説明

カルシウムチャネル遮断薬として使用されるピペラジン置換化合物

【課題】 カルシウムチャネル機能と関連した、発作、疼痛、不安障害、抑制、耽溺、消化器疾患、尿生殖器障害、循環器疾患、てんかん、糖尿病及び癌のような状態の治療に有用な化合物を提供すること。
【解決手段】 以下の式(1)に示すピペラジン置換化合物。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許出願第10/655,393号の一部継続出願であり、該出願は2002年1月29日に出願された米国特許出願第10/060,900号の一部継続出願であり、該出願は1999年12月30日に出願された米国特許出願第09/476,927号すなわち現在の米国特許6,387,897号の継続出願である。上記出願の内容は引用をもって本書に組み込む。
【技術分野】
【0002】
本発明は、異常なカルシウムチャネル機能と関連している状態の治療に有用な化合物に関する。より具体的には、本発明は、発作及び疼痛のような状態を治療することにおいて有用である6員へテロ環成分の置換型又は非置換型誘導体を含む化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
電位作動型のカルシウムチャネルを介した細胞へのカルシウムの流入は、興奮収縮連関、ホルモン分泌及び遺伝子発現を含む広範な種類の細胞生理学的な反応を仲介する(Miller, 1987; Augustine, et al., 1987)。神経細胞において、カルシウムチャネルは、直接、膜電位に影響を与え、そして、興奮性、反復性発火パターン及びペースメーカー活性のような電気特性に寄与する。カルシウムの流入は更に、カルシウム依存性イオンチャネルを直接制御し、プロテインキナーゼC及びカルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIのようなカルシウム依存性酵素の活性を修飾することにより、神経機能に影響を与える。神経のシナプス前終末でのカルシウム濃度の増加は、神経伝達物質及びカルシウムチャネルの放出の引き金となり、それは、発達期の神経細胞で神経突起の伸展及び成長円錐の移動にも影響を与える。
【0004】
カルシウムチャネルは種々の生理学的機能を仲介し、また、多くのヒト疾患にも関与している。カルシウム仲介疾患の例には、先天性片頭痛、小脳性運動失調、狭心症、てんかん、高血圧症、虚血、及び、幾つかの不整脈を含むが、これらに限定されるものではない。これら疾患の幾つかの臨床における治療は、治療用カルシウムチャネル拮抗薬(例えば、ジハイドロピリジン類、フェニルアルキルアミン類、及び、ベンゾチアザピン類―これらは全てL型カルシウムチャネルを標的にしている)の開発により支えられてきた(Janis and Triggle, 1991)。
【0005】
天然型のカルシウムチャネルは、その電気生理学的及び薬理学的特性により、T、L、N、P/Q及びR型に分類される(総説:Catterall (2000); Huguenard (1996))。T型(又は低電位活性化)チャネルは、負電位で一過性に活性化され静止電位における変化に高感度である広範なクラスの分子を表す。
【0006】
L、N及びP/Q型チャネルは、より正の電位で活性化(高電位活性化)し、そして、多様なカイネティクスと電位依存特性を示す(Catterall (2000); Huguenard (1996) )。L型チャネルは、ジハイドロピリジン類(DHP's)、フェニルアルキルアミン類、及び、ベンゾチアザピン類のような治療に使用される幾つかのクラスの低有機分子に対する感受性によって区別され得る。対照的に、N型及びP/Q型チャネルはvenous spiders(ビーナス クモ)及びmarine snails(海棲カタツムリ)によって産生されるある種のペプチド毒素に対して高親和性の標的である:N型チャネルは、アンボイナ(Conus geographus)から単離されたω-コノペプチド(ω‐コノトキシン GVIA(ω‐CTx‐GVIA)、及び、ヤキイモ(Conus magus)から単離されたω‐コノトキシン MVIIA(ω‐CTx‐MVIIA)によって遮断される一方で、P/Q型チャネルは、ω−CTx‐MVIIAには抵抗性があるもののジョウゴグモ(funnel web spider)ペプチド、ω−アガトキシン IVA(ω Aga‐IVA)に感受性がある。R型カルシウムチャネルは、タランチュラ毒素、SNX‐482による遮断に感受性がある。
【0007】
神経細胞の高電位作動型カルシウムチャネルは、同定された薬理学的な薬剤の標的である孔を形成する200kDaより大きなαサブユニット、αサブユニットに強く結合しチャネルの生物物理的特性を調節する細胞質局在性の約50〜70 kDaのβサブユニット、及び、約170 kDaのαδサブユニットから構成されている(総説:Stea, et al. (1994); Catterall (2000))。分子レベルにおいては、神経系で発現している9種のαサブユニット遺伝子が同定され、それらが主要なクラスの天然型カルシウム電流の全てをコードしていることが示されている(表1)。
【0008】
【表1】

【0009】
カルシウムチャネルは神経障害性の痛みと関連した神経細胞の感作過程の発達や維持を仲介していることが示されてきており、鎮痛薬開発の魅力的な標的を提供する(総説:Vanegas and Schaible (2000))。高閾値カルシウムチャネルの全ての型が脊髄で発現しており、急性痛覚へのL、N及びP/Q型の寄与が現在研究されている。一方、より慢性の痛みにおけるこれらチャネル機能の役割の検討によりN型チャネルの病態生理学的役割が強く示されている(総説:Vanegas & Schaible (2000))。
【0010】
動物のカルシウムチャネルαサブユニットの変異は、疼痛の処置における潜在的な治療標的に関する重要な手がかりを提供し得る。遺伝的に改変されたα1BN型カルシウムチャネル遺伝子のヌル(無効な)マウスが、幾つかの異なるグループから報告されている(Ino, et al. (2001); Kim, et al. (2001); Saegusa, et al. (2001); Hatakeyama, et al. (2001) )。α1BN型ヌルマウスは、生存し、繁殖力を有し、そして、正常な運動協調性を示した。ある研究では、N型ノックアウトマウスの末梢体温、血圧、及び、心拍数は、全て正常であった(Saegusa, et al. (2001) )。もう一つの研究では、交感神経系を介する圧反射が、両側性の頚動脈閉塞の後に減少した(Ino, et al. (2001) )。もう一つの研究では、その他の行動的変化が調べられ、不安関連行動の有意な低下を除いて正常であることが示され(Saegusa, et al. (2001) )、N型チャネルが疼痛と気分障害の潜在的な標的であるかもしれないことが示唆された。全ての研究において、N型チャネルの機能的欠損は、慢性及び炎症性の疼痛反応の顕著な減少を示した。対照的に、N型チャネル欠損マウスは、一般的に、正常な急性痛覚反応を示した。
【0011】
N型チャネルに作用するFDAで認可又は治験が行われている薬剤の2つの例として、ガバペンテン(gabapentin)及びジコノチド(ziconotide)がある。ガバペンテンすなわち1−(アミノメチル)シクロヘキサン酢酸(Neurontin(ニューロンチン)(登録商標))は、まず、多くの動物モデルで活性があることが見出された抗痙攣薬である(Taylor, et al. (1998) )。続く研究により、ガバペンテンは、慢性狭窄傷害(CCI)、熱痛覚過敏、炎症、糖尿病性ニューロパチー、術後痛に関連した静的及び動的機械的異痛症を含む多数の異なる動物疼痛モデルにおいて痛覚過敏を阻害することにも成功した(Taylor, et al. (1998); Cesena & Calcutt (1999); Field, et al. (1999); Cheng, J K. , et al. (2000); Nicholson (2000))。
【0012】
作用機序については不完全な理解であるものの、ガバペンテンが多くの神経系のGABA受容体と直接相互作用しているのではなく、むしろ高閾値カルシウムチャネルの活性を調節していることが、現時点での証拠から示唆されている。ガバペンテンがカルシウムチャネルαδ付属サブユニットに結合することが示されているものの、ニューロパチーにおける治療効果がこの結合によって説明されるかどうかは決定されていない。
【0013】
ヒトにおいてガバペンテンは、広範なニューロパチー性疼痛に対する坑痛覚過敏効果が臨床的に示されている。多数の非盲検症例研究と三つの大規模な二重盲検定はガバペンテンが疼痛治療に有用であり得ることを示唆している。用量範囲300から2400 mg/日について、糖尿病性ニューロパチー(Backonja, et al. (1998))、三叉神経痛(Rowbotham, et al. (1998) )、片頭痛、及び、癌及び多発性硬化症付随する疼痛(Di Trapini, et al. (2000); Caraceni, et al. (1999); Houtchens, et al. (1997); see also Magnus (1999); Laird & Gidal (2000); Nicholson (2000) )の治療において、研究された。
【0014】
ジコノチド(Prialt(登録商標); SNX 111)は、N型カルシウムチャネルを可逆的に遮断することが示されているイモ貝(cone snail)ペプチド ヤキイモMVIIA由来の合成鎮痛薬である。様々な動物モデルにおいて、N型カルシウムチャネル選択的遮断薬のくも膜下腔内投与は、ホルマリン2相応答、熱痛覚過敏、機械的異痛症、及び、手術後疼痛を有意に抑制する(Malmberg and Yaksh (1994); Bowersox, et al. (1996); Sluka (1998); Wang, et al. (1998) )。
【0015】
ジコノチドは、帯状疱疹後神経痛、幻肢症候群、HIV関連神経因性疼痛、及び、難治性癌疼痛を含む種々の状態の治療に対する、くも膜下腔内投与による数多くの治験により評価されてきた(総説: Mathur (2000))。オピエート非応答性の患者の治験2相及び3相において、ジコノチドにより、有意に疼痛スコアが減少し、また、数多くの特定症例においては幾年もの持続性の痛みから解放された。ジコノチドは、また重度の術後痛、並びに、脳卒中及び重篤な頭部外傷の後の脳損傷の管理についても調べられつつある(Heading (1999) )。二つの症例において、ジコノチドが、バクロフェン及びモルヒネ無応答性の脊髄損傷後難治性痙攣患者の管理に有用かについても更に調べられている(Ridgeway, et al. (2000) )。一つの症例では、ジコノチドは、痙攣を、重篤な程度から軽度へ更に何も無い程度へと、ほとんど副作用無しに、減少させた。もう一人の患者でも、記憶喪失、錯乱、及び、治療の継続を妨げるような鎮静を含む有意な副作用が生じるような用量が必要であったものの、痙攣を軽程度へと減少させた。
【0016】
T型カルシウムチャネルは種々の医学的状態に関与している。α1Gサブユニット発現遺伝子を欠損しているマウスは、欠神発作への抵抗性が観察された(Kim, et al. (2001) )。他の研究でもα1Hサブユニットはてんかんの進行に関与していた(Su, et al. (2002) )。エトサクシミドのような幾つかの抗てんかん薬がT型チャネルの遮断を介して機能しているという強力な証拠がある(Gomora, et al. (2001))。
【0017】
低電位活性化カルシウムチャネルは、心血管系の組織で高レベルに発現している。ミベフラジル(Mibefradil)すなわちL型よりT型に10から30倍選択性があるカルシウムチャネル遮断薬は、高血圧症及び狭心症に対しての使用が認可された。他の薬剤との相互作用のため販売後すぐに市場から回収された(Heady, et al.(2001))。
【0018】
T型カルシウムチャネルも痛みに関与しているかもしれない事を示唆する証拠が増えてきている。ラットにおけるニューロパチー性疼痛の脊髄神経結紮モデルで、ミベフラジル及びエトサクシミドは抗痛覚過敏活性を示した(Dogrul, et al. (2003))。
【0019】
米国特許6,011,035;6,294,533;6,310,059;及び6,492,375、PCT国際公報WO01375及びWO01/45709、PCT CA99/00612;PCT CA00/01586;PCT CA00/01558;PCT CA00/01557;PCT CA2004/000535;及びPCT CA2004/000539に基づくPCT国際公報、及び、米国特許出願 2003年12月23日に出願された10/746,932;2003年12月23日に出願された10/746,933;2003年4月8日に出願された10/409,793;2003年4月8日に出願された10/409,868;2003年9月3日に出願された10/655,393;2004年4月9日に出願された10/821,584;及び2004年4月9日に出願された10/821,389は、ピペリジン又はピペラジン環が種々の芳香族成分によって置換されたカルシウムチャネル遮断薬を開示している。これらの出願及び公報は参照により本願に組み込まれる。
【0020】
米国特許第5,646,149は、式 A Y Bのカルシウムチャネル拮抗薬(ここでBは、Yに直接結合しているピペラジン又はピペリジン環を含む)について記述している。これら分子の必須の構成要素は、Aによって表され、それは抗酸化成分でなければならない;ピペラジン又はピペリジンそれ自体は重要であると言われている。例示された化合物は、既知のカルシウムチャネル遮断薬に基づき、ベンズヒドリル置換基を含む(以下参照)。米国特許第5,703,071は、虚血性疾患の治療に有用であると言われている化合物を開示している。前記分子の必須部分は、ピペラジン誘導体のような置換基を伴うトロポロン残基であり、それらのベンズヒドリル誘導体が含まれる。米国特許第5,428,038は、神経保護及び坑アレルギー作用を示す化合物を開示している。これら化合物はクマリン誘導体であり、それはピペラジン及びその他の6員ヘテロ環の誘導体を含んでいてもよい。ヘテロ環における許容される置換基はジフェニルヒドロキシメチルである。カルシウムチャネル遮断活性に関わり得る種々の手掛かりに対する当技術分野におけるアプローチは、ベンズヒドリルで置換されたピペリジン又はピペラジン成分を偶発的に含むが機能維持のための付加的置換基を要求する化合物を使用する。
【0021】
ベンズヒドリル成分及びピペリジン若しくはピペラジンの両者を含むある化合物は、カルシウムチャネル拮抗薬及び神経遮断薬として知られている。例えば、Gould, R. J.らによるProc Natl Acad Sci USA (1983) 80: 5122 5125は、リドフラジン、フルスピリレン、ピモジド、クロピモジド及びペンフルリドールのような抗統合失調症神経遮断薬について記述している。また、フルスピリレンがL型カルシウムチャネル部位に結合する(King, V. K. , et al. , J Biol Chem (1989) 264: 5633 5641)だけでなくN型カルシウム電流を遮断する(Grantham, C. J. , et al. , Brit J Pharmacol (1944) 111: 483 488)ことも示されている。更に、鐘紡株式会社によって開発されたロメリジンは、カルシウムチャネル遮断薬として知られている。しかしながら、ロメリジンはN型チャネルに対し特異的ではない。ロメリジンに関する公開された総説としては、Dooley, D.によるCurrent Opinion in CPNS Investigational Drugs (1999) 1: 116 125がある。
【0022】
2002年2月14日に公開された米国特許公報2002/001938は、抗癌剤として有用な尿素誘導体として特徴付けられたものを開示している。これらの誘導体に共通しているのは、ピペラジンであり、但し、一つの環の窒素はベンズヒドリル基を伴う尿素を形成する。これら化合物のあるものは、もう一つのピペラジン窒素に結合した3,5-ジメチルフェニル又はベンズヒドリルを含む。これら化合物は、単純に抗癌剤として記述され、また、カルシウムイオンチャネルについての如何なる効果又は該チャネルによって仲介される如何なる兆候についても報告されていない。
【0023】
先の刊行物は簡便のために列挙したもので、先行技術の説明のためになされたものではない。
【0024】
本発明は、アセチル基と結合し、その次にピペラジン環と結合したベンズヒドリルを含むさらなる化合物を提供する。ピペラジン環は、さらに(in turn)、抗酸化成分ではない種々の置換基によって置換される。これら化合物はカルシウムイオンチャネルの遮断に効果的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、発作、不安、過敏性膀胱、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、間質性大腸炎、頭部外傷、片頭痛、慢性、神経障害性及び急性疼痛、薬物及びアルコール耽溺、神経変性疾患、精神病、睡眠障害、抑うつ、てんかん、糖尿病、癌、雄性避妊、高血圧症、肺性高血圧、心不整脈、うっ血性心不全、狭心症、及び、シナプスのカルシウムチャネル仲介機能を含むその他のカルシウム代謝に関連した兆候のような状態の治療に有用な化合物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
それゆえ、一つの態様において、本発明は、次式の化合物を指向する

その塩及びコンジュゲートを含み、
ここで、各R‐Rは、独立して非妨害性置換基であり;
ここで、RとRの組み合わせはフェニル基の間の橋を形成してもよく、それは1つの結合又はCR基、NR基、O又はSであってもよく(但し、Sは酸化されていてもよい);
は0−4であり、且つ、n及びnは独立して0−5であり;並びに、
ここで、Xは以下の(a)から(d)より成る群から選択される:
(a) 1以上のN、O又はSを任意的に含む任意的に置換されたアルキル(1‐12C)又は任意的に置換されたアルケニル(2‐12C)(但し、アルキル置換のために、環内に含まれる任意のNが2級又はもっぱら3級であるという条件によって限定される);
(b) 任意的に置換されたアリール(n1が0且つアリールがフェニル又はピリジルである場合は該アリールは少なくとも一つの置換基を含まなければならず、及び、アリールがフェニルで且つ一つのみの置換基を含む場合は該置換基はアリール基又はトリアルキルシリル基を含まなければならず、及び、該フェニルは2,3‐ジメチルフェニル又は脂肪族環に融合したものではない);
(c) CO‐アリール又はCRH‐アリール(但し、RはH、アルキル又はヘテロ芳香族環、但し、RがHの場合アリールは、任意的に置換された4‐ピリジルであるか、又は、脂肪族環に融合したフェニル以外の置換されたフェニルであるか、又は、置換されたナフチルであるか、又は、置換された5員アリールである);及び、
(d) アルキレン‐アリール又はアルキレン‐カルボシクリル(但し、該アルキレンは少なくとも2つのCを含み、及び、更に任意的に1つのヘテロ原子を含み、及び/又は、=O及び/又はOHにより置換される。但し、該アルキレンがCHCH、CHCHCH、CHCHO又はCHCHCHOであり、且つ、該アリールがフェニルである場合は、該フェニルは置換されていなければならず;並びに、該アルキレンがOHによって置換されたCHCHCHOの場合は、該アリールは置換されたキノリル又は一置換のフェニルではないとの条件により限定される)
【0027】
非妨害性置換基(noninterfering substituent)は、一般に、任意に置換されたアルキル(1‐12C)、アルケニル(2‐12C)、アルキニル(2‐12C),アリール(6‐12C)、又は、アリールアルキル、アリールアルケニル若しくはアリールアルキニル(各々7‐16C)であり、但し、先の各々の中で1−4Cは、ヘテロ原子(Si、N、O及び/又はS)により置換されてもよく、また、該任意的置換基には=Oが含まれる。アルキル、アルケニル、又は、アルキニルが少なくとも一つの環状成分を含む場合、含まれるCの数は15程度でよく、また、この中の1以上のCはヘテロ原子によって置換されてもよい。そのため、例えば、R‐Rは、独立して、アシル、アミド、又は、環の炭素とのエステル結合の形であってもよい。
【0028】
「非妨害性置換基」はまた、ハロ、CF、OCF、CN、NO、NR、OR、SR、COOR、又は、CONRを含む(但し、Rは上述のように、水素原子、又は、任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくはアリールアルキルである)。同一の環の隣接した位置にある二つの置換基は、該置換された環に融合する3−7員の飽和又は不飽和環を形成してもよく、該融合環はそれ自体置換されていてもよく、1以上のヘテロ原子(N、S、O)を含んでいてもよい。Rはnが1又は2である場合はケトであってもよい。
【0029】
本発明はまた、式(1)の化合物を用いて、カルシウムチャネル活性好ましくはN型及びT型チャネル活性を調節する方法を指向する。これらの化合物は、ある種の不所望の生理学的状態を治療するために使用することができ、及び、カルシウムチャネル活性の調節を要求される状態(発作、不安、過敏性膀胱、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、間質性大腸炎、頭部外傷、片頭痛、慢性、神経障害性及び急性疼痛、薬物及びアルコール耽溺、神経変性疾患、精神病、抑うつ、てんかん、糖尿病、癌、雄性避妊、高血圧症、肺性高血圧、心不整脈、うっ血性心不全、及び、狭心症を含む)の治療のための薬物調製のために使用することができる。
【0030】
もう一つの態様において、本発明は式(1)の化合物を含む医薬組成物を指向する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の方法に有用な式(1)の化合物は、その所望の効果をN型及び/又はT型カルシウムチャネル活性の調節能力を介して発揮する。このことは、それらを、ある種の状態の治療に対し有用なものとする。拮抗的活性が望ましいこのような状態は、発作、てんかん、頭部外傷、片頭痛、炎症性腸疾患、及び、慢性、神経障害性及び急性疼痛である。カルシウム流はまた、統合失調症、不安、抑うつ、その他の精神病、及び、神経変性障害のようなその他の神経学的疾患にも関与している。その他の治療可能な状態は、高血圧及び心不整脈のような心血管系の状態を含む。さらにT型カルシウムチャネルは、ある種のタイプの癌、糖尿病、不妊症、及び、性的機能不全に関与している。
【0032】
式(1)の化合物が一般的にこの活性を有しているものの、カルシウムチャネルモジュレーターのこの分類の有効性が、特定疾患に対する化合物の微妙な差異の選別を可能とする。化合物のこの分類の有効性が、過剰なカルシウムチャネル活性によって影響される兆候に一般的な有用性を提供するだけでなく、特定の型のカルシウムチャネルとの特異的結合が探され操作され得る多数の化合物を提供する。組み換えによって作成されたカルシウムチャネル、上述したα1A−α1I及びα1S型の有効性は、この選別過程を促進する。Dubel, S. J., etal., Proc Natl Acad Sci USA (1992) 89: 5058-5062; Fujita, Y., et al., Neuron (1993) 10: 585-598; Mikami, A., etal., Nature (1989) 340: 230-233; Mori, Y., et al., Nature (1991)350 : 398-402; Snutch, T. P., et al., Neuron (1991) 7: 45-57; Soong, T. W., et al., Science (1993) 260: 1133-1136; Tomlinson, W. J., etal., Neuropharmacology (1993) 32: 1117-1126; Williams, M. E., et al., Neuron (1992) 8: 71-84; Williams, M. E., et al., Science (1992) 257: 389-395; Perez-Reyes, et al., Nature (1998) 391: 896-900; Cribbs, L. L., et aL, Circulation Research (1998) 83: 103-109; Lee, J. H.,et al., Journal ofNeuroscience (1999) 19:1912-1921。
【0033】
カルシウムチャネル活性が疾患の多重度に関与していること、及び、特定の型のチャネルが特定の状態と相関していることは知られている。神経伝達と相関した状態におけるN型チャネルの相関は、N型チャネルを標的とする本発明の化合物がこの状態において最も有用であることが示されている。式(1)の化合物に属する多くのメンバーが、N型チャネル及び/又はT型チャネルに対する高親和性を示す。従って、以下に記述するように、所望の機能の最初の指標として、N型及びT型チャネルと相互作用するそれらの能力についてスクリーニングする。前記化合物が1μMより小さいIC50値を示すことが望ましい。IC50は、特定のあてはめ電位においてカルシウム流の50%を抑制する濃度である。
【0034】
N型チャネルによって仲介される状態の例示:
慢性痛
神経因性疼痛
糖尿病性末梢神経障害
帯状疱疹後神経痛
三叉神経痛
エイズ関連神経障害
癌疼痛
炎症痛
骨関節炎疼痛
関節リウマチ疼痛
線維筋痛症
急性痛
侵害受容性疼痛
術後痛
気分障害
不安障害
一般化的不安障害
社会的不安障害
パニック障害
妄想強迫性障害
心的外傷後ストレス障害
抑うつ
耽溺
コカイン依存及び離脱症状
オピオイド依存及び離脱症状
アルコール依存及び離脱症状
ニコチン依存及び離脱症状
消化器疾患
炎症性腸疾患
敏性腸症候群
尿生殖器障害
失禁
間質性大腸炎
性的機能障害
【0035】
T型チャネルによって仲介される状態の例示:
心血管系障害
高血圧症
不整脈
心房細動
うっ血性心不全
狭心症
てんかん
部分的てんかん発作
側頭葉てんかん
欠神発作
全般発作
緊張性/間代性てんかん発作
糖尿病

慢性痛
神経因性疼痛
糖尿病性末梢神経障害
帯状疱疹後神経痛
三叉神経痛
癌疼痛
エイズ関連神経障害
炎症痛
骨関節炎疼痛
関節リウマチ疼痛
線維筋痛症
急性痛
侵害受容性疼痛
術後痛
【0036】
カルシウムチャネル阻害には三つの型があり、これらは区別され得る。第一に、「開チャネル遮断(open channel blockage)」と呼ばれるものは、示されるカルシウムチャネルが(約−70mVの典型的な内在性の静止保持電位と区別されるような)約−100mVの人工的負静止電位で維持される時に簡便に示される。これらの条件下で示されるチャネルが急速に脱分極される時には、カルシウムイオンがチャネルを介して流れ、その後減衰するピーク電流の流れを示す。開チャネル遮断阻害剤により、ピーク流で示される電流が減少し、また電流減少速度を速めることも可能となる。
【0037】
この型の阻害は、本願において「不活性化阻害(inactivaton inhibition)」と呼ばれる第二の型の遮断と区別される。生理学的に重要な−70mVの電位のように、より小さい負の静止電位で維持されるときには、一定の割合のチャネルは高次構造的な変化を受け、その結果急速な脱分極によって活性化、即ち開口することができなくなる。したがって、カルシウムイオン流によるピーク電流は、開チャネルが遮断されるのが原因ではなく、チャネルの一部が開口において有効でない(不活性化されている)という原因により、減少されるであろう。「不活性化(inactivation)」型阻害剤は、不活性状態にあるレセプターの割合を増加させる。
【0038】
阻害の第三の型は、「静止チャネル遮断(resting channel block)」と呼ばれる。静止チャネル遮断は、膜脱分極の不存在下で生ずるチャネルの阻害であって、通常は、開口又は不活性化をもたらすであろう阻害である。例えば、静止チャネル遮断剤は、薬剤投与後の最初の脱分極の間(脱分極の間にさらなる阻害がない状態での)のピーク電流の振幅(peak current amplitude)を減少させるであろう。
【0039】
治療上の有用性を最大限にするため、生じうる副反応を評価することも有用である。したがって、特定のカルシウムチャネルを調節することを可能にすることに加えて、心臓において発現されるHERG Kに対して前記化合物が極めて低い活性を有することが好ましい。このチャネルを高い効力で遮断する化合物は致命的な反応を起こし得る。したがって、カルシウムチャネルを調節する化合物として、HERG Kチャネルが阻害されないことも示されるべきである。同様に、チトクロームp450酵素を阻害することは、これらの酵素が薬剤の解毒のために必要とされることから、化合物として好ましくないであろう。最後に、化合物は、カルシウムチャネルの各種型間で活性を比較することによってカルシウムイオンチャネルの型特異性について評価されるであろうが、ある特定のチャネル型の特異性が好ましい。これらのテストを好結果で通過した前記化合物は、その後実際の薬剤候補として動物モデルにおいて試験される。
【0040】
本発明の化合物
式(1)の基本構造における置換基については上述している。これらには、アルキル、アルケニル、アルキニルなどの置換基を含む。
【0041】
本願において使用され場合、用語「アルキル(alkyl)」、「アルケニル(alkenyl)」及び「アルキニル(alkynyl)」には、直鎖、分岐鎖及び環状の一価置換基が含まれるが、これらの置換基が置換されないとき又は特に注意がない限り、これらはC及びHのみを含む。例えば、メチル、エチル、イソブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルエチル、2−プロペニル、及び3−ブチニル等が挙げられる。典型的には、アルキル、アルケニル及びアルキニル置換基には、1−10C(アルキル)又は2−12C(アルケニル又はアルキニル)が含まれる。これらには、1−6C(低級アルキル)又は2−6C(低級アルケニル又は低級アルキニル)が含まれてもよいが、アルキル、アルケニル又はアルキニルが環を含む場合はこれらは18C(その幾つかはヘテロ原子で任意的に置換されていてもよい)も含んでいてもよい。
【0042】
ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニルも同様に定義されるが、そのバックボーン残基の範囲内に1以上のO、S又はNヘテロ原子又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。そのように指定された場合は、一般的に、用語アルキル、アルケニル及びアルキニルはヘテロ原子が含まれるそれらを含む。
【0043】
本願において使用される場合、「アシル(acyl)」は、アルキル、アルケニル、アルキニルの定義を包含し、これらのそれぞれはカルボニル基を介して付加的な残基と結合される。ヘテロアシルは、関連したヘテロ形態を含む。
【0044】
「芳香族(aromatic)」成分又は「アリール(aryl)」成分は、フェニル又はナフチル等の単環式又は縮合二環式成分をいうが複素環式芳香族であってもよい;「複素環式芳香族(heteroaromatic)」も同様に、O、S、及びNから選択される1以上のヘテロ原子を含む単環式又は縮合二環式系をいう。ヘテロ原子の含有により、5員環並びに6員環の含有が可能となる。したがって、典型的な芳香族/ 複素環式芳香族系には、ピリジル、ピリミジル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソキノリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、及び、イミダゾリル等が含まれる。互変異性体が理論的に可能であるので、フタルイミドも同様に芳香族と考えられる。環系全体にわたる電子分布の観点から芳香族性の特性を有する任意の単環式又は融合二環式系も、この定義に含まれる。通常、環系は、5〜12の環員原子を含む。
【0045】
同様に、「アリールアルキル(arylalkyl)」及び「ヘテロアリールアルキル(heteroarylalkyl)」とは、炭素鎖を介して別の残基と結合される芳香族及び複素環式芳香族をいい、置換型若しくは非置換型、飽和若しくは不飽和の炭素鎖で通常1−8C、又は、そのヘテロ形態を含む。これらの炭素鎖は、同様にカルボニル基を含んでもよく、この結果、アシル又はヘテロアシル成分として置換基を与えることが可能になる。
【0046】
「カルボシルシル」とは、4−7員環をいい、該環は炭素原子のみで構成され、該環は飽和又は非飽和である。
【0047】
一般的に、式(1)で定義された又は置換基に含まれるようなアルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニル、アルキニレン、アシル、カルボシクリル若しくはアリール又はヘテロ型は、それ自体、他の置換基によって任意的に置換されてもよい。これらの置換基の性質はそれらの一次置換基に関して類似したものである。そのため、置換基の1つの実施形態がアルキルである場合、このアルキルは、置換基として列挙されたような残存置換基(そこでは、化学的な意味を形成し且つアルキル自体の大きさ制限の土台を損なわない)によって任意的に置換されてもよい;例えば、アルキルによって又はアルケニルによって置換されたアルキルはこれらの実施形態に関して炭素原子の上限を単純に伸展するものであろう。しかしながら、アリール、アミノ及びアルコキシなどによって置換されたアルキルは含まれるだろう。
【0048】
アリール基における非妨害性置換基は、一般に、任意的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル及びアシル、並びに、ハロ、‐CN、‐CF、‐NO、‐NO、‐OR、‐NR、‐SR、‐SOR、‐SOR、‐OCOR、‐NRCOR、‐NRCONR、‐NRCOOR、‐OCONR、‐RCO、‐COOR、‐NRSOR、‐NRSOR、‐SOR、‐CONR及び‐SONR(但し、各Rは独立してH又はアルキル(1‐8C)等を含むがこれらに制限されるものではない。
【0049】
本発明の化合物は、医薬的に許容できる塩として調製できるようにイオン解離性基(ionizable group)を有してもよい。これらの塩は、無機又は有機酸を含む酸付加塩であってもよく、或いは本発明の化合物が酸の形態である場合には、塩は、無機又は有機塩基から調製されてもよい。好適な医薬的に許容し得る酸及び塩基は当業者に既知であり、それはすなわち、塩酸、硫酸、クエン酸、酢酸、若しくは、酒石酸のような酸、及び、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、カフェイン、及び、種々のアミン類等のような塩基がある。適当な塩を調製するための方法も、技術分野でよく確立されている。
【0050】
さらに、ある場合には、本発明の化合物は、1以上のキラル中心を含む。本発明には、単離された立体異性の形態、並びに、キラル純度が異なる立体異性体の混合物が含まれる。
【0051】
本発明の化合物はまた、ポリエチレングリコール(PEG)のような付加的物質、抗体又はリガンドのような標的化剤、及び、誘導体化セルロース等とコンジュゲートしていてもよい。
【0052】
本発明の化合物の合成
本発明の化合物は、カルシウムチャネル活性を調節する;一般に、該調節はカルシウム輸送を行うためのチャネル能の抑制である。以下に記載するように、カルシウムチャネル活性における特定の化合物の効果はルーティンのアッセイにより容易に確かめられ得る―該アッセイでは、チャネルが活性化するような条件が整えられ、この活性化への化合物の効果(陽性若しくは陰性の何れか)が評価される。典型的なアッセイについては後述する。
【0053】
本発明の化合物は、医薬的に許容し得る塩として調製可能なようにイオン解離性基を有していてもよい。これらの塩は無機又は有機酸を含む酸付加塩であってもよく、或いは、本発明の化合物が酸の形態である場合には、塩は、無機又は有機塩基から調製されてもよい。好適な医薬的に許容し得る酸及び塩基は、塩酸、硫酸、クエン酸若しくは酒石酸、及び、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、カフェイン、種々のアミン類等のように当業者に周知されている。適切な塩の調製法は、抱合法(methods of conjugation)のように、技術分野でよく確立されている。
【0054】
本発明の化合物は、常套的な方法を用いて合成してもよい。そのような方法の図解が、スキーム1から3である。
【0055】
反応スキーム1を、本発明の化合物P6‐P8、P25、P30‐P32、P36‐P42を調製するのに用いた。

【0056】
反応スキーム2を、本発明の化合物P9及びP10を調製するのに用いた。

【0057】
反応スキーム3を、本発明の化合物P1‐P5、P12‐P24、P27‐P29、P33‐P35を調製するのに用いた。

【0058】
好ましい実施形態
式(1)の化合物を、それらの種々の置換基の実施形態の面から示すように定義する。
【0059】
とりわけ好ましい式(1)の実施形態は、描写された環のうち0、1又は2のみが置換され、且つ、一つの環における置換基の数は3以下であるものである。示されているフェニル環に関する特に好ましい置換基には、ハロとりわけフッ化又は塩化;CF3;任意的に置換された、任意的にヘテロ原子を含有するアルキル、アルケニル、アリール、アルキル アリール、アルケニル アリール及びフェノキシ等を含む。これらの成分における置換基がアルキル又はアリール基の場合、これらも任意的に置換されてもよい。へテロ原子含有架橋置換基(bridging substituents)も好ましい。
【0060】
ピペラジン環に関する特に好ましい置換基には、=O、COORとりわけCOOH及びCOOEt、アルキル、アルケニル、(上に定義された且つ任意的にヘテロ原子を含有し且つ全て任意的に置換されたような)、及び、ハロを含む。
【0061】
Xの好ましい実施形態には、置換されていないアルキル又はアルケニルを含む(但し、1又は2個の炭素がN、S又はOにより置換されている実施形態を含む)。Xがアリールアルキルである実施形態(とりわけ、この中の該アリール成分がフェニルで、且つ、この中の該アルキル成分が少なくとも一つのヘテロ原子を含み、及び/又は、少なくとも1つの=Oによって置換される実施形態)も好ましい。Xがアルキルで環状であり、そのために15Cまで含んでいてもよい(但し、1以上の該Cはヘテロ原子により任意的に置換されてもよい)実施形態も好ましい。Xがピリジル、ピリミジル、ベンゾイミダゾール及びベンゾチアゾール等のようなヘテロアリール成分を含む実施形態も好ましい。Xがアリールアルキル但し該アルキル成分が一つの芳香族又はその他の環によって置換される実施形態も好ましく、とりわけ好ましい実施形態はアルキル部分が環状成分によって置換されたメチレンである。Xがアリールアルキル、ここでアリール部分がフェニルで、且つ、複数置換されているか若しくは更なるアリール成分を含む置換基により置換されている実施形態も好ましい。
【0062】
ライブラリ及びスクリーニング
本発明の化合物は、それ自体周知の技術を用いて、又は、コンビナトリアルライブラリのメンバーとして合成し得る。
【0063】
コンビナトリアルライブラリの合成法は、現在、技術として一般化している。そのような合成についての適当な記載が、Wentworth, Jr. , P.らのCurrent Opinion in Biol. (1993) 9: 109-115; Salemme, F. R.らのStructure (1997) 5:319-324において見出せる。ライブラリは、各種置換基及び各種不飽和度、並びに、異なる鎖長を有する化合物を含む。少なくて10程度で通常は数百のメンバーから数千のメンバーを含むライブラリは、そして、カルシウムチャネルの特定のサブタイプ即ちN型チャネルに対して特に有効である化合物についてスクリーニングされ得る。さらに、標準的なスクリーニングプロトコルを用いて、ライブラリは、ナトリウムチャネル及びカリウムチャネル等のその他のチャネル又はレセプターを遮断する化合物について、スクリーニングされ得る。
【0064】
これらのスクリーニング作業を行う方法は、技術としてよく知られている。典型的には、標的とされるレセプターが、ヒト胎児由来腎臓細胞等の組換え宿主細胞の表面で発現される。ライブラリメンバーの被検チャネルへの結合能が、例えば、ライブラリ化合物の、チャネルと正常に結合しているリガンド又はチャネルに対する抗体等の標識結合リガンドと置き換わる能力によって、測定される。より典型的には、レセプター拮抗能力は、カルシウムイオンの存在下で測定され、生ずるシグナル生成を妨げる化合物の能力が標準的な技術を用いて測定される。より詳細には、一つの方法は、カルシウムチャネルと相互作用する放射性標識された薬剤の結合、及び、それに続く結合平衡(equilibrium binding)の解析(結合速度、解離速度、K値、及び、他の分子との拮抗的結合を含むがこれらに限定されるものではない)に関わる。
【0065】
もう一つの方法は、電気生理学的アッセイにより化合物の効果をスクリーニングする方法で、微小電極を単一細胞に刺し込みカルシウムチャネルを介する電流を対象化合物の投与前と後で記録する。
【0066】
もう一つの方法、ハイスループット分光光度測定法は、細胞内カルシウム濃度に対して感受性がある蛍光色素を株細胞に添加すること、及び、それに続く塩化カリウムによる又はその他の細胞内カルシウムレベルを変化させる手段による脱分極作用への化合物の効果の試験を用いる。
【0067】
前述したように、より決定的な測定法(definitive assay)を用いて、該チャネルの不活性化を促進することによって作用するカルシウム流阻害剤と対比されるものとして、開チャネル遮断剤として作用するカルシウム流阻害剤を区別することができる。これらの型の阻害剤を区別する方法を、以下の実施例にて、より具体的に記載する。一般に開チャネル遮断剤は、候補化合物の存在下及び不存在下で約−100mVのバックグラウンド静止電位に脱分極させた時のピーク電流レベルを測定することによって評価される。開チャネル遮断剤として良いものは、観測されるピーク電流を減少させるであろうし、この電流の減衰を促進させ得る。不活性化チャネル遮断剤である化合物は、一般に、より負の電位の方に電位依存性をシフトさせる能力によって判定される。これは、より脱分極した保持電位(例えば、−70mV)で及びより高周波数の刺激(例えば0.2Hz対0.03Hz)で、そのピーク電流を減少させる能力においても反映される。
【0068】
有用性及び投与
ヒト及び動物被検体の治療として使用するため、本発明の化合物を、医薬又は獣医学用組成物として処方(製剤化)することができる。治療されるべき被検体、投与形態、及び目的とする治療の型(例えば、防止、予防、治療)に依存するが;前記化合物は、これらの要素にふさわしい方法で処方される。そのような技術の総説が、レミントンの製薬科学Remington's Pharmaceutical Sciences)、最新版、Mack出版社、イーストン、ペンシルヴァニアに認められるが、これは参照により本願に組み込まれる。
【0069】
一般に、治療において使用するため、式(1)の化合物を、単独で、2以上の式(1)の化合物の混合物として、又は、他の医薬品と組み合わせて、使用してもよい。投与形態に依存するが、前記化合物は、送達を容易にすべく、適当な組成物で製剤化されるであろう。
【0070】
製剤は、全身投与又は局所投与に適した方法で調製され得る。全身性の製剤には、注射(例えば、筋肉内、静脈内又は皮下注射)用に設計された製剤が含まれるが、この製剤を経皮、経粘膜、又は経口投与のために調製してもよい。前記製剤は、一般に、希釈剤、並びに、ある場合には、補助剤、緩衝液及び保存剤等を含むであろう。前記化合物は、リポソーム性組成物又は微小エマルジョンとして投与されてもよい。
【0071】
注射のため、製剤を、液状溶液若しくは懸濁液として、注射前の液体の溶液若しくは懸濁液に適した固体の形態として、又は、エマルジョンとして、従来の形態で調製することができる。適当な賦形剤には、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、及びグリセロール等が含まれる。そのような成分は、ある量の湿潤若しくは乳化剤、及び、pH緩衝液等の無毒性の補助物質(例えば、酢酸ナトリウム及びソルビタンモノラウレート等)を含んでもよい。
【0072】
種々の薬剤徐放系も発明されている。例えば、米国特許第5,624,677。
【0073】
同様に、全身投与には、坐剤の使用、経皮性パッチ(transdermal patch)、経粘膜送達、及び、鼻腔内投与等の比較的に非侵襲的な方法が含まれる。同様に、経口投与も本発明の化合物に適している。適当な形態には、当業者に理解されているように、シロップ剤、カプセル剤、錠剤が含まれる。
【0074】
動物又はヒト被検体への投与のため、本発明の化合物の投与量は、通常0.1−15mg/kg、好ましくは0.1−1mg/kgである。しかしながら、投与量レベルは、状態の性質(nature of condition)、薬剤の有効性、患者の状態、実施者(医師)の判断、並びに、投与の頻度及び形態に強く依存する。
【0075】
以下の実施例は、本発明の説明のためのものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0076】
1‐(4‐[2‐{2,4‐ジフルオロ‐フェノキシ‐エチル}‐ピペラジン‐1‐イル]‐3,3‐ジフェニル‐プロパン‐1‐オンの合成


A. 2‐(2,4‐ジフルオロ‐フェノキシ)‐エタノールの合成

【0077】
CO(1.07g、7.78mmol)を、乾燥DMF(15ml)中の2,4‐ジフルオロフェノール(0.84g、6.48mmol)の溶液中に添加した。2‐ブロモエタノール(0.81g、6.48mmol)を添加し、そして、混合液を終夜120℃で加熱した。その混合液を冷却し、EtOAc中に入れ、水(20 ml)で抽出し、NaCI(4x20ml)で飽和させ、MgSOで乾燥させ、そして、減圧下で乾燥させた。得られた生成物をシリカ上のカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 3:1)で精製することにより、目的とする生成物を63%の収率で得た。

B. 4‐(2‐ブロモ‐エトキシ)‐1,3‐ジフルオロベンゼンの合成

【0078】
CHCl(15ml)中の2‐(2,4‐ジフルオロ‐フェノキシ)‐エタノール(0.48g、2.77mmol)の冷却溶液に、トリフェニルホスフィン(1.3g、5mmol)を添加した。CHCl(3ml)中の四臭化炭素(1.65g、5mmol)を前記溶液にN中で滴下した。得られた溶液を30分間撹拌した。EtOAcを添加し、そして、減圧下で溶媒を蒸発させた。
【0079】
前記生成物をシリカ上のカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:1)で精製することにより、目的とする生成物を83%の収率で得た。

C. 1‐[2‐(2,4‐ジフルオロ‐フェノキシ)‐エチル]‐ピペラジンの合成

【0080】
ブタノン(70ml)中のピペラジン(8.7g、101.26mmol、4‐(2‐ブロモ‐エトキシ)‐1,3‐ジフルオロベンゼン(6.0g、25.31mmol)、無水KCO(3.5g、25.31mmol)、及び、KI(4.2g、25.31mmol)の混合物を窒素中で18時間還流した。混合液は、それから冷却され、溶媒を減圧下で除去した。生じた残渣をCHCI(200ml)中に溶解し、水(50ml)で洗った。乾燥させ溶媒を除去した後、クロマトグラフィー(CHCI:CHOH:NHOH 10:1)により73%の収率で目的とする生成物を得た。
【0081】
乾燥CHCl(30ml)中の1‐[2‐(2,4‐ジフルオロ‐フェノキシ)‐エチル]‐ピペラジン(1.0g、4.13mmol)の溶液に、3,3‐ジフェニルプロパン酸(1.12g、4.95mmol)を窒素中で添加した。前記反応物にEDC(1.0g、5.36mmol)及びDMAP(cat)を添加し、そして、該反応液を窒素中で室温にて終夜撹拌した。それから反応液を減圧下で濃縮した。生じた残渣を、酢酸エチル:水(10:1)(150ml)に溶解した。前記有機物を水(30ml、2X)及び10%NaOH(30ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして、減圧下で乾燥させた。得られた残渣を、酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、85%の収率で目的とする生成物を得た。
【実施例2】
【0082】
N‐(2,6‐ジメチル‐フェニル)‐2‐3.3‐ジフェニル‐プロピオニル)‐ピペラジン‐1‐イル]‐アセトアミドの合成


A. 4‐(3,3‐ジフェニル‐プロピオニル)‐ピペラジン‐1‐カルボン酸tert‐ブチルエステルの合成

【0083】
乾燥CHCI(70ml)中の3,3‐ジフェニルプロパン酸(1.45g、6.44mmol)の溶液に、モノ‐ボク ピペラジン(1.32g、7.08mmol)を窒素中で添加した。前記反応液にEDC(2.71g、14.16mmol)及びDMAP(cat)を添加し、該反応液を窒素中で室温にて終夜撹拌した。そして反応液を減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:水(10:1)(200ml)に溶解した。前記有機物を水(50ml、2X)及び10%NaOH(50ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして、減圧下で乾燥させた。得られた残渣を、ヘキサン:酢酸エチル (1:1)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、76%の収率で目的とする生成物を得た。

B. 3,3‐ジフェニル‐1‐ピペラジン‐1‐イル‐プロパン‐1‐オンの合成

【0084】
乾燥CHCI(60ml)中の4‐(3,3‐ジフェニル‐プロピオニル)‐ピペラジン‐1‐カルボン酸tert‐ブチルエステル(2.15g、5.45mmol)の溶液に、TFA(20ml)を添加し、得られた混合液を室温で3時間撹拌した。それから溶媒及び過剰なTFAを蒸発させ、残渣をCHCI(150ml)に溶解し、飽和NaHCOで2回洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させると、1.65gの純粋な生成物が得られた。

C. [4‐(3,3‐ジフェニル‐プロピオニル)‐ピペラジン‐1‐イル]‐酢酸エチルエステルの合成

【0085】
乾燥DMF(15ml)中の3,3‐ジフェニル‐1‐ピペラジン‐1‐イル‐プロパン‐1‐オン(2.0g、6.79mmol)及びエチル ブロモ酢酸(0.94ml、8.49mmol)に、KCO(2.7g、19.53mmol)を添加し、該混合液を終夜70℃で加熱した。反応混合液を冷却し、水(32ml)を添加した。得られた生成物をエーテルで抽出し、乾燥させ蒸発させた。生じた残渣を、ヘキサン:酢酸エチル(1:4)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、60%の収率で目的とする生成物を得た。

D. [4‐(3,3‐ジフェニル‐プロピオニル)‐ピペラジン‐1‐イル]‐酢酸の合成

【0086】
メタノール:水(3:1、40ml)中の[4‐(3,3‐ジフェニル‐プロピオニル)‐ピペラジン‐1‐イル]‐酢酸エチルエステル(1.17g、3.07mmol)及びLiOH(645mg、15.35mmol)混合液を室温で2日間撹拌した。そして溶媒を蒸発させ、残渣を水に溶解した。2規定の塩酸でpH3まで酸性にし、生成物を水相中で沈殿させ、濾過し、水で数回洗浄し、乾燥させて、78%の収率の目的とする生成物を得た。
【0087】
乾燥CHCI(50ml)中の[4‐(3,3‐ジフェニル‐プロピオニル)‐ピペラジン‐1‐イル]‐酢酸(0.8g、2.29mmol)の溶液に、2,6‐ジメチルアニリン(0.28ml、2.29mmol)を窒素中で添加した。前記反応液にEDC(0.87g、4.58mmol)及びDMAP(cat)を添加し、該反応液を窒素中で室温にて終夜撹拌した。そして反応液を減圧下で濃縮した。その残渣を、酢酸エチル:水(10:1)(120ml)に溶解した。前記有機物を水(30ml、2X)及び10%NaOH(30ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして、減圧下で乾燥させた。得られた残渣を、CHCI:メタノール(15:1)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、72%の収率で目的とする生成物を得た。
【実施例3】
【0088】
1‐[4‐(1‐メチル‐ピペリジン‐4‐イルメチル)ピペラジン‐1‐イル]‐3,3‐ジフェニル‐プロパン‐1‐オンの合成

【0089】
乾燥CHCI(25ml)中の1‐(1‐メチル‐ピペリジン‐4イルメチル)‐ピペラジン‐酢酸(0.25g、1.26mmol)の溶液に、3,3‐ジフェニルプロパン酸(0.26g、1.15mmol)を窒素中で添加した。前記反応液にEDC(0.48g、2.53mmol)及びDMAP(cat)を添加し、該反応液を窒素中で室温にて終夜撹拌した。そして反応液を減圧下で濃縮した。その残渣を、酢酸エチル:水(10:1)(100ml)に溶解した。前記有機物を水(25ml、2X)及び10%NaOH(25ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして、減圧下で乾燥させた。得られた残渣を、CHCI:メタノール(5:1)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、69%の収率で目的とする生成物を得た。
【実施例4】
【0090】
図による化合物の要約
【0091】
下の表は合成化合物の名称及び構造を示している。
【0092】
【表2】

















【実施例5】
【0093】
種々の発明化合物のN型カルシウムチャネル遮断活性
【0094】
以下の記載から明らかなように、若干の修正をもって、実施例1の方法に続けた。
【0095】
A.HEK細胞の形質転換:
N型チャネル遮断活性は、ラット脳N型カルシウムチャネルサブユニット(α1B+αδ+β1b cDNAサブユニット)を安定形質移入されたヒト胎児由来腎臓細胞HEK293において評価した。一方、N型カルシウムチャネル(α1B+αδ+β1b cDNAサブユニット)、L型チャネル(α1C+αδ+β1b cDNAサブユニット)及びP/Q型チャネル(α1A+αδ+β1b cDNAサブユニット)を、HEC293細胞において、一過性に発現させた。簡潔に説明すると、細胞を、5%CO、37℃で、10%ウシ胎児血清、200U/mlペニシリン及び0.2mg/mlストレプトマイシンを添加したダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco's modified eagle medium)(DMEM)において培養した。85%の集密度において、0.25%トリプシン/1mM EDTAを用いて細胞をばらし、10%の集密度にて該細胞をカバーガラス上に蒔いた。12時間後に培地を交換し、標準リン酸カルシウムプロトコールと適当なカルシウムチャネルcDNAを用いて、細胞に一過性に形質移入した。新鮮なDMEMを与え、細胞を28℃/5%COへ移した。細胞を、ホールセル(細胞全体の)記録のため、1から2日インキュベートした。
【0096】
B.阻害の測定
ホールセルパッチクランプ(patch clamp)実験を、pCLAMPソフトウェアを搭載したパソコンと接続したAxopatch 200B増幅器(Axon Instruments、バーリンゲーム、カリフォルニア)を用いて行った。外部及び内部記録溶液には、それぞれ5mM BaCl、10mM MgCl、10mM HEPES、40mM TEACl、10mM グルコース、87.5mM CsCl(pH7.2)、及び、108mM CsMS、4mM MgCl、9mM EGTA、9mM HEPES(pH7.2)を含有させた。Clampexソフトウェア(Axon Instruments)を用いて、典型的には−80mVから+10mVの保持電位から電流を誘発させた。典型的には、まず低周波数刺激(0.067Hz)を用いて電流を誘発させ、化合物の投与前に安定化させた。その後、化合物を、2〜3分間の低周波パルスで慣らしている間に投与して持続性遮断(tonic block)を評価し、その後、パルス周波数を0.2Hzまで増大させて、周波数依存性遮断(frequency dependent block)を評価した。データを、Clampfit(Axon Instruments)、及び、SigmaPlot 4.0(Jandel Scientific)を用いて解析した。
【0097】
本実施例4で説明した手順を用い、本発明の種々の化合物をN型カルシウムチャネル遮断能力について試験した。結果は、以下の表に示すように、0.05‐1uMの範囲のIC50値を示している。
【0098】
【表3】



【実施例6】
【0099】
選択的カルシウムチャネル遮断活性の評価
拮抗薬活性(antagonist activity)を測定には、ラットα1B+αδ+β1bチャネル(N型チャネル)を安定又は一過性に発現するヒト胎児由来腎臓(human embryonic kidney)細胞について、電荷担体として5mMバリウムで、ホールセルパッチ記録を用いた。
【0100】
一過性発現のため、ヒト胎児由来腎臓細胞HEK293(ATCC# CRL 1573)等の宿主細胞を、2mMグルタミン及び10%ウシ胎児血清を追加した標準的なDMEM培地で増殖させた。標準的なリン酸カルシウム−DNA共沈法(calcium-phosphate-DNA coprecipitation method)により、α1B+β1b+αδ N型カルシウムチャネルサブユニットを含む脊椎動物発現ベクターを用いて、HEK293細胞に形質移入がなされた(例えば、Current Protocols in Molecular Biologyを参照)。
【0101】
24〜72時間のインキュベーション期間後、培地を除去し、外部記録溶液(external recording solution)(以下参照)に置換した。ホールセルパッチクランプ(whole cell patch clamp)実験を、pCLAMPソフトウェアを搭載したIBM互換性パソコンと接続したAxopatch 200B増幅器(Axon Instruments、バーリンゲーム、カリフォルニア)を用いて行った。硼珪酸ガラスパッチピペット(Sutter Instrument社、 ノヴァト 、カリフォルニア)を、メタンスルホン酸セシウム内部溶液(MMでの組成:109 CsCHSO、4 MgCl、9 EGTA、9 HEPES、pH7.2)で満たされる場合に凡そ4MΩの抵抗になるよう研磨加工(Microforge、成茂、日本)した。細胞を5mM Ba++(mMで:5 BaCl、1 MgCl、10 HEPES、40 塩化テトラエチルアンモニウム、10 グルコース、87.5 CsCl pH7.2)に浸した。示した電流データについては、−100mv及び/又は−80mVから、種々の電位(最小 −20mV、最大 +30mV)までの、0.066Hzで100msのテストパルスの実施によって誘発させた。薬剤は、微小灌流系(microperfusion system)を用いて細胞近傍に直接灌流させた。
【0102】
標準化薬剤反応曲線を、ヒル式(Hill equation)にあてはめて(Sigmaplot 4.0、SPSS社、シカゴ、イリノイ)、IC50値を求めた。定常状態不活性化曲線(steady-state inactivation curve)は、+10mV増加で5秒の不活性化プレパルス(prepulse)後の標準化テストパルスの振幅としてプロットした。不活性化曲線を、ボルツマン式、Iピーク(標準化)=1/(1+exp((V−V)z/25.6))にあてはめた(Sigmaplot 4.0)、但し、V及びVは、それぞれ、条件付け電位及び半不活性電位(half inactivation potential)であり、zは勾配係数である。
【0103】
下の表は、N型チャネルに選択的な本発明の幾つかの化合物で得られた結果を示している。さらに、図1及び2は、N型チャネルを選択的に遮断する本発明の化合物P24及びP28の特異性を示している。
【0104】
【表4】

【実施例7】
【0105】
α1G T型チャネルの遮断
標準的なパッチクランプ技術を用いて、T型電流の遮断剤を同定した。簡単に説明すると、前記記載したヒトα1GT型サブユニットを安定発現するHEK株細胞を、全記録において用いた(継代数:4〜20、37℃、5%CO)。培養液を外部溶液へ置換した後、準集密性の細胞を含むプラスチックプレートを、ZEISS AXIOVERT S100顕微鏡のステージ上に配置して、T型電流を得た(以下参照)。5MΩより小さい抵抗値で、SUTTER P−97ガラス電極製作器で製作したピペット(フィラメント付き硼珪酸ガラス、O.D.:1.5mm、I.D.:0.86mm、10cm長)を用いて、ホールセルパッチを取得した(内部溶液については以下参照)。
【0106】
【表5】

【0107】
【表6】

【0108】
非不活性化プロトコールでは、保持電位を−110mVに設定し、−40mVで50msのテストパルスの前に、−100mVで1秒間のプレパルスを与える。不活性化プロトコールでは、凡そ−85mVで1秒間のプレパルスを与える(該プレパルスは、T型チャネルの凡そ15%を不活性化する)。
【0109】
【表7】

【0110】
テスト化合物を、0.1−0.01%DMSOで外部溶液中に溶解させた。10分ほど静置後、これらの化合物を、WPIマイクロフィルチュービング(WPI microfil tubing)を用いて細胞の近傍に重力で投与した。「非不活性化(non-inactivated)」プレパルスを用いて、化合物の静止遮断を調べた。「不活性化(inactivated)プロトコール」を用いて電位依存性遮断を試験した。しかしながら、以下に示した初期データは、主に、不活性化しないプロトコールのみを用いて得られたものである。本発明の各種化合物のIC50値を下の表に示す。
【0111】
【表8】

【0112】
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【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1は、N型、P/Q型及びL型チャネルに対する本発明の化合物P24の選択性を示すグラフである。
【図2】図2は、N型、P/Q型及びL型チャネルに対する本発明の化合物P28の選択性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の化合物:

その塩及びコンジュゲートを含み、
ここで、各R‐Rは、独立して非妨害性置換基であり;
ここで、RとRの組み合わせはフェニル基の間の橋を形成してもよく、それは1つの結合又はCR基、NR基、O又はSであってもよく(但し、Sは酸化されていてもよい);
は0−4であり、且つ、n及びnは独立して0−5であり;並びに、
ここで、Xは以下の(a)から(d)より成る群から選択される:
(a) 1以上のN、O又はSを任意的に含む任意的に置換されたアルキル(1‐12C)又は任意的に置換されたアルケニル(2‐12C)(但し、アルキル置換のために、環内に含まれる任意のNが2級又はもっぱら3級であるという条件によって限定される);
(b) 任意的に置換されたアリール(nが0且つアリールがフェニル又はピリジルである場合は該アリールは少なくとも一つの置換基を含まなければならず、及び、アリールがフェニルで且つ一つのみの置換基を含む場合は該置換基はアリール基又はトリアルキルシリル基を含まなければならず、及び、該フェニルは2,3‐ジメチルフェニル又は脂肪族環に融合したものではない);
(c) CO‐アリール又はCRH‐アリール(但し、RはH、アルキル又はヘテロ芳香族環、但し、RがHの場合アリールは、任意的に置換された4‐ピリジルであるか、又は、脂肪族環に融合したフェニル以外の置換されたフェニルであるか、又は、置換されたナフチルであるか、又は、置換された5員アリールである);及び、
(d) アルキレン‐アリール又はアルキレン‐カルボシクリル(但し、該アルキレンは少なくとも2つのCを含み、及び、更に任意的に1つのヘテロ原子を含み、及び/又は、=O及び/又はOHにより置換される。但し、該アルキレンがCHCH、CHCHCH、CHCHO又はCHCHCHOであり、且つ、該アリールがフェニルである場合は、該フェニルは置換されていなければならず;並びに、該アルキレンがOHによって置換されたCHCHCHOの場合は、該アリールは置換されたキノリル又は一置換のフェニルではないとの条件により限定される)
【請求項2】
‐Rの各々が独立してハロ、NO、NO、CN、SOH、SOH、任意的に置換されたアルキル(1‐12C)、アルケニル(2‐I2C)、アルキニル(2‐12C)、アリール(6‐12C)、又は、アリールアルキル、アリールアルケニル若しくはアリールアルキニル(各々7‐16C)である請求項1の化合物、但し、前記の各々において1‐4Cがヘテロ原子(Si,N,O及び/又はS)によって置換されてもよく、及び、但し該任意的置換基が=Oを含んでもよく、及び、但しアルキル、アルケニル又はアルキニルが少なくとも1つの環状成分を含む場合に含まれるCの数は18まで及び18を含んでもよく、但し、1以上のCはヘテロ原子によって置換されてもよい、並びに、
但し、同一の環の隣接した位置にある二つの置換基は、該置換された環に融合する3−7員の飽和又は不飽和環を形成してもよく、該融合環はそれ自体置換されていてもよく、1以上のヘテロ原子(N、S、O)を含んでいてもよく、並びに、
但し、Rはケトであってもよい。
【請求項3】
Xが、1以上のN、O又はSを任意的に含むアルキル(1‐12C)又はアルケニル(2‐12C)であることを特徴とする請求項1の化合物(但し、アルキル置換のために、環内に含まれる任意のNが2級又はもっぱら3級であるという条件によって限定される)。
【請求項4】
Xが非環式であることを特徴とする請求項3の化合物。
【請求項5】
Xがアリールであることを特徴とする請求項1の化合物(但し、アリールがフェニル又はピリジルである場合は該アリールは少なくとも一つの置換基を含まなければならず、及び、アリールがフェニルで且つ一つのみの置換基を含む場合は該置換基はアリール基又はトリアルキルシリル基を含まなければならず、及び、該フェニルは2,3‐ジメチルフェニル又は脂肪族環に融合したものではない)。
【請求項6】
Xがベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、又は、置換されたフェニルであることを特徴とする請求項5の化合物。
【請求項7】
CRH‐アリールであることを特徴とする請求項1の化合物(但し、RはH、アルキル又はヘテロ芳香族環、但し、RがHの場合アリールは、任意的に置換された4‐ピリジルであるか、又は、脂肪族環に融合したフェニル以外の置換されたフェニルであるか、又は、置換されたナフチルであるか、又は、置換された5員アリールである)。
【請求項8】
Rがシクロプロピル、チオフェン残基であることを特徴とする請求項7の化合物。
【請求項9】
Xがアルキレン‐アリールであることを特徴とする請求項1の化合物(但し、該アルキレンは少なくとも2つのCを含み、及び、更に任意的に1つのヘテロ原子を含み、及び/又は、=O及び/又はOHにより置換される。但し、該アルキレンがCHCH、CHCHCH、CHCHO又はCHCHCHOであり、且つ、該アリールがフェニルである場合は、該フェニルは置換されていなければならず;並びに、該アルキレンがOHによって置換されたCHCHCHOの場合は、該アリールは置換されたキノリル又は一置換のフェニルではない)
【請求項10】
前記アルキレンがケト置換基を含むことを特徴とする請求項9の化合物。
【請求項11】
Xが置換されたフェニルと結合した(CH)n又はY(CH)nであることを特徴とする請求項9の化合物(但し、nは2‐5且つYはNH、O又はS)。
【請求項12】
‐nの少なくとも一つが0であることを特徴とする請求項1の化合物。
【請求項13】
が0、又は、Rがアルキルであることを特徴とする請求項1の化合物
【請求項14】
及びnの両方が0であることを特徴とする請求項1の化合物。
【請求項15】
‐nの全てが0であることを特徴とする請求項1の化合物。
【請求項16】
1−{4−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−フェニル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[3−(4−アミノ−2,3,5−トリメチル−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロピル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−(4−アダマンタン−1−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−{4−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オン;
1−{4−[2−(3,4−ジメトキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[2−(ベンゾチアゾール−2−イルスルファニル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
N−(2,6−ジメチル−フェニル)−2−[4−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−1−イル]−アセトアミド;
2−[4−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−1−イル]−N−メチル−N−フェニル−アセトアミド;
3,3−ジフェニル−1−[4−(1−フェニル−エチル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−I−オン;
1−[4−(2−ジアリルアミノ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(2−ジプロピルアミノ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−(4−sec−ブチル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(1−エチル−プロピル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(1−メチル−ピペリジン−3−イルメチル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−(4−ヘプチル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−(4−ピリジン−4−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン;
1−[4−(3,5−ジクロロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−(4−シクロヘプチル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(3,4−ジメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−(4−ビフェニル−4−イル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(2,3−ジクロロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
N−{2−[4−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−I−イル]−エチル}−3,4,5−トリメトキシ−ベンズアミド;
1−(4−ナフタレン−1−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−[4−(4−トリメチルシラニル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−[4−(2−フェニルアミノ−エチル)−ピペラジン−l−イル]−プロパン−1−オン;
1−{4−[2(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−{4−[2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オン;
1−[4−(1−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−[4−(フェニル−チオフェン−2−イル−メチル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン;
1−{4−[シクロプロピル−(4−フルオロ−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
(4−{2−[4−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−1−イル]−エトキシ}−2,3,6−トリメチル−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル;
1−{4−[2−(4−アミノ−2,3,5−トリメチル−フェノキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[2−(4−メトキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[2−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルオキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[2−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[2−(4−フルオロ−フェノキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;又は、
3,3−ジフェニル−1−[4−(2−フェニルスルファニル−エチル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン;
1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−4−ピリジン−4−イルメチル−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル;
1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−4−(l−メチル−ピリジン−4−イルメチル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル;
N−{2−[4−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−l−イル]−2−オキソ−エチル}−ベンズアミド;
1−{4−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(4−フルロロ−ベンゾイル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(l−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[2−ヒドロキシ−3−((lS,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロピル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;又は、
4−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシ−ベンゾイル)−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−オン;又は、
その塩若しくはそのコンジュゲート
であることを特徴とする請求項1の化合物。
【請求項17】
医薬的に許容し得る賦形剤との混合物で、投与用量の少なくとも一つの請求項1の化合物を含む、異常なカルシウムチャネル活性によって特徴付けられる状態の治療に使用するための医薬組成物(但し、該状態は、発作、疼痛、不安障害、抑うつ、耽溺、消化器疾患、尿生殖器の障害、循環器疾患、てんかん、糖尿病、及び、癌から成る群から選択される)。
【請求項18】
患者の異常なカルシウムチャネル活性と関連した状態を治療する方法であって、請求項1の少なくとも一つの化合物又はその医薬組成物を治療の必要のある患者に投与することを含む方法(但し、該状態は、発作、疼痛、不安障害、抑うつ、耽溺、消化器疾患、尿生殖器の障害、循環器疾患、てんかん、糖尿病、及び、癌から成る群から選択される)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−504174(P2007−504174A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525016(P2006−525016)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001629
【国際公開番号】WO2005/021523
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(505257567)ニューロームド テクノロジーズ、インク. (5)
【Fターム(参考)】