説明

カルジオリピン組成物、その製造方法及び使用

本発明は、異なる鎖長を有し、及びまた不飽和の有無の両方の場合の異なる脂肪酸及び/又はアルキル鎖を有するカルジオリピンの新規合成経路を提供する。カルジオリピン変異体を含むカルジオリピンの新規形態を製造するために、反応スキームが使用できる。本方法によって製造されるカルジオリピンは、疎水性又は親水性薬剤などの活性剤をまた含むことができるリポソームや他の脂質製剤に便利にも組み込むことができる。このような製剤は、疾患の治療、あるいは診断アッセイ及び/又は分析アッセイで使用できる。リポソームはまた、例えば、リガンドをある細胞型又は特異的組織に向かわせるために、リガンドを含むことができる。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規なカルジオリピン組成物、それらの製造方法、及びそれらを含むリポソーム組成物に関する。本発明はまた、活性剤を含むリポソーム製剤又は複合体又はエマルション、並びに診断アッセイ並びにヒトと動物における疾患でのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
リポソーム製剤は、水溶液中で疎水性薬剤の溶解性を増加する能力を有する。それらはしばしば、薬剤療法と関連する副作用を減少し、活性剤の新規製剤を開発する柔軟性のある道具を提供する。
【0003】
リポソームは、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、及びホスファチジルイノシトールなどの天然リン脂質から通常製造される。ホスファチジルグリセロールやカルジオリピンなどのアニオン性リン脂質を加えて、正味の陰性表面電荷を産生でき、それは、コロイド安定性を提供する。これらの成分はしばしば、天然源から精製されるが、一部の場合には、化学合成できる。
【0004】
カルジオリピン(ジホスファチジルグリセロールとしても知られる)は、一群の複雑なアニオン性リン脂質を構成し、それは、心筋や骨格筋のミトコンドリアを含む、高代謝活性と関連する組織の細胞膜から典型的に精製される。しかし、公知のクロマトグラフィー精製技術は、カルジオリピンを別個の分子種に分離できない。従って、この成分を含む薬剤製剤は均一ではない。
【0005】
均一なテトラミリストイルカルジオリピンは、化学合成によって得ることができる。しかし、この化合物の利用性は限定され、薬剤製剤での一般的使用のために、それは現在あまりに高価である。脂肪酸などの規定された疎水性アシル基を有する他の均一なカルジオリピン種は、現在市販されていないか、少量で、かなりの価格でのみ利用できる。
【0006】
カルジオリピンの利用性が限定されているのは、部分的には、その合成方法が面倒で、時間がかかり、高価であるという事実による。一般的に、それらは、置換グリセロールの種々の誘導体から出発する分子の個々のパートのステップワイズ構築と複数の中間体精製を含む。公知の合成方法は主に2群に分類される:(a)ホスホリル化剤を用いて、2−O−保護グリセロールの1級ヒドロキシル基を、1,2−O−ジアシル−sn−グリセロールと結合させること、及び(b)2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル クロリド(TPS)とピリジンの存在下、2−O−保護グリセロールの両方の1級ヒドロキシル基とホスファチジン酸での縮合。
【0007】
Ramirez et al.(Synthesis,769−770(1976);Tetrahedron,33:599−608(1977))は、トリエチルアミンの存在下、1,2−O−ジアシルグリセロールが、ジ(1,2−ジメチルエテニレン)ピロホスフェートによってリン酸化されるカルジオリピンの合成方法を記載する。生成物を、アミン触媒存在下、2−tert−ブチルジメチルシリル クロリド グリセロールと反応させ、カルジオリピンのホスホトリエステル形態を産生する。アセトニルホスフェート保護基は温和な塩基性条件下除去され、ホスホジエステルが得られ、シリル基は温和な酸性条件下除去される。この合成法は、かなりのトランスエステル化反応を受け、それは、所望のカルジオリピンに加えて、多くの副産物を産生する。
【0008】
Duralski et al.(Tetrahedron Lett.,39:1607−1610(1998))は、4,4’−ジメトキシトリチルクロリドとの反応によるグリセロールの1級ヒドロキシル基の保護を記載する。次いで、2−ヒドロキシル基は、tert−ブチルジメチルシリル クロリドとの反応によって保護され、トリチル基は、p−トルエンスルホン酸による処理によって除去された。ジアシルグリセロールの1級ヒドロキシル基は、二官能性リン酸化剤2−クロロフェニルホスホロジ−(1,2,4−トリアゾリド)を用いてリン酸化され(2−クロロフェニルホスホロジ−(1,2,4−トリアゾリド)は、トリエチルアミン存在下、1,2,4−トリアゾールと2−クロロフェニル ホスホジクロリデートを含む混合物からin situで産生された)、2,4,6−トリイソプロピルスルホニル クロリドとN−メチルイミダゾール存在下、シリル化グリセロールと反応させた。十分に保護されたカルジオリピンは、2−ニトロベンズアルドオキシムとN,N,N,N−テトラメチルグアニジンによる処理によって脱保護され、シリル基は、酢酸による処理によって除去された。
【0009】
Saunders and Schwarz(J.Am.Chem.Soc.,88:3844−3847(1966))は、オキシ塩化リンによって2,3−ジ−O−ステアロイル−D−グリセロールをリン酸化し、2−O−ベンジルグリセロールを加え、接触水素化によってベンジル基を除去することによるカルジオリピンの製造を記載した。生成物をケイ酸クロマトグラフィーによって精製した。この方法は後に研究者(Ramirez et al.,Tetrahedron,33:599−608(1977))によって疑問視された。研究者は、それを使用してカルジオリピンを成功裏に得ることができなかった。
【0010】
Mishina et al.(Bioorg.Khim.,11:992−994(1985);Bioorg.Khim.,13:1110−1115(1987))は、オレイックイミダゾールを用い、sn−グリセロ−3−ホスホコリンをアシル化し、次いで、それを、キャベツホスホリパーゼDによって切断し、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−リン酸を得た。この化合物は、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル クロリドを含有するピリジン中で2−O−tert−ブチルジメチルシリルグリセロールと縮合され、保護されたカルジオリピンが得られ、それを、標準的方法によって脱保護し、カルジオリピンが産生された。
【0011】
Stepanov et al.(Zh.Org.Khim,20:985−988(1984))は、縮合剤2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル クロリドを用いての、ジアシルホスファチジン酸と2−O−ベンジルグリセロールの縮合を記載する。
【0012】
Keana et al.(J.Org.Chem.,51:2297−2299(1986))は、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル クロリドを用いて、ピリジン中、ホスファチジルグリセロール(PG)メチルエステルとホスファチジン酸(PA)の結合を記載する。結合生成物のモノメチルエステルを、ジアゾメタンでメチル化し、カルジオリピンのジメチルエステルを得、それを、NaIで脱メチル化し、カルジオリピンを得た。
【0013】
カルジオリピンはまた、ジアシルグリセロリン酸ベンジルエステルの銀塩と1,3−ジヨードプロパノールベンジルエーテルもしくは1,3−ジヨードプロパノール t−ブチルエーテルとの反応によって産生された。例えば、De Haas and van Deenen(Biochim.Biophys.Acta,116:114−124(1966))は、複数工程順序を用いて、全体収率26%でカルジオリピンを得た。2:1モル比での銀 ベンジルジアシル−L−α−グリセロホスフェートと2−tert−ブトキシ−1,3−ジヨードグリセロールとの反応によってトリエステルが得られ、それを精製し、脱保護して、カルジオリピンを得た。ベンジル保護基は、ヨウ化バリウムによる処理によってトリエステル中間体から除去され、tert−ブチル−エーテル基は、クロロホルム中、無水HClによる処理によって除去された。同様に、Inoue et al.(Chem.Pharm.Bull.,11:1150−1156(1963))は、カルジオリピンの1,3−プロパンジオールアナログの製造方法を記載したが、そこでは、ホスホジエステル結合は、1,3−ジヨードプロパンと銀 ベンジルジアシル−L−α−グリセロ−ホスフェートとの反応、及びヨウ化ナトリウムによるベンジル保護基の除去によって産生された。これらの後のスキームは、少量のカルジオリピンの製造に適したが、関与する多数工程、中間体の注意深い精製の必要性、非常に光感受性の銀塩中間体と不安定なヨード中間体の使用のために、大量のルーチンな製造には魅力がない。
【0014】
コスト的により有効な方法で、大量の、多様で均一なカルジオリピン種を製造するために使用できる新規合成方法が必要である。このような方法は、広範な種々の均一なカルジオリピン種の利用性を増し、現在可能であるよりもより規定された組成を有するであろう活性剤の新規リポソーム製剤の開発のために利用できる脂質を多様化しよう。
【0015】
本発明は、このような方法と組成物を提供する。本発明のこれらの利点や他の利点並びに更なる本発明の性質は、本明細書記載の発明の説明から明らかとなろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の概要
本発明は、新規カルジオリピン分子とアナログ、並びに種々の鎖長及び飽和/不飽和を有する異なる脂肪酸及び/又はアルキル鎖を有するカルジオリピンの新規合成経路を提供する。カルジオリピン変異体を含むカルジオリピンの新規形態を製造するために、該反応スキームが使用できる。本方法によって製造されるカルジオリピンは、遺伝子や遺伝子ベクター、アンチセンス分子(例えば、オリゴヌクレオチド)、蛋白質やペプチド、蛋白質もしくは化学薬剤(例えば、疎水性薬剤又は親水性薬剤)、又は診断薬などの活性剤をまた含むことができる(例えば、リポソームと複合体形成する、又はリポソーム内に捕捉される)リポソーム、エマルション、又は複合体(例えば、薬剤複合体)に便利にも組み込むことができる。このようなリポソームや他の製剤は、疾患の治療、あるいは診断アッセイ及び/又は分析アッセイで使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、カルジオリピン分子(そのアナログ又は誘導体を含む)を提供する。1実施態様では、カルジオリピン分子は、以下の一般式:
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、Z及びZは、同一又は異なって、−O−C(O)−,−O−,−S−,−NH−C(O)−などであり;
及びRは、同一又は異なって、H、又は飽和もしくは不飽和アルキル基のいずれかであり;
は(CHであり、及びn=0−10;
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、多糖などの炭水化物など、複素環、ヌクレオシド、ポリヌクレオチドなどであり;
Xはカチオンであり、最も好ましくは、水素、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムイオンなどの非毒性カチオンである)
の構造を有する。
【0020】
好適実施態様では、カルジオリピンアナログは、式II
【0021】
【化2】

【0022】
又は式III
【0023】
【化3】

【0024】
を有しうる。
【0025】
本発明はまた、以下の一般式:
【0026】
【化4】

【0027】
(式中、Z及びZは、同一又は異なって、−O−C(O)−,−O−,−S−,−NH−C(O)−などであり;
及びRは、同一又は異なって、H、又は飽和もしくは不飽和アルキル基であり;
は(CHであり、及びn=0−10;
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、多糖などの炭水化物など、複素環、ヌクレオシド、ポリヌクレオチドなどであり;
は、リンカーであり、それは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルオキシ、約1〜約500個(そして、少なくとも約10アルキルオキシマー(少なくとも約50アルキルオキシマーなど)もしくは少なくとも約100アルキルオキシマー(少なくとも約200アルキルオキシマーもしくは少なくとも約300アルキルオキシマー又は少なくとも約400アルキルオキシマーなど)を有しうる)のアルキルオキシマーを含有するペギレーテッド(pegylated)エーテルなどのポリアルキルオキシ、置換ポリアルキルオキシなど、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、多糖などの炭水化物などを含み得る;
Xはカチオンであり、最も好ましくは、水素、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムイオンなど、などの非毒性カチオンである)の構造を有するカルジオリピンアナログを含む組成物も提供する。
【0028】
最も好ましい実施態様では、ZとZは−O−C(O)−であり、RとRは同じでC〜C34の飽和及び/又は不飽和アルキル基、より好ましくは、14〜24炭素原子(約16〜約20炭素原子など)を有するものである。用語「アルキル」は、飽和又は不飽和の直鎖及び分岐鎖の炭化水素部分を包含する。用語「置換アルキル」は、ヒドロキシ、アルコキシ(低級アルキル基の)、メルカプト(低級アルキル基の)、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、イミノ、チオ、−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルボキシルなどから選択される1つ以上の置換基を更に担持するアルキル基を含む。Rは最も好ましくはCHである。Rは好ましくは水素である。Xは最も好ましくは水素又はアンモニウムイオンであり、それは、図1に示されるカルジオリピンの一般構造を与える。
【0029】
カルジオリピン分子及びアナログは、任意の所望する方法によって製造できる。カルジオリピン分子又はそのアナログを製造するために本発明によって提供される1つの好適な方法は、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド又はN,N’−カルボニルジイミダゾールであるカップリング剤の存在下、ホスファチジン酸と2−O−保護グリセロールを反応させることを含む。本発明の別の好適実施態様は、トリイソプロピルベンゼンスルホニル クロリド、又はN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド又はN,N’−カルボニルジイミダゾールであるカップリング剤の存在下、ホスファチジン酸とグリセロールを反応させることを含むカルジオリピン又はそのアナログの製造方法である。
【0030】
本発明の化合物などのカルジオリピン及びそのアナログの製造の為の適切な方法(該方法は、本発明の1実施態様である)は、ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、式V
【0031】
【化5】

【0032】
(式中、Z、Z、R、R及びRは上記の通りである)のアルコールと、2−O−保護グリセロール又は2−O−置換グリセロールを反応させることを含む。この方法は、式I、II及びIIIのカルジオリピンの製造に特に適切である。式IIのカルジオリピンを製造するのに特に適した本発明の方法の別の実施態様は、ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、1,2−O−ジアシルグリセロールと2−O−保護グリセロールを反応させることを含む。式IIIのカルジオリピンエーテルアナログの製造に特に好適な本発明の方法の別の実施態様は、ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、1,2−O−ジアルキルグリセロールと2−O−保護グリセロールとを反応させることを含む。
【0033】
本発明の1実施態様である、カルジオリピン分子とそのアナログを合成する別の方法は、ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、式V(上記)のアルコールと式VI
【0034】
【化6】

【0035】
(式中、R及びRは上記定義の通りである)のジオールとを反応させることを含む。この方法は、式IVの分子を製造するのに特に適している。
【0036】
本発明の合成方法での使用に好適なカップリング剤は、式VII
【0037】
【化7】

【0038】
(式中、Wは、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、アリル、2−置換エチル、2,2,2−トリブロモエチルなどのハロエチルを含むアルキル基又は置換アルキル基;ベンジル基又は置換ベンジル基;フェニル基、又は2−クロロフェニル、4−クロロフェニル及び2,4−ジクロロフェニルなどの置換フェニル基;又は任意の他の除去可能保護基である)のジクロロホスフェートである。本発明の合成方法の文脈で使用される別の好適カップリング剤は、N,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドである。
【0039】
本発明の1実施態様を図2に示すが、図2は、カルジオリピン合成の新規アプローチを描く。この方法では、リン酸化試薬であるo−クロロフェニル ジクロロホスフェート(CPDCP)3を、1,2−O−ジアシルグリセロール1及び2−O−保護グリセロール2(Yはヒドロキシ保護基、好ましくは、ベンジル基など、又はシリル保護基、例えば、t−ブチルジメチルシリルなど)を、塩基(例えば、ピリジンなど)の存在下、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタンなど)中、反応させ、カルジオリピン前駆体4を得る。o−クロロフェニルの除去は、4と、2−ピリジンアルドオキシム(PAO)及び1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG)との反応、次いで、水酸化アンモニウム水溶液による処理によって達成でき、カルジオリピン前駆体5のアンモニウム塩を得ることができる。2−ピリジンアルドオキシム(PAO)の他に、TMG存在下、2−ニトロベンズアルドオキシムなどの他の試薬が、o−クロロフェニル基の除去のために使用できる。
【0040】
カルジオリピン6を与えるための脱保護は、保護基の性質に依存する方法によって達成できる。例えば、ベンジル基は、パラジウム触媒の存在下、水素化によって除去できる。t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基は、酸性条件下、脱保護できる。p−メトキシベンジル(PMB)基は、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)による処理によって脱保護できる。
【0041】
本明細書で使用する用語「ヒドロキシ保護基」は、合成方法中、非所望の反応に対しヒドロキシ基を保護するために使用する基を指す。通常使用されるヒドロキシ保護基は、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley & Sons,New York(1999)に開示されている。このようなヒドロキシ保護基として、メチルエーテル;メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、p−メトキシベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルエーテルなどを含む置換メチルエーテル;1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、アリル、t−ブチルエーテルなどを含む置換エチルエーテル;ベンジルエーテル;p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル エーテルなどを含む置換ベンジルエーテル;トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル エーテルなどを含むシリルエーテル;ホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、メトキシアセテート、フェノキシアセテートなどを含むエステル;及び、カーボネートが挙げられる。
【0042】
上記発明は、カルジオリピンの製造のための単純で効率的な方法である。合成の鍵工程は、リン酸化カップリング反応である。このホスホトリエステルアプローチで、CPDCPを用いて、順次、直接的な様式でアルコールをリン酸化し、直接的に、良好収率で中間体ホスフェートトリエステルを提供する。本方法は、カルジオリピンコア構造を構築するための、単純で、コスト的に有効な1ポット方法である。
【0043】
本発明のこの新規なジクロロホスフェートカップリングプロトコルは、伝統的なホスホロジ(1,2,4−トリアゾリド)又はホスホロビス(ヒドロキシベンゾトリアゾール)アプローチ(Ramirez et al.,Synthesis,449−489(1985);van Boeckel et al.,Tetrahedron Lett.,21:3705−3708(1980);van Boeckel et al.,Synthesis,399−402(1982))よりも優れている。1局面で、ホスホロジ(1,2,4−トリアゾリド)又はホスホロビス(ヒドロキシベンゾトリアゾール)は、対応するジクロロホスフェア(dichlorophosphare)から製造される必要がある。更なる局面で、ホスホロジ(1,2,4−トリアゾリド)アプローチは、大部分の場合、第2のアルコールとの縮合反応において、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル−(3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール)又は2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル クロリドなどの更なる活性化剤を好ましくは使用する。
【0044】
図3で表される本発明の別の実施態様は、新規リン酸化剤であるクロロホスホルアミダイトを用いて、1,2−二置換グリセロールと2−保護グリセロールとのカップリングを含む。(N,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリド7は、イノシトールリン脂質の合成に用いられてきたが(Bruzik et al.,Tetrahedron Lett.,36:2415−2418(1995)、それは、カルジオリピンの合成には使用されてこなかった。)この方法では、コア構造を構築するために、カップリング反応でクロロホスホルアミダイト7を用いる。このスキームでは、1,2−O−ジアシルグリセロール1は次いで、塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下、不活性溶媒中(例えば、ジクロロメタンなど)、試薬7と反応し、次いで、テトラゾールなどの活性化剤の存在下、2−O−保護グリセロール2(Yはヒドロキシ保護基、好ましくは、ベンジル基など)と反応し、続いて、m−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)によって酸化され、保護されたカルジオリピン前駆体8を得る。次いで、保護された前駆体8のメチル基は、NaIとの反応によって除去され、カルジオリピン前駆体のナトリウム塩が産生され、次いで、希HClによる処理、次いで、10%水酸化アンモニウムによって、アンモニウム塩に変換される。カルジオリピンを与える脱保護は、上記のように行うことができる。
【0045】
図4で表す本発明の別の実施態様では、カルジオリピンのエーテルアナログが産生されるが、そこでは、アルキル基が、カルジオリピングリセロールの側鎖のアシル基に置き換わる。このスキームによれば、1,2−O−ジアルキル−sn−グリセロール9は、クロロホスホルアミダイト7の存在下、それと、2−O−保護グリセロール2とをカップリングするように反応し、中間体10を提供する。図3で記載したのと同様の方法によって、2−ブタノン中、NaIによるこの中間体10の脱メチル化は、保護されたカルジオリピンアナログ11を与え、それは、脱保護で、カルジオリピンのエーテルアナログ12を与える。
【0046】
本発明の別の実施態様は図5で表される。この方法では、ホスファチジン酸(PA)13は、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はN,N’−カルボニルイミダゾール(CDI)などの縮合剤の存在下、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタンなど)中、2−O−保護グリセロール2(Yはヒドロキシ保護基、好ましくは、ベンジル基など、又はシリル保護基、例えば、t−ブチルジメチルシリルなど)と反応し、次いで、水酸化アンモニウム水溶液による処理によって、カルジオリピン前駆体5が形成する。脱保護は、上記のようにカルジオリピン6を与える。
【0047】
本発明の別の実施態様は図6で表される。この方法では、保護基無しのグリセロール14が、縮合反応で反応物として直接的に使用される。グリセロール14の1級アルコールの選択的リン酸化は、トリイソプロピルベンゼンスルホニル クロリド(TPSCl)とピリジンの存在下、ホスファチジン酸(PA)13との縮合によって起こり、次いで、水酸化アンモニウム水溶液による処理によってカルジオリピン6が与えられる。DCC、CDIなどの他のカップリング試薬はまた、カルジオリピンのこの1工程合成で使用できる。
【0048】
本発明の別の実施態様は図7で表される。この方法では、コア構造を構築するために、ジクロロホスフェート15を、カップリング反応で使用する。このスキームでは、1,2−ジアシルグリセロール1と2−保護グリセロール2とは、ピリジンなどの塩基の存在下、ジクロロホスフェート15と反応し、保護されたカルジオリピン前駆体8を与える。次いで、保護されたカルジオリピン8のメチル基は、NaIとの反応によって除去され、カルジオリピン前駆体のナトリウム塩が産生され、次いで、希HCl、次いで10%水酸化アンモニウムによる処理によってアンモニウム塩5に変換される。成熟カルジオリピンを与えるための脱保護は上記のように行うことができる。
【0049】
本発明の別の実施態様は図8で表される。カルジオリピンのエーテルアナログが生じるこの方法において、コア構造を構築するために、ジクロロホスフェート15を、カップリング反応で使用する。このスキームでは、1,2−ジアルキル−sn−グリセロール9と2−保護グリセロール2とは、ジクロロホスフェート15と反応し、保護された中間体10を与える。次いで、NaIとの反応及び希HClによる処理、次いで10%水酸化アンモニウムによる処理によって中間体10のメチル基は除去され保護されたアンモニウム塩11が産生される。成熟カルジオリピンを与えるための脱保護は上記のように行うことができる。
【0050】
記載された方法を用いて、種々の新規カルジオリピン種が製造できる。例えば、R及び/又はR置換基などの任意の所望の脂肪酸鎖を含むカルジオリピンとそのアナログを製造するために、該方法を使用できる。好適な脂肪酸は、約C〜約C34、好ましくは約C14〜約C24の炭素鎖長さの範囲であり、とりわけ、テトラン酸(C4:0)、ペンタン酸(C5:0)、ヘキサン酸(C6:0)、ヘプタン酸(C7:0)、オクタン酸(C8:0)、ノナン酸(C9:0)、デカン酸(C10:0)、ウンデカン酸(C11:0)、ドデカン酸(C12:0)、トリデカン酸(13:0)、テトラデカン酸(C14:0)、ペンタデカン酸(C15:0)、ヘキサデカン酸(C16:0)、ヘプタデカン酸(C17:0)、オクタデカン酸(C18:0)、ノナデカン酸(C19:0)、エイコサン酸(C20:0)、ヘンエイコサン酸(C21:0)、ドコサン酸(C22:0)、トリコサン酸(C23:0)、テトラコサン酸(C24:0)、10−ウンデカン酸(C11:1)、11−ドデカン酸(C12:1)、12−トリデセン酸(C13:1)、ミリストレイン酸(C14:1)、10−ペンタデセン酸(C15:1)、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、エイコスジエン酸(C20:2)、エイコストリエン酸(C20:3)、アラキドン酸(シス−5,8,11,14−エイコサテトラエン酸)、及びシス−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸が挙げられる。エーテルアナログに関し、アルキル鎖はまた、約C〜約C34、好ましくは約C14〜約C24の炭素鎖長さの範囲であろう。他の脂肪酸鎖も、R及び/又はR置換基として使用できる。このようなものの例として、メタン酸(又は、ギ酸)、エタン酸(又は、酢酸)、プロパン酸(又は、プロピオン酸)、ブタン酸(又は、酪酸)、ヘキサコサン酸(又は、セロチン酸)、オクタコサン酸(又は、モンタン酸)、トリアコンタン酸(又は、メリッシン酸)、ドトリアコンタン酸(又は、ラッセル酸)、テトラトリアコンタン酸(又は、ゲダ酸)、ペンタントリアコンタン酸(又は、セロプラスチン酸)などの飽和脂肪酸;trans−2−ブテン酸(又は、クロトン酸)、cis−2−ブテン酸(又は、イソクロテン酸)、2−ヘキセン酸(又は、イソヒドロソルビン酸)、4−デカン酸(又は、トウハク酸(obtusilic acid)、9−デカノン酸(又は、カプロレイック アシッド)、4−ドデセン酸(又は、リンデリック アシッド)、5−ドデセン酸(又は、デンティセティック アシッド)、9−ドデセン酸(又は、ラウロレイン酸)、4−テトラデセン酸(又は、ツズ酸(tsuzuic acid))、5−テトラデセン酸(又は、フィセテリック アシッド)、6−オクタデセン酸(又は、ペトロテリン酸)、trans−オクタデセン酸(又は、エライジン酸)、trans−11−オクタデセン酸(又は、ワクシニック アシッド)、9−エイコセン酸(又は、ガドレイン酸)、11−エイコセン酸(又は、ゴンド酸)、11−ドコセン酸(又は、セトレイック アシッド)、13−デコセン酸(又は、エルカ酸)、15−テトラコセン酸(又は、ネルボン酸)、17−ヘキサコセン酸(又は、キシメニック アシッド)、21−トリアコンテン酸(又は、ルメクエイック アシッド)などのモノエテェン不飽和脂肪酸;2,4−ペンタジエン酸(又は、β−ビニルアクリル酸)、2,4−ヘキサジエン酸(又は、ソルビン酸)、2,4−デカジエン酸(又は、スチリンジック アシッド)、2,4−ドデカジエン酸、9,12−ヘキサデカジエン酸、cis−9,cis−12−オクタデカジエン酸(又は、α−リノール酸)、trans−9,trans−12−オクタデカジエン酸(又は、リノールライディック アシッド)、trans−10−trans−12−オクタデカジエン酸、11,14−エイコサジエン酸、13,16−ドコサジエン酸、17,20−ヘキサコサジエン酸などのジエン不飽和脂肪酸;6,10,14−ヘキサデカトリエン酸(又は、ヒラゴニック アシッド)、7,10,13−ヘキサデカトリエン酸、cis−6,cis−9,cis−12−オクタデカトリアン酸(又は、γ−リノレン酸)、trans−8,trans,10,cis−12−オクタデカトリエン酸(又は、α−カレンディック アシッド)、trans−8,trans−10,trans−12オクタデカトリエン酸(又は、β−カレンディック アシッド)、cis−8,trans−10,cis−12−オクタデカトリエン酸、cis−9,cis−12,cis−15−オクタデカトリエン酸(又は、α−リノレン酸)、trans−9,trans−12,trans−15−オクタデカトリエン酸(又は、リノレンライディック アシッド)、cis−9,trans−11,trans−13−オクタデカトリエン酸(又は、α−エレオステアリック アシッド)、trans−9,trans−11,trans−13−オクタデカトリエン酸(又は、β−エレオステアリック アシッド)、cis−9,trans−11,cis−13−オクタデカトリエン酸(又は、プニシック アシッド)、trans−9,trans−11,trans−13−オクタデカトリエン酸、5,8,11−エイコサトリエン酸、8,11,14−エイコサトリエン酸などのトリエン不飽和脂肪酸;4,8,11,14−ヘキサデカテトラエン酸、6,9,12,15−ヘキサデカテトラエン酸、4,8,12,15−オクタデカテトラエン酸(又は、モロクティック アシッド)、6,9,12,15−オクタデカテトラエン酸、9,11,13,15−オクタデカテトラエン酸(又は、α−もしくはβ−パリナリック アシッド)、9,12,15,18−オクタデカテトラエン酸、4,8,12,16−エイコサテトラエン酸、6,10,14,18−エイコサテトラエン酸、4,7,10,13−ドコサテトラエン酸、7,10,13,16−ドコサテトラエン酸、8,12,16,19−ドコサテトラエン酸などのテトラエン不飽和脂肪酸;4,8,12,15,18−エイコサペンタエン酸(又は、チムノドニック アシッド)、4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸、4,8,12,15,19−ドコサペンタエン酸(又は、クルパノドニック アシッド)、7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸、4,8,12,15,18,21−テトラコサヘキサエン酸(又は、ニシニック アシッド)などのペンタ−及びヘキサ−エン不飽和脂肪酸;3−メチルブタン酸(又は、イソ吉草酸)、d−6−メチルオクタン酸、8−メチルデカン酸、10−メチルウンデカン酸(又は、イソラウリン酸)、d−10−メチルドデカン酸、11−メチルドデカン酸(又は、イソウンデシリック アシッド)、12−メチルトリデカン酸(又は、イソミリスチン酸)、d−12−メチルテトラデカン酸、13−メチルテトラデカン酸(又は、イソペンタデシリック アシッド)、14−メチルペンタデカン酸(又は、イソパルミチン酸)、d−14−メチルヘキサデカン酸、15−メチルヘキサデカン酸、10−メチルヘプタデカン酸、16−メチルヘプタデカン酸(又は、イソステアリン酸)、t−D−10−メチルオクタデカン酸(又は、ツベクロステアリン酸)、d−16−メチルオクタデカン酸、18−メチルノナデカン酸(又は、イソアラキドン酸)、d−18−メチルエイコサン酸、20−メチルヘンエイコサン酸(又は、イソベヘーニック アシッド)、d−20−メチルドコサン酸、22−メチルトリコサン酸(又は、イソリグノセリック アシッド)、d−22−メチルテトラコサン酸、24−メチルペンタコサン酸(又は、イソセロティック アシッド)、d−24−メチルヘキサコサン酸、26−メチルヘプタコサン酸(又は、イソモナタニック アシッド)、d−28−メチルトリアコンタン酸、2,4,6−(D)−トリメチルオクタコサン酸(又は、ミコセラニック アシッドもしくはミコセロシック アシッド)、2−メチル−cis−2−ブテン酸(アンゲリック アシッド)、2−メチル−trans−2−ブテン酸(又は、チグリック アシッド)、4−メチル−3−ペンテン酸(又は、ピロテレビック アシッド)、d−2,4(L),6(L)−トリメチル−trans−2−テトラコセン酸(又は、C27−フチエノイック アシッドもしくはミコリペニック アシッド)などの分岐鎖脂肪酸が挙げられる。
【0051】
本明細書記載のカルジオリピン分子、及び本発明の方法によって産生されるカルジオリピン分子は、脂質製剤中で使用できる。好適な製剤又は組成物は、本発明のカルジオリピンアナログを含むリポソーム組成物である。本発明のカルジオリピンを含む、複合体、エマルション、及び他の製剤も、本発明の範囲内である。本発明のこのような製剤は、任意の適切な技術によって製造できる。本発明の合成カルジオリピンに加えて、リポソーム組成物、複合体、エマルションなどは、安定化剤、吸収増進剤、抗酸化剤、リン脂質、生分解性ポリマー、及び他の成分の中でとりわけ医薬的に活性な剤を含み得る。実施態様の一部では、本発明の組成物、特にリポソーム組成物はまた、細胞レセプターを認識する抗体(又はそのフラグメント)又はリガンドなどの、特異的基質と結合する炭水化物又は蛋白質又は他のリガンドなどの標的指向剤を含むことが好適である。このような薬剤(炭水化物、あるいは、細胞レセプターへの抗体などの、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ペプチドホルモン、レセプターリガンド、及びそれらの混合物からなる蛋白質の群から選択される1種以上の蛋白質)を含めることは、リポソームを、所定の組織又は細胞型へ向かわせることを容易にしうる。
【0052】
ホスファチジルコリン、上記方法によって製造されるカルジオリピン、コレステロール及びα−トコフェロールなどの親油性のリポソーム形成成分は、適切な溶媒中、又は溶媒と乾燥の組合せ中に溶解又は分散できる。適切な溶媒として、任意の非極性又は僅かに極性の溶媒、例えば、医薬として許容できない残渣を残さずに蒸留できる、ブタノール、エタノール、メタノール、クロロホルム、又はアセトンが挙げられる。乾燥は、凍結乾燥などの任意の適切な手段でありえ、凍結乾燥の間、凍結保護物質(例えば、トレハロースなどの保護糖)を用いることも好適である。親水性成分は、水を含む極性溶媒に溶解できる。
【0053】
リポソームは、乾燥された親油性成分を親水性混合物と混合することによって形成できる。極性溶液を、乾燥脂質フィルムと混合することは、混合物を強くホモジナイズする任意の手段によってでありうる。ホモジナイゼーションは、ボルテックス、磁気撹拌及び/又は音波処理によって行うことができる。
【0054】
リポソームはまた、活性剤を含み得、本発明は、リポソーム中に活性剤を保持する方法を提供する。方法は、本明細書記載のカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを製造し、リポソーム中に、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログ及び活性剤を含めることを含む。活性剤は、脂質(本発明のカルジオリピンなど)の一部と複合体形成するようになり得、又は活性剤は、リポソーム内に捕捉されるようになり得る。本方法によれば、活性剤は、適切な溶媒中に溶解又は分散でき、混合前にリポソーム混合物に加えることができる。典型的には、親水性活性剤は、極性溶媒に直接的に加えられ、疎水性活性剤は、他の成分を溶解するのに使用した非極性溶媒に加えられようが、これは必要ではない。活性剤は、第3の溶媒又は溶媒混合物中に溶解でき、混合物をホモジナイズする前に、極性溶媒の混合物に脂質フィルムを加え得る。
【0055】
一般的に、リポソームは、正味の中性、陰性又は陽性電荷を有し得る。例えば、陽性リポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、カルジオリピン、及びカルジオリピンの正味の陰性電荷を克服するために十分なステアリルアミンを含む溶液から形成できる。陰性リポソームは、例えば、ホスファチジルコリン、コレステロール、及び/又はカルジオリピンを含む溶液から形成できる。
【0056】
本発明のカルジオリピンを含むリポソームはまた、脂質相内に他の成分を含み得る。好適成分として、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジアラキドノイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、水素添加大豆ホスファチジルコリン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるホスファチジルコリンが挙げられる。別の好適成分は、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジアラキドノイルホスファチジルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択されるホスファチジルグリセロールである。リポソームはまた、コレステロール、ポリエチレングリコール、コレステロール誘導体、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、コレステロールヘミサクシネート、コレステロールサルフェート、及びそれらの混合物からなる群から選択されるステロールを含み得る。
【0057】
本発明のリポソームは、特定の組成物とそれらの製造に使用される方法に依存して、多重又は単一ラメラベシクルでありうる。リポソームは、約1ミクロン以下、又は約500nm以下、約200nm以下、又は約100nm以下などの選択されたサイズ範囲でほぼ均一なサイズを有するように製造できる。1つの有効なサイズ決定方法は、選択された均一のポアサイズを有する、一連のポリカーボネート膜を通し、リポソームの水性懸濁液を押出すことを含む;膜のポアサイズは、膜を介する押出しによって製造されるリポソームの最大サイズと粗く対応しよう。
【0058】
リポソームは、シュークロース、エピクロロヒドリン、分岐したシュークロースの親水性ポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、メトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、N,N−ジエチルアミノアセテート、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロックコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン X−ラウリルエーテル(Xは9〜20である)、及びポリオキシエチレンソルビタンエステルなどの生分解性ポリマーで被覆できる。
【0059】
抗酸化剤は、本発明の、リポソーム製剤、複合体、エマルション、又は他の製剤に含めることができる。適切な抗酸化剤として、アスコルビン酸、トコフェロール及びデテロオキシム メシレートなどの化合物が挙げられる。
【0060】
吸収増進剤も、所望ならば、本発明のリポソーム製剤、複合体、エマルションなどに含めることができる。適切な吸収増進剤として、Na−サリシレート−ケノデオキシコレート、Na−デオキシコレート、ポリオキシエチレン9−ラウリルエーテル、ケノデオキシコレート−デオキシコレートやポリオキシエチレン9−ラウリルエーテル、モノオレイン、Na−タウロ−24,25−ジヒドロフシデート、Na−タウロデオキシコレート、Na−グリコケノデオキシコレート、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が挙げられる。ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレン10−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン16−ラウリルエーテル、アゾン(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)などのポリマー性吸収増進剤も含めることができる。
【0061】
本発明のカルジオリピン(本発明の方法により製造されるものを含む)を含む本発明の組成物のリポソーム型や他の型は、活性剤を含むように製剤化できる。活性剤は、例えば、組成物中のリポソーム内に捕捉されえ、組成物中で成分の1つと複合体を形成しえ(例えば、組成物中のカルジオリピンと複合体形成する)、又はさもなければ、組成物中に存在しうる。本発明の組成物中に含めることは、界面活性剤の存在下で安定である活性剤に一般的であると考えられる。組成物がリポソームを含むとき、親水性薬剤が適切であり、リポソーム二重層が、身体中にランダムに拡散するのを防止する拡散バリアを作出するように、リポソーム内部に含めることができる。疎水性活性剤は、本発明の製剤、特にリポソーム製剤での使用に特に良く適していると考えられる。疎水性活性剤は、毒性の減少を示すことによって利益を得るばかりではなくて、リポソームの脂質二重層内に良く溶解する傾向があるからである。医療又は化粧品使用に関し、製剤は、医薬として許容できるなどのように、生理的に適合性でありえ、医薬組成物を製剤化する当業者公知の他の薬剤を含め得る(例えば、緩衝剤、抗生物質、保存剤や他の賦形剤、例えば、1種以上の医薬として許容できる賦形剤など)。
【0062】
本発明の組成物が活性剤を含む場合、本発明はまた、ヒト又は動物細胞に活性剤を投与するために、このような組成物の使用方法を提供する。細胞はインビトロでありえ、その場合、製剤は、診断や研究目的のために、又は、ヒト又は動物患者に移植される細胞に活性剤を送達するために使用できる。あるいは、細胞はインビボでありえ、その場合、本発明は、ヒト又は動物中に(例えば、活性剤を用いて治療の必要のある患者に、又は化粧目的のために)活性剤を送達する方法を提供する。実質的に、任意の活性剤を、患者の疾患細胞又は器官に投与するために、本方法を使用できる。適切な活性剤として、以下のような疾患を治療するために使用される診断試薬や医薬剤が挙げられる:炎症(例えば、慢性炎症)、血管新生依存性疾患、関節炎、再狭窄、乾癬、癌(例えば、肺癌、脳癌もしくは中枢神経系の他の癌、メラノーマ、膵臓癌、肝臓癌、精巣もしくは卵巣の癌、及び他の腫瘍性疾患)、多発性硬化症、アルツハイマー、パーキンソン、及び種々の血管疾患が挙げられる。リポソーム製剤、エマルション、又は複合体はまた、抗真菌適用にも有用でありえ、活性剤として適切な抗真菌剤を含み得る。典型的には、活性剤は、1種以上の遺伝子と遺伝子ベクター、アンチセンス分子(例えば、オリゴヌクレオチド)、蛋白質とペプチド、蛋白質又は化学薬剤(例えば、疎水性薬剤又は親水性薬剤)、又は診断剤でありうる。
【0063】
本発明と適合性のある活性剤として、末梢神経、アドレナリン性レセプター、コリン性レセプター、骨格筋、心臓血管系、平滑筋、血液循環系、シナプス部位、ニューロエフクタージャンクション部位、内分泌系とホルモン系、免疫系、生殖系、骨格系、栄養系と排出系、ヒスタミン系及び中枢神経系に作用する薬剤が挙げられる。適切な薬剤は、例えば、蛋白質、酵素、ホルモン、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、核蛋白質、多糖、糖蛋白質、リポ蛋白質、ポリペプチド、ステロイド、テルペノイド、トリテルピン、レチノイド、抗潰瘍H2レセプターアンタゴニスト、抗潰瘍薬、低カルシウム剤、モイスチャーライザー、化粧品などから選択されうる。活性剤は、鎮痛剤;麻酔剤;抗不整脈剤、抗生物質;抗アレルギー剤、抗真菌剤、抗癌剤(例えば、ミトキサントロン(例えば、国際特許公開WO02/32400参照)、タキサン(例えば、国際特許公開WO00/01366参照)、パクリタキセル、カンプトテシン、及びカンプトテシン誘導体((例えば、SN−38)(例えば、国際特許公開WO02/058622参照)、イリノテカン(例えば、国際特許公開WO03/030864参照)、及び他のカンプトテシン)、ゲムシタビン、アンスラサイクリン、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、raf遺伝子などの癌遺伝子を標的とするもの(例えば、国際特許公開WO98/43095参照))、ビンカアルカロイド(例えば、ビノレルビン、例えば、国際特許公開WO03/018018参照)、抗体、サイトトキシン(イムノトキシンなど)、抗高血圧剤(例えば、ジヒドロピリジン、抗うつ剤、cox−2阻害剤);抗凝固剤;抗うつ剤、抗糖尿病薬、抗てんかん剤、抗炎症性コルチコステロイド;アルツハイマー又はパーキンソン病の治療剤;抗潰瘍剤;抗原生動物剤、抗不安薬、甲状腺剤、抗甲状腺剤、抗ウイルス剤、食欲抑制剤、ビスホスホネート、強心剤、心臓血管剤、コルチコステロイド、利尿剤、ドーパミン性薬剤、胃腸剤、止血剤、高コレステロール剤、抗高血圧剤;免疫抑制剤;抗痛風剤、抗マラリア剤、抗偏頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗炎症剤(例えば、リウマチ、関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病の治療剤など);多発性硬化症を含む脱髄性疾患;眼薬;ワクチン(例えば、インフルエンザウイルス、肺炎、肝炎A、肝炎B、肝炎C、コレラ毒素B−サブユニット、腸チフス、熱帯熱マラリア、ジフテリア、破傷風、単純ヘルペスウイルス、結核、HIV、SARSウイルス、百日咳菌、麻疹、おたふくかぜ、風疹、細菌トキソイド、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、カナリア痘ウイルス、バチルスカルメット−ゲラン、クレブシエラ・ニューモニアワクチンなどに対し);ヒスタミンレセプターアンタゴニスト、催眠剤、腎臓保護剤、脂質制御剤、筋肉弛緩剤、神経弛緩剤、神経向性剤、オピオイドアゴニストとアンタゴニスト、副交感神経様剤、プロテアーゼ阻害剤、プロスタグランジン、鎮静剤、性ホルモン(例えば、アンドロゲン、エストロゲンなど)、刺激剤、交感神経様剤、血管拡張剤及びキサンチン及びこれらの種の合成アナログでありうる。治療薬は、サイクロスポリンやアンホテリシンBなど、腎毒性、又はアンホテリシンBやパクリタキセルなど、心臓毒性でありうる。代表的抗癌剤として、メルファラン、クロルメチン、エクストラムスチンホスフェート、ウラムスチン、イフォファミド、マンノムスチン、トリフォスファミド、ストレプトゾトシン、ミトブロニトール、ミトキサントロン、メトトレキセート、フルオロウラシル、シタラビン、テガフール、イドキシド、タキソール、パクリタキセル、ダウノマイシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、アンホテリシン、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、BCNU、ビンクリスチン、カンプトテシン、ドキソルビシン、エトプシド、サイトカイン、リボザイム、インターフェロン、オリゴヌクレオチド、及び上記の機能性誘導体が挙げられる。本方法に従って送達されうる薬剤の更なる例として、プロクロルペルジンエディシレート、硫酸第一鉄、アミノカプロン酸、メカミルアミン塩酸塩、プロカインアミド塩酸塩、硫酸アンフェタミン、メタンフェタミン塩酸塩、ベンズアンフェタミン塩酸塩、硫酸イソプロテレノール、フェンメトラジン塩酸塩、ベタンコールクロリド、メタコリンクロリド、ピロカルピン塩酸塩、硫酸アトロピン、スコポラミンブロミド、イソプロパミドヨーダイド、トリジヘキセチルクロリド、フェンホルミン塩酸塩、メチルフェニデート塩酸塩、テオフィリンコリネート、セファレキシン塩酸塩、ジフェニドール、メクリジン塩酸塩、プロクロルペラジンマレエート、フェノキシベンズアミン、チエチルペルジンマレエート、アニシンドン、ジフェナジオン エリトリチル テトラナイトレート、ジゴキシン、イソフルロフェート、アセトアゾラミド、メタゾラミド、ベンドロフルメチアジド、クロロプロマイド、トラザミド、クロルマジノンアセテート、フェナグリコドール、アロプリノール、アルミニウムアスピリン、メトトレキセート、アセチルスルフィソキサゾール、エリスロマイシン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチコステロンアセテート、コルチゾンアセテート、デキサメタゾン及びその誘導体(ベタメタゾンなど)、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17−S−エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール3−メチルエーテル、プレドニゾロン、17α−ヒドロキシプロゲステロンアセテート、19−ノルプロゲステロン、ノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルエチエデロン、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノルエチノドレル、アスピリン、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロフェン、スリンダック、インドプロフェン、ニトログリセリン、イソソルビドジナイトレート、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドパ、クロルプロマジン、メチルドパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、テオフィリン、カルシウムグルコネート、ケトプロフェン、イブプロフェン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラック、乳酸第一鉄、ビンカミン、ジアゼパム、フェノキシベンズアミン、ジルチアゼム、ミルリノン、マンドール、クアンベンツ、ヒドロクロロチアジド、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェヌフェン、フルプロフェン、トルメチン、アルクロフェナック、メフェナミック、フルフェナミック、ジフイナール、ニモジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、リドフラジン、チアパミル、ガロパミル、アモロジピン、ミオフラジン、リシノルプリル、エナラプリル、エナラプリラット カプトプリル、ラミプリル、ファモチジン、ニザチジン、スクラルファート、エチンチジン、テトラトロール、ミノキシジル、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、アミトリプチリン、及びイミプラミンが挙げられる。更なる例は、蛋白質とペプチドであり、骨形成蛋白質、インスリン、ヘパリン、コルヒチン、グルカゴン、甲状腺刺激ホルモン、副甲状腺ホルモンや下垂体ホルモン、カルシトニン、レニン、プロラクチン、コルチコトロフィン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、絨毛膜ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ソマトトロピン(例えば、ウシソマトトロピン、ブタソマトトロピンなど)、オキシトシン、バソプレシン、GRF、ソマトスタチン、リプレシン、パンクレオチミン、黄体化ホルモン、LHRH,LHRHアゴニストとアンタゴニスト、ロイプロリド、インターフェロン(例えば、α−、β−、又はγ−インターフェロン、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、及びコンセンサスインターフェロンなど)、インターロイキン、成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン及びその誘導体(例えば、メチオニン−ヒト成長ホルモンやデス−フェニルアラニンヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、ブタ成長ホルモン、インスリン様成長ホルモンなど)、消化性ホルモン、甲状腺剤、抗甲状腺剤、プロスタグランジンなどの受精阻害剤、受精促進剤、インスリン様成長因子などの成長因子、凝固因子、膵臓ホルモン放出因子、これらの化合物のアナログと誘導体、並びにこれらの化合物の医薬として許容できる塩、又はそれらのアナログもしくは誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。診断又は治療使用のための活性剤はまた、RNA、DNA(例えば、オリゴヌクレオチド、プラスミド、ファージ、又はウイルスベクターなど)などの核酸でありうる、又は含めうる。活性剤は、リポソーム製剤、複合体、エマルション、又は他の製剤で共投与して有益でありうる薬剤の混合物(例えば、2種以上)でありうる。
【0064】
上記のような化学療法剤や他の抗癌剤は、本発明の組成物や治療方法での使用に良く適している。化学療法剤や他の抗癌剤を含むリポソーム製剤、複合体、エマルションなどは、癌細胞へ直接的に化学療法剤や他の抗癌剤を送達するために、腫瘍組織に直接注入できる。場合によっては、特に、腫瘍切除後、リポソーム製剤、エマルション、複合体、又はその他の本発明の製剤を、生じた空洞に直接移植でき、又は、被覆として、残りの組織に適用できる。本発明のリポソーム製剤が手術後、投与される場合、約1ミクロンのより大きな直径のリポソームを用いることができる。リポソームは、血管構造を通過する必要はないからである。
【0065】
組成物が活性剤を含む場合、本発明は、細胞への活性剤の送達方法を提供する。この方法によれば、本発明のカルジオリピンと所望の活性剤を含む組成物は、本明細書記載のように製造される。次いで、活性剤を細胞に送達するように、組成物を細胞に曝す。任意の所望の細胞に、薬剤、核酸、及び他の適切な薬剤などの活性剤を送達するために、本方法は使用できる。例えば、培養中の細胞に活性剤を送達するために、本方法は、インビトロ適用で使用できる。あるいは、インビボで細胞に薬剤などの活性剤を送達するために、本方法は使用できる。本方法がインビボで用いられる場合、ヒト又は動物の疾患を治療するために、方法は使用できる。この実施態様では、活性剤をヒト又は動物に送達するように、組成物をヒト又は動物に曝す。幾つかの適用において、該剤と組成物は、化粧品として使用できる。この方法の好適な適用は、本明細書記載のように、組成物が1種以上の抗癌剤を含む場合のような、癌の治療を含む。
【0066】
インビボ適用に関し、組成物が1種以上の医薬として許容できる賦形剤を含むことが好ましい。また、本明細書記載の、抗癌剤、核酸、及び蛋白質性薬剤などの医薬として活性な薬剤は、医薬として有効な投与量を送達するのに適した濃度で、本発明の組成物に組み込まれ得る。抗癌剤などの医薬として活性な薬剤の投与量は、治療する医師や獣医に妥当と認められるように変わり得、治療的治療のための適切な投与量の選択は、このような専門家の技術の範囲内である。
【0067】
方法は、活性剤のリポソーム製剤(及び、本発明のカルジオリピンと活性剤を含む他の製剤)に加えて、非毒性で不活性な、医薬として適切な賦形剤を含む医薬製剤の投与を提供する。医薬として適切な賦形剤として、全ての種類の、固体、半固体、又は液体希釈剤、充填剤及び製剤補助剤が挙げられる。本発明はまた、投与単位での医薬製剤を含む。これの意味するところによれば、製剤は、個々のパート、例えば、バイアル、シリンジ、カプセル、ピル、座薬、又はアンプルの形態であり、活性剤のリポソーム製剤の、それの含量は、個々の投与量の分数又は乗数に対応する。投与単位は、例えば、1、2、3、又は4倍の個々の投与量、あるいは、個々の投与量の1/2、1/3、又は1/4を含み得る。個々の投与量は好ましくは、1回の投与で与えられ、通常、1日投与量の全部、半分、1/3、又は1/4に対応する活性剤量を含む。
【0068】
錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル、顆粒、座薬、溶液、懸濁剤とエマルション、ペースト、軟膏(例えば、乾燥皮膚軟膏)、ゲル、クリーム、ローション(例えば、乾燥皮膚軟化剤、モイスチャーライザーなど)、粉末、及びスプレーは、適切な医薬製剤でありうる。座薬は、リポソーム活性剤に加えて、適当な水溶性又は水不溶性賦形剤を含み得る。適切な賦形剤は、本発明のリポソーム活性剤が、治療用途を可能とするために十分に安定であるものであり、例えば、ポリエチレングリコール、ある種の脂肪、及びこれらの物質のエステル又は混合物である。軟膏、ペースト、クリーム、ゲルも、その中でリポソーム活性剤が安定である適切な賦形剤を含み得る。
【0069】
活性剤又はその医薬製剤は、静脈内、皮下、局所、経口、非経口、腹腔内、及び/又は直腸に投与でき、又は、公知である、もしくは開発されている方法によって治療の必要のある腫瘍又は器官又は他の部位に直接注入によって投与できる。カルジオリピン及びカルジオリピンアナログベースの製剤も、局所的に、例えば、クリーム、皮膚軟膏、乾燥皮膚軟化剤、モイスチャーライザーなどとして投与できる。
【0070】
以下の実施例で、非限定的に、本発明を更に説明する。
【実施例1】
【0071】
実施例1
1A.十分に保護されたカルジオリピンの合成
【0072】
【化8】

【0073】
R=ミリストイル(C14:0鎖)
【0074】
CHCl(10mL)中のo−クロロフェニル ジクロロホスフェート(2.45g,9.98mmol)と乾燥ピリジン(4.39mL,54.28mmol)の溶液に、CHCl(50mL)中の1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロール(5.00g,9.75mmol)の溶液を、0℃で45分で滴下添加した。反応混合物を、0℃で1時間、室温で1時間撹拌後、CHCl(8mL)中の2−ベンジルオキシ−1,3−プロパンジオール(0.71g,3.90mmol)の溶液を滴下添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。有機溶媒を真空除去し、残渣を、酢酸エチル(150mL)と冷0.5N HCl(100mL)の間で分配した。有機相を、水、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空濃縮した。得られた残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(3:1)を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、無色油状物として十分に保護されたカルジオリピン4.37gを得た。収率は72%である。TLC(ヘキサン/EtOAc 3:1) R=0.31;HNMR(500MHz,CDCl) δ 7.40−7.08(m,13H,ArH),5.22(m,2H,RCOOCH),4.63(m,2H,CHPh),4.40−4.06(m,12H,RCOOCH,POCH),3.89(m,1H,BnOCH),2.26(m,8H,−CHCOO−),1.57(m,8H,−CHCHCOO−),1.25(br s,80H,CH),0.88(t,J=6.5,12H,CH;ESI−MS,m/z(M+Na)1576.6。
【0075】
1B.2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩の合成
【0076】
【化9】

【0077】
R=ミリストイル(C14:0鎖)
【0078】
方法1.THF(5mL)中の十分に保護されたカルジオリピン(260.3mg,0.17mmol)の撹拌溶液に、2−ピリジンアルドオキシム(202.5mg,1.66mmol)とテトラメチルグアニジン(176.0mg,1.53mmol)を加えた。水1滴の添加後、混合物を室温で2.5時間撹拌した。溶媒を真空除去した。残渣をCHCl(10mL)に溶解し、HO(4mLx2)で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空濃縮した。得られた残渣を、CHCl/MeOH/NHOH(65:15:1)を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、白色固体として2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩を200mg得た。収率は87%であった。TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.64;HNMR(500MHz,CDCl) δ 7.42−7.23(m,5H,ArH),5.20(m,2H,RCOOCH),4.60(s,2H,CHPh),4.29−3.89(m,12H,RCOOCH2,POCH),3.69(m,1H,BnOCH),2.27(m,8H,−CHCOO−),1.56(m,8H,−CHCHCOO−),1.28(br s,80H,CH),0.88(t,J=6.5,12H,CH);ESI−MS,m/z(M−2NH2−664.9,(M−2NH−RCOO)1102.0,(M−2NH+H)1330.3。
【0079】
方法2.THF(65mL)中の十分に保護されたカルジオリピン(3.88g,2.50mmol)の撹拌溶液に、2−ニトロベンズアルドオキシム(4.11g,24.74mmol)とテトラメチルグアニジン(2.62g,22.75mmol)を加えた。水15滴の添加後、混合物を室温で4時間撹拌した。溶媒を真空除去した。残渣をCHCl(100mL)に溶解し、HO(40mL)とMeOH(2mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、真空濃縮した。得られた黄色の残渣を、CHCl/MeOH/NHOH(65:15:1)を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、白色固体として2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩を2.17g得た。収率は64%である。TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.64。
【0080】
1C.1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩(テトラミリストイル カルジオリピン)の合成
【0081】
【化10】

【0082】
R=ミリストイル(C14:0鎖)
【0083】
方法1.2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩のサンプル(520.1mg,0.38mmol)を、THF(25mL)に溶解し、水素バルーン下、3.5時間、パラジウムブラック(200mg)で水素化した。触媒を除くために濾過後、溶液を蒸発乾固した。残渣をTHF(7mL)に溶解し、次いでアセトン(35mL)を用いて沈殿させた。混合物を一晩フリーザーに保ち、翌日、白色固体を濾過し、少量の冷アセトンで洗浄した。ドライアライト下12時間、P下5時間、真空デシケーター中で乾燥後、1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩(テトラミリストイル カルジオリピン)415.1mgを得た。収率は86%である。TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.29;HNMR(500MHz,CDCl) δ 7.32(br s,NH),5.26(m,2H,RCOOCH),4.34−3.92(m,13H,RCOOCH,POCH,HOCH),2.33(m 8H,−CHCOO−),2.29(t,J=7.5,1H,CHOH),1.58(m,8H,−CHCHCOO−),1.30(br s,80H,CH),0.88(t,J=6.5,12H,CH); FTIR(ATR) 3231s,2918s,2850s,1738s,1467w,1378w,1203ms,1067s cm−1;ESI−MS,m/z(M−2NH2− 619.9,(M−2NH−RCOO)1011.9,(M−2NH+H)1240.2。
【0084】
方法2.2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩のサンプル(124.7mg,0.09mmol)を、THF(15mL)に溶解し、圧力50psi下一晩、10%Pd−C(50mg)で水素化した。触媒を除くために濾過後、溶液を蒸発乾固した。残渣をTHF(2mL)に溶解し、次いでアセトン(10mL)を用いて沈殿させた。混合物を一晩フリーザーに保ち、白色固体を濾過し、少量の冷アセトンで洗浄した。ドライアライト下3時間、真空デシケーター中で乾燥後、1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩(テトラミリストイル カルジオリピン)98.6mgを得た。収率は85%である。TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.29。
【実施例2】
【0085】
実施例2
2A.cis−2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−イル t−ブチルジメチルシリルエーテルの合成
【0086】
【化11】

【0087】
標記化合物は、改変したDodd et al.,J.Chem.Soc.Perkin I,2273−2277(1976)に記載の手順に基き、cis−2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−オールから製造する。以下は、改変した方法である。
【0088】
DMF(15mL)中のcis−2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−オール(5.01g,27.8mmol)とイミダゾール(3.78g,55.5mmol)の溶液に、ジメチル−t−ブチルシリルクロリド(5.03g,33.4mmol)を一部ずつ加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いでHO(20mL)を加えた。混合物をヘキサン(25mLx3)で抽出した。有機相を一緒にし、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、真空濃縮し、無色油状物としてcis−2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−イル t−ブチルジメチルシリルエーテルを定量的収量(8.18g)で得た。この生成物は、更なる精製無しに次工程合成で使用した。
【0089】
2B.2−O−t−ブチルジメチルシリルグリセロールの合成
【0090】
【化12】

【0091】
標記化合物を、Dodd et al.,JChem.Soc.Perkin 1,2273−2277(1976)に記載された方法に従って、cis−2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−イル t−ブチルジメチルシリルエーテルから製造する。HNMR(500MHz,CDCl) δ 3.65(m,5H,CHCHCH),1.88(t,J=6.0,2H,OH),0.92(s,9H,SiCCH),0.12(s,6H,SiCH).
【0092】
2C.十分に保護されたカルジオリピンの合成
【0093】
【化13】

【0094】
R=ミリストイル(C14:0鎖)
【0095】
CHCl(6mL)中のo−クロロフェニル ジクロロホスフェート(1.51g,6.15mmol)と乾燥ピリジン(2.7mL,33.3mmol)の溶液に、CHCl(30mL)中の1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロール(3.08g,6.0mmol)の溶液を、0℃で15分で滴下添加した。反応混合物を、0℃で1時間、室温で1時間撹拌後、CHCl(6mL)中の2−O−t−ブチルジメチルシリルグリセロール(495.3mg,2.4mmol)の溶液を滴下添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。有機溶媒を真空除去し、残った残渣を、冷酢酸エチル(120mL)/0.25N HCl(120mL)で注意深く処理した。有機相を、水、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空濃縮した。得られた残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(4:1から3.5:1へ)を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、無色油状物として十分に保護されたカルジオリピン2.79gを得た。収率は74%である。TLC(ヘキサン/EtOAc 3:1) R=0.42;HNMR(500MHz,CDCl) δ 7.41(d,J=8.0Hz,4H,ArH),7.23(t,J=8.0Hz,2H,ArH),7.12(t,J=8.0Hz,2H,ArH),5.23(m,2H,RCOOCH),4.36−4.06(m,13H,RCOOCH,POCH,SiOCH),2.26(m,8H,−CHCOO−),1.57(m,8H,−CHCHCOO−),1.25(br s,80H,CH),0.88(t,J=6.5,12H,CH),0.87(s,9H,SiCCH),0.08(s,6H,SiCH)。
【0096】
2D.1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)−2−O−(t−ブチルジメチルシリル)グリセロール 二アンモニウム塩の合成
【0097】
【化14】

【0098】
R=ミリストイル(C14:0鎖)
【0099】
THF(10mL)中の十分に保護されたカルジオリピン(0.68g,0.43mmol)の撹拌溶液に、2−ニトロベンズアルドオキシム(0.71g,4.26mmol)とテトラメチルグアニジン(0.45g,3.91mmol)を加えた。水3滴の添加後、混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空除去した。残渣をCHCl(25mL)に溶解し、HO(10mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、真空濃縮した。得られた黄色残渣を、CHCl/MeOH/NHOH(65:15:1)を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、白色固体として1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)−2−O−(t−ブチルジメチルシリル)グリセロール 二アンモニウム塩を370mg得た。収率は62%である。TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.64;HNMR(500MHz,CDCl) δ 7.32(br s,NH),5.26(m,2H,RCOOCH),4.34−3.92(m,13H,RCOOCH,POCH SiOCH),2.30(m,8H,−CHCOO−),1.58(m,8H,−CHCHCOO−),1.30(br s,80H,CH),0.88(t,J=6.5,12H,CH),0.87(s,9H,SiCCH),0.08(s,6H,SiCH)。
【0100】
2E.1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩(テトラミリストイル カルジオリピン)の合成
【0101】
【化15】

【0102】
R=ミリストイル(C14:0鎖)
【0103】
CHCl(1mL)、MeOH(20mL)及びHO(7mL)中の1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)−2−O−(t−ブチルジメチルシリル)グリセロール 二アンモニウム塩(138.0mg,0.099mmol)の撹拌混合物に、1N HCl(0.3mL)を滴下添加した。混合物を室温で6時間撹拌し、次いで、氷浴中で冷却した。冷反応混合物に、10%NHOH(2mL)を滴下添加した。有機溶媒を真空除去し、残りの水相をCHClで2回抽出した。一緒にした有機相をNaSOで乾燥し、濃縮乾固した。残渣をTHF(5mL)に溶解し、次いでアセトン(25mL)を用いて沈殿させた。混合物を一晩フリーザーに保ち、白色固体を濾過し、少量の冷アセトンで洗浄した。ドライアライト下1時間、P下5時間、真空デシケーター中で乾燥後、1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩(テトラミリストイル カルジオリピン)115mgを得た。収率は83%であった。TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.29。実施例2Eから製造されたテトラミリストイル カルジオリピンの特徴は、実施例1Cからのものと同一である。
【実施例3】
【0104】
実施例3
3A.十分に保護された不飽和カルジオリピンの合成
【0105】
【化16】

【0106】
R=オレオイル(C18:1鎖)
【0107】
1,2−ジミリストイル−sn−グリセロールの代わりに1,2−O−ジオレオイル−sn−グリセロールに置換して、標記化合物を実施例2Cに記載の方法に従って製造した。生成物は無色油状物で、収率は35%であった。TLC(ヘキサン/EtOAc 3:1) R=0.46;HNMR(300MHz,CDCl) δ 7.41(d,J=8.0Hz,4H,ArH),7.23(t,J=8.0Hz,2H,ArH),7.12(t,J=8.0Hz,2H,ArH),5.36(m,8H,オレフィン性プロトン),5.24(m,2H,RCOOCH),4.35−4.06(m,13H,RCOOCH,POCH,SiOCH),2.28(m,8H,−CHCOO−),2.00(m,16H,アリル性CH),1.57(m,8H,−CHCHCOO−),1.28(br s,88H,CH),0.88(t,J=6.5,12H,CH),0.88(s,9H,SiCCH),0.08(s,6H,SiCH)。ESI−MS,m/z(M+Na)1816.4。
【0108】
3B.1,3−ビス(1,2−O−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)−2−O−(t−ブチルジメチルシリル)グリセロール 二アンモニウム塩の合成
【0109】
【化17】

【0110】
R=オレオイル(C18:1鎖)
【0111】
方法1.THF(3mL)中の、実施例3Aに記載の方法により製造された、十分に保護された不飽和カルジオリピン(170.0mg,0.095mmol)の撹拌溶液に、2−ピリジンアルドオキシム(92.7mg,0.76mmol)とテトラメチルグアニジン(80.6mg,0.70mmol)を加えた。水1滴の添加後、混合物を室温で7時間撹拌した。溶媒を真空除去した。残渣をCHCl(10mL)に溶解し、HO(4mLx2)で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空濃縮した。得られた残渣を、CHCl/MeOH/NHOH(65:15:1)を用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製し、白色ゴム状固体として1,3−ビス(1,2−O−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)−2−O−(t−ブチルジメチルシリル)グリセロール 二アンモニウム塩を134mg得た。収率は88%である。TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.67;HNMR(300MHz,CDCl) δ 7.39(br s,NH),5.34(m,8H,オレフィン性プロトン),5.25(m,2H,RCOOCH),4.31−3.90(m,13H,RCOOCH,POCH,SiOCH),2.30(m,8H,−CHCOO−),2.01(m,16H,アリル性CH),1.59(m,8H,−CHCHCOO−),1.29(br s,88H,CH),0.88(t,J=6.5,12H,CH),0.87(s,9H,SiCCH),0.08(s,6H,SiCH)。ESI−MS,m/z(M−2NH2−784.8,(M−2NH−RCOO)1288.3,(M−2NH+H)1571.9。
【0112】
方法2.THF(8mL)中の、実施例3Aに記載の方法により製造された、十分に保護された不飽和カルジオリピン(0.59g,0.33mmol)の撹拌溶液に、2−ニトロベンズアルドオキシム(0.54g,3.23mmol)とテトラメチルグアニジン(0.35g,3.00mmol)を加えた。水3滴の添加後、混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空除去した。残渣をCHCl(15mL)に溶解し、HO(6mL)で洗浄した。有機相を真空濃縮した。得られた黄色残渣を、CHCl/MeOH/NHOH(65:15:1)を用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製し、白色ゴム状固体として1,3−ビス(1,2−O−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)−2−O−(t−ブチルジメチルシリル)グリセロール 二アンモニウム塩を350mg得た。収率は66%である。TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.67。
【0113】
3C.1,3−ビス(1,2−O−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩(テトラオレオイル カルジオリピン)の合成
【0114】
【化18】

【0115】
R=オレオイル(C18:1鎖)
【0116】
CHCl(10mL),MeOH(20mL)及びHO(7mL)中の1,3−ビス(1,2−O−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)−2−O−(t−ブチルジメチルシリル)グリセロール 二アンモニウム塩(110.1mg,0.069mmol)の撹拌混合物に、1N HCl(0.3mL)を滴下添加した。混合物を室温で5時間撹拌した。更に0.1mLの1N HClを加えた。混合物を室温で更に4時間撹拌し、次いで、氷浴中で冷却した。冷反応混合物に、10%NHOH(2mL)を滴下添加した。有機溶媒を真空除去し、残りの残渣をCHClで抽出した。有機層を濃縮乾固した。粗生成物をCHCl/MeOH/NHOH(65:15:1)を用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し、白色ゴム状固体として1,3−ビス(1,2−O−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩(テトラオレオイル カルジオリピン)を71mg得た。収率は70%である。TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.40;HNMR(300MHz,CDCl) δ 7.43(br s,NH),5.34(m,8H,オレフィン性プロトン),5.19(m,2H,RCOOCH),4.38−3.91(m,13H,RCOOCH,POCH,HOCH),2.29(m,8H,−CHCOO−),2.17(br s,1H,OH),2.01(m,16H,アリル性CH),1.58(m,8H,−CHCHCOO−),1.29(br s,88H,CH),0.87(t,J=6.5,12H,CH)。ESI−MS,m/z(M−2NH2−727.6,(M−2NH−RCOO)1174.2,(M−2NH+H)1456.6。
【実施例4】
【0117】
実施例4
4A.十分に保護されたカルジオリピンの合成
【0118】
【化19】

【0119】
R=ミリストイル(C14:0鎖)
【0120】
CHCl(10mL)中のN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリド(1.92g,9.22mmol)と乾燥N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.92mL,11.1mmol)の溶液に、CHCl(45mL)中の1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロール(4.61g,9.0mmol)の溶液を室温で30分で滴下添加した。反応混合物を室温で1.5時間撹拌後、アセトニトリル(71.8mL,24.3mmol)中の3重量%溶液の1H−テトラゾールを加えた。この反応混合物に、CHCl(10mL)中の2−ベンジルオキシ−1,3−プロパンジオール(0.66g,3.60mmol)の溶液を滴下添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応混合物を−40℃に冷却し、反応混合物の温度が0℃未満に保たれるように、CHCl(10mL)中の77%m−クロロペルオキシ安息香酸(2.64g,11.80mmol)の溶液を加えた。25℃に温めて、混合物を分離漏斗に移し、5%NaHCO(2x50mL),冷1N HCl(2x15mL),水、ブラインで洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、真空濃縮し、油状残渣を得た。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(2:1から1:1へ)で溶出するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、無色油状物として十分に保護されたカルジオリピン4.38gを得た。収率は90%である。TLC(ヘキサン/EtOAc 1:1) R=0.16;HNMR(300MHz,CDCl) δ 7.35(m,5H,ArH),5.22(m,2H,RCOOCH),4.67(m,2H,CHPh),4.34−4.06(m,12H,RCOOCH,POCH),3.83(m,1H,BnOCH),3.75(dt,J=11.4,J=3.0,6H,POCH),2.31(m,8H,−CHCOO−),1.59(m,8H,−CHCHCOO−),1.25(br s,80H,CH),0.88(t,J=6.6,12H,CH)。
【0121】
4B.2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩の合成
【0122】
【化20】

【0123】
R=ミリストイル(C14:0鎖)
【0124】
2−ブタノン(85mL)中の十分に保護されたカルジオリピン(1.80g,1.32mmol)の撹拌溶液に、NaI(0.59g,3.96mmol)を加え、反応混合物を1.5時間還流し、25℃に冷却した。生じた白色沈殿を濾過し、冷2−ブタノンで洗浄し、白色固体として2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二ナトリウム塩1.71gを得た。
【0125】
Bligh and Dyer,Can.J.Biochem.,37:911−917(1959)の抽出方法の適用によって、二ナトリウム塩を、対応する遊離酸に変換した。即ち、上記二ナトリウム塩を、CHCl(80mL),MeOH(160mL) 及び0.1N HCl(80mL)の冷混合物に溶解し、室温で40分間撹拌した。次いで、HO(80mL)及びCHCl(80mL)を加え、分離したCHCl相を単離し、HO(50mL)で洗浄した。10%NHOH(15mL)の添加によって有機相を中和した。有機相を分離し、真空濃縮し、残渣を得、それを、CHCl/MeOH/NHOH(65:15:1)を用いる短いシリカゲルカラムで更に精製し、白色固体として2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩を1.42g得た。収率は79%であった。 TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.64。実施例4Bから製造された最終生成物の特徴は、実施例1Bからのものと同一である。
【0126】
4C.1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩(テトラミリストイル カルジオリピン)の合成
【0127】
【化21】

【0128】
R=ミリストイル(C14:0鎖)
【0129】
標記化合物は、実施例1Cに記載の方法に従って製造される。実施例4で記載した方法から製造されたテトラミリストイル カルジオリピンの特徴は、実施例1からのものと同一である。
【実施例5】
【0130】
実施例5
5A.2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリスチル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール ジメチルエステルの合成
【0131】
【化22】

【0132】
R=ミリスチル(C14:0鎖)
【0133】
CHCl(4mL)中のN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリド(1.02g,5.15mmol)と乾燥N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.2mL,6.94mmol)の撹拌溶液に、CHCl(20mL)中の1,2−O−ジミリスチル−sn−グリセロール(2.00g,4.13mmol)の溶液を室温で15分で滴下添加した。反応混合物を室温で1.5時間撹拌後、アセトニトリル(31.0mL,10.5mmol)中の3重量%溶液の1H−テトラゾールを加えた。この反応混合物に、CHCl(5mL)中の2−ベンジルオキシ−1,3−プロパンジオール(0.30g,1.65mmol)の溶液を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応混合物を−40℃に冷却し、CHCl(7mL)中の77%m−クロロペルオキシ安息香酸(1.14g,6.6mmol)の溶液を加えた。混合物を30分間室温に徐々に温めて、次いで、混合物を分離漏斗に移動し、5%NaHCO(2x30mL),1N HCl(2x20mL),水、ブラインで洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、真空濃縮した。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(1:0から1:1へ)のグラジエントで溶出するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリスチル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール ジメチルエステル1.69gを得た。収率は79%である。TLC(ヘキサン/EtOAc 1:1) R=0.24.HNMR(300MHz,CDCl) δ 7.35−7.29(m,5H,ArH),4.68(m,2H,CHPh),4.26−4.02(m,8H,POCH),3.86(m,2H,ROCH),3.75(d,J=12.0,6H,POCH),3.61−3.38(m,13H,−CHOCH−,−CHOCH−,BnOCH),1.54(m,8H,−CHCHO−),1.29(m,88H,CH),0.88(t,J=6.7,12H,CH)。
【0134】
5B.2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリスチル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩の合成
【0135】
【化23】

【0136】
R=ミリスチル(C14:0鎖)
【0137】
2−ブタノン(4mL)中の2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリスチル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール ジメチルエステル(230mg,0.18mmol)の撹拌溶液に、NaI(88mg,0.59mmol)を加えた。反応混合物を1.5時間還流し、25℃に、次いで0℃に冷却した。生じた白色沈殿を濾過し、冷2−ブタノンで洗浄し、2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリスチル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二ナトリウム塩を得た。二ナトリウム塩を、クロロホルム/メタノール/0.1N HCl(30:5:15 mL)にとり、1時間激しく撹拌した。有機相を分離し、水相をクロロホルム(2x10mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物を水(2x10mL)で洗浄した。水酸化アンモニウム水溶液(5ml)をクロロホルム抽出物に加え、真空濃縮し、高真空下一晩乾燥し、2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリスチル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩231mgを得た。収率は60%である。TLC(CHCl/MeOH/NHOH,65:25:5) R=0.5;HNMR(CDCl): δ 7.29−7.21(m,5H,ArH),4.57(m,2H,CHPh),4.21−3.38(m,23H,POCH,−CHOCH−;−CHOCH−,BnOCH),1.50(m,8H,CHCHO−),1.25(m,88H,CH),0.89(t,12H,J=6.54Hz,CH);ESI−MS,m/z(M−2NH+H),1274.1,(M−2NH2−636.9。
【0138】
5C.1,3−ビス(1,2−O−ジミリスチル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩(テトラミリスチルカルジオリピンエーテルアナログ)の合成
【0139】
【化24】

【0140】
R=ミリスチル(C14:0鎖)
【0141】
2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリスチル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩(85mg,0.065mmol)を、テトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。これに、10%Pd−C(70mg)を加え、混合物を16時間50psiでParrハイドロゲネーター上で振盪した。溶液をセライトパッドで濾過し、クロロホルム(5mL)で洗浄した。濾液と洗浄液を一緒にし、真空濃縮し、乾燥した。テトラヒドロフラン(0.2mL)−アセトン(8mL)混合物から結晶化後、1,3−ビス(1,2−O−ジミリスチル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩44mg。収率は56%である。TLC(CHCl/MeOH/NHOH,65:25:5) R=0.28;HNMR(CDCl): δ 7.29(br,NH),4.20−3.80(m,8H,POCH),3.57−3.41(m,15H,CHOCH;CHOCH−,HOCH),2.3(br,1H,OH),1.53(m,8H,CHCHO−),1.25(m,88H,CH),0.875((t,12H,J=6.9Hz,CH);ESI−MS,m/z 1184.7(M−2NH+H),591.3(M−2NH2−
【実施例6】
【0142】
実施例6
6A.2−O−ベンジル−1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩の合成
【0143】
【化25】

【0144】
R=ミリストイル(C14:0鎖)
【0145】
ピリジン(2mL)中のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(265mg,1.28mmol)の撹拌溶液に、無水CHCl(3mL)中の1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(281mg,0.47mmol)を滴下添加した。溶液を室温で5分撹拌し、次いで、CHCl(8mL)中の2−ベンジルオキシ−1,3−プロパンジオール(0.71g,3.90mmol)を加え、撹拌を室温で24時間続けた。反応液を濾過し、CHClで洗浄した。濾液を濃縮し、トルエンと共蒸発させ、微量のピリジンを除去した。残渣へCHCl(15mL)を加え、混合物をフリーザー中で一晩保存した。白色沈殿を濾過で除去した。濾液を真空濃縮し、CHCl/MeOH/NHOH(65:15:1)で溶出するシリカゲルカラムで精製した。収量13mg(4%)。TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.64。TLCは、実施例1Bで記載した方法に従って製造した真正サンプルと同一であった。
【0146】
6B.1,3−ビス(1,2−O−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル)グリセロール 二アンモニウム塩(テトラミリストイル カルジオリピン)の合成
【0147】
【化26】

【0148】
R=ミリストイル(C14:0鎖)
【0149】
標記化合物は、実施例1Cに記載の方法に従って製造される。TLC(CHCl/MeOH/NHOH 65:25:5) R=0.29。TLCは、実施例1Cで記載した方法に従って製造した真正サンプルと同一であった。
【実施例7】
【0150】
実施例7
本実施例は、本発明のカルジオリピン含有のリポソーム組成物の製造を示す。上記で製造したテトラミリストイルカルジオリピン19.1μmol、ホスファチジルコリン96.2μmol、コレステロール64.6μmolを混合して、小さい単一ラメラベシクルを形成する。徹底的な撹拌後、ロータリーエバポレーターを用い、50ml丸底フラスコ中で混合物を蒸発乾固する。生じた乾燥脂質フィルムを、10mlの滅菌したパイロジェン非含有の水に再懸濁する。30分の膨潤時間後、生じる懸濁液を、25℃の固定温度浴で15分間音波処理する。次いで、リポソーム製剤を、トレハロースと共に凍結乾燥する。
【実施例8】
【0151】
実施例8
本実施例は、アンスラサイクリンであるドキソルビシンを保持する、上記で製造したテトラミリストイルカルジオリピンを含むリポソームの製造を示す。40mgのカルジオリピン−リポソーム凍結乾燥物と、2mg/mlで0.85%NaCl中に前もって調製したドキソルビシン2.5mlの単純なボルテックス混合によって、臨床投与のために、リポソームドキソルビシンを製造できる。ボルテックス混合は1分で完了し、15分インキュベーションのために、混合物を37℃に保つ。
【実施例9】
【0152】
実施例9
本実施例は、薬剤ミトキサントロンHClを保持するリポソームの製造を示す。溶液の全重量が13.05kgとなるように、t−ブチルアルコール中の1.96gmのD−α−トコフェロール、上記で製造した58.7gmのテトラミリストイルカルジオリピン、97.9gmコレステロール、293.6gmの卵ホスファチジルコリンを混合して、脂質混合物を調製する。次いで、トレハロース二水和物122.4gmを含有する3,080gmの水溶液を上記ブチルアルコール溶液中に混合する。バイアルを、この混合物11.1gmで充填し、凍結乾燥するが、脂質約300mgが各バイアルに含まれるようにする。Novantrone(登録商標)(15mg)7.5mlと水7.5mlを脂質バイアルに加え、リポソーム包埋ミトキサントロンを製造する。リポソームを、室温で30分間水和させ、2分間激しくボルテックスし、最大強度で10分音波処理する。8時間内での使用のために、45分かけて、適切な量をシリンジ又は標準点滴セットに分配する。
【実施例10】
【0153】
実施例10
本実施例は、薬剤パクリタキセルを保持するリポソームの製造を示す。パクリタキセルは、カルジオリピン、ホスファチジルコリン、コレステロール、α−トコフェロールのリポソームに包埋できる。パクリタキセルの1mg当り、脂質の割合は、
1.8mg カルジオリピン
9.0mg ホスファチジルコリン
3.0mg コレステロール
0.1mg α−トコフェロール
である。
【0154】
リポソーム包埋パクリタキセルは、12.0リットルフラスコにt−ブチルアルコール8.89キログラムを加え、40−45℃に加熱することによって製造できる。以下の添加は、溶解と40−45℃での加熱まで、混合と共に順次なされた:D−α−トコフェリル酸サクシネート3.412グラム、卵ホスファチジルコリン205グラム、パクリタキセル22.78グラム、上記で製造したテトラミリストイルカルジオリピン41.00グラム、コレステロール68.33グラム。
【0155】
生じる溶液は、0.22ミクロンフィルターで濾過する。生じる濾液を、滅菌バイアルに充填し、各々は、濾液約10.1グラムを含む。バイアルにストッパーをかけ、凍結乾燥した。使用まで、バイアルは、−20℃で保存できる。
【0156】
必要なとき、通常の生理食塩水によって、リポソームは、乾燥脂質フィルムから製造される。約1時間、混合物を室温で水和させ、その後、約1分ボルテックスし、最大周波数で浴型音波器で約10分音波処理する。バイアルの内容物の適当量を、点滴バッグに移すことができ、本発明に従って、患者に点滴することができる。
【0157】
パクリタキセルのリポソーム製剤は、実質的な毒性反応を誘導せずに、ヒトに大量のタキサンを急速に投与するために使用できる。治療は、約1時間、又は45分さえ、もしくはそれ未満の時間で、静脈内に投与できる。少なくとも3人の患者は、ほぼ以下の投与量で治療された:90mg/m、135mg/m、175mg/m、250mg/m、300mg/m(通常の実験室や治療的投与量変動を可能とする)。製剤は、ステロイド、抗ヒスタミン剤、又はアナフィラキシー阻害剤などの他の治療剤による前処置なく、単一薬剤として与えることができる。治療は、患者耐性が許す限り、21日毎に繰り返すことができる。
【実施例11】
【0158】
実施例11
本実施例は、溶液中にSN−38を含有するリポソームの製造を示す。約35−40℃に温められているt−ブチルアルコール約1kgへD−α−トコフェロール酸サクシネート約0.2gを加えることによって脂質フィルムを製造する。トコフェロールが溶解するまで、溶液を約5分混合する。上記で製造したテトラミリストイルカルジオリピン約6.0gを溶液に加え、溶液を約5分混合する。コレステロール約10gを溶液に加え、該溶液を更に約5分混合し、次いで、卵ホスファチジルコリン約30gを加え、次いで、更に5分混合する。生じる脂質溶液約11グラムを凍結乾燥し、脂質フィルムが産生される。
【0159】
リポソーム性SN−38を製造するために、8〜10のpHを有するアルカリ水溶液中にSN−38を溶解することによって、SN−38の1.2mg/ml溶液を調製する。このSN−38溶液の約15mlを、脂質フィルムを含有するバイアルに加える。バイアルを温和に回転し、室温で30分間水和させ、2分激しくボルテックスし、最大強度で浴型音波器中で10分間音波処理する。リポソーム溶液のpHを酸性pHに下げる。この方法を用いて、SN−38の90重量%超が、リポソームの形態の脂質と複合体形成する。
【0160】
引用文献:
1. Bruzik, K. S.; Kubiak, R. J. Tetrahedron Lett., 36: 2415-2418 (1995).
2. DeHaas, G. H.; Bonsen, P. P. M.; VanDeenen, L. L. M. Biochim. Biophys. Acta, 116: 114-124 (1966).
3. Dodd, G. H.; Dolding, B. T.; Ioannou, P. V. J. Chem. Soc. Perkin I, 21: 2273 - 2277 (1976).
4. Duralski, A. A.; Spooner, P. J. R.; Rankin, S. E.; Watts, A. Tetrahedron Lett., 39: 1607-1610 (1998).
5. Inoue, K.; Nojima, S. Chem. Pharm. Bull., 16: 76-81 (1968).
6. Inoue, K.; Suhara, Y.; Nojima, S. Chem. Pharm. Bull., 11: 1150-1156 (1963).
7. Ioannou, P. V.; Golding, B. T. Prog. Lipid Res. 17: 279-318 (1979).
8. Ioannou, P. V.; Marecek, J. F. Chem. Chron. 15: 205-220 (1986).
9. Keana, J. F.; Shimizu, M.; Jernstedt, K. K. J. Org. Chem. 51: 2297-2299 (1986).
10. Mishina, I. M.; Vasilenko, I. A.; Stepanov, A. E.; Shvets, V. I. Bioorg. Khim., 11 : 992-994 (1985).
11. Mishina, I. M.; Vasilenko, I. A.; Stepanov, A. E.; Shvets, V. I. Bioorg. Khim., 13: 1110-1115 (1987).
12. Moschidis, M. C. Chem. Phys. Lipids, 46: 253-257 (1988).
13. Ramirez, F.; Ioannou, P. V.; Marecek, J. F.; Golding, B. T.; Dodd, G. H.
Synthesis, 769-770 (1976).
14. Ramirez, F.; Ioannou, P. V.; Marecek, J. F.; Dodd, G. H.; Golding, B. T.
Tetrahedron, 33: 599-608 (1977).
15. Saunders, R. M.; Schwarz, H. P. J. Am. Chem. Soc. 88: 3844-3847 (1966).
Stepanov, A. E.; Makarova, I. M.; Shvets, V. I. Zh. Org. Khim., 20: 985-988 (1984).
【0161】
本明細書で引用した刊行物、特許出願、及び特許を含み、前述のリストのものと本明細書でその他の個所で引用したものを含む、本明細書全ての引用文献は、各引用文献が引用により含まれるように個々に、及び具体的に示され、本明細書にその全体が記載されているかのような程度まで、引用により本明細書に含まれるものである。
【0162】
本発明の説明の文脈において(特に、以下のクレームの文脈において)、用語“a”及び“an”及び“the”及び同様の指示語の使用は、本明細書で違うように記載されるか、文脈によって明確に否定されなければ、単数と複数の両方を包含するように解釈されるべきである。用語“含む(comprising)”“有する(having)”“含む(including)”及び“含む(containing)”は、ことわりがない限り、許容範囲が制約のない用語(open−ended terms)(即ち、「・・を含むが、・・に限定されない」ことを意味する)として解釈されるべきである。本明細書で値の範囲の記載は、本明細書で違うように記載されていなければ、その範囲内の各々の分離した値へ個々に言及することの略記方法として役立つことが単に意図され、各々の分離した値は、それが本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に含まれるものである。本明細書で記載される方法の全ては、本明細書で違うように記載されるか、さもなければ文脈によって明確に否定されなければ、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書で提供される任意の、及び全ての例、又は例示的言葉(例えば、“などの”)の使用は、本発明をより良く明瞭にすることが単に意図され、違うようにクレームされていなければ、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書の如何なる言葉も、本発明の実施に必須なものとしてクレームされていないいかなる要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0163】
本発明を実施するのに本発明者らが知っている最良の形態を含む、本発明の好適な実施態様を本明細書で記載する。上記説明を読むと、それらの好適な実施態様のバリエーションが当業者に明白となろう。本発明者らは、当業者が適宜このようなバリエーションを用いることを期待し、本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載されたものとは異なるように実施されることを意図する。それ故、本発明は、適用法によって許されるように、本明細書に添えられたクレームに記載の主題の全ての改変及び均等物を含むものである。更に、本明細書で違うように記載されていないか、さもなければ文脈によって違うように明瞭に否定されていなければ、その全ての可能なバリエーション中の上記要素の任意の組合わせも本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】図1は、カルジオリピンの一般的構造を示す。
【図2】図2は、カルジオリピンの1つの合成スキームを示す。
【図3】図3は、カルジオリピンの別の合成スキームを示す。
【図4】図4は、カルジオリピンエーテルアナログの別の合成スキームを示す。
【図5】図5は、カルジオリピンの別の合成スキームを示す。
【図6】図6は、カルジオリピンの別の合成スキームを示す。
【図7】図7は、カルジオリピンの別の合成スキームを示す。
【図8】図8は、カルジオリピンの別の合成スキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造
【化1】

(式中、Z及びZは、同一又は異なって、−O−C(O)−,−O−,−S−,又は−NH−C(O)−であり;
及びRは、同一又は異なって、H及び/又は飽和もしくは不飽和アルキル基であり;
は(CHであり、及びn=0−10;
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、多糖などの炭水化物、複素環、ヌクレオシド、又はポリヌクレオチドであり;
Xはカチオンである)
を有するカルジオリピン分子。
【請求項2】
以下の構造
【化2】

を有する、請求項1に記載のカルジオリピン分子。
【請求項3】
以下の構造
【化3】

を有するカルジオリピンエーテルアナログである、請求項1に記載のカルジオリピン分子。
【請求項4】
以下の構造
【化4】

(式中、Z及びZは、同一又は異なって、−O−C(O)−,−O−,−S−,−NH−C(O)−であり;
及びRは、同一又は異なって、H又は飽和もしくは不飽和アルキル基であり;
は、(CHであり、及びn=0−10;
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、多糖などの炭水化物、複素環、ヌクレオシド、又はポリヌクレオチドであり;
は、リンカーであり;
Xはカチオンである)
を有するカルジオリピンアナログ。
【請求項5】
リンカーが、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルオキシ、1〜500個のアルキルオキシマーを含有するペギレーテッドエーテルなどのポリアルキルオキシ、置換ポリアルキルオキシなど、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、及び多糖などの炭水化物を含む、請求項4に記載のカルジオリピンアナログ。
【請求項6】
及び/又はRの少なくとも1つが、14〜34個の炭素を有する飽和又は不飽和アルキル基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカルジオリピン分子。
【請求項7】
Xが非毒性カチオンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカルジオリピン分子。
【請求項8】
Xは、水素、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はバリウムイオンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカルジオリピンアナログ。
【請求項9】
カルジオリピン分子又はそのアナログの製造方法であって、
N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド又はN,N’−カルボニルジイミダゾールであるカップリング剤の存在下、ホスファチジン酸と2−O−保護グリセロールを反応させることを含む方法。
【請求項10】
カルジオリピン又はそのアナログの製造方法であって、トリイソプロピルベンゼンスルホニル クロリド、又はN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド又はN,N’−カルボニルジイミダゾールであるカップリング剤の存在下、ホスファチジン酸とグリセロールを反応させることを含む方法。
【請求項11】
カルジオリピン分子の製造方法であって、ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、式V
【化5】

(式中、Z及びZは、同一又は異なって、−O−C(O)−,−O−,−S−,−NH−C(O)−であり、R及びRは、同一又は異なって、H及び/又は飽和もしくは不飽和アルキル基であり;Rは(CHであり、及びn=0−10)
のアルコールと、2−O−保護グリセロール又は2−O−置換グリセロールを反応させることを含む方法。
【請求項12】
及び/又はRの少なくとも1つが、4〜34個の炭素を有する飽和又は不飽和アルキル基である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
及び/又はRの少なくとも1つが、14〜24個の炭素を有する飽和又は不飽和アルキル基である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
カルジオリピン分子が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分子である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、1,2−O−ジアシルグリセロールと2−O−保護グリセロールを反応させることを含む、請求項2に記載のカルジオリピンの製造方法。
【請求項16】
ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、1,2−O−ジアルキルグリセロールと2−O−保護グリセロールを反応させることを含む、請求項3に記載のカルジオリピンの製造方法。
【請求項17】
ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、式Vのアルコールと式VI
【化6】

(式中、R及びRは、請求項4又は5中に定義されている通りである)のジオールを反応させることを含む、請求項4又は5に記載のカルジオリピンアナログの製造方法。
【請求項18】
カップリング剤が、式VII
【化7】

(式中、Wは、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、アリル、2−置換エチル、2,2,2−トリブロモエチルなどのハロエチルを含むアルキル基又は置換アルキル基;ベンジル基又は置換ベンジル基;フェニル基、又は2−クロロフェニル、4−クロロフェニル及び2,4−ジクロロフェニルなどの置換フェニル基;又は任意の他の除去可能保護基である)のジクロロホスフェートである、請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
カップリング剤が、N,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドである、請求項11〜17に記載の方法。
【請求項20】
請求項9〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログ。
【請求項21】
リポソームの製造方法であって、請求項9〜19の方法のいずれかによってカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを製造し、次いで、該カルジオリピン又はカルジオリピンアナログをリポソームに含ませることを含む方法。
【請求項22】
リポソーム中に活性剤を保持させる方法であって、請求項9〜19のいずれか1項に記載の方法のいずれかによってカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを製造し、該カルジオリピン又はカルジオリピンアナログ及び活性剤をリポソームに含ませることを含む方法。
【請求項23】
活性剤が薬剤を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
活性剤がオリゴヌクレオチドを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
活性剤が抗癌剤を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
活性剤が、リポソーム内に捕捉されるようになる、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
活性剤がカルジオリピンと複合体形成するようになる、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
リポソームを凍結保護物質と共に凍結乾燥することを更に含む、請求項21〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
請求項21〜28のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるリポソーム組成物。
【請求項30】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のカルジオリピンを含む組成物。
【請求項31】
請求項9〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含む組成物。
【請求項32】
ホスファチジルコリン、ステロール及びトコフェロールを更に含む、請求項29〜31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジアラキドノイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、水素添加大豆ホスファチジルコリン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるホスファチジルコリンを更に含む、請求項29〜32のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジアラキドノイルホスファチジルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択されるホスファチジルグリセロールを更に含む、請求項29〜33のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項35】
コレステロール、コレステロール誘導体、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、コレステロールヘミサクシネート、コレステロールサルフェート、及びそれらの混合物からなる群から選択されるステロールを更に含む、請求項29〜34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
標的指向剤を更に含む、請求項29〜35のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項37】
標的指向剤が蛋白質である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
蛋白質が、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ペプチドホルモン、レセプターリガンド、及びそれらの混合物からなる蛋白質の群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
標的指向剤が炭水化物である、36に記載の組成物。
【請求項40】
リガンドを更に含む、請求項29〜39のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項41】
リガンドが、細胞レセプターの抗体又はリガンドである、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
活性剤を含む、請求項29〜41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
活性剤が、カルジオリピンと複合体形成する、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
活性剤が、1種以上の遺伝子ベクター、アンチセンス分子、蛋白質、ペプチド又は薬剤を含む、請求項42又は43に記載の組成物。
【請求項45】
活性剤が、1種以上の抗癌剤を含む、請求項42〜44のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
脂質複合体又はエマルションの形態である、請求項29〜45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項47】
リポソームを含む、請求項29〜46のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項48】
リポソームがカルジオリピンを含む、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
活性剤を更に含む、請求項47又は48に記載の組成物。
【請求項50】
リポソーム形態の請求項1〜8及び20のいずれか1項に記載のカルジオリピン又はカルジオリピンアナログ及び活性剤を含む組成物。
【請求項51】
リポソーム形態の、請求項9〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログと活性剤とを含む組成物。
【請求項52】
活性剤が、1つ以上のリポソーム中に捕捉される、請求項47〜51のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
活性剤が、カルジオリピンと複合体形成している、請求項47〜52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
凍結乾燥形態の、請求項47〜53に記載の組成物。
【請求項55】
凍結保護物質を更に含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
リポソームの直径が約1ミクロン以下である、請求項47〜55のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項57】
リポソームの直径が約500nm以下である、請求項47〜56のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項58】
リポソームの直径が約200nm以下である、請求項47〜57のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項59】
リポソームの直径が約100nm以下である、請求項47〜58のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項60】
医薬として許容できる賦形剤を更に含む、請求項29〜59のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項61】
疾患の治療用医薬を製造するための、請求項29〜60のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項62】
疾患が癌である、請求項61に記載の使用。
【請求項63】
細胞への活性剤の送達方法であって、請求項42〜60のいずれか1項に記載の組成物を製造し、該組成物を細胞に曝すことを含む方法。
【請求項64】
細胞がインビトロである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
細胞がインビボである、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
ヒト又は動物の疾患の治療方法であって、請求項42〜60のいずれか1項に記載の組成物を製造し、活性剤がヒト又は動物患者に送達されるように、該組成物を、その必要のあるヒト又は動物に曝すことを含む方法。
【請求項67】
疾患が癌であり、活性剤が抗癌剤である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
組成物が、1つ以上のリポソームを含む、請求項63〜67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
活性剤が、組成物中でカルジオリピンと複合体形成している、請求項63〜68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
活性剤が、組成物中でリポソーム内に捕捉されている、請求項68又は69に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法であって、
N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド又はN,N’−カルボニルジイミダゾールであるカップリング剤の存在下、ホスファチジン酸と2−O−保護グリセロールを反応させることを含む方法。
【請求項2】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法であって、トリイソプロピルベンゼンスルホニル クロリド、又はN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド又はN,N’−カルボニルジイミダゾールであるカップリング剤の存在下、ホスファチジン酸とグリセロールを反応させることを含む方法。
【請求項3】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法であって、ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、式V
【化1】

(式中、Z及びZは、同一又は異なって、−O−C(O)−,−O−,−S−,又は−NH−C(O)−であり;
及びRは、同一又は異なって、H及び/又は飽和もしくは不飽和アルキル基であり;
は(CHであり、及びn=0−10)
のアルコールと、2−O−保護グリセロール又は2−O−置換グリセロールを反応させることを含む方法。
【請求項4】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログが以下の構造
【化2】

(式中、Z及びZは、同一又は異なって、−O−C(O)−,−O−,−S−,又は−NH−C(O)−であり;
及びRは、同一又は異なって、H及び/又は飽和もしくは不飽和アルキル基であり;
は(CHであり、及びn=0−10;
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、多糖などの炭水化物、複素環、ヌクレオシド、又はポリヌクレオチドであり;
Xはカチオンである)
を有するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログが以下の構造
【化3】

を有するものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログが以下の構造
【化4】

を有するカルジオリピンエーテルアナログである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログが以下の構造
【化5】

(式中、Z及びZは、同一又は異なって、−O−C(O)−,−O−,−S−,−NH−C(O)−であり;
及びRは、同一又は異なって、H又は飽和もしくは不飽和アルキル基であり;
は、(CHであり、及びn=0−10;
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、多糖などの炭水化物、複素環、ヌクレオシド、又はポリヌクレオチドであり;
は、リンカーであり;
Xはカチオンである)
を有するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
リンカーが、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルオキシ、1〜500個のアルキルオキシマーを含有するペギレーテッドエーテルなどのポリアルキルオキシ、置換ポリアルキルオキシなど、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、及び多糖などの炭水化物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
及び/又はRの少なくとも1つが、4〜34個の炭素を有する飽和又は不飽和アルキル基である、請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
Xが非毒性カチオンである、請求項4〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
Xが、水素、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はバリウムイオンである、請求項4〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
及び/又はRの少なくとも1つが、14〜34個の炭素を有する飽和又は不飽和アルキル基である、請求項4〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
及び/又はRの少なくとも1つが、14〜24個の炭素を有する飽和又は不飽和アルキル基である、請求項4〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログが、式I、II又はIIIのカルジオリピン又はカルジオリピンアナログである、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、1,2−O−ジアシルグリセロールと2−O−保護グリセロールを反応させることを含む、化合物IIのカルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法。
【請求項16】
ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、1,2−O−ジアルキルグリセロールと2−O−保護グリセロールを反応させることを含む、化合物IIIのカルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法。
【請求項17】
ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、式Vのアルコールと式VI
【化6】

(式中、R及びRは、請求項1に定義されている通りである)のジオールを反応させることを含む、化合物IVのカルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法。
【請求項18】
カップリング剤が、式VII
【化7】

(式中、Wは、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、アリル、2−置換エチル、2,2,2−トリブロモエチルなどのハロエチルを含むアルキル基又は置換アルキル基;ベンジル基又は置換ベンジル基;フェニル基、又は2−クロロフェニル、4−クロロフェニル及び2,4−ジクロロフェニルなどの置換フェニル基;又は任意の他の除去可能保護基である)のジクロロホスフェートである、請求項3〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
カップリング剤が、N,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドである、請求項3〜17に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンアナログ。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造される、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログであって、該カルジオリピンがC−C13鎖長を有するものである、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログ。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログであって、該カルジオリピンがC15−C34鎖長を有するものである、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログ。
【請求項23】
リポソームの製造方法であって、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法によってカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを製造し、次いで、該カルジオリピン又はカルジオリピンアナログをリポソームに含ませることを含む方法。
【請求項24】
リポソーム中に活性剤を保持させる方法であって、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法のいずれかによってカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを製造し、該カルジオリピン又はカルジオリピンアナログ及び活性剤をリポソームに含ませることを含む方法。
【請求項25】
活性剤が1以上の遺伝子ベクター、アンチセンス分子、蛋白質又は薬剤を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
活性剤が1以上の活性な抗癌剤を含む、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
活性剤が1以上の抗体を含む、請求項24〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
活性剤が核酸を含む、請求項24〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
核酸がRNAである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
RNAが癌遺伝子を指向するものである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
核酸がオリゴヌクレオチドである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
活性剤が、リポソーム内に捕捉されるようになる、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
活性剤がカルジオリピン又はカルジオリピンアナログと複合体形成するようになる、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
リポソームを凍結保護物質と共に凍結乾燥することを更に含む、請求項23〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
請求項23〜34のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンアナログを含むリポソーム組成物
【請求項36】
請求項23〜34のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含むリポソーム組成物であって、該カルジオリピンがC−C13鎖長を有するものである、リポソーム組成物。
【請求項37】
請求項23〜34のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含むリポソーム組成物であって、該カルジオリピンがC15−C34鎖長を有するものである、リポソーム組成物。
【請求項38】
凍結乾燥形態である、請求項35〜37のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項39】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンアナログを含む組成物。
【請求項40】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含む組成物であって、該カルジオリピンがC−C13鎖長を有するものである、組成物。
【請求項41】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含む組成物であって、該カルジオリピンがC15−C34鎖長を有するものである、組成物。
【請求項42】
ホスファチジルコリン、ステロール及びトコフェロールを更に含む、請求項35〜41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジアラキドノイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、水素添加大豆ホスファチジルコリン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるホスファチジルコリンを更に含む、請求項35〜42のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジアラキドノイルホスファチジルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択されるホスファチジルグリセロールを更に含む、請求項35〜43のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
コレステロール、コレステロール誘導体、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、コレステロールヘミサクシネート、コレステロールサルフェート、及びそれらの混合物からなる群から選択されるステロールを更に含む、請求項35〜44のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
標的指向剤を更に含む、請求項35〜45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項47】
標的指向剤が蛋白質である、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
蛋白質が、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ペプチドホルモン、レセプターリガンド、及びそれらの混合物からなる蛋白質の群から選択される、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
標的指向剤が炭水化物である、48に記載の組成物。
【請求項50】
リガンドを更に含む、請求項35〜49のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
リガンドが、細胞レセプターの抗体又はリガンドである、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
脂質複合体又はエマルションの形態である、請求項35〜51に記載の組成物。
【請求項53】
リポソームを含む、請求項35〜52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
該リポソームがカルジオリピンを含む、請求項53記載の組成物
【請求項55】
さらに活性剤を含む、請求項53又は54記載の組成物。
【請求項56】
請求項20〜22のいずれか1項に記載のカルジオリピン又はカルジオリピンアナログをリポソーム形態で含み、且つ活性剤を含む組成物。
【請求項57】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンアナログをリポソーム形態で含み、且つ活性剤を含む組成物。
【請求項58】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンをリポソーム形態で含み、且つ活性剤を含む組成物であって、該カルジオリピンがC−C13鎖長を有するものである、組成物。
【請求項59】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンをリポソーム形態で含み、且つ活性剤を含む組成物であって、該カルジオリピンがC15−C34鎖長を有するものである、組成物。
【請求項60】
活性剤が、1つ以上のリポソーム中に捕捉される、請求項55〜59のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項61】
活性剤が、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログと複合体形成している、請求項55〜59のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項62】
凍結乾燥形態の、請求項53〜61に記載の組成物。
【請求項63】
凍結保護物質を更に含む、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
リポソームの直径が約1ミクロン以下である、請求項53〜63のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項65】
リポソームの直径が約500nm以下である、請求項53〜63のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項66】
リポソームの直径が約200nm以下である、請求項53〜63のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項67】
リポソームの直径が約100nm以下である、請求項53〜63のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項68】
医薬として許容できる賦形剤を更に含む、請求項35〜67のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項69】
さらに活性剤を含む、請求項35〜52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項70】
活性剤がカルジオリピン又はカルジオリピンアナログと複合体形成する、請求項69記載の組成物。
【請求項71】
活性剤が1以上の遺伝子ベクター、アンチセンス分子、蛋白質又は薬剤を含む、請求項55〜61又は69〜70のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項72】
活性剤が1以上の活性な抗癌剤を含む、請求項55〜61又は69〜71のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項73】
活性剤が1以上の抗体を含む、請求項55〜61又は69〜72のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項74】
活性剤が核酸を含む、請求項55〜61又は69〜73のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項75】
核酸がRNAである、請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
RNAが癌遺伝子を指向するものである、請求項75に記載の組成物。
【請求項77】
核酸がオリゴヌクレオチドである、請求項74に記載の組成物。
【請求項78】
疾患の治療用医薬を製造するための、請求項35〜77のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項79】
疾患が癌である、請求項78に記載の使用。
【請求項80】
細胞への活性剤の送達方法であって、請求項55〜61又は69〜77のいずれか1項に記載の組成物を製造し、該組成物を細胞に曝すことを含む方法。
【請求項81】
細胞がインビトロである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
細胞がインビボである、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
ヒト又は動物の疾患の治療方法であって、請求項55〜61又は69〜77のいずれか1項に記載の組成物を製造し、活性剤がヒト又は動物患者に送達されるように、該組成物を、その必要のあるヒト又は動物に曝すことを含む方法。
【請求項84】
疾患が癌であり、活性剤が抗癌剤である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
組成物が、1つ以上のリポソームを含む、請求項80〜84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
活性剤が、組成物中でカルジオリピン又はカルジオリピンアナログと複合体形成している、請求項80〜85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
活性剤が、組成物中でリポソーム内に捕捉されている、請求項80〜86に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法であって、
N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド又はN,N’−カルボニルジイミダゾールであるカップリング剤の存在下、ホスファチジン酸と2−O−保護グリセロールを反応させることを含む方法。
【請求項2】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法であって、トリイソプロピルベンゼンスルホニル クロリド、又はN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド又はN,N’−カルボニルジイミダゾールであるカップリング剤の存在下、ホスファチジン酸とグリセロールを反応させることを含む方法。
【請求項3】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法であって、ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、式V
【化1】


(式中、Z及びZは、同一又は異なって、−O−C(O)−,−O−,−S−,又は−NH−C(O)−であり;
及びRは、同一又は異なって、H及び/又は飽和もしくは不飽和アルキル基であり;
は(CHであり、及びn=0−10)
のアルコールと、2−O−保護グリセロール又は2−O−置換グリセロールを反応させることを含む方法。
【請求項4】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログが以下の構造
【化2】


(式中、Z及びZは、同一又は異なって、−O−C(O)−,−O−,−S−,又は−NH−C(O)−であり;
及びRは、同一又は異なって、H及び/又は飽和もしくは不飽和アルキル基であり;
は(CHであり、及びn=0−10;
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、多糖などの炭水化物、複素環、ヌクレオシド、又はポリヌクレオチドであり;
Xはカチオンである)
を有するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログが以下の構造
【化3】


を有するものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログが以下の構造
【化4】


を有するカルジオリピンエーテルアナログである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログが以下の構造
【化5】


(式中、Z及びZは、同一又は異なって、−O−C(O)−,−O−,−S−,−NH−C(O)−であり;
及びRは、同一又は異なって、H又は飽和もしくは不飽和アルキル基であり;
は、(CHであり、及びn=0−10;
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、多糖などの炭水化物、複素環、ヌクレオシド、又はポリヌクレオチドであり;
は、リンカーであり;
Xはカチオンである)
を有するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
リンカーが、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルオキシ、1〜500個のアルキルオキシマーを含有するペギレーテッドエーテルなどのポリアルキルオキシ、置換ポリアルキルオキシなど、ペプチド、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白質、グルコース、マンノース、ガラクトース、及び多糖などの炭水化物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
及び/又はRの少なくとも1つが、4〜34個の炭素を有する飽和又は不飽和アルキル基である、請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
Xが非毒性カチオンである、請求項4〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
Xが、水素、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はバリウムイオンである、請求項4〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
及び/又はRの少なくとも1つが、14〜34個の炭素を有する飽和又は不飽和アルキル基である、請求項4〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
及び/又はRの少なくとも1つが、14〜24個の炭素を有する飽和又は不飽和アルキル基である、請求項4〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
カルジオリピン又はカルジオリピンアナログが、式I、II又はIIIのカルジオリピン又はカルジオリピンアナログである、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、1,2−O−ジアシルグリセロールと2−O−保護グリセロールを反応させることを含む、化合物IIのカルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法。
【請求項16】
ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、1,2−O−ジアルキルグリセロールと2−O−保護グリセロールを反応させることを含む、化合物IIIのカルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法。
【請求項17】
ジクロロホスフェート又はN,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドのいずれかであるカップリング剤の存在下、式Vのアルコールと式VI
【化6】


(式中、R及びRは、請求項1に定義されている通りである)のジオールを反応させることを含む、化合物IVのカルジオリピン又はカルジオリピンアナログの製造方法。
【請求項18】
カップリング剤が、式VII
【化7】


(式中、Wは、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、アリル、2−置換エチル、2,2,2−トリブロモエチルなどのハロエチルを含むアルキル基又は置換アルキル基;ベンジル基又は置換ベンジル基;フェニル基、又は2−クロロフェニル、4−クロロフェニル及び2,4−ジクロロフェニルなどの置換フェニル基;又は任意の他の除去可能保護基である)のジクロロホスフェートである、請求項3〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
カップリング剤が、N,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミディック クロリドである、請求項3〜17に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンアナログ。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造される、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログであって、該カルジオリピンがC−C13鎖長を有するものである、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログ。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログであって、該カルジオリピンがC15−C34鎖長を有するものである、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログ。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造される、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログであって、該カルジオリピンがC−C34鎖長を有するものである、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログ。
【請求項24】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造される、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログであって、該カルジオリピンがC14鎖長を有するものである、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログ。
【請求項25】
リポソームの製造方法であって、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法によってカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを製造し、次いで、該カルジオリピン又はカルジオリピンアナログをリポソームに含ませることを含む方法。
【請求項26】
リポソーム中に活性剤を保持させる方法であって、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法のいずれかによってカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを製造し、該カルジオリピン又はカルジオリピンアナログ及び活性剤をリポソームに含ませることを含む方法。
【請求項27】
活性剤が1以上の遺伝子ベクター、アンチセンス分子、蛋白質又は薬剤を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
活性剤が1以上の活性な抗癌剤を含む、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
活性剤が1以上の抗体を含む、請求項2628のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
活性剤が核酸を含む、請求項2628のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
核酸がRNAである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
RNAが癌遺伝子を指向するものである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
核酸がオリゴヌクレオチドである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
活性剤が、リポソーム内に捕捉されるようになる、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
活性剤がカルジオリピン又はカルジオリピンアナログと複合体形成するようになる、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
リポソームを凍結保護物質と共に凍結乾燥することを更に含む、請求項2531のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
請求項2536のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンアナログを含むリポソーム組成物
【請求項38】
請求項2536のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含むリポソーム組成物であって、該カルジオリピンがC−C13鎖長を有するものである、リポソーム組成物。
【請求項39】
請求項2536のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含むリポソーム組成物であって、該カルジオリピンがC15−C34鎖長を有するものである、リポソーム組成物。
【請求項40】
請求項25〜36のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含むリポソーム組成物であって、該カルジオリピンがC−C34鎖長を有するものである、リポソーム組成物。
【請求項41】
請求項25〜36のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含むリポソーム組成物であって、該カルジオリピンがC14鎖長を有するものである、リポソーム組成物。
【請求項42】
凍結乾燥形態である、請求項3741のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンアナログを含む組成物。
【請求項44】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含む組成物であって、該カルジオリピンがC−C13鎖長を有するものである、組成物。
【請求項45】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含む組成物であって、該カルジオリピンがC15−C34鎖長を有するものである、組成物。
【請求項46】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含む組成物であって、該カルジオリピンがC−C34鎖長を有するものである、組成物。
【請求項47】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピン又はカルジオリピンアナログを含む組成物であって、該カルジオリピンがC14鎖長を有するものである、組成物。
【請求項48】
ホスファチジルコリン、ステロール及びトコフェロールを更に含む、請求項3747のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジアラキドノイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、水素添加大豆ホスファチジルコリン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるホスファチジルコリンを更に含む、請求項3748のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジアラキドノイルホスファチジルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択されるホスファチジルグリセロールを更に含む、請求項3749のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
コレステロール、コレステロール誘導体、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、コレステロールヘミサクシネート、コレステロールサルフェート、及びそれらの混合物からなる群から選択されるステロールを更に含む、請求項3750のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項52】
標的指向剤を更に含む、請求項3751のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
標的指向剤が蛋白質である、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
蛋白質が、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ペプチドホルモン、レセプターリガンド、及びそれらの混合物からなる蛋白質の群から選択される、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
標的指向剤が炭水化物である、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
リガンドを更に含む、請求項3755のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項57】
リガンドが、細胞レセプターの抗体又はリガンドである、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
脂質複合体又はエマルションの形態である、請求項3757に記載の組成物。
【請求項59】
リポソームを含む、請求項3758のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項60】
該リポソームがカルジオリピンを含む、請求項59記載の組成物
【請求項61】
さらに活性剤を含む、請求項59又は60記載の組成物。
【請求項62】
請求項20〜24のいずれか1項に記載のカルジオリピン又はカルジオリピンアナログをリポソーム形態で含み、且つ活性剤を含む組成物。
【請求項63】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンアナログをリポソーム形態で含み、且つ活性剤を含む組成物。
【請求項64】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンをリポソーム形態で含み、且つ活性剤を含む組成物であって、該カルジオリピンがC−C13鎖長を有するものである、組成物。
【請求項65】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンをリポソーム形態で含み、且つ活性剤を含む組成物であって、該カルジオリピンがC15−C34鎖長を有するものである、組成物。
【請求項66】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンをリポソーム形態で含み、且つ活性剤を含む組成物であって、該カルジオリピンがC−C34鎖長を有するものである、組成物。
【請求項67】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造されるカルジオリピンをリポソーム形態で含み、且つ活性剤を含む組成物であって、該カルジオリピンがC14鎖長を有するものである、組成物。
【請求項68】
活性剤が、1つ以上のリポソーム中に捕捉される、請求項6167のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項69】
活性剤が、カルジオリピン又はカルジオリピンアナログと複合体形成している、請求項6167のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項70】
凍結乾燥形態の、請求項5969に記載の組成物。
【請求項71】
凍結保護物質を更に含む、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
リポソームの直径が約1ミクロン以下である、請求項5971のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項73】
リポソームの直径が約500nm以下である、請求項5971のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項74】
リポソームの直径が約200nm以下である、請求項5971のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項75】
リポソームの直径が約100nm以下である、請求項5971のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項76】
医薬として許容できる賦形剤を更に含む、請求項3775のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項77】
さらに活性剤を含む、請求項3758のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項78】
活性剤がカルジオリピン又はカルジオリピンアナログと複合体形成する、請求項77記載の組成物。
【請求項79】
活性剤が1以上の遺伝子ベクター、アンチセンス分子、蛋白質又は薬剤を含む、請求項6169又は7778のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項80】
活性剤が1以上の活性な抗癌剤を含む、請求項6169又は7779のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項81】
活性剤が1以上の抗体を含む、請求項6169又は7780のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項82】
活性剤が核酸を含む、請求項6169又は7781のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項83】
核酸がRNAである、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
RNAが癌遺伝子を指向するものである、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
核酸がオリゴヌクレオチドである、請求項82に記載の組成物。
【請求項86】
疾患の治療用医薬を製造するための、請求項3785のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項87】
疾患が癌である、請求項86に記載の使用。
【請求項88】
細胞への活性剤の送達方法であって、請求項6169又は7785のいずれか1項に記載の組成物を製造し、該組成物を細胞に曝すことを含む方法。
【請求項89】
細胞がインビトロである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
細胞がインビボである、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
ヒト又は動物の疾患の治療方法であって、請求項6169又は7785のいずれか1項に記載の組成物を製造し、活性剤がヒト又は動物患者に送達されるように、該組成物を、その必要のあるヒト又は動物に曝すことを含む方法。
【請求項92】
疾患が癌であり、活性剤が抗癌剤である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
組成物が、1つ以上のリポソームを含む、請求項8892のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
活性剤が、組成物中でカルジオリピン又はカルジオリピンアナログと複合体形成している、請求項8893のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
活性剤が、組成物中でリポソーム内に捕捉されている、請求項8894に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−518701(P2006−518701A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−507487(P2004−507487)
【出願日】平成15年5月23日(2003.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/016412
【国際公開番号】WO2003/099830
【国際公開日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(503140078)ネオファーム、インコーポレイティッド (6)
【Fターム(参考)】