説明

カラー画像データの間引き方法及び装置、並びにカラー画像データの圧縮方法

【目的】 画像の圧縮に際し、色変化に比較的鈍感であるとの人間の目の特性を生かしての、データ間引きを行いたい。
【構成】 フレームメモリ上の小ブロックサイズのカラー画像データ(輝度を示すYデータ、色成分を示すUデータとVデータ)について、色成分であるUデータ及び又はVデータの変化率を求め(フローF9)、この変化率の大きい時には図2による処理、即ち間引きを行わないまま出力を行い(フローF12)、変化率が中間的な大きさの時には図3による間引きを行って出力を行い(フローF13)、変化率が小さい時には図4による間引きを行って出力を行う(フローF14)。これによって、色成分の変化率に対応した間引きがなされる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像データ間引き方法及び装置、特にカラー成分の間引きに好適な方法及び装置並びにカラー画像データの圧縮方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー画像にあっては、1つの画素値が、1つの輝度成分(これをYデータと呼ぶ)と2つの色成分(Uデータ、Vデータと呼ぶ)とより成る例がある。かかるカラー画像のデータ圧縮について図2〜図4で説明する。
【0003】図2はデータ圧縮前のカラー画像データを示す図であり、8×8の小ブロックのピクセルサイズ例で示している。図2(a)に示すYデータとUデータとVデータとをつなぎ合わせて図(b)に示すカラー画像データを形成する。図3はU、Vデータを水平方向に1ピクセル(1列)ずつ間引く例であり、図3(a)には16×8の大きさのピクセルサイズ例で示している。つなぎ合わせでは、Yデータはそのまま利用し、16×8のU、Vデータは、1列ずつ間引いて、8×8のサイズとし、図3(b)に示すようにつなぐ。黒マル印が間引くデータであり、白マル印が残しておくデータである。
【0004】図4は、間引きを更に多くした例であり、水平方向に1ピクセル(1行)ずつ間引くと共に垂直方向に1ピクセル(1列)ずつ間引くようにしたものである。即ち、図4(a)で、16×16サイズのYデータはそのまま利用し、16×16サイズのU、Vデータは1行及び1列ずつ間引いて8×8サイズとし、これを図4R>4(b)に示すようにYデータにつなげるようにしたものである。つなげる時のサイズは、Yデータも8×8のサイズとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように抽出されたそれぞれの8×8ブロックを基本単位とし、DCT変換され、量子化、ハフマン符号化の処理を経て圧縮画像データが得られ、これらの処理を繰り返し行うことで、全体画像の圧縮を行う。
【0006】図5に従来の圧縮アルゴリズムの処理概要フローを示す。フローF1で外部から設定される間引き率に従って間引き処理を行う。フローF2で離散コサイン変換(DCT変換)を行い、フローF3で量子化を行い、フローF4でハフマン符号化の処理を行って圧縮画像を得る。これを1フレームの全てについて行う(F5)。従来の圧縮アルゴリズムでは、1フレーム全てを予め与えられた色成分の間引き率で間引きを行うため、1フレーム内において色の変化が大きい部分と小さい部分が存在する画像データを圧縮する場合、間引き率を大きくすると色の変化が大きい部分の画質が劣化し、間引き率を小さくすると色の変化の小さい部分の圧縮率を大きくすることができない欠点がある。
【0007】本発明の目的は、従来技術の欠点を解決し、高い画質で大きな圧縮率を得られる画像データの間引き方法及び装置並びにカラー画像データの圧縮方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、フレームメモリ上の小ブロックサイズのカラー画像データ(輝度を示すYデータ、色成分を示すUデータとVデータ)について、色成分であるUデータ及び又はVデータの変化率を求め、この変化率の大きい時には小さな間引きを行い、変化率の小さい時には大きな間引きを行うようにしたカラー画像データの間引き方法を開示する。
【0009】更に本発明は、フレームメモリ上の小ブロックサイズのカラー画像データ(輝度を示すYデータ、色成分を示すUデータとVデータ)について、色成分であるUデータ及び又はVデータの変化率を求め、この変化率の大きい時には小さな間引きを行い、変化率の小さい時には大きい間引きを行うようにすると共に、これによって得た小ブロックサイズのカラー画像データにDCT変換、量子化処理、符号化処理を行って画像圧縮を行うようにしたカラー画像データ圧縮方法を開示する。
【0010】更に前記変化率による間引き法は、変化率の大きい時には小ブロックサイズのデータそのものを間引きせずにDCT処理を行わせ、変化率の小さい時には小ブロックサイズのデータに対して水平、垂直方向の1行、1列毎の間引きを行ってDCT処理を行わせ、その中間的な変化率の時には小ブロックサイズのデータに対して水平又は垂直のいずれか一方向のみの1行又は1列毎の間引きを行ってDCT処理を行わせるようにした方法を開示する。
【0011】更に本発明は、フレームメモリ上の小ブロックサイズのカラー画像データ(輝度を示すYデータ、色成分を示すUデータとVデータ)について、色成分であるUデータ、Vデータの変化率を求める手段と、変化率の大きさに応じて間引き率を変更して間引きを行う手段と、より成るカラー画像データの間引き装置を開示する。
【0012】更に本発明は、フレームメモリ上の小ブロックサイズのカラー画像データについて、そのカラー成分の変化率を求め、変化率の大きさで間引きを行うようにしたカラー画像データ間引き方法を開示する。
【0013】
【作用】本発明によれば、フレームメモリ上の小ブロックについて色変化に応じて間引き率を決めることにしたため、色成分に応じた間引きを達成する。これによって、色変化が大きい時には間引きを行わないか又は少ない間引き率で間引きを行い、色変化が少なければ大きな間引き率で間引きを行う。
【0014】
【実施例】図1は本発明の画像圧縮のフローチャートの実施例図である。図5との相異は、フローF1に代わって、新しくフローF9〜F14を付加した点にある。先ず、フローF9では、U、Vの各色成分の色の変化を算出する。この算出した色の変化値が規定の閾値以上か否かをフローF10で比較する。規定の閾値以上であれば、フローF12で図2の間引き処理、即ち、間引きを全く行わずにそのままYデータ、U、Vデータをつなぐ。フローF10での比較で、規定の閾値以下であれば、フローF11に移り、この閾値よりも小さい第2の閾値以上か否かを比較する。第2の閾値以上であれば、フローF13に移り図3の1列おきの間引き処理を行う。第2の閾値以下であれば、フローF14に移り図4の1列及び1行おきの間引き処理を行う。
【0015】これらのF12〜F14の処理が終わると、フローF2でDCT変換を行い、フローF3で量子化を行い、フローF4でハフマン符号化を行う。こうした処理を1フレーム全体にわたって行う(F5)。
【0016】フローF9での色成分の変化の算出法には種々の方法がある。
(1)、色成分U、Vデータの両者をみて1つの変化率を算出するやり方。この算出法は色成分U、Vを併せて、両者の単一の変化率aを求めようとするものである。この単一の変化率aで、U、V成分それぞれについてF10〜F14の処理を行う。
(2)、色成分U、Vデータ別々に、変化率を算出するやり方。(1)と異なり色成分U、Vデータ別々に変化率b、cを求め、変化率bに従ってUデータ、変化率cに従ってVデータのF10〜F14の処理を行う。
(3)、変化率の算出法。前記(1)、(2)のいずれであれ対象とするデータ群から変化率を求めることになるが、その変化率の求め方には種々の方法がある。
(イ)、変化率の算出対象となるデータ群について、画素値の大きさをパラメータとする分布データを求め、この分布データから変化率を統計的に求める方法がある。この統計処理法にも種々の方法がある。
(ロ)、単純な算出法としては、変化率の算出対象となるデータ群について、その最大値と最小値の差分によって変化率を求めるやり方がある。
【0017】図6は、本発明の画像圧縮装置の実施例図である。間引き処理部1では、フレーム10からの画像データについて図1のフローF9〜F14の処理を行う。DCT変換部2では図1のフローF2の処理を行う。量子化部3は図1のフローF3の処理を行う。ハフマン符号化部4では図1のフローF4の処理を行う。メモリ6が圧縮データを格納する。これから必要に応じて伝送する。
【0018】図7は、マイコン5によって実現した例である。このマイコン5は、図1のフローチャートを実現するソフトを持っている。尚、8×8、16×16、8×16、16×8等の種々のサイズが適用できることはいうまでもない。
【0019】本実施例によれば、フレームメモリ上の、1つの輝度成分(Yデータ)と2つの色成分(Uデータ、Vデータ)から成るカラー画像データを圧縮する際、色の変化には比較的鈍感である人間の目の特性を利用して、色成分を間引いた画像データに対しデータ圧縮を行う。これによって、人間の目の特性を生かした間引きを達成する。尚、Yデータ、Uデータ、Vデータでカラー画像データの表現形式例を対象としたが、その他の表現形式でもカラー成分への適用が可能である。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、8×8〜16×16ピクセル等の部分画像内の色の変化の度合により、適合した色成分の間引き率を選択することで、色の変化の大きい部分では高い画質を、色の変化の小さい部分では大きな圧縮率を得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理フローチャートの実施例図である。
【図2】Yデータ、Uデータ、Vデータの構成例図である。
【図3】Yデータ、Uデータ、Vデータの間引き例を示す図である。
【図4】Yデータ、Uデータ、Vデータの他の間引き例を示す図である。
【図5】従来の処理フローチャートである。
【図6】本発明の画像圧縮装置を示す図である。
【図7】本発明の他の画像圧縮装置を示す図である。
【符号の説明】
1〜F14 フロー
1 間引き処理部
2 DCT変換部
3 量子化部
4 ハフマン符号化部
5 マイコン
6 メモリ
10 フレームメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 フレームメモリ上の小ブロックサイズのカラー画像データ(輝度を示すYデータ、色成分を示すUデータとVデータ)について、色成分であるUデータ及び又はVデータの変化率を求め、この変化率の大きい時には小さい間引きを行い、変化率の小さい時には大きい間引きを行うようにしたカラー画像データの間引き方法。
【請求項2】 フレームメモリ上の小ブロックサイズのカラー画像データ(輝度を示すYデータ、色成分を示すUデータとVデータ)について、色成分であるUデータ及び又はVデータの変化率を求め、この変化率の大きい時には小さい間引きを行い、変化率の小さい時には大きい間引きを行うようにすると共に、これによって得た小ブロックサイズのカラー画像データにDCT変換、量子化処理、符号化処理を行って画像圧縮を行うようにしたカラー画像データ圧縮方法。
【請求項3】 変化率による間引き法は、変化率の大きい時には小ブロックサイズのデータそのものを間引きせずにDCT処理を行わせ、変化率の小さい時には小ブロックサイズのデータに対して水平、垂直方向の1行、1列毎の間引きを行ってDCT処理を行わせ、その中間的な変化率の時には小ブロックサイズのデータに対して水平又は垂直のいずれか一方向のみの1行又は1列毎の間引きを行ってDCT処理を行わせるようにした請求項2のカラー画像データ圧縮方法。
【請求項4】 フレームメモリ上の小ブロックサイズのカラー画像データ(輝度を示すYデータ、色成分を示すUデータとVデータ)について、色成分であるUデータ、Vデータの変化率を求める手段と、変化率の大きさに応じて間引き率を変更して間引きを行う手段と、より成るカラー画像データの間引き装置。
【請求項5】 フレームメモリ上の小ブロックサイズのカラー画像データについて、そのカラー成分の変化率を求め、変化率の大きさで間引きを行うようにしたカラー画像データ間引き方法。

【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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