説明

カルバメート誘導体またはその薬理学的に許容される塩

【課題】インスリン分泌促進作用およびそれに伴う血糖低下作用を有する新規なカルバメート誘導体、またはその薬理学的に許容される塩の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
[式中、Aは、下記(a)等で表される基であり(mおよびnは、0、1等であり;
5は、置換されていてもよいC1-6アルコキシカルボニル基等である。);R1は、置換されていてもよいC6-10アリール基等であり;R2a、R2b、RおよびR3bは、各々独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基等であり;pは1、2等であり;qは0等であり;Xは、酸素原子、または硫黄原子であり;Yは、酸素原子等であり;Zは、単結合、酸素原子等である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン分泌促進作用およびそれに伴う血糖低下作用を有する新規な誘導体、またはその薬理学的に許容される塩に関する。更に詳しくは、糖尿病の治療及び/又は予防に有効である新規な前記化合物または前記化合物を含有する新規な医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活習慣の変化から糖尿病の患者は年々増加しており、2025年には3億人を越えるとも予想されている。そのため、糖尿病に関する原因、予防、及び治療に関する研究は精力的になされてきた。糖尿病には主として2つの種類があり、自己免疫疾患などによる膵インスリン分泌機能の低下によって生じるインスリン依存性糖尿病(IDDM)と、持続的な高インスリン分泌に伴う膵疲弊による膵インスリン分泌機能の低下が原因であるインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)とに分けられる。日本人の糖尿病患者の95%以上は、NIDDMと言われており、中程度の症状の患者においては経口糖尿病薬(例えば、スルホニルウレア剤等のインスリン分泌促進剤)の投与が行われ、更に重症の場合は、インスリン製剤の投与がおこなわれている。
【0003】
スルホニルウレア剤は膵β細胞を刺激し内因性インスリン分泌を促進して血糖を低下させ、インスリン製剤はより直接的に確実に血糖値を低下させる。それぞれ有効な治療手段であるが、いずれも投与量及びタイミング次第で低血糖になるおそれがある。そこで、より優れた血糖降下剤が切望されていた。
【0004】
低血糖を惹起する原因は、血糖値と薬物の投与タイミングのバランスによるところが大きい。スルホニルウレア剤およびインスリン製剤は血糖値と関係なく作用することから、血糖が上昇していない場合にも同様に作用し、低血糖にいたる。そこで、血糖依存的に作用をコントロールできれば(すなわち高血糖時にのみ作用すれば)低血糖を惹起しない薬剤となりうる。
【0005】
N−置換−ピペリジニル基を部分構造として有するカルバメート誘導体としては、下記式(A)
【0006】
【化1】

[式中、R1は、水素原子、ハロゲン原子等を表し;R2は、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、−CH22-5アルケニル、−CH22-5アルキニル、フェニルまたはベンジルから選択される基で置換された、オキサジアゾールまたはチアジアゾール環を表し;Xは、NHまたは酸素原子を表し;mは、0、1または2を表し;R3は、C1-6アルキル、ベンジル等を表す。]、下記式(B)
【0007】
【化2】

[式中、R1は、ハロゲン原子、C1-5アルキル、CH2F、CHF2からなる基から選択され;R2は、水素原子、C1-5アルキル、アリール、ハロゲン、ヒドロキシ及びアルコキシからなる基から選択され;R3は、水素原子、C1-5アルキル等からなる基から選択され;R6及びR7は、水素原子、及びC1-4アルキルからなる基から選択されるか、又は一緒になって5〜7員環でもよく;nは、1または2であり;mは、独立して1又は2である。]、及び下記式(C)
【0008】
【化3】

[式中、XはO,NHまたはCH2であり、W、Y、及びZのいずれか一つは窒素原子で他はCH2であり、R1は置換されていてもよいメトキシであり、R2は水素原子であり、R3は水素原子、COOR4等であり、R4は置換されていてもよいC1-8アルキル等、nは0〜2の整数であり、yは0〜2の整数であり、mは0または1である。]で表される化合物が知られている(特許文献1〜3)。
【0009】
しかしながら、本発明の如き構造を有する化合物群に、インスリン分泌促進作用およびそれに伴う血糖低下作用を有することは、これらの文献に記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第98/20071号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/12684号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004/14425号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、インスリン分泌促進作用に基づく血糖低下作用を持ち、かつ低血糖リスクなどの安全性の点でより満足のいく、糖尿病疾患の治療剤又は予防剤として有用な新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、下記式(1)で表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩(以下必要に応じ本発明化合物と略称することがある。)が、インスリン分泌作用をもつことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、以下の通りである。
項1:式(1)で表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0014】
【化4】

【0015】
[式中、Aは、下記(a)〜(d)
【0016】
【化5】

で表されるいずれか一つの基であり(ここにおいてR4は下記
【0017】
【化6】

のいずれか一つの基であり;
mおよびnは、各々独立して0、1または2であり;
5は、シアノ基、置換されていてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシカルボニル基、置換されていてもよい4員〜7員の飽和複素環オキシカルボニル基、置換されていてもよいアミノカルボニル基、置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノカルボニル基、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキルC1-4アルキル基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキルカルボニル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキルC1-4アルキルカルボニル基、置換されていてもよいC7-14アラルキル基、置換されていてもよい5員もしくは6員の単環式ヘテロアリール基、置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリールC1-4アルキル基、または置換されていてもよい5員もしくは6員の単環式ヘテロアリールカルボニル基である。);
1は、置換されていてもよいC6-10アリール基、または置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリール基であり;
2a、R2b、RおよびR3bは、
(i)R2a、R2b、RおよびR3bが、各々独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノ基、または置換されていてもよい4員〜7員の飽和複素環基であるか、
(ii)R2aおよびR2bが、各々独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノ基、または置換されていてもよい4員〜7員の飽和複素環基であり、R3aとR3bが、一緒になってオキソ基であるか、または
(iii)R2aおよびR2bが、一緒になってオキソ基であり、R3aとR3bが、各々独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノ基、または置換されていてもよい4員〜7員の飽和複素環基であり;
pは1、2、3、または4であり(R2aおよびR2bが、一緒になってオキソ基の場合には、pは1に限る。);
qは0、1、2または3であり(R3aとR3bが、一緒になってオキソ基の場合には、qは1に限る。);
Xは、酸素原子、または硫黄原子であり;
Yは、酸素原子、硫黄原子、またはNR6であり(ここにおいて、R6は、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、または置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基である。);
Zは、単結合、ビニレン、エチニレン、酸素原子、硫黄原子、またはNR7である(ここにおいて、R7は、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、または置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基である。)である。但し、式(1)で表される化合物において、R1が、1〜2個のC1-4アルコキシで置換されているフェニルである場合には、Aが式(a)で表される基におけるR5は、C1-6アルコキシカルボニル基、C3-7シクロアルコキシカルボニル基、C1-6アルキルカルボニル基、C3-7シクロアルキルカルボニル基、およびC3-7シクロアルキルC1-4アルキルカルボニル基で表される化合物ではなく、R1が、アミノで置換されているフェニルである場合には、Aが式(a)で表される基におけるR5は、5員もしくは6員の単環式へテロアリール基である化合物ではない。]
【0018】
項2:R1が、
6-10アリール基(該基は、
1:ハロゲン原子、
2:C1-6アルキル基(該基は、
(a)アミノ(該アミノは、
(a1)C1-6アルキル(該アルキルは、
(a11)ヒドロキシ、
(a12)C1-6アルコキシ、
(a13)カルボキシル、
(a14)アミノカルボニル、
(a15)ジ−C1-6アルキルアミノ、
(a16)モノもしくはジ−C1-6アルキルアミノカルボニル、
(a17)C1-6アルキルカルボニルアミノ、
(a18)モノもしくはジ−C1-6アルキルアミノカルボニルアミノ、または
(a19)C1-6アルコキシカルボニルアミノで置換されていてもよい。)、
(a2)C3-7シクロアルキル、
(a3)C3-7シクロアルキルC1-4アルキル、
(a4)5員もしくは6員の飽和複素環(該環は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(a5)5員もしくは6員の飽和複素環−C1-4アルキル、
(a6)5員もしくは6員の単環式へテロアリール、または
(a7)5員もしくは6員の単環式へテロアリール−C1-4アルキルで置換されていてもよい。)、
(b)ヒドロキシ、
(c)4員〜7員の環状アミノ(該環は、
(c1)ヒドロキシ、
(c2)C1-6アルキル(該基は、ヒドロキシまたはC1-6アルコキシで置換されていてもよい。)、
(c3)C1-6アルコキシ、または
(c4)ジ−C1-6アルキルアミノで置換されていてもよい。)、
(d)アミノカルボニル(該アミノは、前記(a1)〜(a7)からなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されていてもよい。)、
(e)C1-6アルコキシ(該基は、
(e1)ヒドロキシ、
(e2)C1-6アルコキシ、
(e3)C3-7シクロアルキル、
(e4)C3-7シクロアルコキシ、
(e5)4員〜6員の飽和複素環(該環は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(e6)4員〜7員の環状アミノ、
(e7)C1-6アルキルカルボニルアミノ、
(e8)ジ−C1-6アルキルアミノ、または
(e9)ジ−C1-6アルキルアミノカルボニルで置換されていてもよい。)、
3:C1-6アルキルスルホニル基(該C1-6アルキル基は、
(a)C3-7シクロアルキル、または
(b)4員〜6員の飽和複素環で置換されていてもよい。)、
4:C3-7シクロアルキルスルホニル基(該基は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
5:4員〜6員の飽和複素環スルホニル基、
6:アミノ基(該アミノは、前記(a1)〜(a7)からなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されている。)、
7:アミノスルホニル基(該アミノは、同種または異種の1〜2個のC1-6アルキル(該アルキルは、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、またはジ−C1-6アルキルアミノで置換されていてもよい。)で置換されていてもよい。)、
8:4員〜7員の環状アミノ基(該環は、前記(c1)〜(c4)で置換されていてもよい。)、
9:アミノカルボニル基(該アミノは、前記(a1)〜(a7)からなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されていてもよい。)、
10:4員〜7員の環状アミノカルボニル基(該環は、前記(c1)〜(c4)で置換されていてもよい。)、
11:カルボキシル基、
12:C1-6アルコキシ基、
13:C1-6アルコキシカルボニル基、
14:C1-6アルキルカルボニルアミノ基、
15:C3-7シクロアルキルカルボニルアミノ基、
16:C3-7シクロアルキルC1-6アルキルカルボニルアミノ基、
17:モノもしくはジ−C1-6アルキルアミノカルボニルアミノ基、
18:C1-6アルコキシカルボニルアミノ基、
19:C6-10アリール基、および
20:5員もしくは6員の単環式へテロアリール基からなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)、
または5員もしくは6員の単環式へテロアリール基(該へテロアリールは、前記C6-10アリール基における前記1〜20からなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)である、項1に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0019】
項3:R1が、
6-10アリール基(該基は、
1:ハロゲン原子、
2:C1-6アルキルスルホニル基、
3:アミノカルボニル基(該アミノは、
(a)C1-6アルキル(該アルキルは、ヒドロキシで置換されていてもよい。)、および
(b)C3-7シクロアルキルからなる群から選択される1〜2個の基で置換されていてもよい。)、
4:4員〜7員の環状アミノカルボニル基、
5:カルボキシル基、または
6:C1-6アルコキシカルボキシル基で置換されていてもよい。)である、項2に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0020】
項4:Aが、下記式(a)
【0021】
【化7】

で表される基である、項1〜項3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0022】
項5:mおよびnが、1である、項4に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0023】
項6:R5が、
1:C1-6アルコキシカルボニル基(該基は、
(a)1〜6個のフッ素原子、
(b)C3-7シクロアルキル(該基は、
(i)C1-6アルキル、
(ii)C3-7シクロアルキル、または
(iii)C3-7シクロアルキルC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、または
(c)4員〜6員の飽和複素環(該基は、
(i)C1-6アルキル、
(ii)C3-7シクロアルキル、または
(iii)C3-7シクロアルキルC1-4アルキルで置換されていてもよい。)で置換されていてもよい。)、
2:C3-7シクロアルコキシカルボニル基(該基は、
(a)C1-6アルキル、
(b)C3-7シクロアルキル、または
(c)C3-7シクロアルキルC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、
3:4員〜6員の飽和複素環オキシカルボニル基(該基は、
(a)C1-6アルキル、
(b)C3-7シクロアルキル、または
(c)C3-7シクロアルキルC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、
4:C1-6アルキルカルボニル基、
5:C3-7シクロアルキルカルボニル基、
6:C3-7シクロアルキルC1-4アルキルカルボニル基、
7:C1-6アルキル基、
8:C3-7シクロアルキル基、
9:C3-7シクロアルキルC1-4アルキル基、
10:C7-14アラルキル基、
11:5員もしくは6員の単環式ヘテロアリール基(該環は、
(a)C1-6アルキル、
(b)C3-7シクロアルキル、および
(c)C3-7シクロアルキルC1-4アルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)、または
12:シアノ基である、項1〜項5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0024】
項7:R5が、
1:C1-6アルコキシカルボニル基(該アルコキシは、1〜6個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
2.C3-7シクロアルコキシカルボニル基(該シクロアルコキシは、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、または
3:5員もしくは6員の単環式ヘテロアリール基(該環は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)である、項6に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0025】
項8:R2a、R2b、RおよびR3bが、各々独立して、水素原子、またはC1-6アルキル基である、項1〜項7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0026】
項9:R2a、R2b、RおよびR3bが、共に水素原子である、項8に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0027】
項10:R2aおよびR2bが、各々独立して、水素原子、またはC1-6アルキル基であり、RおよびR3bが、一緒になってオキソ基である、項1〜項7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0028】
項11:R2aおよびR2bが、共に、水素原子である、項10に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0029】
項12:pが、2、3、または4である、項1〜項11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0030】
項13:pが、2である、項12に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0031】
項14:pが、3である、項12に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0032】
項15:qが0である、項1〜項14のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0033】
項16:Xが、酸素原子である、項1〜項15のいずれか一項に記載の化合物、または薬理学的に許容される塩。
【0034】
項17:Xが、硫黄原子である、項1〜項15のいずれか一項に記載の化合物、または薬理学的に許容される塩。
【0035】
項18:Yが、酸素原子である、項1〜項17のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0036】
項19:Zが、単結合、酸素原子、またはNR7である、項1〜項18のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0037】
項20:Zが、単結合である、項19に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0038】
項21:Zが、酸素原子である、項19に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0039】
項22:Zが、NR7である、項19に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0040】
項23:R7が、C1-6アルキル基である、項22に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0041】
項24:項1〜項23のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【0042】
項25:項1〜項23のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤。
【0043】
項26:項1〜項23のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する高血糖症に起因する疾患の治療剤。
【0044】
項27:高血糖症に起因する疾患が、糖尿病、糖尿病性合併症、肥満症、高インスリン血症、糖代謝異常、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂質代謝異常またはアテローム性動脈硬化症である、項26に記載の治療剤。
【発明の効果】
【0045】
本発明化合物は、インスリン分泌促進作用を有するので、哺乳動物(例えば、ヒト,マウス,イヌ,ラット,ウシなど)に対して安全な糖尿病、耐糖能異常、空腹時血糖異常、糖尿病性合併症(例えば、網膜症、神経障害、腎症など)、肥満症、高インスリン血症、膵炎、慢性肝疾患、先端巨大症、クッシング症候群、褐色細胞腫、グルカゴノーマ、甲状腺機能亢進症などの予防および/または治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
なお、本明細書において、「置換されていてもよい」もしくは「置換されている」で定義される基における置換基の数は、置換可能であれば特に制限はなく、1または複数である。また、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分または置換基である場合にも該当する。
【0047】
本明細書において、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等が挙げられる。好ましくはフッ素原子、または塩素原子である。
【0048】
「C1-6アルキル基」としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基等が挙げられる。具体的には、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、2-メチルプロピル、1-メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、3-メチルブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチルまたは1−メチルペンチル等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基(C1-4アルキル基)が挙げられる。
【0049】
「C3-7シクロアルキル基」としては、例えば、3員〜7員のシクロアルキル基等が挙げられる。具体的には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル等が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜6のシクロアルキル基(C3-6シクロアルキル基)が挙げられる。
【0050】
「C1-6アルコキシ基」としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝状のアルコキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1−メチルエトキシ、ブトキシ、2-メチルプロポキシ、1-メチルプロポキシ、1,1−ジメチルエトキシ、ペンチロキシ、3-メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、1−エチルプロポキシ、1,1−ジメチルプロポキシ、ヘキシロキシ、4−メチルペンチロキシ、3−メチルペンチロキシ、2−メチルペンチロキシ、1−メチルペンチロキシ、3,3−ジメチルブトキシ、2,2−ジメチルブトキシ、1,1−ジメチルブトキシまたは1,2−ジメチルブトキシ等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4のアルコキシ基(C1-4アルコキシ基)が挙げられる。
【0051】
「C3-7シクロアルコキシ基」の「C3-7シクロアルキル」部分は、前記「C3-7シクロアルキル」と同じである。「C3-7シクロアルコキシ基」の具体例としては、例えば、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペンチロキシ、シクロヘキシロキシまたはシクロヘプチロキシ等が挙げられる。好ましくは炭素数3〜6のシクロアルコキシ基(C3-6シクロアルコキシ基)が挙げられる。
【0052】
「C1-6アルコキシカルボニル基」としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝状のアルコキシカルボニル基が挙げられる。具体的には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、2−メチルエトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、2−メチルプロポキシカルボニル、1-メチルプロポキシカルボニルまたは1,1−ジメチルエトキシカルボニル等が挙げられる。
【0053】
「C3-7シクロアルコキシカルボニル基」の「C3-7シクロアルコキシ」部分は、前記「C3-7シクロアルコキシ」と同じである。「C3-7シクロアルコキシ基」の具体例としては、例えば、シクロプロポキシカルボニル、シクロブトキシカルボニル、シクロペンチロキシカルボニル、シクロヘキシロキシカルボニルまたはシクロヘプチロキシカルボニル等が挙げられる。好ましくは炭素数3〜6のシクロアルコキシカルボニル基(C3-6シクロアルコキシカルボニル基)が挙げられる。
【0054】
「C1-6アルキルカルボニル基」の「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同じである。「C1-6アルキルカルボニル基」の具体例としては、例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、1−メチルエチルカルボニル、ブチルカルボニル、2-メチルプロピルカルボニル、1-メチルプロピルカルボニルまたは1,1−ジメチルエチルカルボニル等が挙げられる。
【0055】
「C3-7シクロアルキルカルボニル基」の「C3-7シクロアルキル」部分は、前記「C3-7シクロ」と同じである。「C3-7シクロアルキルカルボニル基」の具体例としては、例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニルまたはシクロヘプチルカルボニル等が挙げられる。好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキルカルボニル基(C3-6シクロアルキルカルボニル基)が挙げられる。
【0056】
「C1-6アルキルカルボニルオキシ基」の「C1-6アルキルカルボニル」部分は、前記「C1-6アルキルカルボニル」と同じである。「C1-6アルキルカルボニルオキシ基」の具体例としては、例えば、メチルカルボニルオキシ等が挙げられる。
【0057】
「C1-6アルキルスルホニル基」の「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同じである。「C1-6アルキルスルホニル基」の具体例としては、例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、プロピルスルホニル、1-メチルエチルスルホニル、2-メチルエチルスルホニル、1-メチルプロピルスルホニル、2-メチルプロピルスルホニル、1,1−ジメチルエチルスルホニルまたはブチルスルホニル等が挙げられる。
【0058】
「C3-7シクロアルキルスルホニル基」の「C3-7シクロアルキル」部分は、前記「C3-7シクロアルキル」と同じである。「C3-7シクロアルキルスルホニル基」の具体例としては、例えば、シクロプロピルスルホニル、シクロブチルスルホニル、シクロペンチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニルまたはシクロヘプチルスルホニル等が挙げられる。好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキルスルホニル基(C3-6シクロアルキルスルホニル基)が挙げられる。
【0059】
「C3-7シクロアルキルC1-4アルキル基」は、前記「C3-7シクロアルキル」が「C1-4アルキル」に置換した基を意味する。「C3-7シクロアルキルC1-4アルキル基」の具体例としては、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルスメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピルまたはシクロヘキシルブチル等が挙げられる。好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキルC1-4アルキル基(C3-6シクロアルキルC1-4アルキル基)が挙げられる。
【0060】
「C6-10アリール基」としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基等が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチル等が挙げられる。
【0061】
前記「C6-10アリール基」には、「C6アリール」と5員もしくは6員の窒素原子、硫黄原子または酸素原子から選ばれるヘテロ原子を同じまたは異なって1個以上(例えば1〜4個)含有する環、または5員〜6員のシクロアルキル環(シクロペンタン、またはシクロヘキサン)と縮環した基も包含される。該基の具体例としては、例えば、下記式で表される基等が挙げられる。
【0062】
【化8】

【0063】
但し、縮環するC6-10アリール基の場合には、芳香環のみが「基」の結合手を有する。例えば、下記式
【0064】
【化9】

で表される「C6-10アリール基」の場合には、「基」が4−、5−、6−、または7−位で結合することを意味する。
【0065】
「ヘテロアリール基」としては、例えば、5員〜10員の単環式もしくは多環式の基等が挙げられ、該基は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子から選ばれるヘテロ原子を同種または異なって1個以上(例えば1〜4個)を含む。好ましくは、例えば、5員もしくは6員の単環式の基等が挙げられ、該基は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個含む。「ヘテロアリール基」の具体例としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0066】
【化10】

【0067】
前記式において環を横切る結合手は、「基」が該環における置換可能な位置で結合することを意味する。例えば、下記式
【0068】
【化11】

のヘテロアリール基の場合には、2−フリル基、または3−フリル基であることを意味する。
【0069】
更に、「ヘテロアリール基」が多環式の基である場合において、例えば、下記式
【0070】
【化12】

で表される場合には、2−ベンゾフリル、または3−ベンゾフリルの他に、4−、5−、6−または7−ベンゾフリルであってもよい。但し、芳香環と非芳香族環(ピペリジンなど)とが縮環する多環式へテロアリール基の場合には、芳香環のみが「基」の結合手を有する。例えば、下記式
【0071】
【化13】

で表される「多環式のヘテロアリール基」の場合には、「基」が2−、3−、または4−位で結合することを意味する。
【0072】
「飽和複素環基」としては、例えば、0〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子及び0〜1個の硫黄原子から選択される、1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜7員の飽和複素環基等が挙げられる。該基は、環を構成する炭素原子が、「基」の結合手となる。具体的には、例えば、アゼチジニル、オキセタニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、ピロリジニル、オキソピロリジニル、オキソピぺリジニル、オキソピペラジニル、オキソモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキソイミダゾリジニル、テトラヒドロトリアゾロアゼピニル、オキソジヒドロアクリジニル、テトラヒドロシクロペンタクロメニル、オキソベンゾキサチオリル、ジヒドロインデニル、アゼパニルまたはオキソアゼパニル等が挙げられる。
【0073】
「C7-14アラルキル基」は、「C6-10アリール基」が「C1-4アルキル基」に置換した基を意味する。好ましくは、炭素数7〜10のアラルキル基(C7-10アラルキル基)が挙げられる。具体例としては、例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピルまたはナフチルメチル等が挙げられる。
【0074】
「ヘテロアリールC1-4アルキル基」は、「ヘテロアリール基」が「C1-4アルキル基」に置換した基を意味する。好ましくは、5員もしくは6員の単環式ヘテロアリールC1-4アルキル基である。具体例としては、例えば、ピロリルメチル等が挙げられる。
【0075】
「飽和複素環−C1-4アルキル基」としては、「飽和複素環基」が「C1-4アルキル基」に置換した基を意味する。好ましくは、4員〜7員の飽和複素環−C1-4アルキル基である。具体例としては、例えば、アゼチジニルメチル等が挙げられる。
【0076】
「飽和複素環カルボニル基」の「飽和複素環」部分は、前記「飽和複素環」と同じである。「飽和複素環カルボニル基」の具体例としては、例えば、4員〜7員の飽和複素環カルボニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、テトラヒドロピランカルボニル等が挙げられる。
【0077】
「飽和複素環スルホニル基」の「飽和複素環」部分は、前記「飽和複素環」と同じである。「飽和複素環スルホニル基」の具体例としては、例えば、4員〜7員の飽和複素環スルホニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、テトラヒドロピランスルホニル等が挙げられる。
【0078】
「C3-7シクロアルキルC1-4アルキルカルボニル基」の「C3-7シクロアルキル」部分は、前記「C3-7シクロアルキル」と同じである。好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキルC1-4アルキル基(C3-6シクロアルキルC1-4アルキル基)である。「C3-7シクロアルキルC1-4アルキルカルボニル基」の具体例としては、例えば、シクロプロピルメチルカルボニル等が挙げられる。
【0079】
「ヘテロアリールカルボニル基」の「ヘテロアリール」部分は、前記「ヘテロアリール」と同じである。「ヘテロアリールカルボニル基」の具体例としては、例えば、5員もしくは6員の単環式ヘテロアリールカルボニル基である。具体例としては、例えば、ピロールカルボニル等が挙げられる。
【0080】
「C6-10アリールオキシ基」の「C6-10アリール」部分は、前記「C6-10アリール」と同じである。「C6-10アリールオキシ基」の具体例としては、例えば、フェニルオキシ等が挙げられる。
【0081】
「C7-14アラルキルオキシ基」は、「C7-14アラルキル基」が酸素原子に置換した基を意味する。好ましくは、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基(C7-10アラルキルオキシ基)である。具体例としては、例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、フェニルプロピルオキシまたはナフチルメチルオキシ等が挙げられる。
【0082】
「ヘテロアリールオキシ基」の「ヘテロアリール」部分は、前記「ヘテロアリール基」が酸素原子に置換した基を意味する。具体例としては、例えば、ピロリルオキシ等が挙げられる。
【0083】
「飽和複素環オキシ基」としては、前記「飽和複素環基」が酸素原子に置換した基を意味する。好ましくは、「4員〜7員の飽和複素環オキシ基」である。具体例としては、例えば、テトラヒドロピラニルオキシ等が挙げられる。
【0084】
「飽和複素環オキシカルボニル基」の「飽和複素環オキシ」部分は、前記「飽和複素環オキシ」と同じである。好ましくは、「4員〜7員の飽和複素環オキシカルボニル基」である。具体例としては、例えば、テトラヒドロピラニルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0085】
「置換されていてもよいアミノ基」としては、例えば、アミノ、モノ−もしくはジ−置換されたアミノ、4員〜7員環の環状アミノが挙げられる。
【0086】
「モノ−もしくはジ−置換されたアミノ」の置換基としては、例えば、「C1-6アルキル」、「C3-7シクロアルキル」、「C3-7シクロアルキルC1-4アルキル」、「4員〜7員の飽和複素環」、「4員〜7員の飽和複素環−C1-4アルキル」、「C6-10アリール」、「C7-14アラルキル」、「5員もしくは6員の単環式へテロアリール」、および「5員もしくは6員の単環式へテロアリールC1-4アルキル」からなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基が挙げられる。
【0087】
「モノ−置換されたアミノ」の具体例としては、例えば、
「モノ−C1-6アルキルアミノ」(例えば、メチルアミノ等)、
「C3-7シクロアルキルアミノ」(例えば、シクロプロピルアミノ等)、
「(C3-7シクロアルキルC1-4アルキル)アミノ」(例えば、シクロプロピルメチルアミノ等)、
「4員〜7員の飽和複素環−アミノ」(例えば、テトラヒドロピラニルアミノ等)、
「(4員〜7員の飽和複素環−C1-4アルキル)アミノ」(例えば、テトラヒドロピラニルメチルアミノ等)、
「(C6-10アリール)アミノ」(例えば、フェニルアミノ等)、
「(C7-14アラルキル)アミノ」(例えば、ベンジルアミノ等)、
「(5員もしくは6員の単環式へテロアリール)アミノ」(例えば、ピロリルアミノ等)、
「(5員もしくは6員の単環式へテロアリールC1-4アルキル)アミノ」(例えば、ピロリルメチルアミノ等)が挙げられる。
【0088】
「ジ−置換されたアミノ」の具体例としては、例えば、
「ジ−C1-6アルキルアミノ」(例えば、ジメチルアミノ等)、
「N−(C1-6アルキル)−N−(C3-7シクロアルキル)アミノ」(例えば、メチルシクロプロピルアミノ等)、
「N−(C1-6アルキル)−N−(5員もしくは6員の飽和複素環)アミノ」(例えば、メチルテトラヒドロピラニルアミノ等)等が挙げられる。
【0089】
「4員〜7員の環状アミノ基」としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同種または異種のヘテロ原子を1〜3個有する4員〜7員の単環式環状アミノ基が挙げられる。該基は、環を構成する窒素原子が、「基」の結合手となる。具体例としては、例えば、アゼチジノ、ピロリジノ、イミダゾリジノ、オキサゾリジノ、チアゾリジノ、ピペラジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、アゼパノまたはオキソアゼパノ等が挙げられる。
【0090】
「4員〜7員の環状アミノ基」は、6員の芳香族炭化水素と5員もしくは6員の複素環と縮合環を形成してもよい。具体例としては、下記で表される「基」等が挙げられる。
【0091】
【化14】

【0092】
「モノ−C1-6アルキルアミノカルボニル基」の「モノ−C1-6アルキルアミノ」部分は、前記「モノ−C1-6アルキルアミノ」と同じである。「C1-6アルキルアミノカルボニル基」の具体例としては、例えば、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、1−メチルエチルアミノカルボニル、ブチルアミノカルボニル、2-メチルプロピルアミノカルボニル、1-メチルプロピルアミノカルボニルまたは1,1−ジメチルエチルアミノカルボニル等が挙げられる。
【0093】
「ジ−C1-6アルキルアミノカルボニル基」の「ジ−C1-6アルキルアミノ」部分は、前記「ジ−C1-6アルキルアミノ」と同じである。「ジ−C1-6アルキルアミノカルボニル基」の具体例としては、例えば、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジプロピルアミノカルボニル、ジ−1−メチルエチルアミノカルボニル、ジブチルアミノカルボニル、ジ−2-メチルプロピルアミノカルボニル、ジ−1-メチルプロピルアミノカルボニルまたはジ−1,1−ジメチルエチルアミノカルボニル等が挙げられる。
【0094】
「モノ−C1-6アルキルアミノカルボニルアミノ基」の「モノ−C1-6アルキルアミノ」部分は、前記「モノ−C1-6アルキルアミノ」と同じである。「C1-6アルキルアミノカルボニルアミノ基」の具体例としては、例えば、メチルアミノカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0095】
「ジ−C1-6アルキルアミノカルボニルアミノ基」の「ジ−C1-6アルキルアミノ」部分は、前記「ジ−C1-6アルキルアミノ」と同じである。「ジ−C1-6アルキルアミノカルボニルアミノ基」の具体例としては、例えば、ジメチルアミノカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0096】
「モノ−C1-6アルキルアミノスルホニル基」の「モノ−C1-6アルキルアミノ」部分は、前記「モノ−C1-6アルキルアミノ」と同じである。「C1-6アルキルアミノスルホニル基」の具体例としては、例えば、メチルアミノスルホニル等が挙げられる。
【0097】
「ジ−C1-6アルキルアミノスルホニル基」の「ジ−C1-6アルキルアミノ」部分は、前記「ジ−C1-6アルキルアミノ」と同じである。「ジ−C1-6アルキルアミノスルホニル基」の具体例としては、例えば、ジメチルアミノスルホニル等が挙げられる。
【0098】
「モノ−C1-6アルキルアミノスルホニルアミノ基」の「モノ−C1-6アルキルアミノ」部分は、前記「モノ−C1-6アルキルアミノ」と同じである。「C1-6アルキルアミノスルホニルアミノ基」の具体例としては、例えば、メチルアミノスルホニルアミノ等が挙げられる。
【0099】
「ジ−C1-6アルキルアミノスルホニルアミノ基」の「ジ−C1-6アルキルアミノ」部分は、前記「ジ−C1-6アルキルアミノ」と同じである。「ジ−C1-6アルキルアミノスルホニルアミノ基」の具体例としては、例えば、ジメチルアミノスルホニルアミノ等が挙げられる。
【0100】
「4員〜7員の環状アミノカルボニル基」の「4員〜7員の環状アミノ」部分は、前記「4員〜7員の環状アミノ」と同じである。「4員〜7員の環状アミノカルボニル基」としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同種または異種のヘテロ原子を1〜3個有する4員〜7員の単環式環状アミノカルボニル基が挙げられる。具体例としては、例えばアゼチジノカルボニル、モルホリノカルボニル等が挙げられる。
【0101】
「C1-6アルキルカルボニルアミノ基」の「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同じである。好ましくは、炭素数1〜4のアルキルカルボニルアミノ基(C1-4アルキルカルボニルアミノ基)である。「C1-6アルキルカルボニルアミノ基」としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝状のアルキルカルボニルアミノ基等が挙げられる。具体的には、メチルカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0102】
「C3-7シクロアルキルカルボニルアミノ基」の「C3-7シクロアルキル」部分は、前記「C3-7シクロアルキル」と同じである。好ましくは、炭素数3〜6のシクロアルキルカルボニルアミノ基(C3-6シクロアルキルカルボニルアミノ基)である。具体的には、例えば、シクロプロピルカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0103】
「飽和複素環カルボニルアミノ基」の「飽和複素環」部分は、前記「飽和複素環」と同じである。「飽和複素環カルボニルアミノ基」の具体例としては、例えば、4員〜7員の飽和複素環カルボニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、アゼチジンカルボニルアミノ等が挙げられる
【0104】
「C3-7シクロアルキルC1-4アルキルカルボニルアミノ基」の「C3-7シクロアルキル」部分は、前記「C3-7シクロアルキル」と同じである。好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキルC1-4アルキルアミノ基(C3-6シクロアルキルC1-4アルキルアミノ基)である。具体例としては、例えば、シクロプロピルメチルカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0105】
「ヘテロアリールカルボニルアミノ基」の「ヘテロアリール」部分は、前記「ヘテロアリール」と同じである。「ヘテロアリールカルボニルアミノ基」の具体例としては、例えば、5員もしくは6員の単環式ヘテロアリールカルボニルアミノ基である。具体例としては、例えば、ピロールカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0106】
「C1-6アルコキシカルボニルアミノ基」の「C1-6アルコキシ」部分は、前記「C1-6アルコキシ」と同じである。「C1-6アルコキシカルボニルアミノ基」としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝状のアルコキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。具体的には、例えば、メトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0107】
「置換されていてもよいC1-6アルキル基」における置換基としては、例えば、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)ヒドロキシ基、
(d)ホルミル基、
(e)C1-6アルキルカルボニル基、
(f)C1-6アルキルカルボニルオキシ基、
(g)カルボキシル基、
(h)アミノ(該アミノは、
(h1)C1-6アルキル(該アルキルは、
(h11)ヒドロキシ、
(h12)C1-6アルコキシ、
(h13)カルボキシル、
(h14)アミノカルボニル、
(h15)ジ−C1-6アルキルアミノ、
(h16)モノもしくはジ−C1-6アルキルアミノカルボニル、
(h17)C1-6アルキルカルボニルアミノ、
(h18)モノもしくはジ−C1-6アルキルアミノカルボニルアミノ、または
(h19)C1-6アルコキシカルボニルアミノで置換されていてもよい。)、
(h2)C3-7シクロアルキル(該環は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(h3)C3-7シクロアルキルC1-4アルキル、
(h4)4員〜7員の飽和複素環(該環は、ハロゲン原子、またはC1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(h5)4員〜7員の飽和複素環−C1-4アルキル、
(h6)C6-10アリール(該環は、ハロゲン原子、C1-6アルキルまたはC1-6アルコキシで置換されていてもよい。)、
(h7)C7-14アラルキル(該環は、ハロゲン原子、C1-6アルキルまたはC1-6アルコキシで置換されていてもよい。)、
(h8)5員もしくは6員の単環式へテロアリール(該環は、ハロゲン原子、またはC1-6アルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)、および
(h9)5員もしくは6員の単環式へテロアリールC1-4アルキル(該環は、ハロゲン原子、またはC1-6アルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)からなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されていてもよい。)、
(i)4員〜7員の環状アミノ(該環は、
(i1)ハロゲン原子、
(i2)ヒドロキシ、
(i3)C1-6アルキル(該基は、ヒドロキシまたはC1-6アルコキシで置換されていてもよい。)、
(i4)C1-6アルコキシ、
(i5)アミノ(該基は、1〜2個のC1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
で置換されていてもよい。)、
(i6)シアノ、
(i7)アミノカルボニル(該基は、1〜2個のC1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(i7)C1-6アルキルカルボニル、
(i8)C1-6アルキルカルボニルアミノ、または
(i9)C1-6アルキルスルホニルアミノで置換されていてもよい。)、
(j)C1-6アルコキシ(該基は、
(j01)ヒドロキシ、
(j02)C1-6アルコキシ、
(j03)C3-7シクロアルコキシ、
(j04)4員〜7員の飽和複素環(該環は、ハロゲン原子、またはC1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(j05)4員〜7員の環状アミノ(該環は、前記(i1)〜(i9)で置換されていてもよい。)、
(j06)4員〜7員の環状アミノカルボニル(該環は、前記(i1)〜(i9)で置換されていてもよい。)、
(j07)C6-10アリール基(該基は、ハロゲン原子、C1-4アルキル、またはC1-4アルコキシで置換されていてもよい。)、
(j08)C1-6アルキルカルボニルアミノ基、
(j09)モノ−もしくはジ−C1-6アルキルアミノ、
(j10)モノ−もしくはジ−C1-6アルキルアミノカルボニル、
(j11)ハロゲン原子、または
(j12)C3-7シクロアルキルで置換されていてもよい。)、
(k)C3-7シクロアルコキシ基(該環は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(l)C6-10アリール基(該基は、ハロゲン原子、C1-4アルキル、またはC1-4アルコキシで置換されていてもよい。)、
(m)4員〜7員の飽和複素環(前記(i1)〜(i9)で置換されていてもよい。)、
(n)置換されていてもよいアミノカルボニル基、
(o)置換されていてもよいアミノスルホニル基、
(p)置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基、
(q)C6-10アリールオキシ基(該基は、ハロゲン原子、C1-4アルキル、またはC1-4アルコキシで置換されていてもよい。)、
(r)C7-14アラルキルオキシ基、
(s)5員もしくは6員の単環式へテロアリールオキシ基(該環は、ハロゲン原子、またはC1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(t)4員〜7員の飽和複素環オキシ基(該環は、ハロゲン原子、またはC1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(u)C1-6アルキルスルホニル基、
(v)C1-6アルキルカルボニルアミノ基、
(w)C1-6アルコキシカルボニル基、
(x)C1-6アルキルスルホニルアミノ基、
(y)C1-6アルコキシカルボニルアミノ基
(z)モノ−もしくはジ−C1-6アルキルアミノカルボニルアミノ基、または
(aa)モノ−もしくはジ−C1-6アルキルアミノスルホニルアミノ基などが挙げられる。
【0108】
「置換されていてもよいアミノカルボニル基」、「置換されていてもよいアミノスルホニル基」、および「置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基」において、「置換されていてもよいアミノ」は、モノ−置換されたアミノ基、またはジ−置換されたアミノ基を意味する。モノ−もしくはジ−置換されたアミノの置換基は、前掲の置換基(h1)〜(h9)と同じである。「置換されていてもよいアミノ」部分の具体例としては、前掲の「モノ−置換されたアミノ」および「ジ−置換されたアミノ」と同じである。
【0109】
「置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基」、「置換されていてもよいC1-6アルコキシ基」、および「置換されていてもよいC1-6アルコキシカルボニル基」における置換基としては、例えば、前記(a)〜(aa)からなる群から選択される1個の基等が挙げられる。
【0110】
「置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基」、「置換されていてもよいC3-7シクロアルキルC1-4アルキル基」、「置換されていてもよいC3-7シクロアルキルカルボニル基」、「置換されていてもよいC3-7シクロアルキルC1-4アルキルカルボニル基」、「置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシ基」、「置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシカルボニル基」、「置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノ基」、「置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノカルボニル基」、「置換されていてもよい4員〜7員の飽和複素環基」、および「置換されていてもよい4員〜7員の飽和複素環オキシカルボニル基」における置換基としては、例えば、前記「置換されていてもよいC1-6アルキル基」および前記(a)〜(aa)からなる群から選択される1個の基等が挙げられる。
【0111】
「置換されていてもよいC6-10アリール基」および「置換されていてもよいC7-14アラルキル基」のアリール部分の置換基としては、例えば、
(a2)ハロゲン原子、
(b2)シアノ基、
(c2)C1-6アルキル基、
(d2)C1-6アルキルスルホニル基(該基は、
(d21)ハロゲン原子、
(d22)ヒドロキシ、
(d23)C1-6アルコキシ、
(d24)C3-7シクロアルキル、
(d25)C3-7シクロアルコキシ、
(d26)ジ−C1-6アルキルアミノ、
(d27)4員〜7員の環状アミノ、または
(d28)4員〜7員の飽和複素環で置換されていてもよい。)、
(e2)C3-7シクロアルキルスルホニル基(該基は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(f2)4員〜7員の飽和複素環スルホニル基(該環は、ハロゲン原子、またはC1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(g2)アミノ基(該アミノは、前記(h1)〜(h9)からなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されている。)、
(h2)アミノスルホニル基(該アミノは、同種または異種の1〜2個のC1-6アルキル基(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、またはジ−C1-6アルキルアミノで置換されていてもよい。)で置換されていてもよい。)、
(i2)4員〜7員の環状アミノ基(該環は、前記(i1)〜(i9)で置換されていてもよい。)、
(j2)アミノカルボニル基(該アミノは、前記(h11)〜(h19)からなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されていてもよい。)、
(k2)4員〜7員の環状アミノカルボニル基(該環は、前記(i1)〜(i9)で置換されていてもよい。)、
(l2)4員〜7員の飽和複素環(該環は、前記(i1)〜(i9)で置換されていてもよい。)、
(m2)カルボキシル基、
(n2)C1-6アルコキシ基(該基は、前記(j01)〜(j12)で置換されていてもよい。)、
(o2)C1-6シクロアルコキシ基、
(p2)4員〜7員の飽和複素環オキシ基(該環は、前記(i1)〜(i9)で置換されていてもよい。)、
(q2)C7-14アラルキルオキシ基、
(r2)C1-6アルコキシカルボニル基(該基は、前記(j01)〜(j12)で置換されていてもよい。)、
(s2)C1-6アルキルカルボニルアミノ基(該アミノは、C1-6アルキルで置換されていてもよく、該アルキルは、前記(d21)〜(d28)で置換されていてもよい。)、
(t2)C3-7シクロアルキルカルボニルアミノ基(該アミノは、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(u2)C3-7シクロアルキルC1-4アルキルカルボニルアミノ基(該アミノは、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(v2)5員もしくは6員の単環式へテロアリールカルボニルアミノ基(該アミノは、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(w2)4員〜7員の飽和複素環カルボニルアミノ基(該アミノは、C1-6アルキルで置換されていてもよく、該環は、前記(i1)〜(i9)で置換されていてもよい。)、
(x2)モノもしくはジ−C1-6アルキルアミノカルボニルアミノ基(該アミノは、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(y2)C1-6アルコキシカルボニルアミノ基(該アミノは、C1-6アルキルで置換されていてもよく、該アルコキシは、前記(j01)〜(j12)で置換されていてもよい。)、
(z2)C6-10アリール基、および
(aa2)5員もしくは6員の単環式へテロアリール基等が挙げられる。
【0112】
「置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリール基」、ならびに「置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリールC1-4アルキル基」および「置換されていてもよい5員もしくは6員の単環式ヘテロアリールカルボニル基」のヘテロアリール部分の置換基としては、例えば、前記(a2)〜(aa2)からなる群から選択される同種または異種の基などが挙げられる。
【0113】
式(1)で表される化合物において、各々のR2aおよびR2b、またはRおよびR3bは、独立する。すなわち、例えば、pが2の場合には、下記式
【0114】
【化15】

で表されるC1およびC2に置換した各々のR2aおよびR2bは独立する。従って、C1におけるR2aおよびR2bならびにC2におけるR2aおよびR2bは独立するので、下記式
【0115】
【化16】

で表される化合物も包含される。また、qが2の場合も、各々のR3aおよびR3bは独立する。
【0116】
式(1)で表される化合物において、R2aおよびR2b、またはR3aおよびR3bが、一緒になってオキソ基であるとは、下記式
【0117】
【化17】

で表される基を意味する(式中の定義は、項1と同じである。)。
【0118】
本発明の好ましい態様について、更に説明する。
Aは、下記式(a)
【0119】
【化18】

で表される基が好ましく、mおよびnは1が好ましい。
【0120】
5は、
1:C1-6アルコキシカルボニル基(該アルコキシは、1〜6個のハロゲン原子で置換されていてもよい。)、
2:C3-7シクロアルコキシカルボニル基(該シクロアルコキシは、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、または
3:5員もしくは6員の単環式ヘテロアリール基(該環は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)が好ましい。
【0121】
1は、C6-10アリール基(該基は、
1:ハロゲン原子、
2:C1-6アルキルスルホニル基、
3:アミノカルボニル基(該アミノは、
(a)C1-6アルキル(該アルキルは、ヒドロキシで置換されていてもよい。)、または
(b)C3-7シクロアルキルで置換されていてもよい。)、または
4:4員〜7員の環状アミノカルボニル基で置換されていてもよい)が好ましい。
【0122】
2aおよびR2bは、R2aが水素原子であり、R2bが水素原子、またはC1-6アルキル基が好ましい。
【0123】
pおよびqは、
pが4であり、qが0であるか、
pが3であり、qが0であるか、または
pが2であり、qが0が好ましい。
【0124】
Zは、単結合、酸素原子、またはNR7が好ましい。
【0125】
7は、C1-6アルキル基が好ましい。
【0126】
Xは、酸素原子、または硫黄原子が好ましい。
【0127】
Yは、酸素原子が好ましい。
【0128】
「薬理学的に許容される塩」としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。例えば、酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、またはパラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩等が挙げられ、さらにはアルギニン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸などの塩基性あるいは酸性アミノ酸といったアミノ酸塩が挙げられる。
【0129】
また、本発明には、式(1)で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその薬学上許容される塩が含まれる。また、これらの水和物またはエタノール溶媒和物等の溶媒和物も含まれる。さらに、本発明には、本発明化合物(1)のあらゆる互変異性体、存在するあらゆる立体異性体、およびあらゆる態様の結晶形のものも包含している。
【0130】
本明細書における「式(1)の化合物のプロドラッグ」なる用語は、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により式(1)の化合物に変換する化合物、例えば、酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして式(1)の化合物に変化する化合物;胃酸等により加水分解を起こして式(1)の化合物に変化する化合物を意味する。
【0131】
本発明化合物は、少なくとも一つの不斉炭素原子を有する場合もあり得る。従って、本発明は、本発明化合物のラセミ体のみならず、これらの化合物の光学活性体も包含する。本発明の化合物が、2個以上の不斉炭素原子を有する場合、立体異性を生じる場合がある。従って、本発明は、これらの化合物の立体異性体およびその混合物も包含する。
【0132】
以下に、本発明における式(1)で表される化合物の製造法について、例を挙げて説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。
【0133】
式(1)で表される化合物は公知化合物から公知の合成方法を組み合わせることにより合成することができる。例えば、次の方法により合成できる。
【0134】
製造法1:式(1a)で表される化合物またはその塩は、例えば、以下の反応式に従って製造することができる。
【0135】
【化19】

[式中、A、X、Y、Z、R1、R2a、R2b、R3a、R3b、pおよびqは項1の記載と同じである。]
【0136】
化合物(A−2)は、化合物(A−1)に対し、不活性溶媒中、塩基の存在下もしくは非存在下、4−ニトロフェニルクロロホルメートを反応させることにより製造することができる。好ましい塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはジメチルアミノピリジン等が挙げられる。塩基の使用量としては、例えば化合物(A−1)に対して、通常1当量〜5当量の範囲が挙げられる。また4−ニトロフェニルクロロホルメートの使用量としては、例えば化合物(A−1)に対して、通常1当量〜5当量の範囲が挙げられる。不活性溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルムまたはテトラヒドロフラン等が挙げられる。反応温度としては、例えば約0℃〜溶媒の沸点までの範囲から選択される。
【0137】
工程2:
式(1a)は、化合物(A−2)に対し、不活性溶媒中、塩基存在下、化合物(A−4)を反応させることにより製造することができる。好ましい塩基としては、例えばt−ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。塩基の使用量としては、例えば化合物(A−2)に対して、通常1当量〜5当量の範囲が挙げられる。不活性溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。反応温度としては、例えば約0℃〜約130℃の範囲から選択される。
【0138】
工程3:
化合物(A−3)は、化合物(A−1)に対し、不活性溶媒中、塩基の存在下もしくは非存在下、トリホスゲンを反応させることにより製造することができる。好ましい塩基としては、例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。塩基の使用量としては、例えば化合物(A−1)に対して、通常1当量〜10当量の範囲が挙げられる。またトリホスゲンの使用量としては、例えば化合物(A−1)に対して、通常1当量〜5当量の範囲が挙げられる。不活性溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエンまたは酢酸エチル等が挙げられる。反応温度としては、例えば約0℃〜溶媒の沸点の範囲から選択される。
【0139】
工程4:
式(1a)は、化合物(A−3)に対し、不活性溶媒中、塩基存在下、化合物(A−4)を反応させることにより製造することができる。好ましい塩基としては、例えばt−ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。塩基の使用量としては、例えば化合物(A−3)に対して、通常1当量〜5当量の範囲が挙げられる。不活性溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。反応温度としては、例えば約0℃〜約130℃の範囲から選択される。
【0140】
本発明の式(1)の化合物において、1つ以上の不斉点がある場合、通常の方法に従って、その不斉点を有する原料を用いるか、または途中の段階で不斉を導入することにより製造することができる。例えば、光学異性体の場合、光学活性な原料を用いるか、製造工程の適当な段階で光学分割などを行うことで得ることができる。光学分割法として例えば、式(1)の化合物もしくはその中間体を不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、もしくは2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の炭化水素系溶媒、またはアセトニトリル等の非プロトン系溶媒、及びこれらの混合溶媒)、光学活性な酸(例えば、マンデル酸、 N−ベンジルオキシアラニン 、もしくは乳酸等のモノカルボン酸、酒石酸、o−ジイソプロピリデン酒石酸もしくはリンゴ酸等のジカルボン酸、またはカンファースルフォン酸もしくはブロモカンファースルフォン酸等のスルホン酸)と塩を形成させるジアステレオマー法により行うことができる。
【0141】
式(1)の化合物もしくはその中間体がカルボキシ基等の酸性官能基を有する場合は、光学活性なアミン(例えばα−フェネチルアミン、キニン、キニジン、シンコニジン、シンコニン、ストリキニーネ等の有機アミン)と塩を形成させることにより行うこともできる。
【0142】
塩を形成させる温度としては、室温から溶媒の沸点までの範囲から選択される。光学純度を向上させるためには、一旦、溶媒の沸点付近まで温度を上げることが望ましい。析出した塩を濾取する際、必要に応じて冷却し収率を向上させることができる。光学活性な酸、またはアミンの使用量は、基質に対し約0.5〜約2.0当量の範囲、好ましくは1当量前後の範囲が適当である。必要に応じ結晶を不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の炭化水素系溶媒、アセトニトリル等の非プロトン系溶媒及びこれらの混合溶媒)で再結晶し、高純度の光学活性な塩を得ることもできる。また、必要に応じて光学分割した塩を通常の方法で酸または塩基で処理しフリー体として得ることもできる。
【0143】
以上において使用した原料や試薬などは、特に断らない限り、市販の化合物であるか、または公知の化合物から公知の方法を用いて製造することができる。本発明のアリールアミド化合物、その中間体、又はその原料化合物が官能基を有している場合、必要に応じて、適当な工程、すなわち製造法1で示された各製造方法の途中の段階等で、当業者の常法に従い、増炭反応、置換基導入反応、又は官能基変換反応等を行うことができる。これらについては「実験化学講座(日本化学会編、丸善)」、又は「コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション、R.C.ラロック著、(VCH パブリッシャーズ,Inc、1989)」等に記載された方法等を用いることができる。増反反応としては、例えば、エステル基を水素化リチウムアルミニウム等の還元剤を用いてヒドロキシメチル基とした後、脱離基を導入し、シアノ基を導入する方法等が挙げられる。官能基変換反応としては、例えば、酸ハライド、スルホニルハライド等を用いてアシル化又はスルホニル化を行う反応、ハロゲン化アルキル等のアルキル化剤を反応させる反応、加水分解反応、Friedel-Crafts反応やWittig反応等の炭素-炭素結合形成反応、酸化もしくは還元反応等が挙げられる。
また、本発明の化合物、またはその中間体及び各反応の原料化合物がアミノ基、カルボキシル基、水酸基、またはオキソ基等の官能基を有している場合、必要に応じて反応させたい部位以外のこれらの基を予め適当な保護基で保護しておき、それぞれの反応を実施した後またはいくつかの反応を実施した後に保護基を除去することにより、目的とする化合物を得ることができる。好適な保護基、保護する方法、および脱保護する方法としては、「Protective Groups in Organic Synthesis 4th Edition (A John Wiley & Sons, Inc.;2006)」等に詳細に記載されている。
【0144】
本発明における「高血糖症」とは、健常者の早朝空腹時血糖が60〜100mg/dLであるのに対し、血糖値が健常時に調節される範囲を超えて上昇することを意味する。
【0145】
本発明化合物は、優れた血糖低下作用を有しているので、哺乳動物(例えば、ヒト,マウス,イヌ,ラット,ウシなど)に対して安全な糖尿病の予防および/または治療剤として使用できる。本発明化合物は、食後高血糖抑制剤ならびに耐糖能異常または空腹時血糖異常である者の糖尿病の予防および/または治療剤として使用できる。例えば、糖尿病、耐糖能異常、空腹時血糖異常、糖尿病性合併症(例えば、網膜症、神経障害、腎症など)、肥満症、高インスリン血症、膵炎、慢性肝疾患、先端巨大症、クッシング症候群、褐色細胞腫、グルカゴノーマ、甲状腺機能亢進症などの予防に有用である。
【0146】
本願発明における「糖尿病」とは、空腹時血糖値が126mg/dL以上、あるいは75gブドウ糖負荷試験2時間後の血糖値が200mg/dL以上の状態を意味する。
耐糖能異常とは、75g ブドウ糖負荷試験2時間後の血糖値が140〜200mg/dLであるものをいう。
【0147】
空腹時血糖異常とは空腹時血糖値が100〜126mg/dLの範囲のものをいう。
【0148】
メタボリックシンドロ−ムとは耐糖能異常、高脂血症、高血圧を合併する動脈硬化易発症状態をいう。具体的には、現在の基準においては、ウエストが男性で85cm以上、女性で90cm以上であり、かつ以下の3項目のうち2項目以上に該当するものをいう。
1.中性脂肪値 150mg/dL以上、HDL(高密度リポ蛋白)コレステロール値 40mg/dL未満のどちらか(または両方)
2.最高血圧 130mmHg以上、最低血圧 85mmHg以上のどちらか(または両方)
3.空腹時血糖値 110mg/dL以上
【0149】
本発明化合物を前記治療剤(医薬)として用いる場合、本発明化合物の含有量は、医薬全体の0.1〜100重量%である。
本発明化合物および本発明化合物を含有する医薬の投与量は、投与対象、投与ルート、疾患などにより異なるが、例えば、これらを糖尿病などの治療薬として成人(約60kg)に経口投与する場合、本発明化合物として、約0.1〜500mg、好ましくは約1〜100mg、さらに好ましくは5〜100mg投与することが好ましい。これらの量は1日1回〜数回に分けて投与することができる。
本発明化合物および本発明化合物を含有する医薬は、食前投与、食間投与または食後投与のいずれでもよい。
【0150】
本発明化合物は、治療に使用する場合に、医薬組成物として、経口的または非経口的(例えば、静脈内、皮下、もしくは筋肉内注射、局所的、経直腸的、経皮的、または経鼻的)に投与することができる。経口投与のための組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、散剤、液剤、懸濁剤などが挙げられ、非経口投与のための組成物としては、例えば、注射用水性剤、もしくは油性剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、エアロゾル剤、坐剤、貼付剤などが挙げられる。これらの製剤は、従来公知の技術を用いて調製され、製剤分野において通常使用される無毒性かつ不活性な担体もしくは賦形剤を含有することができる。
【0151】
具体的には、錠剤の製造法は、本発明の化合物をそのまま、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなど)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなど)、結合剤(例えば、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)、崩壊剤(乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなど)もしくはそのほかの適当な添加剤を加えて均等に混和したものを、適当な方法で顆粒とした後、滑沢剤などを加え、圧縮成型するかまたは、本発明の化合物をそのまま、または賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはそのほかの適当な添加剤を加えて均等に混和したものを、直接圧縮成型して製するか、またはあらかじめ製した顆粒にそのまま、もしくは適当な添加剤を加えて均等に混合した後、圧縮成型しても製造することもできる。注射剤の製造法は、本発明化合物の一定量を、水性溶剤の場合は注射用水、生理食塩水、リンゲル液など、非水性溶剤の場合は通常植物油などに溶解、懸濁もしくは乳化して一定量とするか、または本発明化合物の一定量をとり注射用の容器に密封して製することができる。
【0152】
本発明化合物は、その効果の増強を目的として、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤などの薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。本発明化合物および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明化合物と併用薬剤の合剤としても良い。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
【0153】
なお、糖尿病治療剤としては、インスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤など)、インスリン抵抗性改善剤(例、ピオグリタゾンまたはその塩酸塩、トログリタゾン、ロシグリタゾンまたはそのマレイン酸塩、GI−262570、JTT−501、MCC−555、YM−440、KRP−297、CS−011等)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート等)、ビグアナイド剤(例、メトホルミン等)、インスリン分泌促進剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド等のスルホニルウレア剤;レパグリニド、セナグリニド、ナテグリニド、ミチグリニド等)、ジペプチジルペプチダーゼ-IV(DPP-IV)阻害剤(例、シタグリプチンまたはそのリン酸塩、ビルダグリプチン、アログリプチンまたはその安息香酸塩、デナグリプチンまたはそのトシル酸塩等)、GLP−1、GLP−1アナログ(エキセナタイド、リラグルタイド、SUN−E7001、AVE010、BIM−51077、CJC1131等)、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸等)、β3アゴニスト(例、GW−427353B、N−5984等)が挙げられる。
【0154】
糖尿病性合併症治療剤としては、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポレスタット、ミナレスタット、フィダレスタット、ラニレスタット、SK−860、CT−112等)、神経栄養因子(例、NGF、NT−3、BDNF等)、PKC阻害剤(例、LY−333531等)、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)等)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸等)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン等)が挙げられる。抗高脂血症剤としては、HMG−CoA還元酵素阻害剤(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、イタバスタチンまたはそれらのナトリウム塩等)、スクアレン合成酵素阻害剤、ACAT阻害剤等が挙げられる。降圧剤としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、アラセプリル、デラプリル、リジノプリル、イミダプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、テモカプリル、トランドラプリル等)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、オルメサルタン、メドキソミル、カンデサルタン、シレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサンタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン等)、カルシウム拮抗剤(例、塩酸ニカルジピン、塩酸マニジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ニルバジピン、アムロジピン等)等が挙げられる。
【0155】
抗肥満剤としては、例えば中枢性抗肥満薬(例、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、SR−141716A等)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット等)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)等)、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849等)等が挙げられる。利尿剤としては、例えばキサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン等)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド等)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン等)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド等)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド等)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
【0156】
併用薬剤は、好ましくはGLP−1、GLP−1アナログ、α−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド剤、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗性改善剤、DPP−IV阻害剤などである。上記併用薬剤は、2種以上を適宜の割合で組み合せて用いてもよい。
【0157】
本発明化合物が、併用薬剤と組み合せて使用される場合には、これらの薬剤の使用量は、薬剤の副作用を考えて安全な範囲内で低減できる。特に、ビグアナイド剤は通常の投与量よりも低減できる。したがって、これらの薬剤により引き起こされるであろう副作用は安全に防止できる。それに加えて、糖尿病合併症剤、抗高脂血症剤、降圧剤などの投与量は低減でき、その結果これらの薬剤により引き起こされるであろう副作用は効果的に防止できる。
【実施例】
【0158】
以下において、参考例、実施例、および薬理試験例により本発明をより具体的にするが、この発明はこれらに限定されるものではない。なお、化合物の同定は、NMRスペクトル、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)などにより行った。
本明細書におけるNMRは、JEOL JNM−ALシリーズAL300およびAL400を用いて測定した。
【0159】
本明細書において次の略号を使用することもある。
NMRデータおよび参考例ならびに実施例においては以下の略号を使用する。
s : シングレット(singlet)
d : ダブレット(doublet)
t : トリプレット(triplet)
m : マルチプレット(multiplet)
br:ブロード(broad)
J : カップリング定数(coupling constant)
Hz : ヘルツ(Hertz)
CDCl3: 重クロロホルム
DMSO−d6: 重ジメチルスルホキシド
THF : テトラヒドロフラン
DMF : N,N−ジメチルホルムアミド
Me : メチル
Et : エチル
t−Bu:1,1−ジメチルエチル
Ph:フェニル
Boc:t−ブトキシカルボニル
DIAD:ジイソプロピルアゾジカルボキシラート
PPh3:トリフェニルホスフィン
DMAP:4-(N,N−ジメチルアミノ)ピリミジン
WSCI:1−(3−ジメチルアミノプロピル) −3−エチルカルボジイミド
【0160】
以下に本発明を、実施例および試験例により、さらに具体的に説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。尚、以下の参考例および実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
【0161】
実施例1:
tert-butyl 4-(2-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(2-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0162】
【化20】

【0163】
tert-ブチル 4-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(0.115 g, 0.5 mmol)のテトラヒドロフラン(4.0 ml)溶液に、0℃でトリエチルアミン(0.14 ml, 1.0 mmol)と中間体1−1(0.161 g, 0.75 mmol)を加え、反応溶液を室温で15時間撹拌した。水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗った後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し表題化合物を得た(0.206 g, 92%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.42-8.38 (m, 1H), 7.73 (brd,J=9.4 Hz, 1H), 7.67 (dd,J=9.4, 2.0 Hz, 1H), 7.07 (brs, 1H), 4.91-4.86 (m, 1H), 4.28 (t, J=6.5 Hz, 2H), 4.15-4.09 (m, 2H), 3.05 (s, 3H), 2.74-2.66 (m, 2H), 1.71-1.50 (m, 5H), 1.45 (s, 9H), 1.21-1.11 (m, 2H).
【0164】
中間体1−1:2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenyl isocyanate
2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルイソシアネート
【0165】
【化21】

【0166】
2-フルオロ 4-(メチルスルホニル)アニリン(1.89 g, 10 mmol)とトリエチルアミン(1.01 g, 10 mmol)の酢酸エチル(100 ml)溶液に室温でトリホスゲン(2.97 g, 10 mmol)を加え、反応溶液を3時間加熱還流した。反応終了後不溶物をろ過した後、減圧下で溶媒留去し、h表題化合物を得た(2.15 g, quant.)。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.78-7.72 (m, 2H), 7.32-7.27 (m, 1H), 3.09 (s, 3H).
【0167】
実施例2:
tert-butyl 4-(3-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)propyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(3-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)プロピル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0168】
【化22】

【0169】
実施例1と同様の方法で表題化合物を得た (0.052 g, 38%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.42-8.38 (m, 1H), 7.74-7.71 (m, 1H), 7.67 (dd, J=10.1, 2.0 Hz, 1H), 7.07 (d, J=3.2 Hz, 1H), 4.21 (t, J=6.7 Hz, 1H), 4.16-4.05 (m, 1H), 3.05 (s, 3H), 2.73-2.65 (m, 2H), 1.78-1.67 (m, 4H), 1.45 (s, 9H), 1.42-1.33 (m, 3H), 1.15-1.04 (m, 2H).
【0170】
実施例3:
tert-butyl 4-(4-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)butyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(4-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)ブチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0171】
【化23】

【0172】
中間体3−1を用いて、実施例1と同様の方法で表題化合物を得た(0.097 g, 82%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.42-8.38 (m, 1H), 7.73 (brd,J=9.4 Hz, 1H), 7.67 (dd,J=9.4, 2.0 Hz, 1H), 7.07 (brd, J=3.2 Hz, 1H), 4.22 (t, J=6.6 Hz, 2H), 4.09-4.06 (m, 2H),3.05 (s, 3H), 2.70-2.63 (m, 2H), 1.73-1.63 (m, 4H), 1.45 (s, 9H), 1.42-1.36 (m, 3H), 1.31-1.26 (m, 2H), 1.14-1.04 (m, 2H).
【0173】
中間体3−1:tert-butyl 4-(4-hydroxybutyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(4-ヒドロキシブチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0174】
【化24】

【0175】
4-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル)ブタノイックアシッド (0.407 g, 1.5 mmol)のテトラヒドロフラン(5.0 ml)溶液に、-10℃でトリエチルアミン(0.25 ml, 1.8 mmol)とクロロ炭酸イソブチル(0.21 ml, 1.65 mmol)を加え、反応溶液を0℃で1時間撹拌した。不溶物をろ過し、対応する酸無水物のテトラヒドロフラン溶液を得た。水素化ホウ素ナトリウム (0.159 mg, 4.2 mmol)の水(7ml)溶液に、-10℃で上記の酸無水物のテトラヒドロフラン溶液を加え、反応溶液を0℃で3時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗った後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去し、表題化合物を得た(0.414 g, 100%)。1H-NMR (CDCl3):δ 4.08-4.05 (m, 2H), 3.65 (t, J=6.5 Hz, 2H), 2.66 (dt, J=2.4, 13.0 Hz, 2H), 1.66-1.52 (m, 5H), 1.45 (s, 9H), 1.45-1.34 (m, 4H), 1.28-1.23 (m, 2H), 1.12-1.02 (m, 2H).
【0176】
実施例4:
2,2,2-trifluoroethyl 4-(2-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
2,2,2-トリフルオロエチル 4-(2-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0177】
【化25】

【0178】
2,2,2-トリフルオロエタノール (8.8 μl, 0.12 mmol)、トリエチルアミン(0.056 ml, 0.4 mmol)のアセトニトリル(0.5 ml)溶液に、ビス(N-スクシンイミジル) カーボネート(0.038 g, 0.15 mmol)を0℃で加え、反応溶液を室温で1 時間攪拌した。反応溶液に、中間体4−1(0.038 g, 0.1 mmol)とトリエチルアミン(0.056 ml, 0.4 mmol)を加え、室温で15時間撹拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗った後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し表題化合物を得た(0.033 g, 70%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.42-8.38 (m, 1H), 7.73 (brd,J=9.4 Hz, 1H), 7.69 (dd,J=9.4, 2.0 Hz, 1H), 7.08 (brs, 1H), 4.48 (q, J=8.5 Hz, 2H), 4.28 (t, J=6.5 Hz, 2H), 4.21-4.11 (m, 2H), 3.05 (s, 3H), 2.90-2.77 (m, 2H), 1.78-1.59 (m, 5H), 1.21 (brs, 2H).
【0179】
中間体4−1:2-(piperidin-4-yl)ethyl 2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamate
2-(ピペリジン-4-イル)エチル 2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバメート
【0180】
【化26】

【0181】
実施例1の化合物(0.608 g, 1.38 mmol)のクロロホルム(7 ml)溶液に0℃で4mol/l塩酸のジオキサン溶液(1.1 ml)を加え、反応溶液を室温で20時間攪拌した。減圧下で溶媒留去し、表題化合物を得た(0.475 g, 91%)。
1H-NMR (CD3OD):δ 8.34-8.29 (m, 1H), 7.75-7.70 (m, 2H), 4.29 (t, J=6.4 Hz, 2H), 3.41-3.30 (m, 2H), 3.12 (s, 3H), 3.02-2.94 (m, 2H), 2.04-2.00 (m, 2H), 1.83-1.70 (m, 3H), 1.48-1.37 (m, 2H).
【0182】
実施例5:
1,1,1,3,3,3-hexafluoropropan-2-yl 4-(2-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル 4-(2-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0183】
【化27】

【0184】
実施例4と同様の方法で表題化合物を得た (0.004 g, 7%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.42-8.38 (m, 1H), 7.72 (brd,J=9.4 Hz, 1H), 7.68 (dd,J=9.4, 2.0 Hz, 1H), 7.08 (brs, 1H), 5.79-5.77 (m, 1H), 4.29 (t, J=6.3 Hz, 2H), 4.21-4.12 (m, 2H), 3.05 (s, 3H), 2.92-2.81 (m, 2H), 1.83-1.53 (m, 5H), 1.33-1.19 (m, 2H).
【0185】
実施例6:
2-(1-(3-isopropyl-1,2,4-oxadiazol-5-yl)piperidin-4-yl)ethyl 2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamate
2-(1-(3-イソプロピル-1,2,4-オキサヂアゾール-5-イル)ピペリジン-4-イル)エチル 2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバメート
【0186】
【化28】

【0187】
中間体6−1(0.022 g, 0.06 mmol)のTHF(0.5 ml)-酢酸エチル(0.5 ml)溶液にN'-ヒドロキシ-2-メチルプロパンイミダミド(0.007 g, 0.072 mmol)、1M ZnCl2のジエチルエーテル溶液(0.20 ml, 0.20 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。さらに1M ZnCl2のジエチルエーテル溶液(0.12 ml, 0.12 mmol)を加え、室温で15時間攪拌した。減圧下で溶媒留去した後、THF (2.0 ml)、1N 塩酸(0.5 ml)を加え、7時間加熱還流した。減圧下で溶媒留去した後、水で希釈し酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し表題化合物を得た(0.014 g, 50%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.42-8.38 (m, 1H), 7.73 (brd,J=9.4 Hz, 1H), 7.69 (dd,J=9.4, 2.0 Hz, 1H), 7.08 (brs, 1H), 4.30 (t, J=6.3 Hz, 2H), 4.17-4.11 (m, 2H), 3.09-3.01 (m, 2H), 3.05 (s, 3H), 2.92-2.85 (m, 2H), 1.84-1.81 (m, 2H), 1.71-1.65 (m, 3H), 1.38-1.23 (m, 2H), 1.30 (d, J=7.0 Hz, 6H).
【0188】
実施例7:
2-(1-(5-isopropyl-1,2,4-oxadiazol-3-yl)piperidin-4-yl)ethyl 2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamate
2-(1-(5-イソプロピル-1,2,4-オキサヂアゾール-3-イル)ピペリジン-4-イル)エチル 2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバメート
【0189】
【化29】

【0190】
中間体7−1(0.026 g, 0.07 mmol)のエタノール(2.0 ml)けん濁液にトリエチルアミン(0.02 ml, 0.14 mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.006 g, 0.085 mmol)を加え、60℃で3 時間攪拌した。溶媒を留去して得られた組成生物に、DMF (1.0 ml)、トリエチルアミン(0.02 ml, 0.14 mmol)を加えた。更に反応溶液に、イソブチル酸(0.0075 g, 0.085 mmol)、HOBt (0.014 g, 0.1 mmol)、WSC (0.020 g, 0.1 mmol)を室温で加え、反応溶液を室温で16時間攪拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を合わせ水、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後溶媒を留去した。得られた粗生成物にトルエン(0.5 ml)−DMF (0.5 ml)を加え、80℃で4 時間撹拌した。室温に戻した後、水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗った後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し表題化合物を得た(0.014 g, 43%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.42-8.38 (m, 1H), 7.73 (brd,J=9.4 Hz, 1H), 7.69 (dd,J=9.4, 2.0 Hz, 1H), 7.08 (brs, 1H), 4.30 (t, J=6.3 Hz, 2H), 4.03-3.99 (m, 2H), 3.11-3.01 (m, 1H), 3.05 (s, 3H), 2.92-2.85 (m, 2H), 1.81-1.51 (m, 5H), 1.38-1.25 (m, 2H), 1.36 (d, J=7.0 Hz, 6H).
【0191】
中間体7−1:2-(1-cyanopiperidin-4-yl)ethyl 2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamate 2-(1-シアノピペリジン-4-イル)エチル 2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカーバメート
【0192】
【化30】

【0193】
中間体4−1の化合物(0.095 g, 0.25 mmol)にクロロホルム(2.0 ml)、トリエチルアミン(0.175 ml, 1.25 mmol)を加えた。氷冷下、臭化シアン(0.033 g, 0.31 mmol)を加え、反応溶液を室温で2時間攪拌した。酢酸エチルを加えて5%硫酸水素カリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去し、表題化合物を得た(0.091 g, crude)。
【0194】
実施例8:
2-(1-(4-methylpyrimidin-2-yl)piperidin-4-yl)ethyl 2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamate
2-(1-(4-メチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エチル 2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバメート
【0195】
【化31】

【0196】
中間体4−1の化合物(0.023 g, 0.06 mmol)のアセトニトリル(1.0ml)−DMF (0.5 ml)溶液に、トリエチルアミン(0.025 ml, 0.18 mmol)、2-クロロ-4-メチルピリミジン(0.012 g, 0.09 mmol)を室温で加え、反応溶液を50℃で6時間攪拌した。室温に戻した後、水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し表題化合物を得た(0.014 g, 55%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.43-8.38 (m, 1H), 8.15 (d, J=5.0 Hz, 1H), 7.73 (brd,J=9.4 Hz, 1H), 7.68 (dd,J=9.4, 2.0 Hz, 1H), 7.08 (brs, 1H), 6.35 (d, J= 5.0 Hz), 4.83-4.79 (m, 2H), 4.31 (t, J=6.4 Hz, 2H), 3.05 (s, 3H), 2.90-2.83 (m, 2H), 2.33 (s, 3H), 1.83-1.54 (m, 5H), 1.33-1.20 (m, 2H).
【0197】
実施例9:
2-(1-(5-ethylpyrimidin-2-yl)piperidin-4-yl)ethyl 3-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamate
2-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)エチル 3-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバメート
【0198】
【化32】

【0199】
実施例8と同様の方法で表題化合物を得た (0.020 g, 33%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.17 (s, 2H), 7.85 (t, J=8.4 Hz, 1H), 7.64 (dd,J=12.2, 2.0 Hz, 1H), 7.11 (dd,J=8.6, 2.0 Hz, 1H), 6.97 (brs, 1H), 4.73-4.69 (m, 2H), 4.28 (t, J=6.4 Hz, 2H), 3.19 (s, 3H), 2.90-2.82 (m, 2H), 2.45 (q, J= 7.5 Hz), 2.33 (s, 3H), 1.82-1.78 (m, 2H), 1.72-1.67 (m, 3H), 1.29-1.20 (m, 2H), 1.18 (t, J=7.5 Hz, 3H).
【0200】
実施例10:
tert-butyl 4-(2-(4-(methoxycarbonyl)phenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(2-(4-(メトキシカルボニル)フェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0201】
【化33】

【0202】
実施例1と同様の方法で表題化合物を得た (0.198 g, 97%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.00 (d, J=9.7 Hz, 2H), 7.45 (d,J=9.7 Hz, 2H), 6.76 (brs, 1H), 4.24 (t, J=6.4 Hz, 2H), 4.11-4.07 (m, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.73-2.65 (m, 2H), 1.72-1.58 (m, 5H), 1.45 (s, 9H), 1.21-1.10 (m, 2H).
【0203】
実施例11:4-((2-(1-(tert-butoxycarbonyl)piperidin-4-yl)ethoxy)carbonylamino)benzoic acid
4-((2-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル)エトキシ)カルボニルアミノ)安息香酸
【0204】
【化34】

【0205】
実施例10の化合物(0.175 g, 0.43 mmol)のTHF (2.0 ml)、メタノール(0.5 ml)溶液に室温で4N 水酸化ナトリウム水溶液 (0.52 ml, 2.1 mmol)を加え、反応溶液を50℃で6時間攪拌した。氷冷下、反応溶液に1N塩酸を加え、減圧下で溶媒留去した。トルエンを用いて共沸した後、表題化合物を得た(0.303 g, crude)。
【0206】
実施例12:
tert-butyl 4-(2-(4-(dimethylcarbamoyl)phenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(2-(4-(ジメチルカルバモイル)フェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0207】
【化35】

【0208】
実施例11のDMF溶液 (0.5 ml)に、ジメチルアミン塩酸塩 (0.013 g, 0.16 mmol)、トリエチルアミン (0.075 ml, 0.52 mmol)、HOBt (0.027 g, 0.2 mmol)、WSC (0.037 g, 0.2 mmol)を室温で加え、反応溶液を室温で16時間攪拌した。水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗った後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し表題化合物を得た(0.015g, 27%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.39 (s, 4H), 6.68 (brs, 1H), 4.21 (t, J=6.4 Hz, 2H), 4.11-4.05 (m, 2H), 3.03 (s, 6H), 2.72-2.62 (m, 2H), 1.71-1.53 (m, 5H), 1.43 (s, 9H), 1.21-1.09 (m, 2H).
実施例12と同様の方法で、以下の実施例13〜15の化合物を得た。
【0209】
実施例13:
tert-butyl 4-(2-(4-(cyclopropylcarbamoyl)phenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(2-(4-(シクロプロピルカルバモイル)フェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0210】
【化36】

【0211】
1H-NMR (CDCl3):δ 7.70 (d, J=9.6 Hz, 2H), 7.44 (d, J=9.6 Hz, 2H), 6.75 (brs, 1H), 6.18 (brs, 1H), 4.23 (t, J=6.4 Hz, 2H), 4.09-4.07 (m, 2H), 2.91-2.86 (m, 1H), 2.72-2.65 (m, 2H), 1.71-1.52 (m, 5H), 1.45 (s, 9H), 1.19-1.09 (m, 2H), 0.89-0.84(m, 2H), 0.65-0.62 (m, 2H).
【0212】
実施例14:
tert-butyl 4-(2-(4-(1-hydroxypropan-2-ylcarbamoyl)phenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(2-(4-(1-ヒドロキシプロパン-2-イルカルバモイル)フェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0213】
【化37】

【0214】
1H-NMR (CDCl3):δ 7.74 (d, J=8.6 Hz, 2H), 7.45 (d, J=9.6 Hz, 2H), 6.78 (brs, 1H), 6.23 (brd, J=, 7.2 Hz, 1H), 4.29-4.21 (m, 3H), 4.13-4.07 (m, 2H), 3.08-3.62 (m, 2H), 2.72-2.65 (m, 2H), 1.73-1.52 (m, 5H), 1.45 (s, 9H), 1.29 (d, J=6.8 Hz, 3H), 1.21-1.09 (m, 2H).
【0215】
実施例15:
tert-butyl 4-(2-(4-(morpholine-4-carbonyl)phenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(2-(4-(モリホリン-4-カルボニル)フェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0216】
【化38】

【0217】
1H-NMR (CDCl3):δ 8.00 (brs, 1H), 7.73-7.36 (m, 4H), 6.69 (brs, 1H), 6.23 (brd, J=, 7.2 Hz, 1H), 4.21 (t, J=6.4 Hz, 3H), 4.10-4.05 (m, 2H), 3.90-3.44 (m, 8H), 2.71-2.62 (m, 2H), 1.70-1.51 (m, 5H), 1.43 (s, 9H), 1.29 (d, J=6.8 Hz, 3H), 1.20-1.11 (m, 2H).
【0218】
実施例16:
tert-butyl 4-(1-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)propan-2-yloxy)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(1-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)プロパン-2-イルオキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0219】
【化39】

【0220】
中間体16−2を用いて、実施例1と同様の方法で表題化合物を得た(0.028 g, 34%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.39 (t, J=8.1 Hz, 1H), 7.74-7.72 (m, 1H), 7.68 (dd, J=10.1, 1.9 Hz, 1H), 7.07 (m, 1H), 4.17 (d, J=5.1 Hz, 2H), 3.86-3.76 (m, 3H), 3.61-3.55 (m, 1H), 3.11-3.04 (m, 5H), 1.85-1.76 (m, 2H), 1.58-1.45 (m, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.21 (d, J=6.3 Hz, 3H).
【0221】
中間体16−1:2-(1-(tert-butoxycarbonyl)piperidin-4-yloxy)propanoic acid
2-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イルオキシ)プロピオン酸
【0222】
【化40】

【0223】
60%水素化ナトリウム(2.6 g, 60 mmol)のジオキサン溶液(30 ml)にtert-ブチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(3.0 g, 15 mmol)を室温で加え、反応溶液を室温で30分間攪拌した。反応溶液に2-ブロモプロピオン酸(2.3 g, 15 mmol)のジオキサン溶液(30 ml)を滴下し、24時間攪拌した後、反応溶液を60℃で9時間攪拌した。室温に戻した後、反応溶液を氷冷した水(50 ml)に注ぎヘキサン/酢酸エチル溶液(1:1, 40ml)で洗浄した。氷冷下、水層に濃塩酸(6 ml)を滴下した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ飽和食塩水で洗った後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去し、表題化合物を得た(3.9 g, crude)。
1H-NMR (CDCl3) (CDCl3) :δ 4.15 (q, J=6.8 Hz, 1H), 3.90-3.74 (m, 2H), 3.65-3.55 (m, 1H), 3.13-3.00 (m, 2H), 1.93-1.79 (m, 2H), 1.68-1.47 (m, 2H), 1.47 (s, 3H), 1.46 (s, 9H).
【0224】
中間体16−2:tert-Butyl 4-(1-hydroxypropan-2-yloxy)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(1-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0225】
【化41】

【0226】
中間体16−1の化合物(0.33 g, 1.2 mmol)とトリエチルアミン(0.2 ml, 1.4 mmol)のTHF(6.0 ml)溶液に、0℃でクロロぎ酸イソブチル(0.17 ml, 1.3 mmol)を加え、反応溶液を0℃で1時間攪拌した。不溶物を濾過し、混合酸無水物のTHF溶液を得た。水素化ほう素ナトリウム(0.13 g, 3.3 mmol)の水溶液(6.0 ml)に、-10℃で前述の混合酸無水物のTHF溶液を滴下し、0℃で3時間攪拌した。水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗った後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去し、表題化合物を得た(0.31g, crude)。
1H-NMR (CDCl3):δ 3.88-3.76 (m, 2H), 3.69-3.64 (m, 1H), 3.58-3.52 (m, 2H), 3.47-3.39 (m, 1H), 3.10-3.02 (m, 2H), 2.05-1.97 (br, 1H), 1.89-1.78 (m, 2H), 1.58-1.47 (m, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.10 (d, J=6.2 Hz, 3H).
【0227】
実施例17:
tert-butyl 4-((2-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)ethyl)(methyl)amino)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-((2-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)エチル) (メチル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0228】
【化42】

【0229】
中間体17−2を用いて、実施例1と同様の方法で表題化合物を得た(0.113 g, 44%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.41-8.36 (m, 1H), 7.74-7.70 (m, 1H), 7.67 (dd,J=9.8, 2.0 Hz, 1H), 7.07 (brs, 1H), 4.33-4.19 (m, 4H), 3.06 (s, 3H), 2.85-2.39 (m, 5H), 1.84-1.76 (m, 2H), 1.45 (s, 9H).
【0230】
中間体17−1:tert-butyl 4-((2-methoxy-2-oxoethyl)(methyl)amino)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-((2-メトキシ-2-オキソエチル)(メチル) アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0231】
【化43】

【0232】
tert-ブチルオキシカルボニル-4-メチルアミノピペリジン(0.214 g, 1.0 mmol)のDMF (3.0 ml)溶液に、ブロモ酢酸メチル(0.13 ml, 1.4 mmol)、炭酸カリウム(0.276 g, 2.0 mmol)を加え、反応溶液を室温で17時間攪拌した。水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗った後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去し、表題化合物を得た(0.316 g, crude)。
1H-NMR (CDCl3):δ 4.14-4.09 (m, 2H), 3.73 (s, 3H), 3.38 (s, 2H), 2.75-2.66 (m, 3H), 2.45 (s, 3H), 1.83-1.80 (m, 2H), 1.65-1.51 (m, 2H), 1.45 (s, 9H).
【0233】
中間体17−2:tert-butyl 4-((2-hydroxyethyl)(methyl)amino)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-((2-ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0234】
【化44】

【0235】
水素化リチウムアルミニウム(0.076 g, 2.0 mmol)のテトラヒドロフラン(2.0 ml)けん濁液に、中間体16−1(0.316 g)のテトラヒドロフラン(3.0 ml)溶液を0℃で滴下した。反応溶液を室温で16時間撹拌した後に、0℃で硫酸ナトリウム・10H2Oを(0.50 g)加え、室温で一晩撹拌した。不溶物をろ過した後、減圧下で溶媒留去し、表題化合物を得た(0.283 g, crude)。
1H-NMR (CDCl3):δ 4.30-4.16 (m, 2H), 3.63 (t, J= 5.0 Hz, 2H), 2.77-2.63 (m, 5H), 2.32 (s, 3H), 1.83-1.78 (m, 2H), 1.53-1.44 (m, 2H), 1.45 (s, 9H).
【0236】
実施例18:
tert-butyl 4-(2-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamothioyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(2-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモチオイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0237】
【化45】

【0238】
中間体18−1の化合物(0.174 g, 0.75 mmol)を用いて、実施例1と同様の方法で表題化合物を得た(0.136 g, 59%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.50-8.22 (m, 2H), 7.75-7.68 (m, 2H), 4.63 (t, J=6.8 Hz, 2H), 4.13-4.11 (m, 2H), 3.07 (s, 3H), 2.73-2.65 (m, 2H), 1.81-1.72 (m, 4H), 1.69-1.51 (m, 1H), 1.45 (s, 9H), 1.45-1.13 (m, 2H).
【0239】
中間体18−1:2-fluoro-1-isothiocyanato-4-(methylsulfonyl)benzene
2-フルオロ-1-イソチオシアネート-4-(メチルスルホニル)ベンゼン
【0240】
【化46】

【0241】
2- フルオロ 4-(メチルスルホニル)アニリン(0.500 g, 2.64 mmol)の酢酸(3.0 ml)溶液に2N 塩酸水(6.0 ml)とチオホスゲン(0.25 ml, 3.29 mmol)を0℃で加え、反応溶液を室温で12時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水、及び飽和食塩水で洗った後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し表題化合物を得た(0.475g, 78%)。
【0242】
実施例19:
tert-butyl 4-(2-(2,5-difluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(2-(2,5-ジフルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0243】
【化47】

【0244】
実施例1と同様の方法で表題化合物を得た (0.017 g, 25%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.23-8.18 (m, 1H), 7.69-7.65 (m, 1H), 7.15 (brs, 1H), 4.30 (t, J=6.5 Hz, 2H), 4.27-4.09 (m, 2H), 3.21 (s, 3H), 2.74-2.66 (m, 2H), 1.73-1.52 (m, 5H), 1.45 (s, 9H), 1.21-1.11 (m, 2H).
【0245】
実施例20:
tert-butyl 4-(2-(4-(dimethylcarbamoyl)-2-fluorophenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(2-(4-(ジメチルカルバモイル)-2-フルオロフェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0246】
【化48】

【0247】
実施例12と同様の方法で表題化合物を得た (0.041 g, 71%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.11 (t, J=3.8 Hz, 1H), 7.22-7.15 (m, 2H), 6.92 (brs, 1H), 4.22 (t, J=6.4 Hz, 2H), 4.09-4.05 (m, 2H), 3.02 (s, 6H), 2.73-2.60 (m, 2H), 1.69-1.57 (m, 5H), 1.42 (s, 9H), 1.25-1.05 (m, 2H).
【0248】
実施例21:
tert-butyl 4-(2-(4-(cyclopropylcarbamoyl)-3-fluorophenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(2-(4-(シクロプロピルカルバモイル)-3-フルオロフェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0249】
【化49】

【0250】
実施例12と同様の方法で表題化合物を得た (0.035 g, 59%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.01 (d, J=8.6 Hz, 2H), 7.55 (brd, J=14.5 Hz, 1H), 7.28 (brs, 1H), 7.00 (dd, J=8.8, 2.0 Hz, 1H), 6.78 (m, 1H), 4.20 (t, J=6.4 Hz, 2H), 4.10-4.04 (m, 2H), 2.89 (m, 1H), 2.70-2.60 (m, 2H), 1.70-1.50 (m, 5H), 1.42 (s, 9H), 1.20-1.04 (m, 2H), 0.87-0.80 (m, 2H).
【0251】
実施例22:
tert-butyl 4-(1-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)butan-2-yloxy)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(1-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)ブタン-2-イルオキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0252】
【化50】

実施例1と同様の方法で表題化合物を得た(0.055 g, 31%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.39 (t, J=8.1 Hz, 1H), 7.74-7.72 (m, 1H), 7.68 (dd, J=10.1, 2.0 Hz, 1H), 7.19 (m, 1H), 4.26-4.18 (m, 2H), 3.82-3.76 (m, 2H), 3.60-3.56 (m, 2H), 3.08-3.04 (m, 5H), 1.83-1.79 (m, 2H), 1.62-1.46 (m, 4H), 1.45 (s, 9H), 1.00 (t, J=7.4 Hz, 3H).
【0253】
実施例23:
tert-butyl 4-(4-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)butanoyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(4-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)ブタノイル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0254】
【化51】

【0255】
中間体23−3(0.087 g, 0.180 mmol)のメタノール(20 ml)溶液に、パラジウム炭素(0.200 g)を加え、水素雰囲気下で1時間撹拌した。反応混合物をセライトろ過し、減圧下で溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し表題化合物を得た(0.022 g, 25%)。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.71-7.67 (m, 1H), 7.60-7.57 (m, 1H), 6.74 (t, J=8.3 Hz, 1H), 4.15-4.10 (m, 2H), 3.23 (t, J=6.8 Hz, 2H), 3.04 (s, 3H), 2.78-2.75 (m, 2H), 2.626.8 Hz, 2H), 2.50-2.45 (m, 1H), 1.89-1.51 (m, 4H), 1.45 (s, 9H).
【0256】
中間体23−1:tert-butyl 4-but-3-enoylpiperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-ブタ-3-エノイルピペリジン-1-カルボキシレート
【0257】
【化52】

【0258】
tert-ブチル 4-(メトキシ(メチル)カルバモイル) ピペリジン-1-カルボキシレート (1.56 g, 5.73 mmol)のテトラヒドロフラン(30 ml)溶液にアリルマグネシウムブロミド溶液(8.6 ml, 8.6 mmol)を0℃で加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。塩化アンモニウム水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗った後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し表題化合物を得た(1.12 g, 77%)。
中間体23−2:tert-butyl 4-(2-(oxiran-2-yl)acetyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(2-(オキシラン-イル)アセチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0259】
【化53】

【0260】
中間体23−1の化合物の(1.117 g, 4.409 mmol)のクロロホルム(30 ml)溶液にm-クロロ過安息香酸(1.521 g, 8.818 mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。亜硫酸ナトリウム水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水で洗った後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し表題化合物を得た(0.336 g, 28%)。
中間体23−3:tert-butyl 4-(4-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)but-2-enoyl)piperidine-1-carboxylate
tert-ブチル 4-(4-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)ブタ-2-エノイル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0261】
【化54】

【0262】
中間体1−1 (0.403 g, 1.871 mmol)と中間体23−2(0.336 g, 1.247 mmol)のトルエン(10 ml)溶液に、臭化リチウム(0.011 g, 0.125 mmol)とヘキサメチルホスホラミド(0.022 g, 0.125 mmol)を加え、3時間加熱還流した。室温に戻した後、水を加えてクロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し表題化合物を得た(0.087 g, 14%)。
【0263】
実施例24:
methylcyclopropyl 4-(2-(2-fluoro-4-(methylsulfonyl)phenylcarbamoyloxy)ethyl)piperidine-1-carboxylate
メチルシクロプロピル 4-(2-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニルカルバモイルオキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0264】
【化55】

【0265】
中間体4−1(0.031 g, 0.08 mmol)とトリエチルアミン(0.034 ml, 0.24 mmol)のテトラヒドロフラン(1.5 ml)溶液に1-メチルシクロプロピル 4-ニトロフェニルカーボネート(0.025 g, 0.104 mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し表題化合物を得た(0.038 g, 定量的)。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.42-8.38 (m, 1H), 7.74-7.72 (m, 1H), 7.66-7.66 (m, 1H), 7.08 (brs, 1H), 4.27 (t, J=6.5 Hz, 2H), 4.11 (brs, 2H), 3.05 (s, 3H), 2.74-2.68 (m, 2H), 1.72-1.57 (m, 5H), 1.54 (s, 3H), 1.16-1.14 (m, 2H), 0.87-0.84 (m, 2H), 0.64-0.62 (m, 2H).
【0266】
薬理試験例:
ICRマウス(8週齢)より単離したランゲルハンス氏島を用いて本発明化合物のインスリン分泌促進能を試験した。実体顕微鏡を用いて単離した200個程度のランゲルハンス氏島を10%FBS添加細胞培養用培地で1時間培養した。さらに反応開始1時間前に低グルコース(2.8mM)のKrebs−Ringers Buffer(KRB)に入れ替えた。これを0.45mLの低グルコース(2.8mM)あるいは高グルコース(11.1mM)のKRBにて希釈した本発明化合物溶液の入った試験管に4個/0.05mLずつ添加した。37℃で1時間加温した後、上清0.1mLをランゲルハンス氏島の混入がないように穏やかに回収した。回収液はインスリン定量まで−20℃にて保存した。インスリン定量はインスリンキット(セティ・メディカルラボ株式会社)にて実施した。
【0267】
a) cAMP試験
HIT-T15細胞は大日本住友製薬株式会社より購入し、10%ウシ胎児血清を含むF-12培地で培養した。96穴プレートにHIT-T15細胞を20,000cells/0.1mL/wellでまき、37℃で72時間培養した。培地を除去し、直ちに0.1mLのstimulation buffer(0.1%BSA/1×Hank's/20mM HEPES(pH7.4))で洗浄した。溶液を除去し、薬剤希釈液(stimulation bufferに本発明化合物及び0.5mM IBMX含有)を0.05mL添加した。37℃で30分培養し、Lysis buffer(1%Triton X-100、50mM Phosphate buffer (pH7.0))を0.05mL添加して撹拌し細胞を溶解した。
HTRF試薬(HTRF cAMP Dynamic2、セティ・メディカルラボ株式会社)を用い、プロトコルに従って細胞溶解液のcAMPを定量した。測定には、EnVision(株式会社パーキンエルマージャパン社)を用いた。
結果を表1に示す。
【0268】
【表1】

【0269】
b) インスリン分泌試験
96穴プレートに、HIT-T15細胞を 20,000cells/0.1mL/wellでまき、37℃で72時間培養した。培地を除去し、0.1mLの0.1% bovine serum albumin 含有HEPES-balanced Krebs-Ringer bicarbonate buffer (pH 7.4) (KRBB) で1回洗浄した後、KRBBを 0.1mL/wellずつ添加し、37 ℃で60分培養した。次に、KRBBを除去し、16.7 mM glucose と本発明化合物を含む KRBB を 0.05mL/well添加し、37 ℃で60分培養した。60分後に上清を0.03mL回収した。
【0270】
この回収液を 0.1%bovine serum albuminを含むPBS(-)で10倍希釈した後、インスリン測定キットであるInsulin bulk(セティ・メディカルラボ株式会社)とハムスターインスリン標準液(株式会社シバヤギ)を用いて添付プロトコルに従いインスリン濃度を定量した。測定には、EnVision(株式会社パーキンエルマージャパン)を用いた。本発明化合物は、優れたインスリン分泌促進作用を示した。
【0271】
c) 細胞毒性試験
HIT-T15細胞は大日本住友製薬株式会社より購入し、10%ウシ胎児血清を含むF-12培地で培養した。96穴プレートにHIT-T15細胞を20,000cells/0.1mL/wellでまき、37℃で48時間培養した。培地を除去し、直ちに加温した1×PBSにて洗浄した。10%ウシ胎児血清を含むF-12培地100 μlに評価化合物を加え、一晩培養した。培養後、細胞増殖/細胞毒性測定用試薬であるCell Counting Kit-8(株式会社 同仁化学研究所)を10 μl加え、2時間培養後マイクロプレートリーダー(日本モレキュラーデバイス株式会社)にて450 nMの吸光度を測定した。実施例1および実施例2の化合物は、30μMまで細胞毒性を示さなかった。
【0272】
d)hERG阻害試験
自動パッチクランプ装置 QPatch HT (Sophion Bioscience A/S)を用いて、ホールセルパッチクランプ法により、hERG(human ether-a-go-go)遺伝子を安定発現させたCHO細胞おけるhERGカリウム電流を記録した。hERG電流は、ボルテージクランプモードで膜電位を−80mVに保持し、20ミリ秒間-50mVにした後5秒間+20mVに脱分極させ、続いて5秒間-50mVに再分極させた時のテール電流の振幅を評価した。刺激は15秒おきに繰り返し行い、実験は室温(22±2℃)で行った。化合物は1細胞あたり4濃度を各濃度5分間累積投与し、化合物適応前の電流の大きさと較べて阻害された電流の阻害率を算出し、Hill式により50%阻害濃度を計算した(IC50[μM])。試験溶液は以下のものを用いた。:細胞外溶液(mM):2 CaCl2、1 MgCl2、10 HEPES、4 KCl、145 NaCl、10グルコース、細胞内溶液(mM):5.4 CaCl2、1.8 MgCl2、10 HEPES、31 KOH、10 EGTA、120 KCl、4 ATP
結果を表2に示す。本発明化合物の、hERG阻害活性IC50は10μM以上であった。
【0273】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0274】
本発明化合物は、インスリン分泌促進作用を有するので、哺乳動物(例えば、ヒト,マウス,イヌ,ラット,ウシなど)に対して安全な糖尿病、耐糖能異常、空腹時血糖異常、糖尿病性合併症(例えば、網膜症、神経障害、腎症など)、肥満症、高インスリン血症、膵炎、慢性肝疾患、先端巨大症、クッシング症候群、褐色細胞腫、グルカゴノーマ、甲状腺機能亢進症などの予防および/または治療に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩。

[式中、Aは、下記(a)〜(d)

で表されるいずれか一つの基であり(ここにおいてR4は下記、

のいずれか一つの基であり;
mおよびnは、各々独立して0、1または2であり;
5は、シアノ基、置換されていてもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシカルボニル基、置換されていてもよい4員〜7員の飽和複素環オキシカルボニル基、置換されていてもよいアミノカルボニル基、置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノカルボニル基、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキルC1-4アルキル基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキルカルボニル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキルC1-4アルキルカルボニル基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよい5員もしくは6員の単環式ヘテロアリール基、置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリールC1-4アルキル基、または置換されていてもよい5員もしくは6員の単環式ヘテロアリールカルボニル基である。);
1は、置換されていてもよいC6-10アリール基、または置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリール基であり;
2a、R2b、RおよびR3bは、
(i)R2a、R2b、RおよびR3bが、各々独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノ基、または置換されていてもよい4員〜7員の飽和複素環基であるか、
(ii)R2aおよびR2bが、各々独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノ基、または置換されていてもよい4員〜7員の飽和複素環基であり、R3aとR3bが、一緒になってオキソ基であるか、または
(iii)R2aおよびR2bが、一緒になってオキソ基であり、R3aとR3bが、各々独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC3-7シクロアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノ基、または置換されていてもよい4員〜7員の飽和複素環基であり;
pは1、2、3、または4であり(R2aおよびR2bが、一緒になってオキソ基の場合には、pは1に限る。);
qは0、1、2または3であり(R3aとR3bが、一緒になってオキソ基の場合には、qは1に限る。);
Xは、酸素原子、または硫黄原子であり;
Yは、酸素原子、硫黄原子、またはNR6であり(ここにおいて、R6は、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、または置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基である。);
Zは、単結合、ビニレン、エチニレン、酸素原子、硫黄原子、またはNR7である(ここにおいて、R7は、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、または置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基である。)である。但し、式(1)で表される化合物において、R1が、1〜2個のC1-4アルコキシで置換されているフェニルである場合には、Aが式(a)で表される基におけるR5は、C1-6アルコキシカルボニル基、C3-7シクロアルコキシカルボニル基、C1-6アルキルカルボニル基、C3-7シクロアルキルカルボニル基、およびC3-7シクロアルキルC1-4アルキルカルボニル基で表される化合物ではなく、R1が、アミノで置換されているフェニルである場合には、Aが式(a)で表される基におけるR5は、5員もしくは6員の単環式へテロアリール基である化合物ではない。]
【請求項2】
1が、
6-10アリール基(該基は、
1:ハロゲン原子、
2:C1-6アルキル基(該基は、
(a)アミノ(該アミノは、
(a1)C1-6アルキル(該アルキルは、
(a11)ヒドロキシ、
(a12)C1-6アルコキシ、
(a13)カルボキシル、
(a14)アミノカルボニル、
(a15)ジ−C1-6アルキルアミノ、
(a16)モノもしくはジ−C1-6アルキルアミノカルボニル、
(a17)C1-6アルキルカルボニルアミノ、
(a18)モノもしくはジ−C1-6アルキルアミノカルボニルアミノ、または
(a19)C1-6アルコキシカルボニルアミノで置換されていてもよい。)、
(a2)C3-7シクロアルキル、
(a3)C3-7シクロアルキルC1-4アルキル、
(a4)5員もしくは6員の飽和複素環(該環は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(a5)5員もしくは6員の飽和複素環−C1-4アルキル、
(a6)5員もしくは6員の単環式へテロアリール、または
(a7)5員もしくは6員の単環式へテロアリール−C1-4アルキルで置換されていてもよい。)、
(b)ヒドロキシ、
(c)4員〜7員の環状アミノ(該環は、
(c1)ヒドロキシ、
(c2)C1-6アルキル(該基は、ヒドロキシまたはC1-6アルコキシで置換されていてもよい。)、
(c3)C1-6アルコキシ、または
(c4)ジ−C1-6アルキルアミノで置換されていてもよい。)、
(d)アミノカルボニル(該アミノは、前記(a1)〜(a7)からなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されていてもよい。)、
(e)C1-6アルコキシ(該基は、
(e1)ヒドロキシ、
(e2)C1-6アルコキシ、
(e3)C3-7シクロアルキル、
(e4)C3-7シクロアルコキシ、
(e5)4員〜6員の飽和複素環(該環は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
(e6)4員〜7員の環状アミノ、
(e7)C1-6アルキルカルボニルアミノ、
(e8)ジ−C1-6アルキルアミノ、または
(e9)ジ−C1-6アルキルアミノカルボニルで置換されていてもよい。)で置換されていてもよい。)、
3:C1-6アルキルスルホニル基(該C1-6アルキル基は、
(a)C3-7シクロアルキル、または
(b)4員〜6員の飽和複素環で置換されていてもよい。)、
4:C3-7シクロアルキルスルホニル基(該基は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、
5:4員〜6員の飽和複素環スルホニル基、
6:アミノ基(該アミノは、前記(a1)〜(a7)からなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されている。)、
7:アミノスルホニル基(該アミノは、同種または異種の1〜2個のC1-6アルキル(該アルキルは、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、またはジ−C1-6アルキルアミノで置換されていてもよい。)で置換されていてもよい。)、
8:4員〜7員の環状アミノ基(該環は、前記(c1)〜(c4)で置換されていてもよい。)、
9:アミノカルボニル基(該アミノは、前記(a1)〜(a7)からなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されていてもよい。)、
10:4員〜7員の環状アミノカルボニル基(該環は、前記(c1)〜(c4)で置換されていてもよい。)、
11:カルボキシル基、
12:C1-6アルコキシ基、
13:C1-6アルコキシカルボニル基、
14:C1-6アルキルカルボニルアミノ基、
15:C3-7シクロアルキルカルボニルアミノ基、
16:C3-7シクロアルキルC1-6アルキルカルボニルアミノ基、
17:モノもしくはジ−C1-6アルキルアミノカルボニルアミノ基、
18:C1-6アルコキシカルボニルアミノ基、
19:C6-10アリール基、および
20:5員もしくは6員の単環式へテロアリール基からなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)、
または5員もしくは6員の単環式へテロアリール基(該へテロアリールは、前記C6-10アリール基における前記1〜20からなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)である、請求項1に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
1が、
6-10アリール基(該基は、
1:ハロゲン原子、
2:C1-6アルキルスルホニル基、
3:アミノカルボニル基(該アミノは、
(a)C1-6アルキル(該アルキルは、ヒドロキシで置換されていてもよい。)、および
(b)C3-7シクロアルキルからなる群から選択される1〜2個の基で置換されていてもよい。)、
4:4員〜7員の環状アミノカルボニル基、
5:カルボキシル基、または
6:C1-6アルコキシカルボキシル基で置換されていてもよい。)である、請求項2に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
Aが、下記式(a)

で表される基である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項5】
mおよびnが、1である、請求項4に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項6】
5が、
1:C1-6アルコキシカルボニル基(該基は、
(a)1〜6個のフッ素原子、
(b)C3-7シクロアルキル(該基は、
(i)C1-6アルキル、
(ii)C3-7シクロアルキル、または
(iii)C3-7シクロアルキルC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、または
(c)4員〜6員の飽和複素環(該基は、
(i)C1-6アルキル、
(ii)C3-7シクロアルキル、または
(iii)C3-7シクロアルキルC1-4アルキルで置換されていてもよい。)で置換されていてもよい。)、
2:C3-7シクロアルコキシカルボニル基(該基は、
(a)C1-6アルキル、
(b)C3-7シクロアルキル、または
(c)C3-7シクロアルキルC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、
3:4員〜6員の飽和複素環オキシカルボニル基(該基は、
(a)C1-6アルキル、
(b)C3-7シクロアルキル、または
(c)C3-7シクロアルキルC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、
4:C1-6アルキルカルボニル基、
5:C3-7シクロアルキルカルボニル基、
6:C3-7シクロアルキルC1-4アルキルカルボニル基、
7:C1-6アルキル基、
8:C3-7シクロアルキル基、
9:C3-7シクロアルキルC1-4アルキル基、
10:C7-14アラルキル基、
11:5員もしくは6員の単環式ヘテロアリール基(該環は、
(a)C1-6アルキル、
(b)C3-7シクロアルキル、および
(c)C3-7シクロアルキルC1-4アルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)、または
12:シアノ基である、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項7】
5が、
1:C1-6アルコキシカルボニル基(該アルコキシは、1〜6個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
2.C3-7シクロアルコキシカルボニル基(該シクロアルコキシは、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、または
3:5員もしくは6員の単環式ヘテロアリール基(該環は、C1-6アルキルで置換されていてもよい。)、請求項6に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項8】
2a、R2b、RおよびR3bが、各々独立して、水素原子、またはC1-6アルキル基である、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項9】
2a、R2b、RおよびR3bが、共に水素原子である、請求項8に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項10】
2aおよびR2bが、各々独立して、水素原子、またはC1-6アルキル基であり、RおよびR3bが、一緒になってオキソ基である、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項11】
2aおよびR2bが、共に、水素原子である、請求項10に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項12】
pが、2、3、または4である、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項13】
pが、2である、請求項12に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項14】
pが、3である、請求項12に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項15】
qが0である、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項16】
Xが、酸素原子である、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の化合物、または薬理学的に許容される塩。
【請求項17】
Xが、硫黄原子である、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の化合物、または薬理学的に許容される塩。
【請求項18】
Yが、酸素原子である、請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項19】
Zが、単結合、酸素原子、またはNR7である、請求項1〜請求項18のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項20】
Zが、単結合である、請求項19に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項21】
Zが、酸素原子である、請求項19に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項22】
Zが、NR7である、請求項19に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項23】
7が、C1-6アルキル基である、請求項22に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。

【公開番号】特開2011−132138(P2011−132138A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290800(P2009−290800)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】