説明

カルバメート官能性材料の製造方法

カルバメート官能性材料の製造方法は、エステル基を有する材料(例えばポリマー材料、オリゴマー材料、脂肪酸材料)を、カルバメート基を有するヒドロキシ化合物と反応させることを含む。前記反応を生体触媒で触媒して、カルバメート官能性材料が形成される。前記カルバメート官能性材料を、カルバメート反応基を有する架橋剤と混合して、コーティング組成物が製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年9月13日に出願の米国特許出願第11/854,636号の一部継続出願である。上記出願の開示は、参考として本明細書で援用される。
【0002】
本開示は、カルバメート基を有する、オリゴマー及びポリマーを含む材料の製造方法と、該材料を含有するコーティング組成物とに関する。
【0003】
このセクションの記述は、本発明の開示に関して背景情報を提供するものであって、先行技術を構成するかもしれないし構成しないかもしれない。
【0004】
クリアコート−ベースコート複合コーティングは、コーティング技術で広く用いられており、所望の光沢、色の深み、像の明瞭さ、及び/又は特殊な金属効果について注目に値する。複合システムは、有利な視覚効果、とりわけ高度な明暸性を達成するために自動車産業により特に利用される。しかしながら、クリアコートにおける高度な明暸性により、欠損、中でもコーティングに対する環境効果による劣化からの欠損を認め易くなる。
【0005】
クリアコート層はまた、環境劣化からの下地及びより低コーティング層の保護を提供する。カルバメート官能性樹脂を利用する硬化性コーティング組成物は、コーティングにおいて用いられてきており、例えば、各々が参考として本明細書で援用される、米国特許第5,693,724号、第5,693,723号、第5,639,828号、第5,512,639号、第5,508,379号、第5,451,656号、第5,356,669号、第5,336,566号、及び第5,532,061号に記載されたものを含む。
【0006】
これらのコーティングは、ヒドロキシ官能性アクリル/メラミンコーティング組成物等の他の組成物を用いる他のコーティングよりも、環境腐食に対する耐性の著しい向上を提供することができる。
【0007】
カルバメート官能性は、米国特許第5,693,724号、第5,693,723号、第5,639,828号、第5,512,639号、第5,508,379号、第5,451,656号、第5,356,669号、第5,336,566号、第5,532,061号、及び第6,531,560号に記載のように、ヒドロキシカルバメート化合物を有する「トランスカルバメート」ヒドロキシル官能性アクリル樹脂に組み込まれ得る。しかしながら、反応工程は、時間のかかるプロセスであり、且つ、反応媒質に用いられる他の溶媒と共に何とかして除去しなければならないメタノール等の副生成物を生成する。その上、望ましくない副反応がある程度起こり得る。
【0008】
アクリレートとメタクリレートとから製造されるビニルポリマーは、それらが提供する特性の優れたバランスのため、即ち堅牢性、耐久性及び光沢性があるコーティングを形成するため、自動車用クリアコートやベースコート等のトップコートのために広範囲に用いられている。Derango et al.,"The Lipase−Catalyzed Synthesis of Carbamoyloxyethyl Methacrylate,"Biotechnology Letters,Vol.16,No.3(March 1994)pp.241−46には、カルバモイルオキシエチルメタクリレートを製造するためのビニルメタクリレートとの2−ヒドロキシエチルカルバメートのエステル交換反応のための触媒としてリパーゼを使用することが記載されている。Dietscheらの米国特許第7,164,037号は、ウレタン基を含有する(メタ)アクリル酸エステルの酵素製剤と、放射線硬化性組成物におけるその使用とを教示しており、その反応は副生成物として低沸点アルコールを生成する。
【0009】
カルバメート官能性材料を製造し、且つ、カルバメート官能性材料を含有するコーティングを製造する組成物及び方法は、カルバメート基を含有するヒドロキシ化合物とのエステル基を有する材料のエステル交換反応を含む。エステル基を有する材料は、典型的には約500g/モル超の分子量を有し、且つ、オリゴマー、ポリマー、及び/又は脂肪酸のエステルであり得る。エステル交換反応は、リパーゼ等の酵素を含み得る生体触媒によって触媒される。カルバメート官能性反応生成物を使用してコーティング組成物が製造される。
【0010】
エステル基を有する材料としては、複数のエステル基を有するポリマー、オリゴマー又は架橋性化合物を挙げることができる。エステル基は、前記材料上にペンダント基又は末端基を含むことができる。例えば、前記材料がポリマーである場合、主鎖を形成する1個以上の単位はエステル側鎖を有してよく、及び/又は、主鎖の末端単位はエステル基を有してよい。ポリマーとしては、ビニルポリマー、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、それらの混合物及びそれらのコポリマーが挙げられ、それは、典型的には約1500g/モル超の分子量を有する。エステル基を有するオリゴマー材料は、同じでも異なってもよい少なくとも2個の単位を含み、典型的には約500〜1500g/モルの分子量を有する。幾つかの場合、ポリマー又はコポリマーを形成するためにオリゴマーを重合させることができる。エステル交換反応の際、エステル基を有する材料は、例えば1〜約18個の炭素を有する各種アルカノール等のアルコールを放出することができ、或いはエステルがエテノキシ基を含む場合、ビニルアルコールが生成される。
【0011】
カルバメート基を有するヒドロキシ化合物は、エステル基を有する材料にカルバメート官能性を付与するために使用される。例えば、カルバメートを有するヒドロキシ化合物は、直鎖状及び/又は環状アルキル部分を有するヒドロキシアルキルカルバメートであり得、或いは、カルバメートを有するヒドロキシ化合物は、ヒドロキシ基及びカルバメート基に加えて芳香族部分を有するヒドロキシアリールカルバメートであり得る。ヒドロキシ化合物のカルバメート基は、第一級カルバメート(即ち−O(CO)NH2)であってよく、或いは、置換されてもよい(即ち−O(CO)NHR又は−O(CO)NR2)。第一級カルバメートは、通常、アミノプラスト架橋剤との反応速度の向上に好ましい。
【0012】
生体触媒は、エステル基を有する材料とカルバメート基を有するヒドロキシ化合物との間にエステル交換反応を起こし、それによりカルバメート官能性材料を生成するために操作可能である。適切な生体触媒としては、微生物生体、発酵培地、及び/又は微生物生体又は発酵培地から精製された単離酵素が挙げられる。幾つかの場合、生体触媒は、リパーゼ等の酵素である。前記酵素は、エステル基を有する材料によりアシル酵素中間体を形成することができ、それは、その後カルバメート基を有するヒドロキシ化合物と反応してカルバメート官能性材料を生成する。生体触媒は、固体担体に固定され得る。
【0013】
本組成物及び方法は、幾つかの有益性及び利点を提供する。特に、本方法は、モノマー材料又は低分子量(<500g/モル)材料にカルバメート官能性を付与する他の方法と比較して、約500g/モル超の分子量を有するエステル基を有する材料からカルバメート官能性材料を形成するために用いられる。多くのポリマー、オリゴマー、及び脂肪酸のエステルが有機溶媒により可溶であることから、約500g/モル超の分子量を有する、エステル基を有する材料を使用することにより、本方法は、有機溶媒を含有する反応媒質を用いることができる。その上、カルバメート官能性を有するヒドロキシ化合物は、多くの場合、有機溶媒にあまり可溶ではない。しかしながら、多くのモノマーの重合(例えばアクリル樹脂を形成するためのアクリレートモノマーの重合)は、典型的には、有機溶媒において行われる。従って、本反応は、疎水性有機溶媒を含む有機溶媒において行うことが可能であり、エステル基を有する材料とカルバメート官能性を有するヒドロキシ化合物との両方を可溶化するためのより良好な反応媒質を提供する。
【0014】
エステル交換反応のためのエステル基を有する材料の使用は、エステル基を有するモノマーを使用することと比較して更なる利点を提供する。モノマーは、典型的には、安定性と保存性の問題を有し得、且つ、幾つかの場合において毒性材料として分類され得る反応性化合物である。更に、モノマーのアベイラビリティ及びコストは法外であり得る。エステル基を有する材料を使用することにより、前記材料がポリマー、オリゴマー、又は脂肪酸のエステルである場合、本方法は、より大きな保存寿命を有する、安定性がより大きく、より低毒性で、より低コストの成分を用いることができる。
【0015】
最後に、本組成物及び方法により、脂肪酸メチルエステルを含むバイオマス誘導化合物を含むことができる脂肪酸エステル等の大きいエステル化合物にカルバメート基を添加することが可能になる。例えば、脂肪又は脂肪酸とメタノールとの間のアルカリ触媒反応により生成された脂肪酸メチルエステルが使用され得る。これらの化合物は、再生可能資源から誘導することが可能であり、例えば、バイオディーゼル調合物は、多くの場合、エステル交換反応により植物油から通常得られる脂肪酸メチルエステルから構成される。従って、本組成物及び方法は、コーティング組成物用のバイオマス誘導化合物にカルバメート官能性を組み込むための手段を与える。
【0016】
本明細書で用いられる「1つの」(「a」及び「an」)は、「少なくとも1つ」の項目が存在すること;可能な場合、複数のかかる項目が存在してよいことを示す。「約」は、値に適用する場合、算出又は測定が、値の多少のわずかな不正確性を許容すること(値の正確性に多少接近して;ほぼ又はかなり値の近くに;ほとんど)を示す。一方で何かの理由で「約」により提供される不正確性がこの通常の意味で本技術分野において理解されない場合、本明細書で用いられる「約」は、少なくとも、該パラメータを測定又は使用する通常の方法から生じ得る変化を示す。更に、範囲の開示は、全ての値並びに全範囲中の更に分割された範囲の開示を含む。
【0017】
適用性の更なる領域は、本明細書において提供される記載から明らかになる。明細書及び具体例は、説明の目的のみを意図するものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0018】
カルバメート官能性材料を製造するための組成物及び方法は、エステル基を有する材料とカルバメート基を有するヒドロキシ化合物とを反応させることを含む。前記反応は、アルコール副生成物と共にカルバメート官能性材料を生成するためにエステル交換反応を行うことができる生体触媒を用いる。エステル基を有する材料は、少なくとも約500g/モルの分子量を有する。
【0019】
エステル基を有する材料は、オリゴマー、ポリマー又は脂肪酸エステルであり得る。オリゴマーは、比較的少ないモノマー単位を有するポリマーであり、一般に、オリゴマーは、10個又はそれより少ない重合モノマー単位を有する。ポリマーは、オリゴマーより一般に大きく、典型的には10個超の重合モノマー単位を有し、数百又は数千又はそれより多い重合モノマー単位を含むことができる。故に、エステル基を有するポリマー材料は、1モル当たり数千グラム、1モル当たり数万グラム、1モル当たり数十万グラム、又は更にそれより大きい程度の分子量を有することができる。
【0020】
幾つかの実施形態において、オリゴマー及びポリマーは、均一材料であっても不均一材料であってもよく、例えば、二種類以上の異なるモノマーは、不均一なオリゴマー又はポリマーを形成するために使用され得る。2種の異なるモノマーの重合は、典型的にはコポリマーと呼ばれるものを形成する。その後、オリゴマーは、ポリマー及び異なるオリゴマーを形成するために重合することができ、及び/又は、異なるモノマーから形成されるオリゴマーは、整然とした又はランダムなブロック単位を有するポリマーを形成するために使用することができる。オリゴマー材料及びポリマー材料は、直鎖状又は分枝状の構造を有することができ、それ自身で超分枝状であり得るか、或いはデンドリマー等の超分枝構造を形成するために使用され得る。
【0021】
エステル基を有する材料は、少なくとも1個のエステル基を含み、複数のエステル基を有することができる。エステル基は、前記材料上のペンダントエステル基又は末端エステル基であってよく、ペンダントエステル基及び末端エステル基の両方が存在してよい。例えば、エステル基を有する前記材料が脂肪酸エステルである場合、脂肪酸エステルは脂肪酸ジエステルであってよく、或いはエステル基を有する前記材料がポリマーである場合、ポリマーは、数十、数百又は数千以上のペンダントエステル基を有することができる。
【0022】
幾つかの実施形態において、エステル基を有する前記材料は、式(1):
【化1】

[式中、R1は、オリゴマー基又はポリマー基であり;R2は、飽和C1〜C18アルキル基又は不飽和C2〜C18アルキル基である]を有する。幾つかの実施形態において、R1は、オリゴマー基又はポリマー基であり;R2は、C1〜C18アルキル;1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子により、及び/又は、1個以上の置換又は非置換イミノ基により中断されない又は中断されたC2〜C18アルキル;C2〜C18アルケニル;C6〜C12アリール;C5〜C12シクロアルキル;酸素、窒素及び/又は硫黄原子を含有する5〜6員ヘテロ環;又は式:−[Xik−H[式中、kは、1〜50の数であり、Xiは、i=1〜kについて、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−N(H)−、−CH2−CH2−CH2−N(H)−、−CH2−CH(NH2)−、−CH2−CH(NHCHO)−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−及び−CHPh−CH2−O−から成る群から独立して選択され、ここでPhはフェニルを意味し、Vinはビニルを意味する]の基である。
【0023】
カルバメート基を有するヒドロキシ化合物とのエステル基を有する材料の反応は、式(1)のR2基に基づくアルコール副生成物を生成することができる。例えば、R2がC1(即ちメチル基)である場合、その後のアルコール副生成物はメタノールである。
【0024】
幾つかの実施形態において、エステル基を有する材料は、式(2):
【化2】

[式中、nは1であり、mは1又は1超の整数であり、各Rは独立してH又は1〜4個の炭素原子のアルキル基であり、Xは、ポリマー、オリゴマー又は脂肪酸エステルであるm価材料である]を有する。この場合、カルバメート基を有するヒドロキシ化合物との反応により生成する不飽和アルコール副生成物は、対応するアルデヒド又はケトンに互変異性化する可能性があり、それにより逆反応が抑制されるか若しくは起こらなくなる。その結果、反応平衡は、カルバメート官能性材料へのエステル基を有する材料の完全転化の方に移行する。式(2)における各RがHである場合、エステル基を有する材料は、式(3):
【化3】

[式中、R1は、オリゴマー材料又はポリマー材料である]を有し得る。この場合、エテノキシ脱離基は、アセトアルデヒドに互変異性化し得るビニルアルコールを形成する。互変異性化に加えて、アルコール副産物は、大気圧で又は真空を使用した蒸留か、アルコール副産物を除去するための浸透圧フィルタの使用のいずれかで除去され得る。
【0025】
幾つかの実施形態において、エステル基を有する材料がポリマーである場合、ポリマーは、ビニルポリマー、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、それらの混合物、又はそれらのコポリマーであり得る。アクリルポリマーとしては、メチル、エチル、及び/又はプロピル(メタ)アクリレート、並びに他の既知のアクリルモノマーを使用して形成されたポリマー及びコポリマーが挙げられる。メタノール、エタノールおよび/またはプロパノールは、エステル基をポリエステル又はポリエーテルに組み込むために使用され得る。プロピルエステルに対するカルボキシル官能性メチルは、エポキシド官能性ポリマー、オリゴマー及び材料と反応させるために使用され得る。プロピルエステルに対するヒドロキシ官能性メチルは、エステル基をウレタンポリマー、オリゴマー及び材料に組み込むために使用され得る。また、エステル基を有する材料は、ポリイソシアネートとヒドロキシアルカン酸のエテニルエステルとを反応させることにより形成することもできる。
【0026】
幾つかの実施形態において、エステル基を有する材料は、ビニルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル等のポリマーであってよい。ペンダントエテノキシ基を有するビニルポリマーは、活性二重結合及び非活性化二重結合を含有する材料のフリーラジカル重合により製造され得る。該材料の例としては、ビニルメタクリレートがある。適切なコモノマーの例としては、限定されないが、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸等の3〜5個の炭素原子を含有するα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸や、それらの酸のエステル;4〜6個の炭素原子を含有するα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸や、それらの酸の無水物、モノエステル、ジエステル;ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、芳香族又は複素環式脂肪族ビニル化合物が挙げられる。
【0027】
アクリル酸、メタアクリル酸及びクロトン酸の適切なエステルの代表例としては、限定されないが、1〜20個の炭素原子を含有する飽和脂肪族及び脂環式アルコールとの反応からのエステル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、ステアリル、スルホエチル及びイソボルニルのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びクロトン酸エステル)が挙げられる。他のエチレン性不飽和重合性モノマーの代表例としては、限定されないが、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール)とのフマル酸、マレイン酸及びイタコン酸無水物、モノエステル及びジエステル等の化合物が挙げられる。重合ビニルモノマーの代表例としては、限定されないが、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルエーテル(例えばビニルエチルエーテル)、ビニルハライド、ビニリデンハライド、ビニルエチルケトン等の化合物が挙げられる。芳香族又は複素環式脂肪族ビニル化合物の代表例としては、限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブチルスチレン、2−ビニルピロリドン等の化合物が挙げられる。コモノマーは、所望のビニル又はアクリルポリマー特性を生成するために任意の所望の組み合わせで使用され得る。
【0028】
ビニルポリマーは、例えば、重合開始剤及び場合により連鎖移動剤の存在下でモノマーを加熱することにより、従来の手法を使用して製造され得る。大量にアクリルポリマーを重合させることも可能であるにもかかわらず、重合は、好ましくは溶液中で行われる。適切な重合溶媒としては、限定されないが、エステル、ケトン、エチレングリコールモノアルキルエーテル及びプロピレングリコールモノアルキルエーテル、アルコール類、芳香族炭化水素(例えばキシレン、トルエン、Aromatic100)が挙げられる。
【0029】
典型的な開始剤は、有機過酸化物(例えばジ−tert−ブチルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド)、ペルオキシエステル(例えばtert−ブチルペルオクトエートやtert−ブチルペルアセテート)、ペルオキソジカーボネート、ジアシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド(例えばtert−ブチルヒドロペルオキシド)、及びペルオキシケタール;アゾ化合物(例えば2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル));及びこれらの組み合わせが挙げられる。典型的な連鎖移動剤は、メルカプタン(例えばオクチルメルカプタン、n−又はtert−ドデシルメルカプタン);ハロゲン化化合物、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、メルカプトエタノール、及びα−メチルスチレンダイマーである。
【0030】
溶媒又は溶媒混合物は、反応温度まで加熱され、モノマー及び開始剤並びに場合により連鎖移動剤は、制御速度で一定時間、典型的には約2時間〜約6時間添加され得る。重合反応は、通常、約20℃〜約200℃の温度で行うことができる。前記反応は、適切な制御で還流温度未満の温度が維持され得るにもかかわらず、溶媒又は溶媒混合物が還流する温度で都合よく行うことができる。開始剤は、前記反応を行う温度に適合するように選択するべきであり、その結果、その温度での開始剤の半減期は、好ましくは約30分間以下、より好ましくは約5分間以下となるべきである。更なる溶媒は、同時に添加され得る。重合を完了する時間で添加を完了した後、前記混合物は反応温度に保たれ得る。場合により、更なる開始剤が、ポリマーへのモノマーの完全転化を確実にするために添加され得る。
【0031】

【化4】

を有するアクリルポリマーは、付加重合におけるアクリレート基又はメタクリレート基よりも低いビニル基の反応性を利用することにより製造され得るが、その結果、他のアクリレート又はメタクリレートモノマーとのビニル(メタ)アクリレートの重合がビニル(メタ)アクリレートのビニル基の反応なしで達成され得る。
【0032】
幾つかの実施形態において、エステル基を有する材料はウレタンポリマーである。ポリウレタンポリマーは、ジイソシアネート材料との、2個のヒドロキシル基を有する化合物又はマクロモノマー(例えば、化合物(例えばアルキレングリコールやポリアルキレングリコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール)、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、脂肪酸ダイマージオール(例えばUniqema(米国デラウェア州ニューキャッスル)のPRIPOL(商標)C36ダイマージオール)、水素化ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビスフェノール)、マクロモノマー(例えばポリエステルジオール))の反応により製造され得る。エステル基を有する材料から形成されたカルバメート官能性材料がコーティング組成物(例えばトップコート(ベースコート及びクリアコートを含む)組成物)に使用される場合、ジイソシアネートは、脂肪族、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート又はシクロヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0033】
幾つかの実施形態において、ポリウレタンは、イソシアネート官能性プレポリマーが第1段階で製造され、次いでトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジエタノールアミン等のポリヒドロキシル化合物で覆われる2つの段階で製造される。ポリエステルポリマーは、既に記載されたもの等のジヒドロキシ化合物及びジカルボン酸の反応により製造される。エテノキシ基は、カルボキシル、ヒドロキシル、オキシラン又は環状無水物官能性ビニル材料の反応によりポリウレタン上に導入される。また、ジイソシアネート(例えばイソシアヌレート、ウレトジオン、ビウレット)から形成されるホモポリマーが挙げられる。これらの材料は、オリゴマーを製造するために「そのままで」使用され得るか、或いはポリマーを形成するために更に拡大され得る。
【0034】
幾つかの実施形態において、エステル基を有する材料はポリエステルポリマーである。ポリエステルポリマーは、2個のカルボキシル基又は無水物基を有する化合物又はマクロモノマーとの、2個のヒドロキシル基を有する化合物又はマクロモノマー(例えば既に記載されたもの)の反応により製造される。ジカルボン酸又はジカルボン酸の無水物が好ましいが、ポリエステルの多少の分枝が望まれる場合にはより高官能性の酸及び無水物を使用することができる。同じ理由から、より高官能性のポリオールが使用され得る。適切なカルボン酸及び無水物の非限定例としては、約3個〜約20個の炭素原子を有するものが挙げられる。適切な化合物の実例としては、限定されないが、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ピロメリト酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アゼライン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ドデカン−1,12−ジカルボン酸、クエン酸、トリメリト酸及びそれらの無水物が挙げられる。また、脂肪酸ダイマー(例えばUniqema(米国デラウェア州ニューキャッスル)のPRIPOL(商標)C36ダイマージオール)も使用され得る。エテノキシ基は、3−ヒドロキシプロピオン酸のエテニルエステルや3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパン酸のエテニルエステル等のエテニル基とのモノヒドロキシ材料又はポリヒドロキシ材料の共重合によりポリウレタン上に導入され得る。少なくとも2個のエテノキシ基を有する化合物の非限定的で適切な例は、3−ヒドロキシアジピン酸のジエテニルエステルである。
【0035】
幾つかの実施形態において、エステル基を有する材料はオリゴマーである。オリゴマーの例としては、ε−カプロラクトン等のラクトンとのポリオールの反応生成物が挙げられる。更に、モノマー酸及び/又はアルコール類の組み込みは、ポリエステルの分子量を調整するために用いられ得る。
【0036】
幾つかの実施形態において、エステル基を有する材料は脂肪酸エステルである。脂肪酸エステルとしては、ジエステル等の多くのエステル基を有する脂肪酸が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、各種のアルコール類との反応によりエステル化される脂肪酸が挙げられる。例えば、脂肪酸は、メタノール又はエタノールとエステル化して脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸エチルエステルを形成することができる。各種の脂肪酸エステルは、バイオディーゼルの生成のためのバイオマス原料から誘導される。
【0037】
適切な脂肪酸エステル及びジエステルは、例えば以下の油に基づくことができる:ヒマシ油、ヤシ油(コプラ油)、トウモロコシ油、綿実油、アマナズナ油、麻油、カラシ油、パーム油、落花生油、ラディッシュ油、ナタネ(カノーラ)油、ラムティル油、米糠油、サフラワー油、大豆油、ヒマワリ油、支那桐油、藻類油、コパイバ、クロヨナ種子油、開発されたジャトロファ油、ホホバ油、ミルクブッシュ、ピットスポルム・フェルギネウム油、ダンマル油、亜麻仁油、芥子油、スチリンギア油(シナ脂とも呼ばれる)、及びベルノニア油。
【0038】
また、C18脂肪酸ダイマーのジエステルも使用され得る。例としては、UniqemaのPripol(商標)1009(ジエステルを形成するためにメタノール等のアルコールと更に反応され得る、蒸留及び水素化酸性ダイマー)が挙げられる。
【0039】
カルバメート基を有するヒドロキシ化合物は、少なくとも1個のヒドロキシル基と少なくとも1個のカルバメート基とを含む。幾つかの実施形態において、カルバメート基を有するヒドロキシ化合物は、複数のヒドロキシル基及び/又は複数のカルバメート基を有してよい。カルバメート基を有するヒドロキシ化合物は、例えばヒドロキシメチルカルバメート、ヒドロキシエチルカルバメート、ヒドロキシプロピルカルバメート、ヒドロキシブチルカルバメート、ヒドロキシシクロヘキシルカルバメート、ヒドロキシフェニルカルバメート等のヒドロキシアルキルカルバメートであってよい。
【0040】
幾つかの実施形態において、カルバメート基を有するヒドロキシ化合物は、式(4):
【化5】

[式中、R3は、C2〜C20アルキレン;C5〜C12シクロアルキレン;或いは1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子により、及び/又は、1個以上の置換又は非置換のイミノ基により、及び/又は、1個以上のシクロアルキル基、−(CO)−基、−O(CO)O−基、−(NH)(CO)O−基、−O(CO)(NH)−基、−O(CO)−基又は−(CO)O−基により中断されたC2〜C20アルキレンである]を有する。
【0041】
4及びR5は、各々独立して水素;C1〜C18アルキル;1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子により、及び/又は、1個以上の置換又は非置換イミノ基により中断されない又は中断されたC2〜C18アルキル;C2〜C18アルケニル;C6〜C12アリール;C5〜C12シクロアルキル;酸素、窒素及び/又は硫黄原子を含有する5〜6員ヘテロ環;又は式:−[Xik−H[式中、kは、1〜50の数であり、Xiは、i=1〜kについて、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−N(H)−、−CH2−CH2−CH2−N(H)−、−CH2−CH(NH2)−、−CH2−CH(NHCHO)−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−及び−CHPh−CH2−O−から成る群から独立して選択され得、ここでPhはフェニルを意味し、Vinはビニルを意味する]の基である。
【0042】
また、R4及びR5は、共に環を形成することもできる。
【0043】
4及びR5が水素である場合、ヒドロキシ化合物は第一級カルバメート基を有することが知られている。
【0044】
好ましくは、R4及びR5は、独立して水素、C1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、又は式:−[Xik−Hの基であり、特に好ましくは、R4及びR5は、独立して水素、C1〜C4アルキル、C5〜C6シクロアルキル、又は式:−[Xik−Hの基であり、非常に好ましくは、R4及びR5は、水素、C1〜C4アルキル、又は式:−[Xik−Hの基である。特に、基R4及びR5の一方が水素であり、他方がC1〜C4アルキル、又は式:−[Xik−Hの基である。
【0045】
3は、好ましくはC2〜C10アルキレン、より好ましくはC2〜C6アルキレン、非常に好ましくはC2〜C4アルキレン、特にC2〜C3アルキレン、とりわけC2アルキレンであり、示された基の各々は、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環で置換することが可能である。
【0046】
kは、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、非常に好ましくは1〜10、特に1〜5である。
【0047】
好ましいX1は、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−N(H)−、−CH2−CH2−CH2−N(H)−、−CH2−CH(NH2)−、−CH2−CH(NHCHO)−、−CH2−CH(CH3)−O−、及び−CH(CH3)−CH2−O−であり、より好ましくは−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−N(H)−、−CH2−CH2−CH2−N(H)−、及び−CH2−CH(NH2)−であり、非常に好ましくは−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−N(H)−、及び−CH2−CH2−CH2−N(H)−である。
【0048】
4及びR5の例としては、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシプロピル、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシルが挙げられる。
【0049】
3の例としては、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,1−ジメチル−1,2−エチレン、1−ヒドロキシメチル−1,2−エチレン、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,4−ブチレンが挙げられ、好ましくは1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレンであり、より好ましくは1,2−エチレン、1,2−プロピレンであり、非常に好ましくは1,2−エチレンである。
【0050】
幾つかの実施形態では、カルバメート基を有するヒドロキシ化合物は、式(5):
【化6】

[Rは、H又はアルキルであり、好ましくは、Rは、1〜約8個の炭素原子のH又はアルキルであり、より好ましくは、Rは、1〜約4個の炭素原子のH又はアルキルであり、更に好ましくは、RはHである]を有するカルバメート基を有することができる。RがHである場合、カルバメート基は第一級カルバメート基と呼ばれる。
【0051】
カルバメート基を有するヒドロキシ化合物の更なる例としては、アンモニア(第一級カルバメート基を形成するため)或いは第一級又は第二級アミン(第二級又は第三級カルバメート基のため)による環状カーボネートの開環から製造されるヒドロキシアルキルカルバメート化合物(例えば、ヒドロキシメチルカルバメート、ヒドロキシエチルカルバメート、ヒドロキシプロピルカルバメート、ヒドロキシブチルカルバメート、ヒドロキシシクロヘキシルカルバメート、ヒドロキシフェニルカルバメート、β−ヒドロキシプロピルカルバメート、γ−ヒドロキシカルバメート);2,3−エポキシ−1−プロパノール又はネオデカノエートのエポキシエステルとの二酸化炭素の反応から形成されるβ−ヒドロキシカルバメート;Ohrbomらの米国特許第6,977,309号及び第6,858,674号に記載された通りの不斉ヒドロキシカルバメートが挙げられる。
【0052】
幾つかの実施形態において、カルバメート基を有するヒドロキシ化合物は、参考として本明細書で援用される米国特許第6,740,706号、第6,838,530号及び第6,624,279号に開示されるように、アミン又はアンモニアと環状カーボネートとを反応させることにより形成される。
【0053】
本組成物及び方法に使用される生体触媒は、生物に由来し、上記のエステル交換反応を触媒することができる。生体触媒は、微生物又は動植物に由来し得、酵素を含む。酵素としては、加水分解酵素活性(例えばリパーゼ活性、エステラーゼ活性、プロテアーゼ活性、アミダーゼ活性)を有するものが挙げられる。例えば、エステル交換反応を触媒し得る酵素は、エステル基を有する材料でアシル酵素中間体を形成することができる。このアシル酵素中間体は、アルコール副生成物の放出を伴う酵素のセリン残基とエステル基を有する材料との間の共有結合を含む。該酵素としては、セリン残基、アスパルテート残基及びヒスチジン残基で形成される触媒三つ組残基を有するものを挙げることができる。
【0054】
微生物由来の酵素の典型例は、Amano Enzyme Inc.のLipase P(シュードモナス属由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase PS(シュードモナス・セパシア由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase A6(アスペルギルス属由来)、Amano Enzyme Inc.Lipase AP6(アスペルギルス属由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase M−10(ムコール属由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase OF(カンジダ属由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase PL(アルカリゲネス属由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase QLM(アルカリゲネス属由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase SL(バークホルデリア・セパシア由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase TL(シュードモナス・スタッツェリ由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase MY(カンジダ・シリンドラセア由来)、TOYOBO Co.,Ltd.のToyozyme LIP(シュードモナス属由来)、Sigma−Aldrich,Inc.のLipase Type VII(カンジダ・ルゴサ由来)、Sigma−Aldrich,Inc.のAcylase I(アスペルギルス・メレウス由来)、Sigma−Aldrich,Inc.のProtease Type XXXI(バシラス・リケニフォルミス由来)、FlukaのLipase(カンジダ・アンタークティカ由来)、Novo Nordisk Pharma Ltd.のLipozyme IM 20(フミコラ・ラヌギノサ由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase M(ムコール・ジャバニカス由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase MFL、Novo Nordisk Pharma Ltd.のNovozyme 435(カンジダ・アンタークティカ由来)、Novo Nordisk Pharma Ltd.のLipozyme RM IM(リゾムコール・ミエヘイ由来)、Novo Nordisk Pharma Ltd.のLipozyme TL IM(サーモミセス・ラヌギノサス由来)、Novo Nordisk Pharma Ltd.のAlcalase(バシラス・リケニフォルミス由来)、Novo Nordisk Pharma Ltd.のDurazym(バシラス属由来)、Novo Nordisk Pharma Ltd.のEsperase(バシラス属由来)、Novo Nordisk Pharma Ltd.のSavinase(バシラス属由来)、Nagase Biochemicals Co.のBioplase Conc(バシラス・サチリス由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase AY(カンジダ・ルゴサ由来)、Nagase Biochemicals Co.のLilipase A−10(リゾープス・ジャポニカス由来)、Nagase Biochemicals Co.のLipase 2G(シュードモナス属由来)、Nagase Biochemicals Co.のBioplase AL−15FG(バシラス・サチリス由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase PS−C「Amano」I(シュードモナス・セパシア由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase PS−C「Amano」II(シュードモナス・セパシア由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase PS−D「Amano」I(シュードモナス・セパシア由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase AK「Amano」20(シュードモナス・フルオレセンス由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−2(カンジダ・アンタークティカ由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−3(カンジダ・ルゴサ由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−3p(カンジダ・ルゴサ由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−6(シュードモナス属由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−8(サーモミセス・ラヌギノサス由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−9(リゾムコール属由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−10(アルカリゲネス属由来)である。
【0055】
動物由来の酵素の典型例は、Amano Enzyme Inc.のPancreatin(ブタ由来)、Sigma−Aldrich,Inc.のPorcine Pancreas Lipase(ブタ由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−7(ブタ由来)である。植物由来の酵素の典型例としては、Sigma−Aldrich,Inc.のPapain(パパイア由来)が挙げられる。
【0056】
上記の酵素の内、Amano Enzyme Inc.のLipase P(シュードモナス属由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase PS(シュードモナス・セパシア由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase PS−C「Amano」I(シュードモナス・セパシア由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase PS−C「Amano」II(シュードモナス・セパシア由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase PS−D「Amano」I(シュードモナス・セパシア由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase AK「Amano」20(シュードモナス・フルオレセンス由来)、Amano Enzyme Inc.のLipase AY(カンジダ・ルゴサ由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase OF(カンジダ属由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase PL(アルカリゲネス属由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase QLM(アルカリゲネス属由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase SL(バークホルデリア・セパシア由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase TL(シュードモナス・スタッツェリ由来)、Meito Sangyo Co.,Ltd.のLipase MY(カンジダ・シリンドラセア由来)、Novo Nordisk Pharma Ltd.のNovozyme 435(カンジダ・アンタークティカ由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−2(カンジダ・アンタークティカ由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−6(シュードモナス属由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−9(リゾムコール属由来)、F.Hoffmann−La Roche Ltd.のCHIRAZYME L−10(アルカリゲネス属由来)が好ましい。
【0057】
ヒドロキシカルバメート化合物とエステル基を有する材料との間の反応は、リパーゼにより触媒され得る。シュードモナス・エスピー由来の粗リパーゼAK、PS―30、CES、アスペルギルス・ニガー・エスピー由来のリパーゼAP、ムコール・エスピー由来のリパーゼMAP、ペニシリウム・シクロピウム・エスピー由来のリパーゼG、ゲオトリカム・カンディダム・エスピー由来のリパーゼGC、リゾプス・ジャバニカス由来のリパーゼFAPは、Amano International Enzyme Company(米国ヴァージニア州トロイ)から入手可能である。
【0058】
前記付加反応を触媒するために使用され得る酵素は、例えば、遊離型又は担体又は固体担体上に化学的又は物理的に固定される形態の加水分解酵素、エステラーゼ、(E.C.3.1.−.−)、リパーゼ(E.C.3.1.1.3)、グリコシラーゼ(E.C.3.2.−.−)、プロテアーゼ、(E.C.3.4.−.−))から選択され、好ましくはリパーゼ、エステラーゼ又はプロテアーゼである。特に好ましくは、Novozyme 435(カンジダ・アンタークティカB由来のリパーゼ)或いはアスペルギルス・エスピー、アスペルギルス・ニガー・エスピー、ムコール・エスピー、ペニシリウム・シクロピウム・エスピー、ゲオトリカム・カンディダム・エスピー、リゾプス・ジャバニカス、バークホルデリア・エスピー、カンジダ・エスピー、シュードモナス・エスピー、又はブタ膵臓由来のリパーゼであり、非常に好ましくはカンジダ・アンタークティカB由来又はバークホルデリア・エスピー由来のリパーゼである。
【0059】
上記の通りの粗又は精製単離酵素だけでなく、上記のエステル交換反応を触媒し得る生細胞又はその処理生成物も、生体触媒として使用され得る。従って、生細胞、微生物、動物細胞及び植物細胞が使用され得る。例えば、微生物を培養することにより得られる培養液がそのまま使用され得るか、或いは遠心分離等の採集処理により培養から得られる細胞が使用され得るか、或いは細胞の処理生成物が使用され得る。合成酵素が細胞外で分泌される場合、遠心分離等の細胞除去操作の後の培地が使用され得る。しかしながら、該培地を濃縮処理及び/又は精製処理(例えば硫安塩析)に供することがより効果的であり得る。細胞の処理生成物としては、例えば、アセトン又はトルエン等で処置された細胞、冷凍乾燥細胞、崩壊細胞、崩壊細胞からの無細胞抽出液、これらの生成物のいずれか1種から酵素を抽出することにより得られる粗酵素溶液が挙げられる。
【0060】
生体触媒として使用される微生物の典型例としては、シュードモナス属、アグロバクテリウム属、バシラス属、ミクロバクテリウム属、アスペルギルス属、ムコール属、リゾムコール属、モルティエラ属、ノカルジア属、ステノトロフォモナス属、ブレブンディモナス属、ロドコッカス属、アエロモナス属、カンジダ属、ピキア属、デバリオミセス属、アルカリゲネス属、フミコラ属、サーモミセス属、及びリゾープス属の微生物が挙げられる。
【0061】
より具体的には、シュードモナス属の微生物としては、例えば、シュードモナス・セパシア、シュードモナス・アエルギノーザ(IAM 1220)、シュードモナス・アエルギノーザ(IAM 1267)、シュードモナス・アエルギノーザ(IAM 1275)、シュードモナス・アエルギノーザ(IAM 1514)、シュードモナス・フルオレセンス(IAM 1008)、シュードモナス・オバリス(IAM 1002)が挙げられ、アグロバクテリウム属の微生物としては、例えば、アグロバクテリウム・リゾゲネス(IFO 13257)が挙げられ、バシラス属の微生物としては、例えば、バシラス・サチリス、バシラス・リケニフォルミスが挙げられ、ミクロバクテリウム属の微生物としては、例えば、ミクロバクテリウム・バルケリ(JCM 1343)が挙げられ、アスペルギルス属の微生物としては、例えば、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・メレウス、アスペルギルス・オリザエが挙げられ、ムコール属の微生物としては、例えば、ムコール・ミエヘイ、ムコール・ジャバニカス(IFO 4572)が挙げられ、モルティエレラ属の微生物としては、例えば、モルティエレラ・イサベリナ(IFO 7824)が挙げられ、ノカルジア属の微生物としては、例えば、ノカルジア・ルブラ(IFM 18)が挙げられ、ステノトロフォモナス属の微生物としては、例えば、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(IFO 12020)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(IFO 12690)が挙げられ、ブレブンディモナス属の微生物としては、例えば、ブレブンディモナス・ディミヌタ(IFO 14213)が挙げられ、ロドコッカス属の微生物としては、例えば、ロドコッカス・エクイ(IFO 3730)が挙げられ、アエロモナス属の微生物としては、例えば、アエロモナス・ハイドロフィラ(IFO 3820)が挙げられ、カンジダ属の微生物としては、例えば、カンジダ・ルゴサ、カンジダ・アンタークティカ、カンジダ・トロピカリス(IAM 4965)が挙げられ、ピキア属の微生物としては、例えば、ピキア・アノマラ(IFO 146)が挙げられ、デバリオミセス属の微生物としては、例えば、デバリオミセス・ハンセニイ(IFO 34)が挙げられ、フミコラ属の微生物としては、例えば、フミコラ・ラヌギノサが挙げられ、サーモミセス属の微生物としては、例えば、サーモミセス・ラヌギノサスが挙げられ、リゾープス属の微生物としては、例えば、リゾープス・ジャポニカスが挙げられる。上記の微生物の中で、シュードモナス・アエルギノーザ(IAM 1267)、シュードモナス・アエルギノーザ(IAM 1220)、シュードモナス・アエルギノーザ(IAM 1514)、ブレブンディモナス・ディミヌタ(IFO 14213)、ノカルジア・ルブラ(IFM 18)、及びロドコッカス・エクイ(IFO 3730)が好ましい。
【0062】
これらの微生物は、周知であり、例えば、Institute for Fermentation(大阪)(IFO)、Institute of Applied Microbiology(東京大学)(IAM)、Japan Collection of Microorganisms、Institute of Physical and Chemical Research(JCM)、及びResearch Center for Pathogenic Fungi and Microbial Toxioses(千葉大学)から容易に得ることができる。
【0063】
目的の酵素遺伝子を単離し、それを通常の方法で宿主ベクター系に導入し、前記ベクターで宿主を形質転換することにより得られる上記の生物又は微生物の変異体もまた、使用され得る。
【0064】
本発明の反応を触媒する微生物は、例えば以下の処理により得ることができる。まず、適切な栄養培地を選択し、前記培地中で微生物を培養する。培養の完了後、遠心分離等の処理により細胞及び上清を採集する。エステル基を有する材料とカルバメートを有するヒドロキシ化合物とを含有する反応培地に前記細胞又は上清を添加し、その溶液を、適切な温度、例えば30℃で反応期間振盪又は混合する。反応の完了後、GC(ガスクロマトグラフィ)により生成物又は反応物の有無を決定することができ、それにより生体触媒活性の有無を決定する。
【0065】
本組成物及び方法において、前記反応において生体触媒を使用する場合、生体触媒を使用する形態は、生体触媒が触媒活性を有する限り特に限定されない。例えば、生体触媒は、従来の処理により適切な担体上に固定した後で使用してよい。固定化は、例えば架橋アクリルアミドゲル、多糖類の中に生体触媒を包含させることにより、或いは、固体担体(例えばイオン交換樹脂、磁気ビーズ、珪藻土、セラミック)上に物理的又は化学的に生体触媒を固定することにより達成され得る。生体触媒は、表面を含む固体担体に固定され得る。幾つかの場合、固体担体は、バッチ処理で使用され得るか、反応物が通過するカラムの中で使用され得るかのいずれかのビーズの形状である。固定形態で使用する場合、生体触媒の触媒活性を増加させることができる。更に、固定状態の生体触媒の使用は、反応の完了後の分離及び回収を容易にし、これにより、生体触媒が回収及び再利用され得、反応生成物の単離及び分離がより容易に、且つ、より速やかになる。
【0066】
生体触媒の含水率は、凍結乾燥処置又は真空乾燥処置或いはアセトン、メタノール、エタノール等の有機溶媒を使用する処置により減少させ得る。水を除去することにより、1種以上の有機溶媒の存在下で行われる反応が容易になり得る。
【0067】
本発明において、通常、上記から選択される1種の生体触媒が使用される。しかしながら、混合形態の同様の活性の2種以上の生体触媒を使用することも可能である。
【0068】
本発明において、選択した微生物を培養するためのいずれの培地も、その中で微生物が増殖し得る限り使用され得る。炭素源として、グルコース、スクロース、マルトース等の糖類、酢酸、クエン酸、フマル酸等の有機酸及びその塩、エタノールやグリセロール等のアルコール類が使用され得る。窒素源として、一般的な種類の天然窒素源(例えばペプトン、肉抽出物、酵母抽出物、アミノ酸)だけでなく、様々な種類の無機アンモニウム塩及び有機酸アンモニウム塩も使用され得る。所望の又は必要な場合、無機塩、微量金属塩、ビタミン等が適切に添加される。幾つかの場合、オリーブ油、大豆油等の油を含有する培地或いはエステル結合又はアミド結合を有する化合物を含有する培地を使用して微生物を培養することによりリパーゼの発現増加等の所望の酵素活性のより多くを発現するために、微生物が誘導され得る。
【0069】
微生物は、従来の処理により培養され得る。例えば、前記培養は、6〜96時間、pH4〜10、15℃〜40℃の温度で好気条件の下で行うことが可能である。
【0070】
生体触媒により、化学反応式(6):
【化7】

[式中、R1及びR2は、式(1)に従って定義され、R3、R4及びR5は、式(4)に従って定義される]で示すように、エステル交換反応を行うことができる。
【0071】
幾つかの実施形態において、化学反応式(6)のR2は、ビニルアルコール生成物(HO−R2(式中、R2は、エチレンである))がアセトアルデヒドに互変異性化し得、反応平衡から効果的に取り除かれることからエステル交換反応を進めることができるエチレン基である。
【0072】
生体触媒反応は、好ましくは、水性混合物において、或いは、酵素を囲む水の小さい単層を保存する有機溶媒又は溶媒混合物において行われる。コールタール系軽油及び石油系軽油を分別蒸留することによって得られる90℃〜220℃の分別蒸留の範囲の芳香族炭化水素溶媒(例えばトルエン、キシレン、芳香族炭化水素の混合物)が使用され得る(例えば、160℃〜180℃の分別蒸留の範囲の沸点溶媒を有するSolvesso 100やAromatic 100(Exxon.Mobil Corp.)、180℃〜220℃の分別蒸留の範囲の沸点溶媒を有するSolvesso 150やAromatic 150(Exxon Mobil Corp.))。例えば、前記反応は、水溶液、有機溶液、水性連続相と有機不連続相とを有するエマルション、又は有機連続相と水性不連続相とを有するエマルションを含む反応培地中で行うことができる。一実施形態において、前記反応は、トルエン及びテトラヒドロフランを含む反応培地中で行われる。
【0073】
リパーゼを含有する反応混合物、カルバメート基を含有するヒドロキシ化合物、及びエステル基を有する材料は、30℃から約120℃まで、好ましくは約40℃から約60℃までの反応温度に加熱され得る。反応温度は、反応するヒドロキシカルバメートの熱安定性に少なくとも部分的に依存し、β−ヒドロキシカルバメートは、望ましくない脱アミノ化を受けて環状カーボネートを改質する可能性があるが、これは回避すべき副反応である。この副反応に影響されやすい化合物を使用する際、60℃未満の反応温度を保持することが有益であり得る。カルバメート基を有するヒドロキシ化合物のカルバメート基及びヒドロキシル基が3個以上の炭素原子により分離される場合、反応物化合物は、通常、約120℃までの反応温度を用いるのに十分安定である。反応混合物は、反応が完了するまで、典型的には約4〜約40時間、反応温度で保たれる。アルコール副生成物は、反応混合物中に残ってもよく、完了まで反応を進めるのを促進するために反応の間に蒸留又は真空蒸留により取り除いてもよく、或いは反応後に取り除いてもよい。
【0074】
或いは、カルバメート基を有するヒドロキシ化合物は、米国特許第7,164,037号に教示される通りのカルバメート官能性(メタ)アクリルモノマーの製造に用いられる方法と同様の方法を用いて酵素カルバメート交換を介して低沸点アルコールのエステル(通常メチルからプロピルエステル)を有するポリマー材料、オリゴマー材料又は脂肪酸材料に添加される。このアプローチにおいて、ヒドロキシカルバメート化合物が付加される材料は、低沸点アルコールの1個以上のエステル、通常メチル、エチル又はプロピルエステルを含有する。エステル基を有する材料は、上記のように、カルバメート基を有するヒドロキシ化合物の存在下で加熱される。アルコールの除去を促進するために、前記反応は、真空下で行ってもよい。
【0075】
反応培地の酵素含有量は、一般に、用いられる反応物の合計に対して約0.1質量%〜約10質量%の範囲にある。反応時間は、温度、使用する生体触媒の量及び活性、カルバメート官能性材料を形成する所望の転化率、更にカルバメート基を有するヒドロキシ化合物に依存し得る。反応時間は、カルバメート基を有する化合物中に本来存在する全てのヒドロキシル基の転化率が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に好ましくは少なくとも95%であるように、好ましくは適合させる。これのためには、1〜48時間、好ましくは1〜12時間の時間が一般に十分である。任意の低沸点アルコール副生成物を除去するために、反応中に軽度の真空が適用され得る。反応温度は、通常30℃〜120℃であり、上記のようにヒドロキシカルバメートの安定性に基づいて選択される。
【0076】
或いは、2種の基質(エステル基を有する材料及びカルバメート基を有するヒドロキシ化合物)は、溶液中、固体として懸濁液中、水溶液中、有機溶液中、水性連続相と有機不連続相とを有するエマルション中、又は有機連続相と水性不連続相とを有するエマルション中にある。反応物の初濃度は、好ましくは約0.1〜20モル/Lの範囲、特に0.15〜10モル/L、又は0.2〜5モル/Lである。
【0077】
前記反応は、例えば、管型反応器内又は撹拌反応器のカスケード内において、又はバッチ式で、連続的に起きる可能性がある。前記反応は、記載されたような処理に適切な任意の反応器内で行うことができる。この種類の反応器は、当業者に既知である。反応は、好ましくは撹拌槽型反応器内又は固定床反応器内で起きる。反応混合物は、種々の方法により混合され得る。特殊な撹拌機器の必要はない。反応培地は、単相であり得、又は、複数の相を有し、反応物は、その中で溶解、懸濁又は乳化され、適切な場合モレキュラーシーブを伴う反応容器内に導入され、反応の初期、及び必要に応じて反応の経過中に1回以上、生体触媒製造物と混合される。反応中、温度は、所望のレベルに設定され、所望により反応の経過中に上下させることができる。
【0078】
前記反応が固定床反応器内で行われる場合、反応器には好ましくは固定化酵素が詰められ、反応混合物は、酵素が詰められたカラムでポンピングされる。また、流動層内で反応を行うことも可能であり、酵素は、担体上で固定された形態で使用される。滞留時間、それ故所望の転化率が流量を介して制御され得る場合、反応混合物はカラムで連続的にポンピングされ得る。別の可能性は、適切な場合減圧下で蒸留により反応水及び/又は遊離アルコール副生成物を除去することが同時に可能である場合、循環して、カラムで反応混合物をポンピングすることである。
【0079】
エステル交換反応から遊離した反応水又はアルコールの除去は、それ自体既知の方法で、例えば真空、共沸除去、吸収、浸透気化、膜を介した拡散により、連続的に又は徐々に起きる。この目的に適切な手段としては、好ましくはモレキュラーシーブ(例えば、細孔径が約3〜10オングストロームの範囲)、蒸留による分離、適切な半透膜を用いた分離が挙げられる。
【0080】
本方法により製造された反応生成物は、一般に、カルバメート官能性を備えるために材料のペンダント基及び/又は末端エステル基をエステル交換することにより修飾されるポリマー材料、オリゴマー材料又は脂肪酸材料である。多くの場合、材料上の全てのペンダント基及び/又は末端エステル基が、カルバメート基を有するヒドロキシ化合物によりエステル交換されるわけではない。他の場合には、ペンダント基及び/又は末端エステル基の全て又は実質的に全てが修飾される。修飾の程度は、選択された反応物、生体触媒及び他の反応条件(例えば時間、温度、pH、アルコール副生成物の除去)に依存する。また、エステル基を有する材料が多数のブロック(例えばコポリマーやブロックコポリマー)を含む場合、異なるブロックが各々ある点で異なるペンダントエステル基を含有することができるか、或いは、1個以上のブロックがいかなるエステル基も有することができない。ブロックの差は、反復単位の立体化学、ペンダント基又は末端エステル基と主鎖との間のスペーサーの長さ、或いは各ブロックの中の反復単位の間の結合の構造に起因する可能性がある。ブロックの差は、ブロックにおけるペンダント基又は末端エステル基の微分反応度を生じさせるために使用され得る。従って、1個のブロックにおけるペンダントエステル基は、前記材料の中の別のブロックの中のペンダントエステル基よりも大きな程度に反応することができる。
【0081】
本方法の別の利点は、他の側鎖基又は不安定な主鎖基を改変することなくカルバメート基を含むために材料を化学修飾してもよいということである。より具体的には、酵素触媒エステル交換反応を行うことにより、カルバメートを有するヒドロキシ化合物は、相対的に軽度の条件下、例えば適度な温度、pH、溶媒等を用いて、前記材料のペンダント基又は末端エステル基に結合される。従って、化学的に不安定な基は、エステル交換反応の間、相対的に不変のままである。このことが重要であり得る例としては、シリコーン、ホスフェート、カーボネート、又は他の化学的に不安定な基を有する主鎖を有する材料が挙げられる。前記材料にカルバメート官能性を加える従来の方法は、本酵素法が、これらの基の構造を保持するために十分に軽度である場合、該結合を切断することができるか、或いは望ましくない修飾をもたらすことができる。幾つかの場合、かかる化学的に不安定な基は、エステル基を有する材料と反応するカルバメートを有するヒドロキシ化合物上に存在し得る。更に、酵素は、特定の基質又は基質の部分に選択的であってよく、これらの位置でカルバメート官能性を選択的に組み込む。
【0082】
本方法に従って製造されるカルバメート官能性材料は、コーティング組成物に使用され得る。カルバメート官能性材料は、色素性及び/又はクリアコートコーティング組成物に使用され得、基材上に硬化コーティングを形成するために使用され得る。該コーティング組成物は、金属基材、プラスチック基材又は複合物基材を含む自動車用及び工業用の基材をコーティングするために使用され得る。工業用及び自動車用コーティングは、1層トップコート及びベースコート/クリアコート複合コーティングを含む下塗剤又はトップコートであり得る。
【0083】
幾つかの実施形態において、コーティング組成物は熱硬化性である。熱硬化性コーティング組成物としては、好ましくは、ポリマー又は化合物のカルバメート官能性と反応性である硬化剤(即ち架橋剤)が挙げられる。硬化剤は、典型的には2個以上の反応性官能基を有する。反応性官能基としては、カルバメート基と反応性の基を挙げることができる。
【0084】
有用な硬化剤としては、活性メチロール又はメチルアルコキシ基を有する材料(例えばアミノプラスト架橋剤やフェノール/ホルムアルデヒド付加物)が挙げられる。好ましい硬化剤の例としては、限定されないが、メラミンホルムアルデヒド樹脂(モノマー又はポリマーメラミン樹脂や部分的又は完全にアルキル化されたメラミン樹脂を含む)やウレア樹脂(例えば、メチロール尿素(例えば尿素フォルマリン樹脂)、アルコキシ尿素(例えばブチル化尿素フォルマリン樹脂))が挙げられる。硬化剤としては、各種の硬化剤の組み合わせが挙げることができる。メラミンホルムアルデヒド樹脂や尿素ホルムアルデヒド樹脂等のアミノプラスト樹脂がとりわけ好ましい。メラミンホルムアルデヒド樹脂及び/又はブロックイソシアネート硬化剤とのトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンの組み合わせが同様に適切である。
【0085】
幾つかの実施形態において、本発明の開示は、基材をコーティングする方法を提供するものである。本方法に従って製造されるカルバメート官能性材料及び架橋剤を含むコーティング組成物を基材に塗布する。塗布されたコーティング組成物を、次いでカルバメート官能性材料及び架橋剤を反応させることにより硬化させる。
【0086】
エステル基を有する材料とカルバメート基を有するヒドロキシ化合物との間の反応が行われるか、或いは、反応溶媒が蒸留により除去され得、且つ、他の溶媒と置換され得る溶媒及び/又は反応培地を含むことにより、コーティング組成物が製造され得る。一般に、コーティング組成物に使用される溶媒は、任意の有機溶媒及び/又は水であり得る。好ましい一実施形態において、溶媒としては、極性有機溶媒が挙げられる。より好ましくは、溶媒は、極性脂肪族溶剤又は極性芳香族溶剤から選択される。更により好ましくは、溶媒は、ケトン、エステル、アセテート、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシド、非プロトン性アミン、又はこれらのいずれかの組み合わせである。有用な溶媒の例としては、限定されないが、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル−アセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、N−メチルピロリドン、芳香族炭化水素の配合物、及びこれらの混合物が挙げられる。別の好ましい一実施形態において、溶媒は、水、又は小量の共溶媒との水の混合物である。
【0087】
幾つかの実施形態において、溶媒は、反応性希釈剤であり得、本方法に従って形成される生成物であり得る。例えば、二量化された脂肪酸のジカルバメートは、参考として本明細書で援用される米国特許第6,541,594号により開示されるように、コーティングにおける溶媒及び樹脂の両方としての役割を果たすことができる。幾つかの実施形態において、コーティング組成物は、本技術分野で既知のように、溶媒を含まなくてよく、粉末として塗布され得る。
【0088】
コーティング組成物は、本技術分野において周知の多くの手法のいずれかにより、物品上にコーティングされ得る。これらの方法としては、例えば、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング等が挙げられる。自動車用ボディーパネルのために、多くの場合スプレーコーティングが行われる。
【0089】
本発明のコーティング組成物としては、1層色素性トップコート組成物並びにクリアコート及びベースコート2層トップコート組成物を含むトップコート組成物が挙げられる。本発明の樹脂は、水性組成物において利用される場合、塩になり得る基(即ち酸性基又はアミン基)を有するモノマーを含むことができる。
【0090】
更なる剤、例えば、界面活性剤、充填剤、安定剤、湿潤剤、分散剤、付着促進剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、顔料等は、コーティング組成物に組み込まれ得る。該添加剤が先行技術において周知である場合、使用量は、コーティング特性に悪影響を与えることを回避するように制御されなければならない。
【0091】
本発明のコーティング組成物が高光沢の色素性ペイントコーティングとして使用される場合、顔料は、任意の有機又は無機化合物又は着色材料、充填剤、金属性又は他の無機フレーク材料(例えばマイカフレークやアルミニウムフレーク)、通常、該コーティングにおいて本技術分野に含まれる種類のその他の材料であってよい。顔料及び他の不溶性微粒子化合物(例えば充填剤)は、結合剤成分の総固体質量に対して1%〜100%の量(即ち、結合剤に対する顔料の比が0.1〜1.0)で組成物において通常使用される。好ましくは、本発明のコーティング組成物は、顔料を有さないクリアコートコーティング組成物である。
【0092】
本明細書に記載のコーティング組成物は、好ましくは、コーティング層を硬化させるように条件に従属する。各種の硬化方法が使用され得るが、熱硬化が好ましい。一般に、熱硬化は、コーティングされた物品を、主に放射性熱源により提供される高温に曝露することにより行われる。硬化温度は、架橋剤において使用される特定のブロック基に応じて変化するが、一般に90℃〜180℃の範囲である。本発明による第1の化合物は、好ましくは、相対的に低い硬化温度であっても反応性である。従って、好ましい一実施形態において、硬化温度は、ブロック化酸触媒系について、好ましくは115℃〜150℃であり、より好ましくは115℃〜140℃の温度である。非ブロック化酸触媒系について、硬化温度は、好ましくは80℃〜100℃である。硬化時間は、使用する特定の成分及び物理パラメータ(例えば層の厚み)に応じて変化するが、典型的な硬化時間は15〜60分間の範囲であり、好ましくは、ブロック化酸触媒系については15〜25分間、非ブロック化酸触媒系については10〜20分間である。
【0093】
以下の実施例において、本発明を更に記載する。実施例は、単に例証を示すだけであって、いかなる形であれ記載及び請求される通りの本発明の範囲を限定するものではない。全ての部は、特記しない限り質量部である。
【0094】
実施例
実施例1
第1部:
20部のキシレンの溶液を不活性雰囲気下で140℃に加熱する。次いで、26部のビニルメタクリレート、5部のスチレン、25部のブチルアクリレート、9部のシクロヘキサンメタクリレート、5.2部のt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、及び7部のアミルアセテートの混合物を4時間に亘り一定速度で添加する。次いで、2.8部のキシレンを添加する。反応混合物を、140℃で2時間保つ。最終的な樹脂は、ビニル当量が430g/equ(溶液)、NVが約67.6%である。
【0095】
第2部:
実施例1第1部からの100部の樹脂に、50部のヒドロキシエチルカルバメート及び1部のPS−30シュードモナスを添加する。次いで、反応混合物を、不活性雰囲気下で50℃に加熱し、反応が完了する(ヒドロキシエチルカルバメートの減少についてのGC分析によって決定される通り)まで保つ。次いで、蒸留温度を120℃未満に維持して溶媒及び余分なヒドロキシエチルカルバメートを軽度の真空蒸留下で除去する。次いで、30部のアミルアセテートを添加する。最終的な樹脂は、NV含有率が約62%、溶液のカルバメート当量が524g/equである。
【0096】
実施例2
第1部:
120部のキシレン、158部のイソホロンジイソシアネートのホモポリマー、及び0.2部のジブチルスズジラウレートの溶液を不活性雰囲気下で60℃に加熱する。次いで、74部の3−ヒドロキシプロパン酸のエテニルエステルを徐々に添加する。添加の間、反応混合物を80℃に発熱線に供する。反応を80℃に保ち、その後反応が完了するまで赤外分光法を行う。次いで、5部のブタノールを添加する。樹脂は、NV含有率が約65%、溶液のビニル当量が562g/equである。
【0097】
第2部:
この実施例の第1部からの100部の樹脂に、40部のヒドロキシエチルカルバメート及び1部のPS−30シュードモナスを添加する。次いで、反応混合物を、不活性雰囲気下で50℃に加熱し、反応が完了する(ヒドロキシエチルカルバメートの減少についてのGC分析によって決定される通り)まで保つ。次いで、蒸留温度を120℃未満に維持して溶媒及び余分なヒドロキシエチルカルバメートを軽度の真空蒸留下で除去する。最終的な固体材料は、470g/equのカルバメート当量を有する。それは、粉末として使用され得るか、或いは溶媒(例えばアミルアセテート)が減少し得る。
【0098】
実施例3
第1部:
120部のキシレン、158部のイソホロンジイソシアネートのホモポリマー、及び0.2部のジブチルスズジラウレートの溶液を不活性雰囲気下で60℃に加熱する。次いで、67部のメチル−3−ヒドロキシプロパノエートを徐々に添加する。反応温度を70℃未満に維持するために添加速度をモニタする。2−ヒドロキシエチルアクリレートの全てを添加したら、反応が完了する(赤外分光法により決定される通り)まで反応混合物を70℃に維持する。次いで、5部のブタノールを添加する。樹脂は、NVが64%、溶液のメチルエステル当量が543g/equとなる。
【0099】
第2部:
実施例3第1部からの100部の樹脂、44部のヒドロキシプロピルカルバメート、及び2部のNovozym435(Novozymes)を、トラップを備える反応器内で不活性雰囲気下で70℃に加熱する。反応を、70℃で維持し、水の除去及びヒドロキシプロピルカルバメートの消失によりモニタする。反応が完了すると、蒸留温度を120℃未満に維持して軽度の真空蒸留下で余分なヒドロキシプロピルカルバメート及び溶媒を除去する。最終的な固体材料は、466g/equのカルバメート当量を有する。それは、粉末として使用され得るか、或いは溶媒(例えばアミルアセテート)が減少し得る。
【0100】
本発明を、その好ましい実施形態を参照して詳細に記載した。しかしながら、変更及び修飾を、本発明の、そして、以下の請求項の趣旨及び範囲の中で為すことができるということは、理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル基を有する材料とカルバメート基を有するヒドロキシ化合物とを、エステル交換反応を行うことができる生体触媒を用いて反応させて、カルバメート官能性材料及びアルコール副生成物を生成することを含む、カルバメート官能性材料の製造方法であって、エステル基を有する前記材料は、少なくとも約500g/モルの分子量を有する、カルバメート官能性材料の製造方法。
【請求項2】
エステル基を有する前記材料が、複数のエステル基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エステル基を有する前記材料が、1個以上のペンダント基又は末端エステル基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
エステル基を有する前記材料が、オリゴマー、ポリマー又は脂肪酸エステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマーが、ビニルポリマー、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、それらの混合物、及びそれらのコポリマーから成る群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
エステル基を有する前記材料が、ポリイソシアネートとヒドロキシアルカン酸のエテニルエステルとを反応させることにより形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
エステル基を有する前記材料が、式:
【化1】

[式中、
1は、オリゴマー基又はポリマー基であり;及び
2は、C1〜C18アルキル;1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子により、及び/又は、1個以上の置換又は非置換イミノ基により中断されない又は中断されたC2〜C18アルキル;C2〜C18アルケニル;C6〜C12アリール;C5〜C12シクロアルキル;酸素、窒素及び/又は硫黄原子を含有する5〜6員ヘテロ環;又は式:−[Xik−H(式中、kは、1〜50の数であり、Xiは、i=1〜kについて、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−N(H)−、−CH2−CH2−CH2−N(H)−、−CH2−CH(NH2)−、−CH2−CH(NHCHO)−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−及び−CHPh−CH2−O−から成る群から独立して選択され、ここでPhはフェニルを意味し、Vinはビニルを意味する)の基である]を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
エステル基を有する前記材料が、式:
【化2】

[式中、R1は、オリゴマー材料又はポリマー材料である]を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
カルバメート基を有する前記ヒドロキシ化合物が、アミンとカーボネートとを反応させることにより形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
カルバメート基を有する前記ヒドロキシ化合物が、ヒドロキシアルキルカルバメートである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
カルバメート基を有する前記ヒドロキシ化合物が、ヒドロキシメチルカルバメート、ヒドロキシエチルカルバメート、ヒドロキシプロピルカルバメート、ヒドロキシブチルカルバメート、ヒドロキシシクロヘキシルカルバメート又はヒドロキシフェニルカルバメートである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
カルバメート基を有する前記ヒドロキシ化合物が、式:
【化3】

[式中、
3は、C2〜C20アルキレン;C5〜C12シクロアルキレン;或いは1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子により、及び/又は、1個以上の置換又は非置換のイミノ基により、及び/又は、1個以上のシクロアルキル基、−(CO)−基、−O(CO)O−基、−(NH)(CO)O−基、−O(CO)(NH)−基、−O(CO)−基又は−(CO)O−基により中断されたC2〜C20アルキレンであり;
4及びR5は、各々独立して水素;C1〜C18アルキル;1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子により、及び/又は、1個以上の置換又は非置換イミノ基により中断されない又は中断されたC2〜C18アルキル;C2〜C18アルケニル;C6〜C12アリール;C5〜C12シクロアルキル;酸素、窒素及び/又は硫黄原子を含有する5〜6員ヘテロ環;又は式:−[Xik−H(式中、kは、1〜50の数であり、Xiは、i=1〜kについて、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−N(H)−、−CH2−CH2−CH2−N(H)−、−CH2−CH(NH2)−、−CH2−CH(NHCHO)−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−及び−CHPh−CH2−O−から成る群から独立して選択され得、ここでPhはフェニルを意味し、Vinはビニルを意味する)の基である]を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記生体触媒が酵素である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記酵素及びエステル基を有する前記材料が、前記反応工程中、アシル酵素中間体を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酵素がリパーゼである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記生体触媒が固体担体に結合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記反応工程が、水溶液、有機溶液、水性連続相と有機不連続相とを有するエマルション、又は有機連続相と水性不連続相とを有するエマルションを含む反応培地中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記反応工程が、トルエンとテトラヒドロフランとを含む反応培地中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記反応工程中に前記アルコール副生成物を除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記アルコール副生成物の除去が、真空、共沸除去、吸収、浸透気化、又は膜を介した拡散を用いて行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
カルバメート官能性材料及び架橋剤を含むコーティング組成物であって、前記カルバメート官能性材料が、請求項1に記載の方法に従って製造される、コーティング組成物。
【請求項22】
前記架橋剤が、少なくとも2個のカルバメート反応基を含む、請求項21に記載のコーティング組成物。
【請求項23】
前記架橋剤が、アミノプラスト架橋剤を含む、請求項21に記載のコーティング組成物。
【請求項24】
請求項21に記載のコーティング組成物を基材に塗布する段階と、前記塗布されたコーティング組成物を硬化させる段階とを含む基材のコーティング方法であって、前記硬化する段階が、前記カルバメート官能性材料と前記架橋剤とを反応させる段階を含む、基材のコーティング方法。

【公表番号】特表2010−539282(P2010−539282A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524871(P2010−524871)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/010667
【国際公開番号】WO2009/035667
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】