説明

カラー表示方法およびカラー表示装置

【課題】表示パネルを3枚積層した反射型カラー表示装置の電子ペーパーの特性に適した画質補正を行い、表示品質を向上するカラー表示方法およびカラー表示の実現。
【解決手段】3枚の表示パネルを積層した反射型カラー表示素子10と、3原色の画像データに基づいてカラー表示素子を制御する駆動制御回路29と、を有するカラー表示装置であって、駆動制御回路は、3原色の画像データを色空間画像データに変換する色空間変換部31と、画像の明度、色相および彩度に関する評価基準に基づいて、画像を複数の型に分類する分類部32と、色空間画像データの明度を、分類した型ごとの補正特性にしたがって補正する明度補正部33と、明度補正した色空間画像データの彩度を補正する彩度補正部34と、彩度補正した色空間画像データを3原色の画像データに変換する3原色変換部36と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー表示方法およびカラー表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各企業・大学で電子ペーパーの開発が盛んに進められている。電子ペーパーが期待されている応用市場として、電子書籍を筆頭として、モバイル端末のサブディスプレイやICカードの表示部など、多用な応用携帯が提案されている。
【0003】
電子ペーパーの有力な方式の1つに、コレステリック液晶を含む液晶表示パネルがある。コレステリック液晶を含む液晶表示パネルは、半永久的な表示保持(メモリ性)や鮮やかなカラー表示、高コントラスト、高解像性といった優れた特徴を有する。
【0004】
特に、コレステリック液晶を含む液晶表示パネルを3枚積層した反射型カラー表示装置は、表示が明るく、電気泳動型など他方式の電子ペーパーと比べて色再現範囲が広いという特徴を有する。しかし、そのような反射型カラー表示装置でも、バックライト型のLCDなどに比べると色再現性は十分でなかった。
【0005】
今般のLCDなどでは、供給される画像データを補正して表示画像の品質を向上することが注力されており、表示パネルを3枚積層した反射型カラー表示装置でも、画像データを補正して表示画像の品質を向上することが重要だと考えられる。しかし、表示パネルを3枚積層した反射型カラー表示装置に適した画像データの一般的な補正については、これまで知られていない。また、表示パネルを3枚積層した反射型カラー表示装置に、一般的な画像データの補正方法を適用したのでは、表示特性が異なるために十分な補正効果が得られず、表示画像の品質を十分に向上させることができないことが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−339057号公報
【特許文献2】特開2006−30998号公報
【特許文献3】WO2007/004280号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態によれば、色再現の良好なカラー表示方法およびカラー表示装置が実現される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の第1の観点によれば、3枚の表示パネルを積層した反射型カラー表示素子を、3原色の画像データに基づいて制御して表示を行うカラー表示方法であって、3原色の画像データを、色空間画像データに変換し、画像の明度、色相および彩度に関する評価基準に基づいて、画像を複数の型に分類し、色空間画像データの明度を、分類した型ごとの補正特性にしたがって補正し、明度補正した色空間画像データの彩度を補正し、彩度補正した色空間画像データを3原色の画像データに変換する、カラー表示方法が提供される。
【0009】
実施形態の第2の観点によれば、3枚の表示パネルを積層した反射型カラー表示素子と、3原色の画像データに基づいてカラー表示素子を制御する表示駆動回路と、を有するカラー表示装置であって、駆動制御回路は、3原色の画像データを、色空間画像データに変換する色空間変換部と、画像の明度、色相および彩度に関する評価基準に基づいて、画像を複数の型に分類する分類部と、色空間画像データの明度を、分類した型ごとの補正特性にしたがって補正する明度補正部と、明度補正した色空間画像データの彩度を補正する彩度補正部と、彩度補正した色空間画像データを3原色の画像データに変換する3原色変換部と、を有するカラー表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
実施形態によれば、画像データを補正することにより、色再現の良好なカラー表示方法およびカラー表示装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、コレステリック液晶の状態を説明する図である。
【図2】図2は、コレステリック液晶表示素子で、初期状態をプレーナ状態とした場合に、さまざまな周期のパルスに対する電圧応答特性の例を示す図である。
【図3】図3は、3層積層構造の反射型カラー表示素子の断面図である。
【図4】図4は、反射型カラー表示素子の各層のプレーナ状態の反射スペクトルを示す図である。
【図5】図5は、コレステリック液晶を用いたカラー電子ペーパーの色再現範囲を示す図である。
【図6】図6は、CIELAB色空間でのコレステリック液晶の色再現範囲の一例を示す図である。
【図7】図7は、コレステリック液晶を含む表示パネルを3枚積層した単純マトリクス型の反射型カラー表示素子を用いた、第1実施形態の反射型カラー表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、コレステリック液晶を利用した実施形態の単純マトリクス型の1枚のパネルの基本構成を示す図である。
【図9】図9は、DSP(またはプロセッサ)により駆動制御回路内に実現される機能ブロックを示す図である。
【図10】図10は、マンセルの表色系を示す図であり、(A)が色立体を、(B)が表色系の座標軸を示す。
【図11】図11は、第1実施形態の反射型カラー表示装置の駆動制御回路における色補正処理の動作フローを示す図である。
【図12】図12は、第1のカテゴリー(TYPE−1)の画像における画素の明度分布と、明度補正処理を説明する図である。
【図13】図13は、第2のカテゴリー(TYPE−2)の画像における画素の明度分布と、明度補正処理を説明する図である。
【図14】図14は、第3のカテゴリー(TYPE−3)の画像における画素の明度分布と、明度補正処理を説明する図である。
【図15】図15は、第4のカテゴリー(TYPE−4)の画像における画素の明度分布の例と、明度補正処理を説明する図である。
【図16】図16は、カテゴリーに共通に行う彩度補正の変換曲線の例を示す図であり、彩度強調する変換曲線(トーンカーブ)の例を示す図である。
【図17】図17は、草木の部分および青空の部分を鮮明にする彩度補正処理における変換曲線(トーンカーブ)の例を示す図である。
【図18】図18は、CrおよびCbを直交軸とする平面での色分布と、そこでの青空および草木の部分が上記の彩度強調で補正される方向を示す図である。
【図19】図19は、第2実施形態の反射型カラー表示装置の駆動制御回路における色補正処理の動作フローを示す図である。
【図20】図20は、コレステリック液晶を含む液晶パネルを積層した反射型カラー表示装置において、コンベンショナル駆動で、書き込みパルスの幅を変化させた時のRGB各層の明度変化および応答特性の差を補正する変換特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を説明する前に、コレステリック液晶を利用した表示素子の動作原理について説明する。
【0013】
コレステリック液晶は、カイラルネマティック液晶とも称されることがあり、ネマティック液晶にキラル性の添加剤(カイラル材とも称される)を比較的多く(数十%)添加することにより、ネマティック液晶の分子がらせん状のコレステリック相を形成する液晶である。コレステリック液晶を利用した表示素子は、液晶分子の配向状態で表示の制御を行う。
【0014】
図1は、コレステリック液晶の状態を説明する図である。図1の(A)および(B)に示すように、コレステリック液晶を利用した表示素子10は、上側基板11と、コレステリック液晶層12と、下側基板13と、有する。コレステリック液晶には、図1の(A)に示すように入射光を反射するプレーナ状態と、図1の(B)に示すように入射光を反射するフォーカルコニック状態と、があり、これらの状態は、無電界下でも安定してその状態が保持される。
【0015】
プレーナ状態の時には、液晶分子のらせんピッチに応じた波長の光を反射する。反射が最大となる波長λは、液晶の平均屈折率n、らせんピッチpから次の式で表される。
【0016】
λ=n・p
一方、反射帯域△λは、液晶の屈折率異方性△nに伴って大きくなる。
【0017】
プレーナ状態の時には、入射光が反射するので特定の色を表示することができる。一方、フォーカルコニック状態の時には、下側基板13の下に光吸収層を設けることにより、液晶層を透過した光が吸収されるので黒を表示することができる。
【0018】
次に、コレステリック液晶を利用した表示素子の駆動原理を説明する。
【0019】
液晶に強い電界を与えると、液晶分子のらせん構造は完全にほどけ、全ての分子が電界の向きにしたがうホメオトロピック状態になる。次に、ホメオトロピック状態から急激に電界をゼロにすると、液晶のらせん軸は電極に垂直になり、らせんピッチに応じた光を選択的に反射するプレーナ状態になる。一方、液晶分子のらせん構造が解けない程度の弱い電界の形成後の電界除去、あるいは強い電界をかけ緩やかに電界を除去した場合は、液晶のらせん軸は電極に平行になり、入射光を透過するフォーカルコニック状態になる。また、中間的な強さの電界を与え、急激に除去すると、プレーナ状態とフォーカルコニック状態が混在し、中間調の表示が可能となる。この現象を利用して情報の表示を行う。
【0020】
コレステリック液晶を利用した表示素子に画像を表示する場合に用いられる駆動方法には、多くの方法が提案されているが、「コンベンショナル駆動方法」と「ダイナミック駆動方法」の2つに大別できる。ダイナミック駆動方法は、上記の「ホメオトロピック状態」、「プレーナ状態」および「フォーカルコニック状態」に加えて、トランジェントプレーナ状態を用いる。ダイナミック駆動方法は、表示を比較的高速で書換えることができるが、精密な階調制御が難しいという問題があった。これに対して、コンベンショナル駆動方法は、精密な階調制御による高画質表示が可能であるが、表示の書換えに長時間を要するという問題があった。ここでは、コレステリック液晶を利用した表示素子をコンベンショナル駆動方法で駆動する場合を例として説明する。
【0021】
コンベンショナル駆動方法では、全画素に高電圧を印加してホメオトロピック状態にした後、電界を解除して、全画素をプレーナ状態またはフォーカルコニック状態にするリセット動作を行う。その後、単純マトリクス駆動方法で、比較的低い電圧の短いパルス幅の書込みパルスを印加して、プレーナ状態またはフォーカルコニック状態から、画素ごとに状態を変化させる書込み動作を行う。ここでは、リセット動作で全画素をプレーナ状態にした後、書込み動作で、プレーナ状態を維持するか、フォーカルコニック状態またはプレーナ状態とフォーカルコニック状態の混在した状態に変化させる場合を例として説明する。
【0022】
図2は、コンベンショナル駆動方法において、液晶セル(画素)に印加される電圧波形の例、および図示の電圧波形を印加した場合の反射率の応答特性の例を示す図である。図2の(A)は、リセット動作において印加するリセット電圧波形(パルス)を示しており、図32(B)は、リセットパルスの印加に対する応答を示している。図2の(C)は、書込み動作において印加する書込み電圧波形(パルス)の一例を示しており、図2の(D)は、初期状態がプレーナ状態の場合の図2の(C)の書込みパルスの印加に対する応答を示している。また、図2の(E)は、図2の(C)より狭いパルス幅の書込みパルスを示しており、図2の(F)は、初期状態がプレーナ状態の場合の図2の(E)の書込みパルスの印加に対する応答を示している。言い換えれば、図2の(D)および(F)は、図2の(B)のPで示す左側の傾斜部における変化を示している。
【0023】
コレステリック液晶の駆動波形は、一般の液晶と同様に、液晶材料の劣化(分極)を抑制するために交流とする必要がある。このため、液晶ドライバIC(一般にコレステリック液晶専用IC、またはSTN液晶用ICが用いられる)は液晶セルに印加される電界の極性を反転させる機能を有しており、液晶駆動用の高圧電源は+数十Vの単一電源が使用できる。
【0024】
まず、図2の(A)に示すような正負のパルスを合わせたパルス幅が60msと広いパルスを印加する場合で、パルス電圧を0Vから徐々に上げていった場合の状態変化について述べる。初期状態がプレーナ状態の場合、状態は図2の(B)においてPで示す線に沿って変化する。パルス電圧がある電圧を超えると徐々にフォーカルコニック状態に遷移し、反射率は急激に低下する。反射率が最小値に達すると、パルス電圧がある電圧を超えない限り反射率はほとんど変化しない。パルス電圧がある電圧を超えると徐々にプレーナ状態に遷移し、反射率は急激に上昇する。反射率が最大値に達すると,パルス電圧を上げても反射率は変化しない。このような電圧−反射率特性は、一般に「VR特性」と呼ばれる。初期状態がフォーカルコニック状態の場合、状態は図2の(B)においてFCで示す線に沿って変化する。パルス電圧がある電圧を超えない限り反射率は変化しない。パルス電圧がある電圧を超えると徐々にプレーナ状態に遷移し、反射率は急激に上昇する。反射率が最大値に達すると、パルス電圧を上げても反射率は変化しない。そして、初期状態がプレーナ状態であってもフォーカルコニック状態であっても、ある電圧以上の電圧を印加すると、必ず反射率が最大値のプレーナ状態になる。図2の(B)では、パルス幅60msで電圧が±36Vのパルスの場合、必ずプレーナ状態になるので、このパルスをリセットパルスとして使用することができる。
【0025】
これよりもパルス幅が狭いパルスを印加する場合、応答性はシフトする。たとえば、図2の(C)に示すパルス幅が2msで、パルス電圧が±24Vと±12Vのパルスを印加する場合、初期状態がプレーナ状態であれば、状態は図2の(D)においてLで示す線に沿って変化する。図2の(D)においては、±12Vのパルスでは反射率は変化せず、プレーナ状態が維持される。±24Vのパルスでは反射率が少し低下した中間調となる。また、初期状態がプレーナ状態とフォーカルコニック状態が混在した反射率が中間値の場合は、状態は図2の(D)においてMで示す線に沿って変化する。この場合も、±12Vのパルスでは反射率は変化せず、±24Vのパルスでは反射率が少し低下する。
【0026】
さらに、図2の(E)に示すパルス幅が1msで、パルス電圧が±24Vと±12Vのパルスを印加する場合、初期状態がプレーナ状態であれば、状態は図2の(F)においてNで示す線に沿って変化する。図2の(F)においては、±12Vのパルスでは反射率は変化せず、プレーナ状態が維持される。±24Vのパルスでは反射率が少し低下した中間調となるが、反射率の低下量は、2msのパルス幅の場合より小さい。すなわち、2msの方が1msより暗い階調となる。初期状態がプレーナ状態とフォーカルコニック状態が混在した反射率が中間値の場合は、状態は図2の(F)においてOで示す線に沿って変化する。この場合も、±12Vのパルスでは反射率は変化せず、±24Vのパルスでは反射率が少し低下する。
【0027】
以上のように、初期状態がプレーナ状態の場合、比較的小さな電圧の短いパルスを印加すると、反射率が低下し、反射率の低下量は、パルス電圧およびパルス幅に応じて変化することが分かる。具体的には、パルス電圧が高いほど、パルス幅が大きいほど、反射率の低下量は大きくなる。また、図2の(D)および(F)のMおよびOで示す変化から、パルスを分けて印加しても同様の変化が起き、反射率の低下量はパルス幅の合計、すなわち累積パルス印加時間に関係する。
【0028】
以上の説明は、初期状態がプレーナ状態の場合で、図2の(B)において、Pで示す左側の傾斜部分を利用した例であるが、初期状態がフォーカルコニック状態の場合で、図2の(B)において、FCで示す右側の傾斜部分を利用する場合も同様である。
【0029】
さらに、コンベンショナル駆動方法においても、各種の駆動方法が提案されているが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0030】
以上説明したように、各種の駆動方法があるが、それぞれ長所・短所があり、用途に応じて適宜選択されるべきものである。以下に説明する実施形態のコレステリック液晶を利用した表示素子は、上記のいずれの駆動方法も適用可能である。
【0031】
図3は、3層のコレステリック液晶層を積層した反射型カラー表示素子の概略断面図である。
【0032】
図3に示すように、表示素子10は、見る側から順番に、青(ブルー)用パネル10B、緑(グリーン)用パネル10G、および赤(レッド)用パネル10Rの3枚のパネルが積層されており、レッド用パネル10Rの下側には光吸収層17が設けられている。パネル10B、10Gおよび10Rは、同じ構成を有するが、パネル10Bは反射の中心波長が青色、パネル10Gは反射の中心波長が緑色、パネル10Rは反射の中心波長が赤色になるように、液晶材料およびカイラル材が選択され、カイラル材の含有率が決定されている。積層された3枚のパネルには、それぞれ画素が形成され、反射型カラー表示素子の画素は、積層された3枚のパネルの画素を含み、各パネルの画素は、それぞれ所定の反射色を呈する。積層方式では、1画素に対するRGBの各画素の面積率は100%となる。それに対して、他方式の電子ペーパーでは、1画素に対するRGBの面積率は最大でもそれぞれ33%である。そのため、コレステリック液晶のカラー表示は、他方式よりも明るさや鮮やかさといった画質面で有利となる。
【0033】
図4は、図3の反射型カラー表示素子で使用されている各層の、プレーナ状態における分光反射特性の代表例を示す図である。図4において、B、GおよびRが、青色層10B、緑色層10Gおよび赤色層10Rの反射スペクトルを示す。図4に示した各層の分光反射特性はそれぞれ正規分布に近い特性を有しており、青色層10Bは反射中心波長が約480nmであり、緑色層10Gは反射中心波長が約550nmであり、赤色層10Rは反射中心波長が約630nmである。反射型の場合、各層の分光反射特性は矩形状であることが理想であり、図4の分光反射特性はそれには及ばないが、カラー表示を行う上で良好な特性を有している。コレステリック液晶は、プレーナ状態の時、入射される光のうち片側の円偏光を反射し、反対の円偏光は透過するので、反射率は50%が理論上の上限となる。
【0034】
図5は、コレステリック液晶を用いたカラー電子ペーパーの色再現範囲を示す図である。図5で、“NTSC”はディスプレイの色再現範囲の指標として一般的に用いられるNTSC規格の色再現範囲を、“コレステリック液晶”はコレステリック液晶のカラー電子ペーパーの色再現範囲を、“新聞(Japan color)”は新聞におけるカラー印刷の色再現範囲を示す。なお、色再現範囲の広さは、NTSC色再現範囲との面積比で表され、NTSC比が大きいほど鮮やかな色を表示できる。NTSC比は近年、バックライト型のLCD、PDP、有機ELなど、発光型ディスプレイでは100%を超えるものがある。また、インクジェットプリンタなども、100%に匹敵するほど広いものもある。
【0035】
それらに比べると、電子ペーパーのような反射型ディスプレイのNTSC比は、だいぶ小さくなる。前述のような、1画素内に1/3の面積でRGBのサブピクセルを設ける構成だと、NTSCは最大でも10%前後になる。それに対し、コレステリック液晶を用いた反射型カラー表示装置(以下、単に「コレステリック液晶」で表す場合がある。)の場合は、NTSC比は20%を超えることも可能である。新聞のNTSC比が約20%なので、コレステリック液晶のNTSC比は、新聞とほぼ同等と言える。
【0036】
次に、色再現範囲をより正確に見極める方法として、3次元の均等色空間であるCIELAB色空間で評価する場合がある。
【0037】
図6は、CIELAB色空間でのコレステリック液晶の色再現範囲の一例を示す図である。図6では、コレステリック液晶の色立体と同時に、標準色とされているマクベスのカラーチャートをプロットしている。自発光型ディスプレイの色立体では、マクベスのカラーチャートの範囲をほぼカバーする(含む)が、コレステリック液晶の場合、反射型ディスプレイの中では優れた色再現性があるとは言え、マクベスのカラーチャートをカバーするほどの色再現性は有していない。このように、カラー電子ペーパーの色再現性はまだ十分でないため、発光型ディスプレイやプリンタでは綺麗に表示できる写真やアニメをカラー電子ペーパーに表示させても、色がくすんで見映えがかなり劣る場合が多かった。そのために、カラー電子ペーパーでは、表示させる画像の画質補正が非常に重要になる。
【0038】
また、カラー電子ペーパーは、一般のディスプレイと異なり、静止画表示がメインである。動画表示の場合では、画質補正の処理時間が多少かかっても、映像が連続して流れているため、ユーザは画質補正のレスポンスの遅延を感じることはない。一方、カラー電子ペーパーは、静止画の表示をボタン等で切替える使い方になるため、ボタンを押下して次の表示に移る時、画質補正に時間を要すると、ユーザは画像書換えのレスポンスの遅延を感じるようになってしまう。そのため、その画質補正も高速性が要求されていた。
【0039】
画質補正のアルゴリズムは各種提案されている。しかし、コレステリック液晶を含む表示パネルを3枚積層した反射型カラー表示装置を対象にした画質補正は、これまで知られていない。また、上記のように、表示パネルを3枚積層した反射型カラー表示装置の色再現範囲は、自発光型のディスプレイに比べて色再現範囲が狭く、一般的な画像データの補正方法を適用したのでは、画像品質を十分に向上させることができない。
【0040】
以下に説明する実施形態のコレステリック液晶を含む表示パネルを3枚積層した反射型カラー表示装置の電子ペーパーは、その特性に適した画質補正を行い、表示品質を向上する。
【0041】
図7は、コレステリック液晶を含む表示パネルを3枚積層した単純マトリクス型の反射型カラー表示素子を用いた、第1実施形態の反射型カラー表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0042】
この表示装置は、表示素子10と、電源21と、昇圧部22と、電圧切替部23と、電圧安定部24と、原振クロック部25と、分周部26と、コモンドライバ27と、セグメントドライバ28と、駆動制御回路29と、を有する。
【0043】
表示素子10は、コレステリック液晶を含む表示パネルを3枚積層した単純マトリクス型の反射型カラー表示素子である。なお、反射型カラー表示素子は、積層型であれば、コレステリック液晶以外の表示材料で実現されるものでよい。
【0044】
表示素子10の画素数はXGA(横1024画素、縦768画素)とする。表示素子10の駆動方法は、前述のコンベンショナル駆動方法であるが、ダイナミック駆動方法を適用することも可能である。
【0045】
電源21は、外部から供給される電源を受ける部分または電池などで形成され、3〜5Vの直流電源を出力する。昇圧部22は、DC−DCコンバータなどを有し、3〜5Vの電圧を液晶の駆動電圧として必要とする約40Vに昇圧する。この昇圧レギュレータは、表示素子10の負荷特性、すなわち周期一定でのコンデンサの充放電に対して変換効率の高いものが好ましい。
【0046】
電圧切替部23は、昇圧された電圧から、リセット動作時には36Vを生成し、書込み動作時にはアナログ電圧値(0/10/17/24V付近)を生成して出力する。リセット電圧と階調書込み電圧のスイッチングには、高耐圧のアナログスイッチを用いるほか、単純なトランジスタによるスイッチング回路を適用してもよい。
【0047】
電圧安定部24は、オペアンプのボルテージフォロア回路を有し、充放電時の電圧を安定化する。使用するオペアンプは、容量性負荷に強い品種が好ましい。
【0048】
原振クロック部25は、動作の基本となる基本クロックを発生する。分周部26は、基本クロックを分周して、後述する動作に必要な各種クロックを生成する。
【0049】
コモンドライバ27は、出力端子が、表示素子10の768本のコモン電極に接続される。セグメントドライバ28は、出力端子が、表示素子10の1024本のセグメント電極に接続される。コモン電極はRGBの3枚のパネルで共通に選択されるため、コモンドライバ27は、RGBの3枚のパネルで共通に使用される。これに対して、RGBの3枚のパネルのセグメント電極に印加される画像データは、3枚のパネルで異なるため、セグメントドライバ28は、RGBの3枚のパネルのそれぞれに対して設けられる。コモンドライバ27およびセグメントドライバ28は、汎用の2値出力のSTNドライバを用いて実現でき、ドライバICの耐圧は40V以上である必要がある。
【0050】
駆動制御回路29は、外部から供給される画像データに基づいて表示素子10での表示を書換えるために、各部を制御する信号を発生し、セグメントドライバ28に駆動画像データを供給する。駆動制御回路29は、フルカラーの元画像(RGB各256階調の1677万色)を、誤差拡散法などのディザ処理によりRGB各16階調の4096色に変換して、セグメントドライバ28に出力する駆動画像データを生成する。この階調変換は、誤差拡散法のほか多くの手法が知られているが、組織的ディザやブルーノイズマスクが表示品位の面で望ましい。駆動制御回路29は、マイクロコンピュータやFPGAなどにより実現される。なお、第1実施形態では、ディザ処理の前に、フルカラーの元画像(RGB各256階調の1677万色)の画像データに対して色補正処理を行うが、これについては後述する。
【0051】
表示を書換える場合には、最初に、±36Vの電圧で、15msのパルス幅のリセットパルスを8回全画素に印加し、プレーナ状態にするリセット動作を行う。
【0052】
次に、4096色に変換した画像データを、RGBの各セグメントドライバ28に入力させる。例えば、累積応答を利用した書込み動作の場合、4096色(RGB各16階調)の画像データを、各中間調に対応した2値の画像データ(H1〜H7)に分割し、全画面に対して7回書込みを行う。階調レベルを変えたい画素には±24Vの電圧を印加し、階調レベルを維持したい画素には±10Vという液晶がほとんど応答しない電圧を印加する。このアプローチの拡張により、26万色表示も可能である。
【0053】
表示素子10は、図3に示した、コレステリック液晶を含む表示パネル10B、10Gおよび10Rを3枚積層した単純マトリクス型の反射型カラー表示素子である。
パネル10B、10Gおよび10Rは、反射の中心波長が異なる以外同じ構成を有する。以下、パネル10B、10Gおよび10Rの代表例を、パネル10Aとして表し、その構成を説明する。
【0054】
図8は、1枚のパネル10Aの基本構成を示す図である。
図8に示すように、表示素子10Aは、上側基板11と、上側基板11の表面に設けられた上側電極層14と、下側基板13の表面に設けられた下側電極層15と、シール材16と、を有する。上側基板11と下側基板13は、電極が対向するように配置され、間にコレステリック液晶材料を封入した後シール材16で封止される。なお、液晶層12内にスペーサが配置され、上側電極層14と下側電極層15の一方に複数のコモン電極が、他方に複数のセグメント電極が形成されるが、図示は省略している。複数のコモン電極および複数のセグメント電極は、互いに平行な帯状の透明電極であり、観察面から見た時に直交するように配置される。複数のコモン電極および複数のセグメント電極には、コモンドライバおよびセグメントドライバから電圧パルス信号が印加され、それにより液晶層に電圧が印加される。液晶層に電圧を印加して、液晶層の液晶分子をプレーナ状態またはフォーカルコニック状態にして表示を行う。
【0055】
上側基板11および下側基板13は、いずれも透光性を有しているが、積層の最下層のパネルの下側基板は、非透光性でもよい。透光性を有する基板としては、ガラス基板、PETまたはPCフィルム基板を使用することができる。
【0056】
上側電極および下側電極は、例えば、ITO(インジウム錫酸化物:Indium Tin Oxide)の透明導電膜が代表的であるが、その他IZO(インジウム亜鉛酸化物:Indium Zic Oxide)等の透明導電膜などを用いることができる。
【0057】
電極上には絶縁性のある薄膜が形成される。この絶縁性薄膜が厚いと、駆動電圧が上昇し、汎用STNドライバが使用できなくなる。逆に、絶縁性薄膜がないとリーク電流が流れてしまうため、消費電力が増大する。絶縁性薄膜は、比誘電率が5前後であり、液晶よりもかなり低いため、厚みは概ね0.3μm以下が望ましい。
【0058】
上側基板11および下側基板13の間には、基板間ギャップを均一に保持するためのスペーサが挿入される。一般に、上下基板を貼り合わせる前に、樹脂製又は無機酸化物製の球体状のスペーサを均一に散布する。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサを設けてもよい。スペーサによって形成されるセルギャップは、3μm〜6μmの範囲であることが望ましい。セルギャップがこれより小さいと、反射率が低下して暗い表示になり、高い閾値急峻性も期待できない。一方、セルギャップがこれより大きいと、高い閾値急峻性は保持できるが、駆動電圧が上昇して汎用部品による駆動が困難になる。
【0059】
液晶層に充填する液晶組成物は、ネマティック液晶混合物にカイラル材を10〜40wt%添加したコレステリック液晶である。ここで,カイラル材の添加量はネマティック液晶成分とカイラル材の合計量を100wt%としたときの値である。ネマティック液晶としては従来から公知の各種のものを用いることができるが、誘電率異方性(Δε)が15〜25の範囲が適正範囲である。誘電率異方性が15以下であれば、駆動電圧が全体的に高くなり、駆動回路に汎用部品の適用が困難になる。一方、誘電率異方性が25以上となると、プレーナ状態からフォーカルコニック状態に変化する印加電圧の領域が小さくなり、閾値急峻性としては下がると考えられる。更には、液晶材料自体の信頼性にも懸念が出てくる。
【0060】
屈折率異方性(△n)は、0.18〜0.25くらいが望ましい。この範囲より小さいと、プレーナ状態の反射率が低くなり、この範囲より大きいと、フォーカルコニック状態での散乱反射が大きくなる他、粘度も高くなり、応答速度が低下する。
【0061】
コレステリック液晶を含む表示パネルを3枚積層した単純マトリクス型の反射型カラー表示素子およびそれを利用した反射型カラー表示装置の構成は、広く知られており、公知の技術が適用可能であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0062】
次に、駆動制御回路29における画質向上のための画像データの色補正について説明する。
駆動制御回路29は、DSP(Digital Signal Processor)およびメモリなどで形成されるが、DSPの替わりに汎用プロセッサで実現してもよい。ただし、後述するように、処理内容からは、DSPを使用することが処理速度の面で望ましい。駆動制御回路29は、コレステリック液晶を含む表示パネルを3枚積層した単純マトリクス型の反射型カラー表示素子の限られた色再現範囲を最大限に活用するように色補正を行う。また、この色補正処理は、駆動制御回路29が高速で行なえる処理である。
【0063】
図9は、DSP(またはプロセッサ)により駆動制御回路29内に実現される機能ブロックを示す図である。
駆動制御回路29は、RGB/色空間変換部31と、分類部32と、明度補正部33と、彩度補正部34と、特定色補正部35と、色空間/RGB変換部36と、ハーフトーン処理部37と、を有する。
【0064】
RGB/色空間変換部31は、フルカラーの元画像(RGB各256階調の1677万色)のRGB画像データを、色空間画像データに変換する。色空間/RGB変換部36は、補正処理の終了した色空間画像データを、RGB画像データに変換する。
【0065】
分類部32は、1画面の画像の明度、色相および彩度に関する評価基準に基づいて、画像を複数の型(カテゴリー)に分類する。具体的には、分類部32は、画像において、明度の分布情報と特定色の出現頻度を算出し、算出した明度の分布情報および特定色の出現頻度に基づき、画像をカテゴリー別に分類する。
【0066】
明度補正部33は、色空間画像データの明度を、分類した型ごとの補正特性にしたがって補正する。
【0067】
彩度補正部34は、明度補正した色空間画像データの彩度を補正する。彩度の補正は、分類した型にごとに異なる補正処理を行う場合も、共通の補正処理を行う場合も、あり得る。
【0068】
特定色補正部35は、彩度補正した色空間画像データが特定色を含むか判定し、特定色について色相または彩度を補正する。
【0069】
ハーフトーン処理部37は、前述のディザ処理など、表示素子10で表示できる色数に合わせたハーフトーン処理を、色空間/RGB変換部36により変換されたRGB画像データに対して行う。
【0070】
図10は、マンセルの表色系を示す図であり、(A)が色立体を、(B)が表色系の座標軸を示す。マンセルの表色系では、色は色相(H)・彩度(C)・明度(V)の3つの属性に分類される。そのうち、色の鮮やかさを示す彩度軸は、図10の(A)のように、黄色(Yellow)は高明度域に、青(Blue)や赤(Red)は低明度域に大きく伸びていることを、後の説明との関係で注意しておく。
【0071】
空間画像データは、例えば、YCbCrデータである。色空間については、よく知られているCIELAB色空間をはじめ、HSV色空間など、明度と彩度に分類できる色空間が多くあるが、第1実施形態では、RGB値との間で高速変換が可能なYCbCr色空間を適用した。
【0072】
画像データが8ビットの場合、RGBデータとYCbCr色空間データは、以下の線形変換により変換する。
(RGBからYCbCrへの変換)
Y=0.257R+0.504G+0.098B+16
Cb=−0.148R−0.291G+0.439B+128
Cr=0.439R−0.368G−0.071B+128
【0073】
(YCbCrからRGBへの変換)
R=1.164(Y−16)+1.596(Cr−128)
G=1.164(Y−16)−0.391(Cb−128)−0.813(Cr−128)
B=1.164(Y−16)+2.018(Cb−128)
【0074】
図11は、第1実施形態の反射型カラー表示装置の駆動制御回路29における色補正処理の動作フローを示す図である。
ステップS1では、RGB/色空間変換部31が、フルカラーの元画像のRGB画像データを、上記のRGBからYCbCrへの変換式にしたがって、色空間画像データYCbCrに変換する。CPUなどは、この変換式を整数演算やシフト演算のみにして実行することにより、処理の高速化を図っている。
【0075】
ステップS2では、分類部32が、YCbCrのうちY値(明度)の平均値・分散値を求めるとともに、記憶色の出現頻度もカウント(算出)する。記憶色とは、肌色や青空、草木の色ように、人間の印象に強く残る色のことである。記憶色のカウントは、記憶色の数値範囲をあらかじめ指定しておけば、容易に行うことができる。なお、記憶色のカウントは、YCbCrでなく、RGB値でも行なえるので、RGB値で行う場合には、ステップS1の前に行なうようにしてもよい。
【0076】
第1実施形態では、例えば、ややくすんだ肌色や青空、草木に該当する色の数値範囲を指定しておき、それに該当した画素数をカウントする。なお、このカウントは、分類処理のために行うので、後述する分類に対応してY値(明度)の平均値・分散値および記憶色の数値範囲を指定する。
【0077】
ステップS3では、分類部32が、ステップS2で算出した明度の平均値・分散値や、記憶色の出現頻度に基づき、1画面の画像を、例えば4つの型(カテゴリー)に分類する。そして、明度補正部33が、カテゴリーに応じてY値の明度補正を行う。各カテゴリーの分類基準とそこでの補正処理の例を説明する。
【0078】
図12は、第1のカテゴリー(TYPE−1)の画像における画素の明度分布と、明度補正処理を説明する図である。
【0079】
TYPE−1の画像は、図12の(A)において「補正前」で示すように、明度値が低い部分が多い全体的にやや暗い画像である。暗さの基準は、例えば、明度の平均値が120以下(8ビットのデータで255が最大値)とする。反射型カラー表示素子(カラー電子ペーパー)自体の明るさがあまり高くないということを考慮して、その明度の基準値は少し高めに設定してもよい。これは、平均値が中間程度でも、カラー電子ペーパー自体がさほど明るくないため、「暗い」と判定することが望ましい上、カラー電子ペーパーは反射率(明るさ)や白/黒のコントラストがあまり高くないため、暗い画像を表示すると見栄えがよくないためである。
【0080】
補正は、明度補正とコントラスト強調補正を行う。これは、他のカテゴリー(TYPE)も同じである。明度補正は、図12の(B)に示すように、入力画素値を出力画素値に変換する変換曲線(トーンカーブ)が、傾き1の直線より上側に位置し、特に低入力画素値で直線からの差が大きくなるようにする。言い換えれば、全体的に明るい方向に補正し、特に低入力画素値ほど大きな補正値になるようにする。図12の(B)で、入力画素値は、8ビットのLであり、図12の(C)、図13〜図15でも同様である。
【0081】
コントラスト強調補正は、図12の(C)に示すように、トーンカーブがS字カーブになるようにして補正を行い、明るい画素はより明るく、暗い画素はより暗くさせる、いわゆるコントラスト強調を行い、画像のメリハリを向上することが非常に効果的である。
【0082】
説明を分かりやすくするために、明度補正とコントラスト強調補正に分けて示したが、実際には、明度補正とコントラスト強調補正を合わせて1回の補正を行う。補正は、ルックアップテーブルを使用して行うことが、処理速度の観点から望ましい。これらは、以下の処理でも同じである。
【0083】
以上の補正により、やや暗かった画像は明るくなり、メリハリ感が上がった表示画像になる。図12の(A)で、「補正後」は、「補正前」のような明度分布を有する画像に上記の補正処理を行った後の画像における明度分布を示す。
【0084】
図13は、第2のカテゴリー(TYPE−2)の画像における画素の明度分布と、明度補正処理を説明する図である。
【0085】
TYPE−2の画像は、図13の(A)において「補正前」で示すように、明度値が高い部分が多い全体的にやや明るい画像である。明るさの基準は、例えば、明度の平均値が180以上(8ビットのデータで255が最大値)とする。反射型カラー表示素子(カラー電子ペーパー)自体の明るさがあまり高くないということを考慮して、その明度の基準値は少し高めに設定してもよい。これは、平均値がかなり高い場合に、初めて「明るい」と判定することを意味する。
【0086】
TYPE−2の画像は、アニメやイラストの場合が多い。アニメやイラストの場合、色が鮮やかであるほど、見映えも好ましく感じる。
【0087】
明度補正は、図13の(B)に示すように、トーンカーブが、傾き1の直線より下側に位置し、特に中間の入力画素値で直線からの差が大きくなるようにする。言い換えれば、トーンカーブ補正によって明度をやや下げ、彩度をより高めやすくする。これは、図10の(A)に示したように、青色や赤色など、目に付きやすい色味は、明度がやや低いほうが高彩度にしやすいためである。
【0088】
コントラスト強調補正は、図13の(C)に示すように、ほぼ直線とし、コントラスト強調は特に行わないようにする。これは、アニメやイラストのような画像は、コントラストは補正前から高めであり、必要としないためである。
【0089】
以上の補正により、画像は色がより鮮やかになり、カラー電子ペーパーに表示させた場合でも、色のくすみを感じにくくなる。図13の(A)で、「補正後」は、「補正前」のような明度分布を有する画像に上記の補正処理を行った後の画像における明度分布を示す。
【0090】
図14は、第3のカテゴリー(TYPE−3)の画像における画素の明度分布と、明度補正処理を説明する図である。
【0091】
TYPE−3の画像は、図13の(A)において「補正前」で示すように、TYPE−1と同じで、明度値が低い部分が多い全体的にやや暗い画像であるが、くすみ気味の肌色を一定の頻度で検出する画像である。肌色の出現頻度の基準は、例えば、画像全体の3%以上とする。肌色を規定するRGB値の範囲は、例えばR(赤):150−190、G(緑):100−140、B(青):80−140であり、これに対応するYCbCrの値の範囲を規定する。これらの値は,公に知られている情報や、実験に基づいたものである。
【0092】
明度補正およびコントラスト強調補正は、図14の(B)および(C)に示すように、TYPE−3の画像の補正と同じような補正を行う。カラー電子ペーパーでは、肌色をそのまま表示すると、暗くくすみやすく見え、画像全体の印象が悪くなる。そのため、このカテゴリー(TYPE−3)の画像は、ともかく肌色を主役とし、トーンカーブ補正によって明度を上げ、黒ずみを解消させる。その後、コントラスト強調も強くない程度に行い、メリハリ感もある程度向上させる。
【0093】
明度補正した肌色は、この後に行う彩度補正で、肌色を強調することにより、血色が良く見えるように補正する。肌色は、赤みが適度に強いのが好ましく見えると言われている。それにより、カラー電子ペーパーに表示させた場合も、色のくすみを感じにくくなる。
【0094】
上記の第1のカテゴリー(TYPE−1)から第3のカテゴリー(TYPE−3)のいずれにも該当しない画像を第4のカテゴリー(TYPE−4)とする。
図15は、第4のカテゴリー(TYPE−4)の画像における画素の明度分布の例と、明度補正処理を説明する図である。
【0095】
明度補正は、図15の(B)に示すように、トーンカーブをほぼ直線とし、明度補正は特に行わないようにする。コントラスト強調補正は、図15の(C)に示すように、トーンカーブがS字カーブになるようにして、コントラスト強調を行い、画像のメリハリを向上する。
【0096】
このように、TYPE−4の画像は、明るい方向にも暗い方向にも偏っていないため、明るさの補正処理は特に行わず、コントラスト強調のみを行い、コントラスト強調により,メリハリ感をより一層向上させる。
【0097】
現状のカラー電子ペーパーは、コントラストが10以下のものが多いため、コントラスト強調は、ほとんどの場合で、行なうことが望ましい。
さらに、カラー電子ペーパーの階調特性などは、液晶材料やパネル構成、更には駆動方法に大きく依存するため、明度補正やコントラスト強調の強度(いわゆるガンマ)は、表示装置の特性に応じて最適な値を決めるが、ガンマは概ね0.5〜2.0の範囲とすればよい。
【0098】
ステップS4では、彩度補正部34が、ステップS3でのカテゴリー(TYPE)別に明度補正された色空間画像データYCbCrに対して彩度補正を行う。彩度補正は、ステップS3で分類されたカテゴリー別に行なわず、共通に行なうことも可能であるが、カテゴリー別に行なうと、より好適に画質補正できる。
【0099】
例えば、TYPE−1の画像のように、暗い画像を明るく補正する場合は、彩度が損なわれやすいので、彩度を強調するように彩度補正を相対的に強めにする。アニメやイラストのようなTYPE−2の画像の場合は、元々彩度が高めなので、彩度強調によって色が潰れないように、彩度補正は弱めにする。肌色の赤みが強すぎると不自然になるので、TYPE−3の画像の場合も、TYPE−2の画像の場合と同様とする。TYPE−4の画像はバランスの取れた画像なので、彩度強調はあまり強くしないように彩度補正を行う。
【0100】
なお、カテゴリー(TYPE)の分類や、明度補正および彩度補正は、説明した例に限定したものではなく、ほかも各種の変形例が考えられる。さらに、分散値を用いて、より詳細なカテゴリーに分類してもよい。例えば、上記の例のほか、青空や草木など記憶色の出現率に応じたカテゴリーを加えてもよく、それらの記憶色の検出、特に肌色の検出などは、出現頻度ではなく、パターンマッチングの手法を用いてもよい。
【0101】
図16は、カテゴリーに共通に行う彩度補正の変換曲線の例を示す図であり、彩度強調するトーンカーブの例である。入力画素値は、CbおよびCrである。
彩度強調では、特に赤色(R)で色がつぶれやすいため、彩度の飽和領域では強調をせず、低彩度〜中彩度の領域において彩度を強調させる特性にしてもよい。
【0102】
上記のような彩度強調によっても、青空や草木に代表される青色(B)や緑色(G)は、カラー電子ペーパーに表示させるとまだ色相や彩度が不十分に見える場合があるため、ステップS5からS8で、特定色補正部35が、B領域とG領域のみ、色相と彩度の補正を引き続き行う。
【0103】
ステップS5では、特定色補正部35が、草木の出現頻度が規定値より大きいかを判定し、大きければステップS6に進み、小さければステップS7に進む。草木の出現頻度は、例えば、画像全体の10%以上とし、草木を規定するYCbCrの範囲を適宜規定する。
【0104】
ステップS6では、特定色補正部35が、草木の部分を鮮明にする彩度補正を行う。
【0105】
ステップS7では、特定色補正部35が、青空の出現頻度が規定値より大きいかを判定し、大きければステップS8に進み、小さければステップS9に進む。青空の出現頻度は、例えば、画像全体の20%以上とし、青空を規定するYCbCrの範囲を適宜規定する。
【0106】
ステップS8では、特定色補正部35が、青空の部分を鮮明にする彩度補正を行う。
【0107】
図17は、草木の部分および青空の部分を鮮明にする彩度補正処理におけるトーンカーブの例を示す図である。
図17の(A)は、青色、すなわち青空を補正するトーンカーブの例で、YCbCrにおけるCb値を変換する。Cb値のうち、128〜255の領域が青色(B)に該当するので、この部分の値をより高めに補正する。この領域のCb値を強調することで、青色(B)の彩度が向上するとともに、色味もより澄んだ青色とすることができる。
【0108】
図17の(B)は、緑色、すなわち草木を補正するトーンカーブの例で、YCbCrにおけるCb値およびCr値を変換する。Cb値およびCr値のうち、0〜128の領域が緑色(G)に該当するので、この部分の値をより高めに補正する。この領域のCb値およびCr値を強調することで、コレステリック液晶を含む液晶パネルを積層した反射型カラー表示装置で良好な表示が難しい色領域である緑色の彩度をより向上できる。
【0109】
なお、青空や草木と言った記憶色を検出するための出現頻度は任意に設定されるが、概ね「青空>草木>肌色」の順列になると言える。
【0110】
図18は、CrおよびCbを直交軸とする平面での色分布と、そこでの青空および草木の部分が上記の彩度強調で補正される方向を示す図である。図18に示すように、この平面上で、色相が、赤、オレンジ色、黄色、緑色、青色、紫色の順に1周で変化する。上記の青空の彩度を強調するように補正することは、Cbの値が128〜255の領域で青色の彩度を強調するので、補正により青空で示す矢印の方向の変化が起きる。草木の彩度を強調するように補正することは、CbおよびCrの値が0〜128の領域で緑色の彩度を強調するので、補正により草木で示す矢印の方向の変化が起きる。
【0111】
ステップS9では、色空間/RGB変換部36が、上記の補正処理が終了した色空間画像データYCbCrを、前述のYCbCrからRGBへの変換式にしたがって、RGB画像データに変換する。
【0112】
ステップS10では、駆動制御回路29が、ハーフトーン処理(ハーフトーニング)を行う。このハーフトーニングは、誤差拡散法が表示品位の面で好ましく、最も標準的なFloydタイプの誤差拡散でも、多階調表示であれば好適である。誤差拡散法以外であれば、ブルーノイズマスク法は、表示品位をさほど損ねずに、更なる高速化が可能となる方法である。
【0113】
前述のように、これらの画質補正処理には、信号演算処理向けのCPUであるDSPを用いるのが、高速処理に対応できて好ましい。この場合、DSPのソフトウェアパイプライン処理(いわゆるループ関数の並列処理)が、高速化に重要である。第1実施形態では、表示させる画像の特徴量を検出するステップS2およびS3と、明度補正と彩度補正および記憶色補正を行うステップS3〜S8と、ハーフトーニングを行うステップS9は、それぞれ別々にループ演算したほうが、ソフトウェアパイプライン処理ができる可能性が高まるため好ましい。さらに、第1実施形態では、高速処理の負担となる条件式(C言語ならば、if文やswitch文)を用いないため、その点でも高速化に有利である。
【0114】
このため、第1実施形態での処理アルゴリズムを実行する上では、汎用CPUよりDSPが優れている。例えば、XGA(1024×768画素)の原画像に対し、第1実施形態のアルゴリズムを組み込んだDSP(500MHz)での処理時間を計測したところ0.2秒となり、ユーザにレスポンスの遅れを感じさせない高速処理を実現できた。また、それに伴って消費電力も小さいことが確認された。
【0115】
図19は、第2実施形態の反射型カラー表示装置の駆動制御回路における色補正処理の動作フローを示す図である。第2実施形態の反射型カラー表示装置は、第1実施形態の反射型カラー表示装置と同じの構成を有し、駆動制御回路29の処理のみが異なる。
【0116】
第2実施形態における駆動制御回路29の処理は、電子ペーパー固有の補正を行うステップS0が追加されていること、および彩度補正のステップS4が、カテゴリー(TYPE)によらず共通であることが、第1実施形態と異なる。
【0117】
図20は、コレステリック液晶を含む液晶パネルを積層した反射型カラー表示装置において、コンベンショナル駆動で、書き込みパルスの幅を変化させた時のRGB各層の明度変化および応答特性の差を補正する変換特性を示す図である。
【0118】
図20の(A)において、R、GおよびBは、書き込みパルスの幅を変化させた時のRGB各層の明度変化を示す。図示のように、書き込みパルスの幅が広がるにしたがって、R層から先に明度が上昇し、次にG層の明度が、最後にB層の明度が上昇する。このように、RGB各層の応答特性に差がある。そのため,この応答特性を有するカラー表示素子10をRGBデータで駆動すると、赤色が顕著に表示される赤かぶりが発生する。
【0119】
そこで、第2実施形態では、駆動制御回路29内に、電子ペーパー固有特性であるRGB各層の応答特性の差を補正するパネル応答特性補正部を設ける。パネル応答特性補正部も、DSP等で実現される。パネル応答特性補正部は、ステップS0で、フルカラーの元画像のRGB画像データに対して、RGB各層の応答特性の差を補正する。
【0120】
図20の(B)において、R、GおよびBは、RGBの入力画素値に対してRGB各層の応答特性の差を補正するための変換特性を示す図である。Rの入力画素値に対しては値が低いおよび中間の領域で出力画素値が小さくなるようにし、Gの入力画素値に対しては、値が低いお領域で出力画素値が小さくなるようにし、Bの入力画素値に対しては全域で値が比例するようにする。
【0121】
なお、パネル応答特性補正部における補正処理は、RGBごとにLUTを設けて行なえばよく、より詳細に補正するのであれば、ICCプロファイルのような詳細なテーブルを設定してもよい。また、これまでRGBの3原色を前提にしたが、CMYなど他の3原色を用いた画像データにも適用可能である。
【0122】
さらに、ステップS4では、すべてのカテゴリーのYCbCrに対して、例えば、図16に示すような変換特性の彩度補正を行う。
【0123】
以上説明したように、第1および第2実施形態では、カラー電子ペーパーの小さな色再現範囲を最大限カバーした高画質性と高速性を兼備した画質補正処理により、高品位な表示のカラー電子ペーパーを実現できる。
【0124】
また、実施形態では、コレステリック液晶表示素子を例として説明したが、反射型の表示素子であれば、コレステリック液晶以外の材料を利用する表示素子を使用可能である。
【0125】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【0126】
以下、実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
3枚の表示パネルを積層した反射型カラー表示素子を、3原色の画像データに基づいて制御して表示を行うカラー表示方法であって、
前記3原色の画像データを、色空間画像データに変換し、
画像の明度、色相および彩度に関する評価基準に基づいて、画像を複数の型に分類し、
前記色空間画像データの明度を、分類した前記型ごとの補正特性にしたがって補正し、
明度補正した前記色空間画像データの彩度を補正し、
彩度補正した前記色空間画像データを3原色の画像データに変換する、ことを特徴とするカラー表示方法。
(付記2)
前記画像の分類は、明度の分布情報と特定色の出現頻度に応じて行なう付記1記載のカラー表示方法。
(付記3)
前記色空間画像データは、YCbCrデータである付記1または2記載のカラー表示方法。
(付記4)
前記彩度補正は、前記色空間画像データの彩度を、分類した前記型ごとの補正特性にしたがって補正する付記1から3のいずれか記載のカラー表示方法。
(付記5)
彩度補正した前記色空間画像データが特定色を含むか判定し、特定色について色相または彩度を補正する付記1から4のいずれか記載のカラー表示方法。
(付記6)
前記3原色の画像データを前記3枚の表示パネルの光学応答特性に基づいて補正するパネル特性補正をさらに行い、
パネル特性補正を行った前記3原色の画像データを、前記色空間画像データに変換する付記1から5のいずれか記載のカラー表示方法。
(付記7)
前記3枚の表示パネルは、コレステリック液晶を含む液晶表示パネルである付記1から6のいずれか記載のカラー表示方法。
(付記8)
前記3原色の画像データは、Red、Green、Blueを用いていることを特徴とする付記1から7のいずれか記載のカラー表示方法。
(付記9)
前記3原色変換部の後に、ハーフトーニングを行うことを特徴とする付記1から8のいずれか記載のカラー表示方法。
(付記10)
3枚の表示パネルを積層した反射型カラー表示素子と、
3原色の画像データに基づいて前記カラー表示素子を制御する駆動制御回路と、を備えるカラー表示装置であって、
前記駆動制御回路は、
前記3原色の画像データを、色空間画像データに変換する色空間変換部と、
画像の明度、色相および彩度に関する評価基準に基づいて、画像を複数の型に分類する分類部と、
前記色空間画像データの明度を、分類した前記型ごとの補正特性にしたがって補正する明度補正部と、
明度補正した前記色空間画像データの彩度を補正する彩度補正部と、
彩度補正した前記色空間画像データを3原色の画像データに変換する3原色変換部と、を備えることを特徴とするカラー表示装置。
(付記11)
前記分類部は、明度の分布情報と特定色の出現頻度に応じて画像を分類する付記10記載のカラー表示装置。
(付記12)
前記色空間画像データは、YCbCrデータである付記10または11記載のカラー表示装置。
(付記13)
前記彩度補正部は、前記色空間画像データの彩度を、分類した前記型ごとの補正特性にしたがって補正する付記10から12のいずれか記載のカラー表示装置。
(付記14)
彩度補正した前記色空間画像データが特定色を含むか判定し、特定色について色相または彩度を補正する特定色補正部を、さらに備える付記10から13のいずれか記載のカラー表示装置。
(付記15)
前記3原色の画像データを、前記3枚の表示パネルの光学応答特性に基づいて補正するパネル特性補正部を、さらに備え、
前記色空間変換部は、前記パネル特性補正部により補正された前記3原色の画像データを、色空間画像データに変換する付記10から14のいずれか記載のカラー表示装置。
(付記16)
前記3枚の表示パネルは、コレステリック液晶を含む液晶表示パネルである付記10から15のいずれか記載のカラー表示装置。
(付記17)
前記3原色の画像データは、Red、Green、Blueを用いていることを特徴とする付記10から16のいずれか記載のカラー表示装置。
(付記18)
前記3原色変換部の後に、ハーフトーニングを行うハーフトーン処理部を備えることを特徴とする付記10から17のいずれか記載のカラー表示装置。
【符号の説明】
【0127】
10 表示素子
11 上側基板
12 液晶層
13 下側基板
17 光吸収層
18 ブルーカットフィルタ層
19 グリーンカットフィルタ層
27 コモンドライバ
28 セグメントドライバ
29 制御回路
31 RGB/色空間変換部
32 分類部
33 明度補正部
34 彩度補正部
35 特定色補正部
36 色空間/RGB変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3枚の表示パネルを積層した反射型カラー表示素子を、3原色の画像データに基づいて制御して表示を行うカラー表示方法であって、
前記3原色の画像データを、色空間画像データに変換し、
画像の明度、色相および彩度に関する評価基準に基づいて、画像を複数の型に分類し、
前記色空間画像データの明度を、分類した前記型ごとの補正特性にしたがって補正し、
明度補正した前記色空間画像データの彩度を補正し、
彩度補正した前記色空間画像データを3原色の画像データに変換する、ことを特徴とするカラー表示方法。
【請求項2】
前記画像の分類は、明度の分布情報と特定色の出現頻度に応じて行なう請求項1記載のカラー表示方法。
【請求項3】
前記色空間画像データは、YCbCrデータである請求項1または2記載のカラー表示方法。
【請求項4】
前記彩度補正は、前記色空間画像データの彩度を、分類した前記型ごとの補正特性にしたがって補正する請求項1から3のいずれか1項記載のカラー表示方法。
【請求項5】
彩度補正した前記色空間画像データが特定色を含むか判定し、特定色について色相または彩度を補正する請求項1から4のいずれか1項記載のカラー表示方法。
【請求項6】
前記3原色の画像データを前記3枚の表示パネルの光学応答特性に基づいて補正するパネル特性補正をさらに行い、
パネル特性補正を行った前記3原色の画像データを、前記色空間画像データに変換する請求項1から5のいずれか1項記載のカラー表示装置。
【請求項7】
前記3枚の表示パネルは、コレステリック液晶を含む液晶表示パネルである請求項1から6のいずれか1項記載のカラー表示方法。
【請求項8】
3枚の表示パネルを積層した反射型カラー表示素子と、
3原色の画像データに基づいて前記カラー表示素子を制御する駆動制御回路と、を備えるカラー表示装置であって、
前記駆動制御回路は、
前記3原色の画像データを、色空間画像データに変換する色空間変換部と、
画像の明度、色相および彩度に関する評価基準に基づいて、画像を複数の型に分類する分類部と、
前記色空間画像データの明度を、分類した前記型ごとの補正特性にしたがって補正する明度補正部と、
明度補正した前記色空間画像データの彩度を補正する彩度補正部と、
彩度補正した前記色空間画像データを3原色の画像データに変換する3原色変換部と、を備えることを特徴とするカラー表示装置。
【請求項9】
前記3原色の画像データは、Red、Green、Blueを用いていることを特徴とする請求項8記載のカラー表示装置。
【請求項10】
前記3原色変換部の後に、ハーフトーニングを行うハーフトーン処理部を備えることを特徴とする請求項8または9記載のカラー表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−45001(P2013−45001A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183584(P2011−183584)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】