説明

カルバメート化または尿素化フェニルにより置換されたベンゾ−、ナフト−およびフェナントロクロメン、その調製およびそれを含有する組成物と製品

1が基(AA)または(BB)を表す以下の一般化学式(I)をカルバメート化または尿素化フェニルにより置換された、新規のベンゾ−、ナフト−およびフェナントロクロメン、その調製、それを含有するフォトクロミック組成物および製品が開示されている。この群の化合物は、特に、吸収バンドおよび変色速度に関して、興味深く有用な性質を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトクロミック特性を持つベンゾ−、ナフト−およびフェナントロピランタイプの有機化合物、その調製およびそれらを含有するフォトクロミック組成物と製品に関する。特に、本発明は、カルバメート化または尿素化フェニルにより置換されたそのようなフォトクロミック化合物、その調製およびそれらを含有するフォトクロミック組成物と製品に関する。本発明は、例えば、眼鏡レンズ、光デバイスおよび窓ガラスの製造に有用である。
【背景技術】
【0002】
フォトクロミック化合物は、特定の波長の電磁放射線の影響下で可逆的に色を変化させることのできる化合物である。例えば、あるフォトクロミック化合物は、紫外線(UV)または日光に曝露されたときに異なる色を示し、そのような曝露がやめられたときに元の色に戻る。あるいは、元の色に戻ることは、熱処理および/または異なる波長の電磁放射線への曝露により行われてもよい。
【0003】
フォトクロミック化合物は、様々な分野、例えば、フォトクロミック眼用レンズ、コンタクトレンズ、サングラス、フィルタ、カメラの光学素子や写真装置の光学素子や他の光デバイスおよび観察装置、板ガラス、装飾物品、紙幣のエレメントの製造、または光学記録(コーディング)による情報記憶のためにさえも、用途が見出されている。フォトクロミック染料と称されることもあるフォトクロミック化合物は、これらの製品にフォトクロミック特性を与える。
【0004】
フォトクロミック眼用光学素子の分野において、特に、眼鏡レンズの市場において、一種類以上のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミックレンズが、以下の特徴を有することが望ましい:
紫外線のない状態における高い透過率、
太陽光の照射の下での低い透過率(高い着色性)、
許容される着色と退色反応速度、
消費者に好まれる色合い(好ましくは、グレーやブラウン)、レンズの着色および退色中に選択された色合いが維持されることが好ましい、
0〜40℃の温度範囲内での性能と性質の維持、および
高機能の高価な製品であるので、かなりの耐久性。
【0005】
これらの特徴は、特に、レンズ母材に含まれる活性フォトクロミック化合物により決まる。この化合物はさらに、有機ポリマーまたは無機材料であろうとも、母材の材料と相溶性でなければならない。
【0006】
さらに、ブラウンやグレーなどの、フォトクロミック眼用レンズの望ましい色を得るためには、少なくとも二種類の相補的なフォトクロミック染料の組合せを使用する必要があることが今では理解されている。そのような相補的染料は異なる色を示す。すなわち、それらの染料は、400〜700nmの可視範囲において別個の最大吸収波長を有する。この組合せのために、フォトクロミック化合物の他の技術的要件が課せられる。特に、(二種類以上の)相補的フォトクロミック染料の着色および退色反応速度が実質的に同じことが有益であろう。同じことが、長期間に亘る安定性と、プラスチックまたは無機支持材料との相溶性にも当てはまる。
【0007】
従来技術に記載された多数のフォトクロミック化合物の中でも、例えば、以下の特許文献1〜16に、ベンゾピランおよびナフトピランが詳細に記録されている。一般に、フォトクロミック化合物は、以下の単純化された化学式(F1)、(F1’)および(F”)を有する:
【化1】

【0008】
特許文献11には、2H−ナフトピランの骨組構造の5および6炭素に連結したインデノ基を有するナフトピラン(F2)が記載されている。
【化2】

【0009】
特許文献10には、2H−ナフトピランの骨組構造の5および6炭素に連結したナフトフランまたはベンゾ基を有する2H−ナフトピラン(F3,F4)が記載されている。
【化3】

【0010】
特許文献17には、非置換脂環式基を有する2H−ナフトピランの誘導体(F5,F6)が記載されている。
【化4】

【0011】
特許文献18には、3H−ナフトピランの骨組構造の5および6炭素に連結したベンゾ5または6員脂肪族環を有する3H−ナフトピラン誘導体(F7,F8)が記載されている。
【化5】

【0012】
特許文献19には、以下の一般化学式(F9)を有し、環化された環(annelated ring)(A)が(F9−1),(F9−1),(F9−3),(F9−4)および(F9−5)であって差し支えないフォトクロミック2H−ナフトピラン化合物の一群が記載されている。
【化6】

【0013】
これらの化合物は、フォトクロミック特性を有するものと上記文献に記載された。しかしながら、実際には、紫外線のない状態での高い透過率および太陽光の照射の下での高い着色性などの、先に記載した所望の性質を1つ以上有するであろうが、たとえあるとしても、ここに記載された化合物のほとんどが、満足のいく製品の製造に必要な、求められている性質の完全な組合せを有していない。特に、あるとしても、これらの化合物のほとんどは固有にグレーやブラウンではない。したがって、これらの二色の一方を得るために、追加のフォトクロミック染料を使用する必要が依然としてある。
【0014】
この点に関して、色合いの最終調整ができるように各着色のフォトクロミック化合物を改変できることが有用であろう。前出の化学式(F9)を例にとると、R1またはR2がフェニルの場合、パラ位置に電子供与基が存在することで、フォトクロミック化合物の吸収バンドの深色シフトの量を変動させることができる。しかしながら、アルコキシ基をアミノ基で置換することによって得られる深色シフトは大きすぎる(最小で30〜40nm)ことが分かった。したがって、中くらいのシフトを得る必要がある。
【0015】
特許文献20には、R1基が、スルホニルやアセチルなどの電子求引基により置換されたアミンによりパラ位置で置換されたフェニルである化合物が記載されている。この文献に開示された例示の化合物は、以下の化学式(F10)を有する。
【化7】

【0016】
したがって、吸収波長は、モルホリノ基を持つ比較例に対して著しく低下した(−15から−30nm)。他方で、これらの化合物の退色反応速度は、本願の発明者等により発見されたところ著しく損なわれるが、このことはこの文献には述べられていなかった。
【0017】
本願の発明者等は、アルコキシを持つ類似化合物と比較して吸収バンドにおける望ましい深色シフト、および予期せぬことに、有益なフォトクロミック特性、特に、スルホニルやアセチルを持つものよりもずっと迅速な退色の組合せを有する新たな化合物の一群を発見した。
【特許文献1】米国特許第3567605号明細書
【特許文献2】米国特許第3627690号明細書
【特許文献3】米国特許第4826977号明細書
【特許文献4】米国特許第5200226号明細書
【特許文献5】米国特許第5238981号明細書
【特許文献6】米国特許第5411679号明細書
【特許文献7】米国特許第5429744号明細書
【特許文献8】米国特許第5451344号明細書
【特許文献9】米国特許第5458814号明細書
【特許文献10】米国特許第5651923号明細書
【特許文献11】米国特許第5645767号明細書
【特許文献12】米国特許第5698141号明細書
【特許文献13】国際公開第95/05382号パンフレット
【特許文献14】仏国特許出願公開第2718477号明細書
【特許文献15】国際公開第96/14596号パンフレット
【特許文献16】国際公開第97/21698号パンフレット
【特許文献17】米国特許第5783116号明細書
【特許文献18】国際公開第01/36406号パンフレット
【特許文献19】米国特許第6506538号明細書
【特許文献20】特開2001−114775号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様によれば、以下の化学式(I):
【化8】

【0019】
を有する化合物であって、
ここで、
(1)R1が基
【化9】

【0020】
を表し、
4およびR5が、1から12の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたベンジル、ナフチルまたはフェニル基を表し、
(2)R2およびR3は、以下のように定義される:
(A)R2は以下の基の内の1つを表す:
(A1)水素、
(A2)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、
(A3)3から12の炭素原子を持つシクロアルキル基、
(A4)必要に応じて置換された、フェニルまたはベンジル基、
(A5)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
(A6)基
【化10】

【0021】
4およびR5が、R1について前出に定義したのと同じ意味を持つ、
(B)R3は、以下の基の内の1つを表す:
(B1)水素、
(B2)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、
(B3)3から12の炭素原子を持つシクロアルキル基、
(B4)必要に応じて置換された、フェニルまたはベンジル基、
(B5)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
または、
(C)R2およびR3は、一緒になって、酸素、硫黄および窒素からなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでも差し支えない1つの環または2つの環化された環を持つ芳香族または非芳香族の環状基を形成し、この芳香族または非芳香族の環は、独立して、5から7員環である、
(3)基
【化11】

【0022】
は、他の芳香族または非芳香族の環により必要に応じて置換されたまたは環化されたベンゾ、ナフトまたはフェナントロ基である、
化合物が提供される。
【0023】
化学式(I)のR3が水素であることが好ましい。
【0024】
当業者には、ここに定義された枝分れアルキルおよびアルコキシ基は、それらの基が枝分れできるように十分な数の炭素原子を含むことが容易に理解される。
【0025】
当業者には、先の説明から、本発明の化合物は、ベンゾ−、2H−ナフト−、3H−ナフト−またはフェナントロピランタイプの化合物であり得ることが理解されるであろう。基
【化12】

【0026】
の性質は、一点を除いて本発明にとっては重要ではない。その点とは、この基は、化合物のフォトクロミック特性を与えるピラン基の開環を妨げる基を含んではならないことである。
【0027】
2またはR3、R4およびR5がフェニルまたはベンジル基により置換されている化学式(I)の化合物について、これらの基へのそのような置換基の非限定的例としては、特に、1〜6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキルまたはアルコキシ基およびハロゲン、とりわけ塩素、フッ素および臭素が挙げられる。
【0028】
それゆえ、好ましくは、本発明の化合物は、以下の一般化学式(Ia)、(Ib)、(Ic)および(Id)の内の1つを有する:
【化13】

【0029】
ここで、
(a)R1、R2およびR3は、化学式(I)に関して前出に与えられたのと同じ定義を有し、
(b)R6は、
(b1)ヒドロキシ、
(b2)1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、
(b3)1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
(b4)
【化14】

【0030】
基、ここで、R’およびR”は、同じでも異なっていてもよく、独立して、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素から選択された少なくとも1つの他のヘテロ原子を含んで差し支えない5から7員環を表し、この窒素は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基により置換されたR”’基により必要に応じて置換されている、
を表す、
(c)R7は、
(c1)ハロゲン、特に、フッ素、塩素または臭素、
(c2)ヒドロキシ、
(c3)1から12の炭素原子(好ましくは1から6の炭素原子)を持つ線状または枝分れアルキル基、
(c4)1から12の炭素原子を持つシクロアルキル、
(c5)1から12の炭素原子(好ましくは1から6の炭素原子)を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
(c6)特に、フッ素、塩素および臭素から選択される少なくとも1つのハロゲン原子により置換された、それぞれ、(c3)、(c4)および(c5)のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ基に対応するハロアルキル、ハロシクロアルキル、またはハロアルコキシ基、
(c7)基本構造に、6から24の炭素原子または4から24の炭素原子、または4から24の炭素原子と、硫黄、酸素および窒素から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を持つアリールまたはヘテロアリール基;この基本構造は、以下に与えたリストから選択される少なくとも1つの置換基により必要に応じて置換されている:
(c7.1)ハロゲン、特に、フッ素、塩素および臭素、
(c7.2)ヒドロキシ、
(c7.3)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、
(c7.4)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
(c7.5)3から12の炭素原子を持つシクロアルキル基、
(c7.6)少なくとも1つのハロゲン原子、特に、フッ素原子により置換された、(c7.3)、(c7.4)および(c7.5)に定義したアルキル、アルコキシおよびシクロアルキル基にそれぞれ対応するハロアルキル、ハロアルコキシまたはハロシクロアルキル基、
(c7.7)1から12の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキルまたはアルコキシ基により必要に応じて置換されたフェノキシまたはナフトキシ基、
(c7.8)2から12の炭素原子を持つ線状または枝分れアルケニル基、特に、ビニル基またはアリル基、
(c7.9)−NH2基、
(c7.10)−NHR基、ここで、Rは、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、または1から6の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、
(c7.11)
【化15】

【0031】
基、ここで、R’およびR”は、同じでも異なっていてもよく、独立して、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素から選択された少なくとも1つの他のヘテロ原子を含んで差し支えない5から7員環を表し、この窒素は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基により置換されたR”’基により必要に応じて置換されている、
(c7.12)メタクリロイル基またはアクリロイル基、
(c8)アラルキルまたはヘテロアラルキル基、ここで、線状または枝分れであるアルキル基は、1から4の炭素原子を有し、アリールおよびヘテロアリール基は、前出の(c7)に与えられたものと同じ定義を有する、
(c9)1から12の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキルまたはアルコキシ基により必要に応じて置換されたフェノキシまたはナフトキシ基、
(c10)アミン、アミド、カルバメートまたは尿素基:−NH2、−NHR、−NHCOR、−NR’COR、−NHCOOR、−NHCONHR、−CONH2、−CONHR、
【化16】

【0032】
ここで、Rは、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、または1から6の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表し、
R’およびR”は、同じでも異なっていてもよく、独立して、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素から選択された少なくとも1つの他のヘテロ原子を含んで差し支えない5から7員環を表し、この窒素は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基により置換されたR”’基により必要に応じて置換されている、
(c11)−OCOR11または−OCOOR11、R11は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、または3から6の炭素原子を持つシクロアルキル基、もしくは(c7)に定義されたアリールおよびヘテロアリール基について(c7.1)から(c7.12)に列記した置換基の内の少なくとも1つにより必要に応じて置換されたフェニル基を表す、
もくしは
6およびR7は、一緒になって、酸素、硫黄および窒素からなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでも差し支えない1つの環または2つの環化された環を持つ芳香族または非芳香族の環状基を形成し、この芳香族または非芳香族の環は、独立して、5から7員環であり、必要に応じて、化学式(I)に関して前出に定義された少なくとも1つの置換基R3を含む、
を表す、
(d)R8およびR9は、同じであっても異なっていてもよく、独立して、
(d1)ハロゲン、特に、フッ素、塩素または臭素、
(d2)ヒドロキシ、
(d3)1から12の炭素原子(好ましくは1から6の炭素原子)を持つ線状または枝分れアルキル基、
(d4)1から12の炭素原子を持つシクロアルキル基、
(d5)1から12の炭素原子(好ましくは1から6の炭素原子)を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
(d6)特に、フッ素、塩素および臭素から選択される少なくとも1つのハロゲン原子により置換された、それぞれ、(d3)、(d4)および(d5)のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ基に対応するハロアルキル、ハロシクロアルキル、またはハロアルコキシ基、
(d7)前出の(c7)のR7に関して与えられたものと同じ定義を有するアリールまたはヘテロアリール基、
(d8)アラルキルまたはヘテロアラルキル基、ここで、線状または枝分れであるアルキル基は、1から4の炭素原子を有し、アリールおよびヘテロアリール基は、前出の(c7)に与えられたものと同じ定義を有する、
(d9)1から12の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキルまたはアルコキシ基により必要に応じて置換されたフェノキシまたはナフトキシ基、
(d10)アミン、アミド、カルバメートまたは尿素基:−NH2、−NHR、−NHCOR、−NR’COR、−NHCOOR、−NHCONHR、−CONH2、−CONHR、
【化17】

【0033】
ここで、Rは、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、または1から6の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表し、
R’およびR”は、同じでも異なっていてもよく、独立して、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素から選択された少なくとも1つの他のヘテロ原子を含んで差し支えない5から7員環を表し、この窒素は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基により置換されたR”’基により必要に応じて置換されている、
(d11)−OCOR11または−OCOOR11、R11は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、または3から6の炭素原子を持つシクロアルキル基、もしくは(c7)に定義されたアリールおよびヘテロアリール基について(c7.1)から(c7.12)に列記した置換基の内の少なくとも1つにより必要に応じて置換されたフェニル基を表す、
もくしは
8およびR9は、一緒になって、酸素、硫黄および窒素からなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでも差し支えない1つの環または2つの環化された環を持つ芳香族または非芳香族の環状基を形成し、この芳香族または非芳香族の環は、独立して、5から7員環であり、必要に応じて、前出の(c7)に定義されたアリールおよびヘテロアリール基に関して(c7.1)から(c7.12)に列記されたものから選択された少なくとも1つの置換基を含む、
を表す、
(e)R10は、
【化18】

【0034】
基、ここで、R’およびR”は、同じでも異なっていてもよく、独立して、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素から選択された少なくとも1つの他のヘテロ原子を含んで差し支えない5から7員環を表し、この窒素は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基により置換されたR”’基により必要に応じて置換されている、
を表す。
【0035】
本発明の多くの化学式(I)の化合物の中で、以下の化合物(I1)〜(I6)が特に好ましい:
【化19】

【0036】
これらの化合物の中でも、化合物(I6)が最も好ましい。
【0037】
特許文献19には、R1またはR2がアリール基である化学式(F9)において、これがカルバメートまたは尿素基により置換できることは開示されていない。2H−または3H−ナフトピランに関して、前出のどの文献にも、ピラン環の酸素に隣接した2−または3−炭素の2つの置換基の内の一方が、カルバメートまたは尿素基により置換されたフェニルである化合物は開示されていない。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、前出に定義した化学式(I)の化合物を調製する方法であって、
(1)
(i)以下の化学式(II):
【化20】

【0039】
を持つ中間体化合物であって、

【化21】

【0040】
が、化学式(I)に関して前出に定義したものと同じ意味を有する中間体化合物と、
(ii)以下の化学式(III):
【化22】

【0041】
に対応するプロパルギルアルコールの誘導体であって、
1、R2およびR3が、化学式(I)に関して前出に定義したものと同じ意味を有する誘導体と、
の縮合反応であって、
(II)と(III)との間の縮合が、触媒の存在下で行われることが好ましく、その触媒は、p−トルエンスルホン酸、ドデシルスルホン酸およびブロモ酢酸からなる群より選択されることが好ましい縮合反応、
または
(2)この項目の中の前出の(i)に定義された化学式(II)の化合物と、
(iii)以下の化学式(III’):
【化23】

【0042】
に対応するアルデヒド誘導体であって、
1、R2およびR3が、化学式(I)に関して前出に定義したものと同じ意味を有する誘導体と、
の縮合反応であって、
(II)と(III’)との間の縮合が、金属錯体、好ましくはチタン錯体の存在下で行われることが好ましく、チタン酸テトラエチルが特に好ましい縮合反応、
のいずれかを含むことを特徴とする方法が提供される。化合物(II)と(III)または(III’)との縮合反応は、必要に応じて追加の触媒の存在下で、トルエン、キシレンまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中で行っても差し支えない。化合物(II)と(III’)との縮合反応のより詳しく説明については、欧州特許出願公開第0562915号明細書を参照されたい。
【0043】
化合物(III)は、当業者に公知であり、特許文献15に特に記載された方法にしたがって、対応するケトンから得ることができる。これらのケトンは、市販されているか、またはフリーデル・クラフツ反応(特許文献15およびその中に引用された文献を参照のこと)として知られている反応にしたがって調製できる。
【0044】
化合物(III)の誘導体であるアルデヒド(III’)は、酸性媒体中の転位から得られる(J.Org.Chem. 1977,42,3403参照のこと)。
【0045】
化学式(II)の化合物は、必要に応じて置換されたフェノール、ナフトールまたはフェナントールであり、その合成は従来技術に記載されている。
【0046】
第3の態様によれば、本発明は、本発明のフォトクロミック化合物を少なくとも一種類ある程度有するフォトクロミック組成物を提供する。このフォトクロミック組成物は、以下の内の1つを含む:
(1)前出の本発明の化合物、
(2)前出の本発明の化合物少なくとも二種類の混合物、
(3)前出の本発明の化合物少なくとも一種類、および少なくとも一種類の他のタイプのフォトクロミック化合物および/または少なくとも一種類の非フォトクロミック着色剤の混合物、および
(4)前出の本発明の化合物少なくとも一種類の重合および/または網状化および/またはグラフト重合により得られる線状または網状(コ)ポリマー。
【0047】
例えば、一方で、本発明のフォトクロミック組成物は、本発明の他のクロメンおよび/または少なくとも一種類の他のタイプのフォトクロミック化合物および/または少なくとも一種類の非フォトクロミック着色剤と組み合わせて、または別々に用いられる、前出の化学式(I)を有するクロメンを構成してもよい。
【0048】
例えば、他方で、本発明のフォトクロミック組成物は、前出の本発明の化合物(I)、および/または構造中に少なくとも一種類の本発明の化合物(I)を含有する少なくとも一種類の線状または網状(コ)ポリマーを含んで差し支えない。このフォトクロミック組成物は、他のタイプのフォトクロミック化合物および/または少なくとも一種類の非フォトクロミック着色剤および/または少なくとも一種類の安定剤を含んでもよい。当業者は、本発明のフォトクロミック化合物およびポリマーが一旦選択されたら、組成物の所望の性質を得るために、別のタイプのフォトクロミック化合物、非フォトクロミック化合物および安定剤を選択できる。
【0049】
本発明に関して、本発明のフォトクロミック化合物の組合せおよび/または本発明のフォトクロミック化合物と従来技術による別のタイプのフォトクロミック化合物の組合せが特に推奨される。そのような組合せは、眼鏡やサングラスなどの用途で消費者に特に望まれているグレーやブラウンの色合いを生成するのに適しているという点で興味深い。それらの相補的フォトクロミック化合物は、当業者に公知であり、従来技術に記載されているもの、例えば、クロメン(特許文献1および5、国際公開第94/22850号パンフレット、欧州特許出願公開第0562915号明細書)、スピロピランまたはナフトピラン(特許文献5)およびスピロキサジン(Crano et al., "Applied Photochromic Polymer Systems" Chapter 2, (Ed.Blackie & Son Ltd., 1992))であって差し支えない。
【0050】
本発明によるフォトクロミック組成物は、以下の内の少なくとも1つを含んで差し支えない:
・色合いを調節するための非フォトクロミック化合物、
・一種類以上の安定剤、例えば、酸化防止剤、
・一種類以上の紫外線防止剤、
・一種類以上のフリーラジカル・スカベンジャー、および
・一種類以上のフォトクロミック励起状態不活性化剤。
【0051】
これらの添加剤は、特に、フォトクロミック組成物の耐久性を改善できる。
【0052】
フォトクロミック用途に関して考えられる化合物およびフォトクロミック組成物は、溶液中に用いることもできる。それゆえ、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはエタノールなどの有機溶媒中に前記化合物または組成物少なくとも一種類を溶解させることによって、フォトクロミック溶液を得ることができる。得られた溶液は、一般に、無色透明である。日光に曝露されると、濃い色を発色し、太陽光に曝露されていない領域に置かれると、または言い換えれば、もはや紫外線にさらされていないと、無色の状態に戻る。一般に、非常に低濃度の製品(約0.01から5質量%)で、濃い色を得るのに十分である。
【0053】
本発明の化合物およびフォトクロミック組成物は、さらに、マトリクス中に含まれる形態で、並びにマトリクス上のコーティングの形態で、有機ポリマーまたは無機材料の支持マトリクスと相溶性である。これらのマトリクスは、本発明のフォトクロミック組成物の一部を構成してもよい。
【0054】
本発明の化合物の最も興味深い用途は、実際に、フォトクロミック剤が、ポリマーおよび/またはコポリマーおよび/または(コ)ポリマーの混合物により形成されたマトリクス内、その近くまたはその上に分散されている本発明のフォトクロミック組成物である。これらのフォトクロミック組成物において、本発明の化合物を含むフォトクロミック剤は、マトリクス内に均一に分散されても、均一または不均一に表面の近く部分などのマトリクスの一部だけに分散されてもよい。
【0055】
溶液中に挙動と同様に、ポリマーマトリクス中に含まれる本発明の化合物(I)は、最初の暗化されていない状態では無色またはわずかに着色されており、紫外線(365nm)の下または太陽光に似た光源の下で濃い色を迅速に発色する。それらの化合物は、照射がやめられた後、元の色に戻る。
【0056】
そのようなマトリクスを得るために考えられる実施方法は様々である。当業者に公知の方法の中でも、シリコーン油、脂肪族または芳香族炭化水素、またはグリコール中のフォトクロミック化合物の懸濁液または溶液からの、もしくは別のポリマーマトリクスからの、(コ)ポリマー中の拡散を例として挙げることができる。拡散は通常、ポリマーマトリクスの性質にしたがって、15分間から数時間の期間に亘り、50から200℃の温度で行われる。別の実施技法は、重合性混合物の配合物中にフォトクロミック化合物を混合し、この混合物を表面に堆積させるかまたは成形型内に配置し、次いで、共重合を行ってマトリクスを形成する各工程にある。これらの実施技法と他の技法が、Applied Photochromic Polymer Systems (Ed.Blackie and Son Ltd., 1992)において発行されたCrano等による文献"Spiroxazines and their use in photochromic lenses"に記載されている。
【0057】
以下の成分からなるまたは選択されるポリマーが、本発明によるフォトクロミック化合物の光学用途に有用な本発明のフォトクロミック組成物および/またはマトリクスを形成するための好ましいポリマー材料の例として挙げられる:
(1)必要に応じてハロゲン化された、または少なくとも1つのエーテルおよび/またはエステルおよび/またはカーボネートおよび/またはカルバメートおよび/またはチオカルバメートおよび/または尿素および/またはアミド基を含む、アルキル、シクロアルキル、(ポリまたはオリゴ)エチレングリコール、アリールまたはアリールアルキルモノ,ジ,トリまたはテトラアクリレートまたはモノ,ジ,トリまたはテトラメタクリレート、
(2)ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート(例えば、ビスフェノールAポリカーボネート、ジアリルジエチレングリコールポリカーボネート)、ポリカルバメート、ポリエポキシ、ポリウレア、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、脂肪族または芳香族ポリエステル、ビニルポリマー、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテート・プロピオネートまたはポリビニルブチラール、
(3)以下の化学式(Z):
【化24】

【0058】
を有する二官能性モノマー、ここで、
(i)R10、R’10、R11およびR’11は、同じであっても異なっていてもよく、独立して、水素またはメチル基を表し、
(ii)mおよびnは、独立して、0から4までの整数であり、好ましくは、独立して1または2であり、
(iii)XおよびX’は、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲンであり、好ましくは塩素および/または臭素を表し、
(iv)pおよびqは、独立して、0から4までの整数である、
(4)(1)から(3)までの前出に定義された共重合性モノマーの少なくとも二種類のコポリマー、好ましくは、(メタ)アクリル、ビニル、アリルタイプとその混合物のコポリマー。
【0059】
特に好ましい様式において、本発明のフォトクロミック化合物は、ナノ二相構造を持ち、少なくとも二種類の異なる特定の二官能性モノマーを共重合させることによって得られる樹脂に使用される。そのような樹脂は、仏国特許出願公開第2762845号明細書に記載されている。
【0060】
(コ)ポリマーマトリクス中のフォトクロミック化合物の量は、化合物とマトリクスの性質、および所望の暗化の程度に依存する。通常は、0.001から20質量%で用いられる。
【0061】
前出のように、フォトクロミック剤は、ポリマーマトリクスの本体内に均一に分散されても、または表面に近い部分などのマトリクスの一部だけに分布していてもよい。あるいは、本発明のフォトクロミック組成物は、ポリマーマトリクス上の表面コーティングを形成してもよい。本発明の化合物を含むフォトクロミック剤は、ポリマーマトリクス内に均一に分布していることが好ましい。
【0062】
化学式(I)のフォトクロミック化合物に関連する本発明のさらに別の態様は、前出の本発明のフォトクロミック組成物を含む、眼鏡やサングラスなどの光学製品である。例えば、光学製品は、
少なくとも一種類の本発明による化合物(I)、および/または
本発明の化合物から少なくとも一部が形成された少なくとも一種類の(コ)ポリマーおよび/または網状体、および/または
前出の、または有機ポリマー材料の、または無機材料の、もしくはハイブリッドの無機−有機材料でさえの少なくとも一種類のマトリクスであって、本発明の化合物を少なくとも一種類必要に応じて最初に含んでいてもよいマトリクス、
を含んでよい。
【0063】
実際には、本発明により一層具体的に包含される製品は、眼用レンズまたはフォトクロミック太陽光レンズ、窓ガラス(建物、機関車の機関および自動車のためのものなど)、光デバイス、装飾物品、太陽光から保護するための製品、情報記録などが挙げられる。
【0064】
以下の非限定実施例は、本発明をさらに説明するものである。本発明の化合物(1)〜(6)および比較化合物(C1)〜(C6)を、これらの実施例において、合成し、研究し、比較した。
【実施例】
【0065】
具体例1:化合物(1)の合成
【化25】

【0066】
ナフトール(NA1)の調製が、特許文献18などの従来技術に開示された。
【0067】
10mlのトルエン中の613mgのナフトール(NA1)および738mgのプロパルギルアルコール(PA1)の溶液に、23mgのショウノウスルホン酸を加えた。反応混合物を2時間に亘り55℃で撹拌し、次いで、シリカゲル上の濾過により精製した。得られた固体を再結晶化させて、638mgの純粋な結晶を生成した。この結晶の1H NMRは、それが純粋な化合物(1)であることを示した。
【0068】
具体例2:化合物(2)の合成
【化26】

【0069】
10mlのトルエン中の429mgのナフトール(NA2)および528mgのプロパルギルアルコール(PA1)の溶液に、23mgのショウノウスルホン酸を加えた。反応混合物を2時間に亘り55℃で撹拌し、次いで、シリカゲル上の濾過により精製した。得られた固体を再結晶化させて、150mgの純粋な結晶を生成した。この結晶の1H NMRは、それが純粋な化合物(2)であることを示した。
【0070】
具体例3:化合物(3)の合成
【化27】

【0071】
40mlのトルエン中の5.9gのフェナントール(NA3)および4gのプロパルギルアルコール(PA1)の溶液に、229mgのショウノウスルホン酸を加えた。反応混合物を3.5時間に亘り60℃で撹拌し、次いで、シリカゲル上の濾過により精製した。得られた固体を再結晶化させて、9.7gの純粋な結晶を生成した。1H NMRの特徴付けは、それが純粋な化合物(3)であることを示した。
【0072】
具体例4:化合物(4)の合成
【化28】

【0073】
10mlのトルエン中の590mgのナフトール(NA4)および900mgのプロパルギルアルコール(PA2)の溶液に、300mgのショウノウスルホン酸を加えた。反応混合物を2時間に亘り60℃で撹拌し、次いで、シリカゲル上の濾過により精製した。得られた固体を再結晶化させて、90mgの純粋な結晶を生成した。1H NMRの特徴付けは、それが純粋な化合物(4)であることを示した。
【0074】
具体例5:化合物(5)の合成
【化29】

【0075】
10mlのトルエン中の500mgのナフトール(NA1)および1170mgのプロパルギルアルコール(PA3)の溶液に、40mgのショウノウスルホン酸を加えた。反応混合物を2時間に亘り60℃で撹拌し、次いで、シリカゲル上の濾過により精製した。得られた固体を再結晶化させて、90mgの純粋な結晶を生成した。この結晶の1H NMRは、それが純粋な化合物(5)であることを示した。
【0076】
具体例6:化合物(6)の合成
【化30】

【0077】
5mlのトルエンおよび3mlのTHF中の429mgのナフトール(NA2)および442mgのプロパルギルアルコール(PA3)の溶液に、23mgのショウノウスルホン酸を加えた。反応混合物を1時間に亘り60℃で撹拌し、次いで、シリカゲル上の濾過により精製した。得られた固体を再結晶化させて、200mgの純粋な結晶を生成した。この結晶の1H NMRは、それが純粋な化合物(6)であることを示した。
【0078】
具体例7(比較例):化合物(C1)の合成
【化31】

【0079】
10mlのトルエン中の613mgのナフトール(NA1)および645mgのプロパルギルアルコール(PA4)の溶液に、23mgのショウノウスルホン酸を加えた。反応混合物を1.5時間に亘り65℃で撹拌し、次いで、シリカゲル上の濾過により精製した。得られた固体を再結晶化させて、750mgの純粋な結晶を生成した。1H NMRの特徴付けは、それが純粋な化合物(C1)であることを示した。
【0080】
具体例8(比較例):化合物(C2)の合成
【化32】

【0081】
50mlのクロロホルム中の507mgのナフトール(NA1)および516mgのプロパルギルアルコール(PA5)の溶液に、20mgのp−トルエンスルホン酸を加えた。反応混合物を1.5時間に亘り還流下で撹拌し、次いで、シリカゲル上の濾過により精製した。得られた固体を再結晶化させて、219mgの純粋な結晶を生成した。1H NMRの特徴付けは、それが純粋な化合物(C2)であることを示した。
【0082】
具体例9(比較例):化合物(C3)の合成
【化33】

【0083】
10mlのトルエン中の500mgのナフトール(NA1)および900mgのプロパルギルアルコール(PA6)の溶液に、180mgのショウノウスルホン酸を加えた。反応混合物を1.5時間に亘り65℃で撹拌し、次いで、シリカゲル上の濾過により精製した。得られた固体を再結晶化させて、60mgの純粋な結晶を生成した。1H NMRの特徴付けは、それが純粋な化合物(C3)であることを示した。
【0084】
具体例10(比較例):化合物(C4)の合成
【化34】

【0085】
10mlのトルエン中の600mgのナフトール(NA2)および476mgのプロパルギルアルコール(PA5)の溶液に、46mgのショウノウスルホン酸を加えた。反応混合物を2時間に亘り50℃で撹拌し、次いで、シリカカラム・クロマトグラフィーにより精製した。得られた固体を再結晶化させて、330mgの白色粉末を生成した。1H NMRの特徴付けは、それが純粋な化合物(C4)であることを示した。
【0086】
具体例11(比較例):化合物(C5)の合成
【化35】

【0087】
10mlのトルエン中の400mgのナフトール(NA2)および620mgのプロパルギルアルコール(PA6)の溶液に、20mgのショウノウスルホン酸を加えた。反応混合物を2時間に亘り60℃で撹拌し、次いで、シリカゲル上の濾過により精製した。得られた固体を再結晶化させて、193mgの純粋な結晶を生成した。1H NMRの特徴付けは、それが純粋な化合物(C5)であることを示した。
【0088】
具体例12(比較例):化合物(C6)の合成
【化36】

【0089】
10mlのトルエン中の553mgのナフトール(NA4)および500mgのプロパルギルアルコール(PA7)の溶液に、25mgのショウノウスルホン酸を加えた。反応混合物を2時間に亘り60℃で撹拌し、次いで、シリカゲル上の濾過により精製した。得られた固体を再結晶化させて、640mgの純粋な結晶を生成した。1H NMRの特徴付けは、それが純粋な化合物(C6)であることを示した。
【0090】
続いて、上述した化合物(1)〜(6)および(C1)〜(C6)のフォトクロミック特性を以下のように評価した。これらの化合物を50mlのTHF中に5mgの濃度で溶解させた。その溶液の紫外−可視範囲の吸収を、365nmの紫外線源への曝露の前後に測定した。溶液を太陽光の下または太陽光シミュレータの下に配置することによって発色した色合いと強さを観察した。化合物の性質が以下の表Iに与えられている。この表において、λ1は、紫外線への曝露後の化合物の溶液の可視スペクトルの吸収バンドの最短波長を表し;λ2は、紫外線への曝露後の化合物の溶液の可視スペクトルの吸収バンドの最長波長を表し;T1/2は、21℃でのλ2の吸収の50%減少に対応する退色時間を表す。
【0091】
太陽光または紫外線の存在下で溶液を観察すると、本発明の化合物は、カルバメートまたは尿素官能基の代わりに、アルコキシを持つそれらの類似化合物よりも、わずかに高いλ2を有することが示された。表Iから、化合物(1)のλ2は(C2)のものよりも+5nm高く、化合物(2)のλ2は(C4)のものよりも+6nm高く、化合物(5)のλ2は(C2)のものよりも+11nm高く、化合物(6)のλ2は(C4)のものよりも+12nm高いことが分かる。化合物(4)と(C6)を比較すると、化合物(4)のλ1とλ2は、それぞれ、+8nmおよび+2nm高い。これらの値は、+33nmである、(C2)よりも高いモルホリノを持つ類似化合物(C1)について観察されたゲインと比較すると小さい。アセトアミドを持つ化合物(C3)および(C5)と比較すると、本発明の化合物(1)および(2)は、類似の吸収バンドを持つ(化合物(1)と(C3)は同じλ2を有し、化合物(2)のλ2は、(C5)のものより+2nm高く、化合物(5)のλ2は(C3)のものより+6nm高く、化合物(6)のλ2は化合物(C5)のものより+8nm高い)。しかしながら、予期せぬことに、T1/2のデータは、本発明の化合物(1)および(2)は、(C3)および(C5)よりも退色に関してずっと迅速であり、それらの退色反応速度は、アルコキシを持つそれらの類似化合物((C2)および(C4))にずっと近いことを明らかに示している。尿素官能基を持つ化合物(5)および(6)は、それぞれ、アセトアミドを持つ化合物(C2)および(C4)よりもずっと迅速な退色を示す。
【表1】

【表2】

【表3】

【0092】
ここでの本発明の背景の議論は、本発明の状況を説明するために含められる。任意の文献や情報が「公知」と称されている場合、それが、本願の出願日以前にどこかで少なくとも公衆の一人に公知であることだけが認められる。参照した内容が他に明らかに述べていない限り、そのような知識は、任意の特定の国(PCTの加盟国であろうとなかろうと)において本発明の関連する従来技術の専門家または公衆に入手可能であること、または本発明が成される前または任意の請求日の依然に公知や開示されていることは認められない。さらに、どの文献や情報も、世界規模または任意の国のいずれかで当該技術分野の共通の一般知識の一部を形成することは認められず、また考えられない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式(I):
【化1】

を有する化合物であって、
ここで、
(1)R1が基
【化2】

を表し、
4およびR5が、1から12の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたベンジル、ナフチルまたはフェニル基を表し、
(2)R2およびR3は、以下のように定義される:
(A)R2は以下の基の内の1つを表す:
(A1)水素、
(A2)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、
(A3)3から12の炭素原子を持つシクロアルキル基、
(A4)必要に応じて置換された、フェニルまたはベンジル基、
(A5)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
(A6)基
【化3】

4およびR5が、R1についてこの請求項に定義したのと同じ意味を持つ、
(B)R3は、以下の基の内の1つを表す:
(B1)水素、
(B2)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、
(B3)3から12の炭素原子を持つシクロアルキル基、
(B4)必要に応じて置換された、フェニルまたはベンジル基、
(B5)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
または、
(C)R2およびR3は、一緒になって、酸素、硫黄および窒素からなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでも差し支えない1つの環または2つの環化された環を持つ芳香族または非芳香族の環状基を形成し、この芳香族または非芳香族の環は、独立して、5から7員環である、
(3)基
【化4】

は、他の芳香族または非芳香族の環により必要に応じて置換されたまたは環化されたベンゾ、ナフトまたはフェナントロ基である、
ことを特徴とする化合物。
【請求項2】
以下の一般化学式(Ia)、(Ib)、(Ic)および(Id)の内の1つを有する:
【化5】

ここで、
(a)R1、R2およびR3は、化学式(I)に関して請求項1に与えられたのと同じ定義を有し、
(b)R6は、
(b1)ヒドロキシ、
(b2)1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、
(b3)1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
(b4)
【化6】

基、ここで、R’およびR”は、同じでも異なっていてもよく、独立して、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素から選択された少なくとも1つの他のヘテロ原子を含んで差し支えない5から7員環を表し、この窒素は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基により置換されたR”’基により必要に応じて置換されている、
を表す、
(c)R7は、
(c1)ハロゲン、特に、フッ素、塩素または臭素、
(c2)ヒドロキシ、
(c3)1から12の炭素原子(好ましくは1から6の炭素原子)を持つ線状または枝分れアルキル基、
(c4)1から12の炭素原子を持つシクロアルキル、
(c5)1から12の炭素原子(好ましくは1から6の炭素原子)を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
(c6)特に、フッ素、塩素および臭素から選択される少なくとも1つのハロゲン原子により置換された、それぞれ、(c3)、(c4)および(c5)のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ基に対応するハロアルキル、ハロシクロアルキル、またはハロアルコキシ基、
(c7)基本構造に、6から24の炭素原子または4から24の炭素原子、または4から24の炭素原子と、硫黄、酸素および窒素から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を持つアリールまたはヘテロアリール基、この基本構造は、以下に与えたリストから選択される少なくとも1つの置換基により必要に応じて置換されている:
(c7.1)ハロゲン、特に、フッ素、塩素および臭素、
(c7.2)ヒドロキシ、
(c7.3)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、
(c7.4)1から12の炭素原子、好ましくは1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
(c7.5)3から12の炭素原子を持つシクロアルキル基、
(c7.6)少なくとも1つのハロゲン原子、特に、フッ素原子により置換された、(c7.3)、(c7.4)および(c7.5)に定義したアルキル、アルコキシおよびシクロアルキル基にそれぞれ対応するハロアルキル、ハロアルコキシまたはハロシクロアルキル基、
(c7.7)1から12の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキルまたはアルコキシ基により必要に応じて置換されたフェノキシまたはナフトキシ基、
(c7.8)2から12の炭素原子を持つ線状または枝分れアルケニル基、特に、ビニル基またはアリル基、
(c7.9)−NH2基、
(c7.10)−NHR基、ここで、Rは、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、または1から6の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、
(c7.11)
【化7】

基、ここで、R’およびR”は、同じでも異なっていてもよく、独立して、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素から選択された少なくとも1つの他のヘテロ原子を含んで差し支えない5から7員環を表し、この窒素は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基により置換されたR”’基により必要に応じて置換されている、
(c7.12)メタクリロイル基またはアクリロイル基、
(c8)アラルキルまたはヘテロアラルキル基、ここで、線状または枝分れであるアルキル基は、1から4の炭素原子を有し、アリールおよびヘテロアリール基は、この請求項の(c7)に与えられたものと同じ定義を有する、
(c9)1から12の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキルまたはアルコキシ基により必要に応じて置換されたフェノキシまたはナフトキシ基、
(c10)アミン、アミド、カルバメートまたは尿素基:−NH2、−NHR、−NHCOR、−NR’COR、−NHCOOR、−NHCONHR、−CONH2、−CONHR、
【化8】

ここで、Rは、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、または1から6の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表し、
R’およびR”は、同じでも異なっていてもよく、独立して、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素から選択された少なくとも1つの他のヘテロ原子を含んで差し支えない5から7員環を表し、この窒素は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基により置換されたR”’基により必要に応じて置換されている、
(c11)−OCOR11または−OCOOR11、R11は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、または3から6の炭素原子を持つシクロアルキル基、もしくは(c7)に定義されたアリールおよびヘテロアリール基について(c7.1)から(c7.12)に列記した置換基の内の少なくとも1つにより必要に応じて置換されたフェニル基を表す、
もくしは
6およびR7は、一緒になって、酸素、硫黄および窒素からなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでも差し支えない1つの環または2つの環化された環を持つ芳香族または非芳香族の環状基を形成し、この芳香族または非芳香族の環は、独立して、5から7員環であり、必要に応じて、化学式(I)に関して請求項1に定義された少なくとも1つの置換基R3を含む、
を表す、
(d)R8およびR9は、同じであっても異なっていてもよく、独立して、
(d1)ハロゲン、特に、フッ素、塩素または臭素、
(d2)ヒドロキシ、
(d3)1から12の炭素原子(好ましくは1から6の炭素原子)を持つ線状または枝分れアルキル基、
(d4)1から12の炭素原子を持つシクロアルキル基、
(d5)1から12の炭素原子(好ましくは1から6の炭素原子)を持つ線状または枝分れアルコキシ基、
(d6)特に、フッ素、塩素および臭素から選択される少なくとも1つのハロゲン原子により置換された、それぞれ、(d3)、(d4)および(d5)のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ基に対応するハロアルキル、ハロシクロアルキル、またはハロアルコキシ基、
(d7)この請求項の(c7)のR7に関して与えられたものと同じ定義を有するアリールまたはヘテロアリール基、
(d8)アラルキルまたはヘテロアラルキル基、ここで、線状または枝分れであるアルキル基は、1から4の炭素原子を有し、アリールおよびヘテロアリール基は、この請求項の(c7)に与えられたものと同じ定義を有する、
(d9)1から12の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキルまたはアルコキシ基により必要に応じて置換されたフェノキシまたはナフトキシ基、
(d10)アミン、アミド、カルバメートまたは尿素基:−NH2、−NHR、−NHCOR、−NR’COR、−NHCOOR、−NHCONHR、−CONH2、−CONHR、
【化9】

ここで、Rは、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、または1から6の炭素原子を持つ少なくとも1つの線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表し、
R’およびR”は、同じでも異なっていてもよく、独立して、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素から選択された少なくとも1つの他のヘテロ原子を含んで差し支えない5から7員環を表し、この窒素は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基により置換されたR”’基により必要に応じて置換されている、
(d11)−OCOR11または−OCOOR11、R11は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、または3から6の炭素原子を持つシクロアルキル基、もしくはこの請求項の(c7)に定義されたアリールおよびヘテロアリール基について(c7.1)から(c7.12)に列記した置換基の内の少なくとも1つにより必要に応じて置換されたフェニル基を表す、
もくしは
8およびR9は、一緒になって、酸素、硫黄および窒素からなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでも差し支えない1つの環または2つの環化された環を持つ芳香族または非芳香族の環状基を形成し、この芳香族または非芳香族の環は、独立して、5から7員環であり、必要に応じて、この請求項の(c7)に定義されたアリールおよびヘテロアリール基に関して(c7.1)から(c7.12)に列記されたものから選択された少なくとも1つの置換基を含む、
を表す、
(e)R10は、
【化10】

基、ここで、R’およびR”は、同じでも異なっていてもよく、独立して、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基、1から6の炭素原子を持つ少なくとも線状または枝分れアルキル基により必要に応じて置換されたフェニル基を表す、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素から選択された少なくとも1つの他のヘテロ原子を含んで差し支えない5から7員環を表し、この窒素は、1から6の炭素原子を持つ線状または枝分れアルキル基により置換されたR”’基により必要に応じて置換されている、
を表す、
ことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
以下の化学式(I1):
【化11】

を有することを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
以下の化学式(I2):
【化12】

を有することを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項5】
以下の化学式(I3):
【化13】

を有することを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項6】
以下の化学式(I4):
【化14】

を有することを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項7】
以下の化学式(I5):
【化15】

を有することを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項8】
以下の化学式(I6):
【化16】

を有することを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から8いずれか1項記載の化合物少なくとも一種類を一部含むフォトクロミック組成物。
【請求項10】
少なくとも一種類の他のタイプのフォトクロミック化合物および/または少なくとも一種類の非フォトクロミック着色剤をさらに含むことを特徴とする請求項9記載のフォトクロミック組成物。
【請求項11】
請求項1から8いずれか1項記載の化合物少なくとも一種類の重合および/または網状化および/またはグラフト重合によって得られる線状または網状(コ)ポリマーを含むことを特徴とする請求項9または10記載のフォトクロミック組成物。
【請求項12】
以下から選択されるまたは構成された(コ)ポリマーを少なくとも一種類を含むことを特徴とする請求項9から11いずれか1項記載のフォトクロミック組成物:
(1)必要に応じてハロゲン化された、またはエーテル、エステル、カーボネート、カルバメート、チオカルバメート、尿素、アミド基およびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの基を含む、アルキル、シクロアルキル、(ポリまたはオリゴ)エチレングリコール、アリールまたはアリールアルキルのモノ,ジ,トリまたはテトラアクリレートまたはモノ,ジ,トリまたはテトラメタクリレート、
(2)ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカルバメート、ポリエポキシ、ポリウレア、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、脂肪族または芳香族ポリエステル、ビニルポリマー、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテート・プロピオネートまたはポリビニルブチラール、
(3)以下の化学式(Z):
【化17】

を有する二官能性モノマー、ここで、
(i)R10、R’10、R11およびR’11は、同じであっても異なっていてもよく、独立して、水素またはメチル基を表し、
(ii)mおよびnは、独立して、0から4までの整数であり、好ましくは、独立して1または2であり、
(iii)XおよびX’は、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲンであり、好ましくは塩素および/または臭素を表し、
(iv)pおよびqは、独立して、0から4までの整数である、
(4)この請求項の定義された共重合性モノマーの少なくとも二種類のコポリマー、好ましくは、(メタ)アクリル、ビニル、アリルタイプとその混合物のコポリマー。
【請求項13】
請求項1から8いずれか1項記載の化合物または請求項9から12いずれか1項記載のフォトクロミック組成物を含む眼用製品または太陽光保護製品。
【請求項14】
レンズ、窓ガラスまたは光デバイスであることを特徴とする請求項13記載の製品。
【請求項15】
請求項1から8いずれか1項記載の化合物を調製する方法であって、
(1)
(i)以下の化学式(II):
【化18】

を持つ中間体化合物であって、

【化19】

が、化学式(I)に関して請求項1に定義したものと同じ意味を有する中間体化合物と、
(ii)以下の化学式(III):
【化20】

に対応するプロパルギルアルコールの誘導体であって、
1、R2およびR3が、化学式(I)に関して請求項1に定義したものと同じ意味を有する誘導体と、
の縮合反応であって、
(II)と(III)との間の縮合が、触媒の存在下で行われることが好ましく、その触媒は、p−トルエンスルホン酸、ドデシルスルホン酸およびブロモ酢酸からなる群より選択されることが好ましい縮合反応、
または
(2)この項目の中のこの請求項の(i)に定義された化学式(II)の化合物と、
(iii)以下の化学式(III’):
【化21】

に対応するアルデヒド誘導体であって、
1、R2およびR3が、化学式(I)に関して請求項1に定義したものと同じ意味を有する誘導体と、
の縮合反応であって、
(II)と(III’)との間の縮合が、金属錯体、好ましくはチタン錯体の存在下で行われることが好ましく、チタン酸テトラエチルが特に好ましい縮合反応、
のいずれかを含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2007−516961(P2007−516961A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539536(P2006−539536)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/034978
【国際公開番号】WO2005/047277
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】