説明

カルタ様双六

【課題】 この発明は、双六にカルタの要素を付加したゲームとすることにより、駒が特定のマスに止まったときに付加される作業に、ゲーム参加者全員が参加できるようにすることを課題とするものである。
【解決手段】 この発明のカルタ様双六は、台紙1と、駒2と、駒の進行指示手段3と、出題手段と、取り札4とを組み合わせて構成する。
前記台紙1に、双六の進行チャート11を表すと共に取り札の置き場12を設け、前記進行チャート中の任意のマスはカルタ出題マス13とし、前記出題手段は前記取り札の一つに対応したした出題を行うものとする。
上記構成により、前記カルタ出題マスに自己の駒を進めた競技者は出題手段を操作し、その出題に基づき前記取り札の置き場におかれた取り札から対応する取り札を取るようにしてゲームを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、双六とカルタのおもしろさを兼ね備えたゲームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
双六は古くから子ども達のゲームとして広く普及している。そして、進行チャートに従ってサイコロなどによって出た数字に従って駒を進めるという双六の遊び方を基礎として、駒の止まった位置(マス)に対応した作業をゲーム参加者に課すようにしたゲームは、人生ゲーム(登録商標)など種々のものが提案されている。
しかし、人生ゲームその他の双六を発展させたゲームは、特定のマスに駒が止まったときに課される作業は、そのマスに駒を止めた参加者のみに課されるもので、他の参加者がその作業に参加するものではなかった。
そして、双六にカルタの要素を付加したゲームは存在しない。
【特許文献1】特開2005−103231号公報 この公報に開示された発明は、カードを用いるものではあるが、このカードは協議参加者への指示内容を表示したものであって、カルタとして遊ぶためのものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、双六にカルタの要素を付加したゲームとすることにより、駒が特定のマスに止まったときに付加される作業に、ゲーム参加者全員が参加できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明のカルタ様双六は、台紙と、駒と、駒の進行指示手段と、出題手段と、取り札とを組み合わせて構成する。
前記台紙に、双六の進行チャートを表すと共に取り札の置き場を設け、前記進行チャート中の任意のマスはカルタ出題マスとし、前記出題手段は前記取り札の一つに対応した出題を行うものとする。
上記構成により、前記カルタ出題マスに自己の駒を進めた競技者は出題手段を操作し、その出題に基づき前記取り札の置き場におかれた取り札から対応する取り札を取るようにしてゲームを行う。
【0005】
前記出題手段は、取り札に対応する問題が音声で記録され、押しボタンなどの出題回路のスイッチをONにすることにより記録された任意の一問が音声で出力されるものとすることが好ましいが、出題手段は複数枚の出題カードとすることもできる。その場合、出題カードを複数枚積み重ねておき、競技者によって抜き取られた1枚の出題カードによって出題するようにしたり、複数の出題カードから、競技者以外の者がアトランダムに1枚の出題カードを選んで問題を読み上げて出題するようにする。後者の場合「競技者が出題手段を操作して」とはカードを読む者に出題カードを読むことを促す動作を意味するものとする。
前記駒の進行指示手段はサイコロ、回転式の数字表示具など従来双六に用いられているものを適宜使用する。
前記取り札は、カードに限られずコイン状のもの、動物や植物の形状をした立体物なども含むものである。要は「出題」に対応して「取る」対象となるものを広く含む概念として用いている。すなわち、例えば「リンゴ」という出題に対応した「取り札」としては、「リンゴ」の文字、対応する英単語「APPLE」の文字、「リンゴの絵」を表したカードやコイン状の板の他、「リンゴの形をした立体造形物」も含まれる。
以下の実施形態においては進行チャートのカルタ出題マス以外のマスに、競技者に課す作業を記載しているが、係る記載はなくともよい。
【発明の効果】
【0006】
この発明は上記のように構成することにより以下のように遊ぶことができる。
競技者(2ないし数人)は順に進行指示手段を操作して自己の駒をチャート上のマスを進行させる。駒がカルタ出題マスに止まった場合、駒をカルタ出題マスに止めた競技者が出題手段を操作する。出題手段からの出題を受けてカルタの要領で全ての競技者がその出題に対応する取り札を探し、最初に探した者が取り札を取る。
ゲームの終了方法、順位の決定方法は種々考えられるが例えば以下のとおりである。
ア)全ての者がチャートのゴールに至ったときに、各自の保有する取り札の数で順位を決定する。
イ)全ての者がチャートのゴールに至ったときに、各自の保有する取り札の数で順位を決定するが、その際にトップでゴールした者とのマスの差を、1マス1枚などと換算して手持ちの取り札の数を調整する。
ウ)取り札を複数のグループに分けておき、駒の位置にかかわらず全てのグループの取り札を集めた者が1位となる。
【0007】
上記ア、イのルールでゲームを行う場合、通常の双六では早くゴールした者は他の競技者がゴールするまで実質的にゲームに参加することができず、子どもにとって退屈な時間となりかねないが、この発明によれば取り札を取り合う際にはゲームに参加することができるので、最後まで興味を失うことなくゲームを行うことができる。
また、上記ウのルールでゲームを行う場合、駒の進行が遅れている者は通常の双六では逆転が難しくゲームへの興味を失いかねないが、この発明によれば取り札を集めることにより駒の位置に関わらず上位に入る可能性があり、最後まで興味を失うことなくゲームを行うことができる。
【0008】
更に、出題を取り札の表示との対応関係を工夫することにより、教育玩具として機能させることができる。
以下の実施形態においては英語学習機能を持たせた例を説明しているが、これに限られない。例えば、漢字の「読み」を出題し、取り札に「読み」に対応する「漢字」を表示したり、地理情報(例えば「日本で一番高い山」)を出題し、取り札にその地理情報に対応する地名(例えば「富士山」)と表示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
台紙1と、駒2と、駒の進行指示手段兼出題手段となる音声発生装置付の回転式数字表示具3、取り札4とを組み合わせてこの発明のカルタ様双六を構成する。
前記台紙1の周囲には双六の進行チャート11が環状に表してある。その内側には取り札の置き場12が設けてあり、この取り札の置き場12は「レストラン」「おかしやさん」「くだものやさん」「しょっきやさん」「やおやさん」の5つのエリアに分かれており、各エリア毎に複数枚のカードを並べて置けるようにしてある。
また、各エリア毎に色分けしてあり、各エリアの色と対応する取り札の縁取りの色とは一致させてある。
【0010】
前記進行チャート中の任意の複数のマスはカルタ出題マス13としてあり、「だいバーゲン」と表示してある。その余のマスには以下のような表示がされている。
第一は買い物に関する表示であり、前記取り札の置き場の5つのエリアに対応した表示である「レストランへいこう! えいごでちゅうもんできたらカードがもらえるよ。」14、「おやつをかおう! えいごでいえたらカードがもらえるよ。」15、「くだものをかおう! えいごでいえたらカードがもらえるよ。」16、「しょっきをかおう! えいごでいえたらカードがもらえるよ。」17、「やさいをかおう! えいごでいえたらカードがもらえるよ。」18と、「うんだめし ルーレットで○がでたらすきなおみせでかいものができるよ。」19(前記「○」にはルーレット(数字表示具)で表示される数字が適宜入る)の表示である。
第二はカードの交換に関する表示「こうかんタイム となりの人とカードを1まいこうかんしよう。」20である。
【0011】
この実施形態においては取り札を「レストラン」「おやつ」「くだもの」「食器」「野菜」の5つのグループに分けている。前記「ウ)取り札を複数のグループに分けておき、駒の位置にかかわらず全てのグループの取り札を集めた者が1位となる。」というルールでゲームを行う場合、いずれのグループの取り札を取得したかが重要である。「うんだめし ルーレットで○がでたらすきなおみせでかいものができるよ。」(前記「○」にはルーレット(数字表示具)で表示される数字が適宜入る)と書かれたマスに駒が止まれば、自己の不足しているグループの取り札を集めることができ、「こうかんタイム となりの人とカードを1まいこうかんしよう。」に駒が止まれば自己の余剰のグループの取り札を交換することにより、不足しているグループの取り札を入手し得ることとなる。
【0012】
音声発生装置付の回転式数字表示具3は、基枠31に回転板32を装着し、この回転板32の中心に摘み33が取り付けてあり、前記基枠31の一側には矢印34が表示してあり回転板32には1ないし3の数字が二組表示してあり、前記摘みを回すことにより回転板が回転し、矢印34に対向する数字を読み取れるようにしてある。
前記基枠31内には複数の問題を記憶させた記憶装置と、この記憶装置からアトランダムに問題を選択するようにプログラムされた問題選択プログラムと、選択された問題を音声出力するスピーカ35を含む出力手段が設置してあり、出力手段の回路のメインスイッチ36をONにした状態でボタン37を押し下げることにより任意の問題が音声出力されるようにしてある。
なお、前記ボタン37は数字表示具の摘み33と共用することもできる。この場合、前記摘み33は上下移動可能としてバネで上方に付勢し、摘み33を下方へ押し下げることにより前記回路がONとなるようにする。符号36はメインスイッチである。
【0013】
前記問題は、5つのグループに対してそれぞれ設定されており、各問題に対応する、すなわちその解答となる取り札が用意される。
例えば、「レストラン」においてはメニュー名「ピザ」「サラダ」、「おやつ」においては「ケーキ」「クッキー」、「くだもの」においては「リンゴ」「桃」、「食器」においては「コップ」「皿」、「野菜」においては「きゅうり」「にんじん」「たまねぎ」などが問題として記憶されており、取り札4にはそれらに対応する英語41と絵42が表示してある。そして、各取り札の縁取り43の色は、各取り札が属するグループの台紙1におけるエリアの色と同一としてある。
【0014】
以下この実施形態のカルタ様双六の使用方法を説明する。
ゲーム開始前に、取り札をその表示内容に応じて各グループの属する台紙1のエリアに並べる。
競技者は順番に回転式数字表示具3の摘み33を回して回転板32の停止位置と矢印34に対応した数字に従って進行チャート11上で駒を進める。
駒が「レストランへいこう!」、「おやつをかおう!」、「くだものをかおう!」、「しょっきをかおう!」、「やさいをかおう!」と表示されたマスで止まった場合、各マスに対応するお店に並べられている取り札の中から任意の取り札の表示を英語で言う。英語で言えた場合、その取り札を取ることができる。
駒が「うんだめし」と表示されたマスで止まった場合はルーレットを回し、そのマスに表示された数字が出れば好きな取り札を取ることができる。
駒が「こうかんタイム」と表示されているマスで止まった場合は、自己が取得している取り札(カード)1枚をとなりの人のカードと交換することができる。
【0015】
駒が「だいバーゲン」と表示されたマス13で止まった場合は、そこに駒を止めた競技者は前記回転式数字表示具3のボタン37を押し下げる。そうすると問題を出力する回路がONとなり記憶装置に記憶された問題が問題選択プログラムによって選択され、スピーカ35から音声出力される。
音声で「APPLE」と出力された場合には、全競技者はその英語の音声を聞き取って「APPLE」「リンゴの絵」が表示された取り札を探して、カルタと同じ要領で取り札を取る。双六を行う中で全競技者がカルタをすることとなる。なお、子どもは一般に英単語を読めないので、英語の「APPLE」を聞き取り、日本語の「リンゴ」を想起した上で、「リンゴの絵」が表された取り札を探すこととなる。前記マス13で自己の駒を止めた者に限らず、全競技者がゲームに参加することとなる。
【0016】
このような要領でゲームを進め、上記アないしウ若しくは適宜のルールによって勝敗を決する。
【0017】
この実施形態においては、競技者は駒が英語での表現が指示されているマスに止まる毎にそこに表示された指示を受けて「英語」で表現しなければならない。もし表現できなければ取り札を取ることができず、ゲームにおいて大きな失点となる。
また「だいバーゲン」に駒が止まった場合は競技者全員がその出題によってカルタと同様に取り札を先に探して取得することに注力する。出題は英語であって、取り札はそれに対応した英語(絵入り)である。したがって、問題「APPLE」を聞いた競技者は、英語「APPLE」又は「リンゴの絵」を想起して取り札を探す。
取り札には「英語」と「絵」が表されているので、英語を想起できずに「絵」に頼って取り札を探して取り札を取得した者も、取得した取り札に表示された「絵」と「英語」を対応させることにより、英単語を覚えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
この発明は、双六の特定のマスとカルタの出題とを連携させることにより、双六とカルタとを有機的に結合させ、従来の双六並びに双六から発展したゲームでは得ることのできないゲームの楽しさを提供するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明実施形態の台紙の平面図
【図2】同じく駒の斜視図
【図3】同じく数字表示具の斜視図
【図4】同じく取り札の平面図
【符号の説明】
【0020】
1 台紙
2 駒
3 数字表示具
4 取り札
11 進行チャート
12 取り札の置き場
13 出題マス
31 基枠
32 回転板
33 摘み
34 矢印
35 スピーカ
36 メインスイッチ
37 押しボタン
41 英語
42 絵
43 縁取り


【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙と、駒と、駒の進行指示手段と、出題手段と、取り札とを組み合わせてなり、
前記台紙に、双六の進行チャートを表すと共に取り札の置き場を設け、前記進行チャート中の任意のマスはカルタ出題マスとし、
前記出題手段は前記取り札の一つに対応した出題を行うものとし、
前記カルタ出題マスに自己の駒を進めた競技者が出題手段を操作してその出題に基づき前記取り札の置き場におかれた取り札から対応する取り札を取るようにした
カルタ様双六
【請求項2】
出題手段は、取り札に対応する問題が音声で記録され、スイッチをONにすることにより記録された任意の一問が音声で出力されるものとした、請求項1記載のカルタ様双六



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−50062(P2007−50062A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236301(P2005−236301)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(591121498)株式会社ベネッセコーポレーション (30)