説明

カルシウムチャネルブロッカーとしての環状尿素化合物

本発明は、式I(式中、R1〜R3およびZは、明細書に記載されている)の環状尿素化合物、またはその医薬として許容される塩もしくは溶媒和物に関する。本発明はまた、カルシウムチャネル、特にN型カルシウムチャネルの遮断に反応性の障害を治療、予防または寛解するための、式Iの化合物の使用も対象とする。本発明の化合物は、疼痛の治療に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品化学の分野である。本発明は、新規な環状尿素化合物、およびカルシウム(Ca2+)チャネルブロッカーとしてのこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カルシウムイオンは、多くの細胞過程の調整において基本的な役割を果たす。したがって、その細胞内濃度を、厳密にではあるが動的な制御の下に維持することが不可欠である(Davila,H.M.,Annals of the New York Academy of Sciences,pp.102〜117(1999))。電位作動型カルシウムチャネル(VGCC)は、細胞への急速なカルシウム流入のための重要な機構の1つの役割を果たしている。カルシウムチャネルは、細孔形成サブユニット(α1)(異種発現系においてそれ自体で機能的チャネルを形成することができる)と、1組の補助サブユニットまたは調節性サブユニットとからなるヘテロオリゴマーのタンパク質である。カルシウムチャネルは、その薬理学的特性および/または電気生理学的特性に基づいて分類されてきた。電位作動型カルシウムチャネルの分類によって、それらは3群に分けられる。すなわち、(i)L型、N型、P型、およびQ型が含まれる高電位活性化(HVA)チャネル、(ii)中間電位活性化(IVA)R型チャネル、および(iii)低電位活性化(LVA)T型チャネルである(Davila、上記)。電位作動型カルシウムチャネル(VGCC)はまた、電位依存性カルシウムチャネル(VDCC)または電位感受性カルシウムチャネル(VSCC)としても知られている。
【0003】
電位感受性カルシウムチャネル(VSCC)は、細胞興奮性、神経伝達物質放出、ホルモン分泌、細胞内代謝、神経分泌活動および遺伝子発現などの、様々の重要なニューロン機能に影響を与える細胞内カルシウム濃度を制御する(Huら、Bioorganic & Medicinal Chemistry8:1203〜1212(2000))。N型チャネルは、中枢ニューロンおよび末梢ニューロンに主として見出され、主にシナプス前神経終末に存在する。これらのチャネルは、脱分極によって誘起されるシナプス終末からの伝達物質の放出に必要とされるカルシウム流を制御する。末梢から中枢神経系(CNS)への疼痛信号の伝達は、脊髄にあるN型カルシウムチャネルによって媒介される(Songら、J.Med.Chem.43:3474〜3477(2000))。
【0004】
6種類の型のカルシウムチャネル(すなわち、L、N、P、Q、R、およびT)は、神経系のいたるところに発現している(Wallace,M.S.,The ClinicalJournal of Pain16:580〜585(2000))。N型の電位感受性カルシウムチャネルは、後角表層にあり、中枢機構による侵害受容過程を調節すると考えられる。後角表層におけるN型カルシウムチャネルの遮断は、膜興奮性を調節し、神経伝達物質放出を阻害し、疼痛緩和をもたらす。Wallace(上記)は、動物モデルに基づいて、N型カルシウムチャネルアンタゴニストが、ナトリウムチャネルアンタゴニストよりも高い鎮痛効果を有することを示唆している。
【0005】
N型カルシウムチャネルブロッカーは、神経保護および鎮痛のために有用である。選択的N型カルシウムチャネルブロッカーであるジコノタイドは、動物モデルにおける鎮痛作用を有し、局所性および全身性虚血モデルにおける神経保護作用を有することが見出されてきた(Songら、上記)。公知のカルシウムチャネルブロッカーの例には、フルナリジン、フルスピリレン、シルニピド(cilnipide)、PD157767、SB−201823、SB−206284、NNC09−0026、およびPD151307が挙げられる(Huら、上記)。
【0006】
N型チャネルの遮断は、種々の実験条件および臨床症状における、自覚的疼痛、ならびに一次および/または二次痛覚過敏およびアロディニアを予防および/または弱めることができる(Vanegas,H.ら,Pain85:9〜18(2000))。N型電位作動型カルシウムチャネル(VGCC)は、グルタミン酸、アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、γ−アミノ酪酸(GABA)およびカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)などのシナプス伝達物質の放出において主要な役割を果たす。
【0007】
電位作動型L型カルシウムチャネルの阻害は、神経保護のために有益であることが示されてきた(Songら、上記)。しかし、心臓のL型カルシウムチャネルの阻害は、低血圧症をもたらす場合がある。動脈圧の急速で著明な低下は、L型カルシウムチャネルブロッカーの神経保護効果を抑制する傾向にあると考えられる。潜在的な降圧効果を避けるために、L型カルシウムチャネルよりもN型カルシウムチャネルに対して選択的であるアンタゴニストについての必要性が存在する。
【0008】
Akkermanらに付与された米国特許第3,184,460号には、中枢神経系に作用する1−(アルコキシフェニルアルキル)−2−イミダゾリジノンが記載されている。
【0009】
Matobaら(Chem.Pharm.Bull.28(6):1810〜1813(1980))は、中間体としての1−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]イミダゾリジン−2−オン、1,3−ビス[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]イミダゾリジン−2−オン、1−(2−フェニルエチル)イミダゾリジン−2−オン、および1,3−ビス(2−フェニルエチル)イミダゾリジン−2−オンを記載している。
【0010】
Freyneらに付与された米国特許第6,403,805号には、ホスホジエステラーゼIV(PDE IV)およびサイトカイン阻害活性を有する、1,3−ジヒドロ−1−(フェニルアルキル)−2H−イミダゾール−2−オン誘導体が記載されている。
【0011】
Sunらによる米国特許出願公開第2003/0069249号には、ORL1受容体への親和性を示す、1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン誘導体が記載されている。
【0012】
Wangら(Journal of Combinatorial Chemistry6:899〜902(2004))には、置換ベンズイミダゾロンの固相合成が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、カルシウム(Ca2+)チャネルブロッカーとしての下記の式Iによって表される化合物の使用に関する。式Iの特定の化合物は、N型カルシウムチャネルブロッカーとしての選択性を示す。
【0014】
本発明は、カルシウムチャネルの過剰作用を患っている哺乳動物において、本明細書に記載する式Iの化合物の有効量を投与することによって、前記チャネルの遮断に反応性の障害を治療、予防または寛解することにも関する。具体的には本発明は、N型カルシウムチャネルの過剰作用を患っている哺乳動物において、本明細書に記載する式Iの化合物の有効量を投与することによって、前記チャネルの遮断に反応性の障害を治療、予防または寛解することに関する。
【0015】
いくつかの本発明において有用な化合物は、今までに報告されてこなかった。したがって、本発明の一態様は、新規な式Iの化合物を対象とする。
【0016】
本発明の他の態様は、N型カルシウムチャネルブロッカーとしての新規な式Iの化合物の使用を対象とする。
【0017】
本発明のさらなる態様は、式Iの化合物の有効量を、このような治療、予防または寛解を必要としている哺乳動物に投与するステップを含む、脳卒中、頭部外傷、てんかん、疼痛(例えば、急性疼痛または慢性疼痛(これらだけに限らないが、神経因性疼痛および炎症性痛覚が含まれる))、片頭痛、気分障害、統合失調症、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、またはパーキンソン病)、うつ病、不安、精神病、高血圧、または心不整脈を治療、予防、または寛解するための方法を提供する。
【0018】
本発明のさらなる態様は、カルシウムイオンチャネル、特にN型カルシウムイオンチャネルの遮断に反応性の障害を治療、予防、または寛解するために有用な医薬組成物を提供することであり、前記医薬組成物は、1種または複数の医薬として許容される担体との混合物中に式Iの化合物の有効量を含有する。
【0019】
また、本発明の一態様は、哺乳動物においてカルシウムチャネル、特にN型カルシウムチャネルを調節する方法を提供し、前記方法は、哺乳動物に少なくとも1種類の式Iの化合物の有効量を投与するステップを含む。
【0020】
本発明のさらなる態様は、式Iの3Hまたは14C放射標識化合物、およびカルシウムチャネル上のそれらの結合部位への放射性リガンドとしてのそれらの使用を提供する。
【0021】
本発明のさらなる態様は、式Iの3Hまたは14C放射標識化合物を使用した、受容体に結合する能力について候補化合物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、
a)一定の濃度の放射標識化合物を受容体に導入して、混合物を形成するステップと、
b)混合物を候補化合物で滴定するステップと、
c)候補化合物の結合を決定するステップとを含む。
【0022】
本発明のさらなる態様は、哺乳動物において脳卒中、頭部外傷、てんかん、疼痛、片頭痛、気分障害、統合失調症、神経変性障害、うつ病、不安、精神病、高血圧、または心不整脈を治療、予防、または寛解するための医薬の製造のための、式Iの化合物の使用を提供する。好ましい実施形態では、本発明は、急性疼痛、慢性疼痛、または手術疼痛を治療、予防、または寛解するための医薬の製造のための、式Iの化合物の使用を提供する。
【0023】
本発明のさらなる実施形態および利点は、下記の説明において一部記載され、かつその説明から明らかであろうし、または本発明の実施によって知ることができる。本発明の実施形態および利点は、添付の特許請求において特に示した要素および組合せによって実現し、達成されるであろう。
【0024】
上記の概要および下記の詳細な説明の両方は、単に例示的および説明的なものであり、特許請求されている本発明を制限するものではないことを理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一態様は、式Iの化合物が、Ca2+チャネルブロッカーとして作用するという発見に基づいている。この発見に鑑みて、式Iの化合物は、カルシウムイオンチャネルの遮断に反応性の障害を治療するために有用であると考えられる。1つの態様によれば、特定の式Iの化合物は、N型カルシウムイオンチャネルを選択的に遮断し、したがってN型カルシウムイオンチャネルの選択的遮断に反応性の障害を治療するのに有用であることが見出された。
【0026】
本発明のこの態様において有用な化合物は、式I
【0027】
【化25】

[式中、
Zは、Z1およびZ2(式中、Z1は、
【0028】
【化26】

であり、
2は、−CH2−(CH2n−R8である)からなる群から選択され、
1およびR2は、両方とも水素であり、またはR1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、縮合シクロプロピル環もしくは縮合フェニル環を形成し、
3は、
(i)水素、
(ii)アルキル、
(iii)C36シクロアルキル、
(iv)−(CH2P−Y
【0029】
【化27】


からなる群から選択され、
4、R5、R6およびR7は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から各々独立に選択され、
8は、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基によって任意選択で置換されているフェニル、
アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、およびアルコキシからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているピリジル、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、およびハロアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているチアゾリル
からなる群から選択され、
9およびR10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
11およびR12は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
Yは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されている3〜7員の飽和複素環であり、
mは、0、1、2、3、4、または5であり、
nは、0、1、または2であり、
pは、0、1、2、3、または4であり、
qおよびsは、独立に0、1、2、3、4、または5であり、
rは、0または1であり、
tは、0、1、2、3、または4であり、
uは、0、1、2、3、または4である]によって表される化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
基R4〜R7およびR9〜R12は、それら自体がHと等しくない場合は、各々、R基が結合しているアリール環またはヘテロアリール環上の任意の位置にそうでなければ存在するであろう水素原子を置換する。同様に、R8のために定義したようなフェニル環、ピリジル環およびチアゾリル環に結合している任意選択の置換基は、各々、アリール環またはヘテロアリール環上の任意の位置にそうでなければ存在していたであろう水素原子を置換する。
【0031】
本発明のこの態様において有用な一群の化合物は、式I(式中、R1〜R12、Z、Y、m、n、p、q、r、s、t、およびuは、上記の記載の通りであり、但し、
1)R1およびR2が両方とも水素であり、ZがZ2であり、R3が(i)または(v)(式中、rは0である)であり、R9およびR10が各々独立に水素またはアルコキシである場合、R8はフェニルまたは3,4−ジメトキシフェニルではなく、あるいは
2)R1およびR2が一緒になって縮合フェニル環を形成し、ZがZ2であり、R8が非置換フェニル基である場合、R3はアルキルではない)の化合物である。
【0032】
一実施形態では、本発明において有用な化合物は、式II
【0033】
【化28】

(式中、R3およびZは、式Iのための上記定義の通りである)によって表される化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物である。
【0034】
さらなる実施形態では、本発明において有用な化合物は、式III
【0035】
【化29】

(式中、R3およびZは、式Iのための上記定義の通りである)によって表される化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物である。
【0036】
さらなる実施形態では、本発明において有用な化合物は、式IV
【0037】
【化30】

(式中、R3およびZは、式Iのための上記定義の通りである)によって表される化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物である。
【0038】
一実施形態では、本発明において有用な化合物は、ZがZ1である式I〜IVの化合物である。
【0039】
他の実施形態では、本発明において有用な化合物は、ZがZ2である式I〜IVの化合物である。
【0040】
本発明において有用な化合物な群には、式I(R3は、(i)水素、(ii)アルキル、および(iii)C36シクロアルキルからなる群から選択され、好ましくは、水素、C14アルキルおよびC36シクロアルキルからなる群から選択され、より好ましくはC14アルキルおよびC36シクロアルキルからなる群から選択され、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチルからなる群から選択される)の化合物が含まれる。有利なことには、R3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、およびシクロプロピルからなる群から選択される。
【0041】
本発明において有用な化合物の他の群には、式I(R3は、(iv)−(CH2P−Y(式中、Yは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されている3〜7員の飽和複素環であり、pは0、1、2、3、または4である)である)の化合物が含まれる。好ましくは、Yは、炭素原子、ならびにO、N、およびSからなる群から選択される1個または2個のヘテロ原子からなる3〜6員の飽和複素環であり、この複素環は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から独立に選択される、好ましくは、C14アルキル、C14アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C13)アルキル、ハロ(C13)アルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシ(C14)アルキルからなる群から独立に選択される、より好ましくは水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシメチルからなる群から選択される、1個または2個の置換基によって任意選択で置換されている。有用な化合物には、飽和複素環が非置換であるものが含まれる。
【0042】
有利なことには、Yは、式
【0043】
【化31】

(式中、R13およびR14は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、wは、0、1、2、または3である)を有する飽和複素環である。好ましくは、R13およびR14は、水素、C14アルキル、C14アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C13)アルキル、ハロ(C13)アルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシ(C14)アルキル、より好ましくは、水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシメチルからなる群から各々独立に選択される。有利なことには、R13およびR14は、両方とも水素である。好ましくは、wは2または3である。式Iの有用な化合物には、Yが、N−ピロリジニルまたはN−ピペリジニルであるものが含まれる。好ましくは、pは、0、1、2、または3である。
【0044】
本発明において有用な化合物の他の群には、式I(R3は、(v)
【0045】
【化32】

(式中、R9およびR10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、rは、0または1であり、qおよびsは、各々独立に、0、1、2、3、4、または5である)である)の化合物が含まれる。好ましくは、R9およびR10は、水素、C14アルキル、C14アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C13)アルキル、ハロ(C13)アルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシ(C14)アルキルからなる群から各々独立に選択され、より好ましくは、水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシメチルからなる群から各々独立に選択される。有用な化合物には、R9およびR10が両方とも水素であるものが含まれる。化合物の有用な群には、qおよびrが、両方とも0であり、sが、0、1、2、3、または4であり、好ましくは、sが、0、1、2、または3であるものが含まれる。化合物の他の有用な群には、qが、1または2であり、rが、1であり、sが、0、1、2、または3であり、好ましくは、sが、0、1または2であるものが含まれる。
【0046】
本発明において有用な化合物の他の群には、式I(R3は、(vi)
【0047】
【化33】

(式中、R9およびR10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、tは、0、1、2、3、または4である)である)の化合物が含まれる。好ましくは、tは、0、1、または2である。
【0048】
本発明において有用な化合物の他の群には、式I(R3は、(vii)
【0049】
【化34】

(式中、R11およびR12は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、uは、0、1、2、3または4である)である)の化合物が含まれる。好ましくは、R11およびR12は、水素、C14アルキル、C14アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C13)アルキル、ハロ(C13)アルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシ(C14)アルキルからなる群から各々独立に選択され、より好ましくは、各々が、水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシメチルからなる群から独立に選択される。有用な化合物には、R11およびR12が、水素、アルキル、およびハロゲンからなる群から独立に選択されるものが含まれる。有利なことには、R11およびR12は、両方とも水素である。好ましくは、uは、0、1、2、または3であり、より好ましくは、0、1、または2である。−(CH2U−基は、ピリジル環の2位、3位、または4位に結合している。
【0050】
好ましくは、R4、R5、R6およびR7は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から各々独立に選択される。さらに好ましくは、R4、R5、R6およびR7は、水素、C16アルキル、C16アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C16)アルキル、ハロ(C16)アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、(C16)アルキルアミノおよびジ(C16)アルキルアミノからなる群から各々独立に選択され、より好ましくは、水素、C14アルキル、C14アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C13)アルキル、ハロ(C13)アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、およびジ(C13)アルキルアミノからなる群から独立に選択される。有利なことには、R4、R5、R6およびR7は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、ハロゲン(特にフッ素)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、シアノ、およびアミノからなる群から各々独立に選択される。
【0051】
有用な化合物には、R4およびR6が両方とも水素であり、R5およびR7が上記定義の通りであるものが含まれる。さらなる有用な化合物には、R4およびR6が両方とも水素であり、R5およびR7が、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ハロゲン、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アミノ、およびジメチルアミノからなる群から独立に選択されるものが含まれる。有利なことには、R4およびR6は、両方とも水素であり、R5およびR7は両方ともフッ素である。好ましくは、R5およびR7の一方または両方は、各々のフェニル環のパラ位にある。
【0052】
本発明において有用な化合物は、式V
【0053】
【化35】

(式中、R3〜R7およびmは、式Iのための上記定義の通りである)によって表される化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物である。式Vにおいて、R3〜R7およびmのための好ましい値は、式Iの上記の通りである。
【0054】
一実施形態では、本発明において有用な化合物は、式VI
【0055】
【化36】

(式中、R3〜R7およびmは、式Iのための上記定義の通りである)によって表される化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物である。R3〜R7およびmの好ましい値は、式Iの上記の通りである。式VIの有用な化合物には、R3が(vi)または(vii)、すなわち、
【0056】
【化37】

(式中、t、u、およびR9〜R12は、上記定義の通りである)であるものが含まれる。
【0057】
他の実施形態では、本発明において有用な化合物は、式VII
【0058】
【化38】

(式中、R3〜R7およびmは、式Iのための上記定義の通りである)によって表される化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である。R3〜R7およびmの好ましい値は、式Iの上記の通りである。式VIIの有用な化合物には、R3が(iv)、すなわち、−(CH2P−Y(式中、Yは、
【0059】
【化39】

(式中、R13、R14、およびwは、上記定義の通りである)である)であるものが含まれる。
【0060】
式VIIのさらなる有用な化合物には、R3が、(vii)
【0061】
【化40】

(式中、u、R11、およびR12は、上記定義の通りである)であるものが含まれる。
【0062】
一実施形態では、本発明において有用な化合物は、式II〜IV(式中、ZはZ2、−CH2−(CH2n−R8(式中、R8およびnは、上記定義の通りである)である)のいずれかの化合物である。R3は、上記定義の通りである。
【0063】
有用な化合物には、R8が、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から独立に選択された、好ましくは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から独立に選択された、より好ましくは、C16アルキル、C16アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C13)アルキル、ハロ(C13)アルコキシ、アミノ、C13アルキルアミノ、およびジ(C13)アルキルアミノからなる群から独立に選択された、1個、2個または3個の置換基によって任意選択に置換されているフェニルであるものが含まれる。有利なことには、R8は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、ハロゲン(特にフッ素)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、およびジメチルアミノからなる群から独立に選択された1個、2個または3個の置換基によって任意選択に置換されているフェニルである。有用な化合物には、R8が、上記定義の通りの1個、2個または3個の置換基によって置換されているフェニルであるものが含まれる。
【0064】
有用な化合物には、R8がピリジル、特にピリド−2−イル、ピリド−3−イル、またはピリド−4−イル(アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、およびアルコキシからなる群から独立に選択される、好ましくは、アルキル、アルコキシ、およびハロアルコキシからなる群から独立に選択される、より好ましくは、C16アルキル、C16アルコキシ、およびハロ(C13)アルコキシからなる群から選択される、1個または2個の置換基によって任意選択で置換されている)であるものが含まれる。有利なことには、R8は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、および2,2,2−トリフルオロエトキシからなる群から独立に選択される、1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているピリジルである。有用な化合物には、R8が、上記定義の通りの1個または2個の置換基によって置換されているピリジルであるものが含まれる。
【0065】
有用な化合物には、R8が、チアゾリル、特にチアゾール−4−イルまたはチアゾール−5−イル(アルキル、アルコキシ、ハロゲン、およびハロアルキルからなる群から独立に選択される、好ましくは、C14アルキル、C14アルコキシ、ハロゲン、およびハロ(C13)アルキルからなる群から独立に選択される、より好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、ハロゲン(特にフッ素)、およびトリフルオロメチルからなる群から独立に選択される、1個または2個の置換基によって任意選択で置換されている)であるものが含まれる。
【0066】
好ましくは、nは、0または1である。
【0067】
本発明の方法に用いることのできる例示的な化合物には、
1−(3,3−ジフェニルプロピル)−3−フェニルイミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−フェニルイミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(3−フェニルプロプ−2−エニル)イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イルメチル)イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−4−イルメチル)イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−2−イルメチル)イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−メチルイミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−シクロプロピルイミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−イミダゾリジン−2−オン;
ならびにその医薬として許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物が含まれる。
【0068】
本発明の方法に有用な他の例示的な化合物には、
2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−4−メチル−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン;
2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−4−(ピリジン−2−イル)メチル−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン;
2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−4−ベンジルオキシカルボニル−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン;
2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−2,4−ジアザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン;
ならびにその医薬として許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物が含まれる。
【0069】
本発明の方法に有用な他の例示的な化合物には、
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−4−イル)メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−2−イル)メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
ならびにその医薬として許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物が含まれる。
【0070】
有用なシクロアルキル基は、C312シクロアルキルである。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。
【0071】
有用なハロまたはハロゲン基には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
【0072】
有用なアルキル基には、直鎖および分枝状のC110アルキル基、より好ましくはC16アルキル基が挙げられる。典型的なC110アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、3−ペンチル、ヘキシルおよびオクチル基が挙げられる。
【0073】
有用なハロアルキル基には、1個または複数のフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子によって置換されているC110アルキル基(例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチルおよびトリクロロメチル基)が挙げられる。
【0074】
有用なヒドロキシアルキル基には、ヒドロキシで置換されているC110アルキル基(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシブチル基)が挙げられる。
【0075】
有用なアミノアルキル基には、アミノで置換されているC110アルキル基(例えば、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピルおよびアミノブチル基)が挙げられる。
【0076】
有用なアルコキシ基には、上記のC110アルキル基の1つで置換されている酸素が含まれる。
【0077】
有用なハロアルコキシ基には、上記のC110ハロアルキル基の1つで置換されている酸素(例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、および2,2,2−トリフルオロエトキシ)が含まれる。
【0078】
「複素環式」という用語は、炭素原子、ならびにO、N、およびSからなる群から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員の飽和単環式環系を意味するために本明細書において使用される(窒素および硫黄のヘテロ原子は、任意選択で酸化されていてもよく、窒素は、任意選択で四級化されていてもよく、複素環は、得られる化合物が安定的である場合、炭素原子上または窒素原子上で置換されていてもよい)。それらの例には、それだけに限らないが、アジリジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジンなどが挙げられる。
【0079】
有用なアルキルアミノおよびジアルキルアミノ基は、−NHR15および−NR1516(式中、R15およびR16は、各々独立に、C110アルキル基から選択される)である。
【0080】
本明細書で使用する場合、「アミノ」または「アミノ基」という用語は、−NH2を意味する。
【0081】
本明細書において開示されている本発明は、開示された化合物のプロドラッグを包含することも意味する。プロドラッグは、活性な親薬剤をin vivoで放出する任意の共有結合の担体であると考えられる。プロドラッグの非限定的例には、置換基としてヒドロキシアルキルまたはアミノアルキルを有する、式I〜VIIの化合物のエステルまたはアミドが含まれ、これらは、このような化合物と、無水コハク酸などの無水物とを反応させることによって調製し得る。
【0082】
本明細書において開示されている本発明は、異なる原子質量または質量数を有する原子で置換された、1個または複数の原子を有することによって同位体標識された開示された化合物も包含することを意味する。開示された化合物に組み込むことのできる同位元素の例には、各々2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位元素が挙げられる。同位体標識された本発明の化合物は、当技術分野において公知の方法によって調製することができる。
【0083】
本発明はまた具体的には、3Hおよび14Cで放射性標識された式I〜VIIの化合物、ならびにカルシウムチャネル上のそれらの結合部位に対する放射性リガンドとしてのそれらの使用を対象とする。例えば、本発明の標識化合物の1つの使用は、特異受容体の結合の特性決定である。本発明の標識化合物の他の使用は、構造活性相関の評価のための動物試験に代わるものである。受容体アッセイは、式I〜VIIの一定の濃度の標識化合物で、および競合アッセイにおいて増加する濃度の試験化合物で行われる。式I〜VIIのトリチウム標識化合物は、トリチウムを式I〜VIIの化合物に導入することによって、例えば、トリチウムによる触媒的脱ハロゲン化によって調製することができる。この方法には、塩基の存在下または非存在下で、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下で、式I〜VIIの化合物の適切にハロゲン置換された前駆体と、トリチウムガスとを反応させることが含まれる。トリチウム標識化合物を調製するための他の適切な方法は、Filer,Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences,Vol.1,Labeled Compounds(Part A),Chapter6(1987)に見出すことができる。14C標識化合物は、14C炭素を有する出発物質を用いることによって調製することができる。
【0084】
本明細書において開示されている化合物のいくつかは、1つまたは複数の不斉中心を含有する場合があり、したがってエナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性体の形態を生じ得る。本発明は、全てのこのような可能性のある形態、ならびにそれらのラセミ体および分割した形態、ならびにこれらの混合物を包含することを意図している。個々のエナンチオマーは、本開示を考慮して当業者には公知の方法によって分離し得る。本明細書に記載する化合物が、オレフィン二重結合または他の幾何学的な非対称の中心を含有し、別段の指定がない場合、それらはE幾何異性体およびZ幾何異性体の両方が含まれることを意図している。全ての互変異性体もまた、本発明に包含されることが意図されている。
【0085】
本明細書で使用する場合、「立体異性体」という用語は、原子の空間配向のみが異なる個々の分子の全ての異性体についての一般名である。それには、エナンチオマー、および互いに鏡像ではない複数のキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオマー)が含まれる。
【0086】
「キラル中心」という用語は、4個の異なる基が結合している炭素原子を意味する。
【0087】
「エナンチオマー」および「エナンチオマーの」という用語は、その鏡像上に重ねられず、したがって、エナンチオマーが偏光面を一方向に回転させ、その鏡像化合物が偏光面を反対方向に回転させる光学活性な分子を意味する。
【0088】
「ラセミの」という用語は、等量のエナンチオマーの混合物を意味し、その混合物は光学不活性である。
【0089】
「分割」という用語は、分子の2つのエナンチオマー形態のうちの一方の分離または濃縮または消耗を意味する。
【0090】
「a」および「an」という用語は、1つまたは複数を意味する。
【0091】
本明細書において開示されている本発明には、開示された化合物の全ての無毒性の医薬として許容されるそれらの塩を含めて、開示された化合物の全ての塩も包含される。医薬として許容される付加塩の例には、無機および有機の酸付加塩ならびに塩基性塩が含まれる。医薬として許容される塩には、それだけに限らないが、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩などの金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの無機酸塩;クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩;およびアルギン酸塩、アスパルギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩が挙げられる。
【0092】
本発明の特定化合物の溶液と、塩酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸、シュウ酸、ジクロロ酢酸などの医薬として許容される無毒性酸の溶液とを混合することによって、酸付加塩を形成することができる。本発明の化合物の溶液と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウムなどの医薬として許容される無毒性塩基の溶液とを混合することによって、塩基性塩を形成することができる。
【0093】
本明細書において開示されている本発明は、開示された化合物の溶媒和物を包含することも意味する。溶媒和物の1種類は水和物である。溶媒和物は、化合物の生理活性または毒性にあまり影響を与えず、それ自体として薬理学的同等物として機能することができる。
【0094】
式I〜VIIの化合物は、カルシウム(Ca2+)チャネルブロッカーであるため、これらの化合物を用いることによって、カルシウムイオン流入によって媒介されるいくつかの疾患および状態を治療することができる。したがって、本発明は、脳卒中、頭部外傷、てんかん、疼痛(例えば、急性疼痛または慢性疼痛、これには、これらだけに限らないが、神経因性疼痛および炎症性痛覚が含まれる)、片頭痛、気分障害、統合失調症、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、またはパーキンソン病)、うつ病、不安、精神病、高血圧、または心不整脈を治療、予防または寛解する方法を提供する。どの場合にも、治療、予防または寛解のこのような方法は、このような治療、予防または寛解を必要としている動物に、本発明のカルシウムチャネル遮断化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物の有効量を投与することが必要である。
【0095】
慢性疼痛には、これらだけに限らないが、炎症性痛覚、術後疼痛、癌疼痛、転移性癌と関連する骨関節炎疼痛、三叉神経痛、急性ヘルペスおよびヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、灼熱痛、腕神経叢裂離、後頭神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、線維筋痛、痛風、幻肢痛、熱傷疼痛、および他の形態の神経痛、神経因性および特発性疼痛症候群が含まれる。どの場合にも、本発明の方法は、このような治療を必要としている動物に、本発明のカルシウムチャネル遮断化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物の有効量を投与することが必要である。
【0096】
慢性体性痛は、神経絞扼、外科的処置、癌または関節炎などの組織傷害に対する炎症反応から一般にもたらされる(Brower,Nature Biotechnology2000;18:387〜391)。現在、多くの種類の炎症性痛覚が、NSAIDによって治療されているが、治療の改良の余地が多いにある。
【0097】
炎症過程は、組織傷害または異物の存在に反応して活性化された、複雑な一連の生化学および細胞イベントである(Levine,Inflammatory Pain,In:Textbook of Pain,Wall and Melzack eds.,3rd ed.,1994)。炎症は、傷を受けた組織または異物の部位に起こることが多く、組織修復および治癒の過程に寄与する。炎症の主徴には、紅斑(発赤)、熱、浮腫(膨れ)、疼痛および機能喪失が挙げられる(同書)。炎症性痛覚を有する患者の大部分は、連続して疼痛を感じないが、炎症性部位を動かすかまたは触られた場合に、強い疼痛を感じる。炎症性痛覚には、これらだけに限らないが、骨関節炎および慢性関節リウマチが含まれる。
【0098】
慢性神経因性疼痛は、病因が明確でない異種起源の病態である。慢性神経因性疼痛において、その疼痛は、複合的な機構によって媒介される場合がある。この種類の疼痛は一般に、末梢組織または中枢神経組織の傷害から生じる。この症候群には、脊髄損傷と関連する疼痛、多発性硬化症、ヘルペス感染後神経痛、三叉神経痛、幻肢痛、灼熱痛、および反射性交感神経性ジストロフィーおよび腰の痛みが挙げられる。慢性疼痛は、自発痛、連続した表面が焼けるような痛みおよび/または深部のうずく痛みと説明できる異常な痛覚を、患者が被るという点で急性疼痛とは異なる。疼痛は、熱、冷、および機械痛覚過敏によって、または熱、冷、および機械アロディニアによって引き起こされる場合がある。
【0099】
神経因性疼痛は、末梢感覚神経の傷害または感染症に起因する場合がある。これらだけに限らないが、末梢神経外傷、ヘルペスウイルス感染症、真性糖尿病、灼熱痛、腕神経叢裂離、神経腫、手足の切断、および脈管炎からの疼痛が含まれる。神経因性疼痛はまた、慢性アルコール中毒症、ヒト免疫不全ウイルス感染症、甲状腺機能低下、尿毒症、またはビタミン欠乏からの神経損傷によってももたらされる。(脊髄または脳)卒中および脊髄損傷もまた、神経因性疼痛を誘発する場合がある。癌に関連する神経因性疼痛は、隣接する神経、脳、または脊髄の腫瘍増殖による圧迫に起因する。さらに、化学療法および放射線療法を含めた癌治療もまた、神経傷害をもたらす場合がある。神経因性疼痛には、それだけに限らないが、例えば、糖尿病患者が患う疼痛などの神経傷害に起因する疼痛が挙げられる。
【0100】
本発明はまた、前記障害を患っている動物においてカルシウムチャネルの遮断、特にN型カルシウムチャネルの選択的遮断に反応性の障害を治療する方法に関し、前記方法は、定義した式I〜VIIのいずれかによって表される化合物の有効量を動物に投与するステップを含む。
【0101】
本発明はまた、医薬、特に前記障害を患っている動物においてカルシウムチャネルの遮断、特にN型カルシウムチャネルの選択的遮断に反応性の障害を治療するための医薬の製造のための、定義した式I〜VIIのいずれかによって表される化合物の使用に関する。
【0102】
さらに、本発明は、それを必要としている動物において、カルシウムチャネル、特にN型カルシウムチャネルを調節する方法を対象とし、前記方法は、定義した式I〜VIIのいずれかによって表される少なくとも1種類の化合物を動物に投与するステップを含む。
【0103】
本発明はまた、それを必要としている動物において、医薬、特にカルシウムチャネル、特にN型カルシウムチャネルを調節するための医薬の製造のための、定義した式I〜VIIのいずれかによって表される化合物の使用に関する。
【0104】
化合物の合成
本発明の化合物は、この開示を考慮して当業者には公知の方法を使用して調製し得る。例えば、式I(式中、ZはZ1であり、R1およびR2は、両方とも水素である)の化合物は、方式1〜3に示されるように調製することができる。
【0105】
【化41】

【0106】
式I(式中、ZはZ1であり、R1およびR2は、両方とも水素である)のイミダゾリジン−2−オン誘導体は、方式2において示されているように、1)Chern,Jyh−Haurら(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters14(20):5051〜5056(2004))および2)Shia,Kak−Shanら(Journal of Medicinal Chemistry45(8):1644〜1655(2002))の方法を使用して、方式2における例示的反応によって例示されているように調製することができる。
【0107】
【化42】

【0108】
式I(式中、ZはZ1であり、R1およびR2は、両方とも水素である)のイミダゾリジン−2−オン誘導体はまた、方式3において示されているように、1)Solomon,V.Rajaら(Bioorganic & Medicinal Chemistry13(6):2157〜2165(2005))、2)Donati,Donatoら(Synthesis16:2518〜2524(2003))、および3)Llopart,Carme Cantosら(Canadian Journal of Chemistry82(11):1649〜1661(2004))の方法を使用して、方式3における例示的反応によって例示されているように調製することができる。
【0109】
【化43】

【0110】
式I(式中、Zは、Z1であり、R1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、縮合シクロプロピル環を形成する)の化合物は、方式4に示されるように調製することができる。
【0111】
【化44】

【0112】
式I(式中、Zは、Z1であり、R1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、縮合フェニル環を形成する)の化合物は、方式5において示されるように調製することができる。
【0113】
【化45】

【0114】
式I(式中、ZはZ2である)の化合物は、上記の方式1〜5に記載されているのと同様の方法を使用して合成することができる。
【0115】
化合物の試験
本発明の化合物を、カルシウムチャネル遮断活性について、カルシウム動員アッセイおよび/または電気生理学的アッセイによって評価した。本発明の一態様は、本明細書に記載される化合物が選択的N型カルシウムチャネルブロッカーであるという知見である。この知見に基づいて、これらの化合物は、片頭痛、てんかん、気分障害、統合失調症、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、ALS、またはパーキンソン病など)、精神病、うつ病、不安、高血圧、または心不整脈の治療、予防または寛解に有用であると考えられる。本発明の化合物はまた、急性疼痛、慢性疼痛(これらだけに限らないが、神経因性疼痛および炎症性痛覚、または手術疼痛が含まれる)などの疼痛を治療、予防または寛解するのに効果的であるとも考えられる。
【0116】
さらに具体的には、本発明は、カルシウムチャネルブロッカーである式I〜VIIの化合物を対象とする。本発明によると、好ましいN型カルシウムチャネル遮断特性を有するそれらの化合物は、本明細書に記載のカルシウム動員アッセイおよび/または電気生理学的アッセイにおいて約100μM以下のIC50を示す。好ましくは、本発明の化合物は、10μM以下のIC50を示す。さらに好ましくは、本発明の化合物は、約6μM以下のIC50を示す。よりさらに好ましくは、本発明の化合物は、約4μM以下のIC50を示す。よりさらに好ましくは、本発明の化合物は、約2μM以下のIC50を示す。よりさらに好ましくは、本発明の化合物は、約1.5μM以下のIC50を示す。またさらに好ましくは、本発明の化合物は、約1.0μM以下のIC50を示す。最も好ましくは、本発明の化合物は、約0.7μM以下のIC50を示す。
【0117】
本発明の化合物は、下記のカルシウム動員アッセイおよび/または電気生理学的アッセイによって、N型およびL型Ca2+チャネル遮断活性について試験することができる。
【0118】
一実施形態では、本発明において有用な化合物は、本明細書に記載のカルシウム動員アッセイおよび/または電気生理学的アッセイにおいて、L型カルシウムチャネルよりもN型カルシウムチャネルに対して選択性を示す式I〜VIIのいずれか1つによって表される。「L型カルシウムチャネルよりもN型カルシウムチャネルに対する選択性」という語句は、本発明の化合物のL型チャネル遮断活性のIC50と、同じ化合物のN型チャネル遮断活性のIC50の比が、1を超える、すなわち、LTCC IC50/NTCC IC50>1であることを意味するように本明細書において使用される。好ましくは、本発明の化合物は、約2以上のLTCC IC50/NTCC IC50比を示す。さらに好ましくは、本発明の化合物は、約4以上のLTCC IC50/NTCC IC50比を示す。さらに好ましくは、本発明の化合物は、約6以上のLTCC IC50/NTCC IC50比を示す。さらに好ましくは、本発明の化合物は、約9以上のLTCC IC50/NTCC IC50比を示す。さらに好ましくは、本発明の化合物は、約15以上のLTCC IC50/NTCC IC50比を示す。さらに好ましくは、本発明の化合物は、約30以上のLTCC IC50/NTCC IC50比を示す。さらに好ましくは、本発明の化合物は、約60以上のLTCC IC50/NTCC IC50比を示す。有利なことには、本発明の化合物は、約100以上のLTCC IC50/NTCC IC50比を示す。
【0119】
カルシウム動員アッセイおよび電気生理学的アッセイのプロトコル
細胞の維持および分化。他に断らない限り、細胞培養試薬をRockville、MDのLife Technologiesから購入した。IMR32細胞(American Type Culture Collection、ATCC、Manassas、VA)を、10%ウシ胎児血清(FBS、Hyclone、Logan、UT)、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、2mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、および1×MEM非必須アミノ酸を含有する最小必須培地からなる増殖培地において常法に従い培養した。80〜90%コンフルエントなフラスコの細胞を、下記の分化培地(1mMのジブチリルサイクリックAMP(Sigma、St.Louis、MO)、および2.5μMのブロモデオキシウリジン(Sigma)を加えた増殖培地)を使用して分化させた。分化培地を2〜3日毎に交換することによって、細胞を8日間分化させた。
【0120】
10%FBS、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、4mMのL−グルタミン、および0.15%炭酸水素ナトリウムを含有するダルベッコ改変イーグル培地からなるA7r5増殖培地において、A7r5(ATCC)細胞を維持し、常法に従い培養した。下記の分化培地(1mMのジブチリルサイクリックAMP(Sigma)を加えたA7r5増殖培地)を使用して、80〜90%コンフルエントなフラスコの細胞を分化させた。分化培地を2〜3日毎に交換することによって、細胞を8日間分化させた。
【0121】
N型カルシウムチャネルのためのFLIPRカルシウム動員アッセイ。本アッセイを行う1日前に、分化したIMR32細胞を、1×CellStripperで処理し、ポリ−D−リシンでコーティングした96ウェルのクリアボトムブラックプレート(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)上に、200,000細胞/ウェルで播いた。アッセイの日に、細胞プレートを、IMR32緩衝液(127mMのNaCl、1mMのKCl、2mMのMgCl2、700μMのNaH2PO4、5mMのCaCl2、5mMのNaHCO3、8mMのHEPES、10mMのグルコース、pH7.4)で洗浄し、次いでKClで前刺激し、下記のように添加した。0.05mLのIMR32緩衝液、0.05mLの各試験化合物(20μMのニトレンジピン(Sigma)を含有するIMR32緩衝液で希釈した)、およびIMR32緩衝液に溶解した0.1mLのKCl、さらにFluo−4(3μMの最終濃度、Molecular Probes、Eugene、OR)を添加した。試験化合物の最終濃度は、約846pM〜約17μMを変動し、ニトレンジピンの最終濃度は5μMであり、KClの最終濃度は90mMであった。1時間後、細胞を、ニトレンジピンを含有するIMR32緩衝液(KClまたはFluo−4を含有しない)中の各試験化合物0.05mLで2度洗浄し、次いでニトレンジピンを含有するIMR32緩衝液中の各試験化合物0.1mLで置き換えた。次いでアッセイのために、プレートを蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR96、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)に移した。FLIPRは、315秒間(すなわち、5分15秒間)、基準のFluo−4蛍光を測定し、次いで、IMR32緩衝液に溶解した0.1mLのKClアゴニストを加え、さらに45秒間蛍光を測定した。FLIPR読取り後の細胞に関して、試験化合物の最終濃度は、約846pMから約17μMを変動し、ニトレンジピンの最終濃度は5μMであり、KClの最終濃度は90mMであった。全ての時間経過に亘ってデータを収集し、Excel、Graph Pad Prism(バージョン3.02、Graph Pad、San Diego、CA)、またはActivity Base(バージョン5.1、IDBS、Parsippany、NJ)ソフトウェアを使用して分析した。
【0122】
L型カルシウムチャネルのためのFLIPRカルシウム動員アッセイ。本アッセイを行う1日前に、分化したA7r5細胞をトリプシン処理し、次いでコンフルエントなT150cm2フラスコから、組織培養処理した96ウェルのクリアボトムブラックプレート(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)上に、1:1の希釈度で播いた。アッセイの日に、このプレートをA7r5洗浄緩衝液(127mMのNaCl、2mMのMgCl2、700μMのNaH2PO4、5mMのCaCl2、5mMのNaHCO3、8mMのHEPES、10mMのグルコース、pH7.4)で洗浄し、次いで、Fluo−4(3μMの最終濃度、Molecular Probes、Eugene、OR)を含有する0.1mLのA7r5洗浄緩衝液を添加した。1時間後、細胞を、0.1mLのA7r5洗浄緩衝液で洗浄し、A7r5洗浄緩衝液と50μMのバリノマイシン(Sigma)とからなる0.05mLのA7r5アッセイ緩衝液中で再懸濁させた。次いで、アッセイのためにプレートをFLIPR96に移した。FLIPRによって、基準のFluo−4蛍光を15秒間測定し、次いで、約846pM〜約17μMを変動する最終濃度でA7r5アッセイ緩衝液に希釈した各試験化合物を0.05mL加えた。次いで、Fluo−4蛍光を5分間測定した。次いで、A7r5アッセイ緩衝液に溶解した0.1mLのKClアゴニストを細胞に加え、最終濃度90mMのKClにし、さらに45秒間蛍光を測定した。全ての時間経過に亘ってデータを収集し、Excel、Graph Pad Prism、またはActivity Baseソフトウェアを使用して分析した。
【0123】
N型およびL型カルシウムチャネルサブユニットのオープンリーディングフレームのcDNAのクローニング。異種系において機能的チャネルを再構成するために、ラットのN型またはL型カルシウムチャネルのサブユニットをコードする5種類のcDNAを、PCR増幅によってクローニングした。これらは、アルファ1b(α1b)、ベータ1(β1)、ベータ3(β3)、アルファ2デルタ(α2δ)、およびアルファ1c(α1c)サブユニットのcDNAであった。α1bサブユニットcDNAは、DubelらによってProc.Natl.Acad.Sci.U.S.A89:5058〜5062(1992)において記載されている。β1サブユニットcDNAは、PragnellらによってFEBS Lett.291:253〜258(1991)において記載されている。β3サブユニットcDNAは、CastellanoらによってJ Biol.Chem.268:12359〜12366(1993)において記載されている。α2δサブユニットcDNAは、KimらによってProc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:3251〜3255(1992)において記載されている。α1cサブユニットcDNAは、KochらによってJ.Biol.Chem.265:17786〜17791(1990)において記載されている。
【0124】
全α1bオープンリーディングフレーム(ORF)を含有する7.0kbのcDNAを、2つの重複するcDNAフラグメント、すなわち、2.7kbの5’フラグメントおよび4.4kbの3’フラグメントとしてPCR増幅した。プライマー1(表1、配列番号1)およびプライマー2(表1、配列番号2)を使用して、ラット脳cDNAから5’フラグメントを増幅し、プライマー3(表1、配列番号3)およびプライマー4(表1、配列番号4)を使用して、ラット脊髄cDNAから3’フラグメントを増幅した。共通の制限部位で、ライゲーションによって2つのフラグメントを連結し、全7.0kbのcDNAを作製した。このORFは、Linらの命名法によって「+A ΔSFMG ΔET」と称される選択的スプライシングによって生じるタンパク質イソ型をコードする(Neuron18:153〜166(1997))。両方の鎖上に重複範囲を有する全cDNAを配列決定した。次いで、Gatewayシステム(Invitrogen)を使用して、相同組換えによって、cDNAを哺乳動物発現ベクターpcDNA6.2DEST(Invitrogen、Carlsbad CA)に挿入した。
【0125】
β1サブユニットをコードする1.8kbのcDNA、β3サブユニットをコードする1.45cDNA、およびα2δサブユニットをコードする3.3kbのcDNAを、ラット脊髄cDNA(β1)または脳cDNA(β3、α2δ)からPCR増幅によってクローニングした。β1cDNA増幅のために、プライマー5(表1、配列番号5)およびプライマー6(表1、配列番号6)を使用し、β3cDNA増幅のために、プライマー7(表1、配列番号7)およびプライマー8(表1、配列番号8)を使用し、ならびにα2δcDNA増幅のために、プライマー9(表1、配列番号9)およびプライマー10(表1、配列番号10)を使用した。PCR産物をサブクローニングし、両方の鎖について完全に配列決定した。参照配列(β1:NM_017346;β3:NM_012828;α2δ:M86621)および遺伝子のGenBankラットゲノムDNA配列にマッチしたクローンを、哺乳動物発現ベクターpcDNA3.2DEST(β1、β3)またはpcDNA3.1−Zeo(α2δ)に組み換えた。これらは、Gatewayベクターアダプターキット(Invitrogen)を使用して、Gateway組換え系と適合性のベクターに改変してあった。組換え領域を配列決定することによって、適切な組換えを確認した。β3発現ベクターについて、ラットβ3サブユニットに対するウサギポリクローナル抗血清(USA Biological)を使用して、トランスフェクトされたHEK293細胞のライセートをウエスタンブロット分析することによって、適切なタンパク質発現を確認した。
【0126】
プライマー11(表1、配列番号11)およびプライマー12(表1、配列番号12)を使用して、ラット心臓cDNAからPCR増幅によって、L型カルシウムチャネルα1cサブユニットをコードする6.5kbのcDNAをクローニングした。PCRフラグメントをサブクローニングし、両方の鎖について完全に配列決定し、同一であることを確認した。コンセンサス参照配列M59786およびラットゲノムDNA配列にマッチするクローンを、哺乳動物発現ベクターpcDNA6.2DESTに組み換えた。組換え領域の周りの配列を配列決定し、発現ベクターへの正確な組換えを確認した。
【0127】
【表1】

【0128】
N型組換え細胞系の開発。N型カルシウムチャネルを発現しているHEK−293細胞を、2段階で作製した。段階1では、下記のように作製した。メーカーの指示に従って、Lipofectamine Plus試薬(Invitrogen)により、ラットα1b、およびβ3のcDNA発現構築物(各2.5μg)を、ヒト胚性腎臓(HEK−293)細胞にコトランスフェクトした。24時間後、20μg/mLのブラストサイジンおよび500μg/mLのジェネテシンを含有する選択培地で細胞を限界希釈し、複数の96ウェルプレートに分配し、37℃、5%CO2、95%湿度で3週間インキュベートした。1ウェル当たり1個以下のクローンを含有するプレートを、単一のクローンについて陽性のウェルがコンフルエントとなるまで培養した。次いで、個々のクローンを目的の96ウェルプレートのカラムに配列させ、培養を維持するため、6ウェルプレートに部分的に分配した。アレイプレートをIMR32緩衝液で一度洗浄し、Fluo−4(3μMの最終濃度、Molecular Probes)を含有するIMR32緩衝液0.1mLを、1時間細胞に添加した。次いで、0.1mLのIMR32緩衝液でこれらを2度洗浄し、0.1mLのIMR32緩衝液で置き換えた。次いで、アッセイのために、プレートをFLIPR96に移した。FLIPRは、基準のFluo−4蛍光を315秒間測定し、次いで、IMR32緩衝液に溶解した0.1mLのKClアゴニストを加え、さらに45秒間蛍光を測定した。KClの最終濃度は90mMであった。全ての時間経過に亘ってデータを収集し、Excel、Graph Pad Prism、またはActivity Baseソフトウェアを使用して分析した。最も高い信号雑音比を有するクローン、継代数によって最も良好な反応安定性を有するクローン、およびPDLでプレコーティングしたプレート(Becton Dickinson)に最もよく接着したクローンを増殖させ、特性を決定し、段階2の細胞系の開発のために使用した。
【0129】
N型細胞系の開発の段階2を、下記のように行った。メーカーの指示に従って、Lipofectamine Plus試薬(Invitrogen)によって、ラットα2δcDNA発現構築物(各5μg)を、段階1のN型クローン細胞系にトランスフェクトした。24時間後、細胞を、20μg/mLのブラストサイジン、500μg/mLのジェネテシン、および250μg/mLのゼオシンを含有する選択培地で限界希釈し、複数の96ウェルプレートに分配し、37℃、5%CO2、95%湿度で3週間インキュベートした。1ウェル当たり1個以下のクローンを含有するプレートを、段階1の細胞系について上記で説明したのと同じステップおよび手順に従って培養、処理した。最も高い信号雑音を有するクローン、継代数によって最も良好な反応安定性を有するクローン、およびPDLでプレコーティングしたプレート(Becton Dickinson)に最もよく接着したクローンの3種類のクローンを増殖させ、特性を決定し、下記で説明するように、最大電流サイズについての電気生理学、N型薬理学、N型に特徴的な電流電圧曲線および反応速度について試験した。
【0130】
組換え細胞におけるN型の電気生理学。電気生理学的な記録のために、α1b、β3およびα2δサブユニットを発現している細胞を、約104細胞/皿の密度で35mm培養ペトリ皿上に播き、その後に記録するために、最長3日間インキュベーター中に維持した。記録のために、倒立顕微鏡(ニコン、Eclipse E600、Japan)の試料台上に皿を置き、KOHでpH7.4に調節した、BaCl2(1.1mM)、MgCl2(1.5mM)、HEPES(10mM)、TEA塩化物(120mM)、グルコース(10mM)からなるバス溶液で灌流した。従来のパッチクランプ技術(Hamillら、Pfluegers Arch.391:85〜100(1981))を室温(22〜24℃)で使用して、ホールセル電位固定記録を行った。パッチクランプピペットを、WPI(肉厚のホウケイ酸ガラス)(WPI、Sarasota、FL)から引き抜いた。Axopatch200A増幅器(Axon Instruments、Union City、CA)を使用して電流を記録し、漏れを差し引き(P/4)、低域フィルタリングを行い(1kHz、4極Bessel)、デジタル化し(20〜50−μs間隔)、Digidata1200BインターフェースおよびPclamp8.0/Clampexソフトウェア(Axon Instruments、Union City、CA)を使用して保存した。CsCl(110mM)、MgCl2(3mM)、EGTA(3mM)、HEPES(40mM)、Mg−ATP(4mM)、Na2GTP(0.5mM)を含有し、CsOHでpH7.2に調節した内部溶液で、ピペットを後部より充填した。ピペット抵抗は、2〜3MOhmを変動し、内蔵電気回路によって75〜80%まで補償された。
【0131】
20秒毎に20ミリ秒の間、−90mV〜0mVの保持電位から電位を変化させることによって電流を誘発した。−90mVの膜電位において、チャネルの約50%は不活性化状態であり、したがってブロッカーとの接触は、静止チャネルおよび不活性化チャネルの両方との相互作用が関連するであろう。全ての薬物を、漸増的に3〜4種類の濃度で適用した。定常状態における分画阻害濃度を使用して、部分阻害濃度曲線を引き、−90mVでのIC50(すなわち、反応の大きさの50%の減少をもたらす濃度)値を得た。
【0132】
各試験化合物のストック溶液を、DMSOを使用して調製した。所望の濃度への段階希釈をバス溶液で行った。最終溶液中のDMSOの濃度は0.1%であった。細胞から0.5mm離して配置した平面マルチバレルアレイシューターを使用して、重力流によって薬物を適用した。
【0133】
Originソフトウェア(バージョン5.0、Microcal)を使用して、全ての曲線の当てはめを行った。ヒルの式を濃度−阻害曲線に当てはめて、IC50値を決定した。
【0134】
神経細胞におけるN型の電気生理学。N型カルシウムチャネルについて静止状態に対する不活性化状態の解離定数を決定するために、N型カルシウムチャネルを内因的に発現している神経細胞を使用することができる。電気生理学的記録のために、N型カルシウムチャネルを発現している神経細胞を、約104細胞/皿の密度で35mm培養ペトリ皿上に播き、その後に記録するために、最長3日間インキュベーター中に維持した。記録のために、倒立顕微鏡(ニコン、Eclipse E600、Japan)の試料台上に皿を置き、KOHでpH7.4に調節した、BaCl2(11mM)、MgCl2(1.5mM)、HEPES(10mM)、TEA塩化物(120mM)、グルコース(10mM)からなるバス溶液で灌流する。従来のパッチクランプ技術(Hamillら、Pfluegers Arch.391:85〜100(1981))を室温(22〜24℃)で使用して、ホールセル電位固定記録を行う。パッチクランプピペットを、WPI(肉厚のホウケイ酸ガラス)(WPI、Sarasota、FL)から引き抜く。Axopatch200A増幅器(Axon Instruments、Union City、CA)を使用して電流を記録し、漏れを差し引き(P/4)、低域フィルタリングを行い(1kHz、4極Bessel)、デジタル化し(20〜50−μs間隔)、Digidata1200BインターフェースおよびPclamp8.0/Clampexソフトウェア(Axon Instruments、Union City、CA)を使用して保存する。CsCl(110mM)、MgCl2(3mM)、EGTA(3mM)、HEPES(40mM)、Mg−ATP(4mM)、Na2GTP(0.5mM)を含有し、CsOHでpH7.2に調節した内部溶液で、ピペットを後部より充填する。ピペット抵抗は、2〜3MOhmを変動し、内蔵電気回路によって75〜80%まで補償される。
【0135】
10秒毎に20ミリ秒の間、−90mV〜0mVの保持電位から電位を変化させることによって電流を誘発する。−90mVの膜電位において、チャネルの一部は不活性化状態であり、したがってブロッカーとの接触は、静止チャネルおよび不活性化チャネルの両方との相互作用が関連するであろう。このプロトコルを、第1層スクリーンとして使用する。阻害の2つの要素(見かけの解離定数Krを有する静止ブロック、およびKiを有する不活性化状態ブロック)を精査するために、定常状態の不活性化曲線を、倍パルスプロトコルを使用して収集する。10mVの変化で3秒の長さの脱分極プレパルス増加を行い、次いで0mVまで10ミリ秒の試験パルスを行う。
【0136】
各試験化合物のストック溶液を、DMSOを使用して調製する。所望の濃度への段階希釈をバス溶液で行う。最終溶液中のDMSOの濃度は0.1%である。細胞から約1mm離して配置した平面マルチバレルアレイシューターを使用して、重力流によって薬物を適用する。
【0137】
Originソフトウェア(バージョン5.0、Microcal)を使用して、全ての曲線の当てはめを行う。ヒルの式を濃度−阻害曲線に当てはめて、IC50値を決定する。Boltzman方程式を使用して、不活性化曲線に当てはめ、半不活性電位V0.5、勾配pおよび最も負の電位での電流の増幅を得る。ここで、結局全てのチャネルは、静止状態である。これらのパラメーターを使用して、見かけの解離定数を計算する。
r=((Ab/Ac)/(l−(Ab/Ac))*[b])(式中、[b]は薬物濃度であり、Acはコントロール条件における最大試験電流振幅であり、Abはブロッカーの存在下における最大試験電流振幅である)
i=[b]/((exp(−(dx/p))*(l+([b]/Kr))−1)(式中、dxは薬物の存在下および非存在下の半不活性電位V0.5であり、pは勾配である)
【0138】
In vivo薬理
本発明の化合物は、マウスにおいて、最大電撃けいれん試験(MES)を含めたいくつかの抗けいれん剤試験のいずれかを使用して、i.v.注射、p.o.注射、またはi.p.注射後のin vivo抗けいれん作用について試験することができる。Ugo Basile ECT装置(モデル7801)を使用して、電流(マウスには:50mA、60パルス/秒、0.8ミリ秒のパルス幅、1秒間、D.C.;ラットには:99mA、125パルス/秒、0.8ミリ秒のパルス幅、2秒間、D.C.)を印加することによって、15〜20gの体重の雄NSAマウスおよび200〜225gの体重の雄Sprague−Dawleyラットにおいて、最大電撃けいれんを誘発する。背面のゆるい皮膚を掴むことでマウスを拘束し、食塩水でコーティングした角膜電極を2つの角膜に対して軽く保持する。ラットは、ベンチトップ上を自由に動けるようにし、イヤクリップ電極を使用する。電流を印加し、強直性後肢伸筋反射の発生について、30秒まで動物を観察する。強直発作は、体の面からの90度を上回る後肢伸展として定義する。結果は計数的方法によって処理することができる。
【0139】
Hunskaar,S.,O.B.Fasmer,and K.Hole,J.Neurosci.Methods14:69〜76(1985)に記載されているように、ホルマリンモデルにおいて、化合物の抗侵害受容作用について試験することができる。全ての実験において、雄Swiss Webster NIHマウス(20〜30g、Harlan、San Diego、CA)を使用することができる。実験の日に食物を回収する。少なくとも1時間マウスをPlexiglassジャー上に置き、環境に順応させる。順応期間の後、マウスを計量し、対象とする化合物、または対照として適切な容量のビヒクル(10%Tween−80)を、i.p.投与またはp.o.投与する。i.p.投与の15分後、およびp.o.投与の30分後に、マウスの右後足の背面にホルマリン(5%ホルムアルデヒドの食塩溶液20μL)を注射する。マウスをPlexiglassジャーに移し、注射された足を、舐めたり噛んだりする時間をモニターする。ホルマリン注射後に、舐めて噛む時間を、5分おきに1時間記録する。明サイクルの間、全ての実験を盲検法で行う。ホルマリン反応の初期相を、0分から5分の間に舐め/噛みつきとして測定し、遅延相を15分から50分の間に測定する。ビヒクル処置群と薬物処理群との差異を、一元配置分散分析(ANOVA)によって分析することができる。P値<0.05は、有意であるとみなす。化合物が、ホルマリンが誘発する足を舐める活動の初期相および第二相両方を阻止する作用を有している場合、急性および慢性疼痛を治療するのに効果的であるとみなす。
【0140】
末梢神経障害のChungモデル(KimおよびChung、Pain50:355〜363(1992))を使用して、慢性疼痛を治療する可能性(すなわち、抗アロディニア作用および抗痛覚過敏作用)について、化合物を試験することができる。200〜225gの体重の雄Sprague−Dawleyラットに、ハロタン(70%空気および30%酸素の混合物中に1〜3%)で麻酔し、恒温ブランケットを使用することによって、麻酔の間体温を制御する。次いで、L5レベルおよびL6レベルで2cmの背側正中線切開を施し、脊椎傍筋肉群を左右対称に収縮させる。次いで、L5およびL6の脊髄神経を露出させ、分離し、6−0または7−0の絹縫合糸できつく結紮する。負の対照として、結紮を行わずに対側のL5およびL6脊髄神経を露出することによって偽手術を行う。
【0141】
触覚アロディニア:非侵害性機械的刺激に対する感受性を動物において測定して、触覚アロディニアを評価することができる。ラットをワイヤーメッシュの床の高く上げた試験ケージに移し、5〜10分間順応させる。1組のvon Freyモノフィラメントを、後足の足底面に接触させて、動物の引っ込め閾値を決定する。使用する第1のフィラメントは、9.1gm(0.96対数値)のバックリング重量を有し、引っ込め反応を誘発するかを確認するために5回まで接触させる。動物が引っ込め反応を示す場合、次いで、その組の中で次に軽いフィラメントを、5回まで接触させて、これもまた反応を誘発することができるかを決定する。反応がなくなるまで、次に軽いフィラメントでこの手順を繰り返し、反応を引き起こす最も軽いフィラメントの特性を記録する。動物が、最初の9.1gmフィラメントから引っ込め反応を示さない場合、フィラメントが反応を誘発するまで、重量が増した次のフィラメントを接触させ、このフィラメントの特性を記録する。各動物について、全ての時点で3回の測定を行い、平均引っ込め閾値を決定する。薬物投与前、薬物投与後1時間、2時間、4時間および24時間に、試験を行うことができる。
【0142】
機械的痛覚過敏:動物において足圧力試験を使用して、侵害性機械的刺激に対する感受性を測定し、機械的痛覚過敏を評価することができる。Stein(Biochemistry & Behavior31:451〜455(1988))に記載されているように、analgesymeter(Model7200、Ugo Basile、Italyから市販されている)を使用して、ラットにおいて、侵害性機械的刺激に反応する後足引っ込め閾値(「PWT」)(グラムで測定)を決定する。ラットの足を小さい台上に載せ、段階的に最大250グラムまでの重量をかける。足が完全に引っ込められた重量を、エンドポイントとする。各ラットの各時点において、一度PWTを決定する。PWTは、損傷を与えられた足のみで測定してもよいし、損傷を与えられた足と損傷してない足の両方で測定してもよい。1つの非限定的実施形態において、神経傷害により引き起こされた疼痛(神経因性疼痛)と関連する機械的痛覚過敏を、ラットにおいて評価することができる。手術前にラットを試験して、ベースライン、または正常PWTを決定する。手術後2〜3週間、薬物投与の前、ならびに薬物投与後の様々な時点(例えば、1時間、3時間、5時間および24時間)で、再びラットを試験する。薬物投与後のPWTの増加は、その試験化合物が機械的痛覚過敏を減少させることを示す。
【0143】
医薬組成物
本発明の化合物は、他の成分を含まない未処理の化学物資の形態で、哺乳動物に投与し得るが、この化合物は、適切な医薬として許容される担体と混合した化合物を含有する医薬組成物の一部として投与することが好ましい。このような担体は、医薬として許容される賦形剤および助剤から選択することができる。
【0144】
本発明の範囲内に含まれる組成物には、本発明の化合物を医薬として許容される担体と混合した全ての組成物が含まれる。好ましい実施形態では、この化合物は、その意図した治療目的を達成するのに有効な量で、組成物中に存在する。個々の必要性は異なる場合があるが、各化合物の有効量の最適範囲の決定は、当分野の技術の範囲内である。典型的には、化合物は、特定の障害を治療するために、哺乳動物、例えばヒトに、1日当たり、哺乳動物の体重1Kg当たり約0.0025〜約1500mgの用量を、または医薬として許容されるその塩の当量を、経口的に投与することができる。哺乳動物に投与される本発明の化合物の有用な経口用量は、その哺乳動物の体重1Kg当たり約0.0025〜約50mg、または医薬として許容されるその塩の当量である。筋肉内注射では、その用量は通常経口用量の約半分である。
【0145】
単位経口用量は、約0.01〜約50mg、好ましくは約0.1〜約10mgの化合物を含み得る。各々が約0.01〜約50mgの化合物、あるいはその医薬として許容される塩または溶媒和物の当量を含有する1つもしくは複数の錠剤として、毎日1回または複数回、単位用量を投与することができる。
【0146】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、経口投与することができ、錠剤、糖衣錠、カプセル剤または経口液体製剤に製剤される。
【0147】
あるいは、本発明の医薬組成物は、直腸投与することができ、坐薬に製剤される。
【0148】
あるいは、本発明の医薬組成物は、注射により投与することができる。
【0149】
あるいは、本発明の医薬組成物は、経皮投与することができる。
【0150】
あるいは、本発明の医薬組成物は、吸入または鼻腔内投与によって投与することができる。
【0151】
あるいは、本発明の医薬組成物は、膣内経路によって投与することができる。
【0152】
本発明の医薬組成物は、約0.01〜99重量%、好ましくは約0.25〜75重量%の活性化合物を含有することができる。
【0153】
カルシウムチャネルの遮断に反応性の障害を、それを必要としている動物において治療、予防または寛解するための方法などの本発明の方法は、式Iの環状尿素化合物を投与されている動物に他の治療剤を投与するステップをさらに含むことができる。一実施形態では、他の治療剤は、有効量で投与される。
【0154】
他の治療剤の有効量は、当業者には公知である。しかし、他の治療剤の最適な有効量範囲を決定することは、十分当業者の認識範囲内である。他の治療剤を動物に投与する本発明の一実施形態では、本発明の化合物の有効量は、他の治療剤を投与しない場合のその有効量未満である。この場合、理論に束縛されるものではないが、本発明の化合物および他の治療剤は、相乗的に作用し、障害または状態を治療、予防、または寛解すると考えられる。
【0155】
他の治療剤は、これらだけに限定されないが、オピオイドアゴニスト、非オピオイド性鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症剤、片頭痛薬、Cox−II阻害剤、β−アドレナリンブロッカー、抗けいれん剤、抗うつ剤、抗癌剤、嗜癖障害を治療するための薬剤、パーキンソン病およびパーキンソニズムを治療するための薬剤、不安を治療するための薬剤、てんかんを治療するための薬剤、発作を治療するための薬剤、脳卒中を治療するための薬剤、掻痒状態を治療するための薬剤、精神病を治療するための薬剤、ALSを治療するための薬剤、認識力障害を治療するための薬剤、片頭痛を治療するための薬剤、嘔吐を治療するための薬剤、運動異常症を治療するための薬剤、またはうつ病を治療するための薬剤、およびこれらの混合物の場合がある。
【0156】
有用なオピオイドアゴニストの例には、それだけに限らないが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルホン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、医薬として許容されるそれらの塩、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0157】
特定の実施形態では、オピオイドアゴニストは、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、モルヒネ、トラマドール、オキシモルホン、医薬として許容されるそれらの塩、およびこれらの混合物から選択される。
【0158】
有用な非オピオイド性鎮痛剤の例には、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロクス酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラック、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルリサル、フルフェニサール、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカムなどの非ステロイド性抗炎症剤、および医薬として許容されるそれらの塩、およびこれらの混合物が挙げられる。他の適切な非オピオイド性鎮痛剤の例には、鎮痛性、解熱性、非ステロイド性の抗炎症剤の下記の非限定的な化学物質の部類が含まれる。アスピリン、サリチル酸ナトリウム、トリサルチル酸コリンマグネシウム、サルサラート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スルファサラジン、およびオルサラジンを含めたサリチル酸誘導体;アセトアミノフェンおよびフェナセチンを含めたパラアミノフェノール誘導体;インドメタシン、スリンダク、およびエトドラクを含めたインドールおよびインデン酢酸;トルメチン、ジクロフェナク、およびケトロラクを含めたヘテロアリール酢酸;メフェナム酸、およびメクロフェナム酸を含めたアントラニル酸(フェナム酸);オキシカム(ピロキシカム、テノキシカム)、およびピラゾリジンジオン(フェニルブタゾン、オキシフェンタルタゾン)を含めたエノール酸;およびナブメトンを含めたアルカノン。NSAIDのより詳細な説明は、参照により本明細書にその全体が組み込まれているPaul A.Insel,Analgesic Antipyretic and Antiinflammatory Agents and Drugs Employed in the Treatment of Gout,in Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics617〜57(Perry B.Molinhoff and Raymond W. Ruddon eds.,9th ed1996)およびGlen R.Hanson,Analgesic,Antipyretic and Anti Inflammatory Drugs in Remington:The Science and Practice of Pharmacy Vol II 1 196〜1221(A.R.Gennaro ed.19th ed.1995)を参照されたい。適切なCox−II阻害剤および5−リポキシゲナーゼ阻害剤、およびこれらの組合せは、参照により本明細書にその全体が組み込まれている米国特許第6,136,839号に記載されている。有用なCoxII阻害剤の例には、それだけに限らないが、ロフェコキシブおよびセレコキシブが挙げられる。
【0159】
有用な片頭痛薬の例には、それだけに限らないが、アルピロプリド、ブロモクリプチン、ジヒドロエルゴタミン、ドラセトロン、エルゴコルニン、エルゴコルニニン、エルゴクリプチン、エルゴノビン、麦角、エルゴタミン、酢酸フルメドロキソン、フォナジン、ケタンセリン、リスリド、ロメリジン、メチルエルゴノビン、メチセルジド、メトプロロール、ナラトリプタン、オキセトロン、ピゾチリン、プロプラノロール、リスペリドン、リザトリプタン、スマトリプタン、チモロール、トラゾドン、ゾルミトリプタン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0160】
有用なβ−アドレナリンブロッカーの例には、それだけに限らないが、アセブトロール、アルプレノロール、アモスラボール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、塩酸ブチドリン、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバロール、エパノロール、エスモロール、インデノロール、ラベタロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ネビボロール、ニフェナロール、ニプラジロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロプラノロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、チモロール、トリプロロール、およびキシベノロールが挙げられる
【0161】
有用な抗けいれん剤の例には、それだけに限らないが、アセチルフェネツリド、アルブトイン、アロキシドン、アミノグルテチミド、4−アミノ−3−ヒドロキシ酪酸、アトロラクトアミド、ベクラミド、ブラマート、臭化カルシウム、カルバマゼピン、シンロミド、クロメチアゾール、クロナゼパム、デシメミド、ジエタジオン、ジメタジオン、ドキセニトロイン、エテロバルブ、エタジオン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバマート、フルオレソン、ガバペンチン、5−ヒドロキシトリプトファン、ラモトリギン、臭化マグネシウム、硫酸マグネシウム、メフェニトイン、メフォバルビタール、メタルビタール、メテトイン、メトスクシミド、5−メチル−5−(3−フェナントリル)ヒダントイン、3−メチル−5−フェニルヒダントイン、ナルコバルビタール、ニメタゼパム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェネタルビタール、フェネトリド、フェノバルビタール、フェンスキシミド、フェニルメチルバルビツル酸、フェニトイン、フェセニレートナトリウム、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、プロガビド、臭化ナトリウム、ナス(solanum)、臭化ストロンチウム、スクロフェニド、スルチアム、テトラントイン、チアギャビン、トピラマート、トリメタジオン、バルプロ酸、バルプロミド、ビガバトリン、およびゾニサミドが挙げられる。
【0162】
有用な抗うつ剤の例には、それだけに限らないが、ビネダリン、カロキサゾン、シタロプラム、(S)−シタロプラム、ジメタザン、フェンカミン、インダルピン、塩酸インデロキサジン、ネホパム、ノミフェンシン、オキシトリプタン、オキシペルチン、パロキセチン、セルトラリン、チアゼシム、トラゾドン、ベンモキシン、イプロクロジド、イプロニアジド、イソカルボキサジド、ニアラミド、オクタモキシン、フェネルジン、コチニン、ロリシプリン、ロリプラム、マプロチリン、メトラリンドール、ミアンセリン、ミルトラザピン、アジナゾラム、アミトリプチリン、アミトリプチリノキシド、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デメキシプチリン、デシプラミン、ジベンゼピン、ジメタクリン、ドチエピン、ドキセピン、フルアシジン、イミプラミン、イミプラミンN−オキシド、イプリンドール、ロフェプラミン、メリトラセン、メタプラミン、ノルトリプチリン、ノキシプチリン、オピプラモール、ピゾチリン、プロピゼピン、プロトリプチリン、キヌプラミン、チアネプチン、トリミプラミン、アドラフィニル、ベナクチジン、ブプロピオン、ブタセチン、ジオキサドロール、デュロキセチン、エトペリドン、フェバルバマート、フェモキセチン、フェンペンタジオール、フルオキセチン、フルボキサミン、ヘマトポルフィリン、ヒペリシン、レボファセトペラン、メジホキサミン、ミルナシプラン、ミナプリン、モクロベミド、ネファゾドン、オキサフロザン、ピベラリン、プロリンタン、ピリスクシデアノール(pyrisuccideanol)、リタンセリン、ロキシンドール、塩化ルビジウム、スルピリド、タンドスピロン、トザリノン、トフェナシン、トロキサトン、トラニルシプロミン、L−トリプトファン、ベンラファキシン、ビロキサジン、およびジメルジンが挙げられる。
【0163】
有用な抗癌剤の例には、それだけに限らないが、アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、塩酸ビサントレン、ビスナフィドジメシラート、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン、カルゼレシン、セデフィンゴール、クロラムブシル、シロレマイシン、およびシスプラチンが挙げられる。
【0164】
嗜癖障害を治療または予防するのに有用な治療剤には、それだけに限らないが、メサドン、デシプラミン、アマンタジン、フルオキセチン、ブプレノルフィン、オピエートアゴニスト、3−フェノキシピリジン、またはセロトニンアンタゴニストが挙げられる。
【0165】
パーキンソン病およびパーキンソニズムを治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、カルビドパ/レボドパ、ペルゴリド、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、エンタカポン、トルカポン、セレギリン、アマンタジン、および塩酸トリヘキシフェニジルが挙げられる。
【0166】
不安を治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、アルプラゾラム、ブロチゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、デモキセパム、ジアゼパム、エスタゾラム、フルマゼニル、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クァゼパム、テマゼパム、およびトリアゾラムなどのベンゾジアゼピン;ブスピロン、ゲピロン、イプサピロン、チオスピロン、ゾルピコン、ゾルピデム、およびザレプロンなどの非ベンゾジアゼピン系薬剤;バルビツール酸塩などのトランキライザー、例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタルビタール、メフォバルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、およびチオペンタール;ならびにメプロバメートおよびチバマートなどのカルバミン酸プロパンジオールが挙げられる。
【0167】
てんかんまたは発作を治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、カルバマゼピン、エトスクシミド、ガバペンチン、ラモトリギン、フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、バルプロ酸、トリメタジオン、ベンゾジアゼピン、γ−ビニルGABA、アセタゾラミド、およびフェルバマートが挙げられる。
【0168】
脳卒中を治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、ヘパリンなどの抗凝血剤;ストレプトキナーゼまたは組織プラスミノーゲンアクチベーターなどの血餅を分解する薬剤;マンニトールまたは副腎皮質ステロイドなどの膨れを抑える薬剤:およびアセチルサリチル酸が挙げられる。
【0169】
掻痒状態を治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、ナルトレキソン;ナルメフェン;ダナゾール;アミトリプチリン、イミプラミン、およびドキセピンなどの三環系;下記に示したような抗うつ剤;メントール;ショウノウ;フェノール;プラモキシン;カプサイシン;タール;ステロイド;ならびに抗ヒスタミン剤が挙げられる。
【0170】
精神病を治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、塩酸クロルプロマジン、メソリダジンベシレート、および塩酸トリダジンなどのフェノチアジン;クロロプロチキセンおよび塩酸チオチキセンなどのチオキサンテン;クロザピン;リスペリドン;オランザピン;クエチアピン;フマル酸クエチアピン;ハロペリドール;デカン酸ハロペリドール;コハク酸ロキサピン;塩酸モリンドン;ピモジド;およびジプラシドンが挙げられる。
【0171】
ALSを治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、バクロフェン、神経栄養因子、リルゾール、チザニジン、ベンゾジアゼピン(クロナゼパムおよびダントロレンなど)が挙げられる。
【0172】
認識力障害を治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、タクリンなどの認知症を治療または予防するための薬剤;ドネペジル;イブプロフェン;チオリダジンおよびハロペリドールなどの抗精神病薬;ならびに下記に示したような抗うつ剤が挙げられる。
【0173】
片頭痛を治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、スマトリプタン;メチセルジド;エルゴタミン;カフェイン;ならびにプロプラノロール、ベラパミル、およびジバルプロックスなどのβブロッカーが挙げられる。
【0174】
嘔吐を治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、オンダンセトロン、ドラセトロン、グラニセトロン、およびトロピセトロンなどの5−HT3受容体アンタゴニスト;プロクロルペラジン、チエチルペラジン、クロルプロマジン、メトクロプラミド、およびドンペリドンなどのドーパミン受容体アンタゴニスト;デキサメタゾンなどのグルココルチコイド;およびロラゼパムおよびアルプラゾラムなどのベンゾジアゼピンが挙げられる。
【0175】
運動異常症を治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、レセルピンおよびテトラベナジンが挙げられる。
【0176】
うつ病を治療または予防するための有用な治療剤の例には、それだけに限らないが、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、マプロチリン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トラゾドン、トリミプラミン、およびベンラファキシンなどの三環式抗うつ剤;シタロプラム、(S)−シタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、およびセルトラリンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害剤;イソカルボキサジド、パルギリン、フェネルジン、およびトラニルシプロミンなどのモノアミン酸化酵素阻害剤;ならびにデキストロアンフェタミンおよびメチルフェニデートなどの覚醒剤が挙げられる。
【0177】
本発明の環状尿素化合物および他の治療剤は、相加的に、または一実施形態では、相乗的に作用する場合がある。一実施形態では、本発明の化合物は、他の治療剤と同時に投与される。例えば、式I〜VIIの化合物の有効量、および他の治療剤の有効量を含む組成物を投与することができる。あるいは、式I〜VIIの化合物の有効量を含む組成物、および他の治療剤の有効量を含む異なる組成物を、同時に投与することができる。他の実施形態では、本発明の化合物の有効量を、他の治療剤の有効量の投与の前または後に投与する。この実施形態では、他の治療剤が治療効果を与えている間に、本発明の化合物を投与し、あるいは本発明の化合物が、障害または状態を治療、寛解、または予防するためにその予防または治療効果を与えている間に、他の治療剤を投与する。
【0178】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の有益な効果を経験し得る任意の動物に投与することができる。本発明は限定することを意図していないが、このような動物の中で主要なものは、哺乳動物、例えば、ヒトおよびペット動物である。
【0179】
本発明の医薬組成物は、その使用目的を達成する任意の手段によって投与することができる。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、経皮、鼻腔内、直腸、膣内または口腔経路によって、あるいは吸入によってでもよい。代わりに、または同時に、投与は、経口経路によって行うこともできる。特定の対象の状況によって、ならびにレシピエントの年齢、健康、および体重、治療を受ける状態または障害、併用療法の種類(ある場合)、治療頻度、ならびに所望の効果の性質などの要因を考慮に入れて、投与量および投与経路は変化するであろう。
【0180】
本発明の医薬組成物は、それ自体公知の方法で、例えば、従来の混合、造粒、糖衣錠作製、溶解、押出、または凍結乾燥プロセスで製造されることが好ましい。したがって、経口使用のための医薬組成物は、活性化合物と固形賦形剤とを混合し、所望または必要な場合、適切な助剤を加えた後、得られた混合物を任意選択で粉砕し、顆粒の混合物を処理し、錠剤または糖衣錠コアとすることによって得ることができる。
【0181】
適切な賦形剤には、糖類(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトール)、セルロース調製物、リン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム)などの充填剤、ならびにデンプン糊(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、またはジャガイモデンプンを使用したもの)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドンなどの結合剤が挙げられる。所望であれば、1種または複数の崩壊剤(上記のデンプン、またカルボキシメチル−デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)など)を加えることができる。
【0182】
典型的には助剤は、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)、およびポリエチレングリコールなどの、流動制御剤および滑沢剤である。糖衣錠コアには、胃液に耐性を示す適切なコーティングが施される。この目的のために、濃縮糖類溶液(アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を任意選択で含有し得る)を使用することができる。胃液に耐性を有するコーティングを生成するために、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの適切なセルロース調製物の溶液を使用することができる。例えば、識別のためまたは活性化合物用量の組合せを特徴付けるために、染料または色素を錠剤または糖衣錠のコーティングに加えてもよい。
【0183】
経口的に使用することができる他の医薬製剤の例には、ゼラチン製の押込嵌めカプセル剤、あるいはゼラチンおよび可塑剤(グリセロールまたはソルビトールなど)で作成した軟質密閉カプセル剤が挙げられる。押込嵌めカプセル剤は、顆粒の形態の化合物(ラクトースなどの充填剤;デンプンなどの結合剤;および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;任意選択で安定剤と混合されていてもよい)、あるいは押出多粒子の形態の化合物を含有することができる。軟質カプセル剤において、活性化合物は、脂肪油または流動パラフィンなどの適切な液体中に溶解または懸濁していることが好ましい。さらに、安定剤を加えてもよい。
【0184】
直腸投与について可能な医薬製剤には、例えば、1種または複数の活性化合物と坐剤基剤との組合せからなる坐薬が挙げられる。適切な坐剤基剤には、とりわけ、天然および合成のトリグリセリド、ならびにパラフィン炭化水素が挙げられる。活性化合物と、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素などの基材との組合せからなるゼラチンの直腸カプセル剤を使用することもまた可能である。
【0185】
非経口投与のために適切な製剤には、例えば、水溶性塩、アルカリ性溶液、または酸性溶液などの、水溶性形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。あるいは、活性化合物の懸濁液を、油状懸濁剤として調製してもよい。懸濁剤などのための適切な親油性溶媒またはビヒクルには、脂肪油(例えば、ゴマ油)、合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル)、トリグリセリド、またはポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール−400(PEG−400))が挙げることができる。水性懸濁剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランを含めて、懸濁剤の粘度を増加させるための1種または複数の物質を含有し得る。懸濁剤は、安定剤を任意選択で含有してもよい。
【0186】
下記の実施例は、本発明の化合物、組成物および方法の例示であるが、限定するものではない。臨床治療において通常直面する様々な状態およびパラメーターに関する適切な改変および適応、ならびに本開示に照らして当業者に明白であるものは、本発明の趣旨および範囲内である。
(実施例)
【実施例1】
【0187】
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]イミダゾリジン−2−オン(3)
水素化ナトリウム(0.72g、18mmol)のDMF(20.0mL)懸濁液に、イミダゾリジン−2−オン(1)(2.5g、30.0mmol、Aldrich)のDMF(10.0mL)溶液を、室温で加えた。得られた混合物を、室温で45分間撹拌し、次いで4,4−ビス(4−フルオロフェニル)塩化ブチル(2)(5.6g、10mmol)のDMF(10.0mL)溶液を加えた。次いで、混合物を60℃で4時間撹拌した。この後、混合物を室温に冷却し、水(20mL)でクエンチした。混合物を、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、粗試料を得た。粗試料を、酢酸エチル/ヘキサングラジエントを溶離液として使用して、カラムクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物3を得た。MS: m/z 331. 1H NMR (CDCl3): ( 7.16 (m, 4H), 6.96 (t, J=8 Hz, 4H), 4.36 (br, 1H), 3.91 (t, J=8 Hz, 1H), 3.38 (m, 2H), 3.32 (m, 2H), 3.21 (t, J=8 Hz, 2H), 2.00 (dd, J=8, 12 Hz, 2H), 1.45 (m, 2H).
【0188】
【化46】

【実施例2】
【0189】
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−2−イルメチル)イミダゾリジン−2−オン(5)
水素化ナトリウム(0.06g、1.6mmol)のDMF(1.0mL)懸濁液に、1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]イミダゾリジン−2−オン(3)(0.2g、0.6mmol)のDMF(1.0mL)溶液を、室温で加えた。得られた混合物を、70℃で1.0時間撹拌し、化合物4(0.16g、1mmol、Aldrich)のDMF(0.5mL)溶液を加える前に、室温に冷却した。得られた反応混合物を、70℃で4時間撹拌した。この後、混合物を室温に冷却し、水(5.0mL)でクエンチした。混合物を、クロロホルム(10mL×2)で抽出した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濃縮し、粗試料を得た。粗試料を、酢酸エチル/ヘキサングラジエントを溶離液として使用して、カラムクロマトグラフィーによって精製し、65mgの表題化合物5を透明な油として得た。MS: m/z 422. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): ( 8.56-8.49 (m, 1H), 7.66-7.59 (m, 1H), 7.34-7.26 (m, 2H), 7.22-7.11 (m, 4H), 7.02-6.90 (m, 4H), 4.49 (s, 2H), 3.96-3.88 (m, 1H), 3.33-3.16 (m, 6H), 2.07-1.96 (m, 2H), 1.53-1.44 (m, 2H).
【0190】
【化47】

【0191】
下記の化合物を、同様に調製した。
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イルメチル)イミダゾリジン−2−オン:1H NMR (400 MHz, CDCl3): ( 8.52 (m, 2H), 7.62 (m, 1H), 7.24 (m, 1H), 7.16 (dd, J=5.2, 8.3 Hz, 4H), 6.96 (m, 4H), 4.37 (s, 2H), 3.92 (t, J=7.9 Hz, 1H), 3.25 (t, J=6.9 Hz, 2H), 3.17 (m, 4H), 2.01 (m, 2H), 1.45 (m, 2H). MS: m/z 422.2 (M+1).
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−4−イルメチル)イミダゾリジン−2−オン:1H NMR (400 MHz, CDCl3): ( 8.54 (m, 2H), 7.17 (m, 6H), 6.97 (m, 4H), 4.36 (s, 2H), 3.93 (t, J=7.7 Hz, 1H), 3.27 (t, J=7.1 Hz, 2H), 3.20 (m, 4H), 2.02 (m, 2H), 1.45 (m, 2H). MS: m/z 422.2 (M+1).
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]イミダゾリジンン−2−オン:1H NMR (400 MHz, CDCl3): ( 7.16 (m, 4H), 6.96 (m, 4H), 3.90 (t, J=7.9 Hz, 1H), 3.32 (m, 4H), 3.17 (m, 4H), 2.42 (m, 6H), 1.99 (m, 2H), 1.54 (m, 4H), 1.42 (m, 4H). MS: m/z 442.4 (M+1).
【実施例3】
【0192】
2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−4−ベンジルオキシカルボニル−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン(8)
2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン(9)
3−オキソ−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2−カルボン酸ベンジルエステル(6)(0.78g、3.34mmol、Rare Chemicals GmbH)を、DMF(10.0mL)に溶解した。水酸化カリウム(0.28g、5.0mmol)を溶液に加え、次いで化合物7(1.37g、3.67mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で5時間撹拌した。次いで、混合物を水(10.0mL)で希釈し、塩化メチレン(50mL×3)で抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、粗試料を得た。粗試料を、酢酸エチル/塩化メチレングラジエントを溶離液として使用して、カラムクロマトグラフィーによって精製し、1.13gの表題化合物8および90mgの表題化合物9を得た。化合物8のMS:m/z477。化合物9のMS:m/z343。
【0193】
【化48】

【実施例4】
【0194】
2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−4−(ピリジン−2−イル)メチル−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン(10)
2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン(9)(90mg、0.263mmol)を、DMF(3.0mL)に溶解した。水素化ナトリウム(11mg、0.39mmol)を溶液に加え、次いで化合物4(48mg、0.26mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で15時間撹拌した。次いで、混合物を水(1.0mL)で希釈し、塩化メチレン(5mL×3)で抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、粗試料を得た。粗試料を、酢酸エチル/塩化メチレングラジエントを溶離液として使用して、カラムクロマトグラフィーによって精製し、20mgの表題化合物10を透明な油として得た。MS: m/z 434. 1H NMR (CDCl3): ( 8.58-8.52 (m, 1H), 7.67-7.61 (m, 1H), 7.35-7.25 (m, 5H), 7.04-6.93 (m, 4H), 4.69-4.62 (m, 1H), 4.53-4.43 (m, 1H), 3.99-3.86 (m, 1H), 3.37-3.27 (m, 2H), 3.14-3.04 (m, 1H), 2.99-2.90 (m, 1H), 2.11-1.95 (m, 2H), 1.59-1.48 (m, 2H), 1.28-1.23 (m, 1H), 0.50-0.42 (m, 1H).
【0195】
【化49】

【0196】
同様に、2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−4−メチル−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オンを、調製した。1H NMR (CDCl3): ( 7.16 (m, 4H), 6.96 (m, 4H), 3.91 (t, J=8 Hz, 1H), 3.24 (m, 2H), 3.00 (m, 1H), 2.92 (m, 1H), 2.85 (s, 3H), 2.01 (m, 2H), 1.52 (m, 2H), 1.25 (s, 1H), 0.45 (dd, J=5.7, 11.8 Hz, 1H). MS: m/z 357.1 (M+1).
【実施例5】
【0197】
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−オン(12)
水素化ナトリウム(0.72g、18mmol)のDMF(15.0mL)懸濁液に、1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(11)(2.6g、20.0mmol、Aldrich)のDMF(10.0mL)溶液を室温で加えた。得られた混合物を、室温で30分間撹拌し、化合物2(2.8g、10mmol)のDMF(10.0mL)溶液を加えた。得られた混合物を、60℃で4時間撹拌した。この後、混合物を室温に冷却し、水(20mL)でクエンチした。混合物を、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、粗試料を得た。粗試料を、酢酸エチル/ヘキサングラジエントを溶離液として使用して、カラムクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物12を得た。MS: m/z 379. 1H NMR (CDCl3): ( 9.41 (s, 1H), 7.10 (m, 8H), 6.92 (t, J=8 Hz, 4H), 3.93 (m, 3H), 2.07 (m, 2H), 1.73 (m, 2H).
【0198】
【化50】

【実施例6】
【0199】
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−2−イル)メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(13)
水素化ナトリウム(0.06g、1.5mmol)のDMF(1.0mL)懸濁液に、1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(12)(0.19g、0.5mmol)のDMF(1.0mL)溶液を室温で加えた。得られた混合物を、70℃で1時間撹拌し、化合物4(0.16g、1mmol、Aldrich)のDMF(0.5mL)溶液を加える前に、室温に冷却した。得られた混合物を、70℃で4時間撹拌した。この後、混合物を室温に冷却し、水(5.0mL)でクエンチした。混合物を、クロロホルム(10mL×2)で抽出した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濃縮し、粗試料を得た。粗試料を、酢酸エチル/ヘキサングラジエントを溶離液として使用してカラムクロマトグラフィーによって精製し、65mgの表題化合物13を透明な油として得た。MS: m/z 469. 1H NMR (CDCl3): ( 8.64 (s, 1H), 8.53 (s, 1H), 7.64-7.56 (m, 1H), 7.23-7.16 (m, 1H), 7.16-7.08 (m, 4H), 7.08-6.98 (m, 2H), 6.98-6.90 (m, 4H), 6.90-6.84 (m, 2H), 5.08 (s, 2H), 4.00-3.87 (m, 3H), 2.11-1.99 (m, 2H), 1.79-1.66 (m, 2H).
【0200】
【化51】

【0201】
同様に、下記の化合物を調製した。
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン:1H NMR (CDCl3): ( 7.12 (dd, J=5.3, 8.8 Hz, 4H), 7.05 (m, 3H), 6.93 (m, 4H), 6.84 (m, 1H), 4.00 (dd, J=8.0, 14.4 Hz, 2H), 3.90 (m, 3H), 2.62 (m, 2H), 2.46 (m, 4H), 2.04 (dd, J=7.6, 15.0 Hz, 2H), 1.70 (m, 2H), 1.54 (m, 4H), 1.41 (m, 2H). MS: m/z 490.4 (M+1);
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン:1H NMR (CDCl3): ( 8.64 (br s, 1H), 8.53 (br s, 1H), 7.60 (d, J=7.7 Hz, 1H), 7.20 (dd, J=4.9, 7.7 Hz, 1H), 7.13 (dd. J=5.3, 8.6 Hz, 4H), 7.03 (m, 2H), 6.94 (m, 4H), 6.88 (m, 2H), 5.08 (s, 2H), 3.94 (m, 3H), 2.05 (m, 2H), 1.73 (m, 2H). MS: m/z 470.2 (M+1);
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−4−イル)メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン:1H NMR (CDCl3): ( 8.52 (br s, 2H), 7.14 (m, 6H), 7.04 (m, 2H), 6.94 (m, 5H), 6.79 (m, 1H), 5.06 (s, 2H), 3.95 (m, 3H), 2.05 (m, 2H), 1.75 (m, 2H). MS: m/z 470.1 (M+1);
、および
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン:1H NMR (CDCl3): ( 8.76 (m, 2H), 7.61 (dd, J=1.4, 4.6 Hz, 2H), 7.28 (m, 2H), 7.14 (m, 5H), 6.95 (m, 5H), 3.96 (t, J=7.2 Hz, 1H), 3.94 (m, 2H), 2.10 (m, 2H), 1.77 (m, 2H). MS: m/z 456.1 (M+1).
【実施例7】
【0202】
記載した本発明の化合物は、N型カルシウムチャネル遮断作用についてカルシウム動員アッセイおよび/または電気生理学的アッセイにおいて試験した場合、約0.34μM〜約5μMのIC50を示す。記載したいくつかの化合物を、L型カルシウムチャネル遮断作用についてカルシウム動員アッセイにおいて試験し、それらは約0.20μM〜約>20μMのIC50値を示す。代表値を、表2に示す。
【0203】
【表2】

【0204】
本発明を十分に説明してきて、本発明の範囲またはその任意の実施形態に影響を与えずに、条件、処方および他のパラメーターの広範で相当する範囲内で、同じことを行うことができることは当業者であれば理解するであろう。
【0205】
本発明の他の実施形態は、本明細書において開示されている本発明の明細書および実施を考慮すれば、当業者であれば明らかであろう。明細書および実施例は、例示的なものとのみ考えられ、本発明の真の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲に示されることが意図されている。
【0206】
本明細書において引用した全ての特許および刊行物は、本明細書において参照によりその全体が組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
Zは、Z1およびZ2(Z1は、
【化2】

であり、
2は、−CH2−(CH2n−R8である)からなる群から選択され、
1およびR2は、両方とも水素であり、またはR1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、縮合シクロプロピル環もしくは縮合フェニル環を形成し、
3は、
(i)水素、
(ii)アルキル、
(iii)C36シクロアルキル、
(iv)−(CH2P−Y、
【化3】

からなる群から選択され、
4、R5、R6およびR7は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から各々独立に選択され、
8は、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基によって任意選択で置換されているフェニル、
アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、およびアルコキシからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているピリジル、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、およびハロアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているチアゾリル
からなる群から選択され、
9およびR10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
11およびR12は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
Yは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されている3〜7員の飽和複素環であり、
mは、0、1、2、3、4、または5であり、
nは、0、1、または2であり、
pは、0、1、2、3、または4であり、
qおよびsは、各々独立に0、1、2、3、4、または5であり、
rは、0または1であり、
tは、1、2、3、または4であり、
uは、0、1、2、3、または4であり、
但し、
1)R1およびR2が両方とも水素であり、ZがZ2であり、R3が(i)または(v)(式中、rは0である)であり、R9およびR10が各々独立に水素またはアルコキシである場合、R8はフェニルまたは3,4−ジメトキシフェニルではない、あるいは
2)R1およびR2が一緒になって縮合フェニル環を形成し、ZがZ2であり、R8が非置換フェニル基である場合、R3はアルキルではない]
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物。
【請求項2】
a)式II
【化4】

(式中、R3およびZは、請求項1に記載の通りである)を有する請求項1に記載の化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物、あるいは
b)式III
【化5】

(式中、R3およびZは、請求項1に記載の通りである)を有する請求項1に記載の化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物、あるいは
c)式IV
【化6】

(式中、R3およびZは、請求項1に記載の通りである)を有する請求項1に記載の化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物。
【請求項3】
Zが、Z1またはZ2である、請求項1または2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
ZがZ1である、
a)式V
【化7】

を有する請求項5に記載の化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物、あるいは
b)式VI
【化8】

を有する請求項5に記載の化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物、あるいは
c)式VII
【化9】

を有する請求項5に記載の化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物。
【請求項5】
3が、
a)(i)水素、(ii)アルキル、および(iii)C36シクロアルキルからなる群から選択され、あるいは
b)(iv)−(CH2P−Y(式中、Yは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されている3〜7員の飽和複素環であり、pは、0、1、2、3、または4である)、あるいは
c)(v)
【化10】

(式中、R9およびR10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、rは、0または1であり、qおよびsは、各々独立に、0、1、2、3、4、または5である)、あるいは
d)(vi)
【化11】

(式中、R9およびR10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、tは、0、1、2、3、または4である)、
e)(vii)
【化12】

(式中、R11およびR12は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、uは、0、1、2、3、または4である)である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
4、R5、R6およびR7が、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から各々独立に選択され、好ましくは、R4およびR6は、両方とも水素であり、R5およびR7は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から各々独立に選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
a)1−(3,3−ジフェニルプロピル)−3−フェニルイミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−フェニルイミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(3−フェニルプロプ−2−エニル)イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イルメチル)イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−4−イルメチル)イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−2−イルメチル)イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−メチルイミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−シクロプロピルイミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]イミダゾリジン−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−イミダゾリジン−2−オン;
である式Vによる化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物、あるいは
b)2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−4−メチル−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン;
2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−4−(ピリジン−2−イル)メチル−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン;
2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−4−ベンジルオキシカルボニル−2,4−ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン;
2−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−2,4−ジアザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン;
である式VIによる化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物、
c)1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−[4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−4−イル)メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−[4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−2−イル)メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−[4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−3−(ピリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
である式VIIによる化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物
である、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
Z=Z2であり、R8が、
a)アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基によって任意選択で置換されているフェニル、あるいは
b)アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、およびアルコキシからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているピリジル、あるいは
c)アルキル、アルコキシ、ハロゲン、およびハロアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているチアゾリル
である、請求項3に記載の化合物。
【請求項9】
カルシウム動員アッセイおよび/または電気生理学的アッセイにおいてN型カルシウムチャネル遮断作用について約100μM以下のIC50を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物および医薬として許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項11】
カルシウムチャネルの過剰作用を患っている哺乳動物において、前記チャネルの遮断に反応性の障害を治療、予防または寛解する方法であって、このような治療、予防または寛解を必要としている哺乳動物に、式I
【化13】

[式中、
Zは、Z1およびZ2(Z1は、
【化14】

であり、
2は、−CH2−(CH2n−R8である)からなる群から選択され、
1およびR2は、両方とも水素であり、またはR1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、縮合シクロプロピル環もしくは縮合フェニル環を形成し、
3は、
(i)水素、
(ii)アルキル、
(iii)C36シクロアルキル、
(iv)−(CH2P−Y、
【化15】

からなる群から選択され、
4、R5、R6およびR7は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から各々独立に選択され、
8は、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基によって任意選択で置換されているフェニル、
アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、およびアルコキシからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているピリジル、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、およびハロアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているチアゾリル
からなる群から選択され、
9およびR10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
11およびR12は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
Yは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されている3〜7員の飽和複素環であり、
mは、0、1、2、3、4、または5であり、
nは、0、1、または2であり、
pは、0、1、2、3、または4であり、
qおよびsは、各々独立に0、1、2、3、4、または5であり、
rは、0または1であり、
tは、1、2、3、または4であり、
uは、0、1、2、3、または4である]の化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物、または請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項12】
N型カルシウムチャネルの遮断に反応性の障害を治療、予防または寛解する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
哺乳動物において、脳卒中、頭部外傷、てんかん、疼痛、片頭痛、気分障害、統合失調症、神経変性障害、うつ病、不安、精神病、高血圧、または心不整脈を治療、予防または寛解する方法であって、このような治療、予防または寛解を必要としている哺乳動物に、式I
【化16】

[式中、
Zは、Z1およびZ2(Z1は、
【化17】

であり、
2は、−CH2−(CH2n−R8である)からなる群から選択され、
1およびR2は、両方とも水素であり、またはR1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、縮合シクロプロピル環もしくは縮合フェニル環を形成し、
3は、
(i)水素、
(ii)アルキル、
(iii)C36シクロアルキル、
(iv)−(CH2P−Y、
【化18】

からなる群から選択され、
4、R5、R6およびR7は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から各々独立に選択され、
8は、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基によって任意選択で置換されているフェニル、
アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、およびアルコキシからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているピリジル、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、およびハロアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているチアゾリル
からなる群から選択され、
9およびR10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
11およびR12は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
Yは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されている3〜7員の飽和複素環であり、
mは、0、1、2、3、4、または5であり、
nは、0、1、または2であり、
pは、0、1、2、3、または4であり、
qおよびsは、各々独立に0、1、2、3、4、または5であり、
rは、0または1であり、
tは、1、2、3、または4であり、
uは、0、1、2、3、または4である]の化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物、または請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項14】
疼痛、好ましくは急性疼痛、慢性疼痛または手術疼痛、より好ましくは慢性疼痛を治療、予防または寛解する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
哺乳動物において、カルシウムチャネル、好ましくはN型カルシウムチャネルを調節する方法であって、前記哺乳動物に、少なくとも1種類の式I
【化19】

[式中、
Zは、Z1およびZ2(Z1は、
【化20】

であり、
2は、−CH2−(CH2n−R8である)からなる群から選択され、
1およびR2は、両方とも水素であり、またはR1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、縮合シクロプロピル環もしくは縮合フェニル環を形成し、
3は、
(i)水素、
(ii)アルキル、
(iii)C36シクロアルキル、
(iv)−(CH2P−Y、
【化21】

からなる群から選択され、
4、R5、R6およびR7は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から各々独立に選択され、
8は、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基によって任意選択で置換されているフェニル、
アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、およびアルコキシからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているピリジル、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、およびハロアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているチアゾリル
からなる群から選択され、
9およびR10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
11およびR12は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
Yは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されている3〜7員の飽和複素環であり、
mは、0、1、2、3、4、または5であり、
nは、0、1、または2であり、
pは、0、1、2、3、または4であり、
qおよびsは、各々独立に0、1、2、3、4、または5であり、
rは、0または1であり、
tは、1、2、3、または4であり、
uは、0、1、2、3、または4である]の化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物、または請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含む方法。
【請求項16】
3Hまたは14C放射標識されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の式Iを有する化合物。
【請求項17】
a)一定の濃度の放射標識化合物を受容体に導入して、混合物を形成するステップと、
b)前記混合物を候補化合物で滴定するステップと、
c)前記候補化合物の前記受容体への結合を決定するステップと
を含む、請求項16に記載の放射標識化合物を使用した、受容体に結合する能力について候補化合物をスクリーニングする方法。
【請求項18】
哺乳動物において、脳卒中、頭部外傷、てんかん、疼痛、片頭痛、気分障害、統合失調症、神経変性障害、うつ病、不安、精神病、高血圧、または心不整脈、好ましくは、急性疼痛、慢性疼痛、または手術疼痛を治療、予防、または寛解するための医薬の製造のための、請求項1から9のいずれか一項に記載の式Iの化合物、あるいは式I
【化22】

[式中、
Zは、Z1およびZ2(Z1は、
【化23】

であり、
2は、−CH2−(CH2n−R8である)からなる群から選択され、
1およびR2は、両方とも水素であり、またはR1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、縮合シクロプロピル環もしくは縮合フェニル環を形成し、
3は、
(i)水素、
(ii)アルキル、
(iii)C36シクロアルキル、
(iv)−(CH2P−Y、
【化24】


からなる群から選択され、
4、R5、R6およびR7は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から各々独立に選択され、
8は、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基によって任意選択で置換されているフェニル、
アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、およびアルコキシからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているピリジル、
アルキル、アルコキシ、ハロゲン、およびハロアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されているチアゾリル
からなる群から選択され
9およびR10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
11およびR12は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から各々独立に選択され、
Yは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基によって任意選択で置換されている3〜7員の飽和複素環であり、
mは、0、1、2、3、4、または5であり、
nは、0、1、または2であり、
pは、0、1、2、3、または4であり、
qおよびsは、各々独立に0、1、2、3、4、または5であり、
rは、0または1であり、
tは、1、2、3、または4であり、
uは、0、1、2、3、または4である]の化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物の使用。

【公表番号】特表2009−525269(P2009−525269A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551693(P2008−551693)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000303
【国際公開番号】WO2007/085357
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】