説明

カルシウムチャンネル遮断薬としてのインドロキノリン化合物

様々なカルシウムチャンネル遮断薬およびこれら化合物を含有する医薬組成物を開示する。カルシウムチャンネル遮断薬は、カルシウムイオンチャンネルを阻害することができる化合物である。カルシウムチャンネル遮断薬の製造方法およびカルシウムチャンネル拮抗薬としての用途もまた開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウムイオンチャンネルを遮断することができる置換2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン化合物、また該化合物の製造方法および使用方法に関するものである。
【0002】
本発明は、新規な2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン化合物と、該化合物の製造方法と、かかる化合物を含有する医薬組成物およびそのカルシウム(Ca2+)チャンネル遮断薬またはカルシウム(Ca2+)チャンネル拮抗薬としての使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
本発明は、ベータ−カルボリン中心モチーフを有する新規なインドロキノリン化合物に関する。多くのベータ−カルボリン化合物が、ガンマ−アミノ酪酸(GABA)受容体、すなわち正のアロステリック修飾物質として機能する、つまりGABA性活性を高くするGABA錯体のベンゾジアゼピン(BDZ)結合部位で高い親和性を有することが文献から周知である(例えば、国際公開第92/21679号;国際公開第93/06100号参照)。特定のベータカルボリン化合物は、GABA輸送タンパクGAT−3/4によるGABA摂取の阻害剤である(英国特許公開第2355659号参照)。他の特定のベータカルボリン化合物は、HIV阻害剤である(国際公開第2004/067531号;米国特許公開第2005/0165040号;米国特許7001912号参照)、IBキナーゼ錯体(IKK)阻害剤(国際公開第01/68648号、国際公開第2004/092167号、米国特許公開第2005/0239781号参照)、腸管ホルモングルカゴン様ペプチド1(GLP−1)の拮抗剤(国際公開第00/33839号参照)、インターロイキン−2(IL−2)生成物の阻害剤(国際公開第98/06719号)であるか、またはベータ細胞における周期的に増幅したカルシウム(Ca2+)放出を促すことができる(国際公開第03/065036号参照)。しかし、本発明の開示に先立って、ベータカルボリン類似体のカルシウムチャンネル遮断薬としての効力を認識または示唆するものはなかった。
【0004】
本発明の化合物は、電位依存性のカルシウム(Ca2+)チャンネルによって仲介された哺乳類の病気および容態を治療するのに特に有効である。電位依存性カルシウムチャンネルは、神経に、また心臓の平滑筋と骨格筋、および他の興奮細胞に存在する。これらのチャンネルは、膜電位変化に応答してCa2+の細胞への流入を仲介する。そのイオン恒常性および細胞シグナル伝達事象における中心的役割のため、これらチャンネルには膜興奮性、筋収縮および開口分泌のシナプス伝達のような細胞分泌がある。カルシウムチャンネルは、通常その電気生理学的性質に従って低電圧活性化(LVA)および高電圧活性化(HVA)チャンネルとして分類される。HVAチャンネルは、現在L−,N−およびP/Q−型チャンネルとして既知の少なくとも3個のチャンネル群からなることがわかっている。これらチャンネルは、その薬理学およびリガンド結合特性に基づいて電気生理学的並びに生化学的に互いに区別される。HVAカルシウムチャンネルは、少なくとも3個のサブユニット、すなわちα(α,α),δおよびβ(骨格筋におけるγも)を備える膜タンパク質の異節会合によって形成される(T. P. Snatch, et al., Proc. Natl.. Acad. Sci. 87: 3391-3395 (1990);R. W. Tsien, et al., Trends Neurosci. 12: 349-354 (1991); M. E. Williams, et al., Neuron 8: 71-84 (1992);Y. Fujita, et al., Neuron 10: 585 (1993)参照)。αサブユニットは、単独で機能的チャンネルを形成するに十分であるが、該チャンネルの機能特性に特にβサブユニットによって修飾が施される。カルシウムチャンネルは、静止(閉鎖)状態、活性化(開口)状態または不活性化(脱感作)状態で存在する。静止状態のチャンネルは、膜の減極に応答して開口し、次いで不活性化状態に転換する。静止状態に戻るには、再分極が必要である。
【0005】
カルシウムチャンネルは、薬物治療に関して重要な標的として認識されている。カルシウムチャンネル遮断薬は、強力な血管拡張剤であり、また本態性高血圧症、うっ血性心不全、狭心症、不整脈、偏頭痛および痛みを含む様々な病状に関与する。
【0006】
アメリカ合衆国において臨床的な使用に認可されたカルシウムチャンネル遮断薬は、いくつかの異なる化学的分類、ジヒドロピリジン類(例えば、アムロジピン、フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン)、ベンゾチアゼピン類(例えば、ジルチアゼム)、フェニルアルキルアミン類(例えば、ベラパミル)、およびジアリールアミノプロピルアミンエーテル(例えば、ベプリジル)に属する。
【0007】
ジヒドロピリジン類、ベンゾシアゼピン類およびフェニルアルキルアミン類は、L型カルシウムチャンネルのαサブユニット上の独特であるが機能的である結合部位に結合し、薬品のいずれか一つの分類の結合することは、他の2個の分類における薬品の結合と、チャンネルにおける高い親和性のCa2+結合部位とをアロステリックに調節することができる(G. H. Hockerman, et al., Ann. Rev. Phanvacol. Toxicol. 37: 361-396 (1997)参照)。
【0008】
これらの型の薬作用発生団は、心臓血管系におけるL型チャンネルに対する相当な選択性を有すること明らかで、したがって神経および分泌組織におけるその一般的な不活性を明らかにする(D. J. Triggle, Biochem. Pharmacol. 74: 1-9 (2007)参照)。例えば、くも膜下出血を有する脳損傷患者の小群に対する臨床的研究におけるニモジピンの作用は有益の効果を示すが、介入群によって苦しむ薬害反応の増加は、薬品が何人かの患者に有害であることを意味し得る(J. Langham, et al., The Cochrane Database of Systematic Reviews, 4: 1-17 (2003)参照)。
【0009】
カルシウムチャンネルを遮断し、心臓血管系作用の効力を減ずる化合物は、急性脳損傷、急性ショック(組織損傷に伴う出血)、発作、急性および慢性疼痛、偏頭痛、アルツハイマー病、てんかん、多発性硬化症、パーキンソン病、筋萎縮側索硬化症および抑うつ病のような神経学疾患の治療に有効である(例えば、J. Hatton, CNS Drugs 15: 553-581 (2001);J. Fritze, et al., J. Neural Tramsm Suppl. 46: 539-543 (1995); T. Yagami, et al., Biochem. Pharmacol. 67: 1153-1165 (2004); S. Moosmang, et al., J. Neurosci. 25: 9883-9892 (2005);I. Nomura, et al., Neurosci. Lett. 391: 1-6 (2005);D. Lowe, et al., ICAD 2006, abstract P4-437, Madrid参照)。
【0010】
カルシウムチャンネル遮断薬の使用は、虚血傷害または外傷性脳損傷に対して効果的であることが知られている。脳卒中または外傷性脳損傷による虚血性発作は、脱分極した神経末端からグルタミン酸塩の過剰な放出をもたらす。この過剰なグルタミン酸塩放出は、次々に大量のカルシウムが神経細胞に入るのを促し、細胞死をもたらす生化学的カスケードを活性化する。脱分極した神経末端に入るカルシウムの主経路は、電位依存性のカルシウムチャンネルを通過する経路である。このカルシウム流入は、カルシウムチャンネル遮断薬によって遮断することができる。ラットにおける液体打診傷害に対するカルシウムチャンネル遮断薬ベラパミルによる治療が、外傷後の血行力学の抑制および血管反応性の回復に相当な改善をもたらすことをデータが立証した(T. Maeda , et al., J. Neυrotrauma 22: 763-771 (2005)参照)。カルシウムチャンネル遮断薬の使用が、急性外傷性脳損傷後の脳血管痙攣の防止または治療に対し示唆された。この示唆された使用は、これら薬品が血管平滑筋細胞における細胞外カルシウムの流入を無効にし、血管収縮を防ぐことができるという仮説に基づく(D. I. Graham, et al., J. Neurology Neurosurgery Psychiatry 52: 346-350 (1989)参照)。
【0011】
最近、DP b99,CNS 1145,LOE908,MN 153およびMEM 1003のような他のカルシウムチャンネル拮抗薬が動物モデルで神経保護作用を示し、現在臨床試験されている(J. Hatton, CNS Drugs 15: 553-581 (2001)参照)。
【0012】
現在使われている承認薬には相当な欠点がある。幾つかのカルシウムチャンネル遮断薬には、反射性頻脈、過度の血管拡張および胃腸障害を引き起こす。最も一般的に不利な副作用には、頭痛、低血圧、吐き気、顔面紅潮、目眩、倦怠感、浮腫、腹痛および便秘がある。いくつかを例外として、現在使用されている薬品は作用時間が短く、持続させるために頻繁に投与しなければならない。
【0013】
したがって、組織選択性が高く、効力を増強し、副作用を減じ、また作用時間がより好ましいカルシウムチャンネル遮断薬としての新規な化合物の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第92/21679号
【特許文献2】国際公開第93/06100号
【特許文献3】英国特許公開第2355659号明細書
【特許文献4】国際公開第2004/067531号
【特許文献5】米国特許公開第2005/0165040号
【特許文献6】米国特許7001912号
【特許文献7】国際公開01/68648号
【特許文献8】国際公開2004/092167号
【特許文献9】米国特許公開2005/0239781号
【特許文献10】国際公開00/33839号
【特許文献11】国際公開98/06719号
【特許文献12】国際公開03/065036号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】T. P. Snatch, et al., Proc. Natl.. Acad. Sci. 87: 3391-3395 (1990)
【非特許文献2】R. W. Tsien, et al., Trends Neurosci. 12: 349-354 (1991)
【非特許文献3】M. E. Williams, et al., Neuron 8: 71-84 (1992)
【非特許文献4】Y. Fujita, et al., Neuron 10: 585 (1993)
【非特許文献5】G. H. Hockerman, et al., Ann. Rev. Phanvacol. Toxicol. 37: 361-396 (1997)
【非特許文献6】D. J. Triggle, Biochem. Pharmacol. 74: 1-9 (2007)
【非特許文献7】J. Langham, et al., The Cochrane Database of Systematic Reviews, 4: 1-17 (2003)
【非特許文献8】J. Hatton, CNS Drugs 15: 553-581 (2001)
【非特許文献9】J. Fritze, et al., J. Neural Tramsm Suppl. 46: 539-543 (1995)
【非特許文献10】T. Yagami, et al., Biochem. Pharmacol. 67: 1153-1165 (2004)
【非特許文献11】S. Moosmang, et al., J. Neurosci. 25: 9883-9892 (2005)
【非特許文献12】I. Nomura, et al., Neurosci. Lett. 391: 1-6 (2005)
【非特許文献13】D. Lowe, et al., ICAD 2006, abstract P4-437, Madrid
【非特許文献14】T. Maeda , et al., J. Neυrotrauma 22: 763-771 (2005)
【非特許文献15】D. I. Graham, et al., J. Neurology Neurosurgery Psychiatry 52: 346-350 (1989)
【発明の概要】
【0016】
本発明は、構造式(I)で表わされるインドロキノリン化合物がカルシウム(Ca2+)チャンネルの遮断薬として作用する発見に関するものである。
【0017】
また、本発明の一態様は、構造式(I)のインドロキノリン化合物がL型カルシウムチャンネルのαサブユニットの封鎖に対する選択性を示すという発見に関するものである。
【0018】
本発明の他の態様は、構造式(I)のインドロキノリン化合物がニューロンのL型カルシウムチャンネルのαサブユニットのジヒドロピリジンおよびベンゾチアゼピン結合部位に対する高い効力および選択性を示すという発見に関するものである。
【0019】
本発明のさらに他の態様は、構造式(I)のインドロキノリン化合物がtert−ブチルビシクロオルト安息香酸塩(TBOB)結合部位でガンマアミノ酪酸(GABA)塩化物(Cl)チャンネルの阻害剤として作用するという発見に関するものである。
【0020】
本発明はまた、本明細書に記載した構造式(I)の化合物の有効量を投与することにより前記チャンネルの過剰活性に苦しむ哺乳動物におけるカルシウムチャンネルの封鎖に対応する疾患を治療する方法に関するものである。
【0021】
本発明のさらなる態様は、広範囲および局所的虚血をもたらす神経細胞脱落を治療、予防、改善する方法と;虚血再潅流傷害を治療、予防、改善する方法と;認知障害を治療、予防、改善する方法と;痙攣および神経変性状態を治療、予防、改善する方法と;急性および慢性の疼痛を含む疼痛および神経因性疼痛を治療、予防、改善する方法と;うつ病を治療、予防、改善する方法と;かかる治療または使用の必要な哺乳動物に構造式(I)の化合物を投与することにより麻酔薬および不整脈治療剤として用いる方法を提供することにある。
【0022】
本発明の他の態様は、構造式(I)のインドロキノリン化合物をカルシウムチャンネル遮断薬として使用することにある。
【0023】
本発明はまた、哺乳類、特にヒトにおける神経損傷の治療、特に発作もしくは脳損傷、組織傷害による出血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、もしくは筋萎縮性側索硬化症(ALS)のような慢性神経変性疾患、てんかん、痙攣性疾患、疼痛、不安神経症、うつ病、統合失調症、麻酔後認識衰退、オピオイド耐性、薬物乱用、又はアルコール依存症等の治療への構造式(I)の化合物の使用に関するものである。
【0024】
また、本発明の一態様は、カルシウムイオンチャンネルの封鎖に反応する疾患を治療するのに有用な構造式(I)の化合物と、その薬学的に許容し得る塩および複合体の有効量を含む医薬組成物を提供することにある。
【0025】
本発明は、カルシウムチャンネル遮断薬を特色とする。「カルシウムチャンネル遮断薬」は、カルシウムチャンネルを遮断することができる化合物を示す。「カルシウムチャンネルを遮断する」化合物の能力は、該化合物が電位依存性カルシウムチャンネルを介して脱分極した細胞内に流入するカルシウムの主経路を妨げることを意味する。
【0026】
カルシウムチャンネルを遮断する、および/または、患者に有益な効果をもたらすカルシウムチャンネル遮断薬の使用を以下に記述する。また、付加的なカルシウムチャンネル遮断薬を得るのに使用することができる技術を以下に記述する。
【0027】
2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリンを表す特徴付けたカルシウムチャンネル遮断薬の実施例は、次の構造式(I)で表わされた化学式と、その関連記述およびその薬学的に許容し得る塩、水和物、互変異性体、溶媒和物および複合体により与えらる。
【化1】

ここでRは、H、低級alk基、シクロalk基、アリール基、アリールアルキル基のうちいずれか一つである。好ましくは、RはHまたは低級アルキル基である。
【0028】
およびRは、それぞれ独立してH、低級アルキル基、シクロalk基、アリール基、アリールアルキル基の一つから選択されるか、又はRおよびRが一緒に(CH−で、nが6,5もしくは4であるか、またはRおよびRが一緒にCH(低級アルキル)(CH−で、nが5,4もしくは3である。好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立してH、低級アルキル基、アリール基もしくはアリールアルキル基の一つから選択されるか、またはRおよびRが一緒に(CH−で、nが6,5もしくは4である。さらに好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立してH、低級アルキル基もしくはアリール基の一つから選択されるか、またはRおよびRが一緒に(CH−で、nが5もしくは4である。
【0029】
およびRは、それぞれ独立してH,NH,OHもしくは低級alk基の一つから選択されるか、またはRおよびRが一緒にO,SもしくはNOHである。好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立してHもしくはOHの一つから選択されるか、またはRおよびRが一緒にOもしくはNOHである。
【0030】
,R,RおよびRは、それぞれ独立してH、ハロゲン、CN,CF,OCF,低級アルキル基、シクロalk基,低級アルコキシ基,NH−低級アルキル基、NH−アルキルアリール基、N(低級アルキル),C(O)OH,C(O)O−低級アルキル基、OH、OC(O)−低級アルキル基からなる群から選択される。好ましくは、R,R,RおよびRは、それぞれ独立してH、ハロゲン、CN,CF,OCF,低級アルキル基、低級アルコキシ基からなる群から選択される。
【0031】
10は、H、低級アルキル基、シクロalk基、アリールアルキル基、アリール基の一つである。好ましくは、R10は、H、低級アルキル基もしくはアリールアルキル基の一つから選択される。
【0032】
官能基(例えばR,R,R,R,R,R,R,R)を参照して、「独立して選択される」は、互いに異なるまたは同一の官能基を選択できることを意味する。
【0033】
「alk」は、アルキル基またはアルケニル基のいずれか一方を示す。「低級alk基」は、低級アルキル基または低級アルケニル基のいずれか一方を示し、好ましくは低級アルキル基を示す。
【0034】
「アルケニル」は、炭素原子間に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、また一緒に結合した2〜6個の炭素原子を有する任意に置換した炭化水素基を示す。このアルケニル炭化水素基は直鎖とすることができる。直鎖のアルケニル基は、好ましくは2〜4個の炭素を有する。
【0035】
「アルキル」は、単一の炭素−炭素結合によって結合し、また互いに結合した1〜6個の炭素原子を有する任意に置換した炭化水素基を示す。このアルキル炭化水素基は、直鎖または1個またはそれ以上の枝分かれを有することができる。分岐鎖アルキル基および直鎖アルキル基は、好ましくは1〜4個の炭素を有し、それぞれ随意的に置換することができる。アルキル置換基は、それぞれ独立して低級アルキル基、未置換アリール基、OH、NH、NH−低級アルキル基およびN(低級アルキル)からなる群から選択される。好ましくは、2個以下の置換基が存在する。さらに好ましくは、アルキル基は低級アルキル基で、2〜4個の炭素を有する未置換の分岐鎖アルキル基又は直鎖アルキル基とする。
【0036】
「シクロalk」は、任意に置換した環状アルキル基または任意に置換した非芳香族環状アルケニル基を示し、単環と、二員環および三員環のような多員環構造がある。シクロアルキル基は、3から15個の炭素原子を有する。シクロアルキル基は3〜6個の炭素原子を有するのが好ましい。シクロalk基に対する任意置換基は、上記アルキル基およびアルケニル基に関して述べた群から独立して選択される。
【0037】
「アリール」は、共役環構造または縮合環構造を有する少なくとも一つの環を備えた任意に置換した芳香族基を示す。アリール基には、炭素環式アリール基、複素環式アリール基およびビアリール基があり、それらすべてが任意に置換することができる。好ましくは、アリール基が任意に置換したフェニル基のいずれかとする。
【0038】
「アリールアルキル」は、アリール−(C〜C)アルキル置換基を示し、ここでアルキル基はベンジル基もしくはフェネチル基のような直鎖か、または分岐鎖である。アルキル部分は親分子への付着部位で結合する。
【0039】
「アルコキシ」は、酸素が長さで1〜4個の炭素原子、好ましくは長さで1〜2個の炭素を有する未置換アルキル基に結合したものを示す。さらに好ましくは、アルコキシ基はメトキシ基である。
【0040】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示す。好ましくは、ハロゲンはフッ素または塩素である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
構造式(I)のインドロキノリン化合物は、1個またはそれ以上の不斉炭素原子を有し、またラセミ体および随意的な活性体で存在することができる。これら化合物およびジアステレオマーのすべてが本発明の範囲内にあると見なす。
【0042】
とくに有用な実施形態である化合物には、
9−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−メトキシ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
11−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−メチル−3‘H−スピロシクロへキサン−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンとがある。
【0043】
とくに有用な実施形態である化合物の拡張リストには、
9−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−メトキシ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
11−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−メチル−3‘H−スピロシクロヘキサン−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−クロロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−エチル−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロ−インドロ[2,3−c]キノリン−1−オンとがある。
【0044】
とくに有用な実施形態である化合物のさらに拡張したリストには、
3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
9−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−メトキシ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3−イソプロピル−6−メチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−メチル−3‘H−スピロシクロヘキサン−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−クロロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
9,10−ジフルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−エチル−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロ−インドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−インドロ[2,3−c]キノリンとがある。
【0045】
かかる化合物のさらに拡張したリストには、
3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリンと、
9−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
9−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−メトキシ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
9−クロロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
9−メトキシ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
11−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,6−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3−イソプロピル−6−メチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−メチル−3‘H−スピロシクロヘキサン−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−クロロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−メチル−3−フェニル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンオキシムと、
3,6−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンオキシムと、
9,10−ジフルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−エチル−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロ−インドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−インドロ[2,3−c]キノリンと、
7−N−エチル−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンとがある。
【0046】
上記化合物のさらに拡張したリストには、
3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリンと、
9−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
9−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−メトキシ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
9−クロロ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
9−クロロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
9−メトキシ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
11−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,6−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3−イソプロピル−6−メチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−メチル−3‘H−スピロシクロヘキサン−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−クロロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−メチル−3−フェニル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンオキシムと、
3,6−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンオキシムと、
9,10−ジフルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−エチル−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロ−インドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
6−イソプロピル−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
10−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−インドロ[2,3−c]キノリンと、
7−N−エチル−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンと、
7−N−プロピル−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンとがある。
【0047】
薬学的に許容し得る塩は、投与する量および濃度で非毒性である。
【0048】
薬学的に許容し得る塩には、硫酸塩、塩酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロへキシルスルファミン酸塩およびキナ酸塩を含むような酸付加塩がある。塩酸塩は、特に有用な薬学的に許容し得る塩である。薬学的に許容し得る塩は、塩酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロへキシルスルファミン酸、フマル酸およびキナ酸のような酸から得ることができる。
【0049】
薬学的に許容し得る塩にはまた、カルボン酸のアルコール、フェノールのような酸性官能基が存在するとき、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、アルキルアミンおよび亜鉛を含むような塩基性付加塩がある。
【0050】
一例として、Rが水素または低級アルキル基、RおよびRが一緒に酸素、またR10が水素である構造式(I)のカルシウムチャンネル遮断薬は、適切な1−オキソ−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−5−オキソニア−7−アザベンゾ[c]フルオレンをイソプロパノール中で水酸化アンモニアと、又は水中でアンモニア酢酸アンモニアと反応させる方法を含むスキームIに従って調製することができる。
【0051】
が水素または低級アルキル基、またR,RおよびR10がそれぞれ水素である構造式(I)のカルシウムチャンネル遮断薬は、適切な2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンをエチレングリコール中でヒドラジン水和物と反応させる方法を含む構造式(I)の適切な2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの還元によりスキームIに従って調製することができる。
【0052】
が水素または低級アルキル基、RおよびRが一緒にN−ヒドロキシルアミノ基、またR10が水素である構造式(I)のカルシウムチャンネル遮断薬は、構造式(I)の適切な2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンをピリジンおよびエタノール中でヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させる方法を含むスキームIに従って調製することができる。
【0053】
が水素または低級アルキル基、RおよびRが一緒に酸素、またR10が低級アルキル基である構造式(I)のカルシウムチャンネル遮断薬は、適切な2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンを無水N,N−ジメチルホルムアミド中で水素化ナトリウムと反応させる方法を含む構造式(I)の適切な2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンのアルキル化によりスキームIに従って調製することができる。
【0054】
1−オキソ−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−5−オキソニア−7−アザベンゾ[c]フルオレンは、適切な2−(1H−インドール−3−イル)シクロヘキサン−1,3−ジオンを適切なカルボン酸無水物および過塩素酸もしくは亜リン酸と、またはジエトキシメトキシエタンおよびテトラフルオロホウ酸と反応させる方法を含むスキームIに従って調製することができる。
【0055】
2−(1H−インドール−3−イル)シクロヘキサン−1,3−ジオンは、適切な2−(1−アセチル−1H−インドール−3−イル)シクロヘキサン−1,3−ジオンを水酸化ナトリウムと反応させる方法を含むスキームIに従って調製することができる。
【0056】
2−(1−アセチル−1H−インドール−3−イル)シクロヘキサン−1,3−ジオンは、適切な1−アセチル−1,2−ジヒドロインド−ル−3−オンを酢酸中で適切な1,3−ジオンおよびトリエチルアミンと反応させる方法を含むスキームIに従って調製することができる。
【0057】
1−アセチル−1,2−ジヒドロインド−ル−3−オンは、適切な酢酸1−アセチル−1H−インド−ル−3−イルエステルを水中で亜硫酸ナトリウムと反応させる方法を含むスキームIに従って調製することができる。
【0058】
酢酸1−アセチル−1H−インド−ル−3−イルエステル類は、適切な2−(N−アセチルカルボキシメチルアミノ)−安息香酸を無水酢酸と反応させる方法を含むスキームIに従って調製することができる。
【0059】
2−(N−アセチルカルボキシメチルアミノ)−安息香酸は、標準的な技術を用いて適切な2−(カルボキシメチルアミノ)安息香酸を炭酸ナトリウムおよび無水酢酸と反応させる方法を含むスキームIに従って調製することができる。
【0060】
2−(カルボキシメチルアミノ)安息香酸は、標準的な技術を用いて適切な2−アミノ安息香酸およびクロロ酢酸を反応させる方法を含めて調整することができる(例えば、S. Holt, et al., Proc. Roy. Soc. B 148: 481-494 (1958); S. Holt, et al., J. Chem. Soc. 1217-1223 (1958); E. Tighineanu, et al., Tetrahedron 36: 1385-1397 (1980); V. I. Dulenko, et al., Chem. Heterocycl. Comp. (Engl. Traπsl.) 3: 302-305 (1985); I. V. Komissarov, et al., Chem. Heterocycl. Comp.参照)。
【0061】
スキームI

【0062】
構造式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩もしくは複合を体をヒトおよび他の哺乳動物の治療に使用するためには、通常医薬組成物として標準的な薬務に従って処方する。
【0063】
カルシウムチャンネル遮断薬は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経口、局所性(経皮性)または経粘膜投与を含む異なる経路によって投与することができる。全身投与に関しては、経口投与が好ましい。経口投与に対しては、例えば、前記化合物をカプセル、錠剤、およびシロップ、エリキシル剤のような液体製剤、および濃縮ドロップのような従来の経口投薬形態に処方することができる。
【0064】
或いはまた、注射(非経口的投与)を、例えば、筋肉内、静脈内、腹腔内および皮下に用いることができる。注射に対しては、本発明の化合物を液状溶液、好ましくは食塩水、ハンクス液又はリンガー液のような生理学的に相溶性のある緩衝液または溶液に処方する。加えて、該化合物を固体状に処方し、使用直前に再溶解または懸濁することができる。
【0065】
全身投与はまた、経粘膜的または経皮的方法によって達成することができる。経粘膜的または経皮的投与に関しては、透過すべき障壁に適切な浸透剤を処方剤に用いる。かかる浸透剤は、通常当業者に既知で、例えば経粘膜的投与には胆汁塩およびフシジン酸誘導体がある。加えて、洗浄剤を用いて浸透を容易にすることができる。経粘膜的投与には、例えば、スプレー式点鼻薬、肛門坐薬または膣坐剤がある。
【0066】
局所性投与に対しては、本発明の化合物を当業者に通常既知であるような、軟膏、ゲルまたはクリームに処方することができる。
【0067】
投与すべき様々なカルシウムチャンネル遮断薬の量は、化合物のIC50,EC50、化合物の生物学的半減期、患者の年齢、体長および体重、および患者の病気もしくは疾患等の要因を考慮に入れて、標準的な手順により決定することができる。考慮すべきこれら因子および他の要因の重要度は、当業者に既知である。
【0068】
投与量はまた、投与経路および経口生体内利用率の度合いにも依存する。例えば、経口生体内利用率の低い化合物に対しては、比較的多い投与量を投与しなければならない。
【0069】
本組成物は、単位用量形とすることができる。例えば、経口適用に対しては錠剤またはカプセルを投与し、経鼻適用に対しては従量制のエアロゾル製剤を投与し、経皮適用に対しては局所製剤またはパッチを投与し、また経粘膜的送達に対しては口腔パッチを投与することができる。それぞれの場合、患者に1回に投与する量投与する。
【0070】
経口投与に対する各投与量単位は、構造式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容し得る塩または複合体を遊離塩基として計算して、0.01〜500mg/kg、好ましくは0.1〜50mg/kg含むものとする。非経口、経鼻、経口吸入、経粘膜または経皮経路に対する1日投与量は、構造式(I)の化合物を0.01mg〜100mg/kg含むものとする。局所製剤には、構造式(I)の化合物を0.01〜5.0%含むものとする。有効成分は、当業者には容易にわかるように、所望活性を示すに十分な単一投与量、または複数回投与量、例えば1日当たり2〜6回の投与量で投与することができる。
【0071】
本明細書で用いる病気の「治療」には、限定することはないが、病気の防止、遅延、および予防がある。
【0072】
病的細胞に基づいて治療または予防するべき障害および疾患には、発作、脳卒中、頭蓋骨損傷、脊髄損傷、組織傷害による出血、心停止または新生児窮迫で生起するような低酸素誘発神経細胞損傷、てんかん、アルツハイマー病、ハンチントン病およびパーキンソン病のような神経変性疾患、認知症、筋緊張、疼痛、うつ病、不安神経症、パニック障害、強迫神経症、外傷後ストレス障害、麻酔後認識衰退、オピオイド耐性、薬物依存症、アルコール依存症、統合失調症、神経弛緩薬性悪性症候群およびトゥレットシンドロームのような中枢神経系障害または疾患と;ADH不適合分泌症候群(SIADH)、肝硬変、うっ血性心疾患およびネフローゼのような腎臓によって過剰な水分を再吸収する障害と;高血圧と;陽イオン性抗生物質(例えばアミノグリコシド抗生物質)による腎毒性の予防および/または低減と;下痢および痙攣性結腸のような腸運動性疾患と;GI潰瘍性疾患と;サルコイドーシスのような過剰なカルシウム吸収によるGI障害と;自己免疫疾患および移植臓器拒否反応と;扁平上皮細胞癌と;膵臓炎とがある。
【0073】
経口投与すると活性な構造式(I)の化合物およびその薬学的に許容し得る塩および/または複合体を、シロップ、錠剤、カプセルおよびロゾンジとして製剤することができる。一般に、シロップ製剤は、例えばエタノール、ピーナッツ油、オリーブオイル、グリセリンまたは着香料もしくは着色料を含む水のような液体キャリア中の前記化合物もしくは塩の懸濁液または溶液からなる。組成物が錠剤の形である場合、固形製剤を製造するのに日常的に用いるあらゆる医薬担体を用いることができる。かかる担体を例示すると、ステアリン酸マグネシウム、白土、タルク、ゼラチン、アカシア、ステアリン酸、デンプン、ラクトースおよびスクロースがある。組成物がカプセルの形である場合、あらゆる日常的なカプセル化が適しており、例えば、上述した担体を硬ゼラチンカプセル殻に用いる。組成物が軟ゼラチン殻カプセルの形である場合、分散液又は懸濁液を製造するのに日常的に用いるあらゆる医薬担体を利用することができる。例えば、水性ガム、セルロース、ケイ酸塩またはオイルを用いて軟ゼラチンカプセル殻を形成することができる。
【0074】
典型的な非経口組成物は、非経口的に許容し得るオイル、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリジン、レシチン、アラキンオイルまたはゴマ油を任意に含有する無菌の水性または非水性担体中の化合物もしくは塩の溶液または懸濁液からなる。
【0075】
吸入用の典型的な組成物は、乾燥粉末として投与し得る溶液、懸濁液もしくは乳濁液の形、またはジクロロジフルオロメタンもしくはトリクロロフルオロメタンのような従来の推進剤を用いてエアロゾルの形とする。
【0076】
典型的な坐薬製剤は、結合剤および/または平滑剤、例えば高分子グルコース、ゼラチン、ココアバターもしくは他の低融点植物ろうや油脂またはその合成類似体とともに投与すると活性な構造式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容し得る塩または複合体からなる。
【0077】
典型的な皮膚および経皮的製剤は、従来の水性または非水性媒体、例えばクリーム、軟膏、ローション又はペーストからなるか、または薬用軟膏、パッチもしくは膜の形とする。
【0078】
組成物は、患者に1回投与量で投与し得るような単位投与形、例えば錠剤、カプセルまたは定量化したエアロゾル製剤であるのが好ましい。
【0079】
本発明の化合物を本発明に従って投与すれば、許容できない毒性作用は見られない。
【実施例】
【0080】
以下の特定の実施例は、例示を目的としていて、本発明を制限することはない。以下の実施例において用いる試薬および中間生成物は、市販されているか、または有機合成の分野に精通している当業者によって標準的な手順に従って製造することができる。
【0081】
NMR(核磁気共鳴)分光分析法をVarian Gemini300分光計で行った。陽子スペクトルをジュウテロクロロホルム(CDCl)、ジメチルスルホキシド−d(DMSO−d)またはトリフルオロ酢酸(CFCOOH)溶液中300MHzで記録した。NMR共鳴は、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)に対するδ(ppm)で記録され、観察された多重項に関して下記のように記述される。s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、dd(二重項の重項)およびm(多重項)である。
【0082】
実施例1
3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
a)2−(カルボキシメチルアミノ)安息香酸
【化2】

【0083】
クロロ酢酸(347g,3.67mol)の水(500mL)の溶液に、攪拌しながら炭酸ナトリウム(200g,4.72mol)を室温で注意深く加えた。生成した溶液を40〜50℃まで加熱し、アントラニル酸(500g,3.65mol)の水(340mL)の懸濁液および35%水酸化ナトリウム水溶液(320mL)から調製した混合物に速やかに加え、40〜45℃まで加熱した。反応混合物を40℃で4日間保持し、固体反応混合物を水酸化ナトリウム(150g,3.75mol)の水(4L)の溶液で処理した。この混合物を60℃まで加熱し、温かい間に濾過した。固体残渣を濾過器上で該固体残渣が溶解するまで20%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、濾液を一緒にして37%塩酸でpH3まで酸性化した。沈殿物を濾別し、追加量の生成物を濾液一晩沈殿させ、収集した。この生成物を100℃で乾燥し、全部で567g(80%)を得、融点が220℃であった。
【0084】
b)2−(N−アセチルカルボキシメチルアミノ)安息香酸
【化3】

【0085】
炭酸ナトリウム(89g,0.84mol)の水(830mL)の溶液に、実施例1aの2−(カルボキシメチルアミノ)安息香酸(100g,0.84mol)を攪拌下少しずつ室温で加え、透明な溶液を形成した。無水酢酸(85.68g,0.84mol)を攪拌下室温で滴下した。反応混合物を30分間攪拌し、37%塩酸水溶液(140mL)を滴下した。生成物をゆっくり沈殿させた。固体生成物を12時間濾別し、水(3×150mL)で洗浄し、空気乾燥して、110g(91%)を得、融点が206℃であった。
【0086】
c)酢酸1−アセチル−1H−インド−ル−3−イルエステル
【化4】

【0087】
無水酢酸(46.29g,0.45mol)およびトリエチルアミン(13.77g,0.14mol)の攪拌混合物に、実施例1bの2−(N−アセチルカルボキシメチルアミノ)安息香酸(11.36g,0.048mol)を室温で加えた。混合物を20分間還流させ、真空中で濃縮して油性残渣を得た。水(350mL)を強く攪拌しながら加え、この混合物を一晩冷蔵した。固体生成物を収集し、水で洗浄し、空気乾燥して、次の工程で精製せずに用いる生成物9.0g(86%)を得た。
【0088】
d)1−アセチル−1,2−ジヒドロインド−ル−3−オン
【化5】

【0089】
亜硫酸ナトリウム(12.6g,0.1mol)の水(180mL)の溶液を攪拌下70〜75℃まで加熱し、実施例1cの酢酸1−アセチル−1H−インド−ル−3−イルエステル(9.0g,0.041mol)を少しずつ加えた。混合物を70〜75℃で1.5時間攪拌し、その後室温で一晩保持した。固体生成物を濾別し、乾燥し、塩化メチレン(40mL)に溶解し、酸化アルミニウム上で溶離剤として塩化メチレンを用いてフラッシュクロマトグラフィーして、融点138℃の淡黄色生成物5.25g(71%)を得た。
【0090】
e)2−(1−アセチル−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン
【化6】

【0091】
実施例1dの1−アセチル−1,2−ジヒドロインド−ル−3−オン(131.3g,0.75mol)および5,5−ジメチル−シクロヘキサン−1,3−ジノン(105g,0.75mol)を、攪拌下酢酸(700mL)およびトリエチルアミン(105mL,0.75mol)の混合物に室温で加えた。反応混合物を6時間還流させた。溶媒の約1/3を真空中で除去し、混合物を冷却し、水(50mL)で希釈した。沈殿物を濾別し、エタノール−水1:1溶液で洗浄し、乾燥して、融点225〜227℃の無色結晶169.4g(76%)を得た。
【0092】
f)2−(1H−インドール−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン
【化7】

【0093】
実施例1eの2−(1−アセチル−1H−インドロ−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(74.8g,0.25mol)およびメタノール(30mL)の混合物に、攪拌下水酸化ナトリウム(30g,0.75mol)の水(300mL)の溶液を室温下で加えた。反応混合物を攪拌下60℃で2時間加熱し、次いで活性炭(10g)および水(300mL)を加えた。混合物を10分間攪拌し、活性炭を濾別し、濾液を塩酸でpH2まで酸性化した。固体生成物を濾別し、水で洗浄し、乾燥して、融点173℃の無色固体38.3g(60%)を得た。
【0094】
g)3,3−ジメチル−1−オキソ−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−5−オキソニア−7−アザベンゾ[c]フルオレンテトラフルオロボレート
【化8】

【0095】
実施例1fの2−(1H−インドロ−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンのジエトキシメトキシエタン(20mL)懸濁液に、テトラフルオロホウ酸(54wt%のジエチルエーテル溶液、2mL,14.5mmol)を攪拌下2回に分けて加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、ジエチルエーテル(20mL)で希釈した。固体生成物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、室温で風乾して、次の工程で精製せずに用いる赤色結晶としての生成物2.4g(70%)を得た。
【0096】
h)3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン
【化9】

【0097】
実施例1gの3,3−ジメチル−1−オキソ−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−5−オキソニア−7−アザベンゾ[c]フルオレンテトラフルオロボレート(2.4g,6.8mmol)および酢酸(35mL)の混合物に、酢酸アンモニア(30g)を加え、生成した混合物を30分間還流させた。反応混合物を冷却し、水(40mL)を加え、次いで水酸化アンモニウム水溶液を加えてpH9にした。固体生成物を濾別し、水で洗浄し、室温で風乾した。生成物を、エタノール(15mL)およびジエチルエーテル(15mL)の混合物に室温で溶解し、37%塩酸水溶液(0.72mL)を滴下した。混合物を2時間室温で保持した。結晶性生成物を濾別し、1:3のエタノール−ジエチルエーテル(2mL)で洗浄し、その後ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥して無色結晶1.64gを得た。この生成物を水(30mL)に溶解し、水酸化アンモニウム水溶液を加えてpH9とした。沈殿物を濾別し、水で洗浄し、乾燥し、トルエンから結晶化して、融点224〜225℃の無色結晶1.4g(78%)を得た。H NMR(DMSO−d):δ1.09(s,6H),2.70(s,2H),7.22−7.25(m,1H),7.59−7.62(m,2H),9.05(s,1H),9.22(d,1H),11.96(s,1H)
【0098】
実施例2
3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリンの製造
【化10】

実施例1hの3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン(1.36g,5.14mmol)を、攪拌下エチレングリコール(8mL)およびヒドラジン一水和物(5mL)の混合物に室温で加えた。混合物を1時間還流させ、冷却し、水酸化カリウム(1g)を加え、この反応混合物を2時間還流させた。過剰なヒドラジンおよび水を、沸点が190°Cに達するまで1psiでゆっくり留去した。残渣を冷却し、水(60mL)で希釈し、固体生成物を濾別し、水で洗浄、エタノール:水1:1の溶液から再結晶化した。生成物を無色固体(0.59g,46%)として分離した。トルエンから結晶化して、融点275〜277℃の分析的に純粋なサンプルを得た。H NMR(DMSO−d):δ1.03(s,6H),1.72(t,2H),2.76(s,2H),3.30(t,2H)7.20−7.23(m,1H),7.49−7.60(m,2H),8.17(d,1H),8.66(s,1H),11.45(s,1H)
【0099】
実施例3
9−フルオロ−3,3,6−トリメチルー2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
a)2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジノン
【化11】

【0100】
工程1aで2−アミノ−4−フルオロ安息香酸をアントラニル酸に置換する以外、実施例1a〜eに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、エタノール−水1:1から結晶化した。
【0101】
b)9−フルオロ−3,3,6−トリメチル−1−オキソ−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−オキソニア−7−アザベンゾ[c]フルオレンパークロレート
【化12】

【0102】
実施例3aの2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジノン(0.575g,2.1mmol)を、攪拌下酢酸(2mL)、無水酢酸(2.1mL)および70%過塩素酸(0.17mL)の新しく調製した混合物に室温で緩徐に加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌し、ジエチルエーテル(5mL)を加え、生成物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、室温で乾燥して、山吹色の結晶0.72g(89%)を得た。この生成物を次の工程に精製せずに用いた。
【0103】
c)9−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン
【化13】

【0104】
水酸化アンモニウム水溶液(3mL)を、実施例3bの9−フルオロ−3,3,6−トリメチル−1−オキソ−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−オキソニア−7−アザベンゾ[c]フルオレンパークロレート(0.72g,1.88mmol)のイソプロパノール(2mL)懸濁液に加えた。反応生成物を1時間還流させ、冷却し、水(5mL)を加えた。水酸化アンモニウム水溶液を混合物に加えてpH9とした。沈殿物を濾別し、水で洗浄し、乾燥した。粗生成物をアセトンに溶解し、37%塩酸水溶液(0.2mL)を加えた。沈殿物を濾別し、温水に懸濁し、混合物を水酸化アンモニウムでpH9まで塩基性化した。生成物を濾別し、水で洗浄し、乾燥し、トルエンから結晶化して、融点244〜246℃の無色結晶0.26g(50%)を得た。
【0105】
実施例4
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化14】

工程3aで実施例1fの2−(1H−インドール−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジノンに置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点176〜177℃ H NMR(CFCOOH):δ1.3(s,6H),2.07(s,2H),3.17(s,3H)3.37(s,2H),7.33−7.9(m,4H),9.27(d,1H)
【0106】
実施例5
9−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化15】

工程1aで2−アミノ−4−フルオロ安息香酸をアントラニル酸に置換する以外、実施例1a〜hに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点271〜273℃
【0107】
実施例6
10−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化16】

工程1aで2−アミノ−5−メトキシ安息香酸をアントラニル酸に置換する以外、実施例1a〜hに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点230〜231℃
【0108】
実施例7
10−メトキシ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化17】

工程3aで2−(5−メトキシ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、実施例1の工程1aで2−アミノ−5−メトキシ安息香酸をアントラニル酸に置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点241〜243℃
【0109】
実施例8
9−クロロ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化18】

工程1aで2−アミノ−4−クロロ安息香酸をアントラニル酸に置換する以外、実施例1a〜hに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点257〜259℃
【0110】
実施例9
9−クロロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化19】

工程3aで2−(6−クロロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、実施例1の工程1aで2−アミノ−4−クロロ安息香酸をアントラニル酸に置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点248〜250℃
【0111】
実施例10
9−メトキシ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化20】

工程3aで2−(6−メトキシ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、実施例1の工程1aで2−アミノ−4−メトキシ安息香酸をアントラニル酸に置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点250〜252℃
【0112】
実施例11
11−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化21】

工程3aで2−(4−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、実施例1の工程1aで2−アミノ−6−フルオロ安息香酸をアントラニル酸に置換するス以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点246〜247℃
【0113】
実施例12
3,6−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化22】

工程3aで2−(1H−インドール−3−イル)−5−メチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、実施例1の工程1eで5−メチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点218〜219℃。
【0114】
実施例13
3−イソプロピル−6−メチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化23】

工程3aで2−(1H−インドール−3−イル)−5−イソプロピル−シクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、実施例1の工程1eで5−イソプロピルシクロヘキサン−1,3−ジオンを5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点248〜249℃
【0115】
実施例14
6−メチル−3‘H−スピロシクロヘキサン−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化24】

工程3aで3−(1H−インドール−3−イル)−スピロ[5.5]ウンデカン−2,4−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、実施例1の工程1eでスピロ[5.5]ウンデカン−2,4−ジオネーテを5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点245〜246℃
【0116】
実施例15
10−クロロ−3,6,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化25】

方法A:工程3aで2−(5−クロロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、実施例1の工程1aで2−アミノ−5−クロロ安息香酸をアントラニル酸に置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点244〜246℃
【0117】
方法B:85%亜リン酸(1.7mL,25mmol)を無水酢酸(21.6mL,200mmol)に攪拌下5〜10℃で加えて混合物を調製し、次いで工程1aで2−アミノ−5−クロロ安息香酸をアントラニル酸に置換する以外、実施例1a〜eに記述した手順を用いて調製した2−(1−アセチル−5−クロロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン(2.6g,10mmol)を混合物に加えた。反応混合物を95〜100℃で30分間加熱し、60〜70℃まで冷却し、水(1.8mL)を15分にわたって60〜70℃で滴下し、次いで酢酸アンモニウム(7.71g,100mmol)を加えた。混合物を100〜120℃で1時間攪拌下加熱し、次いで反応中に生成した酢酸(12mL)を真空で留去した。残渣を冷却し、アンモニア水(15mL)を加えた。沈殿物を濾別し、水で洗浄し、乾燥し、トルエン(110mL)から結晶化し、中性の酸化アンモニウムを加えて精製して、淡黄色結晶2.5g(80%)を得た。該化合物の融点は、方法Aによって製造した生成物のものと同一であった。
【0118】
実施例16
6−メチル−3−フェニル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化26】


工程3aで2−(1H−インドール−3−イル)−5−フェニル−シクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、実施例1の工程1eで5−フェニルシクロヘキサン−1,3−ジオンを5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点246〜248℃
【0119】
実施例17
3,6−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化27】

実施例12の3,6−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン(0.26g,1mmol),エタノール(4mL),ピリジン(0.15mL,1.85mmol)およびヒドロキシルアミン塩酸塩(0.1g,1.5mmol)の混合物を3時間還流させた。該混合物を冷却し、固体生成物を濾別し、エタノールで洗浄し、乾燥し、温水(20mL)に溶解した。水酸化アンモニウム水溶液を加えてpH9とした。沈殿物を収集し、水で洗浄し、乾燥し、エタノール−水1:1から結晶化して、融点282〜283℃の無色結晶0.17g(61%)を得た。
【0120】
実施例18
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンオキシムの製造
【化28】

工程3aで3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンを3,6−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンに置換する以外、実施例17に記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、エタノール−水1:1から結晶化した。融点293〜294℃
【0121】
実施例19
9,10−ジフルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化29】


工程3aで2−(5,6−ジフルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチル−シクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、実施例1の工程1aで2−アミノ−4,5−ジフルオロ安息香酸をアントラニル酸に置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点260〜262℃
【0122】
実施例20
6−エチル−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化30】

工程3aで2−(1H−インドール−3−イル)−5,5−ジメチル−シクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチル−シクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、工程3bでプロピオン酸無水物を無水酢酸に置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点188〜190℃
【0123】
実施例21
6−イソプロピル−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化31】

工程3aで2−(1H−インドール−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチル−シクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、工程3bでイソ酪酸無水物を無水酢酸に置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点176〜178℃
【0124】
実施例22
10−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化32】

工程3aで2−(5−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオンを2−(6−フルオロ−1H−インド−ル−3−イル)−5,5−ジメチル−シクロヘキサン−1,3−ジオンに置換し、実施例1の工程1aで2−アミノ−5−フルオロ安息香酸をアントラニル酸に置換する以外、実施例3a〜cに記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点229〜230℃
【0125】
実施例23
3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−インドロ[2,3−c]キノリンの製造
【化33】

実施例4の3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンを3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンに置換する以外、実施例2に記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、トルエンから結晶化した。融点241〜243℃
【0126】
実施例24
7−N−エチル−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化34】

実施例4の3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン(0.28g,1mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)溶液を、攪拌下水酸化ナトリウム(60%鉱油分散液、0.051g,1.3mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)懸濁液に室温で加えた。反応混合物を2時間室温で攪拌し、次いで1−ヨードエタン(0.19g,1.2mmol)を滴下した。混合物を、反応が終わる(4時間、薄層クロマトグラフィ制御)まで室温で攪拌した。反応混合物を水(25mL)および食塩水(10mL)で希釈し、その後酢酸エタン(3×15mL)で抽出した。有機層を一緒にして無水硫酸ナトリウムで乾燥し、酢酸エチルを真空中で留去して粗生成物(0.18g,60%)を得た。ヘキサンから結晶化して、純な生成物を淡橙色結晶として得た。融点174〜177℃
【0127】
実施例25
7−N−プロピル−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造
【化35】

1−ヨードプロパンを1−ヨードエタンに置換する以外、実施例24に記述した手順を用いて、上掲の化合物を製造し、ヘキサンから結晶化した。融点123〜125℃
【0128】
構造式(I)の化合物の生物学的活性を、標準的な結合検定法を用いて分析した。カルシウムチャンネルおよびGABA塩過物チャンネル結合検定法の例は、当業者に周知である(例えば、R. Gloud, et al., Molecular Pharmacology 25:235-241 (1984); F. J. Ehlert, et al., Life Sci. 30:2191-2202 (1982); H. Schoemaker, et al., Eur. J. Pharmacol. 111:273-277 (1985); L. Lawrence, et al., J. Neurochem. 45: 798-804 (1986); L. M. Cole, et al., Life Sci. 35: 1755-1762 (1984)参照)。これら文献に記載された手法をここに参考のため援用する。
【0129】
構造式(I)の化合物の生物学的活性は、NovaScreen, a Caliper Life Science Company (Hanover, MD1 U.S.A.)で当業者に既知の標準的な技術および手順により行われた以下の試験によって実証する。
(I)カルシウムチャンネル、タイプL(ジヒドロピリジン部位)[H]ニトレンジピン放射性リガンド結合検定法
【0130】
(結合親和性):0.20nM、Bmax(受容体番号):166fmol/mg組織(湿重量)、受容体源:ラット皮質膜、放射性リガンド:[H]ニトレンジピン(70〜80Ci/mmol)、最終リガンド濃度:[0.2nM]、非特異的定量:ニフェジピン[1.0μM]、対照化合物:ニフェジピン、陽性対照:ニフェジピン
【0131】
手順は以下の通りである。反応を、50mM TRIS−HCl(トロメタミン塩化水素)(pH7)中25℃で60分間行った。反応を、ガラス繊維濾材で急速真空濾過によって終了させた。濾材にトラップされた放射能を求め、試験化合物のニトレンジピン結合部位との相互作用を確かめるために対照値と比較する(R. Gould et al., Tissue Heterogenecity of Calcium Channel Antagonist Binding Sites Labeled by [3HlNitrendipine. Molecular Pharmacology, 25: 235-241 (1984); F. J. Ehlert et al., The Binding of [3H]N itrendipine to Receptors for Calcium Channel Antagonists in the Heart, Cerebral Cortex, and Ileum of Rats. Life Sci. 30: 2191-2202 (1982)参照)。
(II)カルシウムチャンネル、タイプL(ベンゾチアゼピン部位)[H]ジルチアゼム放射性リガンド結合検定法
【0132】
(結合親和性):34nM、Bmax(受容体番号):24.2fmol/mg組織(湿重量)、受容体源:ラット皮質膜、放射性リガンド:[H]ジルチアゼム,シス(+)(70〜87Ci/mmol)、最終リガンド濃度:[5.0nM]、非特異的定量:ジルチアゼム塩化水素[10μM]、対照化合物:ジルチアゼム塩化水素、陽性対照:ジルチアゼム塩化水素。
【0133】
手順は以下の通りである。反応を、0.1%BSA含有50mMのTRIS−HCl(pH7)中25℃で90分間行った。反応をガラス繊維濾材で急速真空濾過によって終了させた。濾材にトラップされた放射能を求め、試験化合物のジルチアゼム結合部位との相互作用を確かめるために対照値と比較する(H. Schoemaker and S. Z. Langer. [3H]Diltiazem Binding to Calcium Channel Antagonists Recognition Sites in Rat Cerebral Cortex. Eur. J. Pharnacol. 111: 273-277 (1985)参照)。
(III)GABA、塩素チャンネル(tert-ブチルビシクロオルト安息香酸エステル(TBOB)部位)[H]TBOB放射性リガンド結合検定法
【0134】
(結合親和性):45nM、Bmax(受容体番号):116.7fmol/mg組織(湿重量)、受容体源:ラット皮質膜、放射性リガンド:[H]TBOB(20〜60Ci/mmol)、最終リガンド濃度:[20nM]、非特異的定量:トリ−ブチルビシクロホスホロチオエート(TBPS)[10μM]、対照化合物:トリ−ブチルビシクロホスホロチオエート(TBPS)、陽性対照:トリ−ブチルビシクロホスホロチオエート(TBPS)
【0135】
手順は以下の通りである。反応を、20mMのNaKPO/500mMのNaCl(pH7.5)中25℃で75分間行った。反応を、ガラス繊維濾材で急速真空濾過によって終了させた。濾材でトラップした放射能を求め、試験化合物のTBOB結合部位との相互作用を確かめるために対照値と比較する(L. Lawrence, et al. T[3H]butylbicycloorthobenzoate: A New Radioligand Probe for Gamma-Aminobutyric Acid-regulated Chloride lonophore. J. Neurochem. 45: 798-804 (1986); L. M. Cole, et al. Similar Properties of [35S]t-butylbicyclophosphothionate Receptor and Coupled Compounents of the GABA Receptor-lonophore Complex in Brains of Human, Cow, Rat, Chicken, and Fish. Life Sci. 35: 1755-1762 (1984)参照)。
【0136】
すべての化合物を、50μMの最高濃度まで繰り返して5種の濃度で試験した。
【0137】
一般に、[H]ニトレンジピンおよび[H]ジルチアゼム検定法で低いIC50値と、[H]TBOB結合検定法で高いIC50値とを有する化合物は、より好ましい化合物である。本発明に有用な化合物は、50μM以下の[H]ニトレンジピンおよび[H]ジルチアゼム結合検定法でのIC50値を有する。好適な化合物は、[H]ニトレンジピンおよび[H]ジルチアゼム結合検定法で10μMまたはそれ以下のIC50値と、[H]TBOB結合検定法で3μMまたはそれ以上のIC50値とを有するものである。より好ましい化合物は、[H]ニトレンジピンおよび[H]ジルチアゼム結合検定法で6μMまたはそれ以下のIC50値と、[H]TBOB結合検定法で3μMまたはそれ以上のIC50値とを有するものである。さらに好ましい化合物は、[H]ニトレンジピンおよび[H]ジルチアゼム結合検定法で3μMまたはそれ以下のIC50値と、[H]TBOB結合検定法で3μMまたはそれ以上のIC50値とを有するものである。最も好ましい化合物は、[H]ニトレンジピンおよび[H]ジルチアゼム結合検定法で1μMまたはそれ以下のIC50値と、[H]TBOB結合試験検定法で3μMまたはそれ以上のIC50値とを有するものである。
【0138】
本命最初に引用した特許および特許出願を含むが限定することはない全ての文献を参照のためここに援用し、各個々の文献を援用のため特別にかつ個々に示す。
【0139】
上述の説明は、好ましい実施形態を含む本発明を十分に開示する。ここに特別に開示した実施形態の修正および改良は、以下の特許請求の範囲内にある。綿密さはそのままに、当業者は、先行文献を用いて、本発明を完全に利用できる。したがって、本明細書の実施例は、単なる例示であり、本発明の範囲を制限することはない。独占的な権利または特権を請求した本発明の実施形態は、以下で定義する。
【0140】
当業者には明らかであるが、多くの変更によって本発明の基本的な原理から離れることなく、上述の実施形態の詳細が変化することができる。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式(I)で表わされた化学式:
【化1】

式中のRは、H、低級alk基、シクロalk基、アリール基、アリールアルキル基のうちの一つであり、
およびRは、それぞれ独立してH、低級アルキル基、シクロalk基、アリール基、アリールアルキル基の一つから選択されるか、又はRおよびRが一緒に(CH−で、nが6,5もしくは4であるか、またはRおよびRが一緒にCH(低級アルキル)(CH−で、nが5,4もしくは3であり、
およびRは、それぞれ独立してH,NH,OHもしくは低級alk基の一つから選択されるか、またはRおよびRが一緒にO,SもしくはNOHであり、
,R,RおよびRは、それぞれ独立してH、ハロゲン、CN,CF,OCF,低級アルキル基、シクロalk基,低級アルコキシ基,NH−低級アルキル基、NH−アルキルアリール基、N(低級アルキル),C(O)OH,C(O)O−低級アルキル基、OH、OC(O)−低級アルキル基からなる群から選択され、
10は、H、低級アルキル基、シクロalk基、アリールアルキル基、アリール基の一つである。)を有する化合物、又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、互変異性体、溶媒和物および複合体。
【請求項2】
構造式IにおけるRが水素または低級アルキル基である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記低級アルキル基がメチル基またはエチル基である請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
構造式IにおけるRおよびRが、それぞれ独立して水素、低級アルキル基またはアリール基の一つから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記低級アルキル基がメチル基又はイソプロピル基である請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記アリール基がフェニル基である請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
構造式IにおけるRおよびRが一緒に(CH−であり、nが5である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
構造式IにおけるRおよびRがそれぞれ水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
構造式IにおけるRおよびRが一緒に酸素またはNOHである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
構造式(I)におけるR,R,R,およびRが、それぞれ独立して水素、ハロゲンまたは低級アルコキシ基から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記ハロゲンがフッ素または塩素である請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記低級アルコキシ基がメトキシ基である請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
構造式IにおけるR10が水素または低級アルキル基である請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記低級アルキル基がエチル基およびプロピル基のうち一つである請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
前記構造式Iによって表される化合物が3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン、9−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、9−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、10−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、10−メトキシ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、9−クロロ−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、9−クロロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、9−メトキシ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、11−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、3,6−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、3−イソプロピル−6−メチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、6−メチル−3‘H−スピロシクロヘキサン−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、10−クロロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、6−メチル−3−フェニル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンオキシム、3,6−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンオキシム、9,10−ジフルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、6−エチル−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロ−インドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、6−イソプロピル−3,3−ジメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、10−フルオロ−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オン、3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−インドロ[2,3−c]キノリン、7−N−エチル−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンおよび7−N−プロピル−3,3,6−トリメチル−2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの少なくとも一つである請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1に記載の構造式(I)によって表される化合物と、薬学的に許容し得る希釈剤もしくは賦形剤とを備える医薬組成物。
【請求項17】
置換1−オキソ−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−5−オキソニア−7−アザベンゾ[c]フルオレン過塩素酸塩、ジヒドロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩を水酸化アンモニウムまたは酢酸アンモニウムと反応させることを備える置換2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の置換2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンをヒドラジン水和物と反応させることを備える置換2,3,4,7−テトラヒドロインドロ[2,3−c]キノリン−1−オンの製造方法。
【請求項19】
カルシウムチャンネルによって媒介された中枢神経系病気または疾患を治療するに当たり、その治療が必要な対象に請求項1に記載の構造式Iによって表される化合物の有効量を投与することを備える治療方法。
【請求項20】
前記中枢神経系疾患が、脳卒中、頭部外傷、脊髄損傷、外傷性ショック、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮側索硬化症、てんかん、発作、痙攣性疾患、低酸素誘因神経細胞損傷、疼痛、うつ病、不安神経症、パニック障害、脅迫神経症、外傷後ストレス障害、麻酔後認識衰退、オピオイド耐性、薬物乱用、アルコール依存症および統合失調症の少なくとも一つである請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2010−502606(P2010−502606A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526607(P2009−526607)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/017943
【国際公開番号】WO2008/027182
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509057981)メディプロファーマ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】