説明

カルボキシラートで停止した重合体、及びその耐衝撃性改質プラスチック分野への使用

組成物は、アニオン開始剤の存在下での少なくとも一種の共役ジエンの重合に由来するベール化可能な重合体を含む。ベール化可能な重合体は、重合反応を停止させるための二酸化炭素の付加に由来するカルボキシラート停止部分を有する。該重合体は、35より大きなムーニーML1+4粘度と、X(ここで、Xは75cPより大きい)の溶液粘度とを有する。該重合体を含む組成物にイオノライザーを加えることで、該重合体の溶液粘度をXからY(ここで、Yは約0.3X〜約0.58Xである)に低下させる。ベール化可能な重合体は、耐衝撃性改質プラスチックとブレンドされ、向上したアイゾッド値及び光学的特性をもたらす。また、重合体、組成物及びイオノライザーの製造方法及び利用方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、特定のムーニー粘度及び溶液粘度を有するカルボキシラートで停止した重合体と、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)等の耐衝撃性改質プラスチックへの該重合体の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA's)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、メチルメタクリラート−ブタジエン−スチレン共重合体、透明性耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体等の特定の耐衝撃性改質プラスチックは、典型的に、ゴム、例えばポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン共重合体の存在下で調製され、靭性、衝撃強さ及び他の性質を高める。低溶液粘度の添加ゴムは、プラスチック相への該添加ゴムの分散を容易にすることができる。また、HIPSの重合初期においては、形成されるポリスチレン中でのゴムの非混和性及びスチレン相の枯渇のため、相分離が始まる。更に、SMAsでは、低い溶液粘度によって、得られる生成物の透明度及び光沢度を向上させることができる。
【0003】
上記添加ゴムの低い溶液粘度は非常に望ましいのだが、それは商業的な取り扱いを困難にする。例えば、低い溶液粘度は、典型的に、包装して船積することが困難な液状物質又は半液状物質を招く。従って、船積みでき且つ扱いが容易な形状にベールすることが可能な比較的高い体積粘性率の物質が望ましい。
【0004】
同一出願人による米国特許第7,105,613号には、ゴム重合体のカルボキシラート停止部分によって、高い体積粘性率で低い溶液粘度のゴム配合物を達成する重合技術が開示されており、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。これは、ベール化可能なゴム配合物を作り、該ゴム配合物は、プラスチックの添加剤として有用である。
【0005】
それにもかかわらず、耐衝撃性改質プラスチック用に更に改良された重合体、例えば、アイゾッド衝撃値を向上させるためのプラスチックに寄与する重合体、及び低下した量で使用しプラスチック組成物の衝撃強さに影響を与えることのできる重合体が、依然として必要とされている。また、重合体がベール化可能なままであるように高い体積粘性率を維持しながら、重合体の溶液粘度を低減することのできる添加剤が必要とされている。更に、光沢度及びアイゾッド強さの制御を容易にすることができる添加剤も望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,105,613号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一の実施態様において、アニオン開始剤の存在下での少なくとも一種の共役ジエンの重合に由来するゴムを含む組成物に関するものである。上記ゴムは、重合反応を停止させるための二酸化炭素の使用に由来するカルボキシラート停止部分を有する。上記ゴムは、約35より大きなムーニー粘度(ML1+4)と、X(ここで、Xは約75cPより大きい)の溶液粘度とを有する。更に、該ゴムに粘度低下剤を加えることで、Yが約0.3X〜約0.58Xの範囲になるように、ゴムの溶液粘度をXからYに低下させる。
【0008】
前段落に記載のカルボキシラートで停止したゴムを、該ゴムと耐衝撃性改質プラスチックとのブレンドを調製するために利用する方法は、(a)少なくとも一種のビニル芳香族化合物を含む溶媒中にカルボキシラートで停止したゴムを溶解させる工程と、(b)任意に、少なくとも一種の追加の単量体を加える工程と、(c)Yが約0.3X〜約0.58Xの範囲になるように、前記カルボキシラートで停止したゴムの溶液粘度をXからYに低減することが可能な少なくとも一種の添加剤を加える工程と、(d)任意に、少なくとも一種の追加の不活性溶媒を加える工程と、(e)任意に、エキステンダー油、調節剤、及び酸化防止剤よりなる群から選択される他の添加剤を加える工程と、(f)開始剤の使用と加熱とによりスチレンの重合を開始させる工程であって、その間に相反転が起こる工程とを含む。上記工程(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)を任意の順序で行うことができる。とはいえ、工程(c)を相反転が起こる前に行うことが好ましい。上記耐衝撃性改質プラスチックは、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルメタクリラート−ブタジエン−スチレン共重合体、透明性耐衝撃性ポリスチレン、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体よりなる群から選択される。
【0009】
ここに記載された技術に従う組成物は、約35より大きなムーニー粘度(ML1+4)と、X(ここで、Xは約75cPより大きい)の溶液粘度とを有するカルボキシラートで停止したゴムを含む。粘度低下剤を加えることで、Yが約0.3X〜約0.58Xの範囲になるように、上記溶液粘度をXからYに低減し、そして、該ゴムは、アニオン開始剤の存在下での少なくとも一種の共役ジエンの重合に由来する。更に、上記組成物は、カルボキシラートで停止したゴムとブレンドするための耐衝撃性改質プラスチックを含み、該耐衝撃性改質プラスチックは、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルメタクリラート−ブタジエン−スチレン共重合体、透明性耐衝撃性ポリスチレン、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体よりなる群から選択される。
【0010】
この開示の目的で、「ゴム」及び「エラストマー」の語は、交換できるように使用される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願に記載の技術は、組成物と、有利な性質を有する耐衝撃性改質プラスチックをブレンドしたものを提供するための方法とを対象とする。これを達成するため、粘度低下剤によって溶液中でのゴムの溶液粘度を低下させることがここに説明される。選択される粘度低下剤の種類に基づいて、ゴムは、耐衝撃性改質プラスチック組成物内での異なる粒径及び形態を有し得る。また、粘度低下剤は、単一のゴムサンプルの購入者が、使用される粘度低下剤の種類及び分量によって様々な溶液粘度を有するポーション(portions)を得ることをできるようにする。これは、一層の柔軟性を購入者に与え、大量のゴムの売買を可能にすることができ、規模の経済的利益が付随して起こり得る。
【0012】
本開示の一の実施態様において、ゴムはカルボキシラート停止部分を有する重合体又は共重合体である。ゴムは、約35を超える比較的高いムーニー粘度と、Xの溶液粘度とを有し、ここで、Xは約75cPより大きい。上記ゴム又は該ゴムを含む組成物に粘度低下剤を加えた後、溶液中で、その溶解粘度は、Yが約0.4X〜約0.58Xの範囲になるように、XからYに低下する。
【0013】
一の実施態様において、カルボキシラートで停止したゴムと耐衝撃性改質プラスチックとのブレンドは、(a)少なくとも一種のビニル芳香族化合物を含む溶媒中でカルボキシラートをで停止したゴムを溶解し、(b)任意に、少なくとも一種の追加のコモノマーを加え、(c)少なくとも一種の粘度低下剤を加え、それにより、ゴムの溶液粘度をXからY(ここで、Yは約0.4X〜約0.58Xである)に低減し、(d)任意に、少なくとも一種の追加の不活性溶媒を加え、(e)任意に、エキステンダー油、調節剤、及び酸化防止剤よりなる群から選択される添加剤を加え、(f)開始剤の使用と加熱により、スチレンの重合を開始させ、その間に相反転が起こることによって、調製される。工程(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)を任意の順序で行うことができるが、工程(f)において相反転が起こる前に工程(c)を行うことが好ましい。ゴムとブレンドされる耐衝撃性改質プラスチックは、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルメタクリラート−ブタジエン−スチレン共重合体、透明性耐衝撃性ポリスチレン、及びアクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体よりなる群から選択される。
【0014】
一例を挙げれば、カルボキシラートで停止したゴムは、リチウム開始剤と停止剤としてCO2とを用いたアニオン重合により調製できる。カルボキシラートで停止したゴムは、主に、次式:
【化1】

(ここで、波線は重合体鎖を表す)を持つカップリングしていない重合体を含むことができる。
【0015】
また、上記カルボキシラートで停止したゴムは、次式:
【化2】

及び/又は
【化3】

を持つジ-カップリングした重合体及び/又はトリ-カップリングした重合体を含むこともできる。
【0016】
上記カルボキシラートで停止したエラストマーのエラストマー部分には、例えば、共役ジエンゴム;共役ジエンのビニル芳香族化合物との共重合体又はビニル芳香族化合物等の共重合可能な単量体50重量パーセント未満との共重合体;C1〜C8アルキル(メタ)アクリラートの共役ジエンとの弾性共重合体;C1〜C8アルキル(メタ)アクリラートのブタジエン及び/又はスチレンとの弾性共重合体;エチレンプロピレン共重合体(EPR)又はエチレン-プロピレン-ジエン単量体ゴム(EPDM)等のオレフィンゴム;エチレン-ビニルアセタートゴム;エラストマーのC1〜C8アルキル(メタ)アクリラート;或いは上記のエラストマーの少なくとも一種を含む組み合わせが含まれる。
【0017】
上記ゴムを作るのに使用できる共役ジエン単量体の具体例は、1,3-ブタジエン、イソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)、ピペリレン(1,3-ペンタジエン)、メチル-1,3-ペタンジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、2-エチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、2,4-ジメチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2,4-ヘキサジエン類、1,3-ヘプタジエン等の他、上述の共役ジエン単量体の少なくとも一種を含む混合物である。
【0018】
一部の用途には、共役ジエンの単独重合体が好ましいことがあるが、少なくとも一種の共役ジエンを含有する共重合体が非常に望ましい場合もある。コモノマーは、芳香核に結合したアルキル基、アラルキル基又はシクロアルキル基を有し、好ましくは20個以下の炭素原子を有するビニル芳香族化合物を含んだ、ビニルアレーン類とすることができる。
【0019】
一の実施態様において、上記カルボキシラートで停止したゴムは、ビニル芳香族化合物等の一種又はそれ以上のコモノマーと共重合する共役ジエンを含む。使用できる適切なビニル芳香族単量体の例としては、スチレン、3-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、α-メチル-スチレン、α-メチルビニルトルエン、α-クロロスチレン、α-ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、テトラ-クロロスチレン、p-シクロヘキシルスチレン、ビニルナフタレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、メトキシスチレン、t-ブトキシスチレン、ビニルエチルナフタレン、ビニルメチルナフタレン、ビニルブチルナフタレン、ビニルジフェニル、ビニルジフェニルエタン、4-ビニル-4'-メチルジフェニル等の他、上述の化合物の少なくとも一種を含む組み合わせが挙げられる。スチレン及び/又はα-メチルスチレンを、上記共役ジエン単量体と共重合可能な単量体として使用してもよい。
【0020】
かかるコモノマーを使用する場合、得られる共重合体は、一般に、該コモノマーからの単位を約10%〜約70%、他の実施態様においては30-40%以下含む。
【0021】
ポリブタジエン、ポリイソプレン及びスチレン-ブタジエンゴム等の共役ジエンの重合体及び共重合体からなるカルボキシラートで停止したゴムは、本願に記載の用途に特に適している。
【0022】
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって決定でき、また、該GPCはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)として知られる。(この出願中で表現される分子量は、ポリスチレン標準に対する適切なマーク-ホーウインク定数を用い、ポリブタジエンに対して補正された。)一定のカルボキシラートで停止したゴムについては、望ましくない材料特性を回避できるように、分子量を十分に制御すべきである。例えば、低Mwのポリブタジエン等のポリジエンは、周囲温度にて取り扱い・加工することが困難な場合がある。一の実施態様においては、本開示のカルボキシラートで停止したゴムのMwが、約80,000〜約350,000、或いは約100,000〜約300,000であり、他の実施態様においては約140,000〜約200,000である。
【0023】
上記カルボキシラートで停止したゴムの溶液粘度を最適化し、特定の用途に適合させることができる。低溶液粘度のゴムは、プラスチック相中でのゴムの分散を容易にし、得られる生成物の耐衝撃性改質プラスチック組成物中での透明度及び光沢度を向上させる等の利点を提供することができる。
【0024】
一の実施態様において、粘度低下物質を加える前でのカルボキシラートで停止したゴムの溶液粘度は、一般に約75cP〜約300cP、又は約80cP〜約250cP、又は約90cP〜約170cPの範囲とすることができる。溶液粘度は、様々な方法で測定されることができる。ここに記載の溶液粘度は、25℃での5.43%トルエン溶液を用いて測定された。
【0025】
粘度低下剤、即ちイオノライザーは、カルボキシラートで停止したゴムと協調して使用され、所望の溶液粘度を有する添加ゴムを提供することができる。それら粘度低下物質の例としては、限定されるものではないが、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸アルミニウム(モノ、ジ若しくはトリステアラート)、及び/又は2-エチルヘキサン酸(EHA)等の有機酸/塩が挙げられる。ゴムを耐衝撃性改質プラスチックと混合する前又はその後に、上記粘度低下剤をゴムに加えることができる。しかしながら、相反転が起こる前に粘度低下剤をゴムに加えることは、ゴム中での粘度低下剤のより優れた分散を可能にする。一の実施態様において、粘度低下剤は、HIPS生成用のスチレン単量体中で、カルボキシラートで停止したゴムと共に溶解できる。異なる粘度低下剤は、HIPS生成物中でのゴムの異なる粒径及び形態をもたらすことができる。かかる粘度低下剤のカルボキシラートで停止したゴムに対する重量比は、一般に、約0.1%〜約10%、又は約0.2%〜約5%、又は約0.25%〜約3%の範囲とすることができる。
【0026】
粘度低下剤を加える場合、カルボキシラートで停止したゴムは、溶液粘度を低減することになり、一般に、粘度低下剤を加える前のエラストマーの溶液粘度(X)の約0.3倍から粘度低下剤を加える前のエラストマーの溶液粘度(X)の約0.58倍の範囲に及ぶ。一の実施態様において、上記カルボキシラートで停止したゴムは、一般に約0.4X〜約0.58Xの範囲、他の実施態様においては約0.45X〜約0.55Xの範囲の低減された溶液粘度を有する。一の実施態様において、粘度低下剤を加えた後のカルボキシラートで停止したゴムの最終溶液粘度は、約30cP〜約174cPの範囲であり、又は一部の実施態様においては、約43cP〜約120cPの範囲である。
【0027】
一の実施態様において、カルボキシラートで停止したゴムは、船積みでき且つ扱いが容易な形状にベールすることが可能なムーニー粘度を有する物質である。ムーニー粘度は、ASTM D-1646に従って測定される。ML1+4は、100℃でのムーニー粘度を指す。特別の定めがない限り、ここに言及されるムーニー粘度は、ML1+4である。カルボキシラートで停止したゴムのムーニー粘度は、一般に約35〜約75、好ましくは約45〜約65の範囲に及ぶことがある。
【0028】
他の実施態様において、カルボキシラートで停止したポリブタジエン等のカルボキシラートで停止したゴムは、HIPS、ABS、SMA及びTIPS等の耐衝撃性改質プラスチック組成物(樹脂)中の添加剤として使用される。プラスチック組成物の全重量に基づき、カルボキシラートで停止したゴムを該組成物に対して約5〜約30重量パーセント、又は約5〜約25重量パーセント、又は約6〜約20重量パーセントの量で加えることができる。
【0029】
カルボキシラートで停止したゴムは、プラスチックマトリクス中に分散し実質的に分離した粒子として存在することができる。該粒子の大きさは、一般に約0.1ミクロン〜約10ミクロンの範囲、又は約0.2ミクロン〜約3.0ミクロンの範囲とすることができる。その粒径は、遷移電子顕微鏡(TEM)を用いて測定されることができる。
【0030】
ここに記載される技術の一例を挙げれば、カルボキシラート停止部分を有する連続ジブロック重合体は、HIPS又はABS中で調製して使用できた。かかる連続ジブロック重合体の例としては、限定されるものではないが、ビニル芳香族炭化水素及びアルケンを含む重合体が挙げられる。より具体的な例としては、約10%の結合スチレンを含有する共重合体等のスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、又はスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。コモノマーの使用は、依然として重合体をベールすることが可能でありながら、溶液粘度の範囲を広げることになる。
【0031】
カルボキシラートで停止したゴムを含む耐衝撃性改質プラスチック組成物の一の製造方法は、一般に、(i)アニオン重合によってリビング重合体を用意し、(ii)該リビング重合体をカルボキシラートで停止し、及び(iii)そのカルボキシラートで停止したゴムをプラスチック組成物中に組み込むことを含む。
【0032】
カルボキシラートで停止したゴムは、塊状法、エマルション法、懸濁法、溶液法、若しくはバルク−懸濁技術、エマルション−バルク技術、バルク−溶液技術若しくは他の重合技術等の複合法によって、連続法、半回分法、又は回分法を用いて重合されることができる。
【0033】
カルボキシラートで停止したゴムの調製には、適切なアニオン開始剤をいずれも使用することができる。アニオン開始剤の例としては、アルカリ金属の有機金属化合物が挙げられる。他の適切なアニオン開始剤には、第II族金属の活性化有機金属化合物が含まれる。例えば、ジアルキルマグネシウムは、第I族金属のアルコキシドで活性化した。
【0034】
一の実施態様において、アニオン開始剤は、有機リチウム化合物である。有機リチウム開始剤は、リビング重合反応を形成することが知られている。当業者に知られているように、リビング重合は、末端基を付加し、重合体鎖中の単量体の明確なブロックを作るのに有用である。適切なリチウム開始剤としては、特に限定されないが、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、1,4-ジリチオブタン、1,3-(ジ-2-(2-リチオ-4-メチル)ペンテニル)ベンゼン、及びそれらの混合物のいずれもが含まれる。
【0035】
アニオン開始剤は、得られる重合体の望ましい分子量が得られるように設計された量で使用される。
【0036】
カルボキシラートで停止したゴムの高いビニル含有量が、望ましいことがある。その場合、例えば、反応速度を増大したり、単量体の反応性比を均等にしたり、及び/又は共役ジエン単位中の1,2-ビニル含有量若しくは1,2-ミクロ構造を制御するため、調節剤又は1,2-ミクロ構造制御剤の存在下で、アニオン重合を行うことがある。適切な調節剤の例には、限定されないが、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジエチルエーテル、トリ-n-ブチルホスフィン、p-ジオキサン、1,2ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジ-n-オクチルエーテル、アニソール、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジメチルエチルアミン、ビス-オキサラニルプロパン、トリ-n-プロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-エチルピペリジン、N-メチル-N-エチルアニリン、N-メチルモルホリン、テトラメチレンジアミン、オリゴマー状オキソラニルプロパン(OOPs)、2,2-ビス-(4-メチルジオキサン)、ビステトラヒドロフリルプロパン、ビス(2-オキソラニル)メタン、1,1-ビス(2-オキソラニル)エタン、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン、2,2-ビス(5-メチル-2-オキソラニル)プロパン、2,2-ビス-(3,4,5-トリメチル-2-オキソラニル)プロパン、2,5-ビス(2-オキソラニル-2-プロピル)オキソラン、オクタメチルペルヒドロシクロテトラフルフリーレン(環状四量体)、2,2-ビス(2-オキソラニル)ブタン等が含まれる。また、二種以上の調節剤又は1,2-ミクロ構造制御剤の混合物を使用することもできる。
【0037】
適切な重合は、使用する温度で生じた圧力に耐えることが可能なオートクレーブ、加圧反応器又はボトル中で実施されることができる。一の実施態様においては、重合中に生じた圧力が、約34〜約760kPaの範囲になるであろう。温度は、ほとんど室温から約120℃の間になることがある。重合時間は、特に限定されないが、反応が完了して所望の重合度が得られるまで必要な限り続けることができる。
【0038】
重合を所望の程度で完了する場合、反応系にCO2を加えてもよい。CO2は、リビング重合体鎖を停止させ、重合体鎖の大部分にカルボキシラート末端基をもたらす。CO2は、ガス状で泡立たせて通過させることにより、重合混合物にCO2を加えることができる。CO2は、リビング重合体鎖の反応性末端基と反応し、リビング重合を効果的に終わらせる。得られる重合体は、カルボキシラート末端基を含む。
【0039】
ジ-t-ブチルクレゾール等の酸化防止剤を重合体生成物に少量加えてもよい。酸化防止剤を全溶液の4重量パーセント未満又は2重量パーセント未満の量で加えることができる。該重合体は、好ましくは、残存する溶媒の蒸発に適切な温度でドラム乾燥することによって、加工する前に回収して乾燥することができる。或いは、蒸気脱溶媒化法を用いて重合体生成物を回収する。
【0040】
本開示の一の実施態様において、カルボキシラートで停止したゴムは、プラスチック組成物中に組み込まれる。プラスチック組成物は、カルボキシラートで停止したゴムをスチレン等のビニル芳香族単量体を含有する溶液中で溶解し、得られる混合物を重合させることによって調製されることができる。この方法は、ゴム強化したHIPS及びABS等の耐衝撃性改質プラスチックを調製する分野において知られる通常の技術を用いて行うことができ、米国特許第2,646,418号、第4,311,819号、第4,409,369号及び第5,721,320号に記載されている。例えば、HIPSは、約5%〜約40%の溶解されたカルボキシラートで停止したゴム又は約6%〜約20%のカルボキシラートで停止したゴムの存在下でスチレンを重合することにより製造されることができる。カルボキシラートで停止したゴムと耐衝撃性改質プラスチックとの混合は、フリーラジカル重合中に達成されることがあり、該フリーラジカル重合は、バッチセル、バルク連続、懸濁、溶液、又はエマルションで行うことができる。例えば、ABS共重合体は、バルク-懸濁、連続バルク、エマルション等の重合法を用いて作ることができる。
【0041】
一例を挙げれば、カルボキシラートで停止したゴムは、重合したビニル芳香族単量体とブレンドされる。他の例では、ビニル芳香族単量体が、カルボキシラートで停止したゴムの存在下で重合される。後者の方法では、ビニル芳香族単量体が、カルボキシラートで停止したゴム上で部分的にグラフト重合し、ここで、フリーラジカル開始剤を使用してもよい。
【0042】
HIPS用では、ここに開示された技術は、粘度低下剤を加えた後の低下した溶液粘度がビニル芳香族ドメイン中でのポリジエンの低減した粒径及び向上した分散をもたらすことができる点で、典型的なHIPS重合体に対する改善を提供する。これは、向上した物理的性質及び光学的性質をもたらし得る。
【0043】
ここに開示された例は、HIPSの効率的で且つ経済的な製造に使用でき、成形の容易さ、優れた光沢度、及び一般的に優れた機械的性質のため、電気冷蔵庫の内張り、包装、家具、家庭電化製品、玩具等の多くの用途に広く使用される。HIPSは、主として、連続重合法によって作られるが、回分法によっても作られることができる。
【0044】
HIPSを製造する連続方法の一例は、溶解したゴムの存在下でスチレン単量体を重合させることからなる。ポリスチレンは、最初に、均質なゴム溶液内でスチレン単量体から形成される。HIPSの製造に通常利用されるゴムの種類には、ポリブタジエン(PB)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)及びスチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)が含まれる。上記方法は、エラストマー及びスチレン粒子のグラフトを制御し且つゴム粒径(RPS)を制御するため、最初の製造法において二つの連続攪拌槽反応器(CSTR)を利用してもよい。該方法では、CSTRの一つがプレインバージョン反応器(PIR)として機能することができ、ここで、反応溶液は、ゴム/スチレン反転点、即ち、反応する溶液がゴム/スチレン単量体マトリクス中のポリスチレン粒子からポリスチレンマトリクス中のゴム粒子になる点より前の点で維持される。第二のCSTR容器において、反転点に達する場合がある。
【0045】
開示されたプラスチック組成物の例で作った物品は、向上した耐衝撃性等の機械的性質を示すことができる。一般に、かかる物品のアイゾッド衝撃強さは、約0.5以上又は1.5以上であり、特定の用途に、約1.5〜約4.0のアイゾッド値を使用することができるが、アイゾッド強さが光沢特性に対して逆の相間があるため、光沢度が重要である一部の用途には、低いアイゾッド値が受け入れられる。かかるアイゾッド値は、例えば、約1.0〜約2.5の範囲である。アイゾッド強さは、ASTM法 D−256−06を用いて測定できる。
【0046】
HIPS等の耐衝撃性改質プラスチック組成物の他の機械的性質及びレオロジー特性は、ゴム相の性質の影響を受ける。この点において、全体的なHIPS性能を制御するために変更され得るゴムの特性の一部には、数ある中でも、HIPS樹脂内に分散したゴム粒子の濃度、グラフト化能及び架橋能、ゴム粒子の形状及び大きさ等のゴム形態、ゴム粒径分布(RPSD)、膨潤指数、及び%ゲルの%プラスチックに対する比によって測定されるゴム相体積が挙げられる。例えば、粘度低下剤を用いて、耐衝撃性改質プラスチックブレンド内でのゴム粒子の大きさを制御することができる。ゴム粒子の大きさを変更することによって、得られる耐衝撃性改質プラスチックブレンドのアイゾッド強さ及び光沢度を制御することが可能になる。
【0047】
請求された発明を実施する際に、当業者に追加の手引きを提供するため、以下に示す例が挙げられる。提供された例は、本願の教示に貢献する加工物を代表するにすぎない。従って、それらの例は、いかなる方法によっても、本発明を限定することを目的としているのではなく、添付の特許請求の範囲において規定されている。
【実施例】
【0048】
I.エラストマー合成
A.実施例エラストマーA−D(カルボキシラートで停止したゴム)
実施例エラストマーA
二つの50ガロン反応器を利用した。第一の反応器にヘキサンを投入し、反応器ジャケットを用いて該反応器を210°Fに加熱した。次に、ヘキサン(供給速度51.99lbs/hr)、1,3-ブタジエン(ヘキサン中22%)(供給速度227.27lbs/時間)、オリゴマー状オキサラニルプロパン(OOPs)(0.020lbs/hr、ヘキサン中15%、シリンジポンプ)及びゲル化抑制剤(1,2-ブタジエン、ヘキサン中5%)(供給速度0.125lbs/hr)を第一反応器に連続して投入した。該反応器に、n-ブチルリチウムの供給(2.2lbs/hr、ヘキサン中3%)と共にヘキサンの第二供給(供給速度33.24lbs/hr)を投入した。反応が進むにつれて、ジャケット温度を175°Fに低下させ、反応器の最上部を約200°Fの最高温度に保った。反応器の滞留時間は約51分であった。ポリブタジエン生成物を第一反応器の最上部から移して第二反応器中に供給した。これは、48,000の基礎Mnをもたらした。カップリング後に測定したMnは、表1中に報告されるように増大した。第二反応器に、約0.2lbs/時間の速度でCO2を加えて、ポリブタジエンをカップリングして停止させ、カルボキシラートで停止したエラストマーを得た。また、第二反応器の滞留時間は、約51分であった。
【0049】
実施例エラストマーB
実施例Bについては、n-ブチルリチウムの供給速度を第一供給で2.0lbs/hrとした以外は、実施例Aに記載されたものと同一の方法を行った。CO2供給速度は、実施例Aの場合と同一であった。これは、基礎Mnが約51,600の重合体を得た。
【0050】
実施例エラストマーC
実施例Cについては、n-ブチルリチウムの供給速度を第一供給で1.8lbs/hrとし、CO2供給速度を約0.1lbs/hrとした以外は、実施例Aに記載されたものと同一の方法を行った。これは、基礎Mnが約60,400の重合体を得た。
【0051】
実施例エラストマーD
実施例Dについては、n-ブチルリチウムの供給速度を第一供給で1.5lbs/hrとし、CO2供給速度を約0.1lbs/hrとした以外は、実施例Aに記載されたものと同一の方法を行った。これは、基礎Mnが約70,000の重合体を得た。
【0052】
表1は、合成されたカルボキシル化エラストマーの特性を示す。
【0053】
【表1】

【0054】
B.比較例A−Bのエラストマー合成(カルボキシラートで停止されないエラストマー)
比較例A
比較例Aのカルボキシラートで停止しないポリブタジエンについては、ファイヤーストーンポリマーズ社(アクロン、オハイオ州)にてDiene(登録商標)55の商標名で販売されている市販のポリブタジエンを利用した。(二種類のDiene 55、AC−10及びAC−15が利用でき、比較例の目的で交換できるように使用され得る。)Diene(登録商標)55の特性を上記表1に示す。
【0055】
比較例B
CO2の代わりにジオクチルテレフタラートを27.71ml/hrの速度で加えた以外は、実施例エラストマーAに記載の方法に従って、カルボキシラートで停止されないポリブタジエンを調製した。
【0056】
得られたカルボキシラートで停止されないポリブタジエンの特性を上記表1に示す。
【0057】
II.耐衝撃性改質プラスチックとのブレンドの調製(例1〜28)
予め調製されたカルボキシラートで停止したエラストマー(実施例A−D)と上記カルボキシラートで停止されないエラストマー(比較例A及びB)とを利用し、該エラストマーの耐衝撃性改質プラスチックとの様々なブレンドを調製した。表2は、例に用いたエラストマーとイオノライザーとの様々な組み合わせを示す。該例の目的で、調製した耐衝撃性改質プラスチックはHIPSであった。耐衝撃性改質プラスチックとしてのHIPSの使用に対して本開示又は特許請求の範囲を限定するように、それらの例を決して解釈すべきでない。様々な他の耐衝撃性改質プラスチックがよく知られており、ここに開示されたカルボキシラートで停止したエラストマーとのブレンドを調製する手段は、当業者の知識の範囲内である。
【0058】
【表2】

【0059】
HIPSブレンドの例は、以下の処方によって調製された。
エラストマー(ゴム)48〜64グラム
スチレン(溶媒)736〜752グラム
エチルベンゼン(追加の溶媒)141.2グラム
鉱物油20グラム
I−1076(Irganox 1076酸化防止剤、チバ社)8.4グラム−10%ヘキサン溶液で加えられた
三級ブチルベンゾアート(開始剤)0.15グラム
【0060】
このようにして、典型的なバッチの全溶液量は(スチレン+エラストマーを組み合わせて)800グラムであった。一部の例は、より多いか又はより少ないゴムを含有した。これは、約7〜20%の溶液中でのゴム濃度をもたらした。HIPS中での望ましいゴム濃度は8〜10%であった。スチレンの予想最終転化率は、約70%であることが予想されたが、以下に示す表4の「スチレン転化率」の欄に報告されるように、例によって異なっていた。
【0061】
HIPSブレンドを調製するため、らせん状の攪拌機を備えた1.5リットルの被覆付きガラス反応器を利用した。攪拌機は、最大rpmが180であった。
【0062】
一般に、組成物を調製するため、特定量のポリブタジエンをスチレン中に溶解し、上記反応器に投入した。次に、エチルベンゼンと、鉱物油、酸化防止剤、開始剤及びイオノライザー(適用される場合)を含む追加の成分とを投入した。それら成分を反応器に投入するとき、ジャケットを100℃に設定した。該成分を投入した後、攪拌機を作動させた(180rpmに設定した)。反応速度をほぼ一定に保つため、重合の経過中、ジャケット温度を102℃から160℃に上昇させ、また、該重合の経過中、攪拌機のrpmを低下させた(180rpmの初期設定から30rpmまで下げた)。(反応器中での)全反応時間は6.5時間であった。様々な量のHIPS組成物を作った。HIPS組成物を温度が240℃の真空オーブンで45分間乾燥させて、残留する溶媒と単量体とを脱蔵し、そして、ゴムの架橋を起こさせた。以下、例1〜28のそれぞれに一般に適用できる反応条件の詳細な設定例を表3に定める。記載されたパラメータのいくらかの変動が、各例の間で起こった。
【0063】
【表3】

【0064】
III.HIPS組成物の分析(例1〜28)
様々なHIPS組成物(例1〜28)を分析し、それらの特性を決定した。以下、結果を表4−1及び4−2に報告する。
【0065】
上記例は、試験用のBattenfeld社製射出成形機中に射出成形された。Instron社製機器で、引張強さを測定した。アイゾッド衝撃試験機によって、アイゾッド強さを試験した。スチレンの転化率は、スチレン全体の重量百分率として表される。ゴム含有量及びポリジエン含有量は、HIPS例の重量の重量百分率として表される。
【0066】
ゲル及び膨潤の値は、上記例をトルエン中に60℃にて2時間浸漬させ、過剰のトルエンを捨てて、その後、遠心分離して不溶性のゴム部分を分離することで、決定された。膨潤したゴム粒子の重量を測定した。次に、サンプルを210℃の真空オーブンで乾燥し、乾燥ゴム粒子の重量を測定した。乾燥ゴム粒子の重量、HIPSの重量、及び膨潤ゴムの重量を用いて、ゲル及び膨潤の値を得た。
【0067】
【表4−1】

【0068】
【表4−2】

【0069】
表4−1及び4−2の結果が示す通り、粘度低下剤を用いて、耐衝撃性改質プラスチックの強さ及び光沢特性のバランスを制御することができる。例えば、HIPSの例20及び21は、アイゾッド強さ及び高い光沢度(80を超える)の優れたバランスを示した。例19、23及び24は、かなり高い光沢度(約60)と高いアイゾッド強さとを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン開始剤の存在下での少なくとも一種の共役ジエンの重合に由来する重合体と、粘度低下剤とを含むゴム組成物であって、
前記重合体が、重合を停止させるための二酸化炭素の付加に由来するカルボキシラート停止部分を有し、
前記重合体が、約35より大きなムーニーML1+4粘度と、X(ここで、Xは約75cPより大きい)の溶液粘度とを有し、
前記粘度低下剤が、前記重合体の溶液粘度をXからYに低減し、Yは約0.3X〜約0.58Xであることを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
前記粘度低下剤が、有機酸、有機酸塩、及びそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粘度低下剤が、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、2-エチルヘキサン酸、及びそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記粘度低下剤が、液状ポリブタジエン及び無水マレイン酸を官能基化した液状ポリブタジエンよりなる群から選択されるか又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
Yが約0.45X〜約0.55Xであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記重合体は、ムーニーML1+4粘度が45より大きいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記共役ジエンが、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン及びそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
更に、前記少なくとも一種の共役ジエンと共重合する少なくとも一種の追加の単量体を含み、前記追加の単量体が、ビニル芳香族炭化水素、アルケン、及びそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記重合体は、重量平均分子量が約100,000〜約300,000であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記重合体は、重量平均分子量が約140,000〜約200,000であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記重合中にビニル調節剤を用い、前記カルボキシラートで停止した重合体中の共役ジエン単位のビニル含有量を増大させたことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
a.少なくとも一種のビニル芳香族化合物を含む溶媒中に重合体を溶解させる工程であって、前記重合体が、重合を停止させるための二酸化炭素の付加に由来するカルボキシラート停止部分を有する工程と、
b.任意に、少なくとも一種の追加のコモノマーを加える工程と、
c.少なくとも一種の粘度低下剤を加え、前記重合体の溶液粘度をXからY(ここで、Yは約0.3X〜約0.58Xである)に低下させる工程と、
d.任意に、少なくとも一種の追加の不活性溶媒を加える工程と、
e.任意に、エキステンダー油、調節剤、及び酸化防止剤よりなる群から選択される添加剤を加える工程と、
f.開始剤の使用と加熱により、前記少なくとも一種のビニル芳香族化合物の重合を開始させる工程であって、その間に相反転が起こる工程と
を含む重合体組成物と耐衝撃性改質プラスチックとのブレンドの製造方法であって、
工程a、b、c、d及びeを任意の順序で行うことができ、
前記耐衝撃性改質プラスチックが、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルメタクリラート−ブタジエン−スチレン共重合体、透明性耐衝撃性ポリスチレン、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体よりなる群から選択されることを特徴とする重合体組成物と耐衝撃性改質プラスチックとのブレンドの製造方法。
【請求項13】
工程cを相反転が起こる前に行うことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記粘度低下剤が、有機酸、有機酸塩、及びそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記粘度低下剤が、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、2-エチルヘキサン酸、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記粘度低下剤が、液状ポリブタジエン及び無水マレイン酸を官能基化した液状ポリブタジエンよりなる群から選択されるか又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
アニオン開始剤の存在下での少なくとも一種の共役ジエンの重合に由来する重合体と、
粘度低下剤と、
耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルメタクリラート−ブタジエン−スチレン共重合体、透明性耐衝撃性ポリスチレン、及びアクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体よりなる群から選択される耐衝撃性改質プラスチックと
を含む組成物であって、
前記重合体が、重合を停止させるための二酸化炭素の付加に由来するカルボキシラート停止部分を有し、
前記重合体が、約35より大きなムーニーML1+4粘度と、X(ここで、Xは約75cPより大きい)の溶液粘度とを有し、
前記粘度低下剤が、前記重合体の溶液粘度をXからYに低減し、Yは約0.3X〜約0.58Xであることを特徴とする組成物。
【請求項18】
前記重合体は、二酸化炭素の付加によってカルボキシラート停止部分が与えられたことを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
Yが約0.45X〜約0.55Xであることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記重合体は、体積粘性率が約45より大きいことを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
前記粘度低下剤が、有機酸、有機酸塩、及びそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
前記粘度低下剤が、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、2-エチルヘキサン酸、及びそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
前記粘度低下剤が、液状ポリブタジエン及び無水マレイン酸を官能基化した液状ポリブタジエンよりなる群から選択されるか又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項24】
前記共役ジエンが、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン及びそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項25】
前記重合体が、更に、前記少なくとも一種の共役ジエンと共重合する少なくとも一種の追加の単量体を含み、前記追加の単量体が、ビニル芳香族炭化水素、アルケン、及びそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項26】
前記重合体は、重量平均分子量が約100,000〜約300,000であることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項27】
前記重合体は、重量平均分子量が約140,000〜約200,000であることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項28】
前記重合体の重合中にビニル調節剤を用い、前記カルボキシラートで停止した重合体中の共役ジエン単位のビニル含有量を増大させたことを特徴とする請求項17に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−514902(P2010−514902A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544118(P2009−544118)
【出願日】平成19年12月31日(2007.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/026492
【国際公開番号】WO2008/100309
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】