説明

カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法

【課題】 無攪拌条件下における水への分散性に優れ、未中和分散液の粘度が低いカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 (メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル1〜10質量部、および、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物0.01〜1質量部を重合した後、多価アルコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物1〜20質量部を添加することを特徴とするカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法、および、それにより得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法、およびそれにより得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボキシル基含有水溶性共重合体は、化粧品等の増粘剤、パップ剤等の保湿剤、乳化剤や懸濁物等の懸濁安定剤、電池等のゲル化基剤等として用いられている。
【0003】
カルボキシル基含有水溶性共重合体を前記用途に使用する場合、例えば、カルボキシル基含有水溶性共重合体を水等に添加し、均一な分散液を調整し、アルカリで中和し、溶解して使用する。しかしながら、一般に、カルボキシル基含有水溶性共重合体は微粉末であるため、水等に分散させる際、塊状物(ママコ)が生じやすい。一度ママコが生成すると、その表面にゲル状の層が形成されるため、その内部に水が浸透する速度が遅くなり、均一な分散液を得ることが困難となる。
【0004】
そこで、α,β−不飽和カルボン酸等を重合する際、多価アルコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物のうち少なくとも1種の化合物を特定量添加して重合する方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−355614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物は、水への溶解性に優れたものではあるが、粘度が低い未中和分散液が得られるもの、無攪拌条件における分散に要する時間がさらに短いものの提案が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、無攪拌条件下における水への分散性に優れ、未中和分散液の粘度が低いカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に示すとおりのカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法およびそれにより得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物に関する。
【0009】
即ち、
項1. (メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル1〜10質量部、および、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物0.01〜1質量部を重合した後、多価アルコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物1〜20質量部を添加することを特徴とするカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法、
項2. エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物が、ペンタエリスリトールアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、リン酸トリアリルおよびポリアリルサッカロースからなる群より選ばれた少なくとも1種である項1に記載のカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法、
項3. 多価アルコール脂肪酸エステルにおける多価アルコールが、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビットおよびソルビタンからなる群より選ばれた少なくとも1種である項1または2に記載のカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法、
項4. 多価アルコール脂肪酸エステルが、デカオレイン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、オレイン酸デカグリセリル、オレイン酸ヘキサグリセリル、ステアリン酸テトラグリセリル、オレイン酸ジグリセリルおよびトリオレイン酸グリセリルからなる群より選ばれた少なくとも1種である項3に記載のカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法、
項5、 多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物における多価アルコールが、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビットおよびソルビタンからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である項1〜4のいずれか1項に記載のカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法、
項6. 多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である項1〜4のいずれか1項に記載のカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法、
項7. 項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物であって、25℃の水に対する無攪拌分散時間が5分間以内であることを特徴とするカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物、
項8. 項項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物であって、25℃における3質量%未中和溶液粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とするカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物、
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる製造方法によれば、無攪拌条件下における水への分散性に優れ、未中和状態での分散液の粘度が低い、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法は、(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル1〜10質量部、および、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物0.01〜1質量部を重合した後、多価アルコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物1〜20質量部を添加することを特徴とする。
【0012】
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルを意味する。
【0013】
本発明において(メタ)アクリル酸、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を重合する方法としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を溶解し、かつ得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体を溶解しない重合溶媒中で重合する方法が挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル酸、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を、ラジカル重合開始剤の存在下、前記重合溶媒中で重合させる方法等が挙げられる。
【0014】
前記アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、(メタ)アクリル酸と、アルキル基の炭素数が18〜24である高級アルコールとのエステルをいい、例えば、(メタ)アクリル酸とステアリルアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸とエイコサノールとのエステル、(メタ)アクリル酸とベヘニルアルコールとのエステルおよび(メタ)アクリル酸とテトラコサノールとのエステル等が挙げられる。これらアルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を用いて調製した中和粘稠液および電解質存在下における当該液において、粘度特性や質感が優れている観点から、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸エイコサニル、メタクリル酸ベヘニルおよびメタクリル酸テトラコサニルが好適に用いられる。これらアルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、日本油脂株式会社製の商品名ブレンマーVMA70等の市販品を用いてもよい。
【0015】
本明細書において、中和粘稠液とは、カルボキシル基含有水溶性共重合体またはカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を水に分散させた後、アルカリ性化合物等の中和剤を用いて約pH7(pH=6〜8)に調整した溶液のことをいう。
【0016】
前記アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量は、(メタ)アクリル酸100質量部に対して、1〜10質量部であり、好ましくは1.5〜8質量部である。アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量が1質量部未満の場合、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を水に分散させる際、ママコが発生しやすくなる傾向がある。アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量が10質量部を超える場合、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を用いて中和粘稠液を調製する際、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の溶解性が悪くなる傾向がある。
【0017】
前記エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物としては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、サッカロース、ソルビトール等のポリオールの2置換以上のアクリル酸エステル類;前記ポリオールの2置換以上のアリルエーテル類;フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、メタクリル酸アリル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、アジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、1,5−ヘキサジエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の中でも、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を用いて中和粘稠液を調製した際、少量の使用で高い増粘性を付与でき、また、乳化物、懸濁物等に高い懸濁安定性を付与することができる観点から、ペンタエリスリトールアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、リン酸トリアリルおよびポリアリルサッカロースが好適に用いられる。これらのエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
前記エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の使用量は、(メタ)アクリル酸100質量部に対して、0.01〜1質量部であり、好ましくは0.3〜0.8質量部である。エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の使用量が0.01質量部未満の場合、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を用いて中和粘稠液を調製した際、当該液の粘度が低下する傾向がある。エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の使用量が1質量部を超える場合、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を用いて中和粘稠液を調製する際、不溶性のゲルが生成しやすくなる傾向がある。
【0019】
前記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビスメチルイソブチレート、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、第三級ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
前記ラジカル重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル酸100質量部に対して、0.01〜0.45質量部であることが好ましく、0.01〜0.35質量部であることがより好ましい。ラジカル重合開始剤の使用量が0.01質量部未満の場合、重合反応速度が遅くなるため経済的でなくなるおそれがある。ラジカル重合開始剤の使用量が0.45質量部を超える場合、重合反応速度が速くなり、反応の制御が難しくなるおそれがある。
【0021】
前記重合溶媒としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を溶解し、かつ得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体を溶解しない溶媒であることが好ましい。前記重合溶媒の具体例としては、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、エチレンジクロライド、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン等が挙げられる。これらの重合溶媒の中でも、品質が安定しており入手が容易である観点から、エチレンジクロライド、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、酢酸エチルが好適に用いられる。これらの重合溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
前記重合溶媒の使用量としては、(メタ)アクリル酸100質量部に対して、200〜10,000質量部であることが好ましく、300〜2,000質量部であることがより好ましい。重合溶媒の使用量が200質量部未満の場合、重合反応が進行するにつれ、カルボキシル基含有水溶性共重合体が析出し、均一に撹拌することが困難となり、反応の制御が難しくなるおそれがある。重合溶媒の使用量が10,000質量部を超える場合、単位重合あたりの製造量が少なく、経済的でなくなるおそれがある。
【0023】
(メタ)アクリル酸、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を重合反応させる際の雰囲気は、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
【0024】
反応温度は、反応溶液の粘度上昇を抑制し、反応制御を容易にする観点、および、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体の嵩密度を制御する観点から、50〜90℃であることが好ましく、55〜75℃であることがより好ましい。
【0025】
反応時間は、反応温度によって異なるので一概には決定することはできないが、通常、2〜10時間である。
【0026】
反応終了後は、反応溶液を80〜130℃に加熱し、重合溶媒を除去することにより白色微粉末のカルボキシル基含有水溶性共重合体を単離することができる。
【0027】
本発明にかかるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法は、前記(メタ)アクリル酸、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を重合して得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体に、多価アルコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を添加することを特徴とする。
【0028】
前記カルボキシル基含有水溶性共重合体に多価アルコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を添加する具体的な方法としては、例えば、前記カルボキシル基含有水溶性共重合体を単離する工程において、前記化合物を添加する方法;前記カルボキシル基含有水溶性共重合体を単離した後に、前記化合物を添加する方法等が挙げられる。これらの中でも、処理が簡便である観点から、前記カルボキシル基含有水溶性共重合体を単離した後に、前記化合物を添加する方法が好適に用いられる。
【0029】
本発明にかかる製造方法に用いられる多価アルコール脂肪酸エステルにおける多価アルコールとしては、特に限定されず、例えば、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビット、ソルビタン等が挙げられる。
【0030】
前記多価アルコール脂肪酸エステルにおける脂肪酸としては、特に限定されず、例えば、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0031】
前記多価アルコール脂肪酸エステルの代表例としては、グリセリンまたはポリグリセリンと、炭素数10〜30の脂肪酸とのエステルが挙げられ、これらの中でも、グリセリンまたはポリグリセリンと、ステアリン酸、イソステアリン酸またはオレイン酸とのエステルが好ましい。
【0032】
前記ステアリン酸エステルの具体例としては、ステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、ステアリン酸ジグリセリル、ステアリン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ステアリン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ステアリン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ヘプタステアリン酸デカグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル等が挙げられる。
【0033】
前記イソステアリン酸エステルの具体例としては、イソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸ジグリセリル、イソステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、トリイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ヘプタイソステアリン酸デカグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル等が挙げられる。
【0034】
前記オレイン酸のエステルの具体例としては、オレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、オレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル、オレイン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、オレイン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル、オレイン酸デカグリセリル、ジオレイン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル等が挙げられる。
【0035】
前記多価アルコール脂肪酸エステルの中では、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を用いて中和粘稠液を調製する際、少量の多価アルコール脂肪酸エステルの添加で高い透明性を維持したまま増粘効果を付与する観点から、デカオレイン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、オレイン酸デカグリセリル、オレイン酸ヘキサグリセリル、ステアリン酸テトラグリセリル、オレイン酸ジグリセリルおよびトリオレイン酸グリセリルが好適に用いられる。
【0036】
本発明にかかる製造方法に用いられる多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物は、前記多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物である。
【0037】
前記多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物における多価アルコールとしては、特に限定されず、例えば、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビット、ソルビタン等が挙げられる。
【0038】
前記多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物における好適な脂肪酸の例としては、脂肪酸としては、特に限定されず、例えば、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0039】
前記多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物における多価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸、イソステアリン酸またはオレイン酸のエステル、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体等が挙げられる。
【0040】
前記多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物におけるオキシアルキレン鎖としては、例えば、下式(1):
−(CH−CHR−O)− (1)
(式中、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を示す。nは、1〜100の整数、好ましくは5〜60の整数を示す。)で表わされるオキシアルキレン鎖が挙げられる。
【0041】
前記多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物の代表例としては、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0042】
前記ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルの具体例としては、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ペンタオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、ヘキサステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット等が挙げられる。
【0043】
前記ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体の具体例としては、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0044】
前記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、オレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられる。
【0045】
前記多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物の中では、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を用いて中和粘稠液を調製する際、少量の多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物の添加で高い透明性を維持したまま増粘効果を付与する観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが好適に用いられる。
【0046】
本発明において、これらの多価アルコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
多価アルコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物の全体としての使用量は、前記カルボキシル基含有水溶性共重合体を構成する(メタ)アクリル酸100質量部に対して、1〜20質量部であり、好ましくは2〜15質量部であることが好ましい。前記化合物の使用量が1質量部未満の場合、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を水に分散させる際、ママコが発生しやすくなる傾向がある。前記化合物の使用量が20質量部を超える場合、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を用いて中和粘稠液を調製した際、当該液の粘度が低下する傾向があり、また透過率が悪くなる傾向がある。
【0048】
また、カルボキシル基含有水溶性共重合体の重合後において、多価アルコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を添加する際、前記カルボキシル基含有水溶性共重合体と均一に混合する観点から、溶媒存在下に行うことが好ましい。
【0049】
前記溶媒としては、例えば、酢酸エチル、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも、安全性等の観点から、酢酸エチルが好適に用いられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
前記溶媒の使用量としては、特に限定されないが、均一に混合する観点、前記化合物を添加、攪拌後、簡便に溶媒を除去する観点から、前記化合物100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、20〜40質量部であることがより好ましい。
【0051】
前記カルボキシル基含有水溶性共重合体の重合後、多価アルコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を添加する際に用いられる装置としては、前記カルボキシル基含有水溶性共重合体を単離する工程において、前記化合物を添加する方法の場合、例えば重合反応に用いた装置、重合溶媒を除去する装置等が挙げられる。また、前記カルボキシル基含有水溶性共重合体を単離した後に、前記化合物を添加する方法の場合、ブレンダー、ニーダー、ヘンシェルミキサー、コニカルミキサー等の混合に用いられる一般的な混合機が挙げられる。
【0052】
前記装置等を用いて添加した後、必要により乾燥させることにより、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を得ることができる。
【0053】
前記乾燥に用いられる乾燥装置としては、特に限定されないが、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の諸物性に悪影響を与えない観点、および、乾燥効率を高める観点から、減圧乾燥機を用いることが好ましい。
【0054】
乾燥温度としては、30〜130℃であることが好ましく、50〜120℃でることがより好ましい。乾燥温度が30℃未満の場合、乾燥に長時間要し、経済的でないおそれがある。乾燥温度が130℃を超える場合、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の水への分散性が悪くなるおそれがある。
【0055】
また、乾燥後の溶媒含有率は、得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を長期間保存した際の塊状化等を防ぐ観点から、7質量%未満であることが好ましい。
【0056】
このようにして、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物を得ることができるが、さらに所望の目開きの篩を用いて分級して粗粉を取り除くことによって、所望の中位粒子径となすこともできる。
【0057】
本発明にかかる製造方法により得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物は、好ましくは下記(1)または(2)のような特性を、より好ましくは下記(1)および(2)のような特性を有している。
(1)25℃の水に対する無攪拌分散時間が5分間以内。
(2)25℃における3質量%未中和溶液粘度が1000mPa・s以下。
【0058】
本発明にかかるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物は、静置した25℃の水に、該組成物を0.5質量%になるように、無攪拌下で一気に投入した後、該組成物の分散状態を目視で観察し、組成物がママコを生成することなしに、すべて分散するのに要する時間が5分間以下であることが好ましく、3分間以下であることがより好ましい。カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物がすべて分散するのに要する時間が5分間を超える場合、従前のカルボキシル基含有水溶性重合体にくらべて十分に分散性が良いとは言えず好ましくない。なお、前記無攪拌分散時間は、後述の測定方法により測定した値である。
【0059】
本発明にかかるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物は、該組成物を用いて3質量%になるように調製した水溶液の25℃での粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以下であることがより好ましい。前記粘度が1000mPa・sを超える場合、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の高濃度分散が困難となるおそれがある。なお、前記3質量%未中和溶液粘度は、後述の測定方法により測定した値である。
【0060】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によってなんら限定されるものではない。
【0061】
[測定方法]
各実施例および比較例により得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物(カルボキシル基含有水溶性共重合体も含む)について、無攪拌分散時間、3質量%未中和溶液粘度、発泡性、ならびに、0.5質量%中和粘稠液粘度およびそのときの透明度を、以下の方法により評価した。
【0062】
(1)無攪拌分散時間
500mL容のビーカーに、水298.5gを入れ、水の温度を25℃に調整した。このビーカーに、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物1.5gを無攪拌下で一気に投入し、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物のすべてがママコの生成がなく分散するのに要する時間を測定した。なお、分散とは、投入したカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物が透明ゲル状になり、粉体として目視できなくなる状態をいう。
【0063】
(2)3質量%未中和溶液粘度
500mL容のビーカーに、水291gを入れ、水の温度を25℃に調整した。これを、4枚パドル羽根(翼径50mm)を備えた攪拌機を用いて回転数300r/minで攪拌しながら、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物9gを添加し、1時間攪拌後、BH型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmの条件で測定した。
【0064】
(3)発泡性
1000mL容のビーカー(内径105mm)に、水475gを入れ、水の温度を25℃に調整した。これをディスパー(プライミックス株式会社製、商品名:T.K.ROBO MICS、翼径40mm)を用いて回転数5,000r/minで攪拌しながら、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物15gを添加し、5分間攪拌後、攪拌により生じた泡による液面上昇率〔単位:倍〕を測定した。なお、液面上昇率は、次式により測定した。
液面上昇率=[5分間攪拌後のビーカー底面から泡の上面までの高さ(cm)]
÷[攪拌開始前のビーカー底面から液面までの高さ(cm)]
【0065】
(4)0.5質量%中和粘稠液粘度および透明度
500mL容のビーカーに、水290gを入れ、水の温度を25℃に調整した。これを、4枚パドル羽根(翼径50mm)を備えた攪拌機を用いて回転数300rpmで攪拌しながら、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物1.5gを添加し、1時間攪拌後、6%水酸化ナトリウム溶液8.5gを添加してpHを7に調整した。この中和粘稠液を、BH型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmの条件で測定した。
【0066】
また、前記中和粘稠液を、分光光度計(島津製作所株式会社製、商品名:UV−3150)を用いて透過光量(透過度)を測定し、透明度とした。
【0067】
[実施例1]
撹拌機、温度計、窒素吹き込み管および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコに、アクリル酸45g(0.625モル)、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてのブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製:メタクリル酸ステアリルが10〜20質量部、メタクリル酸エイコサニルが10〜20質量部、メタクリル酸ベヘニルが59〜80質量部およびメタクリル酸テトラコサニルの含有率が1質量%以下の混合物)0.88g、ペンタエリスリトールアリルエーテル0.225g、2,2’−アゾビスメチルイソブチレート0.081g(0.00035モル)、ノルマルヘキサン150g(223.9mL)を仕込んだ。引き続き、均一に撹拌、混合した後、反応容器の上部空間、原料および溶媒中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、窒素雰囲気下、60〜65℃に保持して4時間反応させた。
【0068】
反応終了後、生成したスラリーを90℃に加熱して、ノルマルヘキサンを留去し、さらに110℃、10mmHg、8時間減圧乾燥することにより、白色微粉末のカルボキシル基含有水溶性共重合体42gを得た。
【0069】
得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体20gをメカノミル(岡田精工株式会社製、商品名:MM−10型)に仕込み、攪拌下でイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(日本エマルジョン株式会社製、商品名:EMALEX RWIS−120、EO=20)の10%酢酸エチル溶液16gを添加、混合した。これを110℃、10mmHg、8時間減圧乾燥することにより、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物20gを得た。
【0070】
得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物について、上記測定方法を用いて評価した。その結果を表1に示す。
【0071】
[実施例2]
実施例1と同様の方法で得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体20gをメカノミル(岡田精工株式会社製、商品名:MM−10型)に仕込み、攪拌下でポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(日本エマルジョン株式会社製、商品名:EMALEX HC−10、EO=10)の20%酢酸エチル溶液10gを添加、混合した。これを110℃、10mmHg、8時間減圧乾燥することにより、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物20gを得た。
【0072】
得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物について、上記測定方法を用いて評価した。その結果を表1に示す。
【0073】
[実施例3]
実施例1と同様の方法で得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体20gをメカノミル(岡田精工株式会社製、商品名:MM−10型)に仕込み、攪拌下でポリオキシエチレンヒマシ油(日本エマルジョン株式会社製、商品名:EMALEX C−20、EO=20)の20%酢酸エチル溶液10gを添加、混合した。これを110℃、10mmHg、8時間減圧乾燥することにより、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物20gを得た。
【0074】
得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物について、上記の項目を評価した。その結果を表1に示す。
【0075】
[実施例4]
実施例1と同様の方法で得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体20gをメカノミル(岡田精工株式会社製、商品名:MM−10型)に仕込み、攪拌下でトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(日本エマルジョン株式会社製、商品名:EMALEX RWIS−320、EO=20)の10%酢酸エチル溶液10gを添加、混合した。これを110℃、10mmHg、8時間減圧乾燥することにより、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物20gを得た。
【0076】
得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物について、上記測定方法を用いて評価した。その結果を表1に示す。
【0077】
[実施例5]
実施例1と同様の方法で得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体20gをメカノミル(岡田精工株式会社製、商品名:MM−10型)に仕込み、攪拌下でトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(日本エマルジョン株式会社製、商品名:EMALEX RWIS−340、EO=40)の20%酢酸エチル溶液15gを添加、混合した。これを110℃、10mmHg、8時間減圧乾燥することにより、カルボキシル基含有水溶性共重合体組成物20gを得た。
【0078】
得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物について、上記測定方法を用いて評価した。その結果を表1に示す。
【0079】
[比較例1]
実施例1で得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体について、上記測定方法を用いて評価した。その結果を表1に示す。
【0080】
[比較例2]
撹拌機、温度計、窒素吹き込み管および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコに、アクリル酸45g(0.625モル)、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてのブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製:メタクリル酸ステアリルが10〜20質量部、メタクリル酸エイコサニルが10〜20質量部、メタクリル酸ベヘニルが59〜80質量部およびメタクリル酸テトラコサニルの含有率が1質量%以下の混合物)0.88g、ペンタエリスリトールアリルエーテル0.225g、2,2’−アゾビスメチルイソブチレート0.081g(0.00035モル)、ノルマルヘキサン150g(223.9mL)および界面活性剤としてトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(日本エマルジョン株式会社製、商品名:EMALEX RWIS−320、EO=20)2.2gを仕込んだ。引き続き、均一に撹拌、混合した後、反応容器の上部空間、原料および溶媒中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、窒素雰囲気下、60〜65℃に保持して4時間反応させた。
【0081】
反応終了後、生成したスラリーを90℃に加熱して、ノルマルヘキサンを留去し、さらに110℃、10mmHg、8時間減圧乾燥することにより、白色微粉末のカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物44gを得た。
【0082】
得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物について、上記測定方法を用いて評価した。その結果を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
表1の結果より、本発明にかかる製造方法で得られたカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物は、無攪拌下でママコの生成がなく水に簡単に分散し、3質量%未中和溶液粘度が低いことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル1〜10質量部、および、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物0.01〜1質量部を重合した後、多価アルコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物1〜20質量部を添加することを特徴とするカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法。
【請求項2】
エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物が、ペンタエリスリトールアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、リン酸トリアリルおよびポリアリルサッカロースからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法。
【請求項3】
多価アルコール脂肪酸エステルにおける多価アルコールが、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビットおよびソルビタンからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載のカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法。
【請求項4】
多価アルコール脂肪酸エステルが、デカオレイン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、オレイン酸デカグリセリル、オレイン酸ヘキサグリセリル、ステアリン酸テトラグリセリル、オレイン酸ジグリセリルおよびトリオレイン酸グリセリルからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項3に記載のカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法。
【請求項5】
多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物における多価アルコールが、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビットおよびソルビタンからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法。
【請求項6】
多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物であって、25℃の水に対する無攪拌分散時間が5分間以内であることを特徴とするカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られるカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物であって、25℃における3質量%未中和溶液粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とするカルボキシル基含有水溶性共重合体組成物。

【公開番号】特開2011−105833(P2011−105833A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261531(P2009−261531)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【Fターム(参考)】