説明

カレンダースケジュール機能を備えた分析装置

【課題】分析部における保守の内容と保守を行う日時をわかりやすく表示する。
【解決手段】タッチパネルつき液晶表示装置と、液晶表示装置での画面表示を制御するために液晶コントローラを備えている。その液晶コントローラは、液晶表示装置に表示する画面として、スケジュールデータメモリに保持されたスケジュールを少なくとも日付ごとに保守の内容とともに表示するカレンダースケジュール画面と、保守を行う日時と保守の内容を設定するためのスケジュール設定画面とを少なくとも作成して液晶表示装置での画面表示を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水・河川水、工場排水などに含まれる汚濁成分などの測定に用いる水質分析計等の分析装置であって、表示装置を備えた分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
そのような分析装置の一例は水質分析計である。水質分析計には試料中に含まれる全有機体炭素(TOC)のみを測定するTOC計の他に、TOCと窒素化合物(全窒素:TN)をともに測定できるTOC/TN計(特許文献1参照。)、窒素化合物とリン化合物をともに分析する全窒素(TN)/全リン(TP)計(特許文献2参照。)、TN、TP及び有機汚濁物質を測定できるようにした水質分析計(特許文献3参照。)などもある。
【0003】
そのような水質分析計は、長期間にわたって継続して測定が続けられることが多いことから、校正などの保守を自動的に行う機能を備えている。保守を行う時刻と周期を設定することで自動実行されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-24717号公報
【特許文献2】特開2007-86041号公報
【特許文献3】特開2001-56332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保守を行う時刻と周期を設定する方法の場合、その分析装置を操作する者にとって保守の動作がいつ実行されるか分かりにくい。
【0006】
そこで、本発明は水質分析計又はその他の分析装置において、分析部における保守の内容と保守を行う日時をわかりやすく表示することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の分析装置は、試料導入部及び試料導入部から導入された試料中の成分を検出する検出部を少なくとも含む分析部と、分析部における保守のスケジュールのデータを保持するスケジュールデータメモリと、スケジュールデータメモリに保持されたスケジュールに従って分析部における保守動作を自動的に実行するように分析部を制御する装置制御部を備えている。
【0008】
そして、本発明では、保守の内容と保守を行う日時をわかりやすく表示するために、スケジュールデータメモリはデータとして分析部における保守の内容と保守を行う日時を示すスケジュールを保持するとともに、スケジュールの設定と更新がなされるようにする。スケジュールの表示を行うために、本発明の分析装置は、タッチパネルつき液晶表示装置と、液晶表示装置での画面表示を制御するために液晶コントローラを備えている。その液晶コントローラは、液晶表示装置に表示する画面として、スケジュールデータメモリに保持されたスケジュールを少なくとも日付ごとに保守の内容とともに表示するカレンダースケジュール画面と、保守の内容を設定するためのスケジュール設定画面とを少なくとも作成して液晶表示装置での画面表示を制御するものである。本発明の分析装置は、さらに、タッチパネルが人に触れられた位置を認識するタッチパネルコントローラと、タッチパネルコントローラからの信号に基づき、スケジュールデータメモリへのスケジュール設定を行うスケジュール制御部を備える。
【0009】
本発明はTOC計、TOC/TN計、TN/TP計、TN、TP及び有機汚濁物質を測定できる水質分析計に限らず、測定される成分にかかわらず、測定条件や測定結果を表示する表示装置を備えた分析装置であれば本発明の対象となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、スケジュールデータメモリに保守の内容と保守を行う日時を示すスケジュールを保持し、スケジュールデータメモリに保持された保守のスケジュールを少なくとも日付ごとに保守の内容とともにカレンダースケジュール画面として液晶表示装置に表示するので、保守の内容と保守を行う日時がわかりやすくなる。
【0011】
また、液晶表示装置はタッチパネルつきのものであり、液晶表示装置のスケジュール設定画面から保守の内容を設定してスケジュールデータメモリに保持することによりスケジュールの設定と更新がなされるようにしたので、従来のように保守を行う時刻と周期を設定するものに比べると保守のスケジュールの自由度が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施例のTOC/TN計を示す概略構成図である。
【図2】同実施例における表示装置に関する部分を示すブロック図である。
【図3】同実施例における表示装置でのカレンダースケジュール画面の一例を示す図である。
【図4】同実施例における表示装置での一括入力画面の一例を示す図である。
【図5】同実施例における表示装置での期日指定画面の一例を示す図である。
【図6】同実施例における表示装置でのスケジュール設定画面の一例を示す図である。
【図7】同実施例におけるスケジュール設定動作を示すフローチャートである。
【図8】同実施例における保守動作を示すフローチャートである。
【図9】他の実施例のTN/TP計を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
決まった曜日の決まった時刻に保守機能を実行したり、任意の日時に自動実行させるといったスケジュール設定ができるようにしたりすることができるようにするために、好ましい実施の形態として、カレンダースケジュール画面はタッチパネル上に曜日ごとのスケジュール、及び各日毎のスケジュールの少なくとも1種類を設定するためのボタンを含み、スケジュール制御部はタッチパネル上で前記ボタンにより指定された種類の日について入力されたスケジュールの内容と時刻をスケジュールデータメモリへ保持させるものとすることができる。
【0014】
曜日固定で実行する保守機能は、曜日の設定に保守の内容と実行時刻を設定する。任意の日に実行する保守機能は、各日の設定に保守の内容と実行時刻を設定する。設定された保守の内容と実行時刻はスケジュールデータメモリへ保持されるとともに、カレンダースケジュール画面に表示される。
【0015】
さらに、カレンダースケジュール画面に表示された保守の内容をわかりやすくするために、カレンダースケジュール画面はスケジュールデータメモリに設定された保守の内容をマークで表示するものとすることができる。
【0016】
カレンダースケジュール画面から設定用の画面への移行を容易にするために、カレンダースケジュール画面は、複数の日にまたがるスケジュールの設定を行うための入力補助機能を呼び出すボタンを含むようにし、入力補助機能は少なくとも毎日のスケジュールの設定を行う機能を有するものとすることができる。
【0017】
分析部の一例は、測定対象の試料水を、時間を異ならせて繰り返して導入し測定する水質分析計を構成している分析部である。そのような水質分析計としては、少なくとも全有機体炭素濃度を測定する分析計、少なくとも全窒素濃度を測定する分析計、少なくとも全りん濃度を測定する分析計、及び少なくとも紫外線吸光度を測定する分析計を含む。それらの分析計は1台の装置で2種類以上の成分を測定するものを含む。
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の分析装置の一実施例のTOC/TN計の概略構成図である。環境水などの試料が連続して流れる採水管1に、その試料の一部をTOC計本体2内の分岐部3を経てドレン出口12に排出する流路が接続されている。その試料用の流路の分岐部3には、オンライン測定用の試料を採取して分析部に導くために、試料注入機構18の8ポートバルブ14の1つのポートが接続されている。
【0020】
試料注入機構18は8ポートバルブ14とそれに接続されたマイクロシリンジ16で構成されており、マイクロシリンジ16は8ポートバルブ14の共通ポートに接続され、8ポートバルブ14の他のいずれのポートとも接続されるようになっている。
【0021】
8ポートバルブ14の共通ポート以外のポートには、試料用流路の分岐部3のほか、ICを測定するときに試料を酸性にするために添加する酸20につながる流路、校正用の標準液22につながる流路、希釈や洗浄に使用する純水24につながる流路、オフライン測定用の試料26につながる流路、試料中の炭素成分の全てをCO2に変換する触媒を備えたTC酸化反応部32の試料注入部34につながる流路、不要な気体を排出するためのドレン出口28につながる流路、不要な液体を排出するためのドレン出口12につながる流路がそれぞれ接続されている。
【0022】
空気入り口42から取り込んだ空気から炭素成分を除去して精製ガスを生成し、流量を調節して送り出すためにガス精製・流量制御部40が設けられている。ガス精製・流量制御部40のガス出口には、ガス精製・流量制御部40で生成された精製ガスをスパージガス又はキャリアガスとしてマイクロシリンジ16に供給する流路41aと、キャリアガスとしてTC酸化反応部32に供給する流路41bと、オゾン発生部50に精製ガスを供給する流路41cが接続されている。
【0023】
TC酸化反応部32は、試料中の炭素成分をCO2に変換し、窒素成分をNOに変換する酸化触媒が充填されたTC燃焼管36、そのTC燃焼管36に試料とキャリアガスを導入するTC試料注入部34、及びTC燃焼管36を加熱する加熱炉38から構成されている。TC燃焼管36の下流部は水分を除去する除湿器やハロゲン成分を除去するハロゲンスクラバーなどを備えた除湿・ガス処理部44を経て、CO2を検出する赤外線ガス検出部46に接続されている。赤外線ガス検出部46の下流部は、NOを検出する化学発光検出部48に接続されている。化学発光検出部48にはオゾン発生部50からオゾンが供給されている。化学発光検出部48の下流部は、オゾンキラー52を介してドレン出口54に接続されている。
【0024】
試料注入機構18、TC酸化反応部32、ガス精製・流量制御部40、赤外線ガス検出部46及び化学発光検出部48は分析部を構成している。
【0025】
赤外線ガス検出部46の出力及び化学発光検出部48の出力は演算部56に入力される。演算部56はキーボード60及びレコーダ62が接続されている。演算部56は赤外線ガス検出部46の検出信号に基づいてサンプル中のTOC濃度などを算出し、化学発光検出部48の検出信号に基づいてサンプル中のTN濃度などを算出する。
【0026】
演算部56は装置制御部58に接続されており、装置制御部58は8ポートバルブ14及びマイクロシリンジ16の動作、並びに赤外線ガス検出部46及び化学発光検出部48の検出器感度を制御するとともに、赤外線ガス検出部46及び化学発光検出部48の検出器感度の校正などの保守を行う。装置制御部58には演算部56を介して、キーボード60が接続されている。
【0027】
装置制御部58には後述の図2に示される表示装置100が接続されている。表示装置100は演算部56にも接続されており、求められたTOC濃度などを表示装置100に表示することもできる。
【0028】
次に、図1を参照して測定動作を説明する。
【0029】
(TC測定及びTN測定)
装置制御部58からの制御信号により、8ポートバルブ14の切換えとマイクロシリンジ16の動作が行われる。まず、マイクロシリンジ16が分岐部3に接続されて、マイクロシリンジ16に一定量の試料が採取される。所定の希釈率が設定されている場合は、マイクロシリンジ16が純水24に接続されて、マイクロシリンジ16中の試料に所定量の純水が加えられる。次に、マイクロシリンジ16の試料がTC酸化反応部32のTC試料注入口34を経てTC燃焼管36に注入され、試料中の炭素成分がCO2に変換され、窒素成分がNOに変換される。TC燃焼管36で発生したCO2及びNOは、ガス精製・流量制御部40から流路41bを経て供給されたキャリアガスとともに除湿・ガス処理部44に送られ、冷却、除湿及びハロゲン除去された後、赤外線ガス検出部46でCO2が検出され、続いて化学発光検出部48でNOが検出される。それらの検出信号は演算部56に送られ、その信号からピーク値又はピーク面積が求められ、検量線データに基づいてTC濃度とTN濃度が求められる。求められたTC濃度とTN濃度は試料注入量、希釈率、測定日時などのデータとともに表示装置100に送られる。
【0030】
(IC測定及びTOC測定)
TC測定及びTN測定の時と同様にして、マイクロシリンジ16に一定量の試料が採取される。所定の希釈率が設定されている場合は、マイクロシリンジ16が純水24に接続されてマイクロシリンジ16中の試料に所定量の純水が加えられる。次に、マイクロシリンジ16が酸20に接続されてマイクロシリンジ16中の試料に少量の酸が加えられる。次に、マイクロシリンジ16がTC試料注入口34に接続され、ガス精製・流量制御部40から流路41aを経てスパージガスがマイクロシリンジ16に供給される。試料中のICから発生したCO2はスパージガスとともに除湿・ガス処理部44に送られ、冷却、除湿、ハロゲン除去された後、赤外線ガス検出部46でCO2が検出される。検出信号は演算部56に送られ、その信号からIC濃度が求められる。演算部56により、TC濃度からとIC濃度の差からTOC濃度が求められる。
【0031】
TOC濃度を単独で測定することもできる。TC測定及びTN測定の時と同様にして、マイクロシリンジ16に一定量の試料が採取される。所定の希釈率が設定されている場合は、マイクロシリンジ16が純水24に接続されてマイクロシリンジ16中の試料に所定量の純水が加えられる。次に、マイクロシリンジ16が酸20に接続されてマイクロシリンジ16中の試料に少量の酸が加えられる。次に、マイクロシリンジ16がドレン出口28に接続され、ガス精製・流量制御部40から流路41aを経てスパージガスがマイクロシリンジ16に供給される。試料中のICから発生したCO2はスパージガスとともにドレン出口28から排出され、マイクロシリンジ16にはTOCが残る。その後、マイクロシリンジ16の試料がTC酸化反応部32のTC試料注入口34を経てTC燃焼管36に注入され、試料中の炭素成分がCO2に変換され、TC燃焼管36で発生したCO2はキャリアガスとともに除湿・ガス処理部44を経て赤外線ガス検出部46に送られてTOCがCO2として検出される。
【0032】
表示装置100と装置制御部58は、一実施例としては図2に示されるような構成をしている。表示素子としてタッチパネルつきの液晶表示装置(LCD)102を備えている。LCD102への画面表示を制御するために、LCD102には液晶コントローラ(LCDコントローラ)104が接続されている。LCDコントローラ104は、LCD102に表示する複数の画面を作成する。それらの画面には、スケジュールデータメモリ124に保持されたスケジュールを少なくとも日付ごとに保守の内容とともに表示するカレンダースケジュール画面(例えば図3に例示されたもの。)、一括入力の選択画面(例えば図4に例示されたもの。)、保守の内容を設定するためのスケジュール設定画面(例えば図5に例示されたもの。)、期日指定の画面(例えば図6に例示されたもの。)が含まれる。
【0033】
LCD102のタッチパネルで人が触れた位置を認識するために、LCD102にはタッチパネルコントローラ108が接続されている。
【0034】
タッチパネルコントローラ108からの信号に基づくLCD102の表示画面の切換えと、タッチパネルコントローラ108からの信号に基づいてスケジュールデータメモリ124へのスケジュールデータの保存を行うために、LCDコントローラ104とタッチパネルコントローラ108にはスケジュール制御部110が接続され、スケジュール制御部110は装置制御部58に接続されている。
【0035】
スケジュール制御部110は入力部112と画面制御部114を備えている。入力部112はタッチパネルに人が触れたときにタッチパネルコントローラ108が認識した位置情報を入力し、画面制御部114へ送り出す。
【0036】
画面制御部114は、スケジュール設定のときは、図3のカレンダースケジュール画面について入力部112から送られた位置情報からその位置に配置されているボタンの位置にある日の種類(一括入力、曜日又は各日)を認識する。
【0037】
曜日又は各日のボタンが押されると、図6のスケジュール設定画面に切り換えられる。
【0038】
「一括入力」のボタンが押されたときは、図4の一括入力選択画面に切り換えられ、入力補助機能が起動される。
【0039】
図4の一括入力選択画面で「毎日」のボタンが押されると、図6のスケジュール設定画面に切り換えられる。
【0040】
図4の一括入力選択画面で「期間指定(日)」のボタンが押されると、図5の期間指定の画面に切り換えられる。図4の一括入力選択画面で「期間指定(曜日)」のボタンが押されると、図示は省略されているが、図5の「開始日」と「最終日」に代わるものとして「開始曜日」と「最終曜日」が表示された期間指定の画面に切り換えられる。期間指定の画面で期間が指定された後、「次へ」ボタンが押されると、図6のスケジュール設定画面に切り換えられる。
図6のスケジュール設定画面で、保守機能の実行の有無と、実行しようとする保守機能についての実行時刻(実行時刻は保守機能の実行ボタンが押されると実行時刻設定の画面(図示略)に切り換えられて時刻入力が可能になる。)が入力されると、それらのデータがスケジュールデータとしてスケジュールデータメモリ124へ保存される。この際、曜日の設定が変更されると各日のデータにその内容がコピーされてスケジュールデータメモリ124に保存される。入力補助機能で行った毎日の設定は、曜日、各日のデータにその内容がコピーされてスケジュールデータメモリ124に保存される。各日のデータは、例えば3ヶ月分まで保持できるものとすることができる。
【0041】
画面制御部114は、カレンダースケジュール画面が表示されるときは、スケジュールデータメモリ124に保存されている最新のスケジュールデータに基づいたカレンダースケジュール画面が表示されるように、LCDコントローラ104にスケジュールデータを供給する。
【0042】
装置制御部58は、スケジュールデータメモリ124の他に、分析部の動作を制御して分析動作の他に実施例の保守動作も行う動作制御部120と、スケジュールデータメモリ124に保存されたスケジュールデータに基づいて動作制御部120に対して保守動作を開始させる時間管理部122を備えている。動作制御部120は画面制御部114からオンライン測定の開始を指示する信号を受けると時間管理部122にオンライン測定動作が開始されたことを通知する。時間管理部122は、オンライン測定動作の開始を通知する信号を受けると、スケジュールデータメモリ124から各日のデータを読み出し、動作制御部120に保守動作を起こさせるスケジュールを作成する。時間管理部122はタイマーを備えており、スケジュールにより定められたタイミングになると動作制御部120に通知し、動作制御部120は通知された内容の保守動作を行う。
【0043】
この実施例では、スケジュールデータメモリ124は装置制御部58内の記憶装置により実現されるものを示している。しかし、本発明はそのような実施形態に限定されるものではなく、スケジュールデータメモリ124は他の部分、例えば演算部56、スケジュール制御部110もしくはLCDコントローラ104などに設けてもよく、又はそれらの部分からは独立した記憶装置として設けてもよい。同様に、時間管理部122も装置制御部58以外の部分又は独立した部分として設けてもよい。
【0044】
時間管理部122は、週が更新されると1週間分のデータを削除し、曜日の設定を新しい1週間分のスケジュールとしてスケジュールデータメモリ124を更新する。
【0045】
LCD102の表示画面の例を図3〜図6に示す。
【0046】
図3はスケジュールデータメモリ124に保持されたスケジュールを少なくとも日付ごとに保守の内容とともに表示するカレンダースケジュール画面であり、LCD102のタッチパネル上に配置されている。「一括入力」と表示されているのは、カレンダー設定を行うための入力補助機能を呼び出すボタンである。「日」から「土」まで曜日で表示されているのは、保守機能をそれぞれの曜日に実行するためのスケジュールであり、実行される保守の内容がやはり△、□、○、×などの記号で表示されている。日付で表示されているのは、保守機能を表示された各日に実行するためのスケジュールであり、実行される保守の内容がやはり△、□、○、×などの記号で表示されている。
【0047】
カレンダースケジュール画面は分析装置に電源が投入されているときは常に表示されるようにしてもよく、表示用のボタン又はスイッチをLCD102のタッチパネル上又は他の部分に設けて、そのボタン又はスイッチが押されたときにのみ表示するようにしてもよい。カレンダースケジュール画面はスケジュールデータメモリ124に保持された保守実行のスケジュールを表示するものであるとともに、スケジュールデータメモリ124に保守のスケジュールを新たに設定したり変更したりする場合にも使用されるものである。
【0048】
図4の一括入力の選択画面は図3のカレンダースケジュール画面上の「一括入力」ボタンが押されたときに表示される入力補助機能画面である。その項目としては「毎日」又は「期間指定」を指定できる。例えば、「毎日」を指定した場合、図6の画面が表示される。そこで保守機能と実行時刻を指定して、「実行」ボタンを押すと、曜日の設定及び各日の設定に反映される。「期間指定」ボタンを押した場合は、日で期間を設定する図5の画面又はそれに類似した曜日で期間を指定する画面が表示され、それらの画面で「次へ」ボタンを押すと図6の画面が表示される。
【0049】
図5の期間指定画面は図4の一括入力画面で「期間指定(日)」ボタンが押されたときに表示される画面である。
【0050】
図6は保守の内容を設定するためのスケジュール設定画面である。スケジュール設定画面には、保守機能1から4がそれぞれの記号(○、△、×又は□)とともに示され、それぞれの保守機能についてタッチパネル上で実行の有無が選択されるようになっている。実行するボタンを押したときは、その保守機能の実行時刻が別の画面から入力できるようになり、時刻を入力すると、スケジュール設定画面の実行時刻の位置に表示される。
【0051】
スケジュール設定画面で設定されると、その保守機能を実行することがタッチパネルコントローラ108で認識され、その保守機能がスケジュール制御部110を介してスケジュールデータメモリ124のその指定された日、曜日又は期間の保守スケジュールとして保存される。
【0052】
スケジュール設定動作を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
装置の電源投入時にLCD102にはカレンダースケジュール画面130(図3)が表示される。カレンダースケジュール画面130は測定動作中も表示されるようにしてもよい。
【0054】
ユーザによりLCD102上に表示されているカレンダースケジュール画面130のいずれかの日の設定ボタン132,134,136が触れられると、タッチパネルコントローラ108がタッチパネルの信号を読み取り入力部112に通知する。設定ボタン132,134,136は、特に限定されるものではないが、この実施例では、一括入力の補助機能を起動する「一括入力」ボタン132、曜日の設定を行う曜日ボタン134及び各日設定を行う各日ボタン136である。
【0055】
入力部112はタッチパネルコントローラ108の情報から、触れられた位置の情報を取得し、画面制御部114へ通知する。画面制御部114は、通知された位置情報からどの日のボタンが押されたか判断し、その日に相当する一括入力選択画面(図4)又はスケジュール設定画面138(図6)を、LCDコントローラ104を制御してLCD102に表示する。一括入力選択画面(図4)からは期間指定の画面(図5など)を経てスケジュール設定画面138(図6)が表示される。
【0056】
ユーザによりスケジュール設定画面138の1又は複数の保守機能の実行の有無ボタンが触れられると、上記と同様にタッチパネルコントローラ108がタッチパネルの信号を読み取り入力部112に通知し、入力部112はタッチパネルコントローラ108の情報から、触れられた位置の情報を取得し、画面制御部114へ通知する。画面制御部114からの信号がLCDコントローラ104に送られることにより実行時刻の入力を行う画面が表示される。その画面上で実行時刻が入力されると、タッチパネルコントローラ108を経て画面制御部114は指定された保守機能と実行時刻をスケジュールデータとしてスケジュールデータメモリ124に保存する。この際、曜日の保守機能が新たに設定又は変更されると各日のデータにその内容がコピーされてスケジュールデータメモリ124に保存される。実施例では、各日のデータは、3ヶ月分まで保持される。
【0057】
測定動作時の動作を図8のフローチャートを参照して説明する。
【0058】
(a)オンライン測定が開始されると、画面制御部114から動作制御部120にオンライン測定開始の指示が送られ、動作制御部120は時間管理部122にオンライン測定動作が開始されたことを通知する。時間管理部122はオンライン測定動作の開始が通知されるとスケジュールデータメモリ124から各日のデータを読み出し、スケジュールの作成を行う。
【0059】
(b)時間管理部122はスケジュールに示された保守実行のタイミングになると動作制御部120に実行すべき保守機能を通知する。
【0060】
(c)動作制御部120は通知された内容の保守動作を行う。
【0061】
(d)時間管理部122は、週が更新されると1週間分のデータを削除し、曜日の設定を新しい1週間分のスケジュールとしてスケジュールデータメモリを更新する。
【0062】
(b)から(d)の動作は、測定動作中は繰り返し実行される。
【0063】
図9は、本発明の分析装置の他の実施例のTN/TP計の概略構成図である。
【0064】
試料水供給機構を兼ねた試薬供給機構202は、試料水や試薬の一定量を計量して採取し、酸化反応部であるリアクタ204に供給し、リアクタ204で酸化処理された試料を吸光度測定部206の測定セル206aへ導くためのものである。吸光度測定部206は酸化処理された試料水の吸光度を測定する。
【0065】
リアクタ204は、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液232の添加された水溶液試料に紫外線を照射したり、加熱して酸化反応させたりすることにより、試料水中の窒素化合物とリン化合物をそれぞれ硝酸イオンとリン酸イオンに酸化分解する。
【0066】
試薬供給機構202は、共通ポートと複数の分配ポートを備えた8ポートバルブ208、210と、8ポートバルブ208の共通ポートに接続されたシリンジポンプ212とで構成されており、8ポートバルブ210の共通ポートは連通管214を介して8ポートバルブ208の1つの分配ポートに接続されている。
【0067】
8ポートバルブ208のそれぞれの分配ポートには、試薬を供給するために、水酸化ナトリウム(NaOH)231につながる流路、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液232につながる流路、pH値を調整するために添加する塩酸233につながる流路、硫酸234につながる流路、モリブデン酸アンモニウム溶液235につながる流路、L−アスコルビン酸溶液236につながる流路がそれぞれ接続され、残りの1つの分配ポートは気体導入・排出路として大気に開放されている。
【0068】
8ポートバルブ210のそれぞれの分配ポートには、プラントなどからオンラインで試料を採取するためのオンライン試料用の流路、試料容器などから試料を採取するためのオフライン試料用の流路、校正液237につながる流路、反応部204につながる流路、希釈水238につながる流路、吸光度測定部206の測定セル206aにつながる流路がそれぞれ接続され、残りのポートはドレイン用ポートとなっている。
【0069】
8ポートバルブ208、210は制御部224により動作が制御されるパルスモータ(図示略)によって駆動されることにより、それぞれの分配ポートのいずれかのポートがそれぞれの8ポートバルブの共通ポートに接続される。
【0070】
制御部224は吸光度測定部206の出力を入力し、TN濃度やTP濃度を算出する。また、制御部224は8ポートバルブ208、210及びシリンジポンプ212の動作を制御する。制御部224には、表示装置225のほか、レコーダ等(図示略)が接続されている。
【0071】
制御部224は本発明における動作制御部と演算部を含んだものであり、図1の実施例における動作制御部28と演算部56を含んだものに相当する。制御部224はこのTN/TP計の専用のコンピュータであってもよく、汎用のパーソナルコンピュータを接続して実現されたものであってもよい。
【0072】
このTN/TP計において、全窒素測定時は、試料水中に存在する硝酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニウムイオン又は有機態窒素などの全ての窒素化合物は、試料水に試薬として酸化剤であるアルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム溶液が加えられ、リアクタ204で紫外線照射により又は120℃で30分間加熱されることにより硝酸イオンに変えられる。リアクタ204で酸化処理された試料は、その試料液のpHが2〜3に調整され、吸光度測定部206の測定セル206aにおいて波長220nmでの紫外線吸光度により硝酸イオン濃度が測定される。
【0073】
このTN/TP計において、全リン測定時は、全てのリン化合物をリン酸イオンに変えて測定する。そのため、試料水中に存在するリン酸イオン以外の加水分解性リンや有機態リンもリン酸イオンに変えるために、中性状態で試薬として酸化剤であるペルオキソ二硫酸カリウム溶液が添加され、リアクタ204で紫外線照射により又は120℃で30分間加熱されることにより、リン酸イオンに変えられる。リン酸イオンは特有の光吸収を持たないので、冷却後の試料液に試薬として発色剤であるモリブデン酸アンモニウム溶液とL−アスコルビン酸溶液が添加されて発色させられ、吸光度測定部206の測定セル206aにおいて波長880nmでの吸光度によりリン酸イオン濃度が測定される。
【0074】
このTN/TP計において、試料水中の有機汚濁物質濃度も測定することができる。有機汚濁物質測定時は、試料水はリアクタ204を経ないで吸光度測定部206の測定セル206aに導かれる。すなわち、試料水は酸化処理が施されることなく、測定セル206aおいて所定の波長、例えば波長220nm近傍での吸光度により有機汚濁物質濃度が測定される。
【0075】
このTN/TP計においても、表示装置225は図2,3に示された表示装置100と同様の構成をしており、表示される画面の内容は図4から図7に示されたものをTN/TP計用に変更したものとなる。
【符号の説明】
【0076】
18 試料注入機構
32 TC酸化反応部
40 ガス精製・流量制御部
46 赤外線ガス検出部
48 化学発光検出部
56 演算部
58 装置制御部
100 表示装置
102 LCD
104 LCDコントローラ
110 スケジュール制御部
112 入力部
114 画面制御部
120 動作制御部
122 時間管理部
12 スケジュールデータメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料導入部及び前記試料導入部から導入された試料中の成分を検出する検出部を少なくとも含む分析部と、
前記分析部における保守の内容と保守を行う日時を示すスケジュールのデータを保持するとともに、スケジュールの設定と更新がなされるスケジュールデータメモリと、
前記スケジュールデータメモリに保持されたスケジュールに従って前記分析部における保守動作を自動的に実行するように前記分析部を制御する装置制御部と、
タッチパネルつき液晶表示装置と、
前記液晶表示装置に表示する画面として、前記スケジュールデータメモリに保持されたスケジュールを少なくとも日付ごとに保守の内容とともに表示するカレンダースケジュール画面と、保守の内容を設定するためのスケジュール設定画面とを少なくとも作成して、前記液晶表示装置での画面表示を制御する液晶コントローラと、
前記タッチパネルが人に触れられた位置を認識するタッチパネルコントローラと、
前記タッチパネルコントローラからの信号に基づき、前記スケジュールデータメモリへのスケジュール設定を行うスケジュール制御部と、
を備えた分析装置。
【請求項2】
前記カレンダースケジュール画面はタッチパネル上に曜日ごとのスケジュール、及び各日毎のスケジュールの少なくとも1種類を設定するためのボタンを含んでおり、
前記スケジュール制御部はタッチパネル上で前記ボタンにより指定された種類の日について入力されたスケジュールの内容と時刻を前記スケジュールデータメモリへ保持させるものである請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記カレンダースケジュール画面は前記スケジュールデータメモリに設定された保守の内容をマークで表示する請求項1又は2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記カレンダースケジュール画面は、複数の日にまたがるスケジュールの設定を行うための入力補助機能を呼び出すボタンを含み、前記入力補助機能は少なくとも毎日のスケジュールの設定を行う機能を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記分析部は、測定対象の試料水を、時間を異ならせて繰り返して導入し測定する水質分析計を構成している請求項1から4のいずれか一項に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−19701(P2013−19701A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151187(P2011−151187)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】