説明

カルシウムチャネル遮断薬としての置換アリールスルホン誘導体

式Iによって表される一連の置換アリールスルホン誘導体またはそれらの医薬的
に許容し得る塩。医薬組成物は有効量の本発明の化合物を単独で、または1種類以上の他
の治療上活性の化合物および医薬的に許容し得る担体との組み合わせで含む。例えば、急
性痛、慢性痛、内臓痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、尿失禁、掻痒、アレルギー性皮膚
炎、てんかん、糖尿病性神経障害、過敏性腸症候群、うつ病、不安、多発性硬化症、睡眠
障害、双極性障害および発作を含む、カルシウムチャネル活性に関与するか、またはそれ
によって生じる状態の治療方法は、有効量の本発明の化合物を単独で、または1種類以上
の他の治療上活性の化合物との組み合わせで投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一連の置換アリールスルホン誘導体に関する。特に、本発明は、慢性および神
経障害性疼痛を含む様々な疼痛状態の治療に有用なN型電位依存性カルシウムチャネル遮
断薬である置換アリールスルホン誘導体に関する。本発明の化合物はT型電位依存性カル
シウムチャネルの遮断に関連する活性も示す。本発明において説明される化合物は、神経
障害性疼痛、炎症性疼痛および内臓痛を含む、慢性および急性疼痛の治療に有用である。
本発明において説明される化合物は、膀胱機能の障害、心因掻痒、掻痒、アレルギー性皮
膚炎および中枢神経系(CNS)の障害、例えば、発作、てんかん、本態性振戦、統合失
調症、パーキンソン病、躁鬱病、双極性障害、うつ病、不安、睡眠障害、糖尿病性神経障
害、高血圧、癌、糖尿病、不妊および性機能障害を含む状態の治療にも有用である。
【背景技術】
【0002】
イオンチャネルは興奮細胞および非興奮細胞の両者において広範囲の細胞活性を制御す
る(Hille,Bertil−「Ion Channels of Excitabl
e Membranes」,3rd Edition,(2001),814pp;Si
nauer Associates,Sunderlan,Massachusetts
,USA)。イオンチャネルは、多くの生理学的過程へのそれらの関与のため、魅力的な
治療標的である。興奮細胞においては、細胞固有の一群のイオンチャネルによる協調され
た機能が細胞の電気的挙動を制御する。細胞膜カルシウムチャネルは多様な電位依存性チ
ャネルタンパク質のスーパーファミリーのメンバーである。カルシウムチャネルは細胞外
液から細胞内へのCa2+イオンの制御された流入を可能にする膜貫通マルチサブユニッ
トタンパク質である。興奮細胞は、動物界並びに少なくとも幾つかの細菌、真菌および植
物細胞を通して、1以上のタイプのカルシウムチャネルを有する。動物におけるほぼすべ
ての「興奮」細胞、例えば、中枢神経系(CNS)のニューロン、末梢神経細胞及び筋肉
細胞、例えば骨格筋、心筋並びに静脈および動脈平滑筋の筋肉細胞は、電位依存性カルシ
ウムチャネルを有する。電位依存性カルシウムチャネルは細胞膜での電気的活性と、筋収
縮、神経伝達物質放出、ホルモン分泌および遺伝子発現を含む、細胞内カルシウムに依存
する細胞活動との重要な関連付けをもたらす。電位依存性カルシウムチャネルは細胞膜の
電気的活性を細胞内カルシウム濃度の変化に統合および変換する役割を果たし、これを急
速な時間規模で行うことができる。
【0003】
複数のタイプのカルシウムチャネルが、骨格筋、心筋、肺、平滑筋および脳を含む、様
々な組織由来の哺乳動物細胞において同定されている。このタイプの主要ファミリーはL
型カルシウムチャネルであり、これにはCa1.1、Ca1.2、Ca1.3およ
びCa1.4が含まれ、その機能はカルシウムチャネル遮断薬のよく知られたクラス(
ニフェジピンのようなジヒドロピリジン、ベラパミルのようなフェニルアルキルアミンお
よびジルチアゼムのようなベンゾチアゼピン)によって阻害される。細胞膜カルシウムチ
ャネルのさらなるクラスはT(Ca3.1、Ca3.2およびCa3.3)、N(
Ca2.2)、P/Q(Ca2.1)およびR(Ca2.3)と呼ばれる。「T型
」(または「低電位活性化」)カルシウムチャネルは、それらがL型カルシウムチャネル
の長い(L=長時間持続性)開放よりも短い時間(T=一時的)だけ開くためそのように
命名される。L、N、PおよびQ型チャネルはより正の電位で活性化し(高電位活性化)
、様々な動力学および電位依存特性を示す。
【0004】
細胞生理における極めて重要な役割を有するため、カルシウムチャネル活性の調節には
重大な効果があり得る。カルシウムチャネルサブユニットにおける突然変異が、家族性片
麻痺性片頭痛、脊髄小脳失調、チモシー症候群、不全型先天停止性夜盲および家族性低カ
リウム血性周期性四肢麻痺を含む、幾つかの遺伝病に関連付けられている。c−AMP依
存性プロテインキナーゼおよびGプロテインを含むシグナル伝達経路による電位依存性カ
ルシウムチャネルの調節はホルモンおよび神経伝達物質によるシグナル伝達の重要な構成
要素である(Catteall,W.A.,Ann.Rev.Cell and Dev
.Biol.16,521−555(2000))。高血圧の治療におけるL型カルシウ
ムチャネル(Ca1.2)遮断薬の使用(Hockerman,G.H et.al,
Proc.Natl Acad Sci.(USA)94,14906−1491(19
97))および、より最近では、N型カルシウムチャネル(Ca2.2)のペプチド遮
断薬であるジコニチド(Ziconitide)の難治性疼痛の治療への使用(Staa
ls,P.S.et.al,Journal of the American Med
ical Association 291,63−70(2004))を含めて、カル
シウムチャネルの薬理学的調節には重要な治療効果があり得る。イモガイ(cone s
nail)の毒から単離されるペプチド毒素であるコノトキシン(Conotoxin)
から誘導されるジコンチド(Zicontide)は、くも膜下注射によって適用しなけ
ればならないが、これは脊髄内の作用部位への接近を可能とし、また心血管機能の調節に
関与する自律神経系内のチャネルへの露出を最小限にするためである。ジコノチド(Zi
conotide)は広範囲および局所虚血のラットモデルにおいて神経保護剤として非
常に有効であることも示されており(Colburne et.Al.,Stroke
30,662−668(1999))、これはN型カルシウムチャネル(Ca2.2)
の調節が発作の治療において意味を有することを示唆する。
【0005】
ジコニチドおよび関連ペプチドを用いる臨床および前臨床実験は脊髄への侵害性シグナ
ルの伝達におけるN型カルシウムチャネルの重要な役割を裏付ける。末梢におけるN型カ
ルシウムチャネル機能を容認しながら、全身投与することができ、侵害性シグナル伝達経
路においてN型カルシウムチャネルを有効に遮断するN型カルシウムチャネル遮断薬の同
定は、幾つかの形態の疼痛を治療するための重要な新規ツールを提供する。病理学的侵害
シグナル伝達を維持するために必要なN型カルシウムチャネル活性を遮断する一方で、正
常な心血管機能の維持に必要なN型カルシウムチャネルに対してはより小さな効果しか及
ぼさないことによって機能的選択性を示す、N型カルシウムチャネル(Ca2.2)の遮断薬を、本発明において説明する。
【0006】
ラットを含む様々な温血動物から同定されているT型カルシウムチャネルには3種類の
サブタイプが存在する[J Biol.Chem.276(6)3999−4011(2
001);Eur J Neurosci 11(12):4171−8(1999);
Cell Mol Life Sci 56(7−8):660−9(1999)におけ
る再検討]。これらのサブタイプはα1G、α1Hおよびα1Iと呼ばれ、これらのチャ
ネルの分子特性はアミノ酸配列において60から70%相同を示す。これらの個々のサブ
タイプの電気生理学的特徴付けでは、それらの電位依存性の活性化、不活性化、失活およ
び定常状態不活性化レベル並びにバリウムのような様々なイオンに対するそれらの選択性
における相違が明らかになっている(J Biol.Chem.276(6)3999−
4011(2001))。薬理学的には、これらのサブタイプはイオン性ニッケルによる
遮断に対して異なる選択性を示している。これらのチャネルサブタイプは、その構築過程
において様々なスプライシング現象を受けることができるため、様々な形態で発現もする
(J Biol.Chem.276(6)3999−4011(2001))。
【0007】
US特許第6,011,035号;第6,294,533号;および第6,617,3
22号;並びに広報WO2007/075525、US2004/044004、JP2
002/088073、WO2007085357、W2007028638、WO94
/22835、US20030408およびWO2004/096217は疼痛の治療に
おけるカルシウムチャネル遮断薬を記載する。WO2004/031138、WO200
3084948、WO2003/075853、WO2001/025200、WO20
07056075、WO2005000798およびWO2002/055516も参照
のこと。
【0008】
T型カルシウムチャネルは、てんかん、本態性振戦、疼痛、神経障害性疼痛、統合失調
症、パーキンソン病、うつ病、不安、睡眠障害(sleep disorders、sl
eep disturbances)、精神病、統合失調症、心不整脈、高血圧、疼痛、
癌、糖尿病、不妊および性機能障害を含む様々な疾患および障害に関連する病理に関連付
けられている(J Neuroscience,14,5485(1994);Drug
s Future 30(6),573−580(2005);EMBO J,24,3
15−324(2005);Drug Discovery Today,11,5/6
,245−253(2006))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US特許第6,011,035号
【特許文献2】US特許第6,294,533号
【特許文献3】US特許第6,617,322号
【特許文献4】WO2007/075525
【特許文献5】US2004/044004
【特許文献6】JP2002/088073
【特許文献7】WO2007085357
【特許文献8】W2007028638
【特許文献9】WO94/22835
【特許文献10】US20030408
【特許文献11】WO2004/096217
【特許文献12】WO2004/031138
【特許文献13】WO2003084948
【特許文献14】WO2003/075853
【特許文献15】WO2001/025200
【特許文献16】WO2007056075
【特許文献17】WO2005000798
【特許文献18】WO2002/055516
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Hille,Bertil−「Ion Channels of Excitable Membranes」,3rd Edition,(2001),814pp;Sinauer Associates,Sunderlan,Massachusetts,USA
【非特許文献2】Catteall,W.A.,Ann.Rev.Cell and Dev.Biol.16,521−555(2000)
【非特許文献3】Hockerman,G.H et.al,Proc.Natl Acad Sci.(USA)94,14906−1491(1997)
【非特許文献4】Staals,P.S.et.al,Journal of the American Medical Association 291,63−70(2004)
【非特許文献5】Colburne et.Al.,Stroke 30,662−668(1999)
【非特許文献6】J Biol.Chem.276(6)3999−4011(2001)
【非特許文献7】Eur J Neurosci 11(12):4171−8(1999)
【非特許文献8】Cell Mol Life Sci 56(7−8):660−9(1999)
【非特許文献9】J Neuroscience,14,5485(1994)
【非特許文献10】Drugs Future 30(6),573−580(2005)
【非特許文献11】EMBO J,24,315−324(2005)
【非特許文献12】Drug Discovery Today,11,5/6,245−253(2006)
【発明の概要】
【0011】
本発明は、急性痛、慢性痛、癌痛、内臓痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、ヘルペス後
神経痛、糖尿病性神経障害、三叉神経痛、片頭痛、繊維筋痛および発作の治療に有用なN
型カルシウムチャネル(Cav2.2)遮断薬である一連の置換アリールスルホン誘導体
に向けられる。本発明の化合物はT型電位活性化カルシウムチャネル(Cav3.1、C
av3.2およびCav3.3)に対する活性も示す。本発明において説明される化合物
は、膀胱機能の障害、心因掻痒、掻痒、アレルギー性皮膚炎および中枢神経系(CNS)
の障害、例えば、発作、てんかん、本態性振戦、統合失調症、パーキンソン病、躁鬱病、
双極性障害、うつ病、不安、睡眠障害、高血圧、癌、糖尿病、不妊および性機能障害を含
む他の状態の治療にも有用である。本発明は、本発明の化合物を単独で、または1種類以
上の治療上活性の化合物と組み合わせて含み、さらに医薬的に許容し得る担体を含む医薬
組成物も提供する。本発明の化合物は、従来公知のスルホンアミドよりも、高い安定性を
提供し、並びにCav2.2効力および効果を維持する。
【0012】
本発明は、急性痛、慢性痛、内臓痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛並びに、てんかん、
躁鬱病、うつ病、不安および双極性障害を含むがこれらに限定されるものではない、CN
Sの障害を治療するための方法であって、本発明の化合物および医薬組成物を投与するこ
とを含む方法をさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の化合物は式I:
【化1】

およびそれらの医薬的に許容し得る塩並びにそれらの個々の鏡像異性体およびジアステ
レオマーによって表され:
Xは結合、CR1011、C=O、C=ONR10、CO、SO、C6−10
リールまたはC5−10ヘテロアリールであり;
YはCR1011であるか、または存在せず;
はH、C1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキル、OR10、C(O)R
、(CH5−10複素環、(CH6−10アリール、(CH
5−10ヘテロアリール、融合アリールまたは融合ヘテロアリールであり、上記アルキル
、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールはRのうちの1から3の基
で任意に置換され;
はH、C1−4アルキルおよびC1−4−ペルフルオロアルキル、C3−5−シク
ロアルキル、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、F、Cl、CN、NR
11であり、上記アルキル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールはR
のうちの1から3の基で任意に置換され;
およびRはHもしくはC1−6アルキル、C1−4−ペルフルオロアルキル、C
3−7−シクロアルキル、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、F、Cl、
CN、OR10、NR1011、SO10、SONR1011、CO10
、CONHR10、CONR1011から各々独立に選択され、またはRおよびR
は結合して3−7員炭素環もしくは複素環を形成し、上記アルキル、シクロアルキル、複
素環、アリールおよびヘテロアリールはRのうちの1から3の基で任意に置換され;
はC6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル、C
5−10複素環であり、上記シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールは
の1から3の基で任意に置換され;
、R、RおよびRは独立にH、C1−4アルキルおよびC1−4ペルフルオ
ロアルキル、C3−6−シクロアルキル、C6−10アリール C5−10ヘテロアリー
ル、F、Cl、CN、OR10、NR1011を表し、またはRおよびRはそれら
が結合する炭素原子と組み合わされてC(O)を形成することができ;
10およびR11はHもしくはC1−6アルキル、(CH1−4−フルオロ
アルキル、C3−7シクロアルキル、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリールか
ら各々独立に選択され、またはR10およびR11はそれらが結合する原子と結合して3
から7員炭素環もしくは複素環を形成し;上記アルキル、アリールまたはヘテロアリール
はRのうちの1から3個の基で任意に置換され、
nは0から6を表し、並びに
はC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル C1−4−フルオロアルキル、C
6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、ハロゲン、CN、−OCF、−OCH
、−C(O)CF、−C(OR10)(CF、SR10、−OR10、NR
1011、SOR10、SO10、NR10COR11、NR10COOR11
NR10CONR1011、NR10SONR1011、SONR1011
NR10SO11、CO10、CONR1011を表し、上記アリールおよび
ヘテロアリールはC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、ハロゲン、CF、CN
またはOR10のうちの1から3の基で任意に置換される。
【0014】
本発明の一実施形態は、Xが結合であり、およびRが(CH5−10複素環
、(CH6−10アリール、(CH5−10ヘテロアリール、融合アリ
ールまたは融合ヘテロアリールであり、上記複素環、アリールおよびヘテロアリールはR
のうちの1から3の基で任意に置換され、すべての他の可変要素はここに記載される通
りであるときに実現される。本発明の下位実施形態は、RがRのうちの1から3の基
で任意に置換されるフェニルまたはピリジルであり、すべての他の可変要素がここに記載
される通りであるときに実現される。本発明のさらに別の下位実施形態は、RがC1−
アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−4−フルオロアルキルハロゲン、CN、−
OCF、−OCHF、OR10またはSO10であるときに実現される。
【0015】
本発明の別の実施形態は、Xが結合であり、およびRがC1−6アルキルであり、上
記アルキルはRのうちの1から3の基で任意に置換され、すべての他の可変要素はここ
に記載される通りであるときに実現される。
【0016】
本発明の別の実施形態は、Xが結合であり、およびRがC6−10アリール、C5−
10ヘテロアリールまたはC5−10複素環であり、上記複素環、アリールおよびヘテロ
アリールはRのうちの1から3の基で任意に置換され、すべての他の可変要素はここに
記載される通りであるときに実現される。本発明の下位実施形態は、RがRのうちの
1から3の基で任意に置換されるフェニルまたはピリジルであり、すべての他の可変要素
がここに記載される通りであるときに実現される。本発明のさらに別の下位実施形態は、
がC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−4−フルオロアルキルハロゲ
ン、CN、−OCF、−OCHF、OR10またはSO10であるときに実現さ
れる。
【0017】
本発明の別の実施形態において、XはC6−10アリールまたはC5−10ヘテロアリ
ールであり、すべての他の可変要素はここに記載される通りである。
【0018】
本発明の別の実施形態において、Xは結合であり、すべての他の可変要素はここに記載
される通りである。
【0019】
本発明の別の実施形態において、Yは存在せず、すべての他の可変要素はここに記載さ
れる通りである。
【0020】
本発明の別の実施形態において、YはCR1011であり、すべての他の可変要素は
ここに記載される通りである。
【0021】
本発明の別の実施形態において、RはRのうちの1から3の基で任意に置換される
フェニルであり、すべての他の可変要素はここに記載される通りである。
【0022】
本発明の別の実施形態において、RはRのうちの1から3の基で任意に置換される
ピリジルであり、すべての他の可変要素はここに記載される通りである。
【0023】
本発明の別の実施形態において、RはRのうちの1から3の基で任意に置換される
フェニルであり、すべての他の可変要素はここに記載される通りである。
【0024】
本発明の別の実施形態において、RはRのうちの1から3の基で任意に置換される
ピリジルであり、すべての他の可変要素はここに記載される通りである。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態においては、式Iaに示されるように、YはCHであり
、RはHであり、Xは結合であり、すべての他の可変要素はここに記載される通りであ
る。
【化2】

構造式Iaの下位実施形態は、RおよびRの両者がHもしくはCHであるか、ま
たはRおよびRの一方がHであり、他方がCHであって、生じる立体中心がRもし
くはS立体化学配置を有するときに実現される。本発明のさらに別の下位実施形態は、R
がC1−6アルキル、フェニルまたはピリジルであり、それらすべてがRのうちの1
から3の基で任意に置換されるときに実現される。本発明のさらに別の下位実施形態は、
が、Rのうちの1から3の基で任意に置換される、フェニルまたはピリジルである
ときに実現される。本発明の別の下位実施形態は、RおよびRの両者がRのうちの
1から3の基で任意に置換されるフェニルであるときに実現される。本発明の別の下位実
施形態は、RおよびRの一方がフェニルであり、他方がピリジルであって、上記フェ
ニルおよびピリジルがRのうちの1から3の基で任意に置換されるときに実現される。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態においては、式Ibに示されるように、Yは存在せず、R
はHであり、Xは結合であり、およびすべての他の可変要素はここに記載される通りで
ある:
【化3】

構造式Ibの下位実施形態は、RおよびRの両者がHもしくはCHであるか、ま
たはRおよびRの一方がHであり、他方がCHであって、生じる立体中心がRもし
くはS立体化学配置のいずれかを有するときに実現される。本発明のさらに別の下位実施
形態は、RがC1−6アルキル、フェニルまたはピリジルであって、それらのすべてが
のうちの1から3の基で任意に置換されるときに実現される。本発明のさらに別の下
位実施形態は、RがRのうちの1から3の基で任意に置換されるフェニルまたはピリ
ジルであるときに実現される。本発明の別の下位実施形態は、RおよびRの両者がR
のうちの1から3の基で任意に置換されるフェニルであるときに実現される。本発明の
別の下位実施形態は、RおよびRの一方がフェニルであり、他方がピリジルであって
、上記フェニルおよびピリジルがRのうちの1から3の基で任意に置換されるときに実
現される。
【0027】
本発明の化合物の別の実施形態においては、Icに示されるように、Arはアリールま
たはヘテロアリールであり、YはCHであり、RはHであり、並びにRおよびR
の両者はCHであり、並びにすべての他の可変要素はここに記載される通りである:
【化4】

式Ic発明の下位実施形態は、ArがRのうちの1から3の基で任意に置換されるフ
ェニルまたはピリジルであるときに実現される。本発明のさらに別の下位実施形態は、R
がRのうちの1から3の基で任意に置換されるフェニルまたはピリジルであるときに
実現される。本発明の別の下位実施形態は、ArおよびRの両者がRのうちの1から
3の基で任意に置換されるフェニルであるときに実現される。本発明の別の下位実施形態
は、ArおよびRの一方がフェニルであり、他方がピリジルであって、上記フェニルお
よびピリジルがRのうちの1から3の基で任意に置換されるときに実現される。
【0028】
本発明の別の実施形態においては、Idに示されるように、Arはアリールまたはヘテ
ロアリールであり、YはCHであり、RはHであり、RおよびRの両者はCH
であり、並びにすべての他の可変要素はここに記載される通りである:
【化5】

式Id発明の下位実施形態は、ArがRのうちの1から3の基で任意に置換されるフ
ェニルまたはピリジルであるときに実現される。本発明のさらに別の下位実施形態は、R
がRのうちの1から3の基で任意に置換されるフェニルまたはピリジルであるときに
実現される。本発明の別の下位実施形態は、ArおよびRの両者がRのうちの1から
3の基で任意に置換されるフェニルであるときに実現される。本発明の別の下位実施形態
は、ArおよびRの一方がフェニルであり、他方がピリジルであって、上記フェニルお
よびピリジルがRのうちの1から3の基で任意に置換されるときに実現される。
【0029】
いずれかの可変要素(例えば、アリール、複素環、R、Rなど)がいずれかの構成
要素において1回を上回って現れるとき、各々の出現でのその定義は他のどの出現とも無
関係である。その上、置換基/または可変要素の組み合わせはそのような組み合わせが安
定な化合物を生じる場合にのみ許容される。
【0030】
が−O−であって炭素に結合するとき、それはカルボニル基と呼ばれ、窒素(例え
ば、ピリジル基の窒素原子)またはイオウ原子に結合するとき、それは、それぞれ、N−
オキシドおよびスルホキシド基と呼ばれる。
【0031】
ここで用いられる場合、「アルキル」は接頭辞「アルク(alk)」を有する基、例え
ば、アルコキシ、アルカノイル、アルケニルおよびアルキニルを包含し、直鎖もしくは分
岐鎖またはそれらの組み合わせであり得る炭素鎖を意味する。アルキル基の例には、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペン
チル、ヘキシル並びにヘプチルが含まれる。「アルケニル」は2から10個の炭素原子お
よび少なくとも1つの炭素から炭素への二重結合を含有する、直鎖、分岐鎖または環状の
炭化水素ラジカルを指す。好ましいアルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル
およびシクロヘキセニルが含まれる。好ましくは、アルケニルはC−Cアルケニルで
ある。好ましいアルキニルはC−Cアルキニルである。「アルケニル」、「アルキニ
ル」および他の同様の用語には、少なくとも1つの非置換C−C結合を含有する炭素鎖が
含まれる。
【0032】
ここで用いられる場合、「フルオロアルキル」は、少なくとも1つのフッ素置換基を含
有する、ここに記載されるアルキル置換基を指す。
【0033】
「シクロアルキル」という用語は、指定された数の炭素原子を有する1つの環を含有す
る、飽和炭化水素を指す。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シ
クロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0034】
「C1−6」という用語には6、5、4、3、2または1個の炭素原子を含有するアル
キルが含まれる。
【0035】
ここで用いられる「アルコキシ」という用語は、単独で、または組み合わせで、オキシ
連結原子に結合するアルキル基を含む。「アルコキシ」という用語はアルキルエーテル基
をも含み、ここで「アルキル」という用語は上で定義され、「エーテル」は間に酸素原子
を有する2つのアルキル基を意味する。適切なアルコキシ基の例には、メトキシ、エトキ
シ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、メ
トキシメタン(「ジメチルエーテル」とも称される)およびメトキシエタン(「エチルメ
チルエーテル」とも称される)が含まれる。
【0036】
ここで用いられる場合、「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族である、各環内
7員までのあらゆる安定な単環式または二環式炭素環を意味しようとするものである。そ
のようなアリール要素の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニ
ルまたはビフェニルが含まれる。
【0037】
ここで用いられる複素環(heterocycle)、ヘテロシクリル(hetero
cyclyl)または複素環式(heterocyclic)という用語は、飽和である
かまたは不飽和であるかのいずれかであり、炭素原子並びにN、OおよびSからなる群よ
り選択される1から4個のヘテロ原子からなり、上で定義される複素環式環のいずれかが
ベンゼン環に融合するあらゆる二環式基を含む、安定な5から7員単環式複素環式環また
は安定な8から11員二環式複素環式環を表す。複素環式環は安定な構造の創出を生じる
あらゆるヘテロ原子または炭素原子で結合することができる。複素環または複素環式とい
う用語はヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキル部分を含む。そのような複素環式要
素の例には、これらに限定されるものではないが、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベ
ンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベン
ゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シン
ノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニ
ル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾ
リジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル
、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチア
ゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル
、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペルジニル、2−オキソピロリ
ジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリ
ル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル
、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキ
ノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニル、スルホキシド、チアゾリル、チアゾリ
ニル、チエノフリル、チエノチエニルおよびチエニルが含まれる。そのような複素環式要
素の例の実施形態には、これらに限定されるものではないが、アゼピニル、ベンゾイミダ
ゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラ
ニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマ
ニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾ
チオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリジニル、イミ
ダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリ
ニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モ
ルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル
、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペルジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリ
ジル、ピペラジニル、ピリジル、2−ピリジノニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラ
ゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリ
ニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒド
ロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾ
リニル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニルおよびトリアゾリルが含まれる。
【0038】
特定の実施形態において、複素環基はヘテロアリール基である。ここで用いられる場合
、「ヘテロアリール」という用語は、5から14個の環原子、好ましくは、5、6、9ま
たは10環原子を有し;環状配置内で共有される6、10または14のπ電子を有し;並
びに、炭素原子に加えて、N、OおよびSからなる群より選択される1から約3個のヘテ
ロ原子を有する基を指す。ヘテロアリール基には、限定されることなしに、チエニル、ベ
ンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラ
ゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、
キノキサリニル、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリルおよびイソオキサゾリルが含
まれる。
【0039】
特定の他の実施形態においては、複素環基がアリールまたはヘテロアリール基と融合す
る。そのような融合複素環の例には、制限されることなしに、テトラヒドロキノリニルお
よびジヒドロベンゾフラニルが含まれる。
【0040】
注記される場合を除いてここで用いられる「ヘテロアリール」という用語は、芳香族環
を含有する安定な5から7員単環式複素環系または安定な9から10員融合二環式複素環
系を表し、それらの複素環系のあらゆる環はピペリジニルのように飽和であっても、部分
的に飽和であっても、またはピリジニルのような不飽和であってもよく、それらの複素環
系は炭素原子並びにN、OおよびSからなる群より選択される1から4個のヘテロ原子か
らなり、窒素およびイオウへテロ原子は任意に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は
任意に四級化していてもよく、並びにそれらの複素環系は上で定義される複素環のいずれ
かがベンゼン環に融合するあらゆる二環式基を含む。複素環は安定な構造の創出を生じる
あらゆるヘテロ原子または炭素原子で結合することができる。そのようなヘテロアリール
基の例には、これらに限定されるものではないが、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソチア
ゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン
、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、カルボリン、シンノリン、フラン、フラザ
ン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリジン、イソキノリン、イソチア
ゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、フタラジ
ン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリ
ミジン、ピロール、キナゾリン、キノリン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾー
ル、チアゾール、チオフェン、トリアジン、トリアゾールおよびそれらのN−オキシドが
含まれる。
【0041】
ヘテロシクロアルキルの例には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラ
ジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリニル、ピロリジン−2−オン
、ピペリジン−2−オンおよびチオモルホリニルが含まれる。
【0042】
「ヘテロ原子」という用語は独立に選択されるO、SまたはNを意味する。
【0043】
置換される部分は1個以上の水素原子が別の化学置換基で独立に置換されているもので
ある。非限定的な例として、置換フェニルには2−フルオロフェニル、3,4−ジクロロ
フェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、2,4フルオロ−3−プロピルフェニ
ルが含まれる。別の非限定的な例として、置換n−オクチルには2,4ジメチル−5−エ
チル−オクチルおよび3−シクロペンチルオクチルが含まれる。酸素で置換されてカルボ
ニル(−CO−)を形成するメチレン(−CH−)がこの定義に含まれる。
【0044】
他に述べられない限り、ここで用いられるように、部分(例えば、シクロアルキル、ヒ
ドロカルビル、アリール、アルキル、ヘテロアリール、複素環、尿素など)が「任意に置
換される」と記述されるとき、その基が1から4、好ましくは、1から3、より好ましく
は、1または2の非水素置換基を任意に有することを意味する。適切な置換基には、限定
なしに、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(例えば、オキソで置換される環状−CH−は−C(
O)−である)、ニトロ、ハロヒドロカルビル、ヒドロカルビル、アリール、アラルキル
、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリー
ルカルバモイル、アミノアルキル、アシル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカン
スルホニル、アレンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレンスルホンアミド、アラ
ルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノおよびウレイド基が
含まれる。(他に明示的に述べられない限り)それら自体がさらに置換されることのない
、好ましい置換基は以下のものである:
(a)ハロ、シアノ、オキソ、カルボキシ、ホルミル、ニトロ、アミノ、アミジノ、グ
アニジノおよび
(b)C−Cアルキルもしくはアルケニルもしくはアリールアルキルイミノ、カル
バモイル、アジド、カルボキサミド、メルカプト、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ア
ルキルアリール、アリールアルキル、C−Cアルキル、SOCF、CF、SO
Me、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニ
ル、アリールオキシカルボニル、C−Cアシル、C−Cアシルアミノ、C−C
アルキルチオ、アリールアルキルチオ、アリールチオ、C−Cアルキルスルフィニ
ル、アリールアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、C−Cアルキルスルホ
ニル、アリールアルキルスルホニル、アリールスルホニル、C−CN−アルキルカル
バモイル、C−C15N,Nジアルキルカルバモイル、C−Cシクロアルキル、ア
ロイル、アリールオキシ、アリールアルキルエーテル、アリール、シクロアルキルもしく
は複素環もしくは他のアリール環に融合するアリール、C−C複素環、またはシクロ
アルキル、ヘテロシクリルもしくはアリールに融合もしくはスピロ融合するこれらの環の
いずれか(ここで、前述の各々は上記(a)に列挙される1以上の部分でさらに任意に置
換される)。
【0045】
「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0046】
「哺乳動物」、「哺乳動物の」または「哺乳動物」という用語は、イヌ、ネコ、ウマ、
ブタおよびウシのような動物に加えて、ヒトを含む。
【0047】
ここで説明される化合物は1つ以上の二重結合を含有することができ、したがって、他
の配座異性体に加えて、シス/トランス異性体を生じ得る。本発明は、特に具体的に述べ
られない限り、そのような可能性のある異性体のすべてに加えて、そのような異性体の混
合物を含む。
【0048】
本発明の化合物は1以上の非対称中心を含有することができ、したがって、ラセミ化合
物、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレ
オマーとして現れ得る。
【0049】
ここで用いられる場合、構造式Iの化合物への参照は医薬的に許容し得る塩および、そ
の上、それらが遊離化合物の前駆体として、または他の合成操作において用いられるとき
には、医薬的に許容し得ない塩を含むことが意図されていることは理解される。
【0050】
本発明の化合物は医薬的に許容し得る塩の形態で投与することができる。「医薬的に許
容し得る塩」という用語は医薬的に許容し得る非毒性塩基または酸から調製される塩を指
す。本発明の化合物が酸性であるとき、その対応する塩は、無機塩基および有機塩基を含
む、医薬的に許容し得る非毒性塩基から都合よく調製することができる。そのような無機
塩基から誘導される塩にはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第2および第
1)、第2鉄、第1鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第2および第1)、カリウ
ム、ナトリウム、亜鉛などの塩が含まれる。医薬的に許容し得る有機非毒性塩基から誘導
される塩には一級、二級および三級アミンに加えて、環状アミンおよび置換アミン、例え
ば、天然および合成置換アミンの塩が含まれる。塩を形成することができる他の医薬的に
許容し得る有機非毒性塩基にはイオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェ
イン、コリン、N、N’−ジベンゾイルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチ
ルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジア
ミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒス
チジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、
ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエ
チルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトロメタミンが含まれる。
【0051】
本発明の化合物が塩基性であるとき、その対応する塩は、無機および有機酸を含む、医
薬的に許容し得る非毒性酸から都合よく調製することができる。そのような酸には、例え
ば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンス
ルホン酸、ギ酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、
マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パン
トテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。
【0052】
本発明の医薬組成物は、活性成分としての本発明の化合物(またはそれらの医薬的に許
容し得る塩)、医薬的に許容し得る担体および、任意に、1種類以上のさらなる治療薬ま
たは補助剤を含む。そのようなさらなる治療薬には、例えば、i)オピエートアゴニスト
またはアンタゴニスト、ii)カルシウムチャネルアンタゴニスト、iii)5HT受容
体アゴニストまたはアンタゴニスト、iv)ナトリウムチャネルアンタゴニスト、v)N
MDA受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、vi)COX−2選択的阻害剤、vii
)NK1アンタゴニスト、viii)非ステロイド抗炎症剤(「NSAID」)、ix)
選択的セロトニン再取込阻害剤(「SSRI」)並びに/または選択的セロトニンおよび
ノルエピネフリン再取込阻害剤(「SSNRI」)、x)三環系抗うつ薬、xi)ノルエ
ピネフリン調節剤、xii)リチウム、xiii)バルプロエート、xiv)ニューロン
チン(ギャバペンチン)、xv)プレギャバリン、並びにxvi)ナトリウムチャネル遮
断剤が含まれ得る。あらゆる所定の場合における最も適切な経路はその宿主並びに活性成
分を投与する状態の性質および重特性に依存するものの、組成物には経口、直腸、局所お
よび非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)投与に適する組成物が含まれる。医薬組
成物は単位投薬形態で都合よく提示することができ、医薬の分野において周知の方法のい
ずれかによって調製することができる。
【0053】
本発明の化合物および組成物は慢性、内臓性、炎症性および神経障害性疼痛症候群の治
療に有用である。それらは外傷性神経損傷、神経圧迫または絞扼、ヘルペス後神経痛、三
叉神経痛、小径線維神経障害および糖尿病性神経障害から生じる疼痛の治療に有用である
。本発明の化合物および組成物は、慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫痛、複合性局
所疼痛症候群、慢性関節炎痛および関連神経痛並びに癌、化学療法、HIVおよびHIV
治療誘発神経障害に関連する疼痛の治療にも有用である。本発明の化合物は局所麻酔剤と
して用いることもできる。本発明の化合物は過敏性腸症候群および関連障害に加えてクロ
ーン病の治療に有用である。
【0054】
本化合物にはてんかん並びに部分的および全身性強直発作に対する臨床用途がある。そ
れらは発作または神経外傷によって生じる虚血状態の下での神経保護および多発性硬化症
の治療にも有用である。本発明の化合物は頻脈性不整脈の治療に有用である。加えて、本
化合物は神経精神病学的障害の治療に有用であり、この障害には気分障害、例えば、うつ
病、より厳密には、抑うつ障害、例えば、突発性もしくは再発性大うつ障害および気分変
調性障害、または双極性障害、例えば、双極性I障害、双極性II障害および気分循環性
障害;不安障害、例えば、広場恐怖を伴うか、もしくは伴わないパニック障害、パニック
障害の病歴のない広場恐怖、特定の恐怖症、例えば、特定の動物恐怖症、社会恐怖症、強
迫障害、外傷後ストレス障害および急性ストレス障害を含むストレス障害並びに全身性不
安障害が含まれる。
【0055】
ヒトのような霊長類に加えて、様々な他の哺乳動物を本発明の方法に従って処置するこ
とができる。例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモットまたは他のウ
シ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、マウスのような齧歯類の種を含むがこれらに限定される
ものではない哺乳動物を処置することができる。しかしながら、この方法は他の種、例え
ば、鳥類種(例えば、ニワトリ)において実施することもできる。
【0056】
うつまたは不安の治療に、本発明の化合物を他の抗うつ剤または抗不安剤、例えば、ノ
ルエピネフリン再取込阻害剤、選択的セロトニン再取込阻害剤(SSRI)、モノアミン
オキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)
、セロトニンおよびノルアドレナリン再取込阻害剤(SNRI)、α−アドレナリン受容
体アンタゴニスト、非定形抗うつ剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニストまたは
アンタゴニスト、特に、5−HT1A部分的アゴニスト、ニューロキニン−1受容体アン
タゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストおよびそれらの医薬的
に許容し得る塩と共に用いることができることは理解される。
【0057】
さらに、本発明の化合物を予防上有効な投薬量レベルで投与して上に列挙される状態お
よび障害を予防することに加えて、カルシウムチャネル活性に関連する他の状態および障
害を予防することができることは理解される。
【0058】
本化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液を局所用途に用いるこ
とができる。マウスウォッシュおよびうがい薬が本発明の目的のための局所使用の範囲内
に含まれる。
【0059】
1日あたり約0.01mg/体重kgから約140mg/体重kgまたは、その代わり
に、1日あたり患者1人に約0.5mgから約7gの投薬量レベルが炎症性および神経障
害性疼痛の治療において有用である。例えば、1日に体重キログラムあたり約0.01m
gから約75mgの化合物または、その代わりに、1日に患者あたり約0.5mgから約
3.5gの投与によって炎症性疼痛を有効に治療することができる。神経障害性疼痛は毎
日体重キログラム当たり約0.01mgから約125mgの化合物または、その代わりに
、1日に患者あたり約0.5mgから約5.5gの投与によって有効に治療することがで
きる。
【0060】
担体物質と組み合わせて1回投薬形態を製造することができる活性成分の量は治療を受
ける宿主およびその特定の投与方法に依存して変化する。例えば、ヒトへの経口投与が意
図される配合物は、全組成物の約5から約95パーセントを変化し得る適切および好都合
な量の担体と配合される、約0.5mgから約5gの活性剤を都合よく含有することがで
きる。単位投薬形態は、一般には、約1mgから約1000mg、典型的には、25mg
、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600m
g、800mgまたは1000mgの活性成分を含有する。
【0061】
しかしながら、特定の患者に対する具体的な投与用は様々な因子に依存することは理解
される。そのような患者関連の因子には患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食
事が含まれる。他の因子には投与の時間および経路、排泄速度、薬物の組み合わせ並びに
治療中の疾患の重特性が含まれる。
【0062】
実務においては、本発明の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を、活性成分と
して、従来の医薬配合技術に従って医薬担体と完全に混合して組み合わせることができる
。担体は投与、例えば、経口または非経口(静脈内を含む)に望ましい調製の形態に依存
して広範囲の形態を取ることができる。したがって、本発明の医薬組成物は、経口投与に
適する個別の単位、例えば、各々予め決定された量の活性成分を含有するカプセル、カシ
ューまたは錠剤として提示することができる。さらに、組成物は粉末として、顆粒として
、溶液として、水性液体中の懸濁液として、非水性液体として、水中油エマルジョンとし
て、または油中水液体エマルジョンとして提示することができる。上に示される一般的な
投薬形態に加えて、本発明の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩は制御放出手段
および/または送達装置によって投与することもできる。組成物は薬剤学の方法のいずれ
かによって調製することができる。一般には、そのような方法は、活性成分を1種類以上
の必要な成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般には、組成物は、活性成分を
液体担体または微粉化固体担体またはその両者と均一および緊密に混合することによって
調製される。次に、その生成物を望ましい外見に都合よく成形することができる。
【0063】
したがって、本発明の医薬組成物は医薬的に許容し得る担体および化合物または医薬的
に許容し得る塩を含むことができる。本発明の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る
塩は、1種類以上の治療上活性の化合物との組み合わせで医薬組成物に含めることもでき
る。
【0064】
用いられる医薬担体は、例えば、固体、液体または気体であり得る。固体担体の例には
、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステ
アリン酸マグネシウムおよびステアリン酸が含まれる。液体担体の例には、シュガーシロ
ップ、落花生油、オリーブ油および水が含まれる。気体状担体の例には二酸化炭素および
窒素が含まれる。前述のように、経口投薬形態用の組成物の調製において、通常の医薬媒
体のいずれをも用いることができる。例えば、経口液体調製品、例えば、懸濁液、エリキ
シルおよび溶液の場合、水、グリコール、油、アルコール、香味料、保存剤、着色料など
を用いることができ;または、経口固体調製品、例えば、粉末、カプセルおよび錠剤の場
合、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの
ような担体を含めることができる。投与の容易さのため、錠剤およびカプセルが、固体医
薬担体が用いられる、最も有利な経口投薬単位形態を代表する。所望であれば、錠剤を標
準水性または非水性技術によってコートすることができる。上に示される一般的な投薬形
態に加えて、制御放出手段および/または送達装置を本発明の化合物および組成物の投与
において用いることもできる。
【0065】
経口投薬形態用の組成物の調製においては、あらゆる都合のよい医薬媒体を用いること
ができる。例えば、水、グリコール、油、アルコール、香味料、保存剤、着色料などを経
口液体調製品、例えば、懸濁液、エリキシルおよび溶液の形成に用いることができる;一
方で、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤および崩壊剤
などのような担体を経口固体調製品、例えば、粉末、カプセルおよび錠剤の形成に用いる
ことができる。それらの投与のし易さのため、錠剤およびカプセルが、それによって固体
医薬担体が用いられる、有利な経口投薬単位である。任意に、錠剤は標準水性または非水
性技術によってコートすることができる。
【0066】
本発明の組成物を含有する錠剤は、任意に1種類以上の補助成分または助剤と共に、圧
縮または成型によって調製することができる。圧縮錠は、適切な機械内で、任意に結合剤
、潤滑剤、不活性希釈剤、表面活性剤または分散剤と混合された、自由流動形態、例えば
、粉末または顆粒の状態にある活性成分を圧縮することによって調製することができる。
成型錠は、適切な機械内で、不活性液体希釈剤で加湿した粉末化化合物の混合物を成型す
ることによって製造することができる。各々の錠剤は、有利には、約0.1mgから約5
00mgの活性成分を含有し、各々のカシューまたはカプセルは、有利には、約0.1m
gから約500mgの活性成分を含有する。したがって、錠剤、カシューまたはカプセル
は、1日に1、2または3回、1または2粒の錠剤、カシューまたはカプセルで摂取され
る活性成分0.1mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg
、300mg、400mgまたは500mgを都合よく含有する。
【0067】
非経口投与に適する本発明の医薬組成物は水中の活性化合物の溶液または懸濁液として
調製することができる。適切な表面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースを含
めることができる、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよび油中のそれらの混
合液中に分散液を調製することもできる。さらに、保存剤を含めて微生物の有害な成長を
防止することができる。
【0068】
注射用途の本発明の医薬組成物には無菌水性溶液または分散液が含まれる。さらに、こ
れらの組成物は、そのような無菌注射用溶液または分散液をその場で調製するための無菌
粉末の形態にあってもよい。すべての場合において、最終注射用形態は無菌でなければな
らず、安易な注射可能性(easy syringability)に対して有効に流動
性でなければならない。これらの医薬組成物は製造および保存の条件下で安定でなければ
ならず、したがって、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されている
べきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プ
ロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油および適切なそれらの
混合液を含有する溶媒または分散媒体であり得る。
【0069】
本発明の医薬組成物は局所用途に適する形態、例えば、エアロゾル、クリーム、軟膏、
ローションおよび散布剤の状態にあり得る。さらに、これらの組成物は経皮装置における
使用に適する形態にあり得る。これらの配合物は、本発明を代表する化合物またはそれら
の医薬的に許容し得る塩を用いて、従来の処理方法によって調製することができる。例と
して、クリームまたは軟膏は、親水性物質および水を約5重量%から約10重量%の化合
物と共に混合して望ましい稠度を有するクリームまたは軟膏を製造することによって調製
される。
【0070】
本発明の医薬組成物は、担体が固体である、例えば、混合物が単位用量座剤を形成する
、直腸投与に適する形態にあり得る。適切な担体にはカカオ脂および当分野において通常
用いられる他の物質が含まれる。座剤は、まず組成物を軟化または溶融した担体と混合し
た後、型内で冷却および成型することによって都合よく形成することができる。
【0071】
前述の担体成分に加えて、上述の医薬配合物は、必要に応じて、1種類以上のさらなる
担体成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、香味料、結合剤、表面活性剤、濃厚剤、潤滑剤およ
び保存剤(酸化防止剤を含む)を含むことができる。さらに、他の助剤を含めてその配合
物を対象とする受容者の血液と等張にすることができる。本発明の化合物またはそれらの
医薬的に許容し得る塩を含有する組成物は粉末または液体濃縮物形態で調製することもで
きる。
【0072】
本発明の化合物および医薬組成物はN型、T型およびL型カルシウムチャネルを遮断す
ることが見出されている。したがって、本発明の一態様は、有効量の本発明の化合物を投
与することによる、哺乳動物における上記カルシウムチャネルの遮断による改善の影響を
受け易い状態の治療および予防である。そのような状態には、例えば、急性痛、慢性痛、
内臓痛、炎症性疼痛および神経障害性疼痛が含まれる。これらの状態には、てんかん、本
態性振戦、統合失調症、パーキンソン病、うつ病、不安、睡眠障害(sleep dis
orders、sleep disturbances)、精神病、不妊および性機能障
害も含まれ得る。これらの状態には、さらに、心不整脈および高血圧が含まれ得る。本発
明の化合物および組成物は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物、例えば、イヌおよびネコにおけ
る、上に列挙される状態の治療および予防に有用である。ヒト以外の哺乳動物の治療が上
に列挙される条件に相関する非ヒト哺乳動物における臨床状態の治療を指すことは理解さ
れる。
【0073】
さらに、上述のように、本発明の化合物は1種類以上の治療上活性の化合物と組み合わ
せて用いることができる。特に、本発明の化合物は、i)オピエートアゴニストまたはア
ンタゴニスト、ii)他のカルシウムチャネルアンタゴニスト、iii)5−HT1A
ゴニストまたはアンタゴニストおよび5−HT1A部分的アゴニストを含む5HT受容体
アゴニストまたはアンタゴニスト、iv)ナトリウムチャネルアンタゴニスト、v)N−
メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、vi
)COX−2選択的阻害剤、vii)ニューロキニン受容体1(NK1)アンタゴニスト
、viii)非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、ix)選択的セロトニン再取込阻害
剤(SSRI)並びに/または選択的セロトニンおよびノルエピネフリン再取込阻害剤(
SSNRI)、x)三環系抗うつ剤、xi)ノルエピネフリン調節剤、xii)リチウム
、xiii)バルプロエート、xiv)ノルエピネフリン再取込阻害剤、xv)モノアミ
ンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、xvi)モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(
RIMA)、xvii)α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、xviii)非定形抗
うつ剤、xix)ベンゾジアゼピン、xx)コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタ
ゴニスト、xxi)ニューロンチン(ガバペンチン)、並びにxxii)プレガバリンと
の組み合わせで有利に用いることができる。
【0074】
ここで用いられる略語は以下の意味を有する(ここに示されない略語は、他に具体的に
述べられない限り、通常用いられるそれらの意味を有する):Ac(アセチル)、Bn(
ベンジル)、Boc(三級ブトキシカルボニル)、Bop試薬(ベンゾトリアゾル−1−
イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、C
AMP(環状アデノシン−3’,5’−一リン酸)、DAST(三フッ化(ジエチルアミ
ノ)イオウ)、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン)、
DIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム)、DIEA(ジイソプロピルエチルアミ
ン)、DMAP(4−(ジメチルアミノ)ピリジン)、DMF(N,N−ジメチルホルム
アミド)、DPPF(1,1’−ビスジフェニルホスフィノフェロセン)、EDC(1−
(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)、EtN(トリ
エチルアミン)、GST(グルタチオントランスフェラーゼ)、HOBt(1−ヒドロキ
シベンゾトリアゾール)、LAH(水素化アルミニウムリチウム)、Ms(メタンスルホ
ニル;メシル;またはSOMe)、MsO(メタンスルホネートまたはメシレート)、
MCPBA(メタ−クロロ過安息香酸)、NaHMDS(ナトリウムヘキサメチルジシラ
ザン)、NBS(N−ブロモスクシンイミド)、NCS(N−クロロスクシンイミド)、
NSAID(非ステロイド抗炎症剤)、PDE(ホスホジエステラーゼ)、Ph(フェニ
ル)、r.t.またはRT(室温)、Rac(ラセミ)、SAM(アミノスルホニル;ス
ルホンアミドまたはSONH)、SPA(シンチレーション近接アッセイ)、Th(
2−または3−チエニル)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン
)、Thi(チオフェンジイル)、TLC(薄層クロマトグラフィー)、TMEDA(N
,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)、TMSI(ヨウ化トリメチルシリ
ル)、Trまたはトリチル(N−トリフェニルメチル)、C(アリル)、Me(メ
チル)、Et(エチル)、n−Pr(直鎖プロピル)、i−Pr(イソプロピル)、n−
Bu(直鎖ブチル)、i−ブチル(イソブチル)、s−Bu(二級ブチル)、t−Bu(
三級ブチル)、c−Pr(シクロプロピル)、c−Bu(シクロブチル)、c−Pen(
シクロペンチル)、c−Hex(シクロヘキシル)。
【0075】
本発明の化合物は、以下に示される一般スキームに加えて、実施例に示される手順に従
って調製することができる。以下のスキームおよび実施例は本発明をさらに説明するもの
であるが、その範囲を限定するものではない。
【0076】
他に具体的に述べられない限り、実験手順は以下の条件で行った:すべての操作は室温
または周囲温度;すなわち、18から25℃の範囲の温度で行った。試薬または中間体が
空気および湿気に感受性であるときには、不活性気体保護を用いた。溶媒の蒸発はロータ
リーエバポレーターを用いて減圧下(600から4000パスカル:4.5から30mm
Hg)、60℃までの浴温度で行った。反応の経過は薄層クロマトグラフィー(TLC)
または高速液体クロマトグラフィー・質量分析(HPLC−MS)によって追跡し、反応
時間は説明のためのみに示す。すべての最終生成物の構造および純度は以下の技術の少な
くとも1つによって確実なものにした:TLC、質量分析、核磁気共鳴(NMR)分光法
または微量分析データ。示されるとき、収率は説明のためのみである。示されるとき、N
MRデータは、指示される溶媒を用いて300MHz、400MHzまたは500MHz
で決定され、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm
)で示される、主診断プロトンのデルタ(δ)値の形態にある。シグナル形状に用いられ
る従来の略語は以下のものである:s.一重項;d.二重項;t.三重項;m.多重項;
br.ブロード;など。加えて、「Ar」は芳香族シグナルを示す。化学記号はそれらの
通常の意味を有する;以下の略語が用いられる:v(体積)、w(重量)、b.p.(沸
点)、m.p.(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、g(グラム)、mg
(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq(当量)。
【0077】
アッセイ例1:チャネル開口の開始にカリウム脱分極を用いるCav2.2チャネルの
蛍光アッセイ。
【0078】
ヒトCav2.2チャネルを、KEK293細胞内で、電位依存性カルシウムチャネル
のα2−デルタおよびベータサブユニットと共に安定に発現させた。内部整流カリウムチ
ャネル(Kir2.3)もこれらの細胞内で発現させ、細胞外カリウム濃度による細胞膜
電位のより正確な制御を可能にした。低い浴カリウム濃度で、膜電位は比較的負であり、
浴カリウム濃度が上昇するに従って脱分極する。このようにして、浴カリウム濃度を用い
てチャネルの電位依存性の形態を調節することができる。低(4mM)カリウムまたは高
(12、25または30mM)カリウムの存在下で化合物をこれらの細胞と共にインキュ
ベートし、4mMカリウムでの休止(閉鎖)チャネルの化合物遮断に対する親和性または
12、25もしくは30mMカリウムでの開放および不活性化チャネルの遮断に対する親
和性を決定する。インキュベーション期間の後、より高濃度のカリウム(70mM最終濃
度)を添加することによってCav2.2チャネル開口を引き起こし、細胞をさらに脱分
極させる。状態依存性の遮断の程度は異なるカリウム濃度でのインキュベーションの後の
化合物の阻害効力から見積もることができる。
【0079】
Cav2.2チャネルを介してのカルシウム流入は、カルシウム感受性蛍光染料を蛍光
プレートリーダーとの組み合わせで用いて決定する。蛍光の変化をVIPR(Auror
a Instruments)またはFLIPR(Molecular Devices
)プレートリーダーのいずれかで測定した。
【0080】
プロトコル
1.細胞をポリ−D−リジンコート96−または384−ウェルプレートに播種し、3
7℃−10%COインキュベーター内に一晩保持する。
【0081】
2.培地を除去し、細胞を0.2ml(96−ウェルプレート)または0.05ml
(384−ウェルプレート)のカルシウム&マグネシウム含有ダルベッコリン酸緩衝生理
食塩水(D−PBS)(Invitrogen;14040)で洗浄する。
【0082】
3.0.1ml(96−ウェルプレート)または0.05ml(384−ウェルプレー
ト)の4μM fluo−4(Molecular Probes;F−14202)お
よび、10mMグルコース&10mM Hepes/NaOH;pH7.4を補足したカ
ルシウム&マグネシウム含有D−PBS(Invitrogen;14040)中に調製
した、0.02%プルロン酸(Molecular Probes;P−3000)を添
加する。
【0083】
4.暗所、25℃で60から70分間インキュベートする。
【0084】
5.染料を除去し、細胞を0.1ml(96−ウェルプレート)または0.06ml
(384−ウェルプレート)の4、12、25または30mMカリウム予備分極バッファ
(PPB)で洗浄する。
【0085】
6.0.1ml(96−ウェルプレート)または0.03ml(384−ウェルプレー
ト)の、試験化合物を含むか、または含まない、4、12、25、30mM PPBを添
加する。
【0086】
7.暗所、25℃で30分間インキュベートする。
【0087】
8.VIPR装置、励起=480nm、発光=535nmで細胞プレートを読み取る。
【0088】
9.VIPRで連続的に読み取りながら、0.1ml(96−ウェルプレート)または
0.03ml(384−ウェルプレート)の、最終アッセイ濃度の2×である、脱分極バ
ッファを細胞プレートに添加する。
【0089】
アッセイ試薬:
4mM K 予備分極バッファ:146mM NaCl、4mM KCl、0.8mM
CaCl、1.7mM MgCl、10mM HEPES pH=7.2
12mM K 予備分極バッファ:138mM NaCl、12mM KCl、0.8
mM CaCl、1.7mM MgCl、10mM HEPES pH=7.2
25mM K 予備分極バッファ:125mM NaCl、25mM KCl、0.8
mM CaCl、1.7mM MgCl、10mM HEPES pH=7.2
30mM K 予備分極バッファ:120mM NaCl、30mM KCl、0.8
mM CaCl、1.7mM MgCl、10mM HEPES pH=7.2
140mM K 脱分極バッファ:10mM NaCl、140mM KCl、0.8
mM CaCl、1.7mM MgCl、10mM HEPES pH=7.2
アッセイ例2:自動化電気生理学装置を用いる、Cav2.2チャネルの遮断の電気生
理学的測定。
【0090】
N型カルシウムチャネルの遮断を、Ion Works HT 384ウェル自動化パ
ッチクランプ電気生理学的装置を用いて評価する。この装置は384ウェルからの同時記
録(一度に48)を可能にする。各々のウェルにおいて単一全細胞記録を行う。全細胞記
録は、アンホテリシンBで内部組成物を灌流することによって確立する。
【0091】
電圧プロトコルは使用依存性の遮断が検出されるように設計する。脱分極の2Hzトレ
イン(train)(+20mVまでの20回の25msステップ)。実験系列は、制御
トレイン(化合物前)、化合物と共に5分間の細胞のインキュベーション、およびそれに
続く第2トレイン(化合物後)からなる。このトレインにおける第1パルスの部分遮断(
fractional block)を第20パルスの遮断と比較することによって化合
物による使用依存性遮断を見積もる。
【0092】
プロトコル
本質的にKissおよびその同僚[Kiss et al.2003;Assay a
nd Drug Development Technologies,1:127−1
35]によって記述されるように、Ion Works HT(Molecular D
evices Corp.)を用いて平衡パッチクランプ電気生理学を行う。簡潔に述べ
ると、N型カルシウムチャネルサブユニット(α1B、α−デルタ、ベータ3a)およ
び内部整流カリウムチャネル(Kir2.3)を発現する安定なHEK293細胞株(C
BKと呼ぶ)を用いてN型カルシウムチャネルを通過するバリウム流を記録する。細胞を
使用前にT75培養プレートにおいて60−90%集密まで成長させる。細胞を10ml
PBS(Ca/Mg非含有)で3回すすいだ後、1.0ml 1×トリプシンをフラス
コに添加する。丸まってプレートから自由になるまで(通常、1から3分)細胞を37℃
でインキュベートする。その後、血清および抗生物質を含有するCBK培地13mlと共
に細胞を15ml円錐管に移し、卓上遠心器で2分間、設定2で回転させる。上清を捨て
、細胞のペレットを外部溶液(mM表示):120 NaCl、20 BaCl、4.
5 KCl、0.5 MgCl、10 HEPES、10 グルコース、pH=7.4
)に再懸濁させる。懸濁液中の細胞の濃度はウェルあたり1000から3000細胞が達
成されるように調整する。細胞はひとたびそれらが再懸濁されたら直ちに用いる。内部溶
液は以下である(mM表示):KOHを含んで100K−グルコネート、40 KCl、
3.2 MgCl、3 EGTA、5 HEPES、pH7.3。内部溶液に穿孔剤(
perforating agent)アンホテリシンBを添加することによって穿孔パ
ッチ全細胞記録を達成する。各実施毎にアンホテリシンBの36mg/ml原液をジメチ
ルスルホキシド中に新たに作製する。166μlのこの原液を50mlの内部溶液に添加
し、120μg/mlの最終作業溶液を得る。
【0093】
電圧プロトコルおよび膜電流の記録はIon Works HTソフトウェア/ハード
ウェアシステムを用いて行う。電流は1.25kHzでサンプリングし、リーク減算(l
eakage subtraction)は10mVステップを用いて保持電位から行い
、直線リークコンダクタンスを仮定する。液体接合部電位の修正は用いない。細胞を−7
0mVで10秒間電位クランプした後、2Hzで+20mVまで25msステップの20
パルストレインを印加する。制御トレインの後、細胞を化合物と共に5分間インキュベー
トし、第2トレインを印加する。化合物による使用依存性遮断は第1パルスの部分遮断を
第20パルスの遮断と比較することによって見積もる。試験電位(+20mV)で70M
Ohm未満のシール抵抗または0.1nA未満のBa流を有するウェルは分析から除外す
る。電流振幅はIon Worksソフトウェアで算出する。相対流、阻害パーセントお
よびIC50はカスタムExcel/Sigmaplotマクロで算出する。
【0094】
化合物は96−ウェル化合物プレートから流体回路(fluidics)ヘッドで細胞
に添加する。添加の最中の化合物の希釈を相殺するため、化合物プレート濃度はパッチプ
レート上での最終濃度より3倍高い。
【0095】
一般には2つのタイプの実験を行う:スクリーニングおよび滴定。スクリーニングモー
ドにおいては、10−20の化合物を単一の濃度(通常、3μM)で評価する。阻害パー
セントは、ビヒクル対照ウェルにおける比に標準化した、化合物の存在および不在下にお
ける電流振幅の比から算出する。IC50を生成するため、パッチプレートあたり2から
4の化合物に対して10点滴定を行う。試験を行う濃度の範囲は、一般には、0.001
から20μMである。IC50はデータへのHill式のフィッティングから算出する。
用いられるHill式の形は以下のものである:相対流=最大−最少)/(1+(濃度/
IC50)^傾斜))+最少。標準化のためにビヒクル対照(ジメチルスルホキシド)お
よび0.3mM CdCl(これはチャネルを完全に阻害する)を各プレート上で実施
し、最大および最小を定義する。
【0096】
アッセイ例3:全細胞電位クランプおよびPatchXpress自動電気生理学的装
置を用いるCav2.2チャネルの遮断の電気生理学的測定。
【0097】
手動および自動(PatchXpress)パッチクランプ電気生理学を用いてN型カ
ルシウムチャネルの遮断を評価する。電位プロトコルは状態依存性遮断を検出するように
設計する。分極(−90mV)または脱分極(−40mV)保持電位からパルス(50m
s)を低周波数(0.067Hz)で印加する。休止チャネルよりも不活性化/開放チャ
ネルを優先的に遮断する化合物は−90mVと比較して−40mVでより高い効力を有す
る。
【0098】
プロトコル:
N型カルシウムチャネルサブユニット(α1B、α−デルタ、ベータ3a)および内
部整流カリウムチャネル(Kir2.3)を発現する安定なHEK293細胞株(CBK
と呼ぶ)を用いてN型カルシウムチャネルによるバリウム流を記録する。細胞をポリ−D
−リジンコートカバーグラス上(手動EP)またはT75培養プレート内(PatchX
press)のいずれかで増殖させる。PatchXpressについては、トリプシン
を用いて細胞をフラスコから解放する。両者の場合において、外部溶液は以下のものであ
る(mM表示):NaOHを含む、120 NaCl、20 BaCl、4.5 KC
l、0.5 MgCl、10 HEPES、10 グルコース、pH7.4。内部溶液
は以下のものである(mM表示):CsOHを含む、130 CsCl、10 EGTA
、10 HEPES、2 MgCl、3 MgATP、pH7.3。
【0099】
標準技術(Hamill et.al.Pfluegers Archiv 391:
85−100(1981))を用いる手動全細胞パッチクランプによってバリウム流を測
定する。ホウケイ酸ガラスから微小電極を組み立て、炎熱研磨する(fire−poli
shed)。電極抵抗は、標準内部生理食塩水で充填するとき、一般には2から4MOh
mである。参照電極は銀−塩化銀ペレットである。内部および外部溶液間での液体接続電
位については電位の修正を行わず、リークはP/n手順を用いて減算する。溶液は重力に
よるバッチ灌流によって細胞に適用する。実験チャンバ体積は〜0.2mlであり、灌流
速度は0.5から2ml/分である。チャンバを通過する溶液の流れは常に維持する。電
流振幅の測定はPULSEFITソフトウェア(HEKA Elektronik)で行
う。
【0100】
PatchXpress(Molecular Devices)は完全集積流体回路
で非同期的に稼動する16−ウェル全細胞自動パッチクランプ装置である。高抵抗(ギガ
オーム)シールが50から80%の成功率で達成される。静電容量および直列抵抗補償は
自動化される。液体接続電位の修正は用いない。リークはP/n手順を用いて減算する。
化合物は96−ウェル化合物プレートからピペッタで細胞に添加する。電位プロトコルお
よび膜電流の記録はPatchXpressソフトウェア/ハードウェアシステムを用い
て行う。電流振幅はDataXpressソフトウェアを用いて算出する。
【0101】
手動および自動パッチクランプの両者において、細胞は−40mVまたは−90mVで
電位クランプし、+20mVまで15秒ごとに50msパルスを印加する(0.067H
z)。用量を増加させながら化合物を添加し、阻害%を測定する。阻害パーセントは化合
物の存在および不在下での電流振幅の比から算出する。細胞毎の複数投与が達成されると
きはIC50を算出する。試験する濃度の範囲は、一般には、0.1から30μMである
。IC50はデータへのHill式のフィッティングから算出する。用いられるHill
式の形は以下のものである:相対電流=1/(1+(濃度/IC50)^傾斜))。
【0102】
本発明において用いることができる化合物の固有N型カルシウムチャネルアンタゴニス
ト活性をこれらのアッセイによって決定することができる。
【0103】
特に、以下の例の化合物が、一般には約10μM未満のIC50の、上記アッセイにお
けるN型カルシウムチャネルとの拮抗における活性を有していた。本発明内の好ましい化
合物は、約1μM未満のIC50の、上記アッセイにおけるN型カルシウムチャネルとの
拮抗における活性を有していた。例えば、化合物(6R)−6−(1−メチル−1−{[
3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}エチル)−4−[5−(トリフルオ
ロメチル)ピリジン−2−イル]モルホリン−3−オンは1.52のCaV2.2 IC
50(マイクロモル)を有していた。そのような結果はN型カルシウムチャネル活性のア
ンタゴニストとして使用されている化合物の固有活性を示すものである。
【0104】
アッセイ例4:Cav3.1およびCav3.2チャネルのアッセイ。
【0105】
本発明の化合物のT型カルシウムチャネル遮断活性は、Xia,et al.,Ass
ay and Drug Development Tech.,1(5),637−6
45(2003)によって記述される、当分野において周知の方法論を用いて容易に決定
することができる。
【0106】
典型的な実験においては、T型チャネルα−1G、HまたはI(CaV3.1、3.2
、3.3)を発現するHEK293細胞からのイオンチャネル機能を記録し、T型チャネ
ルα−1G、HまたはI(CaV3.1、3.2、3.3)が介在するカルシウム流の遮
断における化合物の活性を決定する。このT型カルシウム(Ca2+)アンタゴニスト電
位クランプアッセイにおいては、以下のように休止状態のヒトα−1G、HまたはI(C
aV3.1、3.2、3.3)カルシウムチャネルからカルシウム流を誘発する。T型(
低電位活性化)カルシウムチャネルの配列情報は、例えば、US 5,618,720、
US 5,686,241、US 5,710,250,US 5,726,035、U
S 5,792,846、US 5,846,757、US 5,851,824、US
5,874,236、US 5,876,958、US 6,013,474、US
6,057,114、US 6,096,514、WO 99/28342およびJ.N
euroscience,19(6):1912−1921(1999)に十分に開示さ
れる。t型チャネルを発現する細胞を、DMEM、6%仔ウシ血清(HYCLONE)、
30マイクロモルのベラパミル、200マイクログラム/ml ハイグロマイシンB、1
×ペニシリン/ストレプトマイシンを含むH3D5成長培地において成長させた。ガラス
ピペットを1−2マイクロメートルの先端径までピペットプラーで引く。それらのピペッ
トに細胞内溶液を充填し、塩素化銀ワイヤをその長さに沿って挿入した後、電位クランプ
増幅器のヘッドステージに接続する。トリプシン処理バッファは0.05%トリプシン、
0.53mM EDTAであった。細胞外記録溶液は以下のものからなる(mM):13
0mM NaCl、4mM KCl、1mM MgCl、2mM CaCl、10m
M HEPES、30グルコース、pH7.4。内部溶液は以下のものからなる(mM)
:135mM CsMeSO、1 MgCl、10 CsCl、5 EGTA、10
HEPES、pH7.4、または135mM CsCl、2 MgCl、3 MgA
TP、2 NaATP、1 NaGTP、5 EGTA、10 HEPES、pH7
.4。浴にピペット先端を挿入すると同時に、直列抵抗に注目する(許容可能な範囲は1
から4メガオームである)。増幅器でピペットと浴溶液との接合電位をゼロにする。次に
、細胞にパッチをあて、そのパッチを破壊し、直列抵抗を相殺した後(>=80%)、全
細胞Ca2+流応答を記録しながら電位プロトコルを適用する。電位プロトコル:(1)
−80mV保持電位、40ms持続時間の−20mVまでの20秒毎のパルス;このチャ
ネルが介在する電流の阻害における薬物の有効性は、−80mVから−20mVへの電位
シフトによって開始されるピーク電流振幅の減少の測定から直接測定される;(2)−1
00mV保持電位、40msec持続時間の−20mVまでの15秒毎のパルス;このチ
ャネルが介在する電流の阻害における薬物の有効性は、−100mVから−30mVへの
電位のシフトによって開始されるピーク電流振幅の減少の測定から直接測定される。2つ
の保持電位での遮断における差を用いて、細胞の休止状態電位のレベルによって誘発され
る異なる不活性化のレベルでの薬物の効果を決定する。対照基線カルシウム流を得た後、
含有される試験化合物の濃度が増加する細胞外溶液を洗浄する。所定の化合物濃度での定
常状態阻害にひとたび到達したら、より高濃度の化合物を適用する。−20mVへの脱分
極工程の最中のピーク内部対照Ca2+電流の阻害%を化合物濃度の関数としてプロット
する。
【0107】
本発明において用いることができる化合物の固有T型カルシウムチャネルアンタゴニス
ト活性をこれらのアッセイによって決定することができる。
【0108】
特に、以下の例の化合物が、一般には約10μM未満のIC50の、上記アッセイにお
けるT型カルシウムチャネルとの拮抗における活性を有していた。本発明内の好ましい化
合物は、約1μM未満のIC50の、上記アッセイにおけるT型カルシウムチャネルとの
拮抗における活性を有していた。そのような結果はT型カルシウムチャネル活性のアンタ
ゴニストとして用いられている化合物の固有活性を示すものである。
【0109】
イン・ビボアッセイ:(齧歯類CFAモデル):
オスSprague Dawleyラット(300から400gm)に200マイクロ
l CFA(完全フロイントアジュバント)を研究の3日前に投与した。CFAは、0.
5mgミコバクテリウム/mlを含有するエマルジョンが形成されるように生理食塩水(
1:1;Sigma)中に懸濁させた、ミコバクテリウム・ツベルキュロシス(myco
bacterium tuberculosis)である。CFAを左後肢の足底領域に
注射した。
【0110】
化合物を経口投与するために、研究の前夜のみラットを絶食させる。試験日の朝に、U
go Basile装置を用いて、2つの基線サンプルを1時間間隔で採取する。ラット
をタオルで包む。その足をボールベアリングの上および圧力装置の下に置く。足踏みペダ
ルを踏み込んで一定の線形圧力を印加する。ラットがその脚を引くか、声を上げるか、ま
たはもがくときに圧力を停止する。次に、右脚を試験する。その後、ラットに化合物を投
与し、予め決定された時点で試験する。化合物はジメチルスルホキシド(15%)/PE
G300(60%)/水(25%)中で調製し、2ml/kgの体積で投与する。
【0111】
最大可能性効果パーセント(Percent maximal possible e
ffect)(%MPE)を以下のように算出した:(処理後−処理前)/(傷害前閾値
−処理前)×100。応答体%は、化合物投与の後、常にMPE.30%を有するラット
の数である。処置の効果はダン事後検定(Dunn’s post test)を伴う一
元ANOVA反復測定フリードマン検定によって決定した。
【0112】
合成の方法:
本発明の化合物は、以下に示されるスキームに加えて、実施例に示される手順に従って
調製することができる。置換基は、他に定義される場合または他に通常の技術を有するも
のに明らかな場合を除いて、上記式における物と同じである。
【0113】
本発明の新規化合物は、当業者に公知の技術、例えば、Advanced Organ
ic Chemistry,March,5th Ed.,John Wiley an
d Sons,New York,NY,2001;Advanced Organic
Chemistry,Carey and Sundberg,Vol.A and
B、3rd Ed.,Plenum Press,Inc.,New York,NY,
1990;Protective groups in Organic Synthe
sis,Green and Wuts,2nd Ed.,John Wiley an
d Sons,New York,NY,1991;Comprehensive Or
ganic Transformations,Larock,VCH Publish
ers,Inc.,New York,NY,1988;Handbook of He
terocyclic Chemistry,Katritzky and Pozha
rskii,2nd Ed.,Pergamon,New York,NY,2000お
よびそれらで引用される参考文献に記載されるようなものを用いて容易に合成することが
できる。本発明における新規化合物の合成に用いられる他の参考文献には以下が含まれる
:Li,et al.,Tetrahedron Lett.,2004,45,425
7−4260;O’Shea,et al.,J.Org.Chem.,2005,70
,3021−3030;Ishii,et al.,J.Am.Chem.Soc,20
02,124,1590−1591;Vedso,et al,Org.Lett.,2
001,3,1435−1437;Hwu et al.,Tetrahedron L
ett,1996,37,2035−2038;Buckwald et al,Tet
rahedron,2004,60,7397−7403;Dessard et al
.,Org.Proc.Res.Dev.,2001,5,572−574;Beaul
ieu et al,Tetrahedron lett.,2004,45,3233
−3236;Schlosser et al.,Tetrahedron,2004,
60,11869−11874;Meyers et al.,Tetrahedron
,1984,41,837−860;Campos et al,J.Org.Chem
.,2005,70,268−274。本発明の化合物用の出発物質は、Aldrich
Chemical Co.(Milwaukee、WI);Sigma Chemic
al Co.(St.Louis、MO);Lancaster Synthesis(
Windham、N.H.);Ryan Scientific(Columbia、S
.C.);Maybridge(Cornwall、UK);Matrix Scien
tific(Columbia、S.C.);Arcos(Pittsburgh、PA
)およびTrans World Chemicals(Rockville、MD)を
含む商業源から容易に入手可能である化学前駆体の標準合成変換を用いて調製することが
できる。
【0114】
これらの化合物を合成するためのここで説明される手順は,保護基操作および精製、例
えば、再結晶化、蒸留、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、薄
層クロマトグラフィー(TLC)、ラジカルクロマトグラフィーおよび高速クロマトグラ
フィー(HPLC)の1以上の工程を含み得る。生成物は、プロトンおよび炭素−13核
磁気共鳴(Hおよび13C NMR)、赤外および紫外分光法(IRおよびUV)、X
線結晶学、元素分析並びにHPLCおよび質量分析(HPLC−MS)を含む、化学分野
において周知の様々な技術を用いて特徴付けることができる。保護基操作、精製、構造同
定および定量の方法は化学合成の分野における熟練者に周知である。
【0115】
適切な溶媒は、反応体の1つまたはすべてを少なくとも部分的に溶解し、反応体または
生成物のいずれかと不利に相互作用することのないものである。適切な溶媒は芳香族炭化
水素(例えば、トルエン、キシレン)、ハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロ
ホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソ
プロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジグリム、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、アニソール)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル)、
ケトン(例えば、2−ブタノン、ジエチルケトン(dithyl ketone)、te
rt−ブチルメチルケトン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール)、N,N−ジメチル
ホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)および水である。2種類以
上の溶媒の混合液を用いることもできる。適切な塩基は、一般には、アルカリ金属水酸化
物、アルカリ土類金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属水素化物およびアルカリ
土類金属水素化物、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムおよび
水素化カルシウム;アルカリ金属アミド、例えば、リチウムアミド、ナトリウムアミドお
よびカリウムアミド;アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸
リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素セシウム
;アルカリ金属アルコキシドおよびアルカリ土類金属アルコキシド、例えば、ナトリウム
メトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドおよびマグネシウム
エトキシド;アルカリ金属アルキル、例えば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、s
ec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、アルキルマグネシウム
ハライド、有機塩基、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピル
アミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モ
ルホリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、コリジン、ルチジンおよび4−ジメチルア
ミノピリジン;並びに二環式アミン、例えば、DBUおよびDABCOである。
【0116】
下記スキームに記載される化合物中に存在する官能基を、適切であるならば、当業者が
利用可能な標準官能基変換技術を用いてさらに操作し、本発明において説明される望まし
い化合物を提供できることは理解される。
【0117】
1つ以上の立体中心を含有する下記スキームおよび表に列挙される化合物は、単一の鏡
像異性体もしくはジアステレオマーとして、または2種類以上の鏡像異性体もしくはジア
ステレオマーをあらゆる割合で含有する混合物として調製できることも理解される。
【0118】
当業者に明らかである他の変形または変更は本発明の範囲および教示のうちにある。本
発明は、以下の請求の範囲に記載されるものを除いて、限定されるものではない。
【化6】

本発明のオキサゾリジノン9およびモルホリノン12はスキーム1に概述される系列に
従うことによって調製することができる。臭化アリール1とt−ブチルリチウムおよび二
酸化イオウとの反応で2がもたらされ、2は臭化テトラブチルアンモニウム(TBABr
)の存在下での臭化アリルでの処理でスルホン3をもたらす。3のビス−アルキル化、次
いでメタ−クロロ過安息香酸(MCPBA)での生じる生成物4のエポキシ化で鍵中間体
5がもたらされる。KOCNでの5の処理でオキサゾリジノン6がもたらされ、それを都
合よくN−アルキル化またはN−アリール化してオキサゾリジノン9を得ることができる
。モルホリノン12も上記スキームに概述される変換の系列を用いて5から調製すること
ができる。
【実施例1】
【0119】
5−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}エチ
ル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン
【化7】

工程1:1−(アリルスルホニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン
【化8】

THF(200mL)中の1−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン(22.
4g、0.10mol)の撹拌溶液に、ドライアイス浴を用いて−78℃で、BuLi(
ヘキサン中2.5M、60mL、0.15mol)を滴加した。添加の後、その反応混合
物を−78℃で2時間撹拌した。次に、緑色が黄色に変化するまで、反応混合物中にSO
をパージした。HO(10mL)を添加して反応を停止させた。真空下で揮発性物質
を蒸発させ、DMF(250mL)、次いで臭化アリル(18g、0.15mol)を添
加した。得られる混合物を50℃で2時間加熱した後、周囲温度で一晩撹拌した。その反
応混合物を水(200mL)に注ぎ入れ、エーテル(100mL×3)で抽出して無水N
SOで脱水させ、蒸発させて粗製生成物を得た。それをカラムクロマトグラフィー
(石油エーテル:EtOAc 10:1から3:1)によってさらに精製し、標題化合物
を得た。
【0120】
HNMR(CDCl)δ:8.09(s,1H)、8.03(d,J=7.6Hz,
1H)、7.87(d,J=8Hz,1H)、7.67−7.71(m,1H)、5.6
8−5.81(m,1H)、5.31(d,J=10Hz,1H)、5.11(d,J=
17.2Hz,1H)、3.82(d,J=7.2Hz,2H)。
【0121】
工程2:1,1−ジメチルプロプ−2−エン−1−イル3−(トリフルオロメチル)フ
ェニルスルホン
【化9】

THF(20mL)中の1−(アリルスルホニル)−3−(トリフルオロメチル)ベン
ゼン(1.25g、5mmol)の撹拌溶液に−78℃でNaHMDS(THF中2mo
lL、2.6mL、5.05mmol)を滴加した。得られる反応混合物を30分間撹拌
した。MeI(0.8g、5.05mmol)を添加した。反応混合物を2時間、周囲温
度まで暖めた。次に、それを−78℃まで冷却した。NaHMDS(THF中2mol/
L、2.6mL、5.05mmol)を添加し、得られる反応混合物を30分間撹拌した
。MeI(0.8g、5.05mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度まで暖め、
一晩撹拌した。食塩水(10mL)を添加した。反応混合物を酢酸エチル(30mL×3
)で抽出した。有機物質を無水NaSOで脱水させ、濃縮した。粗製生成物をカラム
クロマトグラフィー(PE:EA=10:1−3:1)によって精製し、標題化合物を得
た。
【0122】
HNMR(CDCl)δ:8.06(s,1H)、8.00(d,J=7.6Hz,
1H)、7.87(d,J=8.0Hz,1H)、7.66(t,J=8.0Hz,1H
)、6.02(dd,J=16.8Hz,11.2Hz,1H)、5.28(d,J=1
1.2Hz,1H)、5.05(d,J=16.8Hz,1H)、1.44(s,6H)

【0123】
工程3:2−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニ
ル}エチル)オキシラン
【化10】

1,2−ジクロロエタン(1mL)中の1,1−ジメチルプロプ−2−エン−1−イル
3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホン(0.278g、1mmol)の溶液にm
−CPBA(純度85%、0.404g、2mmol)を添加した。得られる反応混合物
を、出発物質が完全に消費されたことをTLCが示すまで、3時間還流した。それを0℃
まで冷却し、Na(飽和溶液、10mL、過剰のm−CPBAを除去するため
)で処理してDCM(20mL×3)で抽出した。有機物質を飽和NaHCOで洗浄し
、乾燥させて濃縮した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1
−3:1)によって精製し、標題化合物を得た。
【0124】
HNMR(CDCl)δ:8.10(s,1H)、8.04(d,J=8.0Hz,
1H)、7.87(d,J=8.0Hz,1H)、7.66(t,J=8.0Hz,1H
)、3.30−3.32(m,1H)、2.64(t,J=4.0Hz,1H)、2.3
6−2.38(m,1H)、1.27(s,3H)、1.18(s,3H)。
【0125】
工程4:5−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニ
ル}エチル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン
【化11】

DMF(20mL)中の2−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェ
ニル]スルホニル}エチル)オキシラン(5.8g、20mmol)の溶液にKOCN(
9.7g、120mmol)、HO(1.44g、80mmol)およびTBAB(0
.16g、0.5mmol)を添加した。その反応混合物を120から130℃で5時間
加熱した。室温まで冷却した後、その反応混合物をクラッシュアイス(100g)に注い
だ。それを酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、無水NaSOで脱水させて濃縮し
た。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1−1:1)によって
精製し、標題化合物を得た。その鏡像異性体の対をキラル超臨界流体クロマトグラフィー
(SFC)で分離した。
【0126】
HNMR(400Hz,CDCl)δ:8.12(s,1H)、7.08(d,J=
8.8Hz,1H)、7.95(d,J=6.8Hz,1H)、7.75(t,J=8.
0Hz,1H)、5.38(br,1H)、5.00(t,J=8.0Hz,1H)、3
.73−3.82(m,2H)、1.41(s,3H)、1.34(s,3H)。
【0127】
MS(M+1):338。
【実施例2】
【0128】
5−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}エチ
ル)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−2−オ

【化12】

雰囲気下でシュレンク管にトルエン(4mL)中の5−(1−メチル−1−{[3
−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}エチル)−1,3−オキサゾリジン−
2−オン(異性体A、キラルSFCにおいてより速い鏡像異性体、180mg、0.54
mmol)、1−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(243mg、1.08
mmol)、CuI(52mg、0.27mmmol)、N,N’−ジメチルエタン−1
,2−ジアミン(24mg、0.27mmol)およびCsCO(528mg、1.
62mmol)を加えた。その反応混合物を125℃で一晩加熱した。揮発性物質を除去
した。残滓を調製用HPLCによって精製し、標題化合物を得た。
【0129】
HNMR(400MHz,CDCl)δ:8.16(s,1H)、8.10(d,J
=8.0Hz,1H)、7.99(d,J=8.0Hz,1H)、7.78(t,J=8
.0Hz,1H)、7.69(d,J=8.8Hz,2H)、7.63(d,J=8.8
Hz,2H)、5.03−5.08(m,1H)、4.30−4.35(m,1H)、4
.22−4.24(m,1H)、1.44(s,3H)、1.40(s,3H)。
【0130】
MS(M+1):482。
【実施例3】
【0131】
6−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}エチ
ル)モルホリン−3−オン
【化13】

工程1:1−アジド−3−メチル−3−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ス
ルホニル}ブタン−2−オール
【化14】

100ml丸底フラスコに2−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フ
ェニル]スルホニル}エチル)オキシラン(1.3g、4.4mmol)、AcOH(0
.38ml、6.6mmol)、NaN(0.57g、8.8mmol)および15m
l DMSOを加えた。生じる反応混合物を55℃で一晩撹拌した。それを50mlエー
テルおよび10ml EtOAcで希釈し、50ml水、50ml食塩水で連続的に洗浄
した。有機物質を硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過して濃縮した。残滓を1:6から1:
3のEtOAc/ヘキサンで溶出してシリカゲルカラムで精製し、標題化合物を粘性油と
して得た。
【0132】
HNMR(CDCl)δ:8.18(s,1H)、8.13(d,J=8.3Hz,
1H)、7.99(d,J=8.0Hz,1H)、7.79(t,J=8.0Hz,1H
)、4.2(m,1H)、3.4−3.6(m,2H)、1.47(s,3H)、1.3
0(s,3H)。
【0133】
工程2:2−ブロモ−N−(2−ヒドロキシ−3−メチル−3−{[3−(トリフルオ
ロメチル)フェニル]スルホニル}ブチル)アセトアミド
【化15】

水素化容器に1−アジド−3−メチル−3−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル
]スルホニル}ブタン−2−オール(1.1g、3.3mmol)、Pd(OH)/C
(0.114g、20%、0.16mmol)および25ml EtOHを投入した。そ
の水素化容器を水素でフラッシュし、50psiの水素の下で一晩振盪した。セライトの
パッドを通して反応混合物を濾過した。濾液を濃縮した。残滓を10ml EtOAcに
溶解した。この溶液にブロモ酢酸(0.49g、3.5mmol)、DIEA(1.7m
l、9.6mmol)、BOP試薬(1.7g、3.8mmol)を添加した。得られる
反応混合物を室温で1時間撹拌した。水性後処理(Aqueous work up)。
粗製生成物を1:2から3:2のEtOAc/ヘキサンで溶出してシリカゲルカラムで精
製し、標題の化合物を粘性物質として得た。
【0134】
HNMR(CDCl)δ:8.20(s,1H)、8.1(d,J=8.0Hz,1
H)、8.0(d,J=8.0Hz,1H)、7.8(t,J=8.0Hz,1H)、7
.05(br,1H)、4.35(m,1H)、3.9(s,2H)、3.8(m,1H
)、3.25(m,1H)、1.45(s,3H)、1.3(s,3H)。
【0135】
工程3:6−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニ
ル}エチル)モルホリン−3−オン
【化16】

THF(5ml)中の2−ブロモ−N−(2−ヒドロキシ−3−メチル−3−{[3−
(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}ブチル)アセトアミド(260mg、0
.60mmol)の溶液にNaOBu(87mg、0.90mmol)および5ml
DMFを添加した。得られる反応混合物を室温で15分間撹拌した。それを50ml飽和
NHClおよび50ml EtOAcで希釈した。有機物質を分離し、硫酸ナトリウム
で脱水させ、濾過して濃縮した。残滓を水およびCHCN勾配溶媒で溶出する逆相カラ
ムで精製し、標題化合物を得た。
【0136】
HNMR(CDCl)δ:8.14(s,1H)、8.07(d,J=8.0Hz,
1H)、7.95(d,J=7.8Hz,1H)、7.74(t,J=7.8Hz,1H
)、7.46(br,1H)、4.25(m,1H)、4.1(s,2H)、3.55(
m,2H)、1.44(s,3H)、1.36(s,3H)。
【0137】
MS(M+1):352。
【実施例4】
【0138】
6−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}エチ
ル)−4−[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]モルホリン−3−オン
【化17】

10mlマイクロ波管にトルエン(5ml)中の6−(1−メチル−1−{[3−(ト
リフルオロメチル)フェニル]スルホニル}エチル)モルホリン−3−オン(160mg
、0.46mmol)の溶液、CsCO(445mg、1.37mmol)、2−ブ
ロモ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン(206mg、0.91mmol)、CuI
(17mg、0.091mmol)および1,10−フェナントロリン(25mg、0.
14mmol)を投入した。そのマイクロ波管をNでフラッシュして密封した。反応混
合物を120℃で一晩加熱した。それを30ml EtOAcで希釈し、セライトのバッ
ドを通して濾過した。濾液を濃縮した。残滓を水/アセトニトリル勾配溶媒で溶出する逆
相カラムで精製し、標題化合物を得た。
【0139】
HNMR(CDCl)δ:8.70(s,1H)、8.35(d,J=8.9Hz,
1H)、8.19(s,1H)、8.11(d,J=7.8Hz,1H)、7.96(d
,J=6.9Hz,1H)、7.75(t,J=7.9Hz,1H)、4.45(m,2
H)、4.25(m,2H)、3.9(m,1H)、1.58(s,3H)、1.46(
s,3H)。
【0140】
MS(M+1):497。
【表1】


本発明において説明される化合物を、上述のアッセイを用いて、それらの生物学的活性
について評価した。アッセイ例1を用いて代表的な化合物の組で得られたデータを表2に
示す。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iの化合物並びにそれらの医薬的に許容し得る塩並びにそれらの個々の鏡像異性
体およびジアステレオマー:
【化1】

(Xは結合、CR1011、C=O、C=ONR10、CO、SO、C6−10
アリールまたはC5−10ヘテロアリールであり;
YはCR1011であるか、または存在せず;
はH、C1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキル、OR10、C(O)R
、(CH5−10複素環、(CH6−10アリール、(CH
5−10ヘテロアリール、融合アリールまたは融合ヘテロアリールであり、前記アルキル
、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールはRのうちの1から3の基
で任意に置換され;
はH、C1−4アルキルおよびC1−4−ペルフルオロアルキル、C3−5−シク
ロアルキル、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、F、Cl、CN、NR
11であり、前記アルキル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールはR
のうちの1から3の基で任意に置換され;
およびRはHもしくはC1−6アルキル、C1−4−ペルフルオロアルキル、C
3−7−シクロアルキル、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、F、Cl、
CN、OR10、NR1011、SO10、SONR1011、CO10
、CONHR10、CONR1011から各々独立に選択され、またはRおよびR
は結合して3−7員炭素環もしくは複素環を形成し、前記アルキル、シクロアルキル、複
素環、アリールおよびヘテロアリールはRのうちの1から3の基で任意に置換され;
はC6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル、C
5−10複素環であり、前記シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールは
のうちの1から3の基で任意に置換され;
、R、RおよびRは独立にH、C1−4アルキルおよびC1−4ペルフルオ
ロアルキル、C3−6−シクロアルキル、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリー
ル、F、Cl、CN、OR10、NR1011を表し、またはRおよびRはそれら
が結合する炭素原子と組み合わされてC(O)を形成することができ;
10およびR11はHもしくはC1−6アルキル、(CH1−4−フルオロ
アルキル、C3−7シクロアルキル、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリールか
ら各々独立に選択され、またはR10およびR11は結合してそれらが結合する原子を含
む3−7員炭素環もしくは複素環を形成し;前記アルキル、アリールまたはヘテロアリー
ルはRのうちの1から3個の基で任意に置換され、
nは0から6を表し、並びに
はC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−4−フルオロアルキル、C
6−10アリール C5−10ヘテロアリール、ハロゲン、CN、−OCF、−OCH
、−C(O)CF、−C(OR10)(CF、SR10、−OR10、NR
1011、SOR10、SO10、NR10COR11、NR10COOR11
NR10CONR1011、NR10SONR1011、SONR1011
NR10SO11、CO10、CONR1011を表し、前記アリールおよび
ヘテロアリールはC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、ハロゲン、CF、CN
またはOR10のうちの1から3の基で任意に置換され;
ただし、YまたはZの少なくとも一方は−O−である)
【請求項2】
Xが結合であり、Rが(CH5−10複素環、(CH6−10アリ
ール、(CH5−10ヘテロアリール、融合アリールまたは融合ヘテロアリール
であり、およびRがC6−10アリール、C5−10ヘテロアリールまたはC5−10
複素環であり、前記複素環、アリールおよびヘテロアリールはRのうちの1から3の基
で任意に置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が(CH6−10アリールである請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が(CH5−10(CH5−10ヘテロアリールである請求項2
に記載の化合物。
【請求項5】
構造式Ia:
【化2】

(式中、R、R、RおよびRは元々記述される通りである)
によって表される請求項1に記載の化合物並びにそれらの医薬的に許容し得る塩並びにそ
れらの個々の鏡像異性体およびジアステレオマー。
【請求項6】
およびRがHもしくはCHであり、またはRおよびRの一方がHであり、
他方がCHであり、並びにRおよびRが、独立に、Rのうちの1から3の基で任
意に置換されるフェニルまたはピリジルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
構造式Ib:
【化3】

(式中、R、R、RおよびRは元々記述される通りである)
によって表される請求項1に記載の化合物並びにそれらの医薬的に許容し得る塩並びに
それらの個々の鏡像異性体およびジアステレオマー。
【請求項8】
およびRがHもしくはCHであり、またはRおよびRの一方がHであり、
他方がCHであり、並びにRおよびRが、独立に、Rのうちの1から3の基で任
意に置換されるフェニルまたはピリジルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
以下のものである化合物:
5−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}エチ
ル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
5−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}エチ
ル)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−2−オ
ン;
6−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}エチ
ル)モルホリン−3−オン;
6−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}エチ
ル)−4−[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]モルホリン−3−オン;
(6S)−6−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホ
ニル}エチル)−4−[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]モルホリン−
3−オン;
(6R)−6−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホ
ニル}エチル)−4−[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]モルホリン−
3−オン;
(5S)−5−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホ
ニル}エチル)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾリジ
ン−2−オン;
(5R)−5−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホ
ニル}エチル)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾリジ
ン−2−オン;
(5S)−5−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホ
ニル}エチル)−3−[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−1,3−オ
キサゾリジン−2−オン;
(5R)−5−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホ
ニル}エチル)−3−[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−1,3−オ
キサゾリジン−2−オン;
(5S)−5−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホ
ニル}エチル)−3−[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1,3−オ
キサゾリジン−2−オン;
(5R)−5−(1−メチル−1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホ
ニル}エチル)−3−[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1,3−オ
キサゾリジン−2−オン;
またはそれらの医薬的に許容し得る塩並びにそれらの個々の鏡像異性体およびジアステ
レオマー。
【請求項10】
不活性担体および有効量の請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
慢性または急性疼痛を、それらを必要とする哺乳動物患者において、治療または予防す
るための方法であって、前記患者に治療上有効な量または予防上有効な量の請求項1に記
載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項12】
慢性または急性疼痛を、それらを必要とする哺乳動物患者において、治療または予防す
るための方法であって、前記患者に治療上有効な量または予防上有効な量の請求項1に記
載の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法。
【請求項13】
てんかんを、それらを必要とする哺乳動物患者において、治療または制御するための方
法であって、患者に治療上有効な量の請求項1の化合物またはそれらの医薬的に許容し得
る塩を投与することを含む方法。
【請求項14】
睡眠の質を、それらを必要とする哺乳動物患者において、高めるための方法であって、
患者に治療上有効な量の請求項1の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を投与す
ることを含む方法。

【公表番号】特表2012−504128(P2012−504128A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529142(P2011−529142)
【出願日】平成21年9月21日(2009.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/057637
【国際公開番号】WO2010/036596
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】