説明

カルボキシルエチルセルロース含有ゲル状化粧料

【課題】崩壊性粒子を安定に含有し、使用感に優れた化粧料を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)がそれぞれ1〜25質量%、15〜70質量%、0.01〜80質量%、1質量%未満および10〜80質量%であり、pHが4〜9であるゲル状化粧料。
(A)水不溶性一次粒子と水溶性バインダーを含んでなる崩壊性粒子
(B)多価アルコール
(C)カルボキシルエチルセルロース
(D)水溶性塩
(E)精製水

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、崩壊性粒子を安定に含有し、使用感に優れたゲル状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子(スクラブ剤)を含有する洗浄剤組成物は、古くなった角質を除去したり、毛穴に入り込んだ汚れを落とすのに有用である。また、粒子の適度な物理的刺激により、心地よいマッサージ感を得ることもできる。
このような洗浄剤組成物として、少なくとも一部が水不溶性である一次粒子が凝集してなる崩壊性粒子であって、水溶性塩類含有水溶液中において、水溶性塩類濃度の低下により崩壊する崩壊性粒子と、水溶性塩類とを含有するものが知られている(特許文献1)。しかしながら、この洗浄剤組成物は、崩壊性粒子が組成物中で崩壊しないよう、水溶性塩類を含有するため、高分子増粘剤を用いて系を増粘させることが困難であった。
【0003】
一方、多価アルコールは、一般に保湿剤として化粧料に用いられている。また、特殊な効果をねらったものとして、有効成分の浸透性を向上させる目的(特許文献2)や、マッサージ後の塗膜を長く安定に保つ目的(特許文献3)で、化粧料中に多価アルコールが多量に配合される場合もある。
しかしながら、多価アルコールは、化粧料に多量に配合すると、塗布時の感触が重くなったり、マッサージ性が悪くなったり、曳糸性が生じて扱い難くなることがある。更に、すすいだ後にべたついたりするため、配合量は、通常、数質量%〜10質量%程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−63899号公報
【特許文献2】特開2004−339110号公報
【特許文献3】特開2006−137731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、崩壊性粒子を安定に含有し、使用感に優れた化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、多価アルコールを多量に用いれば、崩壊性粒子が安定に含有され、更にカルボキシルエチルセルロースを用いると、曳糸性などの溶液物性が大幅に改善し、容易に増粘させることができ、べとつきのない使用感に優れたゲル状化粧料が得られることを見出した。
【0007】
即ち、本発明は下記の発明を提供する。
(1)下記成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)がそれぞれ1〜25質量%、15〜70質量%、0.01〜80質量%、1質量%未満および10〜80質量%であり、pHが4〜9であるゲル状化粧料。
(A)水不溶性一次粒子と水溶性バインダーを含んでなる崩壊性粒子
(B)多価アルコール
(C)カルボキシルエチルセルロース
(D)水溶性塩
(E)精製水
(2)成分(C)が、カルボキシルエチル基の置換度が0.2〜2.8、カルバモイルエチル基の置換度が0.04以下、重合度が2〜3000のカルボキシルエチルセルロースである上記1項に記載のゲル状化粧料。
(3)アニオン界面活性剤をさらに含有する上記1または2項に記載のゲル状化粧料。
(4)非イオン界面活性剤をさらに含有する上記1〜3項のいずれか一項に記載のゲル状化粧料。
(5)上記3または4項に記載のゲル状化粧料からなる皮膚洗浄剤組成物。
(6)上記4項に記載のゲル状化粧料からなるマッサージ化粧料。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料は、カルボキシルエチルセルロースにより、曳糸性などの溶液物性を改善して増粘され、崩壊性粒子が崩壊することなく安定に含有され、べとつきのない使用感にも優れたものである。また、洗浄過程及びすすぎ過程において崩壊性粒子が崩壊することにより、皮膚の損傷やかゆみの発生が少なく、すすぎ水や涙により容易に崩壊性粒子が崩壊することにより、洗い流し性が極めて良好である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いる成分(A)の崩壊性粒子は、水不溶性一次粒子のみ、又は水不溶性一次粒子と水溶性一次粒子の混合物が水溶性バインダーにより凝集したものであればよいが、水不溶性一次粒子のみが水溶性バインダーにより凝集したものが好ましい。これらの一次粒子は有機粒子でも無機粒子でも良い。ここで「水不溶性」とは、25℃において水99質量部に対象粒子1質量部を溶解させたとき、溶解度が50質量%未満であり、「水溶性」とは同条件での溶解度が50質量%以上であることを意味する。なお、溶解度は、水溶液を濾紙(No.2)で濾過し、濾液中の固形分量より算出する。水溶性一次粒子としては、当該溶解度が90質量%以上のものが好ましい。
【0010】
水不溶性有機一次粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリウレタン及びそれらの架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル及びそれらの架橋体の他、エチレンゴム、プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム等のゴム類及びそれらの架橋体などの合成高分子;セルロース及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、コーンスターチ、澱粉、果実の殻等の天然高分子及びその誘導体などが挙げられる。中でも、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、セルロース及びその誘導体、コーンスターチ、澱粉等が好ましく、コーンスターチ、セルロース及びその誘導体が特に好ましい。ここで「ポリ(メタ)アクリル酸」は「ポリアクリル酸」と「ポリメタアクリル酸」の双方を意味する。
【0011】
水不溶性無機一次粒子としては、ベントナイト、タルク、マイカ、カオリン、セピオライト、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、無水珪酸、ヒドロキシ・カルシウム・アパタイト等の他、真珠質などが挙げられる。中でも、ベントナイト、タルク、マイカ、カオリン、シリカ等が好ましく用いられる。
【0012】
これらの水不溶性一次粒子は、形状は特に限定されず、真球状、略球状、及び、粉砕等により異形の形状のものでも良く、また中空、多孔質の粒子等を用いることもできる。また、これらの水不溶性一次粒子は単独で用いても、二種以上を併用しても良い。
【0013】
水溶性有機一次粒子としては、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ塩、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合物のアルカリ塩、アクリル酸/マレイン酸共重合物のアルカリ塩、ポリビニルピロリドン等の合成高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシアルキルセルロース、変性澱粉(ヒドロキシアルキル変性澱粉、リン酸エステル変性澱粉等)、ショ糖、乳糖等の糖類;海草類、タンパク質等の天然高分子が挙げられる。
【0014】
また、水溶性無機一次粒子としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩が挙げられる。なお、塩化ナトリウムの場合、一般に市販されている食塩、高純度精製塩、天然塩等を使用することができる。中でも塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム等の無機系粒子が好ましい。
これらの水溶性一次粒子もまたその形状は限定されず、単独でも二種以上を用いてもよい。
【0015】
崩壊性粒子において、水不溶性一次粒子と水溶性一次粒子との質量比率は、(水不溶性一次粒子)/(水溶性一次粒子)=1/99〜100/0の範囲が好ましい。
これら一次粒子の平均粒径は1〜70μmであるのが好ましく、特に造粒のしやすさから5〜70μmが好ましい。一次粒子の平均粒径がこの範囲の場合、被洗浄体の洗浄過程及びすすぎ水や涙によって崩壊性粒子が崩壊した場合において、一次粒子の違和感及び洗い流し性の点で好ましい。
【0016】
崩壊性粒子の平均粒径は、70〜800μmが好ましく、70〜600μmがより好ましく、70〜360μmが特に好ましい。崩壊性粒子の平均粒径が70〜800μmの範囲にある場合、使用時における違和感、皮膚刺激が特に低く好ましい。
【0017】
崩壊性粒子は、前記の一次粒子が水溶性バインダーにより凝集したものが好ましい。かかる水溶性バインダーとしては、多価アルコール水溶液中において、多価アルコール濃度の低下により溶解し、多価アルコール濃度の上昇により析出するものが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体(イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、マレイン酸変性ポリビニルアルコール等)、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ塩、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合物のアルカリ塩、アクリル酸/マレイン酸共重合物のアルカリ塩、ポリビニルピロリドン等の合成高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシアルキルセルロース、澱粉誘導体等の半合成高分子;澱粉、海草類、植物粘質物、タンパク質等の天然高分子が挙げられる。これらの中で、ポリビニルアルコール及びその誘導体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシアルキルセルロースが好ましく、ポリビニルアルコール及びその誘導体、カルボキシメチルセルロースナトリウムが更に好ましく、ポリビニルアルコール及びその誘導体が特に好ましい。崩壊性粒子においては、前記水溶性一次粒子と水溶性バインダーとは同一種の材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。
水溶性バインダーは一次粒子の質量に対し、0.5〜30質量%用いるのが、粒子の崩壊性の点及び崩壊性粒子又はこれを含有する化粧料の製造時の作業性の点から好ましい。
【0018】
崩壊性粒子の製造法としては、特に制限されないが、例えば一次粒子と水溶性バインダーを混合し及び/又は混合しつつ、転動造粒、転動流動造粒、流動層造粒、攪拌転動造粒、溶融造粒、押出造粒、噴霧乾燥造粒等の造粒法並びに噴霧乾燥等のコーティング法によって製造することができ、これらを組み合わせて製造することもできる。
【0019】
崩壊性粒子は、高濃度の多価アルコール含有水溶液中において、多価アルコール濃度の低下により崩壊率が高くなるという特性を有する。従って、この崩壊性粒子を、化粧料に配合した場合、該化粧料中では崩壊性粒子は崩壊することなく安定に分散しており、洗浄過程やすすぎ過程における多価アルコール濃度の低下とともに崩壊性粒子は崩壊する。このような化粧料への配合を考慮すれば、崩壊性粒子の崩壊特性は、多価アルコール濃度が15質量%未満、特に10質量%以下の水溶液中で少なくとも一部が崩壊するように設計するのが好ましく、すすぎ水や涙による洗い流し性の点から、更に多価アルコール濃度が15質量%未満、特に10質量%以下の水溶液中で60体積%以上が崩壊するように設計されるのがより好ましい。また、このときの崩壊された粒子は平均粒径80μm以下となるのが好ましい。
成分(A)の崩壊性粒子は、1種以上を用いることができ、全組成中に1〜25質量%、好ましくは2〜20質量%含有することが、洗浄性及び感触に優れるので好ましい。
【0020】
本発明で用いる成分(B)の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン等のグリセリン類;ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール等の糖アルコールなどが挙げられる。これらのうち、特にソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、グリセリンが好ましい。
【0021】
成分(B)の多価アルコールは、1種以上を用いることができ、全組成中に15〜70質量%、好ましくは15〜60質量%、更に好ましくは20〜50質量%、特に好ましくは31〜50質量%含有される。15質量%未満では、成分(A)の崩壊性粒子を崩壊させずに、化粧料中に安定に含有させることができない。70質量%を超えると、塗布時の感触が重くなったり、マッサージ性が悪くなったり、曳糸性が生じて扱い難くなることがある。更に、すすいだ後にべたついたりするため、好ましくない。
【0022】
本発明で用いる成分(C)のカルボキシルエチルセルロースは、全組成中に0.01〜80質量%含有していることが重要である。好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%含有することが、べとつかず、さっぱりした使用感と、適度な増粘効果、及び曳糸性改善などの物性とを両立できる。
【0023】
本発明で用いるカルボキシルエチルセルロースは、カルボキシルエチル基の置換度が0.2〜2.8であることが好ましい。カルボキシルエチル基の置換度が0.2未満であると、カルボキシルエチルセルロースは水溶性を示さない。一方、カルボキシルエチル基の置換度が2.8をこえると、水溶液の透明性が著しく低下し、べとつき感が発生する。水溶性及び水溶液の透明性の観点から、カルボキシルエチル基の置換度は0.3〜2.7がさらに好ましく、最も好ましくは0.4〜2.5である。また本発明のカルボキシルエチルセルロースは、カルバモイルエチル基の置換度が0.04以下であることが好ましい。カルバモイルエチル基の置換度が0.04をこえると、化粧品の状態で保存している間に黄変する。さらに好ましくは、カルバモイルエチル基の置換度が0.03以下であって、特に好ましくはカルバモイルエチル基の置換度が0.01以下である。
本発明で用いるカルボキシルエチルセルロースの重合度は、ゲル化粧品材料としての粘度を発現させるために2〜3000であることが好ましい。さらに好ましくは200〜2500、特に好ましくは300〜2000である。
【0024】
本発明で用いることのできる成分(D)の水溶性塩としては、水溶性無機塩及び総炭素数8以下の水溶性有機塩が挙げられる。水溶性無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩が挙げられる。なお、塩化ナトリウムの場合、一般に市販されている食塩、高純度精製塩、天然塩等を使用することができる。これらのうち、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウムが特に好ましく用いられる。水溶性有機塩としては、総炭素数8以下の化合物、例えばクエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩等が使用される。これらの水溶性無機塩及び水溶性有機塩を併用することもできる。成分(D)の水溶性塩は、全組成中に1質量%未満、好ましくは0.9質量%未満含有され、水溶性塩を含まないことが好ましい。1質量%以上では、カルボキシルエチルセルロースを用いても十分に増粘させることができなくなり、曳糸性などの改善が難しくなる。
【0025】
本発明において、成分(E)の精製水は、全組成中に10〜80質量%含有することが好ましく、さらに好ましくは25〜78質量%、特に好ましくは35〜75質量%である。なお、本発明に用いられる精製水は、RO膜処理後、蒸留し、更に中空糸ろ過したものを使用している。
【0026】
本発明の化粧料は、更にアニオン界面活性剤を含有することができる。かかるアニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルリン酸カリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸アルギニン、ミリスチルリン酸カリウム、ミリスチルリン酸ナトリウム、ミリスチルリン酸アルギニン、パルミチルリン酸カリウム、パルミチルリン酸ナトリウム、パルミチルリン酸アルギニン等のアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレン(以下、POEという)オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のPOEアルキルリン酸エステル塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等のアルキル硫酸エステル塩;POEラウリル硫酸カリウム、POEラウリル硫酸ナトリウム、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のPOEアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム、N−ラウロイルグリシントリエタノールアミン、N−ラウロイル−β−アラニントリエタノールアミン、N−ステアロイル−β−アラニントリエタノールアミン等のアシル化アミノ酸塩;N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ココ(ヤシ)アンホジアセテート二ナトリウム、ココアンホジプロピオネート二ナトリウム等のアミドアミノ酸型界面活性剤などが挙げられる。この中で、アルキルリン酸エステル塩、POEアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。アニオン界面活性剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に1〜50質量%、特に5〜40質量%含有することが、洗浄性能や泡立ち性が良いので好ましい。本発明の化粧料は、このようなアニオン界面活性剤を含有することにより、洗浄剤組成物として適用することもできる。
【0027】
また、本発明の化粧料は、非イオン界面活性剤を含有することができる。かかる非イオン界面活性剤としては、例えば、POE脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、脂肪酸POEアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキルポリグルコシド、ソルビット脂肪酸エステル等が挙げられる。この中で、POEアルキルエーテル、POE硬化ヒマシ油、脂肪酸ショ糖エステル、アルキルポリグルコシドが好ましい。非イオン界面活性剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に1〜30質量%、特に2〜20質量%含有することが、洗い流し性、洗浄性が良いので好ましい。本発明の化粧料は、このような非イオン界面活性剤を含有することにより、洗浄剤組成物又はマッサージ化粧料として適用することができる。
【0028】
本発明において、アニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤の合計含有量と成分(C)のカルボキシルエチルセルロースの含有量との関係、成分(C)/[(成分(C)+(アニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤)]は曳糸性改善の観点から0.02以上であることが好ましく、更に好ましくは0.1以上である。また、この関係が0.2以下であると剤の溶け崩れ性等の使用性の点から好ましい。
【0029】
また、本発明の化粧料には、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、多価アルコール以外の保湿剤、油性成分、美白剤、血行促進剤、抗炎症剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、感触向上剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、香料等を、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができる。
【0030】
本発明の化粧料は、前記成分を用いて、通常の方法によりゲル状の化粧料とすることができる。本発明において、ゲル状とは、25℃における粘度が10000〜1000000mPa・sのものをいう。この範囲内であれば、化粧料が分離することなく、また、手に取ったときに手からこぼれ落ちにくく、チューブ容器等に充填した場合にも出しやすい。なお、本発明において、粘度は、粘度が10000mPa・s以下のものは、BM粘度計(TOKIMEC社製)を用い、25℃において12rpmで測定し、粘度が10000mPa・sより大きいものは、B8R型ヘリカルスタンド付き粘度計(TOKIMEC社製)を用い、25℃において5rpmで測定する。
【0031】
また、本発明の化粧料は、pHが4〜9であることが好ましい。この範囲内であれば、成分(C)のカルボキシルエチルセルロースが増粘効果を発現することができ、肌にもマイルドである。pHの調整は、常法により、酸又はアルカリ水溶液を用いて行なえば良い。なお、本発明においてpHは、化粧料の5質量%水溶液のpHを、25℃にて測定したものである。
【0032】
本発明の化粧料は、ゲル状のマッサージ化粧料や、洗顔料および全身洗浄料等の皮膚洗浄剤組成物として使用することができる。いずれの場合にも、肌に塗布してマッサージした後、洗浄及び/又は洗い流して使用される。崩壊性粒子により十分なマッサージ効果が得られるとともに、洗浄過程及びすすぎ過程において崩壊性粒子が崩壊することにより、皮膚の損傷やかゆみの発生がなく、洗い流し性が極めて良好である。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0034】
[製造例1](崩壊性粒子の製造)
LFS−GS−2J型ハイスピードミキサー(深江工業社製)に、一次粒子として平均粒子径30μmの粉末セルロース42g、平均粒子径17μmのコーンスターチ42g、平均粒子径6μmのミクロマイカ8.5gを仕込み、予備混合した。その後、回転しつつ、バインダーとしてポリビニルアルコール(KM−118、クラレ社製)の15質量%水溶液50gを徐々に添加し、造粒した。造粒物を70℃で24時間乾燥し、篩いにて平均粒径300μmの崩壊性粒子(1)50gを得た。
【0035】
[製造例2](崩壊性粒子の製造)
製造例1で製造した崩壊性微粒子において、篩いにて平均粒子径80μmの破壊性微粒子(2)20gを得た。
【0036】
[製造例3](崩壊性粒子の製造)
製造例1で製造した崩壊性微粒子において、篩いにて平均粒子径600μmの破壊性微粒子(3)5gを得た。
【0037】
[実施例1〜4及び比較例1〜3]
表1に示す組成の洗顔料を常法により製造し、粘度及びpHを測定し、粒子保存安定性、曳糸性、使用感・マッサージ感、皮膚のかゆみ及び洗い流し性を評価した。結果を表1に併せて示す。なお、評価方法は下記の通りである。
【0038】
(1)粘度:
各洗顔料のうち、粘度が10000mPa・s以下のものは、BM粘度計(TOKIMEC社製)を用い、25℃において12rpmで測定した。また、粘度が10000mPa・sより大きいものは、B8R型ヘリカルスタンド付き粘度計(TOKIMEC社製)を用い、25℃において5rpmで測定した。
【0039】
(2)pH:
各洗顔料を、イオン交換水を用いて20倍に希釈し(5質量%水溶液)、25℃にてpH METER F−22(堀場製作所社製)を用いてpHを測定した。
【0040】
(3)粒子保存安定性:
各洗顔料を25℃で3日間保存した後、使用した際、粒子が崩壊していて粒子の感触のないものを「×」、粒子の感触がありマッサージできるものを「○」とした。
【0041】
(4)曳糸性:
専門パネラー10名により、各洗顔料を使用し、使用時の糸曳きのなさを官能評価して、以下の基準で判定した。
○:7〜10人が良好と評価した。
△:6人以下が良好と評価した。
【0042】
(5)使用感・マッサージ感:
専門パネラー10名により、各洗顔料を使用し、マッサージ中のマッサージ感を官能評価して、以下の基準で判定した。
○:7〜10人が良好と評価した。
△:6人以下が良好と評価した。
×:1人でも、違和感、刺激感を感じると評価した。
【0043】
(6)皮膚のかゆみ:
専門パネラー10名により、各洗顔料を使用して3分間マッサージし、マッサージ中のかゆみを官能評価して、以下の基準で判定した。
○:7〜10人がかゆみを全く感じないと評価した。
△:6人以下がかゆみを全く感じないと評価した。
×:1人でも、かゆみ、違和感、刺激感を感じると評価した。
【0044】
(7)洗い流し性:
専門パネラー10名により、各洗顔料を使用し、すすぎ時における粒子の存在感及び化粧料の残留感より、洗い流し性を官能評価して、以下の基準で判定した。
○:7〜10人が良好と評価した。
△:6人以下が良好と評価した。
×:1人でも、粒子が残留すると評価した。
【0045】
【表1】

【0046】
[実施例5〜7及び比較例4〜8]
表2に示す組成の洗い流し性ゲル状化粧料を常法により製造し、実施例1〜4と同様にして、粘度及びpHを測定し、粒子保存安定性、曳糸性、使用感・マッサージ感、皮膚のかゆみ及び洗い流し性を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0047】
【表2】

【0048】
[実施例8]
下記組成(質量%)の洗い流性ゲル状化粧料を常法により製造した。得られたゲル状化粧料は、5質量%水溶液のpHが8.5であり、25℃における粘度が60000mPa・sであった。
崩壊性粒子(製造例2) 20
ヤシ油脂肪酸ショ糖エステル
(38%水溶液;DKエステル S−L18A、第一工業製薬社製)10
グリセリン 30
マンニトール 15
カルボキシルエチルセルロース(置換度:カルボキシルエチル基0.75、カルバモイルエチル基0.00、重合度:600) 0.8
水酸化ナトリウム水溶液(48%) 0.1
フェノキシエタノール 0.2
精製水 バランス
【0049】
[実施例9]
下記組成(質量%)の洗い流性ゲル状化粧料を常法により製造した。得られたゲル状化粧料は、5質量%水溶液のpHが6.5、25℃における粘度は45000mPa・sであった。
崩壊性粒子(製造例3) 2
デシルグルコシド(40%水溶液:花王社製) 10
グリセリン 30
マンニトール 15
カルボキシルエチルセルロース(置換度:カルボキシルエチル基0.75、カルバモイルエチル基0.00、重合度600) 0.8
水酸化ナトリウム水溶液(48%) 0.1
フェノキシエタノール 0.2
精製水 バランス
【0050】
実施例8及び9で得られたゲル状化粧料はいずれも、崩壊性粒子が安定に含有され、曳糸性などの溶液物性が改善され、容易に増粘させることができ、使用感に優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のゲル状化粧料は、崩壊性粒子を安定に含有し、べとつきがないなど使用感に優れたものであり、古くなった角質を除去したり、毛穴に入り込んだ汚れを落とす等の化粧品分野に非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)がそれぞれ1〜25質量%、15〜70質量%、0.01〜80質量%、1質量%未満および10〜80質量%であり、pHが4〜9であるゲル状化粧料。
(A)水不溶性一次粒子と水溶性バインダーを含んでなる崩壊性粒子
(B)多価アルコール
(C)カルボキシルエチルセルロース
(D)水溶性塩
(E)精製水
【請求項2】
成分(C)が、カルボキシルエチル基の置換度が0.2〜2.8、カルバモイルエチル基の置換度が0.04以下、重合度が2〜3000のカルボキシルエチルセルロースである請求項1に記載のゲル状化粧料。
【請求項3】
アニオン界面活性剤をさらに含有する請求項1または2に記載のゲル状化粧料。
【請求項4】
非イオン界面活性剤をさらに含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲル状化粧料。
【請求項5】
請求項3または4に記載のゲル状化粧料からなる皮膚洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項4に記載のゲル状化粧料からなるマッサージ化粧料。

【公開番号】特開2012−106972(P2012−106972A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259040(P2010−259040)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】