説明

カラー二次元バーコード生成装置、カラー二次元バーコード読取装置、カラー二次元バーコード生成方法、カラー二次元バーコード読取方法、およびコンピュータープログラム

【課題】ジェネレーションコピーを繰り返した場合であってもカラー二次元バーコードから複数の二次元バーコードを従来よりも確実に検出できるようにする。
【解決手段】複数の二次元バーコードとして、有色のセルの色が互いに異なる第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42を取得し、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42同士を、同じ位置のセル同士を一定の距離だけずらして重ね合せることによって、カラー二次元バーコード43を生成する。そして、カラー二次元バーコード43を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー二次元バーコードの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、色の相違する2つの二次元バーコードを重ね合せて1つのカラー二次元バーコードに合成する技術が提案されている。この技術によると、2つの二次元バーコードそれぞれが表わす文字列を1つのカラー二次元バーコードに纏めて表わすことができる。読取装置は、このカラー二次元バーコードを読み取ると、各セルの色に基づいて元の2つの二次元バーコードを判別し、それぞれが表わす文字列を解析する(特許文献1)。
【0003】
また、モノクロ(単色)の二次元バーコードは、1つのセルにつき1ビットしか表わすことができない。しかし、カラー(複数色)の二次元バーコードは、1つのセルにつき複数ビットを表わすことができる。そこで、二次元バーコードをカラー化することによってモノクロの二次元バーコードよりも多くのデータを表わす方法が、提案されている(特許文献2)。
【0004】
そのほか、二次元バーコードのセルの形状を従来とは異なる形状にすることが提案されている(特許文献3)。また、カラーの一次元バーコードについても、提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−123179号公報
【特許文献2】特開平9−212574号公報
【特許文献3】特開2006−4378号公報
【特許文献4】特開平8−96097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カラー二次元バーコードの印刷物をコピーし、その複写物をコピーし、…ということを繰り返すと、つまり、ジェネレーションコピーを繰り返すと、セルの色や階調の再現性が低下する。例えば、マゼンタの二次元バーコードおよびシアンの二次元バーコードを重ね合わせて生成したカラー二次元バーコードのジェネレーションコピーを繰り返すと、シアンが、両色の重なった部分のブルーに近づき、区別が付かなくなる。
【0007】
すると、カラー二次元バーコードから色の相違する複数の二次元バーコードを検出することができなくなる。
【0008】
本願発明は、このような問題点に鑑み、ジェネレーションコピーを繰り返した場合であってもカラー二次元バーコードから複数の二次元バーコードを従来よりも確実に検出できるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係るカラー二次元バーコード生成装置は、複数の二次元バーコードとして、有色のセルの色が互いに異なる複数の二次元バーコードを取得する、二次元バーコード取得手段と、前記複数の二次元バーコード同士を、同じ位置のセル同士を一定の距離だけずらして重ね合せることによって、カラー二次元バーコードを生成する、カラー二次元バーコード生成手段と、前記カラー二次元バーコードを出力するカラー二次元バーコード出力手段と、を有する。
【0010】
好ましくは、前記カラー二次元バーコード生成手段は、位置検出パターンまたはアライメントパターンを構成するセルについてはずらすことなく前記複数の二次元バーコード同士を重ね合せることによって、前記カラー二次元バーコードを生成する。さらに、好ましくは、前記カラー二次元バーコード生成手段は、前記位置検出パターンまたはアライメントパターンを構成するセルの色として黒を用いて前記カラー二次元バーコードを生成する。
【0011】
本発明の一形態に係るカラー二次元バーコード読取装置は、有色のセルの色が互いに異なる複数の二次元バーコード同士を同じ位置のセル同士を一定の距離だけずらして重ね合せることによって生成されたカラー二次元バーコードを取得するカラー二次元バーコード取得手段と、前記カラー二次元バーコードの中の、前記一定の距離だけずれて重なり合う複数のセルの区域ごとに、当該区域にある有色の画素からなる有色画素群の形状を検出する、形状検出手段と、前記区域から検出された前記形状が1つのセルの形状と同じである場合は、当該区域の前記有色画素群の色を検出し、当該有色画素群の色が当該検出した色であると判別し、当該形状が複数のセルをずらして重ね合せた形状と同じである場合は、当該区域の前記有色画素群の中の1つのセルに相当する部分であるセル部分ごとに真上、真下、真左、または真右に位置する他のセルの色を検出し、当該セル部分のうち他のセル部分と重なり合わない部分の色が当該検出した色であると判別し、他のセル部分と重なり合う部分の色が当該セル部分および当該他のセル部分それぞれについてそれぞれ検出した色の合成色であると判別する、色判別手段と、前記色判別手段によって判別された、前記カラー二次元バーコードの各画素の色に基づいて、前記複数の二次元バーコードのそれぞれを特定する、二次元バーコード特定手段と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ジェネレーションコピーを繰り返した場合であってもカラー二次元バーコードから複数の二次元バーコードを従来よりも確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置を含むネットワークシステムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】画像形成装置のスキャンユニットおよび印刷ユニットなどの構成の例を示す図である。
【図4】画像処理回路の構成の例を示す図である。
【図5】カラー二次元バーコード提供部の構成の例を示す図である。
【図6】2つのセルの重ね合せの例を示す図である。
【図7】カラー二次元バーコードの生成の例を示す図である。
【図8】カラー二次元バーコード解析部の構成の例を示す図である。
【図9】第一の二次元バーコードおよび第二の二次元バーコードの検出の例を示す図である。
【図10】有色のセルの変色の例を示す図である。
【図11】ジェネレーションコピーを繰り返したカラー二次元バーコードの例を示す図である。
【図12】調査対象区域、第一の部分、第二の部分、および第三の部分の配置の例を示す図である。
【図13】調査対象区域の第一の形態ないし第三の形態の例を示す図である。
【図14】有色のセルの検索の例を示す図である。
【図15】カラー二次元バーコードの生成方法の変形例を示す図である。
【図16】第一の二次元バーコードおよび第二の二次元バーコードの検出方法の変形例を示す図である。
【図17】カラー二次元バーコードを生成する処理の流れの例を示す図である。
【図18】第一の二次元バーコードおよび第二の二次元バーコードを検出する処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、画像形成装置1を含むネットワークシステムの全体的な構成の例を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、画像形成装置1のスキャンユニット10eおよび印刷ユニット10fなどの構成の例を示す図である。
【0015】
図1において、画像形成装置1は、一般にMFP(Multi Function Peripherals)または複合機などと呼ばれる装置であって、コピー、PCプリント(ネットワークプリンティング)、ファックス、スキャナー、およびドキュメントサーバーなどの機能を集約した装置である。
【0016】
画像形成装置1は、通信回線NWを介して端末装置2などの装置と通信を行うことができる。
【0017】
画像形成装置1は、図2および図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、大容量記憶装置10d、スキャンユニット10e、印刷ユニット10f、ネットワークインタフェース10g、操作パネル10h、ファクシミリユニット10i、画像処理回路10j、および自動原稿送り装置10kのほか、制御用の回路などによって構成される。
【0018】
CPU10aは、画像形成装置1の全体的な制御などを行う制御部である。ROM10cまたは大容量記憶装置10dには、上述の各機能を実現するためのオペレーティングシステムおよびミドルウェアなどのソフトウェアがインストールされている。ソフトウェアを構成するソフトウェアモジュールは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。例えば、ROM10cまたは大容量記憶装置10dには、スキャンユニット10eによって得られた画像データにシェーディング補正などの各種のデータ処理を施すソフトウェアや、用紙の供給と同期して主走査ラインごとに画像データを読み出してレーザダイオードを駆動するソフトウェアなどがインストールされている。大容量記憶装置10dとして、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などが用いられる。
【0019】
ネットワークインタフェース10gは、通信回線NWを介して端末装置2などの装置を相手にTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで通信を行う。ネットワークインタフェース10gとして、例えばNIC(Network Interface Card)が用いられる。
【0020】
操作パネル10hは、キー入力部10h1、タッチパネルディスプレイ10h2、および副電源スイッチ10h3などによって構成される。
【0021】
キー入力部10h1は、いわゆるハードウェアキーであって、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどによって構成される。
【0022】
タッチパネルディスプレイ10hは、ユーザーに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザーが処理の指令および条件を入力するための画面、およびCPU10aの処理の結果を示す画面などを表示する。また、ユーザーが指で触れた位置を検知し、検知結果を示す信号をCPU10aに送信する。
【0023】
タッチパネルディスプレイ10h2には、ユーザーに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザーが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、およびCPU10aなどで実行された処理の結果を示す画面などが表示される。ユーザーは、これらの画面を見ながらキー入力部10h1またはタッチパネルディスプレイ10h2を操作することによって、画像形成装置1に対して情報および指令を入力することができる。
【0024】
副電源スイッチ10h3は、スリープモードなどの省電力モードへ移行するように画像形成装置1に対してユーザーが指示するためのスイッチである。
【0025】
画像処理回路10jは、2つの二次元バーコードを1つのカラー二次元バーコードに纏める処理と、このカラー二次元バーコードから2つの二次元バーコードを抽出する処理とを、行う。これらの処理の詳細については、後に順次、説明する。画像処理回路10jは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などによって構成することができる。
【0026】
自動原稿送り装置10kは、ADF(Auto Document Feeder)であって、原稿給紙トレイにセットされた原稿を1枚ずつスキャンユニット10eのプラテンガラス上の所定の位置へ搬送し、スキャンユニット10eによる原稿の読取り後に原稿排紙トレイへ原稿を排出する。
【0027】
また、自動原稿送り装置10kは、原稿セットセンサー10k1を備えている。原稿セットセンサー10k1は、原稿がセットされたことを公知のタクトスイッチによって検知し、CPU10aへ通知する。
【0028】
スキャンユニット10eは、プラテンガラスの上にセットされた原稿(用紙)に記されている写真、文字、絵、図表などからなる画像を読み取って画像データを生成する。特に、本実施形態では、上述のカラー二次元バーコードを読み取るために用いられる。
【0029】
また、スキャンユニット10eは、装置持ち上げセンサー10e1を備えている。装置持ち上げセンサー10e1は、自動原稿送り装置10kが持ち上げられたことを公知の磁気センサーによって検知し、CPU10aへ通知する。
【0030】
ファクシミリユニット10iは、公衆電話回線を介してファックス端末との間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りするための装置である。
【0031】
印刷ユニット10fは、スキャンユニット10eによって読み取られた画像のほか、端末装置2またはファックス端末などから受信した画像データに示される画像を用紙に印刷する。また、画像処理回路10jによって生成されたカラー二次元バーコードを用紙に印刷する。
【0032】
印刷ユニット10fは、画像形成部11、自動両面ユニット12、給紙部13、および給紙キャビネット14などによって構成される。
【0033】
画像形成部11は、タンデム方式および電子写真方式のカラーの印刷エンジンであって、感光体ドラム31a、31b、31c、および31d、露光走査ユニット32a、32b、32c、および32d、転写ベルト33、および前扉センサー34などによって構成される。
【0034】
感光体ドラム31a、31b、31c、および31dは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、および黒に対応する感光体ドラムである。同様に、露光走査ユニット32a、32b、32c、および32dは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、および黒に対応する露光走査ユニットである。
【0035】
露光走査ユニット32a、32b、32c、および32dは、それぞれ、CPU10aからの信号に基づいて印刷対象の画像に応じて露光することによって、感光体31a、31b、31c、および31dに静電潜像を作像する。そして、各色のトナーが付着する。
【0036】
転写ベルト33には、感光体31a、31b、31c、31dのそれぞれに形成された各色のトナー像が重ねられる。これにより、フルカラーのトナー像が転写ベルト33に形成される。
【0037】
前扉センサー34は、公知のタクトスイッチによって、前扉カバーが開放されたことを検知し、CPU10aへ通知する。
【0038】
給紙部13は、画像形成装置1に標準に装備されている、画像形成部11へ用紙を供給するためのユニットである。給紙部13は、1つまたは複数の給紙カセット13aおよびピックアップローラー13bなどによって構成される。給紙カセット13aには、用紙が収納される。ピックアップローラー13bは、給紙カセット13aから用紙を1枚ずつピックアップして画像形成部11へ搬出する。
【0039】
給紙キャビネット14は、給紙部13と同様に画像形成部11へ用紙を供給するユニットであるが、画像形成装置1にオプションとして装備される。給紙キャビネット14の給紙カセット14aからピックアップローラー14bによって送り出された用紙は給紙部13を経由して画像形成部11へ供給される。
【0040】
そして、転写ベルト33に形成されたトナー像が、給紙部13または給紙キャビネット14から搬出されてきた用紙に転写される。
【0041】
自動両面ユニット12は、片面に画像が印刷された用紙の裏表を反転させて、通紙経路上で一旦スイッチバックさせ、再度、画像形成部11へ給紙する。これにより、両面印刷が可能になる。
【0042】
図1に戻って、端末装置2は、画像形成装置1による印刷などのサービスを受けるためのクライアントである。端末装置2には、画像形成装置1を制御するためのドライバーなどがインストールされている。端末装置2として、パーソナルコンピューター、スマートフォン、またはPDA(Personal Digital Assistant)などが用いられる。
【0043】
図4は、画像処理回路10jの構成の例を示す図である。図5は、カラー二次元バーコード提供部5の構成の例を示す図である。図6は、2つのセルの重ね合せの例を示す図である。図7は、カラー二次元バーコード43の生成の例を示す図である。図8は、カラー二次元バーコード解析部6の構成の例を示す図である。図9は、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42の検出の例を示す図である。図10は、有色のセルの変色の例を示す図である。図11は、ジェネレーションコピーを繰り返したカラー二次元バーコード43の例を示す図である。図12は、調査対象区域BR、第一の部分BRa、第二の部分BRb、および第三の部分BRcの配置の例を示す図である。図13は、調査対象区域BRの第一の形態ないし第三の形態の例を示す図である。図14は、有色のセルの検索の例を示す図である。
【0044】
次に、画像処理回路10jによる二次元バーコードの処理を、図4などを参照しながら説明する。
【0045】
画像処理回路10jは、図4に示すように、カラー二次元バーコード提供部5およびカラー二次元バーコード解析部6によって構成される。
【0046】
カラー二次元バーコード提供部5は、図5に示すように、二次元バーコード生成部501、色変換部502、セル重なり比率決定部503、カラー二次元バーコード生成部504、およびカラー二次元バーコード印刷部505などによって構成される。これらの構成により、2つの二次元バーコードを1つのカラー二次元バーコードに纏めてユーザーへ提供する。
【0047】
二次元バーコード生成部501は、相違する2つの二次元バーコードを次のように生成する。
【0048】
二次元バーコード生成部501は、相違する2つの文字列CL1、CL2を入力するように、メッセージをタッチパネルディスプレイ10h2に表示するなどして、ユーザーに対して要求する。ユーザーは、カラー二次元バーコードによって表わしたい相違する2つの文字列CL1、CL2を、操作パネル10hを操作するなどして入力する。
【0049】
すると、二次元バーコード生成部501は、入力された文字列CL1、CL2をそれぞれモノクロ(単色)の二次元バーコードに変換する。これにより、2つのモノクロの二次元バーコードが生成される。以下、生成された2つの二次元バーコードをそれぞれ「第一の二次元バーコード41」および「第二の二次元バーコード42」と区別して記載することがある。
【0050】
以下、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42としてQR(Quick Response)コードが用いられる場合を例に、説明する。QRコードは、登録商標である。
【0051】
第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42それぞれの有色のセルは、黒色のセルである。第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42それぞれの無色のセルは、白色のセルである。
【0052】
また、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42は、同数のセルからなる。以下、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42ともにM×N個のセルからなる場合を例に、説明する。第一の二次元バーコード41のセルのサイズも第二の二次元バーコード42のセルのサイズも、同じである。
【0053】
なお、一般的に、セルの形状は正方形である。セルの個数は二次元バーコードで表現するデータのサイズおよび冗長性によって決まる。
【0054】
色変換部502は、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42それぞれの黒色のセルの色を、相違する色に変換する。以下、第一の二次元バーコード41のセルの色をマゼンタに変換し、第二の二次元バーコード42のセルの色をシアンに変換した場合を例に、説明する。なお。どの色に変換するのかは、予め決めておいてもよいし、ユーザーに指定させるようにしてもよい。ただし、互いに区別がはっきりする色に変換するのが望ましい。
【0055】
ところで、「背景技術」の欄で説明した通り、従来は、セルの色が相違する2つの二次元バーコードを、同じ位置のセル同士がぴったり合うように重ね合わせることによって、カラー二次元バーコードを生成した。しかし、本実施形態では、次に説明する通り、セルを少しずらして重ね合わせる。
【0056】
セル重なり比率決定部503は、セル重なり比率Rkを決定する。第一の二次元バーコード41と第二の二次元バーコード42とを重ね合わせる際の、同じ位置にあるセル同士のずれの比率である。例えば、図6に示すように、1つのセルの1辺の長さが長さLdであり、第一の二次元バーコード41のセルと第二の二次元バーコード42のセルとを距離Lbだけずらす(シフトさせる)のであれば、セル重なり比率Rkは、Lb/Ld、である。
【0057】
ただし、距離Lbは、長さLd未満であり、かつ、スキャンユニット10eによる読取り可能な最小のドットの長さLs以上である。つまり、セル重なり比率Rkの最小値は、スキャンユニット10eの読取解像度によって決まる。例えば、600dpiのプリンタで印刷された4×4画素/1セルの二次元バーコードを、600dpiのスキャナーで読み込む場合は、1つのセルの1辺の長さの4分の1が、長さLsである。そして、最小のセル重なり比率Rkは、「1/4」である。
【0058】
なお、図6において、スラッシュとほぼ同じ向きのハッチ(つまり、右上から左下方向の斜線のハッチ)のセルは、第一の二次元バーコード41の有色のセルを示している。バックスラッシュとほぼ同じ向きのハッチ(つまり、左上から右下方向の斜線のハッチ)のセルは、第二の二次元バーコード42の有色のセルを示している。網線のハッチのセルは、第一の二次元バーコード41の有色のセルと第二の二次元バーコード42の有色のセルとが重なっている箇所を示している。図6、図7、図9、図10、図11、図13、図15、および図16においても、同様である。
【0059】
セル重なり比率決定部503は、距離Lbが長さLs以上かつ長さLd未満になるようなセル重なり比率Rkを決定する。通常、長さLdの2分の1の長さは、スキャンユニット10eによって十分に読み取ることができる。そこで、セル重なり比率決定部503は、セル重なり比率Rkとして例えば「0.5」に決定する。または、ユーザーが指定した比率をセル重なり比率Rkに決定してもよい。以下、セル重なり比率Rkとして「0.5」が用いられる場合を例に説明する。
【0060】
カラー二次元バーコード生成部504は、第一の二次元バーコード41と第二の二次元バーコード42とを重ね合わせることによって、カラー二次元バーコード43を生成する。ただし、同じ位置にあるセル同士をぴったり合わせるのではなく、図6で説明した通り、少しずらして重ね合せる。
【0061】
本実施形態では、カラー二次元バーコード生成部504は、図7に示すように、第二の二次元バーコード42を長さLfだけ下および右へそれぞれシフトさせて重ね合わせる。長さLfは、セルの一辺の長さ(長さLd)とセル重なり比率Rkとの積である。
【0062】
カラー二次元バーコード印刷部505は、カラー二次元バーコード43が用紙に印刷されるように、印刷ユニット10fを制御する。これにより、カラー二次元バーコード43の印刷物が得られる。
【0063】
一方、図4のカラー二次元バーコード解析部6は、図8に示すように、カラー二次元バーコード取得部601、色分離処理部602、モノクロ二次元バーコード復元部603、テキスト化処理部604、テキスト出力処理部605、および色補正部606などによって構成される。
【0064】
カラー二次元バーコード取得部601は、印刷物に印刷されているカラー二次元バーコード43を次のように取得する。ユーザーは、印刷物を自動原稿送り装置10kの原稿給紙トレイにセットする。そして、スタートボタンを押すなどしてスキャンの指令を画像形成装置1に対して与える。
【0065】
すると、カラー二次元バーコード取得部601は、印刷物がスキャンユニット10eのプラテンガラスへ送られるように自動原稿送り装置10kを制御し、印刷物の原稿面がスキャンされるようにスキャンユニット10eを制御する。これにより、カラー二次元バーコード43が画像形成装置1に入力される。
【0066】
色分離処理部602は、カラー二次元バーコード取得部601によってカラー二次元バーコード43が得られると、カラー二次元バーコード43を色ごとの画像に分離する。
【0067】
上述の通り、カラー二次元バーコード43は、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42を重ね合わせたものである。よって、マゼンタ、シアン、および両色の合成色であるブルーの3色が、カラー二次元バーコード43に含まれている。したがって、色分離処理部602によると、マゼンタのセルからなるマゼンタ画像4M、シアンのセルからなるシアン画像4C、およびブルーのセルからなるブルー画像4Bが得られる。
【0068】
モノクロ二次元バーコード復元部603は、色分離処理部602によって得られた各色の画像を用いて、図9のように、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42を次のように復元する。マゼンタ画像4Mとブルー画像4Bとを重ね合わせ、色を1色に、例えば、マゼンタに統一することによって、第一の二次元バーコード41を復元する。同様に、シアン画像4Cとブルー画像4Bとを重ね合わせ、色を1色に、例えば、シアンに統一することによって、第二の二次元バーコード42を復元する。マゼンタまたはシアンの代わりに黒に統一してもよい。
【0069】
テキスト化処理部604は、モノクロ二次元バーコード復元部603によって復元された第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42それぞれを解析することによって、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42それぞれに示される文字列CL1、CL2を判別する。
【0070】
テキスト出力処理部605は、テキスト化処理部604によって判別された2つの文字列つまり文字列CL1、CL2を、タッチパネルディスプレイ10h2に表示させるなどして、出力する。
【0071】
ところで、一般的に印刷物をコピーし、さらにその複写物をコピーするなど、コピーを繰り返すと、つまり、ジェネレーションコピーを繰り返すと、画像の中の色が相違する隣り合う画素の階調差が小さくなっていく。
【0072】
カラー二次元バーコード43の場合は、第一の二次元バーコード41の有色のセルと第二の二次元バーコード42の有色のセルとが重なった部分が変色しやすい。特に、図10に示すように、シアンの画素がブルーに変色しやすい。よって、カラー二次元バーコード43は、ジェネレーションコピーを繰り返すと、図11のように、一部の画素の色が変色してしまう。
【0073】
すると、色分離処理部602による分離の処理およびテキスト化処理部604によるテキスト化の処理が上手く行かないことがある。
【0074】
そこで、色補正部606は、色分離処理部602による分離の処理またはテキスト化処理部604によるテキスト化の処理が上手く行かない場合に、カラー二次元バーコード43を、文字列の解析が可能になるように補正する。
【0075】
色分離不能時解析処理部606は、形態検出部661、色判別部662、およびセル色置換部663などによって構成される。
【0076】
形態検出部661は、カラー二次元バーコード43を、左上の頂点を基点に、上下の長さおよび左右の長さがともに長さLdの区域に区切る。さらに、それぞれの区域を、右下から右方向、右下方向、および下方向に(Ld×Rk)四方ずつ拡張する。本例では、セル重なり比率Rkは「0.5」なので、図12(A)に示すように、(Ld/2)四方ずつ拡張する。以下、拡張後の区域を「調査対象区域BR」と記載する。
【0077】
調査対象区域BRは、図12(B)に示すように、第一の部分BRa、第二の部分BRb、および第三の部分BRcからなる。第二の部分BRbは、注目区域のうちの拡張した部分である。第三の部分BRcは、注目区域の拡張前の区域と第三の部分BRcを含む最小の矩形の領域との重複部分である。第一の部分BRaは、注目区域のうちの第二の部分BRbおよび第三の部分BRcの両方を除いた部分である。
【0078】
そして、形態検出部661は、各調査対象区域BRから、図13に示す、有色のセルを含む3つの形態のうちの1つを検出する。
【0079】
1つ目の形態は、第一の二次元バーコード41の有色の1つのセルのみが配置された形態である。つまり、調査対象区域BRの左上に有色のセルが配置された形態である。以下、この形態を「第一の形態」と記載する。
【0080】
2つ目の形態は、第二の二次元バーコード42の有色の1つのセルのみが配置された形態である。つまり、調査対象区域BRの右下に有色のセルが配置された形態である。以下、この形態を「第二の形態」と記載する。
【0081】
3つ目は、第一の二次元バーコード41の有色の1つのセルと第二の二次元バーコード42の有色の1つのセルとが重なった形態である。つまり、調査対象区域BRの形状がそのまま色付きで表れた形態である。以下、この形態を「第三の形態」と記載する。
【0082】
色判別部662は、各調査対象区域BRの中の各画素の色を判別する。第一の形態および第二の形態のうちのいずれかであれば、色が変化しにくい。よって、色判別部662は、第一の形態および第二の形態のうちのいずれかを示す調査対象区域BRからは、従来通り、各画素の色を検出し、検出した色を各画素の色であると判別する。この処理によると、第一の形態を示す調査対象区域BRの第一の部分BRaおよび第三の部分BRcからマゼンタが検出され、第二の部分BRbから白が検出され、それぞれの部分の色に決定する。また、第二の形態を示す調査対象区域BRの第二の部分BRbおよび第三の部分BRcからシアンされ、第一の部分BRaから白が検出され、それぞれの部分の色に決定する。
【0083】
第三の形態の調査対象区域BRからは、スキャンした印刷物がジェネレーションコピーの印刷物でなければ、マゼンタ、シアン、およびブルーの3色が検出されるはずである。しかし、ジェネレーションコピーを繰り返すと、上述の通り、これらの色をきちんと検出できないことがある。そこで、色判別部662は、この調査対象区域BRの色を次の方法で判別する。
【0084】
色判別部662は、図14(A)のように、この調査対象区域BRの第一の部分BRaの真上、真下、真左、および真右のいずれかから第一の形態の他の調査対象区域BRの中の有色のセルを検索する。そして、検索されたセルの色を、この第一の部分BRaの色であると判別する。なお、複数のセルが見つかった場合は、孤立しているセルの色、つまり、無色(白色)のセルに囲まれているセルの色を第一の部分BRaの色とするのが、望ましい。
【0085】
同様に、色判別部662は、図14(b)のように、この調査対象区域BRの第二の部分BRbの真上、真下、真左、および真右のいずれかから第二の形態の他の調査対象区域BRの中の有色のセルを検索する。そして、検索されたセルの色を、この第二の部分BRbの色であると判別する。さらに、第三の部分BRcの色を、第一の部分BRaおよび第二の部分BRbそれぞれから検出した色の合成色であると判別する。
【0086】
セル色置換部663は、各調査対象区域BRの各画素の色を、色判別部662によって判別された色に置き換えることによって、カラー二次元バーコード43を補正する。
【0087】
色補正部606の各部による以上の処理によって、カラー二次元バーコード43が補正される。
【0088】
その後、色分離処理部602およびモノクロ二次元バーコード復元部603は、色補正部606によって補正されたカラー二次元バーコード43に対して、図9などを用いて説明した処理を施すことによって、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42を復元する。そして、テキスト化処理部604は、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42を解析することによって文字列CL1およびCL2を取得し、テキスト出力処理部605は、文字列CL1およびCL2を出力する。
【0089】
本実施形態によると、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42を、セル同士が完全に重なり合わないように少しずらして、重ね合わせることによって、カラー二次元バーコード43を生成した。よって、カラー二次元バーコード43の中の一部の有色のセルの再現性が低下しても、他の有色のセルに基づいて当該一部の有色のセルの色を判別し、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42に分離することができる。
【0090】
上述の実施形態では、第一の二次元バーコード41の有色のセルの色としてマゼンタを用い、第二の二次元バーコード42の有色のセルの色としてシアンを用いたが、別の色を用いてもよい。例えば、イエローとシアンとを用いてもよい。
【0091】
上述の実施形態では、第一の二次元バーコード41に対して第二の二次元バーコード42を右下方向へセルの2分の1個分シフトさせてカラー二次元バーコード43を生成したが、他の方向へシフトさせて生成してもよい。
【0092】
図15は、カラー二次元バーコード43の生成方法の変形例を示す図である。図16は、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42の検出方法の変形例を示す図である。
【0093】
上述の実施形態では、第二の二次元バーコード42の全体をシフトさせてカラー二次元バーコード43を生成したが、3つの角にある位置検出パターン(いわゆる、大きい目玉)だけはシフトさせずにカラー二次元バーコード43を生成してもよい。つまり、第一の二次元バーコード41の3つの位置検出パターンと第二の二次元バーコード42の3つの位置検出パターンとを完全に一致させ、位置検出パターン以外のセルをシフトさせて、カラー二次元バーコード43を生成してもよい。この場合は、図5に示すカラー二次元バーコード提供部5の各部および図8に示すカラー二次元バーコード解析部6の各部は、次のように処理を行う。
【0094】
二次元バーコード生成部501およびセル重なり比率決定部503は、上述の通りの処理を行う。
【0095】
色変換部502は、基本的に上述の通り、第一の二次元バーコード41の有色のセルの色と第二の二次元バーコード42の有色の色とを相違する色に変換する。つまり、例えば、前者をマゼンタに変換し、後者をシアンに変換する。ただし、位置検出パターンを構成するセルの色は、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42ともに、黒のままにしておく。
【0096】
カラー二次元バーコード生成部504は、第二の二次元バーコード42の中から3つの位置検出パターンを検出する。そして、3つの位置検出パターンを構成するセルは動かさず、それ以外のセルを長さLfだけ下および右へそれぞれシフトさせる。そして、図15のように、シフトさせた第二の二次元バーコード42を第一の二次元バーコード41に重ね合せることによって、カラー二次元バーコード43’を生成する。
【0097】
カラー二次元バーコード印刷部505は、生成されたカラー二次元バーコード43’が用紙に印刷されるよう印刷ユニット10fなどを制御する。
【0098】
次に、カラー二次元バーコード43’から第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42を検出する処理を、図16に示す手順で処理を行う。
【0099】
カラー二次元バーコード取得部601が原稿からカラー二次元バーコード43’を取得すると(図16の#11)、色分離処理部602は、上述の通り、カラー二次元バーコード43’を色ごとの画像に分離する(#12)。ただし、分離の結果、マゼンタ画像4M’、シアン画像4C’、およびブルー画像4B’だけでなく、黒のセルからなる黒画像4K’が得られる。黒画像4K’は、3つの位置検出パターンを表わす画像である。したがって、色分離処理部602の処理によって3つの位置検出パターンを検出することができる。
【0100】
モノクロ二次元バーコード復元部603は、上述の実施形態と基本的に同様の方法で、マゼンタ画像4M’、シアン画像4C’、およびブルー画像4B’を用いて第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42の位置検出パターン以外の部分を復元する(#13)。
【0101】
そして、モノクロ二次元バーコード復元部603は、復元した各部分に黒画像4K’を重ねることによって第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42の全部分を復元する(#14)。また、カラー二次元バーコード43’を生成する際に第二の二次元バーコード42の位置検出パターンとそれ以外の部分との相対的な位置が変更されている。そこで、モノクロ二次元バーコード復元部603は、両者の相対的な位置を、QRコードの規格に基づいて調整する。
【0102】
その後、テキスト化処理部604によって第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42から文字列CL1およびCL2が得られ、テキスト出力処理部605によって文字列CL1およびCL2が出力される。色分離処理部602またはテキスト化処理部604による処理が上手く行かない場合は、色補正部606によってカラー二次元バーコード43’の色の補正が行われる。
【0103】
なお、3つの位置検出パターンだけでなく、中心付近にあるアライメントパターンを構成するセル群(いわゆる、小さい目玉)もシフトさせずに、カラー二次元バーコード43’を生成してもよい。また、位置検出パターンなどをずらすか否かは、カラー二次元バーコードを生成するごとにユーザーが選択してもよいし、画像形成装置1に予め設定しておいてもよい。
【0104】
上述の実施形態では、上下方向および左右方向のシフトのために共通のセル重なり比率Rkを用いたが、セル重なり比率Rkを、上下方向および左右方向のそれぞれで異なるように設定してもよい。
【0105】
位置ごとに第一の二次元バーコード41の有色のセルおよび第二の二次元バーコード42の有色のセル同士が重なるか否かをチェックし、重なる割合が一定未満であれば、従来通り、第一の二次元バーコード41と第二の二次元バーコード42とをずらすことなく重ねてることによって、カラー二次元バーコード43を生成してもよい。以下、この割合を「有色セル重複割合Rc」と記載する。
【0106】
図17は、カラー二次元バーコード43を生成する処理の流れの例を示す図である。図18は、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42を検出する処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0107】
上述の実施形態では、図5および図8にそれぞれ示す機能をハードウェアモジュールによって実現したが、一部または全部の機能をコンピュータープログラムをCPU10aに実行させることによって実現してもよい。この場合は、カラー二次元バーコード43を提供するプログラムとして図17に示す手順で処理を行う第一のプログラムを用意し、CPU10aに実行させればよい。また、カラー二次元バーコード43を解析するプログラムとして図18に示す手順で処理を行う第二のプログラムを用意し、CPU10aに実行させればよい。
【0108】
ここで、第一のプログラムおよび第二のプログラムによる処理を、図17および図18を参照しながら説明する。
【0109】
画像形成装置1は、1つのカラー二次元バーコードに纏めて表わす2つの文字列CL1、CL2の入力を受け付ける(図17の#701)。そして、文字列CL1を第一の二次元バーコード41に変換し、文字列CL2を第二の二次元バーコード42に変換する(#702)。さらに、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42それぞれの有色のセルを相違する色、例えば、マゼンタおよびシアンに変更する(#703)。そして、有色セル重複割合Rcを算出する(#704)。
【0110】
有色セル重複割合Rcが一定の値未満であれば(#705でNo)、画像形成装置1は、従来通り、第一の二次元バーコード41と第二の二次元バーコード42とを、シフトを行うことなく重ね合わせることによって、カラー二次元バーコードを生成する(#706)。そして、生成したカラー二次元バーコードを印刷する(#713)。
【0111】
一方、有色セル重複割合Rcが一定の値以上であれば(#705でYes)、画像形成装置1は、第二の二次元バーコード42をずらす方向および長さなどの設定を行う(#707)。
【0112】
図15で説明したように位置検出パターンをずらさずに重ね合わせる場合は(#708でNo)、画像形成装置1は、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42それぞれの位置検出パターンの色を黒に変換する(#709)。第二の二次元バーコード42の位置検出パターン以外のセルを、ステップ#706の設定に基づいてシフトさせる(#710)。そして、第一の二次元バーコード41と第二の二次元バーコード42とを重ね合わせることによってカラー二次元バーコード43’を生成し(#712)、印刷する(#713)。
【0113】
図7で説明したように位置検出パターンを含め全体をずらして重ね合わせる場合は(#708でYes)、画像形成装置1は、第二の二次元バーコード42全体をステップ#706の設定に基づいてシフトさせる(#711)。そして、第一の二次元バーコード41と第二の二次元バーコード42とを重ね合わせることによってカラー二次元バーコード43’を生成し(#712)、印刷する(#713)。
【0114】
その後、ユーザーがカラー二次元バーコード43が印刷された印刷物を画像形成装置1にセットし所定のコマンドを入力すると、画像形成装置1は、カラー二次元バーコード43に示される文字列を解析する処理を次のように行う。
【0115】
画像形成装置1は、セットされた印刷物をスキャンしてカラー二次元バーコード43を読み込む(図18の#721)。さらに、カラー二次元バーコード43から位置検出パターンを検出し(#722)、調査対象区域BRごとの形態(図13参照)を検出する(#723)。
【0116】
第三の形態が1つも検出されなかった場合は(#724でYes)、画像形成装置1は、従来の方法でカラー二次元バーコード43から第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42を復元し、それぞれに示される文字列CL1、CL2を解析し(#725)、出力する(#734)。
【0117】
第三の形態が1つでも検出された場合は(#724でNo)、画像形成装置1は、2つの二次元バーコードがシフトされて重ね合わされることによってカラー二次元バーコード43が生成されたと判定する(#726)。そして、次のように処理を行う。
【0118】
画像形成装置1は、カラー二次元バーコード43を色ごとの画像に分離する(#727)。分離に成功した場合は(#728でYes)、各色の画像に基づいて第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42を復元する(#730)。分離が上手く行かなかった場合は(#728でNo)、図14で説明した方法でカラー二次元バーコード43の色の補正を行う(#729)。そして、補正後のカラー二次元バーコード43を色ごとの画像に分離し(#727)、各色の画像に基づいて第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42を復元する(#730)。
【0119】
画像形成装置1は、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42それぞれを解析して文字列CL1、CL2を特定し(#732)、出力する。ただし、第一の二次元バーコード41および第二の二次元バーコード42のうちの少なくとも一方に、位置検出パターンとそれ以外のセルとのずれがある場合は(#731でYes)、ずれを補正してから(#732)、文字列の解析および出力を行う(#733、#734)。
【0120】
上述の実施形態では、2つの二次元バーコードを重ね合わせてカラー二次元バーコードを生成したが、本発明は、3つ以上の二次元バーコードを重ね合わせてカラー二次元バーコードを生成する場合にも適用することができる。N個の二次元バーコードを重ね合わせてカラー二次元バーコードを生成する場合は、比率Rkとして例えば「1/N」を用いればよい。
【0121】
上述の実施形態では、二次元バーコードとしてQRコードを用いる場合を例に説明したが、本発明は、他の規格の二次元バーコードを用いる場合にも適用することができる。
【0122】
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、二次元バーコードの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次元バーコードとして、有色のセルの色が互いに異なる複数の二次元バーコードを取得する、二次元バーコード取得手段と、
前記複数の二次元バーコード同士を、同じ位置のセル同士を一定の距離だけずらして重ね合せることによって、カラー二次元バーコードを生成する、カラー二次元バーコード生成手段と、
前記カラー二次元バーコードを出力するカラー二次元バーコード出力手段と、
を有することを特徴とするカラー二次元バーコード生成装置。
【請求項2】
前記カラー二次元バーコード生成手段は、位置検出パターンまたはアライメントパターンを構成するセルについてはずらすことなく前記複数の二次元バーコード同士を重ね合せることによって、前記カラー二次元バーコードを生成する、
請求項1に記載のカラー二次元バーコード生成装置。
【請求項3】
前記カラー二次元バーコード生成手段は、前記位置検出パターンまたはアライメントパターンを構成するセルの色として黒を用いて前記カラー二次元バーコードを生成する、
請求項2に記載のカラー二次元バーコード生成装置。
【請求項4】
有色のセルの色が互いに異なる複数の二次元バーコード同士を同じ位置のセル同士を一定の距離だけずらして重ね合せることによって生成されたカラー二次元バーコードを取得するカラー二次元バーコード取得手段と、
前記カラー二次元バーコードの中の、前記一定の距離だけずれて重なり合う複数のセルの区域ごとに、当該区域にある有色の画素からなる有色画素群の形状を検出する、形状検出手段と、
前記区域から検出された前記形状が1つのセルの形状と同じである場合は、当該区域の前記有色画素群の色を検出し、当該有色画素群の色が当該検出した色であると判別し、当該形状が複数のセルをずらして重ね合せた形状と同じである場合は、当該区域の前記有色画素群の中の1つのセルに相当する部分であるセル部分ごとに真上、真下、真左、または真右に位置する他のセルの色を検出し、当該セル部分のうち他のセル部分と重なり合わない部分の色が当該検出した色であると判別し、他のセル部分と重なり合う部分の色が当該セル部分および当該他のセル部分それぞれについてそれぞれ検出した色の合成色であると判別する、色判別手段と、
前記色判別手段によって判別された、前記カラー二次元バーコードの各画素の色に基づいて、前記複数の二次元バーコードのそれぞれを特定する、二次元バーコード特定手段と、
を有することを特徴とするカラー二次元バーコード読取装置。
【請求項5】
複数の二次元バーコードとして、有色のセルの色が互いに異なる複数の二次元バーコードを取得し、
前記複数の二次元バーコード同士を、同じ位置のセル同士を一定の距離だけずらして重ね合せることによって、カラー二次元バーコードを生成し、
前記カラー二次元バーコードを出力する、
ことを特徴とするカラー二次元バーコード生成方法。
【請求項6】
有色のセルの色が互いに異なる複数の二次元バーコード同士を同じ位置のセル同士を一定の距離だけずらして重ね合せることによって生成されたカラー二次元バーコードを取得し、
前記カラー二次元バーコードの中の、前記一定の距離だけずれて重なり合う複数のセルの区域ごとに、当該区域にある有色の画素からなる有色画素群の形状を検出し、
前記区域から検出された前記形状が1つのセルの形状と同じである場合は、当該区域の前記有色画素群の色を検出し、当該有色画素群の色が当該検出した色であると判別し、当該形状が複数のセルをずらして重ね合せた形状と同じである場合は、当該区域の前記有色画素群の中の1つのセルに相当する部分であるセル部分ごとに真上、真下、真左、または真右に位置する他のセルの色を検出し、当該セル部分のうち他のセル部分と重なり合わない部分の色が当該検出した色であると判別し、他のセル部分と重なり合う部分の色が当該セル部分および当該他のセル部分それぞれについてそれぞれ検出した色の合成色であると判別し、
判別した、前記カラー二次元バーコードの各画素の色に基づいて、前記複数の二次元バーコードのそれぞれを特定する、
ことを特徴とするカラー二次元バーコード読取方法。
【請求項7】
複数の二次元バーコードとして、有色のセルの色が互いに異なる複数の二次元バーコードを取得する処理をコンピューターに実行させ、
前記複数の二次元バーコード同士を、同じ位置のセル同士を一定の距離だけずらして重ね合せることによって、カラー二次元バーコードを生成する処理を前記コンピューターに実行させ、
前記カラー二次元バーコードを出力する処理を前記コンピューターに実行させる、
ことを特徴とするコンピュータープログラム。
【請求項8】
有色のセルの色が互いに異なる複数の二次元バーコード同士を同じ位置のセル同士を一定の距離だけずらして重ね合せることによって生成されたカラー二次元バーコードを取得する処理をコンピューターに実行させ、
前記カラー二次元バーコードの中の、前記一定の距離だけずれて重なり合う複数のセルの区域ごとに、当該区域にある有色の画素からなる有色画素群の形状を検出する処理を前記コンピューターに実行させ、
前記区域から検出された前記形状が1つのセルの形状と同じである場合は、当該区域の前記有色画素群の色を検出し、当該有色画素群の色が当該検出した色であると判別し、当該形状が複数のセルをずらして重ね合せた形状と同じである場合は、当該区域の前記有色画素群の中の1つのセルに相当する部分であるセル部分ごとに真上、真下、真左、または真右に位置する他のセルの色を検出し、当該セル部分のうち他のセル部分と重なり合わない部分の色が当該検出した色であると判別し、他のセル部分と重なり合う部分の色が当該セル部分および当該他のセル部分それぞれについてそれぞれ検出した色の合成色であると判別する処理を、前記コンピューターに実行させ、
判別した、前記カラー二次元バーコードの各画素の色に基づいて、前記複数の二次元バーコードのそれぞれを特定する処理を前記コンピューターに実行させる、
ことを特徴とするコンピュータープログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−41496(P2013−41496A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178874(P2011−178874)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】