説明

カラー表示装置およびその製造方法

【課題】製造が簡単で歩留まりが高く、ドライプロセス以外にウエットプロセスを混在させて材料選定の制限を少なくすることができるカラー表示装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】透明導電性基板11上に赤色透明有機EL発光層12を形成し、その上に透明電極13を形成した赤色TOLED10と、透明導電性基板21上に緑色透明有機EL発光層22を形成し、その上に透明電極23を形成した緑色TOLED20と、透明導電性基板31上に青色透明有機EL発光層32を形成し、その上に透明電極33を形成した青色TOLED30とを各透明導電性基板11、21、31と、各々重ねて積層する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を利用したカラー表示装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、酸化インジウム錫(以下、ITOと記す。)などの透明導電膜を電極として使用した透明有機EL素子(以下TOLEDと記す。)および青、緑、赤の3色の光を発光する3種のTOLEDを重ね合わせてカラー表示させるカラー表示装置が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】アメリカ特許第5703436号明細書(第4欄28行〜第7欄52行、第12欄59行〜13欄46行及び図2、図13など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1におけるカラー表示装置は、ガラス基板の上にITOを形成し、その上に正孔輸送層、青色有機EL、電子輸送層、および金属/ITO電極を順次形成した青色有機EL積層体を形成し、その上にさらに、同様の構成の緑色有機EL積層体および赤色有機EL積層体を順次ドライプロセスで形成している。この構成によれば、青色有機EL積層体の上に直接緑色有機EL積層体を形成し、さらに、緑色有機EL積層体の上に直接赤色有機EL積層体を形成しているので、カラー表示装置を製造する歩留まりが低い。たとえば、ガラス基板上に青色有機EL積層体を形成した後、緑色有機EL積層体を積み重ねたときに、積み重ねた緑色有機EL積層体に欠陥が生じた場合は、すでに正常に形成されている青色有機EL積層体も使用できなくなるので、最初から青色有機EL積層体を形成する工程からやり直さなければならない。同様に、ガラス基板上に青色有機EL積層体を形成した後、緑色有機EL積層体を形成し、最後に赤色有機EL積層体を積み重ねたときに、積み重ねた赤色有機EL積層体に欠陥が生じた場合は、すでに正常に形成されている青色有機EL積層体および緑色有機EL積層体も使用できなくなるので、最初から青色有機EL積層体を形成する工程からやり直さなければならない。
また、特許文献1におけるカラー表示装置は、青色有機EL積層体の上に直接透明有機EL積層体を形成し、さらに、緑色有機EL積層体の上に直接赤色有機EL積層体を形成しているので、下に積んだ有機EL積層体を侵さない(溶かさない)ために、蒸着またはドライプロセスで積み上げて製造しなければならない。したがって、各色の有機EL積層体として使用できる材料としてドライ系の材料しか使用できない。
【0004】
そこで本発明はこのような課題を解消し、TOLEDを利用したカラー表示装置において、製造が簡単で歩留まりが高く、しかも、ドライプロセス以外にスピンコート法やスプレー法などのウエットプロセスを混在させて材料選定の制限を少なくすることができるカラー表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
また、開口率が大きくして、高輝度のカラー映像を表示させることができるカラー表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明のカラー表示装置は、透明導電性基板上に赤色透明有機EL発光層を形成し、その上に透明電極を形成した赤色TOLEDと、透明導電性基板上に緑色透明有機EL発光層とを形成し、その上に透明電極を形成した緑色TOLEDと、透明導電性基板上に青色透明有機EL発光層とを形成し、その上に透明電極を形成した青色TOLEDとを、各々重ねて積層したことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のカラー表示装置において、前記赤色、緑色および青色の透明有機EL発光層は、それぞれ、有機物からなる発光層と、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つとによる積層体であることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載のカラー表示装置において、前記透明導電性基板は透明導電体が付与されたガラスであることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載のカラー表示装置において、前記透明導電性基板が透明基板上に透明導電膜を形成したものであることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載のカラー表示装置において、前記赤色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPEDT−PSS層と、前記PEDT−PSS層上にスピンコートされたMEH-PPV層と、前記MEH-PPV層上に真空蒸着されたPBD層と、前記PBD層上に真空蒸着されたAlq3層と、前記Alq3層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP:Cs層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記緑色TOLEDが前記ITOガラス基板上に真空蒸着されたm−MTDATA層と、前記m−MTDATA層上に真空蒸着されたNPB層と、前記NPB層上に真空蒸着されたAlq3層と、前記Alq3層上に真空蒸着されたBCP層と、前記BCP層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記青色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPEDT−PSS層と、前記PEDT−PSS層上に真空蒸着されたNPB層と、前記NPB上に真空蒸着されたBCP層と、前記BCP層上に真空蒸着されたAlq3層と、前記Alq3層上に真空蒸着されたBCP層と、前記BCP層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成されたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1に記載のカラー表示装置において、前記赤色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BND、RubreneおよびDCJTBの混合層と、前記混合層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP:Cs層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記緑色TOLEDが前記ITOガラス基板上に真空蒸着されたm−MTDATA層と、前記m−MTDATA層上に真空蒸着されたNPB層と、前記NPB層上に真空蒸着されたAlq3層と、前記Alq3層上に真空蒸着されたBCP層と、前記BCP層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記青色TOLEDが前記ITOガラス基板上に真空蒸着されたm−MTDATA層と、前記m−MTDATA層上に真空蒸着されたNPB層と、前記NPB上に真空蒸着されたBCP層と、前記BCP層上に真空蒸着されたAlq3層と、前記Alq3層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成されたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1に記載のカラー表示装置において、前記赤色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BND、RubreneおよびDCJTBの混合層と、前記混合層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP:Cs層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記緑色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BNDおよびクマリン6の混合層と、前記混合層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP:Cs層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記青色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BNDおよびペリレンの混合層と、前記混合層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP:Cs層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成されたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明のカラー表示装置は、基板上に赤色TOLEDを駆動するTFT回路、緑色TOLEDを駆動するTFT回路および青色TOLEDを駆動するTFT回路とを形成し、その上に前記赤色TOLED、前記緑色TOLEDおよび前記青色TOLEDを順次積層したことを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項8に記載のカラー表示装置において、前記赤色TOLEDの陽極電極が反射体であることを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項8に記載のカラー表示装置において、前記赤色TOLEDの前記陰極電極と前記緑色TOLEDの陽極電極、および、前記緑色TOLEDの陰極電極と前記青色TOLEDの陽極電極をそれぞれ共通の透明電極で構成したことを特徴とする。
請求項11記載の本発明のカラー表示装置は、透明導電性基板上に赤色透明有機EL発光層を形成し、その上に透明電極を形成した赤色TOLEDと、透明導電性基板上に緑色透明有機EL発光層とを形成し、その上に透明電極を形成した緑色TOLEDと、透明導電性基板上に青色透明有機EL発光層とを形成し、その上に透明電極を形成した青色TOLEDとを、前記透明導電性基板の屈折率に近い屈折率を有する透明接着剤により接着して積層したことを特徴とする。
請求項12記載の本発明のカラー表示装置の製造方法は、透明導電性基板上に赤色透明有機EL発光層を形成し、その上に透明電極を形成して赤色TOLEDを製造する工程と、透明導電性基板上に緑色透明有機EL発光層を形成し、その上に透明電極を形成して緑色TOLEDを製造する工程と、透明導電性基板上に青色透明有機EL発光層を形成し、その上に透明電極を形成して青色TOLEDを製造する工程と、前記赤色TOLED、前記緑色TOLEDおよび前記青色TOLEDとを積層する工程を有することを特徴とする。
請求項13記載の本発明は、請求項12に記載のカラー表示装置の製造方法において、前記赤色TOLED、前記緑色TOLEDおよび前記青色TOLEDの積層時に、透明導電性基板に近い屈折率を有する材料を介して積層することを特徴とする。
請求項14記載の本発明のカラー表示装置の製造方法は、請求項12に記載のカラー表示装置の製造方法において、平面状のカラー表示装置を製造した後、前記赤色TOLED、前記緑色TOLEDおよび前記青色TOLEDの積層方向に切溝を形成して切断し、切断した前記赤色TOLED、前記緑色TOLEDおよび前記青色TOLEDの個々の積層体をマトリクス状に配列したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、極めて簡単な構造でTOLEDを利用したカラー表示装置を実現することができる。また、TOLEDを利用したカラー表示装置を高い製造歩留まりで製造することができる。
また、製造工程において、ドライプロセス以外にスピンコート法やスプレー法などのウエットプロセスを混在させて製造することができるので、TOLEDとしての材料をドライ系やウェット系の区別無く広い範囲で選択して使用することができる。
また、TOLEDを駆動するTFT回路の配置を工夫して、カラー表示装置の開口率を大きくすることにより、高輝度のカラー映像表示を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態によるカラー表示装置は、赤色TOLEDと、緑色TOLEDと、青色TOLEDとを、各々重ねて積層したものである。本実施の形態によれば、極めて簡単な構造でTOLEDを利用したカラー表示装置を実現することができる。また、TOLEDを利用したカラー表示装置を高い製造歩留まりで製造することができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるカラー表示装置において、赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDにおける透明有機EL発光層を有機物からなる発光層と、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つによる積層体で構成したものである。本実施の形態によれば、TOLEDを発光させるために必要十分なキャリア注入を行うことができるので、十分な発光輝度が得られる。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態によるカラー表示装置において、透明導電性基板を透明導電体が付与されたガラスで構成したものである。本実施の形態によれば、透明導電性基板として市販のITOガラスを使用できるので入手が簡単であり、製造コストを小さくすることができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態によるカラー表示装置において、透明導電性基板を透明基板上に透明導電膜を形成し手構成したものである。本実施の形態によれば、透明導電性基板の硬さ、光透過率あるいは導電性が変えられるので、TOLEDの特性を調整することができる。
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態によるカラー表示装置において、赤色TOLEDがITOガラス基板上にスピンコートされたPEDT−PSS層およびMEH-PPV層と、真空蒸着されたPBD層およびAlq3層と、共蒸着されたBCP:Cs層と、スパッタリングされた透明陰極の多層構造で構成され、緑色TOLEDがITOガラス基板上に真空蒸着されたm−MTDATA層、NPB層、Alq3層およびBCP層と、スパッタリングされた透明陰極の多層構造で構成され、青色TOLEDがITOガラス基板上にスピンコートされたPEDT−PSS層と、真空蒸着されたNPB層、BCP層、Alq3層およびBCP層と、スパッタリングされた透明陰極の多層構造で構成されたものである。本実施の形態によれば、製造工程において、ドライプロセス以外にスピンコート法やスプレー法などのウエットプロセスを混在させているので、TOLEDとしての材料をドライ系やウェット系の区別無く広い範囲で選択して使用することができる。また、赤色TOLEDは、可視光領域における全光線透過率は65.4%、最大発光輝度は483Cd/m2、中心波長は574nmの特性が得られる。また、緑色TOLEDは、可視光領域における全光線透過率は76.5%、最大発光輝度は707Cd/m2、中心波長は532nmの特性が得られる。また、青色TOLEDは、可視光領域における全光線透過率は70.4%、最大発光輝度は296Cd/m2、中心波長は450nmの特性が得られる。また、赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDを積層したカラー表示装置のCIE色相図における赤の座標は(0.52,0.40)、緑の座標は(0.35,0.54)、青の座標は(0.15,0.12)であり、各々の光放射量を個々に制御することにより、種々の色を発光させることができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1の実施の形態によるカラー表示装置において、赤色TOLEDがITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BND、RubreneおよびDCJTBの混合層と、共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、スパッタリングされた透明陰極の多層構造で構成され、緑色TOLEDがITOガラス基板上に真空蒸着されたm−MTDATA層、NPB層Alq3層およびBCP層と、スパッタリングされた透明陰極の多層構造で構成され、青色TOLEDがITOガラス基板上に蒸着されたm−MTDATA層、NPB層、BCP層およびAlq3層と、共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、スパッタリングされた透明陰極の多層構造で構成されたものである。本実施の形態によれば、製造工程において、ドライプロセス以外にスピンコート法やスプレー法などのウエットプロセスを混在させているので、TOLEDとしての材料をドライ系やウェット系の区別無く広い範囲で選択して使用することができる。また、赤色TOLEDは、可視光領域における全光線透過率は78.6%、最大発光輝度は142Cd/m2、中心波長は607nmの特性が得られる。また、緑色TOLEDは、可視光領域における全光線透過率は76.5%、最大発光輝度は707Cd/m2、中心波長は532nmの特性が得られる。また、青色TOLEDは、可視光領域における全光線透過率は79.3%、最大発光輝度は132Cd/m2、中心波長は444nmの特性が得られる。また、赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDを積層したカラー表示装置のCIE色相図における赤の座標は(0.60,0.39)、緑の座標は(0.35,0.54)、青の座標は(0.16,0.12)であり、各々の光放射量を個々に制御することにより、種々の色を発光させることができる。
本発明の第7の実施の形態は、第1の実施の形態によるカラー表示装置において、赤色TOLEDがITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BND、RubreneおよびDCJTBの混合層と、共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、スパッタリングされた透明陰極の多層構造で構成され、緑色TOLEDがITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BNDおよびクマリン6の混合層と、共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、スパッタリングされた透明陰極の多層構造で構成され、青色TOLEDがITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BNDおよびペリレンの混合層と、共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、スパッタリングされた透明陰極の多層構造で構成されたものである。本実施の形態によれば、製造工程において、ドライプロセス以外にスピンコート法やスプレー法などのウエットプロセスを混在させているので、TOLEDとしての材料をドライ系やウェット系の区別無く広い範囲で選択して使用することができる。また、各色のTOLEDが4層構造ときわめて簡単な構成とすることができる。
本発明の第8の実施の形態によるカラー表示装置は、基板上に赤色TOLEDを駆動するTFT回路、緑色TOLEDを駆動するTFT回路および青色TOLEDを駆動するTFT回路をそれぞれ形成し、その上に赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDを順次積層したものである。本実施の形態によれば、基板上にTOLEDを駆動するTFT回路が組み込まれているので、カラー表示装置の構造を小型で簡単にすることができる。また、青色TOLED側は全面が開口しているのでトップエミッション型の高輝度カラー表示装置を実現することができる。
本発明の第9の実施の形態は、第8の実施の形態によるカラー表示装置において、赤色TOLEDの陽極電極を光反射体としたものである。本実施の形態によれば、赤色TOLEDの陽極電極側に向かった放射光を赤色TOLEDの陽極電極で反射させて青色TOLED側に向かけて放射させるトップエミッション光に重畳させることができるので、一層高輝度にすることができる。
本発明の第10の実施の形態は、第8の実施の形態によるカラー表示装置において、赤色TOLEDの陰極電極と緑色TOLEDの陽極電極、および、緑色TOLEDの陰極電極と青色TOLEDの陽極電極をそれぞれ共通の透明電極で構成したものである。本実施の形態によれば、カラー表示装置の構造を一層簡単にすることができる。
本発明の第11の実施の形態によるカラー表示装置は、赤色TOLEDと、緑色TOLEDと、青色TOLEDとを、これらのTOLEDにおける透明導電性基板の屈折率に近い屈折率を有する透明接着剤により接着して積層したものである。本実施の形態によれば、極めて簡単な構造でTOLEDを利用したカラー表示装置を実現することができる。また、TOLEDを利用したカラー表示装置を高い製造歩留まりで製造することができる。
本発明の第12の実施の形態によるカラー表示装置の製造方法は、赤色TOLEDを製造する工程と、緑色TOLEDを製造する工程と、青色TOLEDを製造する工程と、赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDとを積層する工程を有するものである。本実施の形態によれば、TOLEDを利用したカラー表示装置を簡単な方法で、かつ、高い製造歩留まりで製造することができる。
本発明の第13の実施の形態は、第12の実施の形態によるカラー表示装置の製造方法において、各TOLEDの積層時に透明導電性基板に近い屈折率を有する材料を介して積層するものである。本実施の形態によれば、接着部における屈折段差を補償することができる。
本発明の第14の実施の形態によるカラー表示装置の製造方法は、第12の実施の形態によるカラー表示装置の製造方法において、平面状のカラー表示装置を製造した後、赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの積層方向に切溝を形成して切断して個々の積層体をマトリクス状に配列したものである。本実施の形態によれば、1画素相当のカラー表示装置をマトリックス状に配列することができるので、平面状のカラー表示装置を作成することができる。
【実施例1】
【0008】
以下に、本発明のカラー表示装置およびその製造方法の実施例について図面に基づいて説明する。
図1は本発明のカラー表示装置の基本構成を示す概念的斜視図である。なお、図1においては、説明を簡単にするために、1画素分の構成を図示している。
カラー表示装置1は、透明導電性基板11の上に赤色透明有機EL発光層12を形成し、赤色透明有機EL発光層12の上にIZOなどの透明電極13を形成した赤色TOLED10と、透明導電性基板21上に緑色透明有機EL発光層22を形成し、緑色透明有機EL発光層22の上にIZOなどの透明電極23を形成した緑色TOLED20と、透明導電性基板31上に青色透明有機EL発光層32を形成し、青色透明有機EL発光層32の上にIZOなどの透明電極33を形成した青色TOLED30とをそれぞれ個別に作成し、これらの赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30を各々重ね合わせて積層する。このとき、積層部における屈折段差を補償するために、必要に応じてシリコンオイルなどの透明導電性基板に近い屈折率を有する材料を介して積層する。
なお、赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30を重ね合わせるには、これらを単に重ねるだけでよいが、透明導電性基板21、31の屈折率に近い屈折率を有する透明接着剤により互いに接着して積層することにより、屈折段差を少なくしたカラー表示装置を構成することができる。
赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30を個別に作成し、それらを透明接着剤により互いに重ね合わせて積層することにより、高い歩留まりでカラー表示装置を製造することができる。すなわち、赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30を個別に作成する際に、それらのいずれかに欠陥や製造ミスが生じても、欠陥や製造ミスが生じたTOLEDのみを作り直せばよく、正常なTOLEDは使用できるので、製造工程における歩留まりは大きく向上する。
赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30は、それぞれTOLEDで構成されており、その基本的な構成は各透明有機EL発光層12、22、32の材料およびその形成方法が異なる他は同一の層構成である。
【0009】
図2に本発明のカラー表示装置におけるTOLEDの基本的な層構成の一例を示す。
透明導電性基板41の上に透明有機EL発光層として、正孔注入層42、正孔輸送層43、有機物からなる発光層44、電子輸送層45、電子注入層46が形成され、電子注入層46の上に透明電極47が形成される。正孔注入層42は正孔輸送層43の最高占有分子軌道レベルを整合させ、正孔を効率よく注入させるものである。
透明導電性基板41を陽極、透明電極47を陰極として、電子注入層46から電子輸送層45を介して発光層44に電子を注入し、正孔注入層42から正孔輸送層43を介して発光層44に正孔を注入すると、発光層44で再結合して発光層44の材料で定まる色を発光する。この構成においては、TOLEDを発光させるために必要十分なキャリア注入を行うことができるので、十分な発光輝度が得られる。
透明有機EL発光層12、22、32の構成は、図2における正孔注入層42、正孔輸送層43、有機物からなる発光層44、電子輸送層45、電子注入層46の5層を基本とするが、正孔注入層42や電子注入層46においてキャリアを反対側の電極に突き抜けないようにするためのブロック層を形成すれば6層以上の多層構造になる。また、発光させる色に応じて発光層44の材料を変えたり、その他の各層の材料を適宜選択して各層の機能を兼用させたりすれば2〜4層にすることも可能である。これらの層構造の変形例については後述の実施例において詳述する。
【0010】
つぎに、赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30の具体的な例について説明する。
図3(a)は赤色TOLED10の一例を示す断面側面図である。透明導電性基板として市販のITOガラス基板51を使用し、その上に正孔注入層52としてPEDT−PSS(Poly(styrenesulfonete)・Poly(2,3−dihydrothieno(3,4−b)−1,4−dioxin))をスピンコート法によって30nmの厚さで成膜し、その後、大気中200℃で5分間ベーキングして形成する。ITOガラス基板51は透明陽極として作用する。なお、PEDT−PSSはウェット系材料であるので、蒸着により形成することはできない。その上に、赤色発光層53としてMEH-PPV(Poly(2−methoxy−5−(2−ethylhexyloxy)−1,4−phenylenevinylene)を窒素雰囲気中でスピンコート法によって30nmの厚さで成膜する。MEH-PPVもウェット系材料であるので、蒸着により形成することはできない。スピンコート法は空気中で行うことができるので、ドライ系材料を使用して蒸着法で成膜する方法と比較して簡単である。つぎに、赤色発光層53の上に、電子輸送層54としてPBD(ポリブタジエン)を厚さ30nm真空蒸着し、さらに、電子輸送層55としてAlq3(Tris[8−hydroxyquinolinato] aluminium)を厚さ20nm真空蒸着する。電子輸送層55の上に、電子注入層56としてBCP(2,9−dimethyl−4,7 −diphenyl −1,10−phenanthroline)とCsをモル比で1:1となるように共蒸着して厚さ10nmの膜を成膜する。最後に、透明陰極57としてIZO(酸化インジウム亜鉛)をスパッタリング法で200nm形成する。
正孔注入層52のPEDT−PSSにおけるPSSは、電子注入層56から注入された電子が、正孔輸送層55を突き抜けて正孔注入層52から透明陽極としてのITOガラス基板51へ通過することをブロックする電子ブロック層としての機能を有している。また、電子輸送層54および電子注入層56は、正孔注入層52から注入された正孔が、透明陰極57へ通過することをブロックする正孔ブロック層としての機能を有している。
【0011】
図3(b)は緑色TOLED20の一例を示す断面側面図である。透明導電性基板として市販のITOガラス基板61を使用し、その上に正孔注入層62としてm−MTDATA(4,4,4−tris[N,(3−methylphenyl)−N−phenylamino]−triphenylamine)を厚さ50nm真空蒸着し、その上に正孔輸送層63としてNPB(Bis[N−(1−naphthyl−N− phenyl) benzidine)を厚さ45nm真空蒸着する。正孔輸送層63の上に緑色発光層64としてAlq3(Tris[8−hydroxyquinolinato] aluminium)を厚さ60nm真空蒸着し、その上に電子注入層65としてBCPを厚さ25nm真空蒸着する。最後に、透明陰極66としてIZOをスパッタリング法で200nm形成する。
電子注入層65は、正孔注入層62から注入された正孔が透明陰極66へ通過することをブロックする正孔ブロック層としての機能を有している。
【0012】
図3(c)は青色TOLED30の一例を示す断面側面図である。透明導電性基板として市販のITOガラス基板71を使用し、その上に正孔注入層72としてPEDT−PSSをスピンコート法により厚さ30nm成膜する。正孔注入層72の上に青色発光層73としてNPBを厚さ40nm真空蒸着し、その上に、電子輸送層74としてBCPを厚さ20nm真空蒸着し、さらに、電子輸送層75としてAlq3を厚さ20nm真空蒸着する。電子輸送層75の上に電子注入層76としてBCPとCsをモル比で1:1となるように共蒸着して厚さ10nmの膜を成膜する。最後に、透明陰極77としてIZOをスパッタリング法で200nm形成する。
電子輸送層74および電子注入層76は、正孔注入層72から注入された正孔が透明陰極77へ通過することをブロックする正孔ブロック層としての機能を有している。
図3(a)の赤色TOLED10、図3(b)の緑色TOLED20および図3(c)の青色TOLED30の光透過スペクトル特性を図4に示す。図4から、可視光領域における赤色TOLED10の全光線透過率は65.4%、緑色TOLED20の全光線透過率は76.5%、青色TOLED30の全光線透過率は70.4%である。
【0013】
図5は、図3(a)の赤色TOLED10、図3(b)の緑色TOLED20および図3(c)の青色TOLED30の印加電圧に対する発光輝度特性を示す。赤色TOLED10の最大発光輝度は483Cd/m2、緑色TOLED20の最大発光輝度は707Cd/m2、青色TOLED30の最大発光輝度は296Cd/m2である。
図6は図3(a)の赤色TOLED10、図3(b)の緑色TOLED20および図3(c)の青色TOLED30の発光強度スペクトル特性である。赤色TOLED10の中心波長は574nm、緑色TOLED20の中心波長は532nm、青色TOLED30の中心波長は450nmのスペクトル特性が得られる。
図7は図3(a)の赤色TOLED10、図3(b)の緑色TOLED20および図3(c)の青色TOLED30を積層したカラー表示装置のCIE色相図である。赤の座標は(0.52,0.40)、緑の座標は(0.35,0.54)、青の座標は(0.15,0.12)である。赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30の光放射量を個々に制御することにより、種々の色を発光させることができる。
【0014】
図1に示した赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30をそれぞれ個別に作成し、これらの赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30を重ね合わせて積層した1画素相当のカラー表示装置1をマトリックス状に配列すれば平面状のカラー表示装置を作成することができる。
1画素相当のカラー表示装置1をマトリックス状に配列するには、赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30をそれぞれ平面状に形成して積層した後、赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの積層方向にエッチングなどにより切溝を形成して切断する。
このカラー表示装置は、赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30を積層せずにストライプ状に並置した構成と比較して高解像度化が可能であることが確認された。
【実施例2】
【0015】
実施例1においては、赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30の基板として市販のITOガラス基板51、61、71を使用したが、実施例2においては、市販のITOガラス基板51、61、71の代わりに、ガラスやプラスチックスなどの透明基板の上に透明陽極としてITOなどの透明導電材による薄膜を形成した基板を使用した。透明基板としては、可視光に対して透明でガラス基板またはプラスチック基板が使用できる。プラスチック基板としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアレート(PAr)、ポリカーボネート(PC)などが使用可能である。透明導電材としては、金属酸化物によるアモルファス透明導電体が好ましく、ITOの他、酸化錫(TO)、酸化インジウム(IO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化亜鉛ガリウム(GZO)、酸化インジウムタングステン(IWO)などが使用可能であり、これらを透明基板の上にスパッタ法またはイオンプレーティング法に成膜して構成する。その他の構成実施例1と同様である。
実施例2による赤色TOLED10、緑色TOLED20および青色TOLED30の各々の作用およびカラー表示装置の作用は実施例1と同様であるので説明を省略する。
本実施例によれば、透明導電性基板の硬さ、光透過率あるいは導電性が変えられるので、TOLEDの特性を調整することができる。
【実施例3】
【0016】
実施例3は、実施例1における赤色透明有機EL発光層12の構成を変形して新たな赤色TOLEDを、青色透明有機EL発光層32の構成を変形して新たな青色TOLEDを構成し、緑色TOLEDは実施例1と同一の緑色透明有機EL発光層22を使用した青色TOLED20で構成した実施例である。
図8(a)は実施例3における赤色TOLED80の一例を示す断面側面図である。市販のITOガラス基板81上に赤色発光層82としてPVK(PolyVinylCarbazole)、BND(2,5−Di(1-naphthil)−1,3,4−oxadiazole)、Rubrene(5,6,11,12−tetraphenyltetracene)およびDCJTB(4−(dicyanomethylene)−2−t−butyl−6(1, 1, 7, 7−tetramethyljulolidyl−9−enyl) −4H−pyran)を混合してスピンコート法によって成膜する。その上に、電子注入層83としてBCP(2,9−dimethyl−4,7 −diphenyl −1,10−phenanthroline)とCsをモル比で1:1となるように共蒸着して厚さ10nmの膜を成膜する。最後に、透明陰極84としてIZOをスパッタリング法で200nm形成する。
電子注入層83は、正孔が透明陰極84へ通過することをブロックする正孔ブロック層としての機能を有している。
図8(b)は実施例3における緑色TOLED90の一例を示す断面側面図である。緑色TOLED90は実施例1の緑色TOLED20と同一の構成であるので説明を省略する。
図8(c)は実施例3における青色TOLED100の一例を示す断面側面図である。
市販のITOガラス基板101上に正孔注入層102としてm−MTDATAを蒸着により厚さ50nm成膜する。正孔注入層102の上に青色発光層103としてNPBを厚さ40nm真空蒸着し、その上に、電子輸送層104としてBCPを厚さ20nm真空蒸着し、さらに、電子輸送層105としてAlq3を厚さ20nm真空蒸着する。電子輸送層105の上に電子注入層106としてBCPとCsをモル比で1:1となるように共蒸着して厚さ10nmの膜を成膜する。最後に、透明陰極107としてIZOをスパッタリング法で200nm形成する。この構成は、図3(c)で説明した実施例1における青色TOLED30の構成と比較して、実施例1の正孔注入層32のPEDT−PSSの代わりにドライ系の材料であるm−MTDATAを使用して蒸着した点が異なる。
電子輸送層104および電子注入層106は、正孔注入層102から注入された正孔が透明陰極107へ通過することをブロックする正孔ブロック層としての機能を有している。
【0017】
図9は実施例3における赤色TOLED80、緑色TOLED90および青色TOLED100の光透過スペクトル特性である。図9から、可視光領域における赤色TOLED80の全光線透過率は78.6%、緑色TOLED90の全光線透過率は76.5%、青色TOLED100の全光線透過率は79.3%に向上している。
図10は実施例3における赤色TOLED80、緑色TOLED90および青色TOLED100の印加電圧に対する発光輝度特性を示す。赤色TOLED80の最大発光輝度は142Cd/m2、緑色TOLED90の最大発光輝度は707Cd/m2、青色TOLED100の最大発光輝度は132Cd/m2である。
図11は実施例3における赤色TOLED80、緑色TOLED90および青色TOLED100の発光強度スペクトル特性である。赤色TOLED80の中心波長は607nmと色純度が向上している。緑色TOLED90の中心波長は532nm、青色TOLED100の中心波長は444nmのスペクトル特性が得られる。
図12は実施例3における赤色TOLED80、緑色TOLED90および青色TOLED100を積層したカラー表示装置のCIE色相図である。赤の座標は(0.60,0.39)、緑の座標は(0.35,0.54)、青の座標は(0.16,0.12)である。赤色TOLED80、緑色TOLED90および青色TOLED100の光放射量を個々に制御することにより、種々の色を発光させることができる。
実施例3における赤色TOLED80、緑色TOLED90および青色TOLED100をそれぞれ個別に作成し、これらの赤色TOLED80、緑色TOLED90および青色TOLED100をITOガラス基板91、101の屈折率に近い屈折率を有する透明接着剤により互いに接着して積層した1画素相当のカラー表示装置をマトリックス状に配列すれば平面状のカラー表示装置を作成することができる。このカラー表示装置は、赤色TOLED80、緑色TOLED90および青色TOLED100を積層せずにストライプ状に並置した構成と比較して高解像度化が可能であることが確認された。
【実施例4】
【0018】
実施例4は、実施例3の構成をさらに発展させて、赤色TOLEDは実施例3と同様な構成とし、青色TOLEDおよび青色TOLEDはそれぞれの透明有機EL発光層の層構成を少なくした実施例である。
図13(a)は実施例4における赤色TOLED110の一例を示す断面側面図である。赤色TOLED110は、ITO基板111、赤色発光層112、電子注入層113および透明陰極114から構成されている。赤色TOLED110は実施例3の赤色TOLED80と同一の構成であるので説明を省略する。電子注入層113は正孔ブロック層としての機能を有している。
図13(b)は実施例4における緑色TOLED120の一例を示す断面側面図である。市販のITOガラス基板121上に緑色発光層122としてPVK、BNDおよびクマリン6の混合物をスピンコートし、その上に、電子注入層123としてBCPとCsをモル比で1:1となるように共蒸着して厚さ10nmの膜を成膜する。最後に、透明陰極124としてIZOをスパッタリング法で200nm形成する。この構成は、赤色TOLED110における赤色発光層112のRubreneおよびDCJTBの代わりにクマリン6を使用した構成であり、その他の構成は赤色TOLED110と同様である。電子注入層123は正孔ブロック層としての機能を有している。
図13(c)は実施例4における青色TOLED130の一例を示す断面側面図である。市販のITOガラス基板131上に青色発光層132としてPVK、BNDおよびペリレンの混合物をスピンコートし、その上に、電子注入層133としてBCPとCsをモル比で1:1となるように共蒸着して厚さ10nmの膜を成膜する。最後に、透明陰極134としてIZOをスパッタリング法で200nm形成する。この構成は、赤色TOLED110における赤色発光層112のRubreneおよびDCJTBの代わりにペリレンを使用した構成であり、その他の構成は赤色TOLED110と同様である。電子注入層133は正孔ブロック層としての機能を有している。
【0019】
本実施例による赤色TOLED110、緑色TOLED120および青色TOLED130の光透過スペクトル特性、発光輝度特性、発光スペクトル特性およびCIE色相図は、図9から図12で説明した実施例3の各特性とほぼ同一であるので、説明を省略する。
実施例4における赤色TOLED110、緑色TOLED120および青色TOLED130をそれぞれ個別に作成し、これらの赤色TOLED110、緑色TOLED120および青色TOLED130をITOガラス基板121、131の屈折率に近い屈折率を有する透明接着剤により互いに接着して積層した1画素相当のカラー表示装置をマトリックス状に配列すれば平面状のカラー表示装置を作成することができる。このカラー表示装置は、赤色TOLED110、緑色TOLED120および青色TOLED130を積層せずにストライプ状に並置した構成と比較して高解像度化が可能であることが確認された。
【実施例5】
【0020】
実施例1から実施例4においては、TOLEDの陽極電極としてITO、陰極電極としてIZOの透明電極を使用した例について説明した。これらの実施例によれば、TOLEDの発光出力は陽極電極および陰極電極のいずれの側からも取り出すことができる。
ところで、TOLEDを駆動する場合、赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDを駆動するTFT回路が必要である。赤色TOLEDと、緑色TOLEDと、青色TOLEDとを、各々重ねて積層した1画素相当のカラー表示装置をマトリックス状に配列した平面状のカラー表示装置においては、構造を小型で簡単にするために、TFT回路を1画素相当のカラー表示装置にあらかじめ組み込んでおくことが好ましい。
【0021】
図14は実施例5における1画素相当のカラー表示装置の断面側面図である。本実施例においては、陽極電極側に赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDを駆動するTFT回路を形成する。ところがTFT回路は不透明であるので、TFT回路を陽極電極側に形成すると、陽極電極側の開口が小さくなるので陽極電極側からの発光輝度が小さくなる。そこで、本実施例においては、TOLEDの発光の取り出しをTFT回路が形成されていない陰極側に限定したトップエミッション構造としている。
カラー表示装置140は、ガラスやプラスチックスなどの基板141上に赤色TOLEDのTFT回路142、緑色TOLEDのTFT回路143および青色TOLEDのTFT回路144を形成し、その上に赤色TOLED150として陽極電極151、赤色透明有機EL発光層152および透明陰極153を形成する。陽極電極151は必ずしも透明である必要はなく、むしろ光を反射する金属などの反射電極であることが好ましい。
一方、これとは別体で、透明支持体161上に陽極電極としての透明導電体162と、緑色透明有機EL発光層163および透明陰極164とを形成した緑色TOLED160、および、透明支持体171上に陽極電極としての透明導電体172と、青色透明有機EL発光層173および透明陰極電極174とを形成した青色TOLED170を用意する。透明導電体162および透明導電体172は、ITOなどの金属酸化物によるアモルファス透明導電体が好ましい。ITOとしては市販のITOガラスを使用することができる。なお、アモルファス透明導電体としては、ITO、酸化錫(TO)、酸化インジウム(IO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化亜鉛ガリウム(GZO)、酸化インジウムタングステン(IWO)などの材料を透明基板の上にスパッタ法またはイオンプレーティング法に成膜して構成するようにしてもよい。
赤色TOLED150、緑色TOLED160および青色TOLED170の具体的な構成は、実施例1から実施例4のそれぞれの組み合わせの中から選択される。
【0022】
つぎに、基板141上に赤色TOLEDのTFT回路142、緑色TOLEDのTFT回路143および青色TOLEDのTFT回路144、および赤色TOLED150を形成した積層体の上に、緑色TOLED160を重ね、さらに緑色TOLED160の上に青色TOLED170を重ねて積層する。このとき、積層部における屈折段差を補償するために必要に応じてシリコンオイルなどの透明導電性基板に近い屈折率を有する材料を介して積層する。最後に、赤色TOLEDのTFT回路142、緑色TOLEDのTFT回路143および青色TOLEDのTFT回路144をそれぞれ赤色TOLED150、緑色TOLED160および青色TOLED170に接続する。
赤色TOLED150のTFT回路142、緑色TOLED160のTFT回路143および青色TOLED170のTFT回路144は、FETで構成されているときはソース、ゲートおよびドレインから、バイポーラトランジスタで構成されているときはエミッタ、コレクタおよびベースから制御信号線が取り出されている。図14においては、TFT回路142、143、144をスイッチと見なし、スイッチをオン/オフする制御信号線であるゲート線またはベース線を省略して図示している。
赤色TOLED150のTFT回路142におけるエミッタは、直流電源146を介して赤色TOLED150の透明陰極153に接続され、コレクタは赤色TOLED150の陽極電極151に接続されている。緑色TOLED160のTFT回路143におけるエミッタは、直流電源147を介して緑色TOLED160の透明陰極164に接続され、コレクタは緑色TOLED160の透明導電体162に接続されている。同様に、青色TOLED170のTFT回路144におけるエミッタは、直流電源148を介して青色TOLED170の透明陰極電極174に接続され、コレクタは青色TOLED170の透明導電体172に接続されている。このように、赤色TOLED150、緑色TOLED160および青色TOLED170はそれぞれ別々の電源で個々に駆動され、互いに独立して発光する。
赤色TOLED150、緑色TOLED160および青色TOLED170による発光は積層方向に放射される。青色TOLED170の透明陰極電極174側は全面が開口しているので青色TOLED170の透明陰極電極174側に向かった放射光は開口からそのまま放射される。一方、赤色TOLED150の陽極電極151側には赤色TOLEDのTFT回路142、緑色TOLEDのTFT回路143および青色TOLEDのTFT回路144が形成されているので、陽極電極151が透明導電体であっても開口は小さい。したがって、陽極電極151を光反射体で形成して、赤色TOLED150の陽極電極151側に向かった放射光を陽極電極151で反射させて青色TOLED170の透明陰極電極174側に向けて、青色TOLED170の透明陰極電極174側に向かった放射光に重畳させる。
この結果、カラー表示装置150はいわゆるトップエミッション型の高輝度カラー表示装置を実現することができる。
【実施例6】
【0023】
図15は実施例6における1画素相当のカラー表示装置の断面側面図である。本実施例は、図14で説明した実施例5の構成において、赤色TOLED150の透明陰極153、緑色TOLED160の透明支持体161と透明陰極164、および、青色TOLED170の透明支持体171を省略した構成である。
実施例5においては、赤色TOLED150、緑色TOLED160および青色TOLED170として実施例1から実施例4のそれぞれの組み合わせの中から選択してそれぞれを重ね合わせて構成した。したがって、赤色TOLED150と緑色TOLED160の重ね合わせ部で赤色TOLED150の透明陰極153と緑色TOLED160の透明導電体162により透明電極が二重構造になっている。同様に、緑色TOLED160と青色TOLED170の重ね合わせ部で緑色TOLED160の透明陰極164と青色TOLED170の透明導電体172により透明電極が二重構造になっている。そこで、本実施例においては、赤色TOLED150の透明陰極153、緑色TOLED160の透明支持体161と透明陰極164を省略し、さらに、青色TOLED170の透明支持体171を省略して、赤色TOLED150の透明陰極153と緑色TOLED160の透明導電体162を共通の透明導電体162で構成し、緑色TOLED160の透明陰極164と青色TOLED170の透明導電体172を共通の透明導電体172で構成して、赤色TOLED150の赤色透明有機EL発光層152上に緑色TOLED160の透明導電体162を重ね合わせ、緑色TOLED160の緑色透明有機EL発光層163上に青色TOLED170の透明導電体172を重ね合わせる。
赤色TOLED150のTFT回路142におけるエミッタと緑色TOLED160のTFT回路143におけるコレクタは、共通接続されて直流電源146を介して透明導電体162に接続される。また、緑色TOLED160のTFT回路143におけるエミッタと青色TOLED170のコレクタは、共通接続されて直流電源147を介して透明導電体172に接続される。その他の構成および動作は図14と同一であるので説明を省略する。
【0024】
以上のように、本発明によれば、赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDをそれぞれ個別に作成し、これらの赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDを重ね合わせて構成しているので、高い歩留まりでカラー表示装置を製造することができる。
また、製造工程において、ドライプロセス以外にスピンコート法やスプレー法などのウエットプロセスを混在させて製造することができるので、TOLEDとしての材料をドライ系やウェット系の区別無く広い範囲で選択して使用することができる。
また、TOLEDを駆動するTFT回路を赤色TOLED10の陽極電極側に配置することにより、トップエミッションによる開口率の大きいカラー表示装置を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のカラー表示装置およびその製造方法は、薄型テレビ、パソコン用ディスプレイ、携帯電話やPDA、デジタルカメラなどの携帯用機器のディスプレイ、カーナビゲーション用などの車載機器のディスプレイ、ヘッドアップディスプレイなどの種々のフラット状ディスプレイに適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のカラー表示装置の基本構成を示す概念的斜視図
【図2】本発明のカラー表示装置におけるTOLEDの基本的な層構成の一例を示す断面側面図
【図3】本発明の実施例1にける赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの具体的な構成を示す断面側面図で、(a)は赤色TOLED、(b)は緑色TOLED、(c)は青色TOLED
【図4】本発明の実施例1にける赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの光透過スペクトル特性図
【図5】本発明の実施例1における赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの印加電圧に対する発光輝度特性図
【図6】本発明の実施例1における赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの発光強度スペクトル特性図
【図7】本発明の実施例1における赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDを積層したカラー表示装置のCIE色相図
【図8】本発明の実施例3にける赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの具体的な構成を示す断面側面図で、(a)は赤色TOLED、(b)は緑色TOLED、(c)は青色TOLED
【図9】本発明の実施例1にける赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの光透過スペクトル特性図
【図10】本発明の実施例1における赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの印加電圧に対する発光輝度特性図
【図11】本発明の実施例1における赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの発光強度スペクトル特性図
【図12】本発明の実施例3にける赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの具体的な構成を示す断面側面図で、(a)は赤色TOLED、(b)は緑色TOLED、(c)は青色TOLED
【図13】本発明の実施例4にける赤色TOLED、緑色TOLEDおよび青色TOLEDの具体的な構成を示す断面側面図で、(a)は赤色TOLED、(b)は緑色TOLED、(c)は青色TOLED
【図14】本発明の実施例5におけるカラー表示装置の断面側面図
【図15】本発明の実施例6におけるカラー表示装置の断面側面図
【符号の説明】
【0027】
1 カラー表示装置
10 赤色TOLED
11、21、31 透明導電性基板
12 赤色透明有機EL発光層
13 透明電極
20 緑色TOLED
22 緑色透明有機EL発光層
30 青色TOLED
32 青色透明有機EL発光層
41 透明導電性基板
42 正孔注入層
43 正孔輸送層
44 発光層
45 電子輸送層
46 電子注入層
47 透明電極
51 ITOガラス基板
52 正孔注入層
53 赤色発光層
54 電子輸送層
55 電子輸送層
56 電子注入層
57 透明陰極
61 ITOガラス基板
62 正孔注入層
63 正孔輸送層
64 緑色発光層
65 電子注入層
66 透明陰極
71 ITOガラス基板
72 正孔注入層
73 青色発光層
74、76 電子注入層
75 電子輸送層
77 透明陰極
80 赤色TOLED
81 ITOガラス基板
82 赤色発光層
83 電子注入層
84 透明陰極
90 緑色TOLED
100 青色TOLED
101 ITOガラス基板
102 正孔注入層
103 青色発光層
104、105 電子輸送層
106 電子注入層
107 透明陰極
110 赤色TOLED
111 ITO基板
112 赤色発光層
113 電子注入層
114 透明陰極
120 緑色TOLED
121 ITOガラス基板
122 緑色発光層
123 電子注入層
124 透明陰極
130 青色TOLED
131 ITOガラス基板
132 青色発光層
133 電子注入層
134 透明陰極
140 カラー表示装置
141 基板
142 赤色TOLEDのTFT回路
143 緑色TOLEDのTFT回路
144 青色TOLEDのTFT回路
146、147、148 直流電源
150 赤色TOLED
151 陽極電極
152 赤色透明有機EL発光層
153 透明陰極
160 緑色TOLED
161 透明支持体
162 透明導電体
163 緑色透明有機EL発光層
164 透明陰極
170 青色TOLED
171 透明支持体
172 透明導電体
173 青色透明有機EL発光層
174 透明陰極電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明導電性基板上に赤色透明有機EL発光層を形成し、その上に透明電極を形成した赤色TOLEDと、透明導電性基板上に緑色透明有機EL発光層とを形成し、その上に透明電極を形成した緑色TOLEDと、透明導電性基板上に青色透明有機EL発光層とを形成し、その上に透明電極を形成した青色TOLEDとを、各々重ねて積層したことを特徴とするカラー表示装置。
【請求項2】
赤色、緑色および青色の透明有機EL発光層は、それぞれ、有機物からなる発光層と、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つとによる積層体であることを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置。
【請求項3】
前記透明導電性基板は、透明導電体が付与されたガラスであることを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置。
【請求項4】
前記透明導電性基板が透明基板上に透明導電膜を形成したものであることを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置。
【請求項5】
前記赤色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPEDT−PSS層と、前記PEDT−PSS層上にスピンコートされたMEH-PPV層と、前記MEH-PPV層上に真空蒸着されたPBD層と、前記PBD層上に真空蒸着されたAlq3層と、前記Alq3層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP:Cs層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記緑色TOLEDが前記ITOガラス基板上に真空蒸着されたm−MTDATA層と、前記m−MTDATA層上に真空蒸着されたNPB層と、前記NPB層上に真空蒸着されたAlq3層と、前記Alq3層上に真空蒸着されたBCP層と、前記BCP層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記青色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPEDT−PSS層と、前記PEDT−PSS層上に真空蒸着されたNPB層と、前記NPB上に真空蒸着されたBCP層と、前記BCP層上に真空蒸着されたAlq3層と、前記Alq3層上に真空蒸着されたBCP層と、前記BCP層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成されたことを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置。
【請求項6】
前記赤色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BND、RubreneおよびDCJTBの混合層と、前記混合層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP:Cs層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記緑色TOLEDが前記ITOガラス基板上に真空蒸着されたm−MTDATA層と、前記m−MTDATA層上に真空蒸着されたNPB層と、前記NPB層上に真空蒸着されたAlq3層と、前記Alq3層上に真空蒸着されたBCP層と、前記BCP層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記青色TOLEDが前記ITOガラス基板上に真空蒸着されたm−MTDATA層と、前記m−MTDATA層上に真空蒸着されたNPB層と、前記NPB上に真空蒸着されたBCP層と、前記BCP層上に真空蒸着されたAlq3層と、前記Alq3層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成されたことを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置。
【請求項7】
前記赤色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BND、RubreneおよびDCJTBの混合層と、前記混合層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP:Cs層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記緑色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BNDおよびクマリン6の混合層と、前記混合層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP:Cs層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成され、前記青色TOLEDが前記ITOガラス基板上にスピンコートされたPVK、BNDおよびペリレンの混合層と、前記混合層上に共蒸着して成膜されたBCP:Cs層と、前記BCP:Cs層上にスパッタリングにより形成された透明陰極とから構成されたことを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置。
【請求項8】
基板上に赤色TOLEDを駆動するTFT回路、緑色TOLEDを駆動するTFT回路および青色TOLEDを駆動するTFT回路とを形成し、その上に前記赤色TOLED、前記緑色TOLEDおよび前記青色TOLEDを順次積層したことを特徴とするカラー表示装置。
【請求項9】
前記赤色TOLEDの陽極電極が反射体であることを特徴とする請求項8に記載のカラー表示装置。
【請求項10】
前記赤色TOLEDの前記陰極電極と前記緑色TOLEDの陽極電極、および、前記緑色TOLEDの陰極電極と前記青色TOLEDの陽極電極をそれぞれ共通の透明電極で構成したことを特徴とする請求項8に記載のカラー表示装置。
【請求項11】
透明導電性基板上に赤色透明有機EL発光層を形成し、その上に透明電極を形成した赤色TOLEDと、透明導電性基板上に緑色透明有機EL発光層とを形成し、その上に透明電極を形成した緑色TOLEDと、透明導電性基板上に青色透明有機EL発光層とを形成し、その上に透明電極を形成した青色TOLEDとを、前記透明導電性基板の屈折率に近い屈折率を有する透明接着剤により接着して積層したことを特徴とするカラー表示装置。
【請求項12】
透明導電性基板上に赤色透明有機EL発光層を形成し、その上に透明電極を形成して赤色TOLEDを製造する工程と、透明導電性基板上に緑色透明有機EL発光層を形成し、その上に透明電極を形成して緑色TOLEDを製造する工程と、透明導電性基板上に青色透明有機EL発光層を形成し、その上に透明電極を形成して青色TOLEDを製造する工程と、前記赤色TOLED、前記緑色TOLEDおよび前記青色TOLEDとを積層する工程を有することを特徴とするカラー表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記赤色TOLED、前記緑色TOLEDおよび前記青色TOLEDの積層時に、透明導電性基板に近い屈折率を有する材料を介して積層することを特徴とする請求項12に記載のカラー表示装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12に記載のカラー表示装置の製造方法において、平面状のカラー表示装置を製造した後、前記赤色TOLED、前記緑色TOLEDおよび前記青色TOLEDの積層方向に切溝を形成して切断し、切断した前記赤色TOLED、前記緑色TOLEDおよび前記青色TOLEDの個々の積層体をマトリクス状に配列したことを特徴とするカラー表示装置の製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図1】
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【図7】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−157487(P2007−157487A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350521(P2005−350521)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年10月19日〜21日 神奈川県産業技術総合研究所 神奈川県工業技術研究機関連絡会 神奈川県産業技術交流協会主催の「平成17年度 神奈川県産学公交流研究発表会」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年12月1日 社団法人照明学会発行の「照明学会誌 第89巻 第12号」に発表
【出願人】(597040902)学校法人東京工芸大学 (28)
【出願人】(397009093)株式会社マツボー (3)
【Fターム(参考)】