説明

カルボン酸塩の製造方法

【課題】ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩の製造の際の酸化反応終了後における液相の発泡を抑制する。
【解決手段】ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩の製造方法は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む液相中に酸素を含有する気体を供給することにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させる。液相中の溶存酸素濃度が急峻に上昇したとき、液相中への酸素を含有する気体の供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの末端をカルボキシル基とした化合物であり、起泡力及び乳化力に優れ、化粧品、乳化剤、可溶化剤、分散剤、ゲル化剤、洗浄基剤等に使用することができる界面活性剤として知られている。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩は、pHを変化させることによりその性質を調整することができ、また、耐硬水性に優れ、水溶液がアルミニウム等の各種多価金属イオンに対して安定であり、さらに、皮膚に対する作用が穏和であり、酵素阻害性も少ないことから、その他各種用途での応用も期待されている。
【0003】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸或いはその塩の製造方法は種々知られているが、その一つに、担体に貴金属を担持した貴金属担持触媒の存在下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させる方法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−198641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、貴金属触媒の存在下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルを接触酸化させる場合、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む液相に酸化剤として酸素を含有する気体を供給する。そして、液相に供給される酸素は、酸化反応中は液相中で消費される。
【0006】
しかしながら、酸化反応終了後は液相中での酸素の消費が停止し、消費されない酸素により液相に著しい発泡が生じる。このような液相の著しい発泡は、反応終了物の反応器からの抜き出しを困難にし、また反応液が泡状となって反応器からあふれ出すことにより収率の低下を招き、更に反応終了物から貴金属触媒の濾過に当たり、ろ過精度、及びろ過速度を低下させる等、生産工程上の障害となる。
【0007】
本発明の課題は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の製造の際の酸化反応終了後における液相の発泡を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、起泡力及び乳化力に優れるポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む液相中に酸素を含有する気体を供給することにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩又はその塩を製造する方法であって、液相中の溶存酸素濃度が急峻に上昇したとき、液相中への酸素を含有する気体の供給を停止するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液相中の溶存酸素濃度の急峻な上昇により酸化反応終了を検出し、そのとき液相中への酸素を含有する気体の供給を停止するので、酸化反応終了後における液相の発泡を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】反応時間と溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態は、酸性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を製造する場合、及びアルカリ性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を製造する場合の両方を含む。
【0012】
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び貴金属担持触媒を含む液相としてのスラリー中に酸素を含有する気体(以下「酸素含有気体」という。)を供給することにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させる。そして、スラリー中の溶存酸素濃度が急峻に上昇したとき、スラリー中への酸素含有気体の供給を停止する。
【0013】
上記方法によれば、スラリー中の溶存酸素濃度の急峻な上昇により酸化反応終了を検出し、そのときスラリー中への酸素含有気体の供給を停止するので、酸化反応終了後におけるスラリーの発泡を抑制することができる。
【0014】
[反応工程]
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含むスラリー中に酸素含有気体を供給することにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を生成させる。
【0015】
(スラリー)
<反応原料及び反応生成物>
スラリーは、反応原料としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する。
【0016】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
【0017】
RO−(AO)−H (I)
[式中、Rは炭素数4〜30の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、及びnはAOの平均付加モル数で1〜100の数である。]
式中の構造は、目的とするカルボン酸又はその塩の性能、用途等に応じて適宜選定することができる。
【0018】
Rの炭素数は4〜30であるが、本発明の効果が大きくなる観点、及びカルボン酸又はその塩の優れた起泡性及び乳化力が得られる観点からは、8〜22であることが好ましく、10〜18であることがより好ましく、12〜14であることが更に好ましい。Rの炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。Rは直鎖であってもよく、また、分岐鎖であってもよく、さらに、1級でも2級でもよい。
【0019】
Rの炭素数は、本発明の効果が大きくなる観点、及びカルボン酸又はその塩の優れた起泡性及び乳化力が得られる観点から、直鎖若しくは分岐鎖の、1級若しくは2級のアルキル基若しくはアルケニル基が好ましく、直鎖の、1級若しくは2級のアルキル基若しくはアルケニル基がより好ましく、直鎖の1級のアルキル基若しくはアルケニル基が更に好ましく、直鎖の1級のアルキル基が特に好ましい。
【0020】
AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基であるが、材料としての汎用性や経済性の観点からは、炭素数2のエチレンオキシ基であることが好ましく、全AOのうち80モル%以上がエチレンオキシ基であることがより好ましい。
【0021】
nは1〜100の数であるが、本発明の効果が大きくなる観点、及びカルボン酸又はその塩の優れた起泡性及び乳化力が得られる観点からは、1〜20であることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。
【0022】
スラリーには、単一種のポリオキシアルキレンアルキルエーテルのみが含有されていてもよく、また、複数種のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが含有されていてもよい。
【0023】
スラリーにおけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの濃度は、生産効率が良好となるという観点から1質量%以上とすることが好ましく、5質量%以上とすることがより好ましく、10質量%以上とすることが更に好ましく、一方、取り扱い性が良好となるという観点から40質量%以下とすることが好ましく、35質量%以下とすることがより好ましく、30質量%以下とすることが更に好ましい。
【0024】
スラリーにおけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの濃度は、具体的には1〜40質量%とすることが好ましく、5〜35質量%とすることがより好ましく、10〜30質量%とすることが更に好ましい。
【0025】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして一般式(I)で表される化合物を用いて製造される反応生成物であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸は下記一般式(II)で構造を表すことができる。
【0026】
RO−(AO)n−1−A’−COOH (II)
[式中、R、AO、nは、一般式(I)と同じ意味を表し、A’は炭素数1〜3のアルキレン基]
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして一般式(I)で表される化合物を用いて製造される反応生成物であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩は下記一般式(III)で構造を表すことができる。
【0027】
{RO−(AO)n−1−A’−COO}M (III)
[式中、R、AO、nは、一般式(I)と同じ意味を表し、A’は炭素数1〜3のアルキレン基、Mは陽イオン、及びmはMの価数である。]
一般式(II)及び(III)におけるR、AO、及びnの好ましい態様は一般式(I)と同じである。
【0028】
A’は炭素数1〜3のアルキレン基であるが、一般式(I)の末端−AO−が酸化して−A’−COO−の構造となることから、A’の炭素数は一般式(I)における末端−AO−の炭素数から1つ少ないものとなる。
【0029】
陽イオンであるMとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはアンモニウムイオン等が挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等が挙げられる。陽イオンであるMは、製造時にスラリーが適度な粘度を呈するという観点、及び製造工程の簡便さの観点からアルカリ金属イオンであることがより好ましい。アルカリ金属イオンのうちでは、製造コストを低減できるという観点から、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましく、ナトリウムイオンがより好ましい。
【0030】
<貴金属担持触媒>
スラリーは、触媒である貴金属を担体に担持させた粉状の貴金属担持触媒を含有する。
【0031】
触媒である貴金属は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の高い収率を得ることができるという観点から、白金族元素から選ばれる1種以上の元素、具体的には、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金から選ばれる1種以上の元素を含有することが好ましく、特に、パラジウム及び白金から選ばれる1種以上の元素を含有することがより好ましい。
【0032】
貴金属が白金族元素から選ばれる1種以上の元素(以下「触媒第1成分」という。)を含有する場合、貴金属担持触媒は、更に触媒成分として、スズ、ビスマス、セレン、テルル、及びアンチモンから選ばれる1種以上の元素(以下「触媒第2成分」という。)を含有することが好ましい。
【0033】
貴金属担持触媒が触媒第1成分及び第2成分を含有する場合、貴金属担持触媒は、更に触媒成分として希土類元素から選ばれる1種以上の元素(以下「触媒第3成分」という。)を含有することが好ましい。
【0034】
触媒第1成分の貴金属を含む触媒成分が担持された担体としては、例えば、活性炭、アルミナ、シリカゲル、活性白土、珪藻土等の無機担体が挙げられる。これらのうち酸性物質、又はアルカリ物質に対する耐久性が高い活性炭が好ましい。活性炭は、おが屑、木材チップ、木炭、ヤシ殻炭、石炭、ピート炭等を原料として公知の方法によって製造されたものを用いることができる。
【0035】
貴金属担持触媒における触媒第1成分の貴金属の担持量は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の高い収率を得ることができるという観点から、貴金属担持触媒全体のうちの0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。
【0036】
貴金属担持触媒は、特開昭62−269746号公報等に開示された公知の方法で製造することができる。例えば、触媒第1成分を含む化合物(塩化パラジウム、塩化白金酸等)の水溶液、必要に応じて触媒第2成分を含む化合物(塩化ビスマス、五塩化アンチモン等)の水溶液、及び必要に応じて触媒第3成分を含む化合物(塩化セリウム、塩化ランタン等)の水溶液の各液中で担体に各触媒成分を吸着させた後、触媒成分の還元処理を行う方法で製造することができる。
【0037】
スラリーにおける触媒第1成分の貴金属の含有量は、反応原料であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量に対して0.001〜2.0質量%とすることが好ましく、0.01〜1.5質量%とすることがより好ましく、0.02〜1.3質量%とすることが更に好ましい。なお、触媒第1成分として複数の元素を含む場合には、上記貴金属の含有量はそれらの総量である。
【0038】
スラリーにおける貴金属担持触媒の含有量は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに対する反応性を高める観点から0.1質量%以上とすることが好ましく、0.5質量%以上とすることがより好ましく、一方、経済性の観点から20質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましい。
【0039】
スラリーにおける貴金属担持触媒の含有量は、具体的には0.1〜20質量%とすることが好ましく、0.5〜10質量%とすることがより好ましい。
【0040】
<水>
スラリーは、液体として水を含有する。
【0041】
スラリーにおける水の含有量は、高い反応性が得られると共に取り扱い性が良好となるという観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量に対して0.1〜100質量倍とすることが好ましく、0.5〜50質量倍とすることがより好ましく、1〜20質量倍とすることが更に好ましい。
【0042】
なお、スラリーは、反応性を低下させず、かつ洗浄剤等への配合後における発泡を阻害しない範囲で、エタノールなどの低級アルコール等の有機溶媒を含有していてもよい。
【0043】
<アルカリ物質>
スラリーは、アルカリ性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を製造する場合、アルカリ物質を含有することが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化はアルカリ物質存在下で行うことが好ましい。
【0044】
アルカリ物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。これらのうち、高い反応性を得ることができるという観点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、その中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
【0045】
スラリーには、単一種のアルカリ物質のみが含有されていてもよく、また、複数種のアルカリ物質が含有されていてもよい。
【0046】
スラリーにおけるアルカリ物質の含有量は、スラリーのpHが7〜14となる量とすることが好ましく、9〜14となる量がより好ましく、11〜14となる量が更に好ましい。
【0047】
<任意成分>
スラリーは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸化反応生成物であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を予め含有していてもよく、また、反応性を低下させず、洗浄剤等に配合された際に起泡性を低下させず、及び反応液に含まれる貴金属担持触媒の分離除去を阻害しない範囲で、その他に有機溶剤、無機塩、ポリマー等を含有していてもよい。
【0048】
なお、スラリーは、消泡剤を含有していてもよい。消泡剤としては、例えば、シリコーンオイル、高級アルコール、高級脂肪酸やその塩、プルロニック型コポリマー、テトロニック型コポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。但し、製造するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を洗浄剤用途で用いる場合、洗浄剤組成物の泡立ちを低下させるのを防ぐ観点からは、スラリーは消泡剤を含有していないことが望ましい。
【0049】
<液性状>
スラリーは、酸化反応前、つまり、酸素含有気体の供給開始時点における溶存酸素濃度が3.0mg/L未満であることが好ましく、1.0mg/L以下であることがより好ましい。スラリーの溶存酸素濃度は、隔膜電極式(ポーラログラフ式、ガルバニ電池式)、蛍光式を測定原理とした各種測定装置を用い、測定部センサーをスラリーに浸漬して測定される(以下同様)。
【0050】
スラリーは、粘度が反応率や温度によって変化し、また、与えられるせん断速度が増加すると見かけ粘度が減少する非ニュートン性の擬塑性流体である。このためスラリーの反応開始前の時点(酸素を供給する前の時点)の粘度は反応性すなわち反応終了時間に影響を及ぼす。従って、生産性の観点から、また、色相等の品質の観点からも、スラリーの粘度は、反応開始前の時点(酸素を供給する前の時点)で1〜10000mPa・sであることが好ましく、10〜5000mPa・sであることがより好ましく、100〜1000mPa・sであることが更に好ましい。スラリーの粘度は、レオメータ(例えばTAinstrument社製 ARES-100TNI)を用い、Couette 34mmを取付け、70℃、せん断速度1s−1の条件において静的粘度として測定される。
【0051】
スラリーのpHは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を製造する場合、反応性および色相等の品質の観点から、上記の通り7〜14であることが好ましく、9〜14であることがより好ましく、11〜14であることがより好ましい。
【0052】
(酸化反応)
<酸素含有気体>
酸素含有気体中の酸素濃度は、反応速度を高める観点から20体積%以上とすることが好ましく、80体積%以上とすることがより好ましく、90体積%以上とすることが更に好ましく、95体積%以上とすることがより更に好ましく、100体積%が特に好ましい。
【0053】
酸素含有気体中の酸素以外の気体としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸化反応に不活性な窒素、アルゴンなどの希ガス等が挙げられる。また、酸素含有気体として典型的には大気が挙げられる。
【0054】
<スラリーへの酸素含有気体の供給>
スラリーへの酸素含有気体の供給は、例えば攪拌槽型反応器内において、スラリーへの酸素含有気体(空気等)の吹き込みにより行う。このスラリーへの酸素含有気体の吹き込みは連続的に行ってもよく、また、断続的に行ってもよい。
【0055】
スラリーへの酸素含有気体の吹き込みはスラリー中に設置したガス吹き込み管の出口から行われる。ガス吹き込み管の出口としては、例えば、単孔ノズル、多孔ノズル、リング状ノズル等が挙げられる。
【0056】
スラリーへの酸素含有気体の吹込速度は、生産性の観点から、仕込んだポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル数に対して酸素の供給速度が1mol%/h以上となるように設定することが好ましく、5mol%/h以上となるように設定することがより好ましく、10mol%/h以上となるように設定することが更に好ましく、酸素による触媒の失活を抑制して反応速度を維持する観点から、仕込んだポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル数に対して酸素の供給速度が50mol%/h以下となるように設定することが好ましく、30mol%/h以下となるように設定することがより好ましく、20mol%/h以下となるように設定することが更に好ましい。
【0057】
スラリーへの酸素含有気体の吹込速度は、具体的には、仕込んだポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル数に対して酸素の供給速度が1〜50mol%/hとなるように設定することが好ましく、5〜30mol%/hとなるように設定することがより好ましく、10〜20mol%/hとなるように設定することが更に好ましい。
【0058】
スラリーに酸素含有気体を供給する際には、攪拌槽型反応器内でスラリーを攪拌翼で撹拌することが好ましい。このとき攪拌効率の指標であるPV値は0.1以上に設定することが好ましく、0.2以上に設定することがより好ましく、0.5以上に設定することが更に好ましい。ここで、PV値とは、スラリー単位体積当たりの撹拌所要動力を意味し、撹拌機の撹拌動力から攪拌による摩擦損失を差し引いた、即ち真にスラリーに伝えられる攪拌動力(kW)/スラリーの体積(m)で定義される。
【0059】
撹拌に用いる撹拌翼としては、例えば、パドル翼、タービン翼、プロペラ翼等が挙げられる。パドル翼としては、例えば、平板状部材を含んで構成される翼、アンカー翼等が挙げられる。平板状部材を含んで構成されるパドル翼では、撹拌槽型反応器内で液相部が占める領域の鉛直面の最大断面積(S1)と撹拌翼のシャフトの回転軸に対して垂直の方向からみた最大投影面積(S2)との比率(S2/S1)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩又はその塩を効率良く製造できる観点より、0.10〜0.90であることが好ましく、0.20〜0.70であることがより好ましい。このような構成の市販の撹拌翼としては、例えば、住友重機械工業社製:マックスブレンド翼、神鋼環境ソリューション社製の商品名:フルゾーン、佐竹化学機械工業社製の商品名:スーパーミックスMR203等が挙げられる。
【0060】
スラリーへの酸素含有気体の吹込速度及びPV値は、酸素による触媒の失活を抑制して反応速度を維持する観点から、下記式(A)で表される反応率の1時間あたりの上昇速度が50%以下となるように設定することが好ましく、40%以下となるように設定することがより好ましく、30%以下となるように設定することが更に好ましい。
【0061】
反応率(%)=ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル濃度(mol/L)/(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル濃度(mol/L)+ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル濃度(mol/L)) (A)
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う際のスラリー中の溶存酸素濃度は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに対する反応性を高める観点から0mg/L以上に維持することが好ましく、0.1mg/L以上に維持することがより好ましく、0.2mg/L以上に維持することが更に好ましく、0.3mg/L以上に維持することが特に好ましく、一方、スラリーの発泡を抑制する観点から1.0mg/L以下に維持することが好ましく、0.9mg/L以下に維持することがより好ましく、0.8mg/L以下に維持することが更に好ましく、0.7mg/L以下に維持することが特に好ましい。スラリー中の溶存酸素濃度の管理制御は、スラリーの溶存酸素濃度を測定装置を用いて経時的に測定すると共に、その測定結果に基づいてスラリーへの酸素含有気体の供給量を増減することにより行うことができる。
【0062】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う際のスラリー中の溶存酸素濃度は、具体的には0〜1.0mg/Lに維持することが好ましく、0.1〜0.9mg/Lに維持することがより好ましく、0.2〜0.8mg/Lに維持することが更に好ましく、0.3〜0.7mg/Lに維持することが特に好ましい。
【0063】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う際の反応温度は20〜100℃とすることが好ましく、30〜90℃とすることがより好ましく、40〜80℃とすることが更に好ましい。
【0064】
反応圧力は、酸素のスラリーへの溶解度を高める観点及び装置の耐圧性を考慮する観点から、ゲージ圧力として0(常圧)〜1.0MPaとすることが好ましく、0(常圧)〜0.5MPaとすることがより好ましく、0(常圧)〜0.3MPaとすることが更に好ましい。
【0065】
なお、例えば攪拌槽型反応器へのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、貴金属担持触媒、及び水の仕込みは、連続的に行ってもよく、また、断続的に行ってもよい。アルカリ物質を仕込む場合は、水溶液として仕込むことが好ましく、また、スラリーのpHが所定の値を維持するように連続的又は断続的に仕込むことが好ましい。
【0066】
<反応工程の終了方法>
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の洗浄基材として、優れた起泡性の観点より、一般式(A)で表される反応率が95%を超えるまで反応を行うことが好ましく、96%を超えることがより好ましい。
【0067】
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、スラリー中の溶存酸素濃度が急峻に上昇したとき、スラリー中への酸素含有気体の供給を停止する。
【0068】
ところで、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する液相中に酸素を供給すると、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化反応によって酸素が消費される。酸化反応が終了すると液相に供給された酸素の消費は停止し、そのため液相に供給された酸素が残存することとなり、液相に溶存できなくなった酸素により液相に著しい発泡が生じる。生じた泡を反応器から抜き出すことは困難であり、更に、反応終了後の製品化工程において貴金属担持触媒を濾過で分離除去する場合、濾過精度、及び濾過速度を低下させる。そのため、泡が消えるまで静置する、或いは、予め液相に消泡剤を添加しておく等の措置が必要となるが、静置は生産効率を著しく低下させ、また、消泡剤は反応生成物を洗浄剤として用いるときの起泡性能に影響を及ぼす。それ故、洗浄剤用途の界面活性剤の製造において、生成物を含有する水溶液等の液相に気体を吹き込むことは一般的には行われない。
【0069】
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、このような事情に鑑み、酸化反応が終了すると、図1に示すように、スラリー中の溶存酸素濃度が急峻に上昇することから、その溶存酸素濃度の急峻な上昇により酸化反応終了を検出し、そのときスラリー中への酸素含有気体の供給を停止することで酸化反応終了後におけるスラリーの発泡を抑制する。
【0070】
スラリー中の溶存酸素濃度の急峻な上昇とは、スラリーの発泡を抑制する観点から、具体的にはスラリー中の溶存酸素濃度の上昇速度が0.3〜1000mg/L・minであることが好ましく、1〜500mg/L・minであることがより好ましく、5〜200mg/L・minであることが更に好ましい。
【0071】
スラリー中の溶存酸素濃度は0〜3.0mg/Lの範囲に維持することが好ましく、0〜1.0mg/Lの範囲に維持することがより好ましいが、かかる溶存酸素濃度の管理を行っていても、酸化反応が終了すると、その管理を離れて溶存酸素濃度の急峻な上昇が生じる。この場合、スラリーの発泡を回避する観点から、スラリー中の溶存酸素濃度が3.0mg/Lを超えたときスラリー中での酸素含有気体の供給を停止することが好ましく、2.0mg/Lを超えたとき停止することがより好ましく、1.0mg/Lを超えたとき停止することが更に好ましい。
【0072】
[製品化工程]
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、反応終了後のスラリーを濾過等して貴金属担持触媒を分離除去する。
【0073】
酸性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を製造する場合、貴金属担持触媒の分離除去後の反応液に含まれるカルボン酸をそのまま製品とすることができる。
【0074】
アルカリ性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を製造する場合、貴金属担持触媒の分離除去後の反応液には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸の一部又は全部が塩の形で溶解している。従って、それをpH調整をした後、そのまま界面活性剤溶液として製品とすることができる。また、それを塩酸等の鉱酸で酸型化して抽出工程を経て遊離するカルボン酸を製品とすることもできる。
【0075】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び貴金属担持触媒を含むスラリーを液相としたが、特にこれに限定されるものではなく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル含む水溶液を液相とし、これを固定床形式で触媒を設けた攪拌槽型反応器に仕込んでポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造を行ってもよい。この場合、反応終了後の反応液の濾過は必要ない。
【実施例】
【0076】
(カルボン酸塩の製造)
下記の実施例及び比較例のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩の製造を行った。成分組成及び反応条件はそれぞれ表1及び2にも示す。
【0077】
<実施例>
内径150mm及び容量3LのSUS304製セパラブルフラスコからなる反応槽に、ラウリルアルコールにエチレンオキサイドを平均で4モル付加したポリオキシエチレンアルキルエーテル(以下「POEアルキルエーテル」という。)水溶液(POEアルキルエーテルの濃度:93.5質量%)389g、そのPOEアルキルエーテルを酸素酸化して反応生成物として得られるポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム(以下「POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム」という。)水溶液(POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムの濃度:21.5質量%)1245g、48質量%水酸化ナトリウム水溶液87.8g、担体の活性炭にPd(含有量4質量%)、Pt(含有量1質量%)、及びBi(含有量5質量%)を担持した粉状の貴金属担持触媒(エボニックデグサ社製、固形分率46.3質量%、含水率53.7質量%)65.9g、並びに脱イオン水1265gを仕込み、圧力0MPaの下、それを攪拌翼(横20mm及び縦10mmの6枚フラットディスクタービン2段(間隔55mm)、翼径75mm)により攪拌回転数を500rpmとして攪拌すると共にその温度を70℃まで昇温してスラリーを調製した。このスラリーの総量は3052.7g(3030.3mL)であり、組成は、POEアルキルエーテルが363.7g(11.9質量%)、POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムが267.7g(8.8質量%)、水酸化ナトリウムが42.1g(1.4質量%)、貴金属担持触媒が30.5g(1.0質量%)、及び水2348.7g(76.9質量%)である。
【0078】
次いで、攪拌及び温度制御を継続しつつ、スラリー内に窒素ガスを10.2mL/minの供給速度で15分間バブリング供給し、溶存酸素量を低下させた。
【0079】
窒素ガスの供給を停止した後、続いて、攪拌及び温度制御を継続しつつ、スラリー中にマスフローコントローラーを用いたバブリングにより酸素ガス(酸素濃度:100体積%、窒素濃度:0体積%)を98.4mL/min(POEアルキルエーテルの仕込みモル数に対して15mol%/h)の供給速度(流量)で供給した。
【0080】
そして、酸素ガスの供給開始、つまり、酸化反応開始から4.4時間後にスラリーの溶存酸素濃度が急峻に上昇し始め、その時点で酸素ガスの供給を停止し、酸化反応を中断した。この酸素ガスの供給停止時のスラリーの溶存酸素濃度は3.0mg/Lであった。
【0081】
<比較例>
実施例で、酸素ガスの供給停止、酸化反応を中断し、反応率及び溶存酸素濃度測定用試料のサンプリング後、酸素ガスの供給を再開した。実施例と同じ反応条件で酸化反応開始から8時間後まで酸化反応を継続した。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
(試験評価方法)
実施例について、酸素ガスの供給開始時(0時間)、供給開始から4時間後までの1時間毎、及び溶存酸素濃度が急峻に上昇し始めた供給開始から4.4時間後にサンプリングを行い、以下の試験評価を行った。
【0085】
比較例について、酸素ガス供給開始から5時間後から8時間後までの1時間毎にサンプリングを行い、以下の試験評価を行った。
【0086】
<反応率>
滴定装置(METTLERTOLEDO社製 Metrohm 794 Basic Titrino)及び透過度測定装置(METTLERTOLEDO社製 Metrohm 622 Photometer)を用いてEPTON法にて試料中のPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムを滴定した。そして、上記(A)式に従って反応率に換算した。
【0087】
<溶存酸素濃度>
隔膜電極式の溶存酸素測定計(堀場製作所社製 OM-51、電極9520-10D、測定範囲:0〜19.99mg/L)を大気中で校正した後、試料に電極先端を浸漬して溶存酸素濃度を測定した。
【0088】
<泡高さ>
攪拌時の反応槽内のスラリーの液面高さを基準として、検尺によって泡高さを測定した。
【0089】
<ロス量>
コンデンサー出口より流出する泡をポットで受け、ポットにて気液分離を行い、ポットの質量変化を測定した。そして、泡と共に失われた固形分(POEアルキルエーテルカルボン酸塩、POEアルキルエーテル、水酸化ナトリウム、及び貴金属担持触媒の合計)の質量をロス量とした。
【0090】
(試験評価結果)
表3は試験評価結果を示す。
【0091】
【表3】

【0092】
反応率は、実施例では、0時間が36mol%(当初仕込んだPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムによる)、1時間後が50mol%、2時間後が64mol%、3時間後が78mol%、4時間後が92mol%、並びに4.4時間後が96mol%であった。
【0093】
比較例では4.4時間後も酸素ガスの供給を続けた。
【0094】
溶存酸素濃度は、実施例では、0時間が0.2mg/L、1時間後が0.7mg/L、2時間後が0.4mg/L、3時間後が0mg/L、4時間後が0.1mg/L、並びに4.4時間後が3.0mg/Lであった。
【0095】
比較例では5時間後〜8時間後までオーバーレンジ(20.0mg/L以上)で測定不能であった。
【0096】
泡高さは、実施例では、0時間及び1時間後が0mm、2時間後が5mm、3時間後が10mm、4時間後が15mm、並びに4.4時間後が20mmであった。
比較例では5時間後〜8時間後まで測定限界の100mmを超えて泡が発生した。
【0097】
ロス量は、実施例では0〜4.4時間後まで0g、つまり、生成物の外部への流出が全く無かった。酸化反応中断後から酸化反応再開までの間も生成物の外部への流出が全くなかった。
【0098】
一方、比較例では、5時間後が6.3g、6時間後が42.3g、7時間後が77.3g、及び8時間後が116.7gであった。
【0099】
以上の通り、溶存酸素濃度が急峻に上昇したときに酸素ガスの供給を停止した実施例では、酸素ガスの供給停止後に、反応率、溶存酸素濃度、泡高さに変化はなく、また、ロス量は無かった。
【0100】
一方、溶存酸素濃度が急峻に上昇した後も酸素ガスの供給を継続した比較例では、その後の反応率に変化はないものの、溶存酸素濃度は測定可能な範囲を超え、また、泡は5時間後の時点で既にコンデンサー出口より流出し始め、泡高さも測定可能な100mmを超え、さらに、泡の流出に伴ってロス量が大きくなった。
【0101】
実施例と比較例より、液相中の溶存酸素濃度が急峻に上昇したとき、液相への酸素を含有する気体の供給を停止すると、生産工程上の障害となる液相の発泡を生じることなく生産できることが分かる。
【0102】
一方、液相中の溶存酸素濃度が急峻に上昇した後、液相への酸素を含有する気体の供給を継続すると液相が発泡し、反応装置から泡と共に反応生成物が流出し、生産量の低下を招くことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明はポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の製造方法について有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む液相中に酸素を含有する気体を供給することにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を製造する方法であって、
液相中の溶存酸素濃度が急峻に上昇したとき、液相中への酸素を含有する気体の供給を停止するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩の製造方法。
【請求項2】
液相中の溶存酸素濃度が急峻に上昇するまでは、液相中の溶存酸素濃度を1.0mg/L以下に維持する請求項1に記載されたカルボン酸塩の製造方法。
【請求項3】
液相中の溶存酸素濃度が急峻に上昇して3.0mg/Lを超えたとき、液相中での酸素を含有する気体の供給を停止する請求項2に記載されたカルボン酸塩の製造方法。
【請求項4】
酸素を含有する気体の供給開始時点における液相中の溶存酸素濃度が3.0mg/L未満である請求項1乃至3のいずれかに記載されたカルボン酸塩の製造方法。
【請求項5】
酸素を含有する気体中の酸素濃度が20〜100体積%である請求項1乃至4のいずれかに記載されたカルボン酸塩の製造方法。
【請求項6】
液相中に酸素を含有する気体を供給している間における反応温度を20〜100℃とする請求項1乃至5のいずれかに記載されたカルボン酸塩の製造方法。
【請求項7】
液相中への酸素を含有する気体の供給を、仕込んだポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル数に対して酸素の供給速度が1〜50mol%/hとなるように行う、請求項1乃至6のいずれかに記載されたカルボン酸塩の製造方法。
【請求項8】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩が下記式で表される、請求項1乃至7のいずれかに記載されたカルボン酸塩の製造方法。
{RO−(AO)n−1−A’−COO}
[式中、Rは炭素数4〜30の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、nはAOの平均付加モル数で1〜100の数、A’は炭素数1〜3のアルキレン基、Mは陽イオン、及びmはMの価数である。]
【請求項9】
液相中に白金族から選ばれる1種類以上の元素からなる貴金属触媒を含める、請求項1乃至8のいずれかに記載されたカルボン酸塩の製造方法。
【請求項10】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む液相中に酸素を含有する気体を供給することにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を製造する方法であって、
液相中の溶存酸素濃度が急峻に上昇したとき、液相中への酸素を含有する気体の供給を停止するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−67565(P2013−67565A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205160(P2011−205160)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】