説明

カルシウムチャネルブロッカーとしての尿素誘導体

ピペリジンまたはピペラジン環を含む式(1)の尿素誘導体である。AおよびBは各々独立して、水素;アルキル;6員の芳香族もしくは非芳香族、炭素環式もしくは複素環式部分;アミノアルキルまたはアミノアルケニルであり;ここでAおよびBのただひとつは、水素もしくはアルキルであってよい。R1は、H、アルキル、アルケニルまたはアルキニルである。Zは、NまたはCHNR2である。各R3は、様々な置換基であってよい。各R4は、Hまたはアルキルであってよい。各Arは、窒素原子を含んでいてもよい6員のまたは縮合芳香族系であり;mは0〜3およびnは0〜2である。これらの化合物は、望ましくないカルシウムチャネル活性を特徴とした状態を改善するために有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、カルシウムチャネル機能に関連した状態の治療に有用な化合物に関する。より詳細に述べると、本発明は、卒中および疼痛などの状態の治療に有用である、6員の複素環式部分の置換または未置換の尿素含有誘導体を含む化合物に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年8月30日に出願された米国特許仮出願第60/605,615号の優先権を請求するものであり、この出願はその全体が参照により本明細書に組入れられている。
【背景技術】
【0003】
背景技術
電位開口型のカルシウムチャネルを通したカルシウムの細胞への侵入は、興奮収縮連関、ホルモン分泌および遺伝子発現を含む、多種多様な細胞反応および生理的反応を媒介する(Miller, R. J., Science (1987) 235:46-52;Augustine, G. J., et al., Annu Rev Neurosci (1987) 10:633-693)。神経細胞において、カルシウムチャネルは、膜電位に直接作用し、興奮性、反復性発火パターンおよびペースメーカー活性などの、電気的特性に貢献する。カルシウム流入は更に、カルシウム依存型イオンチャネルの直接的調節により、ならびにプロテインキナーゼCおよびカルモジュリン依存型プロテインキナーゼIIなどの、カルシウム依存型酵素の活性の変調により、神経細胞機能に影響する。シナプス前神経末端のカルシウム濃度の上昇は、神経伝達物質の放出およびカルシウムチャネルの引金を引き、これはまた神経細胞発達における神経突起伸長および成長錐(growth corn)移動に影響を及ぼす。
【0004】
カルシウムチャネルは、様々な正常な生理機能を媒介し、同じく多くのヒト障害に関与している。カルシウム媒介型ヒト障害の例は、先天性片頭痛、小脳性運動失調症、狭心症、てんかん、高血圧、虚血、および一部の不整脈を含むが、これらに限定されるものではない。これらの障害の一部の臨床治療は、治療用カルシウムチャネルアンタゴニスト(例えば、ジヒドロピリジン、フェニルアルキルアミン、およびベンゾジアゼピンは全て、L型カルシウムチャネルを標的とする)の開発により支援されている(Janis, R. J., et al., In Calcium Channels: Their Properties, Functions, Regulation and Clinical Relevance, CRC Press, London, (1991))。
【0005】
天然のカルシウムチャネルは、それらの電気生理学的特性および薬理学的特性により、T、L、N、P/QおよびR型に分類されている(Catterall, W., Annu Rev Cell Dev Biol (2000) 16:521-555;Huguenard (1996)で総説)。T型(または低電位活性型)チャネルは、負電位で一過性に活性化し、および静止電位の変化に対し高感度である分子の広いクラスを説明している。
【0006】
L、NおよびP/Q型チャネルは、より正の電位で活性化し(高電位活性型)、ならびに多様な速度論および電位依存特性を示す(Catterall, 前記;Huguenard, J. R., Annu Rev Physiol (1996) 58:329-348)。L型チャネルは、ジヒドロピリジン(DHP)、フェニルアルキルアミンおよびベンゾチアゼピンを含む治療に使用される小型有機分子のいくつかの種類に対するそれらの感度により識別することができる。対照的に、N型およびP/Q型チャネルは、毒蜘蛛(venous spider)およびウミカタツムリ(marine snail)により産生されるある種のペプチド毒素の高親和性標的であり:N型チャネルは、アンボイナ(Conus geographus)から単離されたω-コノペプチドω-コノトキシンGVIA(ω-CTx-GVIA)、およびヤキイモ(Conus magus)から単離されたω-コノトキシンMVIIA(ω-CTx-MVIIA)によりブロックされるのに対し、P/Q型チャネルは、ω-CTx-MVIIAに対し抵抗性であるが、ジョウゴグモペプチドであるω-アガトキシンIVA(ω-Aga-IVA)に対しては感受性である。R型カルシウムチャネルは、タランチュラ毒素SNX-482によるブロックに対して感受性である。
【0007】
神経細胞の高電位活性型カルシウムチャネルは、同定された薬理学的物質の標的である巨大な(>200kDa)細孔形成α1サブユニット、このα1サブユニットと密接に結合しおよびチャネルの生物物理学的特性を変調する、細胞質に局在化した〜50-70kDaのβサブユニット、ならびに〜170kDaのα2δサブユニットにより構成される(Stea, A., et al., Handbook on Ion Channels. R. A. North (ed), CRC Press, (1994) 113-151;Stea, A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA (1994) 91:10576-10580;Catterall, 前記で総説)。分子レベルで、神経系で発現された9種の異なるα1サブユニット遺伝子が同定されており、天然のカルシウム電流の主な種類の全てをコードしていることが示されている(表1)。
【0008】
(表1)神経細胞カルシウムチャネルの分類

【0009】
カルシウムチャネルは、ニューロパシー痛に関連した神経細胞の感作プロセスの発達および維持を媒介することが示されており、鎮痛薬の開発の魅力的標的を提供している(Vanegas, H., et al., Pain (2000) 85:9-18において総説)。高閾値型Caチャネルは全て、脊髄において発現され、急性侵害受容におけるL、NおよびP/Q型の寄与は、現在研究中である。対照的に、より慢性的な疼痛状態におけるこれらのチャネルの機能的役割の試験は、N型チャネルの病態生理学的役割を強力に示唆している(Vanegas, 同書において総説)。
【0010】
動物のカルシウムチャネルα1サブユニット遺伝子の突然変異は、疼痛介入に関する潜在的な治療用標的の重要な手掛かりを提供することができる。α1B N型カルシウムチャネル遺伝子についてヌルに遺伝的に変更されたマウスが、いくつかの独立したグループで報告されている(Ino, M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA (2001) 98:5323-5328;Kim, C., et al., Mol Cell Neurosci (2001) 18:235-245;Saegusa, H., et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA (2001) 97:6132-6137);Hatakeyama, S., et al, NeuroReport (2001) 12:2423-2427)。α1B N型ヌルマウスは、生存可能であり、繁殖力があり、および通常の運動協調性を示す。ひとつの研究において、N型遺伝子ノックアウトマウスにおける末梢体温、血圧および心拍数は、全て正常であった(Saegusa, 同書)。別の研究において、交感神経系により媒介された圧反射は、両側性頸動脈閉塞後低下した(Ino, 同書)。別の研究において、マウスは、他の行動変化について試験され、有意に低い不安に関連した行動を示す以外は正常であることがわかり(Saegusa, 同書)、このことはN型チャネルは、疼痛に加え気分障害の潜在的な標的であることを示唆している。全ての研究において、機能性N型チャネルを欠いたマウスは、慢性および炎症性の疼痛反応の顕著な低下を示した。対照的に、N型チャネルを欠いたマウスは一般に、正常な急性侵害受容反応を示した。
【0011】
FDAが承認したまたは治験中の、N型チャネルに作用する薬物のふたつの例は、ガバペンチンおよびジコノチドである。ガバペンチンは、1-(アミノメチル)シクロヘキサン酢酸(Neurontin(登録商標))であり、これは多くの動物のてんかんモデルにおいて元来活性があることが見出された抗痙攣薬である(Taylor, C. P., et al, Epilepsy Res. (1998) 29:233-249)。その後の研究は、ガバペンチンが、慢性狭窄損傷(CCI)、心痛覚過敏、炎症、糖尿病ニューロパシー、術後疼痛に関連した静的および動的機械的異痛(mechanoallodynia)を含む、多くの様々な動物疼痛モデルにおいて痛覚過敏をうまく予防することを明らかにしている(Taylor, 同書;Cesena, R. M., Neurosci Lett (1999) 262:101-104;Field, M. J., et al., Pain (1999) 80:391-398;Cheng, J-K., et al., Anesthesiology (2000) 92:1126-1131;Nicholson, B., Acta Neurol Scand (2000) 101:359-371)。
【0012】
ガバペンチンの作用機序は完全にはわかっていないが、現在の証拠は、ガバペンチンは、多くの神経細胞系においてGABA受容体とは直接相互作用せず、むしろ高閾値カルシウムチャネルの活性を変調することを示唆している。ガバペンチンは、カルシウムチャネルα2δ補助サブユニットに結合することが示されているが、この相互作用がニューロパシー痛におけるその治療的作用を説明するかどうかは依然決定されていない。
【0013】
ヒトにおいて、ガバペンチンは、広範なニューロパシー痛状態に対する臨床的に有効な抗痛覚過敏活性を示す。多くのオープンラベル症例研究および3種の大規模二重盲検試験は、ガバペンチンが疼痛治療において有用であることを示唆している。投与量範囲300〜2400mg/日が、糖尿病性ニューロパシー(Backonja, M., et al., JAMA (1998) 280:1831-1836)、ヘルペス後神経痛(Rowbotham, M., et al., JAMA (1998) 280:1837-1842)、三叉神経痛、片頭痛ならびに癌および多発性硬化症に関連した疼痛(Di Trapani, G., et al., Clin Ter (2000) 151:145-148;Caraceni, A., et al, J Pain & Symp Manag (1999) 17:441-445;Houtchens, M. K., et al, Multiple Sclerosis (1997) 3:250-253;同じくMagnus, L., Epilepsia (1999) 40:S66-S72参照;Laird, M. A., et al., Annal Pharmacotherap (2000) 34:802-807;Nicholson, 前記)の治療において研究された。
【0014】
ジコノチド(Prialt(登録商標);SNX-111)は、イモガイのペプチドであるヤキイモMVIIAに由来する合成鎮痛薬であり、N型カルシウムチャネルを可逆的にブロックすることが示されている。様々な動物モデルにおいて、ジコノチドの髄腔内投与によるN型チャネルの選択的ブロックは、ホルマリン2相反応、温熱性痛覚過敏、機械的異痛、および術後疼痛を著しく抑制する(Malmberg, A. B., et al, J Neurosci(1994) 14:4882-4890;Bowersox, S, S., et al., J Pharmacol Exp Ther (1996) 279:1243-1249;Sluka, K., A., J Pharmacol Exp Ther (1998) 287:232-237;Wang, Y-X., et al, Soc Neurosci Abstr (1998) 24:1626)。
【0015】
ジコノチドは、ヘルペス後神経痛、幻肢痛、HIV関連ニューロパシー痛および難治性癌の疼痛を含む、様々な状態の治療のための髄腔内投与を介して、多くの臨床試験において評価されてきた(Mathur, V., S., Seminars in Anesthesia, Perioperative medicine and Pain (2000) 19:67-75において総説)。髄腔内アヘン製剤に反応しない患者での第II相および第III相臨床試験において、ジコノチドは、疼痛スコアを有意に低下し、および多くの特異例において数年に渡り続いた疼痛の緩和を生じた。ジコノチドは、重症の術後疼痛の管理に加え、脳卒中および重症頭部外傷後の脳損傷についても試験されている(Heading, C., Curr Opin CPNS Investigational Drugs (1999) 1:153-166)。ふたつの症例研究において、ジコノチドは更に、バクロフェンおよびモルヒネに反応しない患者における脊髄損傷後の難治性痙縮の管理における、有用性について試験されている(Ridgeway, B., et al, Pain (2000) 85:287-289)。一例において、ジコノチドは、痙縮を重症範囲から軽症範囲へ、無症へと軽減し、副作用はほとんどなかった。別の患者においても、ジコノチドは、痙縮を軽症範囲へ軽減したが、必要な用量での、記憶喪失、錯乱および鎮静を含む著しい副作用が、治療の継続を妨害した。
【0016】
T型カルシウムチャネルは、様々な医学的状態に関連している。α1Gサブユニットを発現する遺伝子を欠いているマウスにおいて、欠神発作に対する抵抗が認められた(Kim, D., et al、, Neuron (2001) 31:35-45)。別の研究も、てんかんの発症にα1Hサブユニットを関連づけた(Su, H., et al., J Neurosci (2002) 22:3645-3655)。エトスキシミドのような一部の現存する抗痙攣薬は、T型チャネルのブロックにより機能することの強力な証拠が存在する(Gomora, J. C., et al., Mol Pharmacol (2001) 60:1121-1132)。
【0017】
低電位活性化型カルシウムチャネルは、心臓血管系の組織において高度に発現される。ミベフラジルは、L型よりもT型チャネルに10〜30倍の選択性があるカルシウムチャネルブロッカーであるが、これは高血圧および狭心症における使用が承認された。これは、他の薬物との相互作用のために、販売後短期間で市場から回収された(Heady, T. N., et al., Jpn J Pharmacol. (2001) 85:339-350)。
【0018】
T型カルシウムチャネルも、疼痛に関与していることを示唆する証拠が増えつつある。ミベフラジルおよびエトスキシミドの両方は、ラットのニューロパシー痛の脊髄神経結紮モデルにおいて、抗痛覚過敏活性を示した(Dogrul, A., et al., Pain (2003) 105:159-168)。
【0019】
米国特許第6,011,035号;第6,294,533号;第6,310,059号;および、第6,492,375号;PCT国際公開公報第01375号および国際公開公報第01/45709号;PCT CA 99/00612、PCT CA 00/01586;PCT CA 00/01558;PCT CA 00/01557;PCT CA 2004/000535;および、PCT CA 2004/000539を基にしたPCT公報、ならびに、2003年12月23日に出願された米国特許出願第10/746,932号;2003年12月23日に出願された米国特許出願第10/746,933号;2003年4月8日に出願された米国特許出願第10/409,793号;2003年4月8日に出願された米国特許出願第10/409,868号;2003年9月3日に出願された米国特許出願第10/655,393号;2004年4月9日に出願された米国特許出願第10/821,584号;ならびに、2004年4月9日に出願された米国特許出願第10/821,389号は、ピペリジンまたはピペラジン環が、様々な芳香族部分により置換されている、カルシウムチャネルブロッカーを開示している。これらの出願および公報は、参照により本明細書に組入れられている。
【0020】
米国特許第5,646,149号は、式A-Y-B(式中、Bは、直接Yに結合したピペラジンまたはピペリジン環を含む。)のカルシウムチャネルアンタゴニストを開示している。これらの分子の必須成分は、Aにより表され、これは酸化防止剤でなければならず;ピペラジンまたはピペリジンそれ自身は、重要であると説明されている。例証的化合物は、公知のカルシウムチャネルブロッカー(下記参照)を基に、ベンズヒドリル置換基を含む。米国特許第5,703,071号は、虚血性疾患の治療において有用であると説明される化合物を開示している。この分子の必須部分は、トロポロン残基であり、それらのベンズヒドリル誘導体を含む、ピペラジン誘導体のような置換基を伴う。米国特許第5,428,038号は、神経保護および抗アレルギー作用を示すことが指摘されている化合物を開示している。これらの化合物は、ピペラジン誘導体および他の6員複素環を含むことができる、クマリン誘導体である。この複素環上の可能な置換基は、ジフェニルヒドロキシメチルである。従って、カルシウムチャネルブロック活性が関与し得る様々な適応症に関する当該技術分野における取組みは、偶然にも、ベンズヒドリルで置換されたピペリジンまたはピペラジン部分を含むが、機能性の維持のためには追加の置換基を要求する化合物を使用している。
【0021】
ベンズヒドリル部分およびピペリジンまたはピペラジンの両方を含むある化合物は、カルシウムチャネルアンタゴニストおよび神経遮断薬であることが知られている。例えば、Gould, R.J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1983) 80:5122-5125は、リドフラジン、フルスピリレン、ピモジド、クロピモジドおよびペンフルリドールのような、抗統合失調症性神経遮断薬を説明している。フルスピリレンは、L型カルシウムチャネル上の部位へ結合すること(King, V. F., et al., J Biol Chem, (1989) 264:5633-5641)、更にはN型カルシウム電流をブロックすること(Grantham, C. J., et al., Brit J Pharmacol, (1944) 111 :483-488)も示されている。加えてKanebo,K.K.により開発されたロメリジンは、公知のカルシウムチャネルブロッカーである。しかしロメリジンは、N型チャネルに特異的ではない。ロメリジンに関する文献の総説は、Dooley, D., Current Opinion in CPNS Investigational Drugs (1999) 1:116-125に認められる。
【0022】
2002年2月14日に公開された米国特許公開第2002/0019389号は、抗癌薬として有用である尿素誘導体を特徴とするものを開示している。中でもこれらの誘導体は、1個の環窒素がベンズヒドリル基と尿素を形成するピペラジンである。ある種のこれらの化合物は、別のピペラジン窒素に連結された、3,5-ジメチルフェニルまたはベンズヒドリルを含む。これらの化合物は、抗癌薬として単に説明されており、カルシウムイオンチャネルに対する作用を有することまたはそのようなチャネルにより媒介されてる適応症は報告されていない。
【0023】
前述の刊行物は便宜上の列記であり、先行技術として解釈されるものではない。
【発明の開示】
【0024】
発明の開示
本発明は、急性または慢性疼痛;不安、うつ病、および耽溺などの、気分障害;炎症性腸疾患および過敏性腸症候群などの、胃腸障害;尿失禁、間質性大腸炎および性的機能障害などの、泌尿生殖器障害;大脳虚血、卒中および外傷性脳損傷などの、神経保護;神経変性障害;糖尿病および肥満などの、代謝障害;循環器疾患;てんかん;糖尿病;前立腺癌などのある種の癌;睡眠障害;パーキンソン病;統合失調症などの、精神障害;男性受胎調節;ならびに、シナプスカルシウムチャネルを媒介した機能を含むカルシウム代謝に関連した他の適応症などの状態を治療するのに有用な化合物に関する。本発明の化合物は、その化合物のカルシウムチャネルブロック活性を増強する置換基を伴う、ピペラジンまたはアミノピペリジンの尿素含有誘導体である。従ってひとつの局面において、本発明は、下記式の化合物

およびそれらの塩または複合体を対象とし、
ここでAおよびBの各々は独立して、H、アルキル(1-8C)、6員の芳香族または非芳香族の炭素環式部分もしくはヘテロ原子1〜2個を含む環式部分であるか、またはアミノアルキルもしくはアミノアルケニルであり、ならびにここでAおよびBの一方またはただひとつは、Hまたはアルキル(1-8C)であってよく;
R1は、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)またはアルキニル(2-8C)であり;
Zは、NまたはCHNR2であり、ここでR2は、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)またはアルキニル(2-8C)であり;
各R3は独立して、=O、アルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アシル、アリール、アルキルアリール、ハロ、CHF2、CF3、OCF3、OCHF2、OCOR、CN、NO2、NR2、OR、SR、COR、COOR、CONR2、SOR、SO2R、SO3R、NRCOR、NROR、NRCOOR、OCONR2、SONR、SO2NR、OOCR、NRSORおよびNRSO2Rからなる群より選択される置換基であり、ここでRは、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アリール、またはアルキルアリールであり、ここで同じN上の2個のRは、5〜7員の環を形成し、およびここで隣接C上の2個の置換基は、5〜7員の環を形成してもよく;
ここで各R4は独立して、Hまたはアルキル(1-4C)であり;
mは、0-3であり;
nは、0-2であり;
各Arは独立して、1〜2個の窒素原子を含んでいてもよい6員のまたは縮合芳香族環系であり;ならびに
ここで式(1)のAまたはBに含まれた各環式部分および各Ar部分は、=O(非芳香族環式部分)、アルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アシル、アリール、アルキルアリール、ハロ、CHF2、CF3、OCF3、OCHF2、OCOR、CN、NO2、NR2、OR、SR、COR、COOR、CONR2、SOR、SO2R、SO3R、NRCOR、NROR、NRCOOR、OCONR2、SONR、SO2NR、OOCR、NRSORおよびNRSO2Rからなる群より選択される1または複数の置換基により置換されてよく、ここでRは、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アリール、またはアルキルアリールであり、ここで同じN上の2個のRは、5〜7員の環を形成してもよく、およびここで隣接C上の2個の置換基は、5〜7員の環を形成してもよく;ならびに
ここで先に説明された任意のアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールは、更に、=O、アルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アシル、アリール、アルキルアリール、ハロ、CHF2、CF3、OCF3、OCHF2、OCOR、CN、NO2、NR2、OR、SR、COR、COOR、CONR2、SOR、SO2R、SO3R、NRCOR、NROR、NRCOOR、OCONR2、SONR、SO2NR、OOCR、NRSORおよびNRSO2Rにより置換されてもよく、ここでRは、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アリール、またはアルキルアリールであり、ここで同じN上の2個のRは、5〜7員の環を形成してもよく、およびここで隣接C上の2個の置換基は、5〜7員の環を形成してもよく、
但し、ZがNであり、R1および全てのR4がHであり、mは0または1であり、ならびに各Arは未置換のフェニルである場合は、AおよびBは、両方とも未置換のフェニルであることはできない。
【0025】
本発明は、式(1)の化合物を使用した、カルシウムチャネル活性、好ましくはN型およびT型チャネル活性を変調する方法にも関し;ここでこのような化合物の定義は先のものであるが、前記条件は含まず、ならびにここでAおよび/またはBは、2個よりも多い窒素原子を含んでもよい。従ってこれらの化合物は、ある種の望ましくない生理的状態を治療するために使用することができ;これらの状態は、カルシウムチャネル活性に関連している。本発明は、不安、うつ病、および耽溺;炎症性腸疾患および過敏性腸症候群などの、胃腸障害;尿失禁、間質性大腸炎および性的機能障害などの、泌尿生殖器障害;大脳虚血、卒中および外傷性脳損傷などの、神経保護;神経変性障害;糖尿病および肥満などの、代謝障害;循環器疾患;てんかん;糖尿病;前立腺癌などのある種の癌;睡眠障害;パーキンソン病;統合失調症などの、精神障害;男性受胎調節を含む、カルシウムチャネル活性の変調が必要な状態の治療のために薬剤を調製するためのこれらの化合物の使用に関する。別の局面において、本発明は、式(1)の化合物を含有する薬学的組成物に関する。
【0026】
発明を実施するための形態
Aおよび/またはBは、環に2個よりも多い窒素原子を有することができ、ならびに前記条件は適用されないような化合物を含む式(1)の化合物は、本発明の方法に有用であり、ならびにN型および/またはT型カルシウムチャネルの活性を変調するそれらの能力を介してそれらの望ましい作用を発揮する。このことは、これらをある状態の治療に有用なものにしている。N型カルシウムチャネルの変調が望ましい状態は以下を含む:慢性および急性疼痛;不安、うつ病、および耽溺などの、気分障害;神経変性障害;炎症性腸疾患および過敏性腸症候群などの、胃腸障害;尿失禁、間質性大腸炎および性的機能障害などの、泌尿生殖器障害;大脳虚血、卒中および外傷性脳損傷などの、神経保護;ならびに、糖尿病および肥満などの、代謝障害。T型カルシウムチャネルの変調が望ましい状態は以下を含む:循環器疾患;てんかん;糖尿病;前立腺癌などのある種の癌;慢性および急性疼痛;睡眠障害;パーキンソン病;統合失調症などの、精神障害;男性受胎調節。
【0027】
急性疼痛は、侵害受容性疼痛および術後疼痛を含むが、これらに限定されるものではない。慢性疼痛は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:末梢ニューロパシー痛、例えばヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー痛、ニューロパシー性癌疼痛、脊椎手術の失敗症候群、三叉神経痛、および幻肢痛;中枢ニューロパシー痛、例えば多発性硬化症に関連した疼痛、パーキンソン病に関連した疼痛、卒中後疼痛、外傷性脊髄損傷後疼痛、および認知症における疼痛;骨格筋疼痛、例えば骨関節炎疼痛および線維筋痛症候群;炎症性疼痛、例えばリウマチ様関節炎および子宮内膜症;頭痛、例えば片頭痛、群発性頭痛、緊張性頭痛症候群、顔面痛、他の疾患により引き起こされた頭痛;内臓痛、例えば間質性膀胱炎、過敏性腸症候群および慢性骨盤痛症候群;ならびに、混合型疼痛、例えば腰痛、首および肩の疼痛(neck and shoulder pain)、口腔内灼熱症候群および複合性局所疼痛症候群。
【0028】
不安は、以下の状態を含むが、これらに限定されるものではない:全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、強迫性障害、および外傷後ストレス症候群。耽溺は、コカイン、オピオイド、アルコールおよびニコチンの依存、禁断症状および/または再発を含むが、これらに限定されるものではない。
【0029】
神経変性障害は、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ニューロパシー、ハンチントン病および筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含む。
【0030】
循環器疾患は、高血圧、肺高血圧、不整脈(例えば心房細動および心室細動)、うっ血性心不全、および狭心症を含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
てんかんは、側頭葉てんかん、欠神発作、全般発作、および強直/間代発作などの、部分発作を含むが、これらに限定されるものではない。
【0032】
先に説明された化合物は一般にこの活性を有するが、この種のカルシウムチャネル変調剤の利用可能性は、特定の障害のための化合物の微妙な選択を可能にしている。この種の化合物の利用可能性は、単にカルシウムチャネル活性により影響を受ける適応症における全身利用性の部類(genus)を提供するのみではなく、カルシウムチャネルの特定の型との特定の相互作用に関して探求および操作することができる多数の化合物も提供する。先に説明されたα1A1Iおよびα1S型の組換えにより作出されたカルシウムチャネルの利用可能性は、この選択プロセスを促進する。Dubel, S. J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89:5058-5062;Fujita, Y., et al., Neuron (1993) 10:585-598;Mikami, A., et al,. Nature (1989) 340:230-233;Mori, Y., et al, Nature (1991) 350:398-402;Snutch, T. P., et al., Neuron (1991) 7:45-57;Soong, T. W., et al., Science (1993) 260:1133-1136;Tomlinson, W. J., et al., Neuropharmacology (1993) 32:1117-1126;Williams, M. E., et al., Neuron (1992) 8:71-84;Williams, M. E., et al, Science (1992) 257:389-395;Perez-Reyes, et al., Nature (1998) 391:896-900;Cribbs, L. L., et al., Circulation Research (1998) 83:103-109;Lee, J. H., et al., Journal of Neuroscience (1999) 19:1912-1921;McRory, J. E., et al., Journal of Biological Chemistry (2001) 276:3999-4011。
【0033】
カルシウムチャネル活性が、障害の多様性に関連し、および特定型のチャネルは、特定の状態に関連していることは知られている。神経伝達に関連した状態におけるN型およびT型チャネルの関連は、N型受容体を標的とする本発明の化合物は、これらの状態において最も有用であることを示している。式(1)の化合物の部類の多くのメンバーは、N型チャネルおよび/またはT型チャネルに高親和性を示す。従って以下に説明されるように、これらは、望ましい機能の最初の指標として、N型および/またはT型チャネルと相互作用するそれらの能力についてスクリーニングされる。この化合物は、IC50値<1μMを示すことが望ましい。IC50は、特定の印加電位で、カルシウム、バリウムまたは他の透過性二価カチオンフラックスを50%阻害する濃度である。
【0034】
3種のカルシウムチャネル阻害の識別可能な種類が存在する。第一に、「開口チャネルブロック」と称されるものは通常、表示(display)された場合に、カルシウムチャネルが人工的に負の静止電位約-100mVで維持されることが(約-70mVの典型的な内因性の維持静止電位からは区別される)実証された。表示されたチャネルが、これらの条件下で急激に脱分極した場合は、カルシウムイオンは、このチャネルを通じた流れを引き起こし、およびピーク電流を示し、これはその後減衰する。開口チャネルブロッキングインヒビターは、ピーク流れ時に示された電流を漸減し、電流減衰速度を加速することもできる。
【0035】
この種の阻害は、本明細書において「不活性化阻害」と称される第二のブロック型からは区別される。生理的に重要な電位である-70mVのような、低い負の静止電位が維持される場合、これらのチャネルのある割合は、立体構造の変化を受けることがあり、急激な脱分極によりそれらが活性化されること−すなわち開口すること−を不可能にする。従って、開口チャネルがブロックされるからではなく、このチャネルの一部は開口に利用することができない(不活性化された)ので、カルシウムイオン流れによるピーク電流は漸減するであろう。「不活性化」型インヒビターは、不活性化された状態の受容体の割合を増加する。
【0036】
第三の型の阻害は、「静止チャネルブロック」と称される。静止チャネルブロックは、通常開口または不活性化につながる膜の脱分極の存在しない場合に生じるチャネルの阻害である。例えば、静止チャネルブロッカーは、薬物適用後、脱分極の極初期に、ピーク電流の振幅を漸減し、脱分極時には更なる阻害を伴わない。
【0037】
治療において有用性を最大とするために、起こり得る副反応を評価することも有用である。従ってこれらの化合物は、特定のカルシウムチャネルを変調することができることに加え、心臓において発現されるHERG K+チャネルに関して、非常に低い活性を有することが望ましい。高い効力でこのチャネルをブロックする化合物は、致命的反応を引き起こし得る。従ってカルシウムチャネルを変調する化合物に関して、HERG K+チャネルが阻害されないことも示されるべきである。同様に、化合物にとってシトクロムp450を阻害することは、この酵素は薬物の解毒に必要であるので、望ましくない。最後に、この化合物は、様々な型のカルシウムチャネル間のその活性を比較することにより、カルシウムイオンチャネル型の特異性について評価され、ひとつの特定のチャネル型への特異性が好ましい。これらの試験を通じうまく進展する化合物は、その後実際の薬物候補として、動物モデルにおいて試験される。
【0038】
本発明の化合物は、カルシウムチャネルの活性を変調し;一般には、該変調は、チャネルのカルシウム輸送能の阻害である。以下に説明されるように、特定の化合物のカルシウムチャネル活性に対する作用は、慣習的アッセイにより容易に確認することができ、これによりそれらの条件は、チャネルが活性化され、および化合物のこの活性化に対する作用(陽性または陰性のいずれか)が評価されるように手配される。典型的アッセイが、以下に説明される。
【0039】
本発明の化合物
式(1)の基本構造上の置換基は、先に説明されている。一般に置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アシル、=0、ハロ、CHF2、CF3、OCF3、OCHF2、CN、NO2、OR、NR2、SR、SOR、SO2R、SO3R、OCOR、NRCOR、NROR、NRCONR2、NRCOOR、OCONR2、COR、COOR、NRSOR、NRSO2R、CONR2、SONR、およびSO2NR2(ここで各Rは独立して、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルケニル(2-8C)、アリールまたはアリールアルキルである)、-CN、-CF3、およびNO2などの置換基を含むが、これらに限定されるものではない。同一のNまたは隣接C上のふたつの置換基は、5〜7員環を形成することができる。
【0040】
本明細書において使用される用語「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」は、それらが置換されないかまたは特に注記されない場合は、CおよびHのみを含む、直鎖、分枝鎖および環式の一価の置換基である。例は、メチル、エチル、イソブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルエチル、2-プロペニル、3-ブチニルなどを含む。典型的には、アルキル、アルケニルおよびアルキニル置換基は、1-8C(アルキル)または2-8C(アルケニルもしくはアルキニル)を含む。好ましくはこれらは、1-6Cもしくは1-4C(低級アルキル)または2-6Cもしくは2-4C(低級アルケニルもしくは低級アルキニル)を含む。
【0041】
ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルおよびヘテロアルキニルは、同様に定義されるが、主鎖残基内に、1個または複数のO、SもしくはNヘテロ原子またはそれらの組合せを含んでよい。
【0042】
本明細書において使用される「アシル」は、アルキル、アルケニル、アルキニルの定義を包含しており、およびその各々は、カルボニル基を介して追加の残基に連結されている。ヘテロアシルは、関連したヘテロ型を含む。
【0043】
「芳香族」部分または「アリール」部分は、フェニルまたはナフチルのような、単環式または縮合二環式部分を意味し;「複素環式芳香族化合物」も同じく、O、SおよびNから選択された1個または複数のヘテロ原子を含む、単環式または縮合二環式系を意味する。ヘテロ原子の包含は、6員環に加え、芳香族と考えられる5員環を含むことができる。従って、典型的芳香族/複素環式芳香族化合物系は、ピリジル、ピリミジル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソキノリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルなどを含む。互変異性体が理論的に可能であるので、フタルイミドも芳香族と考えられる。環系全体の電子分布に関して芳香性の特徴を有する単環式または縮合環二環式系は、この定義に含まれる。典型的には、この環系は、5〜12個の環員原子を含む。
【0044】
同様に、「アリールアルキル」および「ヘテロアリールアルキル」は、置換または未置換の飽和または不飽和の炭素鎖、典型的には1-8C、またはそれらのヘテロ型を含む、炭素鎖を介して別の残基に結合される、芳香族および複素環式芳香族化合物系を意味する。これらの炭素鎖は、カルボニル基も含み、従ってそれらはアシルまたはヘテロアシル部分として置換基を提供することができる。
【0045】
一般に置換基に含まれる任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、アシルまたはアリール(ヘテロ型を含む)基は、追加の置換基によりそれ自身置換されていてもよい。これらの置換基の性質は、第一の置換基それら自身に関して列挙されたものに類似している。従って置換基の態様がアルキルである場合に、このアルキルは、これが化学的意味を持つような、およびこれがそれ自身アルキルのサイズ限界を損なう(undermine)ことのないような置換基として列記された残りの置換基により置換されていてもよく;例えば、アルキルまたはアルケニルにより置換されたアルキルは、これらの態様に関する炭素原子の上限を簡単に延長すると考えられる。しかしアリール、アミノ、アルコキシなどで置換されたアルキルは、含まれると考えられる。
【0046】
本発明の化合物において、Arは、好ましくは1〜2個の窒素原子を含んでいてもよい、6員または縮合芳香族環系である。より好ましくは、Arは、置換されていてもよいフェニル、2-、3-または4-ピリジル、インドリル、2-または4-ピリミジル、ピリダジニル、ベンゾチアゾリルまたはベンゾイミダゾリルであってもよい。更により好ましいArは、フェニル、ピリジル、またはピリミジルである。最も好ましいArはフェニルである。これらの態様の各々は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、O-アリール、O-アルキルアリール、O-アロイル、NR-アリール、N-アルキルアリール、NR-アロイル、ハロ、OR、NR2、SR、OOCR、RCO、COOR、CONR2、および/もしくはSO2NR2(ここで各Rは、独立して、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アリールもしくはアリールアルキルである)、ならびに/または-CN、-CF3、および/もしくはNO2など、先に定義された1種または複数の基で置換されていてもよい。これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分は更に、類似の置換基により置換されていてもよい。
【0047】
中でもAr上の好ましい置換基は、アルキル、CF3、CHF2、OR、SR、NR2(ここでRは先に定義されたものである)、およびハロである。R1の好ましい態様は、メチルおよびHである。R3の好ましい態様は、=Oおよびカルボキシである。
【0048】
本発明の化合物は 薬学的に許容できる塩としての調製が可能であるための、イオン化可能な基を有することができる。これらの塩は、無機酸もしくは有機酸が関与する酸付加塩であることができるか、またはこれらの塩は、本発明の化合物が酸性形である場合は、無機塩基もしくは有機塩基から調製される。塩酸、硫酸、クエン酸、または酒石酸および水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、カフェイン、様々なアミンなどの、適当な薬学的に許容できる酸および塩基は、当該技術分野において周知である。適当な塩の調製法は、当該技術分野においてよく確立されている。
【0049】
場合によっては、本発明の化合物は、1個または複数のキラル中心を含む。本発明は、単離された立体異性体型に加え、鏡像異性純度(chiral purity)の程度が変動する立体異性体の混合物を含む。
【0050】
加えて本発明の化合物は、薬物動態の変更のため、標的化、または他の理由でデザインされた物質への共役により結合することができる。従って本発明は、これらの化合物の複合体を更に含む。例えばポリエチレングリコールが、半減期を延長するために、物質へ結合されることが多く;これらの化合物は、共有的もしくは非共有的にリポソームへ、または他の粒子担体へ結合することができる。これらは、抗体またはペプチド模倣物などの標的化剤へ、時にはリンカー部分を介して、結合することもできる。従って本発明は、この種の複合体に含まれるように修飾される式(1)の化合物にも関する。
【0051】
本発明の化合物の合成
本発明の化合物は、通常の方法を用いて合成することができる。
【0052】
反応スキーム1は、例であり、C=Oに隣接するピペラジン環を伴う化合物を調製するために使用することができる。このピペリジンアナログは、置換されることができ、CHNH2の窒素の反応は、ピペラジンの窒素と置き換わる。
【0053】
反応スキーム1

【0054】
反応スキーム1は、R4がHであり、mおよびnが0であり、ならびに両方のArがフェニルである場合の一般的合成を例示している。好ましい態様において、ピペラジン化合物5は例えば、ベンズヒドリルピペラジン、1-(3-ジメチルアミノプロピル)ピペラジン、1-(3-ピペリジン-1-イルプロピル)ピペラジン、1-(3-モルホリノプロピル)ピペラジン、1-(3-ピロリジノプロピル)ピペラジンである。反応スキーム2は、AおよびBが両方ともフェニルでありおよびR1がHである場合の合成を例示している。
【0055】
反応スキーム2

【0056】
同様の反応の順序を、本発明の残りの態様に適合することができる。スキーム2において、ジフェニルメタノールへの最初のグリニャール反応に続けて、ハロゲン化、ピペラジン環Nまたは保護された1位にNを有する4-アミノピペリジンの4-アミノ基により交換される脱離基の生成が続く。得られる化合物5は、ベンズヒドリルイソシアネートと反応され、最終生成物を得る。
【0057】
ライブラリーおよびスクリーニング
本発明の化合物は、それ自身当該技術分野において公知の方法を用いるか、またはコンビナトリアルライブラリーの一員として、個別に合成することができる。
【0058】
コンビナトリアルライブラリー合成は、現在当該技術分野において一般的である。そのような合成に関する適当な説明は、例えば、Wentworth, Jr., P., et al., Current Opinion in Biol. (1993) 9:109-115;Salemme, F. R., et al, Structure (1997) 5:319-324に説明されている。これらのライブラリーは、様々な置換基および様々な程度の不飽和、更には異なる鎖長を有する化合物を含む。わずか10程、しかし典型的には数百のメンバーから数千のメンバーを含むライブラリーは、その後、カルシウムチャネルの特定の亜型、すなわちN型チャネルに対し特に有効である化合物についてスクリーニングされる。加えて標準のスクリーニングプロトコールを使用し、これらのライブラリーは、ナトリウムチャネル、カリウムチャネルなどの追加のチャネルまたは受容体をブロックする化合物についてスクリーニングすることができる。
【0059】
これらのスクリーニング機能を実行する方法は、当該技術分野において周知である。これらの方法は、このチャネルと作動(agonize)または拮抗する化合物の能力を個別に確定するためにも使用することができる。典型的には、標的となるチャネルが、ヒト胚性腎細胞のような組換え宿主細胞の表面上に発現される。ライブラリーのメンバーの被験チャネルへの結合能は、例えばライブラリーの化合物の、通常チャネルに会合したリガンドまたはチャネルに対する抗体のような標識された結合リガンドを置き換える能力により測定される。より典型的には、チャネルに拮抗する能力は、カルシウム、バリウムまたは他の透過性二価カチオンの存在下で測定され、ならびに発生したシグナルと干渉する化合物の能力は、常法を用い測定される。より詳細に述べると、ひとつの方法は、カルシウムチャネルと相互作用する放射標識された物質の結合、ならびに引き続きの結合速度(on rate)、解離速度(off rate)、Kd値および他の分子との競合結合を含むが、これらに限定されるものではない、平衡結合測定値の分析が関与している。
【0060】
別法は、個々の細胞に微小電極が穿刺され、カルシウムチャネルを介した電流が関心のある化合物の適用の前後に記録される、電気生理学的アッセイによる化合物の作用のスクリーニングが関与している。
【0061】
別法は、細胞内カルシウム濃度に感受性のある蛍光色素の細胞株へのローディング、その後の塩化カリウムもしくは細胞内カルシウムレベルを変更する他の手段による脱分極能に対する化合物の作用の試験を利用する、ハイスループット分光光度アッセイである。
【0062】
先に説明されたように、より信頼のおけるアッセイを使用し、チャネルの不活性化の促進により機能するものまたは静止チャネルブロッカーとして機能するものとは対照的に、開口チャネルブロッカーとして機能する、カルシウム流れのインヒビターを識別することができる。これらの阻害の型を識別する方法は、下記実施例においてより詳細に説明される。一般に、開口チャネルブロッカーは、候補化合物の存在および非存在下で、脱分極がバックグラウンド静止電位約-100mVへ課された時の、ピーク電流レベルを測定することにより評価される。成功した開口チャネルブロッカーは、観察されるピーク電流を低下し、この電流の減衰を促進することができる。不活性化されたチャネルブロッカーである化合物は一般に、不活性化の電位依存性をより負の電位へ向けてシフトするそれらの能力により決定される。これは、より脱分極された保持電位(例えば-70mV)での、ならびに例えば0.2Hz対0.03Hzのようなより高い刺激周波数での、ピーク電流を低下するそれらの能力においても反映される。最後に静止チャネルブロッカーは、脱分極時の追加の阻害を伴わず、薬物適用後の極初期の脱分極時のピーク電流振幅を漸減するであろう。
【0063】
有用性および投与
ヒトおよび動物対象の治療に使用するために、本発明の化合物は、薬学的または獣医学的組成物として製剤することができる。治療される対象、投与様式、および望ましい治療型、例えば防止、予防、治療などに応じて、これらの化合物は、これらのパラメータと調和する方法で製剤される。このような技術の概要は、Remington's Pharmaceutical Sciences(最新版)Mack Publishing Co., Easton, PAに認めることができ、これは参照により本明細書に組入れられている。
【0064】
一般に、治療に使用するために、式(1)の化合物は、単独で、2種もしくはそれよりも多い式(1)の化合物の混合物として、または他の薬剤と組合せて使用することができる。式(1)の化合物と組合せるための他の潜在的な薬剤の例は、同じ適応症を治療するが、N型またはT型カルシウムチャネル阻害から作用の異なる機構を有する薬剤を含むと考えられる。例えば、疼痛の治療において、式(1)の化合物は、NASAIDのような別の疼痛緩和療法、またはCOX-2を選択的に阻害する化合物、またはオピオイド、または抗欝薬のような補助鎮痛薬と組み合わせることができる。式(1)の化合物と組合せる潜在的な薬剤の別の例は、異なるがしかし関連もしくは関係する症状または適応症を治療するための薬剤を含む。投与様式に応じて、これらの化合物は、許容された容易な送達を可能にするのに適した組成物に製剤される。
【0065】
製剤は、全身投与または局所(topical)もしくは局所(local)投与に適した様式で調製することができる。全身用製剤は、注射(例えば、筋肉内、静脈内もしくは皮下注射)用にデザインされたものを含むか、または経皮、経粘膜または経口投与のために調製することができる。この製剤は一般に、希釈剤、更には場合によっては補助剤、緩衝剤、保存剤などを含む。これらの化合物は、リポソーム組成物またはマイクロエマルジョン中で投与することもできる。
【0066】
注射のために、製剤は、液体の液剤もしくは懸濁剤、または注射直前に液体中の液剤もしくは懸濁剤とするのに適した固形剤形、または乳剤のような通常の形で調製することができる。適当な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールなどを含む。このような組成物は、無毒の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤など、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレートなどを含む。
【0067】
薬物の様々な徐放システムも考案されている。例えば米国特許第5,624,677号を参照のこと。
【0068】
全身投与は、坐薬、経皮貼付剤、経粘膜送達および鼻腔内投与の使用のような、比較的侵襲性の低い方法も含む。経口投与も、本発明の化合物に適している。適当な形は、当該技術分野において理解されるように、シロップ剤、カプセル剤、錠剤を含む。
【0069】
動物またはヒト対象への投与に関し、本発明の化合物の用量は、典型的には0.1〜15mg/kg、好ましくは0.1〜1mg/kgである。しかし、用量レベルは、状態の性質、薬物の効力、患者の状態、医師の判断、ならびに投与頻度および投与様式に高度に依存している。
【0070】
下記実施例は、本発明を例示することを意図するが、限定するものではない。
【0071】
実施例1 4-ベンズヒドリル-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリルアミドの合成

【0072】
無水CH2Cl2(10ml)中のジフェニルメチルピペラジン(0.3g, 1.18mmol)の溶液へ、ジフェニルメチルイソシアネート(0.22ml, 1.18mmol)を、窒素下で滴下した。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、引き続きヘキサン:酢酸エチル(3:1)を用いるカラムクロマトグラフィーを行い、収率80%で所望の生成物を生じた。
【0073】
実施例2 4-(1-メチル-ピペリジン-4-イルメチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミドの合成

【0074】
無水CH2Cl2(12ml)中の1-(1-メチル-ピペリジン-4イルメチル)-ピペラジン(0.5g, 2.7mmol)の溶液へ、ジフェニルメチルイソシアネート(0.56ml, 2.7mmol)を、窒素下で滴下した。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、引き続きCH2Cl2:CH3OH(10:1)を使用するカラムクロマトグラフィーを行い、収率82%で所望の生成物を生じた。
【0075】
実施例3 N-ベンズヒドリル-4-((フェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0076】
A. 1-メチルピペリジン-4-イルフェニルメタノンの合成

【0077】
1-メチルピペリジン-4-カルボン酸塩酸塩10g(55.7mmol)を、塩化チオニル(25ml)に添加し、固形物が完全に溶解するまで、室温で攪拌した。この反応混合物を、更に20分間撹拌し、濃縮した。生成物を、更に精製することなく、次工程に用いた。
【0078】
0℃のベンゼン30ml中の無水塩化アルミニウム(20g, 75mmol)の冷却した懸濁液に、1-メチルピペリジン-4-カルボン酸クロリドを少量ずつ添加し、得られた混合物を3時間還流した。この反応混合物を冷却し、氷水中に注いだ。有機相を廃棄した。水性溶液を、エチルエーテル2×50mlで洗浄し、水酸化カリウムペレットでゆっくりとpH>10まで塩基性とし、エチルエーテル4×50mlで抽出した。一緒にしたエーテル系溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、標題化合物9.5gを収率84%で得た。
【0079】
B. 1-メチルピペリジン-4-イルフェニルメタノールの合成

【0080】
メタノール30ml中の1-メチルピペリジン-4-イルフェニルメタノン1.02g(5mmol)の溶液へ、水素化ホウ素ナトリウム0.378g(10mmol)を少量ずつ添加した。この反応混合物を、室温で2時間攪拌し、濃縮し、水を添加し、塩化メチレン2×50mlで抽出した。一緒にした有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、標題化合物1gを収率98%で得た。
【0081】
C. 4-(クロロ)フェニルメチル)-1-メチルピペリジンの合成

【0082】
トルエン(5ml)中の4-クロロフェニル1-メチルピペリジン-4-イルメタノール1.2g(5.85mmol)の溶液へ、塩化チオニル(0.5ml)を滴下した。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。その後混合物を、NaOH溶液でアルカリ性とし、酢酸エチル(3×40)で抽出した。一緒にした有機溶液を乾燥し、濃縮し、所望の生成物1.2gを得た。
【0083】
D. 1-(フェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジンの合成

【0084】
ブタノン(10ml)、無水ピペラジン(1.9g, 21.52mmol)、無水K2CO3(0.74g, 5.38mmol)およびKI(0.89g, 5.38mmol)中の4-(クロロ(フェニル)メチル)-1-メチルピペリジン(1.2g, 5.38mmol)の混合物を、窒素下で18時間還流した。その後この混合物を冷却し、濾過し、溶媒を真空で除去した。残渣を、CH2Cl2(50ml)中に溶解し、水(30ml)で洗浄した。溶媒の乾燥および除去、それに続くクロマトグラフィー(CH2Cl2:CH3OH:NH4OH 90:10:0.5)により、所望の生成物を収率70%で生じた。
【0085】
E. N-ベンズヒドリル-4-((フェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0086】
塩化メチレン(20ml)中に溶解した1-((フェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン0.1g(0.36mmol)の溶液へ、ジフェニルメチルイソシアネート0.075g(0.36mmol)を添加し、この反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。この残渣を、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:10)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物0.15gを得た。
【0087】
実施例4 N-ベンズヒドリル-4-(1-(フェニル)-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)エチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0088】
A. Tert-ブチル4-[シアノ(1-メチルピペリジン-4-イル)フェニルメチル]ピペラジン-1-カルボキシラートの合成

【0089】
1,2-ジクロロエタン(25ml)中の1-メチル-4-ピペリジニルフェニルメタノン1.218g(6mmol)、N-Bocピペラジン1.118g(6mmol)およびチタン(IV)イソプロポキシド1.77ml(6mmol)の溶液を、室温で72時間攪拌した。ジエチルアルミニウムシアニド(トルエン中1M溶液)12mlを添加し、この反応混合物を、更に24時間攪拌した。反応を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20ml)で停止し、濾過した。濾液を、酢酸エチルで2回抽出した。一緒にした酢酸エチル溶液を、更に飽和した炭酸水素ナトリウム溶液および鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:2.5)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物0.6gを収率25%で得た。
【0090】
B. Tert-ブチル4-[1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1-フェニルエチル]ピペラジン-1-カルボキシラートの合成

【0091】
THF(10ml)中に溶解したtert-ブチル4-[シアノ(1-メチルピペリジン-4-イル)フェニルメチル]ピペラジン-1-カルボキシラート0.6g(1.51mmol)の溶液へ、臭化メチルマグネシウム(エチルエーテル中の3M溶液)3.2mlを、0℃で窒素保護下で滴下した。その後反応混合物を、室温で一晩で攪拌した。この反応を、水により停止し、濃縮し、酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウムの間で分配した。酢酸エチル溶液を、鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。濃縮後、油状残渣を、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:3)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物0.16g(収率27%)を得た。
【0092】
C. 1-[1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1-フェニルエチル]ピペラジンの合成

【0093】
塩化メチレン(20ml)中のtert-ブチル4-[1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1-フェニルエチル]ピペラジン-1-カルボキシラート0.16g(0.41mmol)の溶液へ、トリフルオロ酢酸(5ml)を添加し、得られた混合物を、室温で2時間攪拌した。この反応混合物を濃縮し、塩化メチレンに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウムおよび鹹水で洗浄した。塩化メチレン溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、所望の生成物0.1g(82%収率)を得た。
【0094】
D. N-ベンズヒドリル-4-(1-(フェニル)-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)エチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0095】
塩化メチレン(20ml)に溶解した1-[1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1-フェニルエチル]ピペラジン0.1g(0.348mmol)の溶液へ、ジフェニルメチルイソシアネート0.073g(0.348mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣を、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:10)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物0.15gを収率87%で得た。
【0096】
実施例5 N-ベンズヒドリル-4-((4-クロロフェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0097】
A. 1-メチルピペリジン-4-カルボン酸クロリドの合成

【0098】
1-メチルピペリジン-4-カルボン酸塩酸塩10g(55.7mmol)を、塩化チオニル(25ml)に添加し、得られた混合物を、固形物が完全に溶解するまで、室温で攪拌した。この反応混合物を、更に20分間撹拌し、および濃縮した。生成物を、更に精製することなく、次工程に使用した。
【0099】
B. 4-クロロフェニル-1-メチルピペリジン-4-イルメタノンの合成

【0100】
0℃のクロロベンゼン30ml中の無水塩化アンモニウム(20g, 75mmol)の冷懸濁液に、1-メチルピペリジン-4-カルボン酸クロリドを少量ずつ添加し、得られた混合物を3時間還流した。反応混合物を冷却し、氷水に注いだ。有機相を廃棄した。水溶液を、2×50mlのエチルエーテルで洗浄し、水酸化カリウムペレットでゆっくりとpH>10まで塩基性とし、エチルエーテル4×50mlで抽出した。一緒にした有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、所望の生成物11.2gを収率85%で得た。
【0101】
C. (4-クロロフェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メタノールの合成

【0102】
メタノール30ml中の4-クロロフェニル1-メチルピペリジン-4-イルメタノン1.19g(5mmol)の溶液へ、水素化ホウ素ナトリウム0.378g(10mmol)を少量ずつ添加した。この反応混合物を、室温で2時間攪拌し、濃縮し、水を添加し、塩化メチレン2×50mlを添加した。一緒にした有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、所望の生成物1.2gを収率98%で得た。
【0103】
D. 4-(クロロ(4-クロロフェニル)メチル)-1-メチルピペリジンの合成

【0104】
トルエン(5ml)中の4-クロロフェニル1-メチルピペリジン-4-イルメタノール1.2g(5.02mmol)の溶液へ、塩化チオニル(0.45ml)を滴下した。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。その後混合物を、NaOH溶液でアルカリ性とし、酢酸エチル(3×40)で抽出した。一緒にした有機溶液を乾燥し、濃縮し、所望の生成物1.2gを得た。
【0105】
E. 1-((4-クロロフェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジンの合成

【0106】
ブタノン(10ml)、無水ピペラジン(1.58g, 18.45mmol)、無水K2CO3(0.63g, 4.61mmol)およびKI(0.76g, 4.61mmol)中の4-(クロロ(4-クロロフェニル)メチル)-1-メチルピペリジン(1.2g, 4.66mmol)の混合物を、窒素下で18時間還流した。その後混合物を冷却し、濾過し、溶媒を真空で除去した。残渣を、CH2Cl2(50ml)に溶解し、水(30ml)で洗浄した。溶媒の乾燥および除去、それに続くクロマトグラフィー(CH2Cl2:CH3OH:NH4OH 90:10:0.5)により、所望の生成物を収率62%で生じた。
【0107】
F. N-ベンズヒドリル-4-((4-クロロフェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0108】
塩化メチレン(20ml)中に溶解した1-((4-クロロフェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン0.1g(0.325mmol)の溶液へ、ジフェニルメチルイソシアネート0.071g(0.325mmol)を添加し、この反応混合物を、室温で1時間攪拌した。この反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣を、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:10)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物0.14gを得た。
【0109】
実施例6 N-ベンズヒドリル-4-((4-フルオロフェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0110】
A. 4-フルオロフェニル-1-メチルピペリジン-4-イルメタノンの合成

【0111】
4-フルオロフェニルピペリジン-4-イルメタノン1.79g(8.66mmol)を、ギ酸(1.5ml)およびホルムアルデヒド1.05mlに添加し、反応混合物を、55〜60℃で3時間攪拌した。冷却後、水を添加し、水酸化カリウムペレットでpH>10まで塩基性とし、エチルエーテル3×50mlで抽出した。一緒にした有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、所望の生成物1.88gを収率98%で得た。
【0112】
B. 4-フルオロフェニル1-メチルピペリジン-4-イルメタノールの合成

【0113】
メタノール30ml中の4-フルオロフェニル1-メチルピペリジン-4-イルメタノン1.10g(5mmol)の溶液へ、水素化ホウ素ナトリウム0.378g(10mmol)を少量ずつ添加した。反応混合物を、室温で2時間攪拌し、濃縮し、水を添加し、塩化メチレン2×50mlで抽出した。一緒にした有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、所望の生成物1.0gを収率90%で得た。
【0114】
C. 4-(クロロ(4-フルオロフェニル)メチル)-1-メチルピペリジンの合成

【0115】
トルエン(5ml)中の4-フルオロフェニル1-メチルピペリジン-4-イルメタノール1.2g(4.98mmol)の溶液に、塩化チオニル(0.44ml)を滴下した。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。その後混合物を、NaOH溶液でアルカリ性とし、酢酸エチル(3×40)で抽出した。一緒にした有機溶液を乾燥し、濃縮し、所望の生成物1.1gを得た。
【0116】
D. 1-((4-フルオロフェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジンの合成

【0117】
ブタノン(10ml)、無水ピペラジン(1.43g, 16.48mmol)、無水K2CO3(0.54g, 4.14mmol)およびKI(0.65g, 4.14mmol)の中の4-(クロロ(4-フルオロフェニル)メチル)-1-メチルピペリジン(1.2g, 4.12mmol)の混合物を、窒素下で18時間還流した。その後混合物を冷却し、濾過し、溶媒を真空で除去した。残渣を、CH2Cl2(50ml)に溶解し、水(30ml)で洗浄した。溶媒の乾燥および除去、それに続くクロマトグラフィー(CH2Cl2:CH3OH:NH4OH 90:10:0.5)により、所望の生成物を収率62%で得た。
【0118】
E. N-ベンズヒドリル-4-((4-フルオロフェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0119】
塩化メチレン(20ml)中に溶解した1-((4-フルオロフェニル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン0.1g(0.343mmol)の溶液へ、ジフェニルメチルイソシアネート0.073g(0.343mmol)を添加し、この反応混合物を、室温で1時間攪拌した。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣を、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:10)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物0.13gを得た。
【0120】
実施例7 N-ベンズヒドリル-4-((S)-1-(1-メチルピロリジン-2-イルメチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0121】
A. (S)-tert-ブチル2-(4-ベンジルピペラジン-1-カルボニル)ピロリジン-1-カルボキシラートの合成

【0122】
塩化メチレン(50ml)中のN-Boc-L-プロリン0.645g(3mmol)、1-ベンジルピペラジン0.528g(3mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(EDC)1.152g(6mmol)および触媒量の4-(ジメチルアミノ)ピリジンの溶液を、室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮し、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:5)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物1.01gを収率90%で得た。
【0123】
B. (S)-1-ベンジル-4-[(1-メチルピロリジン-2-イル)メチル]ピペラジンの合成

【0124】
THF(10ml)中の(S)-tert-ブチル2-(4-ベンジルピペラジン-1-カルボニル)ピロリジン-1-カルボキシラート1.01g(2.71mmol)を、THF中の1M水素化リチウムアルミニウム(8.2ml)の溶液へ、アルゴン保護下で0℃でゆっくり添加した。反応混合物を、2時間還流し、冷却し、水で反応停止し、エチルエーテル2×50mlで抽出した。一緒にした有機溶液を、鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、所望の生成物0.71gを、収率96%で得た。
【0125】
C. (S)-1-(1-メチルピロリジン-2-イルメチル)ピペラジンの合成

【0126】
THF 40ml中の(S)-1-ベンジル-4-[(1-メチルピロリジン-2-イル)メチル]ピペラジン0.71g(2.61mmol)の溶液に、10%Pd/C 0.4gを添加し、1atmの水素に一晩曝した。この反応混合物を濾過した。濾液を濃縮し、所望の生成物0.450gを収率94%で得た。
【0127】
D. N-ベンズヒドリル-4-((S)-1-(1-メチルピロリジン-2-イルメチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0128】
塩化メチレン(30ml)中の(S)-1-(1-メチルピロリジン-2-イルメチル)ピペラジン0.225g(1.23mmol)の溶液に、ジフェニルメチルイソシアネート0.257g(1.23mmol)を添加した。反応混合物を、室温で30分間攪拌し、濃縮し、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:5)を使用するフラッシュクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物0.33gを収率68%で得た。
【0129】
実施例8 N-ベンズヒドリル-4-((S)-1-(1-メチルピペリジンイル-2-イルメチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0130】
A. (S)-tert-ブチル2-(4-ベンジルピペラジン-1-カルボニル)ピペリジン-1-カルボキシラートの合成

【0131】
塩化メチレン(50ml)中の(S)-(-)-1-Boc-2-ピペリジンカルボン酸1g(4.27mmol)、1-ベンジルピペラジン0.77g(4.27mmol)、EDC 1.64g(8.54mmol)および触媒量の4-(ジメチルアミノ)ピリジンの溶液を、室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮し、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:5)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物1.23gを収率74.5%で得た。
【0132】
B. (S)-1-ベンジル-4-[(1-メチルピペリジン-2-イル)メチル]ピペラジンの合成

【0133】
THF(10ml)中の(S)-tert-ブチル2-(4-ベンジルピペラジン-1-カルボニル)ピペリジン-1-カルボキシラート1.23g(3.18mmol)の溶液を、THF(8ml)中のTHFを溶媒とする1M水素化リチウムアルミニウムの溶液9.6mlへ0℃でアルゴン保護下でゆっくり添加した。反応混合物を2時間還流し、冷却し、水で反応停止し、エチルエーテル2×50mlで抽出した。一緒にした有機溶液を、鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、所望の生成物0.87gを収率95%で得た。
【0134】
C. (S)-1-(1-メチルピペリジン-2-イルメチル)ピペラジンの合成

【0135】
THF(40ml)中の(S)-1-ベンジル-4-[(1-メチルピペリジン-2-イル)メチル]ピペラジン0.87g(3.03mmol)の溶液へ、10%Pd/C 0.4gを添加し、1atmの水素に一晩曝した。反応混合物を濾過した。濾液を濃縮し、所望の生成物0.3gを収率50%で得た。
【0136】
D. N-ベンズヒドリル-4-((S)-1-(1-メチルピペリジンイル-2-イルメチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0137】
塩化メチレン(30ml)中の(S)-1-(1-メチルピペリジン-2-イルメチル)ピペラジン0.3g(1.52mmol)の溶液へ、ジフェニルメチルイソシアネート0.318g(1.52mmol)を添加した。反応混合物を、室温で30分間攪拌し、濃縮し、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:5)を使用するフラッシュクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物0.33gを収率53%で得た。
【0138】
実施例9 イソシアネートの合成

【0139】
下記のイソシアネートを、3,3'-ジフルオロフェニルメチルイソシアネート;4,4'-ジメチルフェニルメチルイソシアネート;4,4'-ジフルオロフェニルメチルイソシアネート;および、4,4'-ジクロロフェニルメチルイソシアネートについて以下に概略した手法に従い生成した。
【0140】
A. 3,3'-ジフルオロフェニルメチルヒドロキシルアミンの合成

【0141】
3,3'-ジフルオロベンゾフェノン(5g, 20.1mmol)および塩酸ヒドロキシルアミン(5g, 71.9mmol)を、エタノール(200mL)に溶解し、16時間還流した。粗反応液を、真空で蒸発乾固させ、その後CH2Cl2に溶解した。有機相を、水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、真空下で乾燥した。所望の生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2, Rf0.3)で白色固形物として(3.63g, 77%)精製した。
【0142】
B. 3,3'-ジフルオロフェニルメチルアミンの合成

【0143】
3,3'-ジフルオロフェニルメチルヒドロキシルアミン(3.63g, 15.6mmol)を、N2雰囲気下でTHF(50mL)に溶解した。LiAlH4(1.24g, 32.6mmol)を、固形物として少しずつ添加した。この反応液を、N2下で16時間穏やかに還流した。この反応を、10%NaOHを添加することにより停止し、白色沈殿を形成させた。この固形物を、吸引濾過により除去し、EtOAcで洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、真空で濃縮した。粗残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2から10%EtOAc/CH2Cl2, Rf0.1から0.6)により精製し、暗黄色油状物(2g, 58%)を得た。
【0144】
C. 3,3'-ジフルオロフェニルメチルイソシアネートの合成

【0145】
3,3'-ジフルオロフェニルメチルアミンを、N2雰囲気下でトルエン(15mL)に溶解した。ホスゲン(トルエン中の20%溶液9mL)を滴下した。この反応液を、N2下で1.5時間還流した。溶媒を、減圧下で除去した。残存する残渣を、使用前に高真空下で2時間乾燥した。
【0146】
実施例10 N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-4-(3-ジメチルアミノプロピル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0147】
4,4'-ジメチルフェニルメチルイソシアネート(140mg, 0.59mmol)(実施例9に提供されたように調製)を、CH2Cl2(5mL)に溶解した。CH2Cl2(5mL)中の1-(3-ジメチルアミノプロピル)ピペラジン(92mg, 0.53mmol)を添加し、この反応液を、N2下室温で16時間攪拌した。16時間後、溶媒を減圧下で除去した。粗残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー10/10/80 Et3N/MeOH/EtOAc(Rf0.4)で精製し、生成物を透明な油状物として得た(120mg, 55%)。HCl塩を、この生成物をCH2Cl2に溶解することにより得、その後HCl/Et2Oを添加し、白色沈殿物を得た。過剰なHClおよび溶媒を、真空で除去し、生成物を白色固形物として得た。MS(C25H36N4O + 1) 409.4。
【0148】
実施例11 N-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-4-(3-ピペリジン-1-イルプロピル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0149】
4,4'-ジクロロフェニルメチルイソシアネート(275mg, 0.99mmol)(実施例9に提供されたように調製)を、CH2Cl2(5mL)に溶解した。CH2Cl2(5mL)中の1-(3-ピペリジン-1-イルプロピル)ピペラジン(190mg, 0.89mmol)を添加し、この反応液を、N2下室温で16時間攪拌した。16時間後、溶媒を減圧下で除去した。粗残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー5/5/90 Et3N/MeOH/EtOAc(Rf0.2)で精製し、生成物を透明な油状物として得た(260mg, 60%)。HCl塩を、この生成物をCH2Cl2に溶解することにより得、その後HCl/Et2Oを添加し、白色沈殿物を得た。過剰なHClおよび溶媒を、真空で除去し、生成物を白色固形物として得た。MS(C26H34Cl2N4O)489.4。
【0150】
実施例12 N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-(3-モルホリン-4-イルプロピル)ピペラジン-1-カルボキシアミド

【0151】
4,4'-ジフルオロフェニルメチルイソシアネート(250mg, 1.03mmol)(実施例9に提供されたように調製)を、CH2Cl2(5mL)に溶解した。CH2Cl2(5mL)中の1-(3-モルホリノプロピル)ピペラジン(150mg, 7mmol)を添加し、この反応液を、N2下室温で16時間攪拌した。16時間後、溶媒を減圧下で除去した。粗残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー10/10/80 Et3N/MeOH/EtOAc(Rf0.4)で精製し、生成物を透明な油状物として得た(300mg, 86%)。HCl塩を、この生成物をCH2Cl2に溶解することにより得、その後HCl/Et2Oを添加し、白色沈殿物を得た。過剰なHClおよび溶媒を、真空で除去し、生成物を白色固形物として得た。MS(C25H32F2N4O2 -1) 457.3。
【0152】
実施例13 N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)ピペラジン-1-カルボキシアミド

【0153】
4,4'-ジフルオロフェニルメチルイソシアネート(250mg, 1.03mmol)(実施例9に提供されたように調製)を、CH2Cl2(5mL)に溶解した。CH2Cl2(5mL)中の1-(3-ピロリジニルプロピル)ピペラジン(184mg, 9mmol)を添加し、この反応液を、N2下室温で16時間攪拌した。16時間後、溶媒を減圧下で除去した。粗残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー10/10/80 Et3N/MeOH/EtOAc(Rf0.4)で精製し、生成物を透明な油状物として得た(300mg, 73%)。HCl塩を、この生成物をCH2Cl2に溶解し、その後HCl/Et2Oを添加することにより得、白色沈殿物を得た。過剰なHClおよび溶媒を、真空で除去し、生成物を白色固形物として得た。MS(C25H32F2N4O +1) 443.4。
【0154】
実施例14 N-ベンズヒドリル-4-((1-メチル-4-フェニルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0155】
A. 1-メチル-4-フェニルピペリジン-4-カルボニトリルの合成

【0156】
トルエン(25ml)中のメクロルエタミン(mechlorethamine)(4g, 25.6mmol)およびシアン化ベンジル(4g, 34.2mmol)の溶液に、ナトリウムアミド(2g, 51.2mmol)を40〜50℃で1時間かけて少しずつ添加した。添加後、反応混合物を加熱し、約2時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣を、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:5)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物3gを得た。
【0157】
B. 1-メチル-4-フェニルピペリジン-4-カルボン酸ハイドロクロライドの合成

【0158】
1-メチル-4-フェニルピペリジン-4-カルボニトリル(3g, 15mmol)を、6N HCl(40ml)と共に一晩還流した。反応混合物を濃縮し、水を除去した。所望の生成物(3.4g)を、炉内減圧下での加熱および乾燥により得た。
【0159】
C. (4-ベンジルピペラジン-1-イル)(1-メチル-4-フェニルピペリジン-4-イル)メタノンの合成

【0160】
ジクロロメタン40ml中の1-メチル-4-フェニルピペリジン-4-カルボン酸ハイドロクロライド(1.35g, 5mmol)、ベンジルピペラジン0.88g(5mmol)、トリエチルアミン1mlおよびEDC 1.91g(10mmol)およびDMAP(触媒)の溶液を、室温で一晩攪拌し、濃縮し、水を添加し、酢酸エチル2×50mlで抽出した。一緒にした有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣を、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:10)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物1.5gを得た。
【0161】
D. 1-ベンジル-4-((1-メチル-4-フェニルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジンの合成

【0162】
THF(30ml)中の(4-ベンジルピペラジン-1-イル)(1-メチル-4-フェニルピペリジン-4-イル)メタノン(1.5g, 4mmol)の溶液へ、LiAlH4(8mmol)を少しずつ添加した。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。この混合物を、酢酸エチルおよびメタノールで反応停止し、その後10%NaOH溶液でアルカリ性とし、酢酸エチル(3×40)で抽出した。一緒にした有機溶液を乾燥し、濃縮し、所望の生成物1.5gを得た。
【0163】
E. 1-((1-メチル-4-フェニルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジンの合成

【0164】
メタノール(50ml)中の1-ベンジル-4-((1-メチル-4-フェニルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン(1.5g, 4mmol)および20%PdOH/Cの混合物を、水素添加バール(bar)中で、H2 50〜60psi下で18時間振盪した。その後混合物を濾過し、溶媒を真空で除去し、所望の生成物を得た。
【0165】
F. N-ベンズヒドリル-4-((1-メチル-4-フェニルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0166】
塩化メチレン(5ml)中に溶解した1-((メチル-4-フェニルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン(0.135g, 0.5mmol)の溶液へ、ジフェニルメチルイソシアネート(0.115g, 0.55mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣を、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:10)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物0.13gを得た。
【0167】
実施例15 N-ベンズヒドリル-2,6-ジメチル-4-((1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0168】
A. 1-(Tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-メチルカルボキシラートの合成

【0169】
メタノール80ml中のイソネペコテート(isonepecotate)(7.2g, 50mmol)、Boc無水物(12g, 55mmol)、トリエチルアミン7mlの溶液を、室温で一晩攪拌し、濃縮し、水を添加し、酢酸エチル2×50mlで抽出した。一緒にした有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣を、溶離液として酢酸エチル:石油エーテル(3:1)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物12gを得た。
【0170】
B. 1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-カルボン酸の合成

【0171】
THF(45ml)、水(15ml)およびメタノール(15ml)の中の1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-メチルカルボキシラート(2.42g, 10mmol)およびLiOH・3H2Oの混合物を、室温で一晩攪拌した。その後混合物を濃縮し、溶媒を除去した。残渣を、2N HClで、pH〜2に調節し、酢酸エチル(2×40ml)で抽出した。一緒にした有機溶液を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、所望の生成物2.3gを得た。
【0172】
C. 4-(3,5-ジメチルピペラジン-1-カルボニル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルの合成

【0173】
ジクロロメタン20ml中の1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-カルボン酸(2.3g, 10mmol)、2,6-ジメチルピペラジン(1.14g, 10mmol)、およびEDC(3.82g, 20mmol)およびDMAP(触媒)の溶液を、室温で一晩攪拌し、濃縮し、水を添加し、酢酸エチル2×50mlで抽出した。一緒にした有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣を、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:5)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物1.9gを得た。
【0174】
D. 3,5-ジメチル-1-((1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジンの合成

【0175】
THF(50ml)中のtert-ブチル-4-(3,5-ジメチルピペラジン-1-カルボニル)ピペリジン-1-カルボキシラート(1.9g, 5.8mmol)の溶液に、LiAlH4(18.7mmol)を少しずつ添加した。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。この混合物を、酢酸エチルおよびメタノールで反応停止し、その後10%NaOH溶液でアルカリ性とし、および酢酸エチル(3×40)で抽出した。一緒にした有機溶液を乾燥し、濃縮し、所望の生成物1.2gとした。
【0176】
E. N-ベンズヒドリル-2,6-ジメチル-4-((1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン-1-カルボキシアミドの合成

【0177】
塩化メチレン(5ml)中に溶解した3,5-ジメチル-1-((1-メチルピペリジン-4-イル)メチル)ピペラジン(0.2g, 1mmol)の溶液に、ジフェニルメチルイソシアネート(0.227g, 1.09mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣を、溶離液として塩化メチレンおよびメタノール(100:10)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけ、所望の生成物0.12gを得た。
【0178】
実施例16
先に説明した手法に従い、下記化合物を調製した。












【0179】
同様の方法で、反応スキーム1を用いるが、ピペラジンを4-アミノピペリジンと置換して、ZがNよりもむしろCHNHである前記化合物を調製した。
【0180】
実施例17 様々な発明の化合物のN型チャネルブロック活性
A. HEK細胞の形質転換
N型カルシウムチャネルブロック活性を、ラット脳N型カルシウムチャネルサブユニット(α1B+α2δ+β1b cDNAサブユニット)が安定してトランスフェクトされた、ヒト胚性腎細胞HEK293においてアッセイした。あるいは、N型カルシウムチャネル(α1B+α2δ+β1b cDNAサブユニット)、L型チャネル(α1C+α2δ+β1b cDNAサブユニット)およびP/Q型チャネル(α1A+α2δ+β1b cDNAサブユニット)を、HEK293細胞において一過性に発現した。簡単に述べると、細胞を、10%ウシ胎仔血清、200U/mlペニシリンおよび0.2mg/mlストレプトマイシンを補充したダルベッコ変更イーグル培地(DMEM)において、37℃、5%CO2で培養した。細胞の集密度85%で、0.25%トリプシン/1mM EDTAで分断し(split)、ガラス製カバーガラス上に10%集密度で配置した。12時間で、培地を交換し、標準リン酸カルシウムプロトコールおよび適当なカルシウムチャネルcDNAを用い、細胞を一過性にトランスフェクトした。新鮮なDMEMを補充し、細胞を、28℃/5%CO2に移した。ホールセル記録の前に、細胞を1〜2日間インキュベーションした。
【0181】
B. 阻害の測定
ホールセルパッチクランプ実験を、pCLAMPソフトウェアを実装したパーソナルコンピューターに連結されたAxopatch 200B増幅装置(Axon Instruments, Burlingame, Calif.)を用いて行った。外部および内部記録溶液は、各々、5mM BaCl2、10mM MgCl2、10mM HEPES、40mM TEACl、10mMグルコース、87.5mM CsCl(pH7.2)、および108mM CsMS、4mM MgCl2、9mM EGTA、9mM HEPES(pH7.2)を含有した。電流は、典型的には、Clampexソフトウェア(Axon Instruments)を用い、保持電位-80mVから+10mVまで誘発した。典型的には電流は、最初に低周波数刺激(0.067Hz)で誘起され、本化合物の適用前に安定化させた。その後化合物を、持続性ブロックを評価するために、2〜3分間の低周波数パルストレイン時に適用し、周波数依存型ブロックを評価するために、引き続きパルス周波数を0.2Hzに増加した。データを、Clampfit(Axon Instruments)およびSigmaPlot 4.0(Jandel Scientific)を用いて解析した。
【0182】
N型チャネルについて得られた特異的データを、下記表2に示した。
【0183】
(表2)N型カルシウムチャネルブロック

【0184】
実施例18 様々な本発明の化合物のT型チャネルブロック活性
標準のパッチクランプ技術を用い、T型電流のブロッカーを同定した。簡単に述べると、先に説明したヒトα1G T型チャネルを安定して発現しているHEK細胞株を、全ての記録に使用した(継代数:4〜20、37℃、5%CO2)。T型電流を得るために、半集密な細胞を含有するプラスチック皿を、培養培地を外部溶液(下記参照)と交換した後、ZEISS AXIOVERT S100顕微鏡のステージ上に配置した。ホールセルパッチを、ピペット(フィラメント入りホウケイ酸ガラス、外径:1.5mm、内径:0.86mm、長さ10cm)を用いて得、抵抗値〜5MΩを持つSUTTER P-97プラー上で製作した(内部溶液については下記参照)。
【0185】
(表3)外部溶液500ml-pH7.4、265.5mOsm

(表4)内部溶液50ml-CsOHでpH7.3、270mOsm

T型電流は、2種の電位プロトコールを使用し、信頼できるものを得た:
(1)「非不活性化」および
(2)「不活性化」
【0186】
非不活性化プロトコールにおいて、50ミリ秒間の-40mVでの試験パルスに先立ち、1秒間の-100mVでのプレパルスと共に保持電位-を110mVに設定した。不活性化プロトコールにおいて、プレパルスは、約-85mVで1秒間であり、これはT型チャネルの約15%を不活性化した。
【0187】

【0188】
被験化合物は、外部溶液0.1〜0.01%DMSOに溶解した。〜10分間静置した後、これらを、WPIマイクロフィルチューブを用い、細胞近くに重力により適用した。「非不活性化」プレパルスを使用し、化合物の静止時(resting)のブロックを試験した。「不活性化」プロトコールを使用し、電位依存型ブロックを試験した。しかし、以下に示した最初のデータは、非不活性化プロトコールのみを用いて主に得られた。表5に、本発明の様々な化合物のIC50値を示した。
【0189】
(表5)T型カルシウムチャネルブロック

【0190】
実施例19 ホルマリン誘導型疼痛モデルにおける本発明の化合物の活性
ラットホルマリンモデルに対する髄腔内送達された本発明の化合物の作用を測定された。これらの化合物は、プロピレングリコール中約10mg/mlのストック液へと再構成された。サイズ275〜375gの8匹のHoltzman雄ラットを、被験物質毎に無作為に選択した。
【0191】
下記試験群を使用し、被験物質、ビヒクル対照(プロピレングリコール)および生理食塩水と共に、腹腔内(IP)送達した。
【0192】
(表6)ホルマリンモデル投与群

N/A=該当なし
【0193】
薬物送達の開始前に、ベースライン行動および試験データを集めた。被験物質または対照物質の注入後選択された時点で、これらのデータを再度収集した。
【0194】
試験日の朝、小さい金属バンド(0.5g)を、右後足の周りにゆるくはめた。ラットは、馴化のために最低30分間、円筒状Plexiglas(登録商標)製チャンバー内に入れた。被験物質またはビヒクル対照物質を、ラット右後足の背側表面に、ホルマリン注射(5%ホルマリン50μl)10分前に投与した。次に動物を、ホルマリン注射した足の運動をモニタリングする、自動式ホルマリン装置のチャンバーに入れ、1分間に集計される足が縮みあがった回数を次の60分間モニタリングした(Malmberg, A.B., et al., Anesthesiology (1993) 79:270-281)。
【0195】
結果は、最大可能効力±SEMで表し、生理食塩水対照=100%とした。
【0196】
(表7)ホルマリン誘導した疼痛モデルにおける%最大可能効率

【0197】
実施例20 ニューロパシー痛の脊髄神経結紮モデル
脊髄神経結紮(SNL)損傷を、KimおよびChungの手法(Kim S.H., et al., Pain (1992)56:355-363)を用い、体重200〜300gの雄のSprague-Dawleyラット(Harlan;Indianapolis, IN)において、誘導した。感覚消失を、O2中の2%ハロタン2L/分で誘導し、O2中の0.5%ハロタンで維持した。ラットの外科的処置およびL4からS2の背側脊柱の露出の後、L5およびL6脊髄神経を、4〜0シルク縫合糸を用い、後根神経節の末端側に固く結紮した。切開部を縫合し、動物を5日間回復させた。運動障害(足の引きずりなど)を示すか、または引き続く接触性アロディニアを示すことに失敗したラットは、更なる試験から排除した。偽対照ラットは、SNLなしであること以外は、実験動物と同じ手術および管理を行った。
【0198】
接触性アロディニアの評価は、連続キャリブレーションしたvon Freyフィラメントによるプロービングに反応する神経損傷部位に対して同側の足の引っ込め閾値(withdrawal threshold)の測定からなる。各フィラメントは、吊り下げたワイヤメッシュケージ中に保持したラットの結紮した足の足底面に対し垂直に適用した。測定は、薬物またはビヒクルの投与前後に行った。引っ込め閾値は、刺激強度を連続的に増加および減少することにより決定し(「上げ下げ」法)、Dixon非パラメトリック検定(Chaplan, S. R., et al., J Pharmacol Exp Ther (1994) 269: 1117-1123)を用いて分析し、平均引っ込め閾値として表した。
【0199】
Hargreavesと同僚の方法(Hargreaves, K., et al., Pain (1988) 32:77-88)を用い、温熱性侵害受容刺激に対する足引っ込め潜時(paw-withdrawal latency)を評価した。ラットは、30℃に維持した透明なガラス板上のPlexiglas(登録商標)囲い内で順応させた。放射熱源(すなわち高輝度プロジェクターランプ)を、タイマーで点灯し、神経損傷したラットまたはカラゲナン注射したラットの罹患した足の足底面に焦点を当てた。足引っ込め潜時は、足を引っ込めた時点でランプとタイマーの両方を停止する光電セルにより決定した。放射熱源からの足の引っ込めの潜時は、カラゲナンまたはL5/L5 SNLの前、カラゲナンの3時間後または薬物投与前および薬物投与後L5/L6 SNLの7日後に決定した。40秒の最大カットオフを用い、組織損傷を防いだ。従って足引っ込め潜時は、ほぼ0.1秒で決定した。温熱性痛覚過敏の逆行を、足引っ込め潜時の治療前ベースライン潜時(すなわち、21秒)への回復により示した。抗侵害受容を、このベースラインを上回る足引っ込め潜時の有意な(p<0.05)増加で示した。データは、下記式により、%抗痛覚過敏または%抗侵害受容に変換した:
100×(試験潜時−ベースライン潜時)/(カットオフ−ベースライン潜時)
ここで、抗痛覚過敏の決定のためのカットオフは21秒であり、抗侵害受容については40秒である。
【0200】
化合物1は、プロピレングリコール溶液中に投与量30mg/kgとして経口投与した。活性の割合を、接触性アロディニア、温熱性痛覚過敏および痛覚消失のブロックについて計算した。
【0201】
(表8)ニューロパシー痛のSNLモデルにおける%活性

【0202】
他の対象となる文献は以下を含む。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムイオンチャネル活性により媒介された状態の治療法であり、この方法が、そのような治療を必要とする対象へ、該状態を改善するのに有効な量の式(1)の化合物を投与する段階を含み、ここで該化合物が、下記式

およびそれらの塩または複合体であり、
ここでAおよびBの各々は独立して、H、アルキル(1-8C)、6員の芳香族もしくは非芳香族の炭素環式部分もしくは複素環式部分であるか、またはアミノアルキルもしくはアミノアルケニルであり、ならびにここでAおよびBの一方またはただひとつは、Hまたはアルキル(1-8C)であってよく;
R1は、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)またはアルキニル(2-8C)であり;
Zは、NまたはCHNR2であり、ここでR2は、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)またはアルキニル(2-8C)であり;
各R3は独立して、=O、アルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アシル、アリール、アルキルアリール、ハロ、CHF2、CF3、OCF3、OCHF2、OCOR、CN、NO2、NR2、OR、SR、COR、COOR、CONR2、SOR、SO2R、SO3R、NRCOR、NRCOOR、OCONR2、SONR、SO2NR、OOCR、NRSORおよびNRSO2Rからなる群より選択される置換基であり、ここでRは、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アリール、またはアルキルアリールであり、ここで同じ窒素上の2個のRは、5〜7員の環を形成してもよく、およびここで隣接炭素上の2個の置換基は、5〜7員の環を形成してもよく;
ここで各R4は独立して、Hまたはアルキル(1-4C)であり;
mは、0-3であり;
nは、0-2であり;
各Arは独立して、窒素原子を含んでいてもよい6員のまたは縮合芳香族環系であり;ならびに
ここで式(1)のAまたはBに含まれた各環式部分および各Ar部分は、=O(非芳香族環式部分)、アルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アシル、アリール、アルキルアリール、ハロ、CHF2、CF3、OCF3、OCHF2、OCOR、CN、NO2、NR2、OR、SR、COR、COOR、CONR2、SOR、SO2R、SO3R、NRCOR、NRCOOR、OCONR2、SONR、SO2NR、OOCR、NRSORおよびNRSO2Rからなる群より選択される1または複数の置換基により置換されてよく、ここでRは、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アリール、またはアルキルアリールであり、ここで同じ窒素上の2個のRは、5〜7員の環を形成してもよく、およびここで隣接炭素上の2個の置換基は、5〜7員の環を形成してもよく;ならびに
ここで先に説明された任意のアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールは、更に、=O、アルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アシル、アリール、アルキルアリール、ハロ、CHF2、CF3、OCF3、OCHF2、OCOR、CN、NO2、NR2、OR、SR、COR、COOR、CONR2、SOR、SO2R、SO3R、NRCOR、NROR、NRCOOR、OCONR2、SONR、SO2NR、OOCR、NRSORおよびNRSO2Rにより置換されてもよく、ここでRは、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アリール、またはアルキルアリールであり、ここで同じ窒素上の2個のRは、5〜7員の環を形成してもよく、およびここで隣接炭素上の2個の置換基は、5〜7員を形成してもよい、方法。
【請求項2】
状態が、急性または慢性疼痛、気分障害、神経変性障害、胃腸障害、泌尿生殖器障害、神経保護、代謝障害、循環器疾患、てんかん、糖尿病、前立腺癌、睡眠障害、パーキンソン病、統合失調症または男性受胎調節である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
状態が、急性または慢性疼痛である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
A、Bおよび各Arが、独立してフェニルまたはピリジルである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
AおよびBの一方が、アミノアルキルであり、該アミノ基は、環系に含まれてもよく、および他方は、アルキルまたはHである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
AおよびBの一方が、非芳香族炭素環式または複素環式部分であり、および他方は、Hまたはアルキルである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
R1がHである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ZがNである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ZがCHNHである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
nが0である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
mが0である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
nが2であり、およびR3が=OまたはCOOHである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
各R4がHである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
各Arが独立してフェニルまたはピリジルである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
化合物が、
4-ベンズヒドリル-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2,4-ジクロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2,4-ジメチル-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(3-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2,3-ジクロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-フェニル-メチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-メトキシ-フェニル)-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(1-メチル-ピペリジン-4-イルメチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(1-メチル-ピペリジン-3-イルメチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(フェニル-ピリジン-3-イル-メチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(フェニル-ピリジン-2-イル-メチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-tert-ブチル-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-メトキシ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-ベンジルオキシ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-ヒドロキシ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-ベンズヒドリル-2,5-ジオキソ-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2-ピロリジン-1-イルエチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-3-イル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-(4-フルオロ-フェニル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-(4-クロロ-フェニル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピロリジン-2-イルメチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-フェニル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-シクロプロピルメチル-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-2-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
2,6-ジメチル-4-[(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
3-メチル-4-[(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(2-ピロリジン-1-イルエチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-メチル-アミド;
4-[(4-tert-ブチル-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-メチル-アミド;
4-[(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[ピペリジン-4-イル-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-(2,4-ジメチル-フェニル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-(2-クロロ-フェニル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-(3-クロロ-フェニル)-メチル]-ピペラジン- 1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(ジフェニル-メチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-メチル-アミド;
4-[(1-メチル-4-フェニル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
2,6-ジメチル-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-2,6-ジメチル-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-2,6-ジメチル-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-2,6-ジメチル-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
4-[メチル-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-4-(3-ジメチルアミノプロピル)-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-(3-ジメチルアミノプロピル)-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-4-(3-ジメチルアミノプロピル)-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-4-[(3-ピペリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-ピペリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-4-[(3-ピペリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-4-[(3-モルホリン-4-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-モルホリン-4-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-4-[(3-モルホリン-4-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-4-[(3-ピロリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-ピロリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-4-[(3-ピロリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-ピロリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-ピペリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-4-[(30モルホン-4-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;または
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-ジメチルアミノプロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミドである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
化合物が、
4-ベンズヒドリル-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2,4-ジクロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2,4-ジメチル-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(3-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2,3-ジクロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;または、
4-(1-メチル-ピペリジン-4-イルメチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミドである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
化合物が、4-ベンズヒドリル-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミドである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
下記式の化合物

およびそれらの塩または複合体であり、
ここでAおよびBの各々は独立して、H、アルキル(1-8C)、6員の芳香族または非芳香族の炭素環式部分もしくは1〜2個のヘテロ原子を含む環式部分であるか、またはアミノアルキルもしくはアミノアルケニルであり、ならびにここでAおよびBの一方またはただひとつは、Hまたはアルキル(1-8C)であってよく;
R1は、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)またはアルキニル(2-8C)であり;
Zは、NまたはCHNR2であり、ここでR2は、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)またはアルキニル(2-8C)であり;
各R3は独立して、=O、アルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アシル、アリール、アルキルアリール、ハロ、CHF2、CF3、OCF3、OCHF2、OCOR、CN、NO2、NR2、OR、SR、COR、COOR、CONR2、SOR、SO2R、SO3R、NRCOR、NROR、NRCOOR、OCONR2、SONR、SO2NR、OOCR、NRSORおよびNRSO2Rからなる群より選択される置換基であり、ここでRは、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アリール、またはアルキルアリールであり、ここで同じ窒素上の2個のRは、5〜7員の環を形成してもよく、およびここで隣接炭素上の2個の置換基は、5〜7員の環を形成してもよく;
ここで各R4は独立して、Hまたはアルキル(1-4C)であり;
mは、0-3であり;
nは、0-2であり;
各Arは独立して、1〜2個の窒素原子を含んでいてもよい6員のまたは縮合芳香族環系であり;ならびに
ここで式(1)のAまたはBに含まれた各環式部分および各Ar部分は、=O(非芳香族環式部分)、アルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アシル、アリール、アルキルアリール、ハロ、CHF2、CF3、OCF3、OCHF2、OCOR、CN、NO2、NR2、OR、SR、COR、COOR、CONR2、SOR、SO2R、SO3R、NRCOR、NROR、NRCOOR、OCONR2、SONR、SO2NR、OOCR、NRSORおよびNRSO2Rからなる群より選択される1または複数の置換基により置換されてよく、ここでRは、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アリール、またはアルキルアリールであり、ここで同じ窒素上の2個のRは、5〜7員の環を形成してもよく、およびここで隣接炭素上の2個の置換基は、5〜7員の環を形成してもよく;ならびに
ここで先に説明された任意のアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールは、更に、=O、アルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アシル、アリール、アルキルアリール、ハロ、CHF2、CF3、OCF3、OCHF2、OCOR、CN、NO2、NR2、OR、SR、COR、COOR、CONR2、SOR、SO2R、SO3R、NRCOR、NROR、NRCOOR、OCONR2、SONR、SO2NR、OOCR、NRSORおよびNRSO2Rにより置換されてもよく、ここでRは、Hまたはアルキル(1-8C)、アルケニル(2-8C)、アルキニル(2-8C)、アリール、またはアルキルアリールであり、ここで同じ窒素上の2個のRは、5〜7員の環を形成してもよく、およびここで隣接炭素上の2個の置換基は、5〜7員の環を形成してもよいが、
但し、ZがNであり、R1および全てのR4がHであり、mは0または1であり、ならびに各Arは未置換のフェニルである場合は、AおよびBは両方とも未置換のフェニルであることはできない、化合物。
【請求項19】
A、Bおよび各Arは独立して、フェニルまたはピリジルである、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
AおよびBの一方は、アミノアルキルであり、ここで該アミノ基は、環系に含まれていてもよく、および他方は、アルキルまたはHである、請求項18記載の化合物。
【請求項21】
AおよびBの一方は、非芳香族炭素環式または複素環式部分であり、および他方は、Hまたはアルキルである、請求項18記載の化合物。
【請求項22】
R1がHである、請求項18記載の化合物。
【請求項23】
ZがNである、請求項18記載の化合物。
【請求項24】
ZがCHNHである、請求項18記載の化合物。
【請求項25】
nが0である、請求項18記載の化合物。
【請求項26】
mが0である、請求項18記載の化合物。
【請求項27】
nが2であり、およびR3が=OまたはCOOHである、請求項18記載の化合物。
【請求項28】
各R4がHである、請求項18記載の化合物。
【請求項29】
各Arが独立してフェニルまたはピリジルである、請求項18記載の化合物。
【請求項30】
4-[(2,4-ジクロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2,4-ジメチル-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(3-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2,3-ジクロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-フェニル-メチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-メトキシ-フェニル)-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(1-メチル-ピペリジン-4-イルメチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(1-メチル-ピペリジン-3-イルメチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(フェニル-ピリジン-3-イル-メチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(フェニル-ピリジン-2-イル-メチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-tert-ブチル-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-メトキシ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-ベンジルオキシ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-ヒドロキシ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-ベンズヒドリル-2,5-ジオキソ-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2-ピロリジン-1-イルエチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-3-イル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-(4-フルオロ-フェニル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-(4-クロロ-フェニル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピロリジン-2-イルメチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-フェニル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-シクロプロピルメチル-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-2-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
2,6-ジメチル-4-[(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
3-メチル-4-[(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(2-ピロリジン-1-イルエチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-メチル-アミド;
4-[(4-tert-ブチル-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-メチル-アミド;
4-[(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[ピペリジン-4-イル-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-(2,4-ジメチル-フェニル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-(2-クロロ-フェニル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-(3-クロロ-フェニル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-(ジフェニル-メチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-メチル-アミド;
4-[(1-メチル-4-フェニル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
2,6-ジメチル-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-2,6-ジメチル-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-2,6-ジメチル-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-2,6-ジメチル-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-4-[(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-メチル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
4-[メチル-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-4-(3-ジメチルアミノプロピル)-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-(3-ジメチルアミノプロピル)-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-4-(3-ジメチルアミノプロピル)-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-4-[(3-ピペリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-ピペリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-4-[(3-ピペリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-4-[(3-モルホリン-4-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-モルホリン-4-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-4-[(3-モルホリン-4-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-4-[(3-ピロリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-ピロリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(4-メチルフェニル)メチル]-4-[(3-ピロリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-ピロリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-ピペリジン-1-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-モルホン-4-イル)プロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミド;または、
N-[ビス(3-フルオロフェニル)メチル]-4-[(3-ジメチルアミノプロピル]-ピペラジン-1-カルボキシアミドからなる群より選択される、請求項18記載の化合物。
【請求項31】
4-[(2,4-ジクロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2,4-ジメチル-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(4-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(3-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;
4-[(2,3-ジクロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミド;または
4-(1-メチル-ピペリジン-4-イルメチル)-ピペラジン-1-カルボン酸ベンズヒドリル-アミドである、請求項18記載の化合物。
【請求項32】
請求項18記載の化合物を、薬学的に許容できる賦形剤と混合して含む、薬学的組成物。

【公表番号】特表2008−511552(P2008−511552A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528540(P2007−528540)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001324
【国際公開番号】WO2006/024160
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(506340297)ニューロメッド ファーマシューティカルズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】