説明

カラー電気光学ディスプレイ

【課題】カラー電気光学ディスプレイの提供。
【解決手段】電気光学材料の層(12)、接着層または保護層の一つの表面上に複数の着色された領域(22R、22G、22B)をインクジェットプリントすることによって、電気光学ディスプレイ内にカラーフィルターアレイが提供される。代替案として、上記インクジェットプリントすることは、電気光学ディスプレイを生産するために使われる多様なサブアセンブリー内の同一の層上で行われ得る。本発明は、また、その上にカラーフィルターアレイ(22R、22G、22B)を有する電気光学材料の層(12)を調製する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、
(a)米国特許出願公開第2007/0109219号と、
(b)米国特許第6,982,178号と、
(c)米国特許第7,236,292号と、
(d)米国特許出願公開第2004/0155857号と、
(e)米国特許第7,110,164号と、
(f)米国特許第6,864,875号と、
(g)米国特許第7,075,502号と
に関する。
【0002】
本発明は、カラー電気光学ディスプレイと、カラー電気光学ディスプレイの製造のためのプロセスに関する。本発明は、そのようなディスプレイおよびプロセスに関し、該ディスプレイは、電気光学媒体を含み、該電気光学媒体は、内部液体充填空間または内部気体充填空間を有し得る、そしてしばしば有しているが、上記電気光学媒体が固体の外部表面を有するという意味において固体であり(そのようなディスプレイが、以下では便宜のために「固体電気光学ディスプレイ」といい得る)、そして、本発明は、そのような電気光学媒体を用いるディスプレイを構成するための方法に関している。したがって、「固体電気光学ディスプレイ」という用語は、以下で議論されるカプセル化された(encapusulated)電気泳動ディスプレイおよび他のタイプのディスプレイを含む。
【背景技術】
【0003】
電気光学ディスプレイに関する背景となる用語体系および現在の技術水準は、上記特許および出願において詳細に論じられており、さらなる情報を求める読者は、該特許および出願を参照する必要がある。したがって、この用語体系および現在の技術水準は、以下で簡潔に要約される。
【0004】
材料またはディスプレイに適用される場合、「固体電気光学ディスプレイ」という用語は、本明細書において、画像化の分野におけるその従来の意味で使われ、少なくとも一つの光学的特性において異なる第一のディスプレイ状態と第二のディスプレイ状態とを有する材料をいい、該材料は、該材料に対する電界の印加によって第一のディスプレイ状態から第二のディスプレイ状態へ変えられる。
【0005】
「双安定な」および「双安定性」という用語は、本明細書において、当該分野におけるそれらの従来の意味で使われ、少なくとも一つの光学的特性において異なる第一のディスプレイ状態と第二のディスプレイ状態とを有するディスプレイ素子を含むディスプレイをいい、有限の持続時間のアドレッシングパルスによって、任意の所定の素子が駆動された後に、第一のディスプレイ状態または第二のディスプレイ状態のいずれかとなり、該アドレッシングパルスが終了すると、その状態は、上記ディスプレイ素子の状態を変えるために必要な該アドレッシングパルスの最小の持続時間の少なくとも数倍、例えば少なくとも4倍続く、という意味で用いられる。
【0006】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが公知であり、例えば、
(a)回転する二色部材ディスプレイ(例えば、特許文献1〜9を参照)
(b)エレクトロクロミックディスプレイ(electrochromic display)(例えば、非特許文献1〜3、および特許文献10〜12を参照)
(c)エレクトロウエッティングディスプレイ(electro−wetting display)(非特許文献4および特許文献13を参照)
(d)粒子ベースの電気泳動ディスプレイであり、該ディスプレイにおいては、複数の帯電粒子が電界の影響下にある流体を通過する、電気泳動ディスプレイ(特許文献14〜23、および米国特許出願公開第2002/0060321号、同第2002/0090980号、同第2003/0011560号、同第2003/0102858号、同第2003/0151702号、同第2003/0222315号、同第2004/0014265号、同第2004/0075634号、同第2004/0094422号、同第2004/0105036号、同第2005/0062714号、および2005/0270261号、ならびに国際公開第WO00/38000号、同第WO00/36560号、同第WO00/67110号、および同第WO01/07961号、ならびに欧州特許第1,099,207B1号、および同第1,145,072B1号、ならびに上記米国特許第7,012,600号で議論された他のMITおよびE Inkの特許および出願を参照)
である。
【0007】
電気泳動媒体のいくつかの異なる変形がある。電気泳動媒体は、液体または気体の流体を用い得、気体の流体については、例えば、Kitamura,T.他,“Electric toner movement for electronic paper−like display”,IDW Japan,2001,Paper HCS1−1、およびYamaguchi,Y.他,“Toner display using insulative particles charged triboelectrically”IDW Japan,2001,Paper AMD4−4、米国特許出願公開第2005/0001810号、欧州特許出願第1,462,847号、同第号1,482,354号、同第1,484,635号、同第1,500,971号、同第1,501,194号、同第1,536,271号、同第1,542,067号、同第1,577,702号、同第1,577,703号、および同第1,598,694号、ならびに国際出願第WO2004/090626号、同第WO2004/079442号、および同第WO2004/001498号を参照されたい。上記媒体は、カプセルに包まれ得、該媒体は多くの小さなカプセルを含み、各カプセル自体は、液体の懸濁媒体(suspending medium)中に浮遊している電子泳動的に移動する粒子を含む内部相と、該内部相を囲むカプセル壁とを含む。典型的には、該カプセルはそれら自体、ポリマー結合剤内で保持され、二つの電極の間に位置するコヒーレント層を形成する(上記のMITおよびE Inkの特許および出願を参照されたい)。代替案として、カプセル化された電気泳動媒体内の個別のマイクロカプセルを囲む上記壁は、連続相によって置き換えられ得、こうすることでいわゆるポリマー分散電気泳動ディスプレイを生成し、該ディスプレイにおいて、電気泳動媒体は電気泳動流体の複数の個別の液滴とポリマー材料の連続相とを含む(例えば、米国特許第6,866,760号を参照されたい)。本出願の目的のため、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種として見なされている。別の変形は、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」であり、該ディスプレイにおいて、上記帯電粒子および上記流体は、担体媒体、典型的には、ポリマー膜内に作られた複数の空胴内に保たれる(例えば、米国特許第6,672,921号および同6,788,449号を参照されたい)。
【0008】
電気泳動媒体は、「シャッターモード」で動作し得、該モードにおいて、一つのディスプレイの状態は実質的に不透明であり、一つのディスプレイの状態は光透過性である。例えば、米国特許第6,130,774号および同6,172,798号、ならびに米国特許第5,872,552号、同第6,144,361号、同第6,271,823号、同第6,225,971号、および同第6,184,856を参照されたい。誘電泳動(dielectrophoretic)ディスプレイは、類似したモードで動作し得、米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイもまた、シャッターモードで動作することが可能であり得る。
【0009】
他のタイプの電気光学媒体、例えばカプセル化された液晶媒体もまた、本発明の方法において用いられ得る。
【0010】
一つの電気泳動ディスプレイは、通常は電気泳動材料の層と該電気泳動材料の対向する側に配置された少なくとも二つの他の層とを含み、これら二層の一層は電極層である。ほとんどのそのようなディスプレイにおいて、該二層の両方ともが電極層であり、該電極層の一層または両方の層が、該ディスプレイのピクセルを規定するようにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長い行の電極層の中にパターン化され得、もう一方の電極層は、該行の電極層に対して直角に走る細長い列の電極にパターン化され得、該ピクセルは、該行の電極と該列の電極との交差部分によって規定される。代替案として、そしてより一般的に、一方の電極層が単一の連続した電極の形式を有し、他方の電極層がピクセル電極のマトリックスにパターン化され、ピクセル電極の各々が上記ディスプレイの一つのピクセルを規定する。別のタイプの電極ディスプレイでは、ディスプレイから離れているスタイラス、プリントヘッドまたは類似の可動電極を使用することが意図され、電気泳動層に隣接する層の一つのみが一つの電極を含み、該電気泳動層に対向する側の層は、典型的には、該可動電極が該電気泳動層を損傷することを防ぐように意図された保護層である。
【0011】
電気光学ディスプレイを形成するために必要な多様な層の積層のためのほとんどの先行技術の方法は、本質的にバッチ方法であり、該方法では電気光学媒体、該積層接着剤およびバックプレーンは、最終組み立ての直前に一緒にされるのみであり、大量生産により適した方法を提供することが望ましい。
【0012】
上記米国特許第6,982,178号は、(粒子ベースの電気泳動ディスプレイを含む)固体電気光学ディスプレイを構成する方法を説明し、該固体電気光学ディスプレイは、大量生産によく適している。本質的に、この特許は、いわゆる「フロントプレーン積層物(front plane laminate)(「FPL」)」を説明し、FPLは、光透過性電導層と、該電導層と電気的に接触する固体電気光学媒体層と、接着層と、リリースシート(release sheet)とを、この順で含む。典型的には、該光透過性電導層は、光透過性基板上に保持され、該光透過性基板は、該基板が、永続的な変形を受けずに直径(例えば)10インチ(254mm)のドラムの周りに手動で包まれ得るという意味で、柔軟であることが好ましい。「光透過性」という用語は、本発明および本明細書において、上記に示された層が、その層を透して見ている観察者が該電気光学媒体のディスプレイの状態の変化を観察し得るように、十分な光を透過することを意味するように用いられ、該変化は、通常、電導層および隣接する基板(仮に存在する場合)を通して見られる。該基板は、典型的にはポリマー膜であり、通常、約1ミルから25ミル(25μmから634μm)の範囲、好ましくは約2ミルから10ミル(51μmから254μm)の厚さを有する。上記電導層は、便宜的に、例えば、アルミニウムまたはITOの薄い金属層であるか、あるいは電導ポリマーであり得る。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)膜は、例えば、デラウェア州ウィルミングトンのE.I. du Pont de Nemours & Companyの「アルミニウム化Mylar」(「Mylar」は登録商標)として市販され、そのような市販の材料は、フロントプレーン積層物において良好な結果とともに用いられ得る。
【0013】
そのようなフロントプレーン積層物を用いる電気光学ディスプレイの構成は、上記リリースシートを該フロントプレーン積層物から取り除くことと、接着層をバックプレーンに接着させるのに有効な条件の下でバックプレーンに該接着層を接触させることと、それによって、該接着層、電気光学媒体層および電導層をバックプレーンに固定することとによって、達成され得る。このプロセスは、フロントプレーン積層物が典型的にはロールごとのコーティング技術を用いて大量生産され得、次いで特定のバックプレーンとの使用のために必要とされる任意の大きさの小片にカットされ得るので、大量生産に非常に適している。
【0014】
上記の米国特許出願公開第2004/0155857号は、いわゆる「二重のリリースシート(double release sheet)」を説明し、該二重のリリースシートは、本質的に上記の米国特許第6,982,178号のフロントプレーン積層物の単純にしたバージョンである。該二重のリリースシートの一つの形式は、二つの接着層にはさまれた固体電気光学媒体層を含み、該接着層の一つの層または両方の層はリリースシートによって覆われている。該二重のリリースシートの別の形式は、二つのリリースシートにはさまれた固体電気光学媒体層を含む。二重のリリース膜の両方の形式とも、すでに説明されたフロントプレーン積層物から電気光学ディスプレイを構成するためのプロセスに概して類似しているが、二つの別個の積層を含むプロセスにおいて使用されるように意図されており、これら二つの層は、典型的には、第一の積層において上記二重のリリースシートが前面の電極に積層されて前面サブアセンブリーを形成し、次いで、第二の積層において該前面サブアセンブリーはバックプレーンに積層されて最終的なディスプレイを形成するが、必要に応じてこれら二つの積層の順序は逆になり得る。
【0015】
上記の米国特許出願公開第2007/0109219号は、いわゆる「逆(inverted)フロントプレーン積層物」を説明し、該逆フロントプレーン積層物は、上記の米国特許第6,982,178号で説明されたフロントプレーン積層物の変形である。この逆フロントプレーン積層物は、光透過性保護層と光透過性電導層とのうちの少なくとも一つと、接着層と、固体電気光学媒体層と、リリースシートとを、この順で含む。この逆フロントプレーン積層物は、電気光学層と前面電極または前面基板との間の積層接着剤の層を有する電気光学ディスプレイを形成するために用いられ、第二の、典型的には接着剤の薄い層は、電気光学層とバックプレーンとの間にあったり、なかったりする。そのような電気光学ディスプレイは、良好な解像度と良好な低温性能とを組み合わせ得る。
【0016】
ほとんどのタイプの電気光学媒体は、例えば、暗い(黒の)状態、明るい(白の)状態、および場合によっては、一つ以上の中間の灰色の状態など、限られた数の光学的状態のみを有する。したがって、そのような媒体を使ってフルカラーのディスプレイを構築するために、例えば、複数の赤、緑および青の領域を有するカラーフィルターの隣に電気光学媒体を置くことと、各赤、緑および青の領域の隣の該媒体の独立した制御を可能にする電気光学媒体の駆動配置を提供することとが、一般的なやり方である。電気泳動ディスプレイを備えたカラーフィルターの特定の用途は、上記の米国特許第6,864,875号で説明されている。上記の米国特許出願公開第2003/0011560号は、電気泳動ディスプレイのいくつかのコンポーネントの任意の一つのコンポーネントに光学バイアス素子を組み込むことによって、電気泳動ディスプレイの光学特性を修正するための方法を説明している。
【0017】
電気光学ディスプレイにカラーフィルターアレイを提供するための最適な方法を選ぶことは、最初に想像し得るよりも複雑であり、いくつかのしばしば相いれない切実な問題を含む。カラーフィルターアレイと電気光学層との間の任意の有意な間隔は、視差をもたらし得、該視差は、次いで、該ディスプレイが軸から離れて(すなわち、画面と垂直でない方向で)見られる場合に、見られる色を歪め得るので、できるだけ該カラーフィルターアレイを該電気光学層の近くに保持することが望ましい。しかしながら、該ディスプレイ内の選ばれた位置に該カラーフィルターアレイを組み込むことの容易さを考慮することも必要であり、例えば、予め形成されたカラーフィルターアレイをディスプレイの画面上に接着させることは比較的容易であるが、該ディスプレイの二つの内部層の間にカラーフィルターアレイを置くことは実質的により困難であり得る。加えて、該カラーフィルターアレイの着色された領域は、例えば、電気光学媒体が白い光学的状態にある場合、赤を示すべきピクセルが赤と青の混合を示さない、したがって画像の意図された色を重大に歪めないことを確かにするように、該ディスプレイのバックプレーン上のピクセル電極と整列させる必要がある。この点において、薄いフロントプレーン積層物(逆フロントプレーン積層物を含む)および二重のリリース膜は、積層の間に大きさをわずかに変える傾向があり、大きさの小さな変更でさえも結果として生まれるディスプレイの電気光学的性能に深刻な影響を与え得ることが、留意されるべきである。例えば、バックプレーンが1行につき500個のピクセルを有し、ピクセルと整列して正確に間隔を置かれたカラーフィルターアレイを提供されたフロントプレーン積層物が積層の間に大きさを0.1%変える場合、該フロントプレーン積層物が該行の一方の端において正確にピクセルと整列する場合、もう一方の端において一つのピクセルの半分だけずれて並べられ、該行のこのもう一方の端におけるカラー画像の深刻な劣化を伴う。最後に、生産されるディスプレイのタイプを考慮する必要があり、多くのタイプのカラーフィルターアレイ、例えばカラスをベースにしたアレイは、柔軟なディスプレイに組み込むには硬すぎる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5,808,783号明細書
【特許文献2】米国特許第5,777,782号明細書
【特許文献3】米国特許第5,760,761号明細書
【特許文献4】米国特許第6,054,071号明細書
【特許文献5】米国特許第6,055,091号明細書
【特許文献6】米国特許第6,097,531号明細書
【特許文献7】米国特許第6,128,124号明細書
【特許文献8】米国特許第6,137,467号明細書
【特許文献9】米国特許第6,147,791号明細書
【特許文献10】米国特許第6,301,038号明細書
【特許文献11】米国特許第6,870,657号明細書
【特許文献12】米国特許第6,950,220号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2005/0151709号明細書
【特許文献14】米国特許第5,930,026号明細書
【特許文献15】米国特許第5,961,804号明細書
【特許文献16】米国特許第6,017,584号明細書
【特許文献17】米国特許第6,067,185号明細書
【特許文献18】米国特許第6,118,426号明細書
【特許文献19】米国特許第6,120,588号明細書
【特許文献20】米国特許第6,120,839号明細書
【特許文献21】米国特許第6,124,851号明細書
【特許文献22】米国特許第6,130,773号明細書
【特許文献23】米国特許第6,130,774号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】O’Regan,B.他,Nature,1991,353,737
【非特許文献2】Wood,D.,Information Display,18(3),24(2002年3月)
【非特許文献3】Bach,U.他,Adv.Mater.,2002,14(11),845
【非特許文献4】Heyes,R.A.他,“Video−Speed Electronic Paper Based on Electrowetting”,Nature,425,383−385(2003年9月25日)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
ここで、有用なカラーフィルターアレイが、着色された領域を電気光学ディスプレイの様々な表面に、あるいはそのようなディスプレイを生産するために使われるフロントプレーン積層物、逆フロントプレーン積層物または二重のリリース膜の対応する表面に、インクジェットプリントすることによって生産され得ることが発見されており、本発明は、このプロセスおよびその製品に関する。
【0021】
一局面において、本発明は、その上にカラーフィルターアレイを有する電気光学材料の層を調製するために、一つの(第一の)プロセスを提供し、該プロセスは、該電気光学材料の層の一つの表面に複数の着色された領域をインクジェットプリントすることを含む。
【0022】
本発明のこの第一の局面は、以下では便宜のために、本発明の「電気光学層プリンティング」または「EOLP」プロセスと呼ばれ得る。典型的には、このプロセスは、2色、3色または4色を有するフルカラーフィルターアレイをプリントするために使われるが、必要に応じてより多くの色が使われ得る。したがって、典型的なEOLPプロセスにおいて、複数の第一の着色された領域および複数の第二の着色された領域が、上記電気光学材料の層の表面にプリントされ、第一の着色された領域と第二の着色された領域とは異なる色である。
【0023】
上記EOLPプロセスは、上記で論じられた任意のタイプの電気光学材料とともに用いられ得る。したがって、例えば、該EOLPプロセスにおいては、該電気光学材料は、回転する二色部材材料またはマイクロセル電気泳動材料を含み得る。代替案として、該電気光学材料は、結合剤の中に複数のカプセルを含むカプセル化された電気泳動材料、または、ポリマー分散電気泳動材料を含む、ポリマー分散電気泳動材料の中に、複数のカプセルを含み得る。上記使われるインクは、放射(radiation)硬化性であり得、該インクがプリントされた後で、該インクは、該インクを硬化する効果がある放射にさらされる。代替案として、該使われるインクは溶剤ベースであり得、すなわち有機溶剤中の顔料粒子を含み得る。
【0024】
上記EOLPプロセスは、上記電気光学材料の層が少なくとも一つのピクセル電極を含むバックプレーン上に配置される間に、実行され得る。該EOLPプロセスは、該電気光学材料の層の上記一つの表面上に接着層を積層する追加的なステップを含み得る。
【0025】
別の局面において、本発明は、その一つの表面にプリントされた複数の着色された領域を有する電気光学材料の層を提供する。本発明のこの局面は、以下では便宜のために、本発明の「プリントされた電気光学層」または「PEOL」の局面と呼ばれ得る。典型的には、該プリントされた層は、2色、3色または4色を有するフルカラーフィルターアレイの形式であるが、必要に応じてより多くの色が使われ得る。したがって、典型的なPEOLは、その表面上にプリントされた複数の第一の着色された領域および複数の第二の着色された領域を有し、第一の着色された領域と第二の着色された領域とは色が異なっている。
【0026】
PEOLは、上記で論じられた任意のタイプの電気光学材料を用い得る。従って、例えば、PEOLにおいて、該電気光学材料は、回転する二色部材材料またはマイクロセル電気泳動材料を含み得る。代替案として、該電気光学材料は、結合剤の中に複数のカプセルを含むカプセル化された電気泳動材料、または、ポリマー分散電気泳動材料を含み得る。
【0027】
本発明は、少なくとも一つのピクセル電極を含むバックプレーン上に配置されたプリントされた電気光学層に、そして電気光学材料の層のプリントされた表面上に積層された接着層を有するPEOLに、わたる。
【0028】
本発明はまた、本発明のプリントされた電気光学層を組み込むフロントプレーン積層物、二重のリリース膜および逆フロントプレーン積層物にわたる。したがって、本発明は、製造の物品(フロントプレーン積層物)を提供し、該物品は、光透過性電導層と、電導層との電気接点における固体電気光学媒体層と、接着層と、リリースシートとを、この順で含み、該固体電気光学媒体層は、本発明のPEOLである。本発明はまた、製造の物品(二重のリリース膜)を提供し、該物品は、互いに対向する側に第一の表面および第二の表面を有する固体電気光学媒体層と、固体電気光学媒体層の第一の表面上の第一の接着層と、固体電気光学媒体層から第一の接着層の反対側に配置されたリリースシートと、固体電気光学媒体層の第二の表面上の第二の接着層とを含み、該固体電気光学媒体層は、本発明のPEOLである。本発明はまた、製造の物品(二重のリリースシート)を提供し、該物品は、第一の表面とその対向する側に第二の表面とを有する固体電気光学媒体層と、該固体電気光学媒体層の該第一の表面を覆う第一のリリースシートと、固体電気光学媒体層の第二の表面を覆う第二のリリースシートとを含み、該固体電気光学媒体層は、本発明のPEOLである。最後に、本発明は、製造の物品(逆フロントプレーン積層物)を提供し、該物品は、リリースシートと、固体電気光学媒体層と、接着層と、光透過性保護層と光透過性電導層とのうちの少なくとも一つを、この順で含み、該固体電気光学媒体層は、本発明のPEOLである。
【0029】
本発明の別の主要な局面は、接着層、望ましくは、すでに電気光学層に関連づけられた接着層の着色された領域のプリンティングに関する。したがって、本発明は、カラー電気光学ディスプレイを形成するために有用なサブアセンブリーを調製するためのプロセスを提供し、該プロセスは、電気光学材料の層と露出された表面を有する接着層とを含むサブアセンブリーを提供することと、該接着層の露出された表面上に複数の着色された領域をインクジェットプリントすることとを含む。
【0030】
本発明のこの局面は、以下では便宜のために、本発明の「接着層プリンティング」または「ALP」局面と呼ばれ得る。典型的には、このプロセスは、2色、3色または4色を有するフルカラーフィルターアレイをプリントするために使われるが、必要に応じてより多くの色が使われ得る。したがって、典型的なALPプロセスにおいては、複数の第一の着色された領域および複数の第二の着色された領域は、電気光学材料の層の表面にプリントされ、第一の着色された領域および第二の着色された領域は、異なる色である。
【0031】
上記ALPプロセスは、上記で論じられた任意のタイプの電気光学材料とともに使われ得る。したがって、例えば、該ALPプロセスにおいては、該電気光学材料は、回転する二色部材材料またはマイクロセル電気泳動材料を含み得る。代替案として、該電気光学材料は、結合剤の中に複数のカプセルを含むカプセル化された電気泳動材料、または、ポリマー分散電気泳動材料を含み得る。使われるインクは、放射硬化性であり得、該インクがプリントされた後で、該インクを硬化する効果がある放射にさらされる。代替案として、該使われるインクは溶剤ベースであり得、すなわち有機溶剤中の顔料粒子を含み得る。
【0032】
上記ALPプロセスは、少なくとも一つのピクセル電極を含むバックプレーン上に配置された電気光学材料の層とともに、該バックプレーンから該電気光学材料の層の反対側に配置されている接着層とともに実行され得る。
【0033】
本発明は、上記ALPプロセスによって製造された層のような、カラープリントされた接着層にわたる。したがって、本発明は、電気光学ディスプレイを形成するために有用なサブアセンブリーにわたり、該サブアセンブリーは、電気光学材料の層と接着層とを含み、該接着層は、その一つの表面にプリントされた複数の着色された領域を有する。
【0034】
本発明のこの局面は、以下では便宜のために、本発明の「プリントされた接着層サブアセンブリー」または「PALSA」局面と呼ばれ得る。典型的には、該プリントされた接着層は、2色、3色または4色を有するフルカラーフィルターアレイの形式であるが、必要に応じてより多くの色が使われ得る。したがって、典型的な「PALSA」は、その表面にプリントされた複数の第一の着色された領域および複数の第二の着色された領域を有し、第一の着色された領域と第二の着色された領域とは、異なる色である。該複数の着色された領域は、電気光学材料の層から離れた接着層の表面上、または電気光学材料の層に隣接する接着層の表面上にプリントされ得る。
【0035】
PALSAは、上記で論じられた任意のタイプの電気光学材料を使い得る。したがって、例えば、PALSAにおいては、該電気光学材料は、回転する二色部材材料またはマイクロセル電気泳動材料を含み得る。代替案として、該電気光学材料は、結合剤の中に複数のカプセルを含むカプセル化された電気泳動材料、または、ポリマー分散電気泳動材料を含み得る。
【0036】
本発明は、少なくとも一つのピクセル電極を含むバックプレーン上に配置されたPALSAにわたり、そして上記複数の着色された領域を有する上記接着層から離れた電気光学材料の層の表面に積層された第二の接着層を有するPALSAにわたる。
【0037】
PALSAは、フロントプレーン積層物、二重のリリース膜または逆フロントプレーン積層物の一部を形成し得る。したがって、本発明は、製造の物品(フロントプレーン積層物)を提供し、該物品は、光透過性電導層と、該電導層と電気的に接触する固体電気光学媒体層と、接着層と、リリースシートとを、この順で含み、該固体電気光学媒体層および該接着層は、本発明のPALSAを形成する。本発明はまた、製造の物品(二重のリリース膜)を提供し、該物品は、互いに対向する側に第一の表面および第二の表面を有する固体電気光学媒体層と、固体電気光学媒体層の第一の表面上の第一の接着層と、該固体電気光学媒体層とは第一の接着層の反対側に配置されたリリースシートと、該固体電気光学媒体層の第二の表面上の第二の接着層とを含み、該接着層の一層はその上にプリントされた複数の着色された領域を有する。最後に、本発明は、製造の物品(逆フロントプレーン積層物)を提供し、該物品は、リリースシートと、固体電気光学媒体層と、接着層と、光透過性保護層または光透過性電導層のうちの少なくとも一つとを、この順で含み、該固体電気光学媒体層および該接着層は、本発明のPALSAを形成する。
【0038】
本発明の第三の主要な局面は、電気光学ディスプレイの上記保護層(しばしば「前面基板」ともいわれる)に着色された領域をプリントすることと、該ディスプレイを形成するために用いられるサブアセンブリーとに関する。したがって、本発明は、カラー電気光学ディスプレイ(または、後で該ディスプレイを形成するために用いられ得るサブアセンブリー)を調製するためのプロセスを提供し、該プロセスは、電気光学材料の層と、露出された表面を有する保護層とを含む膜を提供することと、該保護層の該露出された表面に複数の着色された領域をインクジェットプリントすることとを含む。
【0039】
本発明のこの局面は、以下では便宜のために、本発明の「保護層プリンティング」または「PLP」局面と呼ばれ得る。典型的には、このプロセスは、2色、3色または4色を有するフルカラーフィルターアレイをプリントするために使われるが、必要に応じてより多くの色が使われ得る。したがって、典型的なPLPプロセスにおいては、複数の第一の着色された領域および複数の第二の着色された領域が、上記電気光学材料の層の表面にプリントされ、第一の着色された領域と第二の着色された領域とは異なる色である。このPLPプロセスにおいては、該膜は、上記保護層と上記電気光学材料の層との間に配置された光透過性電導層をさらに含み得る。また、PLPプロセスにおいては、インクをプリントするより前に、該保護層の露出された表面が、保護シートへのインクの付着を強めるためのインク受容媒体でコーティングされ得る。
【0040】
上記PLPプロセスは、上記で論じられた任意のタイプの電気光学材料とともに用いられ得る。したがって、例えば、該PLPプロセスにおいては、上記電気光学材料は、回転する二色部材材料またはマイクロセル電気泳動材料を含み得る。代替案として、該電気光学材料は、結合剤の中に複数のカプセルを含むカプセル化された電気泳動材料、または、ポリマー分散電気泳動材料を含み得る。上記インクは、放射硬化性であり得、該インクがプリントされた後で、該インクを硬化する効果がある放射にさらされる。代替案として、該使われるインクは、溶剤ベースであり得、すなわち有機溶剤中に顔料粒子を含み得る。
【0041】
上記PLPプロセスは、少なくとも一つのピクセル電極を含むバックプレーン上に配置された電気光学材料の層とともに、バックプレーンとは電気光学材料の層の反対側に配置されている保護層とともに、実行され得る。
【0042】
本発明はまた、カラー電気光学ディスプレイを形成する際に使用するための膜を提供し、該膜は、電気光学材料の層と、露出された表面を有する保護層とを含み、該保護層は、その露出された表面上にプリントされた複数の着色された領域を有する。
【0043】
本発明のこの局面は、以下では便宜のために、本発明の「プリントされた保護膜」または「PPF」局面と呼ばれ得る。典型的には、上記プリントされた保護膜は、2色、3色または4色を有するフルカラーフィルターアレイの形式であるが、必要に応じてより多くの色が使われ得る。したがって、典型的なPPFは、その表面上に複数の第一の着色された領域および複数の第二の着色された領域を有し、第一の着色された領域と第二の着色された領域とは色が異なっている。
【0044】
PPFは、上記で論じられた任意のタイプの電気光学材料を使い得る。したがって、例えば、PPFにおいては、該電気光学材料は、回転する二色部材材料またはマイクロセル電気泳動材料を含み得る。代替案として、該電気光学材料は、結合剤の中に複数のカプセルを含むカプセル化された電気泳動材料、または、ポリマー分散電気泳動材料を含み得る。本発明は、少なくとも一つのピクセル電極を含むバックプレーン上に配置されたPPFと、製造の物品(逆フロントプレーン積層物)とにわたり、該物品は、リリースシートと、固体電気光学媒体層と、接着層と、光透過性保護層とを、この順で含み、該保護層は、該接着層から離れたその表面上にプリントされた複数の着色された領域を有する。
【0045】
本発明の第四の主要な局面は、ディスプレイ上の着色された領域を、このようなディスプレイのバックプレーン上のピクセル電極とそろえられた位置に提供する方法に関する。電気光学ディスプレイ上にプリントされた着色された領域を提供するためのこのような一つのプロセスは、複数のピクセル電極を支えるバックプレーンおよび該バックプレーン上に配置された電気光学材料の層を含むディスプレイであって、該ディスプレイは、該バックプレーンから離れた露出された表面を有する、ディスプレイを提供することと、ピクセル電極に電圧を印加し、それによって電気光学材料の層に画像を形成することと、画像を検出することと、該露出された表面上の着色された領域を該検出された画像と位置をそろえてインクジェットプリントすることとを含む。
【0046】
本発明のこの局面は、以下では便宜のために、本発明の「位置をそろえられたインクジェットプリンティング」または「RIJP」局面と呼ばれ得る。このプロセスにおいて、該着色された領域は、電気光学材料の層の上、または電気光学材料の層に重ねられたオーバーレイヤー(over−layer)の上に、プリントされ得る。このオーバーレイヤーは、接着層、光透過性電極または保護層であり得る。
【0047】
最後に、本発明は、電気光学ディスプレイ上にカラーフィルターアレイを配置するプロセスを提供し、該プロセスは、カラーフィルターアレイを提供することと、複数のピクセル電極を支えるバックプレーンおよび該バックプレーン上に配置された電気光学材料の層を含むディスプレイであって、該ディスプレイは、該バックプレーンから離れた露出された表面を有する、ディスプレイを提供することと、ピクセル電極に電圧を印加し、それによって電気光学材料の層に画像を形成することとと、画像を検出すること、該露出された表面上のカラーフィルターアレイを該検出された画像と位置をそろえて固定することとを含む。本発明のこの局面は、以下では便宜のために、本発明の「位置をそろえられたカラーフィルターアレイの配置」または「RCFAP」局面と呼ばれ得る。
【0048】
本発明において、プリンティングが電気光学材料上で行われ、該電気光学材料が回転する二色部材材料またはマイクロセル電気泳動材料であるか、あるいはPLPプロセスにある場合には、プリンティングはポリマーの表面で行われ、該ポリマーの表面にプリントすることは、インクジェット分野の技術の範囲内にある。インクジェットプリンティングにおける当業者は、多様な材料(例えば、ゼラチン、ポリ(ビニルアルコール)およびポリビニルピリジンのような親水性ポリマー、または透明な細孔層)について認識し、該多様な材料はポリマー表面に塗布されて、インクジェットインクの付着を強めるか、またはプリント解像度特性、耐久性特性、および/または色密度特性を改善する。上記使われる電気光学材料はまた、(通常はポリマー結合剤において)複数のカプセルを含むタイプか、ポリマー分散タイプかのいずれかの、カプセル化された電気泳動材料であり得る。かなり驚くべきことに、そのようなカプセル層は、インクジェットインクをよく受容することと、少なくともいくつかの従来のインクジェット着色料は、上記電気光学材料の電気光学性能を実質的に干渉しないこととが発見されている。したがって、赤/緑/青、赤/緑/青/白またはシアン/マゼンタ/イエローのカラーフィルターアレイは、上記電気光学材料上に高解像度で急速かつ都合よく堆積され得る。含まれたカラーフィルターアレイによって、結果として生じる修正された電気光学層は、次いで、上記の特許および出願において説明された任意の方法で電気光学ディスプレイに組み込まれ得、該任意の方法は、上記で述べられたフロントプレーン積層物、逆フロントプレーン積層物、および二重のリリース膜を用いるプロセスを含む。同様に、電気光学ディスプレイにおいて用いられる多くの積層接着剤は、類似の方法で良好な結果とともにインクジェットプリントされ得ることが発見された。電気光学材料と積層接着剤との両方について、該電気光学材料および積層接着剤の上にプリントされたインクジェット画像の特性を改善するために、上記で論じられたような材料を用いて表面を前処理することが望ましくあり得る。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
その上にカラーフィルターアレイ(22R、22G、22B)を有する電気光学材料の層(12)を調製する方法であって、該方法は、該電気光学材料の層(12)の一つの表面に複数の着色された領域をインクジェットプリントすることを含む、方法。
(項目2)
複数の第一の着色された領域(22R)および複数の第二の着色された領域(22G)は、前記電気光学材料の層(12)の前記一つの表面にプリントされ、該第一の着色された領域(22R)と該第二の着色された領域(22G)とは異なる色である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記電気光学材料は、回転する二色部材材料またはマイクロセル電気泳動材料を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記電気光学材料は、結合剤の中に複数のカプセルを含むカプセル化された電気泳動材料、または、ポリマー分散電気泳動材料を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
使用されるインクは、放射硬化性であり、該インクは、プリントされた後で、該インクを硬化させる効果がある放射にさらされる、項目1に記載の方法。
(項目6)
使用されるインクは、有機溶剤中に顔料粒子を含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記電気光学材料の層(12)は、少なくとも一つのピクセル電極を含むバックプレーン(20)上に配置される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記電気光学材料の層(12)の前記一つの表面に接着層(28)を積層することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
その一つの表面にプリントされた複数の着色された領域(22R、22G、22B)を有する、電気光学材料の層(12)。
(項目10)
前記一つの表面にプリントされた複数の第一の着色された領域(22R)および複数の第二の着色された領域(22G)を有する電気光学材料の層であって、該第一の着色された領域(22R)と該第二の着色された領域(22G)とは異なる色である、項目9に記載の電気光学材料の層。
(項目11)
前記電気光学材料は、回転する二色部材材料またはマイクロセル電気泳動材料を含む、項目9に記載の電気光学材料の層。
(項目12)
前記電気光学材料は、結合剤の中に複数のカプセルを含むカプセル化された電気泳動材料、または、ポリマー分散電気泳動材料を含む、項目9に記載の電気光学材料の層。
(項目13)
少なくとも一つのピクセル電極を含むバックプレーン(20)上に配置されている、項目9に記載の電気光学材料の層。
(項目14)
前記電気光学材料の層(12)の前記一つの表面に積層された接着層(28)を有する、項目9に記載の電気光学材料の層。
(項目15)
電気光学ディスプレイを形成する際に使用される膜であって、該膜は、光透過性電導層と、該電導層と電気的に接触する固体電気光学媒体の層と、接着層と、リリースシートとをこの順で含み、該固体電気光学媒体の層は、項目9に記載の層である、膜。
(項目16)
電気光学ディスプレイを形成する際に使用される膜であって、該膜は、互いに対向する面上に第一および第二の表面を有する固体電気光学媒体の層と、該固体電気光学媒体の層の該第一の表面上の第一の接着層と、該固体電気光学媒体の層とは反対側にある該第一の接着層の面上に配置されたリリースシートと、該固体電気光学媒体の層の該第二の表面上の第二の接着層とを含み、該固体電気光学媒体の層は、項目9に記載の層である、膜。
(項目17)
電気光学ディスプレイを形成する際に使用される膜であって、該膜は、互いに対向する面上に第一および第二の表面を有する固体電気光学媒体の層と、該固体電気光学媒体の層の該第一の表面を覆う第一のリリースシートと、該固体電気光学媒体の層の該第二の表面を覆う第二のリリースシートとを含み、該固体電気光学媒体の層は、項目9に記載の層である、膜。
(項目18)
電気光学ディスプレイを形成する際に使用される膜であって、該膜は、リリースシートと、固体電気光学媒体の層と、接着層と、光透過性保護層および光透過性電導層のうちの少なくとも一方とをこの順で含み、該固体電気光学媒体の層は、項目9に記載の層である、膜。
(項目19)
カラー電気光学ディスプレイを形成する際に有用なサブアセンブリーを調製する方法であって、該方法は、電気光学材料の層と露出された表面を有する接着層とを含むサブアセンブリーを提供することと、該接着層の露出された表面に複数の着色された領域をインクジェットプリントすることとを含む、方法。
(項目20)
カラー電気光学ディスプレイを形成する際に有用なサブアセンブリーであって、該サブアセンブリーは、電気光学材料の層と、接着層とを含み、該接着層は、その一つの表面にプリントされた複数の着色された領域を有する、サブアセンブリー。
(項目21)
カラー電気光学ディスプレイを調製する方法であって、該方法は、電気光学材料の層と露出された表面を有する保護層とを含む膜を提供することと、該保護層の該露出された表面に複数の着色された領域をインクジェットプリントすることとを含む、方法。
(項目22)
カラー電気光学ディスプレイを形成する際に使用される膜であって、該膜は、電気光学材料の層と、露出された表面を有する保護層とを含み、該保護層は、その露出された表面にプリントされた複数の着色された領域を有する、膜。
(項目23)
電気光学ディスプレイ上にプリントされた複数の着色された領域を提供する方法であって、該方法は、
複数のピクセル電極を有するバックプレーンと該バックプレーン上に配置された電気光学材料の層とを含むディスプレイを提供することであって、該ディスプレイは、該バックプレーンから離れた露出された表面を有する、ことと、
該複数のピクセル電極に電圧を印加することにより、該電気光学材料の層上に画像を形成することと、
該画像を検出することと、
該検出された画像と位置をそろえて、該露出された表面上に該複数の着色された領域をインクジェットプリントすることと
を含む、方法。
(項目24)
電気光学ディスプレイ上にカラーフィルターアレイを配置する方法であって、該方法は、
カラーフィルターアレイを提供することと、
複数のピクセル電極を有するバックプレーンと該バックプレーン上に配置された電気光学材料の層とを含むディスプレイを提供することであって、該ディスプレイは、該バックプレーンから離れた露出された表面を有する、ことと、
該複数のピクセル電極に電圧を印加することにより、該電気光学材料の層上に画像を形成することと、
該画像を検出することと、
該検出された画像と位置をそろえて、該露出された表面上に該カラーフィルターアレイを固定することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、二重のリリース膜から始まる本発明の好ましい電気光学層プリンティングプロセスにおける、多様な段階を示す概略の立面図である。
【図2】図2は、二重のリリース膜から始まる本発明の好ましい電気光学層プリンティングプロセスにおける、多様な段階を示す概略の立面図である。
【図3】図3は、二重のリリース膜から始まる本発明の好ましい電気光学層プリンティングプロセスにおける、多様な段階を示す概略の立面図である。
【図4】図4は、二重のリリース膜から始まる本発明の好ましい電気光学層プリンティングプロセスにおける、多様な段階を示す概略の立面図である。
【図5】図5は、以下の実施例2において説明された本発明の好ましい保護層プリンティングプロセスにおいて使われたカラーサブピクセルのアレイを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0050】
すでに述べられたように、本発明の多様な局面が、インクジェットプリンティング(可能性としては、いわゆる「固体インクジェットプリンティング」を含み、そのインクは、表面上で乾燥するのではなくプリントされる表面との接触の際に凝固する)を使用して、電気光学ディスプレイを形成するために使われる電気光学材料、積層接着剤または保護層の表面上に、着色された領域、そして典型的にはカラーフィルターアレイを形成する。以下では、本発明は、主に3個または4個のカラーフィルターアレイの形成に対する参照とともに説明されるが、本発明は、1色または2色のみを含む、より単純なプロセスに、そして4色を超える色を含むプロセスに、わたることが留意されるべきである。
【0051】
原則として、他のカラープリンティング方法が、インクジェットプリンティングの代わりに用いられ得るが、インクジェットプリンティングは、プリントされる層と実際に接触する着色料ドナー媒体(donor medium)はないという利点を有する。そのような接触は、深刻な問題につながり得、例えば、本発明の電気光学層プリンティングプロセスの修正において染料昇華(染料拡散熱転写)プリンターを用いる試みは、該電気光学層の染料ドナーシートへの溶接をもたらした。
【0052】
上記の説明から、本発明は、カラーフィルターアレイを形成するための多くの異なるプロセスを提供し、採用される特定のプロセスの選択は、多くの場合、電気光学ディスプレイの正確な構造、その中の多様な層の厚さ、および該ディスプレイの多様な層を構成するために用いられるプロセスによって、支配されることが理解される。典型的には(例えば、上記米国特許第6,982,178号の図10および上記米国特許出願公開第2007/0109219号の図3を参照)、電気光学ディスプレイは、
(a)(オプションとして)障壁および他の補助的な保護層
(b)保護層/前面基板
(c)前面電極層(実際、(b)層および(c)層は、しばしばポリ(エチレンテレフタレート)/インジウム酸化スズのような市販の二層膜から形成されるため、電気光学ディスプレイの製造者にとって、これら二層の間に何かを挿入することは不可能である)
(d)(オプションとして)前面接着層
(e)電気光学材料の層
(f)背面接着層
(g)ピクセル電極を支えるバックプレーン
を含む(これら二つの図に示されているように、画面からバックプレーンへ、上から下に読む)。
【0053】
電気光学材料はしばしば不透明であるため、カラーフィルターアレイは、通常、電気光学層(e)とディスプレイの画面との間になければならない。さらには、たいていは、視差の問題を避けるために、該カラーフィルターアレイを該電気光学層のできるだけ近くに保持しておくことが望まれる。したがって、一般的に、該カラーフィルターアレイ(CFA)を(a)層の外部表面に置くことは望ましくなく、その理由は、該電気光学層からの大きな間隔と、CFAへの機械的損傷との両方である。このことは、該CFAが配置され得る場所に、三つのインターフェース、すなわちインターフェースa/b、インターフェースc/dおよびインターフェースd/eが見込まれることである。さらには、各インターフェースに対して、上記CFAは、上記二つの隣接する層のいずれか一つへのプリンティングによって作られ得る。しかしながら、バックプレーンとすでに位置をそろえられたCFAをプリントすることが望まれる場合、プリンティングが生じるときにその層がすでに該バックプレーンに付着されている場合には、該バックプレーンのより近い層にプリントすることが有利である。
【0054】
上記CFAがインターフェースa/bにプリントされる場合、該CFAは電極の間にないのに対して、該CFAがインターフェースc/dまたはインターフェースd/eにプリントされる場合、該CFAは上記ディスプレイの間にあり、使われるインクの要求される特性は、二つの場合で異なっていることが、留意されるべきである。該CFAが電極の間にある場合、誘電率は高すぎないことが重要であり、さもなければキックバックが起こり得る。(「キックバック」または「自己消去(Self−erasing)」は、いくつかの電気光学ディスプレイ(例えば、Ota,I.,他,“Developments in Electrophoretic Displays”,Proceedings
of the SID,18,243(1977)を参照)において観察された現象であり、自己消去は、カプセル化されていない電気泳動ディスプレイにおいて報告された)、それによって、該ディスプレイにわたって印加された電圧がなくなる場合には、電気光学媒体は、その光学的状態を、いくつかの場合には逆電圧を、少なくとも部分的に逆転し、該逆電圧は動作電圧より大きくあり得、該電気光学媒体は、該電極にわたって生じることが観察され得る。逆に、上記CFAが電極の間にある場合、上記インクの電導率は高すぎないことが重要であり、さもなければ焦点ぼけが生じ得る(「焦点ぼけ」は、それによって、ピクセル電極における電圧の変化に応じて光学的状態を変える電気光学層の面積が、該ピクセル電極自体より大きい現象である。)。湿潤剤、非水溶媒、および界面活性剤が、市販のインクジェットインクにおいて一般的に利用され、これらの材料は、例えば、上記電気光学層の電導率を変えることによって、電気光学材料の電気光学特性を干渉することが見込まれ得、したがって、ディスプレイ電極の間にある場合、予期されていない挙動を引き起こし得る。また、本発明のすべてのプロセスにおいて、インクにおける着色料は、乾燥している場合、透明であるべきであり、その結果、染料または非常に小さい粒子の着色されたインクのいずれかが使われるべきである。透明な着色されたインクは、本プロセスにおいてきわめて望ましい。なぜならば、そのようなインクは、電気光学層の中に認識可能なほどに浸透せず、該電気光学層が電気泳動層である場合、この電気泳動層の内部相(電気泳動粒子および囲んでいる流体)と不都合な相互作用を起こし得ないからである。放射硬化性(典型的には、紫外線硬化の)インクは、(有機)溶剤ベースの顔料インクがそうであるように、本プロセスにおける使用に非常に適していることが発見された。該顔料インクは非常に少量のポリマー結合剤を使って作られ得るため、乾燥されたインク層は、厚さがきわめて薄く、電気光学材料の性能に与える影響がきわめて小さい。上記の考慮に従って、任意の公知のタイプのインクジェットプリンターが使われ得る。明らかに、非常に高い解像度のためには、良い位置決めおよび均一なインク堆積が重要である。
【0055】
さらには、すでに述べられたように、CFAを形成するためにどの層が本発明のプロセスによってインクジェットプリントされるかの選択は、上記ディスプレイを形成するために使われる「構成方法」(すなわち、多様な層が組み立てられて該ディスプレイを形成する順序)によって、大いに影響を受ける。ここで三つの共通の構成方法が論じられるが、電気光学ディスプレイ技術における当業者には、他の方法が容易に明らかである。
【0056】
(構成方法A)
上記の米国特許第6,982,178号において説明されたように、電気光学ディスプレイ、および特にカプセル化されたディスプレイまたはポリマー分散電気泳動ディスプレイを生産するために一般的に使われる一つの方法が、PET/ITO膜に電気泳動媒体をコーティングすることから始まる。別に、積層接着剤がリリースシートにコーティングされる。該積層接着剤/リリースシートサブアセンブリーは、次いで、電気泳動層に積層されて、典型的にはロールごとのベースで、フロントプレーン積層物を形成する。該フロントプレーン積層物は、次いで、個々のディスプレイのために必要な大きさにカットされ、上記リリースシートは取り除かれ、残りの層は、バックプレーン、典型的には薄膜トランジスター(TFT)アクティブなマトリックスバックプレーンに積層される。このプロセスにおいて、上記電気泳動材料層である上記(e)層は、介在する前面接着層(d)なしに、直接、前面基板/前面電極層に重ねられるため、インクジェットプリンティングのために利用可能な唯一の表面は、前面基板である(b)層の露出された表面である、すなわち、本発明のPLP方法が使われる必要がある。フロントプレーン積層物がバックプレーンに積層された後で、この表面にインクジェットプリントされることは、本質的に、フルに機能するアクティブなマトリックスディスプレイへのプリンティングである。したがって、該ディスプレイは、上記CFAにプリントされる前に、基準パターンに対して画像化され得、これによって本発明のRIJPプロセスを利用し、バックプレーンにおけるピクセル電極にカラーフィルターアレイの位置をそろえることを容易にする。
【0057】
(構成方法B)
電気光学ディスプレイを生産するための他のより一般的でない方法は、インクジェットプリンティングによってカラーフィルターアレイを導入するためのより多くのオプションを提供する。一つのそのような方法は、電気光学材料をバックプレーンに直接コーティングし、別に積層接着剤をPET/ITOの前面基板にコーティングして、もたらされる二つのサブアセンブリーを一緒に積層することである。この方法は、最後の積層のステップより前に、電気光学層に直接CFAのインクジェットプリンティングを可能にする。本発明のそのようなEOLPプロセスは、CFAが該電気光学層と互いに接し、したがって該電気光学層とできるだけ近くにあり、そのことによって、一つのCFAサブピクセルを通って入り、異なるサブピクセルを通って出ていく光に起因する任意の生じ得る光伝送性の問題または視差の問題を排除する、という利点を有する。しかしながら、上記CFAは、二つの電極の間におかれ、電気光学層と接触しているため、このアプローチは、インクジェットインクの選択を制限する。該アプローチはまた、電気光学材料をバックプレーンに直接コーティングすることを必要とし、このことは、上記構成方法Aにおいて、可能性としてはロールごとのプロセスでなく、典型的にバッチプロセスである。
【0058】
上の段落で説明された二重のリリースシートを使う構成方法の変形は、電気光学材料のロールごとのコーティングを可能にする。この変形において、該電気光学材料は、使い捨て可能な第一のリリースシートにコーティングされる。別に、積層接着剤が第二のリリースシートにコーティングされ、該積層接着剤は、該電気光学材料に積層されて、第一のリリースシート/電気光学材料/積層接着剤/第二のリリースシートという構造を有する二重のリリースシートを形成する。該第二のリリースシートは、次いで、取り除かれ、残りの層はバックプレーンに積層される。該第一のリリースシートは、次いで、取り除かれ得、PET/ITOの前面基板/前面電極は、上記電気光学材料に積層されて、オプションの前面接着層を有する最終的なディスプレイを形成する。上記の米国特許出願公開第2007/0109219号で論じられたように、この方法はまた、特異なリリースシートの慎重な使用を必要とし、第一のリリースシートを乱すことなしに二重のリリース膜から第二のリリースシートが剥離されることを可能にする。
【0059】
(構成方法C)
すでに示されているように、本発明の好ましいALPプロセスは、電気光学層に重なる積層接着剤層へのインクジェットプリンティングを生じさせ、該電気光学層自体はすでにバックプレーン上に位置している。この(典型的には)もろいバックプレーンが積層される回数を最小化する、上記の積層接着剤/電気光学層/バックプレーンという中間構造を形成するための好ましい方法は、以下の通りである。第一のリリースシート/電気光学材料/積層接着剤/第二のリリースシートという構造は、上記の構成方法Bで説明されたように形成される。しかしながら、この場合、第二の積層接着層は、第三のリリースシートにコーティングされ、該第一のリリースシートは、取り除かれ、上記電気光学層は、該第二の積層接着層に積層されて、二重のリリース膜を形成する。該リリースシートの一つは、この二重のリリース膜から取り除かれ、残りの層は、バックプレーンに積層される。この方法はまた、特異なリリースシートの慎重な使用を必要とする。
【0060】
本発明のEOLPプロセスの一つの好ましい形式は、以下のステップ:
(a)カプセル化された電気泳動材料またはポリマー分散電気泳動材料の層が、少なくとも一つのピクセル電極を含むバックプレーンにコーティングされるステップ、
(b)カラーフィルターアレイが、インクジェットプリンターを使って電気泳動材料層に直接プリントされるステップ、
(c)該電気泳動材料層、該カラーフィルターアレイおよび上記バックプレーンが、オーブンで乾燥されて、インクジェットインクの揮発性成分を取り除くステップ、そして
(d)その上に該乾燥されたカラーフィルターアレイを有する該電気泳動材料層が、積層接着剤を介して積層されて、前面基板を作り、該前面基板は、最終的なディスプレイに対して光透過性前面電極および(通常)保護層を提供し、該保護層は、この前面電極への機械的な保護を、オプションとして、任意の所望された隔壁または放射吸収層を支持し、提供するステップを含む。このステップは、従来は、リリースシートに該積層接着剤の層をコーティングすることと、該積層接着層を乾燥することと、該乾燥された層を上記電気泳動材料層に積層することと、上記リリースシートを剥離することと、そして、次いで、該積層接着剤のこの露出された表面を上記前面基板に積層することとによって、達成される。
【0061】
ポリマー分散電気泳動媒体を含む、カプセル化された電気泳動媒体が、リリースシートの表面のような円滑な表面上にコーティングされる場合には、結果として生じる電気泳動媒体層は、その表面がコーティングされる表面に面する円滑な表面と、その反対側の粗い表面とを有し、この表面の粗さは、該媒体が乾燥または硬化されるときの収縮によってもたらされ、そして、その結果として、周りの表面からのカプセルの突出または液滴を有することが、カプセル化された電気泳動媒体技術の分野における当業者には、周知である。上記で説明された本発明の好ましいプロセスは、上記電気泳動媒体の粗い表面上にカラーフィルターアレイを置く。該カラーフィルターアレイを該電気泳動媒体の円滑な側に形成すること(このことは、少なくともいくつかの場合には、該カラーフィルターアレイのより精密なプリンティングをもたらし得る)が望まれる場合には、該電気泳動媒体は、リリース層にコーティングされ得、積層接着剤によってバックプレーンに積層され得る。(このことは、上記の米国特許第7,110,164号で説明された方法で、従来は行われ、該方法は、上記電気泳動媒体を第一のリリースシートにコーティングすることと、上記積層接着剤を第二のリリースシートにコーティングすることと、二つの結果として生じる構造物を該電気泳動媒体に接触する該積層接着剤とともに積層することと、その後で第二のリリースシートを該積層接着剤から剥離することとによって、行われる。もちろん、二つのリリースシートは、この剥離が該第一のリリースシートを乱すことなく達成され得るように、選ばれる。)この積層の後で、該第一のリリースシートは、上記電気泳動媒体から取り除かれ、上記カラーフィルターアレイは、このように露出された該電気泳動媒体の円滑な側にプリントされる。このプロセスの残りのステップは、本質的に変わらない。
【0062】
本発明の第二の好ましいEOLPプロセスは、添付の図面において図示され、アクティブなマトリックスディスプレイの生産に容易に適用され得る。これらの図面は、厳密には縮尺が合わされず、特に、多様な層の厚さは、層の横方向の寸法に対して大きく誇張されている。このプロセスは、上記の米国特許第7,110,164号で説明されたように、電気泳動媒体12を第一のリリースシート14にコーティングすることと、積層接着剤のできるだけ薄い層16を第二のリリースシート18にコーティングすることと、結果として生じる二つの構造物を電気泳動媒体12と接触する積層接着剤16とともに積層することとによって始まり、図1に示された構造物を形成する。その後、第二のリリースシート18が、積層接着剤16から剥離され、残りの層12、層14および層16が、基準のマーク(図示されていない)を付けられたアクティブなマトリックスバックプレーン20に積層されて、図2に示された構造物を形成する。この積層の間、高精度で位置をそろえることは必要とされない。
【0063】
上記第一のリリースシート14は、次いで、上記電気泳動媒体12から剥離され、この媒体の円滑な表面を露出させ、カラーフィルターアレイ(図3において、それぞれ赤色の縞22R、緑色の縞22G、青色の縞22Bを含むように、図式的に示されている)が、高精度なインクジェットプリンターおよびバックプレーン22上に形成された基準のマークに依存する位置決めシステムを使って、この円滑な表面にインクジェットプリントされる。製造環境においては、このステップは、容易に自動化される。この技術は、予め形成されたカラーフィルターアレイとバックプレーンとの微妙な整列を回避し、上記位置決めおよび該カラーフィルターアレイの整列は、バックプレーン22自体の上に形成された基準のマークによって制御されることに留意されたい。この基準のマーク自体は、該バックプレーンの製造の間に使われるパターン化の手順の一部として、高精度で容易に位置付けが行われ得る。
【0064】
上記カラーフィルターアレイは、次いで、任意の便利な方法で乾燥され、透明な電極24および支持層26を含む前面基板は、図4に示されるように、積層接着剤28によって該カラーフィルターアレイの上に積層される。上記の米国特許出願公開第2007/0109219号において論じられた理由で、該積層接着剤28は、望ましくは、比較的電導性が高く、最終的なディスプレイに良好な低温性能特性を提供する。最後に、必要に応じて、任意の隔壁層30は、支持層26の上に提供され得て、湿気の隔壁と、酸素の隔壁と、紫外線放射フィルタリングとを提供する。上記の米国特許第6,982,178号において例として説明されたように、エッジシールもまた、上記ディスプレイの周囲に提供される。
【0065】
上記において説明された本発明の両方の好ましいEOLPプロセスにおいて、上記カラーフィルターアレイは、上記電気泳動媒体層がすでにバックプレーン上に存在するようになった後に、該電気泳動媒体層上に形成されることに留意されたい。この方法で該カラーフィルターアレイを形成することは、そのような電気泳動層のバックプレーンへの積層の間にカラーフィルターアレイを有する電気泳動層における寸法の変化によって生じる任意の問題を回避する。
【0066】
典型的には、本発明の多様なプロセスにおいて、インクジェットインクにおける着色料は、該着色料が付けられる層の表面のできるだけ近くに閉じ込められることが望ましい。該インクジェットインクが、電気光学層自体に付けられる場合には、該電気光学層の表面が、該着色料がそのカラー制御機能を提供する場所にあるだけでなく、該着色料のそのような閉じ込めによって該電気光学層の電気光学的性能を損なうことがより少なくなるので、そのような閉じ込めが望ましい。他のプロセスにおいては、上記インクジェットインクの拡散は、多様な着色された領域の混合、およびそれによるディスプレイ上に表示されるカラーの劣化をもたらし得るため、概して、上記インクジェットインクが塗布される上記層を介した該インクの拡散を回避することが望ましい。したがって、透明な着色されたインクの使用が好ましい。染料ベースのインクが使われる予定の場合には、該インクが塗布される層に媒染ポリマーを、例えば、電気泳動媒体層に結合剤の構成成分として含むことが、望ましくあり得る。そのような媒染ポリマーは、別の場合は、可溶性染料を結合可能であり、該可溶性染料をインク受容層の表面部分に閉じ込めることが可能な基を含む。カプセル化された電気泳動媒体における使用に好ましいこの結合剤は、典型的には陰イオンに帯電し、そのためカチオン染料に対する媒染剤として作用するように見込まれ得るので、カチオンインクは、そのような結合剤との使用には好まれる。金属イオンのインク受容層への組み込みは、媒染に適したインクジェット染料または金属の配位による前駆物質であり得る。その結果として生じる複雑化し、媒染化した染料は、しばしば光崩壊に対する向上した安定性を示す。
【0067】
ほとんどのインクジェットインク、特に家庭および小さなオフィスでの使用のために設計された安価なプリンターでの使用のためのインクジェットインクは、かなりの量の湿潤剤、例えば、エチレングリコール、メトキシエタノール、グリム、および他の類似の親水性の化学種を含む。これらの材料は、本プロセスにおいて有害である傾向があり、それらの使用は最小化されるべきである。これらの材料の主な機能は、プリンターのインクの乾燥によるノズルの目詰まりを防ぐことであるため、市販のインクジェットインクの配合は、きわめて低い湿潤剤濃度を有して生産され得る。微量の湿潤剤を有するインクジェットインクは、本プロセスにおける使用に対して好ましい。湿潤剤が必要な程度に応じて、インク受容層、および特にカプセル化された電気泳動媒体のセルの壁を膨らませるごく小さな能力を有する揮発性材料が、使われるべきである。
【0068】
インクジェットインクは、しばしば界面活性剤を含み、該界面活性剤のいくつかは電気泳動媒体において有害な影響を示し得、例えば、カプセル化された電気泳動媒体のスイッチング性能に影響を与えることによって、該カプセル化された電気泳動媒体の内部層は、電気泳動粒子の安定性およびスイッチング性能を維持するために注意深く選ばれた界面活性剤をしばしば含む。陰イオンの界面活性剤、特に非常に低い臨界ミセル濃度を有する界面活性剤は、この点において特に問題がある。任意の場合において、上記インクジェットインクにおける界面活性剤のタイプおよび濃度は、本プロセスに対して、および電気泳動性能との互換性に対して、最適化および最小化されるべきである。
【0069】
ここで以下の例が、図示によってのみであるが、与えられ、本発明において用いられる特に好ましい試薬、条件および技術の詳細が示される。
【実施例】
【0070】
(実施例1)
この実施例は、上記で説明された構成方法Cを用いる、本発明の接着層プリンティングプロセスを説明する。
【0071】
カプセル化された電気泳動媒体が、炭化水素流体中にポリマーでコーティングされた二酸化チタンの白い粒子およびポリマーでコーティングされた亜クロム酸銅の黒い粒子を含む内部相を有するゼラチン/アラビアゴムカプセルを含むように、調製した。該カプセルを、実質的に上記の米国特許第7,002,728号の実施例4で説明されたように、水性のポリウレタン結合剤を使うスラリー内に形成した。結果として生じるカプセルのスラリーを、ルーズなリリースシートにスロットコーティングし(slot coated)、乾燥されてルーズなリリースシート/カプセル層サブアセンブリーを形成した。別に、特製のポリウレタン接着剤を、タイトなリリースシートにコーティングし、次いで、ルーズなリリースシート/カプセル層サブアセンブリーに、カプセル層に接する接着層によって積層した。別に、ポリアクリラート接着剤を、ルーズなリリースシートにコーティングした。ルーズなリリースシートを、上記カプセル層から剥離し、該カプセルの露出された表面を、ルーズなリリースシート上のポリアクリラート接着剤に積層して、以下の配列の層:ルーズなリリースシート/ポリアクリラート接着剤/カプセル層/ポリウレタン接着剤/タイトなリリースシートを有する二重のリリース膜を形成した。
【0072】
この二重のリリース膜から、6.1インチ(155mm)の電気泳動ディスプレイに適切な大きさの部分をレーザーカットした。上記ルーズなリリースシートを、上記ポリアクリラート接着剤から剥離し、上記二重のリリース膜の残りの層を、6.1インチ(155mm)の薄膜トランジスターアクティブなマトリックスバックプレーンに積層した。タイトなリリースシートを、次いで、ポリウレタン接着剤から剥離して、インクジェットプリンティングのためにこの接着剤の表面を露出させた。
【0073】
上記露出されたポリウレタン接着剤の表面を、次いで、16個のジェット圧電ヘッド(Dimatixを介して使い捨て可能なカートリッジとして入手可能)を用いるDimatix DMP−5000 Material Deposition Printer(2230 Martin Avenue,Santa Clara CA 95050,United States of AmericaのFujifilm Dimatix,Inc.から市販されている)を使って、インクジェットプリントした。一般に、インクジェットの質を改善するために1プリントにつき2〜3ヘッドを用いた。使われたインクは、シアン(Crystal UDG U4970 Cyan Jet Ink)、マゼンタ(Crystal UDGU4896 Magenta Jet Ink)、およびイエロー(Crystal UDG U4970 Yellow Jet Ink)におけるSunjet Crystal UV硬化性インクであった。30μmの液滴間隔を用いた。プリントされた領域は、x方向に800ピクセルとy方向に600サブピクセルとからなり、各ピクセルは、153×151μmである。これらのピクセルを、4×600ピクセルのグループで一緒にオーバープリントして、一連の0.612×90.4mmのバー(合計で200本のバー、シアンとマゼンタとが67本ずつ、イエローが66本)を形成した。
【0074】
上記プリンターを、荷電して、シアンプリントカートリッジで較正した。上記バックプレーン/二重のリリース膜を、該プリンター内に置き、該バックプレーン上の基準のマークを、Dimatixの光学素子およびソフトウェアを用いて提供した。シアンのバーを、次いでプリントした。該プリントしたバックプレーン/二重のリリース膜を、次いで、上記プリンターから剥離し、20W/インチ(0.8W/mm)の紫外線放射を当てて、堆積したインクを硬化させた。このプロセスを、次いで、マゼンタおよびイエローのインクで繰り返し、各カラーを、x方向に0.612mmだけオフセットさせた。
【0075】
ディスプレイを完成するために、一つの表面にITOコーティングを有する5ミル(127μm)のPET膜を、該ディスプレイに必要な大きさにカットして、露出させ、プリントした接着層と接触するITOコーティングされた表面によって、プリントした接着層に積層させた。
【0076】
(実施例2)
この実施例は、上記の構成方法Aを用いる本発明のプリントされた保護層のプロセスを説明する。
【0077】
カプセル化された電気泳動ディスプレイを、上記の実施例1で説明されたカプセルに類似したカプセルをPET/ITO膜のITOコーティングされた表面にコーティングすることと、着色することとによって調製し、別に、特製のポリウレタン接着剤をリリースシートにコーティングし、該接着剤/リリースシートサブアセンブリーをPET/ITO/カプセル層サブアセンブリーに、該カプセル層に接する該接着剤によって積層し、フロントプレーン積層物を形成した。このフロントプレーン積層物を、適切な大きさにカットして、リリースシートを剥離し、残りの層を薄膜トランジスターアクティブなマトリックスバックプレーンに積層して、モノクロームディスプレイを形成した。すべての先行するステップを、実質的に上記の米国特許第6,982,178号で説明されたように実行した。
【0078】
このように調製した上記ディスプレイを、上記の実施例1と同じプリンターとインクを使ってインクジェットプリントした。プリンティングは、添付の図面の図5に示された配置を使って行い、単一のピクセルは、太い線で囲まれたボックス内の6×6領域によって表されている。図5から見られ得るように、この6×6ピクセルは、異方性であり、3×4のシアンサブピクセル、3×4のマゼンタサブピクセルおよび6×2のイエローサブピクセルを含む。このピクセルを、ディスプレイ全体を満たすように碁盤目状に配列し、隣接するピクセルは、(図5に図示されたように)垂直方向に互いに対して逆であり、その結果、バックプレーン上で繰り返すユニットは、図5に示されたように、ピクセルユニットに似ているが、各方向に大きさが2倍である。
【0079】
上記シアンサブピクセルを、最初、0.918×1.208mmの長方形のマトリックスとしてプリントし、x方向に1.836mm、y方向に2.416mmオフセットさせた。上記ディスプレイを、プリンターから取り除き、20W/インチ(0.8W/mm)の紫外線放射によって刺激し、プリントされたインクを硬化させた。同一のパターンを、x方向に0.918mmオフセットさせ、マゼンタインクを使ってプリントし、別の硬化ステップが続いた。最後に、一連の120.8×0.604mmの黄色い縞を、残りの領域にプリントし、硬化させた。
【0080】
********
本発明のプロセスは、いくつかの大きな利点を提供する。
【0081】
(a)これらのプロセスは、「一回限りの」生産によく適しており、高価なマスクまたは類似のデバイスは新しいタイプのカラーフィルターアレイのそれぞれに対して必要とされないので、該プロセスは、プロトタイプカラーディスプレイ、そしてアクティブなマトリックスディスプレイでさえも、迅速に構成するために使われ得る。
【0082】
(b)予め形成された高価なカラーフィルターアレイは必要とされず、該アレイは、需要に応じて、所望された層に直接プリントすることによって生産される。結果としてもたらされるディスプレイのコストは、その結果、大きく低減される。この節約は、特に、より大型のディスプレイに対して重要である。
【0083】
(c)該ディスプレイの光学性能は、別に構成された積層カラーフィルターアレイまたはオーバーレイの場合におけるように、複数の光学層があるからといって低下しない。さらには、本発明の多くのプロセスにおいて、着色料と画像層との密接な接触は、視差から生じる光学的な低下がないことを意味する。
【0084】
(d)該カラーディスプレイの構成および製造は、着色された領域の整列および塗布が容易にされているので、単純化されている。該ディスプレイのその部分に組み込まれた基準のマークを使って、アクティブなマトリックスバックプレーンの位置を定めることは、二次元のバックプレーンに予め形成されたカラーフィルターアレイを整列させることよりも容易である。インクジェットプリンティングは、製造中のバックプレーンの寸法の変化について修正を可能にするので、この構成方法はまた、柔軟なバックプレーンによりなじみやすい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー電気光学ディスプレイを形成する際に有用なサブアセンブリーを調製する方法であって、前記方法は、電気光学材料の層と露出された表面を有する接着層とを含むサブアセンブリーを提供することと、前記接着層の前記露出された表面に複数の着色された領域をインクジェットプリントすることとを含む、方法。
【請求項2】
複数の第1の着色された領域および複数の第2の着色された領域が、前記接着層の前記露出された表面にプリントされ、前記第1の着色された領域および前記第2の着色された領域は、互いに異なる色である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気光学材料は、回転する二色部材材料またはマイクロセル電気泳動材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電気光学材料は、結合剤の中に複数のカプセルを含むカプセル化された電気泳動材料、または、ポリマー分散電気泳動材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
使用されるインクは、放射硬化性であり、前記インクは、プリントされた後で、前記インクを硬化させる効果がある放射にさらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
使用されるインクは、有機溶剤中に顔料粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電気光学材料の前記層は、少なくとも1つのピクセル電極を含むバックプレーン上に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
カラー電気光学ディスプレイを形成する際に有用なサブアセンブリーであって、前記サブアセンブリーは、電気光学材料の層と、接着層とを含み、前記接着層は、その1つの表面にプリントされた複数の着色された領域を有する、サブアセンブリー。
【請求項9】
複数の第1の着色された領域および複数の第2の着色された領域が、前記接着層の前記露出された表面にプリントされ、前記第1の着色された領域および前記第2の着色された領域は、互いに異なる色である、請求項8に記載のサブアセンブリー。
【請求項10】
前記電気光学材料は、回転する二色部材材料またはマイクロセル電気泳動材料を含む、請求項8に記載のサブアセンブリー。
【請求項11】
前記電気光学材料は、結合剤の中に複数のカプセルを含むカプセル化された電気泳動材料、または、ポリマー分散電気泳動材料を含む、請求項8に記載のサブアセンブリー。
【請求項12】
少なくとも1つのピクセル電極を含むバックプレーン上に配置されている、請求項8に記載のサブアセンブリー。
【請求項13】
光透過性電導層と、前記電導層と電気的に接触する固体電気光学媒体の層と、接着層と、リリースシートとをこの順で含む製造物であって、前記接着層は、その1つの表面にプリントされた複数の着色された領域を有する、製造物。
【請求項14】
互いに対向する面上に第1の表面および第2の表面を有する固体電気光学媒体の層と、前記固体電気光学媒体の層の前記第1の表面上の第1の接着層と、前記固体電気光学媒体の層から前記第1の接着層の反対側の面上に配置されたリリースシートと、前記固体電気光学媒体の層の該第2の表面上の第2の接着層とを含む製造物であって、前記接着層のうちの1つは、その1つの表面にプリントされた複数の着色された領域を有する、製造物。
【請求項15】
リリースシートと、固体電気光学媒体の層と、接着層と、光透過性保護層および光透過性電導層のうちの少なくとも一方とをこの順で含む製造物であって、前記接着層は、その1つの表面にプリントされた複数の着色された領域を有する、製造物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−226382(P2012−226382A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−180925(P2012−180925)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【分割の表示】特願2009−528409(P2009−528409)の分割
【原出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(500080214)イー インク コーポレイション (148)
【Fターム(参考)】