説明

カルボキシペプチダーゼを含む歯磨組成物

本明細書において、亜鉛を含有する塩およびカルボキシペプチダーゼを含む歯磨組成物を記述し、ここで、亜鉛を含有する塩は隔離されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] この出願は2010年1月14日に出願された米国仮特許出願第61/294,851号に対して優先権を主張し、それを本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 歯のプラークはある程度まで、薄膜の形で、事実上全ての歯の表面上に存在する。それは微生物の増殖の副産物であり、多糖マトリックス中に埋まった微生物の塊からなる濃密な微生物の層を含む。プラークは歯の表面に堅固に接着し、綿密なブラッシング計画によってさえも困難を伴ってのみ除去される。さらに、プラークはそれを除去した後急速に歯の表面上に再形成される。歯の上のプラークの形成に伴う危険性は、歯肉炎、歯周炎および他のタイプの歯周疾患、ならびに齲食および歯石を作り上げ(build up)、最終的にはそれを引き起こすプラークの傾向にある。
【0003】
[0003] 従来の亜鉛を含有する口腔用配合物は、その中に含有される亜鉛イオンが十分な程度までプラークマトリックスに浸透できないため、大部分は上手くいかなかった。結果として、従来の亜鉛を含有する配合物は、プラークに対して限られた有効性を示す。従来の亜鉛を含有する口腔用配合物は、特に亜鉛が高めの濃度で存在する場合に、望ましくない渋い味ももたらす。
【0004】
[0004] 従って、亜鉛イオンのプラークマトリックス中への増大した浸透および増大した抗プラーク有効性を提供する亜鉛を含有する配合物に関する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 上記の目標は、カルボキシペプチダーゼを亜鉛と共に口腔用配合物中に組み込み、それにより制御放出作用を達成することにより達成することができる。本発明に従って、カルボキシペプチダーゼおよび亜鉛を含有する化合物の口腔用組成物中での使用は増進された抗プラークおよびさわやかな息の作用を長期間にわたって提供し、一方で渋い味を低減することが決定された。亜鉛およびカルボキシペプチダーゼの作用は、該配合物中の他方の存在によりそれぞれ相乗的に向上され、該配合物の望まれる作用を達成するのに必要な亜鉛の量は低減される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0006] 本明細書で用いられる際、“歯磨剤”は、ペースト、ゲル、ロゼンジ、ガム、または液体配合物を指し、口の中で用いられる硬化可能な組成物を除外する。一部の態様において、歯磨剤は深い筋が入っており(deep striped)、表面に筋が入っており、または多層である。
【0007】
[0007] この記述全体において用いられる表現“キャリヤー”または“水性キャリヤー”は、本明細書における使用のためのあらゆる安全かつ有効な物質を意味する。そのような物質には、例えば増粘剤、湿潤剤、イオン性有効成分、緩衝剤、抗歯石剤、研磨性の研磨する(abrasive polishing)物質、過酸化物の源、アルカリ金属重炭酸塩類、界面活性剤、二酸化チタン、着色剤、香味系、甘味剤、抗微生物剤、草本性の薬剤、脱感作剤、汚れを低減する薬剤、およびそれらの混合物が含まれる。
【0008】
[0008] 本明細書で用いられる際、用語“隔離する”または“隔離された”は、個々の配合物中の1種類以上の構成要素または成分の残りの構成要素または成分からの封入(encapsulation)、単離、分離等を指す。
【0009】
[0009] 本発明の一部の態様は、亜鉛を含有する塩およびカルボキシペプチダーゼを含む歯磨組成物を提供し、ここで前記の亜鉛を含有する塩は隔離されていない。一部の態様において、亜鉛のプラークマトリックス中への浸透が増大する。一部の態様において、カルボキシペプチダーゼは亜鉛と不安定な複合体を形成している。一部の態様において、カルボキシペプチダーゼ−亜鉛複合体はプラークマトリックス中でタンパク質を分解する。一部の態様は、亜鉛を含有する塩の制御放出を提供する。
【0010】
[0010] 一部の態様において、カルボキシペプチダーゼおよび亜鉛を含有する塩の組み合わせは、該亜鉛−酵素複合体がプラークマトリックスの中に入る際に活性なままであるため、増進された作用を提供する。プラークマトリックス内でのカルボキシペプチダーゼの活性および増大した亜鉛の濃度は、該配合物の抗細菌、抗プラーク、および抗悪臭作用を増大させると信じられる。
【0011】
[0011] この配合物における亜鉛のカルボキシペプチダーゼへの独特の結合機構は、結果としてその2つの間のゆるい会合をもたらす。該配合物中の亜鉛およびカルボキシペプチダーゼの間の会合定数は、亜鉛がプラークマトリックスの中への取り込みの後にその複合体から解離することを可能にし、それは制御放出作用およびより長い作用期間をもたらす。このように、亜鉛は該酵素を不活性化する作用を有さず、それぞれの構成要素は増進された有効性で働くことができる。一部の態様において、亜鉛およびカルボキシペプチダーゼの独立した作用はそれらが互いとの組み合わせで適用される際に増幅されるため、より少ない量のそれぞれの構成要素を該配合物中で用いることができる。
【0012】
[0012] 本発明の一部の態様は、亜鉛のプラークマトリックス中への増進された取り込みを提供し;従って、該配合物中で用いられる亜鉛の総量を低減することができる。このようにして、亜鉛の存在と関係する渋い味も減少する。該配合物の渋みは、渋いイオンのカルボキシペプチダーゼに対する複合体形成によりさらに低減される。
【0013】
[0013] カルボキシペプチダーゼとの組み合わせでの使用のための亜鉛イオンを提供する亜鉛化合物は、水1mlあたり少なくとも約0.01mgの亜鉛イオンを提供する水溶性(難水溶性(sparingly water soluble)のものも含む)有機性および無機性亜鉛塩類が含まれるあらゆる生理的に許容できる亜鉛塩であってよい。水溶性亜鉛塩類(少なくとも1%で可溶性)、特にハロゲン化亜鉛および酢酸亜鉛が好ましい。控えめに可溶性の亜鉛塩類がより好ましく、その中でもクエン酸亜鉛、塩化亜鉛、または硝酸亜鉛が最も好ましい。用いることができる適切な亜鉛塩類の例には、以下のものが含まれる:酢酸亜鉛、フッ化亜鉛、硫酸亜鉛アンモニウム、ギ酸亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、クロム酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ジチオン酸亜鉛、硫酸亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、コハク酸亜鉛、グリセロリン酸亜鉛、およびそれらの混合物。水1mlあたり少なくとも約0.01mgの亜鉛イオンの溶解度を有する他の適切な亜鉛塩類が米国特許第4,138,477号において開示されており、その開示をそのまま本明細書に援用する。
【0014】
[0014] 亜鉛塩は、口腔用組成物中に約0.01〜5重量%の亜鉛イオン、好ましくは約0.02〜1重量%の亜鉛イオンを提供する量で存在することができる。最も好ましくは、亜鉛は約0.3重量%〜0.6重量%の亜鉛イオンを提供する量で存在する。用いられる配合物およびカルボキシペプチダーゼの量に依存して、当業者は望まれる量の亜鉛イオンを提供するために該組成物中に組み込むための亜鉛の量を決定することができるであろう。好ましくは、好ましい態様の歯磨組成物中で用いられる亜鉛の量は、約0.01重量%から約2重量%までの範囲内である。
【0015】
[0015] カルボキシペプチダーゼは好ましくは該配合物中に約0.01〜5重量%のカルボキシペプチダーゼを提供する量で存在する。好ましくは、カルボキシペプチダーゼは約0.1〜1重量%で存在し、最も好ましくはカルボキシペプチダーゼは約0.5重量%で存在する。
【0016】
[0016] 好ましい態様の配合物中の亜鉛のカルボキシペプチダーゼに対する比率は、約5:1から1:5までの範囲であることができる。好ましくは、亜鉛のカルボキシペプチダーゼに対する比率は約3:1〜1:3であり、より好ましくはその比率は約2:1〜1:2である。1:1の亜鉛のカルボキシペプチダーゼに対する比率が最も好ましい。本発明の組成物は、練り歯磨き、マウスウォッシュ(mouthwashes)、歯磨き粉、および同様のものが含まれる様々な歯磨配合物中に組み込むことができる。
【0017】
歯磨剤ビヒクル
[0017] 本発明の歯磨剤構成要素を調製するために用いられる口に許容できるビヒクルには、湿潤剤を含有する水相が含まれてよい。湿潤剤は、好ましくはグリセリン、ソルビトール、キシリトール、および/または200〜1,000の範囲の分子量のプロピレングリコールである;しかし、他の湿潤剤およびそれらの混合物も用いられてよい。湿潤剤の濃度は、典型的には合計で口腔用組成物の約5〜約70重量%である。
【0018】
[0018] 本明細書のソルビトールへの言及は、典型的には商業的に70%水溶液として入手可能である物質を指す。水は典型的には歯磨剤構成要素の少なくとも約10重量%、一般に約25〜70重量%の量で存在する。商業的に適切な口腔用組成物の調製において用いられる水は、好ましくは脱イオン化されており、有機性不純物を含まないべきである。これらの水の量には、他の物質と共に、例えばソルビトールと共に導入される水に加えて添加される遊離水が含まれる。
【0019】
研磨剤
[0019] 歯磨剤組成物の調製において用いられてよい研磨剤には、シリカ研磨剤、例えば約20ミクロンまでの平均粒径を有する沈降シリカ類、例えばJ.M.Huber化学事業部(メリーランド州ハーバー デ グレース 21078)により市場に出されているZeodent 115、またはW.R.Grace&CompanyのDavison化学事業部により市場に出されているSylodent 783が含まれる。他の有用な歯磨剤用研磨剤には、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、ケイ酸アルミニウム、か焼アルミナ、ベントナイト、または他のシリカ性物質、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0020】
[0020] 本発明に従う歯磨剤構成要素の調製の実施において有用な好ましい研磨性物質には、100cc/100gシリカ未満の、好ましくは約45cc/100gから約70cc/100gシリカ未満までの範囲の油吸収値(oil absorption value)を有するシリカゲル類および沈降非晶質シリカが含まれる。これらのシリカ類は、約3ミクロンから約12ミクロンまで、より好ましくは約5〜約10ミクロンの範囲の平均粒径および5重量%スラリーとして測定した場合に4から10まで、好ましくは6から9までのpHの範囲を有するコロイド粒子である。
【0021】
[0021] 油吸収値はASTAこすり落とし法(Rub−Out Method)D281を用いて測定される。低い油吸収のシリカ研磨剤は、本発明の歯磨組成物中に約5〜約40重量%、好ましくは約10〜約30重量%の濃度で存在する。
【0022】
[0022] 本発明の実施において特に有用な低い油吸収のシリカ研磨剤は、W.R.Grace & Co.のDavison化学事業部(メリーランド州バルティモア 21203)により商品名Sylodent XWAの下で市場に出されている。Sylodent 650 XWA。このシリカ研磨剤は、29重量%の含水量を有し、直径が平均して約7から約10ミクロンまでであり、油吸収が70cc/100gシリカ未満であるコロイド状シリカの粒子からなるシリカヒドロゲルであり、それは本発明の実施において有用な低い油吸収のシリカ研磨剤の好ましい例である。
【0023】
[0023] 本発明の歯磨組成物は、様々な任意の歯磨剤成分を含有することができる。下記で記述するように、そのような任意の成分には増粘剤、界面活性剤、抗歯石剤、フッ化物イオンの源、安定剤、合成陰イオン性ポリカルボキシレート、香味剤、および着色剤が含まれ得るが、それらに限定されない。
【0024】
増粘剤
[0024] 本発明の組成物における使用に適したシックナーには、天然および合成ガム類およびコロイド類が含まれる。適切なシックナーには、天然に存在するポリマー類、例えばカラギーナン類、キサンタンガム、商品名Polyoxの下で売られている様々な分子量のポリグリコール類、およびポリビニルピロリドンが含まれる。適合性の無機性シックナーには増粘剤として機能する非晶質シリカ化合物が含まれ、それにはCabot Corporationにより製造されLenape Chemical(ニュージャージー州バウンドブルック)により流通されている商品名Cab−o−Silの下で入手可能なコロイド性シリカ化合物;J.M.Huber化学事業部(メリーランド州ハーバー デ グレース 21078)からのZeodent 165;およびW.R.Grace CompanyのDavison化学事業部(メリーランド州ボルチモア 21203)から入手可能なSylodent 15が含まれる。他の無機性シックナーには、天然および合成粘土、例えばヘクトライト粘土、リチウムマグネシウムシリケート(laponite)およびマグネシウムアルミニウムシリケート(Veegum)が含まれる。
【0025】
[0025] 増粘剤は好ましくは歯磨組成物中に約0.1〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約4.0重量%の量で存在する。
界面活性剤
[0026] 増大された予防的作用を達成し、歯磨組成物をより化粧的に許容できるものにするために、界面活性剤を本発明の組成物中で用いることができる。界面活性剤は好ましくは組成物に洗浄性の(detersive)発泡する特性を与える洗浄性物質である。
【0026】
[0027] 酵素適合性界面活性剤の例には、非陰イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤、例えばPluronic F127、Polyoxamer 407、Steareth 30、Polysorbate 20、ならびに両性界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタインおよびコカミドプロピルベタインラウリルグルコシドが含まれる。好ましい界面活性剤には、2.5 Polyaxomer 407、2.5 PEG−40ヒマシ油、3.3Polysorbate−20および1.0 コカミドプロピルベタインの重量比における、約2〜約10重量%、好ましくは約3.5〜約6.5重量%の歯磨組成物中の総界面活性剤濃度での、Pluronic F127、Polyoxamer 407、Polysorbate 20、およびコカミドプロピルベタインの組み合わせが含まれる。
【0027】
フッ化物および他の有効薬剤
[0028] 本発明の歯磨組成物は、フッ化物イオンの源またはフッ素を提供する構成要素も、抗歯石剤として、約25ppm〜5,000ppmのフッ化物イオンを供給するのに十分な量で含有していてよく、無機性フッ化物塩類、例えば可溶性アルカリ金属塩類が含まれてよい。例えば、組成物中に存在する酵素と適合する好ましいフッ化物の源は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、ならびにフッ化スズ類、例えばフッ化第1スズおよび塩化第1スズである。フッ化ナトリウムが好ましい。
【0028】
[0029] フッ化物化合物に加えて、抗歯石剤、例えば二アルカリまたは四アルカリ金属ピロリン酸塩類、例えばNa、K、Na、NaおよびKが含まれるピロリン酸塩類、トリポリリン酸ナトリウム、長鎖ポリホスフェート類、例えばヘキサメタリン酸ナトリウム、ならびに環式ホスフェート類、例えばトリメタリン酸ナトリウムも含まれてよい。これらの抗歯石剤は歯磨組成物中に約1〜約5重量%の濃度で含まれる。
【0029】
酵素安定化剤
[0030] 本発明の歯磨組成物は、歯磨剤環境中で酵素を安定化する成分も含有していてよい。これらの安定剤は、歯磨組成物中に存在する金属不純物をキレートすることにより酵素を不活性化から保護する。キレート剤には、0.01〜1%、好ましくは0.1〜0.5%の濃度でのエチレンジアミン4酢酸(EDTA)およびグルコン酸ナトリウムが含まれる。また、他の安定剤は、酵素活性に重要であるアミノ酸、例えばシステインの酸化を防ぐ。酵素を酸化に対して安定化する薬剤の例には、約0.1〜約1.5%、好ましくは約0.3〜約0.75%の濃度での重亜硫酸ナトリウム、金属没食子酸塩類、スズ酸ナトリウムおよびアスコルビン酸が含まれる。
【0030】
陰イオン性ポリカルボキシレート
[0031] 合成陰イオン性ポリカルボキシレート類も、本発明の歯磨組成物において、歯磨剤組成物内のあらゆる抗細菌、抗歯石または他の有効薬剤のための有効性増進剤として用いられてよい。そのような陰イオン性ポリカルボキシレート類は一般に、それらの遊離酸、または好ましくは部分的に、もしくはより好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属(例えばカリウムおよび好ましくはナトリウム)もしくはアンモニウム塩類の形で用いられる。無水マレイン酸またはマレイン酸と別の重合可能なエチレン的に(ethylenically)不飽和な単量体、好ましくはメチルビニルエーテル/無水マレイン酸の、約30,000〜約1,800,000、もっとも好ましくは約30,000〜約700,000の分子量(M.W.)を有する1:4〜4:1コポリマー類が好ましい。これらのコポリマー類の例は、GAF Corporationから商品名Gantrez(登録商標)、例えばAN 139(M.W. 500,000)、AN 119(M.W. 250,000);S−97医薬グレード(Pharmaceutical Grade)(M.W. 700,000)、AN 169(M.W. 1,200,000〜1,800,000)、およびAN 179(M.W. 1,800,000より上)の下で入手可能であり;ここで、好ましいコポリマーはS−97医薬グレード(M.W. 700,000)である。
【0031】
[0032] 存在する場合、陰イオン性ポリカルボキシレート類は歯磨剤組成物内のあらゆる抗細菌、抗歯石または他の有効薬剤の有効性の望まれる増進を達成するのに有効な量で用いることができる。一般に、陰イオン性ポリカルボキシレート類は歯磨組成物内に約0.05重量%から約4重量%まで、好ましくは約0.5重量%から約2.5重量%まで存在する。
【0032】
香味
[0033] 本発明の歯磨組成物は、香味剤も含有していてよい。本発明の実施において用いられる香味剤には、精油および様々な香味アルデヒド類、エステル類、アルコール類、および類似の物質が含まれる。精油の例には、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、サッサフラス、チョウジ、セージ、ユーカリ、マヨラマ、桂皮、レモン、ライム、グレープフルーツ、およびオレンジの油が含まれる。メントール、カルボン(carvone)、およびアネトール(anethole)のような化学物質も有用である。これらの内で、最も一般的に用いられるのはペパーミントおよびスペアミントの油である。
【0033】
[0034] 香味剤は歯磨組成物に約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約1.5重量%の濃度で組み込まれる。
他の成分
[0035] 様々な他の物質をこの発明の歯磨組成物に組み込むことができ、それには脱感作剤、例えば硝酸カリウム;白化剤;保存剤;シリコン類;着色剤;およびクロロフィル化合物が含まれる。これらの添加物は、存在する場合、歯磨組成物に、望まれる特性および特徴に実質的に悪影響を及ぼさない量で組み込まれる。
【0034】
[0036] 抗細菌剤を本発明の歯磨組成物に組み込むことができる。口腔ケアにおいて用いられる一般的な抗細菌剤には、トリクロサン、クロルヘキシジン(chlorohexidine)、塩化セチルピリジニウム、および他の第四級アミン類が含まれる。これらの薬剤は、存在する場合、歯磨組成物に、組成物の望まれる特性および特徴に実質的に悪影響を及ぼさない有効量で組み込まれる。
【0035】
歯磨組成物の調製
[0037] 本発明の歯磨組成物を調製するため、亜鉛およびカルボキシペプチダーゼを好ましくは水中で溶解させた後、他の成分を添加する。一般に、湿潤剤、例えばグリセリン、ソルビトールを、一般に用いられるミキサーにおいて撹拌下で水中で分散させる。分散液の中に、有機性シックナー、例えばカルボキシメチルセルロース;抗歯石剤、例えばピロリン酸4ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムおよびいずれかの甘味料を添加する。結果として得られた混合物を、均質なゲル相が形成されるまで撹拌する。ゲル相の中に、顔料、例えばTiO2、およびpHを6.4〜7.3の範囲内に調節するのに必要ないずれかの酸または塩基を添加する。これらの成分を、均質な相が得られるまで混合する。その後、塩化セチルピリジニウム、酵素および還元剤、例えばスズ酸カリウムの水性湿潤剤溶液中におけるプレミックスをその均質なゲル相に添加してそれと混合する。次いで結果として得られた混合物を高速/真空ミキサーに移す;ここで、シックナーおよび界面活性剤成分をその混合物に添加する。その後、研磨剤を添加する。いずれかの水に不溶性の抗細菌剤、例えばトリクロサンを、組成物に含ませるために香味油中で可溶化し、その溶液を界面活性剤と共にその混合物に添加し、次いでそれを高速で5から30分間まで、約20から50mmHgまで、好ましくは約30mmHgの真空の下で混合する。結果として得られた製品は、それぞれの場合において、均質な半固体の押し出し可能なペーストまたはゲル製品である。
【0036】
液体口腔用組成物の調製
[0038] 口腔用組成物が実質的にマウスウォッシュまたはリンスのような性質の液体である本発明の観点において、ビヒクルは典型的には水、湿潤剤、アルコール混合物である。アルコールは非毒性のアルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノールである。湿潤剤、例えばグリセリン、ソルビトールまたはアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコールは約10〜30重量%の量で存在していてよく、口腔用リンスは約45重量%より大きい水、好ましくは約50〜85重量%の水、約0〜20重量%の非毒性のアルコール、および約10〜40重量%の湿潤剤を含有する。シックナー、例えばPluronicは約1.0〜約3.0重量%の濃度で存在していてよく、塩化セチルピリジニウムは約0.02〜約1.0重量%の濃度で、還元剤、例えばスズ酸カリウムまたは硫酸アンモニウムは約0.05〜約1.0重量%の濃度で、酵素は約0.02〜約0.2重量%の濃度で、香味成分は約0.3〜約1.0重量%の濃度で存在していてよい。
【0037】
[0039] 口腔用リンスの調製において、塩化セチルピリジニウム、還元剤、水、湿潤剤および酵素からなる酵素プレミックスをマウスウォッシュ成分、例えばアルコール、湿潤剤、界面活性剤の混合物中で分散させ、次いで香味を添加して混合する。次いでその成分を真空下で約15〜30分間混合する。結果として得られた口腔用リンス製品を、次いで包装する。
【0038】
[0040] リンスは、口の届きにくい領域、例えば歯間領域および舌の凹部(crevices)の中に入り込むそれの能力のため、口腔に有効物質を送達するための好都合なビヒクルである。リンス中への酵素の組み込みにおける課題は、酵素の安定性および活性を50%より上の水準で維持することであり、従来の方式では酵素を含有する組成物には適していない。本発明において、酵素活性の安定性は許容可能であることが分かり、それは予想外にもリンスの含水量がその混合物の45重量%より上、好ましくは約50〜85重量%で維持される場合に最適化され、抗プラーク剤としての酵素活性は増大することが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛を含有する塩およびカルボキシペプチダーゼを含む歯磨組成物であって、前記の亜鉛を含有する塩が隔離されていない、前記組成物。
【請求項2】
亜鉛が0.3〜0.6重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
カルボキシペプチダーゼが0.5重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
亜鉛のカルボキシペプチダーゼに対する比率が約1:1である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
歯磨剤が練り歯磨きである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
歯磨剤がマウスウォッシュである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
歯磨剤が歯磨き粉である、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
亜鉛を含有する塩がクエン酸亜鉛である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
亜鉛を含有する塩が硝酸亜鉛である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
亜鉛を含有する塩が塩化亜鉛である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
亜鉛を含有する塩およびカルボキシペプチダーゼを含む歯磨組成物であって、前記の亜鉛を含有する塩が隔離されていない前記組成物を投与することを含む、口臭を処置する方法。
【請求項12】
亜鉛を含有する塩およびカルボキシペプチダーゼを含む歯磨組成物であって、前記の亜鉛を含有する塩が隔離されていない前記組成物を投与することを含む、抗プラークの利益を送達する方法。
【請求項13】
歯磨剤が練り歯磨きである、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
歯磨剤がマウスウォッシュである、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
歯磨剤が歯磨き粉である、請求項11または12に記載の方法。

【公表番号】特表2013−517293(P2013−517293A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549135(P2012−549135)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/021385
【国際公開番号】WO2011/088383
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】