説明

カルノソールおよび/またはロスマノールを含有する食品および医薬品組成物ならびにこれらの使用

本発明は、神経伝達の低下に関係する障害、認知機能障害、ならびに/あるいは頭痛および/または片頭痛により生じる症状の治療において(薬剤として)使用するためのカルノソールおよびロスマノール、ならびに食品および医薬品組成物、そしてこれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の簡単な説明]
本発明は、神経伝達の障害、すなわち低下に関係する障害を治療するための薬剤として使用するためのカルノソールおよびロスマノールに関する。さらに、カルノソールおよび/またはロスマノールを含有する食品および医薬品組成物、ならびにこれらの使用に関する。
【0002】
[発明の背景]
神経伝達の障害、例えば低神経伝達物質レベルが、うつ病および全般性不安障害(GAD)などの精神疾患、ストレスに対する感受性の増大、および認知機能障害に関係することはよく知られている。
【0003】
脳内の神経伝達物質レベルを増大させ、それによってその伝達を高める化合物は、抗うつ特性を示すことができ、様々な他の精神障害に対して有益な効果を発揮することができる(神経伝達物質、薬物および脳機能(Neurotransmitters,Drugs and Brain Function)、R.A.ウェブスター(Webster)(編)、ジョン・ウィリー&サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、2001年、187−211頁、289−452頁、477−498頁)。主な神経伝達物質は、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン(=ノルエピネフリン)、アセチルコリン、グルタメートおよびγ−アミノ酪酸(GABA)である。気分に関する障害に特に関連性のある神経伝達物質としてはセロトニン、ノルアドレナリンおよびドーパミンが挙げられ、グルタメートおよびアセチルコリンの神経伝達は、認知機能に関与する。神経伝達の向上または延長は、シナプス前神経終末への再取り込みの阻害によりシナプス間隙内の神経伝達物質の濃度を増大させることによって、あるいはモノアミノオキシダーゼ(MAO)−Aおよび−Bなどの分解性酵素を阻害することにより神経伝達物質の異化反応を防止することによって達成される。また、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)などの神経ペプチドも興味深い。
【0004】
[抗うつ薬および気分に関する障害]
イミプラミン、アミトリプチリンおよびクロミプラミンなどの三環式抗うつ薬(TCA)は、セロトニンおよびノルアドレナリンの再取り込みを阻害する。これらは、利用可能な最も有効な抗うつ薬の1つとして広く認められているが、これらはさらにムスカリン性アセチルコリン受容体、ヒスタミン受容体およびセロトニン受容体と相互に作用するので多数の欠点を有する。このような活性から生じる副作用には、体位性低血圧に加えて口渇、霧視、便秘および尿閉が含まれる。最も重要なのは、TCAは過剰摂取されると安全ではなく、頻繁に急性心毒性を示すことである。
【0005】
抗うつ薬のもう1つの種類は、セロトニンの再取り込みによりセロトニン作動性神経伝達を終了させる高親和性塩化ナトリウム依存性の神経伝達物質輸送体であるセロトニン輸送体(SERT)を遮断する、いわゆるSSRI(選択的セロトニン再取り込みの阻害薬)であり、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、シタロプラムおよびフルボキサミンが含まれる。これらはTCAのようにうつ病および不安症の治療において有効であると証明されているが、普通は耐性がより高い。これらの薬物療法は通常低用量で開始され、治療レベルに到達するまで増大され得る。一般的な副作用は悪心である。その他の可能性のある副作用は、食欲不振、口渇、発汗、感染、便秘、振戦、あくび、眠気および性機能障害を含む。
【0006】
さらに、MAO−Aおよび−Bを阻害することによって神経伝達物質の異化反応をより広範に防止する化合物も抗うつ効果を示す。MAOは、セロトニン、ノルアドレナリンおよびドーパミンなどのアミン基含有神経伝達物質の酸化を触媒する。
【0007】
さらに、神経伝達のモジュレータはこのようにして精神および認知機能に多面発現効果を与え得る。
【0008】
既知の抗うつ薬の負の副作用を示さない精神疾患および/または障害の治療または予防のための化合物が必要とされている。多くの患者は、高用量の薬物に関連する副作用を最小限にし、付加的な臨床的利益をもたらし得る代替療法に関心がある。重症のうつ病は長く続くと共に再発する疾患であり、通常は診断されにくい。さらに、多くの患者は軽度または中程度に重いうつ病を患っている。従って、精神疾患/障害を治療するため、あるいは危険のある人々においてうつ病および気分変調などの精神疾患/障害の進行を予防して、気分を安定化して感情バランスを達成するために使用され得る化合物ならびに医薬品および/または食品組成物の開発への関心が高まっている。
【0009】
患者はうつ病との併存症として、あるいは単独でGADを患うことが多く、GADは、プライマリ・ケアにおいて高度に蔓延している不安状態および慢性疾患である(患者の約10%)(ウィッチェン(Wittchen)ら、2005年、Eur.Neuropsychopharm.15:357−376頁)。患者は、自分の多数の身体症状をその家庭医に示す。GADは、慢性的な緊張ならびに不安な心配および緊張(>6ヶ月)を特徴とし、これらは日常生活に支障をきたすと共に制御することができず、そして特徴的な高覚醒(hypervigilance)症候群(不穏状態、筋肉の緊張、および睡眠問題を含む)を伴う。治療が行われなければ、GADは慢性的に変動する経過をたどり、年齢と共にますます重症になる傾向がある。GAD患者は亜症候群性(subsyndromal)うつ病を患っており、全ての不安症および抑うつ障害の直接および間接的な全体の健康経済負担が最も高いことの一因となる。GAD発生率が高いにもかかわらず、患者が診断される、薬物を処方される、あるいは精神医学的な紹介を受けることは少なく、患者の認識および監視を助けるための簡単な診断ツールが必要とされる。特定の診断にかかわらず、医師は、有効なGAD症状の治療を必要とする。パロキセチンなどのSSRIは、GADの治療に有効である(ストッチ(Stocchi)ら、2003年、J.Clin.Psych.、63(3):250−258頁)。また系統的レビューおよびプラセボ対照RCT(無作為化臨床試験)によって、いくつかのSSRI(エシタロプラム、パロキセチンおよびセルトラリン)、SNRI(選択的ノルエピネフリン再取り込みの阻害薬)ベンラファキシン、いくつかのベンゾジアゼピン(アルプラゾラムおよびジアゼパム)、TCA、イミプラミン、および5−HT1A部分アゴニスト、ブスピロンは全て、急性治療において効果的であることが示される。一般に、治療の効果は中程度であることが多く、治療期間が中断されると症状は再び表れる。そのため、SSRIよりも副作用が少なく長期間にわたって摂取することができる化合物による連続的な長期間の治療または予防は、薬物治療全体にわたって有利であろう。
【0010】
気分障害および職業性のストレスは、睡眠障害、不眠症、睡眠の質の低下、および概日リズム(いわゆるバイオリズム)の全体的な乱れをもたらし得る。このような状態は慢性であることが多く、本質的に持続性である。また、長距離飛行(時差ぼけ)および交替勤務によって誘発される概日リズムの調節異常も、同様の症状および困難を引き起こし得る。そのため、正常な概日リズム(ヒトまたは動物が慣れている)を維持するため、そして/あるいは認知機能および記憶の障害、ならびに精神的および身体的な疲労などの概日リズムの乱れに関連する症状を軽減および予防するために食事補給による治療を行い、それによって、それを必要としている人の全体的な生活の質を改善し、生命エネルギーのためになることが最も望ましいであろう。
【0011】
[頭痛および片頭痛]
頭痛の主な原因は、緊張、片頭痛、眼精疲労、脱水症、低血糖および副鼻腔炎である。頭痛は、原発性頭痛または二次性頭痛に分類することができる。病的変化に関連しない原発性頭痛障害には、片頭痛、緊張関連の頭痛および群発性頭痛が含まれる。二次性頭痛障害、すなわち病的状態により生じる頭痛には、感染性、腫瘍性、血管性、薬物誘発性、または特発性の起源の頭痛が含まれる。片頭痛および群発性頭痛などの原発性頭痛は、世界の人口の最大20%に影響を及ぼし、生活の質に対する多大な打撃を伴う。これらは、悪心、嘔吐症状および光恐怖を伴う反復性の片頭痛によって特徴付けられる。
【0012】
片頭痛の間、三叉神経節の神経は活性化され、神経ペプチドのCGRPを放出して、血管拡張およびマスト細胞脱顆粒を引き起こし、続いて炎症作用物質を放出する。三叉神経ニューロンの感作が生じ、その結果生じるCNSへの侵害受容伝達は、片頭痛に関連する痛み、悪心および光恐怖の一因となる(ダーラム(Durham)およびルッソ(Russo)(1999年)、J.Neurosci.、19(9)、3423−3429頁を参照)。従って、頭痛とCGRPの放出との間には明らかな関連性があり、片頭痛および群発性頭痛はいずれも、痛みが軽減された後には正常に回復される血漿CGRPレベルの上昇と関連することが示されている。
【0013】
さらに、三叉神経血管の侵害受容経路の活性化は、低セロトニン作動活性によって促進され得る(ハーメル(Hamel)(2007年)、Cephalalgia、27(11):1293−1300頁)が、5−HT1B/1D受容体を活性化するトリプタン(例えば、スマトリプタン)による治療は、CGRPレベルを低減することにより急性片頭痛発作を緩和することができる(エドビンソン(Edvinsson),L.ら、2007年、CNS Neurol.Disord.Drug Targets、6(4):240−246頁)。さらに、心血管副作用のない小分子のCGRPアンタゴニストは、片頭痛の治療において効果的であることが示されている(エドビンソン,L.、2007年、Expert Opin.Ther.Targets、11(9):1179−88頁)。
【0014】
CGRP受容体の遮断は、閉経期潮紅の予防および治療においても有効である。
【0015】
[認知、学習および記憶]
上記のように、気分の維持および調節は、主に、セロトニン−、ノルアドレナリン−およびドーパミン−神経伝達物質系を伴うが、ニコチンおよびムスカリン受容体に作用するアセチルコリンは、意識的な自覚、注意および作業記憶を含む認知過程で役割を果たす。コリン作動性アゴニストは記憶を改善することが知られているが、通常アンタゴニストは記憶を損なう。重要なことは、注意欠陥多動性障害、アルツハイマー病およびパーキンソン病などの精神神経障害におけるアセチルコリン受容体系の関与に加えて、非精神病の健康なヒトにおいてニコチン受容体に仲介される認知向上の証拠が存在するが、ムスカリンおよびニコチンアンタゴニストの同時投与の後に、認知機能障害の増大が生じ得ることである。同様に、アセチルコリンの代謝酵素であるアセチルコリンエステラーゼの阻害は、健常者の認知能力を改善することに加えて、アルツハイマー病に関連する認知障害の治療において有効であり得る。
【0016】
さらに、持続性のシナプス伝達の向上を説明するために使用され、脳内で記憶を形成および貯蔵する主要なメカニズムの1つであると広く認められている用語の長期増強(LTP)は、主に、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体複合体およびα−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体を伴い、これらは両方とも、主要な興奮性神経伝達物質のグルタメートに結合する。グルタメートに加えて、NMDA受容体は、受容体機能を調節するためにコアゴニスト(co−agonist)のグリシンを必要とする。グリシン輸送体(GlyT−1および−2)は、シナプス前神経終末またはグリア細胞へのグリシンの再取り込みによって、シナプス後のグリシン作動性作用の終結および低細胞外グリシン濃度の維持において重要な役割を果たす。
【0017】
高齢者および若者の両方、特に高い記憶および注意をその日常業務において必要とする人(学生、建設作業員、運転手、パイロット、医師、販売員、管理職、主婦、「能力の高い専門家」を含む)、ならびに精神的または日々のストレスを受けている人、そして統合失調症などの精神的不安定になりやすい人において、学習、記憶および警戒を改善するために使用され得る化合物ならびに栄養補給食品組成物の開発への関心が高まっている。
【0018】
従って、セロトニン、ノルアドレナリンおよびドーパミンの活性を高めて気分の改善を可能にすることに加えて、NMDA受容体機能を高めることにより、学習、記憶および警戒における改善を可能にする化合物または栄養補給食品組成物は非常に望ましいであろう。
【0019】
[発明の詳細な説明]
本発明に従って、カルノソール、ロスマノールおよびこれらの混合物は、神経伝達の低下に関係する障害を治療するための薬剤として使用可能であることが分かった。
【0020】
もう1つの態様では、本発明は、神経伝達の低下に関係する障害の治療のための組成物を製造するため、特に、抗うつ薬、気分/活力改善剤、ストレス緩和剤、状態改善剤、不安の低減剤、強迫的行動の低減剤、弛緩薬、睡眠改善剤および/または不眠軽減剤および向知性薬を製造するための、有効量のカルノソール、またはロスマノール、あるいはこれらの任意の混合物の使用に関する。さらに、このような組成物は、頭痛および/または片頭痛の軽減剤として使用することもできる。
【0021】
さらにもう1つの態様では、本発明は、有効量のカルノソールおよび/またはロスマノールを含有する食品組成物と、少なくとも有効量のカルノソールおよび/またはロスマノールならびに従来の医薬品キャリアを含有する医薬品組成物とに関する。
【0022】
さらに、本発明は、ヒトを含む動物において神経伝達の低下に関係する障害を治療するための方法に関し、前記方法は、有効量のカルノソールおよび/またはロスマノールを、それを必要としているヒトを含む動物に投与することを含む。
【0023】
本発明との関連における動物はヒトを含み、哺乳類、魚および鳥を包含する。好ましい動物はヒト、ペットおよびコンパニオン動物、ならびに家畜動物である。ペットおよびコンパニオン動物の例は、イヌ、ネコ、鳥、観賞魚、モルモット、(ジャック)ウサギ、ノウサギおよびフェレットである。家畜動物の例は、魚、ブタ、ウマ、反芻動物(ウシ、ヒツジおよびヤギ)および家禽である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】カルノソール(式Iの化合物)およびロスマノール(式IIの化合物)の構造を示す。
【図2A】グリシン取り込みの阻害について測定したカルノソールの用量反応曲線を示す。
【図2B】グリシン取り込みの阻害について測定したサルコシンの用量反応曲線を示す。
【図2C】グリシン取り込みの阻害について測定したORG24598の用量反応曲線を示す。
【図2D】グリシン取り込みの阻害について測定したALX5407の用量反応曲線を示す。
【0025】
より好ましいのは、(4aR,9S,10aS)−カルノソールおよび(4aR,9S,10aS)−ロスマノールである。
【0026】
「ロスマノール」/「カルノソール」という用語は、これまたはこれらを、植物材料または抽出物の全重量を基準として、少なくとも30重量%(すなわち、30〜100重量%)の量、好ましくは少なくとも50重量%(すなわち、50〜100重量%)の量、より好ましくは少なくとも70重量%(すなわち、70〜100重量%)の量、最も好ましくは少なくとも90重量%(すなわち、90〜100重量%)の量で含有する植物の材料または抽出物も包含する。本発明との関連で使用される「植物の材料」および「植物材料」という用語は、植物の任意の部分を意味する。
【0027】
「カルノソール」は、ラセミ混合物および純粋な(4aR,9S,10aS)−カルノソールまたは純粋な(4aS,9R,10aR)−カルノソール、あるいはこれらの任意の混合物またはジアステレオ異性体を意味する。カルノソールは、セージ、ギリシャセージおよびローズマリーを含む植物から単離することができる。そのため、これらの植物の任意の材料または抽出物、あるいは植物材料または抽出物の全重量を基準として、少なくとも30重量%(すなわち、30〜100重量%)の量、好ましくは少なくとも50重量%(すなわち、50〜100重量%)の量、より好ましくは少なくとも70重量%(すなわち、70〜100重量%)の量、最も好ましくは少なくとも90重量%(すなわち、90〜100重量%)の量のカルノソールを含有する他の任意の植物材料または抽出物もこの語句によって包含される。「カルノソール」は、「天然」(単離)カルノソールおよび「合成」(製造)カルノソールの両方を意味する。
【0028】
カルノソールの合成は、いくつかの論文、すなわちTetrahedron 2003年、59(18):3297−3305頁において記載されている。
【0029】
「ロスマノール」は、ラセミ混合物および純粋な(4aR,9S,10aS)−ロスマノールまたは純粋な(4aS,9R,10aR)−ロスマノール、あるいはこれらの任意の混合物またはジアステレオ異性体を意味する。ロスマノールは、セージ、マジョラム、ローズマリー、タイム、サルビア(Salvia)種、およびレペチニア(Lepechinia)種を含む植物から単離することができる。そのため、これらの植物の任意の材料または抽出物、あるいは植物材料または抽出物の全重量を基準として、少なくとも30重量%(すなわち、30〜100重量%)の量、好ましくは少なくとも50重量%(すなわち、50〜100重量%)の量、より好ましくは少なくとも70重量%(すなわち、70〜100重量%)の量、最も好ましくは少なくとも90重量%(すなわち、90〜100重量%)の量のロスマノールを含有する他の任意の植物材料または抽出物もこの語句によって包含される。「ロスマノール」は、「天然」(単離)ロスマノールおよび「合成」(製造)ロスマノールの両方を意味する。
【0030】
ロスマノールの合成は、例えば、J.Nat.Prod.2002年、65(7):986−989頁に記載されている。
【0031】
純粋な化合物として、あるいは植物材料または植物抽出物の成分としてのカルノソールおよび/またはロスマノールは、神経伝達の低下に関係する障害を治療するための食品および医薬品組成物において使用することができる。
【0032】
本発明との関連では、「治療」は、同時治療および予防も包含する。「予防」は、最初の発生(一次予防)または再発(二次予防)を指すことができる。
【0033】
従って、本発明は、ヒトを含む動物において神経伝達の低下に関係する障害を予防するための方法にも関し、前記方法は、有効量のカルノソールまたはロスマノールあるいはこれらの任意の混合物を、それを必要としているヒトを含む動物に投与することを含む。これに関連して、有効量のカルノソールおよび/またはロスマノールは、特に、精神的な健康を維持するため、認知機能のバランスを維持するため、気分変動の危険性を低減するのに役立つため、積極的な気分を維持するのに役立つため、および認知の健全性を支援するため、良好な睡眠の質を維持するのに役立つため、そして頭痛および/または片頭痛に関連する症状を最小限にするのに役立つために使用され得る。
【0034】
本発明との関連において、「障害」という用語は疾患も包含する。
【0035】
神経伝達の低下に関係する障害を治療するための薬剤/組成物は、抗うつ薬、気分/活力改善剤、ストレス緩和剤、状態改善剤、向知性薬、不安低減剤および強迫的行動低減剤、弛緩薬、睡眠改善剤および/または不眠軽減剤ならびに頭痛および/または片頭痛軽減剤を包含する。これらは全て、特に中枢神経系において神経伝達を改善、向上および支援し、そのため精神的な機能障害を軽減する。
【0036】
抗うつ薬は、精神的、行動的および感情的/情緒的、神経性、神経変性、摂食およびストレス関連の障害、例えば、単極性うつ病、双極性うつ病、急性うつ病、慢性うつ病、亜慢性うつ病、気分変調、産後うつ病、月経前の不快気分/症候群(PMS)、更年期抑うつ症状、攻撃性、注意欠陥障害、社会不安障害、季節性感情障害およびGADなどの不安症(障害)、線維筋痛症候群、外傷後ストレス障害、パニック障害、ならびに強迫性障害、不穏下肢症候群、神経質、片頭痛/原発性頭痛および一般的な痛み、嘔吐、過食症、神経性食欲不振、大食症、胃腸障害、燃え尽き症候群および被刺激性などを治療するための薬剤/組成物である。
【0037】
抗うつ薬は、神経認知機能障害の一次および二次予防および/または治療(のための組成物の製造)のために使用することもできる。さらに、これらは、心血管疾患、脳卒中、癌、アルツハイマー病、パーキンソン病などの慢性疾患において併存症として発生する神経伝達の妨害に関連する抑うつ症状または他の症状の治療においても有効である。
【0038】
従って、カルノソールおよび/またはロスマノール、ならびにこれらを含有する(特に、植物材料または抽出物の全重量を基準として、少なくとも30重量%の量、好ましくは少なくとも50重量%の量、より好ましくは70〜90重量%の量、最も好ましくは少なくとも90重量%の量)植物材料および植物抽出物(の混合物)、そしてこれらを含有する食品/医薬品組成物は、ヒトを含む動物の治療のために適切である。
【0039】
本発明のさらなる実施形態では、カルノソールおよび/またはロスマノールは、一般的な気分改善剤としての用途、およびこのような用途のための組成物(これらを、植物材料または抽出物の全重量を基準として、少なくとも70重量%の量、好ましくは少なくとも90重量%の量で含有する植物材料/抽出物、食品/医薬品組成物)を製造するための用途が見出される。「気分改善剤」、「感情的な健康の促進薬」または「活力改善剤」は、それで治療された人の気分が高められること、自尊心が上昇されること、そして/あるいは否定的な思考および/または否定的な緊張が低下されることを意味する。また、感情のバランスがとれること、そして/あるいは総体的、特に精神的な健康および活力が改善または維持されること、ならびに気分変動の危険性が低減される(のに役立つ)こと、そして積極的な気分が維持される(のに役立つ)ことも意味する。
【0040】
カルノソールまたはロスマノール、あるいはこれらの任意の混合物は、一般に、ヒトを含む動物のため、好ましくは、ヒト、ペット動物および家畜動物のための不安低減剤および/または強迫的行動低減剤として使用することもできる。
【0041】
「不安低減剤」は、慢性的な緊張ならびに不安な心配および緊張が減少または軽減されることを意味する。不穏状態、筋肉の緊張および睡眠問題を含む高覚醒症候群が低減または緩和される。社会恐怖および他の恐怖が低減または解決される。一般に、社会環境はあまり威嚇的でなく経験される。人は感情的にリラックスし、快適さを経験し、そして他の人々との親交および交際を楽しむ。
【0042】
「弛緩薬」、「睡眠改善剤」または「不眠軽減剤」は、睡眠開始を改善し、そして人が容易に睡眠に入り、一晩中邪魔されない睡眠を維持する助けとなることを意味する。また、時差ぼけまたは交替勤務による概日リズム関連の睡眠の乱れが修正されること、そして不眠に関連する症状、すなわち、認知機能および記憶の障害、精神的および身体的な疲労、夢幻が除去または緩和され、全体的な生活の質および生命エネルギーが改善されることも意味する。
【0043】
さらに、カルノソールまたはロスマノール、ならびにこれ/これらを有効量含む組成物は、ストレス関連の症状の治療、予防および軽減のため、働き過ぎ、疲労困憊および/または燃え尽きに関連する症状の治療、予防および軽減のため、ストレスに対する抵抗または耐性の増大のため、そして/あるいは健常者のリラクセーションを有利および容易にするために有用であり、すなわち、このような組成物は「ストレス緩和剤」としての効果を有する。
【0044】
本発明のさらなる実施形態は、病人または健常者における「状態改善剤」としての、すなわち、被刺激性および疲労を低減するため、身体的および精神的な疲労を低減、予防または軽減するため、ならびにより一般的な言葉ではエネルギーを増大させるため、特に脳エネルギーの産生を増大させるための手段としての、カルノソールおよび/またはロスマノールの使用、ならびにこれ/これらを含有する組成物(これ/これらを、植物材料または抽出物の全重量を基準として、少なくとも70重量%の量、好ましくは少なくとも90重量%の量で含有する植物材料/抽出物、食品/医薬品組成物)の使用に関する。さらに、一般的な認知改善のため(従って「向知性薬」として作用する)、特に、注意および集中の維持または改善、記憶および思い出す能力の維持または改善、学習能力、言語処理、問題解決および知的機能の維持または改善のため、短期記憶の改善のため、精神的な警戒を増大させるため、精神的な覚醒状態を高めるため、精神的な疲労を低減するため、認知の健全性を支援するため、そして認知機能のバランスを維持するためである。その上、このような組成物は、「頭痛および/または片頭痛軽減剤」として、すなわち、頭の痛み、悪心、視覚障害および光恐怖などの頭痛および/または片頭痛に関連する症状を低減するための手段として、ならびに空腹および満腹を調節するため、そして運動活性の調節のために使用することもできる。
【0045】
[獣医学的使用]
ペットおよび家畜動物は、本発明によって提供することができる神経伝達の向上または改善を必要としている状態にあり得る。動物はストレスの多い状況に逆らう行動的および/または生理的な反応を示すことがあり、大量生産環境で育てられた動物、または好ましくない状態で輸送されている動物は、食肉または乳の品質または量の低下を呈し、ストレスを受けた家禽は、羽根つつき、産卵の低下および共食いという手段をとり得る。多くの動物は、不利な飼育または輸送状態において、攻撃的になるか、あるいは常同行動、不安行動および強迫的行動を表し得る。
【0046】
従って、本発明のもう1つの態様は、カルノソールおよび/またはロスマノール、ならびにこれ/これらを含有する組成物の、食品/医薬品組成物としての獣医学的使用である。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、カルノソールおよび/またはロスマノール、あるいはこれらの一方または両方を含有する植物材料または抽出物は、屠殺場への輸送中に家畜動物および大量生産の家畜飼育におけるストレスを予防するため、そして/あるいはこのような状況下での前記家畜動物の食肉の品質の低下を予防するために投与される。家畜動物は、好ましくは、家禽、ウシ、ヒツジ、ヤギおよびブタである。
【0048】
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、カルノソールおよび/またはロスマノール、あるいはこれらの一方または両方を含有する植物材料または抽出物は、例えば、食肉品質および産卵の低下をもたらす羽根つつきおよび共食いを予防するために家禽に投与される。
【0049】
本発明のもう1つの態様は、水産養殖におけるストレスを予防および/または軽減するための方法であり、カルノソールおよび/またはロスマノール、あるいはこれらの一方または両方を含有する植物材料または抽出物を、それを必要としている動物(ここで、動物は魚またはエビである)に投与することを含む。
【0050】
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、カルノソールおよび/またはロスマノール、あるいはこれらの一方または両方を含有する植物材料または抽出物は、飼い主の別離、変化または喪失などのストレスの多い状態、休暇による別離中、およびいわゆる「アニマルホテル」における飼育中、そしてアニマルシェルターまたは避難所における飼育中に生じるストレス、緊張および攻撃性ならびに強迫行動を低減するためにペットまたはコンパニオン動物に投与される。
【0051】
本発明のさらにもう1つの態様は、毛皮産業で使用される動物、好ましくは、ミンク、キツネおよびノウサギにおいて、ストレスの多い状態に関連する症状を予防/低減するための方法である。
【0052】
[本発明の好ましい用量および組成]
ヒトについては、本発明の目的のためのカルノソールまたはロスマノールあるいはこれらの任意の混合物の適切な1日の投与量は、1日あたり、体重1kgにつき0.001mg〜体重1kgにつき約20mgの範囲内であり得る。さらに好ましいのは、体重1kgにつき約0.01〜約10mgの1日の投与量であり、そして特に好ましいのは、体重1kgにつき約0.05〜5.0mgの1日の投与量である。カルノソールまたはロスマノールのいずれかあるいはこれらの両方を含有する植物材料または植物抽出物の量は、それに応じて計算することができる。
【0053】
「食品組成物」という用語は任意のタイプの(強化)食品/飼料および飲料を含み、臨床的な栄養および栄養補助食品も含まれる。本発明に従う食品組成物は、さらに、保護親水コロイド、バインダー、フィルム形成剤、カプセル化剤/材料、壁/殻材料、マトリックス化合物、コーティング、乳化剤、界面活性剤、可溶化剤(油、脂肪、ワックス、レシチンなど)、吸着剤、キャリア、充填剤、共化合物(co−compound)、分散剤、湿潤剤、加工助剤(溶媒)、流動化剤、風味マスキング剤、増量剤、ゼリー化剤(jellyfying agent)、ゲル形成剤、酸化防止剤および抗菌剤を含有し得る。
【0054】
薬学的に許容可能なキャリアおよび少なくともカルノソールまたはロスマノールのいずれかに加えて、本発明に従う医薬品組成物は、さらに、従来の医薬品添加剤およびアジュバント、賦形剤または希釈剤、香味剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、緩衝液、潤滑剤、着色剤、湿潤剤、充填剤などを含有し得る。キャリア材料は、経口/非経口/注射による投与に適した有機または無機の不活性キャリア材料であり得る。
【0055】
本発明に従う食品および医薬品組成物は、人体を含む動物の体へ投与するために適した任意の生薬形態(galenic form)、特に経口投与のための従来通りの任意の形態、例えば、食品または飼料(のための添加剤/サプリメント)、食品または飼料プレミックス、強化食品または飼料、錠剤、丸薬、顆粒剤、糖衣錠、カプセル、ならびに粉末および錠剤などの発泡製剤などの固体形態、あるいは、例えば、飲料、ペーストおよび油性懸濁液のような溶液、エマルジョンまたは懸濁液などの液体形態でよい。ペーストは、ハードまたはソフトシェルカプセルに充填され得る。他の適用形態の例は、経皮、非経口または注射による投与のための形態である。食品および医薬品組成物は、制御(遅延)放出製剤の形態でもよい。
【0056】
強化食品の例は、シリアルバー、ならびにケーキおよびクッキーなどのベーカリー品である。
【0057】
飲料は、ノンアルコールおよびアルコール飲料、ならびに飲料水および流動食に添加される液体調製物を包含する。ノンアルコール飲料は、例えば、ソフトドリンク、スポーツドリンク、果実ジュース、レモネード、ニアウォーター飲料(すなわち、低カロリー含量のウォーターベースの飲料)、お茶および牛乳ベースの飲料である。流動食は、例えば、スープおよび乳製品(例えば、ムースリ飲料)である。
【0058】
ヒトのための固体剤形調製物では、カルノソールまたはロスマノールあるいはこれらの任意の混合物は、剤形あたり約0.1mg〜約1000mgの範囲、好ましくは約1mg〜約500mgの範囲の量で適切に存在する。
【0059】
食品組成物、特にヒトのための食品および飲料では、カルノソールまたはロスマノールあるいはこれらの任意の混合物は、食品または飲料の全重量を基準として、約0.0001(1mg/kg)〜約5重量%(50g/kg)、好ましくは約0.001%(10mg/kg)〜約1重量%、(10g/kg)より好ましくは、約0.01(100mg/kg)〜約0.5重量%(5g/kg)の範囲の量で適切に存在する。
【0060】
食品および飲料では、範囲は、1回分あたり10〜30mg、すなわち食品または飲料1kgにつき120mgである。
【0061】
ヒトを除く動物については、カルノソールまたはロスマノール、あるいはこれらの任意の混合物の適切な1日の投与量は、1日あたり、体重1kgにつき0.001mg〜体重1kgにつき約1000mgの範囲内であり得る。さらに好ましいのは、体重1kgにつき約0.1mg〜約500mgの範囲の1日の投与量であり、そして特に好ましいのは、体重1kgにつき約1mg〜100mgの範囲の1日の投与量である。
【0062】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
【0063】
[実施例]
以下の実験で使用されるカルノソールおよびロスマノールは、スイス国KaiseraugstのDSM Nutritional Products Ltd.の化学者によって合成された。全ての化合物は、95%よりも高い純度であった。
【0064】
モノアミン神経伝達物質のセロトニン、ドーパミンおよびノルアドレナリンの作用は、細胞膜輸送タンパク質によるシナプス結合からのその急速な取り込みおよび排除を通して調節される。中枢のモノアミン作動性ニューロンにおけるモノアミン輸送体は放出された神経伝達物質の90%までの回収に関与し、コカイン、アンフェタミンなどの多数の向精神薬および抗うつ薬の高親和性の標的である。これらの薬剤は、輸送体を遮断し、その結果神経細胞の取り込みを防止することによって、中枢および抹消神経系の両方において細胞外神経伝達物質濃度のレベルを上昇させ、その行動性および自律神経性の効果の一因となる。従って、カルノソールおよび/またはロスマノールによるセロトニン、ドーパミンおよびノルアドレナリンの取り込みの阻害は、以下の3つの実施例によって説明される。
【0065】
[実施例1]
[カルノソールおよびロスマノールによるセロトニン取り込みの阻害]
ヒトセロトニン再取り込み輸送体(hSERT)を安定して発現するヒト胎児腎臓(HEK−293)細胞は、米国ヴァンダービルト大学のR.ブレイクリー(Blakely)から入手した。10%の透析ウシ胎児血清(Invitrogen)、ペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミンおよび抗生物質G418を含有するダルベッコ変法イーグル培地(Bioconcept)において細胞を日常的に成長させ、トリプシン処理により継代させた。アッセイの当日に、温かいリン酸緩衝食塩水(PBS)で穏やかに洗浄することによって、80%コンフルエントなフラスコからの細胞を収集した。次に、細胞を遠心分離によって1回洗浄し、160μlの緩衝液中10,000個の細胞濃度で、35μMのパージリン、2.2mMのCaCl、1mMのアスコルビン酸および5mMのN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES緩衝液)を補充したクレブス・リンゲル重炭酸塩緩衝液(Sigma)中に再懸濁させ、1つのウェルにつき10,000個の細胞で、丸底のポリプロピレンの96ウェルマイクロタイタープレート(Corning)に分注した。20nMの濃度の放射標識[H]−セロトニン(GE Healthcare)を添加し、穏やかに振とうさせながら37℃で40分間インキュベーションすることによって、セロトニンの細胞への取り込みを決定した。この時間の最後に、Tomtec Mach III M 細胞ハーベスターを用いて、Unifilter 96GF/Bプレート(Perkin Elmer)によるろ過によって、取り込まれなかった標識を除去した。Microscint−40/Topcount(Perkin Elmer)を用いて、液体シンチレーション計数によって、プレート上に保持された、取り込まれたセロトニンを定量した。
【0066】
H]セロトニンの添加前の10分間および添加中に濃度範囲(カルノソールおよびロスマノール:0.003〜100μM、フルオキセチン:0.03nM〜1μM)でアッセイに包含させることによって、セロトニン取り込みに対するカルノソール、ロスマノールおよび基準化合物フルオキセチンの効果を決定した。輸送体によるセロトニン取り込みは、これらのそれぞれによって用量依存的に阻害された。これらのそれぞれによるセロトニン取り込みの阻害について計算したIC50値は表1に示される。
【0067】
【表1】

【0068】
[実施例2]
[カルノソールによるドーパミン取り込みの阻害]
ヒトドーパミン輸送体(hDAT)を発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)−K1細胞をアッセイの前にプレーティングした。細胞(2×10/ml)を、120mMのNaCl、5.4mMのKCl、1.2mMのCaCl、1.2mMのMgSO、5mMのD−グルコースおよび1mMのアスコルビン酸をさらに含有する変性Tris−HEPES緩衝液(5mMのTris−HCl、7.5mMのHEPES、pH7.1)中でカルノソールおよび/または媒体と共に、25℃で20分間インキュベートした後、50nMの[H]−ドーパミンを10分間添加した。10μMのノミフェンシン(ドーパミン再取り込みの阻害薬)の存在下で特異的なシグナルを決定した。次に、細胞を1%のSDS溶解緩衝液で可溶化した。媒体対照に対して50パーセント以上(≧50%)の[H]−ドーパミン取り込みの低下は、著しい阻害活性を示した。カルノソールは10の濃度(0.00316〜100μM)で試験し、ノミフェンシンは5つの濃度(0.001〜0.1μM)で試験した。これらの同じ濃度を別個の細胞群に同時に適用し、取り込みの著しい阻害が観察された場合にだけ、化合物に誘発される可能性のある細胞毒性について評価した。
【0069】
【表2】

【0070】
[実施例3]
[カルノソールによるノルアドレナリン取り込みの阻害]
ヒトノルアドレナリン輸送体(hNAT)を安定して発現するメイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞をアッセイの1日前にプレーティングした。細胞(2×10/ml)を、120mMのNaCl、5.4mMのKCl、1.2mMのCaCl、1.2mMのMgSO、5mMのD−グルコースおよび1mMのアスコルビン酸をさらに含有する変性Tris−HEPES緩衝液(5mMのTris−HCl、7.5mMのHEPES、pH7.1)中でカルノソールおよび/または媒体と共に25℃で20分間プレインキュベートし、次に、25nMの[H]−ノルアドレナリンを添加して10分間インキュベーションした。次に、各ウェル内の細胞を2回洗浄し、1%のSDS溶解緩衝液で可溶化し、ライセートを分析して、[H]−ノルアドレナリン取り込みを決定した。10μMデシプラミン(ノルアドレナリン再取り込みを阻害する三環式抗うつ薬)の存在下で特異的なシグナルを決定した。媒体対照に対して50パーセント以上(≧50%)の[H]−ノルアドレナリン取り込みの低下は、著しい阻害活性を示した。カルノソールは10の濃度(0.00316〜100μM)で試験し、デシプラミンは5つの濃度(0.5〜50nM)で試験した。これらの同じ濃度を別個の細胞群に同時に適用し、取り込みの著しい阻害が観察された場合にだけ、化合物に誘発される可能性のある細胞毒性について評価した。
【0071】
【表3】

【0072】
[実施例4]
[カルノソールおよびロスマノールによるモノアミンオキシダーゼの阻害]
モノアミンオキシダーゼA(MAO−A)およびB(MAO−B)酵素のための基質として、それぞれ有機アミンのp−チラミンまたはベンジルアミンを用いた。この反応により生じるHを、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)により触媒されるバニリン酸との反応によって定量した。
【0073】
反応は、ポリスチレンマイクロタイタープレートにおいて37℃で実行した。0.2Mのリン酸カリウム緩衝液pH7.6中で、MAO酵素(最終濃度2U/ml)を、必要に応じてp−チラミン(Sigma、最終濃度0.5mM)またはベンジルアミン(Sigma、最終濃度0.5mM)のいずれか、ならびに発色溶液(バニリン酸(Fluka)、4−アミノアンチピリン(Fluka)および西洋わさびペルオキシダーゼ(Sigma)を含有し、最終濃度はそれぞれ0.25mM、0.125mMおよび1U/mlである)と混合した。40分間のインキュベーションの後、プレートをマイクロタイタープレート吸光度リーダー、例えば、Spectramax M5(Molecular Devices Corporation)において495nmで分析した。
【0074】
基質によるインキュベーション前の10分間およびインキュベーション中に0.03〜100μMの間の濃度範囲でアッセイに包含させることによって、モノアミンオキシダーゼ酵素に対するカルノソールおよびロスマノールの効果を決定した。反応のHRPで触媒される部分に対する化合物の効果を決定するために、MAO酵素をH(Molecular Probes、最終濃度50μM)によって置換した。MAO−AおよびMAO−Bを含有する反応はいずれも、カルノソールおよびロスマノールによって用量依存的に阻害されたが、対照反応は影響を受けなかった。カルノソールおよびロスマノールによるモノアミンオキシダーゼ活性の阻害について測定したIC50値は表4に示される。
【0075】
【表4】

【0076】
[実施例5]
[カルノソールおよびロスマノールによるグリシン輸送体1の阻害]
ヒトグリシン輸送体1bcDNA(GlyT1)を安定して発現するCHO細胞を、10%の透析ウシ胎児血清、ペニシリン、ストレプトマイシン、プロリンおよび抗生物質G418を含有するダルベッコ変法イーグル培地(米国カールズバッドのInvitrogen)において日常的に成長させた。アッセイの1日前に細胞をトリプシン処理により収集し、上記の培地に播種した。アッセイの直前に、150mMのNaCl、1mMのCaCl、2.5mMのKCl、2.5mMのMgCl、10mMのグルコースおよび10mMのN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES緩衝液)を含有する取り込み緩衝液で培地を置換した。
【0077】
60nMの放射標識[H]−グリシン(英国スラウのAmersham Biosciences GE Healthcare)を添加し、室温で30分間インキュベーションすることによって、細胞へのグリシン取り込みを決定した。上記の緩衝液で3回穏やかに洗浄することによって、取り込まれなかった標識を除去した後、液体シンチレーション計数によって、取り込まれたグリシンを定量した。
【0078】
GlyT1輸送体によるグリシン取り込みは、カルノソール(0.00316〜100μM)を添加することにより用量依存的に阻害された。しかしながら、このアッセイではロスマノールは不活性であった。サルコシン、ORG24598およびALX5407(全て、米国セントルイスのSigmaから)をGlyT1の既知の阻害剤として使用した。グリシン取り込みの阻害について測定したIC50値およびそれぞれの用量反応曲線は、それぞれ表5および図2に示される。
【0079】
【表5】

【0080】
[実施例6]
[海馬切片培養物におけるLTPに対するカルノソールおよびロスマノールの効果]
ギロチンを用いて7日齢のウィスターラットを斬首した。1分経たないうちに頭蓋骨を開き、大脳半球を分離および移動させ、そして両方の海馬を解剖し、137mMのNaCl、5mMのKCl、0.85mMのNaHPO、1.5mMのCaCl、0.66mMのKHPO、0.28mMのMgSO、1mMのMgCl、2.7mMのNaHCO、1mMのキヌレン酸および0.6%のD−グルコースを含有する氷冷した緩衝液中に移した。
【0081】
同じ緩衝液中で振動ブレードミクロトーム(VT1200S、スイス国ヘルブルグのLeica Microsystems(Schweiz)AG)を用いて、海馬の横断切片(400μm)を調製した。海馬切片を個々に、メンブランインサート(Millicell Culture Plate Inserts、0.4μm)上に置き、25%の熱不活性化ウマ血清、1×GlutaMAX、1×ペニシリン/ストレプトマイシン、0.6%のグルコースおよび1mMのキヌレン酸を含有するBMEおよびMEM(いずれもInvitrogenから)の1:1混合物を含有する培地中、35℃、5%CO、95%湿度で培養した(ストッピニ(Stoppini)、ブックス(Buchs)およびミュラー(Muller)(1991年)、J.Neurosci.Methods、37(2)、173−82頁)。
【0082】
48時間の培養後、140mMのNaCl、5mMのKCl、1.3mMのCaCl、25mMのHEPES(pH7.3)、33mMのD−グルコースおよび0.02mMのビククリンメチオダイド中で15分間、カルノソールまたはロスマノールの添加によってシナプスNMDA受容体を活性化した。サルコシン(100μM)およびALX5407(20nM)を正の対照として日常的に用いた。さらなる正の対照は、姉妹培養物への200μMグリシンの添加を含んだ。処置の後、切片を洗浄し、免疫組織化学的検査のために固定した。学習および記憶のエキソビボモデルを表す長期増強に通常関連する増強したシナプス活性のマーカーを定量した(以下の表6を参照)。
【0083】
【表6】

【0084】
カルノソールおよびロスマノールによる海馬培養物の処置は、LTPでは一般的な1つまたは複数の生化学的マーカーを誘発した(pCREB:cAMP応答エレメント結合タンパク質の活性型、pMAPK:分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼの活性型、GluR1:AMPA受容体1の細胞表面の存在)。
【0085】
[実施例7]
[カルノソールによるCGRP受容体の阻害]
CGRPは脳血管の強力な血管拡張剤であり、片頭痛の発症に関与している。CGRP受容体は、特に、三叉神経節の感覚ニューロンに関連する頭蓋内血管網である三叉神経の脈管構造に豊富である。三叉神経の感覚ニューロンの活性化およびCGRP放出は、片頭痛の病態生理に強く関与している。CGRPの受容体の遮断は、片頭痛、頭痛および閉経期潮紅の予防および治療において有効である。
【0086】
アイヤー(Aiyar)ら(1996年、J.Biol.Chem.、271:11325−11329頁)により記載されるアッセイから適合された放射リガンド結合アッセイを用いて、形質移入CHO細胞におけるヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(hCGRP)受容体のアゴニスト部位に対するカルノソールの効果を調査した。
【0087】
簡潔に言うと、50mMのHEPES−NaOH(pH7.4)、10mMのMgCl、4mMのKCl、10mMのNaCl、1mMのEDTA、1μMのホスホラミドン、0.3%のBSAおよび0.04%のバシトラシンを含有する緩衝液中、カルノソール(10μM)の存在下または不在下で、細胞膜ホモジネート(10μgタンパク質)を、0.03nMの[125I]h−CGRPαと共に22℃で90分間インキュベートした。1μMのh−CGRPαの存在下で非特異的な結合を決定した。インキュベーションの後、0.3%のポリエチレンイミン(PEI)に予め浸漬したガラス繊維フィルタ(GF/B、Packard)によってサンプルを真空下で急速にろ過し、96サンプル細胞ハーベスター(Unifilter、Packard)を用いて、氷冷した50mMのTris−HClで数回洗浄した。フィルタを乾燥させ、次に、シンチレーションカクテル(Microscint 0、Packard)を用いてシンチレーションカウンタ(Topcount、Packard)において放射活性についてカウントした。結果は、対照の放射リガンドの特異的結合のパーセント阻害で表される。使用した標準基準化合物は、hCGRP受容体の天然アゴニストであるh−CGRPαであった。
【0088】
hCGRP受容体への結合は、10μMのカルノソールによって著しく阻害された(54%)。従って、カルノソールは、片頭痛、頭痛および閉経期潮紅の予防および治療において使用することができる。
【0089】
[実施例8]
[カルノソールによるアセチルコリンエステラーゼの阻害]
アセチルコリンエステラーゼの主な役割は、アセチルコリンの急速な加水分解によるコリン作動性シナプスにおける神経伝達の終結である。この重要な酵素の阻害は、認知機能障害および記憶障害の治療のために有用な戦略であると考えられる。
【0090】
エルマン(Ellman)ら(1961年、Biochem.Pharmacol.、7:88−90頁)から適合されるように、アセチル−6−メチルチオコリン(AMTCh)からの5−チオ−2−ニトロ安息香酸の形成を測定することによって、ヒト組換えアセチルコリンエステラーゼ活性に対するカルノソールの効果を定量した。簡潔に言うと、200mMのNaHPO/NaHPO(pH8.0)、5mg/mlの(NHSO、0.4mMのDTNBおよび5mUの酵素を含有する緩衝液に、カルノソール(10μM)、基準化合物または水(対照)を添加した。次に、50μMの基質AMTChの添加によって酵素反応を開始させた。即座に(t=0)、ミクロプレートリーダー(MRX、DynatechまたはUltra、Tecan)を用いてλ=405nmにおける吸光度を測定した。この測定を用いて、この波長における分光光度検出により任意の化合物の干渉を検出した。37℃における30分のインキュベーションの後(t=30)、λ=405nmにおいて吸光度の第2の測定を行った。t=30で測定したシグナルからt=0で測定したシグナルを差し引くことによって、酵素活性を決定した。結果は、対照の酵素活性のパーセント阻害で表される。使用した標準阻害基準化合物はネオスチグミンであり、各実験においていくつかの濃度で試験して、そのIC50値が計算される阻害曲線を得た。
【0091】
アセチルコリンエステラーゼ活性は、10μMカルノソールによって著しく阻害された(53%)。従って、カルノソールは有効なアセチルコリンエステラーゼ阻害薬であることが実証され、軽度認知機能障害および記憶喪失の予防または治療ために使用することができる。
【0092】
[実施例9]
[ポルソルト(Porsolt)の水泳試験]
強制水泳試験(FST)は、最初に、ラットにおける抗うつ薬様化合物のスクリーニングのために1977年に報告され(ポルソルトら1977年、Nature、266:730−732頁)、その後、マウスを試験するために変更された(ポルソルトら1977年、Arch.Int.Pharmacodynamie、229:327−336頁)。「行動的絶望」を実証し、それにより、逃げ道のない水のシリンダー内で強制的に水泳させたときに、ラットまたはマウスは、最初は活発な逃避志向の活動を示すが、最終的には、その頭を水の上に維持するために必要な最小限の動きしか行わないであろう。試験は、うつ病に対して既知の治療活性を有する様々な薬物(そのうちのいくつかは現存の行動モデルにおいてこれまでは効力を示していない)に感受性があることが示された。
【0093】
2つの別個の実験において、カルノソールの腹腔内または経口投与のいずれかに続いてマウスを試験した。水(22℃)を含有する逃亡することができないシリンダー内にマウスを個々に入れた。マウスを水中に6分間入れ、最後の4分間に不動の持続時間を測定した。1つの群につき10〜15匹のマウスを調べた。3、10、30mg/kg体重(試験の30分前に腹腔内)、または200、400、600mg/kg体重(試験の24、5および1時間前に経口)でカルノソールを評価し、媒体対照群と比較した。同じ実験条件下で投与したイミプラミン(それぞれ腹腔内または経口で32mg/kg)を基準物質として用いた。不動および水泳時間を評価した。
【0094】
【表7】

【0095】
従って、腹腔内投与の後、FSTにおいて試験した全ての用量のカルノソールは、不動行動を著しく低下させたが、経口投与の後は、中間の用量(400mg/kg)だけが不動を著しく低下させた。従って、このデータは、カルノソールの抗うつ様活性を示す。
【0096】
[実施例10]
[ビー玉埋設試験(marble burying test)]
不快な味の液体が充填された飲料用注ぎ口(ウィルキー(Wilkie)ら、1979年、J.Exp.Anal.Behav.31:299−306頁)または電気ショック棒(ピネル(Pinel)ら、J.Comp.Phys.Psych.92:708−712頁)などの侵害性の物体を埋めるラットによって「防御的な埋設」行動を実証した。ビー玉埋設試験は、このような試験の改変として考案した(ポーリング(Poling)ら、1981年、J.Expl.Anal.Behav.35:31−44頁)。連続する10または21日の間、それぞれが25個のビー玉を含有する個々のケージに毎日ラットを暴露した。10日間の各日、または21日間の暴露の24時間後に埋められたビー玉の数をカウントした。著者らにより、ビー玉の埋設は目新しさにより決定されず、侵害性刺激によるものであることが報告された。
【0097】
マウスによるビー玉埋設行動は、鎮静を誘発しない用量で、SSRI(例えば、フルボキサミン、フルオキセチン、シタロプラム)、三環式抗うつ薬(例えば、イミプラミン、デシプラミン)および選択的ノルアドレナリン取り込み阻害薬(例えば、レボキセチン)に加えて、マイナー(例えば、ジアゼパム)およびメジャー(例えば、ハロペリドール)の様々な精神安定薬に感受性があると報告されている(ブルッカンプ(Broekkamp)ら、1986年、Eur.J.Pharm.、126:223−229頁)。このモデルは、不安様または強迫性行動のいずれかを反映し得る(デブール(De Boer)ら、2003年、Eur.J.Pharm.463:145−161頁を参照)。
【0098】
ここで適用される方法は、ブルッカンプら(1986年)により記載される方法に従う。マウス(処置群あたりn=15)を、床の上5cmのおがくずと、ケージの中央に集められた25個のビー玉(直径1cm)を有する透明なプラスチックケージ(33×21×18cm)内に個々に入れた。逆さにした第2のケージをフタとして用いた。30分の試験時間の最後に、おがくずで(少なくとも3分の2が)覆われたビー玉の数をカウントした。薬物処置プロトコルを知らない研究者によって試験を実施した。
【0099】
試験の前に、各ケージ内に10匹の未処置のマウスを15分間放置することによって、全ての試験ケージおよびビー玉を「浸透」させた。
【0100】
カルノソール(3、10および30mg/kg)およびロスマノール(10、30および100mg/kg)を試験の30分前に腹腔内投与し、媒体対照群と比較した。同じ実験条件下で投与されたフルオキセチン(32mg/kg)を基準物質として使用した。
【0101】
【表8】

【0102】
試験した最高用量のカルノソール(30mg/kg)およびロスマノール(100mg/kg)はSSRIフルオキセチンと同じように、明らかにそして著しく、ビー玉埋設行動を低下させ、従って、両方の化合物の抗不安様活性が示される。
【0103】
[実施例11]
[4プレート試験におけるカルノソールの効果]
抗不安活性を検出する方法は、アロン(Aron)ら(1971年、Neuropharmacology、10:459−469頁)によって記載される方法に従う。抗不安薬(ベンゾジアゼピン)は、処罰横断(punished crossing)の数を増大させる。電気ショック発生器に接続された4枚の金属プレートからなる床を含有する白色プラスチックエンクロージャ(Apelex:タイプ011346)内に、動物を個々に入れた。各マウスを15秒間自由に探索させた。次に、1枚のプレートから別のプレートに移るたびに、弱い電気ショック(2.5mA、1.5秒)を与えた。1分間の試験中処罰横断の数をカウントした。1つの群につき15匹のマウスを調べた。試験は盲目的に実施した。
【0104】
試験の24時間、5時間および1時間前に経口投与された3つの用量(200、400、600mg/kg)において、カルノソールを評価し、媒体対照(コーン油)群と比較した。
【0105】
試験の1時間前に投与したクロバザム(32mg/kg、経口)は、基準物質として用いた。この群のマウスは、実験の盲目性を保持するために、試験の24時間および5時間前に媒体の追加投与を与えた。
【0106】
【表9】

【0107】
カルノソール(200、400および600mg/kg)は、媒体対照と比較して処罰横断の数を全体的に増大させ(それぞれ、+25%、+32%および+11%)、400mg/kgにおいてかなり増大させる(p<0.05)。これらの結果は、カルノソールが400mg/kgの経口において弱いが有意の抗不安様活性を有することを示唆する。
【0108】
[実施例12]
[ソフトゼラチンカプセルの調製]
以下の成分を含むソフトゼラチンカプセルが調製される。
【0109】
【表10】

【0110】
軽度の慢性気分変調の治療のために1日あたり2個のカプセルを3ヶ月間成人に投与することができる。
【0111】
[実施例13]
[ソフトゼラチンカプセルの調製]
以下の成分を含むソフトゼラチンカプセルが調製される。
【0112】
【表11】

【0113】
月経前症候群および月経前不快気分障害の治療のために、好ましくは月経周期の後半に、1日あたり1個のカプセルを14日間摂取すべきである。
【0114】
[実施例14]
[錠剤の調製]
以下の成分を含む錠剤が調製される。
【0115】
【表12】

【0116】
一般的な健康、活力化およびストレスの軽減のために、1個の錠剤を1日2回、3ヶ月間摂取する。
【0117】
[実施例15]
[インスタントフレーバーソフトドリンクの調製]
【0118】
【表13】

【0119】
全ての成分をブレンドし、500μmのふるいにかける。得られた粉末を適切な容器に入れ、管状ブレンダにおいて少なくとも20分間混合する。飲料を調製するために、得られた混合粉末125gに十分な水を添加し、1リットルの飲料を作る。
【0120】
すぐに飲めるソフトドリンクは、1回分(250ml)あたり約30mgのカルノソールまたはロスマノールを含有する。強化剤として、そして一般的な健康のために、1日あたり2回分(240ml)を飲むべきである。
【0121】
[実施例16]
[焼いていない強化シリアルバーの調製]
【0122】
【表14】

【0123】
カルノソールまたはロスマノールをスキムミルク粉末と予め混合し、プラネタリーボールミキサに入れる。コーンフレークおよびライスクリスピーを添加し、全てを穏やかに混合する。次に、乾燥およびカットアップルを添加する。第1の調理ポット内で、上記で与えられる量の糖、水および塩を混合する(溶液1)。第2の調理ポット内で、上記で与えられる量のグルコース、転化およびソルビトールシロップを混合する(溶液2)。ベーキング用油脂、パーム核油脂、レシチンおよび乳化剤の混合物は油脂相である。溶液1を110℃に加熱する。溶液2を113℃に加熱し、次に冷水浴中で冷却する。その後、溶液1および2を混ぜ合わせる。油脂相を水浴中75℃で溶解させる。溶液1および2を合わせた混合物に油脂相を添加する。アップルフレーバーおよびクエン酸を液体糖−油脂ミックスに添加する。液体を乾燥成分に添加し、プラネタリーボールミキサで十分に混合する。塊を大理石プレート上に置き、所望の厚さに圧延する。塊を室温まで冷却し、小さく切断する。焼いていないシリアルバーは、1回分(30g)あたり約25mgのカルノソールまたはロスマノールを含有する。一般的な健康および活力化のために、1日あたり1〜2個のシリアルバーを食べるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のカルノソールおよび/またはロスマノールを含む、神経伝達の低下に関連する状態の予防または治療に有用な食品または医薬品組成物。
【請求項2】
食品、飼料、乳製品、ヨーグルト、強化食品、シリアルバー、ベーカリー品、ケーキ、クッキー、栄養補助食品、錠剤、丸薬、顆粒剤、糖衣錠、カプセル、発泡製剤、ノンアルコール飲料、ソフトドリンク、スポーツドリンク、果実ジュース、レモネード、ニアウォーター飲料、お茶、牛乳ベースの飲料、流動食、スープ、および液体乳製品(ムースリ飲料)からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
抗うつ薬、気分/活力改善剤、ストレス緩和剤、状態改善剤、不安の低減剤、強迫的行動の低減剤、弛緩薬、睡眠改善剤および/または不眠軽減剤、向知性薬、認知の健全性およびバランスの保持剤、学習向上剤、言語処理向上剤、問題解決向上剤、知的機能向上剤、心理社会的負担に対処する能力の向上剤、注意および集中の向上剤、記憶の向上剤、精神的警戒の向上剤、精神的覚醒の向上剤、精神的疲労の向上剤および精神状態の安定剤である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
頭痛または片頭痛を予防または緩和する請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記カルノソールおよび/またはロスマノールが植物抽出物中に存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
有効量のカルノソールおよび/またはロスマノールを、それを必要としているヒトを含む動物に投与することを含む、神経伝達の低下に関係する障害の治療または予防方法。
【請求項7】
前記動物がヒト、ペット動物または家畜動物である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カルノソールおよび/またはロスマノールが、食品、飼料、乳製品、ヨーグルト、強化食品、シリアルバー、ベーカリー品、ケーキ、クッキー、栄養補助食品、錠剤、丸薬、顆粒剤、糖衣錠、カプセル、発泡製剤、ノンアルコール飲料、ソフトドリンク、スポーツドリンク、果実ジュース、レモネード、ニアウォーター飲料、お茶、牛乳ベースの飲料、流動食、スープ、および液体乳製品(ムースリ飲料)からなる群から選択される形態で存在する請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記カルノソールおよび/またはロスマノールが、植物抽出物中に存在する請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記カルノソールおよび/またはロスマノールが、抗うつ薬、気分/活力改善剤、ストレス緩和剤、状態改善剤、不安の低減剤、強迫的行動の低減剤、弛緩薬、睡眠改善剤および/または不眠軽減剤、向知性薬、認知の健全性およびバランスの保持剤、学習向上剤、言語処理向上剤、問題解決向上剤、知的機能向上剤、心理社会的負担に対処する能力の向上剤、注意および集中の向上剤、記憶の向上剤、精神的警戒の向上剤、精神的覚醒の向上剤、精神的疲労の向上剤および精神状態の安定剤からなる群から選択される気分または認知の改善剤としての機能を果たす請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記神経伝達の低下が、頭痛または片頭痛をもたらす請求項6に記載の方法。
【請求項12】
神経伝達の低下に関連する状態の予防または治療に有用な薬剤を調製するための、有効量のカルノソールおよび/またはロスマノールを含む組成物の使用。
【請求項13】
前記組成物が、食品、飼料、乳製品、ヨーグルト、強化食品、シリアルバー、ベーカリー品、ケーキ、クッキー、栄養補助食品、錠剤、丸薬、顆粒剤、糖衣錠、カプセル、発泡製剤、ノンアルコール飲料、ソフトドリンク、スポーツドリンク、果実ジュース、レモネード、ニアウォーター飲料、お茶、牛乳ベースの飲料、流動食、スープ、および液体乳製品(ムースリ飲料)の形態である請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記予防または治療が、抗うつ薬、気分/活力改善剤、ストレス緩和剤、状態改善剤、不安の低減剤、強迫的行動の低減剤、弛緩薬、睡眠改善剤および/または不眠軽減剤、向知性薬、認知の健全性およびバランスの保持剤、学習向上剤、言語処理向上剤、問題解決向上剤、知的機能向上剤、心理社会的負担に対処する能力の向上剤、注意および集中の向上剤、記憶の向上剤、精神的警戒の向上剤、精神的覚醒の向上剤、精神的疲労の向上剤および精神状態の安定剤からなる群から選択される請求項12または13に記載の使用。
【請求項15】
前記使用が、頭痛または片頭痛の予防または治療である請求項12または13に記載の使用。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【公表番号】特表2010−510269(P2010−510269A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537545(P2009−537545)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010133
【国際公開番号】WO2008/061755
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】