説明

カルビドパとレボドパを含有する延長放出型固形医薬組成物

本発明は、延長放出型形態のカルビドパおよび延長放出型形態のレボドパを含む延長放出型錠剤を与える圧縮錠剤を提供する。この錠剤は場合によりさらに、カルビドパおよび/またはレボドパの即時または迅速放出型組成物を含む。錠剤中の延長放出型組成物には、放出速度制御重合体、および放出速度制御被覆は含まれていないが、カルビドパおよび/またはレボドパの放出は、遅延時間の間、場合により独立して遅れる。本発明はまた延長放出型形態のレボドパおよび迅速または即時放出型形態のカルビドパを有する錠剤を提供する。この錠剤には、延長放出型形態および迅速または即時放出型形態で存在するレボドパ、ならびに、延長放出型形態および迅速または即時放出型形態で存在するカルビドパを含むことができる。この錠剤は、パーキンソン病および他の運動関連障害、疾患または症候群を治療するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レボドパとカルビドパの延長放出を提供する固形経口投与剤形に関している。一つの実施態様では、本発明は水性環境に暴露した後約1〜4時間にわたるレボドパとカルビドパの延長放出を提供する医薬組成物に関している。本発明はまたレボドパおよび/またはカルビドパの二重放出を与える投与剤形も提供する。他の実施態様では、この投与剤形はレボドパおよび場合によってカルビドパの延長放出、ならびにカルビドパの即時または迅速放出を提供する。さらに他の実施態様では、この投与剤形はレボドパおよび場合によってカルビドパの遅延および延長放出、ならびにカルビドパの即時または迅速放出を提供する。
【背景技術】
【0002】
レボドパ(LD)およびカルビドパ(CD)の組み合わせを含む固形投与剤形形態は良く知られている。そうした投与剤形は、パーキンソン病および他の運動障害の治療に使用される。LDおよびCDの組み合わせは、依然として最も有効なパーキンソン病治療剤である。ジヒドロキシ−フェニルアラニンの左旋性異性体であるレボドパは、中枢神経系(CNS)における治療効果に関与する、ドパミン(DA)の天然の代謝前駆体である。しかしながら、DAは胃腸管からは吸収されないし、また脳血管障壁を通過することもできない。したがってLDのみがCNSに到達できる。経口的に投与された場合に、LDは小腸の三分の一の近位(十二指腸および空腸)に位置する飽和アミノ酸能動輸送系により急速に吸収される。最高濃度には30〜120分の間に到達し、主に、胃内容排出時間ならびに薬物の胃および腸粘膜の分解酵素に暴露される時間の長さに依存している。LDを単独で摂取した場合には、腸粘膜、小腸内微小フロラおよび肝臓において、L−アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)によりDAに代謝され、悪心、嘔吐および食欲消失のような副作用を引き起こす。カルビドパは脳の外側のAADCを阻害し、より多くのLDが、悪心、嘔吐および食欲消失を引き起こすことなく、脳内に移行することを可能にする。
【0003】
シネメット(SINEMET)TM(ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社)は、CD (10−25mg)
およびLD (100−250mg)を含有する迅速放出型経口錠剤である。この錠剤はセルロース、ステアリン酸マグネシウムおよびデンプンを含む。エンド社は同じ規格に合致する製品を製造している。アタメット(ATAMET)(R)(エラン社)は、CD (25mg)、LD (100−250mg)、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、アルファ化デンプンおよびコーンスターチを含有する迅速放出型錠剤である。ピュアパック社は同じ規格に合致する製品を製造している。パルコパ(PARCOPA)TM(シュワルツ社)は、CD、LD、アスパルターム、クエン酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、微結晶性セルロース、重炭酸ナトリウムおよびミント香味剤を含有する口内放出型錠剤である。カルビドパ/レボドパのジェネリックの迅速放出型錠剤はまたサンド社およびテバ社から入手可能である。これらの錠剤は全て制御放出型錠剤ではない。
【0004】
「ウェアリングオフ(wearing−off)」および「オン−オフ(on−off)」現象が、パーキンソン病のLD−CDによる長期治療において主要な問題として現れてきている。併用治療を開始して2から5年以内に、疾患の進行に従ってある種の制限が明らかになってくるようになり、各投与から得られる恩恵も縮小し(「ウェアリングオフ効果」)、そしてある患者では、一日の内に何回も生じうる運動可能な状態と運動不能な状態の間での予想できないえ変動がみられる(「オン−オフ効果」)。「オン」期間は通常高いかまたは増加しつつある血漿LD濃度と関連しており、そしてしばしば異常な不随意運動、すなわち運動障害(dyskinesias)を含む。「オフ」期間は低いかまたは低下しつつある血漿LD濃度および動作緩慢性(bradykinetic)のエピソードと関連している。「ウェアリングオフ」および「オン−オフ」現象の発生を減少させるための試みの中で、制御放出型経口投与の併用が導入された。その例には、シネメットTM CR(または、ナコム(NACOM)TM)が挙げられ、これはCD (25−50mg) とLD (100−200mg)を含有する延長放出型経口錠剤である。これは約3〜6時間にわたって薬物を放出し(医師用添付文書集、第57版、2003年、第1111頁、この開示は参照により本明細書に組み込まれる)、この期間は患者間で変動することを示す。この錠剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、ステアリン酸マグネシウム、および赤色酸化第二鉄を含有する。このシネメットCR錠剤は、重合体を基剤とした薬物送達系であり、徐々に浸食されながらカルビドパとレボドパの放出を制御する。25−100 (CD−LD) 錠剤および50−200 (CD−LD) 錠剤はそれぞれ薬物を1対4の質量比で含有している。シネメットCRの投与間隔は、覚醒している日中には約4〜8時間だが、必要に応じてより頻繁にそしてより高い用量で投与できる。シネメットCRは即時放出型シネメットと組み合わせて投与することができる。しかしながら、即時放出型シネメットと比べて、シネメットCRを投与されている患者は、より運動障害の発症が増加する可能性がある。Dempski 等(Neurology (1989); 39(Suppl.2):20−4)は、シネメットCRの浸食制御または拡散制御放出型製剤の薬剤設計と開発についての試験結果を開示している。米国特許第4,900,755号に引用された臨床試験のデータは、制御放出型形態では、従来法の組み合わせと比較してより少ない一日用量により、有効な抗パーキンソン病作用が得られたことを示している。関連する米国特許第4,832,957号は、「水溶性ヒドロキシプロピルセルロース重合体の5〜25mg、および水に難溶性のポリ酢酸ビニル−クロトン酸共重合体の2〜50mを含有する重合体ビークル」を含むマトリクス錠剤を開示している。関連する米国特許第4,983,400号 は、ポリメタクリル酸メチル2〜120mgの重合体ビークル中にCD 5〜300mgとLD 20〜1200mgの均一な分散物から実質的になる、CDとLDの制御放出のための制御放出型固体経口投与製剤を開示している。この製剤には、放出速度制御重合体としてポリ(メチルメタクリル酸)を含む。
【0005】
CD (25−50mg) とLD (100−200mg) を含有するジェネリックの延長放出型錠剤が、ミラン社、KVファーマ社、インパクックス・ラボラトリーズ社、およびトルファーム社から販売されている。カナダの製薬企業であるアポテックス社は、レポドパとカルビドパの制御放出型製剤(アポ−レボカルブCR錠剤)を販売しており、この製剤には徐々に浸食されながらLDとCDの放出を制御する重合体を基剤とした薬物送達系が含まれている。
【0006】
LDとCDの即時放出型および持続放出型との組み合わせに関して、長期間評価中である。Cedarbaum等 (J Neural Transm Park Dis Dement Sect (1990), 2(3):205−13) は、制御放出型レボドパ/カルビドパ(シネメットCR)による長期治療の結果を、標準的なシネメットと比較して開示している。この試験では、ほとんどの患者において抗パーキンソン病効果の発現を早くするために標準的なシネメットが毎日少なくとも1用量必要であること、そしてシネメットCRがパーキンソン病における運動応答変動の長期的な管理において有用な併用剤であることが示されている。LeWitt等(Neurology (1992); 42(suppl 1):29−32)は、持続放出型LDの薬物動態学的考察による臨床試験を開示している。この著者等は、パーキンソン患者における「オン」時間の改善のための最良の治療方針は、従来型のシネメットおよびシネメットCRとの併用であり、従来型のシネメットは追加抗原投与(booster dose)としてそしてシネメットCRはより持続する効果のためであると結論付けている。Stocchi等(Clin Neuropharmacol (1994), 17 Suppl 2:S7−13)は、持続ドパーミン性刺激の臨床的意義を開示している。この試験は、標準型のシネメットとシネメットCRの併用が、「オン」の相までの非常に短い潜伏時間を伴う、より延長された臨床効果を保証することを示している。
【0007】
PCT国際特許公開WO 94/06416は、水性液体と接触した場合に膨潤または可溶化する重合体物質を含む即時放出型または制御放出型製剤を有する、1またはそれ以上の薬物を含有する第1層(ここで、該重合体物質は、架橋ポリビニルピロリドン、低分子量および中分子量のヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプン、メタクリル酸カリウム−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアルコール、デンプン類、微結晶性セルロース並びにβ−シクロデキストリンから成る群から選ばれる);ならびに、水性液体と接触した場合に膨潤もしくは浸食されるかまたはゲル化が可能な重合体物質を含む、遅延放出型製剤を有し、第1層と同じかまたは異なる1またはそれ以上の薬物を含有する第2層(ここで、該重合体物質は、分子量が1000から4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、分子量が2,000から2,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニル重合体、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、マンナン、キサンタン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、エチルセルロースおよびメチルセルロースから成る群から選ばれる);ならびに、該第2層を被覆する難透過性の障壁である第3層;から成る錠剤を開示している。発明者等は、連続した時間に異なった薬物を放出することが可能な医薬組成物を利用できることが、L−ドパの投与と同時にまたはその前に薬物のベンゼラジドまたはCDを投与するべき場合において有用だろうということ;そして、それにより末梢でのL−ドパからドパーミンへの変換が著しく減少し、次いで大量のL−ドパが全身循環および脳に到達し、そこでドパーミンへと変換して所望の治療効果を生むのであろうということを開示している。したがって、ずっと低いL−ドパの用量で高い治療効果を得、そして同時に副作用をより少なくすることができる。LDおよび/またはCDの例示された製剤は開示されてない。この錠剤は放出速度制御重合体を含む。
【0008】
PCT国際特許公開WO 99/17745は、経口投与のための制御放出型で一体型の系を開示している。この系は、崩壊性の層、浸食可能な層および膨潤層を含み、その内の2つは外層であり1つは中間層であり、それぞれの層には1またはそれ以上の薬物を含んでいる。一つの実施態様において、このシステムは、レボドパメチルエステル、CD、ユードララック(Eudralack)レッド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセルK15M)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP 50)、トリアセチン、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを含む膨潤層;ならびに、レボドパメチル塩酸塩、CD、メタ重亜硫酸カリウム、青色レーキ、パルミトステアリン酸グリセリン、乳糖、ポリビニルピロリドン(プラスドネットK29−32)、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを含む浸食可能な層;ならびに、レボドパメチル塩酸塩、CD、ユードララックイエロー、ポリビニルピロリドン(プラスドネットK29−32)、微結晶性セルロース(Avicel PH102)、クロスカルメロースナトリウム、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを含む崩壊性の層;を含む。Bettini 等(Eur J Pharm Biopharm 2002 Mar; 53(2):227−32)は、レボドパメチルエステルとCDの水膨潤性層、水浸食性層、および水崩壊性層を含む、3層のマトリクス錠剤を開示している。この錠剤には放出速度制御重合体が含まれている。この3層は異なった相対的位置で一体型マトリクス中に組み込まれている。一つの構成では、この錠剤は早期のLD血漿ピークを与えることで、朝のオン−オフ変動を減少させるために有用である。他の構成では、この錠剤は薬物の延長放出を与えることにより投与末期の低下を防止することで、午後の投与に関しても有用だろう。
【0009】
欧州特許第0253490号は、2つの重合体の混合物から成る重合体マトリクス中に均質に分散したLDとCDの製剤を開示しており、その重合体の一つはヒドロキシプロピルメチルセルロースのような水溶性の重合体であり、そしてもう一方は、ポリ酢酸ビニル/クロトン酸共重合体のような難水溶性の重合体である。この錠剤には放出速度制御重合体が含まれている。
【0010】
米国特許第4,361,545号は、水溶性が約1/5−1/500 (w/w)である薬物のゆっくりしたゼロオーダーでの放出のための、固形で経口投与用の医薬錠剤組成物を開示している。この製剤は、制御された表面浸食機構を介する錠剤表面からの活性成分放出の制御に基づいている。この錠剤は、水溶性が約1/1−1/40 (w/w)の表面制御化合物;水溶性が約1/1−1/10 (w/w)の浸食制御化合物;その化合物が医薬組成物のための崩壊剤としては無効な化合物量の表面活性化剤、経口組成物において製薬的に受容可能な界面活性剤、結合剤および金型壁潤滑剤、を必要としている。この錠剤には崩壊剤および界面活性剤が含まれている。
【0011】
米国特許第5,192,550号は、中枢神経系障害を治療するための、例えばLDおよび/またはCDのような薬物の投与用浸透圧デバイスを開示している。このデバイスは、製薬用薬物担体および100ナノグラムから700ミリグラムの薬物顆粒を含む、第一組成物を含む。
【0012】
米国特許第5,266,332号は、パーキンソン病の治療方法を開示しており、この方法には、抗パーキンソン病薬剤10ngから1200mg、および親水性重合体を含むコンパートメント中に薬物組成物を含む、浸透圧デバイスを患者に挿入することが含まれている。
【0013】
米国特許第5,532,274号および5,624,960号は、ポリビニルアルコールから成る重合体混合物を含む、短時間放出段階の間にLDとCDの制御型放出を行う製剤を開示している。
【0014】
米国特許第5,840,756号は、レボドパエチルエステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシビニル重合体を含有し、そしてLDの早期のバースト、続いてLDの持続レベルの維持を提供する、医薬組成物を開示している。この組成物には放出速度制御重合体が含まれ、そして場合によりさらにCDを含んでも良い。
【0015】
米国特許第6,117,453号は、非晶性形態ではないLDまたはCDのような活性成分、ポリエチレンオキシド、および、基礎成分以外の慣用の添加物から成る平衡物質(balance)を含む固形の医薬組成物を開示している。
【0016】
米国特許第6,217,905号は、抗パーキンソン病薬剤を患者に投与するための投与剤形を開示しており、この投与剤形には:(a)抗パーキンソン病薬剤0.10mgから750mg、ならびに、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンから成る群から選ばれる抗パーキンソン病薬剤のための医薬的に受容可能な担体、を含む組成物が含まれ、この投与剤形と接触する液体の存在下で、この組成物は分散可能な抗パーキンソン病治療剤を提供し;そしてこの投与剤形は:(b)24時間を越えて、単位時間につき速度制御された計量用量で投与するための、実質的に副作用のない、抗パーキンソン病薬剤を提供する。一つの実施態様でこの抗パーキンソン病薬剤はLDとCDの組み合わせである。特許請求の範囲は浸透圧デバイスに限定されなくても、これが例示されまたは記載された唯一の製剤の形態である。
【0017】
米国特許第6,238,699号およびそれに関連する米国特許第6,756,056号は、CD (25−75mg)、LD (100−400mg)、セルロースエーテル(80mg)、および微結晶性セルロースの持続放出型コア層を含む医薬錠剤を開示し、この持続放出型層はCD (10−25mg) およびLD (50−200mg)を含む即時放出型層でオーバーコートされており、この持続放出型および即時放出型層は薬物を含まない賦形剤層で分離されている。即時放出型カルビドパ−レボドパ層に隣接した持続放出型カルビドパ−レボドパ層から成る2層錠剤もまた開示されている。この錠剤には放出速度制御用重合体が含まれている。
【0018】
米国特許第6,372,254号は、経口投与に適した圧縮被覆錠剤を開示しており、これはLDのような活性薬剤と1またはそれ以上の重合体の圧縮混合物を含む即時放出型コンパートメントと、この即時放出型コンパートメントを実質的に覆うように圧縮被覆して形成した、延長放出型コンパートメントを含む錠剤であり、そして、活性薬剤、親水性重合体および疎水性物質の圧縮混合物を含む錠剤であって、この錠剤は活性薬剤のパルス型送達により中断される活性薬剤の一次放出(a first order release)を示す。この錠剤には放出速度制御重合体が含まれている。
【0019】
米国特許第6,531,153号は、親水性マトリクス中に分散した治療有効量のLDおよびCD、ならびに有機酸を含む医薬組成物を開示している。この親水性マトリクスは通常ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなゲル化物質を含む。他のゲル化成分、例えばポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンを、単独でまたは混合物としても使用することができる。この医薬組成物には放出速度制御重合体が含まれている。
【0020】
米国特許第6,607,751号および米国特許公開第20040009219号は、LDまたはCDのような医薬活性物質、微生物由来の多糖類、およびセルロースエーテルのような非架橋線形重合体を含む、制御放出型医薬デバイスを開示している。この発明の送達デバイスを経口ルートにより胃腸管へ投与した場合、水性環境と接触しそして水和してゲル状層を形成する。このデバイスは、所定の時間の間に医薬活性物質の持続型またはパルス型送達を提供する。医薬活性薬剤の放出の時間、均一性および連続性は、キサンタンガムおよびHPMCの相対的量を変えることによって適切に制御することができる。この製剤には放出速度制御重合体が含まれている。
【0021】
PCT国際特許公開WO 98/47491は、例えばLDおよびCDのような薬物の持続放出のためのマトリクス錠剤を開示している。しかしながら、この錠剤は、反対の湿潤性特性を有する2つの放出速度制御重合体を必要としている。
【0022】
米国特許公開第20030224045号は、即時放出型成分と制御放出型成分を有する医薬投与剤形を開示しており、ここで:a)即時放出型成分は、pH4、37℃の水性緩衝液の900mL中で50rpmの米国薬局方(USP)のパドル法に基づく測定により、該即時放出型成分のインビトロでの溶解速度が、30分後には約10%から約90%のLDが放出され、そして1時間後は約50%から約99%のLDが放出されるように、CDとLDを約1:2から約1:50の比で含み;b)制御放出型成分は、pH4、37℃の水性緩衝液の900mL中で50rpmの米国薬局方のパドル法に基づく測定により、該制御放出型成分のインビトロでの溶解速度が、1時間後には約10%から約40%の;2時間後には約25%から約60%の;4時間後には約40%から約75%の、そして約6時間後には約55%から約90%のLDが放出されるように、CDとLDを約1:2から約1:50の比で含み、このインビトロの放出速度はpH 1.6から7.2のpHには依存せず、そしてインビボで得られるLDの血漿レベルの最大値に、この投与剤形の投与後1から6時間の間に到達するように選択される。この医薬投与剤形は胃耐性制御放出型成分を含んではいない。
【0023】
米国特許公開第20030228360号は、即時放出型成分と制御放出型成分を有する医薬投与剤形を開示しており、ここで:a)即時放出型成分は、pH4、37℃の水性緩衝液の900mL中で50rpmの米国薬局方(USP)のパドル法に基づく測定により、該即時放出型成分のインビトロでの溶解速度が、15分後には約10%から約99%のLDが放出され、そして1時間後は約60%から約99%のLDが放出されるように、CDとLDを約1:1から約1:50の比で含み;b)制御放出型成分は、pH4、37℃の水性緩衝液の900mL中で50rpmの米国薬局方のパドル法に基づく測定により、該制御放出型成分のインビトロでの溶解速度が、1時間後には約10%から約60%の;2時間後には約20%から約80%の;そして約6時間後には約30%から約99%のLDが放出されるように、CDとLDを約1:1から約1:50の比で含み、そしてインビボで得られるLDの血漿レベルの初期の最大値に、この投与剤形の患者への投与後0.1から6時間の間に到達するように選択される。この医薬投与剤形はLDおよび場合によりCDを含有する制御放出型成分を含まず、そして即時または迅速放出型成分はCDのみを含有する。この医薬投与剤形には、胃耐性制御放出型成分は含まれていない。
【0024】
米国特許公開第20040013727号は、パーキンソン病治療用活性物質のような1またはそれ以上の活性物質を含有し、そして胃腸液に暴露したときに1またはそれ以上の該活性物質を延長放出し、この放出は実質的にイオン強度に依存しないという特徴を有する医薬親水性ゲル形成マトリクス製剤を開示している。この製剤には放出速度制御重合体が含まれている。
【0025】
米国特許公開第20040028735号は、医薬活性化合物(例えば、抗パーキンソン病薬剤から選択される化合物)の経口投与のための医薬製剤を開示しており、これには少なくとも1つの医薬活性成分の治療有効量の非被覆顆粒、場合により界面活性剤、場合により医薬的に受容可能なアルカリ化剤、ならびに少なくとも1つの水溶性結合剤および少なくとも1つの水不溶性結合剤の組合せ、を含有する錠剤コアを含み、これにより水溶性結合剤および水不溶性結合剤を用いて制御放出が達成される。この結合剤は、非毒性水溶性および水不溶性の結合剤のあらゆる医薬的に受容可能な組み合わせであって良く、その例には、以下の、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースのような水溶性重合体、および以下の、ポリメタクリル酸重合体(例えばユードラジットNE30D)のような水不溶性重合体が挙げられる。この製剤には放出速度制御重合体結合剤が含まれている。
【0026】
米国特許公開第20040166159号は、即時放出型および制御放出型成分を含む医薬投与剤形を開示しており、ここで該即時放出型成分および該制御放出型成分は、それぞれCDのようなAAAD阻害剤とLDを約1:1から約1:50の割合で含有しており;ここで該即時放出型成分は、15分後に少なくとも約10%のLDを放出し、そして1時間後には少なくとも約60%のLDを放出するインビトロ溶解特性を示し;ここで該制御放出型成分は、1時間後に約10%から約60%のLDを放出し、2時間後に約20%から約80%のLDを放出し、そして6時間後には少なくとも約30%のLDを放出するインビトロ溶解特性を示す。この投与剤形は場合によりカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤を含むことができる。この医薬投与剤形は、LDと場合によりCDを含有する制御放出型成分を含まず、およびCDのみを含有する即時または迅速放出型成分を含まない。
【0027】
LDとCDを含有する制御放出型投与剤形を開示する他の特許には、米国特許公開第2005/070608号(CDとLDの乾燥、固形、錠剤、または粉末製剤であり、液体と混合して安定な医薬生成物を形成することができる);PCT国際特許公開WO 05/041924(LDおよび/またはCDを含有する基質ならびにラウリル硫酸ナトリウムのような輸送部分を必要とする)、WO 03/084514(セルロースエーテルを必要とする)、WO 00/15197(即時放出型および制御放出型成分を必要とする)、WO 98/18610(押出し製剤を必要とする)、そしてWO 01/66081(放出速度制御物質としてショ糖脂肪酸エステルを必要とする);韓国特許公開第2003/056474号;ならびに、欧州特許公開第324,947号(ペレット化製剤を必要とする)、および欧州特許公開第253,490号(2つの重合体の重合体マトリクスを必要とするマトリクス制御放出型錠剤)が含まれる。
【0028】
従来技術の制御放出型錠剤には、マトリクス錠剤、層状錠剤、被覆錠剤、および浸透圧性デバイスが含まれ、これらは例外なく、CDとLDの制御放出を提供するために、放出速度制御重合体または重合体被覆を含む。しかしながら、これらの物質が含まれなければ、従来技術の錠剤は、CDとLDの迅速放出を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
放出速度制御重合体または被覆を含まないで、CDとLDの制御放出を与える制御放出型錠剤を提供することは、当該技術分野における改良となるだろう。そうした錠剤は現存の錠剤より簡単に製造することができ、そして放出速度制御重合体もしくは被覆またはそれらを製剤中に含有させるための条件によりCDとLDが劣化する可能性がなくなるだろう。現在使用できる経口用LD−CD ER投与剤形と比較して、低減された投与頻度、および/または朝にオフ状態にある患者により早い救済を与える経口投与剤形を提供するということもまた、当該技術分野における改良となるだろう。
【0030】
本発明は当該分野で知られている関連する投与剤形の欠点を克服することを目的としている。一つの局面で、本発明は、錠剤を水性媒体中においたときに1から4時間にわたって徐々にそして実質的に連続して放出されるLDとCDを含有する延長放出型固形医薬組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の特定の実施態様には、以下の発明、すなわち:1)この延長放出型組成物がLD、CD、有機酸および炭水化物または塩化ナトリウムを含有するもの;2)この延長放出型組成物が錠剤中に含まれているもの;3)CDがさらに錠剤中に迅速または即時放出型で含まれているもの;4)LDもまた錠剤中に迅速または即時放出型で含まれているもの;5)LDが錠剤中に遅延−延長放出型で含まれているもの;6)錠剤がさらに延長放出型組成物を覆う遅延放出型被覆、または制御放出型組成物中に遅延放出型物質を含み、それによりLDおよび/またはCDの延長放出が遅延時間により遅れるもの;7)錠剤が相当量の放出速度修飾重合体を含まないもの;8)制御放出型組成物が相当量の崩壊剤を含まないもの;9)制御放出型組成物が相当量の界面活性剤を含まないもの;および/または10)錠剤がさらにその美的な外観を改善するための仕上げまたは光沢被覆を含むもの、が含まれる。
【0032】
本発明の他の局面は、LD、および場合によりCD、延長放出型組成物;ならびにCDの即時または迅速放出型組成物を含み、それによりLDが錠剤を水性環境中に曝露した後に1から4時間にわたって徐々にそして実質的に連続して放出され、そしてCDが即時または迅速放出型組成物から約60分以内に放出されるような、LDの延長放出型投与剤形を提供する。
【0033】
本発明の他の局面は、腸溶性被覆に覆われたLD、および場合によりCDを含有する延長放出型組成物;ならびに、腸溶性被覆に覆われたLD−CDの組み合わせの即時または迅速放出型組成物を含み、この延長放出型組成物からのLDそして場合によりCDの放出が遅れ、次いで錠剤を水性環境中に曝露した後に1から4時間にわたって徐々にそして実質的に連続して放出され、そしてLD−CDの組み合わせ組成物がその放出開始後約60分以内に放出されるような、LDの遅延および延長放出型投与剤形を提供する。
【0034】
さらに本発明の他の局面では、LDおよびCD組合せ治療に応答する疾患、障害または症候群の治療方法を提供し、この方法は現在利用可能な経口用LD−CD ER投与剤形、例えばシネメットCRと比較してより少ない単位用量を経口的に投与する段階を含む。本発明の製剤はシネメットCRで観察されたものと比べてLD生体利用率が約10%から90%増加させることより、および/または本発明の製剤は同じ投与レベルで投与したときに全身循環(血漿)中のLDの平均滞留時間をシネメットCRにより提供されるものより約30%まで増加させて、それにより投与後約5から12時間まで最小治療閾値を超えて治療血漿レベルを維持することにより、この単位用量の必要量を減少させる、すなわち特定の臨床的な達成成果(endpoint)を達成するために要求される一日当りの単位用量の総数の減少を達成する。
【0035】
さらに本発明の他の局面では、LDおよびCD組合せ治療に応答する疾患、障害または症候群の治療方法を提供し、この方法は、投与後の最初の1時間の間にLD投与量の最初の15から40%を患者の胃中で放出する、LD−CD投与剤形を患者に経口的に投与する段階を含み、これにより同じ投与量を投与したときにシネメットCRで観察されたものと比較して、最小治療閾値を越えるより高いLDの血漿レベルを実現する。
【0036】
さらに本発明の他の局面では、約5と同じかまたはより小さいpHを有する胃腸管領域におけるCDの放出により、同じ治療上の利益を達成するためのシネメットCRの投与と比べて、CDの必要量が減少した経口投与剤形を提供し、そしてこれによりCDのGIでの吸収総量は、GI管中でその場での分解が最小となることによって、言い換えれば、CDを即時に吸収可能とすることによってpH5を超える溶液(胃媒体)への全て暴露が最小化されることで改善される。
【0037】
当業者には、本発明の他の様相、利点および実施態様は、以下の記載と付随する実施例を合わせて明らかになるだろう。
【0038】
図面の簡単な説明
以下の図面は本願明細書の一部でありそして本発明の特定の局面をさらに証明するために含まれる。本発明は、これらの図面の1またはそれ以上と、本明細書で示された特定の実施態様の詳細な説明と組み合わせて参照することにより、より良く理解できるであろう。
【0039】
図1は、実施例1および2の例示的な錠剤からのLDおよびCDのインビトロの放出特性を示している。
図2は、実施例8の例示的な錠剤からのLDおよびCDのインビトロの放出特性を示している。
図3は、実施例11の例示的な錠剤からのLDおよびCDのインビトロの放出特性を示している。
図4は、実施例12の例示的な錠剤からのLDおよびCDのインビトロの放出特性を示している。
図5は、実施例13に従って投与された実施例11の例示的な錠剤およびシネメットCRからの、LDの平均血漿濃度対時間曲線を示している。
図6は、実施例13に従って投与された実施例11の例示的な錠剤およびシネメットCRからの、CDの平均血漿濃度対時間曲線を示している。
【0040】
本発明は、運動関連疾患、障害または症候群に罹患した患者にLDとCDを経口投与するための錠剤を提供する。制御放出型のLDおよび制御および/または迅速放出型のCDを含む、経口投与可能な固形医薬組成物が提供される。この医薬組成物は場合により即時または迅速のLDを含む。
【0041】
本発明は以下に本明細書で提供された定義を参照してより良く理解できるだろう。
【0042】
本明細書で用いられる「医薬的に受容可能な」という表現は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー性反応、または他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するために適切な、化合物、物質、組成物および/または投与剤形を意味する。
【0043】
「治療的有効量」は、必要なまたは所望の治療反応を引き出すために十分な薬物の量または数量、または言い換えれば、患者に投与した場合に感知できる生物的反応を引き出すために十分な量を意味する。
【0044】
「即時放出」(immediately release; IR)は、いったん放出が開始してから数秒〜約30分以内の時間にわたって環境に活性薬剤を放出し、そして放出が水性環境に暴露した後1秒から約15分以内に開始することを意味している。即時放出型組成物は薬物を口腔空隙、食道および/または胃中に放出する。
【0045】
「迅速放出」(rapid release; RR)は、いったん放出が開始してから1〜59分の時間にわたって環境に活性薬剤を放出し、そして放出が、水性環境に暴露した後数分以内に、または水性環境に暴露した後の遅延時間終了後に、開始することを意味している。一般に、迅速放出型組成物は、この組成物が遅延放出型物質または遅延放出型被覆を含んでいなければ、経口投与後、薬物を胃、空腸または十二指腸中で放出する。そうした場合、この迅速放出型組成物は腸の上部、中間部および/または下部または大腸で放出するだろう。
【0046】
「延長放出」(extended release; ER)は、延長された時間(ずっと通してまたはその間に)、例えば1時間より長いかまたは等しい時間にわたって、投与剤形から環境への活性薬物の制御放出を意味する。本明細書で用いられる「延長放出」特性という用語は、製薬科学の技術分野で広く認められた定義を想定している。延長放出型投与剤形は薬物を実質的に一定の速度で延長された時間にわたって放出するか、または実質的に一定量の薬物を延長された時間にわたって漸増的に放出するだろう。「延長放出」という用語は、薬物放出に関していえば、「制御放出(controlled release)」、「引延放出(prolonged release)」、「持続放出(sustained release)」、または「遅延放出(slow release)」という用語を、これらの用語が製薬科学の技術分野で用いられているように、含む。
【0047】
「制御放出」(CR)は、約8時間から約12時間、16時間、18時間、20時間、1日、または1日を越える期間にわたる環境への活性薬物の放出を意味する。制御放出は水性環境に暴露した後数分以内に、または水性環境に暴露した後の遅延時間が終了した後に開始できる。
【0048】
「持続放出」(SR)は、この医薬組成物が投与された患者の血液または標的組織中の一定の薬物レベルを維持するための、活性薬剤の制御放出を意味する。
【0049】
本明細書で用いられる「投与剤形」は、本発明の医薬組成物を含有しそして患者(対象者)への経口投与に適している固形投与剤形である。
【0050】
「ゼロ次(zero−order)」放出特性は、単位時間につき薬物の一定量を放出する投与剤形の放出特性を特徴づける。「偽ゼロ次(pseudo−zero order)」放出特性はゼロ次放出特性に近似するものである。
【0051】
「一次(first order)」放出特性は、単位時間につき最初に負荷した薬物の一定割合を放出する投与剤形の放出特性を特徴づける。「偽一次(pseudo−first order)」放出特性は一次放出特性に近似するものである。
【0052】
遅延放出ではあるが制御放出または延長放出型の投与剤形は、薬物の遅延放出に続いて制御放出または延長放出を提供する投与剤形である。遅延放出は、投与剤形からの活性物質の放出が、従来型の即時放出製品より遅れた時間に引き起こすために修正されたすべての製剤技術を意味する。他の言葉では、薬物の制御放出の開始は、最初の時間により遅らされる。遅延時間は一般に約5分から10時間、または30分から5時間、または1時間から3時間である。
【0053】
本明細書で用いられる「放出速度制御被覆」という用語は、関連する組成物からの薬物の放出速度を制御して、薬物が延長時間にわたって実質的に連続して放出されるようにする、錠剤周囲の被覆を意味する。
【0054】
遅延放出被覆は、遅延放出被覆が薬物放出速度を制御しないため、放出速度制御被覆ではない。遅延放出被覆は、関連する組成物からの薬物の最初の放出を単に遅らせるだけである。本発明の医薬組成物には、制御放出型組成物または迅速放出型組成物からのCDおよび/またはLDの最初の放出を遅らせる遅延放出型被覆を含むことができる。本発明の医薬組成物には、また、制御放出型組成物または迅速放出型組成物中に、この遅延放出型物質が制御放出型組成物または迅速放出型組成物からのCDおよび/またはLDの最初の放出を遅らせるような遅延放出物質を含ませることもできる。
【0055】
「AUC」という用語は、投与の全区間にわたって台形ルールで計算された、血漿濃度対時間の曲線下の面積を意味する。
【0056】
「Cmax」という用語は、投与区間内に到達した薬物の最大血漿濃度を意味する。
【0057】
「Tmax」という用語は、投与剤形の投与後、薬物の血漿濃度が投与期間内に到達した薬物の最大血漿濃度に到達するまでに経過した時間を意味する。「より短いTmax」という表現によって、出願人は、他の投与剤形を用いた場合に検出されるであろう時点より早い時点での活性薬剤の吸収を意味する。
【0058】
本発明の医薬組成物は広い範囲の種々の賦形剤を含有することができる。適切な賦形剤の種類には、吸着剤、抗酸化剤、酸性化剤、アルカリ性化剤、緩衝剤、着色剤、矯味矯臭剤、甘味剤、錠剤抗付着剤、錠剤結合剤、錠剤希釈剤、錠剤直接圧縮賦形剤、錠剤崩壊剤、錠剤流動促進剤、錠剤潤滑剤、錠剤不透明化剤および/または錠剤光沢剤が含まれる。カプセル製剤で用いられる同様の賦形剤もまた本発明の医薬組成物中に含むことができる。
【0059】
本明細書で用いられる「アルキル化剤」という用語は、生産物の安定化のためのアルカリ性媒体を提供するために用いられる化合物を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、有機アミン塩基、アルカリ性アミノ酸およびトロラミン、ならびに当業者に知られたその他のものが含まれる。
【0060】
本明細書で用いられる「酸性化剤」という用語は、生産物の安定化のために酸性媒体を提供するために用いられる化合物を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、酢酸、酸性アミノ酸、クエン酸、フマル酸および他のα−ヒドロキシ酸、塩酸、アスコルビン酸、リン酸、硫酸、酒石酸および硝酸ならびに当業者に知られたその他のものが含まれる。
【0061】
本明細書で用いられる「吸着剤」という用語は、他の分子を物理的または化学的(化学吸着)手段でその表面上に保持することができる薬剤を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、粉末化および活性化した炭、ならびに当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0062】
本明細書で用いられる「抗酸化剤」という用語は、酸化を抑制しそれゆえに酸化過程により調製物が劣化することを防ぐために用いられる薬剤を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウムおよびメタ次亜硫酸ナトリウム、ならびに当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0063】
本明細書で用いられる「緩衝剤」という用語は、酸またはアルカリの希釈または添加によるpHの変動に抵抗するために用いられる化合物を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、一塩基性酢酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム無水物および二水和物、ならびに当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0064】
本明細書で用いられる「甘味剤」という用語は、調製物に甘味を与えるために用いられる化合物を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、アスパルテーム、デキストロース、グリセリン、マンニトール、サッカリンナトリウム、ソルビトールおよびショ糖、ならびに当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0065】
本明細書で用いられる「抗付着剤」という用語は、製造中に錠剤化機械中の穿孔装置および金型に錠剤製剤成分が付着することを防止する化合物を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール(PEG)、水素化植物油、鉱質油、ステアリン酸、ならびに当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0066】
本明細書で用いられる「結合剤」という用語は、顆粒中の粉末粒子の接着を引き起こすために用いられる物質を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、アカシア、ポリ(ビニルピロリドン)、圧縮可能な糖(例えば、NuTab)、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、ポビドン、アルファ化デンプン、トラガカント、デンプン、セルロース性物質(例えば、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム)、アルギン酸およびその塩、ポリエチレングリコール、グアーガム、多糖類、ベントナイト、糖類、転化糖類、ポロキサマー(プルロニックTM F68、プルロニックTM F127)、コラーゲン、アルブミン、非水性溶媒中のセルロース誘導体、それらの組み合わせ等が含まれる。他の結合剤には、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリプロピレン共重合体、ポリエチレンエステル、ポリエチレンソルビタンエステル、ポリエチレンオキシド、それらの組み合わせ、および当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0067】
本明細書で用いられる「希釈剤」または「充填剤」という用語は、錠剤およびカプセル剤の製造において、所望の容積、流動性、および圧縮特性を創出するために充填剤として用いられる不活性物質を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、乳糖、ショ糖、マンニトール、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、沈殿炭酸カルシウム、ソルビトールおよびデンプン、ならびに当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0068】
本明細書で用いられる「直接圧縮賦形剤」という用語は、直接圧縮錠剤製剤で用いられる化合物を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、二塩基性リン酸カルシウム(例えば、ジタブ(Ditab))および当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0069】
本明細書で用いられる「流動促進剤(glidant)」という用語は、顆粒の流動性を促進するために錠剤およびカプセル製剤で用いられる薬剤を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、コロイド性シリカ、トウモロコシデンプン、タルク、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状シリコン、シリコン水和ゲル、および当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0070】
本明細書で用いられる「潤滑剤」という用語は、圧縮または他の加工の間での摩擦を減少させるために、本発明の製剤で用いられる物質を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱質油、ステアリン酸、およびステアリン酸亜鉛、ならびに当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0071】
本明細書で用いられる「不透明化剤(opaquant)」という用語は、カプセル剤または錠剤被覆を不透明にするために用いられる化合物を意味することを意図する。単独でまたは着色剤と組み合わせて使用できる。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、二酸化チタン、タルクおよび当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0072】
本明細書で用いられる「光沢剤」という用語は、被覆錠剤に魅力的な光沢を与えるために用いられる化合物を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、カルナバ蝋、白蝋および当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0073】
本明細書で用いられる「崩壊剤」という用語は、固形塊が、より容易に分散しまたは溶解するより小さな粒子へと崩壊することを促進するために、固形投与剤形中で用いられる化合物を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、トウモロコシデンプン、ポテトデンプン、アルファ化およびそれらの修飾型デンプンのようなデンプン類、甘味剤、ベントナイトのような粘土類、微結晶性セルロース(例えば、アビセル)、カルボキシメチルセルロースカルシウム、セルロースポリアクリリンカリウム(例えば、アンバーライト)、アルギン酸塩、グリコール酸デンプンナトリウム;寒天、グアール、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、トラガカントのようなガム類;クロスポビドン、および当業者に知られたその他の物質が含まれる。
【0074】
本明細書で用いられる「着色剤」という用語は、固形(例えば、錠剤)医薬調製物に色を与えるために用いられる化合物を意味することを意図する。そうした化合物には、非制限的に例示すれば、FD&CレッドNo. 3、FD&CレッドNo. 20、FD&CイエローNo. 6、FD&CブルーNo. 2、D&CグリーンNo. 5、D&CオレンジNo. 5、D&CレッドNo. 8、カラメル、および酸化鉄、レッド、他のF.D. & C色素、ならびに、ブドウ皮抽出物、テンサイ赤色粉末、ベータ−カロチン、アンナト(annato)、カルミン、ウコン根、パプリカ等の天然着色剤、ならびに当業者に知られたその他の物質が含まれる。使用する着色剤の量は、所望により変えられるだろう。
【0075】
本明細書で用いられる「矯味矯臭剤」という用語は、医薬調製物に好ましい香味およびしばしば匂いを与えるために用いられる化合物を意味することを意図する。例示的な矯味矯臭剤には、合成香味油および矯味矯臭性芳香族化合物および/または天然油、植物、葉、花、果実からの抽出物等、およびそれらの配合物が含まれる。これらにはまた、シナモン油、冬緑油、ハッカ油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、杉葉油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油および桂皮油が含まれる。他の有用な香味剤には、バニラ;レモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツを含む柑橘油;ならびに、リンゴ、ナシ、モモ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、スモモ、パイナップル、アンズ等を含む果実精が含まれる。特に有用であることがわかった香味剤には、商業的に入手可能な、オレンジ、グレープ、サクランボおよびバブルガム香味剤ならびにそれらの混合物が含まれる。矯味矯臭剤の量は、所望の官能性効果を含む多くの因子に依存するだろう。矯味矯臭剤は、当業者の望むいかなる量でも存在できる。特別な香味剤はブドウおよびサクランボ香味剤ならびにオレンジのような柑橘類の香味剤である。
【0076】
本発明の医薬組成物はまた、錠剤コアまたは層の湿潤または崩壊を改善する、1又はそれ以上の広く知られた界面活性剤または共溶媒を用いても良い。
【0077】
可塑剤もまた、この組成物の被覆またはコアで用いられる重合体の性質および特徴を修正するために、この医薬組成物中に含ませることができる。本明細書で用いられる「可塑剤」という用語は、本発明中で用いられる重合体または結合剤を可塑化または軟化できる全ての化合物を含む。可塑剤は、重合体または結合剤の融点またはガラス転移温度(軟化点温度)を低下させることができなければならない。低分子量PEGのような可塑剤は、一般に、重合体の平均分子量を拡大し、そこでそのガラス転移温度または軟化点を低下させるために含まれる。可塑剤はまた、通常、重合体の粘度を低下させる。可塑剤は本発明の錠剤にいくつかの特定の有利な物理的特性を与えることが可能であろう。
【0078】
本発明で有用な可塑剤には、非制限的に例示すれば、低分子量重合体、オリゴマー、共重合体、油類、小有機分子、脂肪族ヒドロキシを有する低分子量ポリオール、エステル型可塑剤、グリコールエーテル、ポリ(プロピレングリコール)、多ブロック型重合体、単ブロック重合体、低分子量ポリ(エチレングリコール)、クエン酸エステル型可塑剤、トリアセチン、プロピレングリコールおよびグリセリンを含むことができる。そうした可塑剤にはまた、エチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよび他のポリ(エチレングリコール)化合物、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸ソルビトール、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸エチル、セバク酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチルおよびグリコール酸アリルも含むことができる。全てのそうした可塑剤はアルドリッチ社またはシグマ・ケミカル社のような供給元から商業的に入手することができる。本発明の製剤ではまた可塑剤の組み合わせが使用できることも意図されそして本発明の範囲に含まれる。PEGをベースにした可塑剤は、商業的に入手でき、または「Poly(ethylene glycol) Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications」(J.M. Harris,編;プレナム・プレス、ニューヨーク州)で開示されたような、様々な方法で作成することができ、その開示は参照により本明細書に導入されている。
【0079】
本発明の組成物はまた油類を含むことができ、その例には、ピーナッツ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油およびオリーブ油のような不揮発性油;オレイン酸、ステアリン酸およびイソテアリン酸(isotearic acid)のような脂肪酸;ならびに、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリドおよびアセチル化脂肪酸グリセリドのような脂肪酸エステルが挙げられる。これはまた、エタノール、イソプロパノール、ヘキサデシルアルコール、グリセロールおよびプロピレングリコールのようなアルコールと;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールのようなグリセロールケタールと;ポリ(エチレングリコール)450のようなエーテルと;鉱質油およびワセリンのような石油炭化水素と;水と、またはそれらの混合物と;医薬的に適切な界面活性剤、懸濁剤または乳化剤を加えるかまたは加えないで;混合することもできる。石鹸類および合成洗剤類もまた界面活性剤としておよび洗剤組成物の媒体として用いることができる。適切な石鹸類には、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、およびトリエタノールアミン塩が含まれる。適切な洗剤類には、カチオン性洗剤類、例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハロゲン化物、アルキルピリジニウムハロゲン化物、および酢酸アルキルアミン;アニオン性洗剤類、例えば、スルホン酸アルキル、スルホン酸アリールおよびスルホン酸オレフィン、硫酸アルキル、硫酸オレフィン、硫酸エーテルおよび硫酸モノグリセリド、およびスルフォスクシネート;非イオン性洗剤類、例えば、脂肪アミン酸化物、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリ(オキシエチレン)−ブロック−ポリ(オキシプロピレン)共重合体;ならびに、両性洗剤類、例えば、β−アミノプロピオン酸アルキルおよび2−アルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩;ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0080】
上記で列記した以外の様々な他の成分を、所望の活性薬剤の放出特性の最適化のために本発明の製剤中に加えることができ、それには、例示としてしかしそれには限定されないが、モノステアリン酸グリセリル、ナイロン、酢酸酪酸セルロース、d、l−ポリ(乳酸)、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、デンプン、誘導体化デンプン、アセチル化モノグリセリド、ゼラチンコアセルベート、ポリ(スチレン−マレイン酸)共重合体、グリコワックス、カスター蝋、ステアリルアルコール、パルミトステアリン酸グリセロール、ポリ(エチレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、メタクリル酸1,3−ブチレン−グリコール、ジメタクリル酸エチレングリコールおよびメタクリル酸水和ゲルが含まれる。
【0081】
医薬製剤の技術分野で用いられる化合物が一般に各種の機能または目的のために役立つことを、理解すべきである。したがって、本明細書中で言及された化合物が一度だけ述べられるか、または本明細書中で1つより多い用語を定義するために使用された場合は、その目的または機能は、言及された目的または機能のみに限定されると解釈されるべきではない。
【0082】
本発明の投与剤形は、製薬科学の技術分野で知られているいかなる形状または形態も想定できる。本発明のデバイスは、カプセル、カプレット(caplet)、丸薬、球状剤、錠剤、長円形錠剤、棒状剤、プレート剤、放物面回転体、楕円状回転体等であって良い。この投与剤形はまた、表面の刻印、刻み目、溝、文字および/または数字を、装飾、同定および/または他の目的のために含むことができる。
【0083】
この投与剤形は、所望の輝き、色、味覚または他の美的な特性を与えるために、当該分野で普通に実施されているような仕上げ被覆を含むことができる。仕上げ被覆を調製するために適切な物質は、当該分野で周知であり、そして引用した多数の参考文献の開示中で見出すことができ、そして参照により本明細書中に組み入れられる。
【0084】
即時放出型または迅速放出型組成物には、水溶性および/または浸食可能な不活性および非毒性物質を含み、これらは使用環境下において、少なくとも部分的に、および場合によっては実質的に完全に、可溶性または浸食可能である。例示的な物質は、Guittard等に対する米国特許第4,576,604号、およびGuittard等に対する米国特許第4,673,405号、およびFaour等に対する米国特許第6,004,582号、ならびに原本「Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets」 第I巻、第2版(A. Lieberman編集、1989年、マルセル・デッカー社)で開示されており、これらの関連する開示は参照により本願に組み込まれる。
【0085】
即時放出型または迅速放出型組成物での使用に適した物質には、例示としてしかしそれには限定されないが、カラゲーナン、フコイダン、ガティガム、トラガカント、アラビノガラクタン、ペクチン、およびキサンタンのような水溶性多糖類ゴム;アルギン酸ナトリウム、トラガカントナトリウム、およびガッテートガムナトリウムのような多糖類ゴムの水溶性塩;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースのような、アルキル部分が1〜7個の炭素の直鎖または分枝鎖である水溶性ヒドロキシアルキルセルロース;メチルセルロースのような、合成の水溶性および低分子量セルロースベースの薄膜形成剤、および、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシブチルメチルセルロースから成る群から選択されるもののようなそのヒドロキシアルキルメチルセルロース誘導体;クロスカルメロースナトリウム;カルボキシメチルセルロースナトリウムのような他のセルロース重合体;ならびに、当業者に知られた他の物質、が含まれる。他の物質には、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ゼラチンとポリビニルピロリドンの混合物、ゼラチン、グルコース、糖類、ポビドン、コポビドン、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(酢酸ビニル)共重合体が含まれる。通常の技術を有する技術者は、上記の物質が、例えそれらが同じ化学官能基を含んでいたとしても、放出速度制御物質ではないフィルム形成性重合体を包含することを理解するだろう。このことは、放出速度を制御しないフィルム形成性重合体が、通常、より高分子量である類似のフィルム形成性重合体に比べて、より低い分子量を有しているためである。
【0086】
医薬組成物で用いられる遅延放出型物質(被覆)は、第一外部液体中で限られた溶解性もしくは浸食性を有するか、または不溶性もしくは非浸食性であり、一方、第二外部液体中では可溶性および/または浸食性である。例えば、遅延放出型物質は、第一の使用環境の液体、例えば、胃液、酸性液体、または極性液体中で不溶性であり、そして第二の使用環境の液体、例えば、小腸液、実質的にpHが中性もしくは塩基性の液体、または非極性液体中で可溶性または浸食性であるだろう。多くの種類の他の重合体物質がそうした様々な溶解性の特性を有することが知られており、そして使用できる。そうした他の重合体物質には、例示としてしかしそれには限定されないが、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、ポリ(ビニルアセテート)フタレート(PVAP)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HP)、ポリ(メタクリレートエチルアクリレート)(1:1)共重合体(MA−EA)、ポリ(メタクリレートメチルアクリレート)(1:1)共重合体(MA−EA)、ポリ(メタクリレート−メチルメタクリレート)(1:2)共重合体、ユードラジトTM L−30−D (MA−EA, 1:1)、ユードラジトTM L−100−55 (MA−EA, 1:1)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、コアテリックTM (PVAP)、アクアテリックTM (CAP)、アクオアトTM (HPMCAS) およびそれらの組み合わせ、が含まれる。
【0087】
遅延放出型物質/被覆のための任意の重合体物質は、ポリ(ビニルピロリドン)・酢酸ビニル共重合体であり、例えば、BASF社から商標名コリドンVA64で供給される物質である。これは他の賦形剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ポビドンと混合でき(BASF社から商標名コリドンK30で供給される)、あるいはヒドロキシプロピルメチルセルロースと混合できる(ダウ社から商標名メトセルE−15で供給される)。この物質は、所望の溶液粘度に応じて、重合体の異なった濃度を有する溶液として調製できる。例えば、コリドンTM K 30の10% w/v水溶液は、20℃で約5.5−8.5cpsの粘度を有しており、メトセルTM E−15の2% w/v水溶液は、20℃で約13−18cpsの粘度を有している。
【0088】
遅延放出型組成物はまた、胃液に実質的に耐性でそして腸内放出を促進する他の適切な物質を含むこともできる。これらの物質は、胃内において、およびこの投与剤形が胃内に存在している間中、溶解もせず、崩壊もせず、またその構造を変えることもない。胃内においてそれらの完全性を維持する代表的な物質には、(a)ケラチン、ケラチン・サンダラック−トルー(sandarac−tolu)、ザロール(salol)(サリチル酸フェニル)、ザロール・安息香酸β−ナフチルとアセトタンニン、ペルーバルサムとザロール、トルーとザロール、マスチックガムとザロール、ステアリン酸とザロール、および、ザロールとセラック(shellac)から成る群から選ばれる1つ;(b)ホルマリン化タンパク質、ホルマリン化ゼラチン、およびホルマリン化架橋ゼラチンおよび交換樹脂から成る群から選ばれる1つ;(c)ミリスチン酸・水素化ヒマシ油・コレステロール、ステアリン酸・羊脂、ステアリン酸・バルサムオブトルー(balsam of tolu)、ステアリン酸・ヒマシ油から成る群から選ばれる1つ;(d)セラック、アンモニア化セラック、アンモニア化セラック・ザロール、セラック・羊毛脂、セラック・アセチルアルコール、セラック・ステアリン酸・バルサムオブトルー、およびセラック・ステアリン酸n−ブチルから成る群から選ばれる1つ;(e)アビエチン酸、アビエチン酸メチル、ベンゾイン、バルサムオブトルー、サンダラック、マスチックとトルー、およびマスチックとアセチルアルコールから成る群から選ばれる1つ;(f)メタクリル酸とメタクリル酸メチルエステルから合成されるアニオン性重合体、メタクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルの共重合アクリル樹脂、アルキルアクリル酸とアルキルアクリル酸アルキルエステルの共重合体;分子量150,000のメタクリル酸ジメチルアミノエチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、分子量が135,000のメタクリル酸−メタクリル酸メチルの50:50共重合体、分子量が135,000のメタクリル酸−メタクリル酸メチルの30:70共重合体、分子量750,000のメタクリル酸−メタクリル酸ジメチルアミノエチル−アクリル酸エチル、分子量1,000,000のメタクリル酸−メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル、および分子量550,000のアクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル、により表されるアクリル樹脂;ならびに、(g)セルロースアセチルフタレート、セルロースジアセチルフタレート、セルローストリアセチルフタレート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ナトリウムセルロースアセテートフタレート、セルロースエステルフタレート、セルロースエーテルフタレート、メチルセルロースフタレート、セルロースエステル−エーテルフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレートのアルカリ塩、セルロースアセテートフタレートのアルカリ土類塩、セルロースアセテートフタレートのカルシウム塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートのアンモニウム塩、セルロースアセテートヘキサヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、ポリビニルアセテートフタレート(例えば、カラコン(Colorcon)社のスレテリック(SURETERIC)TM)、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジアルキル(ここで、アルキルは1〜7個の直鎖または分枝鎖のアルキル基)、フタル酸アリール、ならびに当業者に知られたその他の物質、から成る群から選ばれるものを含む1つの腸溶性組成物;からなる群から選択される1つを含むことができる。
【0089】
溶質を錠剤中に加えることもできる。これらの溶質は、薬物の懸濁化または溶解のいずれかを助けることができる。例となる溶質には、有機および無機化合物、例えば、塩類、酸、塩基、キレート化剤、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、亜硫酸ナトリウム、重炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、d−マンニトール、尿素、酒石酸、ラフィノース、ショ糖、α−d−乳糖一水和物、グルコース、それらの混合物、および当業者に周知の同様のまたは等価のその他の物質が含まれる。
【0090】
カルビドパ(CDP;L−α−ヒドラジノ−α−メチル−β−(3,4−ジヒドロキシベンゼン) プロパン酸一水和物)は、医薬用グレードの原末量を、テバ・ファーマシュティカル・インダストリー社(ネタニア、イスラエル)、およびディビス・ラボラトリー社(アンドラ・プラデシ、インド)のような供給元から商業的に入手できる。本明細書中で用いる「CD」という用語は、この薬物の無水物または水和物の結晶性または非晶性形態を意味することを意図する。
【0091】
レボドパ(LP;L−α−アミノ−α−メチル−β−(3,4−ジヒドロキシベンゼン) プロパン酸)は、医薬用グレードの原末量が、ディビス・ラボラトリー社(アンドラ・プラデシ、インド)およびエージス・ファーマシュティカルス社(ブダペスト、ハンガリー)のような供給元から商業的に入手できる。本明細書中で用いる「LD」という用語、この薬物の無水物または水和物の結晶性または非晶性形態を意味することを意図する。
【0092】
図1は、実施例1および実施例2でそれぞれ開示されたように製造された製剤の放出特性を、シネメットCRと比較して、図示している。このインビトロ試験は、米国薬局方(USP)II型溶解装置(パドル)を用いて、0.1N HClの900mL中で、分当り50回転の固定した撹拌速度で、37±0.5℃の温度に維持しながら、行われた。この試料は高速液体クロマトグラフィーで試験された。実施例1および2の2つの錠剤のCD放出特性は以下に記載されている。この時間は、錠剤を最初に水性環境下に置いた時点から測定された。
【表1】

【0093】
実施例1および2の2つの錠剤のLD放出特性は以下に記載されている:
【表2】

【0094】
シネメットCR(50mg CD−200mg LD)の2つの錠剤のLDとCD放出特性は以下に記載されている:
【表3】

【0095】
標準的な溶解アッセイ法で、値は用いた条件に依存して変動する。さらに、この値は、各所定の時点において、±10%、±5%または±3%の絶対標準偏差(STD)を有するだろう。
【0096】
薬物の溶解特性はその投与剤形を作成するために用いた特定の製剤に依存して異なるだろう。実施例1および実施例2の投与剤形は、LDとCDの組み合わせを含む単一ER組成物を含み、この組成物は放出速度制御重合体、および崩壊剤は含まない。これらの投与剤形は、放出速度制御被覆も、IRもしくはRR被覆も含まない。実施例3の投与剤形は、LDを含むER組成物(これは放出速度制御重合体および崩壊剤は含まない)、このER組成物の周囲を囲む腸溶性被覆(この被覆はER組成物からの活性薬剤の放出を遅らせる)、およびLDとCDの組み合わせを含むIRまたはRR被覆を含む。実施例4の投与剤形は、LDとCDの組み合わせを含むER組成物(これは放出速度制御重合体および崩壊剤は含まない)、および、このER組成物の周囲を囲むIRもしくはRR被覆を含み、この被覆にはCDが含まれている。実施例5の投与剤形は、LDを含むER組成物(この組成物は放出速度制御重合体および崩壊剤は含まない)、およびCDを含むIRまたはRR被覆を含み、この被覆はER組成物の周囲を囲む。実施例6の投与剤形は、積層配置で、LDとCDの組み合わせを含むER層(このER層は放出速度制御重合体を含む)、およびCDを含むIRまたはRR層を含む。実施例7の投与剤形は、積層配置で、LDとCDの組み合わせを含むER層(このER層は放出速度制御重合体および崩壊剤は含まない)、およびCDを含むIRまたはRR層を含む。実施例8の投与剤形は、LDを含むER層(この層は放出速度制御重合体を含む)、およびLDとCDの組み合わせを含むIRまたはRR層を含む。実施例9の投与剤形は、LDを含むERコア組成物(このコアは放出速度制御重合体を含む)、このコアを囲んでいる腸溶性被覆(この被覆はこのコアからの活性薬剤の放出を遅らせる)、およびLDとCDの組み合わせを含むIRまたはRR被覆(ここでこのIRまたはRR被覆はER被覆の周囲を囲んでいる)を含む。実施例10の投与剤形はERコア組成物を含み、この組成物はLDとCDの組み合わせ(このコアには放出速度制御重合体および崩壊剤は含まない)、このコアの周囲を囲みそしてコアからの活性薬剤の放出を遅らせる腸溶性被覆、およびLDとCDの組み合わせを含むIRまたはRR被覆(ここでこのIRまたはRR被覆は腸溶性被覆の周囲を囲んでいる)を含む。実施例11の投与剤形は、積層配置で、LDと放出速度制御重合体を含むER層、およびCDを含むIRまたはRR層を含む。実施例12の投与剤形は、積層配置で、LDとCDの組み合わせを含むER層(このER層は放出速度制御重合体および崩壊剤は含まない)、およびLDとCDの組み合わせを含むIRまたはRR層を含む。
【0097】
特定のいかなる理論にも拘束されることを望むことなく、本発明の経口用投与剤形は、現在商業的に入手可能な経口用LD−CD ER投与剤形、例えばシネメットCRと比べて、胃腸
管のレベルで、LDの吸収の前に、最初に早期のAADC阻害作用を生じさせるCDの放出を提供することで、投与回数を減少させられるだろうと信じられている。その結果、一旦AADCが完全に阻害されれば、CDより後で放出されたこのLDが吸収部位および全身循環に到達するだろう。CDの作用時間の同期化は、シネメットCRで見られるものと比べて、早期吸収LDの生物的利用性の約10%から90%の改善を与えるだろう。この目標を達成するために設計された投与剤形が実施例4、5、6、7および11に開示されており、これにはLDのER製剤および場合によりCDとの組み合わせのER製剤、ならびにCDのみを含むIRまたはRR製剤が含む。
【0098】
特定のいかなる理論にも拘束されることを望むことなく、本発明の経口用投与剤形は、また、患者が睡眠中に生じる血漿LD濃度の減少により引き起こされる朝のオフ状態の患者のより速やかな救済をもたらすだろうと信じられている。パーキンソン病の患者は、通常、朝はオフ状態で目覚め、そして快く機能する前に効果を発現させるためにLDの朝の投与を待たなければならない。しかしながら、実施例4、5、6、7および11で開示された同期化された投与剤形は、胃内で最初の1時間に溶解したLD投与量の最初の15から40%を吸収のために迅速に利用可能にし、現在利用可能ないかなる経口用LD−CD ER投与剤形よりも前に、治療的閾値より高い血漿LDレベルを与え、そのためにこの同期化された投与剤形はこの症状を最小化にすることを助ける。この目標を達成するために設計された他の投与剤形が実施例3、8、9、10および12に開示されており、これらの各投与剤形には、LDの場合によってはCDを組み合わせたERコア製剤、場合によりこのコアからの活性薬剤の放出を遅らせる腸溶性被覆、ならびにLDとCDの組み合わせを含みそしてこのコアを囲むIRまたはRR被覆製剤が含まれている。
【0099】
特定のいかなる理論にも拘束されることを望むことなく、本発明の経口用投与剤形は、現在入手可能な経口用LD−CD ER投与剤形と比べて、全身循環中のLDの平均滞留時間を約30%まで増加させ、それにより投与後約5から12時間まで血漿レベルを治療用閾値より高く維持することによって、投与回数を減少させられるだろうと信じられている。この目標を達成するために設計された投与剤形は、遅延と延長の組み合わせ放出型製剤中にLDとCDの総投与量の少なくとも約40%を含み、これによりpH 5.0またはそれ以上で活性薬剤の放出を開始し次いで吸収時間枠内の1.0から2.5時間で完了し、そしてLDとCD投与量の残りは即時または迅速放出型製剤中に存在している。これらの投与剤形は、最初の血漿濃度ピーク(パルス)および、血漿濃度が治療用閾値より下に低下する前に、第二の血漿濃度ピーク(パルス)を提供し、このことにより、特にシネメットCR投与剤形と比べて、血漿中にLDの治療レベルが存在する全体の時間を延長するだろう。第二の血漿濃度ピークは、先に吸収されたCDによりAADC阻害の増加をもたらし、そのために、入手可能な延長放出型製品、特にシネメットCRと比べて、生物的利用性が少なくとも20%増加するだろう。この目標を達成するために設計された投与剤形は、実施例3、9および10で開示されており、それぞれの投与剤形には、LDのERコア製剤、このコアを囲む腸溶性被覆(この被覆はコアからの活性薬剤の放出を遅らせる)、および、この腸溶性被覆を囲みそしてLDとCDの組み合わせを含むIRまたはRR製剤を含む。さらに、これらの製剤が食物と共に摂取された場合、この食物は、胃内容排出時間を増加させるために第二のピークのさらなる遅延をもたらし、それによりCDが治療レベルで血漿中に存在する全体の時間をさらに延長するだろう。
【0100】
さらに、本発明の経口用投与剤形はまた、約5より低いか等しいpHを有する胃腸管領域中にCDを放出し、それによりそのインビボでの分解を減少させてCDの吸収を改善することにより、特定の臨床的達成成果を得るために必要なCDの総経口一日用量を、シネメットCRの投与と比べて、減少させられるだろう。この目標を達成するために設計された投与剤形は実施例3、5、8、9および11に開示されており、各投与剤形にはLDのみを含むER製剤、場合により遅延型被覆、およびCDと場合によりLDの組み合わせを含むIRまたはRR被覆製剤を含む。
【0101】
錠剤中のCDとLDの質量比の範囲は、1:1から1:50まで変えることができる。この比は、治療すべき障害および単位投与当りの薬物量に依存して変えることができる。一つの実施態様で、CDとLDの質量比は約1:4である。
【0102】
実施例13に記載されたように実施された薬物代謝試験は、シネメットCR(参照、R)と比較して、本発明の実施例11の投与剤形(試験、T)が、LDに関して、生物学的に等価のAUC、より高いCmax(T:R, p<0.05)およびより短いTmax(T:R, p<0.05)を与えることを示した。パラメータ値は以下の表に開示されている。
【表4】

【0103】
薬物代謝試験は、また、シネメットCR(参照、R)と比較して、本発明の実施例11の投与剤形(試験、T)が、カルビドパに関して、生物学的に等価のAUCおよびCmax、ならびにより短いTmax(T:R, p<0.05)を与えることを示した。パラメータ値は以下の表に開示されている。
【表5】

【0104】
LDの延長放出およびCDの即時または迅速放出を含む本発明の2層錠剤は、現在商業的に入手可能な経口用LD−CD ER投与剤形、例えばシネメットCRと比べて、23.66%と63.46%の間のCmaxの増加により示される、レボドパの吸収の増加、およびより早い時点で生じるレボドパとカルビドパの血漿レベルにより示される、言葉を変えればより短いTmaxにより示される、より迅速な作用発現を提供する。実施例13にしたがって投与した実施例11の例示的な錠剤およびシネメットCRによる、LDとCDの平均血漿濃度対時間の曲線を、それぞれ図5および6に示す。
【0105】
現在商業的に入手可能な経口用LD−CD IR投与剤形、例えばシネメットと比べて、LDの延長放出およびCDの即時または迅速放出を含む本発明の2層錠剤の利点は、LDの迅速な血漿レベルを与えるが作用持続時間が短い既存の即時放出型投与剤形に比べて、LDの信頼できる迅速な血漿レベルとより長い作用持続時間を提供することである。
【0106】
本発明の医薬組成物は、CDとLDの組み合わせを用いて治療可能であることが知られている、あらゆる疾患、症候群または他の障害での不随意運動を治療するために使用される。例となる疾患、症候群および障害には、パーキンソン病、神経系の傷害または病気により引き起こされるパーキンソン病様障害、脳炎後パーキンソニズム、一酸化炭素中毒および/またはマンガン中毒による症候性パーキンソニズム、複合型局所疼痛症候群での震え、幼児視力減退、外傷性脳傷害での前頭葉機能障害、中脳出血後の運動障害、閉じ込め症候群、錐体外路系症候群を伴った成人性フェニルケトン尿症、進行性核上性麻痺、下肢静止不能症候群、ドパーミン欠乏症候群、エトレチネート治療に関連した体軸筋硬直、晩発性ジストニー(運動障害)、L−ドパ誘発性運動障害、遺伝性錐体外路系疾患、運動不能硬直性症候群、捻転ジストニアの硬直性型、ハレボルデン・スパッツ病、多動症候群、および、この薬物の組み合わせにより治療可能であることが発見された他の疾患、症候群または障害、が含まれる。
【0107】
本発明はまた、アマンダジン(AMN)、LDおよび場合によりCDを含有する投与剤形を開示する。実施例14は、例示的な遅延および延長放出型錠剤を開示し、これは、LDとCDの腸溶性被覆延長放出型コアならびにAMN、LDおよびCDを含有する即時放出型外部被覆からの、LDとCDの遅延および延長放出を提供する。実施例15は、LDとCDの延長放出、およびAMNとCDの即時または迅速放出を提供する例示的な2層錠剤を開示する。
【0108】
アマンタジンは、後期のパーキンソン病患者に、運動障害を治療するレボドパへの付随(付加的または組み合わせ)療法として投与できる。例えば、Vergez等へのPCT国際特許公開WO04/087116は、運動変調(motor fluctuations)に罹患している患者のUPDRSスコアにおける、アマンタジンとシタロプラムの組み合わせの効果を評価するために実施した二重盲験での第二相比較試験を開示している。この試験では、レボドパに付加したアマンタジンによる治療が、変調患者の運動変調関連の全てのスコア(UPDRSおよびAIMS)において顕著な改善をもたらした明白な証拠を示している。したがって、本発明はまた、AMN、CDおよびLDを含む投与剤形を経口的に投与することによるパーキンソン病の治療方法を提供し、アマンタジン、LDおよびCDを組み合わせた放出特性は、AMNを含まないシネメットCRのような投与剤形の投与と比べて、この投与剤形が投与された患者に対して改善された臨床的な利点をもたらし、この改善された臨床的な利点は、改善された生物的利用性および/またはより少ない副作用(吐き気、嘔吐および/または食欲消失)でありうる。
【0109】
以下の実施例は網羅的なものではなく、本発明で予期される多くの実施態様のほんの少数の例を示しているだけであると考えるべきである。本明細書で記載された方法を、本発明の錠剤を製造するために以下にたどることができる。
【実施例】
【0110】
〔実施例1〕
以下の方法は、放出速度制御重合体および放出速度制御被覆を含まないで、LDとCDの延長放出を与える、例示的な圧縮延長放出型錠剤の製造のために用いられた。
【表6】

【0111】
レボドパ、CDおよび炭水化物は最初に、991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分けられ、そして次に、あらかじめ0020篩付のハンマーミルを用いて粉砕された有機酸と、混合型造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成した。造粒工程は、この粉末混合物に抗付着剤と精製水を含有する造粒用溶液を、連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とした。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させた。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕した。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた潤滑剤を加えて、約5分間混合した。この最終的な混合物を錠剤化し、錠剤を得た。
【0112】
〔実施例2〕
以下の方法は、放出速度制御重合体および放出速度制御被覆を含まないで、LDとCDの延長放出を与える、例示的な圧縮延長放出型錠剤の製造のために用いられた。
【表7】

【0113】
LDとCDは最初に、991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分けられ、そして次に、あらかじめ0020篩付のハンマーミルを用いて粉砕された有機酸および塩化ナトリウムを、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成した。造粒工程は、この粉末混合物に抗付着剤と精製水を含有する造粒用溶液を、連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とした。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させた。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕した。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた潤滑剤を加えて、約5分間混合した。この最終的な混合物を錠剤化し、錠剤を得た。
【0114】
〔実施例3〕
以下の方法は、遅延放出型被覆の存在下で、LDの遅延および制御放出を与え、ならびに外部被覆中でLDとCDの即時放出を与える、例示的な圧縮延長放出型錠剤の製造のために用いられる。
【表8】

【0115】
ERは延長放出を意味すると理解される。RRは迅速放出を意味すると理解される。IRは即時放出を意味すると理解される。DRは遅延放出を意味すると理解される。
【0116】
炭水化物を含有するコアは実施例1で開示されたように製造されるが、CDは含んでいない。塩化ナトリウムを含有するコアは実施例2で開示されたように製造されるが、CDは含んでいない。次いで、腸溶性被覆組成物を以下のように調製する:トリアセチンを精製水中で混合し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを加えて完全に混合し、重合体懸濁液を作成し、この懸濁液を有孔平皿型コーター中でコア上に噴霧して、被覆コアを得る。
【0117】
外部被覆組成物は以下のようにして調製する:フィルム形成重合体、可塑剤、充填剤および崩壊剤を精製水中で混合し、この混合液のpHを6〜8の間に二塩基性リン酸ナトリウムで調整し、次いでLDとCDをこの混合物へ加えて、完全に混合して重合体混合物を作成し、この混合物を有孔平皿型コーター中で被覆コア上に噴霧して、最終的な錠剤を得る。
【0118】
〔実施例4〕
以下の方法は、放出速度制御重合体および放出速度制御被覆を含まないで、LDとCDの制御放出を与え、ならびにCDの即時放出を与える、例示的な延長放出型錠剤の製造のために用いられる。
【表9】

【0119】
炭水化物を含有するコアは実施例1で開示されたように製造される。塩化ナトリウムを含有するコアは実施例2で開示されたように製造される。外部被覆組成物は以下のようにして調製する:フィルム形成重合体、可塑剤、充填剤および崩壊剤を精製水中で混合し、この混合液のpHを6〜8の間に二塩基性リン酸ナトリウムで調整し、次いでCDをこの混合物へ加えて、完全に混合して重合体混合物を作成し、この混合物を有孔平皿型コーター中で被覆コア上に噴霧して、最終的な錠剤を得る。
【0120】
〔実施例5〕
以下の方法は、放出速度制御重合体および放出速度制御被覆を含まないで、LDの制御放出を与え、ならびにCDの即時放出を与える、例示的な延長放出型錠剤の製造のために用いられる。
【表10】

【0121】
LDと炭水化物を含有するコアは実施例1で開示されたように製造される。LDと塩化ナトリウムを含有するコアは実施例2で開示されたように製造される。外部被覆混合物は実施例4で開示されたように製造される。この混合物を有孔平皿型コーター中で被覆コア上に噴霧して、最終的な錠剤を得る。
【0122】
〔実施例6〕
以下の方法は、LDとCDの延長放出を与え、およびCDの即時または迅速放出を与える、例示的な2層錠剤の製造のために用いられる。
【表11】

【0123】
延長放出型層組成物は以下のように製造される:LD、CDおよびCR重合体は最初に、991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分けられ、そして次に、あらかじめ0020篩付のハンマーミルを用いて粉砕された充填剤および着色剤と、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成する。次いで、造粒工程は、この粉末混合物に精製水を連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とする。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させる。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕する。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた流動促進剤と潤滑剤を加えて、約5分間混合し、この延長放出型層を製造するための顆粒を得る。
【0124】
即時または迅速放出型組成物は以下のように製造される:LD、充填剤、結合剤、および崩壊剤の半分量を最初に991 μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分け、そして次に、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成する。造粒工程は、この粉末混合物に水を、連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とする。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させる。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕する。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた流動促進剤、潤滑剤、および崩壊剤の残り半分量を加えて、約5分間混合する。
【0125】
次いで、延長放出型層組成物および即時または迅速放出型層組成物を以下のように圧縮する:延長放出型組成物の(120−260)mgを鋳型に加えて詰め込み、そして即時または迅速放出型組成物の(60−260)mgを上乗せし、次いでこの2つの組成物を圧縮し、2層錠剤を得る。
【0126】
〔実施例7〕
以下の方法は、放出速度制御重合体を含まないで、LDとCDの延長放出を与え、およびCDの即時または迅速放出を与える、例示的な2層錠剤の製造のために用いられる。
【表12】

【0127】
延長放出型層組成物は以下のように製造される。LDおよびCDは最初に、991 μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分けられ、そして次に、あらかじめ0020篩付のハンマーミルを用いて粉砕された酒石酸および塩化ナトリウムと、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成する。次いで、造粒工程は、この粉末混合物にポリエチレングリコール4000と精製水を含有する造粒用溶液を連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とする。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させる。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミル中で、1200rpm未満で、粉砕する。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けたステアリン酸マグネシウムを加えて、約5分間混合する。
【0128】
即時または迅速放出型組成物は以下のように製造される:CD、微結晶性セルロース、ポビドン、およびクロスカルメロースナトリウムの半分量を最初に991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分け、そして次に、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成する。造粒工程は、この粉末混合物に精製水を、連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とする。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させる。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕する。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウムの残り半分量およびステアリン酸マグネシウムを加えて、約5分間混合する。
【0129】
次いで、延長放出型層組成物および即時または迅速放出型層組成物を以下のように圧縮する:延長放出型組成物の(120−380)mgを鋳型に加えて詰め込み、そして即時または迅速放出型組成物の(60−260)mgを上乗せし、次いでこの2つの組成物を圧縮し、2層錠剤を得る。
【0130】
〔実施例8〕
以下の方法は、LDの延長放出を与え、およびLDとCDの即時または迅速放出を与える、2層錠剤の製造のために用いられた。
【表13】

【0131】
延長放出型層組成物は以下のように製造された。LDおよびヒドロキシエチルセルロースは最初に、991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分けられ、そして次に、あらかじめ0020篩付のハンマーミルを用いて粉砕された微結晶性セルロースおよび着色剤と、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成した。次いで、造粒工程は、この粉末混合物に精製水を連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とした。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させた。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕した。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けたコロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを加えて、約5分間混合した。
【0132】
即時または迅速放出型組成物は以下のように製造した:LD、CD、微結晶性セルロース、ポビドン、およびクロスカルメロースナトリウムの半分量を最初に991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分け、そして次に、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成した。造粒工程は、この粉末混合物に精製水を、連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とした。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させた。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを用いて、1200rpm未満で、粉砕した。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよびクロスカルメロースナトリウムの残り半分量を加えて、約5分間混合した。
【0133】
次いで、延長放出型層組成物および即時または迅速放出型層組成物を以下のように圧縮した:延長放出型組成物の(115−385)mgを鋳型に加えて詰め込み、そして即時または迅速放出型組成物の(165−245)mgを上乗せし、次いでこの2つの組成物を圧縮し、2層錠剤を得た。
【0134】
〔実施例9〕
以下の方法は、レボドパの遅延および延長放出を与え、およびレボドパとカルビドパの即時または迅速放出を与える、例示的な乾燥被覆胃耐性錠剤の製造のために用いられる。
一般的な製剤を以下に開示する:
【表14】

【0135】
特定の製剤を以下に開示する:
【表15】

【0136】
延長放出型層組成物は以下のように製造される:レボドパおよびヒドロキシエチルセルロースは最初に、991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分けられ、そして次に、あらかじめ0020篩付のハンマーミルを用いて粉砕された微結晶性セルロースおよび着色剤と、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成する。次いで、造粒工程は、この粉末混合物に精製水を連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とする。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させる。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕する。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けたコロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを加えて、約5分間混合する。この最終混合物を錠剤化して錠剤コアを得る。
【0137】
腸溶性被覆組成物を以下のように調製する:ポリビニルアセテートフタレート(コロルコンのスプレテックTM)を精製水中で混合し、重合体懸濁液を形成した。この懸濁液を有孔平皿型コーター中でコア上に噴霧して、胃耐性被覆コアを得る。
【0138】
即時または迅速放出型組成物は以下のように製造される:レボドパ、カルビドパ、微結晶性セルロース、ポビドン、およびクロスカルメロースナトリウムの半分量を最初に991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分け、そして次に、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成する。造粒工程は、この粉末混合物に精製水を、連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とする。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させる。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕する。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよびクロスカルメロースナトリウムの残り半分量を加えて、約5分間混合し、次いで胃耐性被覆コア上に圧縮被覆し、乾燥被覆胃耐性錠剤を得る。
【0139】
〔実施例10〕
以下の方法は、レボドパの遅延および延長放出を与え、およびレボドパとカルビドパの即時または迅速放出を与える、例示的な乾燥被覆胃耐性錠剤の製造のために用いられる。
【表16】

【0140】
レボドパは最初に、991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分けられ、そして次に、あらかじめ0020篩付のハンマーミルを用いて粉砕された酒石酸および塩化ナトリウムと、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成する。次いで、造粒工程は、この粉末混合物にポリエチレングリコール4000と精製水を含有する造粒用溶液を連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とする。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させる。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミル中を使用して、1200rpm未満で、粉砕する。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けたステアリン酸マグネシウムを加えて、約5分間混合する。この最終混合物を錠剤化して延長放出型コアを得る。
【0141】
次いで、腸溶性被覆組成物を以下のように調製する:トリアセチンを精製水中で混合し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを加えて完全に混合し、重合体懸濁液を作成した。この懸濁液を有孔平皿型コーター中でコア上に噴霧して、胃耐性被覆コアを得る。
【0142】
即時または迅速放出型組成物は実施例9で開示されたように調製し、次いで胃耐性被覆コア上に圧縮被覆し、乾燥被覆胃耐性錠剤を得る。
【0143】
〔実施例11〕
以下の方法は、LDの延長放出を与え、およびCDの即時または迅速放出を与える2層錠剤の製造のために用いられた。
【表17】

【0144】
延長放出型層組成物は以下のように製造された。LDおよびヒドロキシエチルセルロースは最初に、991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分けられ、そして次に、あらかじめ0020篩付のハンマーミルを用いて粉砕された微結晶性セルロースおよび着色剤と、混合型造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成した。次いで、造粒工程は、この粉末混合物に精製水を連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とした。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させた。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕した。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けたコロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを加えて、約5分間混合した。
【0145】
即時または迅速放出型組成物は以下のように製造した: CD、微結晶性セルロース、ポビドン、およびクロスカルメロースナトリウムの半分量を最初に991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分け、そして次に、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成した。造粒工程は、この粉末混合物に精製水を、連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とした。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させた。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕した。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよびクロスカルメロースナトリウムの残り半分量を加えて、約5分間混合した。
【0146】
次いで、延長放出型層組成物および即時または迅速放出型層組成物を以下のように圧縮した:延長放出型組成物の(216−490)mgを鋳型に加えて詰め込み、そして即時または迅速放出型組成物の(157−540)mgを上乗せし、次いでこの2つの組成物を圧縮し、2層錠剤を得た。
【0147】
〔実施例12〕
以下の方法は、放出速度制御重合体を含まずに、LDとCDの延長放出を与え、およびLDとCDの即時または迅速放出を与える2層錠剤の製造のために用いられた。
【表18】

【0148】
延長放出型層組成物は以下のように製造された。LDおよびCDは最初に、991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分けられ、そして次に、あらかじめ0020篩付のハンマーミルを用いて粉砕された有機酸および塩化ナトリウムと、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成した。次いで、造粒工程は、この粉末混合物にポリエチレングリコール4000と精製水を含有する造粒用溶液を連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とした。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させた。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕した。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けたステアリン酸マグネシウムを加えて、約5分間混合した。
【0149】
即時または迅速放出型組成物は以下のように製造された:LDおよびCD、微結晶性セルロース、ポビドン、ならびにクロスカルメロースナトリウムの半分量を最初に991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分け、そして次に、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成した。造粒工程は、この粉末混合物に精製水を、連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とした。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させる。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕した。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよびクロスカルメロースナトリウムの残り半分量を加えて、約5分間混合した。
【0150】
次いで、延長放出型層組成物および即時または迅速放出型層組成物を以下のように圧縮した:延長放出型組成物の(70−410)mgを鋳型に加えて詰め込み、そして即時または迅速放出型組成物の(70−210)mgを上乗せし、次いでこの2つの組成物を圧縮し、2層錠剤を得た。
【0151】
〔実施例13〕
薬物代謝試験(4通りの交差式ウイリアムス型設定)をA、B、C及びDの4つの治療法を調べるために実施できるだろう。治療法Aは、本発明の実施例9の投与剤形である。治療法Bは本発明の実施例11の投与剤形である。治療法CとDは参照試験として含まれる。治療法Cは、50mgのCDと200mgのLDを含むシネメットCRの単一延長放出型錠剤である(R1)。そして、治療法Dは、25mgのCDと100mgのLDを含むシネメット(IR)の一錠剤および25mgのCDと100mgのLDを含むシネメットCRの一錠剤との組み合わせである。
【0152】
20人の健常な被験者(非喫煙者、21歳〜50歳の男性と女性)を入院させ、無作為に4つの等しい人数の群に分け、それらの各群は、ウイリアムス型設定に従い、治療の変更前に1週間の洗い流し(washout)期間をおいて、4つの異なった配列で4つの製剤を投与される。投与後0から16時間まで定期的に血液試料を採取し、血漿の一定分量を速やかに得て、−20℃で保管し、後にLDとCDの含量を測定するために電気化学的検出手段を備えたHPLC分析に付す。各製剤および各被験者について、血漿濃度曲線から以下の薬物動力学パラメータ:0−48時間(AUC0−t)から無限まで外挿した曲線下面積(AUC0−inf);血漿中の最大薬物濃度(Cmax);およびCmaxへの到達時間(Tmax)を算出する。理学的検査、生物的兆候および副作用の記録を評価することにより、安全性解析を行う。交差式設定(crossover design)に関する対数変換を行った後、差異分析(ANOVA)を用いた統計比較を行う。相対的生物学的利用性を評価するために、AUC0−tとAUC0−inf の比(試験/対照)に関する幾何的最小二乗平均値および古典的90%信頼区間を計算する。
【0153】
〔実施例14〕
以下の方法は、LDの腸溶性被覆延長放出型コアからのLDの遅延および延長放出、ならびにAMN、LDおよびCDを含む即時放出型外部被覆を提供する、例示的な遅延および延長放出型錠剤を製造するために用いられる。
【表19】

【0154】
延長放出型層組成物は以下のように製造される:レボドパおよびCR重合体は最初に、991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分けられ、そして次に、あらかじめ0020篩付のハンマーミルを用いて粉砕された充填剤および着色剤と、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を生成する。次いで、造粒工程は、この粉末混合物に精製水を連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とする。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させる。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕する。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた流動促進剤および潤滑剤を加えて、約5分間混合する。この最終混合物を錠剤化して錠剤コアを得る。
【0155】
腸溶性被覆組成物を以下のように調製する:可塑剤を精製水中で混合し、腸溶性フィルム重合体を加え完全に混合して重合体懸濁液を作成する。この懸濁液を有孔平皿型コーター中でコア上に噴霧して、胃耐性被覆コアを得る。
【0156】
即時または迅速放出型組成物は以下のように製造される:アマンタジン、LD、CD、充填剤、結合剤および崩壊剤を高速度剪断ミキサー中に置き、5分間混合した。造粒工程は、この高速度剪断ミキサーに精製水を、連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、そして湿潤混合物を得る。次いで、この湿潤混合物を造粒し、そして流動床中で20分間40−50℃で乾燥させ、水を除去する。次に、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために、20 USPメッシュの篩を用いた篩いにかける。次いで、篩いにかけた顆粒を、予め60メッシュの篩を通過させた流動促進剤および潤滑剤と、V型ブレンダー中で5分間混合する。この顆粒を圧縮してコア上に適用し、AMN−LD−CD被覆胃耐性コアを得る。この錠剤の外径は約12mmである。
【0157】
精製水中のオパドライと着色剤を含有する仕上げ被覆をAMN−LD−CD被覆胃耐性コア上に適用し、最終的な錠剤を得る。
【0158】
〔実施例15〕(リアル;シトリアル(CTRIAL))
以下の方法を、LDとCDの延長放出、およびAMNとCDの即時または迅速放出を提供する例示的な2層錠剤を製造するために用いる。
【表20】

【0159】
延長放出型層組成物は以下のように製造される。LD、CDおよびCR重合体は最初に、991 μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分けられ、そして次に、あらかじめ0020篩付のハンマーミルを用いて粉砕された充填剤および着色剤と、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成する。次いで、造粒工程は、この粉末混合物に精製水を連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とする。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させる。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕する。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた流動促進剤と潤滑剤を加えて、約5分間混合し、延長放出型層を製造するための顆粒を得る。
【0160】
即時または迅速放出型組成物は以下のように製造される:AMN、CD、充填剤、結合剤および崩壊剤の半分量を最初に991μm篩付の回転ミル中で別々に篩い分け、そして次に、混合造粒機中で10分まで混合し、均質な粉末混合物を形成する。造粒工程は、この粉末混合物に水を、連続的に混合しながら、徐々に加えることにより開始され、この乾燥粉末成分の濃度を変化させて顆粒とする。この湿潤顆粒を50−70℃の固定床中または40−60℃の流動床中で、湿度を減少させるために乾燥させる。次いで、この乾燥顆粒を、サイズの減少のために1575μm篩付の回転ミルを使用して、1200rpm未満で、粉砕する。次に、予め30メッシュの篩で篩い分けた、流動促進剤、潤滑剤および崩壊剤の残り半分量を加えて、約5分間混合する。
【0161】
次いで、延長放出型層組成物および即時または迅速放出型層組成物を以下のように圧縮する:延長放出型組成物の(132−493)mgを鋳型に加えて詰め込み、そして即時または迅速放出型組成物の(128−678)mgを上乗せし、次いでこの2つの組成物を圧縮し、2層錠剤を得る。
【0162】
上記のものは本発明の特定の実施態様の詳細な説明である。当業者は、本明細書の開示を参照して、本明細書で開示された特定の実施態様において多くの変更が可能であり、本発明の真髄および範囲から離脱することなく、同様または類似の結果をなお得られることを、理解するはずである。本明細書中で開示されそして特許請求がなされた実施態様の全ては、本明細書の開示を参照して、過剰な実験を行うことなしに想到しそして実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】実施例1および2の例示的な錠剤からのLDおよびCDのインビトロの放出特性を示している。
【図2】実施例8の例示的な錠剤からのLDおよびCDのインビトロの放出特性を示している。
【図3】実施例11の例示的な錠剤からのLDおよびCDのインビトロの放出特性を示している。
【図4】実施例12の例示的な錠剤からのLDおよびCDのインビトロの放出特性を示している。
【図5】実施例13に従って投与された実施例11の例示的な錠剤およびシネメットCRからの、LDの平均血漿濃度対時間曲線を示している。
【図6】実施例13に従って投与された実施例11の例示的な錠剤およびシネメットCRからの、CDの平均血漿濃度対時間曲線を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のレボドパおよび治療有効量のカルビドパ、有機酸、塩または炭水化物、ならびに場合により1またはそれ以上の他の賦形剤を含む延長放出型混合物から本質的に成る、延長放出型固形医薬組成物であって、ここで
レボドパおよびカルビドパは、錠剤が水性媒体中に置かれたときに1から4時間にわたって徐々にそして実質的に連続的に放出され、そしてこの錠剤には放出速度制御重合体および放出速度制御被覆を含まない、
延長放出型固形医薬組成物。
【請求項2】
延長放出型組成物が、
(a)錠剤が水性媒体中に置かれたときに1から4時間にわたって徐々にそして実質的に連続的に放出されるような、延長放出型のレボドパおよび場合により延長放出型のカルビドパを含み;そしてここで、
(b)この延長放出型組成物には放出速度制御重合体および放出速度制御被覆を含有していない、
レボドパおよび場合によりカルビドパを含む延長放出型組成物
を含む延長放出型固形医薬組成物。
【請求項3】
医薬組成物がさらに、カルビドパを含む即時または迅速放出型組成物を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
医薬組成物がさらに、レボドパおよびカルビドパを含む即時または迅速放出型組成物を含む、請求項2または3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
医薬組成物がさらに、延長放出型組成物中に遅延放出型物質を含み、レボドパおよび/またはカルビドパの延長放出が、遅延時間により遅れる、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物がさらに、延長放出型組成物の周囲を覆う遅延放出型被覆を含み、レボドパおよび/またはカルビドパの延長放出が、遅延時間により遅れる、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
延長放出型組成物が相当量の崩壊剤は含まない、請求項1〜6のいずれかの医薬組成物。
【請求項8】
延長放出型組成物が相当量の界面活性剤は含まない、請求項1〜7のいずれかの医薬組成物。
【請求項9】
医薬組成物がさらに、仕上げ被覆または研磨被覆を含む、請求項1〜8のいずれかの医薬組成物。
【請求項10】
レボドパおよびカルビドパを含む即時放出型組成物;
レボドパおよび場合によりカルビドパを含む延長放出型組成物;
ならびに
遅延放出型組成物が延長放出型組成物の周囲を覆う遅延放出型被覆であるか、または、遅延放出型組成物が延長放出型組成物中に含まれる遅延放出型物質であり、そしてレボドパおよびカルビドパが、この錠剤を水性環境に暴露した後1から4時間にわたって実質的に連続的に放出される、遅延放出型組成物:
を含む、圧縮延長放出型多層錠剤。
【請求項11】
レボドパを含む延長放出型組成物;および、カルビドパを含む即時または迅速放出型組成物を含み、レボドパがこの錠剤を水性環境に暴露した後2から4時間にわたって徐々に実質的に連続的に放出され、そしてカルビドパがこの錠剤を水性環境に暴露した後約60分以内に放出される;
圧縮延長放出型錠剤。
【請求項12】
迅速または即時放出型組成物がさらにレボドパを含む、請求項11に記載の錠剤。
【請求項13】
さらに、延長放出型組成物の周囲を覆う遅延放出型被覆を含む、請求項11または12に記載の錠剤。
【請求項14】
延長放出型組成物がさらに遅延放出型物質を含む、請求項11または12に記載の錠剤。
【請求項15】
水性環境に暴露した後4時間以内に全てのレボドパが放出される、請求項1〜14のいずれかに記載の錠剤。
【請求項16】
水性環境に暴露した後約2から4時間の間、ゼロ次または擬ゼロ次の速度でレボドパが放出される、請求項1〜15のいずれかに記載の錠剤。
【請求項17】
水性環境に暴露した後約2から4時間の間、一次の速度でレボドパが放出される、請求項1〜16のいずれかに記載の錠剤。
【請求項18】
延長放出型形態中の有効量のカルビドパ、延長放出型形態中の有効量のレボドパ、塩または炭水化物、潤滑剤、有機酸、および場合により1またはそれ以上の他の賦形剤の混合物から本質的に成り、ここでカルビドパおよびレボドパが、この錠剤を水性環境に置いたとき1から4時間にわたって実質的に連続的に放出され、この混合物には放出速度制御重合体、放出速度制御被覆、および場合により崩壊剤は含まれない、圧縮延長放出型マトリクス錠剤。
【請求項19】
さらに研磨または仕上げ被覆を含む、請求項18に記載の錠剤。
【請求項20】
カルビドパ対レボドパの質量比が約1対4である、請求項18に記載の錠剤。
【請求項21】
カルビドパおよびレボドパ治療に応答する疾患、障害または症候群を治療する方法であって、この方法は、請求項1〜20の何れかに記載の錠剤を少なくとも1つ含む、一日に少なくとも1単位用量を、患者に経口的に投与することを含む、方法。
【請求項22】
疾患、障害または症候群が、パーキンソン病、脳炎後パーキンソニズム、一酸化炭素中毒および/またはマンガン中毒による症候性パーキンソニズム、複合型局所疼痛症候群での震え、幼児視力減退、外傷性脳傷害での前頭葉機能障害、中脳出血後の運動障害、閉じ込め症候群、錐体外路系症候群を伴った成人性フェニルケトン尿症、進行性核上性麻痺、下肢静止不能症候群、ドパーミン欠乏症候群、エトレチネート治療に関連した体軸筋硬直、晩発性ジストニー(運動障害)、L−ドパ誘発性運動障害、遺伝性錐体外路系疾患、運動不能硬直性症候群、捻転ジストニアの硬直性型、ハレボルデン・スパッツ病、多動症候群、神経系の傷害または病気により引き起こされるパーキンソン病様障害、および、この薬物の組合せにより治療可能であることが発見された他の疾患、症候群または障害、
から成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
錠剤が、25−50mgのCDおよび100−200mgのLDを含み、そしてCD対LDの質量比が約1対4である、請求項1〜22のいずれかに記載の錠剤。
【請求項24】
以下の成分をおおよそ以下に示された量含む延長放出型コア:
【表1】

このコアの周囲を覆う遅延放出型被覆;および
この遅延放出型被覆の周囲を覆い、以下の成分をおおよそ以下に示された量含む迅速放出型または即時放出型層:
【表2】

を含む、延長放出型錠剤。
【請求項25】
以下の成分をおおよそ以下に示された量含む延長放出型層:
【表3】

および、以下の成分をおおよそ以下に示された量含む迅速放出型または即時放出型層:
【表4】

を含む、延長放出型層化錠剤。
【請求項26】
以下の成分をおおよそ以下に示された量含む延長放出型層:
【表5】

および、以下の成分をおおよそ以下に示された量含む迅速放出型または即時放出型層:
【表6】

を含む、延長放出型層化錠剤。
【請求項27】
以下の成分をおおよそ以下に示された量含む延長放出型層:
【表7】

第一の延長放出型層の周囲を覆う遅延放出型被覆;および
以下の成分をおおよそ以下に示された量含む延長放出型層:
【表8】

を含む、延長放出型層化錠剤。
【請求項28】
錠剤が、シネメットCRで観察されるものに比べて、LDの生物学的利用率で約10%から90%の増加を提供する、請求項1〜27のいずれかに記載の錠剤。
【請求項29】
錠剤が、シネメットCRで観察されるものに比べて、全身性循環(血漿)中のLDの平均滞留時間で約30%までの増加を提供する、請求項1〜28のいずれかに記載の錠剤。
【請求項30】
錠剤が、シネメットCRで観察されるものに比べて、Cmaxで20%を超える増加を提供する、請求項1〜29のいずれかに記載の錠剤。
【請求項31】
錠剤が、シネメットCRで観察されるものに比べて、Cmaxで30%を超える増加を提供する、請求項1〜30のいずれかに記載の錠剤。
【請求項32】
錠剤が、シネメットCRで観察されるものに比べて、レボドパおよびカルビドパに関してより短時間のTmaxを提供する、請求項1〜31のいずれかに記載の錠剤。
【請求項33】
錠剤が、投与後約5時間以上の間レボドパの治療用血漿レベルを提供し、この錠剤は約50mgのCDおよび約200mgのLDを含む、請求項1〜32のいずれかに記載の錠剤。
【請求項34】
カルビドパおよびレボドパ治療に応答する疾患、障害または症候群の治療のための方法であって、少なくとも同じ臨床的利点を提供するかまたは改善された臨床的利点を提供するために、シネメットCRを同じ患者に投与するとき現行で投与されるものより少ない一日用量で、経口的単位用量の請求項1〜33のいずれかに記載のLDとCDの延長放出型錠剤を、患者に投与する工程を含み、ここで比較は請求項1〜33のいずれかに記載の錠剤と比べたシネメットCR錠剤中のおおよそ等量のLDとCDを用いて行われる、上記方法。
【請求項35】
シネメットCR錠剤が、25〜50mgのCDおよび100〜200mgのLDを含み;請求項1〜34のいずれかに記載の錠剤が、それぞれ25〜50mgのCDおよび100〜200mgのLDを含み、CD対LDの質量比が約1対4である、請求項34の方法。
【請求項36】
カルビドパおよびレボドパ治療に応答する疾患、障害または症候群の治療のための方法であって、少なくとも同じ臨床的利点を提供するかまたは改善された臨床的利点を提供するために、シネメットの即時放出型(IR)の一錠剤およびシネメットCRの一錠剤が患者に投与された場合、それに要求されるものより少ないLDおよびCDの総一日用量が必要とされる、請求項1〜35のいずれかに記載の錠剤の1またはそれ以上の単位用量を、患者に毎日経口投与する工程を含み、ここで比較は請求項1〜35のいずれかに記載の錠剤と比べた、1つのシネメット(IR)錠剤と1つのシネメットCR錠剤の組み合わせ中のおおよそ等量のLDとCDを用いて行われる、上記方法。
【請求項37】
シネメットCR錠剤が、25−50mgのCDおよび100−200mgのLDを含み;シネメットIR錠剤が25mgのCDおよび200mgのLDを含み;請求項1〜36のいずれかに記載の錠剤が、それぞれ25−50mgのCDおよび100−200mgのLDを含み;そして、CD対LDの質量比が約1対4である、請求項36の方法。
【請求項38】
治療有効量のレボドパおよび、場合により治療有効量のカルビドパ、有機酸、塩化ナトリウムまたは炭水化物、及び場合により1またはそれ以上の賦形剤から本質的に成る延長放出型固形医薬組成物であって、ここで存在する有機酸および塩化ナトリウムまたは炭水化物の質量が、それぞれ有機酸および塩化ナトリウムまたは炭水化物が存在しない投与剤形と比べて、レボドパ、およびもし存在する場合はカルビドパの放出速度を調節するために十分である、延長放出型固形医薬組成物。
【請求項39】
アマンタジン、レボドパおよびカルビドパを含む即時放出型組成物;
レボドパおよび場合によりカルビドパを含む延長放出型組成物;
ならびに
遅延放出型組成物が延長放出型組成物の周囲を覆う遅延放出型被覆であるか、または、遅延放出型組成物が延長放出型組成物中に含まれる遅延放出型物質であり、そしてレボドパおよびカルビドパが、この錠剤を水性環境に暴露した後1から4時間にわたって実質的に連続的に放出される、遅延放出型組成物;
を含む、圧縮延長放出型多層錠剤。
【請求項40】
アマンタジン、カルビドパおよび場合によりレボドパを含む即時放出型組成物;ならびに
レボドパおよび場合によりカルビドパを含む延長放出型組成物;
を含む、圧縮延長放出型多層錠剤。
【請求項41】
アマンタジン、カルビドパおよびレボドパ治療に応答する疾患、障害または症候群を治療する方法であって、請求項39または40に記載の錠剤の1またはそれ以上の単位用量を、患者に毎日経口的に投与することを含み、ここでアマンタジン、カルビドパおよびレボドパの組合せ投与が、レボドパ−カルビドパを含有しアマンタジンを含まない投与剤形の投与と比べて、この投与剤形を投与する患者に改善された臨床的利点を提供し、そしてこの改善された臨床的利点が改善された生物学的利用性および/またはより少ない副作用である、上記方法。
【請求項42】
錠剤が、投与後約4時間以上の時間において血漿治療レベルのレボドパを提供し、この錠剤は約25mgのCDおよび 約100mgのLDを含む、請求項1〜41のいずれかに記載の錠剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−502987(P2009−502987A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524349(P2008−524349)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/CR2006/000006
【国際公開番号】WO2008/000194
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(506418611)オスモティカ・コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】