説明

カレンダーロールアイロナー

【課題】ロールアイロナーの前後の投入機と畳み機を含んで全体で省スペースが実現でき、また不良品の被洗物を加熱ロールの手前で検出して除去することができるカレンダーロールアイロナーを提供する。
【解決手段】アイロナーの入口から投入される被洗物を、入口に最も近い1番目に位置する第2加熱ロール15の上方を通過搬送して2番目に位置する第1加熱ロール13に巻き付けて無端ベルトとの間で加熱プレスし、その後第2加熱ロールに巻き付けて無端ベルトとの間で加熱プレスするとともに、入口と第1加熱ロールの間に、搬送される被洗物のキズ・汚れを検出して良品搬送ラインから除去するためのセンサー17とリフト部材18とからなる不良品検出除去手段を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続洗濯設備において、連続洗濯機で洗濯され、その後、脱水機により脱水された被洗物を連続して自動的に乾燥、プレス仕上げし、その後、被洗物を次工程の畳み機へと送るカレンダーロールアイロナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連続洗濯設備において、洗濯・脱水された被洗物を、連続してプレス仕上げする装置としてカレンダーロールアイロナーが用いられている。このカレンダーロールアイロナーは、複数本の回転する加熱ロールと、この加熱ロールに密接して移動する耐熱性の無端ベルトとの間に被洗物を挟み込んで押さえながら回転移送することにより、被洗物の皺を伸ばしてプレス仕上げして乾燥させるものである。
【0003】
本願発明者は、カレンダーロールアイロナーによるプレス仕上げ・乾燥の作業をさらに一層効率化すべく、これまで数多くの改良を加えている。それは、装置を小型化するために加熱ロールの本数を減らすこと、また乾燥時間を短縮するために被洗物の搬送速度を増すこと、さらに効率的に乾燥させるためにベルトの通気度を増すこと等、である。例えば、従来のカレンダーロールアイロナーは4本又はそれ以上の加熱ローラを備えていたが、効率化を図るとともに省スペース化を実現すべく加熱ローラを3本構成としたアイロナーを案出した(特許文献1参照)。
さらに効率化を図って、2本の加熱ローラを備えるカレンダーロールアイロナーも案出されている。そして、このカレンダーロールアイロナーは、その前後に、図2に示すように、脱水した被洗物を拡げてカレンダーロールアイロナー51の投入口に送出する投入機52と、カレンダーロールアイロナー51の送出口から送出される被洗物を受け取ってこれを1/2、1/4、1/8と順に折り畳む畳み機53が設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−254410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のカレンダーロールアイロナーにおいても、更に改良すべき点があった。それは、洗濯されて脱水された被洗物の中には、破れ・シミ等が生じて廃棄されるべき不良品も混じっている。これをラインから除去するための従来の機構では、アイロナーで乾燥・仕上げした後の、畳み機に投入する直前でセンサーを用いて行われていた。できることなら、被洗物をアイロナーで仕上げ・乾燥する前に不良品を検出・除去できれば、余分な処理を行わずに済み、またシミのある被洗物を加熱せずに再洗いしてシミを落としやすいのであるが、従来のアイロナーは、投入機から送られる被洗物を手前側の加熱ロールでロール下方に巻き込む構造であることから、センサー及び除去手段を配置するスペースがアイロナー入口近傍にはなかった。
【0006】
一方、加熱ロールの本数を減らすなどして装置そのものを小型化して省スペースに寄与することはできたものの、前工程の投入機52とアイロナー51との間隙、及び後工程のアイロナー51と畳み機53との間隙は一定程度の幅があって、無駄な空間となっていた。これは、投入機とアイロナーと畳み機とはそれぞれ別のメーカーが製造して、使用者がそれらを組み合わせて現場で設置することがあり、そのため投入機と畳み機は各種のアイロナーに対しても対応できるように、高さ等が調節可能なアーム機構、すなわち投入機における前部渡しアーム54、及び畳み機における受け取りアーム55が必要となり、これらのアームの下部が無駄なスペースとなっていた。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、被洗物の不良品をアイロナーの加熱ロールの手前で検出して除去することができるカレンダーロールアイロナーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記解決課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者は、投入機から見てカレンダーロールアイロナーの奥側の加熱ロールに対して、被洗物を上から下へと回転搬送させることにより、被洗物を加熱ロールに投入する手前で、不良品の検出及び除去を可能とし、さらに後工程の畳み機から見て奥側の加熱ロールからの長い距離を送出される被洗物に対し、畳み機の一部の工程を組み込むことができるカレンダーロールアイロナーを案出するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、水平方向に連設する複数本の回転する加熱ロールと、該加熱ロールに巻き付けられて周回する無端ベルトとを備え、前記加熱ロールと無端ベルトとの間に被洗物を挟み込んでプレスするカレンダーロールアイロナーにおいて、当該アイロナーの入口から投入される被洗物は該入口に最も近い1番目に位置する第1の加熱ロールの上方を通過搬送されて2番目若しくはそれ以降に位置する第2の加熱ロールに巻き付けられて前記無端ベルトとの間で加熱プレスされ、その後前記第1の加熱ロールに巻き付けられて前記無端ベルトとの間で加熱プレスされるとともに、前記入口から前記第2の加熱ロールの間に、搬送される被洗物のキズ・汚れを検出して良品搬送ラインから除去する不良品検出除去手段を配設することを特徴とする。
これにより、キズ・汚れのある不良品の被洗物を加熱ロールの手前で検出して除去することができ、無駄な加熱処理や検出した汚れを落ちづらくすることがなくなる。
【0010】
本発明のカレンダーロールアイロナーは、不良品検出除去手段は、被洗物を撮影するカメラと、該カメラが撮影する被洗物の画像中にキズ・汚れの有無を検出する画像診断手段と、該画像診断手段が不良品であると判断した場合に、搬送されている被洗物を良品搬送ラインから除去する不良品除去手段とからなることを特徴とする。
これにより、高速で移送する被洗物の不良品の有無を即座に判定して除去することができる。
【0011】
本発明のカレンダーロールアイロナーは、被洗物は、アイロナーの入口から第1の加熱ロールの上方を通過する通気性を有するベルト上を搬送されることを特徴とする。
これにより、被洗物は第1の加熱ロールの上方を通過しつつ加熱され、その分だけ加熱ロールで使用する蒸気量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のカレンダーロールアイロナーとその前後に設置される投入機及び畳み機の設置状態を示す説明図である。
【図2】従来のカレンダーロールアイロナーとその前後に設置される投入機及び畳み機の設置状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のカレンダーロールアイロナーを実施するための形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態を例示する図である。
【0014】
図1は、本発明に係るカレンダーロールアイロナー1と、その手前に配置され被洗物をアイロナー1に投入する投入機3と、アイロナー1から送出される被洗物を受け取って1/2、1/4、1/8と順に折り畳む、畳み機4を配置した状態を示している。
このカレンダーロールアイロナー1は、図示しない連続洗濯機、脱水機から送られてくる洗濯・脱水されたシーツ等の被洗物を、投入機3を経て取り入れて自動的にロールプレスするという連続洗濯設備の一工程を担うものであり、本実施例にあっては、加熱ロールをほぼ水平方向に2本備えたカレンダー式のカレンダーロールアイロナーを例にとって説明する。もちろん、加熱ロールを3本以上備えたカレンダーロールアイロナーにおいても本発明を適用することができるものである。
【0015】
カレンダーロールアイロナー1は、図1に示すごとく、装置の左側の上部に、投入機3の前部渡しアーム31から送出される被洗物が投入される入口11を設け、そこから被洗物は通気性を有する無端ベルト12に案内されて装置の右側に配置された第1加熱ロール13へと移送される。
第1加熱ロール13は、図1に示すように、時計回りに回転し、これに密接して移動する次の通気性を有する耐熱性の無端ベルト14との間で被洗物を挟み込んで、被洗物を上、右、下、左の順に時計回りに移送される。
【0016】
第1加熱ロール13から送り出された被洗物は、装置の左側に配置された第2加熱ロール15の上部に送られる。
第2加熱ロール15は、図1に示すように、反時計回りに回転し、これに密接して移動する次の無端ベルト16との間で被洗物を挟み込んで、被洗物を上、左、下、右の順に反時計回りに移送される。
【0017】
すなわち、水平方向に加熱ロールが連設するこれまでのカレンダーロールアイロナーでは、その入口から投入された被洗物は、入口に一番近い加熱ロールから順に隣接する加熱ロールへと移送されていくのが通常であるのに対し、本実施形態にあっては、一番近い加熱ロールを通過して2番目に位置する加熱ロールに被洗物を送り、それから入口側の加熱ロールに移送するという構成としているものである。
これは、ロールアイロナー1内の被洗物の移送距離が長くなり、無端ベルト12が長くなるものの、これにより生じる筐体内の余域を有効に利用することにより、後述する被洗物の不良品除去手段を設けることができるという、これまでにない機能を備えることができる。
【0018】
カレンダーロールアイロナー1の入口11から投入された被洗物は、無端ベルト12上を移送する間に、ベルト上方に配置されたセンサー17により、破れ・シミ等の不良の有無をチェックされる。例えば、カメラにより被洗物の表面を撮影し、その画像データ中にキズ・汚れがないかを画像診断ソフトウェアを用いてチェックすることができる。そして、このセンサー17により不良品と判定された被洗物は、センサー17の下流となる無端ベルト12の中途部分に配置されたリフト部材18により、無端ベルト12から上方に持ち上げられてバイパス用ベルト19に乗せられて不良品置き場へと搬送される。
【0019】
一方、第2加熱ロール15を通り過ぎた被洗物は、筐体の底面に配置された搬送手段により装置筐体の下部を通過して右端の出口まで移送される。この比較的長い搬送手段を畳み機4と一体的な構成として被洗物長さの測定が可能となり、本実施形態のカレンダーロールアイロナーと、その前後に投入機及び畳み機を配置した装置全体の長さを、約1600mm、約15〜18%小さくすることができ、省スペース化に大いに貢献することができる。
【0020】
さらに、カレンダーロールアイロナー1の入口から投入される被洗物を、第2加熱ロールの上方を通過させることにより、被洗物としてのシーツ(2.8m×2.9m)を、従来と比較して約6℃昇温することができ、これによりその分だけ加熱ロールで使用する蒸気量を削減することができるものである。
【0021】
なお、上述した実施形態にあっては、加熱ロールを2本備えたカレンダーロールアイロナーについて説明したが、加熱ロールは2本に限られることなく、3本、若しくはそれ以上であっても本発明を適用することができる。すなわち、入口から投入された被洗物が、入口から1番目に位置する加熱ロールの上方を通過し、2番目に位置する反時計回り(図1のアイロナーの向きで)に回転する加熱ロールに巻き付けられ、次に3番目に位置する時計回りに回転する加熱ロールに巻き付けられ、最後に1番目に位置する反時計回りに回転する加熱ロールに巻き付けられる構成とすることで、3本ロールのアイロナーに本発明を適用することができる。
【0022】
以上、本発明のカレンダーロールアイロナーについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態におけるカレンダーロールアイロナーの構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のカレンダーロールアイロナーは、連続洗濯設備を製造する産業において利用することができるものである。
【符号の説明】
【0024】
1 カレンダーロールアイロナー
11 入口
12 無端ベルト
13 第1加熱ロール
14 無端ベルト
15 第2加熱ロール
16 無端ベルト
17 センサー
18 リフト部材
19 バイパス用ベルト
3 投入機
4 畳み機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に連設する複数本の回転する加熱ロールと、該加熱ロールに巻き付けられて周回する無端ベルトとを備え、前記加熱ロールと無端ベルトとの間に被洗物を挟み込んでプレスするカレンダーロールアイロナーにおいて、
当該アイロナーの入口から投入される被洗物は該入口に最も近い1番目に位置する第1の加熱ロールの上方を通過搬送されて2番目若しくはそれ以降に位置する第2の加熱ロールに巻き付けられて前記無端ベルトとの間で加熱プレスされ、その後前記第1の加熱ロールに巻き付けられて前記無端ベルトとの間で加熱プレスされるとともに、
前記入口から前記第2の加熱ロールの間に、搬送される被洗物のキズ・汚れを検出して良品搬送ラインから除去する不良品検出除去手段を配設することを特徴とするカレンダーロールアイロナー。
【請求項2】
不良品検出除去手段は、被洗物を撮影するカメラと、該カメラが撮影する被洗物の画像中にキズ・汚れの有無を検出する画像診断手段と、該画像診断手段が不良品であると判断した場合に、搬送されている被洗物を良品搬送ラインから除去する不良品除去手段とからなることを特徴とする請求項1に記載のカレンダーロールアイロナー。
【請求項3】
被洗物は、アイロナーの入口から第1の加熱ロールの上方を通過する通気性を有するベルト上を搬送されることを特徴とする請求項1又は2に記載のカレンダーロールアイロナー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−5857(P2013−5857A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139161(P2011−139161)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(390027421)株式会社東京洗染機械製作所 (47)