説明

カレンダーロールアイロナーの洗濯物搬送装置

【課題】カレンダーロールアイロナーにおける公知の洗濯物搬送機構を改良して、ガイドプレート等の補助的ガイド部材を設ける必要無く、洗濯物を確実に受け渡しして搬送する技術を提供する。
【解決手段】(A)図は耐熱ベルトによって搬送される洗濯物の受け渡し区域の平面図である。(A)図のb−b断面を(B)図に、c−c断面を(C)図に、それぞれ示した。
耐熱ベルトが1段目ガイドロール1と2段目ガイドロール2とに巻き掛けられてなる間隙Gbと、耐熱ベルトが3段目ガイドロール3と4段目ガイドロール4とに巻き掛けられてなる間隙Gcとが、(A)図において仮想の線Z−Zに沿って、その両側に交互に配置されている。それぞれの耐熱ベルトは矢印f方向に進行し、これに載せられた洗濯物(図示省略)は矢印F方向に搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の加熱ロールを設けたカレンダーロールアイロナーに係り、前記複数本の加熱ロール間において洗濯物を受け渡しする機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カレンダーロールアイロナーは一般に、回転する加熱ロールに無端環状の耐熱ベルトを巻き掛けて周回動させる構造である。該耐熱ベルトは、洗濯物を加熱ロールに圧しつけてプレスする役目と、洗濯物を載せて搬送する役目とを兼ねている。
この方式のカレンダーロールアイロナーにおいては、隣接する加熱ロールの耐熱ベルト間で洗濯物の受け渡しをしなければならない。
【0003】
図6は、公知(特開平10−314499)の洗濯物受け渡し機構の断面図である。
耐熱ベルト17はガイドロール15に案内されて矢印f→e方向に周回動している。前記耐熱ベルト17に載せられて矢印f方向に搬送される洗濯物18を次工程へ受け渡すために、該洗濯物を耐熱ベルト17から離脱させる必要が有る。このため、ガイドテーブル19にガイドプレート20が装着されている。
ガイドロール15を通過した耐熱ベルト17は矢印e方向に進み、洗濯物18はガイドプレート20に案内されて矢印d方向に放出され、次工程の搬送部材(図示省略)に渡される。
【特許文献1】特開平10−314499号公報
【特許文献2】特開2007−111122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6に示した公知発明に係る洗濯物受け渡し装置は特許第3145653号として登録され、ベルトの損耗を抑制するという実用的な卓効を奏し、今日に至るまで大いに賞用されている。
その後10年の間に、洗濯物受け渡し装置の適用対象であるアイロナーの改良が進み、アイロナーの進歩に対応して洗濯物受け渡し装置も更なる改良が望まれるようになった。
例えば、ガイドテーブル19やガイドプレート20の上に埃が溜まり、その清掃に労力を要するとか、溜まった埃が落下し洗濯物に付着して品質を落とす、とかいった問題の対策改良が望まれている。
【0005】
本発明は以上に述べた事情に鑑みて為されたものであって、その目的は、前記ガイドプレートのように補助的なガイド部材を設ける必要が無く、該補助的ガイド部材に埃が溜まる虞の無い、全く新規な洗濯物受け渡し機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の構成は、複数本の加熱ロールのそれぞれに対して無端環状の耐熱ベルトが巻き掛けられていて、前記の耐熱ベルトが「洗濯物を加熱ロールに圧し付けてプレスする機能」と「洗濯物を搬送する機能」とを有しているカレンダーロールアイロナーにおいて、
それぞれの加熱ロールに対して多数の耐熱ベルトが巻き掛けられ周回しており、
入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトと、出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトとが対向する箇所に洗濯物を受け渡しする間隙が形成されていて、
当該カレンダーロールアイロナーの平面図上で前記多数の耐熱ベルトが、洗濯物の搬送方向と平行に配列されており、
平面図上で前記の間隙が、搬送方向と直角な仮想の水平線の付近に並び、かつ、該仮想の水平線よりも入口側に位置する間隙と、出口側に位置する間隙とが、交互に配列されていることを特徴とする。
その要点を、1実施形態に対応する図1を参照して考察すると、広幅耐熱ベルト(5)と細目耐熱ベルト(6)との間隙(Gb,Gc)が、仮想の水平線Z−Zよりも入口側と水平線Z−Zよりも出口側とに交互に配列されている。
【0007】
請求項2に係る発明の構成は、複数本の加熱ロールのそれぞれに対して無端環状の耐熱ベルトが巻き掛けられていて、 前記の耐熱ベルトが「洗濯物を加熱ロールに圧し付けてプレスする機能」と「洗濯物を搬送する機能」とを兼ねているカレンダーロールアイロナーにおいて、
それぞれの加熱ロールに対して多数の耐熱ベルトを巻き掛けるとともに、該耐熱ベルトを案内する多数のガイドロールを設け、
入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトと、出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトとが対向する箇所に洗濯物受け渡し区域を形成し、この洗濯物受け渡し区域に4本のガイドロールを設けて、入口寄りの加熱ロール側から出口寄りの加熱ロール側に向かって順次に1段目ガイドロール、2段目ガイドロール、3段目ガイドロール、及び4段目ガイドロールと名付け、
入口側加熱ロールの耐熱ベルトを1段目ガイドロールに巻き掛けるとともに、出口側加熱ロールの耐熱ベルトを2段目ガイドロールに巻き掛けて、双方の耐熱ベルトを対向させた洗濯物受け渡し間隙をB形の受け渡し間隙と名付け、
入口側加熱ロールの耐熱ベルトを3段目ガイドロールに巻き掛けるとともに、出口側加熱ロールの耐熱ベルトを4段目ガイドロールに巻き掛けて、双方の耐熱ベルトを対向させた洗濯物受け渡し間隙をC形の受け渡し間隙と名付け、
洗濯物の搬送方向と直交する仮想の水平線に沿って、B形の受け渡し間隙とC形の受け渡し間隙とを交互に配列したことを特徴とする。
その要点を、1実施形態に対応する図1を参照して考察すると、仮想の水平線Z−Zに沿って、B形の受け渡し間隙GbとC形の受け渡し間隙Gcとが、該水平線Z−Zの入口側(図において左側)と、水平線Z−Zの出口側(図において右側)とに交互に配列されている。
【0008】
請求項3に係る発明の構成は、前記請求項1または請求項2に記載した構成要件に加えて、出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトの周回速度が、入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトの周回速度よりも速いことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明の構成は、前記請求項3に記載した発明の構成要件に加えて、B形の受け渡し間隙を形成している入口側耐熱ベルトの幅寸法を、出入口側耐熱ベルトの幅寸法よりも大きくし、又は小さくし、
C形の受け渡し間隙を形成している入口側耐熱ベルトの幅寸法を、出入口側耐熱ベルトの幅寸法を、(前記B形受け渡し間隙における大小関係と反対に)小さくし、又は大きくして、
2段目ガイドロールと3段目ガイドロールとの間において、隣接する耐熱ベルトの間にセンチメートル単位の間隙を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明の構成は、複数本の加熱ロールのそれぞれに対して無端環状の耐熱ベルトが巻き掛けられていて、 前記の耐熱ベルトが「洗濯物を加熱ロールに圧し付けてプレスする機能」と「洗濯物を搬送する機能」とを有しているカレンダーロールアイロナーにおいて、
それぞれの加熱ロールに対して多数の耐熱ベルトを巻き掛けるとともに、該耐熱ベルトを案内する多数のガイドロールを設け、
入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトと、出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトとが対向する箇所に洗濯物受け渡し区域を形成し、この洗濯物受け渡し区域に3本のガイドロールを設けて、入口寄りの加熱ロール側から出口寄りの加熱ロール側に向かって順次に1段目ガイドロール、2段目ガイドロール、及び3段目ガイドロールと名付け、
入口側加熱ロールの耐熱ベルトを1段目ガイドロールに巻き掛けるとともに、出口側加熱ロールの耐熱ベルトを2段目ガイドロールに巻き掛けた受け渡し間隙と、
入口側加熱ロールの耐熱ベルトを2段目ガイドロールに巻き掛けるとともに、出口側加熱ロールの耐熱ベルトを3段目ガイドロールに巻き掛けた受け渡し間隙とを、
洗濯物の搬送方向と直交する仮想の水平線(Z−Z)に沿って、その入口側と出口側とに交互に配列したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明を適用すると、入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトと、出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトとが対向して洗濯物を受け渡しする間隙が、搬送方向と直角な仮想の水平線の付近に並び、かつ、該水平線の入口側に位置する間隙と、出口側に位置する間隙とが交互に配列されているので、入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトと、出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトとが対向している受け渡し区域が広がりを有する(洗濯物の搬送方向に広がりを有する)。このため、入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトが洗濯物を送り終わるまでに、出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトが洗濯物を受け取る。このようにして、ガイドテーブルやガイドプレートを設けることなく、ガイドロールの配置と耐熱ベルトの巻き掛け方とを工夫することによって、洗濯物の円滑かつ確実な受け渡しができる。
【0012】
請求項2の発明を適用すると、入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトと、出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトとが対向する洗濯物受け渡し区域に、4本のガイドロールを設けて、
入口側加熱ロールの耐熱ベルトを1段目ガイドロールに巻き掛けるとともに、出口側加熱ロールの耐熱ベルトを2段目ガイドロールに巻き掛けたB形の受け渡し間隙と、耐熱ベルトを3段目ガイドロールに巻き掛けるとともに、出口側加熱ロールの耐熱ベルトを4段目ガイドロールに巻き掛けたC形の受け渡し間隙とを、洗濯物の搬送方向と直交する仮想の水平線に沿って交互に配列したので、該水平線よりも入口側に位置する耐熱ベルトが洗濯物を送り終わるまでに、出口側に位置する耐熱ベルトが洗濯物を受け取る。
このようにして、ガイドテーブルやガイドプレート等の補助的なガイド部材を設けることなく、ガイドロールの配置と耐熱ベルトの巻き掛け方とを工夫することによって、洗濯物の円滑かつ確実な受け渡しができる。
【0013】
請求項3の発明を、前記請求項1または請求項2に記載した発明に併せて適用すると、
出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトの周回速度が、入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトの周回速度よりも速いので、受け渡し箇所において洗濯物が張力を受け、皺を伸ばされて洗濯品質が向上する。
【0014】
請求項4の発明を前記請求項3の発明に併せて適用すると、2段目ガイドロールと3段目ガイドロールとの間で、隣接する耐熱ベルトの間に間隙を形成される。前記の「2段目ガイドロールと3段目ガイドロールとの間」は、速度差を有する出口側耐熱ベルトと入口側耐熱ベルトとが互いに隣接し合う区域に相当する。この区域で双方の耐熱ベルトに間隙ができるので、速度差を有する双方の耐熱ベルトが摩擦する虞れが無い。
【0015】
請求項5の発明は前記請求項2の簡略形である。すなわち、請求項2では4本のガイドロールを設けたが、請求項5はガイドロールを1本省略して3本にした。
構成が簡単になって、装置全体が小形軽量化される。ただし、請求項3を併せて実施して耐熱ベルトに速度差を与えることができず、洗濯物の皺伸ばし効果が得られない。しかし、埃が溜まらない機構としては有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の構成は単純明快なのであるが、多数の平面図と多数の正面図とを対照して立体的形状をイメージして頂かねばならない。
図2(B)は本実施形態の正面断面図、図3(B)も本実施形態の正面断面図である。
よく似ているが、若干異なっている。異なっているのは切断面が違うからである。
両者に共通して、洗濯物を矢印Inのように投入される第1加熱ロール7と、第2加熱ロール8と、第3加熱ロール9とが配列されている。
また両者に共通して、3本の加熱ロール毎に無端環状の耐熱ベルトが巻き掛けられるとともに、第1加熱ロール7と第2加熱ロール8との境界付近に4個のガイドロール1、2、3、4が配列されている。
さらに両者に共通して、3本の加熱ロールはそれぞれ付記した円弧矢印のように左回り(反時計)方向に回転し、3本の耐熱ベルトはそれぞれ付記した直線矢印f方向に周回動している。
第2加熱ロール8と第3加熱ロール9との境界付近も前記と類似の構成であるが、詳しくは後に説明することとして、先ず第1加熱ロール7と第2加熱ロール8との境界付近の構成を詳述する。
【0017】
図2(B)の断面正面図と図3(B)の断面正面図とは似ているが少し違う。その違いはベルトの掛け方であって、異なる面で切断されているために両者の差異が現れている。詳しくは次のとおりである。
この実施形態では、相対的に広幅の耐熱ベルト5と、相対的に細目の耐熱ベルト6とが用いられている。
図2(B)の断面図においては、広幅耐熱ベルト5が第1加熱ロール7に巻き掛けられるとともに、4本のガイドロールのうち1段目のガイドロール1だけに、この広幅耐熱ベルト5が巻き掛けられている。
そして、細目耐熱ベルト6が第2加熱ロール8に巻き掛けられるとともに、前記4本のガイドロールのうち2段目ガイドロール2、3段目ガイドロール3、及び4段目ガイドロール4に、この細目耐熱ベルト6が巻き掛けられている。
この状態を平面図に描くと図2(A)のようになる。
【0018】
図3(B)の断面図においては、細目耐熱ベルト6が第1加熱ロール7に巻き掛けられ、かつ、4本のガイドロールのうち1段目のガイドロール1、2段目ガイドロール2、及び3段目ガイドロール3に、この細目耐熱ベルト6が巻き掛けられている。
そして、広幅耐熱ベルト5が第2加熱ロール8に巻き掛けられるとともに、前記4本のガイドロールのうち4段目ガイドロール4だけに、この広幅耐熱ベルト5が巻き掛けられている。
この状態を平面図に描くと図3(A)のようになる。
【0019】
本実施形態においては、前記図2(A)のように入口側の広幅耐熱ベルト5が1段目ガイドロール1に巻き掛けられるとともに、出口側の細目耐熱ベルト6が2段目ガイドロール2に巻き掛けられている箇所と、図3(A)のように入口側の細目耐熱ベルト6が3段目ガイドロール3に巻き掛けられるとともに、出口側の広幅耐熱ベルト5が4段目ガイドロール4に巻き掛けられている箇所とが有り、前記双方の形態の箇所がガイドロールの長手方向に交互に配列されている。その状態を図1(A)に示す。
図1(A)は本実施形態の洗濯物受け渡し区域の平面図であって、そのb−b断面を図1(B)に示す。
【0020】
この図1(B)では、入口側の加熱ロール(図外)の広幅耐熱ベルト5が1段目ガイドロール1に巻き掛けられるとともに、出口側の加熱ロール(図外)の細目耐熱ベルト6が2段目ガイドロール2に巻き掛けられて対向し、洗濯物を受け渡す間隙が形成されている。この状態は前掲の図2(A)と同じである。
説明の便宜上、図1(B)に現れている形態の耐熱ベルト間隙をB形の受け渡し間隙と名付け、符号Gbを付した。
図1(A)のc−c断面を図1(C)に示す。この断面では、入口側の加熱ロール(図外)の細目耐熱ベルト6が1段目ガイドロール1に巻き掛けられるとともに、出口側の加熱ロールの広幅耐熱ベルト5が2段目ガイドロール2に巻き掛けられて対向し、洗濯物を受け渡す間隙が形成されている。この状態は前掲の図3(A)と同じである。
説明の便宜上、図1(C)に現れている形態の耐熱ベルト間隙をC形の受け渡し間隙と名付け、符号Gcを付した。
【0021】
この実施形態の平面図である図1(A)には、前記B形の受け渡し間隙GbとC形の受け渡し間隙Gcとが現れている。
図1全体として洗濯物は図の左方から右方へ矢印F方向に送られている。そして平面図である図1(A)のように、多数の耐熱ベルトが矢印F方向と平行に配列されている。
この図1(A)には、入口側の加熱ロール(図外)の耐熱ベルトと出口側の加熱ロール(図外)の耐熱ベルトとの間で洗濯物を受け渡しする区域が描かれている。図示の線Z−Zは説明の便宜上のもので、洗濯物受け渡し区域において搬送方向(矢印F)に直交する仮想の水平線である。
【0022】
前記の受け渡し間隙は、概要的に仮想の線Z−Zに沿って配列されており、詳しくは、前記B形の受け渡し間隙GbとC形の受け渡し間隙Gcとが、線Z−Zよりも入口側寄りと出口側寄りとに交互に配列されている。
搬送方向に対向する2本の耐熱ベルト間の洗濯物受け渡し間隙が、搬送方向に前後して配置されているので、入口側の耐熱ベルトが洗濯物を放出する以前に出口側の耐熱ベルト
が該洗濯物を受け取ることになる。
このような作用によって、ガイドプレート等の補助的なガイド部材を設ける必要無く、ガイドロールの配置とベルトの掛け回し方との工夫によって洗濯物を円滑に受け渡して搬送することができる。従って、ガイドプレートに起因するトラブル(例えば埃が溜まること)を完全に解消することができる。
【0023】
本実施形態においては、入口側加熱ロールの耐熱ベルト(図において左側)の周回速度よりも出口側の加熱ロールの耐熱ベルト(図において右側)の周回速度が数パーセント程度速く設定されている。
このため、洗濯物が入口側の耐熱ベルトから出口側の耐熱ベルトに受け渡しされる際、渡そうとする側の搬送速度よりも受け取ろうとする側の搬送速度が大きく、洗濯物が張力を受ける。このため該洗濯物が張力を受け、皺を伸ばされる。
図1(A)に描かれている洗濯物の受け渡し区域において、低速の入口側耐熱ベルトと高速の出口側耐熱ベルトとが櫛の歯状に対向して併走しているので、両者が接触すると摩擦を生じるので好ましくない。
このため前述の如く広幅耐熱ベルト5と細目耐熱ベルト6とが交互に配置されていて、
数センチメートル程度の間隙Gが形成されている。
【0024】
図1ないし図3に描かれている実施形態について、第1加熱ロール7と第2加熱ロール8との間で洗濯物を受け渡しする4本のガイドロール、すなわち1段目ガイドロール1と、2段目ガイドロール2と、3段目ガイドロール3と、4段目ガイドロール4とによって形成されている洗濯物受け渡し区域の構成を以上に説明した。
図2及び図3に示したように、第2加熱ロール8と第3加熱ロール9との間にも洗濯物受け渡し区域が形成されており、後部第1ガイドロール11と、後部第2ガイドロール12と、後部第3ガイドロール13と、後部第4ガイドロール14とが配置されている。
この「第2加熱ロール8と第3加熱ロール9との間に形成されている洗濯物受け渡し区域」の構成は、前述した「第1加熱ロール7と第2加熱ロール8との間に形成されている洗濯物受け渡し区域」の構成と、基本的には同様である。
【0025】
前記「第1加熱ロール7と第2加熱ロール8との間に形成されている洗濯物受け渡し区域」と「第2加熱ロール8と第3加熱ロール9との間に形成されている洗濯物受け渡し区域」との両方を含む全体的な平面図を図4に示す。
加熱ロールの設置個数がNである場合、N−1個の受け渡し区域を設けることにより、洗濯物が投入される入口から、プレス仕上げされた洗濯物が搬出される出口までの搬送を行なうことができる。
【0026】
図1〜図4に示した実施形態においては4本のガイドロール、すなわち1段目ガイドロール1と、2段目ガイドロール2と、3段目ガイドロール3と4段目ガイドロール4とがもうけられていた。次に、その簡略形について述べる。
図5は簡略形の洗濯物受け渡し区域の平面図を示し、前記実施形態における図1(A)に対応する。
ガイドロールの配置について見ると、図1(A)の構成から4段目ガイドロール4を省略した構成になっている。ベルト幅に差を設けないで、一定幅寸法の耐熱ベルト17が用いられている。
搬送方向Fに関して入口側の耐熱ベルト17が、一つ置きに1段目ガイドロール1と2段目ガイドロール2とに巻き掛けられるとともに、出口側の耐熱ベルト17が一つ置きに3段目ガイドロール3と2段目ガイドロール2とに巻き掛けられている。
【0027】
図5のように構成しても、図1〜図4の実施形態におけると同様に、ガイドプレート等の補助的なガイド部材を設ける必要無く、ガイドロールの配置とベルトの掛け回し方との工夫によって洗濯物を円滑に受け渡して搬送することができる。従って、ガイドプレートに起因するトラブル(例えば埃が溜まること)を完全に解消することができる。
ただし、図5の実施形態においては、入口側の耐熱ベルトも出口側の耐熱ベルトも共通の2段目ガイドロール2に巻き掛けられているので、両者の周回速度に差を設けて洗濯物の皺を伸ばすことはできない。
ベルトの周回速度に差を設けて自動的に皺を伸ばすには、洗濯物の受け渡し区域に4本のガイドロールを設ける必要が有る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の1実施形態を示し、(A)は洗濯物受け渡し区域の平面図、(B)はそのb−b断面図、(C)は同じくc−c断面図である。
【図2】(B)は前記実施形態のb−b断面に対応する全体的な断面正面図、(A)はその平面図である。
【図3】(B)は前記実施形態のc−c断面に対応する全体的な断面正面図、(A)はその平面図である。
【図4】前記実施形態における全体的な平面図である。
【図5】前記と異なる実施形態を示し、洗濯物受け渡し区域のガイドロールと耐熱ベルトとの平面図である。
【図6】公知発明に係る洗濯物案内機構の部分的断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1…1段目ガイドロール
2…2段目ガイドロール
3…3段目ガイドロール
4…4段目ガイドロール
5…広幅耐熱ベルト
6…細目耐熱ベルト
7…第1加熱ロール
8…第2加熱ロール
9…第3加熱ロール
10…折返しガイドロール
11…後部第1ガイドロール
12…後部第2ガイドロール
13…後部第3ガイドロール
14…後部第4ガイドロール
15…ガイドロール
16…後端ガイドロール
17…耐熱ベルト
18…洗濯物
19…ガイドテーブル
20…ガイドプレート
b−b…B形受け渡し箇所を通る面
c−c…C形受け渡し箇所を通る面
d…公知例における耐熱ベルトの進行方向を表す矢印
e…公知例における洗濯物の進行方向を表す矢印
F…洗濯物の搬送方向を表す矢印
f…耐熱ベルトの進行方向を表す矢印
G…広幅耐熱ベルトと細目耐熱ベルトとの間隙寸法
Gb…B形受け渡し箇所
Gc…C形受け渡し箇所
g…耐熱ベルトが対向して洗濯物を受け渡す間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の加熱ロールのそれぞれに対して無端環状の耐熱ベルトが巻き掛けられて周回動し、該耐熱ベルトが、洗濯物を加熱ロールに圧し付けてプレスする機能と、洗濯物を搬送する機能とを有しているカレンダーロールアイロナーにおいて、
それぞれの加熱ロールに対して多数の耐熱ベルトが巻き掛けられており、
入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトと、出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトとが対向する箇所に洗濯物を受け渡しする間隙が形成されていて、
当該カレンダーロールアイロナーの平面図上で前記多数の耐熱ベルトが、洗濯物の搬送方向と平行に配列されており、
平面図上で前記の間隙が、搬送方向と直角な仮想の水平線の付近に並び、かつ、該仮想の線よりも入口側に位置する間隙と、出口側に位置する間隙とが、交互に配列されていることを特徴とする、カレンダーロールアイロナーの洗濯物搬送装置。
【請求項2】
複数本の加熱ロールのそれぞれに対して無端環状の耐熱ベルトが巻き掛けられていて、 前記の耐熱ベルトが、洗濯物を加熱ロールに圧し付けてプレスする機能と、洗濯物を搬送する機能とを有しているカレンダーロールアイロナーにおいて、
それぞれの加熱ロールに対して多数の耐熱ベルトを巻き掛けるとともに、該耐熱ベルトを案内する多数のガイドロールを設け、
入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトと、出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトとが対向する箇所に洗濯物受け渡し区域を形成し、この洗濯物受け渡し区域に4本のガイドロールを設けて、入口寄りの加熱ロール側から出口寄りの加熱ロール側に向かって順次に1段目ガイドロール、2段目ガイドロール、3段目ガイドロール、及び4段目ガイドロールと名付け、
入口側加熱ロールの耐熱ベルトを1段目ガイドロールに巻き掛けるとともに、出口側加熱ロールの耐熱ベルトを2段目ガイドロールに巻き掛けて、双方の耐熱ベルトを対向させた洗濯物受け渡し間隙をB形の受け渡し間隙と名付け、
入口側加熱ロールの耐熱ベルトを3段目ガイドロールに巻き掛けるとともに、出口側加熱ロールの耐熱ベルトを4段目ガイドロールに巻き掛けて、双方の耐熱ベルトを対向させた洗濯物受け渡し間隙をC形の受け渡し間隙と名付け、
洗濯物の搬送方向と直交する仮想の水平線に沿って、B形の受け渡し間隙とC形の受け渡し間隙とを交互に配列したことを特徴とする、カレンダーロールアイロナーの洗濯物搬送装置。
【請求項3】
出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトの周回速度が、入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトの周回速度よりも速いことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載したカレンダーロールアイロナーの洗濯物搬送装置。
【請求項4】
前記B形の受け渡し間隙における入口側耐熱ベルトの幅寸法を、出入口側耐熱ベルトの幅寸法よりも大きくし、又は小さくし、
前記C形の受け渡し間隙における入口側耐熱ベルトの幅寸法を、出入口側耐熱ベルトの幅寸法よりも、小さくし、又は大きくして、
B形受け渡し間隙における耐熱ベルトの大小関係と、C形受け渡し間隙における耐熱ベルトの大小関係とを反対に設定することにより、2段目ガイドロールと3段目ガイドロールとの間において、隣接する耐熱ベルトの間に間隙を形成したことを特徴とする、請求項3に記載したカレンダーロールアイロナーの洗濯物搬送装置。
【請求項5】
複数本の加熱ロールのそれぞれに対して無端環状の耐熱ベルトが巻き掛けられていて、 前記耐熱ベルトが、洗濯物を加熱ロールに圧し付けてプレスする機能と、洗濯物を搬送する機能とを有しているカレンダーロールアイロナーにおいて、
それぞれの加熱ロールに対して多数の耐熱ベルトを巻き掛けるとともに、該耐熱ベルトを案内する多数のガイドロールを設け、
入口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトと、出口側に位置する加熱ロールの耐熱ベルトとが対向する箇所に洗濯物受け渡し区域を形成し、この洗濯物受け渡し区域に3本のガイドロールを配設して、入口寄りの加熱ロール側から出口寄りの加熱ロール側に向かって順次に1段目ガイドロール、2段目ガイドロール、及び3段目ガイドロールと名付け、
入口側加熱ロールの耐熱ベルトを1段目ガイドロールに巻き掛けるとともに、出口側加熱ロールの耐熱ベルトを2段目ガイドロールに巻き掛けた受け渡し間隙と、
入口側加熱ロールの耐熱ベルトを2段目ガイドロールに巻き掛けるとともに、出口側加熱ロールの耐熱ベルトを3段目ガイドロールに巻き掛けた受け渡し間隙とを、
洗濯物の搬送方向と直交する仮想の水平線に沿って、洗濯物搬送方向に関して入口側と出口側と、交互に配列したことを特徴とする、カレンダーロールアイロナーの洗濯物搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−254409(P2009−254409A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103878(P2008−103878)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(390027421)株式会社東京洗染機械製作所 (47)