説明

カルボキサミド誘導体およびその用途

本発明は、式


〔式中、A環は、更に置換基を有していてもよい含窒素複素環を、B環およびC環はそれぞれ置換基を有していてもよい芳香環を、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、アシル基または置換基を有していてもよい複素環基を、Zはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基を、Yは置換基を有していてもよいメチレン基を、mおよびnはそれぞれ0ないし5の整数を、m+nは2ないし5の整数を、−−−は単結合または二重結合を示す。〕で表される化合物またはその塩に関する。本発明の化合物は、優れたタキキニン受容体拮抗作用、特にSP受容体拮抗作用を有し、医薬、例えばタキキニン受容体拮抗剤、下部尿路機能異常、消化器疾患または中枢神経疾患の予防・治療剤等として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有する新規なカルボキサミド誘導体および用途に関する。
【背景技術】
タキキニンとは一群の神経ペプチドの総称であり、哺乳類ではサブスタンスP(SP)、ニューロキニン−A、ニューロキニン−Bが知られており、これらのペプチドは、生体内に存在するそれぞれの受容体(ニューロキニン−1、ニューロキニン−2、ニューロキニン−3)に結合することによって、様々な生理作用を発揮することが知られている。
その中で、SPは神経ペプチドの中でも最も歴史が長く、詳細に研究されているものの1つであり、1931年にウマ腸管抽出物中に存在が確認され、1971年に構造決定されたアミノ酸11個からなるペプチドである。
SPは中枢および末梢の神経系に広く分布しており、一次知覚ニューロンの伝達物質としての機能のほか、血管拡張作用、血管透過性亢進作用、平滑筋収縮作用、神経細胞興奮作用、唾液分泌作用、利尿亢進作用、免疫作用などの生理作用を有する。特に、痛みインパルスにより脊髄後角の終末から遊離されたSPが二次ニューロンに痛み情報を伝えること、末梢終末より遊離されたSPがその受容体に炎症反応を惹起することが知られている。このようなことから、SPは種々の病態(例えば、痛み、頭痛、特に偏頭痛、アルツハイマー病、多発性硬化症、心血管変調、慢性関節リウマチのような慢性炎症性疾患、喘息あるいはアレルギー性鼻炎を含む呼吸器疾患、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む腸の炎症疾患、眼球の損傷および眼球の炎症疾患、増殖性硝子体網膜症、過敏性腸症候群、頻尿、精神病、嘔吐など)に関与していると考えられている(例えば、フィジオロジカル レヴューズ(Physiological Reviews),1993年,第73巻,p.229−308、ジャーナル オブ オートノミック ファーマコロジー(Journal of Autonomic Pharmacology),1993年,第13巻,p.23−93参照。)。
現在、SP受容体拮抗作用を有する化合物として、国際公開第01/25219号パンフレットには、式

〔式中、Rはハロゲン原子あるいはC1−4アルキル基を、Rは水素原子あるいはC1−4アルキル基を、Rは水素原子あるいはC1−4アルキル基を、Rはトリフルオロメチル基、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、あるいはハロゲン原子を、Rは水素原子、(CH)qR基あるいは(CH)rCO(CH)pR基を、Rは水素原子、C1−4アルキル基、COR基を、Rは水素原子、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、1〜3個の酸素、硫黄、窒素から選ばれるヘテロ原子を含む5員複素芳香環基もしくは1〜3個の窒素原子を含む6員複素芳香環基を、Rは水素原子、ヒドロキシあるいはNRを(RおよびRは独立して水素原子あるいはヒドロキシあるいはアミノ基で置換されていても良いC1−4アルキル基)、R10は水素原子を、mは0もしくは1〜3までの整数を、nは0もしくは1〜3までの整数を、pとrはそれぞれ独立して0もしくは1〜4までの整数を、qは1〜4までの整数を示す。〕で表される化合物および薬学的に許容な塩ならびに溶媒和物が記載されている。
また、国際公開第02/081457号パンフレットには、式

〔式中、Rは水素あるいはC1−4アルキルを、Rは水素あるいはC1−4アルキルを、Rはトリフルオロメチル、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシあるいはハロゲンを、RはハロゲンあるいはC1−4アルキルを、Rは水素、ハロゲン、C1−4アルキルあるいはC(O)Rを、Rは水素、C1−4アルキルあるいはRと一緒になって表されるC3−7シクロアルキルを、Rはヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、酸素、硫黄、窒素から独立して選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含む5員複素芳香環基あるいは1〜3個の窒素原子を含む6員複素芳香環基を、mあるいはnは独立して0もしくは1〜3までの整数を、XおよびYは独立してNRもしくはメチレンを、Rは水素、C1−4アルキルあるいはC3−7シクロアルキルを、ただし、XがNRのときYはメチレンであり、XがメチレンのときYはNRである、を示す。〕で表される化合物および薬学的に許容な塩ならびに溶媒和物が記載されている。
さらに、国際公開第03/101964号パンフレットには、式

〔式中、Arはそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基、アラルキル基または芳香族複素環基を、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、アシル基または置換基を有していてもよい複素環基を、Xは酸素原子または置換基を有していてもよいイミノ基を、Zは置換基を有していてもよいメチレン基を、A環は更に置換基を有していてもよいピペリジン環を、B環は置換基を有していてもよい芳香環を示す。但し、Zがオキソ基で置換されたメチレン基のとき、Rはメチル基でなく、Zがメチル基で置換されたメチレン基のとき、B環は置換基を有した芳香環を示す。〕で表される化合物またはその塩が記載されている。
【発明の開示】
本発明は、前記の化合物を含む公知化合物とは化学構造が異なる、タキキニン受容体拮抗作用等を有するカルボキサミド誘導体および該化合物を含む排尿異常改善剤等を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、下記式(I)で表されるカルボキサミド誘導体またはその塩が、その特異な化学構造に基づいて予想外にも強いタキキニン受容体拮抗作用(特に、SP受容体拮抗作用)等を有し、医薬として十分に満足できるものであることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
〔1〕式

〔式中、A環は、更に置換基を有していてもよい含窒素複素環を、B環およびC環はそれぞれ置換基を有していてもよい芳香環を、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、アシル基または置換基を有していてもよい複素環基を、Zはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基を、Yは置換基を有していてもよいメチレン基を、mおよびnはそれぞれ0ないし5の整数を、m+nは2ないし5の整数を、−−−は単結合または二重結合を示す。〕で表される化合物(以下、化合物(I)と略記する場合がある)またはその塩、
〔2〕A環が、

で示されるいずれかの環であり、
B環が、置換されていてもよいフェニル基、
C環が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基を置換基として有していてもよいフェニル基、
Zが、C1−6アルキル基、
Yが、C1−4アルキル基で置換されていてもよいメチレン基である第〔1〕項記載の化合物、
〔3〕A環が、

で示されるいずれかの環であり、
B環が、(1)ハロゲン原子および
(2)C1−6アルキル基
から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基、
C環が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基を置換基として有していてもよいフェニル基、
が、(1)水素原子、
(2)1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基を置換基として有するC1−4アルキル基、または
(3)式:−(C=O)−R2’、−(C=O)−OR2’もしくは
−(C=O)−NR2’
〔式中、R2’
(a)水素原子
(b)オキソ、C1−6アルキル、フェニル、C1−6アルキル−カルボニルおよびC1−6アルキル−カルボニルアミノから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子を1または2個含む5ないし7員の非芳香族複素環基、
(c)(i)1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基、
(ii)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、
(iii)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基、および
(iv)C1−6アルコキシ基
から選ばれる置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、
(d)C1−6アルコキシ基、
(e)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、C1−6アルコキシ−カルボニルアミノ基およびアミノ基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、
(f)カルバモイル基、
(g)C1−6アルコキシ−カルボニル基、または
(h)C1−6アルキル−カルバモイル基、
は水素原子またはC1−6アルキル基を示す。〕で表されるアシル基、Zが、C1−6アルキル基、
Yが、C1−4アルキル基で置換されていてもよいメチレン基である第〔1〕項記載の化合物、
〔4〕(3R,4S)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド(実施例30)、
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1−[(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]ピペリジン−4−カルボキサミド(実施例54)、
(3R,4R)−1−[アミノ(オキソ)アセチル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド(実施例73)、
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−1,4−ジカルボキサミド(実施例75)、および
(3R,4R)−1−(N−アセチルグリシル)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド(実施例77)から選ばれる化合物またはその塩、
〔5〕第〔1〕項記載の化合物のプロドラッグ、
〔6〕第〔1〕項記載の化合物またはそのプロドラッグを含有する医薬、
〔7〕タキキニン受容体拮抗剤である第〔6〕項記載の医薬、
〔8〕下部尿路機能異常、消化器疾患または中枢神経疾患の予防・治療剤である第〔6〕項記載の医薬、
〔9〕過活動膀胱、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、嘔吐、悪心、うつ病、不安神経症、不安症状、骨盤内臓痛または間質性膀胱炎の予防・治療剤である第〔6〕項記載の医薬、
〔10〕哺乳動物に対して、第〔1〕項記載の化合物またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする、下部尿路機能異常、消化器疾患または中枢神経疾患の予防・治療方法、
〔11〕下部尿路機能異常、消化器疾患または中枢神経疾患の予防・治療剤を製造するための第〔1〕項記載の化合物またはそのプロドラッグの使用を提供する。
さらに本発明は、
〔12〕A環が、下記の置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基を更に有していてもよい5ないし8員の飽和または不飽和含窒素複素環であり、
置換基群A:(1)ハロゲン原子、(2)ニトロ、(3)シアノ、(4)1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、(5)1ないし3個のハロゲン原子を有していてもよいC2−6アルケニル、(6)1ないし3個のハロゲン原子を有していてもよいC2−6アルキニル、(7)1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC3−6シクロアルキル、(8)C6−14アリール、(9)C7−16アラルキル、(10)ヒドロキシ、(11)1ないし3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ、(12)C6−14アリールオキシ、(13)メルカプト、(14)1ないし3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルチオ、(15)C6−14アリールチオ、(16)アミノ、(17)モノ−C1−6アルキルアミノ、(18)モノ−C6−14アリールアミノ、(19)ジ−C1−6アルキルアミノ、(20)ジ−C6−14アリールアミノ、(21)ホルミル、(22)C1−6アルキル−カルボニル、(23)C6−14アリール−カルボニル、(24)カルボキシ、(25)C1−6アルコキシ−カルボニル、(26)C6−14アリールオキシ−カルボニル、(27)カルバモイル、(28)チオカルバモイル、(29)モノ−C1−6アルキル−カルバモイル、(30)ジ−C1−6アルキル−カルバモイル、(31)C6−14アリール−カルバモイル、(32)C1−6アルキルスルホニル、(33)C6−14アリールスルホニル、(34)C1−6アルキルスルフィニル、(35)C6−14アリールスルフィニル、(36)ホルミルアミノ、(37)C1−6アルキル−カルボニルアミノ、(38)C6−14アリール−カルボニルアミノ、(39)C1−6アルコキシ−カルボニルアミノ、(40)C1−6アルキルスルホニルアミノ、(41)C6−14アリールスルホニルアミノ、(42)C1−6アルキル−カルボニルオキシ、(43)C6−14アリール−カルボニルオキシ、(44)C1−6アルコキシ−カルボニルオキシ、(45)モノ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ、(46)ジ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ、(47)C6−14アリール−カルバモイルオキシ、(48)1個の窒素原子と炭素原子以外に、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種のヘテロ原子を1ないし4個含んでいてもよい5ないし7員飽和環状アミノ、(49)炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種のヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし10員芳香族複素環基、(50)C1−3アルキレンジオキシおよび(51)オキソ、
B環が、上記置換基群Aの(1)ないし(50)から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいC6−14アリール基、または上記置換基群Aの(1)ないし(50)から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1種または2種のヘテロ原子を1個ないし4個含む5または6員の芳香族複素環基であり、
C環が、上記置換基群Aの(1)ないし(50)から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいC6−14アリール基、または上記置換基群Aの(1)ないし(50)から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1種または2種のヘテロ原子を1個ないし4個含む5または6員の芳香族複素環基であり、
が、
(1)水素原子、
(2)上記置換基群Aおよび置換基を有していてもよい複素環基(当該複素環基は、上記置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基である)から選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−14アリール基またはC7−16アラルキル基、
(3)式:−(C=O)−R、−(C=O)−OR、−(C=O)−NR、 −(C=S)−NHRまたは−SO−R
〔式中、R
(a)水素原子、
(b)上記置換基群Aおよび置換基を有していてもよい複素環基(当該複素環基は、上記置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基である)から選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−14アリール基またはC7−16アラルキル基、
(c)上記置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基、
(d)C1−6アルコキシ基、
(e)カルバモイル基、
(f)C1−6アルコキシ−カルボニル基、または
(g)C1−6アルキル−カルバモイル基、
は水素原子またはC1−6アルキル基、

(a)上記置換基群Aおよび置換基を有していてもよい複素環基(当該複素環基は、上記置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基である)から選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−14アリール基またはC7−16アラルキル基、または
(b)上記置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基を示す〕で表されるアシル基であり、
Zが、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基であり、
Yが、上記置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいメチレン基である第〔1〕項記載の化合物、
〔13〕A環が、

で示されるいずれかの環であり、
B環が、(1)ハロゲン原子および
(2)C1−6アルキル基
から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基、
C環が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基を置換基として有していてもよいフェニル基、
が、
(1)水素原子、
(2)C7−16アラルキル基、
(3)1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基を置換基として有するC1−4アルキル基、または
(4)式:−(C=O)−R2”、−(C=O)−OR2”もしくは−(C=O)−NR2”
〔式中、R2”
(a)水素原子、
(b)オキソ、C1−6アルキル、フェニル、C1−6アルキル−カルボニルおよびC1−6アルキル−カルボニルアミノから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基、
(c)(i)オキソ、C1−6アルキル、フェニル、C1−6アルキル−カルボニルおよびC1−6アルキル−カルボニルアミノから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基、
(ii)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、
(iii)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基、および
(iv)C1−6アルコキシ基
から選ばれる置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、
(d)C1−6アルコキシ基、
(e)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、C1−6アルコキシ−カルボニルアミノ基およびアミノ基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、
(f)カルバモイル基、
(g)C1−6アルコキシ−カルボニル基、または
(h)C1−6アルキル−カルバモイル基、
は水素原子またはC1−6アルキル基を示す。〕で表されるアシル基、
Zが、C1−6アルキル基、
Yが、C1−4アルキル基で置換されていてもよいメチレン基である第〔1〕項記載の化合物を提供する。
本発明の化合物(I)またはその塩は、タキキニン受容体拮抗作用、特にサブスタンスP受容体拮抗作用が高く、毒性が小さく、医薬として安全である。そのため、本発明の化合物(I)またはその塩は医薬、例えばタキキニン受容体拮抗剤、排尿異常改善剤等として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
前記式中、A環は、更に置換基を有していてもよい含窒素複素環を示し、mおよびnはそれぞれ0ないし5の整数を、m+nは2ないし5の整数を、−−−は単結合または二重結合を示す。即ち、A環は、環構成原子として1個の窒素原子および4ないし7個の炭素原子を含有し、R、B環および部分構造:

以外に更に置換基を有していてもよい、5ないし8員の飽和または不飽和含窒素複素環を示す。
A環の置換基としては、例えば、(1)ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、(2)ニトロ、(3)シアノ、(4)1ないし5個(好ましくは1ないし3個)のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル(例、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシル等)、(5)1ないし3個のハロゲン原子を有していてもよいC2−6アルケニル(例、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル、4,4,4−トリフルオロ−1−ブテニル等)、(6)1ないし3個のハロゲン原子を有していてもよいC2−6アルキニル(例、エチニル、プロパルギル、ブチニル、1−ヘキシニル、3,3,3−トリフルオロ−1−プロピニル、4,4,4−トリフルオロ−1−ブチニル等)、(7)1ないし5個(好ましくは1ないし3個)のハロゲン原子を有していてもよいC3−6シクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4,4−ジクロロシクロヘキシル、2,2,3,3−テトラフルオロシクロペンチル、4−クロロシクロヘキシル等)、(8)C6−14アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−アンスリル等)、(9)C7−16アラルキル(例、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等)、(10)ヒドロキシ、(11)1ないし3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ(例、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、4,4,4−トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等)、(12)C6−14アリールオキシ(例、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等)、(13)メルカプト、(14)1ないし3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルチオ(例、メチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、4,4,4−トリフルオロブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ等)、(15)C6−14アリールチオ(例、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、(16)アミノ、(17)モノ−C1−6アルキルアミノ(例、メチルアミノ、エチルアミノ等)、(18)モノ−C6−14アリールアミノ(例、フェニルアミノ、1−ナフチルアミノ、2−ナフチルアミノ等)、(19)ジ−C1−6アルキルアミノ(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、(20)ジ−C6−14アリールアミノ(例、ジフェニルアミノ等)、(21)ホルミル、(22)C1−6アルキル−カルボニル(例、アセチル、プロピオニル等)、(23)C6−14アリール−カルボニル(例、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等)、(24)カルボキシ、(25)C1−6アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等)、(26)C6−14アリールオキシ−カルボニル(例、フェノキシカルボニル等)、(27)カルバモイル、(28)チオカルバモイル、(29)モノ−C1−6アルキル−カルバモイル(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル等)、(30)ジ−C1−6アルキル−カルバモイル(例、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル等)、(31)C6−14アリール−カルバモイル(例、フェニルカルバモイル、1−ナフチルカルバモイル、2−ナフチルカルバモイル等)、(32)C1−6アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)、(33)C6−14アリールスルホニル(例、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニル等)、(34)C1−6アルキルスルフィニル(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等)、(35)C6−14アリールスルフィニル(例、フェニルスルフィニル、1−ナフチルスルフィニル、2−ナフチルスルフィニル等)、(36)ホルミルアミノ、(37)C1−6アルキル−カルボニルアミノ(例、アセチルアミノ等)、(38)C6−14アリール−カルボニルアミノ(例、ベンゾイルアミノ、ナフトイルアミノ等)、(39)C1−6アルコキシ−カルボニルアミノ(例、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ等)、(40)C1−6アルキルスルホニルアミノ(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ等)、(41)C6−14アリールスルホニルアミノ(例、フェニルスルホニルアミノ、2−ナフチルスルホニルアミノ、1−ナフチルスルホニルアミノ等)、(42)C1−6アルキル−カルボニルオキシ(例、アセトキシ、プロピオニルオキシ等)、(43)C6−14アリール−カルボニルオキシ(例、ベンゾイルオキシ、ナフチルカルボニルオキシ等)、(44)C1−6アルコキシ−カルボニルオキシ(例、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ等)、(45)モノ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ(例、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ等)、(46)ジ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ(例、ジメチルカルバモイルオキシ、ジエチルカルバモイルオキシ等)、(47)C6−14アリール−カルバモイルオキシ(例、フェニルカルバモイルオキシ、ナフチルカルバモイルオキシ等)、(48)1個の窒素原子と炭素原子以外に、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種のヘテロ原子を1ないし4個含んでいてもよい5ないし7員飽和環状アミノ(例、ピロリジン−1−イル、ピペリジノ、ピペラジン−1−イル、モルホリノ、チオモルホリノ、ヘキサヒドロアゼピン−1−イル等)、(49)炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1または2種のヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし10員芳香族複素環基(例、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、8−キノリル、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル、2−ベンゾ[b]フラニル、3−ベンゾ[b]フラニル等)、(50)C1−3アルキレンジオキシ(例、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等)、(51)オキソ等から選ばれる1ないし3個が挙げられる。
A環としては、m=1でn=2であるもの、即ち、

あるいは、m=n=2であるもの、即ち、

が好ましい。
前記式中、B環およびC環はそれぞれ置換基を有していてもよい芳香環を示す。
「芳香環」としてはアリール基または芳香族複素環基が挙げられる。
「アリール基」としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等のC6−14アリール基等が用いられ、好ましくは、フェニルである。
「芳香族複素環基」としては、例えば、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれた1種または2種のヘテロ原子を1個ないし4個含む5または6員の芳香族複素環基(例えば、フリル、チエニル、ピリジル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル等)等が用いられる。
B環およびC環で示される「芳香環」の置換基としては、上記A環の置換基で例示した(1)〜(50)の置換基と同様の1ないし3個の置換基が用いられる。
B環は、置換されていてもよいフェニル基が好ましく、(1)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)を有していてもよいC1−6アルキル基および(2)ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいフェニル基がより好ましく、(1)C1−6アルキル基および(2)ハロゲン原子から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいフェニル基が更に好ましい。
C環は、(1)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)を有していてもよいC1−6アルキル基および(2)ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)から選ばれる1ないし3個の置換基を有したフェニル基が好ましい。あるいは、C環は、1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよい1ないし3個のC1−6アルキル基を置換基として有していてもよいフェニル基が好ましい。
前記式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基またはアシル基を示す。
で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えば、脂肪族炭化水素基、単環式飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基等が挙げられ、炭素数1ないし16個のものが好ましい。具体的には、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールおよびアラルキル等が用いられる。
「アルキル」としては、例えばC1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等)等が好ましく、C1−4アルキルがより好ましい。
「アルケニル」としては、例えばC2−6アルケニル(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル等)等が好ましい。
「アルキニル」としては、例えばC2−6アルキニル(例えば、エチニル、プロパルギル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ヘキシニル等)等が好ましい。
「シクロアルキル」としては、例えばC3−8シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)等が好ましく、C3−6シクロアルキルがより好ましい。
「アリール」としては、例えばC6−14アリール(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、2−アンスリル等)等が好ましい。
「アラルキル」としては、例えばC7−16アラルキル(例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等)等が好ましい。
で示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、例えば炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1種または2種の1ないし4個(好ましくは1ないし3個)のヘテロ原子を含む5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の単環式ないし3環式(好ましくは単環式または2環式)の芳香族または非芳香族複素環基等が挙げられる。例えば、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−または3−ピロリジニル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、3−または4−ピラゾリジニル、2−、4−または5−イミダゾリル、1−、2−または4−イミダゾリジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1H−または2H−テトラゾリル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5員環基、例えば、2−、3−または4−ピリジル、N−オキシド−2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジニル、N−オキシド−2−、4−または5−ピリミジニル、チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジノ、2−、3−または4−ピペリジル、チオピラニル、1,4−オキサジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアジニル、ピペラジニル、トリアジニル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、N−オキシド−3−または4−ピリダジニル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む6員環基、例えば、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、インドリジニル、キノリジニル、1,8−ナフチリジニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナントリジニル、クロマニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む2環性または3環性縮合環基(好ましくは、上記の5ないし6員環が炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含んでいてもよい5ないし6員環基1ないし2個と縮合して形成される基)等が用いられる。中でも、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員(好ましくは5または6員)の芳香族または非芳香族複素環基が好ましい。
で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」の「置換基」としては、上記A環の置換基で例示したものと同様の1ないし3個の置換基が用いられる。
更に、Rが「置換基を有していてもよい炭化水素基」である場合、該置換基は、「置換基を有していてもよい複素環基」であってもよい。炭化水素基上の置換基である「置換基を有していてもよい複素環基」としては、上記Rで示される「置換基を有していてもよい複素環基」として例示したものが挙げられる。好ましくは、1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし10員(好ましくは5ないし7員、より好ましくは5または6員)の芳香族または非芳香族複素環基であり、例えば、1H−または2H−テトラゾリル、1−、2−または4−イミダゾリジニル、ピペリジノ、2−、3−または4−ピペリジル、1−、2−または3−ピロリジニル、4,5−ジヒドロ−1,2,4−トリアゾリル等が挙げられる。
で示される「アシル基」としては、例えば、式:−(C=O)−R、−(C=O)−OR、−(C=O)−NR、−(C=S)−NHRまたは
−SO−R〔式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、C1−6アルコキシ基、カルバモイル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基またはC1−6アルキル−カルバモイル基、Rは水素原子またはC1−6アルキル基、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を示す〕で表されるアシル基が挙げられる。
およびRで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」としては、Rで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」と同様のものが用いられる。
で示される「C1−6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
で示される「C1−6アルコキシ−カルボニル基」としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。
で示される「C1−6アルキル−カルバモイル基」としては、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、ブチルカルバモイル、イソブチルカルバモイル、sec−ブチルカルバモイル、tert−ブチルカルバモイル、ペンチルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル等が挙げられる。
で示される「C1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
は、
(1)水素原子、
(2)C7−16アラルキル基(例、ベンジル等)、
(3)1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基を置換基として有するC1−4アルキル基、または
(4)式:−(C=O)−R2”、−(C=O)−OR2”もしくは−(C=O)−NR2”
〔式中、R2”
(a)水素原子、
(b)オキソ、C1−6アルキル、フェニル、C1−6アルキル−カルボニルおよびC1−6アルキル−カルボニルアミノから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基、
(c)(i)オキソ、C1−6アルキル、フェニル、C1−6アルキル−カルボニルおよびC1−6アルキル−カルボニルアミノから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基、
(ii)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、
(iii)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基、および
(iv)C1−6アルコキシ基
から選ばれる置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、
(d)C1−6アルコキシ基、
(e)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、C1−6アルコキシ−カルボニルアミノ基およびアミノ基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、
(f)カルバモイル基、
(g)C1−6アルコキシ−カルボニル基、または
(h)C1−6アルキル−カルバモイル基、
は水素原子またはC1−6アルキル基を示す。〕で表されるアシル基が好ましい。
より好ましくは、Rは、
(1)水素原子、
(2)1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基(例、4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル等)を置換基として有するC1−4アルキル基、または
(3)式:−(C=O)−R2’、−(C=O)−OR2’もしくは−(C=O)−NR2’
〔式中、R2’
(a)水素原子
(b)オキソ、C1−6アルキル、フェニル、C1−6アルキル−カルボニルおよびC1−6アルキル−カルボニルアミノから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子を1または2個含む5ないし7員の非芳香族複素環基(例、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−4−イル、ピペラジン−1−イル等)、
(c)(i)1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基(例、1H−テトラゾール−1−イル、イミダゾリジン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル等)、
(ii)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、
(iii)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基、および
(iv)C1−6アルコキシ基
から選ばれる置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、
(d)C1−6アルコキシ基、
(e)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、C1−6アルコキシ−カルボニルアミノ基およびアミノ基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、
(f)カルバモイル基、
(g)C1−6アルコキシ−カルボニル基、または
(h)C1−6アルキル−カルバモイル基、
は水素原子またはC1−6アルキル基を示す。〕で表されるアシル基である。
前記式中、Zはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基を示す。
Zで示される「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基」としては、1ないし5個(好ましくは1ないし3個)のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル(例、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシル等)等が挙げられる。
Zは、C1−6アルキル基が好ましく、メチル等のC1−4アルキル基がより好ましい。
前記式中、Yは置換基を有していてもよいメチレン基を示す。
Yで示される「置換基を有していてもよいメチレン基」の「置換基」としては、上記A環の置換基で例示したものと同様の1ないし3個の置換基が用いられる。
Yは、C1−4アルキル基を置換基として有していてもよいメチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
化合物(I)としては、以下のものが好ましく用いられる。
[化合物(I)−1]
A環が、

で示されるいずれかの環であり、
B環が、置換されていてもよいフェニル基、
C環が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基を置換基として有していてもよいフェニル基、
Zが、C1−6アルキル基、
Yが、C1−4アルキル基で置換されていてもよいメチレン基である化合物(I)。
[化合物(I)−2]
A環が、

で示されるいずれかの環であり、
B環が、(1)ハロゲン原子および
(2)C1−6アルキル基
から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基、
C環が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基を置換基として有していてもよいフェニル基、
が、
(1)水素原子、
(2)C7−16アラルキル基、
(3)1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基を置換基として有するC1−4アルキル基、または
(4)式:−(C=O)−R2”、−(C=O)−OR2”もしくは−(C=O)−NR2”
〔式中、R2”
(a)水素原子、
(b)オキソ、C1−6アルキル、フェニル、C1−6アルキル−カルボニルおよびC1−6アルキル−カルボニルアミノから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基、
(c)(i)オキソ、C1−6アルキル、フェニル、C1−6アルキル−カルボニルおよびC1−6アルキル−カルボニルアミノから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基、
(ii)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、
(iii)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基、および
(iv)C1−6アルコキシ基
から選ばれる置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、
(d)C1−6アルコキシ基、
(e)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、C1−6アルコキシ−カルボニルアミノ基およびアミノ基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、
(f)カルバモイル基、
(g)C1−6アルコキシ−カルボニル基、または
(h)C1−6アルキル−カルバモイル基、
は水素原子またはC1−6アルキル基を示す。〕で表されるアシル基、
Zが、C1−6アルキル基、
Yが、C1−4アルキル基で置換されていてもよいメチレン基である化合物(I)。
[化合物(I)−3]
A環が、

で示されるいずれかの環であり、
B環が、(1)ハロゲン原子および
(2)C1−6アルキル基
から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基、
C環が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基を置換基として有していてもよいフェニル基、
が、(1)水素原子、
(2)1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基を置換基として有するC1−4アルキル基、または
(3)式:−(C=O)−R2’、−(C=O)−OR2’もしくは
−(C=O)−NR2’
〔式中、R2’
(a)水素原子
(b)オキソ、C1−6アルキル、フェニル、C1−6アルキル−カルボニルおよびC1−6アルキル−カルボニルアミノから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子を1または2個含む5ないし7員の非芳香族複素環基、
(c)(i)1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基、
(ii)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、
(iii)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基、および
(iv)C1−6アルコキシ基
から選ばれる置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、
(d)C1−6アルコキシ基、
(e)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、C1−6アルコキシ−カルボニルアミノ基およびアミノ基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、
(f)カルバモイル基、
(g)C1−6アルコキシ−カルボニル基、または
(h)C1−6アルキル−カルバモイル基、
は水素原子またはC1−6アルキル基を示す。〕で表されるアシル基、
Zが、C1−6アルキル基、
Yが、C1−4アルキル基で置換されていてもよいメチレン基である化合物(I)。
[化合物(I)−4]
(3R,4S)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド、
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1−[(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]ピペリジン−4−カルボキサミド、
(3R,4R)−1−[アミノ(オキソ)アセチル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド、
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−1,4−ジカルボキサミド、および
(3R,4R)−1−(N−アセチルグリシル)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミドから選ばれる化合物またはその塩。
化合物(I)の塩としては、例えば金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。金属塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン等との塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
このうち、薬学的に許容し得る塩が好ましい。例えば、化合物内に酸性官能基を有する場合にはアルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)等の無機塩、アンモニウ厶塩等、また、化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。
本発明の化合物(I)またはその塩のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により本発明の化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして本発明の化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして本発明の化合物(I)に変化する化合物をいう。
本発明の化合物(I)のプロドラッグとしては、本発明の化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、本発明の化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、t−ブチル化された化合物等);本発明の化合物(I)のヒドロキシル基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、本発明の化合物(I)のヒドロキシル基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);本発明の化合物(I)のカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、本発明の化合物(I)のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって本発明の化合物(I)から製造することができる。
また、本発明の化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で本発明の化合物(I)に変化するものであってもよい。
本発明は、式(I)で表される化合物およびその塩の溶媒和物、例えば、水和物をその範囲内に包含する。また、式(I)で表される化合物は、同位元素(例、H,14C,35S,125Iなど)などで標識されていてもよい。
本発明による化合物(I)が不斉中心を有する場合、エナンチオマーあるいはジアステレオマーなどの異性体が存在しうる。このような異性体およびそれらの混合物はすべて本発明の範囲内に包含される。また、コンホメーションによる異性体が生成する場合があるが、このような異性体あるいはその混合物も本発明の化合物(I)またはその塩に含まれる。
次に、本発明の化合物(I)またはその塩の製造法について説明する。
本発明の化合物(I)またはその塩は、下記A法、B法、C法あるいはD法を用いて製造することができる。
[A法]
本発明の化合物(I)またはその塩は、式

〔式中、各記号は上記と同意義を示す。〕で表される化合物(以下、化合物(IIa)もしくは(IIb)と称する)またはその塩をアルキル化反応あるいはアシル化反応に付すことにより製造することができる。本反応は、それ自体公知の方法により行うことができるが、例えば、化合物(IIa)もしくは(IIb)をアルキル化剤またはアシル化剤である式
1a−OH (IX)
〔式中、R1aは置換基を有していてもよい炭化水素基、アシル基または置換基を有していてもよい複素環基を示す。〕で表される化合物もしくはその塩またはその反応性誘導体と反応させることによって行うことができる。
1aで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基、アシル基または置換基を有していてもよい複素環基」としては、Rで示されるそれらと同様のものが用いられる。
1a−OHで表される化合物またはその塩の反応性誘導体としては、例えば、式
1a−L (X)
〔式中、Lは脱離基を、R1aは上記と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩(以下、単に反応性誘導体と称する)が用いられる。
で示される脱離基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、置換スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシなどのC1−6アルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシなどのC6−14アリールスルホニルオキシ基;ベンジルスルホニルオキシなどのC7−16アラルキルスルホニルオキシ基など)、アシルオキシ基(アセトキシ、ベンゾイルオキシなど)、ヘテロ環あるいはアリール基(コハク酸イミド、ベンゾトリアゾール、キノリン、4−ニトロフェニルなど)で置換されたオキシ基、ヘテロ環(イミダゾールなど)などが用いられる。
アルキル化剤としての上記反応性誘導体を用いる反応は、通常、溶媒中、塩基の存在下、化合物(IIa)もしくは(IIb)を反応性誘導体と反応させることにより行うことが出来る。溶媒としては例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、エーテル類(ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトンなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、水などを挙げることが出来、適宜混合して用いても良い。塩基には、例えば、有機塩基(トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、N,N−ジメチルアニリンなど)、無機塩基(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)が含まれる。塩基の使用量は、例えば、基質1モルに対して、約1〜約100モル当量、好ましくは約1〜約10モル当量程度である。
反応性誘導体としては、例えば、ハライド類(クロリド、ブロミド、ヨーダイドなど)、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類(メタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネートなど)などが用いられ、特にハライド類が好ましく使用される。反応性誘導体の使用量は、例えば、基質1モルに対して約1〜5モル当量、好ましくは約1〜3モル当量程度である。
必要に応じ、添加物を加え、反応を促進させることも出来る。このような添加物としては、例えば、ヨウ化物塩(ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなど)などが挙げられ、その使用量は基質1モルに対して約0.1〜10モル当量、好ましくは約0.1〜5モル当量程度である。
反応温度は、通常、約−10℃〜200℃、好ましくは約0℃〜110℃程度であり、反応時間は、通常、約0.5時間〜48時間、好ましくは約0.5時間〜16時間程度である。
また、上記反応性誘導体において脱離基Lがヒドロキシル基である場合には、例えば特開昭58−43979号などに記載された方法に従って、塩基の存在下、有機リン化合物を作用させることによっても行われうる。ここで用いられる有機リン化合物としては、例えば、メチル フェニレンホスフェイト、エチル o−フェニレンホスフェイト(EPPA)などのアルキル o−フェニレンホスフェイト、フェニル o−フェニレンホスフェイト、p−クロロフェニル o−フェニレンホスフェイトなどのアリール o−フェニレンホスフェイトなどが用いられるが、特にEPPAが好適である。塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジ(n−ブチル)アミン、ジイソブチルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどのアルキルアミン類、ピリジン、2,6−ルチジンなどの環状アミンなどが用いられるが、なかでもジイソプロピルエチルアミンなどの有機3級アミンが好適である。上記反応性誘導体、塩基および有機リン化合物の使用量は用いられる化合物(IIa)もしくは(IIb)、上記反応性誘導体、塩基および溶媒の種類、さらにその他の反応条件により異なり、通常、基質1モルに対してそれぞれ約1〜10モル当量、好ましくは約1〜5モル当量程度である。反応は、通常、反応に不活性な溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、エーテル類(ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、炭化水素類(ベンゼン、トルエンなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホロアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)およびそれらの混合物が用いられるが、なかでもハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)が好適である。
反応温度は、例えば、約−78℃〜200℃、好ましくは約−20℃〜150℃程度の範囲であり、反応時間は用いられる化合物(IIa)もしくは(IIb)、反応性誘導体、塩基および溶媒の種類、さらにその他の反応条件により異なり、例えば、約1〜72時間、好ましくは約1〜24時間程度である。
アシル化剤としての上記反応性誘導体を用いる反応は、反応性誘導体あるいは基質の種類によっても異なるが、通常、溶媒中で行われ、反応促進のため便宜の塩基を添加しても良い。溶媒としては、例えば、炭化水素類(ベンゼン、トルエンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタンなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)、芳香族アミン類(ピリジンなど)、水などが例示でき、適宜混合して用いても良い。また、塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、酢酸塩(酢酸ナトリウムなど)、3級アミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンなど)、芳香族アミン類(ピリジン、ピコリン、N,N−ジメチルアニリンなど)などが挙げられる。塩基の使用量は、例えば、基質1モルに対して、約1〜100モル当量、好ましくは約1〜10モル当量程度である。
アシル化剤としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、炭酸あるいはそれらの反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、混合酸無水物、活性エステルなど)、イソシアン酸エステル、イソチオシアン酸エステルなどが挙げられる。
これらアシル化剤の使用量は、通常、基質1モルに対して約1〜10モル当量、好ましくは約1〜3モル当量程度である。反応温度は、通常、約−10〜150℃、好ましくは約0〜100℃程度であり、反応時間は、通常、約15分間〜24時間、好ましくは約30分間〜16時間程度である。
また、化合物(I)またはその塩は、化合物(IIa)もしくは(IIb)をアルデヒド類と反応させ、生成したイミンあるいはイミニウムイオンを還元反応に付すことによっても製造することが出来る。
イミンあるいはイミニウムイオンの生成反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行なわれる。このような溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素類(ヘプタン、ヘキサンなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが用いられる。これらの溶媒は、適宜の割合で混合して用いてもよい。アルデヒドとしては、例えば、ホルマリン、置換基を有していても良いC1−5アルキル−アルデヒド(アセトアルデヒドなど)、置換基を有していても良い芳香族アルデヒド(ベンズアルデヒドなど)などが用いられ、使用量は、例えば基質1モルに対して約1〜100モル当量、好ましくは約1〜5モル当量程度である。
必要に応じ、触媒を添加することにより反応を有利に進めることが出来る。このような触媒としては、例えば、鉱酸類(塩酸、臭化水素酸、硫酸など)、カルボン酸類(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸など)、スルホン酸類(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸など)、ルイス酸類(塩化アルミニウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、三フッ化ホウ素、塩化チタンなど)、酢酸塩(酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、モレキュラーシーブス(モレキュラーシーブス3A、4A、5Aなど)が挙げられる。触媒の使用量は、基質1モルに対して、例えば、約0.01〜50モル当量であり、好ましくは約0.1〜10モル当量程度である。
反応温度は、通常、約0℃〜200℃、好ましくは約20℃〜150℃程度であり、反応時間は、通常、約0.5〜48時間、好ましくは約0.5〜24時間程度である。
イミンあるいはイミニウムイオンの還元反応は、それ自体公知の方法により行うことが出来るが、例えば、金属水素化物を用いる方法や接触水素添加反応による方法が挙げられる。
還元剤としての金属水素化物としては、例えば、金属水素化物(水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素亜鉛、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素リチウム、水素化ジブチルアルミニウム、水素化アルミニウム、水素化アルミニウムリチウムなど)、ボラン錯体(ボラン−テトラヒドロフラン錯体、カテコールボランなど)などが挙げられる。好ましい金属水素化物には、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどが含まれる。還元剤の使用量は、例えば、基質1モルに対して約1〜50モル当量、好ましくは約1〜10モル当量程度である。また、反応溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素類(ヘプタン、ヘキサンなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが用いられる。これらの溶媒は、適宜の割合で混合して用いてもよい。反応温度は、通常、約−80℃〜80℃、好ましくは約−40℃〜40℃程度であり、反応時間は、通常、約5分間〜48時間、好ましくは約1〜24時間程度である。
接触水素添加反応は、水素雰囲気中、触媒存在下に行うことが出来る。用いられる触媒としては、例えば、パラジウム類(パラジウム炭素、水酸化パラジウ厶、酸化パラジウムなど)、ニッケル類(ラネーニッケルなど)、白金類(酸化白金、白金炭素など)、ロジウム類(酢酸ロジウムなど)などが挙げられ、その使用量は約0.001〜1当量、好ましくは約0.01〜0.5当量程度である。接触水素添加反応は、通常、反応に不活性な溶媒中で行われる。このような溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)、炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホル厶など)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)、カルボン酸類(酢酸など)、水あるいはそれらの混合物が用いられる。反応が行われる水素圧は、通常、約1〜50気圧であり、好ましくは約1〜10気圧程度である。反応温度は、通常、約0〜150℃、好ましくは約20〜100℃程度であり、反応時間は、通常、約5分間〜72時間、好ましくは約0.5〜40時間程度である。
本工程において,中間体であるイミンあるいはイミニウムイオンを単離することなく、上記イミンあるいはイミニウムイオンの生成反応および還元反応を同時に行い、化合物(IIa)もしくは(IIb)から直接化合物(I)を得ることも出来る。この場合、反応混合物のpHは、約4〜5とするのが好ましい。
A法において原料化合物として用いる化合物(IIa)もしくは(IIb)は後述のB法,C法あるいはD法により得られる化合物(Ia)もしくは(Ib)あるいはそれらの塩を脱アシル化反応あるいは脱アルキル化反応に付すことにより製造することが出来る。
このような脱アシル化反応は、公知の方法に準じて行うことが出来る。例えば、基質の種類によっても異なるが、通常、酸あるいは塩基の存在下、必要に応じ反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
酸としては、例えば、鉱酸類(塩酸、臭化水素酸、硫酸など)、カルボン酸類(酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸など)、スルホン酸類(メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸など)、ルイス酸類(塩化アルミニウム、塩化スズ、臭化亜鉛など)などが用いられ、必要に応じ2種以上を混合して用いても良い。酸の使用量は、溶媒の種類、その他の反応条件により異なるが、通常、化合物(Ia)もしくは(Ib)1モルに対して約0.1モル当量以上であり、溶媒として用いることもできる。
塩基としては、例えば、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルコキシドなど)あるいは有機塩基(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのアミン類、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどの環状アミンなど)などが用いられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウ厶、ナトリウムエトキシドなどが好適である。
塩基の使用量は、溶媒の種類、その他の反応条件により異なり、通常、化合物(Ia)もしくは(Ib)1モルに対して約0.1〜10モル当量、好ましくは約0.1〜5モル当量程度である。
反応に悪影響を及ぼさない溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、カルボン酸類(酢酸など)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、水などが挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
反応温度は、例えば、約−50〜200℃、好ましくは約0〜100℃程度の範囲であり、反応時間は化合物(Ia)もしくは(Ib)またはその塩の種類、反応温度などによって異なり、例えば、約0.5〜100時間、好ましくは約0.5〜24時間程度である。
脱アルキル化反応は、公知の方法、例えばWiley−Interscience社1999年刊「Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.」(Theodora W.Greene、Peter G.M.Wuts著)などに記載されている方法、あるいはそれに準じる方法により行うことができる。例えば、酸、塩基、紫外光、遷移金属触媒などで処理する方法または酸化反応、還元反応、アシル化反応後加水分解などの方法あるいはこれらを組み合わせた方法が利用できる。
[B法]

[式中の各記号は上記と同意義を示す。]
化合物(Ib)で表される化合物もしくはその塩は後述するD法により製造することができる。
本反応は化合物(Ib)を還元反応に付すことにより化合物(Ia)へ変換する反応である。本反応はそれ自体公知の方法により行うことができるが、例えば、化合物(Ib)を金属および金属塩による還元反応、遷移金属触媒を用いた接触水素化による還元反応などに付すことにより化合物(Ia)を製造することができる。
「金属および金属塩による還元反応」において使用される金属および金属塩としては、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)、その他金属(亜鉛、クロム、チタン、鉄、サマリウム、セレンなど)、金属塩(亜鉛−アマルガム、亜鉛−銅合金、アルミニウム−アマルガム、ハイドロサルファイトナトリウムなど)などが好ましい。還元剤の使用量は、例えば、基質1モルに対して、約1〜50モル当量、好ましくは約1〜5モル当量程度である。
反応に用いられる溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブタノール、ベンジルアルコールなど)、アミン類(液体アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、エチレンジアミンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、鉱酸類(塩酸、臭化水素酸、硫酸など)、カルボン酸類(酢酸など)、アミド類(ヘキサメチルホスホアミド)、水などが例示でき、これらの溶媒は単独でまたは混合して使用できる。
反応温度は通常、約−80〜150℃、好ましくは約−80〜100℃程度であり、反応時間は、通常、約5分間〜48時間、好ましくは約1〜24時間程度である。
「遷移金属触媒を用いた接触水素化による還元反応」において使用される遷移金属触媒としては、例えば、パラジウム類(パラジウム炭素、水酸化パラジウム、酸化パラジウムなど)、ニッケル類(ラネーニッケルなど)、白金類(酸化白金、白金炭素など)、ロジウム類(酢酸ロジウムなど)などが挙げられ、その使用量は約0.001〜1当量、好ましくは約0.01〜0.5当量程度である。接触水素化反応は通常、反応に不活性な溶媒中で行われる。このような溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)、炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)、カルボン酸類(酢酸など)、水あるいはそれらの混合物が用いられる。反応が行われる水素圧は、通常、約1〜50気圧であり、好ましくは約1〜10気圧程度である。反応温度は、通常、約0〜150℃、好ましくは約20〜100℃程度であり、反応時間は、通常、約5分間〜72時間、好ましくは約0.5〜40時間程度である。
[C法]

[式中、R’は置換基を有していてもよい炭化水素基を、その他の各記号は上記と同意義を示す。]
(工程1)
本工程は、化合物(VI)またはその塩と、式

[式中、Xはハロゲン原子を、その他の各記号は上記と同意義を示す。]で表される化合物もしくはその塩を付加させることによって化合物(Va)を製造する工程である。
原料である化合物(VI)またはその塩は市販であるか、それ自体公知の方法[例、n=m=1で表される化合物を製造する場合、ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)1992年、35(2)巻、233−241頁;n=2、m=1で表される化合物を製造する場合、ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサイエティー、パーキン トランザクション1:オーガニック アンド バイオ−オーガニック ケミストリー(1972−1999)(Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions 1:Organic and Bio−Organic Chemistry(1972−1999))1981年、6巻、1754−1762頁]に準じて製造することができる。
式(XI)によって表されるGrignard試薬は、市販であるか、それ自体公知の方法、例えば、社団法人 日本化学会編1991年刊「第4版 実験化学講座24、有機合成VI」などに記載されている方法、あるいはそれに準じる方法により調製することができる。
本工程は必要に応じ、添加物を加えることにより、反応を有利に進行させることができる。このような添加物としては、例えば、銅塩(例、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、シアン化銅など)、リチウム塩(例、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムなど)、ルイス酸(例、三フッ化ホウ素、塩化トリメチルシリル、塩化アルミニウムなど)、ルイス塩基(例、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジメチルエチレンジアミンなど)あるいはそれらの混合物などが挙げられ、なかでも臭化銅、ヨウ化銅、シアン化銅などが好適である。添加物の使用量は式(XI)によって表されるGrignard試薬1モルに対して約0.001〜10モル当量、好ましくは約0.1〜2モル当量程度である。
本工程は、反応に不活性な溶媒中で行われる。このような溶媒としては、例えば、炭化水素類(ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)あるいはそれらの混合物が用いられる。反応温度は、通常、約−80〜50℃、好ましくは約−35〜0℃程度であり、反応時間は、通常、約5分間〜48時間、好ましくは約1〜24時間程度である。
(工程2)
本工程は化合物(Va)を加水分解に付すことにより化合物(IVa)へ変換する反応である。本反応は、それ自体公知の方法により行うことができるが、通常、酸あるいは塩基の存在下、必要に応じ反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
酸としては、例えば、鉱酸類(塩酸、臭化水素酸、硫酸など)、カルボン酸類(酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸など)、スルホン酸類(メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸など)、ルイス酸(塩化アルミニウム、塩化スズ、臭化亜鉛など)などが用いられ、必要に応じ2種類以上を混合しても良い。酸の使用量は、溶媒の種類、その他の反応条件により異なるが、通常、化合物(Va)1モルに対して約0.1モル当量以上であり、溶媒として用いることもできる。
塩基としては例えば、無機塩基(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルコキシドなど)あるいは有機塩基(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのアミン類、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどの環状アミン類など)などが用いられ、なかでも水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムエトキシドなどが好適である。塩基の使用量は、溶媒の種類、その他の反応条件により異なるが、通常、化合物(Va)1モルに対して約0.1〜10モル当量であり、好ましくは約0.1〜5モル当量程度である。
反応に悪影響を及ぼさない溶媒としては、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールなど)、炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、カルボン酸類(酢酸など)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、水などが挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
反応温度は、例えば、約−50〜200℃、好ましくは約0〜100℃程度の範囲であり、反応時間は化合物(Va)またはその塩の種類、反応温度などによって異なり、例えば、約0.5〜100時間、好ましくは約0.5〜24時間程度である。
(工程3)
本反応は化合物(IVa)あるいはその塩と、式

[式中の各記号は上記と同意義を示す。]で表される化合物もしくはその塩を脱水縮合させることによって化合物(IIIa)を製造する工程である。
化合物(XII)またはその塩は、市販であるか、公知の方法に準じて製造することができる。その使用量は化合物(IVa)1モルに対して、約1〜10モル当量であり、好ましくは約1〜2モル当量程度である。
脱水縮合させる方法とは、それ自体公知の方法、例えば、社団法人 日本化学会編1991年刊「第4版 実験化学講座22、有機合成IV」などに記載されている方法、あるいはそれに準じる方法により行うことができる。それらの方法としては、例えば、縮合剤を用いる方法、反応性誘導体を経る方法などが挙げられる。
「縮合剤を用いる方法」において使用される縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドおよびその塩酸塩、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルホスホリルアジドなどが挙げられる。これらは単独で、もしくは添加剤(例、N−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールあるいは3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジンなど)と組み合わせて用いることもできる。縮合剤の使用量は化合物(IVa)1モルに対して、約1〜10モル当量であり、好ましくは約1〜2モル当量程度である。添加剤の使用量は化合物(IVa)1モルに対して、約1〜10モル当量であり、好ましくは約1〜2モル当量程度である。上記反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われ、反応促進のため便宜の塩基を添加しても良い。溶媒としては、例えば、炭化水素類(ベンゼン、トルエンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタンなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)、芳香族アミン類(ピリジンなど)、水などが例示でき、適宜混合しても良い。また、塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど)、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、酢酸塩(酢酸ナトリウムなど)、3級アミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンなど)、芳香族アミン類(ピリジン、ピコリン、N,N−ジメチルアニリンなど)などが挙げられる。塩基の使用量は、通常、基質1モルに対して、約1〜100モル当量、好ましくは約1〜5モル当量程度である。反応温度は、通常、約−80〜150℃、好ましくは約0〜50℃程度であり、反応時間は、通常、約0.5〜48時間、好ましくは約0.5〜16時間程度である。
「反応性誘導体を経る方法」において示される反応性誘導体としては、例えば、酸ハライド、酸無水物、混合酸無水物、活性エステルなどが挙げられる。反応性誘導体への変換は、それ自体公知の方法に準じて行うことができるが、例えば、酸ハライドへの変換としては、酸ハロゲン化物(例、塩化チオニル、塩化オキサリルなど)を用いる方法、リンおよびリン酸のハロゲン化物(例、三塩化リン、五塩化リンなど)を用いる方法などが挙げられる。上記反応性誘導体を用いる反応では、反応性誘導体あるいは基質の種類によっても異なるが、通常、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われ、反応促進のため便宜の塩基を添加しても良い。反応で使用される溶媒および塩基の種類、使用量、反応温度ならびに反応時間は、上記「縮合剤を用いる方法」において記載した内容と同様である。
(工程4)
本工程は化合物(IIIa)と、式
Z−L (XIII)
[式中のLは脱離基を、Zは上記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩を反応させることによって化合物(Ia)を製造する工程である。
で示される脱離基としては、例えば、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、置換スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基、ベンジルスルホニルオキシ基など)、アシルオキシ基(アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、ヘテロ環あるいはアリール基(コハク酸イミド、ベンゾトリアゾール、キノリン、4−ニトロフェニルなど)で置換されたオキシ基、ヘテロ環(イミダゾールなど)などが用いられ、特にハロゲン原子が好ましい。化合物(XIII)の使用量は、例えば、化合物(IIIa)1モルに対して約1〜5モル当量、好ましくは約1〜3モル当量程度である。
本反応は、通常、溶媒中、塩基の存在下、化合物(VIIa)を化合物(XIII)またはその塩と反応させることにより行うことが出来る。溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、エーテル類(ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトンなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、水などを挙げることが出来、適宜混合して用いても良い。塩基には、例えば、有機塩基(トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、N,N−ジメチルアニリンなど)、無機塩基(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドなど)などが含まれる。塩基の使用量は、例えば、基質1モルに対して、約1〜100モル当量、好ましくは約1〜10モル当量程度である。
必要に応じ、添加物を加え、反応を促進させることも出来る。このような添加物としては、例えば、ヨウ化塩(ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなど)などが挙げられ、その使用量は化合物(IIIa)1モルに対して約0.1〜10モル当量、好ましくは約0.1〜5モル当量程度である。
反応温度は、通常、約−10〜200℃、好ましくは約0〜110℃程度であり、反応時間は、通常、約0.5〜48時間、好ましくは約0.5〜16時間程度である。
(工程5)
本反応は化合物(IVa)あるいはその塩と、式

[式中の各記号は上記と同意義を示す。]で表される化合物もしくはその塩を脱水縮合させることによって化合物(Ia)を製造する工程である。
化合物(XIV)またはその塩は市販であるか、公知の方法(例えば、国際公開第01/25219号など)に準じて製造することができ、その使用量は化合物(IVa)1モルに対して約1〜5モル当量、好ましくは約1〜2モル当量程度である。本反応はC法の工程3において記載した方法と同様に行うことができる。
[D法]

[式中、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を、その他は上記と同意義を示す。]
(工程1)
本工程は、化合物(VIII)またはその塩を、トリフラート化することにより化合物(VII)またはその塩を製造する工程である。
原料である化合物(VIII)またはその塩は市販であるか、公知の方法[例、n=m=2で表される化合物を製造する場合、ヘテロサイクルズ(Heterocycles)、1978年、11巻、267−273頁など]に準じて製造することができる。
本工程は、それ自体公知の方法、例えば、社団法人 日本化学会編1991年刊「第4版 実験化学講座24、有機合成VI」などに記載されている方法、あるいはそれに準じる方法に従って行うことができ、例えば、塩基存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で、トリフラート化剤を作用させることにより実施することができる。
用いられる塩基としては、例えば、有機アミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリンなど)、アルカリ金属塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、金属水素化物(水素化カリウム、水素化ナトリウムなど)などが挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンなどの有機アミン類、水素化ナトリウムなどの金属水素化物などが好適である。塩基の使用量は化合物(VIII)1モルに対して約0.1〜10モル当量、好ましくは約1〜5モル当量程度である。
用いられる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、エーテル類(ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン)、非プロトン性極性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロアミドなど)あるいはそれらの混合物が用いられる。
トリフラート化剤としては、スルホン酸無水物(例、トリフルオロメタンスルホン酸無水物など)、ハロゲン化スルホニル類(例、塩化トリフルオロメタンスルホニルなど)、スルホンイミド類(例、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)など)、スルホン酸エステル類(例、トリフルオロメタンスルホン酸エチルなど)などが挙げられ、なかでもトリフルオロメタンスルホン酸無水物などのスルホン酸無水物、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)などのスルホンイミド類が好適である。トリフラート化剤の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して約0.1〜10モル当量、好ましくは約1〜5モル当量程度である。
反応温度は、通常、約−80〜100℃、好ましくは約−80〜20℃程度であり、反応時間は、通常、約5分間〜48時間、好ましくは約5分間〜8時間程度である。
(工程2)
本工程は、化合物(VII)またはその塩を、式

[式中、各記号は上記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とのカップリング反応に付すことにより化合物(Vb)を製造する工程である。
本工程は、それ自体公知の方法[例、ケミカル レビューズ(Chemical Reviews)、1995年、95巻、2457頁など]に準じて行うことができ、例えば、遷移金属触媒および塩基存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で実施できる。
用いられる遷移金属触媒としては、例えば、パラジウム触媒(酢酸パラジウム、塩化パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムなど)、ニッケル触媒(塩化ニッケルなど)などが用いられ、必要に応じてリガンド(トリフェニルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィンなど)を添加したり、金属酸化物(酸化銅、酸化銀など)などを共触媒として用いても良い。触媒の使用量は、触媒の種類により異なるが、通常、化合物(VII)1モルに対して、約0.0001〜1モル当量、好ましくは約0.01〜0.5モル当量程度、リガンドの使用量は、通常、化合物(VII)1モルに対して、約0.0001〜4モル当量、好ましくは約0.01〜2モル当量程度、共触媒の使用量は、化合物(VII)1モルに対して、約0.0001〜4モル当量、好ましくは約0.01〜2モル当量程度である。
用いられる塩基としては、例えば、有機アミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリンなど)、アルカリ金属塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、金属水素化物(水素化カリウム、水素化ナトリウムなど)、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシドなど)、アルカリジシラジド(リチウムジシラジド、ナトリウムジシラジド、カリウムジシラジドなど)などが挙げられる。なかでも、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどのアルカリ金属塩、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンなどの有機アミン類などが好適である。塩基の使用量は化合物(VII)1モルに対して約0.1〜10モル当量、好ましくは約1〜5モル当量程度である。
用いられる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)エーテル類(ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン)、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、非プロトン性極性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロアミドなど)、水あるいはそれらの混合物が用いられる。反応温度は、通常、約−10〜200℃、好ましくは約0〜150℃程度であり、反応時間は、通常、約0.5〜48時間、好ましくは約0.5〜16時間程度である。
(工程3)
本反応は化合物(Vb)を加水分解に付すことにより化合物(IVb)へ変換する工程であり、C法の工程2に記載した方法と同様の方法により行うことができる。
(工程4)
本反応は化合物(IVb)あるいはその塩と、式

[式中の各記号は上記と同意義を示す。]で表される化合物もしくはその塩を脱水縮合させることによって化合物(IIIb)を製造する工程である。本工程は、C法の工程3に記載した方法と同様の方法により行うことができる。
(工程5)
本反応は化合物(IIIb)と、式
Z−L (XIII)
[式中の各記号は上記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩を反応させることによって化合物(Ib)を製造する工程である。本工程は、C法の工程4に記載した方法と同様の方法により行うことができる。
(工程6)
本反応は化合物(IVb)あるいはその塩と、式

[式中の各記号は上記と同意義を示す。]で表される化合物もしくはその塩を脱水縮合させることによって化合物(Ib)を製造する工程である。本工程は、C法の工程5において記載した方法と同様の方法により行うことができる。
目的化合物および原料合成の各反応において、原料化合物が置換基としてアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する場合、これらの基は、ペプチド化学などで一般的に用いられるような保護基で保護されていてもよい。この場合、反応後に、必要に応じて、保護基を除去することにより目的化合物を得ることができる。
このような保護基としては、例えば、Wiley−Interscience社1999年刊「Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.」(Theodora W.Greene,Peter G.M.Wuts著)に記載されているものが挙げられる。
アミノ基の保護基としては、例えば、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(アセチル、プロピオニル基など)、フェニルカルボニル基、C1−6アルキル−オキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル基など)、C7−10アラルキル−カルボニル基(ベンジルオキシカルボニル基など)、ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、フタロイル基などが挙げられ、これらの保護基は置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子など)、C1−6アルキル−カルボニル基(アセチル、プロピオニル、ブチルカルボニル基など)、ニトロ基などが挙げられ、置換基の数は1〜3個程度である。
カルボキシル基の保護基としては、例えば、C1−6アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル基など)、フェニル基、トリチル基、シリル基などが挙げられ、これらの保護基は置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子など)、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(アセチル、プロピオニル、ブチルカルボニル基など)、ニトロ基などが挙げられ、置換基の数は1〜3個程度である。
ヒドロキシル基の保護基としては、例えば、C1−6アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル基など)、フェニル基、C7−10アラルキル基(ベンジル基など)、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(アセチル、プロピオニル基など)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル基など)、C7−10アラルキル−カルボニル基(ベンジルオキシカルボニル基など)、ピラニル基、フラニル基、シリル基などが挙げられ、これらの保護基は置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子など)、C1−6アルキル基、フェニル基、C7−10アラルキル基、ニトロ基などが挙げられ、置換基の数は1〜4個程度である。
保護基の除去は、公知またはWiley−Interscience社1999年刊「Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.」(Theodora W.Greene,Peter G.M.Wuts著)などに記載されている方法、あるいはそれに準じる方法により行うことができる。例えば、酸、塩基、還元、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウムなどで処理する方法が利用できる。
上記の方法において化合物(I)が遊離化合物として得られる場合、常法に従って、例えば、無機酸(塩酸、硫酸、臭化水素酸など)、有機酸(メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸など)、無機塩基(ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムまたはアンモニウムなど)または有機塩基(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミンまたはN,N’−ジベンジルエチレンジアミンなど)などとの塩を生成させることもでき、化合物(I)が塩の形態で得られる場合は、常法に従って、遊離の化合物または他の塩に変換することもできる。
また、前記の各反応において、原料化合物が塩を形成し得る場合、該化合物を塩として用いてもよい。このような塩としては、例えば化合物(I)の塩として例示したものが用いられる。
このような方法により生成した本発明の化合物(I)は、例えば、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの通常の分離手段により単離、精製することができる。
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体を含有する場合には、これらも化合物(I)として含有されるとともに、自体公知の合成手法、分離手法(濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)によりそれぞれを単品として得ることができる。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、該化合物から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。
光学異性体は自体公知の方法により製造することができる。具体的には、光学活性な合成中間体を用いる、または、最終物のラセミ体を常法に従って光学分割することにより光学異性体を得る。
光学分割法としては、自体公知の方法、例えば、分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法等が用いられる。
1)分別再結晶法
ラセミ体と光学活性な化合物(例えば、(+)−マンデル酸、(−)−マンデル酸、(+)−酒石酸、(−)−酒石酸、(+)−1−フェネチルアミン、(−)−1−フェネチルアミン、シンコニン、(−)−シンコニジン、ブルシンなど)と塩を形成させ、これを分別再結晶法によって分離し、所望により、中和工程を経てフリーの光学異性体を得る方法。
2)キラルカラム法
ラセミ体またはその塩を光学異性体分離用カラム(キラルカラム)にかけて分離する方法。例えば液体クロマトグラフィーの場合、ENANTIO−OVM(トーソー社製)あるいは、ダイセル社製 CHIRALシリーズなどのキラルカラムに光学異性体の混合物を添加し、水、種々の緩衝液(リン酸緩衝液など)、有機溶媒(エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、トリフルオロ酢酸、ジエチルアミンなど)を単独あるいは混合した溶液として展開させることにより、光学異性体を分離する。また、例えばガスクロマトグラフィーの場合、CP−Chirasil−DeX CB(ジーエルサイエンス社製)などのキラルカラムを使用して分離する。
3)ジアステレオマー法
ラセミ体の混合物を光学活性な試薬と化学反応によってジアステレオマーの混合物とし、これを通常の分離手段(分別再結晶、クロマトグラフィー法など)などを経て単一物質とした後、加水分解反応などの化学的な処理により光学活性な試薬部位を切り離すことにより光学異性体を得る方法。例えば、化合物(I)が分子内にヒドロキシまたは1、2級アミノを有する場合、該化合物と光学活性な有機酸(MTPA〔α−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸など〕、(−)−メントキシ酢酸など)などとを縮合反応に付すことにより、それぞれエステル体またはアミド体のジアステレオマーが得られる。一方、化合物(I)がカルボン酸基を有する場合、該化合物と光学活性アミンまたはアルコール試薬とを縮合反応に付すことにより、それぞれアミド体またはエステル体のジアステレオマーが得られる。分離されたジアステレオマーは、酸加水分解あるいは塩基性加水分解反応に付すことにより、元の化合物の光学異性体に変換される。
化合物(I)またはその塩は、結晶であってもよい。
化合物(I)またはその塩の結晶(以下、本発明の結晶と略記することがある)は、化合物(I)またはその塩に自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
ここで、結晶化法としては、例えば、溶液からの結晶化法、蒸気からの結晶化法、溶融体からの結晶化法などが挙げられる。
該「溶液からの結晶化法」としては、化合物の溶解度に関係する因子(溶媒組成、pH、温度、イオン強度、酸化還元状態等)または溶媒の量を変化させることによって、飽和していない状態から過飽和状態に移行させる方法が一般的であり、具体的には、例えば濃縮法、除冷法、反応法(拡散法、電解法など)、水熱育成法、融剤法などが挙げられる。用いられる溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルムなど)、飽和炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、ケトン類(アセトンなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなど)、水などが用いられる。これらの溶媒は単独あるいは二種以上を適当な割合(例えば、1:1ないし1:100(容積比))で混合して用いられる。
該「蒸気からの結晶化法」としては、例えば気化法(封管法、気流法など)、気相反応法、化学輸送法などが挙げられる。
該「溶融体からの結晶化法」としては、例えば、ノルマルフリージング法(引上げ法、温度傾斜法、ブリッジマン法など)、帯溶融法(ゾーンレベリング法、フロートゾーン法など)、特殊成長法(VLS法、液相エピタキシー法など)などが挙げられる。
結晶化法の好適な例としては、化合物(I)またはその塩を20〜120℃の温度下に、適当な溶媒(メタノール、エタノールなどのアルコール類など)に溶解し、得られる溶液を溶解時の温度以下(例えば0〜50℃、好ましくは0〜20℃)に冷却する方法などが挙げられる。
このようにして得られる本発明の結晶は、例えばろ過などによって単離することができる。
本明細書中、融点は、例えば微量融点測定器(ヤナコ、MP−500D型)またはDSC(示差走査熱量分析)装置(SEIKO、EXSTAR6000)等を用いて測定される融点を意味する。
また、本明細書中、粉末X線回折によるピークは、例えば線源としてCu−Kα1線(管電圧:40KV;管電流:50mA)を用い、RINT2100型(理学電気)等を用いて測定されるピークを意味する。
さらに、本明細書中、比旋光度([α])は、例えば旋光度計(日本分光(JASCO)、P−1030型旋光計(No.AP−2))等を用いて測定される比旋光度を意味する。
一般に、融点および粉末X線回折によるピークは、測定機器、測定条件などによって変動する場合がある。本明細書中の結晶は、通常の誤差範囲内であれば、本明細書に記載の融点または粉末X線回折によるピークと異なる値を示す結晶であってもよい。
本発明の結晶は、物理化学的性質(融点、溶解度、安定性など)および生物学的性質(体内動態(吸収性、分布、代謝、排泄)、薬効発現など)に優れ、医薬として極めて有用である。
本発明の化合物(I)またはその塩あるいはプロドラッグ(以下、本発明の化合物と略記する場合がある)は、カプサイシンにより誘発される気管血管透過性の亢進抑制作用の他、優れたタキキニン受容体拮抗作用、特にサブスタンスP受容体拮抗作用、ニューロキニンA受容体拮抗作用を有する。本発明の化合物は、毒性が低く、安全である。
従って、優れたサブスタンスP受容体拮抗作用、ニューロキニンA受容体拮抗作用等を有する本発明の化合物は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対して、以下のようなサブスタンスP関連疾患の安全な予防・治療薬として使用することができる。
(1)下部尿路機能異常〔例えば、過活動膀胱、間質性膀胱炎、排尿異常(例えば、頻尿、尿失禁、過活動膀胱による切迫尿意、過活動膀胱を伴った低緊張性膀胱など)骨盤内臓痛など〕
(2)消化器疾患〔例えば、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、ウレアーゼ陽性のラセン状グラム陰性菌(例えば、ヘリコバクター・ピロリなど)に起因する異常(例えば、胃炎、胃潰瘍など)、胃癌、胃手術後障害、消化不良、食道潰瘍、膵炎、大腸ポリープ、胆石症、痔疾患、消化性潰瘍、時局性回腸炎、嘔吐、悪心、NUD(non−ulcer dyspepsia)など〕
(3)炎症性もしくはアレルギー性疾患〔例えば、炎症性腸疾患、アレルギー性鼻炎、結膜炎、消化管アレルギー、花粉症、アナフィラキシー、皮膚炎、ヘルペス、乾癬、気管支炎、喀痰、網膜症、手術・外傷後の炎症、腫脹の緩解、咽頭炎、膀胱炎、髄膜炎、炎症性眼疾患など〕
(4)骨・関節疾患〔例えば、関節リウマチ(慢性関節リウマチ)、変形性関節炎、リウマチ様脊髄炎、骨粗鬆症、細胞などの異常増殖、骨折、再骨折、骨軟化症、骨減少症、骨ベーチェット病、硬直性脊髄炎、変形性膝関節炎及びそれらの類似疾患における関節組織の破壊など〕
(5)呼吸器疾患〔例えば、かぜ症候群、肺炎、喘息、肺高血圧症、肺血栓・肺塞栓、肺サルコイドーシス、肺結核、間質性肺炎、珪肺、成人呼吸促迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、咳など〕
(6)感染症〔HIV感染症、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス等のウイルス感染症、リケッチア感染症、細菌感染症、性感染症、カリニ肺炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症、全身性真菌感染症、結核、侵襲性ブドウ状球菌感染症、急性ウイルス脳炎、急性バクテリア髄膜炎、エイズ脳症、敗血症、セプシス、重症セプシス、敗血症性ショック、内毒素性ショック、トキシンショック症候群など〕
(7)癌〔例えば、原発性、転移性または再発性の、乳癌、前立腺癌、膵癌、胃癌、肺癌、大腸癌(結腸癌、直腸癌、肛門癌)、食道癌、十二指腸癌、頭頚部癌(舌癌、咽頭癌、喉頭癌)、脳腫瘍、神経鞘腫、非小細胞肺癌、肺小細胞癌、肝臓癌、腎臓癌、胆管癌、子宮癌(子宮体癌、子宮頸癌)、卵巣癌、膀胱癌、皮膚癌、血管腫、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、甲状腺癌、骨腫瘍、血管腫、血管線維腫、網膜肉腫、陰茎癌、小児固形癌、カポジ肉腫、後天性免疫不全症候群(AIDS)に起因するカポジ肉腫、上顎洞腫瘍、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、子宮筋腫、骨芽細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、癌性の中皮腫瘍、白血病などの腫瘍、ホジキン病など〕
(8)中枢神経疾患〔例えば、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、筋萎縮性脊髄側索硬化症(ALS)、ハンチントン舞踏病、糖尿病性ニューロパシー、多発性硬化症など)、精神疾患(例、統合失調症(精神分裂病)、うつ病、躁病、不安神経症、脅迫神経症、恐慌性障害、てんかん、アルコール依存症、不安症状、不快精神状態など)、中枢および末梢神経障害(例、頭部外傷、脊髄損傷、脳浮腫、知覚機能障害、知覚機能異常、自律神経機能障害、自律神経機能異常、むち打ち症など)、記憶障害(例、老年期痴呆、健忘症、脳血管痴呆など)、脳血管障害(例、脳出血、脳梗塞等の障害及びその後遺症・合併症、無症候性脳血管障害、一過性脳虚血発作、高血圧性脳症、脳血液関門の障害など)、脳血管障害の再発および後遺症(例、神経症候、精神症候、自覚症状、日常生活動作障害など)、脳血管閉塞後の中枢機能低下症、脳循環・腎循環自動調節能の障害または異常など〕
(9)循環器疾患〔例えば、急性冠動脈症候群(例、急性心筋梗塞、不安定狭心症など)、末梢動脈閉塞症、レイノー病、バージャー病、冠動脈インターベンション(経皮的冠動脈形成術(PTCA)、アテレクトミー(DCA)、ステント留置等)後の再狭搾、冠動脈バイパス手術後の再狭窄、その他の末梢動脈におけるインターベンション(血管形成術、アテレクトミー、ステント留置等)及びバイパス手術後の再狭窄、虚血性心疾患(例、心筋梗塞、狭心症など)、心筋炎、間歇性跛行、ラクネ梗塞、動脈硬化症(例、アテローム性動脈硬化症など)、心不全(急性心不全、うっ血性を含む慢性心不全)、不整脈、動脈硬化巣の進展、血栓症、高血圧症、高血圧性耳鳴り、低血圧症など〕
(10)疼痛〔例えば、偏頭痛、神経痛など〕
(11)自己免疫疾患〔例えば、膠原病、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発動脈炎、重症筋無力症、多発性硬化症、シェーグレン症候群、ベーチェット病など〕
(12)肝疾患〔例えば、慢性を含む肝炎、肝硬変、間質性肝疾患など〕
(13)膵疾患〔例えば、慢性を含む膵炎など〕
(14)腎疾患〔例えば、腎炎、糸球体腎炎、糸球体硬化症、腎不全、血栓性微小血管症、透析の合併症、放射線照射による腎症を含む臓器障害、糖尿病性腎症など〕
(15)代謝性疾患〔例えば、糖尿病(インスリン依存性糖尿病、糖尿病性合併症、糖尿病性網膜症、糖尿病性細小血管症、糖尿病性神経障害など)、耐糖能異常、肥満、前立腺肥大症、性的機能不全など〕
(16)内分泌疾患〔例えば、アジソン病、クッシング症候群、褐色細胞腫、原発性アルドステロン症など〕
(17)その他の疾患
(i)移植片拒絶反応〔例えば、移植後の拒絶反応、移植後の赤血球増加症・高血圧・臓器障害・血管肥厚、移植片対宿主疾患など〕
(ii)血液・血球成分の性状異常〔例えば、血小板凝集能亢進、赤血球変形能の異常、白血球粘着能の亢進、血液粘度上昇、赤血球増加症、血管性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、播種性血管内凝固症候群(DIC)、多発性骨髄症など〕
(iii)婦人科疾患〔例えば、更年期障害、妊娠中毒、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣疾患、乳腺疾患など〕
(iv)皮膚疾患〔例えば、ケロイド、血管腫、乾癬、掻痒など〕
(v)眼疾患〔例えば、緑内障、高眼圧症など〕
(vi)耳鼻咽喉疾患〔例えば、メヌエル症候群、耳鳴り、味覚障害、めまい、平衡障害、嚥下障害など〕
(vii)環境・職業性因子による疾患〔例えば、放射線障害、紫外線・赤外線・レーザー光線による障害、高山病など〕
(viii)運動失調
(ix)慢性疲労症候群
本発明の化合物は、タキキニン受容体拮抗剤、頻尿、尿失禁などの下部尿路機能異常改善剤やこれらの下部尿路機能異常の治療薬および過敏性腸疾患、潰瘍性大腸炎などの消化器疾患の治療薬として特に有用である。
本発明の化合物を含む医薬製剤は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、坐剤などの固形製剤、シロップ剤、乳剤、注射剤、懸濁剤などの液剤のいずれであってもよい。
本発明の医薬製剤は、製剤の形態に応じて、例えば、混和、混練、造粒、打錠、コーティング、滅菌処理、乳化などの慣用の方法で製造できる。なお、製剤の製造に関して、例えば日本薬局法製剤総則の各項などを参照できる。また本発明の医薬製剤は、有効成分と生体内分解性高分子化合物とを含む徐放剤に成形してもよい。該徐放剤の調製は、特開平9−263545号公報に記載の方法に準ずることができる。
本発明の医薬製剤において、本発明の化合物またはその塩の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体に対して約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜50重量%、さらに好ましくは約0.5〜20重量%程度である。
本発明の化合物を前記の医薬製剤として用いる場合、そのまま、或いは適宜の薬学的に許容され得る担体、例えば、賦形剤(例えば、デンプン、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなど)、結合剤(例えば、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなど)、滑沢剤(例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルクなど)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、タルクなど)、希釈剤(例えば、注射用水、生理食塩水など)、必要に応じて添加剤(安定剤、保存剤、着色剤、香料、溶解助剤、乳化剤、緩衝剤、等張化剤など)などと常法により混合し、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの固形剤または注射剤などの液剤の形態で経口的または非経口的に投与することができる。
投与量は、本発明の化合物または薬学上許容可能なその塩の種類、投与ルート、症状、患者の年令などによっても異なるが、例えば、排尿異常の成人患者に経口的に投与する場合、1日当たり体重1kgあたり本発明の化合物として約0.005〜50mg、好ましくは約0.05〜10mg、さらに好ましくは約0.2〜4mgを1〜3回に分割投与できる。
本発明の医薬組成物が徐放性製剤である場合の投与量は、化合物(I)またはその塩の種類と含量、剤形、薬物放出の持続時間、投与対象動物(例、ヒト、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウサギ、牛、豚等の哺乳動物)、投与目的により種々異なるが、例えば非経口投与により適用する場合には、1週間に約0.1から約100mgの化合物(I)またはその塩が投与製剤から放出されるようにすればよい。
本発明の化合物は、適宜、他の医薬活性成分と適量配合または併用して使用することもできる。
本発明の化合物と他の医薬活性成分とを併用することにより、
(1)本発明の化合物または他の医薬活性成分を単独で投与する場合に比べて、その投与量を軽減することができる。より具体的には、本発明の化合物と抗コリン剤またはNK−2受容体アンタゴニストを併用した場合、抗コリン剤またはNK−2受容体アンタゴニストを単独投与する場合に比べて、それらの投与量を軽減することができるので、例えば、口渇等の副作用の軽減を図ることができる。
(2)患者の症状(軽症、重症など)に応じて、本発明の化合物と併用する薬物を選択することができる。
(3)本発明の化合物と作用機序が異なる他の医薬活性成分を選択することにより、治療期間を長く設定することができる。
(4)本発明の化合物と作用機序が異なる他の医薬活性成分を選択することにより、治療効果の持続を図ることができる。
(5)本発明の化合物と他の医薬活性成分とを併用することにより、相乗効果が得られる、などの優れた効果を得ることができる。
本発明の化合物と配合または併用し得る薬物(以下、併用薬物と略記する)としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
(1)糖尿病治療剤
インスリン製剤〔例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS−1等)など〕、インスリン感受性増強剤(例、塩酸ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロジグリタゾンまたはそのマレイン酸塩、JTT−501、MCC−555、YM−440、GI−262570、KRP−297、FK−614、CS−011等)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート等)、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン等)、スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド等)やその他のインスリン分泌促進剤(例、レパグリニド、セナグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物、GLP−1、ナテグリニド等)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、NVP−DPP−278、PT−100、P32/98等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、AJ−9677、AZ40140等)、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド等)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸等)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤等)、SGLT(sodium−glucose cotransporter)阻害剤(例、T−1095等)等。
(2)糖尿病性合併症治療剤
アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、フィダレスタット(SNK−860)、ミナルレスタット(ARI−509)、CT−112等)、神経栄養因子(例、NGF、NT−3等)、AGE阻害剤(例、ALT−945、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウムブロミド(ALT−766)、EXO−226等)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸等)、脳血管拡張剤(例、チオプリド等)等。
(3)抗高脂血剤
コレステロール合成阻害剤であるスタチン系化合物(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩等)等)、スクアレン合成酵素阻害剤あるいはトリグリセリド低下作用を有するフィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート等)等。
(4)降圧剤
アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル等)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、ロサルタン、カンデサルタン シレキセチル等)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン等)、クロニジン等。
(5)抗肥満剤
中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルアミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス等)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、AJ−9677、AZ40140等)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)等)、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849等)等。
(6)利尿剤
キサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン等)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド等)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン等)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド等)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド等)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等。
(7)化学療法剤
アルキル化剤(例、サイクロフォスファミド、イフォスファミド等)、代謝拮抗剤(例、メソトレキセート、5−フルオロウラシル等)、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシン、アドリアマイシン等)、植物由来抗癌剤(例、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール等)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポキシド等、なかでも5−フルオロウラシル誘導体であるフルツロンあるいはネオフルツロン等。
(8)免疫療法剤
微生物または細菌成分(例、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール等)、免疫増強活性のある多糖類(例、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン等)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例、インターフェロン、インターロイキン(IL)等)、コロニー刺激因子(例、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン等)等、なかでもIL−1、IL−2、IL−12等。
(9)動物モデルや臨床で悪液質改善作用が認められている薬剤
プロゲステロン誘導体(例、メゲステロールアセテート)〔ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)、第12巻、213〜225頁、1994年〕、メトクロプラミド系薬剤、テトラヒドロカンナビノール系薬剤(文献はいずれも上記と同様)、脂肪代謝改善剤(例、エイコサペンタエン酸等)〔ブリティシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)、第68巻、314〜318頁、1993年〕、成長ホルモン、IGF−1、あるいは悪液質を誘導する因子であるTNF−α、LIF、IL−6、オンコスタチンMに対する抗体等。
(10)消炎剤
ステロイド剤(例、デキサメサゾン等)、ヒアルロン酸ナトリウム、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例、インドメタシン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、メロキシカム、アムピロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ等)等。
(11)その他
糖化阻害剤(例、ALT−711等)、神経再生促進薬(例、Y−128、VX853、prosaptide等)、中枢神経系作用薬(例、デシプラミン、アミトリプチリン、イミプラミン、フロキセチン、パロキセチン、ドキセピンなどの抗うつ薬)、抗てんかん薬(例、ラモトリジン、カルバマゼピン)、抗不整脈薬(例、メキシレチン)、アセチルコリン受容体リガンド(例、ABT−594)、エンドセリン受容体拮抗薬(例、ABT−627)、モノアミン取り込み阻害薬(例、トラマドル)、インドールアミン取り込み阻害薬(例、フロキセチン、パロキセチン)、麻薬性鎮痛薬(例、モルヒネ)、オピオイド受容体完全作動薬(例、ペンタゾシン)、オピオイド受容体部分作動薬(例、ブプレノルフィン、アクソマゾール、TRK−130)、γ−アミノ酪酸(GABA)受容体作動薬、GABA取り込み阻害薬(例、チアガビン)、α受容体作動薬(例、クロニジン)、局所鎮痛薬(例、カプサイシン)、プロテインキナーゼC阻害剤(例、LY−333531),抗不安薬(例、ベンゾジアゼピン類)、ホスホジエステラーゼ阻害薬(例、シルデナフィル)、ドーパミン受容体作動薬(例、アポモルフィン)、ドーパミン受容体拮抗薬(例、ハロペリドール)、セロトニン受容体作動薬(例、クエン酸タンドスピロン、スマトリプタン)、セロトニン受容体拮抗薬(例、塩酸シプロヘプタジン、オンダンセトロン)、セロトニン取り込み阻害薬(例、マレイン酸フルボキサミン、フロキセチン、パロキセチン)、セロトニンノルアドレナリン取り込み阻害薬(例、デュロキセチン、ベンラファキシン)、睡眠導入剤(例、トリアゾラム、ゾルピデム)、抗コリン剤、α受容体遮断薬(例、タムスロシン、アルフゾシン、セレドシン)、筋弛緩薬(例、バクロフェンなど)、カリウムチャンネル開口薬(例、ニコランジル)、カルシウムチャンネル遮断薬(例、ニフェジピン、ギャバペンチン)、アルツハイマー病予防・治療薬(例、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン)、パーキンソン病治療薬(例、L−ドーパ)、多発性硬化症予防・治療薬(例、インターフェロンβ−1a)、ヒスタミンH受容体阻害薬(例、塩酸プロメタジン)、プロトンポンプ阻害薬(例、ランソプラゾール、オメプラゾール)、抗血栓薬(例、アスピリン、シロスタゾール)、NK−2受容体アンタゴニスト、HIV感染症治療薬(サキナビル、ジドブジン、ラミブジン、ネビラビン)、慢性閉塞性肺疾患治療薬(サルメテロール、チオトロピウムブロミド、シロミラスト)等。
抗コリン剤としては、例えば、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、トロピカミド、シクロペントラート、臭化ブチルスコポラミン、臭化プロパンテリン、臭化メチルベナクチジウム、臭化メペンゾラート、フラボキサート、ピレンセビン、臭化イプラトピウム、トリヘキシフェニジル、オキシブチニン、プロピベリン、ダリフェナシン、トルテロジン、テミベリン、塩化トロスピウムまたはその塩(例、硫酸アトロピン、臭化水素酸スコポラミン、臭化水素酸ホマトロピン、塩酸シクロペントラート、塩酸フラボキサート、塩酸ピレンセビン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩化オキシブチニン、酒石酸トルテロジンなど)などが用いられ、なかでも、オキシブチニン、プロピベリン、ダリフェナシン、トルテロジン、テミベリン、塩化トロスピウムまたはその塩(例、塩化オキシブチニン、酒石酸トルテロジンなど)が好適である。また、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(例、ジスチグミンなど)なども使用することができる。
NK−2受容体アンタゴニストとしては、例えば、GR159897、GR149861、SR48968(saredutant)、SR144190、YM35375、YM38336、ZD7944、L−743986、MDL105212A、ZD6021、MDL105172A、SCH205528、SCH62373、R−113281などのピペリジン誘導体、RPR−106145などのペルヒドロイソインドール誘導体、SB−414240などのキノリン誘導体、ZM−253270などのピロロピリミジン誘導体、MEN11420(nepadutant)、SCH217048、L−659877、PD−147714(CAM−2291)、MEN10376、S16474などのプソイドペプチド誘導体、その他、GR100679、DNK333、GR94800、UK−224671、MEN10376、MEN10627、またはそれらの塩などが挙げられる。
本発明の化合物と併用薬物とを配合または併用する医薬組成物には、(1)本発明の化合物と併用薬物を含有する医薬組成物として単一に製剤化されたもの、(2)本発明の化合物と併用薬物とが別個に製剤化されたもののいずれも含まれる。以下、これらを総称して本発明の併用剤と略記する。
本発明の併用剤は、本発明の化合物および併用薬物の有効成分を、別々にあるいは同時に、そのまま若しくは薬学的に許容され得る担体などと混合し、上述した本発明の化合物を含む医薬製剤と同様の方法により製剤化することができる。
本発明の併用剤の一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されない。本発明の化合物として、その投与量は、副作用の問題とならない範囲で、特に限定されないが、通常、経口投与で哺乳動物1kg体重あたり約0.005〜100mg、好ましくは約0.05〜50mgであり、更に好ましくは約0.2〜30mgであり、これを通常1日1〜3回に分けて投与する。
本発明の化合物または併用剤は、副作用が問題とならない範囲でどのような量を設定することも可能である。本発明の化合物または併用剤としての一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、活性成分の量として通常、たとえば経口投与で哺乳動物1kg体重あたり約0.001〜2000mg、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.1〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
本発明の併用剤を投与するに際しては、本発明の化合物と併用薬物とを同時期に投与してもよいが、併用薬物を先に投与した後、本発明の化合物を投与してもよいし、本発明の化合物を先に投与し、その後で併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内に本発明の化合物を投与する方法が挙げられる。本発明の化合物を先に投与する場合、本発明の化合物を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与する方法が挙げられる。
好ましい投与方法としては、例えば、経口投与製剤に製形された併用薬物約0.001〜200mg/kgを経口投与し、約15分後に経口投与製剤に製形された本発明の化合物約0.005〜100mg/kgを1日量として経口投与する。
本発明の併用剤において、製剤全体に対する本発明の化合物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体に対して0.01〜100重量%、好ましくは0.1〜50重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%程度である。
【実施例】
以下に、参考例、実施例、製剤例および試験例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
参考例、実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出は、特に言及しない限り、TLC(Thin Layer Chromatography、薄層クロマトグラフィー)による観察下に行った。TLC観察においては、TLCプレートとしてメルク(Merck)社製の60F254を用い、展開溶媒として、カラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いた溶媒を用いた。また、検出にはUV検出器を採用した。カラムクロマトグラフィー用のシリカゲルとしては、メルク社製のシリカゲル60(70−230メッシュ)を用いた。室温とあるのは通常約10℃から35℃の温度を意味する。さらに、抽出液の乾燥には硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウムを用いた。
実施例、参考例における略号の意味は以下の通りである。
LC:液体クロマトグラフィー
MS:質量分析スペクトル
ESI:エレクトロスプレーイオン化法
M:分子イオンピーク
NMR:核磁気共鳴スペクトル
Hz:ヘルツ
J:カップリング定数
m:マルチプレット
q:クワルテット
t:トリプレット
d:ダブレット
s:シングレット
br:ブロード
Bu:tert−ブチル基、t−ブチル基
Boc:tert−ブチルオキシカルボニル
Rf:リターデーション ファクター
Rt:リテンション タイム
N:規定濃度
MPa:メガパスカル
wt%:重量パーセント
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
DMSO:ジメチルスルホキシド
IPE:ジイソプロピルエーテル
HOBt・HO:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
WSC・HCl:1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
BocO:二炭酸ジ−tert−ブチル
実施例、参考例におけるLC−MSは以下の条件により測定した。
LC−MSによる分析
測定機器:ウォーターズ社 LC−MSシステム
HPLC部:アジレント社 HP1100
MS部:マイクロマス社 ZMD
HPLC条件
カラム:CAPCELL PAK C18UG120、S−3μm、1.5×35mm(資生堂)
溶媒:A液;0.05%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.05%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジエントサイクル:0.00分(A液/B液=90/10)、2.00分(A液/B液=5/95)、2.75分(A液/B液=5/95)、2.76分(A液/B液=90/10)、3.60分(A液/B液=90/10)
注入量:2μL、流速:0.5mL/min、検出法:UV220nm
MS条件
イオン化法:ESI
LCによる分析
測定機器:島津製作所 CLASS−VPシステム
HPLC条件
カラム:Inertsil ODS−2、CAPCELL PAK C18UG120、5μm、4.6×150mm(GL Sciences Inc.)
溶媒:A液;0.1%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジエントサイクル:0.00分(A液/B液=70/30)、15.00分(A液/B液=15/85)、15.01分(A液/B液=5/95)、20.00分(A液/B液=5/95)、20.01分(A液/B液=70/30)、25.00分(A液/B液=70/30)
注入量:10μL、流速:1.0mL/min、検出法:UV220nm
実施例、参考例における分取HPLCによる精製は以下の条件により行った。
機器:ギルソン社ハイスループット精製システム
カラム:YMC CombiPrep ODS−A S−5μm、50×20mm
溶媒:A液;0.1%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジエントサイクル:0.00分(A液/B液=95/5)、1.00分(A液/B液=95/5)、5.20分(A液/B液=5/95)、6.40分(A液/B液=5/95)、6.50分(A液/B液=95/5)、6.60分(A液/B液=95/5)
流速:25mL/min、検出法:UV220nm
参考例1
(3R,4S)−4−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ]カルボニル]−3−フェニルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
(3R,4R)−4−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ]カルボニル]−3−フェニルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
(工程1)
1−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボン酸エチル(32.2g)およびヨウ化銅(I)(7.62g)のEtO(250mL)溶液に、−10℃で1mol/Lフェニルマグネシウムブロミド/THF(360mL)溶液をゆっくり加え、−10℃で30分間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液および酢酸エチルを加え、不溶物をろ別した。母液より有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄・乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣を減圧下に蒸留(90−115℃/1mmHg)することにより1−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボン酸エチル(37.6g、76%)がシスおよびトランス混合物として得られた。淡黄色油状物。
(工程2)
工程1で得られた油状物(37.0g)の1,2−ジクロロエタン(117mL)溶液にクロロギ酸 1−クロロエチル(21.4g)を加え、100℃で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮した後、残渣にメタノール(150mL)を加え、80℃で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮した。残渣のアセトニトリル(200mL)溶液にEtN(20mL)およびBocO(46.4g)を加え、室温で14時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮した後、残渣に水および酢酸エチルを加え、有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄・乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;5→10%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより3−フェニルピペリジン−1,4−ジカルボン酸4−エチル 1−tert−ブチル(50.0g、99%)がシスおよびトランス混合物として得られた。無色油状物。
(工程3)
工程2で得られた油状物(56.0g)のエタノール(150mL)溶液に2N水酸化カリウム水溶液(375mL)を加え、50℃で8時間攪拌した。反応混合物をクエン酸水溶液で中性とし、減圧下に濃縮した。残渣に水および酢酸エチルを加え、有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄・乾燥後、溶媒を減圧下に留去することにより1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルピペリジン−4−カルボン酸(36.7g、80%)がシスおよびトランス混合物として得られた。白色粉末。
(工程4)
工程3で得られた白色粉末(4.60g)のDMF(45mL)溶液にWSC・HCl(4.31g)、HOBt・HO(3.44g)および[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アミン(4.40g)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;5→10%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより(3R,4S)−体(シス体)の標題化合物(1.35g、17%)が白色粉末として、(3R,4R)−体(トランス体)の標題化合物(3.71g、46%)が白色粉末としてそれぞれ得られた。
(3R,4S)−体:MS(ESI+):475(M−Bu+2H)
Rf=0.68(50%酢酸エチル/ヘキサン)
(3R,4R)−体:MS(ESI+):475(M−Bu+2H)
Rf=0.63(50%酢酸エチル/ヘキサン)
参考例1と同様にして、表1の化合物を得た。

参考例5
1−ベンジル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボン酸 塩酸塩
(工程1)
水素化ナトリウム(60%油性、0.76g)のDMF(20mL)溶液に1−ベンジル−3−オキソピペリジン−4−カルボン酸エチル(3.32g)を0℃で加え、5分間攪拌した。N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(5.0g)を加え、0℃で1時間攪拌した後、反応混合物を氷水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣のトルエン(50mL)および水(3mL)混合液にジヒドロキシフェニルボラン(2.32g)、炭酸カリウム(1.75g)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.46g)を加え、アルゴン雰囲気下100℃で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;5→15%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより1−ベンジル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボン酸エチル(4.02g)が淡黄色油状物として得られた。
(工程2)
工程1で得られた化合物(2.00g)の塩酸(5.0mL)および酢酸(5.0mL)混合溶液を100℃で14時間攪拌した。反応混合液を減圧下に濃縮後、得られた残渣をIPEでろ取して標題化合物(1.03g)が白色粉末として得られた。
MS(ESI+):294(M−HCl+H)
参考例5と同様にして、表2の化合物を得た。

参考例8
4−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ]カルボニル]−5−フェニル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−1−カルボン酸エチル
(工程1)
公知の方法(Heterocycles、1978(11)267−273)により合成した5−オキソアゼパン−1,4−ジカルボン酸ジエチル(0.90g)のDMF(15mL)溶液に水素化ナトリウム(60%油性、0.20g)を加え、室温で30分間攪拌した。反応液を0℃に冷却した後、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(1.87g)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;10→60%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより無色油状物(0.49g)を得た。得られた油状物(0.49g)のトルエン(10mL)および水(2mL)混合液にジヒドロキシフェニルボラン(0.23g)、炭酸カリウム(0.44g)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.28g)を加え、アルゴン雰囲気下100℃で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を炭酸カリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;10→60%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより5−フェニル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−1,4−ジカルボン酸ジエチル(0.49g)が無色油状物として得られた。
(工程2)
工程1で得られた化合物(1.7g)の1N水酸化ナトリウム水溶液(10ml)およびエタノール(30mL)混合溶液を20時間還流加熱した。反応混合物を減圧下に濃縮した後、1N水酸化ナトリウム水溶液で希釈後、EtOで洗浄した。水層を塩酸で酸性とした後、酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣のDMF(15mL)溶液にWSC・HCl(1.54g)、HOBt・HO(1.23g)および[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アミン(1.95g)を加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去することにより標題化合物(1.25g)が無色プリズム晶として得られた。
MS(ESI+):515(M+H)
参考例9
1−ベンジル−5−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボン酸 塩酸塩
(工程1)
水素化ナトリウム(60%油性、1.83g)のDMF(40mL)溶液に1−ベンジル−3−オキソピペリジン−4−カルボン酸エチル(8.00g)を0℃で加え、5分間攪拌した。N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(12.1g)を加え、0℃で1時間攪拌した後、反応混合物を氷水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;10→20%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより茶褐色の油状物(19.0g)を得た。得られた油状物(19.0g)のトルエン(100mL)および水(6mL)混合液に3,4−ジクロロフェニルボロン酸(8.76g)、炭酸カリウム(4.23g)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.96g)を加え、アルゴン雰囲気下100℃で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;10→20%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより粗1−ベンジル−5−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボン酸エチル(12.0g)が淡黄色油状物として得られた。
(工程2)
工程1で得られた化合物(11.8g)の塩酸(30mL)および酢酸(30mL)混合溶液を100℃で14時間攪拌した。反応混合液を減圧下に濃縮後、得られた残渣をIPEでろ取して標題化合物(9.98g)が白色粉末として得られた。
MS(ESI+):362(M−HCl+H)
[実施例1]
(3R,4S)−4−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メチル)アミノ]カルボニル]−3−フェニルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
参考例1で得られた(3R,4S)−体(0.86g)のTHF(10mL)溶液に、ナトリウム−tert−ブトキシド(0.31g)およびヨウ化メチル(0.20mL)を0℃で加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)にて分離・精製することにより標題化合物(0.89g、99%)が白色粉末として得られた。
MS(ESI+):489(M−Bu+2H)
参考例2〜4で得られた化合物を用い、実施例1に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例2]
(3R,4R)−4−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メチル)アミノ]カルボニル]−3−フェニルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
[実施例3]
(3R,4S)−4−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メチル)アミノ]カルボニル]−3−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
[実施例4]
(3R,4R)−4−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メチル)アミノ]カルボニル]−3−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
[実施例5]
(3R,4R)−4−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メチル)アミノ]カルボニル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
[実施例6]
(3R,4S)−4−[[[3−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンジル](メチル)アミノ]カルボニル]−3−フェニルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
[実施例7]
(3R,4R)−4−[[[3−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンジル](メチル)アミノ]カルボニル]−3−フェニルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
実施例1〜7で得られた化合物の化学構造式は表1の通りである。

[実施例8]
(3R,4S)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
実施例1で得られた(3R,4S)−体(0.49g)に4N塩化水素/酢酸エチル溶液(0.90mL)を加え、50℃で2時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮後、ジイソプロピルエーテルで結晶化することにより標題化合物が白色粉末(0.39g、90%)として得られた。
MS(ESI+):445(M−HCl+H)
実施例2〜7で得られた化合物を用い、実施例8に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例9]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
[実施例10]
(3R,4S)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
[実施例11]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
[実施例12]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
[実施例13]
(3R,4S)−N−メチル−N−[3−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
[実施例14]
(3R,4R)−N−メチル−N−[3−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
実施例8〜14で得られた化合物の化学構造式は表4の通りである。

[実施例15]
1−ベンジル−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
参考例5で得られた化合物(0.50g)の塩化チオニル(3.0mL)溶液を90℃で1時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮後、得られた残渣をアセトニトリル(20mL)に溶解させ、EtN(0.96mL)および[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]メチルアミン(0.67g)を0℃で加え、室温で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;10→80%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製した。得られた生成物を1当量の4N塩化水素/酢酸エチル溶液で処理することにより標題化合物が淡黄色不定形固体(0.70g、86%)として得られた。
MS(ESI+):533(M−HCl+H)
参考例5で得られた化合物およびそれぞれ対応するアミンを用い、実施例15に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例16]
1−ベンジル−N−[(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
[実施例17]
1−ベンジル−N−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
実施例15〜17で得られた化合物の化学構造式は表5の通りである。

[実施例18]
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
実施例15で得られた化合物(2.05g)の1,2−ジクロロエタン(20mL)溶液にクロロギ酸 1−クロロエチル(3.3mL)を室温で加え、100℃で1時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮後、得られた残渣をメタノール(30mL)に溶解させ、80℃で1時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮後、得られた残渣をアセトニトリル(20mL)に溶解させ、EtN(0.64mL)およびBocO(1.0g)を加え、室温で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;10→50%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより無色油状物(1.24g)が得られた。得られた油状物(1.24g)のメタノール(15mL)溶液に4N塩化水素/酢酸エチル(2.4mL)溶液を加え、50℃で2時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮後、析出物をろ取することにより標題化合物が白色粉末(1.06g、57%)として得られた。
MS(ESI+):443(M−HCl+H)
実施例16〜17で得られた化合物を用い、実施例18に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例19]
N−[(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
[実施例20]
N−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
実施例18〜20で得られた化合物の化学構造式は表6の通りである。

[実施例21〜22]
(3R,4S)−N−[(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩(低極性化合物:実施例21、高極性化合物:実施例22)
(工程1)
実施例19で得られた化合物(0.90g)および10%パラジウム−炭素(0.60g)のエタノール(30mL)溶液を5気圧の水素雰囲気下、70℃で16時間攪拌した。触媒をろ別した後、反応溶液を減圧下に濃縮後、得られた残渣をアセトニトリル(20mL)に溶解させ、EtN(0.38mL)およびBocO(0.48g)を加え、室温で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;5→10%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより2種類のジアステレオマーが無色油状物(0.33g、30%、Rf=0.77(33%酢酸エチル/ヘキサン))ならびに白色粉末(0.73g、70%、Rf=0.36(33%酢酸エチル/ヘキサン))としてそれぞれ得られた。
(工程2)
工程1で得られた低極性の無色油状物(0.33g)のメタノール(5mL)溶液に4N塩化水素/酢酸エチル溶液(0.60mL)を加え、50℃で2時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮後、IPEで結晶化することにより標題化合物が白色粉末(0.28g、95%)として得られた。
MS(ESI+):459(M−HCl+H)
LC(Rt):10.7分
[α]25=−129.7°(c1.0、MeOH)
(工程3)
工程1で得られた高極性の白色粉末(0.78g)のメタノール(5mL)溶液に4N塩化水素/酢酸エチル溶液(1.3mL)を加え、50℃で2時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮後、IPEで結晶化することにより標題化合物が白色粉末(0.54g、83%)として得られた。
MS(ESI+):459(M−HCl+H)
LC(Rt):10.5分
[α]25=+1.9°(c1.0、MeOH)
実施例20で得られた化合物を用い、実施例21〜22に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例23]
(3R,4S)−N−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩(低極性化合物)
[実施例24]
(3R,4S)−N−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩(高極性化合物)
実施例21〜24で得られた化合物の化学構造式は表7の通りである。

[実施例25]
(3R,4S)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N,N−ジメチル−3−フェニルピペリジン−1,4−ジカルボキサミド
実施例8で得られた化合物(0.15g)およびEtN(0.044mL)のアセトニトリル(3.0mL)溶液にメチルイソシアネート(0.045mL)を加え、室温で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;0→5%メタノール/酢酸エチル)にて分離・精製することにより標題化合物が白色粉末(0.14g、88%)として得られた。
MS(ESI+):502(M+H)
実施例9、18で得られた化合物およびメチルイソシアネートあるいはエチルイソシアネートを用い、実施例25に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例26]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N,N−ジメチル−3−フェニルピペリジン−1,4−ジカルボキサミド
[実施例27]
−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−エチル−N−メチル−5−フェニル−3,6−ジヒドロピリジン−1,4(2H)−ジカルボキサミド
実施例25〜27で得られた化合物の化学構造式は表8の通りである。

[実施例28]
(3R,4S)−1−アセチル−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
実施例8で得られた化合物(0.15mg)およびEtN(0.055mL)のTHF(3.0mL)溶液に塩化アセチル(0.042mL)を加え、室温で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣を分取HPLCにて分離・精製することにより標題化合物が無色油状物(0.10g、66%)として得られた
MS(ESI+):487(M+H)
実施例9で得られた化合物を用い、実施例28に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例29]
(3R,4R)−1−アセチル−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
実施例28〜29で得られた化合物の化学構造式は表9の通りである。

[実施例30]
(3R,4S)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
実施例8で得られた化合物(0.24g)、1−アセチルピペリジン−4−カルボン酸(0.13g)およびEtN(0.070mL)のDMF(5.0mL)溶液にWSC・HCl(0.14g)およびHOBt・HO(0.12g)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣を分取HPLCにより精製することにより標題化合物が無色油状物(0.21g、70%)として得られた。

MS(ESI+):598(M+H)
実施例8〜14、18〜24で得られた化合物およびそれぞれ対応するカルボン酸を用い、実施例30に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例31]
(3R,4S)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド(低極性化合物)
[実施例32]
(3R,4S)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド(高極性化合物)
[実施例33]
(3R,4S)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド(低極性化合物)
[実施例34]
(3R,4S)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド(高極性化合物)
[実施例35]
(3R,4R)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例36]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−1−[(2,6−ジオキソピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例37]
(3R,4R)−1−[(アセチルアミノ)アセチル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例38]
(3R,4R)−1−[3−(アセチルアミノ)プロパノイル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例39]
(3R,4R)−1−[4−(アセチルアミノ)ブタノイル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例40]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(メトキシアセチル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例41]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−1−(N,N−ジエチル−β−アラニル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
[実施例42]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1−(1H−テトラゾール−1−イルアセチル)ピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例43]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−1−[(2,5−ジオキソイミダゾリジン−4−イル)アセチル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例44]
(3R,4S)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例45]
(3R,4R)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例46]
(3R,4R)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例47]
(3R,4S)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−メチル−N−[3−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例48]
(3R,4R)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−メチル−N−[3−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例49]
1−(N−アセチルグリシル)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド
[実施例50]
1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド
[実施例51]
1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド
[実施例52]
1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−N−メチル−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド
実施例30〜52で得られた化合物の化学構造式は表10の通りである。



[実施例53]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロフェニル)−N−メチル−1−[(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]ピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
実施例11で得られた化合物(0.30g)および炭酸カリウム(0.083mg)の1%HO−DMF(5.0mL)溶液に5−(クロロメチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(0.096g)を0℃で加え、室温で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣を分取HPLCにより精製した。得られた生成物を1当量の4N塩化水素/酢酸エチル溶液で処理することにより標題化合物が白色粉末(0.30g、89%)として得られた。
MS(ESI+):560(M−HCl+H)
[実施例54]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1−[(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]ピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
実施例12で得られた化合物(0.30g)および炭酸カリウム(0.083mg)の1%HO−DMF(5.0mL)溶液に5−(クロロメチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(0.094g)を0℃で加え、室温で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣を分取HPLCにより精製した。

得られた生成物を1当量の4N塩化水素/酢酸エチル溶液で処理することにより標題化合物が白色粉末(0.28g、78%)として得られた。
MS(ESI+):574(M−HCl+H)
実施例53〜54で得られた化合物の化学構造式は表11の通りである。

[実施例55]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−1−[(1−メチル−2,6−ジオキソピペリジン−4−イル)カルボニル]−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
実施例36で得られた化合物(0.40g)、ヨウ化メチル(0.18mL)および炭酸カリウム(0.19g)のDMF(5.0mL)溶液を60℃で2時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣を分取HPLCにより精製することにより標題化合物が白色粉末(0.40g、98%)として得られた。
MS(ESI+):598(M+H)
実施例55で得られた化合物の化学構造式は表12の通りである。

[実施例56]
(3R,4R)−1−[(4−アセチル−4−フェニルピペリジン−1−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
実施例9で得られた化合物(0.48g)およびEtN(0.28mL)のCHCl(5.0mL)溶液にクロロギ酸 4−ニトロフェニル(0.24g)を0℃で加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより白色不定形固体(0.61g、100%)が得られた。
得られた白色不定形固体(0.32g)、4−アセチル−4−フェニルピペリジン塩酸塩(0.16g)および炭酸カリウム(0.15g)のDMF(5.0mL)溶液を120℃で2時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。残渣を分取HPLCにより精製することにより標題化合物が無色油状物(0.28g、78%)として得られた。
MS(ESI+):674(M+H)
実施例9で得られた化合物およびそれぞれ対応するアミン誘導体を用い、実施例56に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例57]
(3R,4R)−1−[(4−アセチル−1−ピペラジニル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例58]
(3R,4R)−1−[[4−(アセチルアミノ)−4−フェニルピペリジン−1−イル]カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
実施例56〜58で得られた化合物の化学構造式は表13の通りである。

[実施例59]
4−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メチル)アミノ]カルボニル]−5−フェニル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−1−カルボン酸エチル
参考例8で得られた化合物(1.20g)のDMF(15mL)溶液に、水素化ナトリウム(60%油性、0.13g)を加え、室温で30分攪拌した後、0℃に冷却した。ヨウ化メチル(2.0mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物を希塩酸に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;10→50%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより標題化合物(0.73g、59%)が白色粉末として得られた。
MS(ESI+):529(M+H)
実施例59で得られた化合物の化学構造式は表14の通りである。

[実施例60]
1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−N−メチル−5−フェニル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−4−カルボキサミド
実施例59で得られた化合物(0.50g)の酢酸(3mL)および塩酸(3mL)混合溶液を140℃で22時間攪拌した。反応混合物を炭酸カリウム水溶液で塩基性とした後、生成物を酢酸エチルで抽出、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣のDMF(10mL)溶液に1−アセチルピペリジン−4−カルボン酸(0.67g)、WSC・HCl(1.10g)およびHOBt・HO(0.80g)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を希塩酸および希水酸化ナトリウム水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;0→20%メタノール/酢酸エチル)にて分離・精製することにより標題化合物(0.59g、74%)が淡黄色油状物として得られた。
MS(ESI+):610(M+H)
実施例60で得られた化合物の化学構造式は表15の通りである。

[実施例61]
(4S,5R)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−5−フェニルアゼパン−4−カルボキサミド
実施例60で得られた化合物(0.34g)および10%パラジウム−炭素(0.20g)の酢酸(10mL)溶液を5気圧の水素雰囲気下、80℃で3時間攪拌した。触媒をろ別した後、ろ液を酢酸エチルで希釈し、1N水酸化ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄、乾燥後、溶媒を減圧下に濃縮することにより標題化合物(0.31g、92%)が淡黄色油状物として得られた。
MS(ESI+):612(M+H)
実施例61で得られた化合物の化学構造式は表16の通りである。

[実施例62]
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−5−(3,4−ジクロロフェニル)−N−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
(工程1)
参考例9で得られた化合物(2.50g)の塩化チオニル(10mL)溶液を80℃で1時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮後、得られた残渣をアセトニトリル(20mL)に溶解させ、EtN(3.94mL)および[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]メチルアミン(2.76g)を0℃で加え、室温で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去することにより粗1−ベンジル−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−5−(3,4−ジクロロフェニル)−N−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド(3.63g)が白色粉末として得られた。
(工程2)
工程1で得られた化合物(3.63g)のクロロホルム(10mL)溶液にクロロギ酸 1−クロロエチル(8.0mL)を室温で加え、100℃で1時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮後、得られた残渣をメタノール(30mL)に溶解させ、80℃で1時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮後、得られた残渣をアセトニトリル(20mL)に溶解させ、EtN(1.26mL)およびBocO(1.32g)を加え、室温で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;10→20%酢酸エチル/ヘキサン)にて分離・精製することにより無色油状物(2.61g)が得られた。得られた油状物(0.80g)のメタノール(20mL)溶液に4N塩化水素/酢酸エチル(1.31mL)溶液を加え、50℃で2時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮後、析出物をろ取することにより標題化合物が白色粉末(0.72g)として得られた。
MS(ESI+):511(M−HCl+H)
[実施例63]
1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−5−(3,4−ジクロロフェニル)−N−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド
実施例62で得られた化合物を用い、実施例30に記載する方法と同様に反応・処理することにより標題化合物が白色不定形固体(0.20g、82%)として得られた。
MS(ESI+):664(M+H)
[実施例64]
1−[[4−(アセチルアミノ)−4−フェニルピペリジン−1−イル]カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−5−(3,4−ジクロロフェニル)−N−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド
実施例62で得られた化合物(0.20g)およびEtN(0.10mL)のアセトニトリル(5.0mL)溶液にクロロギ酸 4−ニトロフェニル(0.089g)を0℃で加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣のDMF(5.0mL)溶液に、4−アセチルアミノ−4−フェニルピペリジン 塩酸塩(0.19g)および炭酸カリウム(0.10g)を加え、50℃で2時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。残渣を分取HPLCにより精製することにより標題化合物が無色油状物(0.19g、68%)として得られた。
MS(ESI+):755(M+H)
[実施例65]
1−[[4−(アセチルアミノ)−4−フェニルピペリジン−1−イル]アセチル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−5−(3,4−ジクロロフェニル)−N−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
実施例62で得られた化合物(0.20g)およびEtN(0.10mL)のアセトニトリル(10mL)溶液にブロモアセチルクロリド(0.061mL)を0℃で加え、室温で15分間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣のDMF(5.0mL)溶液に、4−アセチルアミノ−4−フェニルピペリジン 塩酸塩(0.19g)および炭酸カリウム(0.10g)を加え、50℃で14時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。残渣を分取HPLCにより精製することにより無色油状物(0.17g、60%)が得られた。得られた生成物を1当量の4N塩化水素/酢酸エチル溶液で処理することにより標題化合物が白色粉末として得られた。
MS(ESI+):769(M+H)
[実施例66]
1−[3−[4−(アセチルアミノ)−4−フェニルピペリジン−1−イル]プロパノイル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−5−(3,4−ジクロロフェニル)−N−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
実施例62で得られた化合物(0.20g)および3−ブロモプロピオニルクロリドを用い、実施例65に記載する方法と同様に反応・処理することにより標題化合物が白色粉末として得られた。
MS(ESI+):783(M+H)
実施例62〜66で得られた化合物の化学構造式は表17の通りである。

[実施例67]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1−[(2−オキソピロリジン−1−イル)アセチル]ピペリジン−4−カルボキサミド
実施例12で得られた化合物(0.20g)、(2−オキソピロリジン−1−イル)酢酸(0.13g)およびEtN(0.070mL)のDMF(5.0mL)溶液にWSC・HCl(0.14g)およびHOBt・HO(0.12g)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣を分取HPLCにより精製することにより標題化合物が白色粉末(0.15g、62%)として得られた。
MS(ESI+):602(M+H)
実施例12で得られた化合物およびそれぞれ対応するカルボン酸を用い、実施例67に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例68]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−1−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)アセチル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例69]
[trans−4−[[(3R,4R)−4−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メチル)アミノ]カルボニル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル]カルボニル]シクロヘキシル]カルバミン酸tert−ブチル
[実施例70]
(3R,4R)−1−[trans−(4−アミノシクロヘキシル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド 塩酸塩
実施例69で得られた化合物(2.10g)のメタノール(10mL)溶液に4N塩化水素/酢酸エチル溶液(3.0mL)を加え、50℃で2時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮後、ヘキサンで結晶化することにより標題化合物が白色粉末(2.0g、100%)として得られた。
MS(ESI+):602(M−HCl+H)
実施例70で得られた化合物を用い、実施例28に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例71]
(3R,4R)−1−[[trans−4−(アセチルアミノ)シクロヘキシル]カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例72]
[(3R,4R)−4−[[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メチル)アミノ]カルボニル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル](オキソ)酢酸エチル
実施例12で得られた化合物(0.30g)およびEtN(0.12mL)のCHCl(10mL)溶液にエチル クロログリオキシル酸(0.20mL)を0℃で加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去することにより標題化合物が白色粉末(0.33g、97%)として得られた。
MS(ESI+):577(M+H)
[実施例73]
(3R,4R)−1−[アミノ(オキソ)アセチル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド
実施例72で得られた化合物(0.10g)および28%アンモニア水(1.0mL)のエタノール(1.0mL)溶液を封管中、100℃で4時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;0→10%メタノール/酢酸エチル−ヘキサン(1:1))にて分離・精製することにより標題化合物が白色不定形固体(0.030g、33%)として得られた。

MS(ESI+):548(M+H)
実施例72で得られた化合物および40%メチルアミン水溶液を用い、実施例73に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例74]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1−[(メチルアミノ)(オキソ)アセチル]ピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例75]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−1,4−ジカルボキサミド
実施例12で得られた化合物(0.15g)およびEtN(0.082mL)のTHF(3mL)溶液にトリホスゲン(0.17g)を0℃で加え20分間攪拌した後、28%アンモニア水(1.0mL)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒勾配;0→10%メタノール/酢酸エチル−ヘキサン(1:1))にて分離・精製することにより標題化合物が白色粉末(0.10g、67%)として得られた。


MS(ESI+):520(M+H)
実施例12で得られた化合物および40%メチルアミン水溶液を用い、実施例75に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例76]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N,N−ジメチルピペリジン−1,4−ジカルボキサミド
[実施例77]
(3R,4R)−1−(N−アセチルグリシル)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド
実施例12で得られた化合物(0.20g)、N−アセチルグリシン(0.060g)およびEtN(0.082mL)のDMF(5.0mL)溶液にWSC・HC1(0.11g)およびHOBt・HO(0.090g)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣を分取HPLCにより精製することにより標題化合物が白色粉末(0.17g、76%)として得られた

MS(ESI+):576(M+H)
実施例12で得られた化合物および(2,6−ジオキソピペリジン−4−イル)カルボン酸を用い、実施例77に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例78]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−1−[(2,6−ジオキソピペリジン−4−イル)カルボニル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド
[実施例79]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1−[(1−メチル−2,6−ジオキソピペリジン−4−イル)カルボニル]ピペリジン−4−カルボキサミド
実施例78で得られた化合物(0.20g)、ヨウ化メチル(0.085mL)および炭酸カリウム(0.090g)のDMF(5.0mL)溶液を60℃で4時間攪拌した。反応混合物を水に注いだ後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣を分取HPLCにより精製することにより標題化合物が白色粉末(0.21g、100%)として得られた。
MS(ESI+):630(M+H)
実施例12で得られた化合物およびO−メチルヒドロキシアミン水溶液を用い、実施例75に記載する方法と同様にして、以下の化合物を得た。
[実施例80]
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メトキシ−N−メチルピペリジン−1,4−ジカルボキサミド
実施例67〜80で得られた化合物の化学構造式は表18の通りである。


製剤例1
(1)実施例1の化合物 10mg
(2)乳糖 60mg
(3)コーンスターチ 35mg
(4)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 3mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2mg
実施例1で得られた化合物10mgと乳糖60mgおよびコーンスターチ35mgとの混合物を、10重量%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液0.03mL(ヒドロキシプロピルメチルセルロースとして3mg)を用いて顆粒化した後、40℃で乾燥し篩過する。得られた顆粒をステアリン酸マグネシウム2mgと混合し、圧縮する。得られる素錠を、蔗糖、二酸化チタン、タルクおよびアラビアゴムの水懸濁液による糖衣でコーティングする。コーティングが施された錠剤をミツロウで艶出してコート錠を得る。
製剤例2
(1)実施例1の化合物 10mg
(2)乳糖 70mg
(3)コーンスターチ 50mg
(4)可溶性デンプン 7mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 3mg
実施例1で得られた化合物10mgとステアリン酸マグネシウム3mgを可溶性デンプンの水溶液0.07mL(可溶性デンプンとして7mg)で顆粒化した後、乾燥し、乳糖70mgおよびコーンスターチ50mgと混合する。混合物を圧縮して錠剤を得る。
参考製剤例1
(1)ロフェコキシブ 5.0mg
(2)食塩 20.0mg
(3)蒸留水 全量2.0mLとする
ロフェコキシブ 5.0mgおよび食塩20.0mgを蒸留水に溶解させ、水を加えて全量2.0mLとする。溶液をろ過し、無菌条件下に2mLのアンプルに充填する。アンプルを滅菌した後、密封し注射用溶液を得る。
参考製剤例2
(1)ロフェコキシブ 50mg
(2)ラクトース 34mg
(3)トウモロコシ澱粉 10.6mg
(4)トウモロコシ澱粉(のり状) 5mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 0.4mg
(6)カルボキシメチルセルロースカルシウム 20mg
計 120mg
常法に従い上記(1)〜(6)を混合し、打錠機により打錠し、錠剤を得た。
製剤例3
製剤例1または2で製造された製剤と、参考製剤例1または2で製造された製剤とを組み合わせる。
試験例1 ラジオリガンド レセプター結合阻害活性(ヒトリンパ芽球細胞(IM−9)からの受容体を用いた結合阻害活性)
エム・エー・カシエリ(M.A.Cascieri)〔モレキュラー ファーマコロジー(Molecular Pharmacology)42巻,458頁(1992年発行)〕らの方法を改変して用いた。受容体はヒトリンパ芽球細胞(IM−9)より調製した。IM−9細胞(2×10cells/mL)を接種後3日間培養(1リットル)した後、500×Gで5分間遠心し、細胞ペレットを得た。得られたペレットをリン酸緩衝液(フローラボラトリー社,CAT.No.28−103−05)を用いて1回洗浄した後、30mLの120mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2μg/mLキモスタチン、40μg/mLバシトラシン、5μg/mLホスホラミドン、0.5mMフェニルメチルスルホニルフルオライド、1mMエチレンジアミン四酢酸を含む50mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.4)中でポリトロン・ホモゲナイザー〔キネマチカ(Kinematika)社製、ドイツ〕を用いて破砕し、40,000×Gで20分間遠心分離した。分離物を上記緩衝液30mLで2回洗浄した後、受容体標品として凍結(−80℃)保存した。
この標品を0.5mg/mLのタンパク濃度になるように反応緩衝液〔50mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.4)、0.02%牛血清アルブミン、1mMフェニルメチルスルホニルフルオライド、2μg/mLキモスタチン、40μg/mLバシトラシン、3mM塩化マンガン〕に懸濁し、100μl容量を反応に使用した。サンプル、125I−BHSP(0.46KBq)を加え、0.2mLの反応緩衝液中、25℃で、30分反応させた。非特異的結合量は2×10−6MになるようにサブスタンスPを添加して求めた。
反応後、セルハーベスター〔290PHD、ケンブリッジ・テクノロジー・インコーポレーション(Cambridge Technology,Inc.)社製、米国〕を用いて、グラスフィルター〔GF/B,ワットマン(Whatman)社製、米国〕上に急速濾過して反応を停止し、250μlの0.02%牛血清アルブミンを含む50mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.4)で3回洗浄し、フィルター上に残った放射活性をガンマ・カウンターで測定した。フィルターは使用前に0.1%ポリエチレンイミンに一昼夜浸漬した後、風乾して用いた。
そして、実施例で得られた化合物の拮抗活性を、それぞれ、上記の条件下で50%阻害を示すに必要な薬剤濃度(IC50値)として求めたところ、表19の結果を得た。

ラジオ・リガンドとは、[125I]でラベルされたサブスタンスPを示す。
表19より、本発明の化合物が優れたサブスタンスP受容体拮抗作用を有することが分かった。
本出願は、日本で出願された特願2004−7373を基礎としており、その内容は本明細書に包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】


〔式中、A環は、更に置換基を有していてもよい含窒素複素環を、B環およびC環はそれぞれ置換基を有していてもよい芳香環を、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、アシル基または置換基を有していてもよい複素環基を、Zはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基を、Yは置換基を有していてもよいメチレン基を、mおよびnはそれぞれ0ないし5の整数を、m+nは2ないし5の整数を、−−−は単結合または二重結合を示す。〕で表される化合物またはその塩。
【請求項2】
A環が、

で示されるいずれかの環であり、
B環が、置換されていてもよいフェニル基、
C環が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基を置換基として有していてもよいフェニル基、
Zが、C1−6アルキル基、
Yが、C1−4アルキル基で置換されていてもよいメチレン基である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
A環が、

で示されるいずれかの環であり、
B環が、(1)ハロゲン原子および
(2)C1−6アルキル基
から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基、
C環が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基を置換基として有していてもよいフェニル基、
が、(1)水素原子、
(2)1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基を置換基として有するC1−4アルキル基、または
(3)式:−(C=O)−R2’、−(C=O)−OR2’もしくは
−(C=O)−NR2’
〔式中、R2’
(a)水素原子
(b)オキソ、C1−6アルキル、フェニル、C1−6アルキル−カルボニルおよびC1−6アルキル−カルボニルアミノから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子を1または2個含む5ないし7員の非芳香族複素環基、
(c)(i)1または2個のオキソを置換基として有していてもよく、炭素原子以外に窒素原子を1ないし4個含む5ないし7員の芳香族または非芳香族複素環基、
(ii)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、
(iii)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基、および
(vi)C1−6アルコキシ基
から選ばれる置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、
(d)C1−6アルコキシ基、
(e)C1−6アルキル−カルボニルアミノ基、C1−6アルコキシ−カルボニルアミノ基およびアミノ基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、
(f)カルバモイル基、
(g)C1−6アルコキシ−カルボニル基、または
(h)C1−6アルキル−カルバモイル基、
は水素原子またはC1−6アルキル基を示す。〕で表されるアシル基、
Zが、C1−6アルキル基、
Yが、C1−4アルキル基で置換されていてもよいメチレン基である請求項1記載の化合物。
【請求項4】
(3R,4S)−1−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−3−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド、
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1−[(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]ピペリジン−4−カルボキサミド、
(3R,4R)−1−[アミノ(オキソ)アセチル]−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミド、
(3R,4R)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−1,4−ジカルボキサミド、および
(3R,4R)−1−(N−アセチルグリシル)−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−4−カルボキサミドから選ばれる化合物またはその塩。
【請求項5】
請求項1記載の化合物のプロドラッグ。
【請求項6】
請求項1記載の化合物またはそのプロドラッグを含有する医薬。
【請求項7】
タキキニン受容体拮抗剤である請求項6記載の医薬。
【請求項8】
下部尿路機能異常、消化器疾患または中枢神経疾患の予防・治療剤である請求項6記載の医薬。
【請求項9】
過活動膀胱、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、嘔吐、悪心、うつ病、不安神経症、不安症状、骨盤内臓痛または間質性膀胱炎の予防・治療剤である請求項6記載の医薬。
【請求項10】
哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする、下部尿路機能異常、消化器疾患または中枢神経疾患の予防・治療方法。
【請求項11】
下部尿路機能異常、消化器疾患または中枢神経疾患の予防・治療剤を製造するための請求項1記載の化合物またはそのプロドラッグの使用。

【国際公開番号】WO2005/068427
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517118(P2005−517118)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000627
【国際出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】