カラー画像装置及びカラー画像調整方法
【目的】 色調整の指示が、表示された色情報と対応するように設定され、かつ、操作性に優れた色調整可能なカラー画像装置を得る。
【構成】 カラー画像入力部1、色調整部2、カラー画像出力部3、外部装置インターフェース部4、画像表示部5を備え、原画像と調整画像を同時に表示できる手段、調整対象になる原画像および調整画像の色情報を表示する手段を持ち、さらに、その色情報表示手段に設けられた色調整量と色情報分布との対応が明確にである調整指示手段、その調整指示に基づき色調整マトリクスを設定する手段を設けたものである。
【効果】 カラー調整の指示、色情報グラフ、調整画像との対応が明確になり、ヒューマンインターフェース面の操作性が向上し、かつ、使用者が自ら色を簡単に調整できる。さらに、外部装置の色の調整も容易にできる。
【構成】 カラー画像入力部1、色調整部2、カラー画像出力部3、外部装置インターフェース部4、画像表示部5を備え、原画像と調整画像を同時に表示できる手段、調整対象になる原画像および調整画像の色情報を表示する手段を持ち、さらに、その色情報表示手段に設けられた色調整量と色情報分布との対応が明確にである調整指示手段、その調整指示に基づき色調整マトリクスを設定する手段を設けたものである。
【効果】 カラー調整の指示、色情報グラフ、調整画像との対応が明確になり、ヒューマンインターフェース面の操作性が向上し、かつ、使用者が自ら色を簡単に調整できる。さらに、外部装置の色の調整も容易にできる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電気信号で表示されているカラー画像を編集する装置に関するものである。特にその画像の色調整性を改良したカラー画像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来例1.図25は例えば特開平4−352569号公報に示された従来の色補正装置のブロックを示す図である。図において、6は画像を読取るスキャナ、8は画像を形成するプリンタ、7は従来例における色補正装置である。この色補正装置7は、次の各ブロックから構成される。71は色補正を実行する色補正部、72は初期の色補正の度合いを調整するパラメータを記憶する初期パラメータメモリ部、73は初期パラメータメモリ部72の内容を設定できるデータ入力部、74は修正用の色補正の度合いを調整するパラメータを記憶する修正パラメータメモリ部、75は使用者の操作から修正パラメータを導出するファジイ推論部、76は使用者の指示を入力するための操作部である。
【0003】図26は、図25に示した色補正部71の内部構成を示すブロック図である。本図において、711は入力画像データを修正する変換テーブルを記憶し修正を行う色補正テーブルメモリ部、712は修正したい色範囲の画像か否かを判定する色範囲判定部、713は色範囲判定部712の判定結果に応じて出力を選択するセレクタ、714はスキャナ6の信号系をプリンタ8の信号系に変換する色変換部、715は入力信号を強度補正する入力強度補正部、716は出力信号の強度を補正する出力強度補正部である。
【0004】次に、従来の色補正装置の動作について説明する。まず、使用者からの色修正の要求がない色状態では、色補正装置7は色補正用の初期パラメータで設定される色補正の状態にある。データ入力部73は前もって求められた色補正の度合いから色補正用の初期パラメータを求めて初期パラメータメモリ部72に記憶する。初期パラメータメモリ部72は、色補正部71に初期パラメータから導出される色補正の度合いをセットする。初期パラメータメモリ部72が色補正テーブルメモリ部711に色補正テーブルH(L、H、S)をセットし(ここで、L、H、Sは、各明度、色相、彩度を表す)、色範囲判定部712に色補正をしたい色範囲Siをセットし、色変換部714にスキャナ6の信号からプリンタ8の信号に変換する各種の変換マトリクスMiおよび関数fiをセットする。
【0005】この状態でスキャナ6より画像が入力されると、色補正部71の内部では入力信号が色補正テーブルメモリ部711、色範囲判定部712とセレクタ713に供給され、色補正テーブルメモリ部では入力信号を座標変換した(L、H、S)の値を用いてアドレスにデコードし、内部の色補正テーブルメモリ部に対してそのアドレスで読みだし、データを色補正した信号をセレクタ713に供給する。
【0006】一方、色判定部712は入力信号が補正したい色範囲Siにあるか否かを判定し、その結果をセレクタ713に出力し、セレクタ713はその結果に応じて色補正された信号、または、入力信号を色変換部714に出力する。色変換部714は、入力信号または補正された信号を前記マトリクスMiおよび関数fiを用いプリンタ8の濃度信号に変換しプリンタ8に出力する。以上の動作を前入力信号に対して行い、画像を形成する。
【0007】次に、使用者の色修正要求が操作部76から入力された場合について説明する。この際、ファジイ推論部75は色修正要求を解析推論し、色補正パラメータ、色補正テーブルH(L、H、S)や色補正を行いたい色範囲Si、変換マトリクスMiおよび関数fiを求め、修正パラメータメモリ部74に記憶する。修正パラメータメモリ部74は、色修正用パラメータから色補正テーブルH(L、H、S)や色補正をしたい色範囲Si、変換マトリクスMi、関数fiを導き、各色補正テーブルメモリ部711、色範囲判定部712、色変換部714にセットする。以下同様に入力信号を処理し、画像を得る。
【0008】従来例2.図27〜図29は、例えばアドービ社のフォトショップ(PHOTOSHOPはアドービ社の登録商標)のユーザガイドに示されたダイヤログボックスを示す図である。
【0009】図27はグレースケールを持つイメージを白黒で表示する場合のスレッシュホールドレベルを調整するダイヤログボックスを示している。カーソルによりマウスポインタを左右に移動させることにより、グレースケールで表示されているイメージの白と黒の境界をスレッシュホールドレベルとして設定することが可能である。
【0010】又、図28はブライトネスとコントラストを変更するためのダイヤログボックスである。マウスポインタを左右に移動させる事によりブライトネス及びコントラストを変更することができる。
【0011】次に図29は、ブライトネスとコントラストを調整するダイヤログボックスを示している。この図29に示すダイヤログボックスは赤とグリーンとブルーを別々に指定して調整することが可能であると共に、赤と緑と青を一緒にマスターモードとして同時に調整することも可能である。シャドウを示すマウスポインタを移動させることによりイメージの最低輝度を調整することができる。又、ハイライトのマウスポインタを移動させる事により最大輝度を調整することができる。又、γを示すマウスポインタを移動させることにより最大輝度と最小輝度を変更することなく中間色の輝度を変更することができる。
【0012】図27及び図29に示すダイヤログボックスにはヒストグラムが示されている。ヒストグラムは横軸が明るさの値を示しており、縦軸が画素の数を示している。これらのヒストグラムは白黒で表示されている。このようにフォトショップはダイヤログボックスを用いて原画像を調整するが、このフォトショップによる画像表示は原画像を直接調整してしまうものである。即ち、原画像に対しダイヤログボックスを用いて色の調整を指定すると、原画像がその調整指示に基づいて調整されるものである。従って調整後の画像しか表示されず、原画像と調整画像を比較することが出来ない。
【0013】従来例3.図30はジャパンハードコピー’89論文集のP.249〜252に示された「色空間内の格子点補完によるカラー画像の選択的色調整」(NIP−30、金森、川上、小寺)に示された色調整の手順を示す図である。この図に示された手順は、まず、濃度空間81をRGBの色空間に変換する。次に、RGBの色空間からXYZの色空間を経由してL*a*b*空間へ変換する。この、L*a*b*空間を用いて調整量を指定する。そして、調整後の値を再びXYZの色空間を経由してRGBの色空間に戻して、再び濃度空間に戻すものである。このように従来の色調整を行う場合には、色調整量を人間の認識にマッチした色調整を行うために、色調整を指定するための色空間を画像データが構成されている色空間と変えて行うことがある。このような場合には画像データの色空間を一旦調整量の指定に用いた色空間に変換し、変換した後のデータを再び画像データが用いられている色空間に逆変換するという過程を経ていた。このように変換及び逆変換を行うことを各画素毎に行うため、色調整の処理速度が遅くなるという問題点があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来例1に示したカラー画像装置の色補正部は以上のように構成されているので、色を修正または調整したい場合、例えば、「かなり暗い部分を少し明るく」というような指示を操作部から指示しなければならず、指示を的確な言葉に置き換える必要があった。さらに、言葉の種類も限られているので十分な調整を行うことが難しかった。また、複数の色を調整したい場合、前記のような指示を複数あたえなければならなかった。このような点において、従来のカラー画像装置の色補正部は調整指示の方法に問題があった。
【0015】また、色を調整した際に色がどのように変化したかを表示する機能もなく、使用者は最終出力画像を見て色の調整を行っていたため、使用者の主観に頼るあいまいな部分が多く、時間やコスト面で不都合な点が多かった。
【0016】また、従来例2に示したカラー画像用調整ソフトウェアはイメージを調整するためにヒストグラムを表示し、スレッシュホールドレベルやコントラスト等をマウスにより変更することができるが、その指定はそれぞれの指定を別々のダイヤログボックスで行う必要があり、全体としてどのような調整を行ったかを容易に知ることが出来なかった。さらにダイヤログボックスの情報は全て白黒で表示されているため、どのような変更がなされるかを感覚的に想像しながら調整を行わなければならなかった。また、調整前と調整後の画像及び、調整前と調整後の色の情報が表示されないため、調整前と調整後にどうのような変更があったかを比較することができないという問題があった。
【0017】また、従来例3に示した色調整手順においては、画像データを表す色空間と調整量を指定する色空間が異なる場合に各画素データを画像データの色空間から調整量を指定する色空間へ変換し、調整量を指定する色空間を用いて調整を行ってから再び画像データを表わす色空間に逆変換を行うという手順を用いているため、演算量が膨大になり処理速度が大幅に遅れるという問題点があった。
【0018】本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、色調整の指示が、表示された色情報と対応するように設定され、かつ、操作性に優れた色調整可能なカラー画像装置を得ることを目的としており、さらに、この装置の色調整方法を提供することを目的とする。また、本発明は画像データを表わす色空間と調整量を指定する色空間が異なる場合でも、画像データから直接調整後の画像データが求められるカラー画像装置を得ることを目的としており、さらにこの装置の色調整方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係わるカラー画像装置は以下の要素を有するものである。(a)原画像と調整画像を表示する画像表示手段、(b)上記原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する色情報表示手段、(c)上記色情報表示手段により表示された色情報に対して色調整を指示する調整指示手段、(d)上記調整指示手段の指示に基づき調整画像を生成し、上記画像表示手段により調整画像を表示させる調整手段。
【0020】第2の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段がさらに調整画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示すること特徴とするものである。
【0021】第3の発明に係わるカラー画像装置は調整手段が調整指示手段の指示による色調整量に基づき色調整マトリクスを生成するマトリクス生成手段と、色調整マトリクスを用いて原画像から調整画像を生成する調整画像生成手段を備えたことを特徴とするものである。
【0022】第4の発明に係わるカラー画像装置はマトリクス生成手段により生成された色調整マトリクスを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とするものである。
【0023】第5の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段が輝度、彩度、色相等の色の持つ属性毎に原画像を解析すると共に、各属性毎の分布を色情報として表示することを特徴とするものである。
【0024】第6の発明に係わるカラー画像装置は例えば、彩度と色相を混合させるように複数の属性の分布を混合させて色情報として表示することを特徴とするものである。
【0025】第7の発明に係わるカラー画像装置は調整指示手段が表示した色情報に対して調整量を指定するポインタを備え、彩度と色相が混合されたような複数の属性の分布を混合した色情報の場合に、ポインタの移動方向により調整すべき属性を選択し、ポインタの移動量により選択した属性の調整量を指示することを特徴とするものである。
【0026】第8の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段が表示する色情報にその色情報に対応する属性を付して表示することを特徴とする。
【0027】第9の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段が輝度、彩度、色相のように複数の属性に関する色情報を1つの画面に同時に表示し、色調整指示手段はこれらの複数の属性に関する調整指示を行い、マトリクス生成手段はこれらの複数の属性に関する調整指示に対して1つの色調整マトリクスを生成することを特徴とするものである。
【0028】第10の発明に係わるカラー画像装置は以下の要素を有するものである。(a)原画像を入力して原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する色情報表示手段、(b)上記色情報表示手段により表示された色情報に対して色の調整を指示する調整指示手段、(c)上記調整指示手段の指示に基づいて色調整マトリクスを生成するマトリクス生成手段、(d)上記マトリクス生成手段により生成された色調整マトリクスを出力する出力手段。
【0029】第11の発明に係わるカラー画像装置は原画像が第1の色空間に基づく座標データで表わされ、色情報表示手段は第2の色空間に基づく座標データを用いて原画像の色情報を求めて表示すると共に、色調整指示手段は第2の色空間に基づく座標データで、色調整量を指定し、マトリクス生成手段は第2の色空間に基づく座標データで指示された調整指示を含む色調整マトリクスを生成することを特徴とするものであり、生成された色調整マトリクスと原画像を表わしている第1の空間に基づく座標データとの演算により調整後の調整画像を生成することができるものである。
【0030】第12の発明に係わるカラー画像装置は色調整マトリクスを用いて動作する周辺装置から色調整マトリクスを入力し、マトリクス生成手段は入力した色調整マトリクスを用いて調整指示手段の指示に基づく新たな色調整マトリクスを生成し、周辺装置がこの色調整マトリクスを用いて動作することを特徴とするものである。
【0031】第13の発明に係わるカラー画像装置は調整指示を行うための第2の色空間の種類はJIS等により標準化された色空間を用いることが可能であると共にマトリクス生成手段はこれら第2の色空間の種類によって異なる方式を用いて色調整マトリクスを生成することを特徴とするものである。
【0032】第14の発明に係わるカラー画像装置は、明度、彩度、色相に関する調整量の指定に対してマトリクス生成手段が先ず彩度に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成し、次に色相に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成し、最後に明度に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成することを特徴とするものである。
【0033】第15の発明に係わるカラー画像調整方法は以下の工程を有するものである。(a)原画像を表示する画像表示工程、(b)上記原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する原画像用色情報表示工程、(c)上記原画像用色情報表示工程により表示された色情報に対して色調整量を指示する調整指示工程、(d)上記調整指示工程の指示に基づき調整画像を生成し、上記画像を表示する調整画像表示工程。
【0034】第16のカラー画像調整方法はさらに調整画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する調整画像用色情報表示工程を備えたことを特徴とするものである。
【0035】第17の発明に係わるカラー画像調整方法は以下の工程を有するものである。(a)上記原画像を表わす第1の色空間に基づく座標データを第2の色空間に基づく座標データに変換して色情報を求め表示する色情報表示工程、(b)上記色情報表示工程により表示された色情報に対して第2の色空間に基づく座標データを用いて色の調整を指示する調整指示工程、(c)上記調整指示工程による指示に基づいて、原画像を調整する色調整マトリクスを生成するマトリクス生成工程、(d)上記マトリクス生成工程により生成された色調整マトリクスを用いて、調整画像を生成する調整画像生成工程。
【0036】第18の発明に係わるカラー画像調整方法は調整画像生成工程が原画像を表す第1の色空間に基づく座標データと色調整マトリクスとの行列演算を実行して、原画像を調整画像へ直接変換をすることを特徴とする。
【0037】第19の発明に係わるカラー画像装置は電気的に表現されたカラー画像に対して色を調整するカラー画像装置において、原画像と調整画像を同時に表示できる画像表示手段と、原画像および調整画像の色情報を表示する色情報表示手段と、色情報表示手段とともに設けられ、色情報に対応して色調整量を指示する調整指示手段と、調整指示に基づき色調整マトリクスを設定するマトリクス設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0038】第20の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段が少なくとも画像データの色成分分布、輝度分布、色相分布、彩度分布、色相彩度同時表示分布のいずれか1つの分布を表示することを特徴とする。
【0039】第21の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段が色情報の各値の適した色を着色して頻度を表示することを特徴とする。
【0040】第22の発明に係わるカラー画像装置は調整指示手段が色情報表示手段により表示された色情報に対応して設けられたポインタをポインタ指定手段で移動させ、その移動方向が調整項目の種類を表し、その移動量が調整量を表すことを特徴とする。
【0041】第23の発明に係わるカラー画像装置はマトリクス設定手段が色調整マトリクスを、輝度、色相、彩度の各々の調整量に応じて変更できることを特徴とする。
【0042】第24の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段に使用する色空間が、画像信号そのものの色空間、または、CIERGB、CIEXYZ、CIELAB、CIELUVのいずれかであることを特徴とする。
【0043】第25の発明に係わるカラー画像装置はマトリクス設定手段が画像信号そのものの座標、CIERGB、CIEXYZとCIELAB、CIELUVとでは色調整マトリクスの設定方法が異なることを特徴とする。
【0044】
【作用】この発明においては、原画像と調整画像と原画像の色情報を表示し、原画像の色情報に対して色を調整するようにしたので、調整画像を容易に生成できるともに調整前後にわたって画像を表示する。
【0045】また、この発明においては、更に、調整画像の色情報を表示するので調整後の色情報を調整前の色情報と比較することができる。
【0046】また、この発明においては、色調整マトリクスを作成することにより、調整画像をマトリクス演算により生成する。
【0047】また、この発明においては、生成した色調整マトリクスを記憶し、再利用することができる。
【0048】また、この発明においては、明度、色相、彩度等の色の持つ属性毎に色情報を表示する。
【0049】また、この発明においては、例えば、色相、彩度を混合させて色情報を表示する。
【0050】また、この発明においては、ポインタ操作により調整量を指示する。
【0051】また、この発明においては、色情報を表示する場合に明度、色相、彩度等の属性を付して表示する。
【0052】また、この発明においては、明度、色相、彩度等の色情報に対してそれぞれ調整を指示された場合でも1つの色調整マトリクスを生成して原画像から調整画像を生成する。
【0053】また、この発明においては、色を調整するために色調整マトリクスを生成する。
【0054】また、この発明においては、この色調整マトリクスを用いることにより、色調整を容易に行うことができる。
【0055】また、この発明においては、原画像が色調整をしにくい第1の色空間で表されている場合に、色情報表示手段が色調整のしやすい第2の色空間に変換した色情報表示するので調整の指示がしやすくなる。また、色調整マトリクスは、第1の色空間に基づく原画像に対してマトリクス演算を行うことにより、第2の色空間への変換を伴うことなく第1の色空間に基づく調整画像を生成する。
【0056】また、この発明においては、プリンタやディスプレイ装置等の周辺装置から色調整マトリクスを入力して新たな色調整マトリクスを生成し、再び周辺装置に出力する。従って、周辺装置において取り扱われる画像を本発明のカラー画像装置に基づいて、容易に変更することが可能になる。
【0057】また、この発明においては、第2の色空間の種類は複数種類存在し、色調整マトリクス第2の色空間の種類に基づいて異なる方式により生成され、複数種類の色空間が存在している場合でも色調整マトリクスを生成することにより色調整を可能とする。
【0058】また、この発明においては、明度、彩度、色相という色情報を用いて、調整量を指示するとともに、色調整マトリクスは、彩度、色相、明度の順に色調整されて生成される。
【0059】また、この発明においては、原画像と原画像の色情報を表示し、原画像の色情報に対して調整量を指示することにより調整画像を表示するカラー画像調整方法を提供する。
【0060】また、この発明においては、調整画像の色情報を表示する。
【0061】また、この発明においては、色調整指示のしやすい第2の色空間に基づいて色情報を表示して、その調整量を指示させるとともに色調整マトリクスを生成して調整画像を生成する。
【0062】また、この発明においては、原画像を表す第1の色空間に基づくデータと色調整マトリクスの行列演算に基づいて調整画像を生成する。従って、原画像から調整画像を生成する場合には、第2の色空間への変換を一切伴う必要はない。
【0063】この発明においては、色情報をグラフを用いて、しかも対応する色を用いて表示するため、使用者がカラー調整が容易に行える。また原画像と調整画像及び、原画像の色情報と調整画像の色情報が同時に表示されるため、両者を比較しながら調整することが可能に成る。また、この発明においては、色調整マトリクスを用いる事により調整指示を行う色空間が異なる場合でも、画像データの色空間を調整を指示する色空間に変換することなく画像を調整することができる。
【0064】また、この発明においては、色情報表示手段が1種類の属性に基づく色情報の分布、或は、複数種類の属性に基づく分布を表示する。
【0065】また、この発明においては、分布を表示する場合に着色して表示する。
【0066】また、この発明においては、色調整を色情報に対応して設けられたマウスポインタの移動により行う。
【0067】また、この発明においては、色調整マトリクスは、色の属性の各々に応じて1つのマトリクスが設定される。
【0068】また、この発明においては、色情報に用いる色空間は複数存在しており、色情報表示手段はいずれかの種類の色空間に基づいて色情報を表示する。
【0069】また、この発明においては、色調整マトリクスは、画像信号の色空間に基づいて設定方法が異なる。
【0070】
【実施例】
実施例1.以下、本発明の一実施例を図について説明する。図1は本実施例のカラー画像装置の構成を示す図である。図1において、1はカラー画像入力部、2は色調整部、3はカラー画像出力部、4は外部装置とのインターフェース部、5は画像表示と人とのインターフェースを兼ね備えた画像表示部である。
【0071】ハードディスクなどの外部記憶装置やスキャナなどの画像入力装置からのカラー画像(以下、原画像ともいう)は、外部装置インターフェース部4より入力される。カラー画像は、カラー画像入力部1において適切なデータに変換され、色調整部2に送られる。色調整部2では画像表示部5からの指示を受けながら色の調整を行い、調整カラー画像(以下、調整画像ともいう)、色調整マトリクス(以下、設定マトリクスともいう)を作成する。調整カラー画像は、カラー画像出力部3で外部装置に適したデータに変換され、外部装置インターフェース部4に送られる。また、色調整マトリクスは外部インターフェース部4にも送られる。
【0072】図22は、カラー画像装置の一例となるワークステーション600を示す図である。図において、5は情報を表示する画像表示部となるディスプレイ装置、61は文字、数値を入力するキーボード、63はディスプレイ装置の任意の位置を指定することができるマウス、62はマウスパッド、64はワークステーション本体装置である。613はローカルエリアネットワークとのインターフェースとなるTCP/IPである。620はSCSI、621はRS232Cポート、622はパラレルポートである。
【0073】次に、図23は、図22に示したワークステーションの内部ブロックである。図において、609はワークステーション全体を制御するオペレーティングシステム、610はオペレーティングシステムの上で動作するウィンドウシステム、611はウィンドウシステムの上で動作するグラフィックユーザインターフェース部(GUI)、612はグラフィックユーザインターフェース部で動作してユーザに対してディスクトップ環境を提供するディスクトップである。
【0074】図2は画像表示部5の詳細を示す図である。50は画像の色情報表示部、51は原画像、52は調整画像である。5000は原画像の輝度情報グラフ、5001は調整画像の輝度情報グラフ、5010は原画像の彩度情報グラフ、5011は調整画像の彩度情報グラフ、5020は原画像の色相情報グラフ、5021は調整画像の色相情報グラフである。503(503a、503b、503c、503d。以下503a、503b、503c、503dを区別しない場合は503を用いる。)は色調整部2に調整情報を知らせるためのマウスポインタ、504は色調整部2に終了情報を知らせる終了スイッチである。
【0075】次に、画像表示部5の動作を図3を参照して説明する。動作はS530の”始め”からスタートする。次に、S531で原画像51を表示し、さらに、S532で原画像の色情報(5000、5010、5020)を表示する。S533では、マウスポインタ503が動いたかを判定する。マウスポインタ503が動作した場合は、S534でマウスポインタ503の動き量から得られた調整情報を色調整部2に送信し、かつ、色調整部2からの調整画像52に関する情報を受信する。次いで、S535で調整画像52を表示し、S536で調整画像52に関する色情報(5001、5011、5021)を表示する。これらの処理が終わると、S533に戻る。S533でマウスポインタ503が静止している場合は、S537で終了スイッチ504の状態を調べる。終了の場合は、S538の”終わり”になる。続行の場合は、S533に戻る。
【0076】次に、色情報表示部50の詳細表示とマウスポインタ503の動作について、図4を参照して説明する。(a)は輝度情報グラフ5000を示している。グラフは3つのブロックに分けられ、それぞれ、黒から最も明るい原色(赤、緑、青)までの色で表示する。原画像を構成する各画素の輝度情報を1バイト(8ビット)で保持する場合、輝度強度は0〜255の値をもちこの値に基づいて分布をとる。原画像51の各カラー成分の輝度分布のグラフを、その輝度強度に応じた色をつけて表示する。この表示は、調整画像52の輝度情報グラフ5001についても同様である。マウスポインタ503a、503bは各ブロックに2つ、合計6個設置する。いずれも、マウスポインタ503は正負両方の値がとれるように個別にあるいは連動して左右に移動可能である。マウスポインタ503aは輝度の最小値を設定する”基底”を調整する。マウスポインタ503bは輝度の最大値を設定する”明るさ”を調整する。
【0077】(b)は彩度情報グラフ5010を示している。グラフは3つのブロックに分けられ、それぞれ、白から最も彩度の高い原色(赤、緑、青)までの色で表示する。原画像を構成する各画素の彩度情報を1バイト(8ビット)で保持する場合、彩度情報は0〜255の値をもちこの値に基づいて分布をとる。原画像51の各カラー成分の彩度分布のグラフを、その彩度強度に応じた色をつけて表示する。この表示は、調整画像52の彩度情報グラフ5011についても同様である。マウスポインタ503cは各ブロックに1つ、合計3個設置する。いずれも、マウスポインタ503cは正負両方の値がとれるように個別にあるいは連動して左右に移動可能である。
【0078】(c)は色相情報グラフ5020を示している。グラフは色相に応じた色、すなわち、マゼンタ、赤、イエロー、緑、シアン、青、ふたたびマゼンタと連続した彩度の最も高い色で表示する。具体的には、0度から360度(0〜2π)の値を色相に応じた色に割当て同一の角度を持つ値の分布を取る。そして原画像51の各カラー成分の色相分布の棒グラフを、その色相に応じた色をつけて表示する。この表示は、調整画像52の色相情報グラフ5021についても同様である。マウスポインタ503dは3個設置する。いずれも、マウスポインタ503dは正負両方の値がとれるように個別にあるいは連動して移動可能である。
【0079】次に、輝度情報グラフ5000、彩度情報グラフ5010、色相情報グラフ5020など、信号強度に応じた色をつけてヒストグラムを表示する点について述べる。図5は原画像の輝度情報グラフ5000と調整画像の輝度情報グラフ5001を示す図である。基底を示すマウスポインタ503aを矢印Aの方向にずらし、明るさを示すマウスポインタ503bを矢印Bの方向にずらすことにより、輝度情報を調整することが可能である。マウスポインタ503a、503bの指定により原画像の輝度情報は、この基底と明るさの範囲内に調整される。従って輝度情報の分布が指定された基底と明るさの範囲内にある調整画像52が表示される。また調整画像52の輝度情報グラフ5001は図5(b)に示すように基底と明るさの範囲内にある輝度情報グラフが生成される。
【0080】次に、図6は原画像の彩度情報グラフ5010と調整画像の彩度情報グラフ5011を示す図である。マウスポインタ503cを図6(a)に示した矢印Aの方向にずらすことにより、彩度を調整することができる。この指定では彩度を赤により近づける調整を行い、赤がより鮮やかになった調整画像52が表示される。また調整画像52の彩度情報グラフ5011の分布は図6(b)に示すように分布が赤に近づいたものとなる。
【0081】次に、図7に示すように色相情報グラフ5020で、緑付近にピークPを持つ原画像51があるとする。このグラフ5020は例えば図7に示すように、分布の中央部は緑系統の色で表示され、左の裾は黄緑系統の色で、右の裾は青緑系統の色で表示される。これらの色は連続して変化している。今、このピークPを真緑に合わせたい場合は、中央のマウスポインタ503dを図7に示した矢印Aの方向にずらす。こうすることにより、分布のピークPを真緑で表示することができる。さらに、調整画像52も色相情報で表示された分布の画像となる。また、調整画像52の色相情報グラフ5021の分布も変化し、分布のピークが真緑になった色相情報グラフ5021が生成される。
【0082】次に、色調整部2の色調整の原理について図8を用いて説明する。図8(a)は原画像を構成する原画素と、調整画像を構成する調整画素の関係を示す図である。今、原画素がRGB空間により表現されるものとする。調整画素も同様にRGB空間で表現されるものとする。一方画像表示部5に表示される色情報は輝度、彩度、色相という属性を用いるものとする。このように、色情報は、原画素や調整画素が用いている色空間とは異なる空間を用いて表現されるものとする。図8(a)に示す設定マトリクス(色調整マトリクスともいう)は輝度、彩度、色相による調整指示を含む設定マトリクスである。色調整部2はこの設定マトリクスを作成する。作成された設定マトリクスと原画素とをマトリクス演算することにより、調整画素を求めることができる。設定マトリクスのもとになるマトリクスを原マトリクスという。図8(b)に示すように原マトリクスはマトリクスの対角成分のみが存在する対角行列である。この原マトリクスに対して原画素のデータを演算すると、図8(b)のように調整画素は原画素と全く同様のものとなる。色調整部2は原マトリクスに対して、画像表示部から指示された輝度、彩度、色相の調整指示を加えることにより、設定マトリクスを作成する。設定マトリクスが作成されると、その後は原画素と設定マトリクスとの演算により調整画素を生成することができる。すなわち、画像表示部5から輝度、彩度、色相という異なる色空間に基づくパラメータ入力がある場合でも、1度設定マトリクスを作成してしまえば、RGB空間における原画素に対して設定マトリクスを用いて演算を施す事により調整画素を直接求めることが可能である。従来のようにRGB空間の原画素のデータを輝度、彩度、色相の色空間のデータに1度変換し、変換したデータに対して輝度、彩度、色相の調整を施し、調整後の輝度、彩度、色相データを再びRGB空間に戻すという工程を経る必要がない。このように、この実施例は設定マトリクスを作成することにより、異なる色空間に基づいて指定されたパラメータであっても、単にマトリクス演算により自己の色空間を用いたまま新たな調整画素を生成することに大きな特徴がある。なお、原画素の色空間とパラメータを入力する色空間が同じであっても、設定マトリクスを作成することにより調整画像を生成することが可能であるが、この実施例以降では原画素の色空間と異なる色空間を用いてパラメータを入力する場合を説明する。
【0083】設定マトリクスの生成方法としては、(I)変換前の座標系を変換後の座標系で表す方式(II)変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式という2つの方式が考えられる。設定マトリクスは、変換前の座標と変換後の座標の関係を表すものである。変換前の座標を基礎にする方式と変換後の座標を基礎にする方式とは、表裏の関係にあり同一の関係を表すことができる。以下(I)変換前の座標系を変換後の座標系で表す方式の設定マトリクスの生成について図9〜図10を用いて説明する。(II)変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式については、図11〜図13を用いて後に説明する。
【0084】次に、色調整部2の動作について図9を参照して説明する。色調整部2は内部処理が中心であるので、フローチャートを用いて説明をする。色調整部2は、S20の”始め”からスタートする。
【0085】次に、S22の原マトリクス作成に進む。原マトリクスには例えば次のマトリクスを作成する。
【0086】
【数1】
【0087】以降の説明のために、原マトリクスを次のように書くこととする。
【0088】
【数2】
【0089】S24では画像表示部5からの指示を監視する。指示があるまでS24はループ状態にあり、処理は何も行わない。画像表示部5からの指示があると次の四つの処理に分岐する。
(1)輝度のマウスポインタ503a,503bが移動した場合(2)彩度のマウスポインタ503cが移動した場合(3)色相のマウスポインタ503dが移動した場合(4)終了スイッチ504が押された場合以下この各処理について説明する。なお、ここでは、説明をわかりやすくするためマウスポインタの移動は上記(1)、(2)、(3)のいずれかのみが実行された場合について説明する。すなわち、輝度、彩度、色相の調整が同時に指示されることなく、別々に指示されるものとする。
【0090】(1)輝度のマウスポインタ503a、503bが移動した場合−S25図4で示したように、輝度情報グラフ5000の下には合計6個のマウスポインタ503a、503bがある。このマウスポインタ503a、503bは各カラー信号成分の最大輝度、最小輝度に対応する。すなわち、カラー信号がRGBの3成分で表せる場合は、R成分の最大輝度Rmax、R成分の最小輝度Rmin、G成分の最大輝度Gmax、G成分の最小輝度Gmin、B成分の最大輝度Bmax、B成分の最小輝度Bminの6つである。これらのマウスポインタ503が移動した場合、この最大輝度、最小輝度の情報が、色調整部2に送られる。色調整部2では、これらの情報をもとにマトリクスを設定する。調整信号の最大信号を(ARmax、AGmax、ABmax)、最小信号を(ARmin、AGmin、ABmin)として、
【0091】
【数3】
【0092】を満たすマトリクスKおよびJを求める。このマトリクスKより設定マトリクスNを求める。
N=K・Mここで、マトリクスNは(I)変換前の座標系を変換後の座標系で表す方式により生成された設定マトリクスである。また、マトリクスJは(I)変換前の座標系を変換後の座標系で表す方式により生成された定数として、設定マトリクスNとともに内部に記憶しておく。
【0093】次に、具体例について説明する。入力したカラー信号のR成分が最大輝度Rmin=30、最小輝度Rmax=200、G成分が最大輝度Gmin=20、最小輝度Gmax=210、B成分が最大輝度Bmin=10、最小輝度Bmax=220という値をとっているものとする。このカラー信号を調整してR成分、G成分、B成分とも全て最大輝度=255、最小輝度=0とする。この調整は、3つのマウスポインタ503aを全て左端まで移動し、3つのマウスポインタ503bを全て右端まで移動することにより行われる。こうして、
【0094】
【数4】
【0095】とし、
【0096】
【数5】
【0097】とすれば、マトリクスMは単位マトリクスだから数3を書き直して、
【0098】
【数6】
【0099】となる。この式を解くと、Kr=1.5,Kg=1.342,Kb=1.214,Jr=−45,Jg=−26.842,Jb=−12.143となる。すなわち、設定マトリクスNは、
【0100】
【数7】
【0101】となり、マトリクスJは、
【0102】
【数8】
【0103】となる。これはR成分、G成分、B成分のそれぞれがRmin、Gmin、Bmin〜Rmax、Gmax、Bmaxの間にあるカラー信号が各成分とも0〜255の中に変換されることを示している。例えば、
【0104】
【数9】
【0105】では、
【0106】
【数10】
【0107】に変換される。
【0108】
【数11】
【0109】では、
【0110】
【数12】
【0111】に変換され、0〜255の中には入らない。
【0112】このように、設定マトリクスNとマトリクスJが求められたならば、求められた設定マトリクスNとマトリクスJを用いて入力したカラー信号の変換を行う。カラー信号の全てのR成分はRmin≦R≦Rmax、カラー信号の全てのG成分はGmin≦G≦Gmax、カラー信号の全てのB成分はBmin≦B≦Bmaxであるから、全て、0〜255の値のいずれかに変換できる。このように、マウスポインタ503の移動により輝度を調整し調整画像を作成する。
【0113】(2)彩度のマウスポインタ503cが移動した場合−S26図4で示したように、彩度情報グラフ5010の下には合計3個のマウスポインタがある。このマウスポインタは各カラー信号成分の彩度変化量に対応する。すなわち、カラー信号がRGBの3成分で表せる場合は、R成分の彩度変化量ΔCR、G成分の彩度変化量ΔCG、B成分の彩度変化量ΔCBの3つである。これらのマウスポインタ503cが移動した場合、この彩度変化量の情報が、色調整部2に送られる。色調整部2では、これらの情報をもとにマトリクスを設定する。設定マトリクスをNとして、
【0114】
【数13】
【0115】と求める。
【0116】次に、具体例について説明する。ここでは、赤を鮮やかにしたい場合について説明する。マウスポインタ503cを移動させることにより得られた彩度変化量をΔCR=−0.037,ΔCG=−0.037,ΔCB=−0.037とすれば、設定マトリクスNは、
【0117】
【数14】
【0118】となる。今、(R,G,B)=(255,255,255)の時、(AR,AG,AB)=(255,255,255)となるように正規化し、正規化された設定マトリクスをN’とすると、
【0119】
【数15】
【0120】となる。すなわち、
【0121】
【数16】
【0122】となることより、正規化されいることがわかる。ここで、(R,G,B)=(200,10,10)という値を代入して計算すると、
【0123】
【数17】
【0124】となる。この数値をみると、R→AR で 200→215.5G→AG で 10→ 2.2B→AB で 10→ 2.2と変化している。R成分が増してG,B成分が減るのでより純粋な赤色が得られる。
【0125】(3)色相のマウスポインタ503dが移動した場合−S27図4で示したように、彩度情報グラフ5020の下には合計3個のマウスポインタ503がある。このマウスポインタ503は各カラー信号成分の色相変化量に対応する。すなわち、カラー信号がRGBの3成分で表せる場合は、R成分の色相変化量ΔHR、G成分の色相変化量ΔHG、B成分の色相変化量ΔHBの3つである。これらのマウスポインタ503が移動した場合、この色相変化量の情報が、色調整部2に送られる。色調整部2では、これらの情報をもとにマトリクスを設定する。設定マトリクスをNとして、色相変化量が負の場合は、
【0126】
【数18】
【0127】また、色相変化量が正の場合は、
【0128】
【数19】
【0129】と求める。
【0130】次に、具体例について説明する。R→B→Gという向きに色を回転させたい場合について説明する。マウスポインタ503dを移動させることにより得られた色相変化量をΔHR=−0.038,ΔHG=−0.038,ΔHB=−0.038とすれば、設定マトリクスNは、
【0131】
【数20】
【0132】となる。(R,G,B)=(255,255,255)の時、(AR,AG,AB)=(255,255,255)になるように正規化し、正規化した設定マトリクスをN’とすると、
【0133】
【数21】
【0134】となる。ここで、(R,G,B)=(200,10,10)とすれば、
【0135】
【数22】
【0136】となる。ここで、G−B平面を考えると、(G,B)=(10,10)から(G,B)=(10,−2)と変化するため、図8(c)に示すように色信号が変化する。従って、よりグリーンがかった色となる。ここで、AR=208となるが、この方法ではこれは無視する。上記具体例からわかるように数値を与えて計算し、計算した結果を解釈することはたやすいが、オペレーション中に数値そのものを扱うのは困難である。そこで、この実施例に示したようなマンマシンインターフェースを設けて、数値を扱わなくても色を換えられるようにした点がこのシステムの大きな特徴である。具体的には、マウスポインタの移動という簡単な操作から設定マトリクスを作成し、作成した設定マトリクスとカラー信号の演算から色の調整が自由にできる点である。
【0137】上記(1)または(2)または(3)の処理が終了すると、S28の調整画像の作成に移る。これは、画像表示部5に表示されている原画像51から調整画像52を作成する処理である。ついで、S29の画像表示部5への送信に移り、作成された調整画像は、画像表示部5に送られ表示される。その後、S24の画像表示部5からの指示を待つループ状態にはいる。これにより、色調整を何回でも行うことが可能になる。
【0138】(4)終了スイッチ504が押された場合終了スイッチ504が押された場合は、色調整部2の動作はS30の”終わり”となる。
【0139】上記、図9に示すフローチャートにおいては、説明を簡単にするために輝度と彩度と色相のマウスポインタのいずれか1つが移動した場合、それに対応してマトリクス設定を行う場合について説明した。
【0140】次に、輝度と彩度と色相が同時に調整される場合について図10と図24を用いて説明する。図10は、図24に示すS240に示した画像表示部5からの指示を監視する処理を示すフローチャートである。この図10のフローチャートは最小輝度、最大輝度、彩度変化量、色相変化量を色調整パラメータとして設定するものである。まずS241のスタートから開始し、S242で基底を調整するマウスポインタ503aが移動したかどうかを判定する。マウスポインタ503aが移動した場合にはS243で連動処理を行うかどうかを判定する。連動処理とは3つのマウスポインタ503aのうち、いずれか1つを移動させた場合に、他の残りの2つのマウスポインタ503aを共に同じ方向に同じ距離だけ移動させる処理をいう。連動処理を行うか、個別に移動させるかは予め指定しておくものとし、S243ではその指定を参照して連動処理をするか、個別処理をするかを判定する。S243で連動処理が行われているということが判定された場合には、S244で残りの2つのマウスポインタ503aの移動を行う。
【0141】次に、S245においては移動したマウスポインタの方向と距離を判定し、新たな基底の設定を行う。このS245の処理は、指示された値を最小輝度として記憶する。この時点では設定マトリクスは生成されない。連動処理を行わない個別処理の場合には移動したマウスポインタそれぞれの基底を設定する。一方連動処理を行う場合には3つのマウスポインタに対して同じ基底の設定を行う。
【0142】次に、S246では明るさを示すマウスポインタ503bの移動が移動したかを判定する。もし移動した場合にはS247で連動処理を行うかどうかを判定する。連動処理を行う場合には、S248において残りの他の2つのマウスポインタ503bも同様に移動させる。S249においては移動したマウスポインタの方向と距離から最大輝度を示す明るさを設定する。このS249の処理は、指示された値を最大輝度として記憶する。この時点では設定マトリクスは生成されない。連動処理を行わない個別処理の場合には、それぞれのマウスポインタの移動方向と距離を判定し、それぞれの明るさを設定する。連動処理を行う場合には、3つのマウスポインタに対して同様の明るさの設定を行う。
【0143】次に、S250においては彩度を調整するマウスポインタ503cが移動したかどうかを判定する。移動した場合にはS251において連動処理かどうかを判定する。S252においては、残りのマウスポインタに対して連動処理を行う。S253においては、移動したマウスポインタに基づいて彩度の設定を行う。このS253の処理は、指示された値を彩度変化量として記憶する。この時点では設定マトリクスは生成されない。
【0144】次に、S254においては色相を調整するマウスポインタ503dが移動したかどうかを判定する。移動した場合には、S255において連動処理かどうかを判定し、連動処理の場合にはS256においては連動するマウスポインタを移動させる。S257においては、移動したマウスポインタに基づいて色相の設定を行う。このS257の処理は、指示された値を色相変化量として記憶する。この時点では設定マトリクスは生成されない。
【0145】さらにS258においては、終了スイッチ504が押されたかどうかを判定する。終了スイッチが押されない場合には再びスタートにループする。終了スイッチ504が押された場合には図10のフローチャートが終了する。これは、図24のS240の処理を終了したことを意味する。S240の処理が終了した時点では、最小輝度、最大輝度、彩度変化量、色相変化量が色調整パラメータとして既に設定されている。S259では、これらの色調整パラメータを用いて設定マトリクスを生成する。S259は、図9に示したS25〜S27の処理を順に実行することにより、設定マトリクスを生成する。
【0146】次に、S245で述べた基底の設定についてさらに説明する。図5で示すようにマウスポインタ503aが元々128の所に存在しており、矢印Aの方向に移動した場合について説明する。ここでマウスポインタ503aを矢印Aの方向に−32動かした(左へ32動かした)ものとする。この場合には基底(最小輝度)=128−32=96となる。図10に示したS245の基底設定は、このようにして新たな基底を基底パラメータKnとして求める処理を行う。又マウスポインタ503bを矢印Bの方向に+32移動する(右へ32動かす)ことにより、明るさ(最大輝度)=128+32=160となる。図10に示したS249の明るさ設定は、このようにして新たな明るさを明度パラメータLnとして求める処理を行う。
【0147】次に、S253に示した彩度の設定について説明する。図6においてマウスポインタ503cを矢印Aの方向に移動させることにより、+64移動させた場合には彩度変化量は+64となる。S253の彩度設定はこのようにして彩度変化量を彩度パラメータCnとして設定する。
【0148】次に、S257の色相設定について説明する。図7に示すように色相を示すマウスポインタ503dを矢印Aの方向に+10度移動させた場合には、色相変化量は+10度となる。S257の色相設定はこのようにして色相変化量を色相パラメータHnとして設定する。以上、(I)変換前の座標系を変換後の座標系で表す方式の設定マトリクスを用いて色調整部2の動作を説明した。
【0149】次に、(II)変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式の設定マトリクスを用いて色調整部2の動作を説明する。図11は、変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式の設定マトリクスを生成するためのフローチャートを示す図である。図11のフローチャートは、図24のS259に示した設定マトリクスの生成の処理に相当する。以下、S41からS43の順にマトリクスを生成する手順について説明する。色調整マトリクスを求めるため、以下に述べるステップ1〜5の手順をふむ。ここでは、図10に示したフローチャートに基づいてユーザが色調整パラメータをを既に設定したものと仮定して色調整マトリクスを求める手順について述べる。ユーザが設定した色調整パラメータを次のように定義する。
基底パラメータ Kn明度パラメータ Ln彩度パラメータ Cn色相パラメータ Hnここで、添え字nは原色の場合r,g,bまたは補色の場合y,m,cに対応する。なお、以下マトリクス内に用いる値“0.32”、“10”は変換のための係数である。これらの係数は、変換前の座標系と変換後の座標系によって異なる値が設定される。ここでは、“0.32”、“10”を用いる場合を説明する。ステップ1:彩度パラメータより次のマトリクスを得る。この計算方式は原色又は補色によらない。
【0150】
【数23】
【0151】ステップ2:色相パラメータを用いて上記マトリクスを変更する。
・色相パラメータの値が正の場合原色計算
【0152】
【数24】
【0153】補色計算
【0154】
【数25】
【0155】・色相パラメータの値が負の場合原色計算
【0156】
【数26】
【0157】補色計算
【0158】
【数27】
【0159】・色相パラメータの値に正、負が混在する場合は上記2例に従い変更するマトリクス要素位置をかえる。たとえば、原色計算において赤の色相パラメータの値が正、緑の色相パラメータの値が負、青の色相パラメータの値が正の場合は、赤の色相パラメータに対して数24が適用され、緑の色相パラメータに対して数26が適用され、青の色相パラメータに対して数24が適用されるので、以下のようになる。
【0160】
【数28】
【0161】ステップ3:上記ステップで求めた3×3行列をマトリクスAとする。このマトリクスAの行列式|A|、
【0162】
【数29】
【0163】を求める。ここで、余因数行列は、行列式|A|におけるaijの余因数Aijを(j,i)成分とする行列である。
【0164】ステップ4:基底パラメータKn、明度パラメータLnより正規化因子(WmおよびBm:mはr,g,b)を求める。これら正規化因子Wm及びBmの値は、この値が入力された場合に最大輝度の値255と最小輝度の値0を出力するよう設定される。明度パラメータは、Lm=255−Lnと変換し、・原色計算の場合Wm=Km、Bm=Lm・補色計算の場合Wm=255−Lm、Bm=255−Km
【0165】ステップ5:行列式|A|、
【0166】
【数30】
【0167】より逆行列A-1を求め、正規化因子Wm,Bmを入力した際に、0,255を出力するようにする。ステップ5の具体的手順を以下に示す。ここでは、数28に相当するマトリクスをAとする。また、R,G,Bを被調整画像データとし、AR,AG,ABを調整画像データとする。この実施例の手順は、調整画像データ(AR,AG,AB)より被調整画像データ(R,G,B)を求める。よって、式は次のようになる。
【0168】
【数31】
【0169】ここで、マトリクスPはまだ決っていない。この式を変形して以下のようにする。
【0170】
【数32】
【0171】ここで、A-1はマトリクスAの逆行列である。|A|はステップ3で求めたマトリクスAの行列式、
【0172】
【数33】
【0173】は、行列式|A|におけるaijの余因数Aijを(j,i)成分とする余因数行列であり、ステップ3で求めたものである。
【0174】
【数34】
【0175】の関係がある。このようにして、ステップ3で求めた行列式|A|と余因数行列
【0176】
【数35】
【0177】から逆行列A-1を求めることができる。ここで、逆行列を求める理由について図11(b)を用いて説明する。話を判り易くするため、2次元で説明する。図11(b)e1 ,e2 ,e1 ’,e2 ’は単位ベクトルである。今、
【0178】
【数36】
【0179】が変換前の座標系で、
【0180】
【数37】
【0181】と書かれるとする。つまり、変換前のPは(m1 ,m2 )の値であるとする。一方、変換後の座標系でも、
【0182】
【数38】
【0183】を表すことができるので、
【0184】
【数39】
【0185】と書くことにする。つまり、変換後のPは(m1 ’,m2 ’)となる。この(m1 ,m2 )と(m1 ’,m2 ’)の値を関連付けるものが設定マトリクスである。
【0186】
【数40】
【0187】と同様に変換後の単位ベクトルe1 ’,e2 ’もe1 ,e2 ,を使って書くことができる。即ち、e1 ’=a11e1 +a12e2 (3)
e2 ’=a21e1 +a22e2 (4)
と表せる。(1),(2),(3),(4)をまとめて、m1 e1 +m2 e2 =m1 ’e1 ’+m2 ’e2 ’=m1 ’(a11e1 +a12e2 )+m2 ’(a21e1 +a22e2 )=(m1 ’a11+m2 ’a21)e1 +(m1 ’a12+m2 ’a22)e2よって、m1 =m1 ’a11+m2 ’a21m2 =m1 ’a12+m2 ’a22これを、マトリクスの形に書けば、
【0188】
【数41】
【0189】となる。これは、変換後の値(m1 ’,m2 ’)を変換前の値(m1 ,m2 )に直す式である。従って、逆の関係式を求めるには、逆行列を求めることになる。前述したステップ1〜4で求めているマトリクスは、(5)のマトリクスに相当する。従って、逆行列を求めて変換前の値を変換後の値に直す式をステップ5で得る。上記(3),(4)では、変換後の単位ベクトルを変換前の単位ベクトルで表した(すなわち、(II)の方式で表した)が、変換前の単位ベクトルを変換後の単位ベクトルで表す(すなわち、(I)の方式で表す)こともできる。(I)と(II)の考え方は、表裏の考え方であり、どちらの考え方を利用しても色変換の結果は同じになる。(I)の立場に立った考え方が数3〜数22に示されており、(II)の立場に立った考え方が数23〜数28に示されている。これらの考え方の違いは、どのようにインターフェースを作り上げるかによって、見た目には違ったように見える。
【0190】ステップ5で正規化因子Wm及びBmを使ってPを求める。正規化因子Wm及びBmによれば、
【0191】
【数42】
【0192】であるから、
【0193】
【数43】
【0194】となる。この2つの方式より、マトリクスPを求める。この際、マトリクスAはパラメータから直接作ったマトリクスなので、正規化がなされていないので上記2式を使用して正規化も行う。このように、正規化がなされた逆行列A-1が3×3マトリクスN1として求められる。また、J1=−A-1・Pとして、3×1マトリクスJ1を求める。
【0195】以上の手順をふむことにより、3×3マトリクスN1と3×1マトリクスJ1が求まる。ここで、マトリクスN1は、(II)変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式により生成された設定マトリクスであり、マトリクスJ1は、(II)変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式により生成された定数である。マトリクスN1とマトリクスJ1は、画像データの変換用に記憶される。
【0196】次に、図12を用いて画像データの変換について説明する(S51)。図12の画像データの変換処理は、図9及び図24のS28の処理に相当する。被調整画像を調整画像に変換するにあたっては、γ補正の選択値により変換方法が異なる。ここでは、この点について述べる。
・濃度リニアの場合濃度リニアを選択した場合、スキャナでは補色計算されたデータがR,G,Bの形で出力される。この場合、色調整マトリクスは、補色計算形式で求められたものを使い、変換計算は次の式になる。
【0197】
【数44】
【0198】ここで、R,G,Bは被調整画像データ、AR,AG,ABは調整画像データ、“〜”は8ビットの反転を示す。
・反射率リニアの場合反射率リニアを選択した場合スキャナでは原色計算されたデータが出力される。この場合色調整マトリクスは原色計算形式で求められたものを使い、変換計算は次の式になる。
【0199】
【数45】
【0200】ここで、R,G,Bは被調整画像データ、AR,AG,ABは調整画像データを示す。図12のS52においては、S51で作成された調整画像に基づいて分布データを作成する。
【0201】次に、図13に基づいて変換画像データの表示について説明する。図13の変換画像データの表示処理は、図9及び図24のS29の処理に相当する。S61においては、図12のS52で求められた分布データを表示する。S62においては、S51において作成された変換画像を表示するにあたり、すでに変換画像を表示するウィンドウが画像表示部5に存在するかどうかをチェックする。もし変換画像を表示するウィンドウがない場合には、S63において変換画像ウィンドウを作成する。S64においては変換画像を画像表示部5に表示する。
【0202】以上、説明したように輝度、彩度、色相の3つのパラメータを同時に変更する場合であっても、ひとつの設定マトリクスを作成することが可能である。なお、前述したステップ1からステップ5までの設定マトリクスの手順は複雑なマトリクス計算を効率よく行うための手法を含んでいる。従って、必ずしもステップ1からステップ5までの手順を経る必要はなく、その他の順番、或いはその他の手法により設定マトリクスを生成するようにしても構わない。
【0203】次に、これまで述べた色調整部2の動作により、画像がどのように調整されるかを実験結果をもとに、図14〜図16を参照して説明する。
【0204】まず、図14について説明する。図14は、(1)の輝度のマウスポインタ503が移動した場合の原画像51と調整画像52の輝度分布を示した図である。(a)が原画像51の輝度分布、(b)が調整画像52の輝度分布に対応する。一般に、色は輝度、彩度、色相で表現されることはよく知られている。図14はこのうちの輝度のグラフである。グラフの横軸は輝度であり、0が暗い色、255が明るい色に対応するように値を定めている。縦軸は、頻度を示していて任意スケールである。この場合、輝度を下げるようにマウスポインタ503を移動させており、グラフが左側に延びていることからこの事がよくわかる。また、他の彩度、色相の分布の変化はほとんど無かった。このように、(1)の処理(S25)により色の輝度相当量を調整することができる。
【0205】次に、図15について説明する。図15は、(2)の彩度のマウスポインタ503を移動させた場合の原画像51と調整画像52の彩度分布を示した図である。(a)が原画像51の彩度分布、(b)が調整画像52の彩度分布に対応する。グラフの横軸は彩度であり、0が鈍い色、255が鮮やかな色に対応するように値を定めている。縦軸は、頻度を示していて任意スケールである。この場合、彩度が上がるようにマウスポインタ503を移動させており、グラフからこの事がよくわかる。なお、原画像51の最も鮮やかな色(値255)は、調整画像52ではそれ以上に鮮やかさがないため最も鮮やかな色のまま(値255のまま)とする。また、他の輝度、色相の分布の変化はほとんど無かった。このように、(2)の処理により色の彩度相当量を調整することができる。
【0206】次に、図16について説明する。図16では、(3)の色相のマウスポインタ503を移動させた場合の原画像51と調整画像52の色相分布を示した図である。(a)が原画像51の色相分布、(b)が調整画像52の色相分布に対応する。グラフの横軸は色相であり、0が赤色、(2/3)πが青色、(4/3)πが緑色に対応している。色相は循環しているため、2πでふたたび赤色に戻る。縦軸は、頻度を示していて任意スケールである。この場合、色相が負の方向、すなわち、青色が赤色に近づくようマウスポインタ503を移動させており、グラフからこの事がよくわかる。原画像51の赤色(値0、図中、P1で示す。)は、色が循環しているため、調整画像52では緑色と赤色の間の色、すなわち、黄色に調整されている。また、他の輝度、彩度の分布の変化はほとんど無かった。このように、(3)の処理により色の色相相当量を調整することができる。
【0207】実施例2.次に、本発明の第2の実施例を図17を参照して説明する。図17は画像表示部5の詳細図である。図中、5050は原画像51の彩度色相情報グラフ、5051は調整画像52の彩度色相情報グラフである。そのほかは、図2に示したものと同等であるので省略する。
【0208】この実施例の動作は図3に示したものと同等であるのでその説明を省略する。ただし、原画像51の色情報は輝度情報グラフ5000、彩度色相情報グラフ5050に表示し、調整画像52の色情報は輝度情報グラフ5001、彩度色相情報グラフ5051に表示する。
【0209】次に、彩度色相情報グラフ5050および5051の詳細表示とマウスポインタ503の動作について、図18を参照して説明する。図18は彩度色相情報グラフ5050、5051を示している。説明のため、右水平方向をx方向、上垂直方向をy方向とし、6角形のグラフの中心をxy座標の原点とする。画像信号(r、g、b)の彩度色相情報グラフの表示は次のように行う。表示位置は、x=(√3)×(b−g)/2y=r−(b+g)/2である点(x,y)とする。その点の表示色は、画像信号(r、g、b)の3成分のうち最小値をminとして、色=(r−min、g−min、b−min)
とする。このようにすることにより、色の彩度の分布状況と色相の分布状況を同時に表示できる。
【0210】次に、原画像51の彩度色相情報グラフ5050上に設置してあるマウスポインタ503の動作について述べる。マウスポインタ503は、彩度色相情報グラフ上に3個置かれており、それぞれ画像信号の各成分に対応する。マウスポインタ503は、中心方向と周方向に移動可能で、中心方向の移動量が彩度変化量Δcr、Δcg、Δcbとなり、周方向の移動量が色相変化量Δhr、Δhg、Δhbとなる。いずれのマウスポインタ503も正方向、負方向に移動可能である。このように、彩度情報と色相情報を同一グラフに表示することにより、マウスポインタ503の数を減らすことができ、さらに、マウスポインタ503の2次元方向への移動で彩度、色相の変化量を指示することができる。
【0211】以上の構成の画像表示部5を設けることにより実施例1と同様の効果を奏する。
【0212】実施例3.上記実施例では、画像信号がrgb、cmy、XYZで表現されている場合である。JISで定められている色空間CIELAB、CIELUVで表現されている場合は、色調整部2の動作は変更される。色調整部2の動作の流れは、図9で示したものと同様になる。この場合、S25からS27のマトリクス設定方法が次のようになる。
【0213】(1)輝度のマウスポインタ503が移動した場合−S25CIELAB、CIELUVでは輝度と、彩度および色相が完全に分離されているために、設定マトリクスNが変化する。画像表示部5から送られてくる最大輝度をLmax、最小輝度をLminとする。また、調整最大輝度をALmax、調整最小輝度をALminとすると、設定マトリクスNは、
【0214】
【数46】
【0215】また、マトリクスJに相当するものは、
【0216】
【数47】
【0217】である。
【0218】(2)彩度のマウスポインタ503が移動した場合−S26彩度変化量をΔC1、ΔC2として、マトリクスを設定する。設定マトリクスをNとして、
【0219】
【数48】
【0220】と求める。
【0221】(3)色相のマウスポインタ503が移動した場合−S27色相変化量をΔH1、ΔH2として、マトリクスを設定する。設定マトリクスをNとして、
【0222】
【数49】
【0223】と求める。
【0224】画像信号がCIELAB、CIELUVである場合には、マトリクス設定を変更することにより、前記実施例と同様の効果を奏する。
【0225】実施例4.次に、本発明の第4の実施例を図19を参照して説明する。図19はこの実施例における色調整部2の動作を示すフローチャート図である。図中、S31はマトリクス保存処理を示す作業部である。そのほかは、図9に示したものと同一なので説明を省略する。
【0226】次に動作について説明する。終了スイッチ504が押された場合、S31のマトリクス保存処理を行う。これは、調整されたマトリクスを記憶装置6に保存する処理である。この作業の後、色調整部2の動作はS30の”終わり”となる。このマトリクス保存処理は、次回の調整作業を不要にするものである。すなわち、次回調整時にこの保存されたマトリクスを用いれば、実施例1で示した一連の調整作業を省くことができ、時間の効率化につながる。
【0227】実施例5.次に、第5の実施例を図20を参照して説明する。図20において、9は色調整マトリクスが送受信可能な外部のカラー画像装置である。外部カラー画像装置は具体的には、ディスプレイ、プリンタ、複写機、スキャナなどである。そのほかは、図1に示したものと同等なので説明を省略する。
【0228】外部カラー画像装置9は外部装置インターフェース部4に接続される。色調整マトリクスは、両者の間を送受信される。
【0229】次に、実施例5の動作を、色調整部2の動作に即して説明する。図21は色調整部2の動作を示すフローチャート図である。色調整部2は、S20の”始め”からスタートする。ついで、S21において外部装置インターフェース部4の情報を問い合わせ、外部カラー画像装置9が接続されているか否かの判定を行う。
【0230】外部カラー画像装置9が接続されていない場合、S22の原マトリクス作成に進む。原マトリクスには例えば次のマトリクスを作成する。
【0231】
【数50】
【0232】外部カラー画像装置9が接続されている場合は、S23の外部装置インターフェース4からのマトリクス受信に進む。外部インターフェース4は、スキャナや、プリンタ、ディスプレイといった外部カラー画像装置9に対して、外部カラー画像装置9で使用しているマトリクスの受信を行い。色調整部2に送る。この受信マトリクスを次のように書くこととする。
【0233】
【数51】
【0234】以降の説明のために、原マトリクスと受信マトリクスを合わせて次のように書くこととする。
【0235】
【数52】
【0236】S24では画像表示部5からの指示を監視していて、指示があるまで24はループ状態にあり、処理は何も行わない。画像表示部5からの指示があると次の四つの処理に分岐する。
(1)輝度のマウスポインタ503が移動した場合(2)彩度のマウスポインタ503が移動した場合(3)色相のマウスポインタ503が移動した場合(4)終了スイッチ504が押された場合以下この各処理について説明する。
【0237】(1)輝度のマウスポインタ503が移動した場合−S25S25は、実施例1および実施例2で示した処理と同等なので説明を省略する。
【0238】(2)彩度のマウスポインタ503が移動した場合−S26S26も、実施例1および実施例2で示した処理と同等なので説明を省略する。
【0239】(3)色相のマウスポインタ503が移動した場合−S27S27は、実施例1および実施例2で示した処理と同等なので説明を省略する。
【0240】(1)または(2)または(3)の処理が終了すると、S28の調整画像の作成に移る。これは、画像表示部5に表示されている原画像51から調整画像52を作成する処理である。ついで、S29の画像表示部5への送信に移り、作成された調整画像は、画像表示部5に送られ表示される。その後、S24の画像表示部5からの指示を待つループ状態にはいる。これにより、色調整を何回でも行うことが可能になる。
【0241】(4)終了スイッチ504が押された場合終了スイッチ504が押された場合は、S31のマトリクス保存処理を行う。設定マトリクスを、記憶装置6に保存する。これは、次回の調整作業を不要にするもので、次回調整時にはこの保存されたマトリクスを用いれば一連の作業を省くことができる。ついで、S32の外部インターフェース部4へのマトリクス送信に移る。ここでは、外部カラー画像装置9が接続されている場合、設定マトリクスを外部カラー画像装置9に送信する処理を行う。この処理により、外部カラー画像装置9内部の色補正処理のマトリクスを変更することが可能になる。これらの処理を終了した色調整部2の動作はS30の”終わり”となる。
【0242】以上のような構成をとることにより、外部カラー画像装置9の色調整装置として、本カラー画像装置を使用することが可能となる。
【0243】実施例6.上記実施例では、画像表示部5の色情報表示部50、原画像51、調整画像52を同一の表示媒体上に表示するものを示したが、これは必ずしも同一の表示媒体である必要はなく、例えば、色情報表示部50をディスプレイ(図示せず)、原画像51および調整画像52をプリンタ(図示せず)としてもよい。
【0244】実施例7.上記実施例では、画像表示部5で色情報表示部50、原画像51、調整画像52を表示する方法を示したが、これらの表示を行わず、色調整量と色情報分布との対応が明確である調整指示だけをキーボードなどで行い、色調整を実施するカラー画像装置でもよい。
【0245】実施例8.上記実施例2では、彩度色相情報グラフ5050および5051を6角形で表示したが、円形表示してもよい。この場合、画像信号を輝度、彩度、色相に変換し、彩度を動経、色相を傾角として表示する。
【0246】以上のように上記実施例では、電気的に表現されたカラー画像に対して色を調整するカラー画像装置において、原画像と調整画像を同時に表示できる画像表示手段、原画像および調整画像の色情報を表示する色情報表示手段、色調整量と色情報との対応が明確な色情報表示手段上に設けられた調整指示手段、調整指示に基づき色調整マトリクスを設定するマトリクス設定手段、色調整マトリクスを記憶する記憶手段と、色調整マトリクスを送受信する色調整マトリクス送受信手段を備えたことを特徴とする。
【0247】本実施例に係わるカラー画像装置は、原画像51と調整画像52を同時に表示できる画像表示手段、調整対象になる原画像51および調整画像52の色情報を表示する色情報表示手段を持ち、さらに、その色情報表示手段に設けられた色調整量と色情報分布との対応が明確にである調整指示手段、その調整指示に基づき色調整マトリクスを設定するマトリクス設定手段、設定マトリクスを記憶する記憶手段、色調整マトリクスを外部装置と送受信する手段を設けたので、カラー調整の指示、色情報グラフ、調整画像との対応が明確になり、色調整指示の操作性が向上し、かつ、使用者が自ら色を簡単に調整できる効果があり、さらに、外部カラー画像装置の色の調整も容易にできる効果がある。
【0248】また、色情報表示手段は、画像データの色成分分布、輝度分布、色相分布、彩度分布、色相彩度同時表示分布のひとつであることを特徴とする。また、色情報表示手段のグラフは、色情報の各値の適した色を着色して頻度を表示することを特徴とする。また、調整指示手段は、移動方向が調整項目の種類を、移動量が調整量を表す、色情報表示手段上に設けられたポインタをマウスで移動させることを特徴とする。さらに、色調整マトリクスを、輝度、色相、彩度の各々の調整量に応じて変更できる色調整マトリクス設定手段を有することを特徴とする。また、色情報表示手段に使用する色空間が、画像信号そのものの色空間、または、CIERGB、CIEXYZ、CIELAB、CIELUVのいずれかであることを特徴とする。また、調整マトリクス設定手段が、画像信号そのものの座標、CIERGB、CIEXYZとCIELAB、CIELUVとでは設定方法が異なることを特徴とする。
【0249】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば色情報と画像との対応が明確になり、色調整指示の操作性が向上する。又、色調整マトリクスを用いる事により、異なる色空間において調整量が指定される場合でも、画像データの色空間を変更することなく色調整が可能になる。
【0250】また、この発明によれば、原画像と調整画像と原画像の色情報を表示し、原画像の色情報に対して色を調整するようにしたので、調整画像を容易に生成できるとともに調整前後にわたって画像を表示することができる。
【0251】また、この発明によれば、更に、調整画像の色情報を表示するので調整後の色情報を調整前の色情報と比較することができる。
【0252】また、この発明によれば、色調整マトリクスを作成することにより、調整画像をマトリクス演算により生成することができる。
【0253】また、この発明によれば、生成した色調整マトリクスを記憶し、再利用することができる。
【0254】また、この発明によれば、明度、色相、彩度等の色の持つ属性毎に色情報を表示することができる。
【0255】また、この発明によれば、例えば、色相、彩度を混合させて色情報を表示することができる。
【0256】また、この発明によれば、ポインタ操作により調整量を指示することができる。
【0257】また、この発明によれば、色情報を表示する場合に明度、色相、彩度等の属性を付して表示することができる。
【0258】また、この発明によれば、明度、色相、彩度等の色情報に対してそれぞれ調整を指示された場合でも1つの色調整マトリクスを生成して原画像から調整画像を生成することができる。
【0259】また、この発明によれば、色を調整するために色調整マトリクスを生成することができる。
【0260】また、この発明によれば、この色調整マトリクスを用いることにより、色調整を容易に行うことができる。
【0261】また、この発明によれば、原画像が色調整をしにくい第1の色空間で表されている場合に、色情報表示手段が色調整のしやすい第2の色空間に変換した色情報表示するので調整の指示がしやすくなる。また、色調整マトリクスは、第1の色空間に基づく原画像に対してマトリクス演算を行うことにより、第2の色空間への変換を伴うことなく第1の色空間に基づく調整画像を生成することができる。
【0262】また、この発明によれば、プリンタやディスプレイ装置等の周辺装置から色調整マトリクスを入力して新たな色調整マトリクスを生成し、再び周辺装置に出力する。従って、周辺装置において取り扱われる画像を本発明のカラー画像装置に基づいて、容易に変更することが可能になる。
【0263】また、この発明によれば、第2の色空間の種類は複数種類存在し、色調整マトリクス第2の色空間の種類に基づいて異なる方式により生成され、複数種類の色空間が存在している場合でも色調整マトリクスを生成することにより色調整を可能とする。
【0264】また、この発明によれば、明度、彩度、色相という色情報を用いて、調整量を指示するとともに、色調整マトリクスは、彩度、色相、明度の順に色調整されて生成される。
【0265】また、この発明によれば、原画像と原画像の色情報を表示し、原画像の色情報に対して調整量を指示することにより調整画像を表示するカラー画像調整方法を提供する。
【0266】また、この発明によれば、調整画像の色情報を表示することができる。
【0267】また、この発明によれば、色調整指示のしやすい第2の色空間に基づいて色情報を表示して、その調整量を指示させるとともに色調整マトリクスを生成して調整画像を生成することができる。
【0268】また、この発明によれば、原画像を表す第1の色空間に基づくデータと色調整マトリクスの行列演算に基づいて調整画像を生成することができる。従って、原画像から調整画像を生成する場合には、第2の色空間への変換を一切伴う必要はない。
【0269】また、この発明によれば、色情報をグラフを用いて、しかも対応する色を用いて表示するため、使用者がカラー調整が容易に行える。また原画像と調整画像及び、原画像の色情報と調整画像の色情報が同時に表示されるため、両者を比較しながら調整することが可能になる。また、この発明によれば、色調整マトリクスを用いる事により調整指示を行う色空間が異なる場合でも、画像データの色空間を調整を指示する色空間に変換することなく画像を調整することができる。
【0270】また、この発明によれば、色情報表示手段が1種類の属性に基づく色情報の分布、或は、複数種類の属性に基づく分布を表示することができる。
【0271】また、この発明によれば、分布を表示する場合に着色して表示することができる。
【0272】また、この発明によれば、色調整を色情報に対応して設けられたマウスポインタの移動により行うことができる。
【0273】また、この発明によれば、色調整マトリクスは、色の属性の各々に応じて1つのマトリクスが設定される。
【0274】また、この発明によれば、色情報に用いる色空間は複数存在しており、色情報表示手段はいずれかの種類の色空間に基づいて色情報を表示する。
【0275】また、この発明によれば、色調整マトリクスは、画像信号の色空間に基づいて設定方法が異なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるカラー画像装置の構成図である。
【図2】 本発明の第1の実施例による画像表示部の詳細図である。
【図3】 本発明の第1の実施例による画像表示部の動作を説明する図である。
【図4】 本発明の第1の実施例による色情報表示部の詳細と動作を説明する図である。
【図5】 本発明の第1の実施例による色情報表示部の操作を説明する図である。
【図6】 本発明の第1の実施例による色情報表示部の操作を説明する図である。
【図7】 本発明の第1の実施例による色情報表示部の操作を説明する図である。
【図8】 本発明の第1の実施例による色調整部の調整原理を説明する図である。
【図9】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図10】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図11】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図12】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図13】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図14】 本発明の第1の実施例による色調整の第1実験結果を示す図である。
【図15】 本発明の第1の実施例による色調整の第2実験結果を示す図である。
【図16】 本発明の第1の実施例による色調整の第3実験結果を示す図である。
【図17】 本発明の第2の実施例による画像表示部の詳細を示す図である。
【図18】 本発明の第2の実施例による色情報表示部の詳細と動作を説明する図である。
【図19】 本発明の第4の実施例による色情報表示部の操作を説明する図である。
【図20】 本発明の第5の実施例によるカラー画像装置の構成図である。
【図21】 本発明の第5の実施例による色情報表示部の操作を説明する図である。
【図22】 本発明によるシステム構成図である。
【図23】 本発明によるシステムブロック図である。
【図24】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図25】 従来の色補正装置の構成を示すブロック図である。
【図26】 従来の色補正装置の色補正部の構成を示すブロック図である。
【図27】 従来の色調整のソフトウェアのダイアログボックスを示す図である。
【図28】 従来の色調整のソフトウェアのダイアログボックスを示す図である。
【図29】 従来の色調整のソフトウェアのダイアログボックスを示す図である。
【図30】 従来のカラー画像の色調整方法方式を示す図である。
【符号の説明】
1 カラー画像入力部、2 色調整部、3 カラー画像出力部、4 外部装置インターフェース部、5 画像表示部、50 色情報表示部、51 原画像、52 調整画像、503 マウスポインタ、504 終了スイッチ、5000 原画像の輝度情報グラフ、5001 調整画像の輝度情報グラフ、5010 原画像の彩度情報グラフ、5011 調整画像の彩度情報グラフ、5020 原画像の色相情報グラフ、5021 調整画像の色相情報グラフ、5050 原画像の彩度色相情報グラフ、5051 調整画像の彩度色相情報グラフ。
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電気信号で表示されているカラー画像を編集する装置に関するものである。特にその画像の色調整性を改良したカラー画像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来例1.図25は例えば特開平4−352569号公報に示された従来の色補正装置のブロックを示す図である。図において、6は画像を読取るスキャナ、8は画像を形成するプリンタ、7は従来例における色補正装置である。この色補正装置7は、次の各ブロックから構成される。71は色補正を実行する色補正部、72は初期の色補正の度合いを調整するパラメータを記憶する初期パラメータメモリ部、73は初期パラメータメモリ部72の内容を設定できるデータ入力部、74は修正用の色補正の度合いを調整するパラメータを記憶する修正パラメータメモリ部、75は使用者の操作から修正パラメータを導出するファジイ推論部、76は使用者の指示を入力するための操作部である。
【0003】図26は、図25に示した色補正部71の内部構成を示すブロック図である。本図において、711は入力画像データを修正する変換テーブルを記憶し修正を行う色補正テーブルメモリ部、712は修正したい色範囲の画像か否かを判定する色範囲判定部、713は色範囲判定部712の判定結果に応じて出力を選択するセレクタ、714はスキャナ6の信号系をプリンタ8の信号系に変換する色変換部、715は入力信号を強度補正する入力強度補正部、716は出力信号の強度を補正する出力強度補正部である。
【0004】次に、従来の色補正装置の動作について説明する。まず、使用者からの色修正の要求がない色状態では、色補正装置7は色補正用の初期パラメータで設定される色補正の状態にある。データ入力部73は前もって求められた色補正の度合いから色補正用の初期パラメータを求めて初期パラメータメモリ部72に記憶する。初期パラメータメモリ部72は、色補正部71に初期パラメータから導出される色補正の度合いをセットする。初期パラメータメモリ部72が色補正テーブルメモリ部711に色補正テーブルH(L、H、S)をセットし(ここで、L、H、Sは、各明度、色相、彩度を表す)、色範囲判定部712に色補正をしたい色範囲Siをセットし、色変換部714にスキャナ6の信号からプリンタ8の信号に変換する各種の変換マトリクスMiおよび関数fiをセットする。
【0005】この状態でスキャナ6より画像が入力されると、色補正部71の内部では入力信号が色補正テーブルメモリ部711、色範囲判定部712とセレクタ713に供給され、色補正テーブルメモリ部では入力信号を座標変換した(L、H、S)の値を用いてアドレスにデコードし、内部の色補正テーブルメモリ部に対してそのアドレスで読みだし、データを色補正した信号をセレクタ713に供給する。
【0006】一方、色判定部712は入力信号が補正したい色範囲Siにあるか否かを判定し、その結果をセレクタ713に出力し、セレクタ713はその結果に応じて色補正された信号、または、入力信号を色変換部714に出力する。色変換部714は、入力信号または補正された信号を前記マトリクスMiおよび関数fiを用いプリンタ8の濃度信号に変換しプリンタ8に出力する。以上の動作を前入力信号に対して行い、画像を形成する。
【0007】次に、使用者の色修正要求が操作部76から入力された場合について説明する。この際、ファジイ推論部75は色修正要求を解析推論し、色補正パラメータ、色補正テーブルH(L、H、S)や色補正を行いたい色範囲Si、変換マトリクスMiおよび関数fiを求め、修正パラメータメモリ部74に記憶する。修正パラメータメモリ部74は、色修正用パラメータから色補正テーブルH(L、H、S)や色補正をしたい色範囲Si、変換マトリクスMi、関数fiを導き、各色補正テーブルメモリ部711、色範囲判定部712、色変換部714にセットする。以下同様に入力信号を処理し、画像を得る。
【0008】従来例2.図27〜図29は、例えばアドービ社のフォトショップ(PHOTOSHOPはアドービ社の登録商標)のユーザガイドに示されたダイヤログボックスを示す図である。
【0009】図27はグレースケールを持つイメージを白黒で表示する場合のスレッシュホールドレベルを調整するダイヤログボックスを示している。カーソルによりマウスポインタを左右に移動させることにより、グレースケールで表示されているイメージの白と黒の境界をスレッシュホールドレベルとして設定することが可能である。
【0010】又、図28はブライトネスとコントラストを変更するためのダイヤログボックスである。マウスポインタを左右に移動させる事によりブライトネス及びコントラストを変更することができる。
【0011】次に図29は、ブライトネスとコントラストを調整するダイヤログボックスを示している。この図29に示すダイヤログボックスは赤とグリーンとブルーを別々に指定して調整することが可能であると共に、赤と緑と青を一緒にマスターモードとして同時に調整することも可能である。シャドウを示すマウスポインタを移動させることによりイメージの最低輝度を調整することができる。又、ハイライトのマウスポインタを移動させる事により最大輝度を調整することができる。又、γを示すマウスポインタを移動させることにより最大輝度と最小輝度を変更することなく中間色の輝度を変更することができる。
【0012】図27及び図29に示すダイヤログボックスにはヒストグラムが示されている。ヒストグラムは横軸が明るさの値を示しており、縦軸が画素の数を示している。これらのヒストグラムは白黒で表示されている。このようにフォトショップはダイヤログボックスを用いて原画像を調整するが、このフォトショップによる画像表示は原画像を直接調整してしまうものである。即ち、原画像に対しダイヤログボックスを用いて色の調整を指定すると、原画像がその調整指示に基づいて調整されるものである。従って調整後の画像しか表示されず、原画像と調整画像を比較することが出来ない。
【0013】従来例3.図30はジャパンハードコピー’89論文集のP.249〜252に示された「色空間内の格子点補完によるカラー画像の選択的色調整」(NIP−30、金森、川上、小寺)に示された色調整の手順を示す図である。この図に示された手順は、まず、濃度空間81をRGBの色空間に変換する。次に、RGBの色空間からXYZの色空間を経由してL*a*b*空間へ変換する。この、L*a*b*空間を用いて調整量を指定する。そして、調整後の値を再びXYZの色空間を経由してRGBの色空間に戻して、再び濃度空間に戻すものである。このように従来の色調整を行う場合には、色調整量を人間の認識にマッチした色調整を行うために、色調整を指定するための色空間を画像データが構成されている色空間と変えて行うことがある。このような場合には画像データの色空間を一旦調整量の指定に用いた色空間に変換し、変換した後のデータを再び画像データが用いられている色空間に逆変換するという過程を経ていた。このように変換及び逆変換を行うことを各画素毎に行うため、色調整の処理速度が遅くなるという問題点があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来例1に示したカラー画像装置の色補正部は以上のように構成されているので、色を修正または調整したい場合、例えば、「かなり暗い部分を少し明るく」というような指示を操作部から指示しなければならず、指示を的確な言葉に置き換える必要があった。さらに、言葉の種類も限られているので十分な調整を行うことが難しかった。また、複数の色を調整したい場合、前記のような指示を複数あたえなければならなかった。このような点において、従来のカラー画像装置の色補正部は調整指示の方法に問題があった。
【0015】また、色を調整した際に色がどのように変化したかを表示する機能もなく、使用者は最終出力画像を見て色の調整を行っていたため、使用者の主観に頼るあいまいな部分が多く、時間やコスト面で不都合な点が多かった。
【0016】また、従来例2に示したカラー画像用調整ソフトウェアはイメージを調整するためにヒストグラムを表示し、スレッシュホールドレベルやコントラスト等をマウスにより変更することができるが、その指定はそれぞれの指定を別々のダイヤログボックスで行う必要があり、全体としてどのような調整を行ったかを容易に知ることが出来なかった。さらにダイヤログボックスの情報は全て白黒で表示されているため、どのような変更がなされるかを感覚的に想像しながら調整を行わなければならなかった。また、調整前と調整後の画像及び、調整前と調整後の色の情報が表示されないため、調整前と調整後にどうのような変更があったかを比較することができないという問題があった。
【0017】また、従来例3に示した色調整手順においては、画像データを表す色空間と調整量を指定する色空間が異なる場合に各画素データを画像データの色空間から調整量を指定する色空間へ変換し、調整量を指定する色空間を用いて調整を行ってから再び画像データを表わす色空間に逆変換を行うという手順を用いているため、演算量が膨大になり処理速度が大幅に遅れるという問題点があった。
【0018】本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、色調整の指示が、表示された色情報と対応するように設定され、かつ、操作性に優れた色調整可能なカラー画像装置を得ることを目的としており、さらに、この装置の色調整方法を提供することを目的とする。また、本発明は画像データを表わす色空間と調整量を指定する色空間が異なる場合でも、画像データから直接調整後の画像データが求められるカラー画像装置を得ることを目的としており、さらにこの装置の色調整方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係わるカラー画像装置は以下の要素を有するものである。(a)原画像と調整画像を表示する画像表示手段、(b)上記原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する色情報表示手段、(c)上記色情報表示手段により表示された色情報に対して色調整を指示する調整指示手段、(d)上記調整指示手段の指示に基づき調整画像を生成し、上記画像表示手段により調整画像を表示させる調整手段。
【0020】第2の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段がさらに調整画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示すること特徴とするものである。
【0021】第3の発明に係わるカラー画像装置は調整手段が調整指示手段の指示による色調整量に基づき色調整マトリクスを生成するマトリクス生成手段と、色調整マトリクスを用いて原画像から調整画像を生成する調整画像生成手段を備えたことを特徴とするものである。
【0022】第4の発明に係わるカラー画像装置はマトリクス生成手段により生成された色調整マトリクスを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とするものである。
【0023】第5の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段が輝度、彩度、色相等の色の持つ属性毎に原画像を解析すると共に、各属性毎の分布を色情報として表示することを特徴とするものである。
【0024】第6の発明に係わるカラー画像装置は例えば、彩度と色相を混合させるように複数の属性の分布を混合させて色情報として表示することを特徴とするものである。
【0025】第7の発明に係わるカラー画像装置は調整指示手段が表示した色情報に対して調整量を指定するポインタを備え、彩度と色相が混合されたような複数の属性の分布を混合した色情報の場合に、ポインタの移動方向により調整すべき属性を選択し、ポインタの移動量により選択した属性の調整量を指示することを特徴とするものである。
【0026】第8の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段が表示する色情報にその色情報に対応する属性を付して表示することを特徴とする。
【0027】第9の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段が輝度、彩度、色相のように複数の属性に関する色情報を1つの画面に同時に表示し、色調整指示手段はこれらの複数の属性に関する調整指示を行い、マトリクス生成手段はこれらの複数の属性に関する調整指示に対して1つの色調整マトリクスを生成することを特徴とするものである。
【0028】第10の発明に係わるカラー画像装置は以下の要素を有するものである。(a)原画像を入力して原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する色情報表示手段、(b)上記色情報表示手段により表示された色情報に対して色の調整を指示する調整指示手段、(c)上記調整指示手段の指示に基づいて色調整マトリクスを生成するマトリクス生成手段、(d)上記マトリクス生成手段により生成された色調整マトリクスを出力する出力手段。
【0029】第11の発明に係わるカラー画像装置は原画像が第1の色空間に基づく座標データで表わされ、色情報表示手段は第2の色空間に基づく座標データを用いて原画像の色情報を求めて表示すると共に、色調整指示手段は第2の色空間に基づく座標データで、色調整量を指定し、マトリクス生成手段は第2の色空間に基づく座標データで指示された調整指示を含む色調整マトリクスを生成することを特徴とするものであり、生成された色調整マトリクスと原画像を表わしている第1の空間に基づく座標データとの演算により調整後の調整画像を生成することができるものである。
【0030】第12の発明に係わるカラー画像装置は色調整マトリクスを用いて動作する周辺装置から色調整マトリクスを入力し、マトリクス生成手段は入力した色調整マトリクスを用いて調整指示手段の指示に基づく新たな色調整マトリクスを生成し、周辺装置がこの色調整マトリクスを用いて動作することを特徴とするものである。
【0031】第13の発明に係わるカラー画像装置は調整指示を行うための第2の色空間の種類はJIS等により標準化された色空間を用いることが可能であると共にマトリクス生成手段はこれら第2の色空間の種類によって異なる方式を用いて色調整マトリクスを生成することを特徴とするものである。
【0032】第14の発明に係わるカラー画像装置は、明度、彩度、色相に関する調整量の指定に対してマトリクス生成手段が先ず彩度に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成し、次に色相に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成し、最後に明度に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成することを特徴とするものである。
【0033】第15の発明に係わるカラー画像調整方法は以下の工程を有するものである。(a)原画像を表示する画像表示工程、(b)上記原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する原画像用色情報表示工程、(c)上記原画像用色情報表示工程により表示された色情報に対して色調整量を指示する調整指示工程、(d)上記調整指示工程の指示に基づき調整画像を生成し、上記画像を表示する調整画像表示工程。
【0034】第16のカラー画像調整方法はさらに調整画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する調整画像用色情報表示工程を備えたことを特徴とするものである。
【0035】第17の発明に係わるカラー画像調整方法は以下の工程を有するものである。(a)上記原画像を表わす第1の色空間に基づく座標データを第2の色空間に基づく座標データに変換して色情報を求め表示する色情報表示工程、(b)上記色情報表示工程により表示された色情報に対して第2の色空間に基づく座標データを用いて色の調整を指示する調整指示工程、(c)上記調整指示工程による指示に基づいて、原画像を調整する色調整マトリクスを生成するマトリクス生成工程、(d)上記マトリクス生成工程により生成された色調整マトリクスを用いて、調整画像を生成する調整画像生成工程。
【0036】第18の発明に係わるカラー画像調整方法は調整画像生成工程が原画像を表す第1の色空間に基づく座標データと色調整マトリクスとの行列演算を実行して、原画像を調整画像へ直接変換をすることを特徴とする。
【0037】第19の発明に係わるカラー画像装置は電気的に表現されたカラー画像に対して色を調整するカラー画像装置において、原画像と調整画像を同時に表示できる画像表示手段と、原画像および調整画像の色情報を表示する色情報表示手段と、色情報表示手段とともに設けられ、色情報に対応して色調整量を指示する調整指示手段と、調整指示に基づき色調整マトリクスを設定するマトリクス設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0038】第20の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段が少なくとも画像データの色成分分布、輝度分布、色相分布、彩度分布、色相彩度同時表示分布のいずれか1つの分布を表示することを特徴とする。
【0039】第21の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段が色情報の各値の適した色を着色して頻度を表示することを特徴とする。
【0040】第22の発明に係わるカラー画像装置は調整指示手段が色情報表示手段により表示された色情報に対応して設けられたポインタをポインタ指定手段で移動させ、その移動方向が調整項目の種類を表し、その移動量が調整量を表すことを特徴とする。
【0041】第23の発明に係わるカラー画像装置はマトリクス設定手段が色調整マトリクスを、輝度、色相、彩度の各々の調整量に応じて変更できることを特徴とする。
【0042】第24の発明に係わるカラー画像装置は色情報表示手段に使用する色空間が、画像信号そのものの色空間、または、CIERGB、CIEXYZ、CIELAB、CIELUVのいずれかであることを特徴とする。
【0043】第25の発明に係わるカラー画像装置はマトリクス設定手段が画像信号そのものの座標、CIERGB、CIEXYZとCIELAB、CIELUVとでは色調整マトリクスの設定方法が異なることを特徴とする。
【0044】
【作用】この発明においては、原画像と調整画像と原画像の色情報を表示し、原画像の色情報に対して色を調整するようにしたので、調整画像を容易に生成できるともに調整前後にわたって画像を表示する。
【0045】また、この発明においては、更に、調整画像の色情報を表示するので調整後の色情報を調整前の色情報と比較することができる。
【0046】また、この発明においては、色調整マトリクスを作成することにより、調整画像をマトリクス演算により生成する。
【0047】また、この発明においては、生成した色調整マトリクスを記憶し、再利用することができる。
【0048】また、この発明においては、明度、色相、彩度等の色の持つ属性毎に色情報を表示する。
【0049】また、この発明においては、例えば、色相、彩度を混合させて色情報を表示する。
【0050】また、この発明においては、ポインタ操作により調整量を指示する。
【0051】また、この発明においては、色情報を表示する場合に明度、色相、彩度等の属性を付して表示する。
【0052】また、この発明においては、明度、色相、彩度等の色情報に対してそれぞれ調整を指示された場合でも1つの色調整マトリクスを生成して原画像から調整画像を生成する。
【0053】また、この発明においては、色を調整するために色調整マトリクスを生成する。
【0054】また、この発明においては、この色調整マトリクスを用いることにより、色調整を容易に行うことができる。
【0055】また、この発明においては、原画像が色調整をしにくい第1の色空間で表されている場合に、色情報表示手段が色調整のしやすい第2の色空間に変換した色情報表示するので調整の指示がしやすくなる。また、色調整マトリクスは、第1の色空間に基づく原画像に対してマトリクス演算を行うことにより、第2の色空間への変換を伴うことなく第1の色空間に基づく調整画像を生成する。
【0056】また、この発明においては、プリンタやディスプレイ装置等の周辺装置から色調整マトリクスを入力して新たな色調整マトリクスを生成し、再び周辺装置に出力する。従って、周辺装置において取り扱われる画像を本発明のカラー画像装置に基づいて、容易に変更することが可能になる。
【0057】また、この発明においては、第2の色空間の種類は複数種類存在し、色調整マトリクス第2の色空間の種類に基づいて異なる方式により生成され、複数種類の色空間が存在している場合でも色調整マトリクスを生成することにより色調整を可能とする。
【0058】また、この発明においては、明度、彩度、色相という色情報を用いて、調整量を指示するとともに、色調整マトリクスは、彩度、色相、明度の順に色調整されて生成される。
【0059】また、この発明においては、原画像と原画像の色情報を表示し、原画像の色情報に対して調整量を指示することにより調整画像を表示するカラー画像調整方法を提供する。
【0060】また、この発明においては、調整画像の色情報を表示する。
【0061】また、この発明においては、色調整指示のしやすい第2の色空間に基づいて色情報を表示して、その調整量を指示させるとともに色調整マトリクスを生成して調整画像を生成する。
【0062】また、この発明においては、原画像を表す第1の色空間に基づくデータと色調整マトリクスの行列演算に基づいて調整画像を生成する。従って、原画像から調整画像を生成する場合には、第2の色空間への変換を一切伴う必要はない。
【0063】この発明においては、色情報をグラフを用いて、しかも対応する色を用いて表示するため、使用者がカラー調整が容易に行える。また原画像と調整画像及び、原画像の色情報と調整画像の色情報が同時に表示されるため、両者を比較しながら調整することが可能に成る。また、この発明においては、色調整マトリクスを用いる事により調整指示を行う色空間が異なる場合でも、画像データの色空間を調整を指示する色空間に変換することなく画像を調整することができる。
【0064】また、この発明においては、色情報表示手段が1種類の属性に基づく色情報の分布、或は、複数種類の属性に基づく分布を表示する。
【0065】また、この発明においては、分布を表示する場合に着色して表示する。
【0066】また、この発明においては、色調整を色情報に対応して設けられたマウスポインタの移動により行う。
【0067】また、この発明においては、色調整マトリクスは、色の属性の各々に応じて1つのマトリクスが設定される。
【0068】また、この発明においては、色情報に用いる色空間は複数存在しており、色情報表示手段はいずれかの種類の色空間に基づいて色情報を表示する。
【0069】また、この発明においては、色調整マトリクスは、画像信号の色空間に基づいて設定方法が異なる。
【0070】
【実施例】
実施例1.以下、本発明の一実施例を図について説明する。図1は本実施例のカラー画像装置の構成を示す図である。図1において、1はカラー画像入力部、2は色調整部、3はカラー画像出力部、4は外部装置とのインターフェース部、5は画像表示と人とのインターフェースを兼ね備えた画像表示部である。
【0071】ハードディスクなどの外部記憶装置やスキャナなどの画像入力装置からのカラー画像(以下、原画像ともいう)は、外部装置インターフェース部4より入力される。カラー画像は、カラー画像入力部1において適切なデータに変換され、色調整部2に送られる。色調整部2では画像表示部5からの指示を受けながら色の調整を行い、調整カラー画像(以下、調整画像ともいう)、色調整マトリクス(以下、設定マトリクスともいう)を作成する。調整カラー画像は、カラー画像出力部3で外部装置に適したデータに変換され、外部装置インターフェース部4に送られる。また、色調整マトリクスは外部インターフェース部4にも送られる。
【0072】図22は、カラー画像装置の一例となるワークステーション600を示す図である。図において、5は情報を表示する画像表示部となるディスプレイ装置、61は文字、数値を入力するキーボード、63はディスプレイ装置の任意の位置を指定することができるマウス、62はマウスパッド、64はワークステーション本体装置である。613はローカルエリアネットワークとのインターフェースとなるTCP/IPである。620はSCSI、621はRS232Cポート、622はパラレルポートである。
【0073】次に、図23は、図22に示したワークステーションの内部ブロックである。図において、609はワークステーション全体を制御するオペレーティングシステム、610はオペレーティングシステムの上で動作するウィンドウシステム、611はウィンドウシステムの上で動作するグラフィックユーザインターフェース部(GUI)、612はグラフィックユーザインターフェース部で動作してユーザに対してディスクトップ環境を提供するディスクトップである。
【0074】図2は画像表示部5の詳細を示す図である。50は画像の色情報表示部、51は原画像、52は調整画像である。5000は原画像の輝度情報グラフ、5001は調整画像の輝度情報グラフ、5010は原画像の彩度情報グラフ、5011は調整画像の彩度情報グラフ、5020は原画像の色相情報グラフ、5021は調整画像の色相情報グラフである。503(503a、503b、503c、503d。以下503a、503b、503c、503dを区別しない場合は503を用いる。)は色調整部2に調整情報を知らせるためのマウスポインタ、504は色調整部2に終了情報を知らせる終了スイッチである。
【0075】次に、画像表示部5の動作を図3を参照して説明する。動作はS530の”始め”からスタートする。次に、S531で原画像51を表示し、さらに、S532で原画像の色情報(5000、5010、5020)を表示する。S533では、マウスポインタ503が動いたかを判定する。マウスポインタ503が動作した場合は、S534でマウスポインタ503の動き量から得られた調整情報を色調整部2に送信し、かつ、色調整部2からの調整画像52に関する情報を受信する。次いで、S535で調整画像52を表示し、S536で調整画像52に関する色情報(5001、5011、5021)を表示する。これらの処理が終わると、S533に戻る。S533でマウスポインタ503が静止している場合は、S537で終了スイッチ504の状態を調べる。終了の場合は、S538の”終わり”になる。続行の場合は、S533に戻る。
【0076】次に、色情報表示部50の詳細表示とマウスポインタ503の動作について、図4を参照して説明する。(a)は輝度情報グラフ5000を示している。グラフは3つのブロックに分けられ、それぞれ、黒から最も明るい原色(赤、緑、青)までの色で表示する。原画像を構成する各画素の輝度情報を1バイト(8ビット)で保持する場合、輝度強度は0〜255の値をもちこの値に基づいて分布をとる。原画像51の各カラー成分の輝度分布のグラフを、その輝度強度に応じた色をつけて表示する。この表示は、調整画像52の輝度情報グラフ5001についても同様である。マウスポインタ503a、503bは各ブロックに2つ、合計6個設置する。いずれも、マウスポインタ503は正負両方の値がとれるように個別にあるいは連動して左右に移動可能である。マウスポインタ503aは輝度の最小値を設定する”基底”を調整する。マウスポインタ503bは輝度の最大値を設定する”明るさ”を調整する。
【0077】(b)は彩度情報グラフ5010を示している。グラフは3つのブロックに分けられ、それぞれ、白から最も彩度の高い原色(赤、緑、青)までの色で表示する。原画像を構成する各画素の彩度情報を1バイト(8ビット)で保持する場合、彩度情報は0〜255の値をもちこの値に基づいて分布をとる。原画像51の各カラー成分の彩度分布のグラフを、その彩度強度に応じた色をつけて表示する。この表示は、調整画像52の彩度情報グラフ5011についても同様である。マウスポインタ503cは各ブロックに1つ、合計3個設置する。いずれも、マウスポインタ503cは正負両方の値がとれるように個別にあるいは連動して左右に移動可能である。
【0078】(c)は色相情報グラフ5020を示している。グラフは色相に応じた色、すなわち、マゼンタ、赤、イエロー、緑、シアン、青、ふたたびマゼンタと連続した彩度の最も高い色で表示する。具体的には、0度から360度(0〜2π)の値を色相に応じた色に割当て同一の角度を持つ値の分布を取る。そして原画像51の各カラー成分の色相分布の棒グラフを、その色相に応じた色をつけて表示する。この表示は、調整画像52の色相情報グラフ5021についても同様である。マウスポインタ503dは3個設置する。いずれも、マウスポインタ503dは正負両方の値がとれるように個別にあるいは連動して移動可能である。
【0079】次に、輝度情報グラフ5000、彩度情報グラフ5010、色相情報グラフ5020など、信号強度に応じた色をつけてヒストグラムを表示する点について述べる。図5は原画像の輝度情報グラフ5000と調整画像の輝度情報グラフ5001を示す図である。基底を示すマウスポインタ503aを矢印Aの方向にずらし、明るさを示すマウスポインタ503bを矢印Bの方向にずらすことにより、輝度情報を調整することが可能である。マウスポインタ503a、503bの指定により原画像の輝度情報は、この基底と明るさの範囲内に調整される。従って輝度情報の分布が指定された基底と明るさの範囲内にある調整画像52が表示される。また調整画像52の輝度情報グラフ5001は図5(b)に示すように基底と明るさの範囲内にある輝度情報グラフが生成される。
【0080】次に、図6は原画像の彩度情報グラフ5010と調整画像の彩度情報グラフ5011を示す図である。マウスポインタ503cを図6(a)に示した矢印Aの方向にずらすことにより、彩度を調整することができる。この指定では彩度を赤により近づける調整を行い、赤がより鮮やかになった調整画像52が表示される。また調整画像52の彩度情報グラフ5011の分布は図6(b)に示すように分布が赤に近づいたものとなる。
【0081】次に、図7に示すように色相情報グラフ5020で、緑付近にピークPを持つ原画像51があるとする。このグラフ5020は例えば図7に示すように、分布の中央部は緑系統の色で表示され、左の裾は黄緑系統の色で、右の裾は青緑系統の色で表示される。これらの色は連続して変化している。今、このピークPを真緑に合わせたい場合は、中央のマウスポインタ503dを図7に示した矢印Aの方向にずらす。こうすることにより、分布のピークPを真緑で表示することができる。さらに、調整画像52も色相情報で表示された分布の画像となる。また、調整画像52の色相情報グラフ5021の分布も変化し、分布のピークが真緑になった色相情報グラフ5021が生成される。
【0082】次に、色調整部2の色調整の原理について図8を用いて説明する。図8(a)は原画像を構成する原画素と、調整画像を構成する調整画素の関係を示す図である。今、原画素がRGB空間により表現されるものとする。調整画素も同様にRGB空間で表現されるものとする。一方画像表示部5に表示される色情報は輝度、彩度、色相という属性を用いるものとする。このように、色情報は、原画素や調整画素が用いている色空間とは異なる空間を用いて表現されるものとする。図8(a)に示す設定マトリクス(色調整マトリクスともいう)は輝度、彩度、色相による調整指示を含む設定マトリクスである。色調整部2はこの設定マトリクスを作成する。作成された設定マトリクスと原画素とをマトリクス演算することにより、調整画素を求めることができる。設定マトリクスのもとになるマトリクスを原マトリクスという。図8(b)に示すように原マトリクスはマトリクスの対角成分のみが存在する対角行列である。この原マトリクスに対して原画素のデータを演算すると、図8(b)のように調整画素は原画素と全く同様のものとなる。色調整部2は原マトリクスに対して、画像表示部から指示された輝度、彩度、色相の調整指示を加えることにより、設定マトリクスを作成する。設定マトリクスが作成されると、その後は原画素と設定マトリクスとの演算により調整画素を生成することができる。すなわち、画像表示部5から輝度、彩度、色相という異なる色空間に基づくパラメータ入力がある場合でも、1度設定マトリクスを作成してしまえば、RGB空間における原画素に対して設定マトリクスを用いて演算を施す事により調整画素を直接求めることが可能である。従来のようにRGB空間の原画素のデータを輝度、彩度、色相の色空間のデータに1度変換し、変換したデータに対して輝度、彩度、色相の調整を施し、調整後の輝度、彩度、色相データを再びRGB空間に戻すという工程を経る必要がない。このように、この実施例は設定マトリクスを作成することにより、異なる色空間に基づいて指定されたパラメータであっても、単にマトリクス演算により自己の色空間を用いたまま新たな調整画素を生成することに大きな特徴がある。なお、原画素の色空間とパラメータを入力する色空間が同じであっても、設定マトリクスを作成することにより調整画像を生成することが可能であるが、この実施例以降では原画素の色空間と異なる色空間を用いてパラメータを入力する場合を説明する。
【0083】設定マトリクスの生成方法としては、(I)変換前の座標系を変換後の座標系で表す方式(II)変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式という2つの方式が考えられる。設定マトリクスは、変換前の座標と変換後の座標の関係を表すものである。変換前の座標を基礎にする方式と変換後の座標を基礎にする方式とは、表裏の関係にあり同一の関係を表すことができる。以下(I)変換前の座標系を変換後の座標系で表す方式の設定マトリクスの生成について図9〜図10を用いて説明する。(II)変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式については、図11〜図13を用いて後に説明する。
【0084】次に、色調整部2の動作について図9を参照して説明する。色調整部2は内部処理が中心であるので、フローチャートを用いて説明をする。色調整部2は、S20の”始め”からスタートする。
【0085】次に、S22の原マトリクス作成に進む。原マトリクスには例えば次のマトリクスを作成する。
【0086】
【数1】
【0087】以降の説明のために、原マトリクスを次のように書くこととする。
【0088】
【数2】
【0089】S24では画像表示部5からの指示を監視する。指示があるまでS24はループ状態にあり、処理は何も行わない。画像表示部5からの指示があると次の四つの処理に分岐する。
(1)輝度のマウスポインタ503a,503bが移動した場合(2)彩度のマウスポインタ503cが移動した場合(3)色相のマウスポインタ503dが移動した場合(4)終了スイッチ504が押された場合以下この各処理について説明する。なお、ここでは、説明をわかりやすくするためマウスポインタの移動は上記(1)、(2)、(3)のいずれかのみが実行された場合について説明する。すなわち、輝度、彩度、色相の調整が同時に指示されることなく、別々に指示されるものとする。
【0090】(1)輝度のマウスポインタ503a、503bが移動した場合−S25図4で示したように、輝度情報グラフ5000の下には合計6個のマウスポインタ503a、503bがある。このマウスポインタ503a、503bは各カラー信号成分の最大輝度、最小輝度に対応する。すなわち、カラー信号がRGBの3成分で表せる場合は、R成分の最大輝度Rmax、R成分の最小輝度Rmin、G成分の最大輝度Gmax、G成分の最小輝度Gmin、B成分の最大輝度Bmax、B成分の最小輝度Bminの6つである。これらのマウスポインタ503が移動した場合、この最大輝度、最小輝度の情報が、色調整部2に送られる。色調整部2では、これらの情報をもとにマトリクスを設定する。調整信号の最大信号を(ARmax、AGmax、ABmax)、最小信号を(ARmin、AGmin、ABmin)として、
【0091】
【数3】
【0092】を満たすマトリクスKおよびJを求める。このマトリクスKより設定マトリクスNを求める。
N=K・Mここで、マトリクスNは(I)変換前の座標系を変換後の座標系で表す方式により生成された設定マトリクスである。また、マトリクスJは(I)変換前の座標系を変換後の座標系で表す方式により生成された定数として、設定マトリクスNとともに内部に記憶しておく。
【0093】次に、具体例について説明する。入力したカラー信号のR成分が最大輝度Rmin=30、最小輝度Rmax=200、G成分が最大輝度Gmin=20、最小輝度Gmax=210、B成分が最大輝度Bmin=10、最小輝度Bmax=220という値をとっているものとする。このカラー信号を調整してR成分、G成分、B成分とも全て最大輝度=255、最小輝度=0とする。この調整は、3つのマウスポインタ503aを全て左端まで移動し、3つのマウスポインタ503bを全て右端まで移動することにより行われる。こうして、
【0094】
【数4】
【0095】とし、
【0096】
【数5】
【0097】とすれば、マトリクスMは単位マトリクスだから数3を書き直して、
【0098】
【数6】
【0099】となる。この式を解くと、Kr=1.5,Kg=1.342,Kb=1.214,Jr=−45,Jg=−26.842,Jb=−12.143となる。すなわち、設定マトリクスNは、
【0100】
【数7】
【0101】となり、マトリクスJは、
【0102】
【数8】
【0103】となる。これはR成分、G成分、B成分のそれぞれがRmin、Gmin、Bmin〜Rmax、Gmax、Bmaxの間にあるカラー信号が各成分とも0〜255の中に変換されることを示している。例えば、
【0104】
【数9】
【0105】では、
【0106】
【数10】
【0107】に変換される。
【0108】
【数11】
【0109】では、
【0110】
【数12】
【0111】に変換され、0〜255の中には入らない。
【0112】このように、設定マトリクスNとマトリクスJが求められたならば、求められた設定マトリクスNとマトリクスJを用いて入力したカラー信号の変換を行う。カラー信号の全てのR成分はRmin≦R≦Rmax、カラー信号の全てのG成分はGmin≦G≦Gmax、カラー信号の全てのB成分はBmin≦B≦Bmaxであるから、全て、0〜255の値のいずれかに変換できる。このように、マウスポインタ503の移動により輝度を調整し調整画像を作成する。
【0113】(2)彩度のマウスポインタ503cが移動した場合−S26図4で示したように、彩度情報グラフ5010の下には合計3個のマウスポインタがある。このマウスポインタは各カラー信号成分の彩度変化量に対応する。すなわち、カラー信号がRGBの3成分で表せる場合は、R成分の彩度変化量ΔCR、G成分の彩度変化量ΔCG、B成分の彩度変化量ΔCBの3つである。これらのマウスポインタ503cが移動した場合、この彩度変化量の情報が、色調整部2に送られる。色調整部2では、これらの情報をもとにマトリクスを設定する。設定マトリクスをNとして、
【0114】
【数13】
【0115】と求める。
【0116】次に、具体例について説明する。ここでは、赤を鮮やかにしたい場合について説明する。マウスポインタ503cを移動させることにより得られた彩度変化量をΔCR=−0.037,ΔCG=−0.037,ΔCB=−0.037とすれば、設定マトリクスNは、
【0117】
【数14】
【0118】となる。今、(R,G,B)=(255,255,255)の時、(AR,AG,AB)=(255,255,255)となるように正規化し、正規化された設定マトリクスをN’とすると、
【0119】
【数15】
【0120】となる。すなわち、
【0121】
【数16】
【0122】となることより、正規化されいることがわかる。ここで、(R,G,B)=(200,10,10)という値を代入して計算すると、
【0123】
【数17】
【0124】となる。この数値をみると、R→AR で 200→215.5G→AG で 10→ 2.2B→AB で 10→ 2.2と変化している。R成分が増してG,B成分が減るのでより純粋な赤色が得られる。
【0125】(3)色相のマウスポインタ503dが移動した場合−S27図4で示したように、彩度情報グラフ5020の下には合計3個のマウスポインタ503がある。このマウスポインタ503は各カラー信号成分の色相変化量に対応する。すなわち、カラー信号がRGBの3成分で表せる場合は、R成分の色相変化量ΔHR、G成分の色相変化量ΔHG、B成分の色相変化量ΔHBの3つである。これらのマウスポインタ503が移動した場合、この色相変化量の情報が、色調整部2に送られる。色調整部2では、これらの情報をもとにマトリクスを設定する。設定マトリクスをNとして、色相変化量が負の場合は、
【0126】
【数18】
【0127】また、色相変化量が正の場合は、
【0128】
【数19】
【0129】と求める。
【0130】次に、具体例について説明する。R→B→Gという向きに色を回転させたい場合について説明する。マウスポインタ503dを移動させることにより得られた色相変化量をΔHR=−0.038,ΔHG=−0.038,ΔHB=−0.038とすれば、設定マトリクスNは、
【0131】
【数20】
【0132】となる。(R,G,B)=(255,255,255)の時、(AR,AG,AB)=(255,255,255)になるように正規化し、正規化した設定マトリクスをN’とすると、
【0133】
【数21】
【0134】となる。ここで、(R,G,B)=(200,10,10)とすれば、
【0135】
【数22】
【0136】となる。ここで、G−B平面を考えると、(G,B)=(10,10)から(G,B)=(10,−2)と変化するため、図8(c)に示すように色信号が変化する。従って、よりグリーンがかった色となる。ここで、AR=208となるが、この方法ではこれは無視する。上記具体例からわかるように数値を与えて計算し、計算した結果を解釈することはたやすいが、オペレーション中に数値そのものを扱うのは困難である。そこで、この実施例に示したようなマンマシンインターフェースを設けて、数値を扱わなくても色を換えられるようにした点がこのシステムの大きな特徴である。具体的には、マウスポインタの移動という簡単な操作から設定マトリクスを作成し、作成した設定マトリクスとカラー信号の演算から色の調整が自由にできる点である。
【0137】上記(1)または(2)または(3)の処理が終了すると、S28の調整画像の作成に移る。これは、画像表示部5に表示されている原画像51から調整画像52を作成する処理である。ついで、S29の画像表示部5への送信に移り、作成された調整画像は、画像表示部5に送られ表示される。その後、S24の画像表示部5からの指示を待つループ状態にはいる。これにより、色調整を何回でも行うことが可能になる。
【0138】(4)終了スイッチ504が押された場合終了スイッチ504が押された場合は、色調整部2の動作はS30の”終わり”となる。
【0139】上記、図9に示すフローチャートにおいては、説明を簡単にするために輝度と彩度と色相のマウスポインタのいずれか1つが移動した場合、それに対応してマトリクス設定を行う場合について説明した。
【0140】次に、輝度と彩度と色相が同時に調整される場合について図10と図24を用いて説明する。図10は、図24に示すS240に示した画像表示部5からの指示を監視する処理を示すフローチャートである。この図10のフローチャートは最小輝度、最大輝度、彩度変化量、色相変化量を色調整パラメータとして設定するものである。まずS241のスタートから開始し、S242で基底を調整するマウスポインタ503aが移動したかどうかを判定する。マウスポインタ503aが移動した場合にはS243で連動処理を行うかどうかを判定する。連動処理とは3つのマウスポインタ503aのうち、いずれか1つを移動させた場合に、他の残りの2つのマウスポインタ503aを共に同じ方向に同じ距離だけ移動させる処理をいう。連動処理を行うか、個別に移動させるかは予め指定しておくものとし、S243ではその指定を参照して連動処理をするか、個別処理をするかを判定する。S243で連動処理が行われているということが判定された場合には、S244で残りの2つのマウスポインタ503aの移動を行う。
【0141】次に、S245においては移動したマウスポインタの方向と距離を判定し、新たな基底の設定を行う。このS245の処理は、指示された値を最小輝度として記憶する。この時点では設定マトリクスは生成されない。連動処理を行わない個別処理の場合には移動したマウスポインタそれぞれの基底を設定する。一方連動処理を行う場合には3つのマウスポインタに対して同じ基底の設定を行う。
【0142】次に、S246では明るさを示すマウスポインタ503bの移動が移動したかを判定する。もし移動した場合にはS247で連動処理を行うかどうかを判定する。連動処理を行う場合には、S248において残りの他の2つのマウスポインタ503bも同様に移動させる。S249においては移動したマウスポインタの方向と距離から最大輝度を示す明るさを設定する。このS249の処理は、指示された値を最大輝度として記憶する。この時点では設定マトリクスは生成されない。連動処理を行わない個別処理の場合には、それぞれのマウスポインタの移動方向と距離を判定し、それぞれの明るさを設定する。連動処理を行う場合には、3つのマウスポインタに対して同様の明るさの設定を行う。
【0143】次に、S250においては彩度を調整するマウスポインタ503cが移動したかどうかを判定する。移動した場合にはS251において連動処理かどうかを判定する。S252においては、残りのマウスポインタに対して連動処理を行う。S253においては、移動したマウスポインタに基づいて彩度の設定を行う。このS253の処理は、指示された値を彩度変化量として記憶する。この時点では設定マトリクスは生成されない。
【0144】次に、S254においては色相を調整するマウスポインタ503dが移動したかどうかを判定する。移動した場合には、S255において連動処理かどうかを判定し、連動処理の場合にはS256においては連動するマウスポインタを移動させる。S257においては、移動したマウスポインタに基づいて色相の設定を行う。このS257の処理は、指示された値を色相変化量として記憶する。この時点では設定マトリクスは生成されない。
【0145】さらにS258においては、終了スイッチ504が押されたかどうかを判定する。終了スイッチが押されない場合には再びスタートにループする。終了スイッチ504が押された場合には図10のフローチャートが終了する。これは、図24のS240の処理を終了したことを意味する。S240の処理が終了した時点では、最小輝度、最大輝度、彩度変化量、色相変化量が色調整パラメータとして既に設定されている。S259では、これらの色調整パラメータを用いて設定マトリクスを生成する。S259は、図9に示したS25〜S27の処理を順に実行することにより、設定マトリクスを生成する。
【0146】次に、S245で述べた基底の設定についてさらに説明する。図5で示すようにマウスポインタ503aが元々128の所に存在しており、矢印Aの方向に移動した場合について説明する。ここでマウスポインタ503aを矢印Aの方向に−32動かした(左へ32動かした)ものとする。この場合には基底(最小輝度)=128−32=96となる。図10に示したS245の基底設定は、このようにして新たな基底を基底パラメータKnとして求める処理を行う。又マウスポインタ503bを矢印Bの方向に+32移動する(右へ32動かす)ことにより、明るさ(最大輝度)=128+32=160となる。図10に示したS249の明るさ設定は、このようにして新たな明るさを明度パラメータLnとして求める処理を行う。
【0147】次に、S253に示した彩度の設定について説明する。図6においてマウスポインタ503cを矢印Aの方向に移動させることにより、+64移動させた場合には彩度変化量は+64となる。S253の彩度設定はこのようにして彩度変化量を彩度パラメータCnとして設定する。
【0148】次に、S257の色相設定について説明する。図7に示すように色相を示すマウスポインタ503dを矢印Aの方向に+10度移動させた場合には、色相変化量は+10度となる。S257の色相設定はこのようにして色相変化量を色相パラメータHnとして設定する。以上、(I)変換前の座標系を変換後の座標系で表す方式の設定マトリクスを用いて色調整部2の動作を説明した。
【0149】次に、(II)変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式の設定マトリクスを用いて色調整部2の動作を説明する。図11は、変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式の設定マトリクスを生成するためのフローチャートを示す図である。図11のフローチャートは、図24のS259に示した設定マトリクスの生成の処理に相当する。以下、S41からS43の順にマトリクスを生成する手順について説明する。色調整マトリクスを求めるため、以下に述べるステップ1〜5の手順をふむ。ここでは、図10に示したフローチャートに基づいてユーザが色調整パラメータをを既に設定したものと仮定して色調整マトリクスを求める手順について述べる。ユーザが設定した色調整パラメータを次のように定義する。
基底パラメータ Kn明度パラメータ Ln彩度パラメータ Cn色相パラメータ Hnここで、添え字nは原色の場合r,g,bまたは補色の場合y,m,cに対応する。なお、以下マトリクス内に用いる値“0.32”、“10”は変換のための係数である。これらの係数は、変換前の座標系と変換後の座標系によって異なる値が設定される。ここでは、“0.32”、“10”を用いる場合を説明する。ステップ1:彩度パラメータより次のマトリクスを得る。この計算方式は原色又は補色によらない。
【0150】
【数23】
【0151】ステップ2:色相パラメータを用いて上記マトリクスを変更する。
・色相パラメータの値が正の場合原色計算
【0152】
【数24】
【0153】補色計算
【0154】
【数25】
【0155】・色相パラメータの値が負の場合原色計算
【0156】
【数26】
【0157】補色計算
【0158】
【数27】
【0159】・色相パラメータの値に正、負が混在する場合は上記2例に従い変更するマトリクス要素位置をかえる。たとえば、原色計算において赤の色相パラメータの値が正、緑の色相パラメータの値が負、青の色相パラメータの値が正の場合は、赤の色相パラメータに対して数24が適用され、緑の色相パラメータに対して数26が適用され、青の色相パラメータに対して数24が適用されるので、以下のようになる。
【0160】
【数28】
【0161】ステップ3:上記ステップで求めた3×3行列をマトリクスAとする。このマトリクスAの行列式|A|、
【0162】
【数29】
【0163】を求める。ここで、余因数行列は、行列式|A|におけるaijの余因数Aijを(j,i)成分とする行列である。
【0164】ステップ4:基底パラメータKn、明度パラメータLnより正規化因子(WmおよびBm:mはr,g,b)を求める。これら正規化因子Wm及びBmの値は、この値が入力された場合に最大輝度の値255と最小輝度の値0を出力するよう設定される。明度パラメータは、Lm=255−Lnと変換し、・原色計算の場合Wm=Km、Bm=Lm・補色計算の場合Wm=255−Lm、Bm=255−Km
【0165】ステップ5:行列式|A|、
【0166】
【数30】
【0167】より逆行列A-1を求め、正規化因子Wm,Bmを入力した際に、0,255を出力するようにする。ステップ5の具体的手順を以下に示す。ここでは、数28に相当するマトリクスをAとする。また、R,G,Bを被調整画像データとし、AR,AG,ABを調整画像データとする。この実施例の手順は、調整画像データ(AR,AG,AB)より被調整画像データ(R,G,B)を求める。よって、式は次のようになる。
【0168】
【数31】
【0169】ここで、マトリクスPはまだ決っていない。この式を変形して以下のようにする。
【0170】
【数32】
【0171】ここで、A-1はマトリクスAの逆行列である。|A|はステップ3で求めたマトリクスAの行列式、
【0172】
【数33】
【0173】は、行列式|A|におけるaijの余因数Aijを(j,i)成分とする余因数行列であり、ステップ3で求めたものである。
【0174】
【数34】
【0175】の関係がある。このようにして、ステップ3で求めた行列式|A|と余因数行列
【0176】
【数35】
【0177】から逆行列A-1を求めることができる。ここで、逆行列を求める理由について図11(b)を用いて説明する。話を判り易くするため、2次元で説明する。図11(b)e1 ,e2 ,e1 ’,e2 ’は単位ベクトルである。今、
【0178】
【数36】
【0179】が変換前の座標系で、
【0180】
【数37】
【0181】と書かれるとする。つまり、変換前のPは(m1 ,m2 )の値であるとする。一方、変換後の座標系でも、
【0182】
【数38】
【0183】を表すことができるので、
【0184】
【数39】
【0185】と書くことにする。つまり、変換後のPは(m1 ’,m2 ’)となる。この(m1 ,m2 )と(m1 ’,m2 ’)の値を関連付けるものが設定マトリクスである。
【0186】
【数40】
【0187】と同様に変換後の単位ベクトルe1 ’,e2 ’もe1 ,e2 ,を使って書くことができる。即ち、e1 ’=a11e1 +a12e2 (3)
e2 ’=a21e1 +a22e2 (4)
と表せる。(1),(2),(3),(4)をまとめて、m1 e1 +m2 e2 =m1 ’e1 ’+m2 ’e2 ’=m1 ’(a11e1 +a12e2 )+m2 ’(a21e1 +a22e2 )=(m1 ’a11+m2 ’a21)e1 +(m1 ’a12+m2 ’a22)e2よって、m1 =m1 ’a11+m2 ’a21m2 =m1 ’a12+m2 ’a22これを、マトリクスの形に書けば、
【0188】
【数41】
【0189】となる。これは、変換後の値(m1 ’,m2 ’)を変換前の値(m1 ,m2 )に直す式である。従って、逆の関係式を求めるには、逆行列を求めることになる。前述したステップ1〜4で求めているマトリクスは、(5)のマトリクスに相当する。従って、逆行列を求めて変換前の値を変換後の値に直す式をステップ5で得る。上記(3),(4)では、変換後の単位ベクトルを変換前の単位ベクトルで表した(すなわち、(II)の方式で表した)が、変換前の単位ベクトルを変換後の単位ベクトルで表す(すなわち、(I)の方式で表す)こともできる。(I)と(II)の考え方は、表裏の考え方であり、どちらの考え方を利用しても色変換の結果は同じになる。(I)の立場に立った考え方が数3〜数22に示されており、(II)の立場に立った考え方が数23〜数28に示されている。これらの考え方の違いは、どのようにインターフェースを作り上げるかによって、見た目には違ったように見える。
【0190】ステップ5で正規化因子Wm及びBmを使ってPを求める。正規化因子Wm及びBmによれば、
【0191】
【数42】
【0192】であるから、
【0193】
【数43】
【0194】となる。この2つの方式より、マトリクスPを求める。この際、マトリクスAはパラメータから直接作ったマトリクスなので、正規化がなされていないので上記2式を使用して正規化も行う。このように、正規化がなされた逆行列A-1が3×3マトリクスN1として求められる。また、J1=−A-1・Pとして、3×1マトリクスJ1を求める。
【0195】以上の手順をふむことにより、3×3マトリクスN1と3×1マトリクスJ1が求まる。ここで、マトリクスN1は、(II)変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式により生成された設定マトリクスであり、マトリクスJ1は、(II)変換後の座標系を変換前の座標系で表す方式により生成された定数である。マトリクスN1とマトリクスJ1は、画像データの変換用に記憶される。
【0196】次に、図12を用いて画像データの変換について説明する(S51)。図12の画像データの変換処理は、図9及び図24のS28の処理に相当する。被調整画像を調整画像に変換するにあたっては、γ補正の選択値により変換方法が異なる。ここでは、この点について述べる。
・濃度リニアの場合濃度リニアを選択した場合、スキャナでは補色計算されたデータがR,G,Bの形で出力される。この場合、色調整マトリクスは、補色計算形式で求められたものを使い、変換計算は次の式になる。
【0197】
【数44】
【0198】ここで、R,G,Bは被調整画像データ、AR,AG,ABは調整画像データ、“〜”は8ビットの反転を示す。
・反射率リニアの場合反射率リニアを選択した場合スキャナでは原色計算されたデータが出力される。この場合色調整マトリクスは原色計算形式で求められたものを使い、変換計算は次の式になる。
【0199】
【数45】
【0200】ここで、R,G,Bは被調整画像データ、AR,AG,ABは調整画像データを示す。図12のS52においては、S51で作成された調整画像に基づいて分布データを作成する。
【0201】次に、図13に基づいて変換画像データの表示について説明する。図13の変換画像データの表示処理は、図9及び図24のS29の処理に相当する。S61においては、図12のS52で求められた分布データを表示する。S62においては、S51において作成された変換画像を表示するにあたり、すでに変換画像を表示するウィンドウが画像表示部5に存在するかどうかをチェックする。もし変換画像を表示するウィンドウがない場合には、S63において変換画像ウィンドウを作成する。S64においては変換画像を画像表示部5に表示する。
【0202】以上、説明したように輝度、彩度、色相の3つのパラメータを同時に変更する場合であっても、ひとつの設定マトリクスを作成することが可能である。なお、前述したステップ1からステップ5までの設定マトリクスの手順は複雑なマトリクス計算を効率よく行うための手法を含んでいる。従って、必ずしもステップ1からステップ5までの手順を経る必要はなく、その他の順番、或いはその他の手法により設定マトリクスを生成するようにしても構わない。
【0203】次に、これまで述べた色調整部2の動作により、画像がどのように調整されるかを実験結果をもとに、図14〜図16を参照して説明する。
【0204】まず、図14について説明する。図14は、(1)の輝度のマウスポインタ503が移動した場合の原画像51と調整画像52の輝度分布を示した図である。(a)が原画像51の輝度分布、(b)が調整画像52の輝度分布に対応する。一般に、色は輝度、彩度、色相で表現されることはよく知られている。図14はこのうちの輝度のグラフである。グラフの横軸は輝度であり、0が暗い色、255が明るい色に対応するように値を定めている。縦軸は、頻度を示していて任意スケールである。この場合、輝度を下げるようにマウスポインタ503を移動させており、グラフが左側に延びていることからこの事がよくわかる。また、他の彩度、色相の分布の変化はほとんど無かった。このように、(1)の処理(S25)により色の輝度相当量を調整することができる。
【0205】次に、図15について説明する。図15は、(2)の彩度のマウスポインタ503を移動させた場合の原画像51と調整画像52の彩度分布を示した図である。(a)が原画像51の彩度分布、(b)が調整画像52の彩度分布に対応する。グラフの横軸は彩度であり、0が鈍い色、255が鮮やかな色に対応するように値を定めている。縦軸は、頻度を示していて任意スケールである。この場合、彩度が上がるようにマウスポインタ503を移動させており、グラフからこの事がよくわかる。なお、原画像51の最も鮮やかな色(値255)は、調整画像52ではそれ以上に鮮やかさがないため最も鮮やかな色のまま(値255のまま)とする。また、他の輝度、色相の分布の変化はほとんど無かった。このように、(2)の処理により色の彩度相当量を調整することができる。
【0206】次に、図16について説明する。図16では、(3)の色相のマウスポインタ503を移動させた場合の原画像51と調整画像52の色相分布を示した図である。(a)が原画像51の色相分布、(b)が調整画像52の色相分布に対応する。グラフの横軸は色相であり、0が赤色、(2/3)πが青色、(4/3)πが緑色に対応している。色相は循環しているため、2πでふたたび赤色に戻る。縦軸は、頻度を示していて任意スケールである。この場合、色相が負の方向、すなわち、青色が赤色に近づくようマウスポインタ503を移動させており、グラフからこの事がよくわかる。原画像51の赤色(値0、図中、P1で示す。)は、色が循環しているため、調整画像52では緑色と赤色の間の色、すなわち、黄色に調整されている。また、他の輝度、彩度の分布の変化はほとんど無かった。このように、(3)の処理により色の色相相当量を調整することができる。
【0207】実施例2.次に、本発明の第2の実施例を図17を参照して説明する。図17は画像表示部5の詳細図である。図中、5050は原画像51の彩度色相情報グラフ、5051は調整画像52の彩度色相情報グラフである。そのほかは、図2に示したものと同等であるので省略する。
【0208】この実施例の動作は図3に示したものと同等であるのでその説明を省略する。ただし、原画像51の色情報は輝度情報グラフ5000、彩度色相情報グラフ5050に表示し、調整画像52の色情報は輝度情報グラフ5001、彩度色相情報グラフ5051に表示する。
【0209】次に、彩度色相情報グラフ5050および5051の詳細表示とマウスポインタ503の動作について、図18を参照して説明する。図18は彩度色相情報グラフ5050、5051を示している。説明のため、右水平方向をx方向、上垂直方向をy方向とし、6角形のグラフの中心をxy座標の原点とする。画像信号(r、g、b)の彩度色相情報グラフの表示は次のように行う。表示位置は、x=(√3)×(b−g)/2y=r−(b+g)/2である点(x,y)とする。その点の表示色は、画像信号(r、g、b)の3成分のうち最小値をminとして、色=(r−min、g−min、b−min)
とする。このようにすることにより、色の彩度の分布状況と色相の分布状況を同時に表示できる。
【0210】次に、原画像51の彩度色相情報グラフ5050上に設置してあるマウスポインタ503の動作について述べる。マウスポインタ503は、彩度色相情報グラフ上に3個置かれており、それぞれ画像信号の各成分に対応する。マウスポインタ503は、中心方向と周方向に移動可能で、中心方向の移動量が彩度変化量Δcr、Δcg、Δcbとなり、周方向の移動量が色相変化量Δhr、Δhg、Δhbとなる。いずれのマウスポインタ503も正方向、負方向に移動可能である。このように、彩度情報と色相情報を同一グラフに表示することにより、マウスポインタ503の数を減らすことができ、さらに、マウスポインタ503の2次元方向への移動で彩度、色相の変化量を指示することができる。
【0211】以上の構成の画像表示部5を設けることにより実施例1と同様の効果を奏する。
【0212】実施例3.上記実施例では、画像信号がrgb、cmy、XYZで表現されている場合である。JISで定められている色空間CIELAB、CIELUVで表現されている場合は、色調整部2の動作は変更される。色調整部2の動作の流れは、図9で示したものと同様になる。この場合、S25からS27のマトリクス設定方法が次のようになる。
【0213】(1)輝度のマウスポインタ503が移動した場合−S25CIELAB、CIELUVでは輝度と、彩度および色相が完全に分離されているために、設定マトリクスNが変化する。画像表示部5から送られてくる最大輝度をLmax、最小輝度をLminとする。また、調整最大輝度をALmax、調整最小輝度をALminとすると、設定マトリクスNは、
【0214】
【数46】
【0215】また、マトリクスJに相当するものは、
【0216】
【数47】
【0217】である。
【0218】(2)彩度のマウスポインタ503が移動した場合−S26彩度変化量をΔC1、ΔC2として、マトリクスを設定する。設定マトリクスをNとして、
【0219】
【数48】
【0220】と求める。
【0221】(3)色相のマウスポインタ503が移動した場合−S27色相変化量をΔH1、ΔH2として、マトリクスを設定する。設定マトリクスをNとして、
【0222】
【数49】
【0223】と求める。
【0224】画像信号がCIELAB、CIELUVである場合には、マトリクス設定を変更することにより、前記実施例と同様の効果を奏する。
【0225】実施例4.次に、本発明の第4の実施例を図19を参照して説明する。図19はこの実施例における色調整部2の動作を示すフローチャート図である。図中、S31はマトリクス保存処理を示す作業部である。そのほかは、図9に示したものと同一なので説明を省略する。
【0226】次に動作について説明する。終了スイッチ504が押された場合、S31のマトリクス保存処理を行う。これは、調整されたマトリクスを記憶装置6に保存する処理である。この作業の後、色調整部2の動作はS30の”終わり”となる。このマトリクス保存処理は、次回の調整作業を不要にするものである。すなわち、次回調整時にこの保存されたマトリクスを用いれば、実施例1で示した一連の調整作業を省くことができ、時間の効率化につながる。
【0227】実施例5.次に、第5の実施例を図20を参照して説明する。図20において、9は色調整マトリクスが送受信可能な外部のカラー画像装置である。外部カラー画像装置は具体的には、ディスプレイ、プリンタ、複写機、スキャナなどである。そのほかは、図1に示したものと同等なので説明を省略する。
【0228】外部カラー画像装置9は外部装置インターフェース部4に接続される。色調整マトリクスは、両者の間を送受信される。
【0229】次に、実施例5の動作を、色調整部2の動作に即して説明する。図21は色調整部2の動作を示すフローチャート図である。色調整部2は、S20の”始め”からスタートする。ついで、S21において外部装置インターフェース部4の情報を問い合わせ、外部カラー画像装置9が接続されているか否かの判定を行う。
【0230】外部カラー画像装置9が接続されていない場合、S22の原マトリクス作成に進む。原マトリクスには例えば次のマトリクスを作成する。
【0231】
【数50】
【0232】外部カラー画像装置9が接続されている場合は、S23の外部装置インターフェース4からのマトリクス受信に進む。外部インターフェース4は、スキャナや、プリンタ、ディスプレイといった外部カラー画像装置9に対して、外部カラー画像装置9で使用しているマトリクスの受信を行い。色調整部2に送る。この受信マトリクスを次のように書くこととする。
【0233】
【数51】
【0234】以降の説明のために、原マトリクスと受信マトリクスを合わせて次のように書くこととする。
【0235】
【数52】
【0236】S24では画像表示部5からの指示を監視していて、指示があるまで24はループ状態にあり、処理は何も行わない。画像表示部5からの指示があると次の四つの処理に分岐する。
(1)輝度のマウスポインタ503が移動した場合(2)彩度のマウスポインタ503が移動した場合(3)色相のマウスポインタ503が移動した場合(4)終了スイッチ504が押された場合以下この各処理について説明する。
【0237】(1)輝度のマウスポインタ503が移動した場合−S25S25は、実施例1および実施例2で示した処理と同等なので説明を省略する。
【0238】(2)彩度のマウスポインタ503が移動した場合−S26S26も、実施例1および実施例2で示した処理と同等なので説明を省略する。
【0239】(3)色相のマウスポインタ503が移動した場合−S27S27は、実施例1および実施例2で示した処理と同等なので説明を省略する。
【0240】(1)または(2)または(3)の処理が終了すると、S28の調整画像の作成に移る。これは、画像表示部5に表示されている原画像51から調整画像52を作成する処理である。ついで、S29の画像表示部5への送信に移り、作成された調整画像は、画像表示部5に送られ表示される。その後、S24の画像表示部5からの指示を待つループ状態にはいる。これにより、色調整を何回でも行うことが可能になる。
【0241】(4)終了スイッチ504が押された場合終了スイッチ504が押された場合は、S31のマトリクス保存処理を行う。設定マトリクスを、記憶装置6に保存する。これは、次回の調整作業を不要にするもので、次回調整時にはこの保存されたマトリクスを用いれば一連の作業を省くことができる。ついで、S32の外部インターフェース部4へのマトリクス送信に移る。ここでは、外部カラー画像装置9が接続されている場合、設定マトリクスを外部カラー画像装置9に送信する処理を行う。この処理により、外部カラー画像装置9内部の色補正処理のマトリクスを変更することが可能になる。これらの処理を終了した色調整部2の動作はS30の”終わり”となる。
【0242】以上のような構成をとることにより、外部カラー画像装置9の色調整装置として、本カラー画像装置を使用することが可能となる。
【0243】実施例6.上記実施例では、画像表示部5の色情報表示部50、原画像51、調整画像52を同一の表示媒体上に表示するものを示したが、これは必ずしも同一の表示媒体である必要はなく、例えば、色情報表示部50をディスプレイ(図示せず)、原画像51および調整画像52をプリンタ(図示せず)としてもよい。
【0244】実施例7.上記実施例では、画像表示部5で色情報表示部50、原画像51、調整画像52を表示する方法を示したが、これらの表示を行わず、色調整量と色情報分布との対応が明確である調整指示だけをキーボードなどで行い、色調整を実施するカラー画像装置でもよい。
【0245】実施例8.上記実施例2では、彩度色相情報グラフ5050および5051を6角形で表示したが、円形表示してもよい。この場合、画像信号を輝度、彩度、色相に変換し、彩度を動経、色相を傾角として表示する。
【0246】以上のように上記実施例では、電気的に表現されたカラー画像に対して色を調整するカラー画像装置において、原画像と調整画像を同時に表示できる画像表示手段、原画像および調整画像の色情報を表示する色情報表示手段、色調整量と色情報との対応が明確な色情報表示手段上に設けられた調整指示手段、調整指示に基づき色調整マトリクスを設定するマトリクス設定手段、色調整マトリクスを記憶する記憶手段と、色調整マトリクスを送受信する色調整マトリクス送受信手段を備えたことを特徴とする。
【0247】本実施例に係わるカラー画像装置は、原画像51と調整画像52を同時に表示できる画像表示手段、調整対象になる原画像51および調整画像52の色情報を表示する色情報表示手段を持ち、さらに、その色情報表示手段に設けられた色調整量と色情報分布との対応が明確にである調整指示手段、その調整指示に基づき色調整マトリクスを設定するマトリクス設定手段、設定マトリクスを記憶する記憶手段、色調整マトリクスを外部装置と送受信する手段を設けたので、カラー調整の指示、色情報グラフ、調整画像との対応が明確になり、色調整指示の操作性が向上し、かつ、使用者が自ら色を簡単に調整できる効果があり、さらに、外部カラー画像装置の色の調整も容易にできる効果がある。
【0248】また、色情報表示手段は、画像データの色成分分布、輝度分布、色相分布、彩度分布、色相彩度同時表示分布のひとつであることを特徴とする。また、色情報表示手段のグラフは、色情報の各値の適した色を着色して頻度を表示することを特徴とする。また、調整指示手段は、移動方向が調整項目の種類を、移動量が調整量を表す、色情報表示手段上に設けられたポインタをマウスで移動させることを特徴とする。さらに、色調整マトリクスを、輝度、色相、彩度の各々の調整量に応じて変更できる色調整マトリクス設定手段を有することを特徴とする。また、色情報表示手段に使用する色空間が、画像信号そのものの色空間、または、CIERGB、CIEXYZ、CIELAB、CIELUVのいずれかであることを特徴とする。また、調整マトリクス設定手段が、画像信号そのものの座標、CIERGB、CIEXYZとCIELAB、CIELUVとでは設定方法が異なることを特徴とする。
【0249】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば色情報と画像との対応が明確になり、色調整指示の操作性が向上する。又、色調整マトリクスを用いる事により、異なる色空間において調整量が指定される場合でも、画像データの色空間を変更することなく色調整が可能になる。
【0250】また、この発明によれば、原画像と調整画像と原画像の色情報を表示し、原画像の色情報に対して色を調整するようにしたので、調整画像を容易に生成できるとともに調整前後にわたって画像を表示することができる。
【0251】また、この発明によれば、更に、調整画像の色情報を表示するので調整後の色情報を調整前の色情報と比較することができる。
【0252】また、この発明によれば、色調整マトリクスを作成することにより、調整画像をマトリクス演算により生成することができる。
【0253】また、この発明によれば、生成した色調整マトリクスを記憶し、再利用することができる。
【0254】また、この発明によれば、明度、色相、彩度等の色の持つ属性毎に色情報を表示することができる。
【0255】また、この発明によれば、例えば、色相、彩度を混合させて色情報を表示することができる。
【0256】また、この発明によれば、ポインタ操作により調整量を指示することができる。
【0257】また、この発明によれば、色情報を表示する場合に明度、色相、彩度等の属性を付して表示することができる。
【0258】また、この発明によれば、明度、色相、彩度等の色情報に対してそれぞれ調整を指示された場合でも1つの色調整マトリクスを生成して原画像から調整画像を生成することができる。
【0259】また、この発明によれば、色を調整するために色調整マトリクスを生成することができる。
【0260】また、この発明によれば、この色調整マトリクスを用いることにより、色調整を容易に行うことができる。
【0261】また、この発明によれば、原画像が色調整をしにくい第1の色空間で表されている場合に、色情報表示手段が色調整のしやすい第2の色空間に変換した色情報表示するので調整の指示がしやすくなる。また、色調整マトリクスは、第1の色空間に基づく原画像に対してマトリクス演算を行うことにより、第2の色空間への変換を伴うことなく第1の色空間に基づく調整画像を生成することができる。
【0262】また、この発明によれば、プリンタやディスプレイ装置等の周辺装置から色調整マトリクスを入力して新たな色調整マトリクスを生成し、再び周辺装置に出力する。従って、周辺装置において取り扱われる画像を本発明のカラー画像装置に基づいて、容易に変更することが可能になる。
【0263】また、この発明によれば、第2の色空間の種類は複数種類存在し、色調整マトリクス第2の色空間の種類に基づいて異なる方式により生成され、複数種類の色空間が存在している場合でも色調整マトリクスを生成することにより色調整を可能とする。
【0264】また、この発明によれば、明度、彩度、色相という色情報を用いて、調整量を指示するとともに、色調整マトリクスは、彩度、色相、明度の順に色調整されて生成される。
【0265】また、この発明によれば、原画像と原画像の色情報を表示し、原画像の色情報に対して調整量を指示することにより調整画像を表示するカラー画像調整方法を提供する。
【0266】また、この発明によれば、調整画像の色情報を表示することができる。
【0267】また、この発明によれば、色調整指示のしやすい第2の色空間に基づいて色情報を表示して、その調整量を指示させるとともに色調整マトリクスを生成して調整画像を生成することができる。
【0268】また、この発明によれば、原画像を表す第1の色空間に基づくデータと色調整マトリクスの行列演算に基づいて調整画像を生成することができる。従って、原画像から調整画像を生成する場合には、第2の色空間への変換を一切伴う必要はない。
【0269】また、この発明によれば、色情報をグラフを用いて、しかも対応する色を用いて表示するため、使用者がカラー調整が容易に行える。また原画像と調整画像及び、原画像の色情報と調整画像の色情報が同時に表示されるため、両者を比較しながら調整することが可能になる。また、この発明によれば、色調整マトリクスを用いる事により調整指示を行う色空間が異なる場合でも、画像データの色空間を調整を指示する色空間に変換することなく画像を調整することができる。
【0270】また、この発明によれば、色情報表示手段が1種類の属性に基づく色情報の分布、或は、複数種類の属性に基づく分布を表示することができる。
【0271】また、この発明によれば、分布を表示する場合に着色して表示することができる。
【0272】また、この発明によれば、色調整を色情報に対応して設けられたマウスポインタの移動により行うことができる。
【0273】また、この発明によれば、色調整マトリクスは、色の属性の各々に応じて1つのマトリクスが設定される。
【0274】また、この発明によれば、色情報に用いる色空間は複数存在しており、色情報表示手段はいずれかの種類の色空間に基づいて色情報を表示する。
【0275】また、この発明によれば、色調整マトリクスは、画像信号の色空間に基づいて設定方法が異なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるカラー画像装置の構成図である。
【図2】 本発明の第1の実施例による画像表示部の詳細図である。
【図3】 本発明の第1の実施例による画像表示部の動作を説明する図である。
【図4】 本発明の第1の実施例による色情報表示部の詳細と動作を説明する図である。
【図5】 本発明の第1の実施例による色情報表示部の操作を説明する図である。
【図6】 本発明の第1の実施例による色情報表示部の操作を説明する図である。
【図7】 本発明の第1の実施例による色情報表示部の操作を説明する図である。
【図8】 本発明の第1の実施例による色調整部の調整原理を説明する図である。
【図9】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図10】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図11】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図12】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図13】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図14】 本発明の第1の実施例による色調整の第1実験結果を示す図である。
【図15】 本発明の第1の実施例による色調整の第2実験結果を示す図である。
【図16】 本発明の第1の実施例による色調整の第3実験結果を示す図である。
【図17】 本発明の第2の実施例による画像表示部の詳細を示す図である。
【図18】 本発明の第2の実施例による色情報表示部の詳細と動作を説明する図である。
【図19】 本発明の第4の実施例による色情報表示部の操作を説明する図である。
【図20】 本発明の第5の実施例によるカラー画像装置の構成図である。
【図21】 本発明の第5の実施例による色情報表示部の操作を説明する図である。
【図22】 本発明によるシステム構成図である。
【図23】 本発明によるシステムブロック図である。
【図24】 本発明の第1の実施例による色調整部の動作を説明する図である。
【図25】 従来の色補正装置の構成を示すブロック図である。
【図26】 従来の色補正装置の色補正部の構成を示すブロック図である。
【図27】 従来の色調整のソフトウェアのダイアログボックスを示す図である。
【図28】 従来の色調整のソフトウェアのダイアログボックスを示す図である。
【図29】 従来の色調整のソフトウェアのダイアログボックスを示す図である。
【図30】 従来のカラー画像の色調整方法方式を示す図である。
【符号の説明】
1 カラー画像入力部、2 色調整部、3 カラー画像出力部、4 外部装置インターフェース部、5 画像表示部、50 色情報表示部、51 原画像、52 調整画像、503 マウスポインタ、504 終了スイッチ、5000 原画像の輝度情報グラフ、5001 調整画像の輝度情報グラフ、5010 原画像の彩度情報グラフ、5011 調整画像の彩度情報グラフ、5020 原画像の色相情報グラフ、5021 調整画像の色相情報グラフ、5050 原画像の彩度色相情報グラフ、5051 調整画像の彩度色相情報グラフ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 以下の要素を有し、原画像と調整画像を用いて画像を調整するカラー画像装置(a)原画像と調整画像を表示する画像表示手段、(b)上記原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する色情報表示手段、(c)上記色情報表示手段により表示された色情報に対して色調整を指示する調整指示手段、(d)上記調整指示手段の指示に基づき調整画像を生成し、上記画像表示手段により調整画像を表示させる調整手段。
【請求項2】 上記色情報表示手段は、さらに、調整画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示することを特徴とする請求項1記載のカラー画像装置。
【請求項3】 上記調整手段は、調整指示手段の指示による色調整量に基づき、色調整マトリクスを生成するマトリクス生成手段と、上記マトリクス生成手段により生成された色調整マトリクスを用いて原画像から調整画像を生成する調整画像生成手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のカラー画像装置。
【請求項4】 上記カラー画像装置は、さらに、上記マトリクス生成手段により生成された色調整マトリクスを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項3記載のカラー画像装置。
【請求項5】 上記色情報表示手段は、色のもつ属性ごとに、原画像を解析するとともに、各属性ごとの分布を色情報として表示することを特徴とする請求項1記載のカラー画像装置。
【請求項6】 上記色情報表示手段は、複数の属性の分布を混合させて色情報として表示することを特徴とする請求項1記載のカラー画像装置。
【請求項7】 上記調整指示手段は、上記色情報表示手段により表示された複数の属性の分布を混合させた色情報に対して調整量を指定するポインタを備え、ポインタの移動方向により調整すべきいずれかの属性を選択し、ポインタの移動量により選択した属性の調整量を指示することを特徴とする請求項6記載のカラー画像装置。
【請求項8】 上記色情報表示手段は、上記色情報を表示する場合に、表示する色情報にその色情報に対応する属性を付して表示することを特徴とする請求項1記載のカラー画像装置。
【請求項9】 上記色情報表示手段は、複数の属性に関する色情報を同時に表示し、上記調整指示手段は、複数の属性に関する調整を指示し、上記マトリクス生成手段は、複数の属性に関する調整指示に応じてひとつの色調整マトリクスを生成することを特徴とする請求項3記載のカラー画像装置。
【請求項10】 以下の要素を有するカラー画像装置(a)原画像を入力して原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する色情報表示手段、(b)上記色情報表示手段により表示された色情報に対して色の調整を指示する調整指示手段、(c)上記調整指示手段の指示に基づいて色調整マトリクスを生成するマトリクス生成手段、(d)上記マトリクス生成手段により生成された色調整マトリクスを出力する出力手段。
【請求項11】 上記原画像は、第1の色空間に基づく座標データで表わされ、上記色情報表示手段は、第1の色空間に基づく座標データを第2の色空間に基づく座標データに変換し、変換した第2の色空間に基づく座標データから原画像の色情報を求めるとともに、上記調整指示手段は、色調整量を第2の色空間に基づく座標データで指示し、上記マトリクス生成手段は、上記調整指示手段により指示された第2の空間に基づく座標データを用いて色調整マトリクスを生成し、この色調整マトリクスは原画像を表わしている第1の色空間に基づく座標データとのマトリクス演算を行うことによって上記調整指示手段の指示に基づく調整後の第1の色空間に基づく座標データを生成するものであることを特徴とする請求項3又は10記載のカラー画像装置。
【請求項12】 上記カラー画像装置は、さらに、色調整マトリクスを用いて動作する周辺装置を備え、上記マトリクス生成手段は、上記周辺装置から色調整マトリクスを入力し、入力した色調整マトリクスを用い、上記調整指示手段の指示に基づいて新たな色調整マトリクスを生成し、上記出力手段は、マトリクス生成手段が生成した色調整マトリクスを上記周辺装置に出力することを特徴とする請求項10記載のカラー画像装置。
【請求項13】 上記色情報表示手段が使用する第2の色空間の種類は、第1の色空間及びCIERGB、CIEXYZ、CIELAB、CIELUVのいずれかであるとともに、上記マトリクス生成手段は、第2の色空間の種類によって異なる方式を用いて色調整マトリクスを生成することを特徴とする請求項11記載のカラー画像装置。
【請求項14】 上記色情報表示手段は、明度、彩度、色相の色情報を表示し、上記調整指示手段は、明度、彩度、色相の色情報に対して調整量を指示し、上記マトリクス生成手段は、彩度に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成し、次に、色相に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成し、次に、明度に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成することを特徴とする請求項10、11又は12記載のカラー画像装置。
【請求項15】 以下の工程を有し、原画像と調整画像を用いて画像を調整するカラー画像調整方法(a)原画像を表示する画像表示工程、(b)上記原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する原画像用色情報表示工程、(c)上記原画像用色情報表示工程により表示された色情報に対して色調整量を指示する調整指示工程、(d)上記調整指示工程の指示に基づき調整画像を生成し、上記画像を表示する調整画像表示工程。
【請求項16】 上記カラー画像調整方法は、さらに、調整画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する調整画像用色情報表示工程を備えたことを特徴とする請求項15記載のカラー画像調整方法。
【請求項17】 以下の工程を有し、第1の色空間に基づく座標データで表わされる原画像と調整画像を用いて画像を調整するカラー画像調整方法(a)上記原画像を表わす第1の色空間に基づく座標データを第2の色空間に基づく座標データに変換して色情報を求め表示する色情報表示工程、(b)上記色情報表示工程により表示された色情報に対して第2の色空間に基づく座標データを用いて色の調整を指示する調整指示工程、(c)上記調整指示工程による指示に基づいて、原画像を調整する色調整マトリクスを生成するマトリクス生成工程、(d)上記マトリクス生成工程により生成された色調整マトリクスを用いて、調整画像を生成する調整画像生成工程。
【請求項18】 上記調整画像生成工程は、原画像を表す第1の色空間に基づく座標データと色調整マトリクスとの行列演算を実行して、原画像を調整画像へ直接変換をすることを特徴とする請求項17記載のカラー画像調整方法。
【請求項19】 電気的に表現されたカラー画像に対して色を調整するカラー画像装置において、原画像と調整画像を同時に表示できる画像表示手段と、原画像および調整画像の色情報を表示する色情報表示手段と、色情報表示手段とともに設けられ、色情報に対応して色調整量を指示する調整指示手段と、調整指示に基づき色調整マトリクスを設定するマトリクス設定手段とを備えたことを特徴とするカラー画像装置。
【請求項20】 上記色情報表示手段は、少なくとも画像データの色成分分布、輝度分布、色相分布、彩度分布、色相彩度同時表示分布のいずれか1つの分布を表示することを特徴とする請求項19記載のカラー画像装置。
【請求項21】 上記色情報表示手段は、上記分布を表示する場合に、色情報の各値の適した色を着色して頻度を表示することを特徴とする請求項20記載のカラー画像装置。
【請求項22】 上記調整指示手段は、色情報表示手段により表示された色情報に対応して設けられたポインタをポインタ指定手段で移動させ、その移動方向が調整項目の種類を表し、その移動量が調整量を表すことを特徴とする請求項20記載のカラー画像装置。
【請求項23】 上記マトリクス設定手段は、色調整マトリクスを、輝度、色相、彩度の各々の調整量に応じて変更できることを特徴とする請求項19記載のカラー画像装置。
【請求項24】 上記色情報表示手段に使用する色空間が、画像信号そのものの色空間、または、CIERGB、CIEXYZ、CIELAB、CIELUVのいずれかであることを特徴とする請求項19記載のカラー画像装置。
【請求項25】 マトリクス設定手段は、画像信号そのものの座標、CIERGB、CIEXYZとCIELAB、CIELUVとでは色調整マトリクスの設定方法が異なることを特徴とする請求項19記載のカラー画像装置。
【請求項1】 以下の要素を有し、原画像と調整画像を用いて画像を調整するカラー画像装置(a)原画像と調整画像を表示する画像表示手段、(b)上記原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する色情報表示手段、(c)上記色情報表示手段により表示された色情報に対して色調整を指示する調整指示手段、(d)上記調整指示手段の指示に基づき調整画像を生成し、上記画像表示手段により調整画像を表示させる調整手段。
【請求項2】 上記色情報表示手段は、さらに、調整画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示することを特徴とする請求項1記載のカラー画像装置。
【請求項3】 上記調整手段は、調整指示手段の指示による色調整量に基づき、色調整マトリクスを生成するマトリクス生成手段と、上記マトリクス生成手段により生成された色調整マトリクスを用いて原画像から調整画像を生成する調整画像生成手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のカラー画像装置。
【請求項4】 上記カラー画像装置は、さらに、上記マトリクス生成手段により生成された色調整マトリクスを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項3記載のカラー画像装置。
【請求項5】 上記色情報表示手段は、色のもつ属性ごとに、原画像を解析するとともに、各属性ごとの分布を色情報として表示することを特徴とする請求項1記載のカラー画像装置。
【請求項6】 上記色情報表示手段は、複数の属性の分布を混合させて色情報として表示することを特徴とする請求項1記載のカラー画像装置。
【請求項7】 上記調整指示手段は、上記色情報表示手段により表示された複数の属性の分布を混合させた色情報に対して調整量を指定するポインタを備え、ポインタの移動方向により調整すべきいずれかの属性を選択し、ポインタの移動量により選択した属性の調整量を指示することを特徴とする請求項6記載のカラー画像装置。
【請求項8】 上記色情報表示手段は、上記色情報を表示する場合に、表示する色情報にその色情報に対応する属性を付して表示することを特徴とする請求項1記載のカラー画像装置。
【請求項9】 上記色情報表示手段は、複数の属性に関する色情報を同時に表示し、上記調整指示手段は、複数の属性に関する調整を指示し、上記マトリクス生成手段は、複数の属性に関する調整指示に応じてひとつの色調整マトリクスを生成することを特徴とする請求項3記載のカラー画像装置。
【請求項10】 以下の要素を有するカラー画像装置(a)原画像を入力して原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する色情報表示手段、(b)上記色情報表示手段により表示された色情報に対して色の調整を指示する調整指示手段、(c)上記調整指示手段の指示に基づいて色調整マトリクスを生成するマトリクス生成手段、(d)上記マトリクス生成手段により生成された色調整マトリクスを出力する出力手段。
【請求項11】 上記原画像は、第1の色空間に基づく座標データで表わされ、上記色情報表示手段は、第1の色空間に基づく座標データを第2の色空間に基づく座標データに変換し、変換した第2の色空間に基づく座標データから原画像の色情報を求めるとともに、上記調整指示手段は、色調整量を第2の色空間に基づく座標データで指示し、上記マトリクス生成手段は、上記調整指示手段により指示された第2の空間に基づく座標データを用いて色調整マトリクスを生成し、この色調整マトリクスは原画像を表わしている第1の色空間に基づく座標データとのマトリクス演算を行うことによって上記調整指示手段の指示に基づく調整後の第1の色空間に基づく座標データを生成するものであることを特徴とする請求項3又は10記載のカラー画像装置。
【請求項12】 上記カラー画像装置は、さらに、色調整マトリクスを用いて動作する周辺装置を備え、上記マトリクス生成手段は、上記周辺装置から色調整マトリクスを入力し、入力した色調整マトリクスを用い、上記調整指示手段の指示に基づいて新たな色調整マトリクスを生成し、上記出力手段は、マトリクス生成手段が生成した色調整マトリクスを上記周辺装置に出力することを特徴とする請求項10記載のカラー画像装置。
【請求項13】 上記色情報表示手段が使用する第2の色空間の種類は、第1の色空間及びCIERGB、CIEXYZ、CIELAB、CIELUVのいずれかであるとともに、上記マトリクス生成手段は、第2の色空間の種類によって異なる方式を用いて色調整マトリクスを生成することを特徴とする請求項11記載のカラー画像装置。
【請求項14】 上記色情報表示手段は、明度、彩度、色相の色情報を表示し、上記調整指示手段は、明度、彩度、色相の色情報に対して調整量を指示し、上記マトリクス生成手段は、彩度に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成し、次に、色相に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成し、次に、明度に関する調整量を用いて色調整マトリクスを生成することを特徴とする請求項10、11又は12記載のカラー画像装置。
【請求項15】 以下の工程を有し、原画像と調整画像を用いて画像を調整するカラー画像調整方法(a)原画像を表示する画像表示工程、(b)上記原画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する原画像用色情報表示工程、(c)上記原画像用色情報表示工程により表示された色情報に対して色調整量を指示する調整指示工程、(d)上記調整指示工程の指示に基づき調整画像を生成し、上記画像を表示する調整画像表示工程。
【請求項16】 上記カラー画像調整方法は、さらに、調整画像の色情報を解析し、解析した色情報を表示する調整画像用色情報表示工程を備えたことを特徴とする請求項15記載のカラー画像調整方法。
【請求項17】 以下の工程を有し、第1の色空間に基づく座標データで表わされる原画像と調整画像を用いて画像を調整するカラー画像調整方法(a)上記原画像を表わす第1の色空間に基づく座標データを第2の色空間に基づく座標データに変換して色情報を求め表示する色情報表示工程、(b)上記色情報表示工程により表示された色情報に対して第2の色空間に基づく座標データを用いて色の調整を指示する調整指示工程、(c)上記調整指示工程による指示に基づいて、原画像を調整する色調整マトリクスを生成するマトリクス生成工程、(d)上記マトリクス生成工程により生成された色調整マトリクスを用いて、調整画像を生成する調整画像生成工程。
【請求項18】 上記調整画像生成工程は、原画像を表す第1の色空間に基づく座標データと色調整マトリクスとの行列演算を実行して、原画像を調整画像へ直接変換をすることを特徴とする請求項17記載のカラー画像調整方法。
【請求項19】 電気的に表現されたカラー画像に対して色を調整するカラー画像装置において、原画像と調整画像を同時に表示できる画像表示手段と、原画像および調整画像の色情報を表示する色情報表示手段と、色情報表示手段とともに設けられ、色情報に対応して色調整量を指示する調整指示手段と、調整指示に基づき色調整マトリクスを設定するマトリクス設定手段とを備えたことを特徴とするカラー画像装置。
【請求項20】 上記色情報表示手段は、少なくとも画像データの色成分分布、輝度分布、色相分布、彩度分布、色相彩度同時表示分布のいずれか1つの分布を表示することを特徴とする請求項19記載のカラー画像装置。
【請求項21】 上記色情報表示手段は、上記分布を表示する場合に、色情報の各値の適した色を着色して頻度を表示することを特徴とする請求項20記載のカラー画像装置。
【請求項22】 上記調整指示手段は、色情報表示手段により表示された色情報に対応して設けられたポインタをポインタ指定手段で移動させ、その移動方向が調整項目の種類を表し、その移動量が調整量を表すことを特徴とする請求項20記載のカラー画像装置。
【請求項23】 上記マトリクス設定手段は、色調整マトリクスを、輝度、色相、彩度の各々の調整量に応じて変更できることを特徴とする請求項19記載のカラー画像装置。
【請求項24】 上記色情報表示手段に使用する色空間が、画像信号そのものの色空間、または、CIERGB、CIEXYZ、CIELAB、CIELUVのいずれかであることを特徴とする請求項19記載のカラー画像装置。
【請求項25】 マトリクス設定手段は、画像信号そのものの座標、CIERGB、CIEXYZとCIELAB、CIELUVとでは色調整マトリクスの設定方法が異なることを特徴とする請求項19記載のカラー画像装置。
【図1】
【図2】
【図7】
【図12】
【図28】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図17】
【図8】
【図11】
【図13】
【図14】
【図9】
【図10】
【図15】
【図18】
【図16】
【図20】
【図22】
【図25】
【図26】
【図19】
【図21】
【図23】
【図24】
【図27】
【図29】
【図30】
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【図10】
【図15】
【図18】
【図16】
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【図19】
【図21】
【図23】
【図24】
【図27】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開平7−99589
【公開日】平成7年(1995)4月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−107156
【出願日】平成6年(1994)5月20日
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【公開日】平成7年(1995)4月11日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)5月20日
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
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