに離散した期間から収集される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
第1の色素の吸収極大は実質的に第1の励起線の励起波長に相当する、請求項42記載の方法。
【請求項45】
第2の色素の吸収極大は実質的に第2の励起線の励起波長に相当する、請求項42記載の方法。
【請求項46】
第3および第4の色素ならびに第3および第4の励起線をさらに含み、第3および第4の色素の吸収極大は、実質的に第3および第4の励起線の励起波長に相当する、請求項45記載の方法。
【請求項47】
第1、第2、第3、および第4の励起線の励起波長は410nm、488nm、594nm、および670nmである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
第1、第2、第3、および第4の色素はパシフィックブルー、5-FAM、テキサスレッド、およびCy5.5を含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
第1、第2、第3、および第4の色素はFAM、JOE、TAMRA、およびROXを含む、請求項46記載の方法。
【請求項50】
第5、第6、第7、および第8の色素の吸収極大が実質的に第5、第6、第7、および第8の励起線の励起波長に相当する、第5、第6、第7、および第8の色素ならびに第5、第6、第7、および第8の励起線をさらに含む請求項46記載の方法。
【請求項51】
第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、および第16の色素の吸収極大が実質的に第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、および第16の励起線の励起波長に相当する、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、および第16の励起線をさらに含む請求項40記載の方法。
【請求項52】
色素のうちの少なくとも1つは、ザンテン色素、フルオレセイン色素、ローダミン色素、BODIPY色素、シアニン色素、クマリン色素、ピレン色素、フタロシアニン色素、フィコビリプロテイン色素、アレクサ色素、またはスクアリアン色素である、請求項42記載の方法。
【請求項53】
色素のうちの少なくとも1つはBODIPY色素である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
試料成分はSNPの判定を可能にする、請求項42記載の方法。
【請求項55】
有益な情報を与えるSNPのハイスループット同定を行うための方法である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
SNPは、ゲノムDNA材料から直接得られる、請求項54記載の方法。
【請求項57】
SNPはPCR増幅された材料から得られる、請求項54記載の方法。
【請求項58】
SNPは、ゲノムDNA材料またはPCR増幅された材料から直接得られたクローニングされた材料から得られる、請求項54記載の方法。
【請求項59】
SNPは一塩基遺伝子プライマー伸長法を用いて得られる、請求項54記載の方法。
【請求項60】
一塩基遺伝子プライマー伸長法は、単一非標識dNTP、単一標識dNTP、単一3'-修飾dNTP、単一塩基修飾3'-dNTP、単一アルファ-チオ-dNTP、または単一標識2'3'-ジデオキシヌクレオチドを用いることを含む、請求項56記載の方法。
【請求項61】
単一非標識dNTP、単一標識dNTP、単一3'-修飾dNTP、単一塩基修飾3'-dNTP、単一アルファ-チオ-dNTP、または単一標識2'3'-ジデオキシヌクレオチドを用いることを含むミニ配列決定方法を含む、請求項42記載の方法。
【請求項62】
ミニ配列決定方法は1つのSNPを含む、請求項61記載の方法。
【請求項63】
ミニ配列決定方法は複数のSNPを含む、請求項62記載の方法。
【請求項64】
SNPは、サンガー配列決定法を用いて得られる、請求項54記載の方法。
【請求項65】
信号の分析は、遺伝的な病気を正確に診断するか、リスク感受性をより優れた予測、散発性変異の同定、または個々の患者用独自の毎日の薬物投与計画の処方に適合された、請求項54記載の方法。
【請求項66】
信号の分析は、臨床診断、法医学用途、または一般的な配列決定方法の決定において日常的な使用に適合された、請求項42記載の方法。
【請求項67】
(a)生物学的試料を得る段階;
(b)該試料を1つまたは複数のフルオロフォアで標識する段階;
(c)試料の成分を分離する段階;および
(d)装置を用いて試料成分を検出する段階
を含む、試料成分を同定する方法であって、装置が
各励起線が異なる波長を有する2本以上の励起線を放出するように構成された1つまたは複数のレーザ;
1つまたは複数のレーザに結合され、試料から時間相関された蛍光放出信号を発生させるようにタイミングプログラムに従って2本以上の励起線を順次発生するように構成されたタイミング回路;
時間相関された蛍光放出信号を収集するように位置させられた非分散検出器
を含む装置であり、
該検出器が、1本または複数の励起線による照射の結果としての試料の蛍光放射を含む試料から得た時間相関されたデータを収集する方法。
【請求項68】
2本以上の励起線の励起波長は410nm、488nm、594nm、および670nmである、請求項67記載の方法。
【請求項69】
1つまたは複数のフルオロフォアはパシフィックブルー、5-FAM、テキサスレッド、およびCy5.5を含む、請求項67記載の方法。
【請求項70】
第1つまたは複数のフルオロフォアはFAM、JOE、TAMRA、およびROXを含む、請求項67記載の方法。
【請求項71】
試料成分は核酸である、請求項67記載の方法。
【請求項72】
試料成分はアミノ酸である、請求項67記載の方法。
【請求項73】
試料成分はタンパク質である、請求項67記載の方法。
【請求項74】
分離は電気泳動によって行われる、請求項67記載の方法。
【請求項75】
分離はクロマトグラフィによって行われる、請求項67記載の方法。
【請求項76】
分離は質量分析法によって行われる、請求項67記載の方法。
【請求項77】
試料成分は高密度チップアレイ上にアドレス指定される、請求項67記載の方法。
【請求項78】
(e)表面上の既知の位置に固定化されたオリゴヌクレオチドを含む表面上に試料成分を接触させる段階;および
(f)一塩基遺伝子取込みアッセイ法を行う段階
をさらに含む、請求項67記載の方法。
【請求項79】
(e)表面上の既知の位置に固定化されたオリゴヌクレオチドを含む表面上に試料成分を接触させる段階;および
(f)ミニ配列決定アッセイ法を行う段階
をさらに含む、請求項67記載の方法。
【請求項80】
励起線が表面の複数の位置に接触するように表面または励起線をラスタ処理する段階をさらに含む、請求項78記載の方法。
【請求項81】
(a)2本以上の励起線を有する1つまたは複数のレーザ;
(b)励起線がそれぞれミラーに入射する1つまたは複数のビームステアリングミラー;
(c)2本以上の励起線が第1のプリズムの一方の表面に入射し、第2の表面から出射する第1のプリズム;および
(d)2本以上の励起線が第1のプリズムから出射した後で第2のプリズムの一方の面に入射して第2のプリズムから出射する、第1のプリズムに対して傾いた第2のプリズムを含む装置であって、
2本以上の励起線が、第2のプリズムから出射した後実質的に共直線性を有するか、または実質的に同軸である装置。
【請求項82】
2本以上の励起線は、第2のプリズムから出射した後実質的に同軸である、請求項81記載の方法。
【請求項83】
2本以上の励起線は、第2のプリズムから出射した後実質的に共直線性を有する、請求項81記載の方法。
【請求項84】
(a)2本以上の励起線を第1のプリズムの第1の表面上に向ける段階;
(b)2本以上の励起線を第1のプリズムの第2の表面から、第1のプリズムに対して約450傾いた第2のプリズムの第1の表面に向ける段階;および
(c)2本以上の励起線を、第2のプリズムの第2の表面から出射した後で試料上に向ける段階
を含む、試料を照射する方法であって、該2本以上の励起線は、第2のプリズムから出射した後実質的に共直線性を有するか、または実質的に同軸である方法。
【請求項85】
2本以上の励起線は、第2のプリズムから出射した後実質的に同軸である、請求項84記載の方法。
【請求項86】
2本以上の励起線は、第2のプリズムから出射した後実質的に共直線性を有する、請求項84記載の方法。
【請求項87】
電子ステッパを含み、2本以上の励起線を有する1つまたは複数のレーザに動作可能に接続されたTTL回路を得る段階;および
2本以上の励起線を有する1つまたは複数のレーザの順次発射を回路からのクロックパルスによって制御する段階
を含む、励起線のシーケンスを制御する方法であって、1つのレーザを発射させる頻度が、第2のレーザを発射させる頻度と同等であるが、2本以上の励起線を有する1つまたは複数のレーザを順次パルス出力させることができるように移相される方法。
【請求項88】
1クロックパルスのサイクル時間は、1μ秒から5秒である、請求項87記載の方法。
【請求項89】
第1のレーザが励起線を発生させる時間の長さは、第2のレーザが励起線を発生させる時間の長さと同様である、請求項87記載の方法。
【請求項90】
2本から16本の励起線が順次パルス出力される、請求項87記載の方法。
【請求項91】
2本から8本の励起線が順次パルス出力される、請求項90記載の方法。
【請求項92】
(a)電子ステッパを含み、2つ以上のレーザに動作可能に接続されたTTL回路を得る段階;および
(b)2つ以上のレーザの順次発射を回路からのクロックパルスによって制御する段階を含む、励起線のシーケンスを制御する方法であって、第1のレーザを発射させる頻度が、第2のレーザを発射させる頻度と異なる方法。
【請求項93】
2個から16個の間のレーザを含む、請求項92記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−98151(P2009−98151A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291646(P2008−291646)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【分割の表示】特願2003−525245(P2003−525245)の分割
【原出願日】平成14年8月28日(2002.8.28)
【出願人】(391058060)ベイラー カレッジ オブ メディスン (16)
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
【出願人】(504080087)ライス ユニバーシティー (6)
【Fターム(参考)】