説明

カルチベータ用横流れ防止装置

【課題】 傾斜地を耕作する場合であっても、トラクタが横流れするのを防止するためのカルチベータ用横流れ防止装置を提供することである。
【解決手段】 本発明のカルチベータ用横流れ防止装置(10)は、カルチベータの進行方向に対して実質的に直交する方向を回転軸線として回転可能に配置されたゴロクラッシャ(12)と、ゴロクラッシャの実質的に中央に、ゴロクラッシャが地面で回転すると、地面に食い込んで一緒に回転するようになった羽根片を有する横流れ防止羽根(16)とを備えていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、カルチベータ用横流れ防止装置に関する。より詳細には、本発明は、傾斜地を耕作する場合であっても、トラクタが横流れするのを防止するためのカルチベータ用横流れ防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マスト付きツールバーにカルチベータ等の各種農機具を装着し、マストをトラクタの油圧3点支持装置に連結してトラクタを作動させることによって、種々の農作業が行われるのは、周知の事項である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、耕作地が傾斜している場合には、カルチベータが傾斜下方に流されてしまうため、作物列の中心に沿って耕作するのが困難であるという不都合がある。また、横流れするカルチベータに引っ張られてトラクタも傾斜下方に流されるため、トラクタの操縦が容易ではないという不都合もある。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みて開発されたものであって、傾斜地を耕作する場合であっても、トラクタが横流れするのを防止するためのカルチベータ用横流れ防止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に記載の、トラクタに牽引されるカルチベータに取り付けられるカルチベータ用横流れ防止装置は、カルチベータの進行方向に対して実質的に直交する方向を回転軸線として回転可能に配置されたゴロクラッシャと、前記ゴロクラッシャの実質的に中央に、前記ゴロクラッシャが地面で回転すると、地面に食い込んで一緒に回転するようになった羽根片を有する横流れ防止羽根とを備えていることを特徴とするものである。
【0006】
本願請求項2に記載のカルチベータ用横流れ防止装置は、前記請求項1の装置において、前記ゴロクラッシャが、両端に配置されたディスク部と、前記ディスク部の中央の軸受部と、前記ディスク部の各々を連結するように配置された多数のクラッシャ片とを有することを特徴とするものである。
【0007】
本願請求項3に記載のカルチベータ用横流れ防止装置は、前記請求項1又は2の装置において、前記横流れ防止羽根が、前記クラッシャ片によって形成される外面から外方に延びる多数の羽根片を有することを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項4に記載の、トラクタに牽引されるカルチベータに取り付けられるカルチベータ用横流れ防止装置は、カルチベータの進行方向に対して実質的に直交する方向を回転軸線として回転可能に配置された横流れ防止羽根を備え、前記横流れ防止羽根の外周に、トラクタの走行時に地面に食い込んで回転するようになった羽根片を有することを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項5に記載のカルチベータ用横流れ防止装置は、前記請求項1から請求項4のいずれか1項の装置において、前記羽根片の各々が、半円形状、三角形状、又は台形状に形作られていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耕作時に横流れ防止羽根の羽根片が地面に食い込むため、耕作地が傾斜している場合であっても、作物列の中心に沿って耕作することができるとともに、トラクタの横流れを防止することができる。本発明の横流れ防止装置は、構造が簡単であるため、製造コストが安価であり、また故障も少ないので、維持管理コストを低廉に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係るカルチベータ用横流れ防止装置について詳細に説明する。図1は、第1の実施の形態に係るカルチベータ用横流れ防止装置を示した斜視図である。図1において全体として参照符号10で示される本発明の第1の実施の形態に係るカルチベータ用横流れ防止装置は、耕作地の土塊を砕くためのゴロクラッシャ12とを備えている。
【0012】
ゴロクラッシャ12は、両端に配置されたディスク部12aと、ディスク部12aの中央の軸受部12bと、両端のディスク部12aを連結するように配置された多数のクラッシャ片12cとを有している。
【0013】
クラッシャ片12cは、所定幅の細長い鋼板で形成されるものとして図示されているが、鋼板の代わりに鋼棒を使用してもよい。また、図示されている各クラッシャ片12cは、湾曲した形状を有しており、全体として鼓状に形作られているが、直線状のクラッシャ片12cを使用してもよい。なお、ゴロクラッシャ12自体は、公知の器具である。
【0014】
カルチベータ用横流れ防止装置10は又、ゴロクラッシャ12をその両端で回転可能に支持するためのアーム14を備えている。すなわち、アーム14は、山形状の平面視をもつ基部14aと、基部14aの両端からそれぞれ延びた支持部14b、14cとを有しており、支持部14b、14cにおいてゴロクラッシャ12の軸受部12bにそれぞれ回転可能に連結されている。
【0015】
カルチベータ用横流れ防止装置10は更に、ゴロクラッシャ12の実質的に中央に、ゴロクラッシャ12のディスク部12aと実質的に平行になるように配置された横流れ防止羽根16を備えている。より詳細に説明すると、横流れ防止羽根16は、ゴロクラッシャ12のクラッシャ片12cによって形作られる外面(鼓状の外周)に堅固に固定されている。
【0016】
横流れ防止羽根16は、多数(図1では、8個)のほぼ半円形の羽根片16aが鼓状の外周から外方に延びるように形成されている。これにより、ゴロクラッシャ12が地面で回転すると、横流れ防止羽根16の羽根片16aが地面に食い込んで一緒に回転するようになっている。
【0017】
なお、図1および図2に示される横流れ防止羽根16の羽根片16aは、ほぼ半円形の形状を有しているが、地面に食い込むことができるものであれば他の形状(例えば、三角形状(図3および図4参照)、台形状(図5参照)など)の羽根片を採用してもよい。
【0018】
以上のように構成されたカルチベータ用横流れ防止装置10の作動について説明する。カルチベータ用横流れ防止装置10は、図2に示されるように、トラクタ(図示せず)に牽引されるカルチベータから後方に延びる縦桁の最後尾に取付部14dを介して取り付けられる。
【0019】
図6は、カルチベータ用横流れ防止装置10を装着したトラクタによる耕作状態を示した模式図である。図6において、左側が傾斜が高い箇所、右側が傾斜が低い箇所(すなわち、傾斜は左側から右側に向かって流れている)を示している。カルチベータ用横流れ防止装置10を装着しないで耕作すると、上述のように、カルチベータが重力により傾斜下方(すなわち、図6で右方)に流されるため、これに引っ張られてトラクタも傾斜下方に流される。しかしながら、カルチベータ用横流れ防止装置10を装着して作業すると、最後尾に位置する横流れ防止羽根16の羽根片16aが地面に食い込むため、カルチベータおよびトラクタの横流れが防止される。
【0020】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るカルチベータ用横流れ防止装置を示した斜視図である。図7において全体として参照符号20で示される本発明の第2の実施の形態に係るカルチベータ用横流れ防止装置は、ゴロクラッシャを備えていない点を除いて、カルチベータ用横流れ防止装置10と実質的に同一の構成を有している。すなわち、カルチベータ用横流れ防止装置20は、カルチベータの進行方向に対して実質的に直交する方向を回転軸線として回転可能に配置された横流れ防止羽根26と、横流れ防止羽根26を回転可能に支持するためのアーム24とを備えている。
【0021】
横流れ防止羽根26は、多数(図7では、10個)の三角形状の羽根片26aが外周に設けられたプレートで形成されており、横流れ防止羽根26が地面で回転すると、羽根片26aが地面に食い込んで回転するようになっている。
【0022】
図7および図8に示される横流れ防止羽根26の羽根片26aは、三角形の形状を有しているが、カルチベータ用横流れ防止装置10と同様に、地面に食い込むことができるものであれば他の形状(例えば、半円形状(図9参照)、台形状(図示せず)など)の羽根片を採用してもよい。なお、カルチベータ用横流れ防止装置20の作動は、カルチベータ用横流れ防止装置10の作動と同様である。
【0023】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0024】
たとえば、前記第1の実施の形態において、ゴロクラッシャ12を回転可能に支持するアーム14が、山形の基部14aおよび支持部14b、14cを有するものとして図示されているが、ゴロクラッシャ12を回転可能に支持することができるものであれば、他の形態のアームを採用してもよい。
【0025】
また、前記実施の形態では、カルチベータから後方に延びる縦桁の最後尾に装置10、20が取り付けられているが、装置10、20の取り付け箇所は、最後尾であるのが最も効果的であるものの、最後尾に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るカルチベータ用横流れ防止装置を示した斜視図である。
【図2】図1のカルチベータ用横流れ防止装置がカルチベータに取り付けられている状態を示した斜視図である。
【図3】変形形態の横流れ防止装置の一部を示した斜視図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】横流れ防止装置の別の変形形態を示した図4と同様の図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るカルチベータ用横流れ防止装置の作動を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るカルチベータ用横流れ防止装置を示した斜視図である。
【図8】図7のカルチベータ用横流れ防止装置がカルチベータに取り付けられている状態を示した斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るカルチベータ用横流れ防止装置の変形形態を示した図7と同様の図である。
【符号の説明】
【0027】
10、20 カルチベータ用横流れ防止装置
12 ゴロクラッシャ
12a ディスク部
12b 軸受部
12c クラッシャ片
14、24 アーム
14a 基部
14b、14c 支持部
14d 取付部
16、26 横流れ防止羽根
16a、26a 羽根片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに牽引されるカルチベータに取り付けられるカルチベータ用横流れ防止装置であって、
カルチベータの進行方向に対して実質的に直交する方向を回転軸線として回転可能に配置されたゴロクラッシャと、
前記ゴロクラッシャの実質的に中央に、前記ゴロクラッシャが地面で回転すると、地面に食い込んで一緒に回転するようになった羽根片を有する横流れ防止羽根と、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ゴロクラッシャが、両端に配置されたディスク部と、前記ディスク部の中央の軸受部と、前記ディスク部の各々を連結するように配置された多数のクラッシャ片とを有することを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項3】
前記横流れ防止羽根が、前記クラッシャ片によって形成される外面から外方に延びる多数の羽根片を有することを特徴とする請求項1又は2に記載された装置。
【請求項4】
トラクタに牽引されるカルチベータに取り付けられるカルチベータ用横流れ防止装置であって、
カルチベータの進行方向に対して実質的に直交する方向を回転軸線として回転可能に配置された横流れ防止羽根を備え、
前記横流れ防止羽根の外周に、トラクタの走行時に地面に食い込んで回転するようになった羽根片を有することを特徴とする装置。
【請求項5】
前記羽根片の各々が、半円形状、三角形状、又は台形状に形作られていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−200665(P2010−200665A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49001(P2009−49001)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(595034891)株式会社キュウホー (14)
【Fターム(参考)】